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顧客満足の実践手法

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顧客満足の実践手法
顧客満足の実践手法
前回のまとめ(1)
顧客満足=提供された商品、サービス、提供者の理念などについて
顧客が自分自身の基準によって納得の得られるクオリティ
と価値を見出すこと。 顧客主義とはお客様に満足していただけるようにする
顧客満足活動、CS活動であり、経営姿勢。
継続的な支持を得るための一連の戦略。
顧客主義=「顧客=お客様第一主義」「消費者主義」
経営の基本として経営理念、マーケティング戦略の基本。
「お客様が常に正しい」というものではない。
前回のまとめ(2)
「顧客を満足させること」ではなく「顧客が満足すること」
顧客の満足は当然
選択肢の中から対価を払ってサービスであり、商品、仕事を依頼。
→ 満足して当然。
満足しない場合は、詐欺、契約違反である。
納期厳守、不具合ゼロ、適正価格は当然。
「お客様が抱く期待値≦実際の商品や価値」 イコール以上の状態。
お客様は何を求め、何を期待し、自分の会社や商品、サービス、あるいは仕
事を依頼しているのかをいつも考え、その期待値を裏切らないことが基本。
前回のまとめ(3)
顧客満足という考え方や活動はマーケティング戦略としてなりえる。
①
社員の満足
顧客満足活動は社員の満足にもつながる
②
顧客満足の目的
「利益の追求」 → 長期的な継続性のある利益の確保と維持
③
具体的な戦略
(1) 顧客ロイヤルティ
1:5の法則、2:5の法則 から既存顧客を大切にしロイヤルティ
の高いお客様=ロイヤルカスタマーを作る。
(2) 顧客維持・お客様離れゼロ
(3) 生涯価値
「1:5の法則」
新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの
5倍かかる
「5:25の法則」
顧客離れを5%改善すれば、利益が25%改善される
「パレートの法則」
別名2:8の法則。
全商品の20%が80%の売上を作る、全顧客の20%が全体売 上の80%を占める、100の蟻の内、よく働くのは2割だけ、税金 を納める上位20%が税金総額の80%を負担している・・・など、
さまざま 。
ザ・リッツ・カールトン ホテル(1)
約100年前、ホテル王といわれたスイス人のセザール・リッツが、
フランス パリに「旅人が心からくつろげる場所を」とホテル・
リッツを開業、その後、イギリスのカールトンというホテルと1つ
になり、アメリカに進出したのがザ・リッツ・カールトン・ホテル
の起源。
本社は1983年、アメリカ・ジョージア州アトランタに設立。
現在、世界中で「もう1つのわが家」をコンセプトに約40のラグ
ジュアリ(豪華)・ホテルを展開。
ザ・リッツ・カールトン ホテル(2)
①リッツ・カールトンは、 リッツ・カールトン・ミスティーク
(神秘性) に代表される、ホスピタリティ(おもてなし)を
核とするラグジュアリティを差別化された価値。
②リッツ・カールトンが優れた経営実績を達成しているのは、
同社のマネジメント(経営者、事業執行責任者)が、①で述べ
た価値を高確率で創出する以下の仕組みを構築し、実行。
ザ・リッツ・カールトン ホテル(3)
a,ホスピタリティマンになる確率の高い人格、品格を持って
いる人が入社する仕組み。
(効果的なPR活動。ステークホルダーへのお客様同等の
対応。上記の人格、品格の持ち主が否か正確に判断できる
評価システム。QSP)
従業員を大切にし、人間として尊重し、行動を褒め表彰制度
などで従業員満足を実践。
従業員は、みなリッツカールトンの経営理念に賛同し、顧客
満足を実践している。
学歴や技術でなく、その人の人間性を重視している。
ザ・リッツ・カールトン ホテル(4)
b,従業員が、自社と自身のミッション、ビジョン、価値観を
等しく理解、納得できる仕組み。
(→入社後のオリエンテーション。クレド。
ゴールドスタンダード。ラインナップ(朝礼)。)
従業員全員が「クレド」という価値観のもと、自分のでき
る顧客満足を提供している。
「クレド」とは、ラテン語で「信条」「志」「約束」
「クレド」「従業員への約束」「モットー」「サービスの
3ステップ」「ザ・リッツ・カールトン・ベーシック」
という行動指針が示されている。リッツではこの5つ
の内容を「ゴールデンスタンダード」
ザ・リッツ・カールトン ホテル(5)
c,従業員が、スタンダード業務を均質的に遂行できる仕組み。
(→業務遂行マニュアル。)
d,従業員一人一人が、自分が創出し得る①に掲げた価値は
ないものか、非常識な観点からも自問自答すると共に、
創出可能と判断した価値を、従業員同士協力しながら、
主体的に創出できる仕組み。
(→クレド。ゴールドスタンダード。サティフィケーション
(修了証書)。ラインナップ(朝礼)。
顧客情報管理システム。2000ドルの決裁権。)
CS活動のレベル(1)
①レベル・0─CS活動の導入への助走
まだ途についたばかりで、個人レベルでの取り組み。 挨拶、マナー、
ルールといった企業での就業規則やビジネスマナーなどの遵守といっ
た段階。 このレベルには通信、新聞・放送など既得権益に守られて
いる業界やインフラを基盤とした電力・ガス、鉄道などの業界が当
てはまる。
②レベル・1─CS活動取り組みへの波及
CS活動についての認知度が高まってきており、他部門と一緒になっ
た取り組みが始まった段階。 顧客と接する現場では、まだ接客応対
の対策が圧倒的に多い。 だが、ようやく顧客志向という動きが生ま
れつつある。 規制緩和に伴う新規参入との競争激化により、あわて
て取り組み始めているのが証券、生保・損保、銀行、クレジットカー
ドなどの金融業界だ。
CS活動のレベル(2)
③レベル・2─CS活動コンセプトの確立
CSの意義や目的が多くの従業員に理解され、各部署では競合他社
や他業界の好事例を参考にして業務改善に着手し始めた段階。 顧客
のライフスタイルやニーズを把握したアプローチ方法や提案方法の
工夫を組織的に取り組んでいる自動車販売、携帯販売などの業界が
該当する。
④レベル・3─CS活動手法の標準化
顧客と接触しない部署を含めたすべての部署において、課題の改革
に向けて体系化や各種データの整備が本格化する。 併せてCS活動
手法についても、標準化する段階。 CS活動という名称を使わない
までも、「店はお客様のためにある」という理念で、業務改善に取
り組むチェーン展開の専門店やレストランなどの業界がこの領域に
達している。
CS活動のレベル(3)
⑤レベル・4─CS活動の環境づくりの実現
CS活動に関する情報が企業として集約化され、経営の革新領域に
達する段階。 一企業レベルではなく、社会的貢献度をも考慮したサー
ビス基準の進化に挑戦している。 ホスピタリティを大切にするシティ
ホテル、外資系コーヒーショップ、通信販売、そして一部の自動車
販売店の企業で到達しつつあるレベル領域である。
⑥レベル・5─企業文化としての定着
常に全業界の最高レベルをCS価値基準に設定している。 この段階
では、CSという言葉をわざわざ使うことはない。 全従業員が企業
の理念を理解し、一人ひとりが個人の判断で行動できる状況である。
つまり、企業風土としてすべての部署に定着したといえる最終ゴー
ルの姿。 このレベルの先進企業の代表はリッツカールトンホテルや
東京ディズニーランドなどで、どちらかといえばサービス業界に集
約される。
旭山動物園(1)
如何に人気のある、集客できる動物を集めるかといった動物園
経営と違い、今いる、そして決して珍しいとはいえない
ペンギン、ホッキョクグマ、アザラシといった動物で、如何に
見せるか、楽しませるかを考え実行してきた動物園 。
→ 2004年7月 入場者数が上野動物園を抜いて日本一に。
無い物をねだり、それを不振の原因としていては、前進するこ
とは出来ない。
今ある財産を、さらに高い価値を持つに商品に出来るか?
→「商品企画力」で、素晴らしい価値を創造した。
旭山動物園(2)
旭山動物園の本当の凄さは、ユニークな動物の見せ方・施設だけでは
なく、昔から地道に展開されてきた「手づくり」の取り組み。
「手づくり」の取り組みが、与えられた環境の中で仕事をしているので
はなく、その人気は自分達スタッフ一人一人が創り上げてきたのだとい
う自信になっている。
→その自身と誇りが、さらに素晴らしい魅力作りへと展開。
・如何にしてそこで働く人達が「自らで考え、動き出すか」という環作り。
・従業員個人個人が誇りを持ち 「どうすれば、お客様が楽しんでくださ
るのか?」お客様は何を期待されているのか?」という意識が、行動に
移され 今の人気を支えている。
東京ディズニーランド(1)
それまで日本になかった、ゲスト(お客)がディズニーのテーマに入り込
める新形式遊園地として千葉県に開業して早や24年。新たに開演し
たディズニーシーと併せて年間約2,600万人以上の入場者を迎え、
その多くが何度も来ているリピーターといわれます。
そのお客様を引きつける魅力は何でしょう?
全てのお客様をVI
Pとして扱い、社員をキャストと呼ぶ。
飽きさせないエンターティメント・顧客満足度を高めるためのサービス。
→顧客に最高の喜びと満足度を与える。
東京ディズニーランド(2)
マニュアル違反例) ワールドバザールの一角にあるレストラン「イーストサイド・カフェ」での
できごと。若い夫婦がやってきた。 当然キャストは2人席を用意し注文をとった。
二人は料理を注文し、さらに「お子様ランチを下さい」と言った。
対応したキャストは困惑した。マニュアルでは9歳未満の子供にしかお子様ラン
チを出してはならないことになって いたからだ。そういわれて2人はさびしげな
顔で見詰め合う。
キャストは勇気を出して、そのお子様ランチを誰が食べるのか尋ねた。
「今日は、昨年亡くなった娘の誕生日なのです。 私の体が弱かったせいで娘は最初の誕生日
を迎えることもできませんでした。おなかの中にいるときには主人と3人で このお子様ラン
チを食べに行こうねと約束していたのにそれも果たせませんでした。それで今日は娘にお
子様ランチを 頼んであげたくて、参りました」
その言葉にキャストは言葉を詰まらせた。そして次の瞬間、そのキャストは二人を別の席に
案内した。家族4人で かけられるテーブルである。そしてさらにそこに子供用のいすも用意
した。もちろんそのテーブルにお子様ランチが 持ってこられたのはいうまでもない。
「どうぞご家族でゆっくりとお楽しみ下さい」
東京ディズニーランド(3)
マニュアルはマニュアルである。
従業員をある程度のレベルにするための道具であり、
企業側の論理で作られたものでしかない。
マニュアルを有効に活用し、社員一人一人が応用を利かせ、
お客様の気持ちになって考え 対応する。
それがロイヤルティを高め、リピータ−を増やす。
東京ディズニーランド(4)
長引くデフレ不況の中、東京ディズニーランド、ディズニーシー
の入園料だけ下がらないのは、なぜか?
逆に、デフレ不況を逆手にとって急成長を遂げてきた日本マクド
ナルドホールディングスや「ユニクロ」でお馴染みのファースト
リテイリングなど デフレ勝ち組 の業績が失速したのは、なぜか?
顧客資産の中身に違い
東京ディズニーランド =ロイヤル顧客にしっかり照準が合わされている。
日本マクドナルドとファーストリテイリング
=顧客満足度が高く顧客ロイヤルティの低い顧客、つまり、
心変わりしやすい顧客に照準がズレていたのでは?
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