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A Window Open to the World(国際交流センター報 第6号)

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A Window Open to the World(国際交流センター報 第6号)
2014.10
椙山女学園大学国際交流センター報
第6号
グローバルな時代の生き方・積極性
学長補佐 米田 公則
現代は簡単に海外に行ける時代である。日本人の海外旅行者数は、
平成に入り1千万人の大台にのり、平成24年には年間1600万人を超
えた。これは、年間日本人の1割以上の人が海外を経験していることに
なる。しかし、海外旅行に行くのは、若者より年配の人たちが積極的
である。統計を見ても、20歳代、30歳代の旅行者の比率がここ5年で
低下している。これは海外に行っての実感でもある。ヨーロッパでは、
近年アジアからの旅行者が多く、しかも年齢の若い人たちを多く見受
けるが、以前に比べて日本の若者は減少しているように感じる。アジ
ア系の旅行者で目に付くのは中国系の人たちであり、このようなとこ
ろにも現在の世界経済の一端を見ることができる。
私は事あるごとに学生に「卒業旅行に行くよりも、1、2年生の時に海外に行きなさい」と話をする。その
理由は卒業旅行で海外を知り、様々なことに刺激を受け、興味関心を持っても、卒業までに学べる時間は限
られているからである。私自身も初めて海外に行ったのは30歳前後であったと思うが、もし学生時代に海外
に行っていれば、もっと世の中の見方、様々なことへ取り組む姿勢が違っていたのではないかと思っている。
私は近年の研究分野、タイと日本の地域社会比較研究のために3年前からタイに行くようになったが、その
時ももう少し早くアジア諸国を見ておけばよかったと後悔をしている。
皆さんの中には、これだけ情報化が進んだ時代だから海外に行かなくてよいのでは、と考えている人もい
るだろう。しかし、自分が体験し直接海外の文化や人びとと交流し、あるいはその人々の日常や考え方を知
ることと、情報として知ることとでは全く異なるものである。海外に行けば日本で常識であることが必ずし
も通用しないことがよくある。海外を知ることは自分の文化を知り、その良さを知ることでもある。
しかしそれは決して偏狭なナショナリストになることではない。偏狭なナショナリズムは他者を軽視し、
差別を生み、対立を発生させる。これは「人間になろう」の精神と真逆のものであろう。海外を知ることは、
相対的なものの見方を身につけるためでもある。文化的、社会的な習慣などが違っても人間同士が交流すれば、
人間として本質的な違いはない。相対的なものの見方を身につける中で、自分自身の中に絶対的な生き方の
指針を獲得するためにも、若い人は積極的に海外へ行ってほしい。
グ ロ ー バ ルに活躍する卒業生
ルに
に活
活躍する卒業生
ドイツ語の楽しみ、キャビンアテンダントの夢
バイヤーライン古金 真理さん(短期大学部国文学科専攻平成9年卒/ドイツ在住)
「ヨーロッパで暮らしてみたい!」──強く心に決めたのは、椙山の中学校3年生
のときのことでした。ある日、私は友人とウィーン少年合唱団の来日コンサートに
行き、そのあまりに美しい歌声に魅せられてしまいました。いま思えば「14歳の私」
が受けたその感動が、後の人生を大きく変えたのです。まさに「運命の日」でした。
自分と同じ年頃の少年たちが歌うドイツ語の歌曲。何を歌っているのかを知りた
くて、自分でドイツ語を学ぶのが楽しくて仕方がありませんでした。
その思い叶って短大時代にウィーンに約2年間留学。ドイツ語だけでなく、オペ
ラなど芸術、文化、歴史を学び、色々な国籍の人々と出会い、当時19歳の私にとっ
て最高の経験となりました。
帰国して卒業後は、タイ国際航空にCAとして就職。バンコクベースの勤務となり、
再び海外に出られること、そして憧れの職業に就けることが本当に嬉しく、自分を
待ちうける未来にワクワクしていました。
仏教国タイに住み、初めて聞くタイ語、苦手だった英語での訓練と仕事、そしてタイ人とコミュニケーションをしな
がらの仕事。
「微笑みの国」といわれるように、いつも笑顔でいることがとても大切でした。自分が常識だと疑ってい
なかったことが、タイではまったく通じないこともよくありました。それでもとにかく仕事が楽しくて、どんなことも、
悩みつつも、どんどん乗り越えていきました。
毎回のフライトで何百人というお客様との出会い。楽しいなかにも
「国
籍、ことば、宗教、文化、そして飛行機に乗っている理由もそれぞれ違
うお客様を無事に目的地にお連れしなければ!」という責任感があり、
それは今でもまったく変わっていません。ただ、いま振り返ってみると、
チームで働いているということを、頭では理解しているつもりでも結局
わかっていませんでした。当時は仕事全体を見る余裕がなく「自分が頼
まれたことはすべて自分がしなければ」と忙しくドタバタしている感じ
でした。
ようやく2年半ほどたつと、「もっと自分を試してみたい。この経験をもっと生かしたい」と思うようになり、高校
生の頃から夢見ていたドイツの航空会社に挑戦してみようと思いました。
短大時代に習得したドイツ語を使ってドイツの航空会社で活躍したい。この燃える情熱を、どのように相手に伝える
か、試行錯誤の毎日でした。不安な毎日、つらいときや苦しいときもありましたが、結果が出たときの達成感、そして
喜びは計り知れないものがあります。合格したときの嬉しかった気持ちは今でもはっきりと覚えています。
現在はルフトハンザドイツ航空に勤め、ドイツと日本を月3回往復しています。チームの一員として全体を見ながら
仕事ができるようなり、心の余裕ができました。自分が親になったということもありますが、お子様を連れていらっしゃ
るお客様の気持ちもとてもよくわかります。いつも「全力で働こう!」という思いで飛行機に乗り込みます。そうする
と不思議と何でも楽しくなるものです。
これまでオーストリア、タイ、ドイツ、そしてアラブ首長国連邦(UAE)に暮らす機会に恵まれ、多くの経験をさ
せていただきました。私が海外の生活で気をつけていることは「日本人として誇りと責任を持って行動する」というこ
とです。また、日本のことをできるだけ正確に伝えようと思っています。そして、椙山で受けた教育は私の基本です。
これから先、何十年ここドイツで過ごしても、これは変わらないと思っています。
違う文化、習慣、メンタリティの人々のなかで生活していくには、もちろん柔軟な考え方が必要です。昔は本当によ
く悩み、腹を立て、そして日本と異国の間にはさまれた自分はいったい何者なのかという葛藤がありました。しかし、
最近では「私はこう考える」という自分の意見を持っています。そして、私が日本、椙山で受けた教育、そして日本人
としての美徳は失わないように、これからも気をつけていきたいと思います。
センターニュース・ダイジェスト
培材大学校との国際交流協定を締結
(2014.03.21)
平成26年3月21日、本学は韓国・培材大学校との間で国際交流協定を締結しました。
培材大学校は、1885年に設立された韓国の私立大学で、キャンパスは大田市にあります。
国際交流協定締結のため、本学から、塚田守国際交流センター長(国際コミュニケーション学部教授)と樋口謙一郎国際交流委員(文
化情報学部准教授)が同校を訪問し、培材大イ・ミスク国際交流処長をはじめとする多くの関係者の方々の歓迎を受けました。
交換留学は平成27年より開始しますが、これに先立ち平成26年8月に実施された培材大学校・椙山女学園大学それぞれが開催す
るサマープログラムについて、双方の学生が参加し交流を深めました。椙山女学園大学からは10名の学生が参加し、大変有意義な
体験をすることができました。今後も積極的な交流が見込まれます。
ニューヨーク市立大学リーマン校との国際交流協定を締結
(2014.06.03)
平成26年6月3日、本学はアメリカ・ニューヨーク市立リーマン校との間で国際交流協定を締結しました。
ニューヨーク市立大学リーマン校(Lehman College of The City University of New York)は、アメリカ合衆国ニューヨー
ク州ニューヨーク市ブロンクス区にある公立総合大学です。一般に「リーマンカレッジ」と呼ばれています。1931年にニューヨー
ク市立大学ハンター校のブロンクス・キャンパスとして創立されたのが始まりです。
昨年10月に、本学から塚田守国際交流センター長とロバート・ジー国際交流委員(現代マネジメント学部准教授)が同校を訪問し、
大学間の調整を重ね、この6月に協定を締結しました。
交換留学は今年の8月より開始し、本学より2名の学生を選抜、派遣しました。平成27年度からは本学への受入交換留学も開始し、
より活発な交流が期待されます。
受入交換留学生歓迎式
(2014.04.17)
平成26年度椙山女学園大学受入交換留学生の歓迎式と、今年、学生寮に入寮した学生の合同歓迎パーティーを行いました。
歓迎会では、塚田守国際交流センター長・森棟公夫学長による挨拶に続き、タスマニア大学と上海師範大学からの留学生4名が挨拶。
留学生たちは「日本に来てとても嬉しいです。日本語能力を向上させたいです」などと抱負を語り、参加者から祝福の温かい拍手が
送られました。この後、留学生は在学生と食事をとりながら歓談し、親交を深めました。
マレーシア訪日学生との交流
(2014.05.15)
5月15日(木)
、マレーシア大学生訪日団25名が来校し、国際交流センターの呼びかけに応じた国際コミュニケーション学部の学生
35名と交流会を行いました。
この訪日は、日本政府が進める「JENESYS2.0」の一環であり、青少年交流を通じ、我が国の強みや魅力などの日本ブランドや日
本的な価値に関する理解と関心を深めることを目的に、参加者は学校交流やホームステイを行いました。
交流会では、森棟学長の歓迎の挨拶の後、本学とマレーシアの代表各3名が登壇。お互いの国の文化や大学について紹介したあと、
グループに分かれてディスカッションを行い、両国の学校生活やサブカルチャーなどについて、英語で活発な意見交換が行われ、参加
した本学の学生にとって、異文化理解を深める貴重な機会となりました。
交換留学・認定留学説明会
(2014.06.07)
今年度の説明会では、交換留学を希望する学生や私費留学を予定している学生、認定留学を希望する学生を対象に開催し、45名の
学生が参加しました。
派遣交換留学生として留学を経験した学生の体験談や、今年度より交換交流の始まるアメリカ・韓国については実際に現地を訪問し
た教員による派遣先大学の紹介を、スライドショーを交えて行いました。
続いて、国際交流センター職員による募集要項、選抜試験や奨学金制度についての説明に、参加者たちは熱心にメモをとりながら耳
を傾けていました。
危機管理セミナー
各学部学科が主催する海外研修プログラムに参加す
る学生、交換留学を希望する学生、認定留学・私費留
学を予定している学生を対象に、海外渡航中のリスク
管理を目的とした「平成26年度 危機管理セミナー」
を開催しました。
海外での添乗経験が豊富な女性ツアーコンダクター
を講師に招いて、ツアーコンダクターとしての経験を
踏まえた女性目線での海外における危機管理について
の講演内容は、学生からは具体的でわかりやすかった
と好評でした。
(2014.06.20)
CenterNews
C
enterNews Digest
Digest
クローズアップ!日本文化体験
椙山女学園大学サマープログラム(2014.07.29 ∼ 08.11)
協定大学を始めとした海外からの留学生を、夏期休業期間を利用して受け入れし、日本語の授業と日本文化体験を通して国際交
流をはかることを目的とした「椙山女学園大学サマープログラム」を実施し、協定校である培材大学校の学生が参加しました。韓
国人学生の受入は初めてでしたが、韓国に留学経験のある学生や、「韓国語サークル」、また日本語教員を目指す「SAIC」などの課
外活動団体がボランティアとして、プログラム期間を通してサポートをしてくれました。
サマープログラムでは日本語の学習のほかに、歴史・文化施設を見学しました。また様々な日本文化体験にも挑戦しました。
トヨタ自動車の工場見学では現在の日本の技術を、彦根城や東大寺見学では古の日本の建築技術について学びました。韓国も日
本と同様に技術大国であり、それと比較しながら関心を持って見学している学生もいました。また、伊賀上野では、忍者屋敷の見
学のほかに忍者装束体験(手裏剣体験)にチャレンジしました。皆すっかり乗り気で忍者装束を披露しながら、屋敷内を闊歩して
いました。
また、茶道部やクッキングサークル「クッキングママ」の協力の下、茶道体験や和食調理体験も行いました。学生同士気軽な雰
囲気の中で、お互いが交流を楽しんでいたのが印象的でした。
さらに期間中にはホームビジットを経験しました。日本語が不慣れな彼女たちは当初不安な様子でしたが、ステイ先のご家族に
温かく受け入れていただき、夏祭りに一緒に行くなどの交流を通して、日本の家族と楽しい思い出を作ることができました。
留学生たちは期間中、富士見寮で生活をしました。寮のルールは日本人学生と同じで理解しにくい内容もあったようですが、こ
こでもボランティアを引き受けてくれた寮生がサポートをしてくれたおかげで、大きなトラブルもなく過ごすことができました。
修了式ではそれぞれの成果を、日本語で一生懸命発表しました。お別れパーティーで教職員やボランティア学生との最後の交流
を楽しみ、これで全てのプログラムを終了しました。帰国日の朝、手を振る学生たちは満面の笑顔だったことが印象的でした。
京都・奈良研修(2014.05.31 ∼ 06.01)
受入交換留学生の日本文化体験プログラム「京都研修」は、今年はさらに足を伸ばし、
「京都・奈良研修」として、より広く
日本の歴史文化に触れる機会を設けました。
現地に到着するまでのバスの車中では、ボランティアの日本人学生が歴史文化にちなんだクイズを出題し、留学生との交流を
深めたり、奈良の東大寺、京都の清水寺と金閣寺といった有名な歴史建造物の見学では、その壮大さや優美さに釘付けになって
いました。また、陶器の絵付け体験や和菓子作りに挑戦し、繊細な作業に苦労しながらも力作を作りだしました。日本の伝統文
化を満喫した2日間でした。
◆着付け体験
(2014.06.14)
◆ホームビジット(2014.06.28 ∼ 06.29) ◆十二単着付け体験(2014.07.07)
同窓会主催による浴衣の着付け体験
を、本学学生とともに行いました。日本
での留学生活の土産にもなるため、浴衣
を購入して着付けていただきました。
長久手市国際交流協会主催のもと、1泊
2日で日本の生活を体験するホームビジッ
トを行いました。どのご家庭も温かく受け
入れていただき、料理の作り方を教わった
り茶道を体験させていただいたりと充実し
た2日間を過ごすことができました。
椙山オープンカレッジの講座に参加し、
十二単の着付け体験をしました。十二単の概
要説明があったのち、2人がかりで1枚1枚着
物を着せられていく留学生。着物の重みに苦
労していましたが、日本の古き文化を理解す
る得がたい経験をすることができました。
受入交換留学生が見た椙山
上海師範大学 李 安 (リ アンニ)
椙山女学園大学での10ヶ月の交換留学生を振り返ってみれば、日本語だけではなく、日本文化や日本社会についてもたくさん勉
強させていただいて、たくさんのいい思い出ができました。
椙山女学園大学への交換留学生は、私たち上海師範大学から来た留学生3人しかいませんでした。しかしそのおかげで、先生方か
らより丁寧な指導を受けることができ、私の日本語能力はすべての面で上達することができました。読解能力はもちろん、私が一
番うれしく感じるのは会話能力の大幅な進歩です。やはり会話能力は日本語の環境でなければたくさん練習することはできないと
思います。
また語学ボランティア研究会とSAICの部員達も私たちと一緒に昼ご飯を食べながら日本語で喋ったり、一緒にパーティーを開い
たり、プライベートで遊んだりしてもらいました。その二つのクラブのおかげで、たくさん日本人の友達ができて、日本の若者の
流行も知ることができました。
今年、私たちは完成したばかりの学生寮(富士見寮)に住むことになりました。大学は家具や寝具などを私たち留学生にすべて
準備してくれました。本当にありがたいです。生まれて初めての一人暮らしで最初は大変でした。でも時間がたって、一人暮らし
にも少しずつ慣れてきました。私にとっても大きな成長の一つだと思います。
6月に、私たちはホームビジットを体験させていただきました。私のホストファミリ―のお母さんは国
際交流に熱心で、現在同時に複数の言語を勉強しているそうです。お子さんとゲームをしたり、家族みん
なで出かけたりして、とても充実して、楽しかったです。
夏休みに、尾張瀬戸市にある「尾張東部放送」へのインターンシップに参加しました。研修内容は、番
組の収録を手伝ったり、取材に行ったり、ゲストを接待したり、事務仕事をしたり、企画を考えたりするなど、
人生で初めて体験したことが、書ききれないほどたくさんありました。私の昔からの夢はマスコミ関係の
企業で働くことなので、今回実際にラジオ局で働いてみたことで、自分の夢にもう一歩近づいた気がします。
この10ヶ月間はたくさんの良い思い出があり、私も一人の人間としてとても成長できました。日本語は
もちろん、教科書で勉強できない日本の実社会も見ることができましたし、たくさんの人と触れ合い、い
い刺激をたくさん受けました。交換留学で積んだ経験を中国に持ち帰り、必ず今後の就職や人生に活かし
て行きたいと思います。
派遣交換留学生の現地レポート
タスマニア大学に留学して
国際コミュニケーション学部国際言語コミュニケーション学科 3年 杉山青葉
南風が刺さるように冷たかった季節も終わり、タスマニアでは春の兆しが感じられるようになりました。気がつけば日本を離れ
て半年以上が経ち、残り100日を切った留学生活の1日1日を大切に過ごしています。今回は、オーストラリアでの日々の出来事に
ついてレポートしたいと思います。
まず、語学学校についてです。2月から6月まで大学付属の語学学校に通い、アジア、ヨーロッパ、南米など様々な国の学生と大
学での授業に向けてリーディング、リスニングだけでなく、エッセイライティングやプレゼンテーションと、
“英語でどのように学
ぶのか”を勉強しました。時には一緒に図書館で勉強したり、BBQをしたり遊びに行ったりと、今でも頻繁に連絡を取り合える他
国からの留学生の友人が語学学校でたくさんできました。
そして学部に入学し、英語が母国語の学生達と共に授業を受けています。今までとは違い“英語で何かを学ぶ”ことは、多くの
苦労があります。授業前の予習は20ページ以上のリーディングが必要で、単語も難しく、辞書とにらめっこの毎日です。授業も1
回ではすべて理解することが出来ないので、録画された授業をインターネット上で何度も何度も観て復習します。そして月に1回ほ
ど課題が出され、記事を読み、アサインメントを書いて提出します。今書いたことだけを見ると苦しいと感じてしまうと思いますが、
理解できた時の喜びや、サポートしてくれる友人ができた嬉しさ、留学しているからこそできる経験が、私をまた頑張ろうという
気持ちにさせます。
授業以外では、英語を学ぶ学生とパートナーを組み、日本語を教える代わりに英語を教えてもらっているのですが、文法書には
書かれていない表現を教えてもらったり、観光客は来ないような素敵な場所に連れて行ってもらったり、友人との交流を楽しんで
います。海外での生活では、銀行口座を作ったり、引越しをしたり、言葉や文化の壁で苦しむこともありますが、常に初めての連
続の留学生活は充実感に満ち溢れています。
リレーエッセイ
私 と 国 際 交 流
池 沙弥(国際コミュニケーション学部講師)
私は6年間オーストラリアのメルボルンに留学してい
ました。でも最初は1年限定で「語学と英語教育を学んで
TEFL(Teaching English as a Foreign Language)
の資格を取る」留学プランだったのです。オーストラリア
での一つの出会いが、私の人生を大きく変えることになり
ました。
Nancyとの出会いはメルボルンに到着して3日目、語
学学校への初登校日でした。私のクラスを受け持っていた
英語の先生だったのです。私とは年も離れていましたが非
常にウマが合い、語学クラスを終了してからは私を友達と
Nancyとディナーで
呼んでくれるようになりました。その後私がもう少し勉強したい、と悩みだすとすぐに(自分の大学と
は別の)メルボルン大学について調べてくれ、応用言語学のマスターコースを勧めてくれました。マス
ターコースにいる間はアカデミックな助けはもちろん、「息抜きも必要だよ」と旅行に誘ってくれたり、
なんでもない話を聞いてくれたり、彼女なしではコースは乗り切れなかったと思います。
でも私たちの国際交流はここに留まりませんでした。マスターコースも半分を過ぎたころ、私はまた
勉強を続けたくなりました。でもこの時点で最初の1年予定は2年強に延びており、しかもこの先続け
るためにはドクターコースに入らねばならず、そうするとさらに3∼4年かかるのです。さすがに両親
を説得できずあきらめモードだった私へのNancyの言葉が「両親をここに呼ぼう。私が説得してあげる」
でした。帰国する前に遊びにおいで、と両親を誘い出し、オーストラリア旅行を計画させ、なかば無理
やり両親とNancyを交えたディナーを組み込みました。でも最大の問題点は、Nancyは一言も日本語
を話せず、両親は一言も英語を話せない、ということで、私はこの時点でもまだ私たちの計画がうまく
いくとは思っていませんでした。特にそれまで英語を一言も発したことのない父が会話に参加するとは
どうしても思えなかったのです。ところが、いざ両親をNancyと引き合わせてみると、私を通訳として
なんと4時間ずっと会話が途切れることがありませんでした。メルボルン3日目から私を知るNancyが、
私の成長や私の学問分野が今後どんなに役立つかについて、時々訳す自分が恥ずかしくなるほどの褒め
言葉を交えて話してくれました。その他にも本当にたくさんのことについて話しました。Nancy自身の
話、両親の話、私がそれまで知らなかった話もたくさんありました。あのディナーでは、本当の意味で
の国際交流があり、それを私が可能にしているという喜びもあ
りました。次の日、帰国の途につく両親は空港で「自分の好き
なことをしたらいい」と私の進学を認めてくれました。
この経験は私の両親にとっても大きな転機になりました。
今では私の友達が日本を訪れるたびに家に呼び、食事をし、私
を交えての国際交流を楽しんでいます。違う言葉と文化を持つ
人たちとコミュニケーションがとれることを毎回心から楽し
んでくれ、そのたびに私は嬉しくなるのです。今年はついに、
Nancyのお父さんに会いに行くことになりました。
一つの出会いが私の人生を変え、私の両親を変え、そして
世代を超えたつながりが生まれる。私にとっての国際交流は私
と両親との交流でもあります。
学位授与式で指導教授ご夫妻と
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㈺㈖᮫㉕㈧
培材大学校サマースクール(2014.08.04 ∼ 08.22)
新たな協定校である培材大学校が、夏期休業期間を利用して、短期で海外からの学生を受け入れる「培材大学校サマー
スクール」を開講しました。本学でも多数の申込があり、最終的に10名の学生が学内で選抜され、8月4日∼22日の
プログラムに参加しました。
本学では「培材大学校サマースクール」への参加実績がなく、韓国への渡航自体が初めてという学生もおりましたが、
培材大学校の教職員の皆様や日本語ボランティアの学生が丁寧にサポートしてくださり、参加学生は不自由を感じるこ
となく充実した毎日を過ごし、全員が無事全てのプログラムを修了いたしました。滞在中は韓国語の授業の他に、体育
大会・テコンドー体験といったイベントや、TV局で実際にK−POPアーティストのリハーサルを見学するなど、貴重
な経験をしました。
以下に、プログラムに参加した学生の感想を一部抜粋いたします。
「今回のサマープログラムは3週間と短いながらも、すべてのプログラムが充実しており、韓国語の勉強もでき、
韓国の伝統文化に触れられて、また現地の方だけではなく、他国の学生たちとも仲良くなることができました。
」
「培材大学校には、PILOTと呼ばれる生徒たちがいます。彼らはそれぞれ日本語、中国語、英語を学んでいる学生
たちで、留学生たちをサポートしてくれます。そのサポートがとても充実していたおかげで、大学にいる間は語学
面で困ることが何もなかったです。」
「日本語の授業を専攻している培材大学校の学生があまりに良くしてくれるので、日本に対して悪い印象は抱いて
いないのか気になり尋ねてみると、
『国と国では問題が多いかもしれないけれど、だからといって韓国人と日本人
が個人の立場で争う理由にはならないし、韓国に好意をもって日本からわざわざ来てくれたことが嬉しい。』と、
言っ
てくれました。韓国の人々の優しさに触れ、温かい気持ちになりました。」
来年もこのプログラムが実施されましたら、是非参加してみてはいかがでしょうか?
A Window Open to the World 第6号をお送りします。執筆・編集に御協力いただきました皆様
に厚く御礼申し上げます。今回は初めて卒業生の文章を掲載いたしました。また、紙面でご覧
いただけますように、培材大学校、ニューヨーク市立大学リーマン校との国際交流協定が締結
されたり、「椙山女学園大学サマープログラム」がスタートしたりと、国際交流委員会はすっ
かり忙しくなりました。本学の目指すグローバル化とは、教育・研究をグローバルスタンダー
ドに合わせるだけでなく、
「人間になろう」の理念をグローバルに発信していくことだと思い
ます。本学の国際交流のさらなる充実に向けて、今後も積極的に活動していく所存です。セン
ター報への御意見、御感想などお寄せいただければ幸いです。
(2014.10.21 K.H)
■ご意見・ご要望などはこちらへお寄せください。
椙山女学園大学国際交流センター
TEL:052-781-5674(直)
FAX:052-781-2038 E-mail:[email protected]
A Window Open to the World 椙山女学園大学国際交流センター報 第 6 号 2014.10
編集・発行 椙山女学園大学国際交流センター
〒 464-8662 名 古 屋 市 千 種 区 星 が 丘 元 町 17 番 3 号
〈 T E L 〉 0 5 2 - 7 8 1 - 5 6 7 4 ( 直 ) 〈 FA X 〉 0 5 2 - 7 8 1 - 2 0 3 8
〈URL〉http://www.sugiyama-u.ac.jp/ciep/
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