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4.3.5 周産期小児健康情報事業

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4.3.5 周産期小児健康情報事業
4.3.5 周産期小児健康情報事業
1137
目次
4.3.5.1
事業概要 ........................................................................................................................... 1139
4.3.5.1.1
本事業の背景と目的 .................................................................................................. 1139
4.3.5.1.2
本事業の実施体制とスケジュール ............................................................................ 1140
4.3.5.1.3
本事業の概要 ............................................................................................................. 1142
4.3.5.2
本事業の成果 .................................................................................................................... 1143
4.3.5.2.1
本事業で実施したサービス ....................................................................................... 1143
4.3.5.2.2
構築したシステム ..................................................................................................... 1153
4.3.5.2.3
実証について ............................................................................................................. 1188
4.3.5.2.4
成果評価 .................................................................................................................... 1191
4.3.5.2.5
事業継続性の検討 ..................................................................................................... 1219
4.3.5.3
総括(本事業の取りまとめ) .......................................................................................... 1224
4.3.5.3.1
本事業で把握された課題と解決に向けた検討.......................................................... 1224
4.3.5.3.2
総括 ........................................................................................................................... 1225
1138
4.3.5
周産期小児健康情報事業
4.3.5.1 事業概要
4.3.5.1.1 本事業の背景と目的
(1) 事業背景
昨今の出産年齢の高齢化や低出生体重児の増加等、周産期・小児期を取り巻く環境の変化
を踏まえ、被災地または被災地を支援する地域において必要とされる医療・健康情報を、利
用者に対し、効率的に活用できる環境を実現することが求められている。
そのためには、平成 22 年度「医療情報化促進事業」
(以下、
「周産期小児健康情報 NW 事業」
という。
)における成果を活用し、利用者が、自ら主体性をもって管理・活用できる仕組みを
構築し、周産期・小児領域において、利用者が安心して生活できる環境や体制の整備が望ま
れている。
(2) 事業目的
本事業においては、周産期小児健康情報 NW 事業の成果を踏まえ、小児期への機能拡充を
中心に、利用者自らが主体性をもって母体・周産期(胎児)
・乳幼児期・小児期へと連続した
医療・健康情報を管理・活用が可能な情報サービスの構築を事業の目的とした。
本事業では人生最初の医療・健康情報である母体・周産期(胎児)~乳幼児期~小児期ま
での情報を取り扱った。
特に、母体・周産期(胎児)~乳幼児期~小児期への連続した情報をすぐにでも活用でき
るようにすることで、中長期的に利用者の QOL 向上を確立することを目的とした。
図 4.3.5-1 本事業の背景と目的
1139
4.3.5.1.2 本事業の実施体制とスケジュール
(1)
事業の実施体制
本事業では、個人が自ら情報を収集し保管する事を原則とするものの、医療機関からの情
報収集が重要となる。まず医療機関から個人への情報提供に関するシステム構築をトーイツ
株式会社、個人が健康情報を管理する為のシステム基盤構築をキーウェアソリューションズ
株式会社、小児期における健康情報管理のあり方についての調査・検討を昭和大学病院小児
科教室、周産期における健康情報管理のあり方についての調査・検討を瀬戸病院・胎児医学
研究所、全体とりまとめを日本電気株式会社が担当した。なお、システム評価に関しては日
医大多摩永山病院の助言を得て実施した。また、構築したシステムは瀬戸病院、西所沢クリ
ニック、峰の坂産婦人科、みかみこどもクリニック、おくもとクリニック、ほほえみ薬局、
はなまる薬局、もりもり保育室の協力を得て実証事業を行った。本実証の事業体制図を図
4.3.5-2 に示す。
図 4.3.5-2 事業の体制図
1140
(2)
スケジュール
本実証のスケジュールを図 4.3.5-3 に示す。
図 4.3.5-3 スケジュール
1141
4.3.5.1.3 本事業の概要
東日本大震災では多くの医療機関において大規模な被害が発生し、紙カルテのみならず、電
子カルテ情報を保存したサーバそのものも消失し、患者の状態を把握できない状況が発生した。
その中で、患者がお薬手帳や母子健康手帳等の健康情報を保持していた場合、治療や処方の参
考になったという話を医療現場から聞いた。このような事から、国民が自ら治療や処方の参考
になる情報を保持することは非常に有効であると考えられる。しかしながら、沿岸部に住む住
民の多くは、お薬手帳や母子健康手帳そのものも消失しており、国民が保有する健康情報に関
して安全に保持・活用できる環境を構築することが望まれる。
コンソーシアムは、どこでも MY 病院構想サービスの仕組みを活用し、周産期・小児期の領
域において、IT による通信手段が途絶していない被災地において、すぐにでも活用できるサー
ビスの提供を目的としている。
本事業では、周産期小児健康情報 NW 事業の成果である母子健康手帳の考え方に基づいた情
報に加え、小児期において保持することが有効な情報についての調査・検討、被災地等で継続
的に情報を保持・活用することを可能にする基盤の調査・検討、母親や家族が蓄積された健康
情報を活用する基盤の構築を行った。
図 4.3.5-4 実証の概要
1142
4.3.5.2 本事業の成果
4.3.5.2.1 本事業で実施したサービス
本事業にて提供されるサービスは、
「パソコン/携帯電話を活用したサービス」、
「QR コードを活用し
たサービス」
、
「病児保育室から子供の情報を参照できるサービス」、「緊急時認証・情報開示サービ
ス」である。
(1) パソコン/携帯電話を活用したサービス
パソコンや携帯電話から、子供の情報をいつでもどこからでも利用できるサービスである。
サービス利用者は外出先でも子供の健康情報を簡単に最新化できる。これにより、通院時や
外出先での急病時などに、サービス利用者が子供の成長や健康に関する情報を容易に参照し、
医師への説明などに役立てることができる。
・薬局で受け取るお薬情報を画像で登録し、外出先などでもおくすり手帳と同じ情報が確認
できる「お薬情報」
・受けた予防接種の情報を登録し、スケジュール表から閲覧、今後どの予防接種をいつ受け
ると良いか確認できる「予防接種」
・
「首がすわりました」
、
「はいはいをします」など、子供の発育上のイベントの達成月齢を確
認できる「イベント」
・日々の子供の健康情報を記録・閲覧、QR コード化して医療機関へ提示できる「健康調査表」
・登録されている情報を一般に普及している健康手帳(紙媒体)のような把握し易いデザイ
ンで閲覧できる「健康手帳」
1143
(2) QR コードを活用したサービス
医療機関において実施した検査・検診の結果をコンパクトな QR コードを印字した紙で提
供する。携帯電話やパソコンなどを利用し、インターネットに接続する環境があれば、いつ
でも MY 病院サービスに検査・検診の結果を登録することができる。また、登録した情報は、
インターネットに接続する環境があれば、いつでも閲覧することができる。
また、QR コードで提供する「出産時のまとめ情報」(情報内容については表 4.3.5-1 参照)
を MY 病院サービスに登録することで、子供の出産時の情報(分娩日時、体重、身長等)か
ら小児期にわたる外来受診や入退院手術歴情報など、子供の成長に沿って健康情報を閲覧す
ることができる。
検診等を行う際に、医師が部門システムを用いて入力した情報が QR コードとして印字さ
れる。
(図 4.3.5-5 参照)
図 4.3.5-5 QR コードを活用したサービス
1144
(3) 病児保育室から子供の情報を参照できるサービス
参加機関の一つである病児保育室『もりもり保育室』を利用する際、母親が保育室に対し
て情報の公開同意を行うことで、本サービスに登録されている子供の情報が病児保育室から
参照できるようになり、既往歴、アレルギーといった情報が病児を保育する際の補助情報と
して活用できる。
公開同意を行わない限り、病児保育室から情報が参照されない。また、公開同意する施設、
情報の種類、および公開期間は、選択可能である。
参照を行う病児保育室側でも、
参照を行う看護師、
保育士の ID/パスワードは厳重に管理し、
セキュリティを担保する。また、情報が参照された場合は参照記録が保存され、病児保育室
から参照が行われた事をサービス利用者に通知することで、子供の情報がいつ、誰が参照さ
れたかを把握できる。
図 4.3.5-6 病児保育室への公開同意画面例(部分)
1145
図 4.3.5-7 登録情報参照例(病児保育室側)
(部分)
(4) 緊急時認証・情報開示サービス
大規模災害など、子供が一人で意識のない状態で救急搬送されるような場面を想定し、事
前に登録した子供の顔写真を使ってサービス利用者の子供であることを確認し、あらかじめ
サービス利用者が指定した情報を開示するサービスを検討した。
※本実証では本サービスは提供しないが、子供の顔写真を用いた認証(複数の子供の顔写
真を用いて、個々の子供と確認できるか)の検証を実施した。
1146
(5) 周産期小児健康情報 NW 事業の課題に対する対応
1) 周産期開発済み機能群の再検討
医療従事者を主体とした会議等において、以下の機能改善、機能追加、仕様変更項目につ
いて検討した。
A)
健康調査表(医療機関受診用の体温、せき等の日々の症状入力)機能(機能
追加)
小児期部門システムの機能として、
「子供の症状」画面を作成し、体温、せき
等の日々の症状を入力できるようにした。
B)
発育情報(首すわり等イベント発生)の一覧表示とグラフ表示機能(機能追
加)
成長日記から入力される発育情報(首すわり等のイベント発生)を一覧で表
示し、かつ、グラフでも表示することで発育状況を把握しやすくした。
C)
発育グラフの標準線の改訂(仕様変更)
母子健康手帳の改訂にともない、発育グラフの標準線を改定後のものに変更
した。
D)
成長日記の検索(各種条件指定による絞込み)機能(機能改善)
タイトル、コメント、イベント、日記作成年月日を条件に、成長日記の検索
を行えるようにした。
E)
健康手帳機能(機能追加)
蓄積情報を一般に普及している健康手帳(紙媒体)のような把握し易いデザ
インで閲覧できるようにした。
F)
QR コードによる情報提供方式(出力制限の緩和、コードの集約等)
周産期部門システムについて分娩後一定期間を過ぎると QR コードが出力で
きない制限を設けていたが、医師が情報修正した場合、改めて QR コードを
印字し、利用者に渡すことができるようにした。また、周産期部門システム・
小児期部門システムともに、複数の QR コードを 1 枚の紙に集約出力できる
ようにした。
G)
データ追記(編集)機能
周産期部門システム・小児期部門システムともに、受診日以降に結果が判明
した検査情報を追記できるようにした。編集機能については診療情報の真正
性を保つという観点から、今回の導入は見送った。
2) サービス事業運営主体に関する検討
サービスを利用者へ提供する為の事業組織、及び運営方法を検討した。事業組織として
は医療機関等の協力団体が柔軟に参加できるよう有限責任事業組合(LLP)で運営すること
を検討した。
3) 小児期への機能拡充
医療従事者を主体とした会議等において、採用すべき小児期向け機能拡充細目に関して
検討し、次の課題を設定し、小児期部門システムとして機能開発した。
1147
A)
QR コードによる情報(NICU 退院時情報、外来、問診、入院・手術、予防接
種)の入力・表示機能(機能追加)
小児期部門システムの機能として開発した。機能詳細については「表 4.3.5-2
周産期・小児期部門システム 機能一覧」を参照のこと。
B)
予防接種情報の入力・一覧表示機能(機能追加)
小児期部門システムとして、日本小児科学会が推奨する予防接種の接種年月
日、接種機関、ワクチンの種類を入力できるようにし、接種履歴を子供の接種
時月齢・年齢順に一覧表示できるようにした。
C)
調剤情報の登録・一覧表示機能(機能追加)
薬局から出力されるお薬手帳を携帯電話付属のカメラ等で撮影し、登録、一
覧表示できるようにした。
D)
病児保育室への許諾情報開示による情報連携機能(機能追加)
サービス利用者が病児保育室へ公開同意することで、子供の既往歴、入院・
手術歴、アレルギー等の情報を連携できるようにした。
4) 健康診断・予防接種関連情報の蓄積と活用方針
周産期部門システムに「健診データ(妊婦健診)」
「健診データ(超音波)」
「1 ヶ月健診」
「3 ヶ月健診」を登録できるようにし、小児期部門システムに「子供の症状」「予防接種」
を登録できるようにすることで、周産期から小児期における健康診断・予防接種関連情報
を一覧表示できるようにした。
5) 他事業との連携
サービス利用者が蓄積した全ての情報を可搬記憶媒体(CD/DVD 等)に格納し、サービス
利用者を介し、健康情報生涯活用事業への情報移行を模擬データにて調査検証した。
6) 被災地域における医療情報等の共有システムの推進に役立つ仕組みの構築
事業継続性計画(BCP)に関する検討の一環として開発した「QR-Code 作成/閲覧シス
テム」は、ネットワークやサーバ室などのインフラが整っていない環境でも利用できるこ
とから、被災地域において医療情報等の共有に資する仕組みになり得るかどうか検討を行
った 。
(6) 東北復興への活用
本実証にて開発した「QR-Code 作成/閲覧システム」は、ネットワーク敷設やサーバ室な
どのインフラが整っていない状態でも周産期・小児期部門システムと同等の情報入力ができ
るシステムである。
被災地においても、利用者が「4.3.5.1.1.(1) 事業背景」で述べた「電子的医療・健康情報」
を活用できる環境を提供できるものと思われる。
1148
(7) 取り扱う情報
本実証にて取り扱う情報を表 4.3.5-1 に示す。これらの情報は、サービス利用者が登録・閲
覧・削除することができる。削除は、サービス利用者に渡す QR コード毎に行うことができ
る。QR コードの発行は受診時の一度限り(発行枚数は 1 枚のみ)となる。サービス利用者が
医療機関や薬局から受け取った情報を登録することで、常に最新の情報を閲覧することがで
きる。
表 4.3.5-1 取り扱う情報
項番
1
取り扱い情報
問診情報
情報項目

妊娠前体重

過去 3 ヶ月


備考
前述のサービス②で医療機関か
発
ら発行される QR コード情報。こ
熱有無
の QR コードを、サービス①に登
過去に分娩した
録することで、パソコンや携帯電
児
話から閲覧が可能。
既往産婦人科疾
患

既往歴

妊婦リスク前期
情報

妊婦リスク後期
情報
2
3

小児問診情報
妊婦健診にとも

妊娠経過情報
なう母子健康手

検査情報
帳諸情報

超音波情報

出産記録

1 ヶ月検診情報

3 ヶ月検診情報

予防接種情報

小児健診情報

出産時のまとめ
妊婦出産情報
情報
4
成長日記

新生児情報

成長メモ
前述のサービス①にて、日々の子

イベント
供の成長、イベントなどを記録。

画像
1149
項番
5
取り扱い情報
お薬情報

情報項目
備考
お薬手帳情報
薬局から受けとるお薬手帳を、前
述のサービス①にて登録する「お
薬情報」。
利用者が携帯電話内蔵カメラな
どでお薬手帳を撮影し、画像デー
タとして登録。
6
保育室への公開

アレルギー情報
前述のサービス①にて、登録、蓄
情報

予防接種情報
積した左記情報のなかから、公開

既往歴情報
を同意した情報については、保育
士さんに公開することが可能。
(8) サービス提供における病児保育室の運用ルール
情報参照に対するセキュリティ確保のため、病児保育室から参照を行う保育士の ID の払い
出しは、施設管理者が保育士の情報を取りまとめてコンソーシアム事務局に提出し、コンソ
ーシアム事務局から保育士にメール、郵送などでユーザ ID、仮パスワードを通知する形で運
用することを想定した(図 4.3.5-8 参照)。また、病児保育室から情報参照する際は、事前に
サービス利用者が利用する施設に対して情報の公開同意を行い、保育士は特定の端末から自
身のユーザ ID、パスワードでログインし、情報を参照する。保育士が情報を参照すると履歴
が記録され、サービス利用者に通知される(図 4.3.5-9
1150
参照)
。
図 4.3.5-8 病児保育士 ID 払出
1151
図 4.3.5-9 病児保育室から情報参照
1152
4.3.5.2.2 構築したシステム
本実証で構築したシステムとサービスの関係を表 4.3.5-2 に示す。
表 4.3.5-2 システムとサービスの対応表
システム
周産期・小児期部門システム
サービス
QRコード母子健康手帳を活用したサービス
QR-Code作成/閲覧システム
MY病院システム
パソコン/携帯電話を活用したサービス
病児保育室から子供の情報を参照できるサービス
本事業のために構築したシステムの全体像については、下記図 4.3.5-10 の通り。慈桜会瀬戸幹病
院内に周産期部門システム、小児期部門システムを構築し、同院内に併設することで、情報連携の
仕組みを実現した。
1.
小児領域における健康情報を個人(母親)が登録、蓄積、保管、管理、活用できる環境の整
備、震災等の有事の際の仮設診療所等においても医療機関から個人への健康情報提供を継続
して可能にする為のポータブル機能(図 4.3.5-10※1)
2.
他のどこでも MY 病院事業者と情報連携を行う為に、PHR データ交換規格に基づいて情報連
携するための基盤(図 4.3.5-10 ※2)
3.
どこでも MY 病院事業主以外の他の事業主との情報連携基盤(図 4.3.5-10 ※3)
4.
周産期小児健康情報 NW 事業で実証参加の利用者(母親)から要望のあった、予防接種管理、
育児サポート(病児保育との連携)
、医師に情報提供する為の仕組み(健康手帳、健康調査票)
1153
※2
※1
※3
図 4.3.5-10 システムの全体像について
1154
(1)
周産期・小児期部門システム
利用者が、医療機関由来情報を受け取ることを目的としたシステムである。
医療機関由来情報とは、周産期小児健康情報 NW 事業にて開発した産科外来受診時および分
娩時の周産期情報に加え、小児科外来受診時及び入退院時の小児期情報(子どもの症状、問診
表、外来診察結果および予防接種の記録、入院手術のサマリー情報、NICU の退院サマリー)の
ことである。
周産期・小児期部門システムは、医療従事者(主に医師)がこれらの情報をタブレット端末
を用いて入力し、入力した医療機関由来情報を QR コードに印字して利用者に手渡すまでを支
援するシステムである。
1155
表 4.3.5-3 周産期・小児期部門システム 機能一覧
機能名
No.
目
的
概
要(※)
周産期(周産期小児健康情報 NW 事業にて開発済)
1
患者登録
利用者の登録を行う。
医療事務担当者が利用者の氏名、利用者 ID、
院内 ID などを登録する。
2
問診表
利用者が妊娠時のプロフィー
利用者が、自身の身長、体重、最終月経、ア
ル情報(右記参照)を入力し、 レルギーなどを入力し、DB に登録し、QR コ
医療機関へ提示するとともに
ードに印字する。
QR コードに印字し登録できる
ようにする。
3
4
5
妊娠リスク評価
妊娠前期におけるリスク評価
医師が妊娠前期におけるリスク評価項目を入
表(前期)
を利用者に提供する。
力し、DB に登録し、QR コードに印字する。
妊娠リスク評価
妊娠後期におけるリスク評価
医師が妊娠後期におけるリスク評価項目を入
表(後期)
を利用者に提供する。
力し、DB に登録し、QR コードに印字する。
周産期登録デー
出産時のまとめ情報を利用者
医師が分娩週数、胎位、様式などの周産期サ
タ
に提供する。
マリー情報を入力し、DB に登録し、QR コー
ドに印字する。
6
健診データ(妊
妊婦健診情報を利用者に提供
医師が妊娠週数、胎児心拍、感染症検査情報
婦健診)
する。
などの妊婦健診情報を入力し、DB に登録し、
QR コードに印字する。
7
健診データ(超
超音波検査情報を利用者に提
医師が超音波画像診断装置による胎児計測情
音波)
供する。
報などを入力し、DB に登録し、QR コードに
印字する。
8
母子手帳
母子手帳記載情報を利用者に
医師が利用者の妊娠期間、分娩経過など母子
提供する。
手帳記載情報を入力し、DB に登録し、QR コ
ードに印字する。
9
1 ヶ月健診
1 ヶ月健診情報を利用者に提供
医師が利用者の血圧、体重、子供の身長、体
する。
重など 1 ヶ月健診情報を入力し、DB に登録
し、QR コードに印字する。
10
3 ヶ月健診
3 ヶ月健診情報を利用者に提供
医師が利用者の血圧、体重、子供の身長、体
する。
重など 1 ヶ月健診情報を入力し、DB に登録
し、QR コードに印字する。
11
母子手帳受領
胎児数を登録する。
母子手帳の冊数を利用者が出産した胎児数の
確証とし、医療従事者が入力し DB に登録す
る。
小児期
1156
機能名
No.
1
患者登録
目
的
概
子供の登録を行う。
要(※)
医療事務担当者が子供の氏名、利用者 ID、院
内 ID などを登録する。
2
子供の症状
子供の直近の体温、症状を入力
利用者が外来受診時、利用者が子供の直近 1
し医療機関に提示することで
週間程度の体温、症状を入力し、DB に登録し、
外来診察をスムーズに行うこ
QR コードに印字する。
とができるようにするととも
利用者が「子供の症状」を記録していれば、
に、受診時の子供の症状を登録
QR コードを介して読み取り DB に登録する。
する。
これにより医師が子供の直近の状態を把握で
き、外来診察をスムーズに行うことができる
とともに、受診時の子供の症状を記録するこ
とができる。
3
問診表
子供の家族歴、アレルギー情
外来受診時、利用者が子供の家族歴、アレル
報、栄養状態を入力医療機関に
ギー情報、食事(哺乳)などを入力し、DB に
提示することで外来診察をス
登録し、QR コードに印字する。
ムーズに行うことができるよ
これにより医師が子供の家族歴、アレルギー
うにするとともに子供の健康
情報、栄養状態を把握でき、外来診察をスム
情報として登録する。
ーズに行うことができるとともに、受診時の
子供の健康情報として記録することができ
る。
4
5
6
外来
子供の外来診察結果を記録し、 医師が診断名、投薬の有無、検査所見などを
予防接種
入院手術
利用者に提供する。
入力し、DB に登録し、QR コードに印字する。
子供の予防接種を記録し、利用
予防接種時、医師がワクチンの種類を入力し、
者に提供する。
DB に登録し、QR コードに印字する。
子供の入院・手術のサマリーを
退院時、医師が診断名、入退院日、外科手術
記録し、利用者に提供する。
の有無、検査所見などを入力し、DB に登録し、
QR コードに印字する。
7
NICU 退院時情
子供の NICU 退院サマリーを記
NICU 退院時、医師が診断名、入院期間、酸素
報
録し、利用者に提供する。
投与の有無、人工呼吸の有無などを入力し、
DB に登録し、QR コードに印字する。
8
出産時の状態
小児科医師の診療をサポート
する。
HIS(病院情報システム)が整っていない医
療機関であっても、周産期部門システム・小
児科部門システムの両方が稼働している医療
機関に周産期から受診している利用者の場
合、周産期まとめ情報を表示することで小児
科医師の診療をサポートする。
※概要に関する補足
利用者や医師が入力した情報は、自動的に DB に登録され、自動的に QR コードに印字され
1157
る。医療事務担当者は、印字された QR コードを利用者に手渡しする。
既存機能である周産期部門システムについて、医師が情報を修正した場合、改めて QR コー
ドを印字し、利用者に渡すことができる機能及び、複数の QR コードを 1 枚の紙に集約して
出力できる機能を拡充した。
小児期部門システムの業務フロー(図 4.3.5-11 参照)について説明する。
①受診
利用者とその子供が小児科外来を受診する。
利用者と子供は、周産期部門システムにて登録されていることが前提である。
②問診入力(表 4.3.5-3 の問診入力機能を使用)
利用者は小児科で渡されたタブレット端末上で動作する小児科入力プログラム(iPad アプリ)
を用い、子供の直近 1 週間程度の体温、症状を入力する。なお、利用者がぐんぐんルームに
「子供の症状」
を記録していれば、
QR コードを介して読み取り DB に登録することができる。
また、利用者は同じ小児科入力プログラムを用い、子供の家族歴、アレルギー情報、食事(哺
乳)などを入力する。
③診察情報入力(表 4.3.5-3 の、外来、予防接種、入院手術、NICU 退院時情報、出産時の状態
の各機能を使用)
医師はタブレット端末上で動作する小児科入力プログラム(iPad アプリ)を用い、外来の診
察情報を入力する。
なお、利用者が診察情報を入力・編集することができないように、医師のパスワードを入力
しないと医師入力メニュー(表 4.3.5-3 の外来、予防接種、入院手術、NICU 退院時情報、出
産時の状態)は利用できないようになっている。
④登録
利用者及び医師が小児科入力プログラムを用いて入力した情報は、即座に自動的に小児科 DB
に登録される。
⑤QR コード印字
小児科 DB に登録された情報は、即座に自動的に QR-Code 入出力アダプタを介して、QR コ
ードの形でプリンタから印字される。医療従事者は、この QR コードを利用者に手渡す。
※補足
予防接種時には上述の業務フローに加え、医師が予防接種情報を入力し、利用者に QR コ
ードの形で手渡す。
同様に入院手術時には、医師が入院手術情報を入力し、退院時に利用者に QR コードの形
で手渡す。
同様に NICU 退院時には、医師が NICU 退院時情報を入力し、退院時に利用者に QR コード
の形で手渡す。
1158
図 4.3.5-11 小児期部門システム 業務フロー
QR コードはサービス利用者及び子供の個人情報であり、医療機関が自由に印字できるもので
は無く二次利用してはならないという観点から、QR コードはシステム的に診療後に手渡しする
1 枚限りの印字に制限し、再発行は行わない。
また、サービス利用者は利用者自身の判断により、発行された QR コードを携帯電話やスマ
ートフォン、または医療機関備え付けのバーコードリーダーを用いて読み込み、どこでも MY
病院 ぐんぐんルームに登録することができる。QR コードから登録された情報は、全てサービ
ス利用者から参照できる。QR コードの登録内容も全て参照でき、サービス利用者の目に触れな
い項目は存在しない(利用者にとって理解が難しい用語があることが想定されるので、用語に
ついては説明文書を添付し、サービス利用者の理解を補助する)
。QR コードから登録された情
報は、すべてサービス利用者自身で削除することができる。
これら QR コードの発行及び登録の流れについて、図 4.3.5-12 に図示する。
1159
図 4.3.5-12
QR コードの発行及び登録について
図 4.3.5-13 周産期・小児期部門システム 画面イメージ(患者登録)
1160
図 4.3.5-14 周産期・小児期部門システム 画面イメージ(子供の症状)
1161
図 4.3.5-15 周産期・小児期部門システム 画面イメージ(問診表)
1162
図 4.3.5-16 周産期・小児期部門システム 画面イメージ(外来)
1163
図 4.3.5-17 周産期・小児期部門システム 画面イメージ(予防接種)
1164
図 4.3.5-18 周産期・小児期部門システム 画面イメージ(入院手術)
1165
図 4.3.5-19 周産期・小児期部門システム 画面イメージ(NICU 退院時情報)
1166
図 4.3.5-20 周産期・小児期部門システム 画面イメージ(出産時の状態)
1167
表 4.3.5-4 に、周産期・小児部門システムのセキュリティ対策を示す。
表 4.3.5-4 周産期・小児期部門システム セキュリティ対策
目
No.
1
的
なりすまし防止
セキュリティ対策
システムを利用するためには、OS とは別のログイ
ン ID とパスワードを入力する。
2
改ざん防止
DB 登録し、QR コードを発行したデータについて
は変更ができない。
DB サーバにアクセスするためには、管理者 ID と
パスワードが必要であり、アクセス履歴を記録して
いる。
3
盗聴防止
ネットワークについては院内でクローズしている。
無線 LAN 上を流れる情報を暗号化することによ
り、電波を盗聴されても情報漏洩がないようにし
た。無線 LAN の暗号化方式:WPA-PSK2(AES)
4
2 次利用の防止
QR コードの発行は受診時の一度限り(発行枚数は
1 枚のみ)とすることで、利用者の健診・検査情報
が 2 次利用されることがないようにしている。
表 4.3.5-5 に、周産期・小児部門システムが準拠した標準規格を示す。
表 4.3.5-5 準拠した標準規格
No.
1
2
3
4
(2)
標準規格
ICD-10
MEDIS 標準病名
SS-MIX2 標準化ストレージ
HL7 v2.5 (JAHIS 標準 11-003「病名情報データ交換規約 Ver2.0」参照)
QR-Code 作成/閲覧システム
QR-Code 作成/閲覧システムは、「4.3.5.2.2.(1) 周産期・小児期部門システム」と同等の機
能を最小構成のハードウェアによって実現したシステムである。QR-Code 作成/閲覧システム
は、ノート PC(DB 登録用)
、タブレット端末(iPad)
、プリンタ、無線 LAN アクセスポイント
から構成される。周産期・小児期部門システムとは異なり、同時に利用できる iPad の台数が 1
台という制約があり、SS-MIX2 ストレージへの出力も行わない。また、有線ネットワークも不
要である。
事業継続性計画(BCP)に関する検討の一環として、この QR-Code 作成/閲覧システムを
用い、被災地域における小規模の運用が可能かどうかを検討した。「4.3.5.2.4 成果評価」を参
1168
照のこと。
QR-Code 作成/閲覧システムの機能は、周産期・小児期部門システムと同等である。
(表
4.3.5-3 周産期・小児期部門システム 機能一覧 参照)
QR-Code 作成/閲覧システムの業務フロー(図 4.3.5-21 参照)について説明する。
①受診
利用者とその子供が小児科外来を受診する。
利用者と子供は、周産期部門システムにて登録されていることが前提である。
②問診入力(表 4.3.5-3 の問診入力機能を使用)
利用者は小児科で渡されたタブレット端末上で動作する小児科入力プログラム(iPad アプリ)
を用い、子供の直近 1 週間程度の体温、症状を入力する。なお、利用者がぐんぐんルームに
「子供の症状」
を記録していれば、
QR コードを介して読み取り DB に登録することができる。
また、利用者は同じ小児科入力プログラムを用い、子供の家族歴、アレルギー情報、食事(哺
乳)などを入力する。
③診察情報入力(表 4.3.5-3 の、外来、予防接種、入院手術、NICU 退院時情報、出産時の状態
の各機能を使用)
医師はタブレット端末上で動作する小児科入力プログラム(iPad アプリ)を用い、外来の診
察情報を入力する。
なお、利用者が診察情報を入力・編集することができないように、医師のパスワードを入力
しないと医師入力メニュー(表 4.3.5-3 の外来、予防接種、入院手術、NICU 退院時情報、出
産時の状態)は利用できないようになっている。
④登録
利用者及び医師が小児科入力プログラムを用いて入力した情報は、即座に自動的に小児科 DB
に登録される。
⑤QR コード印字
小児科 DB に登録された情報は、即座に自動的に QR-Code 入出力アダプタを介して、QR コ
ードの形でプリンタから印字される。医療従事者は、この QR コードを利用者に手渡す。
※補足
予防接種時には上述の業務フローに加え、医師が予防接種情報を入力し、利用者に QR コー
ドの形で手渡す。
同様に入院手術時には、医師が入院手術情報を入力し、退院時に利用者に QR コードの形で
手渡す。
同様に NICU 退院時には、医師が NICU 退院時情報を入力し、退院時に利用者に QR コードの
形で手渡す。
1169
⑤QRコード印字
①受診
②問診入力
(印字は1回のみ)
③診察情報入力
QRコード作成/閲覧プログラム
(iPadアプリ)
④登録
周産期DB
図 4.3.5-21
小児科DB
患者基本情報
サマリ情報
QR-Code 作成/閲覧システム 業務フロー
表 4.3.5-6 に、QR-Code 作成/閲覧システムのセキュリティ対策を示す。
表 4.3.5-6
目
No.
1
なりすまし防止
QR-Code 作成/閲覧システム セキュリティ対策
的
セキュリティ対策
システムを利用するためには、OS とは別のログイ
ン ID とパスワードを入力する。
2
改ざん防止
DB 登録し、QR コードを発行したデータについて
は変更ができない。
DB サーバにアクセスするためには、管理者 ID と
パスワードが必要であり、アクセス履歴を記録して
いる。
3
盗聴防止
ネットワークは無線 LAN のみで、院内でクローズ
している。
無線 LAN の暗号化方式:WPA-PSK2(AES)
4
2 次利用の防止
QR コードの発行は受診時の一度限り(発行枚数は
1 枚のみ)とすることで、利用者の健診・検査情報
が 2 次利用されることがないようにしている。
1170
表 4.3.5-7 に、QR-Code 作成/閲覧システムが準拠した標準規格を示す。
表 4.3.5-7 準拠した標準規格
標準規格
No.
1
ICD-10
2
MEDIS 標準病名
1171
(3)
システム機能
利用者が医療機関から提供された医療機関由来情報を活用することを目的としたシステムで
ある。
表 4.3.5-8 に、システムの機能を示す。
表 4.3.5-8 システム 機能一覧
No.
機能名
目
的
概
要
周産期(周産期小児健康情報 NW 事業にて開発済)
1
周産期データ
2
成長日記
3
権限設定
医療機関から提供された周産
期データを閲覧する。
医療機関から提供された問診表、
妊婦リスク評価表、検診データ、
出産記録、1ヵ月検診、3ヵ月検診
等のQRコードを読み取り、健康
情報データベースに登録・表示す
る。
子供の成長を記録・閲覧する。 利用者が入力したコメント、写真
等を健康情報データベースに登
録・表示する。
各種機能の参照・更新権を子
周産期データ、成長日記等の参
供に与える。
照・更新権を子供に設定し、各種
機能毎に利用権限を与える。
4
公開同意
医療機関に対し、情報を公開
健康情報データベースに登録さ
する。
れている問診表、妊婦リスク評価
表、検診データ、出産記録、1ヵ
月検診、3ヵ月検診、成長日記等
の情報の医療機関への公開有無
を設定する。
1172
表 4.3.5-9 小児期システム 機能一覧
No.
機能名
目
的
概
要
小児期
1
小児期データ
医療機関から提供された小児
医療機関から提供された NICU 退
科データを閲覧する。
院時情報、外来、入院・手術、小
児科問診等の QR コードを読み取
り、健康情報データベースに登
録・表示する。
2
予防接種
医療機関から提供された予防
医療機関から提供された予防接
接種情報または利用者が入力
種情報、または、利用者が入力し
した予防接種情報を閲覧す
た予防接種情報を健康情報デー
る。
タベースに登録し、一覧、または、
スケジュール表形式で表示する。
3
お薬手帳
薬局から提供されたお薬手帳
薬局から提供されたお薬手帳を
を閲覧する。
健康情報データベースに登録・表
示する。
4
健康調査表
子供の健康状態を記録し、医
子供の健康状態を健康情報デー
療機関に提供する。
タベースに登録し、QR コードに
印字する。
5
病児保育室の保育
士への公開同意
子供のデータを病児保育室の
健康情報データベースに登録さ
保育士へ公開する。
れている子供のデータの病児保
育室への公開有無を設定する。
6
病児保育室
子供の小児科データを病児保
健康情報データベースに登録さ
育室から参照する。
れている予防接種、アレルギー、
既往歴、入院・手術歴等の各情報
を病児保育室から参照する。
7
エクスポートパッ
ケージ
事業間連携用エクスポートパ
ぐんぐんルームの情報を PHR デ
ッケージを出力する。
ータ交換規格にしたがった形式
で CD に出力する。
8
緊急時認証・情報
開示
子供の顔写真を使った認証に
顔写真認証を行った上で、健康情
よって情報を公開する。
報データベースに登録されてい
る公開同意された情報を救急救
命士へ公開する。
1173
1)
小児期データ業務
子供が医療機関にて受診する際、問診表が必要な場合は医療機関に設置された iPad から
入力を行い、医師がその内容を確認し、診察結果とともに QR コードで出力する。母親は
医療機関に設置された QR コードリーダ、または、自宅のパソコン、携帯電話から QR コ
ードを取り込む。取り込まれた情報はパソコン、携帯電話から閲覧できる(図 4.3.5-22、
図 4.3.5-23 参照)
。
図 4.3.5-22 小児期データ業務フロー
1174
図 4.3.5-23 小児期データ画面イメージ
1175
2)
予防接種業務
子供が医療機関にて予防接種を受けた際、QR コード出力可能な医療機関はその情報を
QR コードで出力する。QR コードがある場合、母親は医療機関に設置された QR コードリ
ーダ等から QR コードを取り込む。QR コードがない場合は、本サービスの画面から予防接
種情報を入力する。入力された情報はパソコン、携帯電話から閲覧できる(図 4.3.5-24、
図 4.3.5-25 参照)
。
図 4.3.5-24 予防接種業務フロー
1176
図 4.3.5-25 予防接種画面イメージ
1177
3)
お薬手帳業務
薬局から受領したお薬手帳を携帯電話のカメラ等から電子画像化し、本サービスの画面
から入力する。入力した情報はパソコン、携帯電話から閲覧できる(図 4.3.5-26、図
4.3.5-27 参照)
。
図 4.3.5-26 お薬手帳業務フロー
1178
図 4.3.5-27 お薬手帳画面イメージ
1179
1)
健康調査表業務
体温等の子供の健康情報を母親が本サービスの画面から日々入力する。子供を医療機関
に受診させる際、健康情報を QR コード化し、携帯電話等で本サービスの画面に表示する
(図 4.3.5-28 参照)
。医療機関で QR コードを取り込み、健康情報を閲覧する(図 4.3.5-29
参照)
。
図 4.3.5-28 健康調査表業務フロー
1180
図 4.3.5-29 健康調査表画面イメージ
1181
2)
病児保育室業務
本サービスに取り込まれた情報(小児科外来、小児科問診、小児科入院・手術、予防接
種等)を母親が病児保育室ごとに公開期間を設定し、公開同意する。公開同意された情報
は病児保育室サービスの公開用 DB にコピーされ、保育士はその情報を閲覧できる。公開
用 DB は 5 分おきに全データが削除され、公開期間中のデータで再作成される為、公開す
る期間を過ぎたものは病児保育室から参照できなくなる。保育士が情報を閲覧した際はア
クセスログが記録され、母親にその旨が通知される(図 4.3.5-30、図 4.3.5-31 参照)。
図 4.3.5-30 病児保育室業務フロー
1182
図 4.3.5-31 病児保育室画面イメージ
3)
緊急時認証・情報開示サービス
① 概要
大規模災害など、子供が一人で意識のない状態、あるいは身元不明な状態で救急搬送さ
れるような場面を想定し、事前にシステムに登録した子供の顔写真と、現場で撮影された
子供の顔写真を照合することで個人を特定し、あらかじめサービス利用者が指定した情報
を開示する(図 4.3.5-34 参照)
。
1183
図 4.3.5-32 緊急時認証・情報開示サービス 利用イメージ
② 検証
図 4.3.5-32 に示す利用イメージを想定し、救急場面の想定に基づいたシナリオを用いて緊
急時認証および情報参照の検証を実施した。
緊急時認証のための専用顔認証ソフトウェアを用い、利用者の子供を想定した子供複数名
の顔写真を登録した。
外部(救急現場)から、身元不明者を想定した顔写真を登録して照合要求を行い、専用顔
認証ソフトウェアを用いた利用者の子供を想定した写真との照合、および外部に照合結果
を通知する機能を実装した(図 4.3.5-33、図 4.3.5-34 参照)
。
図 4.3.5-33 緊急時認証・情報開示サービス ID 照合要求画面イメージ
1184
①
②
③
④
⑤
① 外部から照合要求された顔写真(身元不明の子供)
② 照合要求に対し、最も高い合致率を示した顔写真
③ ①と②の合致率
④ ②の利用者 ID
⑤ ①に合致するその他の顔写真
※プライバシー保護のため、顔写真はマスク加工済
図 4.3.5-34 顔認証ソフトウェアによる顔写真照合イメージ
(4)
セキリュティ対策
本システムでは、扱う情報のセキュリティを「ASP・SaaS における情報セキュリティ対策ガ
イドライン」に準拠するものとし、サービス種別パターンの位置付けを「パターン 3」として、
ガイドラインに則ることを基本とする。
システム構成は、無用な障害やセキュリティに考慮して役割ごとにサーバを建ててシステム
を単純化し、各々のサーバに関してはシンプルな構成とする。また、セキュリティ面を考慮し
て不要なパッケージは導入しない。また、不要なサービスについても停止する。
外部通信においては、利用者のアクセスはインターネット経由となるため、内部ネットワー
1185
クと外部ネットワークは別ネットワークとし、ファイアウォールを経由して接続するものとす
る。利用者からのアクセスは WEB のみとし、通信には SSL を用いて暗号化を施す事により情
報漏えいに対処する。ネットワーク構成図を図 4.3.5-35 に示す。
各機器には、ウィルス対策のためアンチウィルスソフトを導入する。また、IDS の導入によ
り不正アタックの通報および遮断を行う。
セキュリティ脆弱を早期に発見し、脆弱性への対策がとれるよう、外部サービスを利用した
脆弱性診断を日々実施する。
図 4.3.5-35 ネットワーク構成図
(5)
共通モジュールの製品化
1)
共通モジュールの機能概要
共通モジュールの概要は、下記の通り。
(1)SS-MIX2 標準化ストレージ構築アプリケーション
(2)SS-MIX2 標準化ストレージデータ取得 WEB サービス
(3)SS-MIX2 標準化ストレージ取得ライブラリ
これらの共通モジュールは、下記のように分類される。
1186
「SS-MIX2 標準化ストレージ構築アプリケーション」は、部門システムから送られ
てくる患者基本情報、病名等の HL7ver2.5 メッセージを受信した後、標準化ストレ
ージのフォルダ階層を作成し、HL7ver2.5 メッセージを格納する実行形式のモジュ
ールである。
一方、「SS-MIX2 標準化ストレージデータ取得 WEB サービス」と「SS-MIX2 標準
化ストレージ取得ライブラリ」は、各アプリケーションからの要求に基づいて、
SS-MIX2 標準化ストレージに格納された HL7ver2.5 メッセージにアクセスする部
品である。
今回構築した共通モジュールは、慈桜会瀬戸病院に実装している。
2)
共通モジュールの展開と製品化に向けたスケジュール
今般の事業において、「SS-MIX2 標準化ストレージ仕様書 β0.9」対応から、
「SS-MIX2 標準化ストレージ仕様書 0.96」と「SS-MIX2 標準化ストレージ構成の説明
と構築ガイドライン Ver1.0rev1」対応への機能更新を実現したが、その具体的な内
容は、主に「物理格納情報のインデックスデータベース出力機能の追加」と「受信メ
ッセージログ出力機能においての命名規則の変更」である。
本事業で構築した共通モジュールの提供形態は、自社電子カルテシステムへの標
準実装と、OEM 提供の 2 種類を用意する。共通モジュールの製品化に向けたスケ
ジュールとしては、下図の通りとなる。
No
観点
想定案
検討項目
1
製品
 自社電子カルテ
システムに標準
実装
 製品化
 実装方法検討
2
保守
自社電子カルテシ
ステムに標準実装
保守体制整備
3
価格
自社電子カルテ
システム標準実装
価格体系
社内通知
4
プロモー
ション
カタログ作成
Web告知
セミナー
各コンテンツの内
容
5
流通
OEM販売
OEM先の選定
6
保守
OEM販売
保守条件交渉
7
価格
OEM販売
価格条件交渉
8
契約
OEM販売
契約条件交渉
9
OEM化
OEM販売
OEM先販売準備
平成24年
5月
6月
7月
8月
製品化:
システム開発
9月
平成25年
10月
11月
12月
1月
2月
実装方法
検討
保守体制
整備
価格体系
社内通知等
販売開始
予定時期
カタログ作成
Web作成
セミナー開催
OEM先選定
契約条件交渉
○保守
○価格
等
OEM先販売準備
図 4.3.5-36 共通モジュール製品化に向けたスケジュール
1187
備考
4.3.5.2.3 実証について
(1)
実証概要
本事業で新たに検討・提供したサービス、及び周産期小児健康情報 NW 事業から継続して提
供したサービスの実証概要について以下に示す。
(図 4.3.5-37 参照)
。
概 要
実証期間
実証
参加者数
(概算)
今年度新たに提供したサービス
「周産期小児健康情報NW事業」を
踏まえて提供したサービス
自らの健康管理を継続的に実施できる仕
組みとサービスの提供対象範囲を小児(学
童を除く)へと拡張・展開し、併せて予防接
種情報管理、病児保育園/薬局情報連携
等、追加サービスの提供を実施
妊産婦・新生児を対象に、特定の疾患に
フォーカスすることなく、健康情報全般を登
録・参照すること等を通して、自らの健康管
理を継続的に実施できる仕組みとサービス
の提供を実施
実証開始日
平成25年1月7日
実証開始日
平成24年5月21日
実証終了日
平成25年1月31日
実証終了日
平成25年1月31日
幼児22人(昨年度からの継続20人※)
2病院:
乳児10人(昨年度からの継続10人※)
新生児3人・妊婦7人
医療法人慈桜会瀬戸病院
医療法人一正会峰の坂産婦人科
3診療所: 西所沢クリニック
実証参加
機関数/名称
2薬局:
みかみこどもクリニック
1病院
:慈桜会瀬戸病院
おくもとクリニック
1診療所
:西所沢クリニック
ほほえみ薬局
はなまる薬局
1事業者: もりもり保育室
※ 昨年度 乳児・新生児・妊婦だったものが、今年度 幼児・乳児へと属性変化している
図 4.3.5-37 実証概要
1)
実証参加者の属性および人数
① 本事業で新たに提供したサービス
サービス毎の参加者数を以下に示す。
表 4.3.5-10 サービスごとの実証参加者数
サービス
属性
サービス利用者数
パソコン/携帯電話を活用したサービス
母親
22 人
QR コードを活用したサービス
同上
22 人
同上
3人
病児保育室から子供の情報を参照出来る
サービス
1188
② 周産期小児健康情報 NW 事業から継続して提供したサービス
サービス毎の参加者数を以下に示す。
表 4.3.5-11 サービスごとの実証参加者数
サービス
属性
パソコン/携帯電話を活用したサービス
妊婦・母親
20 人
同上
20 人
QR コードを活用したサービス
2)
サービス利用者数
参加機関
実証参加機関としては、周産期小児健康情報 NW 事業の実施検証から引き続き病院
が慈桜会瀬戸病院、診療所が分院の西所沢クリニックが実証のフィールドとして参加
している。
本事業からは、峰の坂産婦人科、前田クリニック、みかみこどもクリニック、おく
もとクリニック、ほほえみ薬局、はなまる薬局、もりもり保育室が実証のフィールド
として参加する。
体制、実証での役割については、
「4.3.5.1.2 本事業の実施体制とスケジュール」を参
照のこと。
3)
実証開始に向けた取り組み
本事業では実証開始前に、利用者及び協力団体に対し、
「どこでも MY 病院」構想と
本事業に関する知名度を高めるための取り組みを行った。
① 協力団体への説明
・5 月のコンソーシアム全体会議にて調査事業の概要説明と意見交換を実施
・7 月の病児保育室サービス説明会議にて調査事業の概要説明と意見交換を実施
・11 月のコンソーシアム全体会議にて調査事業の運用方法やシステム利用方法等の
説明と意見交換を実施
② ポスターの作成・配布
本事業の取り組みが利用者に一目でわかる内容のポスター(図 4.3.5-38 参照)を作
成し、協力団体への配布と広報活動に利用した。
③ 利用者への説明・募集
本サービスの活用方法を利用者に理解してもらう為、操作説明書の配布や操作の実
演を実施した。
1189
図 4.3.5-38 ポスター
1190
4.3.5.2.4 成果評価
(1) 参加者からのアンケート調査結果
本実証参加者に対し、アンケート調査を実施し、結果を取りまとめた。
1)
年齢分布
回答者の年齢分布を図 4.3.5-39 に示す。
8
7
6
5
4
3
2
1
0
10代
20代前半 20代後半 30代前半 30代後半 40代以降
図 4.3.5-39 年齢分布
2)
「どこでも MY 病院」サービスについて
A) 「どこでも MY 病院」サービスが健康管理に役立つと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が 83%であり、目標の 60%を上回った(図
4.3.5-40 参照)
。非参加者の回答は 93%(図 4.3.5-55 参照)であり、これを上回るこ
とはできなかったものの、サービスが有効であると高く認識されている。
1191
思わない
0%
どちらとも言えない
17%
あまり思わない
0%
思う
16%
やや思う
67%
図 4.3.5-40 「どこでも MY 病院」サービスが健康管理に役立つと思うか
B) 「どこでも MY 病院」サービスが提供する機能は役に立つと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が、83%であり、目標の 60%を上回った(図
4.3.5-41 参照)
。非参加者の回答は 90%(図 4.3.5-56 参照)であり、これを上回るこ
とはできなかったものの、提供する機能が有効であると高く認識されている。
あまり思わない
0%
どちらとも言えな
い
思わない
17%
0%
思う
25%
やや思う
58%
図 4.3.5-41 「どこでも MY 病院」サービスが提供する機能は役に立つと思うか
1192
C) 役に立つと思われる機能は何か
予防接種の回答が多く、イベント機能、アクセスログが役に立つとの回答はなかっ
た(図 4.3.5-42
参照)
。
(人)9
8
8
7
7
6
7
6
6
6
5
4
4
3
3
2
2
2
2
1
1
0
0
図 4.3.5-42 役に立つと思われる機能は何か
1193
0
D) 「どこでも MY 病院」サービスが便利だと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が、75%であり、目標の 60%を上回った。
(図
4.3.5-43 参照)
。
あまり思わない
17%
思わない
0%
思う
25%
どちらとも言えない
8%
やや思う
50%
図 4.3.5-43 「どこでも MY 病院」サービスが便利だと思うか
E) 「どこでも MY 病院」サービスが楽しいと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が、50%であり、目標の 60%には若干届かな
かった(図 4.3.5-44 参照)
。
あまり思わない
25%
思わない
0%
思う
8%
やや思う
42%
どちらとも言え
ない
25%
図 4.3.5-44 「どこでも MY 病院」サービスが楽しいと思うか
1194
F) 有料でも利用したいと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が、8%であり、目標の 60%を下回った(図
4.3.5-45 参照)
。非参加者の回答は 42%(図 4.3.5-60 参照)であり、これを上回るこ
ともできなかった。今後、有料でも利用したくなるようなサービスを付加していくこ
とが重要となる。
思わない
17%
思う
0%
やや思う
8%
どちらとも言えない
17%
あまり思わない
58%
図 4.3.5-45 有料でも利用したいと思うか
G) 利用料は月額いくらが妥当か
利用料 200 円以上との回答が 26%となり、目標の 50%を下回った。(図 4.3.5-46
参照)
。
300~400円
13%
100円未満
37%
200~300円
13%
100~200円
37%
図 4.3.5-46 利用料は月額いくらが妥当か
1195
H) 有料の場合、利用したいと思わない理由
・現状、活用できていない為
・他のツールでも管理できる為
・実際に使用しなくても問題がなかった為
I) 蓄積された情報をどのように活用したいか
医療機関と連携に活用したいとの意見が多かった(図 4.3.5-47 参照)
。
(人)
12
11
10
8
6
7
5
4
4
2
0
保育園と連携
医療機関と連携
調剤薬局と連携
家族と共有
図 4.3.5-47 蓄積された情報をどのように活用したいか
1196
3)
サービスを利用した感想
A) サービスの各種機能は分かりやすかったか
「分かりやすかった」
、
「ほぼ分かりやすかった」と回答した割合が、67%であった
(図 4.3.5-48 参照)
。目標値の 70%にはやや届かなかったものの、大方の利用者に理
解してもらえたようである。
やや分かりづら
かった
分かりづらかった
8%
8%
どちらとも言え
ない
17%
分かりやすかった
17%
ほぼ分かりやす
かった
50%
図 4.3.5-48 蓄積された情報をどのように活用したいか
B) 画面は見やすかったか
「見やすかった」
、
「ほぼ見やすかった」と回答した割合が、
67%であった(図 4.3.5-49
参照)
。目標値の 75%にはやや届かなかったものの、大方の利用者は見やすかったも
のと思われる。
1197
やや見づらかった
0%
見づらかっ
た
8%
どちらとも言えない
25%
見やすかった
42%
ほぼ見やすかった
25%
図 4.3.5-49 画面は見やすかったか
C) 操作しやすかったか
「しやすかった」
、
「ほぼしやすかった」と回答した割合が、
46%であった(図 4.3.5-50
参照)
。目標値の 75%を下回り、改善の余地あり。
しづらかった
8%
ややしづらかった
15%
しやすかった
23%
ほぼしやすかった
23%
どちらとも言えない
31%
図 4.3.5-50 操作しやすかったか
1198
D) ユーザサポートは充実していたか
「していた」
、
「ほぼしていた」と回答した割合が、33%であった(図 4.3.5-51 参照)。
目標値の 75%を下回り、改善の余地あり。
ややしていなかった
17%
していなかった していた
8%
8%
ほぼしていた
25%
どちらとも言えない
42%
図 4.3.5-51 ユーザサポートは充実していたか
E) 利用後に健康に対する意識の変化はあったか
「あった」
、
「少しあった」と回答した割合が、17%であった(図 4.3.5-52 参照)
。
目標値の 70%を大きく下回り、利用者に健康意識を受け付けることがあまりできな
かったようである。
なかった
25%
あった 少しあった
0%
17%
どちらとも言えない
33%
あまりなかった
25%
図 4.3.5-52 利用後に健康に対する意識の変化はあったか
1199
F) 継続して利用していきたいと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が 25%であり、目標としていた 50%を下回
った(図 4.3.5-53 参照)
。
思わない
8%
思う
8%
あまり思わない
25%
やや思う
17%
どちらとも言えな
い
42%
図 4.3.5-53 継続して利用していきたいと思うか
4)
その他
・当院を出産においてのみ、利用しているため、小児科へのかかりつけでない場
合は、当サイトも利用する機会がない。
かかりつけ病院であれば有用な取り組みだと思う。
・データが不十分。
あの程度の内容でカルテがなくなった時(震災の時など)役に立つのか疑問。
・震災時などの万が一の時のことを考えると、このような機能が普及されると、
とても有効的だと思う。
1200
(2) 非参加者からのアンケート調査結果
一般の子供を持つ母親に対し、アンケート調査を実施し、結果を取りまとめた。
年齢分布
1)
回答者の年齢分布を図 4.3.5-54 に示す。
(人)
400
350
300
250
200
150
100
50
0
10代
20代前半
20代後半
30代前半
30代後半
40代以降
図 4.3.5-54 年齢分布
2)
「どこでも MY 病院」サービスについて
A) 「どこでも MY 病院」サービスが健康管理に役立つと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が、93%であった(図 4.3.5-55 参照)
。
どちらとも言え
ない
7%
あまり思わない
0%
やや思う
22%
思う
71%
図 4.3.5-55 「どこでも MY 病院」サービスが健康管理に役立つと思うか
1201
B) 「どこでも MY 病院」サービスが提供する機能は役に立つと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が、90%であった(図 4.3.5.-56 参照)
。
どちらとも言えな
い
9%
あまり
思わな
い 思わない
0%
1%
やや思う
26%
思う
64%
図 4.3.5-56 「どこでも MY 病院」サービスが提供する機能は役に立つと思うか
C) 役に立つと思われる機能は何か
予防接種が多く、健康調査表が少なかった(図 4.3.5-57 参照)
。
(人)
900
801
800
700
629
600
502
500
400
658
638
620
600
529
426
353
343
283
300
200
100
0
図 4.3.5-57 役に立つと思われる機能は何か
1202
315
D) 「どこでも MY 病院」サービスが便利だと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が、92%であった(図 4.3.5-58 参照)
。
あまり思わない
思わない
1%
どちらとも言えない
0%
7%
やや思う
30%
思う
62%
図 4.3.5-58 「どこでも MY 病院」サービスが便利だと思うか
E) 「どこでも MY 病院」サービスが楽しいと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が、63%であった(図 4.3.5-59 参照)
。
あまり思わない
4%
思わない
1%
どちらとも言えな
い
32%
思う
29%
やや思う
34%
図 4.3.5-59 「どこでも MY 病院」サービスが楽しいと思うか
1203
F) 有料でも利用したいと思うか
「思う」
、
「やや思う」と回答した割合が、42%であった(図 4.3.5-60 参照)
。
あまり思わない
14%
思う
9%
思わない
8%
やや思う
33%
どちらとも言えない
36%
図 4.3.5-60 有料でも利用したいと思うか
G) 利用料は月額いくらが妥当か
「300~400 円」と回答した割合が、29%であった(図 4.3.5-61 参照)
。
400~600円
10%
600円以上
8%
100円未満
18%
100~200円
20%
300~400円
29%
200~300円
15%
図 4.3.5-61 利用料は月額いくらが妥当か
1204
H) 有料の場合、利用したいと思わない理由
「無料なら利用したい」との回答が多かった(図 4.3.5-62 参照)
。
自己管理できるから
22
興味が無い
75
無料なら利用したい
281
0
100
200
300 (人)
図 4.3.5-62 有料の場合、利用したいと思わない理由
I) 蓄積された情報をどのように活用したいか
「医療機関との連携」との回答が多かった(図 4.3.5-63 参照)
。
(人)
900
806
800
700
600
500
469
469
397
400
300
200
100
24
0
保育園と連携
医療機関と連携
調剤薬局と連携
家族と共有
図 4.3.5-63 蓄積された情報をどのように活用したいか
1205
その他
3)
その他
その他の意見を大別すると、以下のようになった(図 4.3.5-64 参照)
。
(人)
図 4.3.5-64 その他の意見
(3) 医療従事者からのアンケート調査結果
本実証フィールドの医療従事者に対し、部門システムに関するアンケート調査を実
施し、結果を取りまとめた。
1)
機能構成について
システムの目的や機能が業務を満たしているかという設問に対しては 94%が満足してい
るが、システムの機器構成(とくに QR コード閲覧/出力システム)については 53%が満
足と、目標値の 70%を下回った。診療所に導入する場合、機能を損なわない範囲で更に小
さな PC やプリンタを選択することが求められている。
A) システムの目的は理解できたか
「理解できた」
、
「だいたい理解できた」と回答した割合が、100%であった(図
4.3.5-65 参照)
。
1206
2.だいたい理解で
きた
26%
4.やや理解しにくい
3.どちらともい 0%
5.理解しにくい
えない
0%
0%
1.理解できた
74%
図 4.3.5-65 システムの目的は理解できたか
B) システムの機能は業務を満たしているか
「理解できた」
、
「だいたい理解できた」と回答した割合が、100%であった(図
4.3.5-66 参照)
。本件に関し、以下のようなコメントがあった。
・母子に健康情報を渡すという範囲では十分である。
・紹介状発行機能があると便利だ。
・診察記事を記録できるようにしてほしい。
2.だいたい満たし
ている
26%
4.やや不足し
ている
0%
3.どちらともい
5.不足している
えない
0%
0%
1.満たしている
74%
図 4.3.5-66 システムの機能は業務を満たしているか
1207
C) 病院向けシステムの機器構成(台数、大きさ)は十分か(対象:瀬戸病院)
「十分である」
「だいたい十分である」と回答した割合が、
、
91%であった(図 4.3.5-67
参照)
。本件に関し、以下のようなコメントがあった。
・部門システムと WEB 側システムとで、PC とプリンタを 1 つに集約してほ
しい。
(現在は部門システムと WEB 側システムで 2 セットの PC とプリンタ
を設置している。)
3.どちらともい
えない
4.やや不足し
9%
5.不足している
ている
0%
0%
2.だいたい十分で
ある
13%
1.十分である
78%
図 4.3.5-67 病院向けシステムの機器構成(台数、大きさ)は十分か(対象:瀬戸病院)
1208
D) QR コード作成/閲覧システムの機器構成(台数、大きさ)は十分か(対象:瀬戸病
院以外)
「どちらともいえない」と回答した割合が、75%であった(図 4.3.5-68 参照)。本
件に関し、以下のようなコメントがあった。
・より小さいプリンタにしてほしい。
・PC とプリンタの台数を集約してほしい。(現在は部門システムと WEB 側
システムで 2 セットの PC とプリンタを設置している。
)
1.十分で
ある 2.だいたい十
0% 分である
4.やや不足し
ている
25%
5.不足して
いる
0%
0%
3.どちらともいえな
い
75%
図 4.3.5-68
QR コード作成/閲覧システムの機器構成(台数、大きさ)は十分か(対象:瀬戸病院以外)
1209
2)
画面の分かりやすさ
満足度が 92%と、目標としていた 70%を上回った。文字サイズについては、
「高齢医師
のために文字が大きくなるように工夫してほしい」との要望があった。
A) メニュー構成は理解できたか
「理解できる」
、
「だいたい理解できる」と回答した割合が、100%であった(図
4.3.5-69 参照)
。
4.やや理解しにくい
0%
3.どちらともいえな
い
5.理解しにくい
0%
0%
2.だいたい理解で
きる
44%
1.理解できる
56%
図 4.3.5-69 メニュー構成は理解できたか
1210
B) 各機能の文字サイズ、色は見やすいか
「見やすい」
、
「だいたい見やすい」と回答した割合が、100%であった(図 4.3.5-70
参照)
。本件に関し、以下のようなコメントがあった。
・高齢医師のために文字が大きくなるように工夫してほしい。
3.どちらともいえな
い
4.やや見にくい
0%
0%
2.だいたい見やす
5.見にくい
い
0%
26%
1.見やすい
74%
図 4.3.5-70 各機能の文字サイズ、色は見やすいか
3)
操作のしやすさ
満足度が 88%と、目標としていた 70%を上回った。入力項目は業務や思考に沿っており、
医療従事者にとって入力しにくい項目は無かったが、利用者入力では「慣れ」が必要との
意見が出た。システム障害やバグによる入力トラブルは発生していない。
1211
C) 入力項目は業務や思考に沿っているか
「沿っている」
「だいたい沿っている」と回答した割合が、
、
95%であった(図 4.3.5-71
参照)
。本件に関し、以下のようなコメントがあった。
・複数患者を診察するので、患者一覧から一人選んで入力できるようにして
ほしい。
・払い出された利用者 ID を自動的に部門システムへ転記できるとよい。
3.どちらともいえな
い
0%
4.やや沿っ
ていない
5%
5.沿っていない
0%
2.だいたい沿って
いる
27%
1.沿っている
68%
図 4.3.5-71 入力項目は業務や思考に沿っているか
1212
D) 利用者にとって入力しにくい項目はあったか
「ない」と回答した割合が、67%であった(図 4.3.5-72 参照)。本件に関し、以下
のようなコメントがあった。
・初めての利用者の場合、入力に慣れるまで時間がかかる。
2.ある
33%
1.ない
67%
図 4.3.5-72 利用者にとって入力しにくい項目はあったか
E) 医療従事者にとって入力しにくい項目はあったか
「ない」と回答した割合が、100%であった(図 4.3.5-73 参照)
。
2.ある
0%
1.ない
100%
図 4.3.5-73 医療従事者にとって入力しにくい項目はあったか
1213
F) 運用中にシステム障害はあったか
「ない」と回答した割合が、89%であった(図 4.3.5-74 参照)。本件に関し、以下
のようなコメントがあった。
・QR-Code を印字できなくなる不具合があった。
(原因:トナー交換時にプ
リンタの設定が初期化されてしまった)
2.ある
11%
1.ない
89%
図 4.3.5-74 運用中にシステム障害はあったか
4)
その他
・患者基本情報入力は日本語入力が多いので、現行のまま PC の方が入力しやすい。
(4) ログ解析結果
1)
ユーザ別利用頻度
ユーザ ID 別ログイン数、ユーザ ID 別データ登録数、ユーザ ID 別データ閲覧数、いずれ
も目標としていた 1 ユーザ 1 回/1 週アクセスを上回った(表 4.3.5-12 参照)。目標値を満
たすユーザの割合は、ログイン数が 42%、データ登録数が 67%、データ閲覧数が 55%。
ログイン数の多いユーザはデータ登録数より閲覧数が多い傾向があり、健康に関心が高く、
入力データを何度も閲覧しているものと思われる。ログイン数の少ないユーザはデータ登
録数より閲覧数が少ない傾向があり、病院でデータ登録はするものの、家であまり閲覧し
ていないものと思われる。
1214
表 4.3.5-12 ユーザ別利用頻度
2)
システム機能別利用頻度
参照系機能は目標としていた週平均アクセス 15 を上回った(表 4.3.5-13 参照)。機能と
しては日々の子供の成長を記録する成長日記と、登録情報をよりユーザフレンドリに表現
した健康手帳の利用頻度が高かった。
更新系機能には、必要ではあるものの常時使われる機能が少ない為、日常から使われる
機能数だけで按分した。目標値は周産期小児健康情報 NW 事業での結果を元に設定したが、
実証期間が周産期小児健康情報 NW 事業に比べて半分以下であったこともあり、目標とし
ていた週平均 128 アクセスを上回ることはできなかった。
また、脱退した利用者は 0 人であり、目標を達成している。
1215
表 4.3.5-13 システム機能別利用頻度
1216
3)
利用媒体別利用頻度
周産期小児健康情報 NW 事業では、PC からのアクセスが 73%、モバイルからのアクセ
スが 27%であった為、比較すると PC からのアクセスが増えた(表 4.3.5-14 参照)。モバイ
ルの内訳はスマートフォンが 13.21%、携帯電話が 1.00%であり、サービス利用者が携帯電
話からスマートフォンに移行してきているようである。本サービスは携帯電話専用サービ
スを設けているものの、スマートフォンは PC からのブラウザアクセスと同様のサービス
となる為、今後、スマートフォン用サービスの展開を視野に入れる必要がある。
表 4.3.5-14 利用媒体別利用頻度
(5) 緊急時認証・情報開示サービス 検証結果
1)
概要
本実証において、顔認証を用いた緊急時認証、および認証結果を用いた情報開示につい
て、想定されたシーンに基づく一連の動作が可能なことを確認できた。大規模災害時など
には対象となる子供に関する情報が存在しない状況も十分に考えられるため、生体認証を
有効に活用することで MY 病院情報を有効に活用できる。しかし、検証の結果、本格的な
実用を行うために必要となる課題も明らかとなった。
2)
緊急時認証
顔認証ソフトウェアに登録された子供の顔写真に対して、別の顔写真を用いた照合に成
功した。しかし検証の結果、以下の課題も明らかとなった。
・顔認証ソフトウェアの精度向上
顔認証ソフトウェアによって照合を実施したが、正面を向いていない写真など、サン
プルによっては照合できないパターンも存在した。使用した顔認証ソフトウェアは、
成人の利用を前提としたチューニングが行われており、現段階では小児の顔について
の認証精度は未知数である。顔認証ソフトウェアの開発業者からは、認証精度向上の
ためには 1000 人以上のサンプルが必要とのコメントを得られている。今回のサンプル
では認証精度について評価するには不十分であるが、小児での本格的な実用化にはさ
らなる精度向上が必要と思われる。
・複数の認証方式認証を用いた精度向上
精度向上のためには、顔認証に加えて指紋や静脈など、複数の認証を用いたハイブリ
ッド認証が望ましいが、現段階では小児の指サイズに合わせたデバイスが存在しない。
また、顔認証は写真だけでも照合が可能であるが、ハイブリッド認証とする場合は専
用デバイスの常時携帯が必要となるなど、機器の整備も必要である。
1217
本コンソーシアムでは、周産期・小児の情報を扱っているため、緊急時認証における
生体認証技術も子供に対して利用することを想定した。しかし、成人においても意識
不明の身元不明者などが想定されるため、それらに対しても同様に生体認証技術が活
用できる。また、MY 病院サービスの利用者以外にも、救急現場の救命士が情報開示の
認証に用いることで、認証手順の簡略化や認証精度の向上が可能である。対象が子供
であるために、ソフトウェア、デバイスなどには解決すべき課題が存在するが、成人
であれば顔認証もチューニングが行われており、ハイブリッド認証用のデバイスも用
意されているため、現状の技術で十分に実用化が可能である。
3)
情報開示
緊急時認証によって照合された子供に関する、MY 病院の公開同意情報開示は問題なく
実施することが出来た。
しかし検証の結果、以下の課題も明らかとなった。
・公開同意対象および同意期間の設定
検証では、救急救命機関を 1 事業者と想定した公開同意を行った。事業者への公開同
意は、情報の不正参照などを避けるために公開期間を設定し、参照可能端末も制限し
ているが、救急の場合情報参照が必要となる事態がいつ発生するか不明であるため、
期間の設定は無期限とする必要があると思われる。
他にも、他コンソーシアムで実施されている救急時の情報活用結果をふまえ、救急時
に公開すべき情報の選択、追加等の対応も必要と思われる。
・情報参照者の ID・パスワード管理
情報参照を行う救命士などの ID、パスワードも管理が必要となる。本実証では、本コ
ンソーシアムに閉じたシステムとしているが、救急シーンでの活用を想定した場合、
個々の事業者に対して個別に照合・参照を行うのは非常に煩雑であり、時間も要して
しまう。実際にサービスを提供する場合は、複数の事業者を横断した照合および情報
参照を行うサービスが必要と思われる。
1218
4.3.5.2.5 事業継続性の検討
事業継続性として、収支計画の検討を行った。
(1) 基本サービスの収入
収入計画を表 4.3.5-15 に示す。基本サービス(データ保管・閲覧)の収入として、利
用者よりサービス料金を、3 年分を一括で徴収することを想定している。3 年分の対価を
初年度に全て売上げ計上できない為、サービス対価(1 年分)を毎年売上げ計上し、残り
は前受け金として処理する。
平成 25 年度の新規獲得顧客は瀬戸病院(年間分娩数 1,600 件)来院の妊婦を想定。初
年度は瀬戸病院のみを対象とする。次年度に向けて他医療機関への営業活動は行う。
平成 26 年度の新規獲得顧客は所沢地域で、瀬戸病院(産科/小児科)
、峰の坂産婦人科、
みかみこどもクリニック(小児科)に来院の妊産婦様の利用を想定している。他の地域で
3 つの産科(年間分娩数 600~1,500 程度)産科、1 つの小児科の累計 7 病院の展開を想
定している。
平成 27 年度の新規獲得顧客数の目標は 4,000、累積 6,000。26 年度顧客に加え新規に
3つの産科(年間分娩数 600~1,500 程度)
、1 つの小児科の累計 11 病院の展開を想定し
ている。
平成 28 年度の新規獲得顧客数の目標は 6,000、累積 12,000。27 年度顧客に加え新規に
3 つの産科(年間分娩数 600~,1500 程度)産科、1 つの小児科の累計 15 病院の展開を想
定している。
利用者数の推移(想定)を表 4.3.5-16 に示す。
サービス利用者確保の協力を促す医療機関として、所沢地域の医療機関は、24 年度の
実証にて協力頂いた医療機関、他の地域の医療機関については、トーイツ、キーウェアに
コネクションがある医療機関を想定している。
(2) 出版サービスの収入
出版(健康情報)サービスとして、健康アルバム(健康情報を書籍化)出版サービス展
開予定している。フォトブックサービスを提供しているサービス提供者との連携を検討し
た。フォトブックの原価は 1,500 円程度を想定し、フォトブックに成長日記から登録され
た画像等を載せて単価を 3,000 円として販売を想定している。本項目は差分の収入分
1,500 円/1冊で算出した。サービス開始1年目は利用者の 10%程度、2 年目以降は利用者
の 15%程度がサービスを利用することを想定している。
(3) 出資
事業を LLP(有限責任事業組合)として実施。平成 25 年度に LLP 設立出資金として
LLP 構成員より 1,700 万円を予定している。26 年度も追加出資 1,500 万円を予定してい
る。LLP 単体で収益がプラス(追加出資不要)になるのは 28 年度以降となる。利用者 7000
人確保が目処となる。
1219
表 4.3.5-15 収入計画
1220
表 4.3.5-16 基本サービスの利用者数の推移(想定)
(4) 人件費
支出計画を表 4.3.5-17 に示す。人件費に関して、LLP 構成員作業(自社業務扱い)と
する為、LLP 構成員は出資金以外に、自社内の人材リソースを LLP に提供する必要があ
る。提供リソースに関しては、LLP 利益配分率に勘案する。リソースは LLP 構成員で分
担する。想定される人材リソースとしては営業と技術者がいる。
現行の営業担当者(医療機器販売)が営業活動の中で、医療機関に本サービスの紹介も
実施する。営業担当者 5 名の 10%程度(月 16 時間×5 名)のリソースの提供が必要とな
る。
ソフトウェア運用/保守業務として、SE2 名の 20%(月 32 時間×2 名)のリソース提供
が必要となる。システム(ネットワークやサーバ)管理として、システム管理者 2 名の
15%(月 24 時間×2 名)のリソース提供が必要となる。
その他の人件費として、医療機関窓口業務(サービス申込の受付)担当員、経理担当者
の業務に関しては、外部リソースを活用する。窓口業務は 1 医療機関毎に月間 20 万円程
度のスタッフが、週 3 日程度の稼動することを想定している。近隣施設(例
所沢地域:
瀬戸病院/峰の坂産婦人科/みかみこどもクリニック)に関しては、兼任業務も考慮する。
平成 26 年度は所沢地域 3 病院で 2 名、他 4 病院で 3 名(2 病院で兼任)を想定している。
平成 28 年度は所沢地域 3 病院で 2 名、他 12 病院で 10 名(2 病院×2 で作業兼任)を想定
している。
1221
経理業務は会計士が、月 3 日程度稼働(月額 15 万円程度)することを想定している。
(LLP は会計帳簿を作成する必要があるが、監査および提出義務は無く、LLP 内の入出金
も複雑ではない為、会計士の稼動は月に 3 日の稼動で十分であると判断。
)
表 4.3.5-17 支出計画
1222
(5) システム関連費
システム関連費(外注・委託分含む)は、実証事業内の実績値を元に算出した。ハード
ウェアリースは、平成 24 年度実証事業内のリース品を再リースし、サービス提供を行う。
ディスク増設(リース)は、利用者情報量の増大に伴い必要と想定している。顧客増加率
を元に 26 年度に 4 年分を算出、現在の想定は 1200 万・48 ヶ月リース・リース率 2.4%
で、年額 360 万円となる。
LLP のデータセンターとしては、瀬戸病院サーバ室を利用する。事業規模の拡大に伴い、
NEC データセンターへの移設を検討する。
出版(健康情報)サービスに関わる開発費用(システム連携費用)は、25 年度開発費
の中に含まれる。システム改修に係わる人件費に関して、LLP 構成員作業(自社業務扱
い)とする為、外注委託分のみの費用を算出。平成 26 年度以降は、事業の収益確保でき
るまで新規機能開発は凍結予定とした。
(6) その他の支出
その他の支出として、配当金があり、LLP は原則利益内部保留を行わない為、利益に関
しては、LLP 構成員に配当する。広告宣伝費として 300 万円を想定している。システム
セキュリティ強化の為、システムの脆弱性監視サービス費用が必要となる。個人情報漏洩
に対する賠償責任保険へ加入し、保険金額として年額 90 万円を想定している。
(7) 収支計画
収支計画を表 4.3.5-18 に示す。LLP は原則利益内部保留を行わない為、利益は全て配
当し、収支は 0 となる。配当比率を出資比率と比例させることで、出資者の出資金回収を
優先する(出資金は回収する)
。事業開始 3 年目で事業単体で黒字化を目指す。累積収益
のプラスは事業開始 5 年後を想定している。事業継続に必要な資金に関して LLP 構成員
から出資金として調達予定である。
表 4.3.5-18 収支計画
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4.3.5.3 総括(本事業の取りまとめ)
4.3.5.3.1 本事業で把握された課題と解決に向けた検討
(1) 運用における課題
1)
利用者が管理する健康情報の引継ぎ
利用者が未成年の場合、利用者本人に加え、代理人として親権者の氏名を契約時に同意
書等に記載するため、どこでも MY 病院サイトへ登録された情報は、本人が 20 歳になった
時点で自然に本人に引き継がれることとなる。一方で、本人に権利能力がない胎児の場合、
どのタイミングで親権者から引き継がれるか、検討が必要である。なお、WG では、
「利用
者が 20 歳(基準)になり希望した時点で、親から子へ引き継ぐ。但し、利用者が 20 歳以
上でも、経済的・身体的に自立していない場合には、親権者等により管理を継続すること
ができる」といった案が示された。
2)
学校、自治体との情報連携(予防接種・健診等)
学校保健法で規定される健診や予防接種など、学校・自治体で管理される健康情報の取
り扱いについて、今後、サービス提供する地域(市町村の保健部門)と、上記情報の連携
について検討が必要。
3)
医療機関側の人的な負担 (電子カルテのない場合)
医療機関から利用者への情報提供(QR コード)には、端末への入力行為(iPad 等)が
必要。現状、スタッフ(看護師等)の代行入力で対応。今後は同作業を代行する事業者と
の連携を検討する必要がある。
(2) システムにおける課題
1)
サービスコンテンツの拡充(補助的な問診・トリアージのようなサービス)
健康管理専門サイトとして機能拡充の要望が多数ある。簡便な(診療行為とならないレ
ベル)アドバイス・コラム掲載などを検討する必要がある。
2)
データ登録・利用方法のイノベーション(利用する情報媒体の在り方)
周産期小児健康情報 NW 事業の課題として、QR コードの使い勝手に関する不満が多数
ある。原則的に東北 HC 事業もこれを踏襲しているが、今後については、NFC の活用等、
利用者のITリテラシーと利便性にも配慮した技法の採用が望まれる。
3)
ユーザインターフェイスの改善(触ってみたいと思わせる仕組み)
iPad を活用しており、より直観的なユーザインターフェイスのニーズが存在する。
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4.3.5.3.2 総括
本事業では、周産期(母体・胎児)から乳幼児期・小児期へと連続する医療・健康情報が、被
災地または被災地を支援する地域においても管理・活用され、中長期的な利用者の QOL を向上
する環境づくりの一助となるべく、IT の利用によるサービスの在り方について検討し、実証を行
った。
本事業における成果は、主に、パソコンや携帯電話を活用し、問診情報や母子健康手帳諸情報、
お薬手帳情報などの医療・健康情報を外出先でも容易登録し、開示できる仕組みを構築したこと
である。また、サービスの提供対象範囲を、小児期へと拡張・展開したことで、予防接種情報、
お薬手帳情報などの情報管理項目の拡充に対応し、被災地域において有効に活用される仕組みと
なったと考えられる。
一方で、サービス提供方式の平易性(操作性)や、収支面での事業継続性等において課題が確
認され、これらの課題については、今後も引き続き検討する必要ある。
今後の事業展開に関しては、サービス提供対象範囲をより拡充していくため、複数の医療機関
をはじめ、学校・自治体等との提携や、親から子への医療・健康情報の管理権限の引き継ぎ等に
関して、具体的なアプローチを検討し、あわせて、子供や母親が楽しみながら健康管理ができる
より利便性の高いサービスコンテンツの拡充等に努める必要がある。
また、利用者評価の低かったユーザインターフェイス等については、最新の技術動向に照らし、
NFC(小電力無線通信)技術の活用等についても検証を加え、より平易なサービス提供を実現し
ていきたい。
今後、本事業の成果を踏まえ、事業継続性に関する収支計画および、ビジネスモデルの精査、
運営主体 LLP(有限責任事業組合)等の設立を通じ、本事業を持続的に展開することで、被災地
または被災地を支援する地域において、周産期・小児期の子どもの QOL の向上、母親の出産・
子育ての一助になると考える。
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