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日本 5 大都市における 家電量販店の立地分析
日本 5 大都市における 家電量販店の立地分析 2014 年 1 月 22 日 経営情報学部ビジネス情報学科 指導教員:草薙 信照 学籍番号:10-5071 氏名:小林 嶺太 目次 はじめに ..............................................................................................................................1 第1章 家電量販店の概要 .................................................................................................3 1.1 家電量販店業界について .....................................................................................3 1.2 主要企業について ................................................................................................3 1.2.1 近年の動向 .............................................................................................3 1.2.2 売上高 ....................................................................................................4 1.2.3 店舗数 ....................................................................................................4 1.2.4 第2章 1 店舗当りの売上高................................................................................5 都道府県別の立地分析 ..........................................................................................6 2.1 全店舗数の分析 ....................................................................................................6 2.1.1 店舗数 ....................................................................................................6 2.1.2 人口 10 万人当たりの店舗数 ..................................................................7 2.2 企業別店舗数の分析 2.2.1 ヤマダ電機 .............................................................................................8 2.2.2 エディオン .............................................................................................9 2.2.3 ケーズデンキ........................................................................................10 2.2.4 コジマ .................................................................................................. 11 2.2.5 ジョーシン ...........................................................................................12 2.2.6 ビックカメラ........................................................................................13 2.2.7 ヨドバシカメラ ....................................................................................13 第3章 5 大都市別の立地分析 .........................................................................................14 3.1 5 大都市別の店舗数 ...........................................................................................14 3.2 5 大都市別の立地状況 ........................................................................................15 3.2.1 札幌市 ..................................................................................................15 3.2.2 東京 23 区.............................................................................................16 3.2.3 名古屋市 ...............................................................................................17 3.2.4 大阪市 ..................................................................................................18 3.2.5 福岡市 ..................................................................................................19 第4章 結果と考察 ..........................................................................................................20 あとがき ............................................................................................................................21 参考文献 ............................................................................................................................22 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 はじめに ●研究概要 現在、ネット通販を軸に、パソコンやスマートフォン、電化製品の買い方が変わってきつつあ る。アマゾンジャパンや楽天、ヤフーといったネット通販会社、ジャパネットたかたなどのテレ ビ通販会社などがその中心となっている。その中でもアマゾンジャパンの 2012 年度決算では売上 高が 7300 億円に達し、家電量販店 3 位のエディオンを上回る規模となった。(図 1 参照) そして、2013 年 9 月の中間決算ではヤマダ電機が赤字に陥り、やはり家電量販店業界全体が低 迷していることがわかる。 (百万円) 1,800,000 1,600,000 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 図1 2012 年度売上高 しかし、このように自宅でも簡単にショッピングができる世の中になってきている中でも、家 電というものは、価格が高額であり長期間使うものである。そのため自分の目で見て購入したい と感じる人や通販で購入するにも商品自体を 1 度実際に見てみたいと考える人も少なくはない。 家電を展示し販売する中で価格での企業競争は日々起こっているが、立地条件という点からも 企業競争が起こっているのではないかと考え、その観点から研究していきたい。 1 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 ●研究方法 まず各企業のホームページから 2013 年 11 月現在の店舗の住所を入力した。対象とした企業は 以下の 7 社である。 ・ヤマダ電機 ・エディオン ・ケーズデンキ ・コジマ ・ジョーシン ・ビックカメラ ・ヨドバシカメラ 上記の 7 社は家電量販店の中で売上高の上位 7 社であり、出店状況も類似しているので、今回 の調査対象とした。 そして上記で入力したデータを Google マップに入力、緯度経度を割り出し、ArcMap で作成し た全国地図、5 大都市の地図にデータを追加した。このように作成した分布図に鉄道データなど を重ね合わせ、立地条件から各都市や各店舗での相違点や類似点を明らかにしていく。 2 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 第1章 1.1 家電量販店の概要 家電量販店業界について 家電量販店とは、テレビをはじめパソコン、オーディオ機器などの家電製品を販売することを 目的とした大型小売店である。 近年の動向としてはアナログ停波によるテレビの買い換え特需があった 2010 年度をピークに 全体的に市場が急縮小した。他にもアマゾンなどのネット通販の拡大が原因として見られる。 1.2 主要企業について ここでは、今回研究対象とする売上高が上位 7 社の主要企業について、各社のホームページや IR 情報をもとに近年の動向や売上高、店舗数などをみていく。 1.2.1 近年の動向 表 1 を見ただけで買収や統合がたびたび行われていることがわかり、このことから各企業の店 舗数や立地条件も年々変化していることがわかる。 表 1 近年の家電量販店の動向 企業名 本社 本店 ヤマダ電機 群馬県 群馬県 エディオン 大阪府 広島県 ケーズデンキ 茨城県 茨城県 コジマ 栃木県 栃木県 ジョーシン 大阪府 大阪府 ビックカメラ 東京都 東京都 ヨドバシカメラ 東京都 東京都 備考 ●2005 年には 47 都道府県すべてに店舗を展開した。 ●売上高は 2002 年から現在まで家電量販店業界で 1 位である。 ●2012 年には家電量販店業界では売上げ 9 位であるベスト電 器を買収し店舗数を大きく伸ばした。 ●2002 年に広島県を拠点としていた「デオデオ」と愛知県を拠 点としていた「エイデン」の共同でエディオングループを設 立した。 ●2005 年には近畿地方を拠点としたミドリ電化を子会社化し た。 ●2006 年に関東地方を拠点とした石丸電気を関連会社化した。 ●西日本では高いシェアである。 ●北関東が基盤である。 ●当初はその北関東のみの店舗展開であった。 ●2012 年には業績の低迷で売上げ業界 5 位のビックカメラの 傘下に入った。 ●店舗ブランドは継続している。 ●今回研究している 7 社の中で唯一の大阪中心の店舗展開をし ている。 ●駅前での出店に特化している。 ●2012 年にソフマップを完全子会社化した。 ●2012 年にコジマを子会社化した。 ●合算売上では業界 2 位となった。 ●カメラ卸売が前身であり駅前の一等地のみに大型店を出店。 ●効率を重視している。 データ出所:各社ホームページより 3 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 1.2.2 売上高 図 2 を見ると、ヤマダ電機が過去 10 年間売上高ではトップである。全体的に見ると、2010 年 をピークに近年は衰退気味である。これは、インターネット通販の躍進や 2011 年 3 月で終了した エコポイント、2011 年 7 月の地デジに完全移行に伴う薄型テレビの需要先食いなどの反動が影響 である。 (百万円) 2,500,000 2,000,000 ヤマダ電機 エディオン 1,500,000 ケーズデンキ コジマ 1,000,000 ジョーシン ビックカメラ 500,000 ヨドバシカメラ 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 図 2 過去 10 年間家電量販店売上推移 1.2.3 店舗数 図 3 からわかるように、売上高では群を抜いてトップであるヤマダ電機が、売上高第 3 位のエ ディオンに店舗数では劣っている。2011 年にヤマダ電機の店舗数が急激に伸びているのは、ベス ト電器を買収したためである。その他の企業はこの 5 年間ではほぼ横這いの店舗数となっている。 2013 年 11 月現在ヤマダ電機、エディオン以外の 5 社の店舗数を足しても 900 店舗足らずという ことなり、店舗数上位 2 社の店舗数がいかに多いかということも見て取れる。 (店舗) 1400 1200 ヤマダ電機 1000 エディオン ケーズデンキ 800 コジマ 600 ジョーシン 400 ビックカメラ ヨドバシカメラ 200 0 2008 2009 2010 2011 2012 図 3 過去 5 年間家電量販店店舗数推移 4 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 1.2.4 1 店舗当りの売上高 次に 2012 年度の 1 店舗当りの売上高を見てみよう。 表2 2012 年度 1 店舗当りの店舗数 企業名 2012年売上高(百万円) 2012年店舗数 店舗当り売上高(百万円) ヤマダ電機 1,701,489 972 1751 エディオン 685,145 1,177 582 ケーズデンキ 637,497 399 1598 コジマ 281,940 202 1396 ジョーシン 365,958 205 1785 ビックカメラ 805,378 38 21194 ヨドバシカメラ 637,100 21 30338 表 2 からわかるように、ビックカメラとヨドバシカメラの 2 社は、売上高で 7 社の中でも中間 のあたりで、店舗数も他と比べて非常に少ないが、駅前に大型店舗を中心に展開していることか ら店舗当りの売上高では他を圧倒している。それとは反対に売上高 2 位であり、店舗数では 1 位 のエディオンが、7社の中で最下位となっていることが見て取れる。 そして、ヤマダ電機、ケーズデンキ、コジマ、ジョーシンの 4 社の店舗当りの売上高はほぼ並 んでいる。 5 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 第2章 2.1 2.1.1 都道府県別の立地分析 全店舗数の分析 店舗数 図 4 は今回の研究対象の 7 社の合計店舗数を各都道府県別に表したものである。 まず、都道府県別に店舗数が多く、赤色になっているのが順に、愛知県(211 店舗)、広島県(180 店舗)、大阪府(156 店舗)である。このようになった要因として、愛知県と広島県はエディオン の店舗数が他の都道府県と比べ群を抜いての 1 位と 2 位であること、大阪府は関西中心の店舗展 開をしているジョーシンの店舗数が 1 位ということが考えられる。次に兵庫県(131 店舗)、東京 都(112 店舗)、福岡県(107 店舗)と続き、今回調べる 5 大都市のある都道府県は、北海道以外 はベスト 10 に入っていた。それとは反対に最下位は山梨県(7 店舗)となった。 凡例 都道府県2011 店舗数 7 - 25 26 - 50 51 - 75 76 - 100 101 - 125 126 - 150 151 - 211 図 4 都道府県別店舗数 6 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 2.1.2 人口 10 万人当たりの店舗数 図 5 は各都道府県別人口 10 万人当りの店舗数を表したものである。 10 万人あたりで 6.1 店舗以上あり、濃い緑で表されているのは順に島根県(7.5 店舗) 、広島県 (6.3 店舗) 、山口県(6.1 店舗)となっている。その要因としては、1 位の島根県は総人口では ワースト 2 位の県でありながら、エディオンの店舗が集中している広島県と隣接していることも あり、エディオンの店舗数としてはベスト 10 入りしているからと考えられる。 そして、人口 10 万人当りで最下位は、店舗数でも最下位の山梨県となり、神奈川県、東京都と 続いている。 凡例 都道府県2011 人口10万人当り店舗数 0.8 -1.0 1.1 - 2.0 2.1 - 3.0 3.1 - 4.0 4.1 - 5.0 5.1 - 6.0 6.1 - 7.5 図 5 都道府県別人口 10 万人当り店舗数 7 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 2.2 2.2.1 企業別店舗数の分析 ヤマダ電機 ヤマダ電機は東京都の 41 店舗が最多で、次に北海道の 40 店舗が続く。47 都道府県すべてに 3 店舗以上出店しており、全国展開している。 今回の研究対象の 5 大都市のある都道府県には 19 店舗以上出店している。 東北地方、関東地方は青森県と山梨県以外の各都道府県に 10 店舗以上出店している。 凡例 都道府県2011 ヤマダ電機 3-5 6 - 10 11 - 20 21 - 30 31 - 41 図 6 ヤマダ電機-都道府県別店舗数 8 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 2.2.2 エディオン エディオンは先ほどのヤマダ電機とは逆に東北地方には全く出店しておらず、統合する以前の 「デオデオ」の本社がある広島県に 162 店舗、 「エイデン」の本社がある愛知県に 125 店舗と、他 の 6 企業が 1 つの都道府県に出店している店舗数を大きく上回っている。近畿地方、中部地方に は店舗が集中している。 凡例 都道府県2011 エディオン 0 1-5 6 - 10 11 - 20 21 - 30 31 - 162 図 7 エディオン-都道府県別店舗数 9 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 2.2.3 ケーズデンキ ケーズデンキは本社のある茨城県が 38 店舗と最多出店しており、次に多いのが千葉県の 32 店 舗である。 東北地方を除いては、神奈川県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、大阪府、兵庫県と東海地 方と近畿地方に多く出店しているのがわかる。 出店を全くしていない都道府県には、広島県、島根県、山口県、佐賀県、長崎県の 5 県が挙げ られる。 凡例 都道府県2011 ケーズデンキ 0 1-5 6 - 10 11 - 20 21 - 30 31 - 38 図 8 ケーズデンキ-都道府県別店舗数 10 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 2.2.4 コジマ コジマは本社が栃木県にあるが、最多店舗の 31 店舗出店しているのは東京都であり、関東地方 に多く出店している。その他にも愛知県、大阪府、兵庫県に店舗の割合が多めで、全ての都道府 県に出店しているのが特徴である。 しかし、兵庫県から西の店舗数は少なく、1 店舗から 5 店舗に留まっている。5 大都市の含まれ る福岡県も 5 店舗である。 凡例 都道府県2011 コジマ 1-5 6 - 10 11 - 20 21 - 30 31 図 9 コジマ-都道府県別店舗数 11 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 2.2.5 ジョーシン ジョーシンは本社が大阪にあり、図 10 をみてわかるように近畿地方を中心に店舗展開している。 しかし岡山県、香川県から西には全く出店していない。 東北地方、関東地方の店舗数も少なく、岩手県、秋田県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、 山梨県の 7 県には全く出店していない。 凡例 都道府県2011 ジョーシン 0 1-5 6 - 10 11 - 20 21 - 30 31 - 56 図 10 ジョーシン-都道府県別店舗数 12 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 2.2.6 ビックカメラ ビックカメラは全国に 38 店舗あり、5 大都市の含まれる都道府県には半分以上の合計 22 店舗 が立地している。 残りの 16 店舗は、新潟(1 店舗)、茨城県(1 店舗)、群馬県(1 店舗)、神奈川県(6 店舗)、埼 玉県(1 店舗)、千葉県(2 店舗)、静岡県(1 店舗)、京都府(1 店舗)、岡山県(1 店舗)、鹿児島 県(1 店舗)となり、大半が 1 日の乗降客数が 10 万人以上の大きな駅の前に立地している。 2.2.7 ヨドバシカメラ ヨドバシカメラは全国に 21 店舗あり、5 大都市の含まれる都道府県には合計 11 店舗が立地し ている。 残りの 10 店舗は、新潟県(1 店舗) 、宮城県(1 店舗)、福島県(1 店舗)栃木県(1 店舗)、神 奈川県(4 店舗)、千葉県(1 店舗)、京都府(1 店舗)に立地しており、やはり大きな駅の前を中 心に立地展開している。 13 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 第3章 5 大都市別の立地分析 ここでは 5 大都市別に各社の立地状況をみていく。 3.1 5 大都市別の店舗数 総店舗数、総人口ではやはり東京 23 区が共に 1 位であるが、企業別にみるとエディオンは名古 屋市、ジョーシンは大阪市で他と比べると多くの店舗を展開している。 10 万人当たりの店舗数で見てみると、札幌市は人口が比較的少なく、店舗数も 5 大都市でワー ストということもあり 10 万人当たり約 0.888 店舗と少ない。しかし、その札幌市より少ないのが 東京 23 区である。東京 23 区は総店舗数、総人口では郡を抜いて 1 位にもかかわらず、5 大都市 では最下位の約 0.760 店舗と人口に対して店舗数が足りていないということがわかった。 反対に名古屋市は 5 大都市で 1 位の約 2.253 店舗と他と比べると高いが、エディオンの統合前 の「エイデン」の本社が愛知県にあり、店舗数がかたよったことが原因と考えられる。 表 3 5 大都市別各店舗数・人口 10 万人当り店舗数 店舗数 ヤマダ エディオン ケーズ コジマ ジョーシン ビック ヨドバシ 札幌市 10 0 4 1 0 1 1 東京23区 27 2 2 18 0 14 5 名古屋市 10 26 5 4 5 1 0 大阪市 5 8 0 3 15 1 1 福岡市 5 9 0 1 0 2 1 都市 14 合計 17 68 51 33 18 人口 1,913,545 8,945,695 2,263,894 2,665,314 1,463,743 人口10万人当たり 店舗数 0.888 0.760 2.253 1.238 1.230 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 3.2 5 大都市別の立地状況 3.2.1 札幌市 札幌市は 7 社の合計店舗数が非常に少なく、17 店舗しかない。そのうちヤマダ電機が 10 店舗 と約 60%を占め、その他に 4 店舗(約 23%)出店しているのがケーズデンキで、コジマ、ビック カメラ、ヨドバシカメラの 3 社が 1 店舗ずつ(各約 6%)と続き、エディオン、ジョーシンはど ちらも北海道には出店しているのに札幌市には 1 店舗も出店していない。 大型店舗を中心に店舗展開をしているビックカメラ、ヨドバシカメラが JR 札幌駅周辺に立地し、 ヤマダ電機、ケーズデンキが JR の沿線を中心に出店している。ヤマダ電機の 2 店舗とコジマは JR や地下鉄、私鉄沿線ではないところに出店しているのが見て取れる。 ( ! 北区 手稲区 ( !! ( 東区 ( ! ( !! ( ( ! !! ( ( ( ! 西区 ( ! 白石区 中央区 ( ! ( ! ( ( ! ! ( ! 豊平区 ( ! 清田区 凡例 南区 ( ! ヤマダ電機 ( ! エディオン ( ! ケーズデンキ ( ! コジマ ( ! ジョーシン ( ! ビックカメラ ( ! ヨドバシカメラ 新幹線 JR 地下鉄 私鉄 図 11 札幌市-家電量販店分布 15 厚別区 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 3.2.2 東京 23 区 東京 23 区の合計店舗数は、5 大都市で最多の 68 店舗である。その中でも全体の約 40%を占め る 27 店舗を出店しているのが、ヤマダ電機である。次に 18 店舗(約 26%)のコジマ、14 店舗(約 21%)のビックカメラ、5 店舗(約 7%)のヨドバシカメラと続き、エディオン、ケーズデンキの 2 社は 2 店舗ずつ(約 3%)に留まり、ジョーシンは東京 23 区には出店していない。東京 23 区は 他の 4 都市とは違い、ビックカメラ、ヨドバシカメラと全国的に少数店舗の 2 社の割合がそれぞ れ約 21%と約 7%、合計すると約 30%を占めているのが特徴的である。 路線を中心に見ていくと、ビックカメラ、ヨドバシカメラは 1 店舗を除いては、すべてが JR 沿 線に店舗展開をしており、そのビックカメラ 1 店舗も JR 東京駅と新宿駅を繋ぐ東京メトロの沿線 にあり、全店舗が鉄道に密接していることがわかった。 しかし反対に、ケーズデンキ、コジマが JR 沿線には 1 店舗も出店していないことがわかった。 特にコジマは私鉄や地下鉄からも離れた場所に店舗を展開していることが見てとれた。 ( ! ( ! ( ! ! ( ( ! ( ! ( ! 板橋区 ( ! ( ! ( ! 足立区 北区 ( ! ( ! ( ! 葛飾区 練馬区 ( ! 荒川区 ( ! 豊島区 ( ( ! (! ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! 文京区 ( ! 中野区 ( ! ( ! 新宿区 杉並区 ( ! !! ( ( ! (( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! 墨田区 ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( 中央区 !! ( 渋谷区 ( ! 江東区 ( ! ( !! ( (! ( ! 江戸川区 千代田区 ( ! ( ! 台東区 ( ! ( !! ( 港区 ( ! ( ! 世田谷区 凡例 ( ! 目黒区 ( ! 江東区 ( ! 江東区 品川区 ( ! ( ! ヤマダ電機 ( ! エディオン ( ! ケーズデンキ ( ! コジマ ( ! ジョーシン ( ! ビックカメラ ( ! ヨドバシカメラ ( ! ( ! 大田区 ( ! 新幹線 JR 地下鉄 私鉄 図 12 東京 23 区-家電量販店分布 16 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 3.2.3 名古屋市 名古屋市の合計店舗数は 51 店舗である。1.2.2 で説明したように、統合前の「エイデン」の本 社がある愛知県に 125 店舗と比較的多くの店舗を出店しており、名古屋市でも 26 店舗(約 51%) と半数以上を占めている。次にヤマダ電機の 10 店舗(約 19%)が続くので、この 2 社だけで 36 店舗と約 70%を占める事になる。エディオンもヤマダ電機も JR 沿線上に店舗を展開しているわ けではなく、全体的にまばらに展開していることが読みとれる。 その他は、ケーズデンキ 5 店舗(約 10%)、ジョーシン 5 店舗(約 10%)、コジマ 4 店舗(約 8%) と続く。ビックカメラは 1 店舗(約 2%)しかないが、やはり名古屋駅の前に大型店舗を展開して いる。現在ヨドバシカメラは名古屋市には出店していないが、2016 年度に名古屋駅前に出店予定 である。 凡例 ( ! ヤマダ電機 ( ! エディオン ( ! ケーズデンキ ( ! コジマ ( ! ジョーシン ( ! ビックカメラ ( ! ヨドバシカメラ ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! 守山区 ( ! ( ! 北区 ( ! 新幹線 西区 ( ! ( ! JR ( ! ( ! ( ! 地下鉄 東区 ( ! 私鉄 ( ! ( ! 中村区 ( ! 千種区 ( ! ( ! ( ! ( ! ( 名東区 ! 中区 ( ! ( ! ( ! ( ! 昭和区 ( ! ( ! ( ! ( ! 中川区 ( ! 熱田区 ( ! ( ! 天白区 ( ! ( ! ( ! ( ! 瑞穂区 ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! 港区 南区 ( ! !! ( ( ( ! (緑区 ! ( ! ( ! ( ! ( ! 図 13 名古屋市-家電量販店分布 17 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 3.2.4 大阪市 大阪市の合計店舗数は、33 店舗である。1.2.5 で説明したように、ジョーシンは関西中心の店 舗展開を行っているため、5 大都市のうち大阪市は唯一、ジョーシンが店舗数 1 位で 15 店舗(約 46%)と多くを占めている。その他は、エディオン 8 店舗(約 24%)、ヤマダ電機 5 店舗(約 15%)、 コジマ 3 店舗(約 9%)、ビックカメラ 1 店舗(約 3%)、ヨドバシカメラ 1 店舗(約 3%)と続く。 大阪府にケーズデンキは 11 店舗出店しているが、大阪市には 1 店舗も出店していない。 路線別に見ると東京 23 区とは違い、JR 沿線や環状線付近に集中して店舗展開をしているわけ ではなく、ジョーシンが浪速区に多く見られる程度で名古屋市同様まばらな立地展開と見てとれ る。 凡例 ( ! ヤマダ電機 ( ! エディオン ( ! ケーズデンキ ( ! コジマ ( ! ジョーシン ( ! ビックカメラ ( ! ヨドバシカメラ 東淀川区 ! ( ( ! ( ! ( ! ( ! 淀川区 旭区 ( ! ( ! ( ! ( ! 都島区 北区 ( ! 西淀川区 新幹線 JR ( ! 鶴見区 ( ! 城東区 ( ! 福島区 ( ! 地下鉄 私鉄 中央区 西区 此花区 東成区 ( ! 此花区 港区 ( ! 浪速区 ( ! ( ! !! ( ( ( ! ( ! 天王寺区 ! ( ( ! 大正区 ( ! 生野区 此花区 ( ! ( ! 西成区 住之江区 阿倍野区 ( ! 東住吉区 住之江区 ( ! 住之江区 ( ! ( 住吉区 ! 図 14 大阪市-家電量販店分布 18 平野区 ( ! ( ! 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 3.2.5 福岡市 福岡市は、札幌市と同じく 7 社の合計店舗数が少なく 18 店舗しかない。店舗数順に並べるとエ ディオン 9 店舗(50%) 、ヤマダ電機 5 店舗(約 28%)、ビックカメラ 2 店舗(約 11%)、コジマ 1 店舗(約 5%)、ヨドバシカメラ 1 店舗(約 5%)である。ケーズデンキは福岡県に 2 店舗しか 出店しておらず、福岡市には 0 店舗である。ジョーシンは九州地方自体に出店しておらず、こち らも 0 店舗である。 路線で見ると、JR 福岡駅にビックカメラが 2 店舗、JR 博多駅にヨドバシカメラが 1 店舗とこち らも他の都市と同様に大きな駅に大型店を出店している。 エディオンは博多区以外の 6 区にすべてに店舗を出店しているが線路沿いでない店舗も多い、 ヤマダ電機の 1 店舗以外は JR や私鉄沿線に店舗を展開しているが、やはり店舗数自体が他都市と 比べて少ない。 東区 ( ( ! ! ( ! 東区 中央区 西区 ( ! ! ( ! ( ( ! ( ! ( ! 城南区 ( ! ヤマダ電機 ( ! エディオン ( ! ケーズデンキ ( ! コジマ ( ! ジョーシン ( ! ビックカメラ ( ! ヨドバシカメラ ( ! 南区 ( ! 早良区 新幹線 JR 地下鉄 私鉄 図 15 福岡市-家電量販店分布 19 ( ! 博多区 ( ! ( ! 凡例 ( ! !! ( ( 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 第4章 結果と考察 第 1 章から売上高ではヤマダ電機がトップであり、店舗数ではエディオンでトップであるが、1 店舗当たりの売上高で見てみるとビックカメラとヨドバシカメラが他店を圧倒して上位であるこ とがわかった。このことから、やはり大型で駅前を中心に店舗を展開している 2 社が強いことが 改めてわかった。 第 2 章の都道府県別店舗数では、ヤマダ電機は東北、関東地方、エディオンは東海、中国地方、 ケーズデンキは東北地方、コジマは関東地方、ジョーシンは近畿地方に強い傾向がみられ、この ことから、家電量販店は本社や本店の近いところで大きく店舗を展開していることが考えられる。 ビックカメラ、ヨドバシカメラはそれぞれ総店舗の半数以上を 5 大都市に出店しており、その他 も乗降客数の多い大きな駅前を中心に大型店を出店してあり、そのような立地に強い傾向がある。 第 3 章の 5 大都市別店舗の立地状況からは、やはりビックカメラ、ヨドバシカメラが大きな駅 前で出店しており、ヤマダ電機、ケーズデンキ、ジョーシンが JR、私鉄沿線を中心に店舗を展開、 反対にエディオン、コジマに鉄道とは少し離れた場所を中心に店舗を展開していることが見てと れた。その中でも特長なものとして、東京 23 区で他社は鉄道沿い(山手線内)に多くの店舗を展 開しているが、コジマだけそれよりも外側にのみ店舗を展開していた。名古屋市はエディオンの 店舗数が多いがこちらも JR や私鉄の近くにばかり出店しているわけではなく、全体的にまばらに 店舗を展開していた。大阪市は東京 23 区とは反対に JR 沿線(環状線)に偏ることがなく、名古 屋市と同じようにまばらに店舗を展開していた。このようなことから家電量販店と鉄道というの は企業や地方によって関係性が違うことが考えられる。 今の家電量販店業界は初めにもいったようにネットショッピングなどに圧倒され、全体的に売 上げを落としている。今後は、ネットで買い物をするように手軽に家電量販店が利用できるよう にする必要があるので、立地場所をこれまでに店舗を展開していなかった地方や多く利用される 駅などの近くに出店し、ネットの販売店ではなく家電量販店同士での競争が必要だと考えられる。 20 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 あとがき 分析を行う前は、すべての数値において東京 23 区がぶっちぎり 1 位でその他の 4 都市で細かく 分析していくことになるんだろうと思いながら分析を始めました。 しかし、そんなことはなく各企業の本社や本店、統合する前の立地場所などから立地条件が異 なっていて、私の住む兵庫県や学校のある大阪では今回調べた 7 社すべてが出店しているので、 それが当たり前と思っていたのですが、ジョーシンが九州には出店していなかったり、エディオ ンが東北地方に出店していなかったり、もっと駅前に集中していると思っていたのにしていなか ったり、調べてみて初めてわかることがたくさんあり前半は楽しく分析することができましたが、 後半は地図の作成や文字を打つことに正直病みました。 今回は 5 大都市という広範囲だったので、1 つ 1 つそこまで細かく分析することができなかっ たことが残念だったと思います。 1 つのテーマについてこんなに長い時間をかけて調べたのは初めてだったので、とても良い経 験になったと思います。 21 日本 5 大都市における家電量販店の立地分析 参考文献 ◇高橋篤 「日経業界地図 2012 年版」 日本経済新聞社 2011 年 9 月 2 日発行 ◇藤田美沙 「名古屋市と大阪市におけるファミレスの分布の比較」 草薙ゼミナール 2011 年度 卒業論文 ◇加藤健太 「京阪神における家電量販店の立地分析」 草薙ゼミナール 2007 年度 卒業論文 参考 Web ページ (すべて 2013 年 11 月閲覧) ○Google マップ (https://maps.google.co.jp/) ○ヤマダ電機 IR 情報 (http://www.yamada-denki.jp/ir/index.html) ○エディオン IR 情報 (http://www.edion.co.jp/ir/) ○ケーズデンキ IR 情報 (http://www.ksdenki.com/ir/) ○コジマ IR 情報 (http://www.kojima.net/corporation/index.htm) ○ジョーシン電機 IR 情報 (http://www.joshin.co.jp/joshintop/ir.html) ○ビックカメラ IR 情報 (http://www.biccamera.co.jp/ir/index.html) ○ヨドバシカメラ 会社情報 (http://www.yodobashi.co.jp/company/profile/index.html) ○業界動向 SEARCH.COM (http://gyokai-search.com/3-kaden-ryohan.htm) ○M&A CAPITAL PARTNERS (http://www.ma-cp.com/) 22