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次世代携帯電話「CDMA2000 1X」高速通信対応端末向け高速/大容量フラッシュメモリ 新製品解説 次世代携帯電話 「CDMA2000 1X」 高速通信対応端末向け高速/大容量フラッシュメモリ High-Speed/64Mbit Flash Memory Optimized for QUALCOMM’s MSM5100TM/MSM5500TM Chipset and System Software 上 田 真 裕 *1 Masahiro Ueda 高 田 栄 和 *1 Hidekazu Takata 本 道 昇 宏 *1 Norihiro Hondo 植 村 秀 行 *2 Hideyuki Uemura まえがき フラッシュメモリは電源を切った場合においても記 憶内容が消えないという不揮発特性を有しているた め,データ保持に電池を必要としないことから小型携 帯機器, 特に近年急速に普及した携帯電話の記憶装置 等に採用されている。 現在携帯電話は第 3 世代の商用サービスが開始さ れ,Java 注アプリケーションプログラムの実行,動画 処理等,アプリケーションが多様化し,内蔵メモリに 対する大容量化,高速化,低消費電力化の要望が高 まってきている。 今回,第 3 世代の規格のひとつである「CDMA2000 1X」の端末向けにデザインされた米国 QUALCOMM 社 ( 以 下 ク ア ル コ ム ) の MSM5100TM/MSM5500TM Mobile Station Modem (MSMTM)チップセット及びシ ステムソフトウエアに最適化した 64 Mビット高速フ ラッシュメモリを開発したので,概要及び特長を紹介 する。 写真1 64M ビットフラッシュメモリ(LH28F640) 左から 60 ピン FBGA(CSP) ,48 ピン TSOP,44 ピ ン SOP 表1 仕様概要 形 名 メモリ容量 (プレーン構成) ブロック構成 ビット構成 電源電圧 消費電流 アクセスタイム 1. 製品概要 LH28F640(写真1)は,0.18 μ m 微細加工技術と 2 層ポリシリコン,3 層アルミ配線の多層配線プロセ スを用いて開発したNOR型フラッシュメモリである。 ビット構成は,1M ワード× 16 ビット,ブロック構 成はパラメータブロック 4K ワード× 8 +メインブ ロック 32K ワード× 127 ブロック,プレーン構成は 16Mビット×4プレーンであり,任意のプレーン間で 書き換え動作(プログラム又は消去)と読み出し動作 を同時実行可能(デュアルワーク)で,従来品と互換 性を保っている。 高速化フラッシュメモリのアクセスタイムは 60ns @ 2.7V 出力負荷容量 50pF 時と高速化しており,更に システム負荷を含めた対応を取っていることから,ク プログラム時間 消去時間 動作温度範囲 パッケージ LH28F640FXX 64Mビット (16Mビット×4プレーン) 4Kワード×8ブロック (パラメータブロック) 32Kワード×127ブロック (メインブロック) 1Mワード×16ビット Vcc=2.7∼3.6V Vpp=1.65∼3.6V/11.7∼12.3V 25mA (ランダム読み出し) 10mA (ページモード読み出し) 60ns (ランダム読み出し 出力負荷50pF時) 25ns (ページモード読み出し 出力負荷50pF時) 11μs/ワード (Vpp=2.7V) 5μs/ワード (Vpp=12V, ページバッファ使用時) 0.6s/ブロック (Vpp=2.7V) 0.5s/ブロック (Vpp=12V) -40℃∼+85℃ 60ピンFBGA(CSP) 48ピンTSOP 44ピンSOP スタックドCSP(複合メモリ) アルコムの MSM5100TM/MSM5500TM ソリューション の高速動作に最適である。 フラッシュメモリの高速化 によりゲームやビデオなどのアプリケーションで必要 とされる画像/音声処理のスピードを向上させ,クア ルコムの MSM5100TM/MSM5500TM ソリューションの パフォーマンスを最大限に引き出す。表1に本製品の 仕様概要を示す。 *1 IC 事業本部 フラッシュメモリー事業部 第1商品開発部 *2 IC 事業本部 フラッシュメモリー事業部 27 シャープ技報 第83号・2002年8月 2 . 製品特長 2・1 MSM5100TM/MSM5500TM ソリュー ションのパフォーマンスを最大限に引き 出す高速アクセス 3V動作時のランダムアクセスタイムを60nsに高速 化することで,MSM5100TM/MSM5500TM チップセット ソリューションのパフォーマンスを大幅に向上させ, ゲームやビデオなどのアプリケーションで必要とされ る画像/音声処理スピードが当社従来比 30% アップ する。 3.6 電 源 電 圧 3.3 3.0 (V) 2.7 30 40 50 60 70 80 アクセスタイム (ns) 図1 アクセスタイム対電源電圧特性(@ 90℃) 3 . 電気的特性 2・2 高速ページモード読み出し機能 ページモード読み出し機能を使用することにより画 像データ等の連続したアドレスのデータを高速に出力 することが可能となる。1 ページは 8 ワード構成であ る。ページモード読み出し時のアクセスタイムは 25ns(Max) ,同じく消費電流は10mA(Max)と,ペー ジモード読み出し機能を有しない当社従来品に比較し て約 1/3 のアクセスタイム,及び約 1/2 の消費電流に 性能向上を図っている。 2・3 4 プレーン・デュアルワーク機能 64M ビットのメモリ空間は 16M ビット× 4 プレー ンに分割されている。従来のデュアルワーク品のよう に小容量プレーンと大容量プレーンが固定されていな いため, データ格納領域とプログラム格納領域を自由 に設定でき,また,任意のプレーン間でデュアルワー ク動作が可能である。従って,ユーザのソフトウェア 管理の最適化が容易となる。 2・4 セキュリティ機能/データ保護 128 ビットの OTPROM 領域を内蔵しており,機密 保持が必要なセキュリティ情報などの格納が可能であ る。これにより,不正コピーを防止することが可能と なる。データ保護機能は,消去ブロック単位でのブ ロック・ロック/ブロック・ロックダウンの設定が可能 である。 従来ではチップ単位でしか実行できなかった ロック解除コマンドは,ロック設定と同様に消去ブ ロック単位で実行可能となり,より自由度が高く,よ りデータ保護信頼性の高い仕様となっている。 28 0.18 μ m 微細加工技術と独自の回路アーキテク チャーを駆使することで 2.7V の低電圧動作時におい て 60ns の高速なランダムアクセスを実現している。 本製品のアクセスタイム対電源電圧特性を図1に示 す。 むすび 0.18 μ m 微細加工技術,並びに 3 層アルミ配線プロ セスを用いた 64M ページモード・デュアルワーク・フ ラッシュメモリの特長と概要を紹介した。 今後の開発 は,ますます高機能化の要望が高まる携帯電話市場の 要望にこたえるべく,更なる低電圧化と高速化を追求 する。 謝辞 今回の開発にあたり,試料製作,特性評価,信頼性 評価等でご協力を頂いた IC 事業本部の関係各位に感 謝致します。 (2 002年5月2 3日受理) 注:Java は,米国及びその他の国における米国 Sun Microsystems, Inc. の商標または登録商標です。 〈お問い合わせ先〉 IC 事業本部 マーケティング推進センター 〒632-8567 奈良県天理市櫟本町2613番地の1 電話 (0743)65−1321(大代表)