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ECHONET Liteによる 蓄電池管理システムの試作

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ECHONET Liteによる 蓄電池管理システムの試作
ECHONET Liteによる
蓄電池管理システムの試作
NEC クラウドシステム研究所
○宮本善則 山崎康広 岡部稔哉
2012年5月24日
はじめに
▌スマートハウス・スマートコミュニティにおける創電・蓄電制御プロトコ
ルとしてECHONET Liteが注目されている。
▌自社でもECHONET Lite関連製品の開発を進めている。
▌今回は、蓄電池管理に関するシステムを試作した。
▌本発表では、試作システムの概要と、試作を通して得たECHONET
Liteに関する知見を述べる。
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© NEC Corporation 2012
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もくじ
1. ECHONET Liteについて
2. ECHONET Liteによる蓄電池管理システムの試作
3. 試作を通して得た知見
1.
2.
ECHONET Liteの利点
ECHONET Liteを利用する上での検討課題
4. まとめと今後
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1. ECHONETLiteについて
▌概要
日本の電気メーカなどで設立されるエコーネットコンソーシアムが提唱する規格。
近年、国内でHEMSの標準プロトコルとして認定されたため、今後、製品開発が
活発に進められることが予想される。
活発に進められることが予想される
▌サービスイメージ
エネルギーマネジメント、ホームセキュリティ、など
▌歴史
1997年:エコーネットコンソーシアムの設立
2011年12月:国内でHEMSの標準プロトコルとして認定
2011年12月:ECHONET Lite規格が公開
2012年4月:ECHONET Lite規格適合性認証受付開始
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1. ECHONETLiteについて
▌規格の概要
ECHONET Lite
アプリケーション
ECHONETLite
通信ミドルウェア
5-7層
EX.) UDP
EX.) IP
1-4層
(規定なし)
EX.) MAC
EX.) Ethernet
EHD1
SEOJ
EHD2
DEOJ
TID
EDATA
ESV OPC EPC PDC EDT
制御対象の
EHD:ECHONET Liteヘッダ
プロパティ数だけ
TID:トランザクションID
EPC-EDTを列挙
EDATA:ECHONET Liteデータ
(SEOJ:送信元ECHONET Liteオブジェクト
DEOJ:相手先ECHONET Liteオブジェクト
ESV:サービス種別
ESV:サ
ビス種別
OPC:処理プロパティ数
EPC:ECHONET Liteプロパティ
PDC:EDTのサイズ
EDT:プロパティの値)
メッセージフォーマット
通信レイヤの位置づけ
参照: 第2部 ECHONET Lite 通信ミドルウェア仕様
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2. ECHONET Liteによる蓄電池管理システム
▌試作システムの論理ネットワーク構成
多様な通信IFを持つ蓄電池に対応するための変換GW
HEMSコントローラは、変換GW単位を機器ノードとして認識
各蓄電池システムは機器ノ ド内のインスタンスとして識別
各蓄電池システムは機器ノード内のインスタンスとして識別
1つのECHONET機器ノードとして見える
ECHONET
Lite/
UDP/IP
変換GW-1
HTTP/
TCP/IP
蓄電池システムA
(インスタンス①)
蓄電池システムB
(インスタンス②)
HEMS
コントローラ
変換GW-2
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蓄電池システムC
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2. ECHONET Liteによる蓄電池管理システム
▌通信シーケンス(立ち上がりから、プロパティ取得まで)
ECHONET Lite /
UDP / IP
HTTP /
TCP / IP
変換GW
HEMSコントローラ
蓄電池システム
・・・
1. 立ち上がり
2. 立ち上がり
3. 蓄電池システムの
4. 立ち上がり
プロパティを要求
定期更新
5. インスタンスリスト通知の一斉同報
6. インスタンスリスト要求の一斉同報
7. 蓄電池を認識
蓄 池
識
8. 蓄電池残量を参照要求
9. 蓄電池残量を更新
10. IPアドレス変更
11. インスタンスリスト通知の一斉同報
12. 蓄電池を再認識
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2. ECHONET Liteによる蓄電池管理システム
ECHONET Lite/UDP/IP
▌詳細項目
HTTP/TCP/IP
HEMSコントローラ
表示情報
状態変化時
同報配信
動作状態
運転モード
ECHONET Lite
変換GW
蓄電池システム
状態更新
状態更新
動作状態
運転モード
*状態変化時の
通知が必須
定期的に
プロパティを更新
参照要求によるプロパティの更新
製造番号
瞬間充放電電力量
蓄電池残量
動作モード名称
定格容量
蓄電池タイプ
etc.
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製造番号
瞬間充放電電力量
蓄電池残量
動作モード名称
定格容量
蓄電池タイプ
etc.
動作状態
運転モード
製造番号
瞬間充放電電力量
蓄電池残量
動作モード名称
定格容量
蓄電池タイプ
etc.
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2. ECHONET Liteによる蓄電池管理システム
~アプリケーションのGUI~
蓄電池システム
を認識
各種プロパティ
参照要求ボタン
家庭用蓄電池
状態変化時に
自動的に更新
を認識
各種プロパティ
設定要求ボタン
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3-1. ECHONET Liteの利点
~豊富な対応機器とプロパティ~
▌概要
創・蓄電機器を含む豊富な機器に対応し、そのプロパティについて詳細に規定
▌豊富 対応機
▌豊富な対応機器
80種類以上
種類
住宅・設備関連機器(太陽光発電システム、燃料電池、蓄電池、etc.)
調理・家事関連機器(白物家電等、etc.)
センサ関連機器
etc.
▌機器ごとに規定される詳細なプロパティ
対応機器ごとのプロパティの値の範囲、アクセス方法を細かく規定
EX.) 蓄電池
•積算充電電力量計測値(プロパティコード: 0xD8)
•値の取り得る範囲(0~999,999.999kWh)
•アクセス方法(参照要求)
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3-1. ECHONET Liteの利点
~軽量なデータサイズ~
▌概要
バイナリデータにより、データサイズを抑えて、パースなどの処理も容易
低スペックの機器でも対応可能
▌フレームフォーマットのサイズ
利用されるフレームの多くは数十byte(規定では最大65547Byte)
•EX.) 蓄電池クラス
•瞬時充放電電流計測値: 2Byte
•積算充電電力量計測値: 4Byte
EHD1
SEOJ
EHD2
DEOJ
TID
ESV
OPC
EDATA
EPC
PDC
EDT
複数のプロパティを列挙可能
メッセージフォーマット
参照: 第2部 ECHONET Lite 通信ミドルウェア仕様
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3-2. ECHONET Liteを利用する上での検討課題
~機器をトレースする統一的な方法が規定されていない 1/3~
▌問題
機器をトレースするための統一的な方法が規定されていない
ECHONET Liteノードの状態変化(電源ON・OFF、ネットワークの着脱、etc.)があ
る場合に そのノードをトレースできない
る場合に、そのノ
ドをトレ スできない。
▌機器をトレースする必要性
EX.)蓄電池の劣化状態の変化履歴を把握して、寿命予測をしたい
▌トレースするための情報の候補
MACアドレス、IPアドレス
ECHONET Lite固有の情報(識別番号、個体識別情報、メーカコードと製造番
号)
=> 次のページにて比較
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3-2. ECHONET Liteを利用する上での検討課題
~機器をトレースする統一的な方法が規定されていない 2/3~
トレースするための情報の比較
項目
役割
設定値の変更
対応状況
MAC
アドレス
ネットワーク機器に付与されるユ
ニークな番号
故障などによりネットワー
ク機器が取り換えられる
とき
L2のプロトコルに依存
IPアドレス
装置単位に割り当てされる識別番
号
電源ON/PFF
DHCP Renew時
L3のプロトコルに依存
識別番号
ドメイン内でオブジェクトを一意に識
別するための番号
無し
(アクセス方法として
Getに対応)
ノードプロファイルクラスに
必須だが、値を持たない場合がある
(0x00: 識別番号未設定)
個体
識別情報
ドメイン内でノードを一意に識別する
ための番号で、サブネット変更時も
ノードを普遍なものとして扱うための
情報
(ローカルユニークな番号)
Set要求を受けるとき
(アクセス方法として
Get/Setに対応))
ノードプロファイルクラスに必須
*例外: メーカコード、製造番号で代替で
きる場合は不要
メーカコード
と製造番号
機器メーカがユニークであることを
保証する値
(グローバルユニークな番号)
無し
(アクセス方法としてGet
に対応)
メーカコード:
ノードプロファイルクラスに必須
製造番号:
ノードプロファイルクラスにオプション
参照: 第2部 ECHONET Lite 通信ミドルウェア仕様
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3-2. ECHONET Liteを利用する上での検討課題
~機器をトレースする統一的な方法が規定されていない 3/3~
▌考察
ドメイン内でのノードのトレースについて
個体識別番号あるいはメーカコードと製造番号のどちらかを使うとトレース可能
参考:ドメイン間をまたぐノードのトレースについて
•ドメイン内でノードをトレースするための情報に、新たにドメインの識別子を追加
–ドメインの識別子については後述(P21-23)
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3-2. ECHONET Liteを利用する上での検討課題
~WAN拡張の概要~
▌概要
数百~数千棟の需要家の蓄電池などの機器を統合管理するサービスの提供
WAN側の通信方法として、ECHONET Liteが利用される可能性がある
▌通信システムの概要図
需要家a
ECHONET Lite
ネ トワ ク
ネットワーク
ECHONET Liteメッセージ
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・・・
蓄電池統合管理サーバ
数百 数千棟
数百~数千棟
需要家b
需要家n
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3-2. ECHONET Liteを利用する上での検討課題: WAN拡張
~状態通知などでマルチキャストを利用できない~
▌問題
状態通知などでマルチキャストを多用するが、WAN側では利用できない
(*一斉同報でマルチキャストを利用することは仕様では必須ではない)
•極端なトラヒック増の危険性
極端なトラヒック増の危険性
•セキュリティ上も好ましくない
•多くのWANはマルチキャストをサポートしていないことも多い
▌考察
通知したい需要家あるいは機器の位置(IPアドレス、etc.)をトレースする仕組み
 斉同報時に各ノ ドにユニキャストで通知する仕組み
一斉同報時に各ノードにユニキャストで通知する仕組み
•通信網の帯域が狭い(920MHz帯など)場合には、通知頻度を抑える考慮も必要
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3-2. ECHONET Liteを利用する上での検討課題: WAN拡張
~ドメイン単位でECHONETノードを管理できない 1/2~
▌問題
ドメインを指定するフィールドが無いため制御サーバがドメインを識別できない。
L4以下の情報 (例えば、IPアドレス)でドメインを識別できるが、IPアドレスが固定
であることが制約となる。
であることが制約となる
▌考察
ECHONET Liteの仕様を拡張することで、フレームフォーマットにドメインの識別
子を追加
具体例
統合管理サーバが需要家にドメインの割り当て
WAN側のECHONET Liteメッセージにドメインの識別子を追加
ドメインの
識別子
SEOJ
DEOJ
・・・
EPC
PDC
EDT
0x00000111
0x027D01
0x05FF01
・・・
0xE0
0x00
0x04
蓄電池クラス コントローラクラス 瞬時発電電力計測値に関するデータ
蓄電池の動作状態参照に対する応答メッセージ
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3-3. ECHONET Liteを利用する上での検討課題
~条件付きの制御ができない 1/2~
▌問題
メッセージの受信後にその処理条件を指示するフィールドが無いため、
特定機器や、曜日指定などの条件付きで制御ができない
▌条件付き制御の例
①あるエリア(あるいはドメイン)に属するノードのみ処理することを指示
②あるデバイスの種類に該当するノードのみ処理することを指定
③ある時間経過後に処理を開始することを指定
④曜日指定
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3-3. ECHONET Liteを利用する上での検討課題
~条件付きの制御ができない 2/2~
▌考察
具体例①
ECHONET Liteの仕様を拡張することで、メッセージに条件付き制御を指定する
フィールドを追加
•EX.) 蓄電池システムにメッセージを受信して1時間後に、処理を開始
オフセット指定
SEOJ
DEOJ
ESV
・・・
EPC
PDC
EDT
0x0300000001
0x05FF01
0x027D01
0x60
・・・
0xD7
0x01
0x00
コントローラクラス
蓄電池クラス 設定要求
積算充電電力量リセット
処理条件を示すフィールドの2-5バイト目: 時間指定(-0x00000001)
(
)
1バイト目: 処理条件の種類(処理開始時刻のオフセット: 0x03)
具体例②
ECHONETプロパティに、条件付きのEPCを用意する方法
•しかし、EPCには1バイトしか割り当てられておらず拡張用に利用できる値は少ない。
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3-3. ECHONET Liteを利用する上での検討課題
~アクセス制御~
▌問題
プロパティへのアクセス制御の機構がない
▌アクセス制御が無い場合の問題の具体例
A) 悪意あるユーザがLANに不正に接続、LAN内のECHONET Lite機器を攻撃
B) 訪問者はGuestアカウントでLANに接続すると、予期せずECHONET Lite機器
が見えてしまった
C) LANに接続するユーザにECHONET Lite機器の見える化サービスだけを提供
したいが、その機器の制御も同時に許すことになってしまった
▌考察
接続機器(あるいはそのユーザ)の認証結果によりECHONETサービスへのアク
セスを制御する仕組みが必要
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まとめと今後
▌まとめ
蓄電池管理システムの概要
試作を通したECHONET Liteに関する知見
▌今後
試作システムの検証
ECHONET Liteの機能拡張の検討
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© NEC Corporation 2011
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