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西海まるごと地質図鑑
西海まるごと地質図鑑 2016 年 西海市教育委員会 第6版 はじめに 西海市には恐竜の生きていた時代の中生代から、現在までの多様な地質の見所 が広がっています。「百聞は一見に如かず」の言葉の通り、学校教育や生涯学習に おいて、この見所を実際に見学することが、地質学への理解を深める近道であるとと もに、私たちの生活している大地への保護意識や愛着の醸成につながるものと考え ます。 本誌では、1章で大地を構成する岩石の種類について解説します。2章で、西海 市の大地が辿ってきた歴史を解説します。3章から7章では、地区ごとに地質の見所 を紹介していきます。8章には、西海市の地層がどの時代のものかをまとめた地質年 代表を用意しました。 最後に、本書の作成にあたり、ご指導を賜りました山川続氏(桜馬場中学校教諭)、 地質図の使用許可を出していただいた産業技術総合研究所をはじめとする、関 係各位の皆さまには、厚く御礼申し上げます。 2016 年4月 西海市教育委員会 i 目次 1章 岩石の種類 ............................................... 1-1 2章 西海市の地質発達史 ....................................... 2-1 1.長崎変成岩の時代........................................... 2-1 2.堆積岩の時代............................................... 2-1 3.火山岩の時代............................................... 2-2 4.江島・平島の地質発達史..................................... 2-3 3章 西海地区の地質 ........................................... 3-0 まくらじょうようがん 西海1. 枕 状 溶 岩 ....................................... 3-1 ぎょうかいかくれきがん 西海2. 凝 灰 角 礫 岩 ...................................... 3-2 ふう か 西海3. げん ぶ がん 風 化した 玄 武 岩 ..................................... 3-3 ななつがましょうにゅうどう 西海4. 七 釜 鍾 乳 洞 ................................... 3-4 せっかいしつ さ がん 西海5. 石 灰 質 砂 岩 ........................................ 3-5 ぎょうかいがんそう 西海6. さ べつしんしょく 凝 灰 岩 層 と差 別 侵 食 ........................... 3-6 けっしょうへんがん 西海7. 結 晶 片 岩 ......................................... 3-7 ふ せいごう 西海8. せきえいみゃく 不 整 合 と 石 英 脈 .................................. 3-8 4章 大瀬戸地区の地質 ......................................... 4-0 ま ぜ そう 大瀬戸1. 間瀬 層 とサンドパイプ .............................. 4-1 か こうせんりょくがん 大瀬戸2. 花 崗 閃 緑 岩 ..................................... 4-2 かっせきこうしょう 大瀬戸3. 滑 石 鉱 床 ....................................... 4-3 たつ 大瀬戸4. くちいわ 龍 の 口 岩 ......................................... 4-4 だいいちひょうじゅん か せきたい 大瀬戸5. 大瀬戸6. 大瀬戸7. 第 一 標 準 化 石 帯 .............................. 4-5 つがね落としの滝................................... 4-6 タフォニ........................................... 4-7 しゃこうそう り 大瀬戸8. 斜 交 層 理......................................... 4-8 よう り 大瀬戸9. コンボリュート 葉 理 ................................ 4-9 さき と そう 大瀬戸 10. ま ぜ そう 崎 戸 層 と間瀬 層 の境界 .......................... 4-10 けつがん 大瀬戸 11. 頁 岩 ........................................... 4-11 ii 5章 西彼地区の地質 ........................................... 5-0 じゃもんがん 西彼1. 蛇 紋 岩 ............................................. 5-1 りゅうもんがん 西彼2. 流 紋 岩 ........................................... 5-2 あんざんがん 西彼3. 安 山 岩 ............................................. 5-3 6章 大島地区の地質 ........................................... 6-0 か こうがん 大島1. あかさきそう 花 崗 岩 と 赤 崎 層 の不整合 ........................... 6-1 せきたん たんしつけつがん 大島2. 石 炭 ( 炭 質 頁 岩 ) .................................. 6-2 いちごしま 大島3. せいだんそう 苺 島 の 正 断 層 .................................... 6-3 いちごしまそう 大島4. おに 大島5. さき と そう 苺 島 層 と 崎 戸 層 の境界 ............................ 6-4 せんたくいわ 鬼 の 洗 濯 岩 ........................................ 6-5 しお だ そう 大島6. ろ とう 塩 田 層 上部の露 頭 ................................... 6-6 7章 崎戸地区の地質 ........................................... 7-0 げん ぶ がんみゃく 崎戸1. 玄 武 岩 脈 とホルンフェルス ......................... 7-1 だいいちひょうじゅん か せきたい 崎戸2. 第一 標 準 化 石 帯 ................................ 7-2 とくまんそう 崎戸3. 徳 万 層 最下部....................................... 7-3 か ざんまめいし 崎戸4. 火 山 豆 石 ........................................... 7-4 しゃこうそう り 崎戸5. よう り 斜 交 層 理とコンボリュート 葉 理 ...................... 7-5 8章 西海市の地質年代表 ........................................ 8-1 9章 単語 ...................................................... 9-1 10 章 参考文献 ............................................... 10-1 iii 1章 岩石の種類 岩石は、その成り立ちにより大きく分 か せい がん たいせきがん へんせいがん けて火成 岩 、堆積岩 、変成岩 に分類で きます。 地球の内部から湧き上がってきたマ グマが固まったものが火成岩です。岩 石が水などの働きにより細かく砕かれ ふう か ( 風 化 )た 土砂 が、川や風によ り運ば れ、積もり(堆積)固まったものが堆積岩 図1 岩石の生まれ変わり です。堆積岩や火成岩が、地中深くに埋まり、地下の高温・高圧環境で化学変化 へんせい さ よ う (変成作用)を起こした岩石を変成岩といいます。変成岩がさらに地中奥深くに沈み 込むと、高温により溶けて混ざり合い、マグマの原料となります。このように、岩石は 地球が生まれてからずっと現在の姿のまま存在しているのではなく、様々な形をとり ながら生まれ変わってきたのです。西海市では、火成岩、堆積岩、変成岩全てを一 通り観察できます。 それぞれの岩石をもう少し詳しく見てみましょう。 か ざん がん しんせいがん 火成岩は、火山岩と深成岩の2つに分類できます。火山岩は、マグマが地表近く で比較的短い時間で冷え固まった岩石であり、深成岩は地下深くでゆっくりと冷え 固まった岩石です。深成岩では、冷え固まる時間が長かったために、岩石を構成す こうぶつ る鉱物が肉眼でも見えるほど大きくなり、まだら模様になっています。それに対し火 山岩は短い時間で固まったため、鉱物がまざりあったままの状態で固まっており、比 較的大きな結晶のほかは同じように見えます。火山岩と深成岩は、さらにそれらを構 成する鉱物の量により、それぞれ表1のように主に3種類の岩石に分類されます。ケ に さん か そ せきえい ちょうせき イ酸塩化合物 (二酸化ケイ素など)に富んだ鉱物である石英や長石の量が多い岩石 ほど、白っぽくなる傾向があります。 1-1 表1 火成岩の分類 ←多 二酸化ケイ素の量 りゅうもんがん 少→ あんざんがん 流紋岩 安山岩 か こ う がん せんりょくがん げん ぶ がん 玄武岩 か ざん がん 火山岩 花崗岩 はん 閃緑岩 がん 斑れい岩 しんせいがん 深成岩 堆積岩は、主に堆積岩を構成 する小さな砕石物の大きさによっ 表2 砕石物の大きさによる堆積岩の分類 砕石物 大きさ(直径) れき 2mm 以上 礫 名前 れきがん 礫岩 さ がん て分類されます(表2)。また、砕 砂 1/16mm 以上2mm 以下 砂岩 石物の種類によっても分類でき 泥 1/16 mm 以下 泥岩 でいがん ます(表3)。 か さ い がん 火砕岩の中でも、特に火山灰が堆積し 表3 砕石物の種類による堆積岩の分類 ぎょうかいがん たものを凝灰岩と呼びます。石灰が堆積 砕石物 名前 火山岩由来 火砕岩 か さ い がん せっかいがん したものを石灰岩 、二酸化ケイ素が堆積 火山灰 したものをチャートと呼びます。石灰岩と 石灰 石灰岩 二酸化ケイ素 チャート チャートは、それぞれ石灰分でできた殻 1-2 ぎょうかい がん 凝 灰岩 せっかいがん ほうさん を持つ生物(貝殻やサンゴ、石灰藻など)、二酸化ケイ素を殻として持つ生物(放散 ちゅう かいめん 虫 プランクトン、海綿動物など)の体が堆積すること、あるいは水に溶けている石灰 分・二酸化ケイ素が沈殿して発生します。土砂が堆積する際に、生物の体がその中 に含まれた場合、化石として保存されることがあります。 せっしょくへんせいがん こ う い き へんせいがん 変成岩は、接触変成岩と広域変成岩に大きく分類できます。接触変成岩は、マグ マに接触した岩石が、マグマの高熱による化学変化を起こした岩石のことです。 広 域変成岩は、地下深くの高温・高圧により、広い地域で岩石が化学変化を起こした さいけっしょう ものを指します。広域変成岩には、強い圧力により再結晶した鉱物が、一定方向に へん り めん けっしょうへんがん 配列することで面状の構造(片 理 面 )が生じた結晶片岩 が含まれます。結晶片岩 は、さらに変成作用を受ける前の岩石の種類により分類できます(表4)。 表4 変成前の岩による結晶片岩の分類 変成前の岩 礫岩 結晶片岩 砂岩 砂質片岩 泥岩 泥質片岩 (黒色片岩) れきしつへんがん 礫質片岩 さしつへんがん でいしつへんがん りょくしょくへんがん 凝灰岩・火山岩 緑色片岩 1-3 2章 西海市の地質発達史 1.長崎変成岩の時代 西海市の大地を構成する岩石のうち、最も古いも のは変成岩です。この変成岩は長崎変成岩と呼ば はく あ き れ、ジュラ紀〜白亜紀(約2億-約 6,600 万年前)に かけて太平洋の底に堆積した泥、海底火山の噴出 物(玄武岩溶岩など)が変成したものです。 当時、ユーラシアプレートの下に沈み込んでいた プレートは、イザナギプレートと名づけられています。 イザナギプレートは日本列島の形成に大きな影響を 与えたプレートとして、日本神話のイザナギからその 図2 イザナギプレートのユーラシア大陸下へ 名前がつけられました。現在は、ユーラシアプレート の沈み込み(7,000 万年前) の下に完全に沈み込み消滅しています。太平洋の底に堆積した泥は、イザナギプレートの上に乗 かいこう って、長い時間をかけて、プレートが沈み込む場所である海底の谷(海溝)のある西側に運ばれて は きました。海溝にプレートが沈み込む際に、その上に乗っていた泥岩などの一部が剥ぎ取られ、 ユーラシアプレート側に押しつけられます。このとき、地下に埋没した泥や火山噴出物が変成作 用を受け、長崎変成岩になりました。 か こうがん 白亜紀の終わり頃に、マグマが地表付近まで上昇し、花崗岩ができました。このとき、周囲の変 成岩類がその高熱により接触変成作用を受けたはずですが、西彼杵半島で見つかっている花崗 岩の周囲に接触変成作用を受けた変成岩類は見つかっていません。これは、もともと離れた場所 にあった花崗岩と長崎変成岩が、地殻変動により同じ場所に移動してきた結果と考えられます。 2.堆積岩の時代 長崎県は、日本でも有数の化石の産地です。これには、プレートの沈み込みの向きが関わって います。約 4,500 万年前まで、イザナギプレートとそれに続く太平洋プレートは海溝に対し斜めに 沈み込んでいました。つまり、ユーラシアプレート上の大地には、海溝に垂直な方向に圧縮される 力だけではなく、海溝に平行な方向に引き裂かれる力も働いていたことになります。この結果、九 州の西岸部には盆地が発生し、その盆地に流れ込んだ土砂が堆積岩の起源となりました。 2-1 図3 4,500 万年前まで堆積岩発生のメカニズム 約 4,500 万年前以降、太平洋プレートは沈み込み の方向を北北西から北西に変え、海溝にほぼ垂直に 沈み込むようになりました。 この時期以降に、日本列 島が大陸から切り離され始め、大陸と日本列島の間 ち こう に長い谷地(地溝)が発生し、そこに海が侵入します。 この海に土砂が堆積しました。約 3,400 万年前から、 地球は寒冷化しますが、この時期の海はプランクトン が栄える豊かな海でした。西海市の堆積岩は、この豊 図4 かな海の歴史も記録しています。 4,500 万年以降の堆積岩発生のメカニズム 3.火山岩の時代 約 1,900 万年前から、日本海が拡大を始めます。この時、東日本は反時計回り、西日本は時計 回りに回転し、ユーラシア大陸から日本列島が切り離されました。この時、九州では西海市を含む 北西部分はほとんど回転せず、他 の九州地方のみが回転して現在の 形になりました。 この日本海の拡大は、約 500 万 年前にほぼ終息します。その後、地 球の奥深くのマントルからマグマが 湧きあがって地表に噴出し、火山活 動が活発に起こりました。西海市の 図5 日本海の拡大と日本列島・九州の回転 2-2 北部・南西部で見られる一連の火山岩は、この時のマグマが固まってできたものです。 4.江島・平島の地質発達史 ご とうなだ 五島灘の江島、平島は西彼杵半島とは異なる地質発達の歴史をたどってきました。 江島の地層は、白亜紀前期に噴出した安山岩が起源となっています。島の南東部では安山岩 かさいがん が多く見られますが、北西部に行くにつれ安山岩質の礫や火山灰の再堆積した火砕岩が多くなり ます。のちに、この火砕岩の中に大瀬戸で見られるものと同じ花崗岩マグマが上昇してきて、一部 で接触変成岩ができました。 こもさき おお や 平島は、主に堆積岩からできています。平島を構成する堆積岩(菰崎層・大屋層)は、主に始新 世から漸新世(約 5,600-2,300 万年前)に堆積した西彼杵半島の堆積岩よりも新しく、中新世(約 2,300-533 万年前)に堆積しています。同時代の堆積岩は、佐世保市でも確認されています。平 島の堆積岩も、花崗岩により貫入されていますが、この花崗岩も大瀬戸や江島で見られるもの(白 亜紀後期、約 9,000-8,000 万年前)よりも新しく、中新世(約 1,500 万年前)にできたものです。こ の花崗岩は五島列島で確認されているものと同じと考えられています。 2-3 3章 西海地区の地質 ちゅうせきそう 松 浦 玄 武 岩 類 III あいのうらそうぐん 相 浦 層群 輝石・カンラン石玄武岩 砂岩・泥岩・礫岩・石炭 さいかいぎょうかいかくれきがん 西海 凝 灰角礫岩 安山岩質凝灰角礫岩 まつうらげん ぶ がんるい 松 浦 玄 武 岩 類 II 輝石・カンラン石玄武岩 まつうらげん ぶ がんるい 松 浦 玄武岩 類I 輝石・カンラン石玄武岩 おお せ と か こうがんるい 大 瀬戸花 崗 岩 類 花崗岩・花崗閃緑岩 うめたてち 沖 積層・埋立地 まつうらげん ぶ がんるい ひ ぎり 西に し 彼そ の 杵ぎ そ 層う 群ぐ ん しお だ そう 日 切 ・塩 田層 砂岩・泥岩・礫岩 とくまん ゆ 長な が 崎さ き 変へ ん 成せ い 岩が ん 類る い り だけそう 徳万・百合岳層 砂岩・泥岩・凝灰岩 ま ぜ そう 間瀬層 じゃもんがん かっせき 蛇紋岩・滑石 けっしょうへんがん 結 晶 片岩 国道(西彼杵道路) 国道 主要県道 泥岩・砂岩・礫岩・石炭 まつしまそうぐん さき と そう いちごしまそう 松島層群(崎戸層+ 苺 島層) 泥岩・砂岩・礫岩・石炭 てらしまそう 寺島層 泥岩・砂岩・礫岩・炭質泥岩 あかさきそう 赤崎層 泥岩・砂岩・礫岩 3-0 一般県道 広域農道・林道 川・湖沼 まくらじょう よ う が ん 西海1. 枕 状 溶岩 場所: 西海町面高郷字大道原 1292−3 曲り鼻海岸 北緯:33 度 4 分 33.0 秒 東経:129 度 39 分 44.6 秒 時代: 鮮新世 (約 530-260 万年前) 地質系統:松浦玄武岩類 II ようがん 溶岩 が水中に噴出したとき、周囲の大量 の水により、溶岩が周辺から急に冷やされま す。溶岩の内部が固まらないまま、その表面 だけが先に冷え固まることで、溶岩が枕のよ うに膨らんだ構造ができます。 曲り鼻海岸で見られる枕状玄武岩は、水 中に溶岩が流れ込み形成されました。ここで は、枕状構造が割れた状態で残っており、 その断面が観察できます。水により溶岩が 急に冷やされた部分はガラス質(原子の配 列に規則性がない状態)になっており、黒色 になっています。 3-1 ぎょうかい か く れきがん 西海2. 凝 灰角礫岩 場所: 西海町面高郷字大道原 1292−3 曲り鼻海岸 北緯:33 度 4 分 35.6 秒 東経:129 度 39 分 42.8 秒 時代: 鮮新世 (約 530-260 万年前) 地質系統:西海凝灰角礫岩 西海1の枕状溶岩のある場所からもう少し北に進むと、大きな岩が転がっています。この岩を構 あんざんがん 成している礫は、多くが安山岩(西彼3、P.5-3)です。 ふ う か これは、風化(西海3、P.3-3)により砕けた安山岩の礫が、火山灰や土砂とともに再堆積したも ぎょう かい か く れ き が ん のであり、このような岩石を凝 灰角礫岩と呼びます。この西海凝灰角礫岩を境に、西海地区の玄 武岩類は古い物(松浦玄武岩類 II)と新しい物(松浦玄武岩類 III)の2つに分類できます。 3-2 ふう か げん ぶ がん 西海3. 風化した玄武岩 場所: 西海町丹納郷 865 高地グラウンド向かいの崖 北緯:33 度 3 分 20.8 秒 東経:129 度 43 分 19.1 秒 時代: 鮮新世 (約 530-260 万年前) 地質系統:松浦玄武岩類 III 岩石が長い間に風雨にさらされることで、ボロボロになったり化学的に変質したりすることを風化 と呼びます。高地グラウンド向かいの崖に、風化した玄武岩が見られます。 上の写真の玄武岩も、もとは玄武岩の枕状溶岩(西海1、P.3-1)でしたが、その後風化を受け て、現在では表面にマグマが急冷されてガラス質になった黒い部分がわずかに見られるだけで す。また、玄武岩は鉄分を多く含む岩石です。玄武岩中の鉄分が酸化すると赤みを帯びます。こ の崖のように、西海市北部で見られる赤土は、玄武岩が風化してできたものであり、赤みを帯びて さんかてつ いるのは、酸化鉄を多く含んでいるからです。 3-3 ななつがましょうにゅう ど う 西海4. 七 釜 鍾 乳 洞 場所: 西海町中浦北郷 2541-1 北緯:33 度 1 分 26.6 秒 東経:129 度 39 分 40.0 秒 時代: 漸新世 (約3千万年前) 地質系統:西彼杵層群・間瀬層上部(蛎浦層) 西海町中浦北郷にある数十の 洞窟をまとめて、七釜鍾乳洞と呼 んでいます。この鍾乳洞を含む ま ぜ 間瀬 層は、今から約3千万年前に 海底に堆積しました。間瀬層の上 せっかいそう 部には、大量の石灰藻 の化石が 含まれています。この石灰藻は、 その名前の通りその体に石灰分を 含んでいます。その結果、間瀬層 せっ かい し つ さ は石灰分の多い砂岩(石 灰 質 砂 がん 岩 )になりました。その後、間瀬層 りゅうき は隆起 し、地上に出てきます。間 瀬層中に染み込んだ雨や川の水 により、石灰質砂岩中の石灰分が 溶け出し、空洞が発生しました。こ の空洞が鍾乳洞です。石灰質砂 岩中に染み込んだ水は、ただ石 灰 分を 溶か すだ け では あ り ま せ ん。一度水分中に溶け込んだ石 灰分が、再び固体として洞窟内に せきしゅつ に じ せいせいぶつ せ き じゅん 析出 し 、 二次 生成物 ( 石 筍 や しょうにゅう せ き 鍾 乳 石 など)が形成されます。こ れはなぜでしょうか? どじょう 水には土壌 を通過中に二酸化 炭素が溶け込み酸性になるので、 より多くの石灰分が溶けやすくなり ます。しかし、その後、空洞中の空 気に触れると二酸化炭素が水分から抜け出すので、酸性が弱くなり石灰がその分水に溶けにくく なるためです。 日本には七釜鍾乳洞の他にも鍾乳洞がありますが、その多くは今から2億から3億年前に堆積 した石灰岩中に発達したものです。七釜鍾乳洞は、その母岩となる間瀬層の年代が新しいこと、 そして砂を大量に含む石灰質砂岩である点で、他の鍾乳洞と異なっています。このことから、七釜 鍾乳洞は昭和 11 年に国指定天然記念物に指定されました。 3-4 せっかいしつ さ がん 西海5. 石灰質砂岩 場所: 西海町中浦北郷 2558 コスモス畑奥 北緯: 33 度 1 分 29.3 秒 東経: 129 度 39 分 33.2 秒 時代: 漸新世 (約3千万年前) 地質系統:西彼杵層群・間瀬層上部(蛎浦層) 七釜鍾乳洞公園近くのコスモス畑の奥で、七釜鍾乳洞を含む間瀬層を観察できます。 この崖を観察すると、下の方に石灰藻が密集している層(白い部分)があります。この部分で は、石灰藻を含む堆積物が流されて堆積した構 し ゃ こ う そう り 造が見られ、その上では斜交層理(大瀬戸8、P. 4-8、崎戸5、P.7-5)などが発達しています。 この地層の堆積物の状態を調べることで、堆 積物がどの方向から流れてきたのか、そしてどの ような場所に堆積したのかを調べることができま す。 その結果、この場所では北から北東向きの流 れによって堆積物が運ばれてきたこと、その時こ の場所は、沿岸のやや深い場所であったことが 判明しました。 3-5 ぎょうかい が んそ う さ べつしんしょく 西海6. 凝 灰岩層と差別侵食 場所: 西海町中浦北郷字神ケ崎 1170-1 付近 七ツ釜港対岸 北緯:33 度 1 分 2.2 秒 東経:129 度 38 分 55.7 秒 時代: 漸新世 (約3千万年前) 地質系統:西彼杵層群・徳万層 七ツ釜港の対岸の崖を見ると、上の方が白っぽく なっています。これは、 火山灰に豊富に含まれる ちょうせき 長石 の色です。つまり、この部分の岩石は火山灰を ぎょうかいがん 多く含む岩(凝灰岩)です。その下の黄土色の層は、 砂岩層です。 この場所から海の方を見ると、岩が帽子をかぶっ たような風景が広がっています。これは帽子部分の 岩がその下の部分よりも硬いため、割れ目に沿って しんしょく 異なるスピードで侵食された結果、このような形にな ったと考えられます。 3-6 け っ しょうへんがん 西海7. 結 晶 片岩 場所: 西海町中浦南郷字紫木屋 1216-11 伊佐ノ浦公園・伊佐ノ浦コテージ付近 北緯:33 度 0 分 52.6 秒 東経:129 度 41 分 16.9 秒 時代: 白亜紀 (約1億年前) 地質系統:長崎変成岩類(結晶片岩) 長崎変成岩は、イザナギ・太平洋プレートの沈み込みにより地下深くに埋没した岩石が地中深 こ う い き へ んせい が ん くで強い圧力を受けて化学変化を起こした、広域変成岩と呼ばれる岩石です。この強い圧力によ けっしょうへんがん り、岩石内の鉱物が再結晶したものを結晶片岩 と呼びます。再結晶した結晶が一列に並ぶこと へん り めん で、層状の構造(片理面)を作っていることが確認できます。このため結晶片岩は薄く割れやすい 性質があります。この性質のため、かつては市内の多くの建造物が、この結晶片岩を材料として建 設されました。 3-7 ふ せ いご う せきえい みゃく 西海8. 不整合と石英 脈 場所: 西海町中浦南郷 231-9 北緯:33 度 0 分 8.0 秒 東経:129 度 39 分 50.4 秒 時代: 変成岩—中生代(約1億年前) 堆積岩— 漸新世(約3千万年前) 地質系統: 堆積岩—間瀬層上部(蛎浦層) 変成岩—長崎変成岩類(結晶片岩) この場所では、約1億年前の変成岩の上部を約3千万年前の堆積岩がおおっており、2つの層 ふせいごう の間には約5千万年以上の時間の空白があります。このような重なり方を不整合と呼びます。 かんにゅう せきえい みゃく しんとう 変成岩の中には、貫入 した石英 脈 があります。地下に浸透した雨水や川の水は、地下の高 温・高圧環境下で二酸化ケイ素(石英の成分)を溶かします。二酸化ケイ素が溶けた熱水が岩の 割れ目に沿って上昇すると温度と圧力が下がるので、石英が水分中に溶けていられなくなり結晶 化します。ここで見られる石英は、このようにしてできました。石英だけでなく、金もこのようにして地 下深くから運ばれてくると考えられています。 上部の堆積岩の中にも石英の礫が見られるので、この石英が貫入した時期は、漸新世より前の か こ う せん りょく がん 時代であったと考えられます。近くにある花崗閃緑岩(大瀬戸2、P.4-2)のもとになったマグマの 熱に よ り 、 石 英 が 地 下 水 中 に 溶 け 込 ん だ の か も し れ ま せ ん 。 3-8 4章 大瀬戸地区の地質 まつうらげん ぶ がんるい 松 浦 玄 武 岩 類 II ちゅうせきそう 輝石・カンラン石玄武岩 まつうらげん ぶ がんるい 松 浦 玄武岩 類I 輝石・カンラン石玄武 岩 おお せ と か こうがんるい 大 瀬戸花 崗 岩 類 花崗岩・花崗閃緑岩 うめたてち 沖 積層・埋立地 西に し 彼そ の 杵ぎ そ 層う 群ぐ ん とくまん ゆ り だけそう 徳万・百合岳層 砂岩・泥岩・凝灰岩 ま 長な が 崎さ き 変へ ん 成せ い 岩が ん 類る い じゃもんがん かっせき 蛇紋岩・滑石 けっしょうへんがん 結 晶 片岩 ぜ そう 間瀬層 泥岩・砂岩・礫岩・石炭 国道 まつしまそうぐん 主要県道 さき と そう いちごしまそう 松島層群(崎戸層+ 苺 島層) 泥岩・砂岩・礫岩・石炭 一般県道 広域農道・林道 川・湖沼 4-0 ま ぜ そう 大瀬戸1. 間瀬層とサンドパイプ 場所: 大瀬戸町多以良外郷字小島ノ元 2367 付近 北緯:32 度 59 分 34.5 秒 東経:129 度 38 分 33.3 秒(間瀬層の露頭) 北緯:32 度 59 分 25.5 秒 東経:129 度 38 分 28.1 秒(サンドパイプ) 時代: 始新世—漸新世(約4−3千万年前) 地質系統:西彼杵層群・間瀬層上部(蛎浦層) 堤防から降りた海岸で、間瀬層を観 けっしょう へんがん 察できます。この場所では、結晶 片岩 せきえい さ れき や石英 を含む砂 礫 層に化石の破片が 混ざって見られます。この付近で、地層 が堆積した年代を判断する手がかりと し じゅん なる化石(示 準 化石)として使われるカ キ化石も見つかっています。 さらに海岸を南西に進むと、サンドパ イプが見られます。昔このあたりが砂浜 〜浅い海底であった頃に、砂の中に穴 を掘って生活していた動物(カニなど) の巣穴の化石です。 ※ この場所に行くには、岩石海岸を 400m ほど歩かなければなりません。滑りにくい靴を履くなど 十分な準備をした上で、潮の満ち引きに注意して観察してください。 4-1 か こ う せんりょくがん 大瀬戸2. 花崗閃緑岩 場所: 大瀬戸町多以良外郷字高帆北平 2222-1 付近 高帆山の西海岸 北緯:32 度 59 分 17.5 秒 東経:129 度 38 分 14.0 秒 時代: 白亜紀 (約9千万年前) 地質系統:大瀬戸花崗岩類 大瀬戸1(P.4-1)のサンドパイプの場所からさらに南西に 500m ほど海岸沿いを歩くと、花崗閃 しんせいがん 緑岩がみられます。花崗閃緑岩は、花崗岩と閃緑岩の中間の性質の深成岩です。白亜紀に上昇 ち か く へんどう してきたマグマが、地下深くでゆっくり冷やされて固まり花崗閃緑岩となり、その後の地殻変動 で 地表に出てきたものと考えられます。この花崗閃緑岩に隣接する間瀬層にはマグマの熱により変 成した痕がなく、また間瀬層はより新しい時代の堆積岩ですから、このマグマが上昇してきたとき に周囲にあった岩は別にあったことになります。しかし、そういった岩は現在まで発見されていませ ん。大瀬戸の花崗閃緑岩は、層状構造が発達していて、強い圧力がかかったことがわかります。 ※ この場所に行くには、岩石海岸を 900m ほど歩かなければなりません。滑りにくい靴を履くなど 十分な準備をした上で、潮の満ち引きに注意して観察してください。 4-2 かっせき こうしょう 大瀬戸3. 滑石鉱床 場所: 大瀬戸町瀬戸羽出川郷字ドンクウ岩など 北緯:32 度 57 分 6.7 秒 東経:129 度 41 分 31.5 秒 時代: 中生代後半 (約1億年前) 地質系統:長崎変成岩類(蛇紋岩・滑石) 滑石は、最も軟らかい鉱物の一つで、爪でも傷つけることができます。この特徴や冷めにくい性 質があることから、過去には鍋の素材としても利用されていました。西海市の各地でこういった石 鍋製作所の跡がありますが、その多くは遺跡として保護されていますので、その場での滑石の採 取は禁止されています。 じゃもんがん 九州北部では、蛇紋岩(西彼1、P.5-1)に近い場所に滑石があり、長崎県だけではなく佐賀県 や福岡県にも滑石が存在します。佐賀県や福岡県の滑石は、蛇紋岩が深成岩マグマの熱を受け て変成したものですが、西海市の滑石は、プレートの沈み込みに伴う高圧により、蛇紋岩中の物 質が近くにあった結晶片岩中に移動したことで発生したものと考えられています。 4-3 たつ くちいわ 大瀬戸4. 龍の口岩 場所: 大瀬戸町雪浦下郷字唐岩 604−3 向かい 雪浦海水浴場の対岸 北緯:32 度 54 分 58.2 秒 東経:129 度 39 分 44.6 秒 時代: 中生代後半 (約1億年前) 地質系統:長崎変成岩類(結晶片岩) 雪浦川の河口付近で、高さ5mほどの岩があります。この岩は、龍が口を大きく開いたような形を しているので、龍の口岩と呼ばれてきました。 りょくしょくへんがん この龍の口岩は、結晶片岩の一種である緑色片岩です。これは、イザナギ・太平洋プレートの 沈み込みにより地下深くに埋没した火成岩が、強い圧力により変化したものです。実際に、龍の口 しゅうきょく こ う ぞ う 岩には、ものすごい力で曲げられた跡が見られます。この曲がった跡(褶曲 構造)からも、プレート の沈み込みに伴う圧力が非常に大きかったことが想像できます。 4-4 だい いち ひょうじゅん か せき たい 大瀬戸5. 第一 標 準 化石帯 場所: 大瀬戸町瀬戸樫浦郷 2226-1 大瀬戸カトリック教会下駐車場脇 北緯:32 度 56 分 0.8 秒 東経:129 度 38 分 44.6 秒 時代: 漸新世 (約3千万年前) 地質系統:間瀬層上部(蛎浦層) 大瀬戸カトリック教会下の駐車場脇の崖で、 タマキガイという二枚貝の化石が密集している層 じゃのめそう があり、貝殻の断面が蛇の目のように見えることから、蛇ノ目層と呼ばれることもあります。 にし そ の ぎ は ん と う この層は、西彼杵半島西部に広く分布しており(崎戸2、P.7-2)、この層が、間瀬層の上部であ かぎそう ると判断するための手がかりとなる鍵層の「第一標準化石帯」として使われています。なお、カキの 化石が密集している「第二標準化石帯」は、間瀬層最下部を示す層です(大瀬戸 10、P. 4-10)。 4-5 大瀬戸6. つがね落としの滝 場所: 大瀬戸町雪浦河通郷字小野 北緯: 32 度 54 分 51.1 秒 東経: 129 度 41 分 52.5 秒 時代: 中生代後半 (約1億年前) 地質系統:長崎変成岩類(結晶片岩) つがね落としの滝は、西海市の変成岩帯の中を流れる ごうつうがわ 河通川の途中に発達しています。モクズガニ(つがね)が滝を 滑り落ちてしまうことから、この名前がつけられました。 けっしょうへんがん 水の流れにより川底の結晶片岩 が磨かれ、結晶片岩の表 面をよく観察することができます。 西彼杵半島の変成岩は、大まかにいって、半島をほぼ南 北方向に走る軸を中心に曲げられた凸状の構造をになって います。その軸の部分は、つがね落としの滝を通っていま へん り めん す。その結果、この滝周辺では変成岩の片理 面はほぼ水平 方向に広がっています。 4-6 大瀬戸7. タフォニ 場所: 大瀬戸町松島内郷 北緯:32 度 56 分 26.2 秒 東経 :129 度 36 分 51.2 秒 時代: 始新世後期?〜現在 (約4千万年前以降) 地質系統:松島層群・苺島層? 松島の釜浦港の北岸に松島層群苺島層の崖があります。その崖にはタフォニと呼ばれる数 m の大きさの窪みが見られます。 風により吹き飛ばされて付着した海水中の塩分が固まり成長するときに、周囲の岩石を押しの けて破壊します。こうして長い年月をかけて形成された窪みをタフォニと呼びます。 4-7 しゃこ うそう り 大瀬戸8. 斜交層理 場所: 大瀬戸町松島内郷 2699-2 松島火力発電所近くの串島の崖 北緯:32 度 56 分 41.3 秒 東経:129 度 35 分 52.7 秒 時代: 始新世 (約4千万年前) 地質系統:松島層群・崎戸層 串島は、松島で初めて石炭が見つかった場所です。 現在は、石炭層を確認できませんが、串島の崖で 層が斜めに互いを切って堆積している状態を確認できま す。 おうとつ これは、土砂が水底の凹凸を乗り越え、その下流側に 斜めに堆積したことによるものです。この層は、全体の堆 積面に対し斜めになっているため、斜交層理と呼ばれま す。 ※この場所に近づくには、松島火力発電所の敷地を通 る必要がありますので、事前に許可を得る必要があり ます。 4-8 よう り 大瀬戸9. コンボリュート葉理 場所: 大瀬戸町松島内郷 2699-2 松島火力発電所近くの串島の崖 北緯:32 度 56 分 43.3 秒 東経:129 度 35 分 51.8 秒 時代: 始新世後期(約4千万年前) 地質系統:松島層群・崎戸層 大瀬戸8(P.4-8)の場所から、少し奥に 入ったところで、このコンボリュート葉理を観 察できます。 これは堆積後まだ固まっていない土砂の 上に新たに土砂が堆積することで、その重 みで大きく変形した堆積層のことを指しま す。 ※この場所に近づくには、松島火力発電 所の敷地を通る必要がありますので、事 前に許可を得る必要があります。 4-9 さき と そう ま ぜ そう 大瀬戸 10. 崎戸層と間瀬層の境界 場所: 大瀬戸町松島内郷丸山鼻 北緯:32 度 56 分 9.7 秒 東経:129 度 35 分 31.9 秒 時代: 始新世後期(約4千万年前) 地質系統:西彼杵層群・間瀬層下部(板浦層) 松島層群・崎戸層 松島西岸で、崎戸層とこれをおおう間瀬層の境界を 観察できます。 間瀬層 崎戸層は河川部や海岸に近い場所で堆積した地層 で、石炭を含みます。それに対し、間瀬層は海底で堆 化石帯 かい せい そう 積した海成層です。 せきえい ちょうせき 崎戸層は石英 や長石を多く含み、白っぽい色をして うん も サンドパイプ いますが、間瀬層には、雲母 を多く含むので黒っぽい 色をしています。境界部のすぐ上には、変成岩混じりの 礫層がみられますから、間瀬層の雲母は、変成岩由来と考えていいでしょう。 崎戸層 さらにこの礫層に混じって、カキの化石がみられます。この礫・カキ化石層は、「第二標準化石 かぎそう 帯」とよばれ、崎戸層・間瀬層の境界を見つける手掛かりとなる鍵層として使われています。崎戸 層の最上部には、サンドパイプ(大瀬戸1、P.4−1)がみられ、海岸付近の堆積物であることがわか ります。 4-10 けつがん 大瀬戸 11. 頁岩 場所: 大瀬戸町松島内郷字アウザバエノ上 北緯:32 度 56 分 11.9 秒 東経:129 度 35 分 36.7 秒 時代: 始新世 (約4千万年前) 地質系統:西彼杵層群・間瀬層下部(板浦層) 大瀬戸 10(P.4-10)の場所か ら少し北に進むと、崖に黒い層 が出てきます。一見石炭のよう にも見えますが、実際は泥が堆 積したものです。 石炭は、海水の影響のない しつげん 湿原で堆積します。泥(の粒子) は小さくて軽いため、ちょっとし た水の流れでも移動してしまい ます。泥がこれだけ堆積してい るということは、この泥層は、海 岸から離れた、水流の弱い海底 に堆積したと考えられます。 ここの泥層は、堆積面に平行 に薄く割れやすくなっており、こ ういった泥岩は特に頁岩と呼ば れます。深い海底で有機物が分 解されずに保存されたため、黒 色になりました。 4-11 5章 西彼地区の地質 まつうらげん ぶ がんるい 松 浦 玄 武 岩 類 III 輝石・カンラン石玄武岩 ちゅうせきそう うめたてち 沖 積層・埋立地 さいかいぎょうかいかくれきがん 西海 凝 灰角礫岩 安山岩質凝灰角礫岩 あいのうらそうぐん 相 浦 層群 まつうらげん ぶ がんるい 砂岩・泥岩・礫岩・石炭 松 浦 玄 武 岩 類 II とくまん ゆ 徳万・百合岳層 かめうらりゅうもんがん 砂岩・泥岩・凝灰岩 黒雲母流紋岩 ま じゃもんがん かっせき 蛇紋岩・滑石 けっしょうへんがん 結 晶 片岩 り だけそう 輝石・カンラン石玄武岩 亀浦 流 紋岩 長な が 崎さ き 変へ ん 成せ い 岩が ん 類る い ぜ そう 国道(西彼杵道路) まつうらげん ぶ がんるい 間瀬層 国道 松 浦 玄武岩 類I 泥岩・砂岩・礫岩・石炭 主要県道 輝石・カンラン石玄武岩 きりさきあんざんがんるい 一般県道 角閃石輝石安山岩 広域農道・林道 川・湖沼 切崎安山岩類 5-0 じ ゃ も んが ん 西彼1. 蛇紋岩 場所: 西彼町平山郷字八人ヶ平 1639-10 八人ヶ岳公園 北緯:32 度 59 分 51.0 秒 東経:129 度 43 分 16.6 秒 時代: 中生代後半 (約1億年前) 地質系統:長崎変成岩類(蛇紋岩・滑石) 八人ヶ岳公園の駐車場を登ったところで、蛇紋岩を観察できます。 蛇紋岩は、地球の内部の岩で、あるかんらん岩が変成したものです。かんらん岩が地下深部で 水分の作用を受けて、蛇紋岩に変化しました。 西海市では、蛇紋岩は変成岩帯で見られます。これは、海底に堆積した泥や火山噴出物など とともに蛇紋岩が、プレートの移動によりプレートの沈み込み帯に運ばれ、そこで堆積物が変成岩 かっ せき となったためです。この際、蛇紋岩も変成作用を受けることがあり、変成を受けた蛇紋岩は滑石 (大瀬戸3、P.4-3)へと変化しています。 5-1 りゅう も ん がん 西彼2. 流 紋岩 場所: 西彼町亀浦郷字大道原 1224-2 付近 北緯:32 度 59 分 40.2 秒 東経:129 度 4 分 30.0 秒 時代: 鮮新世 (約 530 万年前) 地質系統:亀浦流紋岩 がけ 亀浦公民館付近の山道の崖は表面が植物におおわれており、風化が進んでいますが、ロック りゅうもんがん ハンマーで崖を崩すと、流紋岩の新鮮な表面を観察できます。 か こ う がん に さん か そ きゅうれい 流紋岩は、花崗岩と同じく二酸化ケイ素に富んだマグマが急冷 して固まったものです。つまり、 か こ う せん りょく がん げん ぶ がん 組成的には花崗閃緑岩(大瀬戸2、P.4-2)に近いといえますが、急冷したという点では玄武岩(西 あんざんがん 海1、西海3、P.3-1、 P.3-3)や安山岩(西海2、西彼3、P.3-2、P.5-3)と同類です。 くろうん も せきえい く ろ う ん も りゅうもんがん 亀浦の流紋岩は、小さな黒雲母や石英の結晶を含み、資料によっては黒雲母流紋岩やデイサ イトと分類されていることがあります。 5-2 あんざんがん 西彼3. 安山岩 場所: 西彼町風早郷切崎海岸 北緯:32 度 58 分 24.8 秒 東経:129 度 49 分 27.5 秒 時代: 鮮新世 (約 530-260 万年前) 地質系統:切崎安山岩類 りゅうもんがん げん ぶ がん 安山岩は、流紋岩(西彼2、P.5-2)と玄武岩(西海1、西海3、P.3-1、 P.3-3)の中間の性質の 火山岩です。 西海市では、西彼町の切崎海岸や、角礫化したものが曲り鼻海岸(西海2、P.3-2)で見ること ができます。この安山岩や西彼2の流紋岩は、西海町・西彼町で見られる玄武岩類と同じ火山活 動によって発生したと考えられますが、この安山岩は、そのひと続きの火山活動で最初に発生し たものと考えられています。 に さん か そ 火山岩類中に含まれる二酸化ケイ素の量の変化は、周囲の岩石の溶け込みと、マントルからの 玄武岩マグマの湧きあがってくる量の2つで説明できます。地下深くから湧きあがってきた玄武岩 質マグマが、周囲の二酸化ケイ素に富んだ岩石を溶かすことで、二酸化ケイ素に富んだ安山岩 質・流紋岩質マグマに変わります。しかし、湧きあがる玄武岩質マグマの量が多いと、マグマに二 酸化ケイ素が溶け込む前に噴火するので、二酸化ケイ素の少ない玄武岩質溶岩が発生します。 5-3 6章 大島地区の地質 まつうらげん ぶ がんるい 松 浦 玄 武 岩 類 III ちゅうせきそう うめたてち 沖 積層・埋立地 輝石・カンラン石玄武岩 主要県道 あいのうらそうぐん 一般県道 砂岩・泥岩・礫岩・石炭 川・湖沼 相 浦 層群 おお せ と か こうがんるい 大 瀬戸花 崗 岩 類 花崗岩・花崗閃緑岩 ひ ぎり しお だ そう 日 切 ・塩 田層 西に し 彼そ の 杵ぎ そ 層う 群ぐ ん 砂岩・泥岩・礫岩 とくまん ゆ り だけそう 徳万・百合岳層 砂岩・泥岩・凝灰岩 ま ぜ そう 間瀬層 泥岩・砂岩・礫岩・石炭 まつしまそうぐん さき と そう いちごしまそう 松島層群(崎戸層+ 苺 島層) 泥岩・砂岩・礫岩・石炭 てらしまそう 寺島層 泥岩・砂岩・礫岩・炭質泥岩 あかさきそう 赤崎層 泥岩・砂岩・礫岩 6-0 か こ う がん あかさきそう 大島1. 花崗岩と赤崎層の不整合 場所: 大島町字赤崎 北緯:33 度 2 分 8.1 秒 東経:129 度 38 分 17.6 秒 時代: 赤崎層—始新世(約5千万年前) 花崗岩—中生代(約9千万年前) 地質系統:赤崎層群・赤崎層、大瀬戸花崗岩類? か こ う がん 写真の赤点線より右側(東側)は細かく砕けた約9千万年前の花崗岩ですが、左側(西側)は赤 崎層と呼ばれる約5千万年前の堆積岩であり、この境界は ふせいごう 不整合(西海8、P.3-8)に当たります。なぜこのように種類も時 代も違う岩が隣り合わせになっているのでしょうか? この花崗岩は地中深くに湧き上がってきたマグマが固まっ ちかくへんどう だんそう たものです。その後地殻変動により、断層に沿って移動し、地 くだ 表に現れました。花崗岩が細かく砕けたのはこの時と考えられ か こ う がん ます。そして、約5千万年前にこの花崗 岩 の上に赤崎層が堆 積します。約3千万年前にこの辺り一帯は海底に沈み、海底 に堆積した西彼杵層群におおわれます。 その後、断層に沿って西側が盛り上がることで、再び花崗 岩・赤崎層の不整合がこの場所に顔を出しました。このように、 ここは九州北西部で起こった地球の歴史を物語る場所なので す。 6-1 せきたん た んしつ けつがん 大島2. 石炭(炭質頁岩) 場所: 大島町字横島 1459-9 に対面する海岸 寺島西岸 北緯:33 度 1 分 59.2 秒 東経:129 度 37 分 48.5 秒 時代: 始新世(約4千年前) 地質系統:寺島層群・寺島層 しつげん 石炭は、沼地や湿原に堆積した樹木などが、酸素の乏しい環境で微生物に分解されることなく た 溜まり、熱・圧力で変化したものであり、燃料として利用されます。 世界的には約3億年前の石炭紀に堆積したものが多いですが、九州や北海道で産出する石炭 こ だい さ ん き はより新しい時代である古第三紀(約 6,600-2,300 万年前)に堆積したものです。 さいくつ 大島、崎戸、松島では、かつて石炭が採掘されていました。いまでも、寺島の西岸では、潮が引 けつがん いた時には石炭を観察できます。ただし、炭の入った頁岩(炭質頁岩)と言えるほど、かなり泥が混 ざったものもあり、その質はあまり良くありません。 6-2 いちご し ま せいだんそう 大島3. 苺 島の正断層 場所: 大島町 1973-7 裏手 北緯:33 度 2 分 5.2 秒 東経:129 度 37 分 30.8 秒 時代: 始新世以降 (約4千万年前以降) 地質系統:松島層群・苺島層 ひと続きの岩体や地層にできた割れ目やずれのことを だんそう 断層といい、断層は大きく3種類に分けられます。 1つ目は、岩体・地層が引き裂かれてできる正断層、2 ぎゃくだんそう つ目は 両側から押されることでできる逆断層、そして3つ 目は水平方向にずれることでできる横ずれ断層です。 太平洋プレートにより、ユーラシアプレート側に押し付 けられている日本列島では、 逆断層がよくみられます。し かきのうら しま かし、大島・蛎浦島では正断層が多く見られます。プレー トの押し込みによる力で、この地域は北西—東南に押され てきました。この力の加わる方向が、西彼杵半島の西部を よぶ こ の せ と 走る呼子ノ瀬戸断層に対し斜めに傾いていたために、断 層に平行な方向に大島が引っ張られる力が働きました。 かきのうら じ ま こうして、断層の向こう側の大島や蛎浦 島 に正断層が できました。 6-3 いちご し ま そ う さき と そう 大島4. 苺 島層と崎戸層の境界 場所: 大島町字間瀬先 寺島大橋橋脚のすぐ横 北緯:33 度 2 分 13.1 秒 東経:129 度 37 分 38.3 秒 時代: 始新世後期 (約4千万年前) 地質系統:松島層群・苺島層&崎戸層 正断層 苺島層の上をおおうのが崎戸層です。苺島層と崎戸層の境界は、崎戸層で最も下の石炭の層 が出てくる場所とされています。 けつがん 苺島層は頁岩(大瀬戸 11、P.4-11)と砂質頁岩からできており、海底に堆積した地層と考えら れます。一方、石炭(大島2、P.6-2)は沼地に堆積した植物起源ですから、崎戸層は陸の沼に堆 積した地層です。ただし、苺島層と崎戸層の間に不連続な面はなく、堆積環境が海から陸に変化 せい ごう かんけ い した記録が連続的に残されています。このような苺島層と崎戸層の関係を、「整合関係」といいま す。写真の場所では、さらに正断層(大島3、P.6-3)も発達していますが、あまり明確ではありませ ん。 6-4 おに せ んたく いわ 大島5. 鬼の洗濯岩 場所: 大島町字蛤 2903-5 付近 北緯:33 度 1 分 32.2 秒 東経:129 度 36 分 12.1 秒 時代: 漸新世(約3千万年前) 地質系統:西彼杵層群・徳万層 しんしょく 砂岩層と泥岩層では侵食に対する抵抗力が異なります。 この場所のように、砂岩層と泥岩層が 交互に堆積している場所では、 砂岩層より軟らかい泥岩層が先に侵食により削り取られていきま おうとつ す。その結果、砂岩層部分が出っ張り、泥岩層部分が凹んだ凹凸地形が出来上がります。 でこぼこ さらにこの場所では、堆積面が傾いているため、水平面にその凸凹した面が見えています。こ の凹凸が洗濯板のように見えることから、「鬼の洗濯岩」と呼ばれています。 砂岩層と泥岩層が交互に連続する地層は、海底地すべりが何度も起こることでできました。「砂 岩・泥岩」の一つの組み合わせが、一回の地すべりに当たると考えられます。 6-5 しお だ そ う ろ とう 大島6. 塩田層上部の露頭 場所: 大島町字太田尾向 6313 北緯:33 度 2 分 28.3 秒 東経:129 度 35 分 23.4 秒 時代: 漸新世 (約3千万年前) 地質系統:西彼杵層群・塩田層 ぎょう 塩田層は、大島西部に分布する砂岩層です。塩田層の上部分では、火山灰をいくらか含む凝 かい し つ さ がん 灰質砂岩が多くなります。 太田尾向の道路沿いで、火山灰を含んだ塩田層の上部分をよく観察できます。この崖の中付 しゃ こ う そう り 近には、地層が波打っている部分があります。これはハンモック状斜交層理と呼ばれ、浅い海の 暴風の影響を受けやすい海底でできた堆積構造と考えられています。 6-6 7章 崎戸地区の地質 ちゅうせきそう うめたてち 沖 積層・埋立地 まつうらげん ぶ がんるい 松 浦 玄 武 岩 類 II 輝石・カンラン石玄武岩 ひ ぎり しお だ そう 日 切 ・塩 田層 砂岩・泥岩・礫岩 とくまん ゆ り だけそう 徳万・百合岳層 砂岩・泥岩・凝灰岩 ま ぜ そう 間瀬層 泥岩・砂岩・礫岩・石炭 主要県道 湖沼 おお せ と か こうがんるい 大 瀬戸花 崗 岩 類 花崗岩・花崗閃緑岩 ご とう か こうがんるい 五島花崗岩類 え の しまそう 江ノ島層 花崗閃緑岩・閃緑岩 安山岩・安山岩質火砕岩・ホルンフェルス おお や そう 大屋層 泥岩・砂岩・凝灰岩・凝灰角礫岩・石炭 こもさきそう 菰崎層 泥岩・砂岩・礫岩・凝灰角礫岩 7-0 げん ぶ がんみゃく 崎戸1. 玄武岩 脈 とホルンフェルス 場所: 崎戸町蠣浦郷字西中戸 573-1 北緯:33 度 1 分 44.9 秒 東経:129 度 35 分 2.1 秒 時代: 鮮新世? (約 530-260 万年前) 地質系統:松浦玄武岩類 II? 西彼杵層群・間瀬層? かきのうら じ ま 蛎浦 島 で唯一、玄武岩を観察できるのがこの 場所です。 間瀬層の堆積岩の割れ目の中を上昇してきた 玄武岩質マグマが、その割れ目の中で固まった がんみゃく 「岩 脈 」と呼ばれる状態で残っています。玄武岩 マグマが噴出した時の熱で、周囲の堆積岩は化 学的に変化を起こし非常に硬くなっています。こ せっしょくへんせいがん のようにしてできた変成岩を接触変成岩 と呼び、 長崎変成岩などのように高圧により変化した変成 岩と区別しています。また、堆積岩が接触変成を 起こした変成岩をホルンフェルスと呼びます。 ※この場所に観察に行く際は、潮の満ち引きに注意してください。 7-1 だいいち ひょうじゅん か せき たい 崎戸2. 第一 標 準 化石帯 場所: 崎戸町本郷字這崎 御床島南東部 北緯:33 度 0 分 29.8 秒 東経:129 度 32 分 12.9 秒 時代: 漸新世 (約3千万年前) 地質系統:西彼杵層群・間瀬層上部(蛎浦層) み と こ じま かきのうら じ ま 御床島へは、干潮時には蛎浦 島 から歩いて渡ることができます。この島の南東部で、厚さ1m 程度の第一標準化石帯を観察できます。 大瀬戸5(P.4-5)で紹介した化石帯と同じ層であり、御床島と大瀬戸に同じ地層が広がってい ることがわかります。 7-2 とくまんそう 崎戸3. 徳万層最下部 場所: 崎戸町本郷字這崎 御床島東端部 北緯:33 度 0 分 33.7 秒 東経:129 度 32 分 32.7 秒 時代: 漸新世 (約3千万年前) 地質系統:西彼杵層群・徳万層 正断層 くろうん も 徳万層は、間瀬層のすぐ上をおおう地層であり、黒雲母を多く含み黒っぽい色をしている間瀬 ちょうせき 層と異なり、長石に富んだ火山灰を多く含むので、白っぽい色をしています。 間瀬層と徳万層の間に明確な境界はなく、堆積環境そのものに大きな変化はなかったと考えら れますが、徳万層の堆積した時代には火山活動が活発であったため、多くの火山灰を含むことに なりました。 この場所から西に移動した、これより少し下の層準に、間瀬層上部であることを示す第一標準化 石帯がありますので(崎戸2、P.7–2)、この場所あたりが徳万層の最下部であると考えられます。ま た、この場所では正断層もみられます。 7-3 か ざ んまめ いし 崎戸4. 火山豆石 場所: 崎戸町本郷字這崎 御床島北岸 北緯:33 度 0 分 37.8 秒 東経:129 度 32 分 24.2 秒 時代: 漸新世 (約3千万年前) 地質系統:西彼杵層群・徳万層 火山豆石とは、空気中を舞っている火山灰が、空中の水 分(雨滴など)を中心に丸く固まり、1cm ほどの大きさに成長 したものです。 み とこじま 西海市では御床島北岸でみられます。右の写真は、火山 豆石の断面の拡大写真です。 火山豆石の拡大写真 7-4 しゃこ うそう り よう り 崎戸5. 斜交層理とコンボリュート葉理 場所: 崎戸町平島字丸山 203-2 付近 菰崎海岸 北緯:32 度 59 分 49.5 秒 東経:129 度 14 分 48.7 秒 時代: 中新世 (約2千万年前) 地質系統:佐世保層群・菰崎層 平島南東部の菰崎海岸では、いろいろな堆積 構造を観察できます。 写真の上部では、コンボリュート葉理(大瀬戸 9、P.4−9)が見られます。下部では、斜交層理 (大瀬戸8、P.4-8)が発達しています。 この部分では、堆積面の傾きがわずか数 10cm 間で左右に変わっていることから、短時間で水の 流れる向きが変化する潮の影響を受ける場所であ ったと考えられます。 7-5 8章 西海市の地質年代表 8-1 9章 単語 かいこう 海溝:海底の谷。プレートの沈み込み場所。 かいせいそう 海成層:海底に堆積してできた地層。陸上に堆積した地層を陸成層という。 かぎそう 鍵層:地層の年代を比べる手がかりとなる地層。 か さいがん 火砕岩: 火山の噴出物が堆積してできた岩石。 けつがん 頁岩:層状になり、薄くはがれやすくなった泥岩。 こうぶつ 鉱物:石英や長石など、岩石を構成する固体。 さいせきぶつ 砕石物:細かく砕かれた土砂。 さん か 酸化:物質に酸素原子が化学的にくっつく反応。 し じゅん か せ き 示 準 化石:地層の堆積した年代を判断する手がかりとなる化石。 しんしょく 侵食 : 地表が風や水などにより削り取られること。 せ き しゅつ 析 出 :液体の中から個体が分かれて生成してくること。 だんそう 断層:地層や大きな岩石に発生した割れ目やずれ。 ちゅう せ き そ う 沖 積層:2万年より新しい時代に堆積した地層。 ふう か 風化:風や水の働きで、岩石が細かく破壊されること。 へん り 片理:岩の内部が層状になり、薄く割れやすくなった構造。 りゅう き 隆 起:地層が高く持ち上げられること。 9-1 10章 参考文献 青木正博・目代邦康(2015):「地層の見方がわかるフィールド図鑑」 (東京) 215p. 論文堂新光社 アメリカ宇宙航空局 (2014):Shuttle Radar Topography Mission 3. 石原舜三・鹿野和彦・加藤碵一・柳沢幸夫・吉田史郎ら(1991):「日本の新生界層序と 地史」 地質調査所 第 274 号 114p. 石原与四郎, 藤川将之, 吉村和久,山下幸一 (2012): 「長崎県西海市に分布する漸新 統七釜砂岩層に認められる石灰藻球砂岩の堆積環境」 日本地質学会第 119 年学術 大会講演要旨 P. 254. 井上英二 (1964):「西彼杵半島西部の古第三系、ならびに西彼杵層群下部の堆積環境」 地質調査月報 (15) P. 166-188 Ishikawa, Naoto ( 1997 ) : “Differential rotations of north Kyushu Island related to middle Miocene clockwise rotation of SW Japan ” Journal of Geophysical Research(102) P. 17729-17745 内田義信・牟田邦彦(1957):「北部九州の滑石鉱床(第1報)」 地学雑誌(63) P. 586−597. 大島町教育委員会(1995):「大島町郷土史」 昭和堂(諫早市) 1260p. 大瀬戸町編(1996):「大瀬戸町郷土史」 昭和堂(諫早市) 831p. 片田正人・長浜春夫・松井和典・服部仁・磯見博 (1972): 「肥前江ノ島」 地域地質研究 報告、地質調査所 10p. 片田正人・長浜春夫・松井和典・服部仁・磯見博 (1972): 「肥前江ノ島地域の地質」 地 域地質研究報告(5万分の1地質図幅)、地質調査所 10p. 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