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埼玉県国際理解教育推進事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
1 世界ふれあい事業、シンガポールへの海外派遣の取組
<本事例の特徴>
本市は、小・中学校の国際理解教育において、地域在住の外国人等を学校へ招き、
「世
界ふれあい事業」を実施している。また、平成11年度より中学生の海外文化交流派遣
事業を実施している。
1 世界ふれあい事業
<学校種> 小・中学校
<具体的な取組や成果>
(1) ねらい
小・中学校の国際理解教育において、地域在住の外
国人や海外経験の豊富な日本人を活用し、児童生徒
が異文化・外国の生活等を学び、国際理解を深めるこ
とを目的とする。
(2) 人材バンク
本市では、国際理解教育ボランティア人材バンクリ
ストを作成し、年度当初、各学校に啓発し世界を学ぶ
機会を提供している。人材バンク登録人数は30名を
超え、世界21か国となるなど、年々充実を図ってい
る。
(3) 成 果
世界ふれあい事業は、総合的な学習の時間、社会科
の授業で活用されている。世界を身近に感じ、言語や
生活の違いに驚くなど、児童・生徒の興味や関心は高
まっている。講師のプレゼンも工夫され、充実が図られた。
2 本市中学生海外文化交流派遣事業
<学校種> 中学校
<具体的な取組や成果>
(1) 具体的な取組
『Treasure each encounter
~出会いを大切に~ 』
本市では平成11年度からシンガポー
ルに中学生を派遣し、社会、文化、自然等
に触れ、体験的な学習を通して、国際理解
を深めるとともに、我が国の歴史や文化・
1
埼玉県国際理解教育推進事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
伝統に対する誇りを培い、世界に貢献しようとする日本人の育成を目指した事業
を推進している。今年度の派遣団は、市内15校より各校代表30名の生徒(男
子15名、女子15名)と引率者4名で訪問した。
【日程】
7月23日(土)日本を出発。シンガポールに夕方着。
7月24日(日)セントーサ島でグループ活動。
現地の方との交流。
7月25日(月)シンガポール日本人学校訪問。
市内文化施設見学。
7月26日(火)南華中学校訪問。中学生班別市内文化施設
見学。シンガポール出発。日本着。
(2) 成 果
本事業のまとめとして、市役所での報告会や、各学校での朝会等で報告会が行われ
た。今回の派遣では、天候に恵まれ、参加者全員が健康であったこと、現地の温かな
受け入れ態勢にも恵まれたことなど、派遣団の研修が生き生きと続く中で元気に行っ
て来られたことが何よりの大きな成果であった。
中学生にとって、緊張の中にも新鮮な驚きと感動の連続、一人一人の心に刻み込ま
れた体験の数々は、一生涯の大きな財産になったと思われる。国際交流を終えた今、
一人の日本人としての自覚・責任・誇りが芽生え、今ある学校生活とこれからの長い
人生にどう活かしていくか、大いに期待する。
2
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
2 オランダの姉妹都市への海外派遣
<本事例の特徴>
本市では、姉妹都市であるオランダのナイメーヘン市に毎年30名の中学生を派
遣している。友好関係の構築とホームステイをとおして異文化に触れ、国際社会で
貢献できる人材の育成を目指している。派遣の概要、派遣後の各学校での成果の報
告や交流事業について紹介する。
<学校種> 中学校
<派遣先> フランス・パリ
<期 間>
オランダ・ナイメーヘン市
平成23年8月21日~8月28日(8日間)
<具体的な取組や成果>
(1) 中学生海外派遣の概要
平成7年度から始まった「中学生海外派遣事業」は本年度で15回目となる。
参加者は2,3年生であり、のべ435名の中学生が海外派遣事業に参加した。
交流校の生徒の家でホームステイを体験し、互いの文化を紹介し合ったり、異文
化に触れたりと、とても充実した派遣となっている。また、ナイメーヘン市庁舎
への表敬訪問も実施しており、市の代表としての役割も果たしている。
ナイメーヘン市からの生徒も受け入れ、学校訪問、行事への参加、日本の家庭
へ滞在、日本文化を体験する機会もあった。
派遣前には事前研修会を行い、現地情報や交流内容の計画、市内のALTとの
英会話の練習等を行っている。また、事前にホームステイ先と電子メールで情報
交換を行い、不安を和らげるだけでなく、現地での交流活動に大いに役立ってい
る。
(2) 帰国報告会
海外派遣参加者は「帰国報告書」を作成し、10月には市長をはじめ多くの来
賓を招待して「帰国報告会」を行っている。
9月の文化祭には、全校生徒に海外派遣の様子や思い出に残ったこと等を報告
している。また、廊下等に派遣の様子を掲示し、次年度の派遣へ向けて関心を高
めようと各学校で工夫している。
帰国後は派遣参加者が、授業や行事等の教育活動に積極的に取り組み、学校の
リーダーとして活躍していることが、大きな成果の一つである。
オランダでのホームステイの生活は、言葉の壁がありすごく大変でした。しかし、
ジェスチャーや英語の辞書を使いながら、一生懸命に表現することができました。
ホームステイ先の家族の人たちは、とても親しみやすい人たちでした。家族の人た
ちが一生懸命日本語で伝えてくれたことが、とてもうれしく感じました。
この海外派遣に参加して学んだことは、言葉や生活の仕方が違っていても、真正
面から向き合い、体を使って表現することで、お互い理解し合えることが分かった
ことです。この海外派遣はとても貴重な体験でした。
3
〈帰国報告書より〉
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
3 ニュージーランドへの海外派遣
<本事例の特徴>
本村では、中学生の希望者をニュージーランドに派遣している。9日間の派遣後、
帰国報告書をまとめ、個々の生徒の体験の成果を記録として残し、在校生徒全員に配
付している。
<学校種>
中学校
<派遣先>
ニュージーランド
<期 間>
平成22年8月16日~8月24日(9日間)
<具体的な取組や成果>
(1) 事前研修会
・ニュージーランドの文化や歴史、習慣や国の様子などを事前に学び、地理や国際理解
教育に役立てている。
・外国におけるマナーについて学習し、人と人のコミュニケーションの大切さや、日本に
おける社会規範やマナーの大切さを学んでいる。
・本派遣について、生徒一人一人に課題をもたせ、その解決に向けた取組を通して、生徒
一人一人の成長につなげている。
(2) 報告書の作成と活用
・帰国後、生徒一人一人が個々の課題に対
して成果をまとめ、全体で報告書を作成
し、貴重な体験を記録に残している。
・報告書は、全生徒に配布し、今後の参考
にいかすと共に、生徒一人一人の国際理
解と国際感覚の向上に役立てている。
・海外派遣をとおして学んだことと、日常
の自分の生活や生き方を比較すること
によって、自分を見つめ直し、日本及び
ふるさとのよさに気付く機会として成果
を上げている。
4
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
4 ドイツ・フィンランドへの海外派遣
<本事例の特徴>
本市では国際的視野から○○市を見つめる機会を作ることにより、将来の○○市
を担う青少年の国際感覚や国際認識を高めるとともに「ふるさと○○」への郷土愛
を育むことを目指して平成5年度から青少年海外派遣事業を行っている。以下は平
成20年度に行われた第12回の本事業の概要である。
<学校種> 中学校
<派遣先> ドイツ・ノイルッピン市、フィンランド・ユヴァスキュラ市
<期 間>
平成20年8月15日(金)から8月25日(月)まで(平成23年度は
震災の影響により中止とした)
<具体的な取組や成果>
(1) 出国前事前研修会
派遣前に現地の様子を知り、語学実習を重ねることで自信をもって出国すること
を目的として4回の事前研修会を実施した。選考を経てきた派遣生徒なので、大変
意欲的に取り組んでいた。主な内容は以下のとおりである。
【主な研修内容】
前回派遣団員による体験伝達、合唱練習、英会話実習、フィンランド語会話実習、
ドイツ語会話実習
(2) 帰国後情報交換会ほか
派遣団員がそれぞれテーマに基づいた発表を行った。ホームステイ先の出来事や、
それぞれの訪問先で得た体験を生き生きと報告し、情報を共有することができた。
以下は主なテーマである。
【派遣団員が設定した主な研究テーマ】
「ドイツの食生活について」
「ドイツの音楽について」
「ドイツの環境について」
「ドイツのスポーツについて」
「フィンランドの音楽について」
「フィンランドの学力について」 「フィンランドの自然について」
また同事業における成果を『平成 20 年(2008 年)第 12 回○○市青少年海外派
遣報告集』としてまとめ市内各小・中学校に配布することで、その成果を広めた。
【ある派遣団員による報告の一部】
○ 日本に帰ってきてから、私はドイツやフィンランドで学んだいろいろな事を
実行しています。周りの人からも「海外から帰ってきて少し成長したね。
」と言
われ嬉しく思っています。
○ ドイツとフィンランドでは多くの魅力を発見することができました。僕も日
本人として日本の魅力を再発見し、日本の誇れる魅力を外国の人々に伝えてい
きたいと思います。
5
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
5 オーストラリアへの海外派遣①ホームステイの受け入れによる交流
<本事例の特徴>
本市では、中学校2年生を夏季休業中にオーストラリアに派遣している。また、
海外派遣後には、受け入れてくれた現地校の生徒が本市を訪問し、ホームステイを
行うなど、交流を深めている。
<学校種>
中学校(2年生)
<派遣先>
オーストラリア・シドニー
<期 間>
平成23年8月1日~8月10日(10日間)
(1) 文化祭での発表
市立中学校からの派遣生徒2名が、平成23年度の文化祭、体育館において全校
生徒の前で発表。発表の中では、スライドも活用した。
○世界遺産
オーストラリアにある
世界遺産の中で、2 つ
見物させていただきま
した。世界遺産の素晴
らしさに圧倒されまし
た。
○住まい
ステイ先のベランダ
です。この家はマン
ションです。とても
広くて、バーベキュ
ーセットやイス・テ
ーブルがあったこと
に驚きました。
6
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
○服装
学校スタイルです。日本でいう
制服のようなものを着ていた
り、ウインドブレーカーなどの
ようなものを着ていたりする生
徒もいました。
<感想>
この10日間で学んだことは、「思いやり」と「感謝」です。言葉が通じなくても、
うまく会話ができなくても、心と心は繋がれる。「何か困っていそう・・・」など、知
らない人でも助けてあげようという思いが生まれます。また、喜びには、自分だけの喜
びではなく、周りで助けてくれた人がいるから感じられる喜びがあるということを改め
て感じました。
このように、この海外派遣事業に参加して、人の気持ちを今まで以上にわかってあげ
られるようになりました。とても、よい思い出ができました。
(2) 市長への帰国報告会
8月22日(月)に、高校生海外派遣団と合同で帰国報告会を実施。派遣生全員
が、市長の前で帰国報告を行い、その成長ぶりを披露した。
○生徒の報告から
参加者全員が○○市の代表であるという気持ちと、各人がそれぞれの目的をもって臨
んだホームステイ。10日間という短い時間の中、言葉の壁がある中で自分の気持ちや
日本の文化を伝え、オーストラリアの文化や英語でのコミュニケーションを学び、やれ
るだけのことを精一杯やれたという満足感が今でも沸き起こってきます。
お別れパーティーでは、全員で日本の遊びをし、市民歌を派遣生全員で歌い、最後に
オーストラリアの国歌をトランペットで演奏しました。ホームステイ先の家族やノース
ミード・ハイスクールの先生方にも起立して斉唱していただき、日本とオーストラリア
という国を超え、全員が一つになれたと感じました。これを機会に、さらに英語学習に
力を入れたいと思いました。
7
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
(3)「海外派遣報告書」の作成
海外派遣生全員の報告書を綴じ込んだ冊子を作成して市内の公民館や図書館に
配布し、市民の方々に閲覧していただくとともに、次年度の派遣生の募集にも役立
てている。
(4) 帰国後のホームステイの受け入れ体験
海外派遣後、現地受入れ校の生徒を受け入れている。ノースミード・ハイスクー
ルからの派遣団の来日は、今年度は震災の影響で中止となったが、多くの生徒が、
様々な機会に積極的にホームステイを受け入れている。
○受け入れ生徒の感想
私は8月の海外派遣事業に参加させて頂き、今度は私がバディとなりオーストラリア
の方々に感謝の気持ちを表したいと思っていたところ、学校で「オーストラリア生徒の
受け入れ」の家庭を募集していることを知り、さっそく応募しました。
受入当日はオーストラリアの生徒と対面した後、共に美術の授業に参加して、絵巻物
などをかき、日本の文化を学んでもらい、放課後は自分が習っているバレエ教室に行き
一緒にレッスンを受けました。その後○○市内をドライブ、夕食は本人の意向もあり、
お好み焼きを一緒に作って食べました。そして次の日の朝、お別れという、本当に短い
時間だったのですが、私の拙い英語でも何とかコミュニケーションをとり、バディとの
信頼関係も築けたと思っています。
8
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
6 オーストラリアへの海外派遣②ホームステイの取組
<本事例の特徴>
本市では、9名の中学生をオーストラリアに派遣している。派遣に際しては、毎
年テーマを設定し、そのテーマが達成できるような取組を行っている。9日間の派
遣後、報告書をまとめ、それをもとに、各校で帰国報告会を行っている。また、授
業においてもその成果を生かすように指導を行っている。
<学校種> 中学校
<派遣先> オーストラリア
<期 間>
平成23年7月25日(月)~8月2日(火)
(9日間)
<具体的な取組や成果>
~本年度のテーマ~
“積極的にコミュニケーションを取り、互いの国の自然や文化、生活について伝え合おう。
”
(1) 事前学習会の実施
派遣事業前に、英会話の事前研修を3回行った。中学2年生における英会話の
能力を3回程度の研修で向上させることは難しいが、上記の目標を達成させるた
め、事前研修資料(会話編)を配布し、話そうとする姿勢や会話を続ける上での
役に立つ表現に重点を置き、指導を行った。
会話を続けるのに便利な表現【例】
※相手の英語が分からないとき
少し待って欲しいとき
Well…(えーと)
Just a minute.(ちょっと待って)
..
.
聞き返すとき
Once more, please.(もう一度言って下さい。) Pardon.(もう一度言って。) .
.
.
相手のスピードが速いとき
Please speak more slowly.(もう一度ゆっくり言って下さい。)
..
.
相手の声が小さくてよく聞き取れないとき
Will you speak louder? (もう少し大きな声で言って下さい。)
.
.
.
上記のように、実際に会話の中で困ったときに使える表現を学ぶことにより、
事前研修の最後のホームステイを想定した会話演習では、少しずつ積極的に話そ
うとする姿勢が見られるようになった。また、生徒達からも、自分で言いたいこ
とを英語ではどう表現するのかについて、積極的に質問することができるように
なった。
(2) 帰国報告会
帰国報告書を提出し、それを元に各校で全校集会を行い、オーストラリアのホ
ームステイで印象に残ったことや学んだことについて、全校生徒に報告をすると
共に、来年度以降への参加の意欲を高めるような話をした。
9
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
報告内容の一部
・日本とオーストラリアの違いをたくさん見つけることができました。その
一つは、建物の違いです。東京はビルが多く、シドニーは公園が多いという
ことです。
(K中男子)
・オーストラリアでは、主食が米やパンではなく、ジャガイモやかぼちゃで
あることに驚きました。また、味ははっきりしていて、甘いかしょっぱいか
です。
(K中女子)
・驚いたことは、シャワーの時間がおよそ5分
だったということです。オーストラリアは深刻
な水不足であるため、節水をしていました。
(T中女子)
・オーストラリアの紙幣は、プラスチックで
できています。何故プラスチックでできている
かというと、偽造されにくくするため、また、水にぬれても破れにくく、紙
でできている紙幣より3~5倍くらい丈夫で、長持ちするからです。こうい
うのも資源を大切にしていると感じました。(T中男子)
・初めて家に行ったときは庭の大きさに息をのむほどでした。グランドの3
分の1ぐらいありました。カンガルーが遊びに来てたり、ワライカワセミが
鳴いてたり、自然がとても美しい場所でした。(T中女子)
・僕はこの研修で、かなり成長できたと
思います。後輩の皆さんも、この経験を
してもらいたいと思います。
(T中男子)
(3) 英語の授業での活用
授業では、写真等を用いながら、オーストラリアと日本について、自然や学校
の授業の違いなど、一番印象に残ったこと等について派遣された生徒が話をした。
また、コミュニケーションを行うには英語が重要であるとともに、ジェスチャー
等を使い、積極的に話そうとすることが大切であるという話もした。その話を聞
き、「自分も将来オーストラリアを訪問してみたい。」「海外に行くことができた
ら、積極的に話しかけたい。
」という感想を述べる生徒がいた。
10
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
7 オーストラリアへの海外派遣③
ハローワールド』
その後の英語授業や文化祭り
<本事例の特徴>
本町では、15名の中学生をオーストラリアに派遣している。派遣に先立ち、ネイ
ティブスピーカーや英語科担当教員による英会話の練習講座、約一週間の派遣後の帰
国報告会や授業での成果の発表について紹介する。
<学校種> 中学校
<派遣先> オーストラリア
<期 間>
夏休み中の約一週間
<具体的な取組や成果>
(1) 英会話講座
派遣前(約2か月前)に、英会話講座により、日常生活でよく使用するフレーズ
を練習した。また、派遣先であるオーストラリアについて調べ学習をしたり、ホス
トファミリーに日本をどのように紹介(説明)するか、グループに分かれて話合い
を行ったりした。そして、派遣1か月ほど前、全生徒のホストファミリーが決定し
たため、生徒各自がそれぞれのホストファミリー宛に絵手紙を書いた。
英会話講座での内容
・入国審査時の会話
・ホストファミリーとの welcome party での最初の挨拶
・日常生活での会話
・自己紹介
・買い物をする際の会話
等
英会話講座で学習した内容を、英語の授業導入の時間(7分程度)で行ったとこ
ろ、派遣以外の生徒も楽しそうに学んでいた。
(2) 帰国報告会
派遣は2、3年生対象である。そのため、まず、学年集会で派遣された生徒が写
真やホストファミリーにいただいたものを紹介しながら発表をした。その後、全校
集会にて、ステージの上で帰国報告を行った。ステージにスライドを用意しておき、
写真を見せながら報告ができるようにした。
9月上旬に文化祭があるため、1教室確保し、その教室を海外派遣発表エリアに
した。生徒は帰国後、夏休み中に、一人1枚の模造紙に海外派遣のまとめを行い、
展示をした。また、ホストファミリーから戴いたプレゼントも展示したり、派遣先
でのビデオを上映したりした。
(3) 英語の授業での活用
帰国後、派遣時に訪れた学校の生徒から、日本語での絵手紙が届いた。その手紙
を英語の授業の中で紹介した。派遣以外の生徒は、外国の中学生が書いた日本語に、
外国の仲間が自分達の母国語を学んでいるということに衝撃を受け、感動した様子
だった。自分達も英語を一生懸命学び、相手の国の言語でコミュニケーションを図
11
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
りたい、という気持ちになった、という授業の感想があった。当初は派遣された生
徒のみが、お礼の手紙を書く予定だった。しかし予定を変更し、派遣以外の生徒は
自己紹介等の内容の手紙を書くなど、3学年は全員が英語で手紙を書いて送った。
数人の生徒はクリスマスカードの交換など、親交を継続している。
市役所を表敬訪問
ホストファミリ
しました。
ーと動物園へ!
一緒に料理をしたよ!
美しいオーストラリアの海
さあ、食べよう!
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
8 オーストラリアへの海外派遣④
<本事例の特徴>
本町では、10名の中学生をオーストラリアに派遣している。8日間の派遣後、海
外研修報告会で、その成果を他の生徒に伝える取組について紹介する。
<学校種> 中学校
<派遣先> オーストラリア
<期 間>
平成23年7月28日~8月4日
(8日間)
<具体的な取組や成果>
(1) 海外研修報告会
9月22日(木)の学校祭において、オーストラリアの印象や体験入学先で一
番心に残ったこと等について全校生徒に写真を提示しながら報告をした。海外派
遣でのさまざまな体験をとおして精神的に成長したことを伝え、来年度以降の海
外派遣に対しての積極的な参加を呼びかけた。
(2) 帰国報告会より(一部抜粋)
学んだこと、感じたことはたくさんありました。
まず、食文化の違いです。午後2時頃に、ほぼ昼食と同じような量のアフタヌーンティ
ーがあることや日本とは食べる量が全く違うことです。最初は戸惑いましたが、だんだん
慣れていきました。オーストラリアの料理はどれもおいしく、日本にもアフタヌーンティ
ーがあればいいなと思いました。
また、水道水は飲まず、ペットボトルの水を毎日飲んでいました。
自分の気持ちを英語で伝えたり、聞き取ることが大変でしたが、日本から離れることで、
日本のよいところをたくさん見つけることができました。今回の体験を将来に生かし、日
本だけでなく、海外にも目を向け、国際感覚を身に付けたいと思いました。
(3) 取組の成果
報告会での話を聞いて、「ぜひ来年は参加したい。」「今まで以上に英語の授業を
頑張りたい。」等の声が多数聞かれた。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!ハローワールド』
9 オーストラリアへの海外派遣⑤
<本事例の特徴>
本市では20名の中学3年生をオーストラリアに8日間派遣している。派遣前に
は事前研修があり、出発前の準備等に加えて、現地校でのサヨナラパーティーの出
し物のソーラン節の練習も行っている。帰国報告会は、市民の方にも公開している。
<学校種> 中学校
<派遣先> オーストラリア
<期 間>
シドニー方面
平成23年7月31日(日)~8月7日(日)
<具体的な取組や成果>
(1) 事前研修会
今年度は事前に4回の研修会を行った。内容は派遣生
全員で話し合いながら、海外派遣のテーマを決めたり、
現地校の最終日に行われる「フェアウェルパーティー」
の出し物を考えたりして、練習も行った。また、昨年度
の派遣生から、体験談を聞いた。その他、出発までの準
備や心構えを伝えるなど、有意義な研修を行った。
(2)派遣先での生活や現地校でのフェアウェルパーティー
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!ハローワールド』
生徒たちは最初、緊張や不安を隠し切れない様子であった。しかし、現地ではあっと
いう間に溶け込み、訪問先の学校では実践的な授業が多く、充実していて、楽しい日々
を過ごすことができた。ホームステイ先では、最初は英語に慣れていなかったが、少し
ずつ自信をつけ、英語をさらに上達させたいという意欲が高まった。また、自分の特技
や書道などの日本文化を紹介したりして、互いにコミュニケーションを図り、よい経験
となった。フェアウェルパーティーでは出発前に全員で練習したソーラン節を見事に披
露し、一緒に「We are the world」を熱唱した。
(3) 海外派遣報告書「翼をひろげて」の発行・帰国報告会
派遣生の感想録より
私はチャレンジ精神とコミュニケーション力を学びました。今回のプログラムを知
った時、私は迷わず応募しましたが、現地に行ってみると戸惑うこともあり、会話も
スムーズにできませんでした。やがて雰囲気にも慣れ、自然に英語が出てきて会話が
楽しくなりました。もしもあの時、不安やためらいがあったら、今の満足感や達成感
が得られませんでした。何事にも第一歩を踏み出すことの大切さを学びました。今で
もバディーや先生とメールを楽しんでいます。国境を越えた絆と夢のような時間と思
い出は、私にとって一生の宝物になりました。
私はこの海外派遣で、文化の違いがあっても、心は通じ合えるのだと思いました。
私のつたない英語でも現地のみなさんは、私の言っていることをしっかりと聞いてく
れました。それに相手の方も日本語で話そうとがんばってくれました。このときみな
さんの優しさを感じることができ、私は嬉しくなりました。またホストファミリーの
方々も優しく気を遣っていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。この経験で、自分
がまだまだ未熟だと感じ、知らないことばかりだと思いました。これからはこれらの
経験を生かし、もっと世界のことについての知識や理解を深めていけるよう努力して
いきたいです。
15
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!ハローワールド』
私たちは現地の学校に通いましたが、そこには様々な人たちがいました。学校
へ行くと、何人かの生徒が日本語で挨拶をしてきました。みんな仲が良く、親し
みやすかったので、たくさんの友だちができました。私にとっては、掛け替えの
ない時間を過ごすことができました。だから別れるときには、ものすごく寂しい
思いをしました。この海外派遣を通してわかったことは、
「国境はあっても、心の
国境は無い」ということです。両親をはじめ、皆さんの支えがあって、一生の宝
ができたことに感謝しています。このことを将来の夢につなげていきたいです。
帰国報告会は、8月29日に、○○市役
所の第二庁舎で行われた。保護者、学校関
係者に加え、市民の方にも公開して行った。
本市では、
「○○市子ども教育ゆめ基金」
という市内小・中学校の国際理解教育事業
に支援していただける市民や事業者から
の寄附金を積立てており、その一部を費用
として活用している。そして、その寄付を
いただいた方たちも報告会に招待してい
る。今年度は5名参加いただいた。本事業
は広く、市民の方々にも理解と協力を得て
行われている。
16
平成23年度 ○○市立中学校海外
派遣報告書「翼をひろげて」
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド
10 オーストラリアへの海外派遣⑦
<本事例の特徴>
本町では、20名の中学生をオーストラリアに派遣している。7日間の派遣後、文化
祭での活動報告会や、活動報告書の作成を通して、派遣事業の成果を他の生徒に伝える
取組について紹介する。
<学校種> 中学校
<派遣先> オーストラリア
<期 間> 平成23年8月18日~8月24日(7日間)
<具体的な取組や成果>
(1) 文化祭での活動報告会
派遣された中学生が在籍する中学校の文化祭で、スポーツや衣食住の文化について、
スライドショーを用いて全校生徒に報告した。
○生徒の文化祭での発表から
テーマ:オーストラリアの住まいと交通
オーストラリアのコンセントは、日本と違って
タイプ O という形をしています。電圧は250V
で、日本の電気製品を使う場合は、変圧器という
装置が必要になります。
これはタイプ0で
す。250Vで、日
本 よ り 電 圧が 高 い
です。
オーストラリアでは市街地にモノレールが走っている
など、交通手段がとても充実していました。また、様々な
種類の道路標識が見られ、たくさんの発見がありました。
(2) 活動報告書の作成
生徒一人一人がテーマを決めて、オーストラリアでの体験をレポートにまとめた。テ
ーマは、自然や食事、言語についてなど、様々であった。ホームステイ先での生活の様
子も詳しく知ることができ、生徒同士の情報交換にも役立った。
○中学生研修報告書の一部から
この海外派遣でオーストラリアに行ったことで、ぼくの人
生は大きく変わったと思います。また、物の考え方や感じ
方も大きく変わりました。ここで積んだ経験と思い出は、
一生忘れません。
最後になりましたが、海外派
派事業に関わってくださった皆さんに心から感謝いたし
ます。本当にありがとうございました。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
11 オーストラリアへの海外派遣⑦
<本事例の特徴>
本町では平成10年度より中学3年生をオーストラリアに派遣している。中学校
においては海外派遣に向けた事前学習や帰国後の報告会を実施している。
<学校種> 中学校
<派遣先>
オーストラリア
<期 間>
毎年8月中旬から下旬にかけての7日間
<具体的な取組や成果>
(1) 事前学習
国際理解教育の一環として、総合的な学習の時間
において「日本の文化を紹介しよう」と題して、衣・
食・住における日本の特徴的な事柄についてインターネット等を利用して調べ、図や
文章にまとめる。それを英語に訳して報告書にまとめたり発表したりする。
海外派遣に参加する18名の生徒は、他の生徒が調べた内容も加えて、海外派遣の
際に現地のホストファミリーに紹介した。
(2) 帰国報告会
帰国後、総合的な学習の時間において学年の
全生徒に対して帰国報告会を実施した。7日間
の体験をもとに、写真をプロジェクターに映し
出し、参加生徒それぞれが生活文化の違いや食
文化の違い、現地の学校の様子などについて発
表した。
オーストラリアは水不足のため、お風呂
はシャワーだけでお湯につかることが
できません。シャワーの使用時間も限ら
れていました。市内には大きな川が流れ
ているのに水不足というのは意外だな、
映像と合わせ、貴重な実体験を聴くことをと
おして、参加していない生徒もオーストラリア
の文化を感じ取ることができた。
学校訪問も印象に残りました。学校の大きさと
服装や髪型など自由な学校生活にびっくりし、
また、昼食の後にティータイムがあることにも
驚きました。一緒に体育の授業でサッカーをし
たり、習字をしたり、クラスのみんなで手巻き
寿司をつくったりして楽しく交流できました。
18
日本は恵まれているなと実感しました。
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
12 オーストラリアへの海外派遣⑧
<本事例の特徴>
本市では、22名の中学3年生をオーストラリアに派遣している。派遣生は、11
日間の研修期間中に8泊のホームステイを体験し、異文化理解を深めている。また、
現地の高校や小学校にて授業に参加しながら、日本文化の紹介及び交流活動を行って
いる。
<学校種> 中学校
<派遣先> オーストラリア
<期 間>
クィーンズランド州
ロッキャーヴァレー市
他
平成23年7月21日(木)~7月31日(日)
<具体的な取組や成果>
(1) 具体的な取組
ア 帰国報告会の開催(8月下旬)
・市長及び市議会議長、中学校長会長の臨席のもとで、研修報
告を行った。海外での滞在中に体験したホストファミリーと
の生活、現地の生徒との交流を通して「感じたこと」や「学
んだこと」を、派遣生一人一人が報告した。派遣前に比べ、
堂々とした態度で報告している姿を見て、派遣生の大いなる
成長を感じることができた。
・派遣生たちからは、
「日本とオーストラリアとの違い」や「言
葉がよく分からなくても気持ちは通じ合える」といった声が
多く聞かれた。
イ 中学校での体験報告(9月)
・2学期の始業式や全校(学年)集会等において、派遣生がオーストラリアでの体験を
報告し、研修内容を他の生徒にも共有化することを図っている。派遣生の体験報告を
聞いた下級生からは、
「来年は自分も応募したい」
「英語の学習に真面目に取り組んで
いく」などの感想が聞かれた。
【派遣生からの発表内容(例)
】
○現地の人々の様子について
*家族や周囲の人々を大切にする気持ちが強く、困っている
人を見かけるとすぐに声をかけてくれる。
*夕食後や休日などの家族と過ごす時間や、身の周りにある
自然を大切にしながら生活している。
*中・高校生も家族の一員として、責任を持って家庭内での
役割を果たしている。日本のように「勉強だけしていれば
よい」という意識の中学生はいない。
19
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
○豊かな自然について
*美しく大きな自然の中で生活している。時間がゆったりと流れている気がした。
*夜間に広がる満天の星空(天の川など)は、日本では決して見ることができない。
○日本との気候の違いについて
*日本とは季節が反対になる。冬は昼夜の気温差が大きく、昼
間は半袖で過ごしている人も多く見られた。
*冬は乾季となり、降雨量が非常に少ない。郊外の家では雨水
を貯めておくための大きなタンクが設置してあり、水を大切
にしながら生活している。シャワーや食器の洗浄なども短時
間で済ませるように気を遣っていた。
○現地校の授業について
*日本の学校にはない科目「ドラマ」や「映画」、「航空力学」な
どの授業に参加させてもらった。また、
「音楽」や「ダンス」の
時間には、互いに演奏を披露し合ったり、リズムにのって踊っ
たりして、現地の生徒と楽しく交流を図った。休憩時間には、
気がつくと心からの笑顔で談笑していた。
○オーストラリアの通貨について
*オーストラリアで流通している最も金額が小さいのは、5セント硬貨
である。日本の1円玉にあたる硬貨がない。そのため、買い物をした
際には、下記のように、5セント単位での支払いとなるので注意が必
要である。金額によって、切り上げたり、切り下げたりしてお金を払
っている。
セント
0
1
2
3
4
5
切り捨て 切り上げ
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16
切り捨て 切り上げ
切り捨て 切り上げ
ウ 海外派遣パネル展(10月)
・○○市役所1階にある「市民ホール」にてパネル展を開催し、
市役所を訪れた市民の方々に研修内容を知っていただく機
会を設けている。研修地である「ロッキャーヴァレー市」や
研修中の派遣生の様子を写真等で紹介し、本研修の内容や意
義等について理解を深めていただいている。
エ 帰国報告集の作成(12月)
・派遣生及び引率者から提出された「研修で学んだこと」を取りまとめ、
帰国報告集を作成している。完成した冊子は、研修生はもとより各中
学校に送付され、国際理解教育推進のために活用されている。
20
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
(2)成
ハローワールド』
果
実際に英語を使用ながら現地の家庭において派遣生が生活することは、教室での英
語学習では学ぶことのできない貴重な体験であり、異文化理解を深める絶好の機会で
ある。また、日本と異なる生活習慣や文化の中で暮らすホストファミリーとの生活を
通して、今まで気づくことのなかった自国の文化・伝統の「よさ」を実感することに
もつながっている。派遣生は、将来、国際感覚を身につけた広い視野を持った人材と
して育つことが期待できる。
21
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
13 外国語活動における歌声タイムや掲示コーナーの工夫
<本事例の特徴>
本校では、ALTとともに、外国語活動の授業に取り組んだり、業前の歌声タ
イムにおいて英語の歌を歌ったりした。また、外国語コーナーを作り、教具の整
備も進めた。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 外国語活動の時間
毎時間ALTとともに外国語活動の授業を行っている。A
LTを中心に、なるべく英語のみで活動を行ったり、
「Culture
time」としてALTに自国の文化について紹介してもらった
りすることで、英語の音や他国の文化について理解を深めた。
また、授業後に「英語振り返りカード」を児童に書かせ、振
り返りをさせた。
○「振り返りカード」児童の感想より(一部)
・中国では2月にお正月をするのだと知ってびっくりした。
・アメリカと日本のバレンタインデーが違うことがわかった。
・暑いクリスマスがあるなんて驚いた。サーフィンをしているサンタクロース
を見てみたい。
(2) 歌声タイム
毎月「今月の歌」を設定し、月に1回全校で歌声タイム
を行っている。今年度は、7月と12月に英語の歌を取り
入れた。
・7月 Head, shoulders, knees and toes
・12月 We wish you a Merry Christmas
児童は、英語の音やリズムに慣れ親しむとともに、振り付
けなどとても楽しんで活動することができた。
(3) 外国語コーナーの設置・教具の整備
外国語教材の充実を図るため、フラッシュカードやDV
D、音声教材などを整理している。今年度、新たに世界地
図や野菜や果物等の具体物を購入し、教具の充実を図った。教具は、授業で使用する
他、休み時間などにも児童が興味をもって触れられるよう、外国語コーナーを設け、
外国文化の理解を深めた。
22
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
14 外国語活動における「七つの扉ゲーム」の開発
<本事例の特徴>
本校は、「国際感覚をはぐくむ国際理解教育の推進」をテーマとし、国際感覚をひ
とつの「コミュニケーション能力の素地」ととらえ、その力を育むための外国語活動
の教材開発と授業の充実に向け取り組んでいる。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 「七つの扉ゲーム」について
コミュニケ―ションの素地を養うねらいから「七つの扉ゲーム」という教材を考案し
た。これは単純な「物当てゲーム」で、扉の向こうに隠され
た「物を七つのヒント(教師のヒント+子どもの六つの質問)
をもとにしてつきとめるゲームである。
【活動の様子より(T:教師・ALT、S:児童)】
T:この扉の向こうに隠されている物を七つのヒントで当
ててください。
それでは、はじめのヒントです。それは果物です。
No.1 ヒント。 It’s a fruit! (繰り返して親しむ)
T:これから残りの六つの質問を受けます。
S:それは何色ですか。 What color?
(繰り返して親しむ)
T :黄色です。
It’s yellow! (繰り返して親しむ)
(2) 児童の反応・成果
・何が隠されているのかを想像しながら正解にたどりつくので、意欲的に取り組めた。
・質問のよさが正解に近づくカギになるので、想像を巡らすことができて楽しい。
・質問は、
「英語で言うとこうなるのか」ということが分かった。
・だんだんと何が隠されていたのか、分かっていくのが面白かった。
日常の会話やスピーチの中に身振りや手振りが見られ、伝えようとする意識の高まり
があり、コミュニケーション能力の素地作りを行うことのプラスの成果が見られた。ま
た、外国の出来事をクラスの1分間スピーチで紹介する児童も見られるようになり、国
際理解への関心が高まってきたと感じている。
23
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
15 外国語活動を活用した国際交流
<本事例の特徴>
外国語活動の楽しさを味わわせるため、国際交流につながる取組を実践した。実際にカ
ードを交換してメッセージのやりとりをすることで、児童が世界の広がりやつながりを感
じる取組となった。
<学校種> 小学校
<具体的な取組>
「外国語活動を活用する国際交流を推進する」という目的のもと、
「外国語活動(英語
活動)の楽しさを味わい、生き生きと活動し、英語に慣れ親しむ」というめざす児童像
を掲げて取り組んだ。
また、英語の楽しさについて、次のような観点から取り組んだ。
英語の楽しさ
○ 英語でコミュニケーションする楽しさ(使える喜び・わかってもらう喜び・
自分を表現できる喜び)
○ 異なる文化、言語を知り、わかり合う喜び
○ 共に学び、活動できる喜び
☆ 研究主題
「自ら学び、考える児童の育成」~豊かな表現力を育成する指導法の工夫~との関連
児童が出会ったばかりの英語表現を活用し相手に分かるように伝えたり、類推しながら
相手の伝えたいことを理解したりする活動を通して、児童のコミニュケーションを図ろ
うとする態度の育成を目指したい。また、外国の文化に触れることにより、自分たちの
日常とは異なる世界の広がりやつながりを感じ取ることができるようにしたい。このこ
とは児童が視野を広げ、多様な物の見方や考え方があることを体感し、豊かな心を育む
ことにつながると考える。
24
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
(1) リトル・トア小学校(アメリカ)との震災後の歌やメッセ-ジのやり取り
♪輪になって踊ろう
♪を日本語で歌って
いた姿をみんなでパ
ソコンで見ました。
2011:4月
アメリカ・リトル・トア小学校の友達が3・
11「東日本大震災」の後、YouTube 上で応
援のメッセージソングを歌ってくれました。
海を越えた、温かいメッセージ
に感激した5年生80名が感
謝の気持ちを込めて色紙にお
礼の言葉を書いたり、自分たち
の写真を貼ったりしてカード
をつくり、送りました。
(2) ピカドーム小学校(アメリカ)とのカード交換の取組
アメリカ・ピカドーム小学校(ケンタッキー州)
3.11「東日本大震災」のお見舞いカードをいただきました。
(廊下に掲示しているのはその中の一部)
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
「ともだち」と日本語で書いてくれたカードに2年生・3年生がロー
マ字で自分の名前を書き、日本のことを表す挿絵を入れて
「Thank you カード」をつくり、送りました。
(3) 日本文化(七夕)紹介の取組
7月・七夕5年1組・2組の教室
の笹に、5年生の児童の短冊と一
緒に、アメリカピカドーム小学校
の友達のカードも飾りました。
「みんなの願いが叶いますよう
に!」
写真に撮ってピカドーム小
学校に送りました。
※日本文化・行事の一つを
紹介できました。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
(4) 互いの学校生活の紹介
「お互いの学校生活を紹介しよう」
(12月~2月)
5年生の外国語活動で互いの国の学校生活(時間割表)を紹介する単元を設定。
ピカドーム小学校のお友達と、時間割(教科)
・学校生活などを紹介する予定。
(5) 成 果
・交流をすることで、互いの国の文化について気付き、理解が深まり、交流校に対して
更に関心や意欲が高まった。
・今後の交流については、直接児童が会話できる手立てを模索している。
・外国語活動の応用活用の時間としてとらえる。
・習った英語を活用することで外国語活動への意欲が高まっている。
27
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
16 特色ある外国語活動の取組
<本事例の特徴>
本校は、平成17年度から21年度まで、国際理解教育(外国語活動)の研究委嘱
校として、国際理解教育を推進してきた。現在は、○○市特色ある学校づくり支援
事業の補助をいただき 1 年生から 6 年生まで、英語活動をとおして国際理解教育の
基礎となる積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成と、国際感覚の
基礎を養うことを目指し取り組んでいる。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 本校の外国語活動の概要
本校では、
「ふれよう!なれよう!楽しもう!」をキャッチフレーズのもと、全ての
学年で、ALTが入り外国語に触れる活動を行っている。本場の外国語や文化に触れな
がら、担任が主体となって取り組んでいる。以下は全体計画である。
ふれよう!なれよう!楽しもう!
<目指す児童像>・体験活動を通して、英語にふれ、なれ、親しむことで、進んでコミュニケーションを図ろうとする子
・自国や他国の文化や伝統、生活習慣を理解し尊重する子
楽しむ
☆身近な外国語に触れ、楽
しむことができる。
・相手に伝わるように大き
な声ではっきり話せる子
・ゲーム・音声やリズム等
の豊かな活動を通して、
聞いたり話したりできる
子
・多彩な活動を通して、友
達のよさに気づく子
慣れる
活用する
☆外国語活動を楽しみ広がりを持た
せ、慣れ親しむことができる。
・外国語の簡単な語句・表現で質問
したり応えたりして、コミュニケ
ーションを図ることができる子
・簡単な外国語を理解し、自分のこ
とを伝えることができる子
・お互いのよさを認め合い、外国の
文化に興味関心を持つ子
☆これまでの学習したことを活用
して、中学校外国語へとつなげ
る。
・「自分なりに表現したい」「上手
に表現したい」と進んでコミュ
ニケーションを図る子
・相手の話していることの意味を
理解して、外国語を使い応えよ
うとする子
・お互いのよさを認め合い、思い
やりを持って接し、自国や他国
の文化のよさに気づく子
中学校・外国語学習の素地
評価の観点
外国語活動
第5学年 第6学年
A コミュニケーションを楽しむ
【関心・意欲・態度】
・進んで他者と関わり、積極的にコミュニケーションを図ろうとする。
・外国語を通じて、簡単な応答を楽しんで活動しようとする。
B 外国語への慣れ親しみ
【関心・意欲・態度】
・外国語の音声/リズムや英語表現に慣れ親しもうとする。
・外国語を通して、たれ親しんだ言葉や身振りを用いて表現しようとする。
C 言語や文化に関する気付き
【興味・関心・理解】
・外国の言語、文化に興味を持って活動しようとする。
・日本と外国の生活習慣や文化のよさや違いに気付き理解しようとする。
28
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
(2) 本校の年間指導計画特徴
本校では、以下の重点のもと、身近な題材を使った外国語活動を計画している。
各学年ブロックの外国語活動の重点
低学年
中学年
・体を動かし遊びを通して、友だちと仲良く楽しんで活動する。
・体験活動を通して、音声やリズムを楽しみながら友だちと一緒に活動する。
高学年
・体験活動を通して音声や表現に慣れ親しみ、友だちや先生と関わりコミュ
ニケーションを楽しみ活動する。
(3) 実践の様子
低学年
中学年
『クリスマスツリーをつくろう』
『知りたいな よその国』
『動物の名前』
ニュージーランド、アメリカ出身のA
クリスマスの飾りの言い方を英語で練習し、
LTにその国の文化を教えてもらいま
ALTに飾りのカードをもらって自分だけ
す。母国との違いを知り、驚きの発見
がたくさんあったようです。
のクリスマスツリーを作りました。また、
『動
物の名前』の学習では、動物になりきって、
体を動かしながら楽しく英語を話しました。
高学年
『ハロウィンパーティーをしよう!』
グループごとにどんな顔にしたいか話し合
い、ALTにジャックオーランタンの作り
方を英語で教えてもらいながら、目や鼻、
口などを自分たちで切り取り作りました。
作ったジャックオーランタンをみんなで見な
がら、感想を言い合いました。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
仮装して、英語の歌を歌ったり、踊ったり、ゲ
ームをしたりするなど、楽しみながら英語を使
い、友達や教師とコミュニケーションを積み重
ねました。
全学年
全校読み聞かせ『
One
two
three jump!』
朝読書の時間を活用して英語による全校読
み聞かせを年に一回実施している。
はじめに、本に出てくるキーワードを練習
する。そして、ペープサートを使いながら、
物語を読み進める中で、キーワードが出てく
ると、全員で声を出して一緒に読みに参加す
る。物語の場面を英語を使い、疑似体験する
ことで英語を楽しむことができた。
30
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
17 系統的に取り組む外国語活動
<本事例の特徴>
年間指導計画のもと、系統的に外国語活動を行うことで、主体的に活動する児童の育
成を目指した取組について紹介する。
<学校種>小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 学習指導について
<授業構成>
ア 全学年の系統性をもった年間指導計画
低学年:ALTとの交流の楽しさ
平成23年度、外国語活動全面実施にあたり、5・6
を感じる。
中学年:コミュニケーション中心
年への接続を重視し、1~4年生においても、英語にか
に活動する。
かわる活動を実施している。低学年・中学年の学習内容
高学年:年間35時間
英語ノート1・2を基本と
については5・6年の学習内容につながるテーマ内容を
する
設定している。全学年の系統性を考え、学年が上がるに
つれて発展的な内容になるよう年間指導計画を立てたこ
とで、スムーズに5・6年の外国語活動に取り組むこと
ができた。
イ 評価規準の設定
独自の評価規準を設定した。評価の観点は、外国語活動の目標の三つの柱をもとに「コ
ミュニケーションへの関心・意欲・態度」「外国語活動への慣れ親しみ」「言語や文化に
関する気付き」の三つに設定した。それをもとに全学年で振り返りカードを作成・使用
し、自己評価・相互評価を行った。振り返りをすることで、次時の学習に目標をもって
取り組む児童が増え、担任も振り返りカードをもとに、指導と評価の一体化を図ること
ができた。
また、毎時間の外国語活動に主体的に取り組ませるために、
「○○小外国語活動キャッ
チフレーズ」を作り各学級に掲示した。さらに、振り返りカードの相互評価欄はキャッ
チフレーズを活用して行った。
○○小外国語活動
キャッチフレーズ
Ko(co)→communication
Ma→make gesture
Ni→nice smile
Shi→shine
相互評価はキャッチフレーズを使用
高学年では、記述式の
評価も行っている
ウ 地域ボランティア
ネイティブのALTの他に、英語が堪能な地域ボランティアを
活用し、担任やALTとともに授業を展開した。日本人の地域ボ
ランティアとTTを行ったことで、児童の安心感にもつながった。
また、今後ALTの体制に不安があっても、地域の方にボラン
ティアをお願いすることもできるという選択肢の幅が広がった。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
エ 年間指導計画の作成・アクティビティ集
授業の要点をしぼり1単位時間ごとの学習過程を明確にした年間指導計画を全学年で
作成した。
また、開発したもの、工夫・改善したもの、英語ノートに記載されているアクティビ
ティをカテゴリ別に分けたアクティビティ集を作成した。低・中・高学年のどの対象
の授業で活用できるかということも示し、全学年が活用できるようにした。
児童の興味・関心に合わせ、ALTと教材研究をしながらアクティビティやゲームを
行ったことで、外国語活動を楽しみながら主体的に学ぶ児童が増えた。さらに、毎年児
童の興味・関心も変わってくるので、それを加除・訂正し、今後も使えるよう、データ
CDを作成した。
年間指導計画
1単位時間1ペー
ア ク テ ィ ビテ
ジの見やすい紙面
ィ集と
構成
データCD
オ ALTを交えての教材研究
様々な場面で課題としてあげられるのが、「ALTとの打ち合わせ時間の確保が難し
い」という点である。そこでALTとの打ち合わせに、1単位時間ごとに作成した指導
計画を活用することで、打ち合わせ時間の短縮と、児童の実態に応じた授業づくりを目
指した教材研究を行うことができた。
また、ALTの打ち合わせは学年ごとに曜日を割り振って行
ったことで、計画的に打ち合わせ時間を確保することができた。
カ 英語力向上のための全職員研修
児童が主体的に外国語活動に取り組むためには、各担任は英語
学習者のモデルとして授業に臨まなくてはならない。「英語が苦手」「英語を教えるのが
不安」という職員に自信をもって授業に臨んでもらうため、英語力向上のための全職員
研修を行った。校内研修全体会の最初の5~10分程度であったが、簡単なゲーム、ア
クティビティや、クラスルームイングリッシュの発音練習を行った。英語力向上のため
の全職員研修を行ったことで、褒め言葉が自然に出る学級担任(HRT)が増えた。
(2) 環境整備について
ア アンケートの実施
「子ども発、子ども着」の教育を具現化するためにアンケートを実施し、児童の実態
をとらえた。結果を考察したところ、外国語活動は好きだが、外国語を主体的に学びた
いなどの興味関心があまり高くないことが分かった。このような結果から、児童が主体
的に学ぶための方策を考え、具体的な取組を実践した。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
イ 掲示物
専用の収納棚を設置し、単元ごとに教材を分類・整理した
(ア) 教材作成
教材研究を行っていく過程で、各レッスンごとに
必要な教材の製作を行った。
ラミネートをかけるなどの工夫をしたことで、長く使
える教材づくりができた。教材は全学年で共有して使っ
た。
(イ) クラス掲示
毎時間の外国語活動に主体的に取り組んでもらうため
の、
「○○小外国語活動キャッチフレーズ」を各学級に掲
示したことで、常にキャッチフレーズを意識した授業を
行うことができた。
また、簡単な指示やほめ言葉などを記したクラスルームイングリッシュを各教室
に掲示したことで、担任や児童が英語を気軽に使えるようになった。
(ウ) 校内環境の整備
小学校の外国語活動では文字の指導は行わない。しかし、中学校で英語を学ぶに
当たって、最初につまずくのが、
「文字」である。小中の接続を考えた時、文字の指
導は行わないが、
「文字に触れる」
「文字が自然に目に入ってくる」
ということは小学校段階において必要だと考えた。そこで、授業
だけでなく掲示物を通しても、外国語に慣れ親しませたいという
意図から、全学年の校内環境の充実を図った。掲示物は主に、昇
降口などの児童の目に付きやすい場所、階段、教室などに掲示し
た。
ただ文字だけを書くのではなく、英絵辞典のように、絵や色を
文字とセットにしながら掲示したことで、より親しみやすいよう
工夫した。校内環境を整備したことで、児童が英語に触れる機会
が増えた。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
18 全校で取り組む外国語活動の実践①
<本事例の特徴>
本学校では、ALT と共に全学年、外国語に触れる活動に取り組んでいる。年間5・
6年は 35 時間、ALT が都合のつく時間には1~4年でも活動を行っている。外国
語に慣れ親しむため、児童の興味・関心をひきつける活動を行っている。
<学校種>
小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 異文化理解
ALT の生まれ育った国についてのクイズを出題したり、写真を見せたりして説明
をした。また、活動中にも、ネイティブの発音を意識して聞かせることによって、外
来語との発音の違いを区別させている。
(2) 活動の中での工夫
・ハロウィンやクリスマスの時には、魔法使いやサンタの格好をし、最初に児童の
関心をひくようにしている。そのため、児童はその格好をした ALT と関わりた
いため、自主的に外国語を使うようになっていく。
・「どんな気分」では、様々な気分の表し方を学び、クラス対抗でタイムレースを
行った。優勝クラスには、ALT が作成した賞状を贈呈した。
・「買い物をしよう」では、実際に外国のお金を見せ、触れさせ、日本のお金との
違いを説明した。また、ALT 自作のお金カードも用意し、上手に買い物の模擬
体験をできた児童には、そのお金カードをプレゼントした。
【ALT 作成の賞状】
○外国語活動が好きな児童は多い。しかし、中には「恥ずかしい」
「何を話しているか
分からない」というように、抵抗がある児童もいる。好きな児童にはより楽しくも
っと好きになるように、また、抵抗のある児童には抵抗なく取り組めるよう、様々な
工夫を行っている。言葉だけでなく、ジェスチャーも交えて説明をしたり、話をした
り、学級担任が簡単な英語で話したりすることにより、楽しんでいる児童が増えてき
ている。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
19 全校で取り組む外国語活動の実践②
<本事例の特徴>
○○小学校では平成21・22・23年度○○市教育委員会委嘱「自ら学び、豊
かな表現力を持った児童の育成‐英語活動を通して積極的にコミュニケーション
を図ろうとする児童の育成‐」を研究主題として研究に取り組んだ。
<学校種>小学校
<具体的な取組や成果>
Ⅰ 取組の概要
1 校長のリーダーシップの下、研究推進委員会を中心として、全学年・全教員によ
る担任主導の英語活動を展開する研修体制。(低学年年間 4 時間・中学年年間 3~4
時間。カリキュラム作成。)
2 教材・教具の工夫(チャンツ・歌の作成、ICT機器の活用 等)
3 学習環境の整備
英語教室の開設
掲示物(英語教室・階段等)の工夫
4 低・中・高学年ブロックごとの研究授業の実施
(1)低・中学年では、いずれも高学年の英語活動につながるような、体験的な楽しい
活動を工夫。
(2)高学年では、児童同士が必然的にコミュニケーションを取るような場の設定に主
眼を置いた。平成 23 年度 6 学年では英語ノートⅡ「オリジナル劇を作ろう」を
土台として、リハーサルをする場面を設定し、認め合ったりアドバイスし合った
りする中でコミュニケーションを図ろうとする児童の育成を目指した。
Ⅱ 具体例-6年生-
1 仮説と手立て
仮説①
授業の形式を工夫しながら定着させ、耳から入った英語をリズムに乗って繰り返し
話していけば、安心して英語を話すことができるであろう。
手立て
(1)安心してストーリーが展開できるよう、どの話にもリズムに乗って繰り返せる、
チャンツ・歌を取り入れた。
(2)英語を使ってコミュニケーションすることでの安心感・楽しさなどのよさを感じ
させるよう、アドバイスやほめ言葉のクラスルームイングリッシュを繰り返して練
習した。
仮説②
英語ノートをもとにして教材等を工夫し、それらを有効活用することで、積極的に
英語を使ってコミュニケーションを図ろうとするであろう。
35
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
手立て
(1) 児童がより意欲的になると考え、「大きなかぶ」以外に、簡単な他の童話として
「桃太郎」
「3 匹のこぶた」も選択肢に入れた。
(2) 目標をもって取り組んでいけるようにするため、学年全体での発表形式とした。
(3) 積極的にコミュニケーションを取ろうとする態度を育むため、アドバイスをした
り、認め合ったり、友達の意見を受け入れたりすることなどができるよう、クラス
内リハーサルを設けることにした。
2 取組の成果
(1) 物語の紹介や、リハーサルの良い例悪い例など、手作りで音源やビデオを製作し
たことで、単語の精選・テンポの速度・乗りやすいリズムなど、児童の実態に合わ
せた指導が展開できた。
(2) 「伝えたいことを話す」という場面が作れたので、積極的にコミュニケーション
を図ろうとする児童の育成というめあてに迫ることができた。
Ⅲ 全体の成果
1 教員全員で取り組む姿勢が児童にも通じて、児童も熱心に英語活動に取り組んだ。
2 英語が苦手な児童に対する手立てとして、リズムや繰り返しが重要であることが
実感としてつかめてきた。
3 英語ノート等の教材を基に、児童の実態に合わせて手立てを取っていくことの大
切さやその効果の大きさが分かった。
4 コミュニケーションを取るうえで、大切なポイントを繰り返し指導してきた中で、
他教科にもよい影響が出てきている。
36
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!ハローワールド』
20 ICTを活用した外国語活動
<本事例の特徴>
本校では、週 1 回ALTが来校し、担任とTTで英語活動の授業を行っている。
電子黒板を使った学習が中心であるが、フラッシュカードやチャンツなどを活用し
て、楽しく英語に親しんでいる。アメリカ出身のALTから母国の文化を紹介して
もらう手立てとして、授業の中で、日本との文化や習慣の違いを話してもらったり、
英語の掲示物で季節に合った行事に関するクイズを作ってもらったりしている。
〈学校種〉 小学校
〈具体的な取組や成果〉
(1) 具体的な取組
ア 電子黒板を使った授業
「英語ノート」のソフトを使った英語の授業では、場面が瞬時に大きなスクリーンに
表せるため、児童は目を輝かせて学習に取り組む。視覚的に訴えかけるしかけが至ると
ころにあり、画面をタッチするだけで簡単に動かすことができる。例えば、身に着ける
物の名前を学習する単元では、人間に衣服の着せ替えができるようになっていたり、時
間割を作る単元では、枠組みの中に教科名を入れ替えできるようになっていたりする。
また、タッチするだけで、音声が出るところも魅力的である。5年生の英語の導入では、
英語以外の外国語、中国語や韓国語、フランス語などの様々な言語の音声を耳にするこ
とができるようになっている。また、チャンツについては、CD と違って、動画になっ
ているため、みな音楽に合わせて体を動かしながら、楽しそうに英語に親しむことがで
きる。
イ ALTやALTの母国の文化と触れ合う取組
アメリカ出身のALTは週1回、来校している。5,6年生との授業の中で、一人一
回は、ALTとマンツーマンで触れ合えるような工夫をしている。まず、最初の挨拶で
は、ALTと一人ずつ目を見て挨拶ができるようにしたり、児童だけで活動できるゲー
ムの時も、ALTに児童の中に入って参加してもらったりしている。また、授業の最後
には、ALTの母国の様子を単元に関連させて話してもらう。例えば、学校の教科の単
元では、ALTの母国の学校と日本の学校の違いを英語で話してもらう。英語の音声に
親しませることができるとともに、異文化理解にもつながる。難しい部分は、担任が随
37
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!ハローワールド』
時、日本語で補足する。また、ALTには、クイズを中心にした掲示物作りにも協力し
てもらっている。季節に応じた掲示や、ハロウィンやクリスマスなどの行事についての
クイズなどを通して外国の文化や習慣が理解できるように工夫している。
ウ 5年生の外国語活動の授業風景
英語の特別ルーム「あじさいルーム」にて
「“What’s this?”これは何ですか」ブラックボックスを使ったクイズ大会
38
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
21 夏季休業中の外国語活動研修会
<本事例の特徴>
本市では、授業のない夏季休業中を利用して、市内の小学校教諭の希望者を対象
に、ALTを講師として外国語活動研修会を実施した。本研修会は少人数による体
験的なワークショップ型の研修である。
<学校種>小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 趣 旨
本市では、市内全小学校にALTを派遣し外国語活動の指導を行っている。しか
し、教員とALTとのコミュニケーションが、まだ十分とは言えない状況もある。ま
た、高学年担任以外の教員の研修の機会もあまり多くはない。そこで、本研修会では
教員がALTと触れ合う中で外国語活動の学習指導について研究し、外国語活動の充
実に資することをねらいとした。
(2) 内 容
各教師が、ALTとコミュニケーションをとりながら、交代で教師役となって模擬
授業を行ったり、チャンツやゲームのやり方を工夫したりする。
(3) 参加者の感想
・英語ノート関連のパソコンソフトの内容や活用方法が分かった。学校でも活用し
たい。
・児童の立場に立って学習することで、児童の感じる不安や楽しさを改めて知るこ
とができた。
・模擬授業を通して、今までALTに任せきりになっていた外国語活動も、教師主
体で進められるように感じた。
・英語で話し、相手に伝えたり、相手と会話ができたりすることはとても楽しいこ
とだと改めて感じた。この楽しさを子どもたちにも味わわせることができるよ
う、2学期の外国語活動の授業でもかんばりたい。
39
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
22 小学校英語活動授業研究会
<本事例の特徴>
本町では、町の取組として「小学校英語活動授業研究会」を開催している。全部で
4校ある各小学校で、順番に授業研究を行い、情報交換や指導力向上を目指している
取組である。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 授業研究会
小学校新学習指導要領の全面実施に対し、小学校外国語活動にかかわる基本的な知
識・技能、授業の進め方、外国人講師との効果的なティームティーチングの方法等に
ついて習得することを目的とし、○○町小学校英語活動推進委員会の主催のもと実施
している。本年度で3年目の取組である。
(2) 小中連携
小学校英語活動授業研究会には、小学校教諭だけでなく、中学校教諭も参加してい
る。これは、中学校教諭にとって、児童が小学校ではどのような外国語活動を行って
いるか、知ることのできる絶好の機会といえる。また、小学校と中学校の教諭が話し
合う機会をもつことによって、より効果的な指導につながっている。
(3) 小学校外国語活動の取組
5・6年の教諭以外の教諭に授業を参観してもらうことも目的の一つである。まだ
英語の授業を行ったことのない教諭もいる中で、外国語活動の授業のモデルを示して
いくことは重要である。特に、英語を苦手と感じている教諭にとっては、どのように
授業を展開していけばよいのか、不安があるという声もある。
「日本語でもよい」、
「英
語を使ってコミュニケーションをとろうとするモデルになればよい」ということに気
付いてもらえる場を目指した取組である。また、平成23年度は授業の様子をビデオ
に記録し、DVDにしたものを各校へ配布する予定である。
40
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
23 スピーチコンテストを活用した英語力向上の取組
<本事例の特徴>
本市では、「中学校スピーチコンテスト」を実施している。英語によるコミュニ
ケーション能力の向上等をねらいとし、各校の代表生徒が、弁論の部と暗唱の部の
2部門に分かれてスピーチを発表する。
<学校種> 中学校
<具体的な取組や成果>
(1) 各校の取組
各校では、スピーチコンテスト参加希望者を募集し、選考を経て、本大会に臨んで
いる。原稿の修正、スピーチの練習等の指導を英語科担当教師とALTが行っている。
代表生徒に全校集会で発表させ、全校生徒で英語のスピーチを聞く機会を作っている
学校もある。
(2) ALTの活用
市内各小・中学校に配置されている5名のALTが審査員を行った。審査委員長が
生徒のスピーチについて講評を分かりやすい英語で述べ、参加した生徒たちが興味深
く聞いていた。
(3) テレビ広報
スピーチコンテスト当日の様子を、ケーブルテレビが取材し、テレビ広報等で放送
を行っている。スピーチコンテストの映像は、1日に数回、数日間にわたり放映され
た。映像には日本語訳の字幕がついていて、英語が不得手である一般市民の方にも、
スピーチの内容を理解できるようにしている。
○本市のスピーチコンテストは、埼玉県中学校英語弁論大会地区予選の代表生徒を決め
る大会を兼ねており、生徒は皆熱心に練習を行い本番に臨んでいた。各校では、AL
Tの指導も受け、発音や抑揚、正確さだけでなく、身振り・手振り等のジェスチャー
を交えて、聞いている人たちに自分の思いを訴えかける
ようなスピーチを行っていた。参加した生徒からは「も
っと自信をもってスピーチできるようになりたい」「も
っと練習をして上手に話せるようになりたい」という感
想が聞かれ、英語の学習に対する意欲の向上が見られた。
41
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
24 中学校における Enjoy Communication の実践
<本事例の特徴>
本市では、生徒に国際的なコミュニケーション能力を育むため Enjoy
Communication の時間を中学校1,2年生において年間 35 時間設定し、実施した。
本取組の Enjoy Communication は、教育課程特例校として小学校低学年から実
施している小学校英語活動(本市は1,2年生は年間 10 時間、3~6年生は年間3
5時間実施)の成果を最大限に活かす、英語教育における小・中連携の取組である。
<学校種> 中学校
<具体的な取組や成果>
(1)本市の英語教育の概要と Enjoy Communication 導入の経緯
本市は、国際理解教育推進特区(H15~20)、文部科学省研究開発学校(H22・23,全
小・中学校)等の研究を進めるとともに、市内全小・中学校に1名の英語教育指導助
手(以下、ALTと記す。
)を常駐配置するなど、市の特色の一つとして英語教育を
推進している。平成 23 年度も小学校1,2年生で 10 時間程度、3~6年生で年間
35 時間の英語活動を実施した。
そこで、中学校では、小学校で育まれたコミュニケーション能力の素地を活かしな
がら、実践的な対人コミュニケーション能力の基礎を育む Enjoy Communication の
時間を年間 35 時間導入することとした。
(2)Enjoy Communication の時間 について
Enjoy Communication の時間は、本市全小・中学校が、平成 22・23 年度文部科学
省研究開発学校(外国語教育関係)に指定されたことから、教育課程の基準によら
ない授業の実施を認められ、中学校1,2年生の総合的な学習の時間を年間 35 時間
削減し、その授業時間数を Enjoy Communication に充てることが可能となった(平
成 24 年度も工夫して継続実施予定)。なお、通常の英語の授業時間に加えて 35 時間
増やしたことから、英語の総時間を 140 時間とした。
(3)Enjoy Communication を通して、育成した資質・能力
Enjoy Communication では、次の3点の「国際的なコミュニケーションの場で求め
られる資質・能力」の育成をねらいとしている。
42
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
・異文化や異なる文化をもつ人々を受容し、共生することのできる態度・能力の育成
(共生の心:人権尊重・思いやりの育成)
・自らの国の伝統・文化に根ざした自己の確立(identity:主体性の育成)
・自らの考えや意見を自ら発信し、具体的に行動することのできる態度・能力の育成
(initiative:自己決定・行動力の育成)
(4)Enjoy Communication の具体的な指導について
ア
Enjoy Communication は、新学習指導要領に基づいた内容とし、小・中学校の
英語教育の円滑な連携を図るものとした。その際、次の4点について重視した。
・小学校英語活動で育まれた素地を基に、4技能を統合した活動を行う。
・教科書で学んだ表現を復習できるようスパイラルにコミュニケーション重視の言語
活動を行う。
・新学習指導要領で追加事項された留意事項を意識した言語活動を行う。
・思考力・判断力・表現力重視の実践的コミュニケーション能力の基礎を育成する活
動を行う。
イ
Enjoy Communication の時間割については、原則的に○○市英語教育研究推進
委員会作成の年間指導計画(英語活動ハンドブックに掲載)に基づいて、週1時間の
割合で英語担当とALTとティーム・ティーチングで実施した。
ウ
Enjoy Communication の具体的な事例
・お互いを知ろう!(インタビュ-活動)
・Show and Tell (私の宝物)
・好きな季節(夏か冬)の理由をたくさん考えよう。
・友達の意見に反論してみよう。
・将来行きたい国について理由を伝えよう。 等
(5)成果について
市内全中学校1,2年生を対象として英語実態調査(選択式のアンケート)の結果
を実施した。ア~ウは、その結果である。
ア
コミュニケーション活動について
Enjoy Communication を楽しいと回答し
ている生徒の割合が、通常の英語の授業を
楽しいと回答している生徒の割合よりも
上回った。生徒は、Enjoy Communication の
コミュニケーション重視の活動を好意的
に捉えているといえる。
43
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
イ
外国の文化や言葉に対する興味ついて
平成 22 年度の調査結果よりも、平成 23 年度の調査結果の方が、外国語の文
化や言葉に興味をもっている生徒の割合が増えた。Enjoy Communication 等の取
組により外国に興味をもった生徒が増えたといえる。
ウ
小・中学校の連携について
小学校英語活動と Enjoy Communication が強く関連していることから、小・
中学校合同の授業研究会において、コミュニケーション活動の在り方といった
共通の視点で協議を行うことが可能となり、小・中学校の英語教育の連携が図
られるようになった。
44
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
25 英語でのスピーチに関する取組
<本事例の特徴>
本校は、毎年行われる高円宮杯全国中学校英語弁論大会に向けて、英語の授業だけで
はなく、学校行事も連鎖させて取組を進めている。スピーチすることの意義を含め、そ
の指導の過程を紹介する。
(本市○○中学校の取組)
<学校種> 中学校
<具体的な取組や成果>
(1) 目的・意義
毎年、11月に高円宮杯全日本中学校英語弁論大会が行われる。そのための県大会が
10月に、市予選が9月に行われる。本市では各校3名という枠内で選手を出場させてい
る。国際社会で生き抜くには、英語による自己表現、さらには大勢の人の前で発表する力
を身に付ける必要がある。英語科の目標の中でも、スピーチは大きな柱であり、授業の中
でも自分の思いを英語にして自己表現をするという訓練を、段階を追って取り上げている。
本校では1学期末に2、3年生の授業で、スピーチとはどういうもので、どのような意義
があるかを取り上げる。その後、チャレンジする生徒を募り、また、指導者側からも声掛
けを行うなどしてスタートしている。
夏休みを使って練習し、仕上がったスピーチを全校生徒の前で発表させるには、文化祭
は絶好の機会である。生徒達には英語のスピーチについて、
「同じ中学生でもここまでで
きるのだ。
」
というレベルを目の当たりにすることができ、その魅力を知ることができる。
下級生には、目標モデルとなり英語学習にさらに意欲的に取り組もうとする動機付けにな
る。
(2) 取組の過程
ア 英語授業でスピーチについての指導
中間テスト明け
イ 選手候補者のスピーチ(発表したいこと)の日本語原稿の提出
ウ 選手決定
エ スピーチ原稿の完成
7月初旬
期末テスト後
オ 原稿暗記
夏休み前半
カ 演技練習
キ 完成
夏休み後半
9月第1週
ク 文化祭での発表
9月第2週
ケ 本市英語弁論大会
9月第4週
コ 高円宮杯全日本中学生英語弁論大会 埼玉県大会
10月第3週
(3) 成果
選手にとっては、500人を超える観衆の前での初めての発表であり、市内大会を前に
して、成果を試すよい練習になるばかりでなく、友達・保護者・先生から褒められ、励ま
され、自信をつけ、さらなる意欲の高まりにつながった。
保護者、学校評議員、地域の方々に、生で英語スピーチを聞いていただき、中学生の頑
張り、可能性を発信できる機会として、また、英語を通して生徒達の様々な思いを、国際
語である英語を通して伝えるモデルとして知っていただく意義は大きかった。
45
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
26 人権感覚を養う英語授業での取組
<本事例の特徴>
1950,60年代を中心にアメリカで起きた人種差別社会と差別を撤廃するために
偉大な影響をもたらしたキング牧師の生涯について知る。そこから人権問題について、
広い視野で考えられる生徒を育成していく。
<学校種> 中学校(3年生)
<具体的な取組や成果>
○英語の授業で実施(8時間)
単元名:Lesson6 “I Have a Dream ”
NEW CROWN ENGLISH SERIES ③
(1) アメリカ本土で起きていた奴隷制の歴史を知るための導入活動
生活班に分かれ、17世紀から19世紀の奴隷制や奴隷の生活についての短い英
文を読み、奴隷制が始まった当時の社会の様子を理解する活動を行った。英文の難
易度が高いため、辞書を活用して単語を調べながら英文の解釈をした。英文を解釈
していく中で、ほぼ全員の生徒が奴隷制についての知識が十分とはいえないことが
分かった。1860年代の独立戦争後、リンカーンが奴隷解放宣言を出したが、差
別は消えてはいなかった。7歳のアフリカ系アメリカ人の少女が書いた詩を紹介し、
アメリカ社会にはまだ人種差別が根強く残っていたことを確認した。その後、教科
書の本文を読みながら、1960年代のアメリカ社会のアフリカ系アメリカ人に対
しての差別、ロザ・パークスのバスボイコット運動やキング牧師の”I Have a Dream”
のスピーチについて学習を進めていった。
(2) 教科書のセクションがすべて終了した後の活動
1960年代当時のアメリカ社会と差別の映像と実際のキング牧師の” I Have a
Dream. ”の演説ビデオを視聴した。生徒達はスピーチ全部の意味は分からなくても、
これまでに班活動や教科書で学んだ知識を活かして、キング牧師のスピーチを聞き
取ろうと努力していた。また、彼のスピーチに力強さを感じていたようであった。
アメリカ社会が少しずつ差別撤廃に向けて動き出したことに触れ、最後にこの学習
を通しての感想を日本語で書かせた。本単元を学習することで、小さい取組ではあ
46
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
るが、人権について広い視野をもたせることができた。感想を日本語で書く指示を
出したが、数名、英語で感想を書きたいという生徒もおり、積極的に取り組む姿が
見られた。
<生徒の感想の一部>
私は Lesson6 で和訳していないキング牧師が言ったそのままの文を読むことができてよ
かったと思いました。特に和訳した文にはないキング牧師の強い思いが伝わってきたよう
な気がしました。そして、アメリカの歴史を知ることができました。今のアメリカはキン
グ牧師や差別と闘う人達がいたからこそ平和なんだと思いました。人権について改めて考
えさせられました。
キング牧師は自分の夢、みんなの夢のためにすべてをつくして生きた人で、彼によりアメ
リカが生まれ変わり平和になった。このことはずっと忘れずにいたいです。どの人種もみな
平等だという気持ちをもっていきたいです。
The story about Lesson 6 made me sad because I knew that African American’s
lives were separate and unequal. But I learned many things. For example, Martin
Luther King Jr. had a great courage. He is very strong. So I respect him.
(3) キング牧師の”I Have a Dream ”の一部の暗唱
生徒が自分が印象に残った部分を暗唱し、教室で発表会を行った。
47
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
27 英語サマーキャンプ、英語フェスティバルなどの教育課程特例校としての外国語
早期推進事業
<本市の特徴>
市全体で教育課程特例校の指定を受け、
「外国語早期教育推進事業」を実施し、
「英語
を通して、自分や郷土を発信しようとする○○○っ子」の育成を目指し、子どもたちに
豊かな国際感覚を身に付けて欲しいと願って取り組んだ。
<学校種> 小・中学校
<具体的な取組や成果>
適時性の高いといわれる小学校段階から、外国語である英語や異文化に触れる機会
を与え、中学校まで一貫性のある英語教育を推進するため、次のような特色ある取組
を展開した。
(1) 小学校全学年で「英語活動」の授業を実施(教育課程特例校)
小学校1年生~4年生も取り入れているのは本市独自
の取組である。児童は英語活動の授業を楽しみにしてい
る。英語の歌やごっこ遊びなど五感を使った体験的な活
動を通して、英語で人とつながる喜びを味わい、コミュ
ニケーション能力の素地を育てている。
(2) 英語サマーキャンプの開催
平成23年度で6回目となる小中学生英語サマー
キャンプを、○○で開催した。小・中学生を対象
とし、全て英語で活動する3日間のキャンプである。
子どもたちが学校外で、実際の生活場面において、
英語に触れ、楽しみながら使うことによって、英語
に今まで以上に慣れ親しむのが大きなねらいである。
このねらいを実現するために子どもたちは意欲的
に活動した。また、いつもと違うALTや他校の児童生徒との出会いも生まれ、コ
ミュニケーションの大切さと素晴らしさを知った。
(3) 英語フェスティバル
本市小中学生英語フェスティバルが220名近くの参加者(児童生徒、保護者、教職
員等)を迎えて、平成23年2月5日(土)に○○小学校
で開催された。児童は小学校英語活動で学んだ成果を、英
語による素晴らしい演技で表現した。どの発表にも会場の
みんなが感動、感心していた。市内ALTとの交流の部で
は、児童生徒がALTと英語で積極的にコミュニケーショ
ンをとりながら、アクティビティを楽しんだ。
48
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
28 外国語教育における小中一貫についての取組
<本事例の特徴>
本市では、平成22年度から市費の英語教員を採用し、中学校に1名ずつ配置して
いる。中学校の英語の授業を充実させると共に、中学校の英語科の教員を小学校5・
6年生の外国語活動の時間に派遣し、授業の指導や支援に直接あたらせている。
<学校種> 小・中学校
<具体的な取組や成果>
(1) 小中一貫外国語教育推進事業について
これからの国際化の時代には、広い視野をもち、生き生きと活躍できる人材育成が
不可欠である。市独自に英語教員を採用し、中学校の英語教育の充実を図るとともに、
小学校の外国語活動を直接支援し、小中一貫した外国語教育を推進する。
(2) 小中一貫外国語教育推進事業に係る研修会の実施
・ 小中連携した授業公開の実施
小学校、中学校の教員が互いの授業を公開し、指導力の向上に努めた。
・ 模擬授業研修会の実施
小中一貫外国語教育推進事業に係る推進委員を中心に、小学校の教員全員を対象に
した模擬授業研修会を実施した。
(3) 効果
・ 市費の英語教員を中学校に配置し、中学校の英語教育が充実した。
選択授業やティームティーチングによる授業が充実し、個に応じた支援体制が整っ
た。
・ 中学校の英語の教員が小学校の外国語活動を直接支援することで、小学校の授業
が充実する。
小学校外国語活動は、児童のことを一番よく知っている学級担任が中心とな
って進めることが基本である。市内すべての小学校5・6年生の外国語活動の授
業に中学校の英語の教員が支援する体制が整っていて、初めて外国語活動を担当
する小学校の教員も、専門的な立場からアドバイスを受けることができた。
・ いわゆる中一ギャップの解消が期待される。
小学校時代に教わった先生が中学校にいることで、生徒は安心して入学後の学校生
活を送ることができるので、中一ギャップ等の解消が期待されている。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
29 小・中学校における「英会話の時間」の取組
<本事例の特徴>
本市では、教育課程特例校の指定を受け、英語による体験的な活動やネイティ
ブスピーカーとの触れ合いを通じて言語や文化に対する興味・関心を高め、英語
によるコミュニケーション能力の向上を目的として市内全小・中学校において「英
会話の時間」を設け、授業を進めている。ここでは、今年度の取組状況及び昨年
度の検証結果に基づく成果と課題を紹介する。
<学校種> 市内全小・中学校
<具体的な取組や成果>
1 教育課程の編成
(1) 英会話の時間の時数について
小学校1学年
年間34時間
小学校2学年
年間35時間
小学校3学年から6学年
年間35時間
中学校1学年から3学年
年間35時間
(2) 上記の時間を含め、小学校では朝自習の時間等を活用し、インプット活動(15
分程度の英会話映像教材又はCDの視聴)を行う。中学校では、英語の授業で英
会話の教材を活用したり、英会話の授業で教科書の内容を確認したりする活動を
行うことにより英語の授業と英会話の時間との連携を深める。
2 指導方法
(1) 小学校は担任教師と英会話講師、中学校は英語加配教員又は英語科教員と英語
指導助手(AET)のティームティーチングを原則とする。
(2) 平成23年度○○市「英会話の時間」学習指導計画に基づき、系統的な指導を
行う。
(3) 上記学習指導計画の指導内容は、最低基準とする。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
3 成果と課題
(平成 22 年度「英会話の時間」推進状況に係る分析 ○⇒成果、●⇒課題、
・その他)
(1) アンケートへの回答に基づいた分析
ア
担任対象アンケート
○ 授業実践の成果に対して肯定的な評価を得ている。
● 学年が進むにつれて「英会話の時間」に対する興味が減少する点に課題が
ある。
イ
保護者アンケート
・小中学校における英語指導の更なる充実を求める趣旨の回答が多く寄せられ
ている。
(2) インタビューテストの結果に基づいた分析
ア
小学6年生児童
○ 自己紹介の構成、復唱能力、応答能力といった技能面については 8 割以上
の児童に対して A 評価(A,B,C の三段階中最もよい評価)を与えた。
● アイコンタクトや声量といった態度面については A 評価が全体の 5 割程度
の児童に限られている。
・ 今後は積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を醸成するととも
に、英語使用能力の測定に資する、まとまりのある内容の対話文によるテ
ストを開発実施する必要がある。
イ 中学3年生生徒
○ 総じてどの項目も受験者全体の 6 割程度の生徒が A 評価を得ている。
● Why What 等で始まる文単位での回答を要求する質問に対しては C 評価が
目立つ。
・ 今後はインタビューテストを実施する意義を明確化し、生徒が意欲的にテ
ストを受けることができるような工夫が必要である。
(3) 小学校 4 校に対して試行実施したリスニング調査の結果に基づいた分析
○ 総じて正答率は70%を超えている。
● まとまりある英文の内容の回答を求める問題については50%台の正答率
51
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
であった。
・ 今後は小学校全校を対象に実施する。また同一テストを同一集団に、時期
をずらして実施することで、年度をまたいで結果の比較検討ができるように
実施方法の工夫を図る。
※ 平成 23 年度の検証については改善を要する課題を踏まえて現在各校で
実施している。
(4) ○○市教育委員会研究委嘱「英会話の時間」研究発表について
平成22年度は、○○市立A小学校において「
『楽しく学び合える英会話の時間』
の授業づくり」を主題に研究を進めた成果を、平成23年2月4日(金)に研究
発表会の場で披露し、以下の成果と課題を参観者全員で共有した。
○ インプットを繰り返すことで会話の内容が理解できるようになり、話せる
児童が増えてきた。また、6年生のほぼ100%が英語を使った簡単な自己
紹介ができるようになった。
○ ペアやグループでの活動を多く取り入れたことで、ジェスチャーやアイコ
ンタクトを交えた会話ができるようになり、自信をもって話すことができる
児童が増えてきた。
● 担任と英会話講師との打ち合わせをより綿密に行い、
「担任主導型」の授業
を展開していけるようにする。
● 児童がより積極的に参加できるよう、担任も積極的に楽しみながら英語を
話そうとする姿勢を見せていく必要がある。
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埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
30 外国籍児童及び保護者への支援
<本事例の特徴>
入学したばかりの児童・保護者は、「言葉」だけでなく「文化」の違いからも様々な場面で戸惑
う姿が見られる。そこで、今年度は外国籍児童及び保護者への支援・コミュニケーションを図る
場の設定に力を入れ、国際理解の充実を目指した活動を展開した。
<学校種> 小学校
<具体的な取組>
(1) 国際理解の充実を目指した学習活動
ア ALTとの国際理解教育及び外国語活動
本校ではALTが週2日来ており、5、6年生との外国語活動及び1~4年生
との国際理解教育活動を行っている。学習活動の場だけではなく、給食、休み時
間、学校行事にも関わり、児童にとってALTは外国人及びその文化に対する理
解を深める入り口となっている。
イ 国際交流授業(人権感覚育成プログラムによる)
(ア) 指導のねらい
いろいろな国の遊びの体験を通して、日本の遊びと似ていても、遊び方や
ルールが違う遊びがあることなど、様々な文化の共通点と相違点に気付き、
他の国々の文化も尊重しようとする態度を育てる。
(イ) 展開
活 動 内 容
教師の働きかけ
Aさん(外国籍児童保護者)といっしょに Aさんの国の遊びをしよう!
1
Aさんを紹介する。
2
Aさんから、ペルーの子どもたちの
遊びを紹介してもらう。
3
Aさんの国の遊びを体験する。
4
体験したことを話し合う。
(2) 相互理解を深める取組
ア 開かれたコミュニケーションの場
53
世界地図や国旗を使って、Aさんの出
身国や国旗を確認する。
Aさんとは、事前打ち合わせを十分行
い、日本の遊びと似ている遊び、及び全
く異なる遊びを2~3つ紹介してもら
うようにする。
体験したことをふり返り、日本の遊び
のよさや外国の遊びのよさについて感
じ取れるようにする。
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
本校の児童の住む学区では、国際交流会での日本語教室を公民館で行っている。
学校と主催団体が連絡を取り合い、授業参観や学校公開などにも来校していただ
いている。学校外での活動だけでなく、校内での様子も把握していただきながら、
外国籍児童及びその保護者とコミュニケーションを深めている。
イ 地域ボランティアによる通訳
本市では語学ボランティア事業を行っており、必要な場合は、各校から依頼を
することができる。本校に在籍する外国籍児童8名のうち3名の保護者は日本語
でのコミュニケーションが困難である。できるだけ不安感を取り除けるよう、外
国語に堪能な地域の方の協力を得て通訳をしていただいている。
(3) 日本語指導教諭による指導
本校では日本語指導教諭が配置されており、8名の外国籍児童の日本語教育の
指導にあたっている。支援法として、当該児童を個別に指導する方法と、在籍学
級に日本語指導教諭が入って当該児童及び周りの児童への指導をしている。
ア 個別指導
児童の実態(単語、読み書き、会話)に合わせ、週の時間数や学習内容を決定
し指導を行っている。
友達が会話の中で使って
日常会話で使う単語
いた言葉を、個別指導 す
をカードを使って繰
る。
り返し指導する。
イ
学級内における指導及び周りの児童に対する指導
外国籍児童に、話しかけ方や誘い方を指導しながら他の児童とのコミュニケー
ションが取れるよう支援している。また、周りの児童が外国に興味をもつきっか
けとなるよう、外国籍児童の生まれた国の言葉や文化を教えている。
<取組の成果>
・一年生から国際理解教育をカリキュラムに組んでいることにより、児童は異文化や
そこに伴う価値観と触れ合う機会が多いため、それを尊重し共生しようとする意識が
自然と育ちつつある。ゲストティーチャーとして外国籍児童の保護者の方を招いて活
動したところ、児童同士のコミュニケーションのきっかけとなり、外国籍児童の生ま
れた地域について関心を示す児童が増えた。外国籍児童保護者から「自国の文化を紹
介するきっかけができ、ありがたい。」という声も寄せられた。
・ボランティア通訳の方に入っていただくことで、学校からの連絡を正しく確実に伝
えることができるようになった。
・日本語指導教諭の指導により、各外国籍児童の実態に合わせた細かな指導を進めるこ
とができるようになった。また、日本語指導教諭が学級に入って周りの友達とのコミ
ュニケーションの支援をすることで、以前は自分からコミュニケーションを取ること
に抵抗を感じていた外国籍児童も、徐々に意欲的にコミュニケーションを取ろうとす
る場面が見られるようになった。初めはどう接してよいのか分からなかった周りの児
童も、困っている様子に気が付くと、自然と手を差し伸べることができるようになっ
てきている。
54
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
31 外国人の保護者や ALT をゲストティーチャーに迎えた実践
<本事例の特徴>
本校は田園地帯にある小規模校で、近年外国人の保護者が増えてきている。いろい
ろなことに興味・関心をもつようになる3年生の時期に、自分以外の人や文化を理解
し、視野を広げることをねらいに、総合的な学習の時間における国際理解教育の一環
として、外国人の保護者から外国の文化を学習する時間を設定した。
<学校種>小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 総合的な学習の時間の「国際理解教育」~保護者による文化紹介~
ゲストティーチャー:オーストラリア人(ALT)
保護者:タイ人と中国人の各1名
(2) 具体的な取組
ア 3か国について、図書やパソコンで調べる。
ニュースや輸入品などをとおして外国に目に向け、
関心をもたせておく。
イ 外国人と交流し、その国の食べ物、地形、学校、
スポーツなどについて話を聞く。
本、写真、文字表、子ども服、お正月飾りなどを見ながら話を聞く。
ウ タイ料理「トムヤムクン」中国料理「ワンタンスープ」の作り方を教えていただく。
材料、だしの取り方、日本の料理との違いなどの説明を聞く。
エ それぞれの国の子どもの遊びを体験する。
(ジェンズを作成)
「ツイスターゲーム(オーストラリア)」
「じゃんけん(タイ)」「ジェンズ(中国)
」
オ 学んだことや感想を発表し合い、今後の生活に生かしていく。
(3) 成果(◆は児童の感想、☆は教師の感想)
◆タイのじゃんけんは日本と似ているところもあるけれど、
「鳥」が出てきたところが
おもしろかったし、勝ち負けの意味がよく分かった。
◆一緒に遊ぶ友達にもタイのじゃんけんを教えてあげたい。
◆ワンタンスープ作りで、ワンタンの皮から作ったのは初めてだったので、お母さん
にも教えてあげたい。
◆ジェンズは難しかったが、いろいろな遊びかたがあることが分かった。ゲストティ
ーチャーはすごく上手に遊んでいた。
◆英語の言葉(色や手、足など)の言い方が分かってうれしかった。
☆ゲストティーチャーが、活動後「楽しかった。子どもたちが一生けんめいやってく
れてうれしかった。
」との感想を言ってくれたのが何よりうれしかった。
☆活動後もタイ語で挨拶をしたり、数字の言い方を練習したりする姿が見られた。
☆ゲストティーチャーとすぐに親しくなり、楽しそうに会話をすることができた。
55
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
32 外国籍児童とその支援員による中国文化紹介
<本事例の特徴>
中国から1年生に編入学したAさんに対する外国人児童生徒日本語指導補助員の
関わりをとおして、中国の文化や言語などを紹介する国際理解教育の取組について
紹介する。
<学校種>
小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 外国人児童生徒日本語指導補助員と編入学児童による中国文化の紹介
本校に派遣された外国人児童生徒日本語指導補助員(以下補助員)は、日本に在住
の中国人である。せっかくの機会でもあるので、補助員としての活動だけでなく、中
国文化の紹介をAさんと共にしていただくようお願いした。補助員の方も賛同し、学
級活動や朝の会などを利用して簡単な挨拶や物の名前等を在籍する学級の児童に対し
て指導してくれている。
今までに紹介された中国のことばの一例
●你好 ニイハオ (こんにちは)
●谢谢 シェシェ(ありがとう)
●早上好 ソウシャンハオ(おはよう)
●新年好 シンネンハオ(新年おめでとう)
●1~10の数字 イー、アル、サン、スー、ウー、リョウ、チー、パー、ジゥ、シー
上記のような中国語を補助員が発してから、在籍学級の児童に発音をさせ、Aさん
が正しく言えているかどうかのチェックをする流れになっている。
(2) 成 果
ア 簡単な中国語の挨拶を繰り返すうちに、学級内では自然と日本語や中国語の
挨拶が出てくるようになった。また、中国の食べ物や物に対する興味・関心が
高まり、補助員に質問する児童も出てきた。
イ 日本に来て言葉が不自由な分、Aさんも不安そうであったが、日本語を覚え
たり、みんなの中国語の先生として活躍したりするうちに自信が付いたようで
顔つきが明るくなってきた。
56
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』
33 保護者有志による「世界探検クラブ」の取組
<本事例の特徴>
本校は、学区内に国際的な研究機関があり、常時複数の外国籍児童が在籍してい
る。そのような環境を生かし、様々な国の文化に触れる機会を児童に提供するため、
学校応援団サークルとして「世界探検クラブ」が組織されている。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 学校応援団「世界探検クラブ」について
保護者の有志を中心にしたボランティアサークルとして、子どもたちの体験活動を
中心とした学習支援を目的にして活動している。外国籍児童の保護者を講師に迎えて
の講演、民族衣装の着付け体験学習や料理教室などを、教職員とともに実施している。
(2) 親子料理教室『ベラルーシの家庭料理を作ろう』
平成23年2月19日(土)には、学校開放講座の一つとして「親子料理教室」を
行った。内容はベラルーシの家庭料理である「ドラニキ」
(ジャガイモのパンケーキ)
と「クレープ」を作るもの。
講師を本校5年生児童の母親に依頼して、上記「世界探検クラブ」のメンバーが補
助につく形で実施。応募した13家族(児童14名)が参加して、約2時間の活動と
試食を行った。
異文化の理解には単に知識として知るだけではなく、その国の風土と結びついてい
る食材や、衣服に直に触れることの効果は高いと思われる。また、本校児童の保護者
が講師や補助者を務めることにより、児童にとっては親しみを持って学習に臨むこと
ができている。
さらに、これまで体験学習の教材として使用された子ども用の民族衣装などを寄贈
していただき、本校の国際交流ルームに常時展示しておくことで、日常的な国際理解
教育への学習環境づくりにも役立っている。
57
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
34 授業参観における外国籍の保護者と日本人保護者の交流
<本事例の特徴>
本校は外国籍の児童が多く在籍するため、平成4年から日本語教室が設置されて
いる。
ここ数年外国籍の児童は減少傾向にあるが、現在7名の児童が日本語教室に通級
している。日本語教室で外国籍児童とその保護者に日本の文化を理解してもらうと
ともに、相互の国の文化を理解するための取組について紹介する。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 授業参観における日本の文化の紹介
日本語教室の授業参観で、外国籍児童とその保護者に、七夕(七夕の由来と七夕の
飾り作り)とひな祭り(ひな人形とだんご作り)
、版画の年賀状作りなどの伝統行事
や、日本のお弁当(おむすびと卵焼き作り)などの日本の文化を体験していただいた。
◇ひな祭りに参加した児童の感想(一部)
ぼくは、おだんご作りはおもしろそうだと思いました。ぼくは、家でもおだん
ごを作りたいと思ったので、作り方をいっしょうけんめい見ました。おだんご
を丸くするとき、さいしょはうまくできなかったけど、さいごはちゃんとでき
ました。おだんごはすごくおいしかったです。 〈 4年 ペルー籍
〉
(2) 授業参観における外国の文化の紹介
外国人保護者を講師に招き、チェンズ作りと遊び方(中国)や餃子作り(中国)、カウ
サ作り(ペルー)などを行い、お互いの国の文化に触れ、他の国への理解を深めた。
◇餃子作りに参加した児童の感想(一部)
お母さんが先生になって、ぎょうざを作りました。皮を作ってもらって中みを
つつんだことがおもしろかったです。食べるときに、先生やみんなが「おいし
い、おいしい。
」と言ってくれたので、うれしかったです。
〈 3年 中国籍 〉
(3) 成 果
外国籍児童や保護者は、日本の伝統行事を体験することによって、日本をより身近に
感じることができるようになってきた。また、互いの国の文化を体験したことによって、
自国の文化を発信しようと、自国の料理やレシピを持ってきてくれる人もでき、保護者
同士の交流が深まった。
58
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
35 大学の留学生との交流①
<本事例の特徴>
本校では、地域の教育力を生かした様々な取組をしている。その中の1つとして、近
隣の大学の留学生との交流「ワールドフェスティバル」を実施し、日本と外国の生活や
習慣、行事などの違いを通して、コミュニケーション能力の育成を図っている。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 具体的な取組
「ワールドフェスティバル」国際理解教育~地域大学の留学生との交流会
ア 留学生による自国紹介プレゼンテーション
今年度は、中国・韓国・台湾・モンゴル・ベトナムの留学生28名と日本人大学
生6名が来校し、クラス単位での交流会を実施した。
小学生が異国文化等をより理解できるように、始めに留学生による自国紹介タイ
ムを設定した。民族衣装・民族習慣・食文化・マナー・建造物・遊び・ジェスチャ
ーの違いの7テーマで12グループを作り、各クラスに分かれ、10分程度のプレ
ゼンテーションをしてもらった。実物や写真等を使い、流暢な日本語で、小学生か
らの質問にも分かりやすく対応してくれていた留学生もいた。
イ クラスごとに考えた交流活動
留学生から教えてもらった外国の挨拶やじゃんけん等を使った遊びや日本の伝統的
な遊びの紹介、外国の子どもたちの遊びの体験を中心に各クラスで話し合い、計画を
立てて実施した。どのクラスからも楽しそうな笑い声や歓声、歌声が響き、有意義な
交流ができていた。
(当日の流れ)
(クラスごとに考えた交流活動例)
13:20 視聴覚室(控室)にて留学生待機
13:35 各クラスへ誘導(児童によるお迎え)
13:45 各クラスの交流会(60 分間)
↓ ☆留学生の自国紹介(プレゼンテーション)
↓ ☆留学生へのインタビュー
↓ ☆クラスごとに考えた交流活動
↓
(日本の遊び・外国の遊び等)
14:45 留学生見送り(視聴覚室まで誘導)
*留学生に感想を記入してもらう。
15:05 帰りの会・下校
59
○外国のじゃんけんで陣取りゲーム
○昔遊び(お手玉・けん玉・あやとり等)
○ずいずいずっころばし
○何でもバスケット
○春夏秋冬バスケット
○震源地はどこだ?
○オリジナル手作りすごろく
○新聞折りゲーム
○マジカルバナナ
○ウィンクキラー
等
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
*留学生のプレゼンテーション資料*
(韓国の伝統衣装)
(モンゴルの自然・民族衣装)
ウ 各クラスの交流の様子
なんだか、
モンゴルの人に
なった気分!
サイズもぴったり!
中国の漢服が
とっても
似合ってますよ!
ジェンタオ!シートォ!ブー!
あやとりは、
ここに中指を
通して・・・
60
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
エ 留学生の感想(一部)
(韓国の留学生)
本日は、大学の授業ではできないとても貴重な経験が
できました。準備する時は、小学生を楽しませることば
かり考えたのですが、逆にこちらが楽しくなってしまい
ました。
(略)
また、チャンスがあれば、ぜひぜひ来たいと思います。
小学生に異文化について、ちゃんと理解し接することが
できるよう教えてみたいと思いました。
(モンゴルの留学生)
本当に楽しかった。自分の国のことを紹介してうれし
かった。もっとよく交流したい。子どもたちがすごくか
わいくて一緒に遊んで本当に感動した。子どもたちから、
今日「なんでもバスケット」という新しいゲームを学ん
だ。国へ帰り、モンゴルの子どもたちに教えてあげたい。
日本語でたくさん
の感想を書いてく
れました。
たくさん元気をもらった。本当にありがとうございま
す。
モンゴル語で「バメアルラー」
(2) 取組の成果と課題
日本語に興味をもち、日本が大好きな留学生は、とても親しみやすく、子どもたち
は楽しみながら、外国文化を学んだり、日本のよさを再認識したり、国際理解を深め
ることができていた。
今後、ワールドフェスティバルでの交流だけでなく、互いの学校行事への参加も計
画し、交流回数を増やしていきたいと考えている。
61
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
36 大学の留学生との交流②
<本事例の特徴>
本校では、近隣の大学の留学生との交流を中心にした国際理解教育を推進し、日
本のよさ、外国のよさに気付き、外国の方との好ましい人間関係を構築し、共に生
きていこうとする思いを育んでいる。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 朝の「外国語(英語)に親しみ、触れ合う時間」の実施
業前活動として、「外国語(英語)に親しみ、触れ合う
時間」を設定し、年間指導計画にも位置付けることで、全
学年・全学級で、計画的に外国語に触れる時間を確保して
いる。
ALTが、教室を回り英語で朝
の挨拶を交わしたり、簡単なアク
ティビティを行ったりしている。日常の生活の中でさりげ
なく交わされる外国語と明るいALTの表情が、外国語や
外国に対する児童の抵抗感を着実に減少させている。
(2) 留学生との交流活動
本校の国際理解教育の中核をなすのが、5年生の総
合 的 な 学習 の 時間 で 実
施 す る 近隣 の 大学 の 留
学生との交流である。英
語や日本語を駆使し、身
振 り 手 振り を 加え て 会
話を重ねる中で、外国に
ついての知識理解が深まるだけでなく、言葉が通じ
る喜び、心が触れ合う感激を味わうことができた。
本年度は、留学生と共に韓国料理にも挑戦し、食を通じて外国の文化・生活を実
感することができた。
日々の外国語活動で育んできた外国語を話してみたいという意欲・態度や外国への興
味関心が、5年生時の留学生との交流で、大きく花開くことを感じている。今後も地域
の教育力を生かしながら計画的に国際理解教育を進めていきたい。そして、外国への関
心意欲を高めながら、児童のコミュニケーション能力を伸ばし、国際社会の中で臆せず
堂々と、そして、心優しく生き抜いていくことのできる児童を育てていきたい。
62
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
37 大学の留学生との交流と日本文化紹介
<本事例の特徴>
本町では、近隣の大学との地域連携事業の一環として「留学生との交流事業」を
○○中学校で実施している。留学生が自国の様子を説明し、中学生は日本文化につ
いて説明するなど、異文化理解に関する取組である。
<学校種> 中学校
<具体的な取組や成果>
(1) 具体的な内容
近隣の大学に留学している各国の学生十数名が、2名ずつに分かれ○○中学校の
各教室を訪問する。それぞれの留学生が出身国の様子について生徒に話した。
本年度も留学生自身が様々な工夫を凝らして自国のことを紹介してくれた。国旗、
民族衣装、生活習慣、言葉(特に簡単な挨拶)などについて、地図を用いたり、P
Cによるスライドショーや掲示物を作成したり、実物の資料を準備してくれたりし
て、大変分かりやすく話してくれた。
中学生は、日本の文化として、相撲、空手、折り紙などを紹介した。空手を習っ
ている生徒が道着を身に着けて型を披露したり、留学生と一緒になって折り紙を製
作したりと、単に言葉での紹介だけでなく、生徒側も工夫を凝らした紹介ができた。
(2) 成果と課題
ア 成果
国際理解教育は、これまでの様々な形で実施されてきた。ただ、多くが英語圏を
中心とした文化の理解に偏りがちな中、今回はアジアを中心に多くの国からの留学
生が参加してくださった。初めて触れる言葉や生活習慣に、様々な文化が存在し、
大きな違いがあることに気付くとともに、世界を見る視点が広がった。
また、日本のことを紹介する上で、自国の文化の特徴を振り返ることができた。
イ 課題
留学生への接し方に課題が残った。留学生を迎える心構え等の指導や、十分な打
ち合わせをもつことの必要性が分かった。
63
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
38 日本の伝統文化を学び、それを留学生に紹介する取組
<本事例の特徴>
中学生が地元の伝統文化や伝統芸能について学び、日本の伝統や文化等についての
認識と理解を深める。また、近隣の大学の留学生と交流し、世界の人々と協調し、国
際交流・国際協力等に積極的に取り組む実践である。
<学校種> 中学校
<具体的な取組>
(1) 日本の伝統文化や伝統芸能の学習(総合的な学習の時間)
絵手紙、箏曲、相撲、書道、茶道、ささら獅子舞、尺八など日本の伝統芸能を
第2学年の総合的な学習の時間(8時間使用)に学習した。4月から取組を行い、
6月の国際交流会を目指して取り組む。生徒たちが興味・関心を抱いた伝統芸能
ごとにグループに分かれる。伝統芸能の指導者は教師及び地域の方々を講師とし
て依頼した。
(2) 近隣の大学の留学生との交流
生徒が2か月間に学習した日本の伝統芸能の発表の場に、近隣の大学の留学生
を招き、共に伝統芸能を体験してもらいながら交流を図っている。本年度は中国
9人、台湾2人、韓国1人、ベトナム1人、オーストラリア1人、カナダ1人、
合計15人の留学生が来校し、生徒達が日本舞踊、折り紙、絵手紙、書道、百人
一首、日本の遊びなどを披露しながら交流を深めた。
折り紙
書 道
<取組の成果>
生徒たちが地元の郷土芸能を学ぶことにより、郷土理解・郷土愛を育むことがで
きた。また、地域の教育力を学校の中で活用したり、人々との触れ合いなどの地域
を教育活動の場にした開かれた学校づくりを進める中で、学校・家庭・地域が力を
発揮し合う元気な学校づくりができている。さらに、留学生との交流が積極的に図
られ、国際理解と友好・親善の場となっている。
64
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
39 大学の留学生との国際理解交流学習の取組
<本事例の特徴>
『近隣の大学留学生との国際理解交流学習の取組』
~体験学習を通して、社会性を育てる実践~
本校の国際理解交流学習は 15 年間継続している。今年度は、11 月4日(金)、5
日(土)に実施した。この交流会を通して、
「多文化共生の理念」を育みつつ、生徒
の社会性を育成したいと考える。本年度も、たくさんの素敵な出会いが認められた。
<学校種> 中学校
<具体的な取組や成果>
(1) はじめに
本校は、全校生徒 15 名の山間の学校である。健康的で素直であり、感情豊かな生徒
が多い。
しかし、積極的にコミュニケーションを図り、人間関係を円滑に行うための社会性
がやや不足する面があり、社会性の育成を重視した教育活動が重要であると考える。
そこで毎年 11 月に、総合的な学習の時間を活用し、近隣の大学の留学生を招待して、
国際理解交流学習を行っている。
(2) 取組の概要
(以降は平成 23 年度の取組である。
)
○日程
11月4日(金)
時刻
11月5日(土)
活動内容
具体的内容
時刻
活動内容
具体的内容
8:15
交流会準備
8:15 ~
登校
10:30
留学生迎え
8:40 ~
学習2
11:30
留学生到着
11:45
歓迎式
留学生自己紹
12:00 ~
昼食
12:15
昼食・校内見学
介
13:00 ~
お別れ会
挨拶・お礼の言
13:45
学習1
13:40 ~
留学生出発
葉
16:15 ~
交流会
地域文化紹介
13:50 ~
片付け
16:45
下校、ホームスティ
踊り、歌等で交流
15:00
下校
留学生の自国の
生活や文化紹介
○参加してくれた近隣の大学留学生(4名)
台湾(女性)・韓国(女性)
・シンガポール(男性)・中国(男性)
○主な活動内容と様子
学習1「日本の伝統・文化・芸能の紹介」
(Output 型)
・ねらい:○○町の文化を留学生に紹介し体験させることをとおして、生徒の理解度
を確認させる。同時に、自分の故郷を誇れるようにする。
・方法:
「総合的な学習の時間」で学んだことを紹介する。形態は体育館及び調理室で
屋台形式で行う。
65
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
学習2「留学生の故郷」( Input 型)
◎ねらい:
「総合的な学習の時間」で調べたものをもとにして、異文化に触れる。
◎方法: ・留学生に出身国の生活の様子・文化を話してもらったり体験させてもら
ったりして、違いを発見する中で、自分の考えを深める。(例:
「食文化」
「スポーツ」等)
・形態は音楽室を利用し、屋台形式で行う。
・各学年2名ずつ選出し、実行委員会を結成する。当日に関する具体的な
企画・運営はこの委員会を中心に行う。
○学習1
○○町の文化紹介
<うどん班>
○学習2
<和太鼓班>
留学生の自国文化紹介
<楽しく昼食>
<浴衣班>
○その他の様子<交流会>
<お別れ会>
<お別れのスピーチ>
<さよなら記念撮影>
○実践の成果および課題
国際理解交流学習終了後、社会性チェックを行った。その結果、生徒の社会性(自
尊感情・集団参加能力・実践力)が向上していた。2学期には、生活発表会(文化祭)・
小中合同運動会・ふれあい講演会・国際理解交流会等々の多くの学校行事があったが、
そのような様々な教育活動をとおして成果が上がってきている。今後も、国際理解交
流学習を継続していく予定である。
66
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
40 「国際交流事業」での大学の留学生との交流
<本事例の特徴>
本町では、町の取組として「国際交流事業」を行っている。その事業の一つと
して、「○○町の中学生と○○○大学院生との国際交流会」を実施している。町
内中学生と近隣の大学院への留学生とが交流し、それぞれの国の文化や特徴等を
理解し合う取組である。
<学校種> 中学校
<具体的な取組や成果>
(1) 取組概要
ア 日程等
○期 日 ・夏季休業中の1日間(本年度は、平成23年8月24日)
○会 場 ・○○町コミュニティーセンター及び町内の農園
○主内容 ・開会式(全体会)…日程説明、自己紹介、グループ編成
・町内の農園にて「ブルーベリー摘み」
・交流会①…全員での交流(簡単なゲームなど)
・昼食
・交流会②…グループごとに自国の文化や伝統、特徴等を
報告し合い、異国文化や生活についての理解を深める。
・閉会式(全体会)…あいさつ、アンケート記入
イ 参加者
○中学生(14 名)、留学生(16 名)、中学校教諭、大学院関係者、学校
教育課職員
ウ 事後取組 ○中学生は、後日学校にて、交流会の様子を他の生徒に紹介する。
(2) 取組の成果等
ア 生徒の感想より(一部)
○交流会に参加して、自分は英語が苦手だけど、外国の人と会話して、し
ゃべってみて、英語で会話するのはむずかしい。でもとても楽しかった
です。楽しい思い出になりました。
○いろいろと勉強になりました。いろいろな国の文化などがわかりました。
とても楽しかったです。またやりたいと思いました!!
○今回の交流会では、いろんな国の人と、仲良くなれたり、話せたり、と
ても楽しかった。もっといろんな国の人とも交流したいです。
イ 成 果
○グループごとに、自国の文化や伝統、生活様式などを報告し合うことで、異文
化理解を深めることができた。また、自国の文化や伝統、生活等を紹介するた
めに、事前に資料を準備したり説明の練習をしたりするなど、自国の文化や特徴
を再認識する機会となった。
○中学生と留学生が一緒に一日を通して行動することで、実践的な英会話にたく
さん触れることができた。また、英語が分からない場合でもジェスチャー等を
活用して、外国の方となんとかコミュニケーションを取ろうとする姿勢も見ら
れた。
67
埼玉県国際理解教育推進実践事例集「世界へはばたけ!ハローワールド」
41 大学の留学生との交流、英会話等の取組
<本事例の特徴>
本校では、総合的な学習の時間(かがやきタイム)において、国際理解教育を
取り上げ、年間30時間をあてている。「いろいろな国を知ろう」をテーマに世
界の国々について、児童の興味・関心を生かしながら様々な分野から情報を収集
し、世界の様子を意欲的に調べている。児童の興味・関心を高めるため、近隣の
大学と連携し、留学生から直接、その国の文化、習慣、言語、気候、こどもの生
活等を聞くなど、交流を深めた。
<学校種>
小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 全体としてのテーマである「いろいろな国を知ろう」への学習の動機付け
○ 学習への動機付けとして、近隣大学の留学生との交流
11 月、近隣大学の留学生(ベトナムと中華人民共和国出身)を招き、2 人からそ
の国の文化、習慣、言語、気候、子どもの生活等についてお話を伺った。児童は、
距離的には遠隔地にある欧米人(ALT 等)との交流は比較的慣れているが、近隣
のアジア諸国の人々との交流は初めてであり新鮮さを感じたようである。身近であ
るはずのアジアの国々の文化、習慣等の違いに驚きをみせ、関心を高めていた。
(2) 実践的な英会話
○ 児童は、ALT(オーストラリア人)を活用した外国語活動を楽しんでいる。英語
ノートを中心として、これまでの学習で、外国における挨拶、生活習慣、文化等に
ついて、英語に触れながら学んできている。簡単な挨拶、誕生日、自己紹介等を英
語で話し、伝えることができてきている。国際理解を進める上で、コミュニケーシ
ョンの手段である「ことば」の重要性を感じ、楽しみながら身に付けてきている。
○ 本校では、在籍している南米諸国等の子どもたちのために日本語学級が開設され
ている。その学級の「通訳」
(ブラジル人)からも母国の話を聞くことができる。
欧米に偏った国際理解教育でなく、アジア、南米についても幅広く学習させており、
児童にとって、充実した国際理解教育となっている。
68
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
42 研究推進機構と大学との連携による国際理解教室
〈本事例の特徴〉
本校は○○市の研究推進機構と近隣の大学との連携による国際理解教室に応募し、
大学院留学生 2 名を講師として通訳(英語)の方も一緒に派遣していただき、総合的な
学習の時間における国際理解教育の授業を行った。その取組について紹介する。
〈学校種〉 小学校
〈具体的な取組や成果〉
○6 年生の総合的な学習の時間「世界につながろう」の学習で、留学生 2 名の方(A さ
んパキスタン出身とBさんスリランカ出身)にそれぞれの国について紹介していただ
いた。児童は地理や自然、国旗の由来、言語、有名な観光地、人口、歴史、宗教、文
化、教育、民族衣装、食べ物や資源など、パワーポイントの映像を見ながら話を聞く
ことができ、パキスタンとスリランカについての理解を深めることができた。また、
世界の国々への関心が高まるとともに、日本の文化や伝統と比較しながら話を聞くこ
とで、さらに探究的な学習につなげることができた。
○児童の感想より(一部)
・スリランカの国旗は、百獣の王ライオンが描かれていて強い国を表していると知って
驚きました。スリランカの文字は、書くのが難しいと思いました。画面にめずらしい
くだものがたくさん映った時は、色がとてもきれいでおいしそうでした。宝石も有名
だと聞いてびっくりしました。自分でもスリランカの国についてくわしく調べて知り
たいと思いました。世界は広いんだなと思いました。
・私はパキスタンの民族衣装がかわいかったので、一度でいいから着てみたいと思いま
した。A さんから教えてもらったパキスタンのじゃんけんを妹に教えて一緒に遊びま
した。
・通訳の T さんが英語で留学生 2 人と話して、私たちに通訳をしてくれる姿はとても
かっこよかったです。私も将来、英語やいろんな国の言葉をしゃべれるようになりた
いです。
○パワーポイントによる美しい映像や分かりやすい説明に加え、A さんがパキスタンの
民族衣装を着て、国で流行しているという歌の言葉の意味を教えて、歌って聞かせて
くれたり、じゃんけん遊びを教えてくれたりした。挨拶の言葉を練習したり、一緒に
歌ったり、ゲームをしたりすることでパキスタンという国を身近に感じることができ
た。
○児童から、宗教、食事の仕方、教育制度、交通のきまりなど自分のテーマに関する質
問がたくさん出され、留学生の方に質問一つ一つに対して丁寧に答えていただいたの
で、調べているそれぞれのテーマの課題解決につなげることができた。
69
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
43
ハローワールド』
ALTをゲストティーチャーに迎えた国際理解
<本事例の特徴>
本校では、今年度から「彩の国の道徳」の資料を活用し、学校公開に合わせ道
徳の授業を実施することになった。それぞれのクラスで児童の実態や教員の校務
分掌などを考慮し、年間計画をもとに資料を選定した。以下は、国際理解教育に
関する資料をもとに、ALTをゲストティーチャーとして迎えた授業に取り組ん
だものである。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 授業実践の背景
本学級には、母親がアジア出身の児童がいる。クラスの児童生徒はみな明るく
楽しく生活しているが、文化や習慣の違いから、児童同士の中にコミュニケーシ
ョン不足を感じることがあった。そこで日本のよさや外国のよさを感じ取らせる
ことを通して、身近な国際理解を考える場として「ゆかたとチマチョゴリ」とい
う資料を使い、授業を進めることとした。
(2) 授業の概要
資料は主人公の祖母宅にホームステイしている韓国の少女が民族衣装のチマチ
ョゴリを誇らしげに着ている様子を通して、主人公が日本のゆかたを見直すすが
すがしい話である。授業では、私たちの日本文化を振り返ると同時に、フィリピ
ン出身のALTに民族衣装やフィリピンの素晴らしさを伝えてもらった。
本校のALTはここ数年フィリピン出身者が多く、児童にとってフィリピンは
馴染み深い国となってきたが、児童の日常の活動の中ではなかなか民族衣装や文
化の話をゆっくり聞く機会がない。そこで、ALTにフィリピンは日本よりとて
も暑いので、民族衣装は涼しいつくりになっていること、国のよさと気候は密接
な関係であることなどを分かりやすく話してもらった。その結果、
「フィリピンに
行ってみたい。」という感想をもつ児童や外国のくらしについてもっと知りたいと
思う児童も出てきた。
さらに、この授業をきっかけとして日本についての見方を広め、町や地域に古
くから伝わる祭りや、食べ物、生活様式など身近なところにたくさんの日本のよ
さが見つかった。また、日本、韓国、フィリピンの3か国について、それぞれの
国によさがあることや児童が知っている国々についても思いをめぐらせることが
できた。
(3) 成果
この授業を通して、児童が世界の国に興味をもち、それぞれにその国の生活が
あることやそのよさがあることを考えられるようになった。授業後、母親がアジ
ア出身の児童も母の国に行ったときの話をしたり、生活の様子を話して聞かせた
りして、他の児童とともに互いを理解する気持ちが深まった。来年度は、外国籍
保護者をゲストティーチャーとして招くと共に、他の保護者も交え、互いが理解
し合い、親しみ深い学校となるようにしていきたい。
70
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
44 留学生との交流も含めた系統的な国際理解教育
<本事例の特徴>
本町ではここ数年で、県外他市町村からの転入学、または直接外国から本校に編入
学してくる外国籍の児童が増えてきている。ここでは、他の児童と外国籍の児童の相
互理解を深めるための外国の文化について正しく理解する取組を紹介する。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 総合的な学習の時間における国際理解教育の事例
ア 第3学年:
「国旗祭りをしよう!」
万国旗からその国の文化やスポーツ、衣・食・住について調べ、発表し合う学習
メキシコについて調べた児童は、食に興味をもち「タコス」について調べた。調
べた後に家庭で母親と一緒にタコスを作り、食べた感想も発表した。また、万国旗
から世界にはいろいろな国があり、いろいろな生活をしていることを知った児童も
いた。この活動を通して、児童は外国の文化等に興味をもち、さらにいろいろな国
について調べてみようという興味や関心が広がった。
イ 第5学年:
「外国からの留学生と交流しよう!」
現在、多くの国から日本に留学している学生がいることを知ったことが、留学
生と交流したいという活動に発展した学習
近隣の大学の留学生を学校に招いて児童と交流した。留学生が、それぞれの国
の様子について児童に話すと共に、児童からは「折り紙」「お手玉」「羽根つき」
などの日本の遊びを紹介し、留学生と一緒に遊び楽しく過ごした。ある児童は、
留学生が自分の国や文化について誇りに思っていることに感動し、そのことを手
紙に書いた。
ウ 第6学年:
「海外に修学旅行に行こう!」
修学旅行の発展学習として、行ってみたい外国について調べた学習
外国の城について調べた児童は、その城が何百年も経っていることを知ったり、
現在でも人々の生活に使われていることも知ったりして、とても驚いていた。日
本の城との違いにも気付き、日本が「木の文化」であるのに対してヨーロッパの
国々が「石やレンガの文化」であることにも気付き、その国の地域性や自然環境
について関心が広がった。
(2) 取組の成果
このような世界の国々を調べる学習を、第3学年から発展的に行ってきた結果、児
童は、それぞれの国には、それぞれのよさや素晴らしさがあることを知った。また、
そのことを通して、日本のよさにも気付くきっかけとなった。
71
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
45 埼玉県国際交流協会からのゲストティーチャーを迎えた国際理解
<本事例の特徴>
本校の児童は、外国の文化や外国人と触れ合う機会が大変少ない。そこで、総
合的な学習の時間における国際理解教育の取組として、外国人講師を招き、子ど
もたちの興味・関心の高い事柄について紹介していただいた。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
○総合的な学習の時間の「国際理解教育」
(1) 自国の文化を見つめ直すことから
国際理解というと、外国の文化や国ごとの違いのみに注目しがちであるが、まず
は自国の文化を見つめ直すところから学習を始める必要があると考えた。
そこで、国際理解の本質に迫るために、日本文化に触れ、自国の文化を見直し理
解することから始めた。まずは、日本の伝統的な文化から『茶道』
『華道』
『邦楽』
を取り上げ、ゲストティーチャーを招き、共通体験をした。ここで本物と出合い、
表面的な知識だけではなく、その道の奥の深さを感じ取ることができた。また、ゲ
ストティーチャーとの豊かなふれあいは新しい学びを獲得するだけでなく、自分の
生き方を見つめ直すきっかけにもなった。
(2) 世界に目を向ける
次に世界に目を向けさせた。共通体験として『身近な外国の人々』
(韓国・中国)
を招いて、それぞれの国の衣食住についての話を聞いた。ここでは、各自が知りた
い国を選び、その国の人と直接触れ合うことを体験させた。あらかじめ打ち合わせ
をし、児童の興味・関心の高い事柄について紹介していただくようお願いをしてお
いた。民族衣装を着たり、韓国の歌を歌ったり、中国語と日本語の漢字の違いに驚
いたり、児童は様々な体験をすることができた。
外国人講師は、財団法人埼玉県国際交流協会から派遣していただいた。
(3) 児童の感想より
○「日本の服装や食べ方など韓国とは全然違うことを知ることができてよかった
です。韓国の服装などなかなか体験できないことが体験できてすごく心に響き
ました。
」
○「中国のゲストティーチャーの方は、中国のこと以外にも生きていることの大
切さ、普通に生活できている素晴らしさを大事にしてほしいと、生き方につい
ても教えてくれました。この触れ合いで中国のことをもっと知りたくなりまし
た。
」
(4) まとめ
~人間としての考え方は変わらない~
その後、「世界と日本とのつながり」という視点を児童にもたせながら、学習を
進めていった。まとめとしては、「異文化」だけに焦点を当てるのでなく、文化は
その国の自然・気候・風土や歴史から生まれてきたものであり、それぞれに違いや
特色はあっても、その根底にある人間としての考え方は変わらないということを実
感できるようにした。
本取組をとおし、児童は、自国の文化をさらに理解し、世界の人々と心を通わせ
たいという思いをもつことができた。
72
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
46 JICAと連携した「こころざし国際塾」の取組
<本事例の特徴>
本市では、市の取組として、JICA(国際協力機構)と連携して、「こころざ
し国際塾」を実施している。国際社会に対する児童生徒の知的好奇心に応えるとと
もに、日本及び諸外国の伝統や文化について深い理解をもち、国際社会において信
頼され、世界の平和と発展に貢献できるリーダーを育成するための取組である。
<学校種>小・中学校(対象:小学校5年生~中学校3年生)
<具体的な取組や成果>
(1) JICA地球広場での体験活動(第1日目)
学ぶ
・JICA地球広場で、各種体験活動を行い、世界の現状と課題等について学んだ。
具体的には、①青年海外協力隊経験者による講話 ②世界の料理体験 ③世界の水問
題についてのグループ討議
④地球広場体験ゾーンの見学 などを行った。
児童生徒は、開発途上国の現状と課題を知るとともに、「世界の中の日本」という
視点で、日本の食料問題や相互依存の関係を学んだ。
「世界の料理体験」
「グループ討議」
「地球広場見学」
深める
(2) 講師を招いての研修会(第2日目)
・本市教育研究所を会場として2日目を実施した。ここでは、埼玉県在住の外国人の
方や、JICA埼玉デスクから講師を招いて、講話を聞いたり、グループ討議を行っ
たりした。また、これまでに学んだことを振り返り、個人個人の意見発表会の準備を
行った。
73
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
具体的には、①JICA作成のDVD「世界はキミにつながっている」の視聴
②
ネパール人講師による講話(ネパールの現状と課題を知り、自分たちの生活を振り返
る。
) ③JICAスタッフの指導によるグループ討議(「私たちの役割」について考
える。) ④意見発表の準備(学んだことをまとめ自分の意見を英語で発表する準備
を行う。
)
「DVD視聴」
「グループ討議」
「ネパールの舞踏体験」
(3) 意見発表会(第3日目)
・2日間で学んだことをもとに、自分の意見発表を英語で行った。具体的には、児童
生徒は事前に各自の意見をまとめておき、午前中に台本作りを行った。この際、中学
校英語科教員が台本作りを支援した。午後は、コンピューターや書画カメラを活用し、
参加者全員がプレゼンテーション形式で発表した。
「中学生が小学生にアドバイス」
「パワーポイントを使って発表」
74
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
○3日間を通して、児童生徒の知的好奇心や学ぶ態度は素晴らしかった。小・中学生と
もに、メモを取りながら講師の話を聞き、必要に応じて、デジタルカメラを活用しなが
ら記録を残し、意見発表までのプロセスを意識して活動に参加していた。
最終日の意見発表を英語で行うこととしたため、小学生には、ややハードルが高かっ
たが、中には中学生顔負けの発表を行う児童も見られた。
今後もこの取組を継続し、次代を担うリーダーの育成を行っていきたい。
「修了証
授与」
「研修の手引き」
75
埼玉県国際理解教育実践事例集『世界へはばたけ!
47
ハローワールド』
親子ふれあい講演会における英語指導補助員による国際理解
〈本事例の特徴〉
本校は、「彩の国
教育週間」の取組のひとつとして、親子ふれあい講演会を実
施している。海外での生活経験がある本町英語指導補助員を講師に迎えて、児童・
保護者・地域の方を対象に行った今年度の取組について紹介する。
〈学校種〉
小学校
〈具体的な取組や成果〉
(1) 具体的な取組
「英語を楽しもう」のタイトルで、イギリスでの生活体験を聞いたり、簡単な英語
を使ってショッピングゲームをしたりして国際理解を深めた。
ア イギリスでの生活
イギリスで生活していた
頃の話を聞く。自宅や学校、
食べ物の様子を写真で紹介
してもらい、日本との違い
に気付いた。英語は少しず
つ覚えていき、話ができる
ようになった講師の体験談
を聞いた。
イ ショッピングゲーム
保護者も参加して、ショ
ッピングゲームを楽しん
だ。お店の人と買い物に
出かける人に分かれて、果
物や野菜の買いものをすることを通して、簡単な英会話を学んだ。
(2) 成
果
授業で指導していただいている先生の実体験の話であり、どの子も真剣に聞き入
っていた。参観する機会の少ない国際理解教育の講演会は、保護者や地域の方にも
好評であった。また、ショッピングゲームを取り入れ、疑似体験をすることにより、
楽しみながら学習することができた。
[児童の感想]
○○小教育の日に、A先生がイギリスに住んでいた頃の話をしてくれました。写真
なども見せてくれました。
イギリスのバスは2階だてで、とても景色がいいそうです。デザートのパフェのよ
うなものは、とてもおいしそうでした。日本と食べ物の大きさ、量が違うのでびっく
りしました。
親子で一緒に英語を使って、買い物ゲームをしました。親子で勉強できてよかった
です。いつもとっても楽しい英語の勉強をありがとうございます。
76
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
48 スポーツ交流や視察研修等の受入
〈本事例の特徴〉
日独スポーツ少年団同時交流事業は、日本スポーツ少年団とドイツスポーツユ
ーゲントが主催機関となり、プログラムの編成や両国間の研修テーマの設定をし、
国際経験豊かな指導者を育成するため、スポーツ少年団のリーダー(16歳 ~
21歳程度)125名が互いに相手国を訪問し、グループに分かれて各地でホー
ムステイをすると共に、スポーツ交流や視察研修等を約3週間にわたり行う。
〈学校種〉 高校生以上
〈具体的な取組や成果〉
(1) 交流事業期間
平成22年7月23日(金)~8月13日(金)
ア 全体研修
平成22年7月23日(金)~7月25日(日)滋賀県内
イ 地方プログラム1
平成22年7月25日(日)~8月 4日(水)埼玉県内
ウ 地方プログラム2
平成22年8月 4日(水)~8月10日(火)茨城県内
エ 全体研修
平成22年8月10日(火)~8月13日(金)東京都内
(2) ドイツ団:ドイツスポーツユーゲント(ヘッセン州)
指導者1名
団員11名(16歳から21歳)
※平成22年度は、本町からの相手国への訪問はない。
(3) 本町での受入概要
・本町スポーツ少年団を中心に、本町国際交流協会の協力を得て、受入
実行委員会を組織した。事務局は、本町教育委員会社会教育課である。
・滞在中はホームステイとし、1家庭で1名受け入れる。滞在中の受入
家庭の移動は行わない。
・ホームステイは町内11家庭に依頼した。
(4) 成 果
・本事業は、埼玉県スポーツ少年団からの依頼により実施した。
・交流は、スポーツ少年団関係者が中心であった。
・ホームステイのホストファミリーでは、親密な言語・文化の交流がな
され、国際感覚が高まった。
77
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
49 地域の外国語サークルの活用
<本事例の特徴>
地域の名人にいろいろなことを教えてもらいながら、地域に親しみを感じ、人
とのかかわりを広げ、深めようとする取組である。中でも、地域の外国語サーク
ルの方々から外国の話を聞いたり、言葉や遊びを教えてもらったりすることをと
おして、外国に親しみをもつ。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 具体的な取組
ア 生活科「まちの名人さん こんにちは」~地域の方の協力による国際理解教育~
・各クラス4つのグループに分かれて、名人の話を聞いたり、体験活動を行ったりす
る。
・いろいろな国の言葉をつかって挨拶をしたり、ゲームをしたりする。
・名人から教えてもらったことを学年の中で伝え合う。
イ 活動の様子
習ったフランス語
で挨拶をしました。
「ボンジュール」
「コマンサヴァ」
フランス語、韓国語、スペイン
」
韓国語でじゃんけん「カイ バイ ボォ」
語、ロシア語の挨拶を教えてもら
をしたり、身振り手振りをつけて、ジェ
いました。
スチャーゲームをしたりしました。
学年みんなに「外国語グル
ープ」で教えてもらったこと
紹介したり、感想発表をした
りしました。
(2) 成果
「いろいろな国の挨拶が覚えられて、よかった。」
「○○語で、じゃんけんが調子よく
できて、楽しかった。
」
「今度は、外国の人ともやってみたい。」等の感想が、児童から
寄せられた。
78
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
50 JICAとの連携
<本事例の特徴>
本校では、第3学年後期の「総合的な学習の時間」の中で『世界について知ろう』
というテーマで、UNICEF やJICAのワークブックを活用した授業、また同事
業団体に派遣を依頼して行う出前講演などを通じて、世界の現状やこれからの自分
たちに何ができるかを考えていく取組を行っている。
<学校種> 中学校
<具体的な取組や成果>
(1)ワークブック・DVD を活用して、世界を知る
・世界の様々な地域に住む子どもたちはどのような環境で生活しているのか、また自
分たちの暮らしとは何が違うのかを、DVD(「ようこそボクらの学校へ」NHK 出版)
で視聴し、自分たちと同じような年齢の子どもの現状を理解する学習を行った。ま
たワークブック(「地図でユニセフ」
「地球のともだち」UNICEF 資料)で、世界各地
の就学率や識字率、貧困の度合などを調査し、まとめた。
(2) UNICEFやJICAの派遣講師による出前講演
・(1)の活動をとおして事前知識を身に付けた後、実際に UNICEF やJICAで活動
する方を講師として本校に招き、講師の方が実際に見た現地の様子や、行った支援・
活動をスライドや映像で紹介してもらった。講師の方から、発展途上国の人たちに
対して行った支援や、自分たちが行える支援を話して下さったことで、国際理解教
育だけでなくキャリア教育の観点からも、生徒たちに得るものがあった様子が見ら
れた。
(3) これまでの学習を通してのまとめレポート作り
・DVD やワークブック・出前講演などを通じて知り得た事柄を、自分たちのことばで
他の人たちに伝えることができるよう、模造紙大のレポートにまとめた。各自が設
定したテーマに沿った内容をまとめることができていた。まとめたレポートは授業
内で発表を行い、発表後には他のクラスの人たちがまとめたレポートを読むことが
できるように廊下に掲示して、さらに世界の現状についての知識を深めることがで
きた。
○日常生活を送る中で、自分たちの暮らしている現状を当たり前のこととして考えてい
る生徒が多いようであったが、この取組をとおして、同じ年齢でも全く異なる境遇に
いる人たちの状況を知り、自分たちの今の暮らしの尊さに気付くことができたようで
あった。自分たちの住む地域を越えて、世界に目を向けるきっかけとなった取組であ
った。
79
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
51 国際交流ラウンジのゲストティーチャーの活用
<本事例の特徴>
本校では5年生の総合学習において『開こう!世界へのとびら』を2学期のテーマ
とし、異文化理解を中心とした国際理解教育を行っている。国際交流ラウンジに協力
を依頼し、ゲストティーチャーを招き、外国の話を聞いた上で、日本と比較しながら
外国の自然・文化について探究していく取組である。
<学校種> 小学校
<具体的な取組や成果>
(1) 具体的な取組
ア ゲストティーチャーによる問題提起
1学期の日本の産業や伝統文化、史跡・名所の調べ学
習から視野を世界に広げるために、国際交流ラウンジに ゲストティーチャーよりベトナムについて教わる
協力を依頼した。その結果、ベトナムから帰化された方
を紹介していただき、ゲストティーチャーに招き、ベトナムの学校や文化、歴史な
どについて教えていただいた。
イ 探究活動
教えていただいたことをもとに日本とベトナムについて比べたいことをウェビン
グ図にして表し、課題を『日本とベトナムの学校について』
『日本とベトナムのくら
しについて』の2つに設定し、クラス全体で課題について調べることになった。本
やインターネットで調べたり、レシピを元にベトナム料理を実際に調理したりした。
また、資料で調べられなかったことについては、直接ゲストティーチャーにインタ
ビューをして聞き取り調査をした。以下は児童の調査結果の報告書の抜粋である。
日本のチャイムは放送を流している。ベトナムのチャイムは、いなかは、電気がつな
がらないのでたいこがチャイムで、ふつうの所はベルをチャイムにしている。
日本では、教科の課題が1つ終わったら1枚テストをする。ベトナムでは、1学期
・2学期・3学期に受けたテストの点数が10点になれば、次の学年に進める。
□行事(日本)
:スタンプラリー
マラソン大会などなど
□行事(ベトナム)
:先生の日…花束やプレゼントをわたす。
□休み時間(日本)
:外で遊ぶ、教室で遊ぶ
□休み時間(ベトナム)
:お金をもって売店でおかしを買う。1つ10円~20円
くらい
80
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ!
ハローワールド』
(2) 成 果
ア 学習成果の発表とお礼の会
クラスごとに学習成果を発表した後、
再びゲストティーチャーを招き、お礼の
会を行った。お礼の会では、各クラスの
優秀グループの発表を行った。日本とベ
トナムについて調べたことを、模造紙に
記事を書いた新聞形式やICT機器を
ICT 機器を活用した学習成果の発表の様子
利用するなどして発表した。このような
発表を行うことで、さらに理解が深まっ
ただけではなく、3学期への意欲付けにもなった。
イ 児童のベトナムに対する考え方の変容(ベトナム観の構築)
学習前
・ベトナムはどこに
あるのか、どのよ
うな国か分からな
い。
・サッカーでしか知
らない。
・テレビや新聞でし
か見てなくて関係
ないと思ってい
た。
⇒
探究活動
・
(ゲストティーチャー
の)大石さんのおか
げで、学校のことや
ベトナムの生活につ
いて知ることができ
た。
・話合いからベトナム
戦争がテーマにな
り、分担して調べる
ことになった。
・資料で調べられない
ことをインタビュー
で調べることになっ
た。
⇒
学習後
・テレビでベトナムのことが
出ると反応するようになり
った。
・ベトナムは米の種類がたく
さんあったり、夜は家族全
員が遊びに行ったりするな
ど楽しそうだと思ってい
る。
・ベトナム戦争のときは、命
を落とす人が多くて切なく
なった。
・3組(並行学級)は食べ物
の値段を調べていて日本と
ベトナムの差が分かった。
ゲストティーチャーを招き、日本とベトナムを比較しながら学習を進めることに
よって、学校や生活文化、それぞれの国の歴史について理解を深めることができた。
また、自国(日本)のよさについても再確認することができた。国際社会への参
加のための契機となる取組であった。
81
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