Comments
Description
Transcript
指針Ⅲ 地域環境保全の推進
指針Ⅲ 地域環境保全の推進 安全の確保 水質汚濁防止対策 大気・水域などへの 環境負荷の低減 ■構内排水対策 地域環境の保全のため国・自治体の定める法令や 自治体との間で締結した環境保全協定に基づき, 発 電所から排出するばい煙や排水等の測定・監視を行 うとともに, 発電所などの設備に最新の技術を導入し ています。 大気汚染防止対策 ■硫黄酸化物※ (SOx) 対策 硫黄分の少ない燃料や硫黄分を含まないLNGなどの使 用による燃料対策, 発生した硫黄酸化物を90%以上除去で に努めています。2011年度は, SOx環境保全協定の遵守と いう目標を達成しました。 などを通して放水しています。 ■温排水※対策 魚・海藻類に影響を与えないよう温排水と周辺海域の温 度差をできるだけ小さく抑えることができる深層取水方式や 水中放流方式などを採用しています。 ■漏油防止対策 タンカー輸送による石油を桟橋から陸揚げする際, タン カーの周囲にオイルフェンスを張り, 油捕集材を常備するな ど, 万一の漏油に備えています。 騒音・振動・土壌汚染・悪臭の防止 ■窒素酸化物※ (NOx) 対策 発電所からの窒素酸化物については, 燃焼改善対策や, の設置等により排出抑制に努めています。2011年度は, 騒音・振動対策 機器から発生する騒音・振動・緊急時 NOx環境保全協定の遵守という目標を達成しました。 のボイラ安全弁作動などによる騒音の ●SOx・NOx排出原単位 (火力発電電力量あたり排出量の推移) に配置するほか,低騒音機器の採用や 影響を最小限に抑えるため,機器を適切 防音壁の設置,消音器の取り付けなどの (g/kWh) 0.6 対策を実施しています。 NOx排出原単位 0.30 0.3 0.20 0.2 SOx排出原単位 0.1 85 90 95 00 発電所で使用する薬品類, 液体燃料のタンクの周囲に は, 万一の漏えいに備え, 防液堤を設けるとともに, 法令や社 05 06 07 08 09 10 11 (年度) 発電所で発生したばいじんを捕集するため,静電気を利用 した電気式集じん装置やろ過式集じん装置を設置しており, 排煙脱硫装置と組み合わせて99%以上を除去しています。 石炭火力発電所では,地域の特性などを考慮し,屋内貯炭 方式の採用や,屋外貯炭に粉じんの飛散を防止するための 散水や防風ネットや防護壁の設置などの対策を実施してい また, 土壌汚染対策への積極的 取り組みとその実施のため,「土壌 汚染対策法ガイドライン」や「土壌 汚染対策業務取扱要領」を作成 し, 適切に対応しています。 土壌汚染対策の社内規程 悪臭防止対策 火力発電所の排煙脱硝装置等でアンモニアを使用して いますが,常に適正量を注入するよう自動制御装置等を設 置するとともに,受け入れ・貯蔵時においても漏えい防止に 活力ある 企業風土づくり ■粉じん飛散防止対策 内規程に則って点検を行っています。 十分留意し,周辺への影響がないようにしています。 【硫黄酸化物】二酸化硫黄(SO₂),三酸化硫黄(SO₃)などの総称で,硫黄分を含む化石燃料を燃焼させることにより発生。人の健康に悪影響を与えたり, 酸性雨の発生原因として生活環境に被害を及ぼすため,大気汚染防止法の規制対象物質となっている。 【排煙脱硫装置】火力発電所のボイラで化石燃料を燃焼した際に発生する排ガスに含まれている硫黄酸化物(SOx)を煙突から大気中に排出する前に除去する装置。 【窒素酸化物】一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO₂)などの総称で,窒素分を含む化石燃料等の燃焼のほか,燃焼時に空気中の窒素が酸化されることにより発生。 用語解説 光化学スモッグの形成や酸性雨の発生原因として生活環境に被害を及ぼすため,大気汚染防止法の規制対象物質となっている。 【排煙脱硝装置】火力発電所のボイラで化石燃料を燃焼した際に発生する排ガスに含まれている窒素酸化物(NOx) を煙突から大気中に排出する前に除去する装置。 【ばいじん】燃焼などによって発生するスス,もえがら,粉じんなどの混合物のこと。大気汚染防止法の規制対象物質となっている。 【温排水】 タービンを回した後の蒸気を冷やすために海水を使用しているが,使用後の海水は温度が少し上がることから,温排水という。 社会との ■ばいじん※対策 ます。 土壌汚染防止対策 コミュニケーションの充実 0.0 低騒音型変圧器 (水島発電所) 地域社会 発展への貢献 0.5 0.4 環境問題への 積極的な取り組み 発生した窒素酸化物を80%以上除去できる排煙脱硝装置※ お客さま本位 の徹底 きる排煙脱硫装置※の設置により, 硫黄酸化物の排出抑制 るほか, 油タンクヤード, 貯炭場の雨水は, 油分離槽・沈殿槽 コンプライアンス の推進 保証 第三者 人権の尊重 発電に伴う排水を処理装置で中和凝集沈殿して処理す 2012 49 指針Ⅲ 地域環境保全の推進 当社は, 2005年度に石綿(アスベスト)問題に関する対応 方針を定め, 新規使用を禁止するとともに使用状況等の社 発電所等で使用する化学物質の取り扱いに関し, 自主的にマニュアル等を作成して, 適正管理の徹底 に努めています。 保証 第三者 当社ではPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物は, 関連法令 に基づき, 厳重に保管・管理しています。 内調査を実施し, 石綿問題へ 適切に対応を行っています。 今後も, 国の石綿対策の動 向や関係法令等を踏まえ, 継続 して適正に対応していきます。 累計処理量 用 途 トランス・コンデンサ 1,451 台 131 台 小型機器等 12,541 kg 5.839 kg 送変電用 感圧紙 8,563 kg 0 kg 帳票ほか その他汚染物 2,267 kg 0 kg 布類,金属ほか 蛍光灯安定器ほか 建材 石綿含有製品 全処理対象量 微量PCBを抜油した柱上変圧器の容器については2007 おり, 2011年度も計画どおり処理を行いました。2016年7月 には全量処理が完了する予定です。 ・2006年8月以前に使用された 建材には, 含まれていると考えられる。 それ以降は石綿含有製品は使用して いない。 ・建物の耐火ボード, 床材等 シール材・ ・石綿含有製品残数 ・発電設備等 (火力設備, ジョイント (火 力) 約17.7万個 (全体の約6割) 原子力設備等) シート (原子力) 約3.6万個 (全体の約5割) ホーム ページ がい し 緩衝材 ・送電設備等の懸垂碍子 ・懸垂碍子:約130万個 増粘剤 ・架空送電線用の電線 ・防食電線 こう長:約60km http://www.energia.co.jp/energy/energia/ishiwata/index.html 第三者 PRTR制度への取り組み 当社は全事業所でPRTR法※対象化学物質取り扱い量 の調査を実施しています。 ●リサイクルセンター処理状況 種 類 ・使用箇所を把握し,対策を実施 している。 保証 年度から「柱上変圧器リサイクルセンター」で処理を行って 2012年4月1日現在 現状 (使用状況等) 石綿 ・地中線用の管路材料 ・こう長:約140km セメント管 (送電設備, 配電設備) ・発電設備等 (火力設備,・石綿含有製品残数 保温材 原子力設備等) 約15,000m³ (全体の約1割) また, これ以外に, 微量PCBを含有している絶縁油につい ては2006年度から, 当社の「絶縁油リサイクルセンター」で, 使用箇所 石綿を含有する ・建物の吸音材, 吹き付け 断熱材,耐火材 業(株) 〔JESCO〕へ委託し, 処理を行っています。 ●高濃度PCB廃棄物処理状況 使用状況の確認 ●建物および設備における石綿使用状況 対 象 高濃度PCB廃棄物は, 2011年7月から日本環境安全事 種 類 保証 P CB・石綿など化学物質の 適 正な管理 PCB無害化処理の取り組み 第三者 石綿問題への対応 全処理対象量 (想定)累計処理量 (進捗率) 絶縁油リサイクルセンター 約33千㎘ 約28千㎘ (約85%) 柱上変圧器リサイクルセンター 約84万台 約49万台 (約58%) 2011年度の対象化学物質の取り扱い量がPRTR法に 基づく規定数量以上となった事業所は12事業所で,下表に 示す9種類の物質を法律に基づき届け出ました。 ●対象化学物質の取り扱い量の調査結果 取り扱い化学物質 届出事業所数 2 塩化第二鉄 4 キシレン ジクロロジフルオロメタン 1 (別名CFC-12) スチレン 1 トルエン 2 ヒドラジン 1 1-ブロモプロパン 1 ベンゼン 2 メチルナフタレン 4 用 途 排水処理剤 塗装 冷媒 塗装 塗装 給水処理剤 判定用薬剤 燃料 燃料 【単位:t】 取り扱い量 排出量 移動量 158.4 0.0 0.0 7.4 7.0 0.4 3.7 0.2 0.0 1.6 4.2 1.8 65.4 136.9 414.4 1.5 4.1 0.0 65.4 0.0 2.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 (注) 対象化学物質の年間取り扱い量がPRTR法に基づく規定数量以上ある事業所の集計結果 絶縁油リサイクルセンター (微量PCBを含有している絶縁油を処理) 当社では,主に塗装工事で使用する塗料や,PCB無害化 処理で使用する判定用薬剤,火力発電所のボイラ給水処理 剤・排水処理剤,発電用ボイラ等の燃料を取り扱っています。 削減対策として,塗料については,環境に配慮した塗料を 積極的に採用するとともに,塗装状態の適正な管理による塗 装回数の削減などに取り組んでいます。 柱上変圧器リサイクルセンター (微量PCBを抜油した柱上変圧器の容器を処理) 2012 50 用語解説 また,判定用薬剤やボイラ給水処理剤・排水処理剤について も適正な管理・運用により取り扱い量の削減に努めています。 【PRTR法】 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」 。 対象化学物質を規定数量以上取り扱う事業所は1年間の排出量・移動量を把握し,都道府県を経由して国に対し届出を行う。 発電所運転開始後の周辺環境のモニタリング タイトル 発電所運転開始後には,関係自治体と締結した環境保全 協定等に基づいて,発電所周辺における大気, 海域などの環 境の状況をモニタリングし, 関係自治体にその結果を報告し ています。 大崎発電所および三隅発電所では,硫黄酸化物,窒素酸 化物,水質,海生生物などの調査を実施し,環境への影響が ないことを確認しています。 測定を実施し,環境への影響がないことを確認しています。 情報公開を行っています。 発電所などを新しく建設するときや増設するときは法令 影響評価) を実施します。 環境アセスメントでは,周辺の自然環境や社会環境へど のような影響があるか事前に十分な調査・予測・評価を行う とともに,地域の皆さまの意見を聞き,それらを踏まえ適切な 環境保全対策を講じることによって,周辺への環境影響を最 生物多様 性に関する 当社の取り組み事 例 水力発電の源泉となる水源かん養林の維持管理 水力発電に必要な水を継続して確保・利用するため, 当社 ●環境影響評価法の手続の流れ は岡山県の吉井川・高梁川, 広島県の太田川の上流に約 発電所の計画 1,700haの水源かん養林を保有し, 枝打ちや間伐など適切 対象事業の決定 アセスメントの対象事業かどうか判断する 既存資料による重大な環境影響の比較整理により評価 を行う* アセスメント方法の決定 (方法書手続) どのような方法で調査・予測・評価をしていくのか, 経済産業 大臣・関係自治体・一般の方々のご意見を踏まえ決定する これらの森林は水源かん養機能を持つほか, 地球温暖化 の原因となるCO₂の吸収や土砂流出の防止, 野生動植物 の生息環境保護など多くの機能を有しています。 ●気象観測 ●振動・騒音測定 ●海域調査 ●景観等調査 ●動植物調査 等 アセスメントの実施 動植物調査 予 測 事業を実施した結果, 環境がどのように変化するかを予測する 評 価 事業を行った場合の環境への影響について検討する アセスメントの結果について,経済産業大臣・関係自 治体・一般の方々のご意見を伺う アセスメント結果の修正 (評価書手続) 準備書手続での意見を踏まえ, 必要に応じて見直しを 行い経済産業大臣に届け出る ヒノキ人工林 (広島県山県郡北広島町) 経済産業大臣からの確定通知, 公開縦覧 活力ある 企業風土づくり アセスメントの結果の報告 (準備書手続) 着工 環境保全措置等結果の 報告・公表 (報告書手続) 環境保全対策の実施状況等について工事終了後に報告・ 公表する* * 平成25年4月から新たに実施される。 【環境アセスメント】発電所などの建設に先立って, その事業が周辺環境にどのような影響を与えるかについて調査・予測・評価する制度。その結果を公表して 用語解説 地域住民などの意見を聞くことが義務づけられており, 環境保全対策を十分なものにする仕組みとなっている。 社会との 海域調査 コミュニケーションの充実 環境調査 高層気象観測 地域社会 発展への貢献 計画段階配慮事項の検討 (配慮書手続) な維持管理をしています。 環境問題への 積極的な取り組み 小限に抑えています。 http://www.pref.shimane.lg.jp/ 島根県 genan/monitor_kyouka.html お客さま本位 の徹底 等に基づき,最新の技術を駆使した環境アセスメント (環境 ホーム ページ コンプライアンス の推進 島根原子力発電所では,温排水の調査や環境放射線の 測定した放射線量の値は,島根県のホームページに掲載し 環境アセスメントの実施 人権の尊重 発電所が環境に与える影響をあらゆる面から調査 し, 適切な対策を行うことで, 自然と調和した発電所 を目指しています。 また, 電力設備などの設置にあたっては, 生物多様 性への配慮や環境負荷の低減に努めるとともに, 景 観との調和にも配慮しています。 安全の確保 環境アセスメント※の実施など 地域特性に応じた 生物多様性への配慮 2012 51 指針Ⅲ 地域環境保全の推進 上関地点での取り組み 新小野田発電所構内における 「ハヤブサ」 との共生 現在, 建設準備工事中の上関地点において, 法令で定め 構内で繁殖している「ハヤブサ」の親子を1992年に発見 る環境影響の評価に基づき, 各種の保全措置を実施してい し, 野鳥の専門家の指導をいただきながら煙突の中段に巣 ます。例えば, 山林伐採に先立ち, 伐採区域内で自生する約 箱を2000年に設置しました。繁殖期には保守工事を避ける 3,000本の樹木を工事区域外に移植し, 将来, 発電所構内 などできるだけ刺激を与えないよう配慮したところ, その後, の緑化に利用するために大切に育てています。 ほぼ毎年2∼3羽のヒナが育っています。 また工事中は社員・作業員一人ひとりが, レッドデータブッ 地元の小学校から, ハヤブサを観察するため発電所に来 ク等に掲載されている貴重種の特徴やこれを確認した際の られるなど, 地域の皆さまにも親しまれており, 「ハヤブサ」が 注意事項を記載したハンドブックを携帯し, 貴重種の発見時 人工巣箱で繁殖する日本初の出来事として, 非常に珍しい には作業を中断するなど適切に対応しています。 例です。 地上50mの 巣箱で繁殖中の ハヤブサの親子 移植作業 新小野田発電所 (山口県山陽小野田市) 貴重種 ハンドブック 人工リーフ設置による魚介類の生育環境の創出 島根原子力発電所3号機では, 防波護岸前面の海域に 設置した人工の浅瀬(リーフ) で, クロメなどの海藻草類が生 育してきており, これらを餌とする魚介類の成育の場となる ことが期待されています。 方塊ブロック 消波ブロック (アクロポッド) T O P I C S 「わくわくEスクール森に学ぼう」の開催 広島県北広島町にある当社の水源かん養林に おいて, 「わくわくEスクール森に学ぼう」 を2011 年10月に開催しました。 消波ブロック (テトラポッド80t型) 被覆ブロック 発電所 護 岸 森の持つ役割やその大切さを子どもたちに理 解してもらうために企画したもので, 広島市近郊 の小学生15名と保護者に参加いただき, 間伐体 験, 丸太切り大会, 間伐材を使った工作教室を実 施しました。 活動後, 子どもたちから 「間伐体験がおもしろ かった」 「 ,森の大切さを理解できた」 などの感想が 人工リーフ 人工の浅瀬に生育しているクロメ (コンブ類) 2012 52 あり, 今後も子どもたちが自然と親しみ, 森を大切 にする気持ちを育む活動を続けていきます。