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滋賀子育てネットワーク 鹿田由香さん(PDF:147KB)

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滋賀子育てネットワーク 鹿田由香さん(PDF:147KB)
人口減少を見据えた豊かな滋賀づくりに関する「訪問インタビュー」
滋賀子育てネットワーク
代表 鹿田 由香 さん
《活動内容》
子育て中の親の声を社会に伝え、子育ての社会化をアピールする県域のネットワ
ークを形成。親向けのフォーラムや学習会等の開催交流、支援者同士の交流と学習
の場づくり等をされています。
また、子育て奮闘中のママ・パパに「ほっ」とできる場所を・・・、そんな思い
から、コミュニティカフェ「アプリコット」を運営されています。
◆人口減少によって生じる課題はなんだと思われますか?
一番の心配は、世代の偏りです。高齢者世代を支える若者世代が、今の水準で生活していける
のか心配です。結婚しない人も半数ぐらいになり、家族の形態が変わっていく中で、家族で支え
るとか地域で支えるという前提は、はたして正しいのか。
子どもの数が減ってきて、同級生が少なくなって、競争が減ってのびのび育ちそうですが、一
方で昔だとおじいちゃんおばあちゃんから受け継ぐ子育てや家族の文化が受け継がれなくなり、
かわりにそれを教える場が必要になってきています。
若い世代が減少し、税収が減ることで、サービスをどこまで維持するのか。また、どこに住む
か選ぶ時代になり、選ばれる滋賀にならないといけない。これからサービス合戦になるのではな
いでしょうか。
◆そうした課題を解決するため、社会はどのような方向を目指すべきでしょうか。
結婚して、子どもを生み育てるためには、まず見通しのつく仕事につけることが大切だと思い
ます。子どもを育て上げて自分の老後が思い描けないと。
そして、結婚とか出産とか、働き続けることが、それがもっと楽しいということを発信してい
くことが大事だと思います。世間がネガティブになりすぎて、いろいろ先回りして心配をしすぎ
ているように思います。
若い人は生き方が柔軟になってきていると感じます。価値観が変わってきて、新しい職業がど
んどんできている。若い人に対しては、将来が見通せる働き方と生き方ができれば子どもは自然
と増えるのではないでしょうか。
そして、もっと仕事と生活が近づいていくと良いですね。今は仕事と生活がかい離しているよ
うに思います。生活の中から仕事を創っていくとか、昔の商店街は生活と仕事が結びついていま
した。
これからは、ローカルとグローバルに分かれていく時代になると思います。若い人たちが滋賀
で研究したいと思ってもらえるような研究施設があったら良いですね。琵琶湖や比叡山を見なが
ら環境に恵まれた滋賀で研究したいという人が来てほしい。滋賀はこれから何で稼いでいくのか、
設計図をしっかりと描く必要があると思います。
◆豊かな滋賀をつくるために、行政だけでなく住民や NPO、企業などが協働で担っていくことが
期待されますが、具体的には何をどのように担っていくことが望ましいと思われますか。
NPOと行政の協働といわれる中で、感じているのは、大切なのは「ラウンドテーブル」を持
つことだと思います。子育て新制度で、幼稚園は費用が値上がりしたところもありますが、保育
士の質の向上や、放課後児童クラブの充実など、子育て支援全体が手厚くなるといったことの丁
寧な説明があれば、理解してもらえるのではないでしょうか。そういった意味で、みんなで集ま
ってラウンドテーブルを持つことが大事です。
もう一つは、NPOは営利を目的としていませんが、存続していこうと思うとお金がないと続
かないし、良い人材も集まりません。事業を継続していくために、小商いができるように、行政
には持続可能なしくみづくりをお願いしたいと思います。
アプリコットでは、お母さんたちも癒されて、ここでご飯も食べて、市の情報も集まっていて、
子育てが一段落したら働くほうに回ってもらい、子どもが幼稚園に入ったら数時間ここでスタッ
フになる、そういう人何人かで回しています。でもそれだけでは全ては回っていきません。私た
ちは子育て支援のノウハウがあるので、それを行政がしっかり評価していただきたいです。
今までは補助金、委託、指定管理などで、小商いができればよいのだが、なかなか小商いでき
る環境でなくなってきています。たとえば食事を出そうと思うと、衛生管理など様々な許可が必
要になります。税制や仕組みとか、ローカルにあわせて規制緩和されると良いと思います。
そして、
「評価」にもっと重点を置いていただきたいと思います。いろんな委員会にも参加させ
てもらっていますが、評価にもっと重点を置くべきと考えています。
◆目標とすべき指標についてご提案をお願いします。
目標とすべき指標については、数値というよりも、イラストや漫画等で理想像を描けばわかり
やすく、読まれるようになると思います。たとえば、夜 7 時には家族みんなで食事ができる、家
族 4、5 人で一軒家に住むことができる、週末は実家に行って帰りは冷蔵庫の中のものを根こそぎ
もらって帰るなど、漫画などで示してもらえたらわかりやすいと思います。
◆滋賀県の特色として、どのようなものを出していけばいいと思われますか。
これからの社会では、交通と移動がキーになると思います。私的なことですが、実は娘は家を
でて、西宮北口で暮らしています。しかし西宮で暮らしたいというわけではなく、滋賀は環境も
良くて滋賀で暮らしたいが、交通の便を考えると難しいということです。高齢者の方も、日頃の
食料品は近所で間に合うが、何か買うときは甲賀市では公共交通では不便です。このため、将来
の社会のためには、
「交通」に力をいれたら滋賀の売りになると思います。滋賀県の環境は抜群で、
勤めるにも子どもを育てるにも良い場所だと思います。
待機児童については、一丁目一番地で一番大事な問題で、保育園に入るまでがポイントです。
また、乳幼児を持った家庭は、地震などの災害が起きた際には社会的弱者となりますが、民生委
員が把握されている程度は高齢者と比べて進んでいないと思われます。何か起きた際に持ち出す
ものや、夫と連絡をとる方法など、小学校のような配布プリントもありません。ネウボラのよう
な制度があれば、お母さん教育の場にもなると思います。
〔取材者の感想〕
実際に 3 人のお子さんを育てられている経験と、活動の中で感じておられる実体
験に裏付けされた説得力あるお話でした。
「ラウンドテーブル」を持つことの大切さ
や「評価」をしっかりすることなど、しっかり肝に銘じたいと思います。
健康医療福祉部 子ども・青少年局 小嶋 栄子
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