...

人工栄養保育され又は一部母乳で保育される乳児用の、ビフィドバクテリ

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

人工栄養保育され又は一部母乳で保育される乳児用の、ビフィドバクテリ
JP 2007-508838 A 2007.4.12
(57)【 要 約 】
人工栄養保育され又は一部母乳で保育される乳児用の、ビフィドバクテリウムブレーベ
と難消化性炭水化物の混合物とを含む製剤、並びに人工栄養保育され又は一部母乳で保育
される乳児の免疫障害を治療し又は予防するための、その使用が提供される。また本明細
書では、ビフィドバクテリウム種を検出するための配列プライマー及びプローブ、並びに
その診断キットも提供される。
(2)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィドバクテリウムブレーベ(Bifidobacterium breve)と、
少なくとも2種の難消化性可溶性炭水化物成分A及びBの混合物とを含み、前記炭水化物
成分Aは、炭水化物成分A及びBの合計の5∼95重量%の量で存在し、前記難消化性可
溶性炭水化物全体の少なくとも50%は、二糖からエイコサ糖までの中から選択され、成
分A及びBは、
(i)炭水化物の単糖単位の(平均)数が異なっており、成分Aの平均鎖長が成分Bの
平均鎖長よりも少なくとも5単糖単位少ないものであり、又は
(ii)炭水化物の単糖単位の構造が異なっており、又は
10
(iii)上記(i)と(ii)の両方である製剤。
【請求項2】
前記炭水化物成分Aが、前記炭水化物成分Bとは異なる構造を有する、請求項1に記載
の製剤。
【請求項3】
前記炭水化物成分A及びBの、単糖単位の(平均)数が異なっており、成分Aは、同じ
炭水化物構造の不消化性単糖から六糖までの中から選択され、成分Bは、同じ炭水化物構
造の不消化性七糖及びそれ以上の多糖から選択される、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記炭水化物成分Aが95∼60重量%を構成し、前記炭水化物Bが5∼40重量%を
20
構成し、A+B=100重量%になる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の製剤
。
【請求項5】
炭水化物成分Aの少なくとも60重量%、好ましくは80∼100重量%が、ガラクト
−オリゴ糖の群に属する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
炭水化物成分Bの少なくとも60重量%、好ましくは80∼100重量%が、イヌリン
を含むフルクト−多糖の群に属する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
難消化性可溶性炭水化物1g当たり、ビフィドバクテリウムブレーベを10
1
cfu、好ましくは10
8
∼10
1 0
7
∼10
1
30
cfu含む、請求項1から6までのいずれか一項
に記載の製剤。
【請求項8】
プロバイオティックビフィドバクテリウムブレーベが、サプリメントを基にして計算し
たときに1×10
0
6
∼1.5×10
1 1
cfu/g、より好ましくは5×10
cfu/g、好ましくは3×10
8
∼1×10
1 0
7
∼5×10
1
cfu/gの量でサプリメント
中に存在する、サプリメントとして使用される請求項1から7までのいずれか一項に記載
の製剤。
【請求項9】
ビフィドバクテリウムブレーベが、乳児用サプリメントに対して1×10
1 0
0
7
cfu/g、好ましくは5×10
∼5×10
8
6
∼3×10
9
4
∼1×10
40
cfu/g、より好ましくは1×1
cfu/gの量でサプリメント中に存在する、乳児栄養食として使用さ
れる請求項1から7までのいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の製剤を含み、消化性炭水化物、脂質源、タ
ンパク源、又はこれらの混合物をさらに含む、乳児栄養サプリメント。
【請求項11】
請求項1から7まで及び9のいずれか一項に記載の製剤を含み、消化性炭水化物、脂質
源、及びタンパク源をさらに含む、乳児栄養食。
【請求項12】
50
(3)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
人工栄養保育され又は一部母乳で保育される乳児の胃腸管内のビフィドバクテリウム種
組成物を、母乳で保育される乳児における組成物にまで正常化する組成物を製造するため
の、請求項1から9までのいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項13】
1つ又は複数の免疫障害を予防し又は治療する組成物を製造するための、請求項1から
9までのいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項14】
前記免疫障害が、アレルギー、アトピー、アレルギー性鼻炎、食物過敏症、アトピー性
皮膚炎、湿疹、及び喘息から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
10
前記免疫障害が、下痢及びウイルス性下痢から選択される、請求項13又は14に記載
の使用。
【請求項16】
エネルギー吸収不良を予防し且つ/又は治療する組成物を製造するための、請求項1か
ら9までのいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項17】
アレルギー病変部での好酸球、好中球、及び単核細胞の浸潤を阻害し、Th2型免疫応
答を阻害し、且つ/又はTh1媒介免疫応答を刺激する組成物を製造するための、請求項
1から9までのいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項18】
20
人工栄養保育され又は一部母乳で保育される乳児の胃腸管内の、ビフィドバクテリウム
カテニュレイタム(Bifidobacterium catenlatum)、B.シ
ュードカテニュレイタム(B.pseudocatenulatum)、及び/又はB.
アドレセンティス(B.adolescentis)の相対量を低下させるための、少な
くとも2種の難消化性可溶性炭水化物成分A及びBの混合物の使用であって、前記炭水化
物成分Aが、炭水化物成分A及びBの合計の5∼95重量%の量で存在し、前記難消化性
可溶性炭水化物全体の少なくとも50%が、二糖からエイコサ糖までの中から選択され、
成分A及びBは、炭水化物の単糖単位の(平均)数が異なっており、又は炭水化物の単糖
単位の構造が異なっており、又はその両方である混合物の使用。
【請求項19】
30
配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番
号10、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配
列番号19、配列番号20、配列番号22、配列番号23、配列番号25、配列番号26
、及びこれらに相補的な配列から選択された配列番号を含む、オリゴヌクレオチド。
【請求項20】
ビフィドバクテリウム属の種に特有の核酸標的配列を検出するための、オリゴヌクレオ
チドプローブであって、
1)配列番号3又はこれに相補的な配列によって表される、B.アドレセンティスDN
Aに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
2)配列番号6又はこれに相補的な配列によって表される、B.アンギュレイタム(B
40
.angulatum)DNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
3)配列番号9又はこれに相補的な配列によって表される、B.ビフィダム(B.bi
fidum)DNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
4)配列番号12又はこれに相補的な配列によって表される、B.ブレーベDNAに特
異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
5)配列番号15又はこれに相補的な配列によって表される、B.カテニュレイタムD
NAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
6)配列番号18又はこれに相補的な配列によって表される、B.デンティウム(B.
dentium)DNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
7)配列番号21又はこれに相補的な配列によって表される、B.インファンティス(
50
(4)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
B.infantis)DNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
8)配列番号24又はこれに相補的な配列によって表される、B.ロンガム(B.lo
ngum)DNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
9)配列番号27又はこれに相補的な配列によって表される、全てのビフィズス菌DN
Aに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド
から選択される、オリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項21】
ヒト、特にヒト乳児に見られるビフィドバクテリウム属の種を、種特異的に検出する方
法であって、
(A)サンプルとオリゴヌクレオチドプローブとをハイブリダイズ溶液中で接触させる
10
ステップであって、前記プローブが、
1)配列番号3又はこれに相補的な配列によって表される、B.アドレセンティスDN
Aに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
2)配列番号6又はこれに相補的な配列によって表される、B.アンギュレイタムDN
Aに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
3)配列番号9又はこれに相補的な配列によって表される、B.ビフィダムDNAに特
異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
4)配列番号12又はこれに相補的な配列によって表される、B.ブレーベDNAに特
異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
5)配列番号15又はこれに相補的な配列によって表される、B.カテニュレイタムD
20
NAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
6)配列番号18又はこれに相補的な配列によって表される、B.デンティウムDNA
に特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
7)配列番号21又はこれに相補的な配列によって表される、B.インファンティスD
NAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
8)配列番号24又はこれに相補的な配列によって表される、B.ロンガムDNAに特
異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
9)配列番号27又はこれに相補的な配列によって表される、全てのビフィズス菌DN
Aに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド
からなる群から選択されるものであるステップと、
30
(B)前記属の前記種が前記サンプル中に存在するか否かが検出されるように、前記プ
ローブが前記サンプル中の核酸とハイブリダイズするか否かを決定するステップと
を含む方法。
【請求項22】
前記請求項21に記載の、ヒト、特にヒトの便に見られるビフィドバクテリウム属の検
出された種を、種特異的に定量する方法であって、前記定量方法が、リアルタイムPCR
である方法。
【請求項23】
ヒト、特にヒト乳児に見られるビフィドバクテリウム属の種を、種特異的に検出する方
法であって、
40
a)請求項19に記載のオリゴヌクレオチドプライマー、好ましくは配列番号1、配列
番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列
番号22、配列番号25から選択された配列番号のオリゴヌクレオチドプライマーを、そ
れぞれ配列番号2、配列番号5、配列番号8、配列番号11、配列番号14、配列番号1
7、配列番号20、配列番号23、配列番号26から選択された配列番号のオリゴヌクレ
オチドプライマーと共に含むプライマーのセットを使用して、核酸配列増幅手順を実施す
るステップと、
b)上述のオリゴヌクレオチドプローブが核酸標的配列とハイブリダイズするか否かを
決定するステップと
を含む方法。
50
(5)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
【請求項24】
少なくとも請求項20に記載のDNAプローブ、並びに変性液やハイブリダイゼーショ
ン液、洗浄液、固体担体、ハイブリダイゼーション容器、及び標識検出手段などのハイブ
リダイゼーション分析に必要な1種又は複数の他の手段を含み、ハイブリダイゼーション
分析を用いてビフィドバクテリウムアドレセンティス、B.アンギュレイタム、B.ビフ
ィダム、B.ブレーベ、B.カテニュレイタム、B.デンティウム、B.インファンティ
ス、及びB.ロンガムから選択されたビフィドバクテリウム種をサンプル中で検出するた
めの、診断キット。
【請求項25】
請求項19に記載のDNAプライマー、並びにPCR分析に必要な1種又は複数の別の
10
手段であって、例えばポリメラーゼや重合液、オイルオーバーレイ、反応容器、及び増幅
DNAを検出する手段などのセットを含み、PCR分析を用いてビフィドバクテリウムア
ドレセンティス、B.アンギュレイタム、B.ビフィダム、B.ブレーベ、B.カテニュ
レイタム、B.デンティウム、B.インファンティス、及びB.ロンガムから選択された
ビフィドバクテリウム種をサンプル中で検出するための、診断キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳児向けの、特に人工栄養保育される乳児向けの、プロバイオティック及び
プレバイオティックを含む製剤に関する。
20
【背景技術】
【0002】
乳児は、生まれたときには腸内細菌叢を持っていない。分娩中及びその後の授乳時に母
親と接触する結果、腸内細菌叢が急速に発生し、増大する。腸内細菌叢は、その発生中は
未成熟なままであり、その平衡状態は脆弱で、直ぐに変化し易く、したがって病原体の存
在下、疾患及び障害を引き起こし易い。母乳で保育された乳児は、人工栄養保育された乳
児よりも、感染症又は疾患に罹りにくいことがわかっている。そのため、母乳で保育され
た赤ちゃんは、人工栄養保育された乳児よりも、罹患率と持続期間との両方の観点から胃
腸感染症に罹りにくく、アレルギーや湿疹、アレルギー誘発性喘息などのアトピー性疾患
に罹りにくく、便秘にもなりにくい。
30
【0003】
一般に、母乳で保育された乳児の腸内細菌叢は、主にビフィズス菌(bifidoba
cteria)と乳酸菌(lactic acid bacteria)とからなる。母
乳には、乳児の腸内ビフィズス菌の成長因子である、人乳オリゴ糖(HMO)が含まれて
いる。調合乳で保育された乳児の腸内細菌叢は、より多様であり、一般に、より多くのバ
クテロイデス(Bacteroides)、クロストリジウム(Clostridium
)、及び腸内細菌種(Enterobacteriaceae species)が含ま
れる。調合乳で保育された乳児は、母乳で保育された乳児のビフィズス菌の数の、約10
分の1からおおよそ3分の2を有する。ビフィズス菌は、十分バランスのとれた腸内微生
物叢を維持するのに重要と考えられ、このビフィズス菌には、下痢及び腸内感染の予防及
40
び/又は治療も含めたいくつかの健康増進効果があると見なされてきた。さらにビフィズ
ス菌は、宿主の免疫系において、ある役割を演ずることが示されている。
【0004】
乳児の腸内細菌叢は、プロバイオティックス又はプレバイオティックスの消費のように
、食物の栄養の変化によって変わる可能性がある。プロバイオティックスによる手法の例
として、EP−A−0,904,784は、ビフィズス菌株(Bifidobacter
ium strains)も含めた微生物株の混合物を投与することについて記述してい
る。しかしこれに関連する問題とは、微生物の混合物が、何らかの健康上の利点をもたら
しはするが、その活動が広範にわたるので、人工栄養保育された乳児の依然として未成熟
な腸内細菌叢に、悪影響を及ぼす可能性もあることである。さらに、多くのプロバイオテ
50
(6)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
ィックサプリメントは、その保存期間が短く、そこに含有される生きている微生物の数が
少なすぎて、期待されるプロバイオティック効果が得られない。
【0005】
プレバイオティックスは、結腸内の1種又は複数の細菌の成長及び/又は活動を選択的
に刺激し、それによって宿主に良い影響を及ぼす難消化性食品成分と定義される(Gib
son及びRoberfroid、J.Nutr.125:1401−14121995
)。哺乳瓶で保育された赤ちゃんの腸内細菌叢を改善する好ましい方法は、特定の難消化
性オリゴ糖によって、即ちプレバイオティックスによって、この哺乳瓶で保育された乳児
の腸内に既に存在するビフィズス菌を、選択的に刺激することである。また、オリゴ糖と
多糖との混合物も、例えばWO00/08948にプレバイオティックスとして提示され
10
ている。1つの例は、ガラクト−オリゴ糖とフルクト多糖との組合せである。これらのプ
レバイオティックスを含有する調合乳を与えられた乳児のビフィズス菌レベルは、標準的
な調合乳の場合に比べて高くなることが示された(例えば、Moro他、J.Pedia
tr.Gastroenterol.Nutr.34:291−295、2002参照)
。
【0006】
現在までの手法は、ビフィズス菌を全体的に、即ち属レベルで増進させることであった
。ビフィドバクテリウム属(genus Bifidobacterium)は、代謝、
酵素活性、オリゴ−及び多糖の利用率、細胞壁の組成、宿主の免疫系との相互作用が異な
る多くの様々な種からなる。したがって、乳児に対し、全てのビフィドバクテリウム種(
20
species of Bifidobacterium)が同じ機能上の効果を及ぼす
とは限らないことが予測できる。様々なビフィドバクテリウム種の例は、B.ロンガム(
B.longum)、B.ブレーベ(B.breve)、B.インファンティス(B.i
nfantis)、B.アドレセンティス(B.adolescentis)、B.ビフ
ィダム(B.ビフィダム)、B.アニマリス(B.animalis)、及びB.デンテ
ィウム(B.dentium)である。B.アドレセンティスは、成人の細菌叢において
より広く行き渡っており、健康な乳児及び赤ちゃんの大便においてはそれほど一般的では
ない。B.アニマリス/B.ラクティス(B.lactis)は、人の場合、自然に生ず
るものではなく、B.デンティウムは病原菌である。健康な乳児では、ビフィズス菌叢が
、主にビフィドバクテリウムインファンティス(Bifidobacterium in
30
fantis)、B.ブレーベ、及びB.ロンガムからなる。Kalliomaki他(
Curr Opin Allergy Clin Immunol.2003 Feb;
3(1):15−20、及びそこに引用される参考文献)は、アレルギー体質の乳児が、
成人に適したビフィズス菌叢の棲み家となるのに対し、典型的な乳児のビフィズス菌叢は
、健康な乳児に見られ、ある特定のビフィズス菌種の出現とアレルギー発症の機会との間
には相関関係が示されることを報告した。これらの結果は、赤ちゃんの結腸でのビフィド
バクテリウム属の刺激が、十分とは考えられないことを示している。目標は、母乳で保育
された赤ちゃんの菌叢と同じような、哺乳瓶で保育された乳児の菌叢を、種のレベルで実
現することである。
【0007】
40
本発明において、「母乳で保育された乳児」とは、ヒトの母乳だけで保育された乳児を
指す。「人工栄養保育された、又は一部母乳で保育された乳児」とは、ヒトの母乳を与え
ていない乳児、又はヒトの母乳を与えるのに留まらない乳児を意味する。この定義は、1
日当たり少なくとも1本の哺乳瓶の内容物、即ち1日当たり少なくとも80mlの調合乳
が与えられ、存在する場合には残りの栄養素が、固体栄養素又は液体栄養素から提供され
、例えば母乳などから提供される乳児、即ち一部母乳で保育された乳児を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
難消化性炭水化物の混合物を使用して、ビフィズス菌レベルを増大させることにより、
50
(7)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
ビフィズス菌集団は、より乳児に適した集団、即ちB.カテニュレイタム(B.cate
nulatum)、B.シュードカテニュレイタム(B.pseudocatenula
tum)、及びB.アドレセンティスが低い集団に調節されるのに対し、標準的な調合乳
で保育された乳児は、より成人に適した菌叢であってその大部分がB.カテニュレイタム
、B.シュードカテニュレイタム、及びB.アドレセンティスであるものを示すこともわ
かった。また、そのようなプレバイオティックで保育された乳児のビフィズス菌集団は、
依然としてある特定の微生物、即ちビフィドバクテリウムブレーベ(Bifidobac
trium breve)に欠けていることもわかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
10
したがって、本発明の一態様では、ビフィドバクテリウムブレーベと、難消化性炭水化
物プレバイオティックスの混合物とを含む製剤が提供される。そのような製剤は、乳児の
胃腸管内で、種のレベルでビフィズス菌集団を調節するのに有利であり、且つ非常に適し
ていることがわかった。さらに驚くべきことに、そのような製剤によって十分調節される
ので、B.ブレーベ種以外のビフィズス菌種を添加することは必ずしも必要でないことが
わかった。
【0010】
本発明の別の態様では、ビフィドバクテリウムブレーベと、難消化性炭水化物プレバイ
オティックスの混合物とを含む製剤であって、この難消化性炭水化物の混合物が、少なく
とも2種の異なる実質的に可溶性の炭水化物成分A及びBを含有しているものが提供され
20
る。
【0011】
本発明の別の態様では、人工栄養保育される乳児又は一部母乳で保育される乳児のため
の製剤の使用が提供される。
【0012】
本発明の他の態様では、人工栄養保育される乳児又は一部母乳で保育される乳児の胃腸
管でビフィズス菌種集団の調節を行う組成物を製造するための、製剤の使用が提供される
。
【0013】
本発明の他の態様では、免疫状態の予防又は治療用の組成物を製造するための、製剤の
30
使用が提供される。
【0014】
本発明の他の態様では、人工栄養保育される乳児又は一部母乳で保育される乳児の胃腸
管で、ビフィドバクテリウムカテニュレイタム、B.シュードカテニュレイタム、及び/
又はビフィドバクテリウムアドレセンティスの集団を調節するための、炭水化物混合物の
使用が提供される。
【0015】
本発明のさらに別の態様では、ヒト、特にヒト乳児で見出されるビフィドバクテリウム
属の種を、種特異的に検出し定量的にアッセイを行う方法、並びにビフィドバクテリウム
種を診断し定量するためのキットが提供される。
40
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(製剤)
1)ビフィドバクテリウムブレーベ
ビフィドバクテリウムブレーベは、本発明の本質的な要素である。この細菌は、人工栄
養保育された乳児の場合に限られた量で存在することが、本出願人の検出方法によって見
出された。したがって、この細菌を炭水化物混合物と共に投与することにより、母乳で保
育された乳児の胃腸管に存在する場合と同等のレベルまで、ビフィドバクテリウム種集団
を正常化することが可能になる。
【0017】
50
(8)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
好ましいビフィドバクテリウムブレーベ株は、健康な、母乳で保育された乳児の大便か
らの、分離株から選択されたものである。典型的な場合、これらは乳酸菌の生産者から市
販されているが、大便から直接分離し、同定し、特徴付けし、生成することもできる。市
販されているB.ブレーベの例は、RhodiaからのB.ブレーベBb−03、森永か
らのB.ブレーベMV−16、及びInstitut Rosell,Lalleman
dからのB.ブレーベであるが、B.ブレーベは、DSM 20091やLMG 116
13など、カルチャーコレクションから得ることもできる。
【0018】
本発明の製剤中のB.ブレーベの量は、可溶性の難消化性炭水化物の総量を基にするこ
とができ、これら炭水化物全体の1g当たり、細菌が好ましくは10
uであり、より好ましくは10
8
から10
1 0
7
6
から1.5×10
u/gの量でサプリメント中に存在することが最も好ましく、3×10
cfu/gであることが好ましく、5×10
1 1
cf
10
cfuである。製剤をサプリメントとして
使用する場合、ビフィドバクテリウムブレーベは、1×10
0
から10
8
から1×10
1 0
7
1 1
cf
から5×10
1
cfu/gであること
がより好ましい。製剤を(完全)乳児栄養素として使用する場合、B.ブレーベは、1×
10
4
10
6
から1×10
1 0
から3×10
9
7
から5×10
8
6
から1.5×10
cfu/gの量で栄養素中に存在することが最も好ましく、5×
cfu/gであることが好ましく、乳児栄養素1g当たり1×10
cfuであることがより好ましい。これらの濃度は、1日量が1×10
1 1
cfu/gであり、好ましくは3×10
u/gであり、より好ましくは5×10
8
から1×10
1 0
7
から5×10
1 0
cf
cfu/gになるような方法
20
で選択される。
【0019】
2)難消化性炭水化物プレバイオティックスの混合物
難消化性炭水化物プレバイオティックスの混合物も、本発明の本質的な要素である。「
難消化性」とは、炭水化物が、胃腸管内消化されないままであり、吸収されずに大腸に到
達することを意味する。
【0020】
本発明では、難消化性炭水化物の混合物が、少なくとも2種の異なる、本質的に可溶性
の炭水化物成分A及びBであって、胃腸管内で消化されないままであり且つ吸収されずに
大腸に到達するものを含有する。本発明による炭水化物混合物は、これら2種の炭水化物
30
成分A及びBのみからなるものでもよい。
【0021】
少なくとも2種の難消化性可溶性炭水化物成分A及びBの混合物では、炭水化物成分A
が、炭水化物成分A及びBの合計の5から95重量%の量で存在する。さらに、成分A及
びBの難消化性可溶性炭水化物全体の、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%
は、二糖からエイコサ糖(20個の単糖単位を有する多糖)の中から選択され、その残り
は、難消化性単糖及び難消化性多糖であって、20単位よりも長いものでよい。また、可
溶性の難消化性炭水化物全体の、95%を超える量、好ましくは98%を超える量は、1
00単位以下の鎖長を有することも好ましい。パーセンテージ及び平均について、この記
述の中で述べる場合は、別の基準を指すことが明らかでない限り、又は他に特に指定しな
40
い限り、重量に基づくパーセンテージ及び平均であることを意味する。
【0022】
各成分の炭水化物は、下記の3つの点で異なると考えられる。
(i)炭水化物の単糖単位の(平均)数であり、成分Aは、その平均鎖長が、成分Bの
鎖長よりも少なくとも5単糖単位だけ少ない;これは、A及びBの炭水化物が同じ構造単
位を有する場合、即ち鎖長のみ異なる同族体の混合物を形成する場合、この同族体の分布
は2つの最大値を持たねばならず、1つの最大値は7よりも下であり、且つ1つは7より
も上であり、これら2つの最大値は、少なくとも5単位離れていることを意味し;6単位
までの炭水化物(六糖)は成分Aの一部であり、7単位から先の炭水化物(七糖)は成分
Bの一部である。
50
(9)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
(ii)炭水化物の単糖単位の構造であり、成分Aは、成分Bとは異なる構造単位から
構成され;A及び/又はBが、異なる単糖単位を繰り返した組合せから構成される場合、
例えばガラクトマンナン及びアラビノガラクタンの場合、2成分の単糖単位の少なくとも
50%は、異なるべきである(上記の例では、どちらか又は両方が、50%未満の無水ガ
ラクトースを有するべきである)。
(iii)両方、即ち成分A及びBは、その(平均)鎖長と構造に差があり、この実施
形態が好ましい。
【0023】
成分Aは、同じ炭水化物構造の、消化しにくい単糖から六糖までの中から選択すること
が好ましく、成分Bは、同じ炭水化物構造の七糖以上の多糖から選択することが好ましい
10
。よって炭水化物成分Aは、少なくとも1種の難消化性単糖又は少なくとも1種の難消化
性オリゴ糖からなる。オリゴ糖の場合、これは2個から6個までが含まれる単糖単位を含
むことが理解される。炭水化物成分Aは、前述の糖の2種以上により形成してもよく、ま
たそのようにすることが好ましい。したがって、そのような種類の、即ち同じ構造の、任
意の数の様々な単糖及び/又はオリゴ糖からなるものでよい。
【0024】
この好ましい実施形態によれば、炭水化物成分Bは、7個以上の単糖単位を含んだ少な
くとも1種の多糖からなる。多糖の場合、六糖から始まるものが理解される(例えば七糖
、八糖、九糖、十糖など)。多糖の鎖長には、特定の上限が無く、単糖単位が数百個又は
何千個にもなった長さのものでよい。しかし、100個を超える(約16kD)鎖長、特
20
に700個(約100kD)を超えるものは、本発明によればそれほど好ましくない。成
分Bは、100個を超える単糖単位を有する同族体を、5%よりも多く、又は2%以下で
含有しないことが好ましい。炭水化物成分Bは、そのような種類のたった1つの多糖、又
は好ましくは、そのような種類の、即ち同じ構造の、長さの異なる2種以上の多糖からな
るものでもよい。
【0025】
炭水化物成分Aは、炭水化物成分Aと炭水化物成分Bの合計(A+B=100重量%)
の95重量%までを占める。炭水化物成分Bは、炭水化物成分Aと炭水化物成分Bの合計
の、5から95重量%を占める。好ましい実施形態によれば、成分Aは、A+B=100
重量%である存在する炭水化物全体の、95から60重量%を構成し、より好ましくは9
30
5から80重量%を構成し、特に95から90重量%を構成し、成分Bは、5から40重
量%、より好ましくは5から20重量%、特に5から10重量%を構成する。
【0026】
本発明における可溶性炭水化物としては、L.Prosky他によるJ.Assoc.
Anal.Chem 71:1017−1023、1988に記載される方法によれば、
少なくとも50%が可溶性であるものが理解される。
【0027】
それによって、炭水化物成分A及びBの合計の、少なくとも80重量%の炭水化物又は
糖が、プレバイオティック効果を発揮する。炭水化物成分Aに属する炭水化物の少なくと
も80重量%と、炭水化物成分Bに属するものの少なくとも80重量%も、プレバイオテ
40
ィック効果を発揮することが好ましい。言い換えれば、炭水化物成分A及びBのうち少な
くとも80重量%の炭水化物又は糖のそれぞれは、消化されないように大腸に到達する(
したがって小腸で吸収されない)ことを目的とすることが好ましい。言い換えれば、胃腸
管内の炭水化物成分A及びBのこれら炭水化物又は糖は、胃にも小腸にも吸収されず且つ
消化もされず、したがって大腸に到達する。
【0028】
本発明による、プレバイオティックとして活性な炭水化物では、消化されずに大腸に到
達する(したがって小腸に吸収されない)炭水化物が理解され、これは腸内の細菌種の1
つ又はその限られた数のものの成長及び/又は活性を選択的に促し、その結果、健康を増
進させる。そのような炭水化物のこのプレバイオティック効果とその特定のメカニズムは
50
(10)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
、明らかな参照がなされ且つその開示を本明細書の文中に含める「G.F.Gibson
&M.B.Roberfroid、J.Nutr.1995;125:1401−141
2」に、記載されている。
【0029】
それに加えて、炭水化物成分A及びBの、プレバイオティックとして活性ではない炭水
化物又は糖の割合は、最大で20重量%に達する。これらの炭水化物又は糖は、実際に可
溶性であるが、消化されない形で排出することができるものを指す。これらの炭水化物は
、例えば大便の量をふやし、又は水の吸着を促すという点で、物理的な影響を及ぼすこと
ができる。
【0030】
10
食事又は医薬品中の炭水化物成分A及びBを決定する割合の評価では、以下のステップ
を実施する。第1の段階では、全ての可溶性炭水化物を、水を用いて生成物から抽出する
。この抽出物から、脂肪及びタンパク質を除去する。第2の段階では、可溶性炭水化物又
は抽出物をそれぞれ、ヒト酵素、例えばヒトアミラーゼやヒト膵液、又は小腸線毛縁製剤
を用いて消化する。難消化性炭水化物(この生体外実験で得られた生体内吸収性単糖を除
く)の収量は、2種の炭水化物成分A及びBを構成する。その80%は、プレバイオティ
ックとして活性であることが示唆される。
【0031】
したがって、本発明の製剤で使用される炭水化物混合物は、上述の意味で可溶性であり
消化されない炭水化物が、本明細書で特定した基準を満たし且つ炭水化物成分A及びBを
20
構成するものである。
【0032】
炭水化物成分Aは、例えば以下の炭水化物、即ちβ−ガラクト−オリゴ糖、α−ガラク
ト−オリゴ糖、フルクト−オリゴ糖、イヌロ−オリゴ糖、フコ−オリゴ糖、マンノ−オリ
ゴ糖、キシロ−オリゴ糖、シアリル−オリゴ糖、N−糖タンパクオリゴ糖、O−糖タンパ
クオリゴ糖、糖脂質オリゴ糖、セロ−オリゴ糖、キトサン−オリゴ糖、キチン−オリゴ糖
、ガラクツロノ−オリゴ糖、グルクロノ−オリゴ糖、β−グルカン(例えば1,3−)オ
リゴ糖、アラビノキシロ−オリゴ糖、アラビノガラクト−オリゴ糖、キシログルコ−オリ
ゴ糖、ガラクトマンノ−オリゴ糖、ラムノ−オリゴ糖、大豆オリゴ糖(スタキオース、ラ
フィノース、ベルバスコース)、及びラクト−N−ネオテトラオースの1種又は複数から
30
なるものでよく、或いは炭水化物成分Bは、例えば以下の炭水化物又は糖、即ちイヌリン
を含めたフルクタン(フルクトサン)、ガラクタン、フコイダン、アラビナン、キシラン
、キサンタン、β−グルカン、消化しにくいポリデキストロース、消化しにくいマルトデ
キストリン、ガラクツロナン、N−グリカン、O−グリカン、ヒアルロン酸、コンドロイ
チン、キシログルカン、アラビノガラクタン、アラビアガム、アルギネート、カラゲナン
、ガラクトマンナン、グルコマンナン、アラビノキシラン、糖脂質グリカン、糖タンパク
グリカン、プロテオグリカン、大豆多糖の1種又は複数から形成することができる。消化
性炭水化物は、成分A及びBの一部では無いことに留意されたい。したがって、グルコー
ス、フルクトース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、マルトース、及びマルトデ
キストリンは、例えばガラクト−多糖やフルクト−多糖(イヌリン)などの低級同族体で
40
ある場合であっても、これらの成分に含めて考えない。本発明の難消化性炭水化物は、原
則としてデンプン誘導体のように、α1,4及び/又はα1,6位に結合しているグルコ
ース単位を高い割合で含んでおらず、したがって炭水化物は消化性になる。しかし、ある
デンプンタイプの多糖及びマルトデキストリンは、物理的に又は酵素によって、難消化性
又は「耐性」にされ、そのようなオリゴ糖及び多糖は、十分可溶性である限り本発明に含
められる。
【0033】
オリゴ糖と多糖との選択的組合せ、即ちその結果として炭水化物成分A及びBが同時に
存在することにより、大腸内の健康増進微生物を活性化することができ、且つ/又は病原
微生物を、前記炭水化物成分の1種のみの場合に考えられるよりも本質的に高い効率によ
50
(11)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
って、抑制することができる。したがって、炭水化物の組合せを投与することにより、正
常な大腸内細菌叢の非常に素早い回復を実現することが可能であり、これを維持すること
が可能であり、又はストレス環境での腸内細菌叢の変化を予防的に防止することが可能で
あり、したがって、以前使用していた炭水化物の場合よりも効率的な方法で、大腸の細菌
コロニー形成に影響を及ぼすことが可能である。
【0034】
好ましい実施形態によれば、炭水化物成分A並びに炭水化物成分Bの少なくとも80重
量%は、ビフィズス菌産生性であり且つ/又は乳酸菌を増進させる炭水化物からなる。そ
のような前記性質を有するオリゴ糖と多糖との組合せにより、オリゴ糖又は多糖のいずれ
かのみの場合に考えられるよりも本質的に強力な方法で、乳酸菌の成長を驚くほど促進さ
10
せることができる。それによって、腸内に生来存在する乳酸菌が活性化するだけではなく
、外から導入された乳酸菌の成長も、任意選択で選択的な手法であっても促進する。
【0035】
有機酸(酢酸や乳酸など)や、pH効果、コロノザイトの刺激など、細菌そのもの及び
その代謝産物を介したこの間接的な動作の他に、蠕動運動や水分、大便の質、腸粘膜への
機械的動作など、直接的な物理作用にも同様に、ポジティブな影響を及ぼす。
【0036】
したがって、炭水化物混合物は、栄養効果だけではなく、広範な活性も決定する。上述
の生物学的効果の他に、下記の事項、即ち生来のミクロフローラの安定化、毒素やウイル
ス、細菌、真菌、形質転換細胞、及び寄生虫などの病原物質/生物が付着しないようにす
20
ること、毒素、ウイルス、細菌、真菌、及びその他の内在細胞を有する病原体の複合体の
分解、並びにそれらの身体からの排除、及び創傷治癒の加速も、本発明の混合物によって
実現することができる。
【0037】
したがってこの混合物は、例えば前述の物質及び生物が、上皮細胞又はその他の内在細
胞に結合し又はその細胞に付着する結果、支障をきたした腸内細菌叢と併せて生ずる症状
又は疾患の、予防及び/又は治療に適している。
【0038】
炭水化物混合物は、炭水化物成分Aが炭水化物成分Bとは異なる構造を有するときに、
特に効果的であることがわかった。この異なる構造は、例えば一方でフルクタンを使用し
30
、他方でガラクタンを使用する場合、例えば単糖組成物に関するものである可能性がある
。この異なる構造は、同様に、グリコシド結合に関する可能性もある(例えば、α−ガラ
クトオリゴ糖対β−ガラクトオリゴ糖、又はα−グルカン(デンプン)対β−グルカン(
セルロース))。モノマー組成物、並びにグリコシド結合は、化学的挙動(例えば溶解性
)又は生理学的挙動(例えば消化性)に影響を与える可能性がある。
【0039】
同じ構造の炭水化物は、鎖長が異なる可能性があるが同じ単糖単位又は単糖単位の組合
せからなる同族体であることが、理解される。一般に、隣の同族体は、前の同族体に存在
する単糖単位の1つを加えることによって、前の同族体とは異なることになる。それにも
関わらず、1つの単位、通常は末端にあるものは、例えばグルコース単位で終わる(無水
40
)フルクトース単位の鎖を含有するある特定のフルクタンのように、異なる可能性がある
。
【0040】
成分Bの多糖の鎖長、又は多糖混合物の場合の重量平均鎖長は、少なくとも3単位であ
ることが好ましく、成分Aのオリゴ糖の鎖長又はオリゴ糖混合物の重量平均鎖長よりも、
少なくとも5単位長いことが好ましい。オリゴ糖Aの平均鎖長は、2から6単位の間であ
り、多糖Bの平均鎖長は7から30単位の間であることが好ましく、8から20単位の間
であることがより好ましい。同じ構造のオリゴ糖と多糖が共に存在する場合、この構造の
炭水化物は、重量平均鎖長が6.5よりも短い場合に成分Aと見なし、7以上の鎖長を有
する個々のメンバーは成分Aに含めて考えず、一方、重量平均鎖長が6.5を超えた場合
50
(12)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
に成分Bと見なし、6以下の鎖長を有する個々のメンバーは、成分Bに含めて考えない。
別の構造の糖が存在しない状態で、同じ構造のオリゴ糖と多糖が共に存在する場合、7単
位の両端に2つの最大値があるべきであり、そうでない場合には、上述のように、2種の
異なる炭水化物成分の要件が満たされない。
【0041】
とりわけ混合物の中心は、その炭水化物中に見ることができる。異なるサイズ及び/又
は異なる「種類」又は「構造」の炭水化物の混合物を投与すると、個別の物質群A及びB
のプレバイオティック効果に対して相乗効果をもたらすことができる。
【0042】
成分Aの炭水化物は、1つの物質の種類にのみ属するものでよいが、いくつかの種類(
10
例えばA:ガラクト−オリゴ糖及びフコ−オリゴ糖)から形成することができ、一方、成
分Bの炭水化物は、同様に1つの物質の種類に由来するものでよく、いくつかの物質の種
類に由来するものでもよい(例えばB:イヌリン及びキシラン)。
【0043】
好ましい炭水化物混合物は、ガラクト−オリゴ糖とインリンからなる。特に効果的な混
合物は、炭水化物成分Aの少なくとも60重量%、好ましくは80から100重量%がガ
ラクト−オリゴ糖の群に属するものである。炭水化物成分Bの少なくとも60重量%、好
ましくは80から100重量%がフルクト−多糖の群に属する混合物も好ましい。炭水化
物混合物の生成では、現在知られており且つ食物又は食品の製造に特に使用される炭水化
物及び炭水化物混合物を、使用することができる。技術的な方法で予め変性させた原材料
20
を、使用することも可能である。それによって、混合物の調製を、対応して選択された炭
水化物又はオリゴ糖と多糖又は炭水化物混合物との単なるブレンドによって、引き続き行
うことができる。それによって、初期成分は、パラメータが完成された混合物に関係する
ように、互いに混合しなければならない。
【0044】
原材料を使用することができるので、貯蔵炭水化物(フルクタン、豆果からのガラクト
−オリゴ糖、フコイダン、α−グルカン、ラミナリン、カラゲナン、マンナン、ガラクト
マンナン、寒天)、天然ガム、糖タンパク質のN−グリコシド結合炭水化物、糖タンパク
質のO−グリコシド結合炭水化物、糖脂質のグリカン、酵素により調製された炭水化物(
ガラクト−オリゴ糖、グルコ−オリゴ糖、フルクト−オリゴ糖、キシロ−オリゴ糖)、細
30
菌性炭水化物(キサンタンなど)、並びにオリゴ糖(ガラクト−オリゴ糖、グルコ−オリ
ゴ糖(α1−2及びα1−3グルコース残基)、キシロ−オリゴ糖)、並びにセルロース
やヘミセルロース(アラビナン、ガラクタン)、ペクチン、及びキチンなどの骨格炭水化
物を使用することができる。これらの物質は、好ましくは食品級であるべきである(食品
中の複合炭水化物(Complex Carbohydrates in Foods)
、British Nutrition Foundation;Chapman&Ha
ll、London、1990参照)。
【0045】
原材料及び生成物の、加水分解酵素(例えばグリコシダーゼ、トランスグリコシダーゼ
、及びリパーゼ)、転移酵素、異性化酵素(例えば、アルドラーゼ、及びケトラーゼ)、
40
酸化還元酵素(例えばオキシダーゼ)、及び還元酵素(例えば、グルコースデヒドロゲナ
ーゼ)、脱離酵素(例えば、多糖リアーゼ)、及びリガーゼを用いて、原材料の酵素修飾
を実施することも可能である。さらに、原材料及び生成物の、技術的変性を行うことが可
能であり、即ち圧力(例えば押出し)、温度(例えばカラメル化)、有機合成、有機修飾
(例えば、カルボキシメチル化及びパーアセチル化)、酸及び/又はアルカリ加水分解、
及び分画(例えば、サイズ及び/又は物理化学的パラメータであって、電荷や疎水性など
による)、又は変性の組合せによって行うことが可能である。
【0046】
それによって炭水化物混合物は、本質的に、以下に列挙する単糖からなり、またその単
糖からなるオリゴ糖及び多糖からなる:即ち、D−グルコース、D−フルクトース、D−
50
(13)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
ガラクトース、D−マンノース、L−フコース、D−N−アセチルグルコサミン、D−N
−アセチルガラクトサミン、D−キシロース、L−ラムノース、D−アラビノース、D−
アロース、D−タロース、L−イドース、D−リボーズ、並びにカルボキシル基を含む単
糖であって、例えばD−ガラクツロン酸やD−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、及び/
又はこれらがメチル化した形のものであって、例えばN−アセチルノイラミン酸やN−グ
リコリルノイラミン酸、及び/又はこれらがO−アセチル化した形などである。さらに、
これらのモノマー及びそれをベースにした高級単位は、−OSO3 H基及び/又は−OP
O3 H基を用いて変性させることができる。
【0047】
本発明による難消化性炭水化物は、典型的な場合、1日量を0.5から30g、好まし
10
くは2から15g、より好ましくは3から9gとして投与する。製剤の、1つの好ましい
投与形態は、サプリメントである。サプリメントは、人工栄養保育され又は一部母乳で保
育される未熟児、及び人口栄養保育され又は一部母乳で保育される成熟児も含め、人工栄
養保育され又は一部母乳で保育される乳児に適している。
【0048】
製剤は、乳児栄養として使用してもよい。この場合、本発明の乳児栄養はさらに、消化
性炭水化物、脂質源、タンパク源、及びこれらの混合物から選択された1種又は複数の成
分を含む。
【0049】
3)その他の成分
20
炭水化物成分A及びBの他に、その他の炭水化物も同様に存在してよい。その中には、
1)上述のように消化性のある消化性炭水化物、及び2)吸収性/消化性があり、又は吸
収性/消化性も無い不溶性炭水化物がある。乳児栄養サプリメントに使用される、典型的
な不溶性の難消化性炭水化物は、大豆多糖であり、抵抗性デンプン、セルロース、及びヘ
ミセルロースであり、より好ましくは、この炭水化物は大豆多糖及び抵抗性デンプンから
選択される。
【0050】
乳児栄養サプリメントに使用される、典型的な可溶性及び消化性炭水化物は、マルトデ
キストリン、デンプン、ラクトース、マルトース、グルコース、フルクトース、及びスク
ロースと、その他の単糖及び二糖から選択され、より好ましくは、マルトデキストリン、
30
ラクトース、マルトース、グルコース、フルクトース、スクロース、及びこれらの混合物
から選択される。
【0051】
炭水化物成分A及びBの他に、1)及び2)の下で列挙されたこれらの炭水化物は、そ
れ自体が任意の量で存在することができ、どの場合も、所望の最終生成物に応じて様々に
なる。不溶性炭水化物は、炭水化物混合物の0から10重量%を構成することが好ましい
。
【0052】
乳児栄養サプリメント中に使用される、脂質源として使用される典型的な成分は、乳児
用調合乳での使用に適した任意の脂質又は脂肪でよい。好ましい脂質源には、乳脂肪、サ
40
フラワー油、卵黄脂質、カノーラ油、オリーブ油、ココナツ油、パーム油、パーム核油、
パームオレイン、大豆油、ヒマワリ油、魚油、及び長鎖ポリ不飽和脂肪酸を含有する微生
物発酵油が含まれる。これらの油は、高級オレインヒマワリ油や高級オレインサフラワー
油などの、高級オレイン形態をとることができる。脂質源は、パームオレインや中鎖トリ
グリセリド(MCT)、アラキドン酸やリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ドコ
サヘキサエン酸、リノレン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、カプ
ロン酸のような脂肪酸のエステルなど、これらの油から得られた画分の形をとってもよい
。
【0053】
未熟児用調合乳の場合、脂質源は、中鎖トリグリセリドを、好ましくはこの脂質源の1
50
(14)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
5重量%から35重量%の量で含有することが好ましい。
【0054】
脂質源は、n−6脂肪酸とn−3脂肪酸とのモル比が5:1から15:1、好ましくは
8:1から10:1であることが好ましい。
【0055】
存在する場合、脂質は、組成物の20重量%から40重量%のレベルで存在すること、
又は乳児用調合乳において0.8から1.5g/100kJとして存在することが好まし
い。
【0056】
本発明の栄養製品で利用することのできるタンパク質には、ヒトの消費に適した任意の
10
タンパク質又は窒素源が含まれる。乳児用調合乳に使用される適切なタンパク源の例には
、典型的な場合、カゼイン、乳清、脱脂練乳、脱脂乳、大豆、エンドウ豆、米、トウモロ
コシ、加水分解タンパク質、遊離アミノ酸、タンパク質と共にコロイド懸濁液中にカルシ
ウムを含有するタンパク源、及びこれらの混合物が含まれる。本明細書で使用するには、
タンパク質が加水分解物の形をとることが好ましく、それによって、上述のような乳児で
のアレルギーの危険性が低下する。商用のタンパク源は、容易に入手可能であり、当業者
に知られている。
【0057】
典型的な場合、ミルクをベースにした乳児用調合乳の加水分解物には、牛乳からの10
0%加水分解した乳清タンパク質が存在する。その他のミルクをベースにした乳児用調合
20
乳では、カゼイン/乳清の比が、典型的な場合は1.8:0.3∼3∼0である。
【0058】
存在する場合、タンパク源は、組成物の9重量%から19重量%のレベルで存在するこ
とが好ましい。乳児用調合乳として使用するときは、タンパク源が、0.45から1.0
g/100kJの量で存在することが好ましい。
【0059】
栄養的に完全な調合乳は、日々の食事に重要であると理解される全てのビタミン及びミ
ネラルを、栄養的に有意な量で含有することが好ましい。最低限の要件が、ある特定のビ
タミン及びミネラルに関して確立されている。乳児用調合乳中に任意選択で存在するミネ
ラル、ビタミン、及びその他の栄養素の例には、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB2
30
、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、
葉酸、イノシトール、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリン、カルシウム、リン
ヨウ素、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、塩化物、カリウム、ナトリウムセレン
、クロム、モリブデン、タウリン、及びL−カルニチンが含まれる。ミネラルは、通常、
塩の形で添加される。特定のミネラル及びその他のビタミンの、存在及び量は、目的とす
る乳児集団に応じて変わることになる。
【0060】
必要に応じて、乳児用調合乳は、大豆レシチンやクエン酸、モノグリセリド及びジグリ
セリドのエステルなど、乳化剤及び安定剤を含有することができる。これは、調合乳を液
体の形で提供する場合に特に準備される。
40
【0061】
乳児用調合乳は、(非炭水化物)繊維やラクトフェリン、免疫グロブリン、ヌクレオチ
ド、ヌクレオシドなど、有益な効果を発揮することができるその他の物質を、任意選択で
含有することができる。
【0062】
(適用例)
本発明による製剤は、人工栄養保育され又は一部母乳で保育される乳児、特に未熟児、
成熟児として生まれた赤ちゃん、並びに固形食物への適応期間にある乳児の胃腸管におい
て、「標準」と見なされる母乳で保育される乳児での種の分布に従って、ビフィズス菌集
団を正常化するのに特に有用であることがわかった。本発明の製剤は、母乳での保育から
50
(15)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
哺乳瓶での保育に変わる乳児にも適している。
【0063】
このように、人工栄養保育され又は一部母乳で保育される乳児の胃腸管で、ビフィドバ
クテリウム種を正常化する組成物を製造するために、本発明の製剤又は組成物の使用が提
供される。本発明の製剤は、免疫状態の予防又は治療に特に有用であることもわかった。
この免疫状態は、母乳で保育される乳児と比較した場合、これら人工栄養保育され又は一
部母乳で保育された乳児の胃腸管内のビフィドバクテリウム種の組成物が、異なる結果と
考えられる。典型的な場合、そのような免疫状態には、アレルギー、アトピー性皮膚炎、
湿疹、喘息、アトピー、アレルギー性鼻炎、食物過敏症、おむつかぶれ、下痢、及びこれ
らを混合したものから選択された状態が含まれる。
10
【0064】
したがって本発明は、好ましくはアレルギー、アトピー性皮膚炎、湿疹、喘息、及びお
むつかぶれから選択された、1つ又は複数の免疫状態を予防し又は治療するための、製剤
の使用を提供する。また、(細菌性)下痢、特にウイルス性下痢を、本発明の製剤で治療
することもできる。本明細書では、エネルギー吸収不良の予防及び/又は治療のための、
製剤の使用も提供する。製剤は、アレルギー病変部への好酸球、好中球、及び単核細胞の
浸潤を阻害し、且つ/又はTh2型免疫応答を阻害し、且つ/又はTh1媒介型免疫応答
を刺激するのに有益であることが見出されたことは、有利である。このように、アレルギ
ー病変部への好酸球、好中球、及び単核細胞の浸潤を阻害し、Th2型免疫応答を阻害し
、且つ/又はTh1媒介型免疫応答を刺激する組成物を製造するために、本明細書で定義
20
した本発明の製剤又は組成物の使用が提供される。
【0065】
また本発明は、B.ブレーベ以外のある特定のビフィドバクテリウム種の集団を調節す
るために、特にビフィドバクテリウムカテニュレイタム、B.シュードカテニュレイタム
、及び/又はB.アドレセンティスの相対量を低下させるために、上述の炭水化物混合物
の使用も提供する。
【0066】
(プローブの開発及び診断キット)
本明細書では、種特異的オリゴヌクレオチドプライム及びプローブを使用して、ビフィ
ドバクテリウム種、特にヒトに見られるもの、即ちビフィドバクテリウムカテニュレイタ
30
ム及びB.シュードカテニュレイタム、B.アドレセンティス、B.ブレーベ、B.ロン
ガム、B.ビフィダム、B.アンギュレイタム(B.angulatum)、B.インフ
ァンティス、及びB.デンティウムを定量する方法も提供する。
【0067】
これらのプライマー及びプローブは、FISH、PCR、DGGE、TGGE、ドット
ブロットハイブリダイゼーション、及びリアルタイムPCR法を介して、ビフィズス菌及
びビフィズス菌種を同定するのに使用することができる。これら技法の全てには、ヌクレ
オチドとのハイブリダイゼーションステップを含むという共通点がある。その目的は、特
に、リアルタイムPCRによってビフィズス菌の種の量を決定することである。
【0068】
40
以下に記述する配列のそれぞれは、プローブとして機能する限り、その5’−又は3’
−末端に結合した追加の塩基を有することができる。
【0069】
これらのオリゴヌクレオチドは、化学合成のための従来の手段によって、例えば自動化
DNA合成器によって調製することができる。上述の配列を含有するDNA断片は、対応
するビフィドバクテリウム種からの遺伝子の酵素切断によって調製することができる。
【0070】
本発明において、5’ヌクレアーゼアッセイで使用されるビフィズス菌種に特異的なプ
ライマー及びプローブの開発は、下記の通りであった。
【0071】
50
(16)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
全てのビフィズス菌に関して、ビフィドバクテリウムアドレセンティス、B.アンギュ
レイタム、B.ビフィダム、B.ブレーベ、B.カテニュレイタム、B.デンティウム、
B.ロンガム、及びB.インファンティスに対する二重5’ヌクレアーゼアッセイを開発
した。本発明者等は、通常なら系統発生分析及び細菌の特異的検出に使用される16S rDNA遺伝子の代わりに16S−23S rDNAの遺伝子間スペーサに対する5’ヌ
クレアーゼアッセイを開発した。遺伝子間スペーサに何を選択するかは、16S rDN
Aを使用する場合、汚染及び感受性の問題がリアルタイムPCRに関して記述されるとい
う事実に大きく左右される。さらに、異なるビフィドバクテリウム種の16S rDNA
配列間の大きな類似性が示されており(Leblond−Bourget他、1996)
、これは、異なるビフィドバクテリウム種に特異的なプライマーとプローブとのセットの
10
開発を、ほとんど不可能にする。驚くべきことに、これらの問題は、遺伝子間スペーサ領
域を使用することによって回避することができた。
【0072】
プライマー及びプローブの開発では、異なるビフィドバクテリウム種の16S−23S
遺伝子間スペーサ領域の異なる配列(B.アドレセンティス[U09511 U0951
2(1)、U09513(1)及びU09514(1)]
09515(1)]
a
9516(1)]
、B.アンギュレイタム[U
、B.アニマリス[AY225132(2)、L36967(1)
及びU09858(1)]
a
a
a
、B.アステロイデス(B.asteroides)[U0
、B.ブレーベ[AJ245850(3)、U09518(1)、U
09519(1)、U09520(1)及びU09521(1)]
U09517(1)、U09831(1)]
1)]
a
a
a
、B.ビフィダム[
、B.カテニュレイタム[U09522(
、B.コエリナム(B.choerinum)[L36968(1)]
コリネフォルメ(B.coryneforme)[U09523(1)]
リ(B.cuniculi)[U09790(1)]
4(1)]
a
20
a
a
a
、B.
、B.クニク
、B.デンティウム[U1043
、B.インディカム(B.indicum)[U09791(1)]
a
、B
.インファンティス[AJ245851(3)、U09525(1)、U09527(1
)、及びU09792(1)]
2(1)]
a
1)]
]
a
、B.ロンガム[AJ245849(3)、U0983
、B.シュードロンガム(B.pseudolongum)[U09524
(1)、U09879(1)]
a
a
a
、B.マグナム(B.magnum)[U09878(
、B.サーモフィラム(B.thermophilum)[U09528(1)
30
)を、Genbank、EMBL、及びDDBJデータベースから検索した。検索し
た全ての配列について、DNASIS for Windows(登録商標)V2.5(
Hitachi Software Engineering Co.,Ltd.,We
mbley,UK)を使用して位置合わせを行った(
a
=受入れコード、1=Leblo
nd−Bourget,N.,H.Philippe,I.Mangin,B.Deca
ris.1996.16S rRNA及び16Sから23Sの内部転写スペーサ配列分析
は、種間及び種内ビフィズス菌系統発生を明らかにする。Int.J.Syst.Bac
teriol.46:102−111、2=Ventura,M.,及びR.Zink.
2002。「ビフィドバクテリウムラクティスの、迅速な同定、分化、及び提案された新
しい分類学的分類(Rapid identification,differenti
40
ation,and proposed new taxonomic classif
ication of Bifidobacterium lactis)」、Appl
.Environ.Microbiol.68:6429−6434.、3=Brigi
di,P.,B.Vitali,E.Swennen,L.Altomare,M.Ro
ssi及びD.Matteruzzi.2000「ポリメラーゼ連鎖反応による薬用プロ
バイオティック製品及びヒトの便の中のビフィズス菌株の特異的検出(Specific
detection of Bifidobacterium strains in
a pharmaceutical probiotic product and in human feces by polymerase chain react
ion)」Syst.Appl.Microbiol.23:391−399)。これら
50
(17)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
配列の保存領域全体を使用して、全てのビフィズス菌種に対するプライマー及びプローブ
を設計した。異なる種類の亜種の配列中の保存領域は、その他の種との類似性をほんのわ
ずかしか示さないものであり、これを使用して、B.アドレセンティス、B.アンギュレ
イタム、B.ブレーベ、B.ビフィダム、B.カテニュレイタム(B.シュードカテニュ
レイタムを含む)、B.デンティウム、B.インファンティス、及びB.ロンガム(B.
シュードロンガムを含むが、これら2つの種の間には、その配列に大きな類似性があるか
らである)のそれぞれに対するプライマー及びプローブを設計した。
【0073】
プライマー及びTaqMan(登録商標)MGBプローブを、Primer Expr
ess 1.5a(Applied Biosystems,Nieuwerkerk 10
a/d IJssel,NL)の助けを借りて設計した。本発明者等は、以下の基準を適
用した:プローブ及びプライマーは、GC含量を30∼80%であるとし、同一のヌクレ
オチド(特にグアニン(G)に関する)が3個よりも多く続くことを避けるものとする。
プローブの融解温度(Tm)は68℃から70℃の間であるとするのに対し、プライマー
の融解温度は、プローブの融解温度よりも10℃低いものとする。さらに、プローブの5
’末端にはGが存在しないものとし、Gよりもシトシン(C)を多く含む鎖を選択した。
プライマーの3’末端の最後の5個のヌクレオチドは、2個以下のG及び/又はC塩基を
有するものとする。最後に、単位複製配列の長さは、150塩基対未満とする。設計され
たプライマー及びTaqMan(登録商標)MGBプローブを表1に示し、これらの特異
性について、Basic Local Alignment Search Tool(
20
BLAST)を使用して試験した。
【0074】
全てのビフィズス菌の検出用に設計されたプローブは、5’レポーター色素VIC(商
標)(Applied Biosystems,NL)及び3’クエンチャーNFQ−M
GB(商標)(Applied Biosystems,NL)を有するオリゴヌクレオ
チドからなり、異なるビフィドバクテリウム種に対するプローブは、5’レポーター色素
6−カルボキシ−フルオレセイン(FAM(商標))及び3’クエンチャーNFQ−MG
B(商標)(Applied Biosystems,NL)を有するオリゴヌクレオチ
ドからなる。全細菌負荷を決定するには、広域(ユニバーサル)なプローブとプライマー
とのセットを使用するが、これについては、Nadkarni,M.A.,F.E.Ma
30
rtin,N.A.Jacques,及びN.Hunterの「広域(ユニバーサル)な
プローブとプライマーとのセットを使用したリアルタイムPCRによる細菌負荷の決定(
Determination of bacterial load by real−
time PCR using a broad−range(universal)p
robe and primer set)」、Microbiology 148:2
57−266(2002)に記述されている。ユニバーサルプローブは、5’レポーター
色素6−カルボキシ−フルオレセイン(FAM(商標))及び3’クエンチャー色素6−
カルボキシ−テトラメチル−ローダミン(TAMRA(商標))を有するオリゴヌクレオ
チドからなる。設計されたプローブを、表1に示す。
【0075】
40
(18)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
【表1−1】
10
20
30
40
(19)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
【表1−2】
10
20
30
【0076】
a
これらの場合、適切なプライマーとプローブとのセットを見出す指針に適合するよう
に、いくらか調節を行った(3個を超えて連続するヌクレオチド、又は150bpよりも
長い単位複製配列)。
【0077】
標識された製剤は、従来の手段によって、検出可能なマーカーでオリゴヌクレオチドを
標識することにより調製した。使用することができる標識マーカーには、放射性同位元素
、蛍光物質、酵素、ビオチン、及びヘプテンが含まれる。
40
【0078】
標識された製剤とサンプルとのハイブリダイゼーションは、ドットブロットハイブリダ
イゼーションやノーザンハイブリダイゼーションなど、既知の技法に従って行うことがで
きる。形成されるハイブリッドは、例えば放射性同位元素を使用するオートラジオグラフ
ィや、酵素又はビオチンを使用する酵素標識抗体技法などの既知の手段によって、標識さ
れた製剤を検出することにより確認することができる。
【0079】
さらに、これらのオリゴヌクレオチドの中で、配列番号1、配列番号2、配列番号4、
配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配
列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号22
50
(20)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
、配列番号23、配列番号25、配列番号26からそれぞれ選択された配列番号によって
表されるDNA断片を、種の同定を行うためのPCR法でのプライマーとして使用するこ
とができる。より具体的には、同定すべき微生物細胞を溶菌させ、配列番号1、配列番号
4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列番号
22、配列番号25からそれぞれ選択された配列番号と、配列番号2、配列番号5、配列
番号8、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配
列番号26からそれぞれ選択された配列番号とのDNA断片のいずれかを、プライマーと
してそこに加え、その後、DNAポリメラーゼで処理する。電気泳動などによってDNA
増幅が観察される場合、これは細胞が、使用したDNA断片に対応する遺伝子部分を有す
ることを意味し、即ち細胞は、DNA断片プライマーの開始点と同じ種のものであること
10
が確認される。
【0080】
したがって、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番
号8、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列
番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号22、配列番号23、配列番号25、
配列番号26から選択された配列番号と、これに相補的な配列とを含むオリゴヌクレオチ
ドが提供される。
【0081】
また本明細書では、ビフィドバクテリウム属の種に特有の核酸標的配列を検出するため
の、オリゴヌクレオチドプローブも提供され、前記プローブは、
20
1)配列番号3又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムアド
レセンティスDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
2)配列番号6又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムアン
ギュレイタムDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
3)配列番号9又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムビフ
ダムDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
4)配列番号12又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムブ
レーベDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
5)配列番号15又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムカ
テニュレイタムDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
30
6)配列番号18又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムデ
ンティウムDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
7)配列番号21又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムイ
ンファンティスDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
8)配列番号24又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムロ
ンガムDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
9)配列番号27又はこれに相補的な配列によって表される、全てのビフィズス菌DN
Aに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド
から選択される。
【0082】
40
さらに本明細書では、ヒト、特にヒト乳児に見られるビフィドバクテリウム属の種を、
種特異的に検出する方法が提供され、この方法は、
(A)サンプルとオリゴヌクレオチドプローブとをハイブリダイズ溶液中で接触させる
ステップであって、前記プローブが、
1)配列番号3又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムアド
レセンティスDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
2)配列番号6又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムアン
ギュレイタムDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
3)配列番号9又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムビフ
ィダムDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
50
(21)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
4)配列番号12又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムブ
レーベDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
5)配列番号15又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムカ
テニュレイタムDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
6)配列番号18又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムデ
ンティウムDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
7)配列番号21又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムイ
ンファンティスDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
8)配列番号24又はこれに相補的な配列によって表される、ビフィドバクテリウムロ
ンガムDNAに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド、
10
9)配列番号27又はこれに相補的な配列によって表される、全てのビフィズス菌DN
Aに特異的にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチド
からなる群から選択されるものであるステップと、
(B)前記属の前記種が前記サンプル中に存在するか否か検出されるように、前記プロ
ーブが前記サンプル中の核酸とハイブリダイズするか否かを決定するステップと
を含む。
【0083】
本発明は、ヒト、特にヒト乳児に見られるビフィドバクテリウム属の種を、種特異的に
検出する方法であって、
a)配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号1
20
6、配列番号19、配列番号22、配列番号25から選択された配列番号のオリゴヌクレ
オチドプライマーを、それぞれ配列番号2、配列番号5、配列番号8、配列番号11、配
列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号26から選択された
配列番号のオリゴヌクレオチドプライマーと共に含むプライマーのセットを使用して、核
酸配列増幅手順を実施するステップと、
b)上述のオリゴヌクレオチドプローブが核酸標的配列とハイブリダイズするか否かを
決定するステップと
を含む方法も包含する。
【0084】
本発明の方法は、診断キットの製造に有利である。したがって本明細書では、少なくと
30
も上述のDNAプローブ、並びに変性液やハイブリダイゼーション液、洗浄液、固体担体
、ハイブリダイゼーション容器、及び標識検出手段などのハイブリダイゼーション分析に
必要な1種又は複数の他の手段を含み、ハイブリダイゼーション分析を用いてビフィドバ
クテリウムアドレセンティス、B.アンギュレイタム、B.ビフィダム、B.ブレーベ、
B.カテニュレイタム、B.デンティウム、B.インファンティス、及びB.ロンガムか
ら選択されたビフィドバクテリウム種をサンプル中で検出するための、診断キットが提供
される。
【0085】
また本明細書では、上述のDNAプライマー、並びにPCR分析に必要な1種又は複数
の手段であって、例えばポリメラーゼや重合液、オイルオーバーレイ、反応容器、及び増
幅DNAを検出する手段などのセットを含み、PCR分析を用いて上述のビフィドバクテ
リウム種をサンプル中で検出するための、診断キットも提供する。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
ビフィズス菌用に開発されたプローブ及びプライマーの確認
種々のビフィドバクテリウム種の相対量に関するアッセイを、確認するのに使用される
細菌株を、表2に列挙する。
【0087】
40
(22)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
【表2】
10
20
30
40
【0088】
ATCC:米国微生物系統保存機関(American Type Culture Collection);DSM:ドイツ微生物培養細胞コレクションセンター(Deu
tsche Sammlung von Mikroorganismen und Z
ellkulturen)、ドイツ;LMG:微生物学研究室(Laboratory for Microbiology)、ヘント大学(University of Ge
nt)、ベルギー;NCIMB:英国菌株保存機関(National Collect
ions of Industrial and Marine Bacteria)、
50
(23)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
英国。
【0089】
全てのビフィズス菌株を、37℃のMann Rogosa Sharp(MRS)ブ
ロス(Oxoid、Basingstoke、英国)培地中で24時間、嫌気性条件下で
培養した。オーバーナイト培養物を、さら処理するまで−20℃で保存した。
【0090】
5mlの凍結させたオーバーナイト培養物を氷水中で解凍することにより、DNAを細
菌培養物から抽出した。その後、培養物を、4000rpmで20分間、4℃で遠心分離
して(Sorvall RT7、Du Pont、Stevenage、英国)、細菌細
胞をペレット化した。ペレットを、1mlのTES(50mM Tris−HCl[pH
10
8.0]、5mM EDTA、50mM NaCl)で洗浄し、その後、4000rpm
で10分間、4℃で遠心分離した。上澄みを除去し、ペレットを、THMS(30mM Tris−HCl[pH8.0]、3mM MgCl2 、25%(w/v)スクロース)
1ml中に再懸濁した。この懸濁液を、2mlのエッペンドルフチューブに移した後、2
00μlのリゾチーム(0.1g/ml;Sigma Aldrich Chemie、
Steinheim、DE)及び40μlのムタノリシン(1mg/ml;Sigma Aldrich Chemie、DE)を添加し、37℃で30分間インキュベートした
。引き続き、溶液を、10000rpmで5分間、4℃で遠心分離した(Sigma 1
−15、Sigma Laborzentrifugen GmbH、Osterode
am Harz、DE)。上澄みを除去し、ペレットを、100μlのTHMS中に再
20
懸濁し、そこに、400μlのTES(0.5%のSDSを含む)及びプロテイナーゼK
(20mg/ml;Boehringer Mannheim GmbH、Mannhe
im、DE)7.5μlを添加した。この混合物を撹拌し、65℃で30分間インキュベ
ートした。引き続き、標準フェノール/クロロホルム抽出を行い、その後、2.5μlの
RNase A(1mg/ml;Roche Diagnostics、Mannhei
m、DE)で、37℃で30分間処理した。引き続き、2体積の氷冷エタノール(96%
)及び3Mの酢酸ナトリウム(pH5.2)0.1体積を添加した後に、少なくとも30
分間、−20℃で保存することによって、DNAを沈殿させた。沈殿した溶液を、130
00rpmで20分間、4℃で遠心分離し、その上澄みを、500μlの70%エタノー
ルで洗浄し、その後、13000rpmで5分間、4℃で遠心分離した。上澄みを廃棄し
30
、ペレットを室温で空気乾燥した。DNAを、100μlの滅菌milli−Q(登録商
標)中に再懸濁し、−20℃で保存した。
【0091】
第1に、各二重5’ヌクレアーゼアッセイの特異性について、種々の株(表2参照)の
25μl増幅を行うことによって試験した。これらの25μl PCR反応を、2.5μ
lのDNAテンプレート、12.5μlのTaqMan(登録商標)Universal
Mater Mix(Applied Biosystems)、各プライマー900
nM、及び各プローブ200nMを使用して実施し、その後、TaqMan(登録商標)
Universal Temperature Profile、即ち50℃で2分、9
5℃で10分経た後に、95℃で15秒、60℃で1分間の45サイクルからなるプロフ
40
ィルを、ABI Prism 7700(Applied Biosystems、Ni
euwerkerk a/d IJssel、NL)上で実行した。そのために開発され
た5’ヌクレアーゼのアッセイの全ては、ビフィドバクテリウム種に特異的であり、ビフ
ィズス菌の総量を決定するための5’ヌクレアーゼアッセイは、プロピオン酸菌(Pro
pionibacterium)又は乳酸杆菌などの株以外の、試験をした全てのビフィ
ドバクテリウム種を検出した。B.カテニュレイタムに関する5’ヌクレアーゼアッセイ
も、B.シュードカテニュレイタムを検出することに留意すべきである。さらに、DNA
se及びRNAseで処理したサンプルについて試験をし、汚染されたRNAがアッセイ
中に検出されないことを確かめた。
【0092】
50
(24)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
第2に、B.アドレセンティス、B.アンギュレイタム、B.ブレーベ、B.ビフィダ
ム、B.カテニュレイタム、B.デンティウム、B.インファンティス、及びB.ロンガ
ムからの個体培養混合物を調製して、この混合物全体が確実に約100%になるようにし
た。この場合、テンプレートとしての役割を果たす種々のビフィドバクテリウム種同士の
競合は、除外することができる。これは確かに、図1からわかるように、混合物中の各ビ
フィドバクテリウム種について決定された量、並びに混合物中のビフィドバクテリウム種
の総量を示すケースである。
【0093】
異なる種類の5’ヌクレアーゼアッセイに関する再現性及び反復性に関するCV値を決
定し、これらを表3に見ることができる。
10
【0094】
【表3】
20
30
【0095】
a
5’ヌクレアーゼアッセイが、「従来の」PCRよりも感受性を有する回数。
b
再現性は、個体培養物(100%)10個について試験を行い、得られた結果に基づ
いてCV(%)を計算することによって決定する。
c
反復性は、個体培養物(100%)4個についてそれぞれ3回試験を行い、得られた
結果に基づいてCV(%)を計算することによって決定する。
【0096】
開発された5’ヌクレアーゼアッセイを、従来の定性種特異的PCR(Matsuki
,T.,K.Watanabe,R.Tanaka,M.Fukuda,及びH.Oya
izu.1999.16S rRNA−遺伝子−標的種特異的プライマーで試験をしたヒ
40
ト腸管微生物叢におけるビフィドバクテリウム種の分布(Distribution o
f bifidobacterial species in human intes
tinal microflora examined with 16S rRNA−
gene−targeted species−specific primers).
Appl.Environ.Microbiol.65:4506−4512)によって
記述されるプライマーを使用する)と比較して、種々のアッセイの感受性を決定すると共
に、偽陽性結果であるか又は偽陰性結果であるかチェックした。表3は、従来の種特異的
PCRに対し、5’ヌクレアーゼアッセイが異なる感受性であることを示す。表4は、二
重5’ヌクレアーゼアッセイで使用される、最終の最適なプライマー及びプローブ濃度を
示す。
50
(25)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
【0097】
【表4】
10
20
30
【0098】
(実施例2)
臨床試験
この研究は、2つの介入群に関する二重盲検プラセボ対照多施設治験であった。生後2
8日から90日の、完全に調合乳で保育した乳児を、ドイツの4カ所の病院から採用した
。乳児を、その出生時体重が2600gから4500gの間にある場合には研究に組み入
れ、少なくとも4週間完全に調合乳で保育し、その後、介入期間を開始した。先天性異常
のある乳児、或いは牛乳アレルギーが確認され又は疑われる乳児、多子出産によって生ま
れた乳児、この研究の開始前に抗生物質を2週間未満与えた乳児、及びこの研究の開始前
に任意のプロバイオティック又はプレバイオティック調合乳で1カ月未満保育された乳児
は、この研究から除外した。登録後、乳児を無作為に、2つの治療群の一方に、即ち0.
8g/100mlのガラクト−オリゴ糖及びフルクト−多糖が補われた乳児用調合乳を与
えた群(GFSF群)と、標準的な乳児用調合乳を与えた群(SF群)との一方に割り当
てた。この調合乳の多量養素組成を、表5に示す。
【0099】
40
(26)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
【表5】
10
20
【0100】
母乳で保育した乳児の群は、参照群(BF群)として組み入れた。研究期間の開始後3
日以内、4週間後、及び研究期間の終了時(6週間)に、便のサンプルを収集した。この
研究は、4つの病院の医学倫理委員会により承認済みであった。説明承諾書は、研究開始
前に両親から得た。
【0101】
便のサンプルを氷水中で解凍することによって、核酸を便から単離し、その後、PBS
(0.37M NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2 HPO4 [pH7.
4])中に10×(w/v)希釈し、ストマッカー(IUL Instruments,
Barcelona,スペイン)を使用して10分間均質化した。均質化した便を、実際
30
のDNA単離前に、−20℃で保存した。抽出は、均質化した便のサンプル1mlを氷水
中で解凍することによって開始し、その後、1100rpmで1分間遠心分離して、細片
及び大きい粒子を除去した。上澄みを新しい試験管に移し、10000rpmで5分間遠
心分離した。引き続き、ペレットを、1mlのTN150(10mM Tris−HCl
[pH8.0]、10mM EDTA)に再懸濁し、0.3gのジルコニウムビーズ(直
径0.1mm、BioSpec Products、Bartlesville、US)
が入っている滅菌した試験管内に移した。これらの懸濁液に、TE緩衝フェノール(pH
±7.5)150μlを添加し、サンプルを、5000rpmで3分間、ミニビーズビー
ター(BioSpec Products、Bartlesville、US)に入れた
。ビーズによる叩出しの後、サンプルを即座に氷上で冷却し、その後、150μlのクロ
40
ロホルムを添加した。サンプルを短時間撹拌し、10000rpmで5分間遠心分離し、
上相を、清浄な2mlのエッペンドルフ管に移し、フェノール/クロロホルム抽出を開始
した。フェノール−クロロホルム抽出の後、1mlの氷冷エタノール(96%)及び50
μlの3M 酢酸ナトリウム(pH5.2)を添加した後に、サンプルを−20℃で少な
くとも30分間置くことにより、DNAの沈殿を行った。引き続いてこのサンプルを、1
3000rpmで20分間遠心分離し、500μlの70%エタノールで洗浄した。13
000rpmで5分間遠心分離した後、上澄みを廃棄し、ペレットを室温で空気乾燥した
。DNAを、100μlの滅菌milli−Q(登録商標)に再懸濁し、−20℃で保存
した。
【0102】
50
(27)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
便のサンプル中の、種々のビフィドバクテリウム種の相対的な定量を行うため、二重5
’ヌクレアーゼアッセイを使用する。それぞれの種の相対量は、Liu他、2002に従
って計算する。簡単に言うと、各増幅曲線の効率は、式E=(閾値A /閾値B )
, A − C t , B )
− ( C t
−1によって別々に計算した。計算された効率の助けを借りて、DNA
の初期量(R0 )を、R0 =閾値/(1+E)
C t
によって計算する。次いでビフィドバ
クテリウム種のDNAの初期量を、全てのビフィドバクテリウム種のDNAの初期量で割
ることができる。その後、得られた比を、100%に設定された個体培養の比の助けを借
りて正規化する。
【0103】
ビフィズス菌の総量も、初めに述べたようにFISHの助けを借りて決定した(Lan
10
gendijk,F.Schut,G.J.Jansen,G.C.Raangs,G.
R.Kamphuis,M.H.Wilkinson及びG.W.Welling「属特
異的16S rRNA標的プローブによるビフィドバクテリウム種の定量蛍光in si
tuハイブリダイゼーション、及びその便サンプルへの適用(Quantitative
fluorescence in situ hybridisation of B
ifidobacterium spp.with genus−specific 1
6S rRNA−targeted probes and its applicat
ion in fecal samples)」Appl.Environ.Micro
biol.61(8):3069−75(1995))。
【0104】
20
全細菌のパーセンテージとしてのビフィドバクテリウム属のパーセンテージは、BF、
SF、及びGFSF群でそれぞれ75、47、及び68%であり、これは、難消化性炭水
化物の混合物で保育されたGFSF群が、SF群の場合よりも、BF群の場合と同様によ
り多くのビフィズス菌性叢を有することを実証している。
【0105】
表6に、研究開始時並びに研究終了時での、種々の群におけるそれぞれの種の蔓延率を
示す。表7には、ビフィズス菌の総量に対するビフィドバクテリア種のパーセンテージを
示す。
【0106】
【表6】
30
【0107】
40
(28)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
【表7】
10
20
【0108】
多種類のビフィドバクテリウム種が、3つの異なる群に存在する。さらに、標準調合乳
を与えた乳児とは対照的に、母乳で保育された乳児とGFSFを与えた乳児とに、B.ア
ドレセンティスの蔓延率及び量の著しい低下が見られる。保育から6週間後、B.アドレ
センティスの蔓延率及びパーセンテージは、GFSF又は母乳で保育した赤ちゃんの場合
よりも、SFで保育した赤ちゃんの場合のほうが非常に高い。GFSF乳児の便サンプル
の分析は、母乳で保育した乳児と同様の多種類のビフィズス菌叢を示しており、1種のみ
又は2∼3種の刺激は観察されない。B.アドレセンティスに対する影響の他、母乳で保
育した乳児及びGFSFを与えた乳児のプロフィルは、標準調合乳を与えた乳児のプロフ
ィルよりも少ないB.カテニュレイタム(+B.シュードカテニュレイタム)であること
30
も示した。B.インファンティス及びB.ロンガムは、母乳で保育された乳児、並びに標
準調合乳(SF)又はプレバイオティックス(GFSF)が補われた標準調合乳を与えた
乳児において、大部分を占めるようである。また、B.ブレーベは、3つの群全てで優勢
であるが、母乳を与えた群では、全ビフィズス菌の%としてのB.ブレーベが、SF(4
.9%)群及びGFSF(5.4%)群の場合よりも高かった。
【0109】
(実施例3)
アレルギーに関する動物実験
特定の病原体を持たないオスBALB/cマウスを、Charles River(M
aastricht、オランダ)から得た。食品及び水を随意に与え、そのマウスが6∼
40
9週齢になったときに使用した。全ての実験は、ユトレヒト大学(オランダ)の動物倫理
委員会により承認済みであった。
【0110】
卵白アルブミン(グレードV)及び塩化アセチル−β−メチルコリン(メタコリン)を
、Sigma Chemical Co.(St.Louis、MO、USA)から購入
した。水酸化アルミニウム(AlumImject)は、Pierce(Rockfor
d、IL、USA)から購入した。
【0111】
マウスを、第0日と第7日目に、2回の腹腔内注射により、100μlの生理食塩水中
2.25mgの水酸化アルミニウムに吸着させた10μgの卵白アルブミンで、又は生理
50
(29)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
食塩水単独で感作した。マウスに対し、第35日、38日、及び41日目に、プレキシグ
ラス曝露チャンバ内で卵白アルブミンエアロゾルの吸入を20分間行った。エアロゾルは
、Pari LC Starネブライザ(Pari respiratory Equi
pment、Richmond、VA、USA)を使用して、生理食塩水に溶かした卵白
溶液(10mg/ml)を噴霧することによって生成した。
【0112】
マウスを、1×10e9(CFU)のビフィドバクテリウムブレーベと、ガラクトオリ
ゴ糖及びフルクト多糖の混合物(9:1)25mgとで、胃管栄養法(0.2mlの生理
食塩水)により経口的に、第28日目から実験終了時(即ち第42日目)まで毎日処理し
た。対照として、0.2mlの生理食塩水を、胃管栄養法によって投与した。
10
【0113】
吸入された噴霧化メタコリンに対する気道応答性を、全身プレチスモグラフィ(BUX
CO、EMKA、Paris、フランス)を使用して、意識のある抑制されていないマウ
スに最終エアロゾル曝露を行った後24時間で決定した。気道応答は、呼吸抵抗指数(P
enH)として表した。
【0114】
統計分析:メタコリンに対する気道応答曲線を、一般線形モデル又は反復測定によって
統計的に分析し、その後、群同士の事後比較を行った。細胞計数を、Mann−Whit
ney U検定を使用して統計的に分析した(Siegel,S.,Castellan
Jr.N J,1998「行動科学に関するノンパラメトリック統計(Nonpara
20
metric statistics for the behavioural sc
iences)」第2版、McGraw Hill Book Company、New
York、USA)。全てのその他の分析は、ステューデントt検定を使用して行った
(Abramowitz,M.,Stegum,I.A.,1972、「数学関数の手引
き(Handbook of mathematical functions)Dov
er publications,Inc.New York,USA」。確率の値がp
<0.05であるときに、統計的に有意であると見なした。
【0115】
気道応答性亢進に関する結果:気道応答性亢進に関する測定値は、対照に比べ、B.ブ
レーベ+ガラクロオリゴ糖及びフルクト多糖の混合物を与えたマウスのほうが、統計的に
30
低下した気道応答性亢進を示すことを示しており、これは喘息反応が低下したことを示す
ものである。
【0116】
図2では、B.Breve+GOS/FOSの混合物の組合せを与えたマウスと、代わ
りに生理食塩水を与えたマウスの対照群とに関し、その気道応答性亢進を、メタコリン濃
度に対する相対PenH(呼吸抵抗指数)としてプロットする。プロットされた相対Pe
nHの値は、卵白アルブミンで感作されていないマウスに関して得られたブランク値を差
し引き、メタコリンが最高濃度であるときに、対照群に関して得られた値に正規化した後
に得られた。
【0117】
40
下記の全ての実施例の組成物はさらに、当技術分野で知られているように、且つ国際的
指針に従って、ミネラル、微量の元素、及びビタミン、コリン、タウリン、カルニチン、
及び/又はミオイノシトール、或いはこれらの混合物を含有することができる。さらに、
有機酸、香料、及び/又は着色剤を含んでも含まなくてもよい。
【0118】
(実施例4)
最終製品100ml当たり(粉末13.1g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合
乳
8エネルギー%タンパク質 1.4g(カゼイン乳清混合物)
45エネルギー%消化性炭水化物 7.5g
50
(30)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
47エネルギー%脂肪 3.5g
GOS(90%ガラクト−オリゴ糖、Borculo Domo NL)/ポリフルク
トース(10%イヌリン、Raftilin HP、Orafti BE) 0.4g
B.ブレーベ:1.3×10
8
cfu
【0119】
(実施例5)
最終製品100ml当たり(粉末14g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合乳
10エネルギー%タンパク質 1.8g(カゼイン乳清混合物)
46エネルギー%消化性炭水化物 8.0g
44エネルギー%脂肪 3.4g
10
GOS/ポリフルクトース(実施例4参照) 0.4g
B.ブレーベ 1.4×10
8
cfu
【0120】
(実施例6)
最終製品100ml当たり(粉末16.1g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合
乳
10エネルギー%タンパク質 1.9g(カゼイン乳清混合物)
51エネルギー%消化性炭水化物 9.9g
39エネルギー%脂肪 3.3g
FOS(Raftilin、Orafti)/ガラクトマンナン 9/1 0.4g
B.ブレーベ 1.6×10
8
20
cfu
【0121】
(実施例7)
最終製品100ml当たり(粉末13g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合乳
10エネルギー%タンパク質当量 1.6g(加水分解した乳清タンパク質)
42エネルギー%消化性炭水化物 7.1g
48エネルギー%脂肪 3.6g
シアリルオリゴ糖、消化性マルトデキストリン 9/1 0.4g
B.ブレーベ 6.5×10
8
cfu/g
【0122】
30
(実施例8)
最終製品100ml当たり(粉末15g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合乳
10エネルギー%タンパク質当量 1.8g(加水分解した乳清タンパク質)
42エネルギー%消化性炭水化物 8.6g
44エネルギー%脂肪 3.6g
フコ−オリゴ糖(藻類フコイダンから)、ガラクトマンナン 8/2 0.4g
B.ブレーベ 7.5×10
8
cfu
【0123】
(実施例9)
最終製品100ml当たり(粉末15.1g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合
40
乳
10エネルギー%タンパク質当量 1.8g(加水分解した乳清タンパク質)
42エネルギー%消化性炭水化物 8.6g
44エネルギー%脂肪 3.6g
マンノ−オリゴ糖、アラビノガラクタン 9/1 0.4g
B.ブレーベ 1.5×10
8
cfu
【0124】
(実施例10)
最終製品100ml当たり(粉末15.2g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合
乳
50
(31)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
10エネルギー%タンパク質 1.7g(加水分解した乳清タンパク質)
48エネルギー%消化性炭水化物 8.4g
42エネルギー%脂肪 3.3g
GOS/ガラクトルオン酸オリゴ−糖//ポリフルクトース 7/2/1 1.0g
B.ブレーベ 7.5×10
8
cfu
【0125】
(実施例11)
最終製品100ml当たり(粉末15.8g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合
乳
11エネルギー%タンパク質 1.9g(加水分解した乳清タンパク質)
10
48エネルギー%消化性炭水化物 8.7g
41エネルギー%脂肪 3.3g
キシロオリゴ糖/ガラクタン 9/1 0.8g
B.ブレーベ 8×10
8
cfu
【0126】
(実施例12)
最終製品100ml当たり(粉末15g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合乳
10エネルギー%タンパク質 1.7g(カゼイン乳清混合物)
48エネルギー%消化性炭水化物 8.1g
42エネルギー%脂肪 3.1g
20
GOS/ポリフルクトース 9/1 0.8g
ガラクトマンナン 0.42
B.ブレーベ 1.5×10
8
cfu
【0127】
(実施例13)
最終製品100ml当たり(粉末15.9g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合
乳
13エネルギー%タンパク質 2.2g(カゼイン乳清混合物)
49エネルギー%消化性炭水化物 8.6g
37エネルギー%脂肪 3.0g
30
GOS/ポリフルクトース 9/1 0.8g
ガラクトマンナン 0.4g
B.ブレーベ 1.6×10
8
cfu
【0128】
(実施例14)
最終製品100ml当たり(粉末13.5g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合
乳
9エネルギー%タンパク質当量 1.5g(加水分解した乳清タンパク質)
42エネルギー%消化性炭水化物 6.9g
49エネルギー%脂肪 3.6g
40
GOS/ポリフルクトース/シアリルラクトース 7/2/1 0.8g
B.ブレーベ 1.4×10
8
cfu
【0129】
(実施例15)
最終製品100ml当たり(粉末13.7g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合
乳
9エネルギー%タンパク質当量 1.4g(遊離アミノ酸)
44エネルギー%消化性炭水化物 7.1g
47エネルギー%脂肪 3.4g
GOS/ポリフルクトース 6/4 0.8g
50
(32)
B.ブレーベ 1.4×10
8
JP 2007-508838 A 2007.4.12
cfu
【0130】
(実施例16)
最終製品100ml当たり(粉末13.5g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合
乳
11エネルギー%タンパク質 1.8g(大豆タンパク質)
40エネルギー%消化性炭水化物 6.7g
49エネルギー%脂肪 3.6g
GOS/ガラクト−オリゴ糖/ポリフルクトース 8/1/1 0.8g
B.ブレーベ 1.4×10
8
cfu
10
【0131】
(実施例17)
最終製品100ml当たり(粉末15.1g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合
乳
12エネルギー%タンパク質 2.2g(大豆タンパク質)
43エネルギー%消化性炭水化物 7.7g
45エネルギー%脂肪 3.6g
FOS/ガラクタン 9/1 0.8g
B.ブレーベ 1.5×10
8
cfu
【0132】
20
(実施例18)
100ml当たり(粉末16.5g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合乳
13エネルギー%タンパク質 2.0g(加水分解した乳清)
57エネルギー%消化性炭水化物 8.6g
30エネルギー%脂肪 2.0g
GOS/ポリフルクトース 9/1 1.0
大豆多糖 0.5
B.ブレーベ 1.5×10
9
cfu
【0133】
(実施例19)
30
100ml当たり、下記の成分を含有する乳製品
14エネルギー%タンパク質 2.5g(牛乳タンパク質)
43エネルギー%消化性炭水化物 7.5g
43エネルギー%脂肪 3.4g
GOS/ポリフルクトース 7/3 1.5g
B.ブレーベ 3×10
8
cfu
【0134】
(実施例20)
100ml当たり(粉末15.4g当たり)、下記の成分を含有する乳児用調合乳
11エネルギー%タンパク質 2.0g(加水分解したコラーゲン及び大豆タンパク質
40
)
46エネルギー%消化性炭水化物 8.6g
43エネルギー%脂肪 3.6g
GOS/ポリフルクトース 3/1 0.4g
B.ブレーベ 6×10
8
cfu
【0135】
(実施例21)
サプリメント:3gの粉末を100mlの乳に添加したもので、下記の成分を含有する
28エネルギー%タンパク質 0.7g(カゼイン乳清混合物)
72エネルギー%消化性炭水化物 2.0g
50
(33)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
GOS/ポリフルクトース 65/35 0.3g
B.ブレーベ 3×10
9
cfu
【0136】
(実施例22)
1g当たり、下記の成分を含有するサプリメントであって、0.4∼0.8gを100m
lの乳に添加したもの
0.26g ガラクトマンナン
0.44g 消化性炭水化物
0.3g GOS/ポリフルクトース 85/15
1.0×10
9
cfu B.ブレーベ
10
【0137】
(実施例23)
100ml当たり下記の成分を含有するサプリメント
100エネルギー% 消化性炭水化物 2.2g
ミネラル:K、Na、Cl
浸透圧モル濃度 261mOsm/l
GOS/ポリフルクトース 55/45 0.4g
B.ブレーベ 1×10
9
cfu
【0138】
(実施例24)
20
100g当たり下記の成分を含有する乳児用調合乳(85gを240mlの乳に添加した
)
4エネルギー%タンパク質 4.7g(牛乳タンパク質)
53エネルギー%消化性炭水化物 68g
43エネルギー%脂肪 24.6g
GOS/ポリフルクトース 9/1 0.8g
B.ブレーベ 1.2×10
9
cfu
【0139】
(実施例25)
100ml当たりの乳児栄養素(経管栄養)
30
9エネルギー%タンパク質 3.4g(カゼイン)
50エネルギー%炭水化物 18.8g
41エネルギー%脂肪 8g
GOS/ポリフルクトース 7/3 0.4g
B.ブレーベ 5×10
8
cfu
【0140】
(実施例26)
製品100ml当たり、下記の成分を含有する乳児栄養素
11エネルギー%タンパク質 2.8g(カゼイン)
49エネルギー%炭水化物 12.3g
40
40エネルギー%脂肪 4.4g
GOS/ポリフルクトース 85/15 0.8g
B.ブレーベ 5×10
8
cfu
【0141】
(実施例27)
乾燥製品100g当たり、下記の成分を含有する、米粉からなる乳児栄養素(スプーン4
∼7杯分を、200mlの温めた乳児用調合乳、フォローアップミルク、幼児向けミルク
、又は牛乳に添加した)
7.4g タンパク質(植物性)
83g 炭水化物
50
(34)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
0.5g 脂肪
3g 1.5gのGOS/ポリフルクトース 9/1を含む食物繊維
1×10
1 0
cfu B.ブレーベ
【0142】
(実施例28)
乾燥製品100g当たり、下記の成分を含有する、予備調理されたフレーク(小麦、ライ
麦、米、大麦、トウモロコシ、オート麦、ソバ)からなる乳児栄養素(スプーン5∼7杯
分を、250mlの温めた調合乳、フォローアップミルク、幼児向けミルク、又は牛乳に
添加した)
9.5g タンパク質(植物性)
10
74g 炭水化物
2.0g 脂肪
3g 1.5gのGOS/ポリフルクトース 8/2を含む食物繊維
2×10
1 0
cfu B.ブレーベ
【0143】
(実施例29)
100ml当たり下記の成分を含有する、均質化した野菜又は果物からなる乳児栄養素
GOS/ポリフルクトース 75/25 2.0g
B.ブレーベ 2×10
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】
【図2】
9
cfu
20
(35)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
【配列表】
2007508838000001.app
【手続補正書】
【 提 出 日 】 平 成 17年 8月 23日 (2005.8.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィドバクテリウムブレーベ(Bifidobacterium breve)と、
少なくとも2種の難消化性可溶性炭水化物成分A及びBの混合物とを含み、
前記炭水化物成分Aは、前記炭水化物成分Bとは異なる構造を有し、
前記炭水化物成分Aは、炭水化物成分A及びBの合計の5∼95重量%の量で存在し、
前記難消化性可溶性炭水化物全体の少なくとも50%は、二糖からエイコサ糖までの中
から選択され、
炭水化物成分A及びBは、単糖単位の(平均)数が異なっており、炭水化物成分Aの平
均鎖長が成分Bの平均鎖長よりも少なくとも5単糖単位少ないものである製剤。
【請求項2】
前記炭水化物成分A及びBは、炭水化物の単糖単位の構造が異なっている、請求項1に
記載の製剤。
【請求項3】
前記炭水化物成分Aが、同じ炭水化物構造の不消化性単糖から六糖までの中から選択さ
れ、前記炭水化物成分Bが、同じ炭水化物構造の不消化性七糖及びそれ以上の多糖から選
択される、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記炭水化物成分が95∼60重量%を構成し、前記炭水化物Bが5∼40重量%を構
成し、A+B=100重量%になる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記炭水化物成分Aの少なくとも60重量%、好ましくは80∼100重量%が、ガラ
クト−オリゴ糖の群に、好ましくはトランス−ガラクト−オリゴ糖の群に属する、請求項
1から4までのいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記炭水化物成分Bの少なくとも60重量%、好ましくは80∼100重量%が、イヌ
リンを含むフルクト−多糖の群に属する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の製
剤。
【請求項7】
難消化性可溶性炭水化物全体の1g当たり、ビフィドバクテリウムブレーベを10
10
1 1
5
∼
cfu含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
プロバイオティックビフィドバクテリウムブレーベが、サプリメントを基にして計算し
たときに1×10
5
∼1.5×10
1 1
cfu/gの量でサプリメント中に存在する、サ
プリメントとして使用される請求項1から7までのいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
ビフィドバクテリウムブレーベが、乳児用サプリメントに対して1×10
1 2
2
∼1×10
cfu/gの量でサプリメント中に存在する、乳児栄養食として使用される請求項1
から7までのいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の製剤を含み、消化性炭水化物、脂質源、又
(36)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
はタンパク源、あるいはこれらの混合物をさらに含む、乳児栄養サプリメント。
【請求項11】
請求項1から7まで及び9のいずれか一項に記載の製剤を含み、消化性炭水化物、脂質
源、及びタンパク源をさらに含む、乳児栄養食。
【請求項12】
人工栄養保育され又は一部母乳で保育される乳児の胃腸管内のビフィドバクテリウム種
組成物を、母乳で保育される乳児における組成物にまで正常化する組成物を製造するため
の、請求項1から9までのいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項13】
1つ又は複数の免疫障害を予防し又は治療する組成物を製造するための、請求項1から
9までのいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項14】
前記免疫障害が、アレルギー、アトピー、アレルギー性鼻炎、食物過敏症、アトピー性
皮膚炎、湿疹、及び喘息から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記免疫障害が、下痢及びウイルス性下痢から選択される、請求項13又は14に記載
の使用。
【請求項16】
エネルギー吸収不良を予防し且つ/又は治療する組成物を製造するための、請求項1か
ら9までのいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項17】
アレルギー病変部での好酸球、好中球、及び単核細胞の浸潤を阻害し、Th2型免疫応
答を阻害し、且つ/又はTh1媒介免疫応答を刺激する組成物を製造するための、請求項
1から9までのいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項18】
人工栄養保育され又は一部母乳で保育される乳児の胃腸管内で、ビフィドバクテリウム
カテニュレイタム(Bifidobacterium catenulatum)、B.
シュードカテニュレイタム(B.pseudocatenulatum)、及び/又はB
.アドレセンティス(B.adolescentis)の相対量を低下させる組成物を製
造するための、少なくとも2種の難消化性可溶性炭水化物成分A及びBの混合物の使用で
あって、
前記炭水化物成分Aが、炭水化物成分A及びBの合計の5∼95重量%の量で存在し、
前記難消化性可溶性炭水化物全体の少なくとも50%が、二糖からエイコサ糖までの中
から選択され、
前記炭水化物成分A及びBは、(i)炭水化物の単糖単位の(平均)数が異なっており
、(ii)炭水化物の単糖単位の構造が異なっており、又は(iii)その両方である混
合物の使用。
(37)
【国際調査報告】
JP 2007-508838 A 2007.4.12
(38)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
(39)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
(40)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
(41)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
(42)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
(43)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
(44)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
(45)
JP 2007-508838 A 2007.4.12
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
A61K 31/702
A61K 31/715
A61K 31/733
A61P 37/00
A61P 37/08
A61P 11/06
A61P 1/00
A61P 17/04
A61P 1/12
A61P
3/02
テーマコード(参考)
(2006.01)
(2006.01)
A61K 31/702
A61K 31/715
(2006.01)
(2006.01)
A61K 31/733
A61P 37/00
(2006.01)
(2006.01)
A61P 37/08
A61P 11/06
(2006.01)
(2006.01)
A61P
1/00
A61P 17/04
(2006.01)
(2006.01)
A61P
1/12
A61P
3/02
(81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),
EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,
CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,
DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M
A,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW
(72)発明者 シュピールマンス、ゲルスク
オランダ国、ワーヘニンゲン、オパル 15
(72)発明者 クノル、ヤン
オランダ国、ワーヘニンゲン、ヨハン ベーンシュトラート 10
(72)発明者 ハールマン、モニーク
オランダ国、ワーヘニンゲン、ソールベックシュトラート 156
(72)発明者 ガールッセン、ヨハン
オランダ国、ニューゲイン、グラーフ ヨハンラーン 7
Fターム(参考) 4B018 LB10 MD33 MD87 ME07 ME14
4B024 AA11 CA04 CA09 HA12
4B063 QA18 QQ06 QQ42 QQ52 QR08 QR56 QR62 QS12 QS25 QS34
QX01
4C086 AA01 AA02 EA01 EA20 MA03 MA04 MA22 MA52 NA14 ZA34
ZA59 ZA66 ZA89 ZB07 ZB09 ZB13 ZB32 ZC21
4C087 AA01 AA02 BC59 CA09 MA02 MA22 MA52 NA14 ZA34 ZA59
ZA66 ZA89 ZB07 ZB09 ZB13 ZB32 ZC21
Fly UP