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サポート&トレーニング
ポイント整理編
2章
本科 / Z Study サポート&トレーニング / 地理 見本
自然環境2(気候・植生・土壌)
XGQA2A-Z1J1-01
₁ 気候の成因
気候とは
ある場所における長年にわたる大気の平均的な状態のことを気候という。
*気候は,気温・降水量・風・気圧・湿度・雲量・日照・蒸発散などの気候要素によって構成される。
*気候要素は,緯度・水陸分布・隔海度(海からの距離)・地理的位置(大陸の東岸・西岸)・海抜高度・
地形・海流などの気候因子の影響を受けて,多様な気候を生んでいる。
気候要素
1. 気温
世界の年平均気温の等温線は,緯度にほぼ平行である。
*気温の日較差・年較差:気温の日変化と年変化の大きさをいう。これらは隔海度の影響を強く受ける
ので,一般に大陸内陸部や山間部で大きく(大陸性気候),沿岸部で小さい(海洋性気候)。
2. 降水
世界の年降水量の分布を緯度別に見ると,赤道付近で最も多く,回帰線付近で少ない。
大陸上での降水は,隔海度が増すにつれて減少する。
風上の斜面で多く(地形性降雨)
,風下の斜面では少ない。
3. 風
▼大気の大循環の模式図
大規模な風の流れ(風系)は決まる。なお,風は気圧の
極高圧帯
高 緯
度
偏西風
低
寒帯前線
高
高い所から低い所に吹く。
*恒常風:大気の循環によって1年中吹く風で,貿易風・
中緯度高圧帯
熱 帯前 線
赤道低圧帯
南東貿易風
べきものだが,地球が自転しているため転向力(コリ
左方向に風向を変えられる。
高
北東貿易風
偏西風・極東風がある。恒常風は本来南北方向に吹く
オリの力)が働き,北半球では右方向に,南半球では
帯
圧
生じる。低圧帯と高圧帯が形成され,この分布によって,
極東風
るほど低温になる。この温度差が原因で大気の大循環が
極東風
度地方で少ないので,低緯度地方は高温で,高緯度にな
北極
地 球が太陽から受け取る熱量は低緯度地方で多く,高緯
中緯度高圧帯
高
偏西 風
寒帯前線
低圧
度
高 緯
極高圧帯
高
帯
南極
貿易風
中緯度高圧帯から赤道低圧帯へ吹く風。北半球では北東貿易風,南半球では南東貿易風になる。
偏西風
中緯度高圧帯から高緯度低圧帯に吹く風。中~高緯度の上空では強い西風(ジェット気流)になる。
極東風
極高圧帯から高緯度低圧帯に吹く風。周極風ともいう。
*上記のほか,ある程度広い範囲に吹く風として,モンスーン(季節風)や地方風(フェーン・ミスト
ラル・ブリザード・やませなど)などがある。
◎気候因子の₁つである海流は,ほぼ決まった流向と流路を持った大規模な海水の流れである。偏西
風・貿易風などが発生の主因であるので,海流は大気の大循環とよく似たパターンを示す。
10
ポイント整理編
XGQA2A-Z1J1-02
気候・植生・土壌
₂
ケッペンの気候区分
ドイツの気候学者ケッペンは,樹林や草原などの植物分布に着目し,植物の生育に障害となる最寒月気温
や降水量の乾燥限界などを基準に,世界を₅気候帯に区分し,さらに気候区に細区分した。
気候帯
気候帯記号の説明
気候区
(熱帯雨林気候区)
Af
A(熱帯)
Am (熱帯モンスーン気候区)
最寒月平均気温18℃以上
Aw (サバナ気候区)
樹
Cs (地中海性気候区)
木
C(温帯)
気
最寒月平均気温-3℃以上18℃未満
候
Cw (温暖冬季少雨気候区)
Cfa (温暖湿潤気候区)
Cfb (西岸海洋性気候区)
D(冷帯)
無
樹
木
気
候
最寒月平均気温-3℃未満かつ
Df
最暖月平均気温10℃以上
Dw (冷帯冬季少雨気候区)
(冷帯湿潤気候区)
BW (砂漠気候区)
B(乾燥帯)
降雨が少なく乾燥
E(寒帯)
最暖月平均気温10℃未満
BS (ステップ気候区)
ET
(ツンドラ気候区)
EF
(氷雪気候区)
記号の説明
a ~ d: S:ステップ w:冬乾燥,夏雨
W:砂漠s:夏乾燥,冬雨
T:ツンドラ f:年中平均して降雨
F:氷雪
m: fとwの中間型
最暖月平均気温
22℃以上
22℃未満
a
b
c
月平均気温
最寒月平均気温
10℃以上が₄カ月以上
10℃以上が₁~₃カ月
-38℃以上
d
-38℃未満
◎高山気候(H)は,アメリカ合衆国の地理学者トレワーサによる修正である。
気候帯と植物帯・土壌帯との関係
乾燥
湿潤
氷雪気候区 EF
乾燥
寒冷
湿潤
氷 雪
乾燥
寒冷
湿潤
土壌は形成されない
ツンドラ気候区 ET
ツンドラ
ツンドラ土
冷帯 Dw・Df
タ イ ガ
ポ ド ゾ ル
〔気候帯〕
ステップ
砂 半 半
温帯
砂 漠 乾 湿 Cs・Cw・Cf
燥 潤
熱帯
BW BS
Aw・Am・Af 温暖 漠
長 温 落葉樹・
草 帯 混合林
草
常緑広葉樹
原
サバナ 熱帯林 温暖
砂 栗 黒
漠 色 色
土 土 土
〔植物帯〕
寒冷
褐色森林土
赤 色 土
ラトソル 温暖
〔土壌帯〕
肥沃土
やせ土
*成帯土壌=気候と植生の影響を受けた土壌で,多雨地域の湿潤土と少雨地域の乾燥土とに分類される。
*間帯土壌=母岩の性質を強く反映し,その分布は局地的である。
例:テラロッサ(地中海沿岸)
・テラローシャ(ブラジル高原)
・レグール(デカン高原)
・レスなど。
11
自然環境2 (気候・植生・土壌)
2
XGQA2A-Z1J1-03
₃ 世界の気候環境
気候環境
人間は生活様式を気候に適応させて,エクメーネ(居住地域)を ▼気候区の模式図(仮想大陸)
90°
N
拡大させてきたが,極地・砂漠・高山にはまだアネクメーネ(無
居住地域)が見られる。
ⅰ中緯度砂漠(中緯度高圧帯の影響)……サハラ砂漠
Cfa
あまかげ
60°
Dw
Cfb
Cs
30°
Df
BS
BW
Cw
Aw
0°
0°
Cw
BW
30°
ⅳ雨陰砂漠……パタゴニア地方
ⅴ寒冷地砂漠……北極海沿岸,高山の山頂付近
Cs
BS
2. 砂漠地域の気候
30°
Cfa
Cfb
60°
※ケッペンの気候区分ではⅰ~ⅳはBW,ⅴはET。
30°
Cfa
Af
Aw
ⅱ内陸砂漠……ゴビ砂漠
ⅲ海岸砂漠(主に寒流の影響)……ナミブ砂漠・アタカマ砂漠
Df
60°
砂漠地域
1. 砂漠の成因別分類
EF
ET
ET
60°
EF
90°
S
砂漠では植生がほとんど見られず,気温の日較差が非常に大きい。しかし,蒸発が盛んで湿度が低いた
め,水が確保できれば,常に高温湿潤な熱帯地域よりすごしやすいといわれる。
高山地域
1. 高山地域の気候
高山地域では気温が垂直変化するため,同緯度の低地よりも平均気温が低下し,低地から高山にかけ
て,各気候が垂直的に変化し分布する。
ていげん
*対流圏内では,海抜高度が100 m 上昇するごとに,平均約0.65℃ずつ低下する(気温の逓減率)
。
*高山地域は空気が薄くなり,気圧が低くなる。日射が強く,紫外線量も多い。
2. 常春気候
低緯度地方の標高2 ,000 m ~3 ,000 m の地域では,₁年を通して春のような気候になる。気温の年較差
は小さいが,気温の日較差は大きい。キト・ラパス・ボゴタなどの高山都市も立地している。
モンスーン(季節風)
1. モンスーン(季節風)とは
大陸と海洋の比熱の違いにより気圧配置が季節ごとに逆になるため風向が変わる風を,モンスーンという。
※比熱とは,物質₁ g の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量のこと。大陸(岩石)と海洋(海水)
を比較すると,大陸の方が海洋よりも比熱が小さい(暖まりやすく冷めやすい)。
夏季:大陸が高温で低圧部になり,海上の高圧部から風が吹く。
冬季:海洋が高温で低圧部になり,大陸の高圧部から風が吹く。
2. 主なモンスーン地域
東アジアから南アジアにかけて,夏季のモンスーンにより多量の降雨がもたらされ,稲作に適する環境
となる。
*日本………夏季は太平洋からの南東風,冬季はユーラシア大陸からの北西風。
*南アジア…夏季はインド洋(アラビア海)からの南西風,冬季はユーラシア大陸からの北東風。
熱帯低気圧
熱帯低気圧は中心気圧が非常に低く,暴風雨を伴う。発生する地域により名称が異なる。
*台風…太平洋北西部の熱帯海域で発生 *ハリケーン…カリブ海・メキシコ湾で発生
*サイクロン…ベンガル湾・アラビア海で発生 *ウィリーウィリー…オーストラリア北海域で発生
12
ポイント整理編
XGQA2A-Z1J1-04
自然環境と人間生活
₄
熱帯地域の生活~カリマンタン島~
1. 自然環境
*モンスーンアジア:モンスーン(季節風)の影響を受けるアジア地域。
*カリマンタン島は,赤道付近に位置する。年間を通して高温多雨な島であり,熱帯雨林が広がる。
2. 熱帯雨林での生活
*浸水を防止し,風通しをよくし,害虫・小動物などの侵入を防ぐため,高床式住居が多い。また,排
水のよい急斜面の屋根を持つ家屋が多い。
*焼畑農業(陸稲・キャッサバなどの栽培),狩猟・漁労・採集生活による自給経済が営まれている。
◎アジアの熱帯地域の大河の下流域(デルタ地帯)では,モンスーンによる降雨と高温を利用して稲作
が行われている。
◎かつてヨーロッパが植民地を形成した熱帯地域にはプランテーションが多く,現在もプランテーショ
ンで天然ゴム・油ヤシ・ココヤシなどの生産に従事する者も多い。
乾燥地域の生活~西アジア・北アフリカ~
1. 砂漠地域の生活
*アドベ(日干しれんが)で建てた家屋が多い。日射と高温を避けるため,壁が厚く窓が小さい。
*オアシス農業:オアシス・外来河川・地下用水路を利用し,ナツメヤシ・野菜・小麦などが栽培され
ている。
※地下用水路は地域により名称が異なる。
▼力ナ一トの模式図
―→カナート(イラン),カレーズ(アフガ
ニスタン・パキスタン)
,フォガラ(北アフ
リカ)など
集落
耕地
帯水層
*熱を遮り水分の蒸発を防ぐため,すっぽりと身体を包む衣服を着用する。
2. ベドウィンの生活
*遊牧民:アラビア半島では,ラクダや羊の遊牧を営むベドウィンが居住している。近年,サウジアラビ
アなどでは遊牧民の定住化政策が採られ,遊牧民の中には,油田地帯の労働者になる者も増えている。
寒冷地域の生活~シベリア~
1. 自然環境
*ロシアのウラル山脈以東をシベリアという。タイガ(針葉樹の純林)が広がる。冬季の寒さが厳しい
大陸性気候を示す地域であり,北半球の寒極が存在する。
*北極海沿岸は,夏季には永久凍土の表層が解けて蘚苔類・地衣類が生育するツンドラとなっている。
*暖房の熱で永久凍土の表層が解けて,建物が傾くなどの被害を防ぐため,高床式住居が多い。寒さを
防ぐため,二重窓と暖房装置(ペチカ)を設けている。
2. 先住民の生活
*ツンドラ地域では,農耕ができず,先住民によりトナカイの遊牧,狩猟・漁労などが行われている。
◎シベリアは資源が豊富な地域であるため,とくに1860年代以降,ロシア人の進出と開発が進んだ。ま
た,ソ連時代の計画経済の下,遊牧を営む先住民の定着化が進められた。
高山地域の生活~アンデス地方~
1. 自然環境
*低緯度の高山地域(標高2 ,000 m ~4 ,000 m)では,気温の年較差が小さく,年間を通して温和・冷
涼な気候(常春気候)が見られる(但し,気温の日較差は大きい)。
13
自然環境2 (気候・植生・土壌)
2
XGQA2A-Z1J1-05
*高山都市:低緯度地方にありながら,高原に立地しているため年 ▼エクアドル付近の作物と植生
中温和・冷涼な気候の都市。アンデス山中には,キト(エクアド
ルの首都),ラパス(ボリビアの事実上の首都),ボゴタ(コロン
ビアの首都)などの高山都市がある。
*自然環境の垂直的変化に応じて,栽培作物も変化する。高地では
ジャガイモ,その下の地域ではトウモロコシなどが栽培されてい
る。高地草原は,リャマ・アルパカなどの放牧地となっている。
*リャマは主に荷役用,アルパカは主に採毛用の家畜である。
2. 先住民インディオ(インディヘナ)の生活
*強い日差し・紫外線を避けるため,つばの広い帽子を着用する。
また,寒暖の差に対応できるよう,着脱の容易な貫頭衣(ポン
チョ)などを着用する。女性はスカートの重ね着もする。
*住居は,日干しれんがや石でつくった家が多い。
m
5,000
放牧地
高地草原
4,000
耕作限界
ジャガイモ
3,000
バナナ
の上限
キト
温帯林
2,000
サトウ
キビ
カカオ豆
1,000
稲
熱帯林
太平洋
低地の生活~オランダ~
1. 自然環境
*ポルダー:国土の₄分の₁は,標高が海面下のポルダーと呼ばれる干拓地が占めている。ゾイデル海
を堤防でしめ切り,堤防内部から排水してアイセル湖を作り,そこにポルダーを造成している。
2. ポルダーでの生活
*ポルダーは牧草地・放牧地に利用され,酪農が行われている。かつては,偏西風を利用した風車に
よって,ポルダー内の水の排水や製粉などが行われていた。
世界の自然災害
1. 地震災害
*地震:プレートの境界では,地震が頻発している。揺れ,地盤の液状化,津波による建築物の損傷,
死傷者の発生などの被害が出る。近年日本で発生した大きな地震は,新潟県中越沖地震,能登半島地
震,新潟県中越地震,兵庫県南部地震など。
*液状化現象:地表付近の水分を含んだ土砂が,地震の震動により流動化して液体のようになる現象。
道路や建築物などが沈み込みや破壊などの被害を受ける。
*津波:地震や地滑り,火山の噴火などによって引き起こされる高波。スマトラ沖地震による津波で
は,甚大な被害が出た。
2. 火山災害
*火山災害:火山は噴火に伴って,火山灰や溶岩,火山ガスなどを放出する。溶岩が岩石や高温ガスと
混ざり合って火山の斜面を高速で流れ下る現象を,火砕流といい,大きな被害をもたらす。三宅島の
雄山,雲仙普賢岳,ピナトゥボ火山などの噴火では,火砕流により大きな被害が出た。
*火山の恩恵:火山は災害を発生させる一方で,熱せられた地下水による温泉,地熱発電,観光資源な
どに利用されている。
3. 気象災害
*洪水:河川が著しく増水する現象。河川から水があふれ出す。
*集中豪雨:限られた地域に短時間に大量の雨が降る現象。近年,都市型の集中豪雨とそれに伴う浸水
被害が増加傾向にある。
*土石流:土砂や岩などが水と混ざり合って,高速で流下する現象。
14
ポイント整理編
XGQA2A-Z1J1-06
用語チェック
自然環境2 (気候・植生・土壌)
1 緯度や海抜高度など,気温・降水量・風などの気候要素の地理的な分布に影響を
2
気候因子
与えるものの総称を何というか。
2 一般に,気温の年較差は,大陸東岸では大陸西岸に比べて( )い。
大き
3 一般に,降水量は,寒流が流れる地域では( )い。
少な
4 恒常風には,( )風・偏西風・極東風がある。
貿易
5 モンスーン(季節風)は,大陸と海洋の( )の違いにより生じるとされる。
比熱
6 フランス南東部のローヌ川流域を南下する寒冷な地方風(局地風)を何というか。
ミストラル
7 南半球に存在しない気候帯は( )帯である。
冷
8 ( )土壌は,母岩の性質を強く反映した,分布が局地的な土壌であり,(プ
間帯
レーリー土・テラロッサ)がその代表例である。
テラロッサ
9 アマゾン川流域の熱帯雨林を何というか。
セルバ
10 熱帯雨林地域で,ほぼ毎日規則的に見られる激しい降雨を何というか。
スコール
11 湿潤な熱帯地域で見られ,酸化鉄やアルミニウム酸化物を多く含む,やせた赤色
ラトソル
土を何というか。
12 雨季と乾季がある熱帯地域に分布し,疎林と灌木が混じる草原を何というか。
サバナ
13 砂漠の中で,局地的に水が得られ,植物が生育する所を何というか。
オアシス
14 グレートプレーンズや乾燥パンパに広がる,砂漠周辺に分布する気候区を,ケッ
BS
ペンの気候記号で答えよ。
15 温帯の最寒月平均気温は( )℃以上18℃未満である。
-3
16 ウクライナを中心に分布する世界的に肥沃な黒色土壌を何というか。
チェルノーゼム
17 温帯草原の代表例として,ブエノスアイレスを中心に広がる( )がある。
パンパ
18 主な植生が硬葉樹林である気候区を,ケッペンの気候記号で答えよ。
Cs
19 日本列島が属するCfa の特徴は,降水量が年中( )く,気温の年較差が比較
多
的( )いことである。
20 高緯度地域や,大陸東岸の内陸部に分布するCw地域では,夏季には(大陸・海
大き
海洋
洋)からのモンスーンや熱帯低気圧により多量の降雨がもたらされる。
21 西ヨーロッパでCfb が広く分布するのは,暖流の( )海流や,その上空を渡っ
てくる( )風の影響を受けるからである。
北大西洋
偏西
22 冷帯地域に分布する針葉樹の純林を何というか。
タイガ
23 冷帯地域に分布するやせた酸性土壌を何というか。
ポドゾル
24 ET地域で主に見られる,₁年中₀℃以下の温度を保つ土壌層を何というか。
永久凍土
25 中緯度高圧帯の影響のみならず,寒流のペルー海流と南西からの風を受けて形成
アタカマ砂漠
された,アンデス山脈西側の砂漠名を答えよ。
26 温暖湿潤な東南アジアでは,湿気や動物からの被害を避けるために,住居を建築
するに当たってどのような工夫がなされているか。
住居の床を高くし
ている
27 ジャワ島やルソン島では,平野が狭いため,( )で米作が行われている。
棚田
28 イランでよく見られる地下用水路を何というか。
カナート
29 北極海沿岸のツンドラ地域に住む先住民サーミの従来の主な生業は何か。
トナカイの遊牧
30 低緯度の高山地域は年間を通して温和だが,気温の( )較差は大きい。
日
31 アンデス山脈で生活する人々の主食には(ジャガイモ・ナツメヤシ)がある。
ジャガイモ
15
資料問題の解法編
2章
自然環境2(気候・植生・土壌)
XGQA2A-Z1J2-01
気候区分とハイサーグラフ
ハイサーグラフは,センター試験で頻出である。読み方を身につけておこう。なお,問題内で単に「気候
区分」と述べられている際は,一般にケッペンの気候区分(A~E気候)と高山気候(H気候)のことと認
識すればよい。
問題
次のA~Dのハイサーグラフを見て,下の問に答えよ。
℃0 9 8 2
1
30
A
12
100
3
200
4
5
20
10
B
7
18 ℃
11
6 10
−10
30
0
−10
C
100
1
20
5
10
4
3
11
12
2
年平均気温 8.2℃
年降水量 1,130 ㎜
1
6
−3 ℃
年平均気温 17.0℃
年降水量 211 ㎜
12
D
4
10
10 5
0
11
100
30
9
300 ㎜
2
℃0
8
7
6
3
0
300 ㎜
200
4
10 10
200
7
8
5
20
−10
℃0
10
100
30
6
9
年平均気温 25.8℃
年降水量 1,137 ㎜
0
20
℃0
300 ㎜
9
78
200
300 ㎜
11
12
3 2
1
年平均気温 8.8℃
年降水量 668 ㎜
−10
問₁ 標高が最も高い地点のハイサーグラフを,A~Dのうちから₁つ選べ。
問₂ 日本でも見られる気候区のハイサーグラフを,A~Dのうちから₁つ選べ。
問₃ B・Cの気候区で共通して栽培される世界的な生産量を持つ農作物を₁つ答えよ。
解答欄
問₁ 〔 〕 問₂ 〔 〕 問₃ 〔 〕
§ 最寒(最暖)月平均気温から気候帯を判断する
§ 降水量の季節配分から気候区を判断する
解法
問₁・問₂ Aは最寒月平均気温が
①
℃以上なので,A気候(熱帯)。A気候は₃区分ある。Aの降水
量の季節配分を見ると雨季と乾季があることから,気候区を決定する。Bは年降水量からB気候(乾燥帯)
と考えられるが,気候区がBWかBSか迷う。この場合,乾燥限界(「まとめ」を参照)を用いる。降雨パ
ターンが冬雨型なので,r =20 t の式に数値を代入する。r =20×17. 0=340となり,年降水量(211㎜)が
1
2
70
r の170より大きいので,BSと判断できる。Cは最寒月平均気温が
②
℃未満で最暖月平均気温が
資料問題の解法編
XGQA2A-Z1J2-02
③
℃以上なので,D気候(冷帯)。降水量の季節的な配分に著しい差がないので気候区が決定できる。
Dは年中常春なので,低緯度の高山気候(H)である。但し,高山気候はケッペンの気候区分にはなく,ケッ
問₃ Bとウクライナ~ロシアのチェルノーゼム地帯の大部分が,Cとカナダの平原₃州(アルバータ州・
サスカチュワン州・マニトバ州)の大部分が,それぞれ同じ気候区に属する。そこに共通して栽培される世
界の₃大穀物の₁つは何か。
A―ダルエスサラーム(Aw) B―テヘラン(BS) C―札幌(Df)
D―ラパス(H または Cw)
まとめ
■気候区分の判定方法
右の図により,
最寒月平均気温18℃以上→A気候
Af・Am・Aw に分類
最少雨月降水量
㎜
A気候の分類
Af
60
40
Aw
20
0
1,000
C気候の分類
Am
1,500
2,000
年降水量
2,500 ㎜
夏季に乾燥
(冬季に雨)
→ Cs [最多雨月降水量>最少雨月降水量×₃]
最寒月平均気温 -₃℃以上→ C 気候 冬季に乾燥
(夏季に雨)
→ Cw[最多雨月降水量>最少雨月降水量×10]
18℃未満
最暖月平均気温22℃以上→ Cfa
年中平均して降雨→ Cf
最暖月平均気温22℃未満→ Cfb
D気候の分類
年中平均して降雨→ Df
最寒月平均気温-₃℃未満
→D気候
冬季に乾燥(夏季に雨)→ Dw[降水量条件は Cw と同じ]
最暖月平均気温 10℃以上
E気候の分類
最暖月平均気温₀℃以上10℃未満→ ET
最暖月平均気温10℃未満→E気候
最暖月平均気温₀℃未満→ EF
B気候は乾燥限界により判定〈r =乾燥限界(㎜),t =年平均気温(℃),p =年降水量(㎜)〉
冬季に乾燥(w 型):r =20(t +14)
1
2 r ≦ p < r → BS
平均して降雨(f 型):r =20(t +7)
or
r(乾燥限界)を求める
→
夏季に乾燥(s 型):r =20 t
p < 12 r → BW
[降水量条件は C 気候と同じ]
H気候
とくに判定の方法はない。低緯度地方では,年中過ごしやすい気候。
空欄の解答 ① 18 ② -₃ ③ 10
解答
問₁ D 問₂ C 問₃ 小麦
71
2
自然環境2 (気候・植生・土壌)
ペンの気候区分によれば,Dの場合は Cw となる。
XGQA2A-Z1J2-03
気候区分と雨温図
雨温図は,センター試験のほか,東大入試など多くの大学・学部の入試で出題される。ハイサーグラフと
ともに読み方をしっかり身につけておかなくてはならない。
問題
次の A ~ D の雨温図を見て,下の問に答えよ。
(℃)
A
30
B
C
D
(㎜)
400
気温
20
300
200
10
降水量
0
−10
1
6
12
T:15.5℃
P: 746.9 ㎜
100
1
6
12
T:22.9℃
P: 2,223.2 ㎜
1
6
12
T:15.6℃
P:1,405.3 ㎜
1
6
0
12 月
T:10.6℃
P: 647.9 ㎜
(T:年平均気温 P:年降水量)
問₁ 米を主食とする人々が多く居住する地域の雨温図として適当なものを₂つ選べ。
問₂ 料理にオリーブ油をよく使う地域の雨温図として適当なものを₁つ選べ。
解答欄 問₁ 〔 ・ 〕 問₂ 〔 〕
§ 最寒(最暖)月平均気温から気候帯を判断する
§ 降水量の季節配分から気候区を判断する
解法
問₁ まず,気候帯を決定するために最寒月平均気温に注目すると,₄つの雨温図とも-₃℃以上18℃未満
なので,温帯(C気候)と判断する。次に気候区を決定するために降雨パターンに注目すると,Aは夏乾燥
し,冬雨型なので
①
気候区(Cs)である。Bは反対に冬乾燥し,夏雨型なので温暖冬季少雨気候区
(Cw)である。C・Dは年中平均して降雨があることから Cf。Cf は最暖月平均気温が
湿潤気候区(Cfa)と
②
②
℃以上の温暖
℃未満の西岸海洋性気候区(Cfb)に細分されるので,C・Dの区別ができる。
₄つの雨温図の気候区が確定したところで問₁を考えると,米を主食とする人々はモンスーンアジアに多く
居住しているので,主に大陸東岸に出現する気候区を考えればよいし,米(稲)の栽培は一般に年降水量が
③
㎜以上の地域が適地であることも判断材料になる。
問₂ オリーブの生産上位国はスペイン・イタリア・ギリシャなど。オリーブ・ブドウ・コルクガシなどは
夏季の乾燥に耐え得る耐乾性樹木である。
A―ローマ(Cs) B―ホンコン(Cw) C―東京(Cfa) D―パリ(Cfb)
72
資料問題の解法編
XGQA2A-Z1J2-04
まとめ
Af :年中高温多雨で降雨の大半はスコールによる。気温は日較差>年較差。土壌はラトソル。
Am:モンスーンの影響を受け,短期間の乾季がある。Af より年降水量が少ないとは限らない。
Aw:太陽の回帰により赤道低圧帯下に入る雨季と中緯度高圧帯下に入る乾季がある。疎林と長草草原の
景観。
BW:年中,中緯度高圧帯の影響を受け少雨である。蒸発量>年降水量。表土へ塩分が集積。
BS:年降水量250㎜~500㎜程度。短草草原を形成。湿潤気候への漸移地域にある黒色土地帯は世界的な
小麦地帯。遊牧や企業的穀物農業・企業的牧畜が盛ん。
Cs:主に中緯度の大陸西岸に分布。夏季は中緯度高圧帯の影響下で乾燥,冬季は偏西風帯に入り降雨。
Cw:主に Cfa に属する地域の低緯度側に分布。モンスーンや熱帯低気圧の影響で夏季に多雨。
Cfa:主に大陸東岸の緯度20°~40°付近に分布。四季の変化が明瞭で年中比較的降雨が多い。
Cfb:主に大陸西岸の緯度40°~60°付近に分布。偏西風と暖流の影響により緯度の割に温暖で,気温の年
較差の小さい海洋性気候。
Df :年較差が大きい大陸性気候で冬季の寒さが厳しいが,夏季は日照時間が長く比較的気温が高い。年
間を通して平均した降雨。
Dw:「北半球の寒極」があり,気温の年較差がきわめて大きい。ユーラシア大陸のみに分布。
ET:夏季の短期間だけ永久凍土層の表土が融解し,地衣類や蘚苔類の植生が見られる。
EF :南極大陸やグリーンランドに分布。アネクメーネ(無居住地域)。
H :中緯度地方で標高2 ,000 m 以上,低緯度地方で標高3 ,000 m 以上の高地に分布。低緯度地方では常
春気候となる。
関連資料
南半球の温帯4気候区の雨温図
(℃)
ケープタウン
(Cs)
アンタナナリボ
(Cw)
ブエノスアイレス
(Cfa)
ウェリントン
(Cfb)
(㎜)
30
400
気温
20
300
10
0
−10
200
100
降水量
1
6
T:16.3℃
P:518.7 ㎜
12
1
6
12
1
T:18.1℃
P:1,424.2 ㎜
6
12
T:17.5℃
P:1,153.8 ㎜
1
6
0
12 月
T:12.5℃
P:1,266.9 ㎜
(T:年平均気温 P:年降水量)
空欄の解答 ① 地中海性 ② 22 ③ 1 ,000
解答
問₁ B・C(順不同) 問₂ A
73
自然環境2 (気候・植生・土壌)
2
■各気候区の特色
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