...

1. 思想 ・良心 の自由由 - LEC東京リーガルマインド

by user

on
Category: Documents
18

views

Report

Comments

Transcript

1. 思想 ・良心 の自由由 - LEC東京リーガルマインド
し
う
複製・頒布を禁じます
LEC東京リーガルマインド
複製・頒布を禁じます
り ょ う し ん
思想・良心の自由
2 保障の態様
思想および良心は、それが人の心の中にとどまっている限り、絶対的
▼出題の状況
07
に自由である(内心の自由の絶対性)。もっとも、人の内面の精神的活動
08
09
10
11
12
13
14
15
は、外部的行為と密接に不可分であるので、外部的行為の規制を通じて
内心の自由に対する侵害が問題となりうる。
◄条 文►
趣
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
沈黙の自由
思想・良心を告白するよう強制することが禁止される(沈黙の
自由)。それゆえ、国家権力が思想調査をしたり、
「踏み絵」の
ような、精神的な意味を有する発言・行為を強制したりするこ
とは、憲法 19 条に違反することになる。
特定の思想の
強制の禁止
自己の思想・良心に反する行為を公権力によって強制すること
は禁止される。もっとも、人は社会生活の中でさまざまな義務
を負うが、自己の思想・良心に反することを理由に常に義務を
拒否できるとすれば、社会生活自体が成り立たないので、その
保障に限界はある。
思想を理由
とする不利益
取扱いの禁止
特定の思想を有すること(有しないこと)を理由として、刑罰そ
の他の不利益を加えることは禁止される。これは、同時に「信
条」による差別であり、14 条に違反するものである。
旨
諸外国の憲法では、信仰の自由や表現の自由と別に、思想良心の自由を保障する
例は少ない。日本国憲法が「思想及び良心の自由」を明文で保障するのは、戦前、
思想・良心に対する厳しい国家的統制・抑圧がなされたことがその背景にある。
1 思想・良心の意義
欧米では「良心の自由」は信仰の自由を指す。しかし、信教の自由(20
家族法
家族法
○
債権
債権
06
第19条
思想を理由とする不利益取扱いの禁止については、
19条の問題ではなく、
14条の平等原則の問題として考えれば足りるとする見解も有力である。
MEMO
条)を保障する日本国憲法では、「良心の自由」(19条)を信仰の自由に限
第1回 第2回
定して捉える必要がない。一般に、思想は内心の論理的側面を指し、良
心は内心の倫理的側面を指すが、
「思想及び良心」を一体的に捉えるべき
3 思想・良心の自由に関する判例
であるとされる。
このように「思想及び良心」を一体的に理解するとしても、
「思想及び良心」
しゃざいこうこく
▼判例:謝罪広告事件(最大判昭 31.7.4)
第 3 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第
の意義は、個人の内心一般(広義説)ではなく、世界観、人生観、主義・主張
事 件
など人格形成に関わるものに限定される(狭義説)と考えられている。
MEMO
「思想及び良心」の意義について、判例(謝罪広告事件/最大判昭31.7.4)
は、立場を明示していないが、狭義説に傾いていると評価することもで
きる。
● 過去問 ●
・ 憲法19条の「思想及び良心の自由」は、
「信教の自由」(20条1項)の保障
対象を宗教以外の世俗的な世界観・人生観等にまで拡大したものであるた
め、信教の自由の場合と同様に、固有の組織と教義体系を持つ思想・世界
観のみが保護される。
[2009-5-1]
× 憲法19条の「思想・良心」の意味を明示した判例はない。謝罪広告事件
最高裁判決(最大判昭31.7.4)の田中耕太郎裁判官補足意見では、
「19条の『良心』
というのは、……宗教上の信仰に限らずひろく世界観や主義や思想や主張をも
つことにも推及されていると見なければならない」と述べられている。
…………………………………………………………………………………
衆議院議員総選挙の候補者Xは、候補者Yが自己の名誉を毀損したと
⇒ 2009-5-1
して名誉回復のための謝罪文の放送および掲載を求める訴えを、徳島地
方裁判所に提起した。これに対し、徳島地方裁判所は、
「放送及び記事は
真実に相違しており、貴下の名誉を傷つけ御迷惑をおかけしました」旨
の謝罪広告をYの名で新聞紙上に掲載することを命じた。
Y
⇒
謝罪広告の掲載を命じる
判決は良心の自由を侵害
するものだ
YはXの名誉を毀損しており、Ⅹの
名誉回復の適当な処分として謝罪広
告を新聞紙上に掲載するよう命じる
徳島地方裁判所
争 点
…………………………………………………………………………………
・ 謝罪広告の強制は、良心の自由を保障する憲法19条に反しないか?
94 ▸▸▸
◀◀◀ 95
10
回
回
10
2016 行政書士試験 合格講座講義録【憲法・基礎法学】
人 権
人 権
1.
そ
2016 行政書士試験 合格講座講義録【憲法・基礎法学】
(予備 ) 総 論
(予備 ) 総 則
LEC東京リーガルマインド
Fly UP