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金融グループの格付の考え方

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金融グループの格付の考え方
格付方法
金融グループの格付の考え方
2013 年 7 月 31 日
金融グループの格付のフレームワーク
金融グループとは、金融機関やノンバンクが、グループを形成して複数の金融事業等を行っているグループの
ことをいう。事業会社が子会社等を通じて展開する金融事業も、これが複数の分野にわたる場合、信用力評価上、
当該金融事業全体を便宜的に金融グループとして扱うことがある。金融グループ全体と、グループを構成する各
会社を評価する際の主要なステップは、以下の 3 段階からなる。
1.金融グループの実質的な範囲の把握
2.金融グループ全体の信用力評価
3.金融グループを構成する各会社(持株会社/親会社、傘下子会社等)の信用力評価
1.金融グループの実質的な範囲の把握
グループの実質的な範囲を把握する目的は、グループ全体の事業リスクと財務リスクを過不足なく評価するこ
とである。そのため、実態に応じて、財務会計上の連結範囲に必要な調整を加える。連結の範囲に含まれない関
連会社等でも、将来、当該関連会社等の事業リスクと財務リスクが、支援などの形でグループ全体の信用力評価
に重要な影響を及ぼす可能性があれば、実質的なグループの範囲に加えたりする。連結子会社は、基本的に、実
質的なグループの範囲から外すことはしない。
なお、実質的なグループの範囲に含まれる会社でも、当該会社の信用力評価に際しては、必ずしもグループ全
体の信用力を反映するとは限らない。グループの抱える実質的なリスクはその範囲を保守的に広く捉える必要が
ある一方、グループを構成する会社の発行体格付には、グループからの支援等の可能性を過度に織り込むことは
適当ではないと考えている。
2.金融グループ全体の信用力評価
グループ全体の信用力の評価は、主要な国・地域やビジネスラインなどの切り口で事業リスク等を評価したう
えで、事業ポートフォリオの構成、シナジー効果、リスク分散効果等を加味し、グループ全体の事業リスクと財
務リスクを総合的に評価する。グループ内に規制業種を持つ金融グループの評価では、規制・監督上、それぞれ
の規制業種が個別に健全性を確保することが求められている点に留意する。例えば、グループ内の銀行が資本不
足に陥っている場合、持株会社等を通じて、グループ内の保険会社の超過資本で埋め合わせることには大きな制
約が加わる。そのため、グループ全体の事業リスクと財務リスクの分析では、これを十分に考慮する必要がある。
なお、グループ全体の信用力の水準とグループの一体性の強弱には相関性がある。一般に、グループ全体の信
用力が低くなってくると、資本や流動性などを強化するため、優良な子会社を売却しようとする傾向が強まる。
特に、グループが国有化等によって当局の管理下にある場合には、グループは当事者能力を失うことがある。例
えば、公的資金の返済原資を確保することが最優先され、グループにとって戦略的に重要な会社でも、売却され
るなどしてグループが解体される場合がある。そのため、グループ全体の信用力が低下してきた場合は、グルー
プを構成する各会社の発行体格付には、個別の信用力を反映させる必要性が高くなる。
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親会社等の大株主が事業会社である金融グループの信用力評価は、親会社等の信用力評価の制約を受ける。も
っとも、金融機関等規制業種の親会社等は、金融機関等の健全性を維持する責務を負い、大株主としての規制を
受けるため、親会社等のリスクが傘下の金融グループに及びにくい面がある。親会社等と傘下の金融グループが、
顧客基盤等の重要な経営資源を共有していなければ、その傾向は強まる。この場合において、親会社等の信用力
低下の影響が傘下の金融グループに波及していない場合に限り、例外的に、傘下金融グループの信用力が親会社
等の信用力を超えることもあり得る。ただ、親会社等の信用力が大幅に低下した場合は、実際に傘下の金融グル
ープに悪影響が及んでいるかどうかに関らず、傘下の金融グループを構成する各社の発行体格付にも潜在的なリ
スクの波及を織り込む。
3.金融グループを構成する各会社(持株会社/親会社、傘下子会社等)の信用力評価
(1)金融持株会社の発行体格付
銀行持株会社、証券持株会社、保険持株会社など金融持株会社の発行体格付は、持株会社に固有の要因により、
グループ全体の信用力をそのまま反映する中核会社の発行体格付からノッチダウンすることが一般的だ。その理
由は、政府による特別支援の範囲の違い、財務規律、持株会社固有の財務上の特徴――による。
①政府による特別支援の範囲の違い
金融持株会社は傘下金融機関等の健全性を維持することが責務であり、金融機関等と同様に当局の規制・監督
下に置かれている。一般に、金融機関等には預金保険制度などの破綻処理法制・公的資金注入制度が整備され、
金融持株会社もその対象に含まれる場合がある。ただ、金融持株会社がこれらの枠組みに入るのは、金融機関等
の健全性維持や再建・秩序ある破綻処理を行うという目的を達成するために、持株会社の機能を活用した方が適
当な場合がある、という理由に過ぎないとみられる。金融持株会社に対する政府による特別支援の範囲は、金融
機関等、とりわけ銀行と比べてごく狭い範囲に限られている。
そのため、金融機関等と金融持株会社のデフォルトの可能性は必ずしも同一でなく、金融持株会社の方がやや
高いとみられる。グループ全体の信用力が高ければその差は僅かだが、グループ全体の信用力が低下してくるに
従って大きな差が生じてくる。例えば、銀行のスタンドアローン評価は著しく低下しているが、銀行は政府によ
る特別支援を受ける可能性が非常に高いことを発行体格付に反映させ、フロアー水準として BBB-を付与してい
る場合でも、銀行持株会社は政府による特別支援を受ける蓋然性が低いため発行体格付には反映させない。結果
として、銀行と銀行持株会社の発行体格付のノッチ幅は大きなものになり得る。
なお、バーゼルⅢの下での銀行等グループの規制資本の調達は、規制上の効率性の観点から、金融持株会社に
集約される方向にある。また、国によっては、金融グループが実質的な破綻状態(Point of non-viability)に陥っ
た場合、金融持株会社の株主、劣後債務等の規制資本保有者、シニア債権者といった金融持株会社のステークホ
ルダーにのみ損失を吸収させるアプローチ・法制をとる場合もあり得る。このようなアプローチは、金融機関等
と金融持株会社のデフォルトの可能性の差を広げる要因になるとみられるため、必要に応じ、金融持株会社の発
行体格付をノッチダウンする。
②財務規律
金融持株会社は、当局からは傘下金融機関等の健全性を維持するという役割が要請されている一方、一般に、
株主からは高い成長性や資本効率を求められている。この相反する要請のしわ寄せは、金融持株会社の財務に反
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映されやすく、金融持株会社が本質的に抱える特性といえる。そのため、金融持株会社にはより厳しい財務規律
が求められる。M&A(合併・買収)や配当・自社株買い、子会社の資本増強などに際し、市場など外部からの資
金調達や傘下金融機関等グループ内での借り入れによって、金融持株会社は財務レバレッジを高めることが多い。
公的資金返済やグループ内再編などに際しても財務レバレッジが高まることがある。R&I は、財務規律の状況を
評価するにあたり、財務レバレッジの抑制方針や、金融持株会社の抱える負債の資金使途を重視している。一般
に、財務レバレッジの上昇について、資金使途が M&A や配当・自社株買い、子会社の資本増強などの場合は財
務規律が緩いといえ、公的資金返済やグループ内再編などの場合は必ずしも財務規律が緩いとはいえないと考え
る。財務規律が非常に緩い場合には、複数のノッチダウンを検討する。
③-1.持株会社固有の財務上の特徴:ダブルレバレッジ
持株会社傘下の子会社が財務レバレッジを効かせていることに加え、持株会社単体のバランスシート上におい
ても、関係会社株式等を負債でファイナンス(関係会社株式等÷持株会社の資本>100%)することで、二重にレ
バレッジを効かせた状態をダブルレバレッジという。傘下子会社がデフォルトに陥った場合、持株会社の債権者
の請求権は子会社の債権者に事実上劣後する。
ダブルレバレッジの状態にある場合はもちろん、ある一時点ではダブルレバレッジの状態にない場合でも、グ
ループの経営戦略や資本政策、傘下金融機関等の資本増強の必要性、持株会社としての財務規律などの財務運営
方針を考慮し、将来的にダブルレバレッジの状態になる可能性が相応に高いとみられる場合、持株会社の発行体
格付には潜在的な構造的劣後性を反映させて、グループ全体の信用力を反映している中核会社の発行体格付から
ノッチダウンする。
一方、傘下金融機関等が健全で、金融持株会社としてもダブルレバレッジを効かせる意思がなく、それを実現
する能力も高いと判断できる場合はノッチダウンしないことがある。なお、ダブルレバレッジを効かせないとい
う財務規律が守られなかった場合、ダブルレバレッジの状態を解消し、その後はダブルレバレッジを効かせない
意思を示したとしても、少なくともしばらくの間は、ノッチダウンし続けることになろう。
例外的に、ダブルレバレッジの状態にある場合でも、金融持株会社の借り入れを全て傘下金融機関等グループ
内で調達し、外部からの借り入れは行わない方針が確認できる場合、ノッチダウンしないことがある。これは、
将来にわたってこうした方針が確実に維持されると判断できる場合の極めて例外的な対応で、資金使途やダブル
レバレッジの程度、将来的にダブルレバレッジが解消に向かっていく道筋が明確であるなどが条件となる。その
前提が揺らぐ可能性が出てくれば、原則通りにノッチダウンすることになる。
生命保険会社では、保険業法で保険債務に先取特権があるとされており、保険持株会社の債務は生命保険会社
の保険債務に明確に劣後する。そのため、ダブルレバレッジの有無にかかわらず、持株会社の発行体格付を中核
生保子会社の格付からノッチダウンする。さらに、ダブルレバレッジの状態である場合には、追加的にノッチダ
ウンする。
③-2.持株会社固有の財務上の特徴:キャッシュフロー
金融持株会社は、通常、債務の返済原資が傘下子会社からの利息や配当等に限られるうえ、傘下子会社が規制
業種の場合には、過度な配当等の吸い上げに制限がかかる場合もある。そのため、持株会社単体の経費や債務返
済原資などを十分カバーするだけのキャッシュフローを、配当等に過度に依存せず安定的に確保する必要がある。
特にダブルレバレッジの状態にある場合は、子会社など関係会社への出資のために調達した債務の元利払いを、
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関係会社からの配当等で充足できない可能性もある。また、子会社を上場させていたり、子会社を合弁事業とし
て運営し他の大株主が存在する場合、持株会社は傘下子会社の創出するキャッシュフローへの支配力が制約され
る。ただ、金融持株会社は一般的に、傘下の銀行を中心に金融機関等の資金調達力が高く、中核会社からの借り
入れなどの方法によって十分なキャッシュフローを確保できる余地が大きい。そのため、ダブルレバレッジと比
較するとキャッシュフローが与える信用力への影響は小さい。
(2)中間持株会社の発行体格付
金融グループは、国・地域や主要なビジネスラインの一部を統括する存在として、中間持株会社を設立するこ
とがある。中間持株会社の発行体格付は、基本的に、中間持株会社が統括する国・地域やビジネスラインのグル
ープにおける位置付けを反映するほか、コーポレートストラクチャーにおける最上位の持株会社と同様に、政府
による特別支援の範囲の違い、財務規律、持株会社固有の財務上の特徴――を検討する。中間持株会社固有の特
性として、金融持株会社からの資本調達が容易であるという特性も考慮する。
(3)傘下子会社等の発行体格付
グループを構成する各会社の信用力評価にあたっては、グループ内における位置付けが重要になる。営業基盤
の維持・強化のために必要な経営資源が積極的に配分されるかや、経営難に陥った際にグループ内の他の会社か
ら十分な支援が得られるかは、当該会社がグループ内で重要な位置付けにあるか否かに大きく依存する。また、
グループの中核会社は、他のグループ会社が経営困難に陥った場合に支援せざるを得ない可能性が高い。
グループ内における位置付けを評価する際の着眼点は、議決権比率、ブランドや顧客基盤の共有・活用の有無、
グループ戦略上の役割と重要性、機能としての不可欠性、事業上の結合度合い、法人格が分かれていることの背
景、連結収益・利益に対する貢献度合い、経営戦略の企画・立案や経営管理の実態、経営陣を中心とした人的関
係、財務上の関係――などであり、これらを総合的に評価する。
傘下会社のグループ内での位置付けは、中核会社、中核会社に準ずる会社、グループの重要な一部門、戦略的
重要性が高い会社、戦略的重要性が低い会社――などに大別される。もっとも、これらの区分は固定的ではなく、
戦略的重要性は環境などにより変化する。
グループを構成する各会社の発行体格付は、各会社のグループとの一体性の強さに応じて、グループ全体の信
用力をそのまま反映、中核会社の発行体格付からノッチダウン幅を検討するトップダウンアプローチ、傘下会社
のスタンドアローンの信用力にグループのサポート等を加味するボトムアップアプローチ、スタンドアローン評
価――のいずれかを採用する。
①中核会社の発行体格付
中核会社とは、グループの中核的な事業を担い、グループ全体の存立基盤となっている会社である。中核会社
はグループ内でブランドや顧客基盤を共有し、グループ運営で不可欠な存在となっている。グループ全体の信用
力が著しく悪化し、再建・破綻処理計画(RRP:Recovery and Resolution Plan)などに沿う形でグループが解体
に向かう中でも、売却される可能性が低い。中核会社の発行体格付は、通常、グループ全体の信用力をそのまま
反映する。
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②中核会社に準ずる会社の発行体格付
買収などで新たに中核事業とされ多額の経営資源を投入している場合など、中核事業に準じる重要性があると
判断できる会社は、グループ全体の信用力、すなわち中核会社の発行体格付からスタートするトップダウンアプ
ローチを採る。グループにとっての不可欠性や代替可能性を評価するとともに、個別の事業リスクと財務リスク
を考慮し、中核会社の発行体格付と同水準とするか、1~2 ノッチ程度ノッチダウンするかを検討する。
本来、中核会社が担うべき重要な事業だが規制上の理由などで別会社としている場合や、グループ全体にとっ
ての重要なインフラを提供している会社などは、実質的にグループの重要な一事業部門とみることができ、こう
した会社についてもトップダウンアプローチを採る。
③戦略的重要性の高い会社の発行体格付
中核会社やそれに準ずる会社以外で、戦略的な重要性の高い会社の発行体格付は、スタンドアローンの評価を
ベースに、グループ全体にとっての戦略的重要性の度合いに応じてノッチアップするボトムアップアプローチを
採る。ボトムアップアプローチは、スタンドアローンの信用力評価に、①グループの経営資源の活用などによる
有形・無形のメリット ②経営困難に陥った場合のグループ他社からの支援の可能性――を加味することになる。
①については、長期にわたってグループのメンバーとして活動している企業の場合、既に現在の財務諸表に反映
されている部分のダブルカウントは避ける。
戦略的な重要性の判断に当たっては、グループの中核事業にとっての必要性、グループの長期戦略に占める当
該会社の位置付け、連結収益・利益に占める割合などを重視する。連結収益・利益に占める割合が小さくても、
中核事業の機能・競争力への貢献が高い場合には、戦略的に重要で貢献が大きいと判断することがある。一方、
連結収益・利益に占める割合が高くても、中核事業との関連性が薄い場合などは、戦略的に重要な会社とはみな
さないことがある。新たに経営資源を重点投入している会社を戦略的に重要な会社であると評価するためには、
当該会社が中期的にリスクに見合ったリターンを上げる見通しが立つことが重要である。
④戦略的重要性の低い会社の発行体格付
戦略的重要性の低い会社の発行体格付は、基本的にスタンドアローンの信用力を反映し、グループ全体の信用
力を加味してノッチアップすることはしない。ただ、スタンドアローンの信用力が大きく低下した場合、政府に
よる特別支援の前に、グループから資本増強等のサポートが提供されることもある。そのため、必要に応じ最低
限のサポートが提供される蓋然性が一定程度あるとみられる場合、BBB ゾーン以下では信用力の下支え要素とし
て織り込むこともある。
⑤リスク遮断された会社の発行体格付
通常、傘下子会社の発行体格付がグループ中核会社の発行体格付を上回ることはないが、例外的に、グループ
全体のリスクから隔離され、独自の営業基盤を持つ会社の発行体格付は、中核会社の発行体格付を上回ることが
あり得る。具体的には、資産管理業務に特化した信託銀行などにおいて、こうした類型に当てはまる場合がある。
リスクが遮断されていると判断するポイントは以下のとおりである。
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1)親会社以外の株主が存在し、株主間で当該会社の純資産維持など信用力を維持するための契約が
結ばれている場合は隔離性を強める要因になる
2)当該会社の信用力を高く保つことがグループ全体の利益に合致する
3)当該会社が、経営困難に陥っているグループ内の他の会社を支援する可能性が考えにくい
4)グループから切り離されても存続が可能である
これらの点を形式的に満たしていても、実質的には当該会社に対するグループの支配力が強い場合もあり得る
ので、リスク遮断の有無やその程度は実態を見極める必要がある。特に、上記の全てではなく一部のみを充たし
ている場合は、リスク遮断の程度について慎重に検討する必要がある。リスクが遮断されている場合でも、中核
会社の発行体格付を上回るためには、当該会社の事業リスクと財務リスクが他のグループ全体の水準よりも小さ
い必要がある。なお、グループのリスクから遮断された会社がある場合は、グループ全体の信用力を評価するに
あたって当該会社を除いて評価する。
⑥海外現地法人等の発行体格付
海外現地法人等の発行体格付も、基本的には、他のグループを構成する会社と同様のアプローチで評価する。
ただし、グループの持株会社と中核会社の所在地である本国のソブリン格付が低下して、グループ全体の信用力
を制約している場合、海外現地法人等の発行体格付も制約を受けるかどうかが論点になる。本国のソブリン格付
の低下と、それが金融グループ全体の信用力に及ぼし得るあらゆるマイナスの影響が、海外現地法人等にはほと
んど及ばず、かつ、海外現地法人等の営業基盤がグループの中核会社を抜きに存立し得る場合には、例外的に、
当該海外現地法人等の発行体格付には、スタンドアローンの信用力を反映させ、グループ全体の信用力を超える
こともある。一方、海外現地法人等の所属する国のソブリン格付が、グループ全体の信用力とグループ内での位
置付けを反映した海外現地法人の信用力を下回る場合には、グループ内における当該海外現地法人等の戦略的位
置付けやサポートの姿勢、ソブリンリスクや通貨規制等の影響を検討し、必要に応じて、当該ソブリン格付の制
約下に置く。
⑦合弁会社の発行体格付
複数の大株主が存在する合弁会社の信用力評価においては、実質的にどの大株主が経営を支配しているかが重
要になる。通常、議決権の過半を保有する大株主が経営を支配することが多いが、議決権の過半を保有していな
くても、実質的に支配しているとみられる場合もある。
大株主と合弁会社との一体性の強さを評価する際の着眼点は、大株主にとっての戦略的な重要性、合弁会社が
資本不足に陥った場合の大株主の役割分担や、大株主が合弁会社の株式を放出する際の規定など合弁契約の内容、
合弁会社のレポーティングライン、合弁会社と大株主との間の業務上の結合度合いや一体不可分性――などであ
る。
合弁会社を実質的に支配している大株主との関係の深さの程度に応じ、大株主からのトップダウンアプローチ、
合弁会社のスタンドアローン評価に大株主の信用力を加味するボトムアップアプローチ、合弁会社のスタンドア
ローン評価のみ反映して大株主の信用力は反映しない――などにアプローチが分かれる。
大株主の特性も考慮する。事業投資の一環として投資と回収を頻繁に繰り返しているような大株主の場合、議
決権割合に関らず、当該大株主からのトップダウンアプローチを採用することはほとんどない。
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格付方法
*これまで公表した格付方法「金融コングロマリットの格付の考え方」は、本稿に代替されます。
R&I が格付対象の評価に用いる格付付与方針及び格付方法(以下「格付付与方針等」と総称します)は、R&I が独自の分析、研究等に基づいて作成した R&I の意見にすぎ
ず、R&I は、格付付与方針等の正確性、適時性、網羅性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明又は保証を
するものではありません。また、R&I は、格付付与方針等の開示によって、いずれかの者の投資判断や財務等に関する助言を行い、又は投資の是非等の推奨をするものでは
ありません。R&I は、格付付与方針等の内容、使用等に関して使用者その他の第三者に発生する損害等につき、請求原因の如何や R&I の帰責性を問わず、何ら責任を負いま
せん。格付付与方針等に関する一切の権利・利益(特許権、著作権その他の知的財産権及びノウハウを含みます)は、R&I に帰属します。R&I の事前の書面による許諾無
く、格付付与方針等の全部又は一部を自己使用の目的を超えて使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)し、又は使用する目的で保管する
ことは禁止されています。
●お問い合わせ先 株式会社格付投資情報センター インベスターズ・サービス本部
TEL.03-3276-3511
FAX.03-3276-3413
http://www.r-i.co.jp
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