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高解像度衛星画像の判読と解析 演習目的 1.シングルバンドの表示と各バンドの特徴について理解を深め、 マルチバンドの 3 つの画像を比較し、その特徴について理解を深める。 2.シングルバンド、マルチバンドの特徴について理解を深める。 0.概説 ◆リモートセンシング: 人工衛星や航空機に搭載したセンサーを用いて地表を観測し、そのデータから環境や資源 などに関する有用な情報を得るための科学技術であり、非接触性、広域性、同時性が大きな 特徴である。リモートセンシングは手段であり、目的に合致したものであってはじめて意味を 持つものとなる。 ◆イコノス(IKONOS): アメリカの民間会社スペースイメージング社によって、1999 年 9 月にバンデンバーグ空軍基 地から打ち上げられた衛星の名称で、地上にある1メートルの物体まで見分けることが可能。 停車中の車や樹木なども識別できる解像度で、商用衛星としては最高の精度をもつ。高度 680 キロメートルの軌道を南北に周回し、1時間 28 分かけて地球を1周、全世界を3日でカバ ーすることができる。 ◆ランドサット(LANDSAT): 地球を旋回し地上を観測している5つの人工衛星の名称。ランドサット1,2,3は MSS (Multispectral Scanner)センサーを搭載し、ランドサット 4,5 は MSS センサーと Thematic Mapper (TM) センサーを搭載している。 ◆Thematic Mapper (TM): これはランドサット 4 と 5 に搭載されているセンサーで、1 ピクセルが 30m で,また 7 つの波長 のデータをもっている。地上の状態を把握する衛星は数多く打ち上げられているが、TM セン サーをもったこの人工衛星のデータは現在最も活用されている。 ◆シングルバンド: TM データの7つの波長帯のうちの、ひとつのバンドだけを用いて画像を表すもの。各バンド ごとの特徴を生かし(後記)、地形を解析することができる。 1.使用データ ・IKONOS KUSATU IKONOS<デジタルジオ画像> 6nd793.tif ・草津市建物全体属性付.shp 2.演習手順 ※演習前の基本操作 ・Arc Catalog で Arc Map で今回用いるデータが入っているフォルダに接続させる。 ・Arc Map 上で今回用いる地図を表示させる。 ①シングルバンド・マルチバンド ⅰ.TIF 画像をマルチバンドのフォールスカラー画像で表示させる。 TIF 画像のレイヤプロパティを表示させ、「シンボル」でストレッチを選択すると、シングルバ ンド表示になります。 また、RGB 表色系に するとマルチバンドに なります。フォールス カラー画像にするには、 下記の「<参考2>」 を 参 照 して くだ さ い 。 (フォールスカラー画 像では(R.G.B)= (4,3,2)となります。) ◆シングルバンドのレイヤプロパティ◆ 各バンドのレイヤプ ロパティで、いろいろ な色を試してみてくだ さい。また、マルチバ ンドでは、いろいろな 表示方法についてた めしてみてください。 ◆マルチバンドのレイヤプロパティ◆ <参考1>各バンドの特徴について ◆ バンド 1 (波長 450∼520nm)・・・陸域と水域との区別がほとんどできないバンドである。しか し土壌と植生との分類には適しているバンドで、植生度が高いほど暗く見える。また針葉樹と 広葉樹との判別にも用いられ、植生分析に効果を発揮する。 ◆ バンド 2 (波長 520∼600nm)・・・水域と陸域の判別がはっきりしないバンドである。また肉眼 では可視光線域にあり、緑色にみえる波長帯にある。よって CCT 値が低いほど、植物の活力 度がある。 ◆ バンド 3 (波長 630∼690nm)・・・このバンドは、可視光域にあり肉眼では赤にみえる。陸域と 水域とがはっきり判別でき、陸域は明るく(CCT 値が高く)、水域は暗く(CCT 値が低く)見える。ま た、クロロフィルの吸収度の指標にもなり、吸収するほど(植生度が高いほど)赤色に見える。つ まり CCT 値が低くなる。 ◆ バンド 4 (波長 760∼900nm)・・・近赤外線領域にある波長帯であり、肉眼では感知できない バンドである。植物活性度の指標になるバンドであり、陸水の判別にも適している。この点にお いてはバンド 3 に類似している。またバンド 4 はバンド 3 の効果に加え、地形図の判読にも適し ている。この理由として、波長が可視光域の光波(バンド 1,2,3)に比べ長いので、大気の影響に より散乱されることが起こりにくいからである。これにより、より鮮明で地形図の判読に必要な 影の情報も読み取れるのである。具体的には都市部がやや暗めに見えるという特徴も有して いる。ここで注意しなければならない事として、バンド 4 の場合は植生度が高いほど、明るく見 える(CCT 値が高く)事である。これはバンド 4 の波をより反射するからである。 ◆ バンド 5 (波長 1550∼1750nm)・・・短波長赤外線領域の波長であり、主に陸水域の判定と、 植物や土壌の含水量の指標に用いられる。陸域は明るく見え、水域は暗く見える。 ◆ バンド 6 (波長 10400∼12500nm)・・・このバンドは熱赤外線領域の波長であり、主な効果は 温度測定の指標になる事である。温度が高いほど明るく見え、低いほど暗く見える。 ◆ バンド 7 (波長 2080∼2350nm)・・・短波長赤外線領域の波長帯で、地質における熱水変質 地域の識別に適するバンドであるが、現在この分野での研究はあまり行われていない。植生 域や水域は暗く見え、裸地や露岩地帯は比較的明るく見える。 ⅱ.「草津市建物全体属性付」のレイヤを TIF 画像と重ねて表示させる。 「草津市全体建物属性付」レイヤと、「TIF」レイヤ を重ねて表示させてください。今回は、これもレイア ウトに加えてください。 ◆重なったレイヤ◆ 下記に、画像のカラー表示について示します。 <参考2>画像のカラー表示について ⅰ.シュードカラー法・・・単一バンド画像の濃度値(CCT カウント値)の範囲を複数個の区分に分 解、その区分の濃度レベルをそれぞれの色に対応させて(各濃度レベルごとに色を割り当てる)、 白黒の濃 淡の代わりに色彩区分画像として表示する。 ⅱ.フォールスカラー法・・・複数の単バンド画像を RGB 合成する。同一地域を複数のバンドで同時 に収集した画像に対し、互いが異なった情報を有する複数の画像をフィルタ等を用いることで、そ れぞれの異なった色に着色した後に合成した画像を作成する。 ⅱ-A フォールスカラー画像 (R,G,B)= (4,3,2) 航空写真の赤外カラー写真と同じイメージであり、植生や地形の判断等によく用いられる。 …………………森林:赤色 …………………作物のある田畑、野草地、芝のあるゴルフ場:桃色(黄褐色) …………………市街地、湿地、収穫後の水田:青っぽい …………………水域:青色 …………………裸地:白っぽい …………………雲、雪:真白 ⅱ-B ナチュラルカラー画像 (R,G,B)= (3,4,2) フォールスカラー画像よりも肉眼で見る色に近いイメージであるため、出力される場合が多い が、判読のしやすさでは、フォールスカラー画像に劣る。 森林:緑色 農作物のある田畑、野草地、芝のあるゴルフ場:桃色(黄褐色) 市街地、湿地、収穫後の水田:青っぽい 水域:青紫色 裸地:白っぽい 雲、雪:真白 ⅱ-C トゥルーカラー画像 (R,G,B)= (3,2,1) 肉眼で見るのと同じイメージであるが近赤外の情報が含まれていないため、植生等の判読に は不向きであり、背景情報としての利用が有効である。