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発表資料 - 超高層大気長期変動の全球地上ネットワーク観測・研究
欧州非干渉散乱(EISCAT)データベース を用いた極域超高層大気研究 Study on the polar upper atmosphere using EISCAT database 小川 泰信,野澤 悟徳,宮岡 宏,大山 伸一郎, 齊藤 昭則,元場 哲郎,藤井 良一 第128回SGEPSS学会 沖縄県市町村自治会館 2010年11月3日10:15-10:30 内容 (1)EISCAT(欧州非干渉散乱)レーダーの概要 (2) EISCATデータベース (3) EISCATデータを用いた研究内容 IUGONETを生かしてどのような研究を進められるか? (メタ情報データベース&長期観測データベースの活用) 2 (1)EISCATレーダーの概要 European Incoherent SCATter (略称 EISCAT(アイスキャット)) 3 EISCATレーダーシステムの設置場所 ロングイヤビン ・EISCAT Svalbard radar (ESR) Longyearbyen (Svalbard) (78º 09’N, 16º 03’E , Invariant Lat: 75º10’N) Tromsø (Norway) (69º35’N,19º14’E, Invariant Lat: 66º12’N) ・EISCAT KST UHF レーダー ・EISCAT VHF レーダー ・電離圏加熱装置 トロムソ キルナ Kiruna (Sweden) (67º 52’N, 20º 26’E , Invariant Lat: 64º27’N) ソダンキラ Sodanklyä (Finland) (67º 22’N, 26º 38’E , Invariant Lat: 63º34’N) 4 EISCATレーダーシステム構成 サブオーロラ帯ーオーロラ帯の観測 Kiruna- Sodanklyä- Tromsø (KST) UHF radar (931 MHz) 1981年~ Tromsø VHF radar (224 MHz) 1988年~ カスプ領域ー極冠域の観測 EISCAT Svalbard radar (ESR) (500 MHz) 32m アンテナ:1996年~ , 42m アンテナ:1999年~ 5 EISCATレーダーの視野 ロングイヤビン ・EISCAT Svalbard radar (ESR) Longyearbyen (Svalbard) (78º 09’N, 16º 03’E , Invariant Lat: 75º10’N) Tromsø (Norway) (69º35’N,19º14’E, Invariant Lat: 66º12’N) ・EISCAT KST UHF レーダー ・EISCAT VHF レーダー ・電離圏加熱装置 トロムソ キルナ Kiruna (Sweden) (67º 52’N, 20º 26’E , Invariant Lat: 64º27’N) ソダンキラ 磁気緯度約60-80度のサブオーロラ帯から極 冠域にわたる広範囲の電離圏観測が可能 Sodanklyä (Finland) (67º 22’N, 26º 38’E , Invariant Lat: 63º34’N) 6 KST UHF レーダーによる3局方式観測 世界で唯一。 3次元イオン速度を導出 →電離圏電場を精度良く 導出可能。 E v B E: 電場 v:イオン速度 B: 磁場 www.eiscat.com より 7 背景と歴史 欧州非干渉散乱(EISCAT)科学協会は、非干渉散乱(IS)レーダーを用いたヨー ロッパにおける宇宙科学の研究や教育を推進するため、レーダーの建設と維持・運 用を主目的として、欧州6ヶ国(独、仏、英、ノルウェー 、スウェーデン、フィンランド) が共同出資し、1975年に設立。 EISCAT科学協会設立の背景 (1)高緯度域の大気圏・電離圏・磁気圏に関する研究は、基礎科学として有意義であること。 (2)これらの研究にとって北欧諸国が地理的に非常に重要な位置にあり、且つ研究に必要な 観測所を既に有していること。 (3)大規模施設の建設、維持・運用には国際協同が重要であること。 (極地研 News 1996年) ●KST UHFレーダーは1981年より、VHFレーダーは1988年より観測開始。 ●EISCAT Svalbard radar (ESR)の計画立案(1990-1992年)。 ESR第1アンテナ建築(1993-1996年)、1996年より観測開始。 ●日本のEISCAT協会への加盟(1996年)。 日本の担当するESR第2アンテナ完成、観測開始(1999年)。 ●KST UHF/VHFレーダーシステムのリニューアル(1999-2001年)。 ●新協定の締結(2007年)。 EISCAT協会加盟国は、独、英、ノルウェー、 スウェーデン、フィンランド、日本、中国の7ヶ国。 ● IPY観測期間中に、ESRによる1年間連続観測(2007年3月-2008年2月)。 8 背景の写真はA. Strømmeさん提供 EISCAT組織と国内体制(2010年以降) EISCAT協会加盟国・代表機関 極地研(NIPR)・名大STE研 極地研(NIPR)・名大STE研 SA(Finland)、DFG(Germany)、NFR(Norway)、 CRIRP(China)、VR(Sweden)、NARC(UK) 非干渉散乱 レーダー委員会 科学諮問委員会 SOC 評議会 Council 協会全体の運 営方針に責任 Council Advisory Group 実務の責任 EISCAT特別実 験観測分科会 実験申請 日本人研究者 本部 Headquarters ロングイヤビン Longyearbyen トロムソ Tromsø キルナ Kiruna ソダンキラ Sodankylä 加盟国・EISCAT研究者 レーダー サイト 現在の国内体制(敬称略) 評議会委員(Council): 科学諮問委員会委員(SOC): 国内データ&スケジュール代表者: 宮岡宏*、野澤悟徳 小川泰信 小川泰信 非干渉散乱レーダー委員会委員(18名): 佐藤夏雄、山内 恭、德田次男、阿部 強、山岸久雄、中村卓司、 宮岡 宏*、長妻 努、岡野章一、小野高幸、藤井良一*、菊池崇、 野澤悟徳、山本衛、平原聖文、阿部琢美、田口 聡、小川泰信 (タスク) EISCAT特別実験の承認。 EISCAT レーダーの維持管理、研究計画 及び観測・研究の推進等に関する事項の調査審議。 EISCAT特別実験分科会委員(11名): 坂野井健、細川敬祐、阿部琢美、宮岡宏、野澤悟徳、大山伸一郎、 三好由純、齊藤昭則、山本真行、吉川顕正、小川泰信 (タスク)EISCAT特別実験のレビュー。 EISCAT事務局: 宮岡宏、野澤悟徳、大山伸一郎、小川泰信 (タスク)EISCAT特別実験のサポート、EISCATプロジェクトの推進 10 EISCATレーダー観測について ・全レーダー合わせて、年間3000-4000時間の観測(延べ約120-160日)。 1レーダーあたり年間1000-2000時間→毎日運用している訳ではない。 ただし、国際極年(IPY)のキャンペーン観測の一環として、2007年3月1日から 2008年2月28日までの1年間は、ESRによる極冠域電離圏の連続観測を実施。 ・EISCAT共通実験(CP)と各国の特別実験(SP)の実験時間が約半分ずつ。 ・CPは加盟国/世界共通の観測(World day観測、長期データベース作成用)。 ・SPでは各加盟国の研究者による独自の観測が行われる。PIのSPデータ優先 権は実験実施後1年間。 ・日本のSP実験時間は合計約200時間。 ・毎年10-17件のSP実験申請 (毎年2-3月に公募。その内、新規申請は例年2-5件)。 ・各種科研費やプロジェクト研究費などを用いて現地での観測を実施。 ・過去の日本のEISCAT特別実験については、 http://www.nipr.ac.jp/~eiscat/sp.html を参照。 11 (2)EISCATデータベース 12 EISCATデータ処理の流れ (1)時系列データ(データ記録は2010年より。20-30TByte/year) 1秒間に20万サンプル(2MHz) 。 TRO VHF/ESRの一部の観測モードのみ。イオンラインデータのみ。 ファイル形式はMatlab フォーマット。パラメータブロックも含む。EISCAT本部でアーカイブ。 (2)ACF(自己相関関数)データ(合計約20TByte) ・4-10秒間で1サンプル(約3 kmのレンジ幅)。 ・ファイル形式はMatlab フォーマット。 ・通常はイオンラインのみ。2006年頃からプラズマラインデータも取得(TRO UHF/ESR)。 ・極地研とSTE研に整備中。/data*/rawdata_(site)/(yyyy)/(pulse)/(yyyy_mm)/*.mat (3)物理量データ(合計約2TByte) 電子密度、電子/イオン温度、イオン速度 (イオン組成、イオン-中性粒子衝突周波数) ・ACFをフィッティングして物理量に。 ・基本は1,2,5分値。 (モデルと組み合わせて)電離圏電場、電気伝導度、 (必要に応じて4秒-1時間値を作成) 中性風速度、降下粒子エネルギー分布等 ・ファイル形式はMatlab フォーマット。 ・極地研とSTE研に整備中。 /data*/anadata/(site)/(yyyy)/(yyyy-mm-dd_pulse_int)/*.mat (4)物理量データを各種フォーマットに変更して、その後の解析に利用。ウェブ上に公開。 ・日にち毎に数値ファイル(アスキーファイルや、NCAR形式ファイル)に。 ・サマリープロット(ps,pdf,png)やデータ可視化(kml on Dagik)。 13 ・人工衛星との連携用(地上-衛星同時観測イベントの検索:CEF)。 物理量データの例:1981年11月25日 (スキャンモード) 高度 [km] 800 電子密度 100 800 電子温度 100 800 イオン温度 100 800 イオン速度 100 0 UT 90-1000 km付近の 電離圏物理量の高 度分布や時間変動 を精度良く観測可能。 24 UT (MLT = UT + 2時間) EISCAT観測データの年分布(KST UHF) 高度260kmのイオン温度変動(12 MLTのみ) F10.7指数 (上図)1982-2009年の高度260 km における昼側のイオン温度変動 (下図)F10.7指数(EISCATデータがあるときのみをプロット) :物理量導出のための準備中 28年間(ESRは14年間)の継続したプラズマ温度/密度 15 /速度観測 →太陽周期の約2周期半をカバー EISCATデータベース@極地研&名大STE研 http://www.nipr.ac.jp/~eiscat/eiscatdata/ http://www.stelab.nagoyau.ac.jp/~eiscat/data/EISCAT.html 科研費(研究成果促進費(データベース))等を用いたデータ ベースの整備や、データベースのミラーリング(年度内を目処に)。 16 データ公開 http://www.nipr.ac.jp/~eiscat/eiscat.cgi Conjunction Event Finder for EISCAT データの3次元可視化(kml) (京都大学との共同開発) 人工衛星観測データとの連携 ISAS/JAXAとの共同開発 2-dimensional view of ionospheric plasma parameters measured with EISCAT radars ・ TDAS用ASCIIファイル読み込みプログラム整備 (2010年8月-、高知高専・高田さんとの共同開発) ・ CDF用メタデータファイルを作成中(年内を目処に) ・ CDFデータ作成&公開(今年度内を目処に) IUGONETプロジェクト の一環(田中さんや堀 さんと共同で進行中) ロングイアビン トロムソ 17 (3) EISCATデータを用いた研究内容 注:概要のみ説明 18 2009-2010年の査読付論文の内訳(計14編) プラズマダイナミクス(2編) Taguchi, S., S. Suzuki, K. Hosokawa,Y. Ogawa, A. S. Yukimatu, N. Sato, M. R. Collier, and T. E. Moore., Moving mesoscale plasma precipitation in the cusp,J. Geophys. Res., vol. 114, A06211, doi:10.1029/2009JA014128, 2009. Maeda, S., Y. Ogawa, K. Hosokawa, S. Nozawa, S. Oyama, T. Tsuda, and A. Brekke, Ion heating in high-speed flow channel within the duskside cell of the polar-cap ion convection under large IMF-By condition, J. Geophys. Res., vol. 114, A11307, doi:10.1029/2009JA014300, 2009. イオン流出・イオン組成(3編) Ogawa, Y., S. C. Buchert, R. Fujii, S. Nozawa, and A. P. van Eyken, Characteristics of ion upflow and downflow observed with the European Incoherent Scatter Svalbard radar, J. Geophys. Res., vol. 114, A05305, doi:10.1029/2008JA013817, 2009. Ogawa, Y., I. Haggstrom, S. C. Buchert, K. Oksavik, S. Nozawa, M. Hirahara, A. P. van Eyken, T. Aso, and R. Fujii, On the source of the polar wind in the polar topside ionosphere: First results from the EISCAT Svalbard radar, Geophys. Res. Lett., vol. 36, L24103, doi:10.1029/2009GL041501, 2009. Ogawa, Y., S. C. Buchert, A. Sakurai, S. Nozawa, and R. Fujii, Solar activity dependence of ion upflow in the polar ionosphere observed with the the European Incoherent Scatter (EISCAT) Tromso UHF radar, J. Geophys. Res., vol. 115, A07310, doi:10.1029/2009JA014766, 2010. オーロラ及び電流系(4編) Fujii, R., Y. Iwata, S. Oyama, S. Nozawa, and Y. Ogawa, Relations between proton auroras, intense electric field and ionospheric electron density depletion, J. Geophys. Res., vol. 114, A09304, doi:10.1029/2009JA014319, 2009. Hosokawa, K., Y. Ogawa, A. Kadokura, H. Miyaoka and N. Sato, Modulation of ionospheric conductance and electric field associated with pulsating aurora, J. Geophys. Res., vol. 115, A03201, doi:10.1029/2009JA014683, 2010. Hosokawa, K. and Y. Ogawa, Pedersen current carried by electrons in auroral D-region, Geophys. Res. Lett., in press, 2010GL044746, 2010. 田中良昌, 麻生武彦, ビヨルングスタフソン, 田邉國士, 門倉昭, 小川泰信, 一般化オーロラトモグラフィ法によるオーロ ラ降下電子の再構成,電子情報通信学会論文誌 A, vol. J93-A, No.2, 136-145, 2010. 2009-2010年の査読付論文の内訳(計14編) 中性大気-プラズマ結合/中性大気の上下間結合(2編) Kurihara, J., S. Oyama, S. Nozawa, T. Tsuda, R. Fujii, Y. Ogawa, H. Miyaoka, N. Iwagami, T. Abe, K.-I. Oyama, M. Kosch , A. L. Aruliah, E. Griffin, K. Kauristie, Temperature enhancements and vertical winds in the lower thermosphere associated with auroral heating during the Dynamics and Energetics of the Lower Thermosphere in Aurora (DELTA) campaign, J. Geophys. Res., vol. 114, A12306, doi:10.1029/2009JA014392, 2009. Kurihara, J., Y. Ogawa, S. Oyama, S. Nozawa, M. Tsutsumi, C. M. Hall, Y. Tomikawa, and R. Fujii, Links between a stratospheric sudden warming and thermal structures and dynamics in the high-latitude mesosphere, lower thermosphere, and ionosphere, Geophys. Res. Lett., L13806, doi:10.1029/2010GL043643, 2010. 中性大気ダイナミクス(3編) Tsuda, T. T., S. Nozawa, S. Oyama, T. Motoba, Y. Ogawa, H. Shinagawa, N. Nishitani, K. Hosokawa, N. Sato, M. Lester, and R. Fujii,Acceleration mechanism of high-speed neutral wind observed in the polar lower thermosphere, J. Geophys. Res., vol. 114, A04322, doi:10.1029/2008JA013867, 2009. Nozawa, S., Y. Ogawa, S. Oyama, H. Fujiwara, T. Tsuda, A. Brekke, C. M. Hall, Y. Murayama, S. Kawamura, H. Miyaoka, and R. Fujii, Tidal waves in the polar lower thermosphere observed using the EISCAT long run data set obtained in September 2005, J. Geophys. Res., 115, A08312, doi:10.1029/2009JA015237, 2010. Oyama, S., K. Shiokawa, J. Kurihara, T. T. Tsuda, S. Nozawa, Y. Ogawa, Y. Otsuka, and B. J. Watkins, Lower-thermospheric wind fluctuations measured with an FPI in pulsating aurora at Tromsoe, Norway, Ann. Geophys., in press, 2010. 日本のEISCAT を用いた研究テーマ (1)磁気圏-電離圏結合に関する研究 ・3次元電流系の研究 ・各種オーロラ発光(脈動オーロラ、微細構造)の研究 ・オーロラ電波放射の研究 ・電離圏イオン流出の研究 (2)下部熱圏・中間圏大気ダイナミクスやエネルギー収支の研究 ・プラズマ・中性大気の総合観測(各種ロケットキャンペーン) ・大気波動(潮汐波やプラネタリー波)の研究 ・下部熱圏鉛直風の研究 (3)プラズマイレギュラリティーの研究 ・電離圏加熱装置を利用した沿磁力線不規則構造の研究 ・イオン音波擾乱/ラングミュア擾乱の発生起源の研究 ・カスプイレギュラリティーの研究(各種ロケットキャンペーン) これらの研究の多くがEISCATレーダーのみでは不可能、 異なる観測手法を相補的に組み合わせて研究を実施21 EISCATを中心とした北欧の観測拠点 80 ニーオルソン ロケットレンジ EISCATスヴァールバルレーダー(ESR) 電離圏加熱装置(SPEAR) 各種光学観測機器 ESR ロングイアビン流星レーダー MF帯電波受信機 ベアーアイランド 流星レーダー EISCAT UHF/VHFレーダー トロムソ 電離圏加熱装置 アンドーヤ 各種光学観測機器 ロケットレンジ 流星レーダー/MFレーダー 光学観測機器 キルナ ソダンキラ EISCAT UHFレーダー ・CUTLASS HFレーダー ALISカメラ群 SRANGE(ロケット) UHFレーダー 22 ロケット観測サイトや各種レーダー、光学機器を集中的/戦略的に配備している。 EISCATレーダー周辺の地上観測機器 (1) EISCATトロムソサイト 光学観測装置: ・全天カラーデジタルカメラ(国立極地研究所) ・全天白黒TVイメージャー(国立極地研究所) ・広視野白黒TVイメージャー(国立極地研究所) ・多波長フォトメータ(名古屋大学太陽地球環境研究所) ・全天プロトンイメージャー(名古屋大学太陽地球環境研究所) ・全天多波長オーロライメージャー(名古屋大学太陽地球環境研究所) ・ファブリ・ペロー干渉計(名古屋大学太陽地球環境研究所) ・ナトリウムライダー(名古屋大学太陽地球環境研究所) 電波観測装置: ・流星レーダー(国立極地研究所/トロムソ大学) ・MFレーダー(名古屋大学太陽地球環境研究所/トロムソ大学/サスカッチュアン大学) ・GPSシンチレーション受信機(名古屋大学STE研/国立極地研究所/NiCT) (2) EISCATスヴァールバルレーダー(ESR)サイト/KHO 光学観測装置: ・オーロラスペクトログラフ(国立極地研究所/東北大学) ・全天カラーデジタルカメラ(国立極地研究所) 電波観測装置: ・流星レーダー(国立極地研究所/トロムソ大学) ・MF帯電波受信機(東北大学) IUGONETプロジェクト によるメタ情報の共有 化や、複数の時系列 データの同時可視化 は非常に効果的23 イオン上昇流発生高度と電子密度ピークの年変動 イオン上昇流の発生高度 Starting altitude of ion upflow (a) All samples Upflow events 電子密度のピーク高度 All samples Upflow events (b) 極大期 1 d ni k BTi // ni mi ds 極大期 (c) All samples Upflow events 1984年 極域電離圏イオン上昇流 の発生高度と電子密度の ピーク高度、 1 d ni k BTe // ni mi ds 高度400 km のイオンの 圧力勾配力、 高度400 km の電子の圧 力勾配力(注:両極性拡 散電場による力としてイ オンに働く) 2009年 極域電離圏で生じる様々な現象/物理量は、太陽活動の影 Ogawa et al., JGR, 2010 響を強く受けている。 EISCAT UHFデータを用いた長期変動 高度260kmのイオン温度変動(12 MLTのみ) F10.7指数 ・28年間(ESRは14年間)の継続したプラズマ温度/密度/速度観測。 太陽極小期を3回カバー→太陽活動の影響を取り除いた極域電離圏 の長期トレンドの導出(イオン温度やF層高度・密度)が今後可能では。 ・他の飛翔体及び地上観測データや数値シミュレーションとの比較に よる、解析手法/結果の検証も必要。 25 :物理量導出のための準備中 ・CAWSES-IIの重要な研究テーマの1つ 発表のまとめ 欧州5ヶ国及び中国との国際共同で進めている欧州非干渉散乱(EISCAT)プロジェク トでは、スカンジナビア半島北部及びスヴァールバル諸島に設置された複数の非干 渉散乱レーダーを用いて、多岐にわたる超高層大気観測・研究を実施してきている。 日本が1996年にEISCAT科学協会に加盟後、10年以上に亘りEISCATデータベース の作成や整備、ウェブページ上での公開(http://www.nipr.ac.jp/~eiscat/eiscatdata/ 及 び http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/~eiscat/data/EISCAT.html)を進めてきている。 EISCATデータベースでは、電子密度や温度などの基本的な物理量すべてを極域電 離圏の広い高度範囲で導出及び提供しており、単独でも極域超高層大気物理の研 究を推進するために貴重である。それに加え、EISCATレーダー観測とは相補的な役 割を担う、他の飛翔体及び地上観測データや数値シミュレーションとの比較及び融合 研究を実施することにより、このEISCATデータベースの価値がさらに高まると考えて いる。そのため最近では、(1)各種飛翔体・地上観測との同時観測データの検索手 法開発や、(2)観測日時や観測モードなどのメタデータの整備、(3)データの3次元可 視化、等にも重点をおいてデータベース化を進めている。 他の関連データベースと組み合わせた研究(イベントスタディや、統計解析、長期トレ ンド抽出)を行う上で、現在進行中のIUGONETプロジェクトによるメタ情報の共有化 や、複数の時系列データの同時可視化は非常に効果的である。 26