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A/D,D/AコンバータVol.6
アンチエリアシングと遅延 A/D変換では、コンバータの前段にアンチエリアシングフィルタが LT6600-5 置かれます。アンチエリアシングフィルタの遮断周波数と減衰特性は、 低ノイズ差動アンプおよび5MHz 低ノイズ差動アンプおよび 5MHzローパス ローパス・フィルタ 信号の最高周波数とA/Dコンバータのサンプリング周波数、それに プル(周波数に対する利得の変化)やノイズ・ みが少ないことが第 一ですが、フィルタの遅延(Delay)特性にも注意を払う必要があり ます。フィルタの遅延とは、入出力間での信号の遅れ時間です。理想 フィルタの遅延量は周波数に係わらず一定ですが、 現実に得られるフィ ルタでは遮断周波数付近で遅延量が変化し、これによって方形波の 1 0 –1 –2 –3 –4 –5 –6 –7 –8 –9 り、振幅の周波数特性によるものではありません。したがってアンチ エリアシングとしての効果には影響しませんが、画像信号のように 波形を重視する用途では、遅延によって生じる波形の変化を考慮す DELAY GAIN =1 TA = 25˚C 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Frequency (MHz) ステップレスポンスにリンギングなどの波形変化を生じます。この リンギングは遅延量が周波数によって異なるために生じるものであ 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 遮断周波数付近の 20 振幅と遅延特性 GAIN DELAY (ns) アンチエリアシングフィルタは、 振幅―周波数特性の他に通過域のリッ GAIN (dB) ビット数から決定します。 – OUT 200mV/DIV OUT + 200mV/DIV る必要があります。 フィルタの遅延特性は、 回路形式や次数などによっ て異なり、一般に急 な特性を持つフィルタほど遅延量の周波数変 化は大きくなります。右に、完全差動アンプと4次の5MHzローパス・ フィルタを組み合わせたLT®6600-5の特性例を示します。 、LTC、 LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。 Easy Drive、 No Latency ΔΣ、No Latency Delta-Sigmaはリニアテクノロジー社の商標です。 他の商標はそれぞれが所有するものです。 IN – 500mV/DIV IN + ステップレスポンス (シングルエンド入力 差動出力) 100ns/DIV 話題 の 製品 新しいEasy Driveテクノロジーは、高分解能ΔΣ A/Dコンバータに革命をもたらす 今や、DC精度を落とすことなく、大きなRCネットワークを R SOURCE V IN+ 高分解能ΔΣ A/Dコンバータの前に直接接続することが ® できます。LTC 2480ファミリは、この課題をEasy Drive Sensor I DIFF = 0 Easy Drive ∆∑ ADC C EXT を使って解決します。Easy Driveは、自動的に差動入力電 V IN– 流をキャンセルする完全な受動サンプリング・ネットワー クです。性能を犠牲にするオンチップ・バッファを使う代わ R SOURCE りに、最大で100kと10μFの入力RCネットワークに対し 図1 てフルスケール誤差を0.002%に抑える新しいアーキテク チャを使います。この新しいテクノロジーには、従来のΔΣ Easy Driveテクノロジーは差動入力電流を自動的にキャンセ ルするので、大きな外部RCネットワークを直接デジタル変換す ることができる 80 A/Dコンバータに比べて、多くの利点があります。 ● ● ● ● ● ● ● ● 60 レール・トゥ・レール同相入力範囲 高インピーダンス・センサの直接デジタル変換 A/Dコンバータの入力ピンで見られる サンプリング・スパイクの除去 外部ローパス・フィルタの簡素化 雑音/電力の減少 外付けRCセトリング誤差のキャンセリング 外付けアンプとのインタフェースが容易 リモート・センサ伝送ラインの影響の除去 +FS ERROR (ppm) LTC 2480 Family TM Easy Driv Drive テクノロジー搭載 ロジー搭載 ファミリ 16∼24ビッ ビットΔΣ A/D /Dコンバータ バータ LTC2480ファミ 40 20 0 –20 –40 –60 –80 1 10 100 1k 10k 100k R SOURCE (Ω), C IN = 1µF 図2 Easy Driveテクノロジーは、大きな外部RCネットワークの不 完全なセトリングによるフルスケール誤差を自動的に除去する TM 16ビット分解能( LTC2480/LTC2481/LTC2482/LTC2483 ) LTC2480ファミリは、16∼24ビットNo LatencyΔΣ A/D コンバータと特許取得のEasy Drive技法を組み合わせたデ 12ビット分解能( LTC2484/LTC2485 ) バイスで、特許取得のサンプリング回路は、差動入力電流の 自動キャンセルにより、 ダイナミック入力電流誤差や内部バッ ファの欠点を排除します。 このため、優れたDC精度を維持し ながら、大きい外部ソース・インピーダンスを許容可能で、レー ル・トゥ・レールの入力範囲の入力信号を直接デジタル化でき ます。リファレンス電圧と関係なく、広い同相入力電圧範囲 リファレンスは100mVという低電圧が (0V∼V CC )が可能。 可能、もしくは、V CC に直接接続可能です。RMSノイズ・レベ ルはV REF と関係なく600nVです。 Easy Drive技法により、 差動入力電流がゼロのレール・トゥ・レール入力が可能 最大限の精度で 高インピーダンス・センサを直接デジタル化 RMSノイズ: 600nV 1∼256の利得をプログラム可能( LTC2480/LTC2481 ) 温度センサを内蔵 ( LTC2480/LTC2481/LTC2484/LTC2485 ) GND∼V CC の入力/リファレンス同相範囲 2線式I 2 Cインタフェース ( LTC2481/LTC2483/LTC2485 ) INLが2ppm(0.25LSB)、ミッシング・コードなし オフセットが1ppm、全未調整誤差が15ppm 選択可能な2倍速モード ( LTC2480/LTC2481/LTC2484/LTC2485 ) 待ち時間なし: デジタルフィルタは1サイクルでセトリング 2.7V∼5.5V単一電源動作 内部発振器 小型(3mm×3mm)10ピンDFNパッケージ V CC 1µF 10k I DIFF = 0 SENSE V IN+ 1µF V REF V CC SDI SDO LTC2480 V IN SCK – 10k GND 4-WIRE SPI INTERFACE CS FO ▲ LTC2480 標 準的 応 用例 分解能 温度センサ 利得プログラム I Cインタフェース 2倍速モード 除去モード プログラム LTC2480 16ビット ○ ○(∼256) ―― ○ 50Hz、60Hz または 50/60Hz同時 LTC2481 16ビット ○ ○(∼256) ○ ○ 50Hz、60Hz または 50/60Hz同時 LTC2482 16ビット ―― ―― ―― ―― 50/60Hz同時 LTC2483 16ビット ―― ―― ○ ―― 50/60Hz同時 2 LTC2484 24ビット ○ ―― ―― ○ 50Hz、60Hz または 50/60Hz同時 LTC2485 24ビット ○ ―― ○ ○ 50Hz、60Hz または 50/60Hz同時 データシートと評価サンプルについては、当社Webサイトまたは販売代理店にお問い合わせください。 速度/分解能を選択可能な 24ビット高速8チャネル/16チャネルΔΣ A/Dコンバータ LTC2444/LTC2445/LTC2448/LTC2449は、8/16チャネ ル(4/8差動チャネル)高速24ビットNo LatencyΔΣA/Dコ ンバータで、独自のデルタシグマ・アーキテクチャを採用し、 速度と分解能を変更可能です。シンプルな4線シリアル・イ ンタフェースを介して、変換結果間の待ち時間なしに、また DC精度(オフセット、フルスケール、直線性、ドリフト)の変 化なしに、6.9Hz/280nV RMS ∼3.5kHz/25µV RMS( 外部発振 器使用時は4kHz)の範囲で10種類の速度と分解能の組み合 わせを選択、また2倍速モードを選択できるので、1サイクル の待ち時間で最大7kHz( 外部発振器使用時は8kHz)の出力 レートが可能です。 V REFと関係なくGND∼V CCの同相入力範 囲で、シングルエンドまたは差動入力のあらゆる組み合わせ も選択可能。1倍速モードで動作する場合、速度、分解能、チャ ネルを新しく選択した後の最初の変換が有効で、変換と変換 の間にセトリング・タイムがないので、8つの差動チャネル すべてを500Hzのレートでスキャンすることができます。 変換が終了するごとにコンバータが内部でリセットされる ので、連続する変換と変換の間にメモリ効果がなく、高次デ ルタシグマ変調器の安定性を保証できます。 最大4つの差動入力チャネルまたは最大8の シングルエンド入力チャネル( LTC2444/LTC2445 ) 最大8つの差動入力チャネルまたは最大16の シングルエンド入力チャネル( LTC2448/LTC2449 ) 出力レート: 最大8kHz マルチプレクス・レート: 最大4kHz 速度または分解能を選択可能 出力レート1.76kHzでのノイズ: 2μV RMS 50/60Hz同時除去、 出力レート13.8Hz時のノイズ: 200nV RMS あらゆる入力およびリファレンス状態に対して、 変調器安定度とロックアップ耐性を保証 INL 0.0005%、ミッシング・コードなし オートスリープにより、6.9Hzで20μA動作が可能 5μV以下のオフセット (4.5V<V CC <5.5V、−40˚C∼85˚C時) GND∼VCCの同相範囲をもつ 差動入力と差動リファレンス 待ち時間なしモード、 新チャネルの選択後も各変換が正確 内部発振器――外付け部品が不要 LTC2445/LTC2449 は MUXOUT/ADCINを装備し、 THERMOCOUPLE 外部バッファや外部利得に対応 小型QFN 5mm×7mmパッケージ 4.5V TO 5.5V 1µF REF CH0 CH1 CH7 CH8 CH15 COM + VCC = EXTERNAL OSCILLATOR = INTERNAL OSCILLATOR (SIMULTANEOUS 50Hz/60Hz REJECTION AT 6.9Hz OUTPUT RATE) FO 19-CHANNEL MUX SDI SCK SDO CS SPEED/ + VARIABLE RESOLUTION DIFFERENTIAL − 24-BIT ∆∑ ADC LTC2444/LTC2445/LTC2448/LTC2449 LTC2444/LTC2445/LTC2448/LTC2449 4-WIRE SPI INTERFACE REF– GND LTC2448 ▲ シングル 24 ビット・速度可変のデータ収集システム 複数のリファレンス入力を選択可能な、24ビット高速8チャネルΔΣ A/Dコンバータ 5つの差動リファレンス入力を選択可能 4つの差動入力または8つのシングルエンド入力 4ウェイ・マルチプレクサにより、 複数のレシオトリック測定が可能 出力レート: 最大8kHz マルチプレクス・レート: 最大4kHz 速度または分解能を選択可能 出力レート1.76kHzでのノイズ: 2μV RMS 50/60Hz同時除去、 出力レート13.8Hz時のノイズ: 200nV RMS あらゆる入力およびリファレンス状態に対して、 変調器安定度とロックアップ耐性を保証 INL 0.0005%、ミッシング・コードなし オートスリープにより、6.9Hzで20μA動作が可能 5μV以下のオフセット (4.5V<V CC <5.5V、−40˚C∼85˚C時) GND∼V CC の同相範囲をもつ 差動入力と差動リファレンス 待ち時間なしモード、 新チャネルの選択後も各変換が正確 LTC2447 はMUXOUT/ADCINを装備し、 外部バッファや外部利得に対応 小型QFN 5mm×7mmパッケージ www. linear - tech.co. jp LTC2446/LTC2447は4端子スイッチングにより、マルチプ レクス・レシオメトリック測定が可能で、4組の選択可能な差 動入力と4組の差動リファレンス入力を結合することにより、 RTD、ブリッジなどの複数のセンサを1個のコンバータでデ ジタル化できます。 ( 熱電対、電圧、電流センスなど)レシオメ トリック測定を必要としない入力チャネル向けに、5番目の 差動リファレンス入力を選択できます。 柔軟な入力マルチプ レクサにより、シングルエンドまたは差動入力をスレーブ・ リファレンス入力または汎用リファレンス入力と結合する ことが可能です。独自のデルタシグマ・アーキテクチャを採 用し、15ppmの絶対精度(オフセット、フルスケール、直線性) 、 200nV RMS の低ノイズ、8kHzの速度を達成します。 VCC REF IN + + REF CS + 19-INPUT 4-OUTPUT – MUX IN VARIABLE SPEED/ RESOLUTION 24-BIT ∆∑ ADC − SDI SDO SCK – LTC2446 ▲ マルチ・レシオメトリック測定システム LTC2446/LTC2447 LTC2446/LTC2447 お役立ち 技術資料 ここに掲載した技術情報は一部です。 リスト内の情報や製品のデータシート、その他の技術資料は、すべて当社のWebサイトよりご覧いただけます。 www. li near -tech.co. jp DN 368 英語 Easy Drive入力電流キャンセル機能付きΔΣ A/Dコンバータ DN 341 16ビットADCによる簡素化された電流測定 DN 337 簡単な複数の出力範囲をもつ16ビットDACの設計 DN 297 16チャネル、24ビットデルタシグマADCによる小型でフレキシブルな 高精度データ収集ソリューション DN 294 サイズ、パワー、スピード のコンビネーションが最適な250ksps、16ビット・マイクロパワーADC DN 288 簡単になった RMS-DC変換 DN 274 シーケンサ付き12 ビットADC による マルチ入力アプリケーションの簡素化 DN 259 ADコンバータによる 周波数変換 DN 237 各種センサを容易にデジタル化 する1チャネルおよび2チャネルNo Latencyデルタシグマ、24ビットADC、パート2 DN 236 各種センサを容易にデジタル化 する1チャネルおよび2チャネルNo Latencyデルタシグマ、24ビットADC、パート1 AN 86 英語 ドリフト0.1ppm/℃、標準器グレード 20ビットDAC AN 80 英語 世界最小、待ち時間なし 24ビットΔΣADCの使い方 AN 78 英語 SO-8パッケージの待ち時間なし24ビットΔΣADC、LTC2400使用の差動 ―― シングルエンド信号調整回路集 Linear Technology Magazine Vol. 13 No.3 英語 24ビットADCの デルタシグマ変換への挑戦 Linear Technology Magazine Vol. 12 No.1 英語 ΔΣの飛躍的進展:LTC1966 ダイオード、 ヒータ、対数方式を使わない真のRMS-DCコンバータ Linear Technology Magazine Vol. 11 No.4 英語 12ビット、1.25Msps ADC、8ch MUX 付き www. linear -tech.co. jp 全製品のデータをご覧いただけます。 「新製品情報メール配信サービス」 の登録もこちらから。