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こちら - 国際基督教大学
ノンフォーマル教育 ーJICAの取り組みと今後の方向性ー ©Mayo Nakamura 2015 リテラシー研究会 2015年6月27日 中村 真与 自己紹介 中村 真与(なかむら まよ) 2003年 ICU 国際関係学科入学 2006-8年 ICU 退学 →英NGOでモザンビーク、アンゴラの 教員養成学校でボランティア 2009年 ICU 再入学、卒業 2010年 サセックス大学大学院 国際教育開発学 2011年 JICA 青年海外協力隊事務局中南米課 2011年 JICA パラグアイ事務所 (OJT3ヶ月半) 2013年 JICA 人間開発部基礎教育第一チーム ©Mayo Nakamura 2015 今日お話すること 1. JICAのノンフォーマル教育の取り組み ・技術協力プロジェクト (パキスタン・アフガニスタン) ・課題別研修 2. 今後の方向性 ・Post2015に向けて・取り巻いている環境 ・担当として考えていること ・オープンディスカッション ©Mayo Nakamura 2015 1.ノンフォーマル教育の取り組み 1)技術協力プロジェクト ・パキスタン ・アフガニスタン 2)課題別研修「ノンフォーマル教育拡充」 ©Mayo Nakamura 2015 1) 技術協力プロジェクト ■共通しているのは「中央・地方政府の能力強化」 ①パキスタン <中央:連邦教育省> 1997-2000 連邦識字委員会 2000-2003 連邦識字委員会/連邦教育省 <パンジャブ州ノンフォーマル教育・識字局> 2004-2007 パンジャブ州識字行政改善プロジェクト 2007-2011 パンジャブ州識字行政改善プロジェクト 2011-2015 ノンフォーマル教育推進プロジェクト <パンジャブ州モデルを中央+2州に展開> 2015-2019 オルタナティブ教育推進プロジェクト ©Mayo Nakamura 2015 パキスタン パンジャブ州ノンフォーマル教育推進プロジェクト(2011-2015) パキスタンにて貧困層・女性に配慮した識字教育を展開 • 小学校中退率が38.5%と高いパキスタン(人口1 億5800万人)にて、人口の約半数(9400万 人)を抱えるパンジャブ州にてノンフォーマル教育推 進プロジェクトを展開。 • 学齢期の不就学児童と読み書きのできない成人を 対象に、良質な学習機会を提供。 • 貧困層や女性に配慮したノンフォーマル教育の普及と 質の向上に貢献。 • 地元女性が教員として活躍する場も拡大 (パンジャブ州において) ○成人識字率: 55%(2010)⇒57 %(2012) ○成人識字教室修了率:89.4%(2010)⇒97.1%(2013) ○パンジャブ州識字局とJICAの実績: →2002年から2014年までに81万人に学習機会を提供 →2017年までに非識字者157万人の就学増加を目指す 成人識字教室でジャム作りを演習。生計向上に役 立つライフスキルを提供。学習者の生活・関心に 根差した柔軟なカリキュラムで学習継続を促す。 ノンフォーマル教育の特徴:「いつでも、どこでも、いくつになっても」 ・普通学校が不在の地域にて、弱者・貧困層が居住する地区に学習センターを立地 ©Mayo Nakamura 2015 ・貧困層・女性の関心に沿った柔軟なカリキュラムを開発 ノンフォーマル教育推進プロジェクト 学習環境を整える • 学習環境スタンダード • 教師スタンダード 成人識字 学習到達度があがる ニーズにあった カリキュラムと 教材・教師ガイド 識字者の数が増える 初等教育修了者の数が 増える インプット アウトプット 学習到達度を計る アセスメントツール 中学校、職業訓練への道が 開ける 先生や政府職員、フィー ルドスタッフの能力強化 コミュニティのサポート 学習者の数が増える・中 退者が減る ノンフォーマル ©Mayo Nakamura 2015 小学校 収入の向上、保健衛生の向 上、女性のエンパワーメント など (大橋知穂専門家 作成資料) 教材事例−1「My Book」:私だけの手帳−書くことを 楽しもう。 私のこと 私の家族のこと 姉の お母さんの名 前と誕生日 名前の由 来 お父さんの名 前と 誕生日 名まえ 誕生日 住所 妹の 弟の 兄の名前と誕 生日 電話番号 ID No. 表紙:「私だけの手帳」 書いて記録することを楽しく思うようになるー それが識字力の強化と、学ぶことを継続していく第一歩に。 ©Mayo Nakamura 2015 (大橋知穂専門家 作成資料) 教材事例−2:栄養 せっかく学ぶんだったら… きれいになる方法が知りたい! どっちがきれい? どうしてきれい? 栄養のバランスについてのポスター ©Mayo Nakamura 2015 (大橋知穂専門家 作成資料) せっかく学ぶんだったら… 美味しいものを作って、節約やお小遣い稼ぎになったら、最高! パキスタンはマンゴの生産地。でも加工品はほとんどありません。 学習センターで、マンゴジュースや、チャツネ(漬けもの)、ジャムなどを作って節約や収入 の向上に役立つようにしています。ちなみに、町で売っているマンゴジャムは一個140円く らい。ボトルなどを買って作っても20個で単価70円くらいでできます。近所の市場にみん なで売りに行けば、ちょっとした小遣い稼ぎに。。 ©Mayo Nakamura 2015 (大橋知穂専門家 作成資料) 1) 技術協力プロジェクト ②アフガニスタン <中央:教育省識字局> 2004-2007 ノンフォーマル教育強化プロジェクト 2006-2008 識字教育強化プロジェクト 2010-2016 識字教育強化プロジェクト2 ©Mayo Nakamura 2015 アフガニスタンの識字・教育状況 • 世界で最も低い成人識字率(15歳以上): 26.2% (男性39.3%、女性12.5%) • 非識字者数: およそ1,100万人と推定 • 初等教育就学率:男子62%、女子40.4% • 初等教育修了率:男子40%、女子20.8% ©Mayo Nakamura 2015 (小荒井理恵専門家 作成資料) アフガニスタン国識字教育強化 プロジェクトフェーズ2 (LEAF2) • 実施期間: 2010年4月から2016年1月 • 対象地域: 全34州とカブール市 • 事業目的: 識字教育の質向上のため、識字局 のモニタリング・技術支援に係る能力強化。 • 主な活動内容: 1.全識字教室のモニタリング枠組みの開発・研修 2.識字の学習達成度評価ツールの開発 3.識字教室のデータ収集・報告の方策開発 4.識字教師への技術支援の方策の開発 ©Mayo Nakamura 2015 (小荒井理恵専門家 作成資料を基に、一部中村修正) 【モニタリング】 各識字教室の基本情報、入学者 数、修了率、学習達成度等を把握 →識字年次状況報告書を作成 ファシリテーター 学習者 教育省識字局 34州 州識字局 約400郡 郡識字局 識字教室 識字教室 ファシリテーター 学習者 【技術指導】 モニタリング結果を基に、計画 策定。州→郡経由で、識字教室 に対して授業改善等の技術指 導を行えるよう支援 識字教室 ファシリテーター 学習者 ©Mayo Nakamura 2015 識字教室 ファシリテーター 学習者 計画策定 技術支援 実施 ©Mayo Nakamura 2015 モニタリング (小荒井理恵専門家 作成資料) 2)課題別研修「ノンフォーマル教育拡充」 (2014-2016) 1)対象:全世界 ノンフォーマル教育・識字教育に携わる 中央・地方の教育行政官 2)内容: ①政府が不就学者の人数や原因を把握できる ②不就学者に対する多様な学習機会を提供できる ・学齢期:公教育の補完、橋渡し、代替 ・成人: 公教育への橋渡し、生涯教育、 社会で生きるために必要な読み書き 3)場所:日本、インド ©Mayo Nakamura 2015 2.ノンフォーマル教育協力の今後の方向性 1)Post 2015に対して・・・ 「日本の教育協力政策(Japan’s Education Cooperation Policy 2011-2015)」の後継政策を策定中。 <重点分野(案)> ①公平・包摂的で質の高い学びに向けた教育協力 ②産業・科学技術人材育成と社会経済開発の基盤作りのた めの教育協力 ③グローバル・リージョナルな教育協力ネットワークの構築 と拡大 ©Mayo Nakamura 2015 今後のNFE協力展開拡大のために、 担当として考えていること 1)マルチセクターなアプローチ: 教育分野以外での識字コンポーネント売込み 〇住民、貧困層、患者、小農・・・ :別分野の裨益者の多くも非識字者。 〇パキスタン酪農案件、母子保健・・・ 〇ジェンダー案件の拡大 2)非識字率ベルト: ©Mayo Nakamura 2015 非識字率ベルト ・パキスタン協力を拠点とした南南協力の可能性 ・アフリカのノンフォーマル教育の現状調査 ・課題別研修の活用 ©Mayo Nakamura 2015 ありがとうございました ©Mayo Nakamura 2015