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牛流行熱の疑われる事例について
牛流行熱の疑われる事例について 平成27年10月 県畜産課 1 発生場所 南薩家畜保健衛生所管内 2 発生状況等 9月29日 1農場で牛流行熱を疑う症状がみられると,家畜保健衛生所 に連絡あり。 9月30日 立ち入り検査及び病性鑑定を実施 臨床症状は,発熱(40∼41℃) ,元気消失,食欲不振。2∼3 日で回復するが,食欲不振等の症状が続く。 10月1日 PCR検査で牛流行熱ウイルスの遺伝子陽性 10月2日 近隣の2農場で,同様の症状が確認されたため,立ち入り検 査及び病性鑑定を実施。 10月3日 3 近隣の2農場も,PCR検査で牛流行熱ウイルスの遺伝子陽性 防疫措置 発症牛の隔離,ワクチン接種,衛生害虫駆除及び消毒等の飼養衛生管理 基準遵守の徹底を指導。 4 その他 病性鑑定の確定までには,ウイルス分離や抗体価の有意上昇の確認等に 2∼3週間を要する見込み。 牛流行熱とは 1.原因 ラブドウイルス科、エフェメロウイルス属に分類される牛流行熱ウイルス。 RNA ウイルス粒子は長さ 90∼180nm、直径約 80nm の弾丸型の形状をもち、 エンベロープを有する。 2.疫学・発生状況 日本、台湾、中国、韓国、インドネシア、オーストラリア、中東、アフリ カ諸国の熱帯∼温帯にかけて牛や水牛に発生がみられる。 ウイルスは蚊やヌカカによって媒介されるため、発生には季節性がある。 我が国では昭和 24∼26 年に大規模な流行があり、その後も主に西日本におい て周期的な流行を繰り返してきた。 しかし、近年では流行が限局的であり、頻度も少ない。国内の近年の発生 状況は,沖縄県で,平成 13 年,14 年,16 年,24 年,25 年,27 年に発生が確認 されている。 【近年の発生頭数】(年次) H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 ― ― ― 1,413 4 ― 4 ― ― H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 ― ― ― ― ― 15 2 ― ― 3.臨床症状 発症牛では突発的な発熱(41∼42℃)がみられるが、その後 1∼2 日程度で 回復することが多い。また、元気消失、食欲低下、呼吸促拍、流涙、流涎、 四肢の関節痛や浮腫による歩行困難、起立不能、筋肉の振戦、反芻停止、乳 量低下ないし泌乳停止などの症状を呈するが、解熱に伴って回復することが 多い。発症率は一定でなく、数%∼100%と幅がある。死亡率は 1%以下である。 4.病性鑑定 (1)ウイルスの分離材料として、発症牛や同居牛の血液を使用する。分離材料を培 養細胞(HmLu-1、BHK-21、Vero)あるいは乳のみマウス脳内への接種し、中和 試験や蛍光抗体法によってウイルスの同定を行う。 (2)中和試験により血清学的診断を行う。 5.予防・治療 原則,吸血昆虫が活動する前までに,不活化ワクチンによる予防を行う。流行が 始まる前に免疫が付与されるよう、ワクチン接種を完了させておく。治療は対症療 法のみ。