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特別企画一覧
〈特別講演〉
10月 2 日(日)13:10 ~ 14:40
第 1 会場(スノーホールB)
次世代医療を支える人材の育成~自分が人間的に成長した分だけ部下育成ができる~
講師:大西 金吾
座長:渡邊 博昭
一般社団法人新潟県労働衛生医学協会
常務理事(産業カウンセラー・心理相談員)
学会長 新潟医療福祉大学
〈教育講演〉
10月 1 日(土)14:50~16:20
第 5 会場(中会議室301A)
Ⅰ 血液 今から使える「骨髄検査の見方・考え方・所見の書き方」
講師:常名 政弘
座長:佐藤 未来
東京大学医学部附属病院検査部血液形態検査室
新潟大学医歯学総合総合病院
第 6 会場(中会議室302B)
Ⅱ 微生物 症例から学ぶ小児感染症と微生物検査
講師:齋藤 昭彦
座長:渡辺 靖
新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座小児科学分野
国立病院機構西新潟中央病院
第 7 会場(中会議室302A)
Ⅲ 臨床化学 二次性脂質異常症について
講師:三井田 孝
座長:伊藤 正行
順天堂大学大学院医学研究科臨床病態検査医学
新潟大学医歯学総合病院
第 8 会場(小会議室303・304)
Ⅳ 病理 コンパニオン診断におけるFISH法の有用性について
講師:今野 佳祐
講師:遠藤 浩之
座長:林 真也
株式会社常光
済生会新潟第二病院
新潟県立中央病院
〈教育講演〉
10月 2 日(日)10:45~11:45
第 2 会場(中会議室201B)
V 輸血 やっていますか?輸血検査の精度管理
講師:古杉 光明
座長:反町 彰志
オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社
JA新潟厚生連魚沼病院
第 3 会場(中会議室201A)
Ⅵ 一般 近位尿細管エンドサイトーシス受容体メガリンと腎臓病の診断・治療
講師:斎藤 亮彦
座長:堀川 良則
新潟大学大学院医歯学総合研究科機能分子医学講座
新潟大学医歯学総合病院
第 4 会場(中会議室301B)
Ⅶ 病理 病理検査室の作業環境対策─化学物質のリスクアセスメントと濃度低減措置─
講師:清水 秀樹
日本医科大学千葉北総病院
当院における作業環境対策と問題点
川口 裕貴恵
畠山 大作
座長:池亀 央嗣
新潟大学医歯学総合病院
立川綜合病院
新潟大学医歯学総合病院
第 6 会場(中会議室302B)
Ⅷ 微生物 微生物検査技師の育成を考える!
講師:尾崎 京子
講師:高野 操
座長:星 周一郎
新潟医療福祉大学
新潟大学医歯学総合病院
長岡赤十字病院
第 7 会場(中会議室302A)
Ⅸ 染色体 新潟県におけるHIVおよび薬剤耐性変異の現状
講師:藤井 雅寛
座長:渡邉 香奈子
新潟大学医歯学総合研究科ウイルス学分野
新潟大学大学院医保健学研究科
〈教育カンファレンス〉
10月 2 日(日)
第 1 会場(スノーホールB)10:50〜11:50
Ⅰ 心電図判読(基礎〜応用)~参加型症例検討会~
講師:齋藤 修
新潟大学医学部保健学科
座長:宮崎 智美
新潟県立中央病院
※アンケートアナライジングシステムを使用し、講師からの質問に参加者の皆さんはご投票いただき、
心電図を読み解いていきます。
第 5 会場(中会議室301A)10:45〜11:45
Ⅱ 形態カンファレンス
教えて!どうやって分類すればいいの?~破砕赤血球、悪性リンパ腫、前単球~
座長:渡邉 誠
独立行政法人労働者健康安全機構燕労災病院
コメンテーター:
山田 隆 長岡赤十字病
菅原 新吾
東北大学病院
水野 祐子
新潟県立新発田病院
症例提示 1 .塚田 彩実
新潟市民病院
症例提示 2 .鈴木 秀幸
新潟県立がんセンター新潟病院
症例提示 3 .鈴木 恵美
長岡赤十字病院
〈シンポジウム〉
10月 1 日(土)14:50~16:20
第 2 会場(中会議室201B)
Ⅰ 輸血検査のPitfall
座長:上村 正巳
座長:三浦 邦彦
新潟大学医歯学総合病院
手稲渓仁会病院
『夜間休日緊急輸血時の対応』
志田 幸江
新潟市民病院
『血液製剤の供給遅延事例』
中束 哲夫
JA新潟厚生連村上総合病院
『当院における輸血検査の現状』
廣田 織恵
桑名病院
第 3 会場(中会議室201A)
Ⅱ 一般検査に求められる情報発信力~なにを?どのように?伝えるか‼~
座長:小野 篤史
シンポジスト:
太田 惣
貝田 奈津子
片桐 智美
済生会新潟第二病院
KKR札幌医療センター
市立秋田総合病院
長岡赤十字病院
〈パネルディスカッション〉 10月 1 日(土)14:50~16:20
第 4 会場(中会議室301B)
生理検査における精度管理を考える
座長:山寺 幸雄
座長:桑原 喜久男
太田綜合病院附属太田西ノ内病院
済生会三条病院
『心電図検査の検査科内標準化への取り組み』
富原 健
帝京大学医学部附属病院
『乳腺エコーにおける診断率向上への取り組み』
小柳 敬子
新潟県立がんセンター新潟病院臨床検査部(乳腺外科)
『大規模検査室における人材育成と教育システム構築への取り組み』
高久田 美江
一般財団法人太田綜合病院附属太田西ノ内病院
〈日臨技企画〉
10月 1 日(土)13:10~14:10
第 4 会場(中会議室301B)
術中モニタリングの現状と課題~臨床から求められているが、どうしたら良いのか?~
講師:山本 雅史
座長:髙橋 修
北海道大学病院
慶応義塾大学医学部
〈日臨技病棟業務ミニシンポジウム〉 10月 1 日(土)11:00~11:45
第 4 会場(中会議室301B)
座長:深澤 恵治
一般社団法人日本臨床衛生検査技師会執行理事
独立行政法人地域医療機能推進機構群馬中央病院
※病棟業務に関する一般演題をまとめました。
〈日臨技シンポジウム〉
10月 1 日(土)13:10~14:40
第 3 会場(中会議室201A)
病棟業務実証報告~私たちが目指す究極のチーム医療とは~
座長:深澤 恵治
一般社団法人日本臨床衛生検査技師会執行理事
独立行政法人地域医療機能推進機構群馬中央病院
『病棟業務推進への日臨技の取り組み』
深澤 恵治
一般社団法人日本臨床衛生検査技師会執行理事
独立行政法人地域医療機能推進機構群馬中央病院
『聖隷横浜病院における臨床検査技師の病棟業務に関する試み①
~検査部門管理者の対応と対象選定について~』
吉田 功
社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷横浜病院
『聖隷横浜病院における臨床検査技師の病棟業務に関する試み②
~実経験からわかる病棟検査技師の役割について~』
杉岡 結衣
社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷横浜病院
『病棟業務の実践』
柴田 昭浩
医療法人養生会かしま病院
〈共催パネルディスカッション〉 10月 1 日(土)13:10~14:40
第 1 会場(スノーホールB)
求められる臨床検査技師像~現場の思い・学生の思い~
座長:鈴木 英明
須貝 美佳
パネリスト:
齋藤 大造
川崎 一子
木澤 洋恵
中島 由貴
坂内 政紀
小林 佳菜
加藤 柚香
斉木 小百合
北里大学保健衛生専門学院
新潟大学医学部保健学科
新潟県立がんセンター新潟病院
下越総合健康開発センター
株式会社エス アール エル
株式会社EP綜合
済生会三条病院
下越総合健康開発センター
株式会社エス アール エル
株式会社EP綜合
日臨技北日本支部医学検査学会(第 5 回)式典
〈学会式典・表彰〉
10月 1 日(土)16:40~17:15
第 1 会場(スノーホールB)
学術奨励賞
『ICU入室患者におけるプレセプシンの有用性』
高橋 祐輔
札幌医科大学附属病院 『間接抗グロブリン試験で行う37℃ 1 時間加温中の攪拌条件に関する検討』
村井 良精
札幌医科大学附属病院
『ノロウイルス抗原検出におけるキット間差の検討』
佐藤 勇樹
札幌医科大学附属病院
特別企画抄録
特別講演
教育講演
教育カンファレンス
シンポジウム
パネルディスカッション
日臨技企画
日臨技シンポジウム
共催パネルディスカッション
33
特
別
講
EntryNo. 28
演
第 1 会場 スノーホールB 10月 2 日
(日) 13:10~14:40
次世代医療を支える人材の育成
~自分が人間的に成長した分だけ部下育成ができる~
次世代医療を支える人材の育成
~自分が人間的に成長した分だけ部下育成ができる~
一般社団法人新潟県労働衛生医学協会常務理事(産業カウンセラー・心理相談員)
◎大西 金吾(産業カウンセラー・心理相談員)1)
一般社団法人新潟県労働衛生医学協会 常務理事 1)
大西 金吾
「桃李物言わざれど、下(部下)自ずから渓(道)を開くの名言があります。 リーダーに人間的魅力があれば、部下育成ができます。権力を振りかざして人を成長させる時代では
ありません。愛情と努力が無ければ人は育ちません。良いリーダーとはその部門または組織の掲げてい
る目標達成のために働く人々が自主的、創造的に仕事に取り組めるように配慮または動機づけることで
ある」
1.職場の中を覗いてみたら!~あなたの職場の理念が有効活用されていますか~
四つのじんざいとは ~「人財・人材・人在・人罪」
2.リーダーにとって必要能力とは
(1)ヒューマンスキル(2)テクニカルスキル(3)コンセプチュアルスキル
3. 良いリーダーとは ~ 自分より有能なリーダーを育てること
(1)仕事と人間関係の両方に目を向けることが出来る
(2)リーダーと部下の相性が良くなるように努力する
(3)効果的なリーダーシップとは部下を目標以上に導いてやる
4.部下を成長させる二大条件
(1)リーダー自身が持つ性格的、人間的魅力
(2)部下の扱い方、つまりヒューマンスキルの巧みさを持っている
5.動機づけ(モチベーション)能力を伸ばすには
動機づけは「つけるものでなく」⇒「ひきだすもの」
6.部下育成能力の考え方~なぜ、あなたは変われないのか(変化への柔軟性チェック)
7.部下とのつきあい方と勇気づけリーダーシップの自己点検
8.輝いているリーダーになるために~優れた上司には共通点がある
9.自己変革の心構えと人間関係
10.良いリーダーになるために何を目標にしますか。
教 育 講 演 Ⅰ 血 液
第 5 会場 中会議室301A
10月 1 日
(土) 14:50~16:20
EntryNo.
32
今から使える「骨髄検査の見方、考え方、所見の書き方」
今から使える「骨髄検査の見方、考え方、所見の書き方」
◎常名 政弘 1)
東京大学医学部附属病院 1)
東京大学医学部附属病院検査部血液形態検査室
常名 政弘
末梢血に流れている血球は一定量に保たれるよう、その殆どが骨髄で産生されている。骨髄では造血幹細
胞に始まり、リンパ球系、骨髄球系、赤芽球系、巨核球系の前駆細胞を経て成熟細胞が末梢血液に産生され
ている。しかし、何らかの原因で造血が妨げられたり、染色体の異常などにより分化が前駆細胞で止まり腫
瘍増殖が起こると白血病となり、正常造血は抑制され、末梢血液では正常血球が減少したり白血病細胞が出
現する。日常臨床検査において血液疾患の第一発見者は自動血球分析機担当者であり、白血病発見の最後の
砦は末梢血液像担当者である。我々は担当する検査結果だけではなく、様々な検査結果を解析して血液疾患
を疑う場合は臨床への素早い対応が必要である。
一方、末梢血液に異常細胞が出現した時や原因不明の血球減少がみられた場合には骨髄検査が施行される。
血液疾患、中でも白血病の診断は WHO 分類が普及し、フローサイトメトリー検査、遺伝子検査、染色体検
査に基づいた分類が行われ治療が選択されている。しかし、形態観察による細胞分類は現在でも重要な検査
であり、今後も失われる事はないと考える。また、造血器腫瘍以外の血液疾患に関しても形態観察は必須の
検査である。標本作製に始まり、普通染色による細胞分類、MPO 反応に代表とされる特殊染色が行われ鏡検
により判定される。それらの結果は、血液疾患の診断・治療に直結することが多く、血液検査技師の責任は
重大と考える。具体例をあげると、巨大前赤芽球または顆粒リンパ球を見逃さないことにより、赤芽球癆の
原因が判ったり、アウエル小体を見つけたことにより急性骨髄性白血病と診断されたりと、我々の鏡検によ
り血液疾患の早期診断に繋がることを良く経験する。日常の臨床検査で異常を見逃さないためには、血液細
胞形態観察の方法を習得し、各疾患の白血球形態の異常の特徴をしっかり把握することが大切である。
本講演では、基本的な骨髄像の観察方法や細胞分類、報告書の書き方、その他、普通染色の細胞像、特殊
染色、細胞表面マ-カ-検査を交えた血液疾患の診断方法の進め方を初心者向けに解説する。更に、骨髄異
形成症候群(MDS)、急性赤白血病(AML-M6)、骨髄異形成関連変化を伴う急性骨髄性白血病(AML-MRC)の分
類の考え方や、2016 年に改訂予定の WHO 分類の変更点に関しても若干ではあるが触れてみたい。 連絡先:03-3815-5411
教育講演Ⅱ微生物
EntryNo. 7
第 6 会場 中会議室302B
10月 1 日
(土) 14:50~16:20
症例から学ぶ小児感染症と微生物検査
症例から学ぶ小児感染症と微生物検査
新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座小児科学分野
1)
◎齋藤 昭彦
新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座小児科学分野 1)
齋藤 昭彦
感染症の診療において、1)患者の感染臓器を考え、2)その臓器に感染する微生物を想定し、そして、
3)それらを治療できる抗微生物薬を決定することがその3原則である。近年、抗微生物薬に耐性を持つ微
生物の出現と感染の広がりが世界的な問題となり、抗微生物薬の適正使用の重要性が高まっている。適正使
用を行うにあたっては、微生物の同定と感受性検査が必要であり、微生物学的検査は、非常に重要な役割を
果たしている。
小児では、年齢によって感染臓器と微生物が異なり、また、使用可能な抗微生物薬が限られている。また、
微生物同定のための検査では、検体採取に限りがあり(喀痰採取など)、採取できる検体量にも限界がある
(血液培養など)。したがって、そのアプローチは成人と大きく異なる。
実際の小児の診療においては、児の年齢、基礎疾患の有無、そして感染臓器と想定される微生物から、初
期治療を決定する。初期治療開始後に、治療開始前に実施された培養検査による微生物の同定と感受性検査
結果によって、抗微生物薬の Deescalation(デエスカレーション、広域の薬剤から、狭域の薬剤への変更)を
行うことが、抗微生物薬の適正使用に貢献する。実際の検査では、細菌検査がその中心を占めるが、小児で
は、ウイルス感染症が細菌感染症に比べ圧倒的に多く、イムノクロマト法による迅速検査、ウイルス分離、
PCR 法などによるウイルス感染の証明も、実際の診療において重要な役割を果たす。
本講演では、小児における実際の感染症疾患の診療において、実際の微生物検査を提出する実践とその限
界、そして、微生物検査の検査結果の解釈が、どの様な役割を果たすのかについて、実際の症例を基に解説
を加える。
教育講演Ⅲ臨床化学
EntryNo. 8
第 7 会場 中会議室302A
10月 1 日
(土) 14:50~16:20
二次性脂質異常症について
二次性脂質異常症について
◎三井田 孝 1)
順天堂大学大学院医学研究科臨床病態検査医学 1)
順天堂大学大学院医学研究科臨床病態検査医学
三井田 孝
コレステロールやトリグリセライド(TG)などの血清脂質は、血中では蛋白と結合してリポ蛋白の形で存
在している。リポ蛋白中の脂質は、食事から摂取した脂質と肝臓で合成された脂質の二つに由来する。しか
し、血清脂質の濃度は、これら以外にも、ホルモンなどをはじめとする様々な要因により調節を受けている。
合併する疾患に伴って血清脂質が変化している状態は、「二次性脂質異常症」と呼ばれる。二次性脂質異常
症は、リポ蛋白が増加する二次性高脂血症と、リポ蛋白が減少する二次性低脂血症に分類できる。日常臨床
では、主にコレステロールが変動する場合、主に TG が変動する場合、両者が変動する場合に分けて考える
と良い。
二次性高コレステロール血症の原因には、甲状腺機能低下症、胆汁うっ滞性肝疾患、ネフローゼ症候群、薬
剤(シクロスポリンなど)、神経性食思不振症などが挙げられる。二次性高 TG 血症の原因には、糖尿病、
肥満、飲酒、薬剤(L-asparaginase、サイアザイド系降圧利尿剤)、脂肪委縮症などがある。二次性高コレス
テロール血症のうち、特に胆汁うっ滞性肝疾患では、直接法で測定した LDL-C と HDL-C の和が総コレステ
ロール値よりも高くなったり、他院からの紹介患者で LDL-C や HDL-C の値が突然に大きく変動したりする
ことが、しばしば問題となる。また、大量飲酒や、CETP 活性が低下する因子が重なると HDL-C の値が経過
とともに急激に上昇し、検査室に問い合わせが来ることもある。二次性高 TG 血症では、L-asparaginase や大
量飲酒の際に、著明なカイロミクロン血症を経験する。一方、二次性低コレステロール血症では、甲状腺機
能亢進症、栄養不良、肝硬変などに伴う肝不全、などが主な原因である。肝不全を伴う二次性低コレステロ
ール血症の中には、有棘赤血球が出現する場合もあるので注意する。
検査室では、臨床医よりもっと多数の検体について脂質検査の異常を経験する。上記のような二次性脂質異
常症について、検査室から積極的に情報をフィードバックし、診断や治療に貢献することが期待される。
教 育 講 演 Ⅳ 病 理
第 8 会場 小会議室303・30410月 1 日
(土) 14:50~16:20
コンパニオン診断におけるFISH法の有用性について
EntryNo. 16
HER2検査におけるFISH法について
コンパニオン診断におけるFISH法の有用性について
HER2 検査における FISH 法について
1)
◎今野 佳祐
株式会社 常光 1)
株式会社常光
今野 佳祐
HER-2/neu 遺伝子はがん遺伝子のひとつであり、特に乳癌においては、全患者の 15~25%において HER2/neu 遺伝子の増幅とタンパクの過剰発現が見られ、こういった乳癌患者では予後が不良であると報告されて
いる。このため、HER-2/neu 遺伝子又はそのタンパクを検出することは、臨床経過を予測する上で重要であ
ると考えられる。近年、この HER-2/neu タンパクに対する抗体治療薬が発売された。この治療薬の適正な治
療対象となる患者の選択方法としては、現在、遺伝子の増幅の検出方法として蛍光 in situ ハイブリダイゼー
ション法(FISH 法)、タンパクの過剰発現の検出方法として免疫組織化学染色法(IHC 法)がある。
本発表ではこのうち、FISH 法についての原理や実際の処理方法、判定方法などの基礎的な事項について紹介
する。
教 育 講 演 Ⅳ 病 理
第 8 会場 小会議室303・30410月 1 日
(土) 14:50~16:20
EntryNo.
27
コンパニオン診断におけるFISH法の有用性について
コンパニオン診断におけるFISH法の有用性について
◎遠藤 浩之 1)
済生会 新潟第二病院 1)
済生会新潟第二病院
遠藤 浩之
近年乳癌における HER2 検査はトラスツズマブ使用の選択に欠かせない検査となり、免疫染色法(IHC 法)と蛍光
in situ ハイブリダイゼーション法(FISH 法)の両方を施行している施設も多くなっている。今回ヒストラHER2FISHキットの使
用用途、頻度、使用感、染色態度、診断の特徴について比較検討した。
【使用用途】当院では IHC 法で Score2+と 3+の症例は、FISH 法にて確認を取っている。
またエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、HER2 陰性乳癌や IHC 法 Score1+でも Score2+に近いと診断された乳
癌は病理医の指示で FISH 法を施行している。
【頻度】HER2 の IHC 法・ FISH 法にて蛋白過剰発現・遺伝子増幅症例は,最近 3 年間で各々15/104 件
(14.4%)、15/212 件(7.1%)、26/190 件(13.7%)であった。なお、文献等では HER2 の蛋白過剰発現・遺伝子増
幅症例は 15~25%となっており,当院の数値は低い数値となっていた。
【使用感】ヒストラHER2FISキット(A 法)と以前使用していたパスビジョンHER-2DNAプローブキット(B 法)を比較すると
A 法は前処理の行程が短く簡便であった。
【染色態度】A 法は DAPI による対比染色を行っても全体に赤味がかっていたが B 法はすっきりとした青色
を呈していた。今回、A 法の赤味がかった染色体度を解消する工夫を検討したので紹介したい。
【診断の特徴】A 法は HER2 の赤色,CEP17 の緑色ともに強く発色する傾向があった。B 法は HER2 の赤色
は A 法と同程度の発色であるが、CEP17 の緑色発色が弱い傾向がみられた。
連絡先 025-233-6161(内線:2238)
教 育 講 演 Ⅴ 輸 血
EntryNo. 18
第 2 会場 中会議室201B
10月 2 日
(日) 10:45~11:45
やっていますか?輸血検査の精度管理
やっていますか?輸血検査の精度管理
オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社
◎古杉 光明 1)
古杉 光明
オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社 1)
輸血検査は,免疫血清検査や生化学検査と比較し,精度管理を実施するという意識が低い分野の 1 つであっ
た.このことは,この検査そのものが 1 滴/2 滴という定性的な方法で行われていることと,判断(判定)が
検査者個々人のものさしによって主観的に行われてきたことに起因している.しかし,輸血検査によって導
かれる結果は,時に患者の生命に直結する事態を招く可能性があり,その精度を保証することは施設規模や
輸血実施頻度等にかかわらず必須であることは疑う余地はない.
精度管理として多くの施設が行っているのが,1 年に 1 回もしくは数回のコントロールサーベイへの参加が
挙げられる.これらのコントロールサーベイにおいては,その施設間差の問題が常々指摘され,改善の必要
性が論じられてきたものの,その最終結果の合否(抗体の同定結果や血液型・亜型の表記等)に注力してしま
い,施設間差が生じている根本原因についての解決策が具体的になっていないことが多い.このことは,絶
対的な評価判定基準が策定できない検査であることに起因している.一方,輸血検査は検体の採取に始まり,
結果報告までの様々な工程において,偽陽性や偽陰性といった不適切な結果を導く可能性のある要因があり,
コントロールサーベイのような単発的な方法では,日々条件の変化する検査環境における精度保証は行えな
いことは明らかである.
赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドラインでは,血液型に関して「実施する検査方法の管理に適したタイ
ミング(試薬ロット変更時,業務開始前,検査バッチ毎など)で各種コントロールを測定し,試薬の性能や
検査プロセスの有効性を確認する.」と記載され,不規則抗体スクリーニングに関しては,「(1)検査実施者
について,間接抗グロブリン試験の技能(習熟度)を評価する.(2)IgG 感作赤血球を用い,抗グロブリン試薬
の反応性とともに,赤血球の洗浄効果を必ず確認する.(3)定めた手順に従った時,既知の臨床的意義のある
抗体が検出されることを確認する.」と記載されている.
このようなことを踏まえ,ここでは輸血検査を行う上での留意点や,日常の検査における精度保証について
基本に戻って考える場を提供できればと考えている.
オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社イムノヘマトロジー事業部 03-4360-8118
教 育 講 演 Ⅵ 一 般
第 3 会場 中会議室201A
10月 2 日
(日) 10:45~11:45
近位尿細管エンドサイトーシス受容体メガリンと
EntryNo. 19
腎臓病の診断・治療
近位尿細管エンドサイトーシス受容体メガリンと腎臓病の診断・治療
新潟大学大学院医歯学総合研究科機能分子医学講座
◎斎藤 亮彦 1)
斎藤 亮彦
新潟大学大学院医歯学総合研究科 機能分子医学講座 1)
メガリンは近位尿細管細胞の管腔側膜に発現するエンドサイトーシス受容体として、糸球体を濾過する
様々なタンパク質や薬剤の再吸収に関わっている。メガリンは、アミノ末端側の巨大な細胞外領域、単一の
細胞膜貫通領域、さらにカルボキシル末端側の短い細胞内領域から成る(全長、約 600kDa)(PNAS 1994)。
私たちは、メガリンが、細胞外領域の切断により、あるいは全長型として、尿中に排出されることを明ら
かにした(量的には前者が約 100 倍)。前者をアミノ末端側の、後者をカルボキシル末端側のサンドイッチ
ELISA を用いて測定することから、それぞれを A-メガリン、C-メガリンと命名した(Diabetes Care 2012)。
2 型糖尿病患者の横断的解析において、尿中 C-メガリンは正常アルブミン尿期から病期の進行に応じて増加
するが、縦断的解析においても、正常アルブミン尿が微量アルブミン尿に進展するリスクの予測能があるこ
とが示唆されている。さらに尿中 A-メガリンには、微量アルブミン尿期から顕性アルブミン尿期への進展予
測能がある。また尿中 C-メガリンは、IgA 腎症の重症度(PLoS ONE 2014)や小児の腎瘢痕性疾患の診断に
も有用であるとともに、尿中 A-メガリンにはシスプラチン腎症の発症予測能も示唆されている。
また私たちは、高脂肪食負荷 CKD モデル(JASN 2015)や、シスプラチン、バンコマイシン、コリスチン
などの腎毒性薬剤による AKI モデルの検討から、メガリンが腎障害性物質の「入り口」を司ることを明らか
にした。したがってそのような病態の予防や治療においては、メガリン機能を適切に抑制あるいは阻害する
手段が有効であると考えられる。実際に、メガリン発現抑制作用がある Nrf2 活性化薬バルドキソロンメチル
に、糖尿病性腎症患者の GFR 改善効果があることが明らかにされた。また私たちは、シラスタチンが上記の
腎毒性薬剤とメガリンの結合に拮抗することにより、腎毒性を軽減することを明らかにした(特許出願済)。
今後は、尿中メガリンをコンパニオン診断に用いて、メガリン拮抗(阻害)薬あるいはメガリン抑制薬を
AKI や CKD の予防・治療に活かすことを目指したい。
教 育 講 演 Ⅶ 病 理
EntryNo. 33
第 4 会場 中会議室301B
10月 2 日
(日) 10:45~11:45
病理検査室の作業環境対策
─化学物質のリスクアセスメントと濃度低減措置─
病理検査室の作業環境対策‐化学物質のリスクアセスメントと濃度低減措置-
日本医科大学千葉北総病院
◎清水 秀樹 1)
日本医科大学千葉北総病院 1)
清水 秀樹
病理業務の化学物質取り扱いの特徴として、多種類、少量取り扱いがあげられる。その中で作業環境の適切
な対策をとらなければ慢性中毒の健康障害をきたすリスクが最も高いのはホルマリン(ホルムアルデヒド 以下 FA)と有機溶剤である。これらの対策には労働安全衛生法に則ったリスクアセスメント(以下 RA)
が有効である。RA とは「化学物質のもつ危険性や有害性を特定し、それによる労働者への危険性または健
康障害を生じるおそれの程度を見積もり、リスクの低減対策を検討すること」である。手順は①危険性又は
有害性の特定、②リスクの見積もり(様々な方法がある)、③リスク低減措置の検討、④リスク低減措置
の実施で行う。病理業務における FA のリスクアセスメントは、日本病理学会の「ホルムアルデヒドの健康
障害防止について-病理部門を中心とした具体的対応策-」 で示されている。そこには FA の有害性を理解
し、作業ごとに危険度評価基準に照らし合わせ危険度の判定をする。そして FA 発散の原因を特定し、作業
方法や工学的対策を検討する。例えば局所排気装置内臓器の切り出しに対し、危険度評価が中危険群であっ
た場合、考えられる原因は局所排気装置が有効ではない、性能が落ちている、補足点以外での作業、水洗臓
器を局所排気装置に運ぶときの発散、FA の付着した手袋によるスイッチ類への FA 汚染、床や作業台に飛び
散った FA のしずく、ごみ箱の蓋の開放状態などがあげられる。原因が特定できれば有効な対策をとる。5
S(整理・整頓・清掃・清潔・習慣)はもちろんのこと、①使用を控える、有害性の少ない代替品への転換、
②作業方法の改良による発散防止(使用形態、使用条件、生産工程の変更等)、③設備の密閉化、自動化、有
害工程の隔離、④発散防止措置による拡散防止 (局所排気装置・プッシュプル型換気装置) ⑤希釈換気によ
る気中濃度の低減(全体換気・建物の構造改善) ⑥作業環境測定による環境管理状態の監視 ⑦時間制限等作
業形態の改善、保護具の使用である。対策の有効性は作業環境測定で評価する。有機溶剤も同様な手順で
RA を行う。病理検査室には多数の有害化学物質が存在する。個々の化学物質についても RA を行い快適な職
場環境の形成を行うことが望ましい。
「ホルムアルデヒドの健康障害防止について-病理部門を中心とし
た具体的対応策-」pathology.or.jp/jigyou/pdf/formaldehyde080423.pdf
教育講演Ⅷ微生物
EntryNo. 42
第 6 会場 中会議室302B
10月 2 日
(日) 10:45~11:45
微生物検査技師の育成を考える!
微生物検査技師の育成を考える!
新潟医療福祉大学
尾崎 京子
1)
◎尾崎 京子
新潟医療福祉大学 1)
本年 2 月に実施された第 62 回臨床検査技師国家試験受験者(新卒者)の養成校の内訳をみると、3 年
制(短大・専門等)28 施設、4 年制大学(保健衛生学等)56 施設でこのうち 30 施設は私立大学である。
さらに数年のうちに完成年度を迎える私立大学が少なくとも 8 施設あり、4 年制教育が主流となってい
る。微生物学/臨床微生物学の学校教育は、感染症の成立、現在の感染症の特徴とその制御、病原微生物
の形態や性状、病原性などの基礎知識に加え、感染症診断や治療に必要な検査技術、感染防止対策まで
多岐にわたる。多くの分野を学ぶ学生に対し、限られた時間の中でこれらを十分習得させるのはかなり
困難と言わざるを得ない。養成校における臨床微生物学教育の実態調査では、学内実習時間や実習供試
微生物は施設によりかなり差が認められる(日本臨床微生物学雑誌 Vol.21 No.2 2011.)。強毒菌や
臨床検体の取り扱いの制約もある。学校教育では、感染危険性のある微生物を安全に扱う技術の習得と
その理解が最も大切と思っている。臨床検査技師の免許取得は医療の場に立つことを許可されたにすぎ
ない。多様化する微生物検査に対応するためにも、養成校と臨床現場の連携協力による卒後初期研修制
度の充実が望まれる。 連絡先 025-257-4402
EntryNo. 29
微生物検査技師の育成を考える!
新潟大学医歯学総合病院
1)
◎高野 操
国立大学法人 新潟大学医歯学総合病院 1)
高野 操
近年の微生物検査担当技師には、検査実務作業の他に医療関連感染や薬剤耐性菌等の感染制御業務が
求められる。職場は、新任技師に対するグラム染色や臨床材料の培養から結果報告に至る過程の習得に
十分な教育と指導を実施しなければならない。スキルマップを作成し、経験年数に応じた教育スケジュ
ールによる知識や技術習得の評価を行う必要がある。個人的には臨床検査士認定および認定臨床微生物
検査技師、感染制御認定臨床微生物検査技師を目標にしたい。一方で、ローテーションや転勤等による
目標の中断或いは途絶する問題がある。微生物検査の質は個人技量に負うところが大きく、職場教育の
みならず、技師会等の相互に意見交換できる顔が見える地域ネットワーク学習は効果がある。地域の技
師会には、初任者対象研修および長期ビジョンに基づく研修、スキルラダー研修、認定技師対策等が求
められているのではないだろうか。急速な世代交代が進む現代に見合った技師教育研修システムを考え
る必要があると思われる。 連絡先 025-227-2686
教育講演Ⅸ染色体
第 7 会場 中会議室302A
10月 2 日
(日) 10:45~11:45
EntryNo. 26
新潟県におけるHIVおよび薬剤耐性変異の現状
新潟県における HIV および薬剤耐性変異の現状
新潟大学医歯学総合研究科ウイルス学分野
1)
◎藤井 雅寛
新潟大学医歯学総合研究科ウイルス学分野 1)
藤井 雅寛
ヒト免疫不全ウイルス(HIV; Human Immunodeficiency Virus)はエイズ(AIDS; Acquired ImmunoDeficiency
Syndrome)の原因ウイルスである。エイズは HIV の感染によって免疫機能が極度に低下し、真菌症、肺炎な
どの劇症の日和見感染を併発して死亡する疾患である。エイズの発見当初は致死率が100%の疾患であっ
た。しかしながら、近年、抗 HIV 薬剤療法が著しく進歩し、エイズによる死亡率は劇的に低下し、HIV 感染
症は治療可能な慢性疾患になった。抗 HIV 療法は、HIV が持つ3つの酵素(逆転写酵素、プロテアーゼ、イ
ンテグラーゼ)に対する抑制剤を複数組み合わせて使用する。また、それぞれの酵素に対して複数の抑制剤
が開発された。一方で、これらの治療薬を長期に服用する感染者が増加し、薬剤耐性変異あるいは副作用が
新たな問題として浮上している。
これまで私たちは、新潟県および近県の HIV 感染者に対して HIV 遺伝子配列の解析を進めてきた。感染者
の HIV 遺伝子配列からは、薬剤耐性変異の有無および感染ルートなどを推定できる。我々の解析を含めて、
HIV 感染症の現状、特に新潟県の現状を紹介する。
教育カンファレンスⅠ
第 1 会場 スノーホールB 10月 2 日
(日) 10:50~11:50
心電図判読(基礎〜応用)
EntryNo. 17
~参加型症例検討会~
心電図判読(基礎〜応用) ~参加型症例検討会~
新潟大学医学部保健学科
1)
◎齋藤 修
新潟大学医学部保健学科 1)
齋藤 修
心電図検査は心臓の電気現象を波形として視覚的に表示する検査である。特に標準 12 誘導心電図検査は簡
便で、かつ短時間のうちに心臓での電気現象を多角的に捉えることが可能であることから検診や日常診療の
場面において広く用いられている。また、目的に合わせたホルター心電図検査や負荷心電図などのバリエー
ションもあり、多くの施設で臨床検査技師がこれらの検査に関与している。
我々は心電図波形を通して、不整脈や虚血性心疾患・心筋症などの器質的心疾患、電解質異常など多岐に
わたる情報を瞬時に得ることができるが、判断に迷う心電図も少なからず経験する。
心電図判読力アップには、心臓内で生じている電気現象と心電図波形の成り立ちの相互理解が重要となる。
すなわち、心電図波形から心臓で起きている電気現象をイメージし、また心臓での電気現象がどのような波
形として描画されるかを理解することである。
このセッションでは典型例を中心とした心電図を提示し、心電図波形の成り立ちや判読のコツ、ピットフ
ォールなどを解説するが、アンケートアナライジングシステムを用いて、楽しみながら全員参加型の心電図
判読力アップを図る症例検討会としたい。
連絡先 025-227-0962
教育カンファレンスⅡ
第 5 会場 中会議室301A
10月 2 日
(日) 10:45~11:45
形態カンファレンス
教えて!どうやって分類すればいいの?
~破砕赤血球、悪性リンパ腫、前単球~
独立行政法人労働者健康安全機構燕労災病院
座長:渡邉 誠
コメンテーター:山田 隆(長岡赤十字病院) EntryNo. 36
菅原 新吾(東北大学病院) 水野 祐子(新潟県立新発田病院)
形態カンファレンス
症例提示 1 .塚田 彩実(新潟市民病院) 教えて!どうやって分類すればいいの? ~破砕赤血球、悪性リンパ球、前単球~
症例提示 2 .鈴木 秀幸(新潟県立がんセンター新潟病院)
◎渡邉 誠 1)
1)
独立行政法人 労働者健康安全機構 燕労災病院症例提示
3 .鈴木 恵美(長岡赤十字病院) 血栓性血小板減少症(TTP)、HUS、TMA のスクリーニングや鑑別に必須の破砕赤血球ですが、「分類基
準がよくわからない」、「人によって基準が違う」などの声を良く聞きます。
また、白血病の芽球はすぐわかるけど、悪性リンパ腫って…核はかたい感じで「リンパ球と区別が付かな
い」、「どこを見ればよいのかわからない」という声を聞くこともあります。
慢性骨髄単球性白血病(CMML)と急性単球性白血病(AMoL)の分類には前単球の割合が重要! だけど…?「どこからが前単球かよくわからない」という話も聞きます。
今回はそんな何気なく、何となく分類しているけれど本当はあまり自信がないなあ…という項目の中でも破
砕赤血球、悪性リンパ腫、前単球の3つに焦点を当てて症例提示をします。
壇上のベテラン技師たちの中でも細胞によっては意見が違うかもしれません。
当日は会場を参加者のみなさんとの活発な意見交換の場にできればと思っております。
シ ン ポ ジ ウ ム Ⅰ
EntryNo. 34
第 2 会場 中会議室201B
10月 1 日
(土) 14:50~16:20
輸血検査のPitfall
夜間休日緊急輸血時の対応
輸血検査の Pit fall
夜間休日緊急輸血時の対応
1)
◎志田 幸江
新潟市民病院 1)
新潟市民病院
志田 幸江
当院はベッド数 676 床、救命救急センター、循環器病・脳卒中センターを有し、三次救急の病院として新
潟医療圏の重症・急性期医療を担っており、三条地区・阿賀地区など搬送に時間がかかる地区からの重症患
者も多く受け入れている。また総合周産期母子医療センターでは 24 時間の周産期救急の対応を行っている。
このため産科危機的出血を含め夜間の緊急輸血も多く経験される。緊急輸血体制の訓練としては、産科との
シュミレーション、救命救急の災害時訓練を定期的に行っている。院内の輸血体制は、定期的に開催される
輸血療法委員会において検討されており、I&Aを取得し輸血管理に努めている。
臨床検査科では、夜間休日は日当直者が業務を行い、輸血関係で問題や異常があった場合は輸血業務経験
者による呼び出し制でカバーしている。夜間は緊急性の高い輸血が多い為、日当直者や呼び出し当番の負担
は大きい。新人に対しては夜勤業務に入る前に輸血研修を行っているが、日当直者への研修や呼び出し当番
メンバー間の情報共有などが課題である。
夜間休日に呼び出しコールがきた時の問題例をいくつか紹介する。他院の意見もお聞きしたい。
① 緊急輸血のクロスマッチ、カラム凝集法で全て陽性!犯人はフィブリンだった!
② 緊急未交差で輸血出したあとスクリーニングが陽性になった!
③ 血液型がオモテ・ウラ不一致!原因は強い寒冷凝集、温めてやっと判定できたけど、緊急輸血だったら
どうする?
④ ABO不適合妊娠疑いの新生児の検査・輸血依頼!クロスマッチ、直接クームス等、当直者の訓練もし
ているが限界がある。
新潟市民病院 025-281-5151
シ ン ポ ジ ウ ム Ⅰ
第 2 会場 中会議室201B
EntryNo. 11
10月 1 日
(土) 14:50~16:20
輸血検査のPitfall
血液製剤の供給遅延事例
輸血検査の Pit fall
血液製剤の供給遅延事例
1)
JA新潟厚生連村上総合病院
◎中束 哲夫
JA 新潟厚生連 村上総合病院 1)
中束 哲夫
【はじめに】
厚生連村上総合病院は新潟県北部の病床数 244 床の 2 次救急医療機関です。近隣の 3 次救急医療機関とは約
39km(車で約 46 分)、血液センターとは約 66km(車で約 63 分)の距離に位置しています。
検査技師の数は臨時職員を含め 17 名おり、輸血検査を担当するセクションは輸血検査の他に細菌検査と血清
検査を 3 名で行っています。夜間・休日は技師1名で検査業務にあたっており、輸血検査担当以外の技師が
輸血検査を行うこともあります。
【血液製剤の供給遅延事例について】
数年前、救急外来に搬送された骨盤骨折の患者に対し、血液製剤の供給遅延という重大な問題を起こしまし
た。当時、当院には緊急時の輸血に対するマニュアルがなく、さらに輸血検査担当者は『輸血療法の実施に
関する指針』の内容も十分に把握していなかった為、適合血を得るには不規則抗体の同定が先決であるとい
う誤った判断をし、供給が大幅に遅れ、患者は他院へ搬送されました。
この問題に対し当院の輸血療法委員会にオブザーバーとして血液センターの方に参加をお願いし、厚生労働
省の『輸血療法の実施に関する指針』に沿って対応を検討されるとよいとのアドバイスを頂きました。関連
病院の輸血マニュアル等も参考にしながら、緊急時の輸血体制の在り方についてマニュアルを作成し院内に
周知させました。
私どもは二度とこの様なことのないよう、日々、知識・技術の向上に努めるとともに、我々と同じ失敗をし
ないように伝えていけたらと考えています。
厚生連
JA新潟厚生連 村上総合病院
0254-53-2141
シ ン ポ ジ ウ ム Ⅰ
EntryNo. 35
第 2 会場 中会議室201B
10月 1 日
(土) 14:50~16:20
輸血検査のPitfall
当院における輸血検査の現状
輸血検査の Pit fall
当院における輸血検査の現状
◎廣田 織恵
桑名病院 1)
1)
桑名病院
廣田 織恵
【はじめに】当院は病床数 230 床、平均在院日数 16.5 日、外来受診者数1日約 170 名の脳神経外科主体のケ
アミックス病院で、輸血管理料Ⅱを算定している。検査室の技師数 13 名(パート1名含む)、当直なし・オン
コール体制 10 名で行っている。輸血は主に外来では血液内科、入院では消化器内科、消化器外科、循環器内
科、脳神経外科、整形外科で行っている。
【当院の輸血業務体制】全て試験管法で行っており、主に ABO ・ RhD 血液型検査、不規則抗体スクリーニ
ング、交差適合試験を実施している。当院は中規模病院で医師との距離も近く、患者の状態も把握しやすい。
検査室もワンフロアのため情報を共有しやすいという利点がある。一方、夜間・休日でも 24 時間、輸血検査
は可能であるが、普段、生理検査業務を行っている技師もオンコールに入り、1年に数回程度、輸血検査を
行っているというのが現状である。
【不規則性抗体陽性者の対応】当院には同定パネル血球や抗血清はなく、解離試験などもできないため抗体
をある程度までしか絞り込むことができない。抗体同定は外注になるため、緊急輸血の場合は、ひとつ前の
期限の切れたスクリーニング血球も使用し、少しでも抗体を絞り込めるよう工夫している。抗体同定前に輸
血する場合は予想される抗体の適合率を考え、血液センターに発注する際、少し多めに発注し、交差適合試
験をして適合血を出庫している。輸血時は、医師と輸血予定を相談し、当番への負担にならないよう、なる
べく平日の日勤帯に輸血できるようにしている。当院には、相談できる輸血専門の医師がいない。そして不
規則性抗体陽性時など、何か異常反応があったときは、まず主治医に適合率や適合血の準備にかかる時間な
ど説明をしている。
【今後の目標】当院では、抗体同定ができないため、地域で連携して患者情報の共有ができるようになれば
よいと思う。当院は、ほとんどが 70 才以上の輸血で、産婦人科、新生児科、移植などもないため、輸血認定
試験を受けるには経験が少なすぎると思われる。このため、技師会で企画する講習会や、他県での講習会な
どにも積極的に参加し、勉強していかなければならない。
社会医療法人桑名恵風会 桑名病院 025-273-2251
シ ン ポ ジ ウ ム Ⅱ
第 3 会場 中会議室201A
10月 1 日
(土) 14:50~16:20
一般検査に求められる情報発信力
~なにを?どのように?伝えるか‼~
済生会新潟第二病院
EntryNo. 39
一般検査に求められる情報発信力
座長:小野 篤史
シンポジスト 1 :太田 惣(KKR札幌医療センター)
~ なにを?どのように?伝えるか!!~
◎小野 篤史 1)
済生会新潟第二病院 1)
シンポジスト 2 :貝田 奈津子(市立秋田総合病院)
シンポジスト 3 :片桐 智美(長岡赤十字病院)
尿沈渣検査では尿中に出現する成分を,詳細に観察し報告することは臨床的に重要な意義がある.
たとえば,尿中赤血球形態を鑑別し報告することは,血尿の由来部位を考えるうえで有用な臨床情報とな
りえる.この尿中赤血球形態について平成 27 年度新潟県臨床検査技師会精度管理調査アンケートを実施した
際,参加 99 施設の約半数(46 施設)が「報告している」または「依頼があれば報告している」と回答している
ことからも,その重要性は認知されてきているものと推測される.
では,尿検査,尿沈渣検査において,尿中赤血球形態の他に,付加情報やコメントなどで臨床情報として
発信すべきことはあるのでしょうか?
また,尿沈渣成分を機械的に判定・判別し,数値的報告をすることで臨床検査技師が発信している情報を,
医師は理解し,臨床活用しているのでしょうか?
本企画ではシンポジスト,参加者,全員で,尿沈渣検査を中心にその報告方法や付加情報,コメントなど
の必要性を考えていきたい.
パネルディスカッション
EntryNo. 5
第 4 会場 中会議室301B
10月 1 日
(土) 14:50~16:20
心電図検査の検査科内標準化への取り組み
心電図検査の検査科内標準化への取り組み
帝京大学医学部附属病院
1)
◎富原 健
帝京大学医学部附属病院 1)
富原 健
【はじめに】
心電図は基本的・非侵襲的な生理検査の一つとして、全ての診療科における日常診療の場で汎用されている。
特に標準 12 誘導心電図は、どこの施設でも行うことができる基本の検査として位置づけられており、また、
反復して検査を行うことにより経時的な比較が行え、より有用な情報の提供が可能となる。
しかしながら、診療に役立つ心電図検査を、いつでも、どこでも、だれでも、同じ様に提供し継続していく
には、心電図検査の精度管理・標準化への取り組みが必須となり、適切な管理が必要不可欠となる。
【心電図検査における精度管理の現状と当院の試み】
生理検査の精度管理の現状は、外部精度管理として日臨技によるフォトサーベイが全国レベルで行われてい
るが、分野によっては臨床検査の「精度保証の目的」、「施設技能試験としての意義」に合致しているかど
うかは、議論があると思われる。さらに、各医療機関における内部精度管理に関しては、機器精度、手技精
度ともほとんど公開されない現状がある。
そのため、当検査部では日本臨床検査医学会等を通じて、次に示すような心電図検査の精度管理・標準化と
検査技能の習得に向けた取り組みを行ってきた。
日本臨床検査医学会学術集会
1.心電図データマネジメントシステム(DMS)を用いた心電図精度管理の試み 2011 岡山

ルーチン業務として模擬波形発生装置を用い、内部精度管理を試みた。
2.心電図 DMS を用いた心電図精度管理の試み(第 2 報)2012 京都

病棟心電計の精度管理を行い、有用性を検討した。
3.心電図 DMS を用いた心電図精度管理の試み(第 3 報)2013 神戸

正常者平均値法を用い、手技精度管理を試みた。
4.心電図検査外部精度管理の試み 2015 岐阜

模擬波形発生装置を用い、心電計の機器外部精度管理を試みた。
日臨技研修会
1.正しくきれいな心電図検査の進め方 2013 東京
2.心電図検査時の緊急時対応 2014 熊本
【心電図検査標準化への取り組み】
心電図が波形の評価から数値データを活用されるようになってからは、客観的な管理を習得し標準化への取
組みを行う事が重要となってきている。
今まで当検査部が取り組んできた、心電図検査における内部精度管理・外部精度管理、技能育成研修につい
て紹介する。連絡先:03-3964-1211(内線 32307)
パネルディスカッション
第 4 会場 中会議室301B
10月 1 日
(土) 14:50~16:20
EntryNo. 6 乳腺エコーにおける診断率向上への取り組み
乳腺エコーにおける診断率向上への取り組み
新潟県立がんセンター新潟病院臨床検査部(乳腺外科)
◎小柳 敬子 1)
小柳 敬子
新潟県立がんセンター新潟病院 臨床検査部 (乳腺外科)1)
【はじめに】超音波検査は精度管理が難しい分野であり、日本乳がん検診精度管理中央機構でも現在のとこ
ろ乳腺超音波検査(US)の精度管理方法は確立されていない。しかし、より正確な診断を行うためには精度管
理を行う必要がある。精度管理の項目としては、超音波検査装置や画質などのハード面、検査担当者の技量
や実施手順などのソフト面、そして日々の検査成績をまとめたプロセス指標による管理等が挙げられる。今
回は、日々の US 結果を入力して作成したデータベースと、その集計結果を元に実施している私自身の精度
管理方法を紹介する.
【方法】2012 年 4 月から 2016 年 5 月までの間、自身が検査に携わった US 結果を検診と精密検査に分け、検
査日・ ID ・超音波所見・カテゴリー・推定疾患名等十数項目について入力し、検診については要精査率・乳
がん発見率を、精密検査については針生検が行われた症例について、感度・特異度・正診率を求め、偽陽性
例・偽陰性例についてはそのつど画像を見直しその原因を考察した。
【結果】検診の結果は、2014 年度要精査率 3.5%、乳癌発見率 0.52%であった。精密検査における月ごとの感
度は、76~100 %平均 90.6%、特異度は 30~100%平均 66.3%、正診率 60~97%平均 80.0%であった。特異度
が低かった原因は、石灰化の症例を乳癌と読みすぎた例が最も多く、感度を下げた原因は良性と読んだ腫瘤
像が多かった。US 診断能に影響を及ぼす因子として最も大きいものは先入観であった。
【まとめ】日々の画像診断結果をデータベース化し集計することにより自身の画像診断の精度を把握でき、
読み間違えた症例の傾向を知り反省することが可能であった。データベース入力は地道な作業であるうえに
症例数によりプロセス指標の数値のばらつきが大きくなること、針生検の症例のみを省みた結果であり、経
過観察例は考慮されていないこと、基準となる値が存在しないことなど問題点も多々挙げられるが、診断率
向上に向け「データベースなくして反省なし、反省なくして進歩なし」と言うことを実感できている。 連絡先 tel:025-266-5111(内線 2850)
パネルディスカッション
第 4 会場 中会議室301B
10月 1 日
(土) 14:50~16:20
大規模検査室における人材育成と
教育システム構築への取り組み
EntryNo. 9
大規模検査室における人材育成と教育システム構築への取り組み
一般財団法人太田綜合病院附属太田西ノ内病院
1)
◎高久田 美江
一般財団法人 太田綜合病院附属太田西ノ内病院 1)
高久田 美江
【はじめに】当院の臨床検査部は生理検査科に 40 名、検体検査科に 37 名の所属員を配置し、専門性・
汎用性を意識した検査室作りを実践している。特に生理検査における精度管理が難しいことは周知のと
おりであることから、当検査科は人的管理と専門性向上を意識しつつ精度管理に努めている。今回は
我々が試行錯誤しながら構築してきた人材育成と教育システムの概要について報告する。
【大規模検査室の課題】大規模検査室に成長できた理由は、検査項目や件数を増やしただけでなく、各
種の立会い業務にも積極的に参入した結果である。しかし、その一方で急増するスタッフに対して、教
育が行き届かず質的向上や精度維持が難しいことも否めない状況にあった。スタッフの中には、決して
優秀とは言えず、仕事に取り組む姿勢が低い者もいるなど、日頃の教育には大いに悩まされてきた。ま
た、当検査科の業務は多種多様であることからスタッフが方々に分散するため、連絡事項などの伝達や
情報の共有化についても、なかなか難しい状況にあった。
【課題への取り組み】上述した課題に対し以下の取り組みを実践した。(1)新人教育の強化;入職後
1年~2年は、目が届き易い心電図室に配置しながら、専任の教育担当者から検査技師としての心構え
や仕事に臨む姿勢、医療人、社会人としての考え方やモラル等について、丁寧な指導を心掛けた。初期
教育を慎重に行うことで、向上心を芽生えさせる効果があった。(2)系統立てた教育カリキュラムの
構築;専門教育に対する内容と到達目標を具体的に明文化した。また個人目標の作成を義務付けし自発
性の向上を促した。目標を明確にしたことで、一定期間内に教育が終了するようになった。(3)リー
ダーの育成;各領域におけるリーダーの育成を管理者が担当した。候補者には部下指導を任せ指導計画
書の提出と進捗状況の報告を義務付けした。管理者との摺り合わせを行うことにより候補者の指導力向
上と教育内容における指導者間差を無くす効果があった。(4)朝礼の開催;極力、情報の伝達は朝礼
の場を利用した。また、内容は明文化し欠席者は必ず目を通すことを義務付けした。特にトラブルなど
の安全管理に関わる内容については迅速に情報の共有化を図った。
【結語】生理検査の精度管理は人材の育成と言っても過言ではない。教育カリキュラムに則り計画的に
進めてはいるが、一筋縄ではいかないのが現状である。教育は継続すること、諦めない姿勢で臨むこと
が重要であると考えている。 連絡先;024-925-8932
日
臨
技
企
EntryNo. 10
画
第 4 会場 中会議室301B
10月 1 日
(土) 13:10~14:10
術中モニタリングの現状と課題
~臨床から求められているが、どうしたら良いのか?~
術中モニタリングの現状と課題
~臨床から求められているが、どうしたら良いのか?~
1)
◎山本 雅史
北海道大学病院 1)
北海道大学病院
山本 雅史
術中モニタリングにおける補助作業は、法整備によって医療資格者のみが行うことになり、その大半は臨
床検査技師が担当することとなった。術後神経機能障害は、患者の ADL に関わる重大な問題であり、これを
予防するための術中神経モニタリングの役割は大きい。術中の運動、感覚、視覚、聴覚などの神経機能評価
として誘発電位モニターが近年、爆発的に普及してきたが、信頼性の高い術中神経モニタリングを実施する
ことは、容易ではない。
モニタリングは安全で円滑な手術に大きく寄与するが、モニタリングの手技(刺激など)がスムーズな手術
の進行を邪魔してはならない。つまり、医師の欲しいタイミング(危険なとき)で適切に刺激を行うことが
出来るとよい。それには手術の術式、手術器具の名前や使用目的を覚えること、術野カメラの映像を見て、
今医師が何をしているのか?を知ることなどが重要となる。また術前 MRI などの情報から危険部位はどこで、
どういったモニタリングが必要か?を推測し、医師と事前打ち合わせを行い、「顔面神経のマッピングはし
ますか?」など提案できると良い。それには CT、MRI など画像を読む知識が必要となる。また施設の事情
にもよるが、電極の設置からモニタリング終了まで手術室にてモニタリングを行うことにより手術の流れを
覚えることができ、より信頼性の高いモニタリングへの道筋がそこにはあると考える。
「経験と技術」に並んで重要なのは、「他職種とのコミュニケーション力」である。執刀医はもちろんのこ
と、器械出しや外回りの看護師、麻酔科医などの方々と良き関係を築いておくことが、より早く、より正確
に情報を得る近道である。たとえば術中の急な術式変更や、手術操作による局所的な虚血状態の情報、体外
循環や冷却を行う際、その開始タイミングの情報など、モニタリング技師が把握したい情報は、他職種との
より良い関係を構築することで得やすくなる。また MEP モニタリングの観点から、筋弛緩剤に対する拮抗薬
の投与や、プロポフォールの減量などを麻酔科医へ依頼をする場合にも、良い関係を構築しているか否かで
は結果が歴然である。
本講演では、術中モニタリングをとりまく現状とその課題について具体的例を交えて供覧し、考えていこう
と思う。 連絡先:011-706-5722
日臨技シンポジウム
第 3 会場 中会議室201A
10月 1 日
(土) 13:10~14:40
病棟業務推進への日臨技の取り組み
EntryNo. 1
~私たちが目指す究極のチーム医療とは~
病棟業務推進への日臨技の取り組み
一般社団法人日本臨床衛生検査技師会執行理事
1)
~私たちが目指す究極のチーム医療とは~
独立行政法人地域医療機能推進機構群馬中央病院
◎深澤 恵治
独立行政法人 地域医療機能推進機構 群馬中央病院(日臨技 執行理事)1)
深澤 恵治
近年、急激な医療の発展に伴い、安心安全な医療を求める患者家族が増える一方、患者中心の医療を実践
するチーム医療を推進することの重要性が認識されるようになった。また、その医療の高度化や複雑化によ
り医療現場の疲弊が指摘されている。このような状況を背景に厚生労働省では、日本の実情に即した医療ス
タッフの協働・連携の在り方等をとりまとめた、チーム医療推進に関する数々の報告書や厚生労働省医政局
長通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」を発出し医療スタッフ間の連携・補
完を一層進めることの重要性を唱えてきた。さらに平成 26 年に施行された「医療介護総合確保推進法」の中
では、チーム医療の推進拡大のために医療関係職種の業務範囲の見直し(臨床検査技師としては一部の検体
採取、味覚・嗅覚検査が業務範囲とされた)が図られた。日臨技はこれらの背景のもと、臨床検査技師が直
接、患者の居る場所に出向き、患者に寄り添い医療の一端を担うことのできる役割が重要ではないかと考え
(臨床検査技師による病棟検査業務)、以下の事業を展開している。
1.臨床検査技師による病棟業務推進情報連絡会の設置
病棟業務に関する情報交換、共有、調査、研究ならびに普及啓発活動等のため全国的に情報連絡会設置し
ている。(加盟 756 施設)
2.病棟に常駐する臨床検査技師の医療上の有用性を検証するための実態調査
臨床検査技師が行う病棟業務を定量化するため、施設側の協力のもと、首都圏にある 300 床の病院と中部
圏支部にある 700 床の病院とで実態調査を行った。
3.臨床検査技師の病棟配置に関する調査事業
複数施設において臨床検査技師の病棟配置によるチーム医療の推進、医療の質・安全性向上についての具
体的データを収集し行政、関係医療団体に臨床検査技師の病棟配置の必要性について明示することを目的と
し、現在協力施設を募集しているところである。
今回のシンポジウムでは、これら日臨技の取り組みの紹介と、実際に業務として取り組まれている施設の
紹介を踏まえて、来場の皆様と“私たちが目指す究極のチーム医療”について考えていきたいと思っている。
日臨技シンポジウム
第 3 会場 中会議室201A
10月 1 日
(土) 13:10~14:40
聖隷横浜病院における臨床検査技師の病棟業務に関する試み①
EntryNo. 2
検査部門管理者の対応と対象選定について
聖隷横浜病院における臨床検査技師の病棟業務に関する試み
1)
検査部門管理者の対応と対象選定について
社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷横浜病院
◎吉田 功
社会福祉法人 聖隷福祉事業団 聖隷横浜病院 1)
吉田 功
【はじめに】 2015 年 7 月 日臨技より、臨床検査技師の病棟配置の検証依頼が当事業団臨床検査部門にあ
り受諾した。9 月に聖隷横浜病院(300 床)、2016 年 1 月に聖隷浜松病院(744 床)で検証を実施し、
2016 年 1 月「病棟業務推進講習会」、9 月「第 65 回日本医学検査学会」に於いて報告した。当院では検証後、
2016 年 3 月より週 1 日ではあるが、病棟に検査技師を配置した。本シンポジウムでは、聖隷横浜病院での検
証報告を中心に、その後の配置についても報告する。
【検査部門管理者としての対応と課題】 検証にあたり検査部門管理者として、①検査スタッフへの説明と
同意 ②病院への説明と承認 ③看護部と病棟選定 ④派遣技師の選定 ⑤病棟で実施する検査関連業務項
目作成 ⑥病棟課長との業務選定 ⑦アンケートの依頼 を対応した。病棟選定では、検査技師の力が発揮
できると思われた糖尿病(SMBG)、消化器(輸血)、循環器(心電図)の 3 病棟から、看護部から必要とされた循
環器病棟を選定した。派遣技師の選定は、①メラビアンの法則 ②コミュニケーション力 ③判断力 ④知
識・技術 ⑤前向きさ を考え選定した。派遣当初、スタッフが受けるストレスは大きく、毎日のコミュニ
ケーションが重要であった。今後の課題として、専門性を高めた認定技師も必要ではあるが、幅広い知識・
技術を持ち、検査説明・相談ができるジェネラリストを育成していかなければならないと感じた。
【まとめ】 病棟業務推進施設情報連絡会のアンケート結果では、病棟に出向いて実施している業務はある
が、診療報酬に組み込まれていない中で病棟に検査技師を配置する人員の確保が問題となり、配置している
施設は少ない。当院でも検証することは認められたが、人員を増やして配置するに至っていない。しかし、
「必要とされるところに」「できることから」「できる範囲で」取り組んでいくことで『臨床』検査技師の
未来が開けると考え、週 1 日ではあるが、病棟に検査技師を配置した。今後、病棟への検査技師の配置が多
くの施設で取り組まれ、行政、関係医療団体にその必要性が認められることを切望する。
連絡先 045-715-3111
日臨技シンポジウム
第 3 会場 中会議室201A
10月 1 日
(土) 13:10~14:40
聖隷横浜病院における臨床検査技師の病棟業務に関する試み②
EntryNo. 3
実経験からわかる病棟検査技師の役割について
聖隷横浜病院における臨床検査技師の病棟業務に関する試み―②
1)
実経験からわかる病棟検査技師の役割について
社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷横浜病院
◎杉岡 結衣
社会福祉法人 聖隷福祉事業団 聖隷横浜病院 1)
杉岡 結衣
【病棟で実施した業務】 検査関連業務としては、①採血、動脈血採取補助、培養検体採取補助などの検体
採取 ②検体、輸血製剤の搬送 ③患者への検査説明 ④心電図測定 ⑤医師・看護師への検査結果報告 ⑥昼食前血糖測定 ⑦患者搬送 ⑧検査関連の物品管理 ⑨検査結果のカルテ添付 などを行った。検査関
連外業務としては、①病棟の電話対応 ②ナースコール対応 ③患者のトイレ介助 ④患者家族や面会者の
対応 ⑤ベッドメイク ⑥患者のベッド移動 ⑦配膳補助 などを行った。
【実地検証結果】 9日間の実地検証での1日あたりの平均時間は、患者情報管理:63.9分、検体採取(採血
含む):57.9分、検査関連管理業務:49.2分、全てを累積した時間は311.9分であった。
【アンケート結果】 看護師からは、「看護師の検査業務の負担が軽減した」、「患者の直接ケアに従事す
る時間が増えた」との評価が得られた。患者からは、「医療職種として放射線技師に次いで認知度が低い」
、「検査に関する説明を望んでいる」ことが示された。
【まとめ】 病棟看護師と実施する検査関連業務の抽出を行い、事前トレーニングを開始したが、病棟では
検査室のように依頼された検査を待つという態度では仕事がない状態であった。医師、看護師、また看護助
手や病棟クラークと積極的に関わりを持ち、自ら進んで仕事を探すことを意識して、病棟での業務に取り組
んだ。まず、他職種とのコミュニケーションをいかに密にとっていくかが重要であった。その上で、検査技
師として採血技術、血液データの読み方・考え方、超音波検査など幅広く知識・技術を習得する必要がある。
また、患者と深く関わっていく上で、ME機器、薬剤や栄養指導など検査関連外の知識も必要であると感じた。
病棟検査技師に将来性を感じたが、病棟という新たな業務の場に進出するためには検査業務だけを行うとい
うのではなく、同じ病棟スタッフとしての意識を持ち、『患者さんのために』協働していかなければ、病棟
検査技師としての未来は開かれないと感じた。
連絡先 045-715-3111
日臨技シンポジウム
EntryNo. 4
第 3 会場 中会議室201A
10月 1 日
(土) 13:10~14:40
病棟業務の実践
病棟業務の実践
医療法人養生会かしま病院
◎柴田 昭浩 1)
医療法人 養生会 かしま病院 1)
柴田 昭浩
【はじめに】当院は平成17年から病棟へ検査技師を配置している。本シンポジウムでは、現在までの経過と
経験から得られた事について述べる。
【病棟業務の実践方法】病棟で検査業務を行う場合には、大きく2つの方法が挙げられる。
1つは、病棟で検査業務だけを行う場合である。これはマニュアル作成も容易に可能であり、どの施設でも
実行し易いと思われる。
2つ目は、1つ目に加えて病棟の検査外業務も行う場合である。病棟業務は職種別で異なり、職域を超えて
他の業務に関わるのは容易ではない。しかし、その病棟が多忙時に検査技師が目を背けることなく、その施
設の一職員として出来る業務を積極的に、かつ自然に実行できれば、病棟の一スタッフとして看護師と連携
した病棟業務を行うことが出来る。ただしこの場合には、ある程度の軌道に乗るまでに病棟業務習得等の事
前準備が必要になり、マニュアル作成にも時間を要し、人選も考慮する必要がある。
【病棟が望む病棟検査技師像】職員(医師・看護師等)と患者・家族が望む病棟検査技師像があり、その内
容は、いずれも仕事と人間関係に大別できる。職員へのアンケート結果から、仕事ではある程度の経験と知
識、さらに、正確さと迅速さも求めており、中堅クラスの人材を望んでいた。人間関係には接遇と性格があ
り、接遇では職員や患者・家族に対して当たり前の接遇(挨拶、身だしなみ、言葉遣い、表情、清潔)がで
きるか? コミュニケーション能力も問題がないか?を、性格では明るい、柔軟な考え方、謙虚、よく気が
つく、フレンドリー、素直等を挙げていた。
病棟で看護師が行っている業務には、本来は検査技師が行うべき業務や検査技師に行って欲しい業務が存
在している。これらはどの施設でも多かれ少なかれ在りうる事であり、それを検査技師が病棟で行う場合に
は、その必要性と、その施設で望まれる病棟検査技師とは何かを検査室で検討し、理解し、共有して看護部
との協議後に良好な業務連携を構築できれば、病棟でも活躍ができ、病棟から望まれる病棟検査技師の輩出
が可能と思われる。
共催パネルディスカッション
第 1 会場 メインホールB 10月 1 日
(土) 13:10~14:40
求められる臨床検査技師像
~現場の思い・学生の思い~
北里大学保健衛生専門学院
座長:鈴木 英明
新潟大学医学部保健学科
座長:須貝 美佳
パネリスト:齋藤 大造(新潟県立がんセンター新潟病院)
川崎 一子(下越総合健康開発センター)
木澤 洋恵(株式会社エス アール エル)
中島 由貴(株式会社EP綜合)
EntryNo. 40
坂内 政紀(済生会三条病院) 求められる臨床検査技師像~現場の思い・学生の思い~
小林 佳菜(下越総合健康開発センター)
◎池上 喜久夫 1)
新潟医療福祉大学 1)
加藤 柚香(株式会社エス アール エル)
斉木 小百合(株式会社EP綜合)
現在の医療において、疾患の診断や治療に深くかかわる臨床検査は、検査の幅や種類を増やしながら、そ
の重要度をますます増している。これに伴い、臨床検査技師は、臨床検査のスペシャリストとして、病院に
とどまらず、多様な施設から求められるようになってきた。臨床検査技師を目指す学生にとって、職業選択
の幅が広がるのは、喜ばしい。しかし、その反面、就職活動中の学生から、各業界の業務とそれに対する適
正な人材について質問を受ける機会もおおく、学生が各業界について、正しく理解しているとは言い難い。
そこで、臨床検査技師が活躍している、総合病院、健診施設、検査センター、治験施設の、ベテラン技師か
ら、各職場の業務を紹介していただき、特に望まれる人材について、発表をいただく。また、同施設の新人
技師から、業務の楽しさ、失敗談を発表いただく。その後、事前に集計した職場における臨床技師像に関す
る学生アンケート結果を示し、学生の考える職業像と現実の違いについて、パネルディスカッションを実施
する。
このセッションでは、学生が各業種の業務、特性を理解したうえで、就職活動へむけたモチベーションを向
上させるとともに、就職後も臨床検査技師として、誇りを持って、それぞれの職場で生き生きと業務に取り
組くむきっかけを提供することを目的としている。
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