...

松戸市高齢者虐待防止対応マニュアル

by user

on
Category: Documents
3

views

Report

Comments

Transcript

松戸市高齢者虐待防止対応マニュアル
松戸市高齢者虐待防止対応マニュアル
みんなで防ごう高齢者虐待!!
松
戸
市
松戸市高齢者虐待防止ネットワーク
平成18年3月
はじめに
わが国においては、高齢社会を迎え、介護保険制度が普及し、サービス利用が
進む一方で、高齢者に対する身体的・心理的虐待、介護や世話の放棄・放任等が、
家庭や介護施設などで表面化し、社会的問題になっています。
4月1日より「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に
関する法律」が施行されます。同時に、介護保険法改正により、地域包括支援セ
ンターを拠点に、高齢者の人権や財産を守る権利擁護、虐待の早期発見・防止に
取り組むことになりました。国の対応に先駆けて、松戸市では、すでに平成16
年7月から「松戸市高齢者虐待防止ネットワーク」を設置し、高齢者虐待の予防・
早期発見・早期対応・再発防止に取り組んでまいりました。
本マニュアルは、「平成17年度松戸市高齢者虐待防止ネットワーク担当者会
議」が、福祉・保健サービス事業者の方々や、民生委員・児童委員をはじめ関係
機関の方々に、高齢者虐待に関する正しい知識と対応の一助にと作成しました。
本書は、やさしいことから次第に上級の知識を学べる構成になっており、知識が
少ない方でも、容易に読み進めるように配慮しました。
虐待問題は被害者救済に焦点があたりがちですが、本質的には、
「加害者を支援
するというスタンスがきわめて重要である」ことを強調しておきたいと思います。
本マニュアルが、高齢者虐待防止および対応に、皆様のお役に立てば幸甚です。
平成18年3月31日
松戸市高齢者虐待防止ネットワーク
会
長
和
田
忠
志
本マニュアルの活用にあたって
改正介護保険法の平成18年4月1日施行に合わせ、本市におきまして
は介護保険事業の円滑な実施を図るため、組織を再編することといたしま
した。
つきましては、本マニュアルの活用にあたっては、「基幹型在宅介護支
援センター」を「介護予防推進担当室(地域包括支援センター)」に読み
替えてご利用ください。
本マニュアルを活用いただく皆様方には、何卒ご理解をいただきたいと
存じます。
目
次
第一章 必読!「これだけ読めばとりあえず分かる虐待対応マニュアル」
・・1 頁
1. 虐待の定義
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2頁
(1)五つの虐待を覚えよう
(2)松戸市高齢者虐待防止ネットワークとは
2. 虐待の相談は
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5頁
(1)あなたの近くの在宅介護支援センターは
(2)超緊急のときどうするか
(3)相談対象年齢は
(4)相談者のプライバシーに特に気をつける
3. 虐待事例の報告のしかた
・・・・・・・・・・・・・・・・・8頁
(1)支援困難事例相談表様式
(2)報告書の書き方の要点
4. 専門職で協力しよう
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 頁
(1)一人で対応しない
(2)専門職間の情報共有の仕方
(3)サービス担当者会議を開こう
5. 感性をみがく
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 頁
6. 高齢者虐待防止ネットワーク主催セミナーに参加しよう
・・・16 頁
第二章 「虐待事例にかかわるパワーアップ講座①」
・・・・・・・・・・17 頁
1. 虐待の定義の詳細
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 頁
(1)五つの定義の復習
(2)虐待行為は、本人や加害者の自覚は問いません
2. 虐待をしている人をサポートするという視点をもつ
・・・・・21 頁
(1)虐待をしている人を支援するという考え方の重要性
(2)家族の歴史から出てくる虐待行為
(3)介護問題の深刻さへの理解
3. 様々な社会資源を活用しよう
・・・・・・・・・・・・・・・24 頁
(1)ケアマネジャー(介護支援専門員)とは
(2)在宅介護支援センターとは
(3)地域包括支援センターとは
(4)民生委員・児童委員とは
(5)人権擁護員とは
(6)松戸市社会福祉協議会とは
(7)中核地域生活支援センターとは
第三章 「虐待事例にかかわるパワーアップ講座②」
・・・・・・・・・・29 頁
1.高齢者虐待のサイン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 頁
2.虐待事例のパターン認識
・・・・・・・・・・・・・・・・・33 頁
(1)介護熱心な家族による虐待
(2)認知症に対する理解が困難な場合
(3)家族そのものが崩壊して放置されている
(4)社会的に自立しない子供による金銭などの請求行為
(5)過去の家庭内虐待の継続、あるいは地位の逆転
(6)精神障害者・知的障害者である子供による介護の疲労
(7)アルコール常用者による介護やその疲労
第四章 「虐待事例にかかわるパワーアップ講座③」 ・・・・・・・・・・39 頁
1. グレーゾーンの事例への対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・40 頁
2. 困難事例の見守り
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 頁
3. 分離の方法論
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 頁
4. 成年後見制度の利用
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 頁
5. 老人福祉法による「措置」とは
・・・・・・・・・・・・・・・49 頁
第五章 「もっと知りたい人へ
①」
・・・・・・・・・・・・・・・・・51 頁
1.17年度在宅介護支援センターへの相談件数と現状
・・・・・52 頁
2.松戸市の家庭内における高齢者虐待に関する調査結果
・・・・・56 頁
3.松戸市の高齢者虐待防止ネットワークの詳細
・・・・・・・62 頁
(1)松戸市高齢者虐待防止ネットワーク運営要綱と構成員
(2)松戸市高齢者虐待防止ネットワーク事業フロー
(3)養護者による高齢者虐待の対応フロー
(4)養介護施設従事者による高齢者虐待の対応フロー
4.高齢者虐待防止に関する法律
・・・・・・・・・・・・・69 頁
第六章 「もっと知りたい人へ
②」
・・・・・・・・・・・・・・・・・77 頁
1.高齢者虐待に関する参考図書・参考資料一覧
・・・・・・・・78 頁
2.日本高齢者虐待防止学会
・・・・・・・・・・・・・・・・79 頁
資料編
・・・・・・・・81 頁
1.松戸市の家庭内における高齢者虐待実態調査に関する調査表
第一章 必読!「これだけ読めばとりあえず分かる虐待対応マニュアル」
本マニュアルは、地域で障害者や高齢者などの介護を要する方々のお世
話をする方、あるいは、医療に携わる方々を対象に書かれています。
1
1.
「虐待の定義」虐待とは何か? をまず覚えます
何が虐待か?は、人によって考え方がまちまちかもしれません。しかし、みな
さんに虐待を発見していただくために、松戸市高齢者虐待防止ネットワークでは、
次の五つを「虐待」ととらえます。
(1)
「五つの虐待」を覚えよう
① 身体的虐待
② 心理的虐待
③ 性的虐待
④ 介護、世話の放棄・放任
高齢者虐待防止に関する法律
と同様
⑤ 経済的虐待
① 身体的虐待
なぐる、蹴る、つねる、拘束する、など、身体的な苦痛を与えること
② 心理的虐待
どなりつける、ののしる、悪口をいう、無視するなど、心理的苦痛を与える
こと
③ 性的虐待
合意がないのに、性的接触や性的嫌がらせをすること
④ 介護の放棄・世話の放任
食事を与えない、入浴させない、オムツを交換しない、劣悪な住環境で生活
させるなど、日常の世話や介護をせず放ったらかしにしたり、適切な介護や医
療を受けさせないこと
⑤ 経済的虐待
日常生活に必要な金銭を渡さない(使わせない)
、年金や預貯金や固定資産な
どを取り上げて勝手に使ってしまうこと
2
<少し補足説明>
*無理に分類しなくてもかまいません
この分類は便宜的なものであり、どれかに当てはめなくてはならないというものでもありませ
んし、上記の五つのうち、二つ以上の虐待の概念にまたがっているような虐待事例もありえます。
この分類は、虐待の存在を、感受するためにあるのであり、無理に分類する必要はありません。
*自暴自棄行為
五つの虐待の他に、自分自身で自分へのケアを放棄する、
「自暴自棄行為」を、虐待の一種とし
て考える考え方もあります。
*グレーゾーン
また、①∼⑤の行為のうち、
「どこまでを虐待とみなすか」は、大きな問題です。つまり、白
か黒かはっきりしない、「グレーゾーン」の事例が実に多いのです。とりわけ、心理的虐待にい
たっては、グレーゾーンのものが圧倒的であるといえます。
結局は、
「はなはだしきもの」
「明らかに虐待される側に不利益なもの」をもって虐待とします。
3
(2)松戸市高齢者虐待防止ネットワークとは?
松戸市において、高齢者の虐待を防止するため、市役所のスタッフ、介護や医
療のプロフェショナル、民生委員・児童委員、県や国の機関の代表者などが一堂
に会し、虐待防止システムの企画立案、市民・専門職への啓発活動、対応システ
ムの整備と運営などを行う組織です。
<解説>
松戸市高齢者虐待防止ネットワークは、平成16年7月20日に発足しました。本ネットワー
クは、多くの民間事業者の協力を得て、市民・専門職の啓発活動、事例検討、高齢者虐待防止シ
ステム構築、実態調査などを行っています。
本ネットワークはケアマネジャーたちの虐待相談に端を発しています。そして、多くの困難事
例を支援してきた市役所のスタッフ、現場のプロフェショナルの方々が、虐待事例にしばしば遭
遇し、心を痛めていましたが、その思いが一致し、本ネットワークが結成されたものです。平成
16年度には前年度の3倍以上の虐待相談がありました。
4
2.虐待の相談は?
虐待の相談窓口は
在宅介護支援センター・地域包括支援センター です。
(1)あなたの近くの在宅介護支援センターは?
地区センター名称
所在地
電話番号
新松戸地区在宅介護支援センター
新松戸 1-341 新松戸中央総合病院併設
346−2500
小金原地区在宅介護支援センター
栗ケ沢 789-33 栗ケ沢デイホーム併設
383−3111
東部地区在宅介護支援センター
河原塚 102-8 南花園併設
391−5600
五香六実地区在宅介護支援センター 六高台 2-19-2 松寿園併設
386−1316
小金地区在宅介護支援センター
大谷口 133-1 大倉記念病院併設
341−6711
常盤平地区在宅介護支援センター
常盤平 7-5-10 常盤平中央病院併設
394−5225
馬橋地区在宅介護支援センター
西馬橋幸町 25 偕楽園併設
340−1355
矢切地区在宅介護支援センター
上矢切 299-1
368−7885
松戸市社会福祉協議議会併設
明第2地区在宅介護支援センター
樋野口 822 東葛クリニック病院併設
明第1地区在宅介護支援センター
稔台 2-1-17 アイリスケアセンター稔台併設 308−7823
本庁地区在宅介護支援センター
松戸 1291-4 コスモ松戸ステーションビュー 107 号
331−2027
363−6823
ハイネスケアサービスグループ併設
基幹型センター
所在地
松戸市介護支援課
介護予防推進担当室
電話番号
366−7343
根本 387-5 松戸市役所内
(地域包括支援センター)
FAX
366−7748
5
(2)超緊急のときどうするか?
*在宅介護支援センターは24時間対応です。
しかし、目前で暴力が行われているとき ⇒110番へ
医療がすぐに必要な病気やけががあるとき ⇒119番へ
*深刻かつ緊急な虐待事例では、在宅介護支援センターで連絡を受け、高齢者
虐待防止ネットワーク経由で虐待を受けている高齢者を一時的に分離するこ
と(緊急ヘルプネットワーク事業利用)も可能です。
(3)相談対象年齢は?
65歳以上です。
でも、それより低い年齢でも、ともかく相談してください。
<解説> 松戸市には「高齢者」と「子どもと女性」の相談窓口があります。
高齢者の相談窓口 (24時間対応)⇒在宅介護支援センター
子どもと女性の相談窓口
⇒家庭児童相談室 366−3941
(相談時間 8:30∼17:00)
*高齢者とは65歳以上の方のことをいいます。
しかし、介護保険を受けている40歳以上の方も在宅介護支援センターに相談が寄せられ
ます。
「その方の年齢を問わず、被害者を見つけ、援助する」ことが本質です。従って、対象
年齢に関わらず、ともかく、ご相談いただいてかまいません。
6
マニュアルを使用する皆さんへのお願い
(4)
「相談者のプライバシーに特に気をつける」
虐待事例につき、相談した方が様々な不利益を得たり、復讐をされたりするこ
ともありえます。このため、虐待を皆さんに相談した市民の方のプライバシーは
絶対に「厳守」しなければなりません。どうかよろしくお願いします。
法律では・・・
「通報を受理した職員は、通報等をした者を特定させるものを漏らしてはな
らない」とされています。
(第8条、第23条)
「通報者の秘密」は守られます。
ぜひ、早期発見と通報をよろしくお願いします。
7
3.虐待事例の報告のしかた
一般市民の方々は、在宅介護支援センターに連絡するだけですが、援助専門職、
医療職、民生委員・児童委員などは、虐待事例を在宅介護支援センターに、正式
に「事例報告」を行うことができます。
なお、あなたが、介護・医療関係の事業所の職員の場合、この報告は、ぜひ上
司の方と相談しながら行うことをお勧めします。
使用する用紙は「支援困難事例」の用紙です。
「支援困難事例」の用紙は、在宅介護支援センターに常備されています。FAX で
取り寄せることもできます。
8
(1)支援困難事例相談表様式
様式 1
支援困難事例相談表
相談日時
年
相談者
月
日 (
) 時
分∼
本人との関係
(男・女)
生年月日 T
S
被虐待者
住所
ADL状況
分 面接・電話・訪問
連絡先
M
被虐待者
氏名
時
年
月
日
歳
℡
認知症の
正常・Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M・不明
状況
世帯構成○女性 □男性 ◎対象者 ■
死亡
正常・J1・J2・A1・A2・B1・B2・C1・C2・不明
介 護 保 険 なし・申請中・あり介護度(
の申請
ケアマネ
虐待者氏
名(関係)
虐待者
住所
)
(
)
虐待者の状況
虐待者の種類
身体的・心理的・性的・経済的・介護世話の放棄
主訴:
相談内容
対応 [緊急度:本日中・一週間以内・その他(
)]
地域包括・新松戸・小金原・東部・五香六実・小金・常盤平・馬橋・矢切・明1・明2・本庁 <氏名>
9
様式 2
支援困難事例相談表
基
本
項
目
作成者・日 所属
氏名
対象者
氏名
生年月日
福祉手帳
1.なし 2.あり(身障
介護保険
1.なし 2 申請中 3.あり 介護度(
1.楽 2.やや楽 3.普通
生保・非課税・年金(
A 歩行 :1.自立 ・ 2.一部介助
D 食事 :1.自立 ・ 2.一部介助
L 排泄 :1.自立 ・ 2.一部介助
状 入浴 :1.自立 ・ 2.一部介助
況 着替え:1.自立 ・ 2.一部介助
整容 :1.自立 ・ 2.一部介助
経済状況
日
常
生
活
動
作
性格
対人関係
精神状況
認知症
問題行動
健
康
状
況
住
居
状
況
作成日
級 ・ 精神
4.苦しい(理由
)収入
・ 3.全介助
・ 3.全介助
・ 3.全介助
・ 3.全介助
・ 3.全介助
・ 3.全介助
M・T・S
年
年
・ 療育
月
月
日
日
歳
)障害名
)ケアマネ
)
円/月
:1.可
I 掃除
:1.可
A 洗濯
D 買い物 :1.可
L 調理
:1.可
状 金銭管理:1.可
況 服薬
:1.可
・
・
・
・
・
・
2.一部不可
2.一部不可
2.一部不可
2.一部不可
2.一部不可
2.一部不可
問題なし 2.問題あり(
・
・
・
・
・
・
3.不可
3.不可
3.不可
3.不可
3.不可
3.不可
)
協調的である 2.普通 3. 拒否的である
(具体的問題事例
)
記憶障害 :1.軽度・2.中度・3 重度
心気症状・ 不安 ・焦燥 ・ 抑うつ ・ 興奮
精
幻覚 ・ 妄想 ・ せん妄 ・ その他
失見
:1.軽度・2.中度・3 重度
神
(
)
睡眠障害 :1.軽度・2.中度・3 重度
攻撃的行為:1.軽度・2.中度・3 重度 不穏興奮
:1.軽度 ・ 2.中度 ・ 3 重度
自傷行為 :1.軽度・2.中度・3 重度 不潔行為
:1.軽度 ・ 2.中度 ・ 3 重度
火の扱い :1.軽度・2.中度・3 重度 失禁
:1.軽度 ・ 2.中度 ・ 3 重度
徘徊 :1.軽度・2.中度・3 重度 その他(
) :1.軽度 ・ 2.中度 ・ 3 重度
特記事項
現病歴・既往歴
かかりつけ医
生
活
歴
氏名
構成図
家族等の状況
○ 女性 □男性 ◎ 対象者 ■ 死亡
10
続柄
年齢
職業
氏名
続柄
年齢
住所
℡
職業
親族
<家族関係>
1. 問題解決のための協力者:
2. 本人・家族に最も影響力のある人物:
3. 成年後見制度の後見人候補(4 親等以内親族):
<続柄
<続柄
<続柄
>
>
>
<特記事項>家族の意向など
種
類
A 身体的虐待
B 心理的虐待
C 性的虐待
D 経済的虐待
E 介護・世話の放棄放任
緊急性
高齢者の希望
要支援内容
特記事項
1. 本人が保護救済を強く求めている
2. 生命に危険な状態(重度のやけど・外傷・褥瘡・栄養失調・衰弱・脱水・肺炎等)
3. 生命に危険な行為が行われている(頭部打撃・顔面打撃・首しめ・揺さぶり・戸外放置・溺れさせる)
4. 確認できないが、上記(1.2.3)である可能性がある
5. その他(
)
1. 在宅維持・家族との生活
2. 家族からの一時的離脱
3. 施設入所
4. その他
詳細な内容(
)
本人の虐待に対する認識等
虐待者氏名
続柄
<虐待の内容>
A 身体的虐待
① 外傷(出血・骨折・やけど)
② 傷にならない暴力(殴る・蹴る・叩く)
③ 拘束(縛り付け・閉じ込め)
B 心理的虐待
④ 無言・威圧・侮辱・脅迫
⑤ 無視
⑥ 嫌がらせ
C 性的虐待
⑦ 不必要な性器への接触
⑧ 下半身を裸にして放置
D 経済的虐待
⑨ 日常に必要な金銭を渡さない
⑩ 年金、預貯金等の取り上げ
⑪ 不動産、有価証券等の取り上げ
E 介護・世話の放棄放任
虐待内容
頻度
虐待自覚
⑫ 入浴・排泄の介助の放棄による不衛生状態
⑬ 水分食事摂取放任による身体的ダメージ
⑭ 劣悪な住環境の中で生活させる
⑮ 介護・医療サーヒスを受けさせない
⑯ 介護者が家に戻らないことがある
⑰ その他(
)
<虐待の頻度>
ァ いつも・毎日
イ 一週間に数回
ウ 一ヶ月に数回
エ 一ヶ月に1回以下
オ 不明
<虐待の要因>
A 高齢者本人の認知症による言動の混乱
B 高齢者本人の介護の困難さ・難しさ
C 高齢者本人の性格や人格
D 高齢者本人の過去(来し方)
11
虐待の要因
E
F
G
H
I
J
K
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
虐待者の身体障害
虐待者の知的障害・知的問題
虐待者のアルコール依存
虐待者の精神障害(アルコール依存除く)
虐待者の上記以外の疾病
虐待者のギャンブル依存
虐待者の性格・人格
虐待者の介護疲れ・介護ストレス蓄積
虐待者の知識や情報不足
虐待者の外部サービス利用への抵抗感
高齢者本人と虐待者との人間関係
家族・親族の無関心、無理解、非協力
経済的困窮
経済的利害関係(財産・相続)
その他(
)
不明
様式 3
<概要>
虐待の状況及び経過
問題点と支援困難な事由
担当者会議の必要性
あり
なし
「あり」の場合、検討してほしい内容
12
(2)報告書の書き方の要点
①
事例の個人情報(住所、氏名、生年月日等 個人を特定する情報)
はすべて空欄とし、記載しません。尚、記述の中の固有名詞(病
②
院名や個人名等)も“A 病院”等と記載します。
緊急性の度合いを必ず記入します。
③
在宅介護支援センターにFAX送信の上、電話します。
<解説>
現在、「事例担当者」が在宅介護支援センターに事例報告をする場合、事例報告
はFAXを用いて行っています。FAXは相手先番号を正確に送信した場合は、イ
ンターネットなどに比べて非常にセキュリティーの高い方法です。
しかし、相手先番号をまちがえると、誤送信の恐れがあります。そのため、個人
情報はすべて空欄のままで送信することになっています。これなら、誤送信しても、
情報がもれる可能性が少ないからです。FAXが在宅介護支援センターについたこ
とを双方で確認の上、改めて電話でのやりとりで、空欄部分を埋めていく方法をと
ります。
なお、「事例担当者」が在宅介護支援センターに直接訪問して、事例報告する方
法が最も個人情報がもれる可能性がなく、確実な方法です。 また、非常に重要な
事例の場合、「在宅介護支援センター」の職員が事例担当者の事業所を訪れて、支
援にあたることもあります。
13
4
専門職で協力しよう
①
一人で対応しない
②
専門職間の情報共有の仕方
③
サービス担当者会議を開こう
(1) 一人で対応しない
あなたの担当している事例に「虐待がありそうだ」と感じたり、明らか
な虐待を見つけた場合、あなたは一人でその事例に対応してはいけません。
虐待を見つけた人・知った人には「すみやかに、市役所への通報義務(努
力義務)」があります。
そればかりでなく、一人で対応することには、様々な限界があり、虐待
事例にはチームで対応することが原則です。
(2) 専門職間の情報共有の仕方
あなたが、介護・医療関係などの事業所の職員の場合、まず、ぜひ上司
と相談することをお勧めします。その上で、
「在宅介護支援センター」に報
告をします。また、プライバシーに配慮しながらも、事業所内でも意見交
換をして複数の方々で情報共有しながら、対応策を構築することをお勧め
します。
(3) サービス担当者会議を開こう
現在の地域ケアは、様々な職種が協力して、一人の高齢者を支えていま
す。そのため、様々な職種が、虐待事例にそれぞれの強みを生かしながら
関わっていくことが非常に重要です。その意味で、サービス担当者会議を
14
開催することは、非常に重要なことです。
虐待事例を受け持った専門職は、事業所の管理者に相談の上、ケアマネ
ジャーにサービス担当者会議の開催を要請したいと思います。
5
感性をみがく
∼虐待はふつうは隠されています∼
虐待行為は深刻であればあるほど、密室で行われます。
外部の援助者が家庭に入ることで虐待が緩和されることがあります。
高齢者のからだの傷や、栄養状態や、介護状況に注目したいと思います。
虐待していることを他者に「自己申告」する人はほとんどいません。
大部分の虐待は密室で行われます。また、被害者が助けを求めることも、
必ずしも多くはありません。
むしろ、皆さんに助けを求めたときには、相当深刻な虐待が行われてい
るか、ある程度の期間虐待が行われてきたと、考えたほうがよいかもしれ
ません。
とりわけ、被害者が高齢者で、息子や娘などの親族による虐待の事例で
は、
「子どもをかばう」という親の心情から、極度の虐待を受けていても、
皆さんに助けを求めず、ひたすら耐えることもまれではありません。
これらは密室で行われることが多いといえます。そのため、これまで在
宅サービスの入っていなかった家庭に、介護サービスなどが入ることだけ
で、虐待の度合いが軽くなることもあります。それだけ、外部の第三者が
家庭内で援助することは有効です。逆に、深刻な虐待が行われている家庭
では、第三者に拒絶的で、一切のサービスや援助を断っている例すらあり
ます。
15
皆さんは、高齢者のからだの傷や、栄養状態や、食生活の在り方や、介
護の状況(服や部屋の汚れ方、おむつが定時的に交換されているかどうか
など)をみて、虐待の存在を察知する感性を持ちたいと思います。
もちろん、その場で、虐待を指摘することは必ずしも有効とは限りません。
しかし、虐待の存在を察知しながら援助したり、サービス担当者会議を開
催することは、有効な一歩だと思います。
6
高齢者虐待防止ネットワーク主催セミナーに参加しよう!
松戸市高齢者虐待防止ネットワークでは、年に二回研修会を行っています。
一つは、専門職向け研修会、もうひとつは市民・専門職向けの研修会です。
専門職はどちらの研修会にでも、出席が可能です。
これらの研修会では、日本の高齢者虐待問題の学識経験者、ネットワーク
構成員などによる講演・シンポジウムを行います。現場での実用的な虐待に
対する知識をお伝えするとともに、松戸市の高齢者虐待及びその対応の実態
についても、これらの研修会で皆様にお伝えします。
開催日時・場所などについては、もよりの在宅介護支援センターにお問い
合わせください。
ふるってご参加くださいますよう、お待ちしています。
******************************
読者の方へ
お疲れ様でした。ここまでお読みになった方は、虐待事例にかかわる、
ごく基本的な知識を習得したことになります。ここまでで、とりあえず、
虐待事例の解決の糸口につけると思います。
もっと勉強したい人は、第二章以降に読み進んで頂ければ幸いです。
16
第二章「虐待事例にかかわるパワーアップ講座①」
ここからは中級編です。第一章を読み、「虐待に関する基本的な事項」
を覚えられた方のための講座です。
17
1.虐待の定義の詳細
(1)五つの定義の復習
皆さん、虐待の定義を覚えていますか。そうでした。下記の五つでした。
身体的虐待
心理的虐待
性的虐待
介護、世話の放棄・放任
経済的虐待
ここで、虐待の定義をもう少し詳しく勉強しておきましょう。
* 身体的虐待
身体的虐待は加害者が「暴力をふるう」ことが代表的です。しかし、
そればかりではありません。例えば、「紐などで身体を縛ったり」する
ことや、
「部屋に閉じ込め」たりする拘束行為や、
「本人の意思に反して
鎮静剤などを飲ませて活動性を封じる」なども、身体的虐待にあたりま
す。また、「無理やり食べ物を口に入れる」などの行為も虐待に当たり
ます。
* 心理的虐待
いわゆる「言葉の暴力」が代表的なものです。心理的虐待はそればか
りではありません。例えば、「親しい人に会わせない」、
「やりたいこと
(活動など)をやらせない」なども、心理的虐待に該当します。
* 性的虐待
性的虐待は、「無理に性行為を迫る」、あるいは、「無理に体に触れ
る」などがその代表的なものです。その他にも、「相手にわいせつな
言葉をあびせる」、「懲罰的に下半身を露出したままにして放置する」
などの行為も、性的虐待に当たります。
18
* 介護、世話の放棄・放任
「食事を満足に与えない」、
「居室を汚いままにする」、
「入浴させずに放
置する」などが代表的なものです。その他、「介護保険制度などの社会
的なサービスを受けさせない」、
「病気やけががあるのに治療を受けさせ
ない」なども、この放任にあたります。
* 経済的虐待
「親の年金を(親の意思に反して)せびったり、はく奪する」、
「認知症
になった親の預金口座のお金を自分の生活費に流用する」などが代表的
なものです。その他、
「高齢者を本人の意思に反して老人施設に入れて、
家屋を使用するとか、不動産を無断で売却する」などの行為もこれに当
たります。
(2)虐待行為は、本人や加害者の自覚は問いません
虐待において、本人や虐待者の自覚は問いません。
実際には、加害者の側では、「しつけている」「練習させている」「しっ
かりしてもらおうと思ってやっている」などという理由で虐待を行い、自
分は「虐待している」と考えていないことが多いのです。
また、経済的虐待の場合では、
「家族ならば、お金も当然共有物だ」
「親
のお金は自分のお金」と考えて、自分の都合のよいように、高齢者の財産
を流用することもまれではありません。
この傾向は加害者ばかりにあるのではありません。被害者も虐待されて
いることを自覚していないことがしばしばあります。
このように、家庭内では、被害者も加害者も、虐待行為を自覚しにくい
特徴があります。家庭内での自助努力に任せていては、残念ながら、虐待
19
が簡単には発見されず、むしろ、第三者が虐待を発見しやすい、という特
徴があります。また、家庭内においては、加害者や被害者に虐待の自覚が
ある場合ですら隠されやすいといえます。
従って、第三者からみて、明らかに、一方が他方を虐げていると思われ
るとき、とりわけ、複数のサービス担当者が、
「虐待があると合意できる」
とき、虐待が存在すると考えてよいと思います。
まとめておきましょう
被害者は自分が虐待されている自覚がないことがある。
加害者は自分が虐待している自覚がないことが多い。
被害者・加害者に虐待の自覚がある場合は、通常、隠されている。
⇒第三者が虐待を認識・発見することが重要
20
2.虐待をしている人をサポートするという視点をもつ
(1)「虐待をしている人を支援する」という考え方の重要性
虐待は、加害者に問題があることはもちろんです。その問題の本質が
何か、ということが重要です。つまり、加害者が虐待行為を行う、その
奥にある「何か」を理解したいと思います。
というのも、加害者も、疲弊していたり、貧困に苦しんでいたり、
(精
神障害というほどでなくても)対人関係の障害をもっていたり、加害者
も何らかの障害者であったりすることが多いのです。
虐待する人には、非常に高い頻度で「障害」が認められます。アルコ
ール依存を含む様々な精神障害や、知的障害、あるいは、自力で生活す
る能力に障害のある方が、虐待行為に及ぶ事例も多いといえます。また、
老人を介護するご家族が、その介護のストレスに耐えかねて虐待行為を
行う事例もしばしば見られます。
その意味で、加害者を支援するという視点が、決定的に重要です。
虐待問題では、どうしても、被害者を救済するという視点に傾きがち
です。しかし、多くの場合、被害者よりも加害者に問題があることが多
いのです。加害者の問題が解決したり、緩和すると、虐待行為が少なく
なることもまれではありません。その意味で、加害者のもつ障害や、社
会的問題や、ストレスや、境遇に目を向けることが、虐待事例に対応す
るに当たり、決定的に重要であるといえます。
まとめておきましょう
加害者は、病気や生活能力の障害やストレスをもつことが圧倒的に多い
⇒加害者をサポートすることと虐待が緩和しうるという視点をもつ
21
(2)家族の歴史から出てくる虐待行為
「現在の虐待行為」は、しばしば家族の歴史の産物でもあります。
例えば、アルコール依存症の父親がしばしば、妻子に暴力を振るった場
合、その子どもが成長し、父親より強くなったとき、父親に暴力行為を
行う、などという例があります。夫が妻に暴力を振るい続けてきた場合
に、夫が寝たきりになったとき、妻が介護の放棄をするなどの例も見受
けられます。
このように、現在見えている虐待行為が、長年にわたる家族の歴史に
根ざしていることが実に多いといえます。それだけに、虐待をなくすこ
とは簡単ではありません。
第三者が、一年や二年程度、かかわったくらいで、長年培われた家族
の歴史に根ざす虐待行為をとめることは困難です。
しかし、そのような「家族の歴史を理解すること」は、虐待をとめる
ことができなくても、少なくとも、有意義であると信じたいと思います。
しかし、専門職といえども、そのような家族の隠された歴史について、
積極的に尋ねることはプラスにならないことが多いと思います。
また、根気よく、様々な専門職が関わる中で、虐待者が次第に癒され、
虐待が少なくなることも、ときにはあります。しかし、そのようなプロ
セスを経るには、何年かの時間を要することが多いようです。
まとめておきましょう
虐待行為は家族の長年の歴史に根ざすことがしばしばである。
そのような長年培われた虐待は簡単に解決できない。
しかし、そのような歴史に理解をもつようにしたい。
22
(3)介護問題の深刻さへの理解
松戸市の調査でも、高齢者を虐待する家族は圧倒的に同居家族です。
また、介護者が虐待行為を行うことが多いこともわかっています。また、
要介護度が重い障害者を介護している家族、重度の認知症の方を介護す
る家族に虐待行為が多いこともわかっています。
つまり、介護の負担が、虐待行為の発生に大きく影響している可能性
があります。その意味でも、虐待者である介護者の介護負担を軽減する
必要があります。ここでも、加害者支援の視点が非常に重要になるわけ
です。
それゆえに、ケアマネジャーとともに、
「サービス担当者会議」を開催
することが、虐待事例の対応において、いかに重要なことであるかが、
改めて理解されると思います。
まとめておきましょう
障害の重い高齢者を介護する家庭に虐待が生じやすい。
介護負担軽減による、介護者支援が重要である。
その意味でも、サービス担当者会議が重要である。
23
3.様々な社会資源を活用しよう
この項目では、虐待問題に取り組むにあたり、強い味方である「社会
資源」について解説しておきたいと思います。
(1) ケアマネジャー(正式名称「介護支援専門員」)とは
ケアマネジャーとは、正式名称を介護支援専門員と呼び、介護保険法
に定められている職種です。ケアマネジャーは、保健・医療・福祉の専
門職が五年以上の現場経験を積んで、試験を受けて与えられる資格であ
ることから、その一人ひとりは、保健・医療・福祉それぞれの専門職に
なります。ケアマネジャーは、利用者の障害の重さに応じて定められる
支給限度額の範囲内で、その利用者にあった様々なサービスを組み合わ
せて提供する職種です。
ケアマネジャーには、本来、
「サービス担当者会議」を開催することが、
介護保険制度で義務づけられています。
虐待事例においては、ぜひ、専門職が声をかけあい、ケアマネジャー
とともにサービス担当者会議を開きたいと思います。また、介護保険制
度のみならず、その他の制度も活用しながら、被害者・加害者を援助す
る方法を探りたいものです。
(2) 在宅介護支援センターとは
在宅の「高齢者の介護をめぐる総合的な相談」に応じるところです。
老人福祉法に定められています。松戸市内には11ヶ所設置されていま
す。第一章に、市内のすべての在宅介護支援センターを紹介しておりま
す。虐待の相談窓口はまず「在宅介護支援センター」です。
在宅介護支援センターは、相談の受け付け役だけではなく、再発防止
24
見守りまで、ネットワークやコーディネートの要として機能します。
(3) 地域包括支援センターとは
介護保険法の改正により、平成18年4月から地域で暮らす高齢者を
保健・医療・福祉の様々な面から総合的に支えるために設置されます。
具体的には社会福祉士等、保健師等、主任ケアマネジャーのスタッフ
で、総合相談、介護予防のほか「虐待の防止、早期発見のための事業、
権利擁護のための援助を行う事業」を行うことが法に明記されました。
松戸市では、初年度は市役所内に 1 ヶ所設置されますが、その後増やし
ていく予定です。
(4) 民生委員・児童委員とは
生活に困り事があるときの地域での身近で親身な相談役です。
行政や関係機関とのパイプ役に努めてもらえます。一人暮らしの方に
は特に強い味方です。また、
「専門職では、近づきにくいご家庭」に接触
するためにも力強い方々です。
松戸市内には、現在、537人おられ、概ね300世帯に1人の割合
です。虐待事例の発見を地域住民とのコミュニケーションから掘り起こ
していくことが期待できる方々でもあります。
(5)人権擁護委員とは
地域の中で、住民の日常生活に接しながら人権に対する意識を高め、
住民の人権が侵害されていないかを見守り、相談を受けるという「人権
擁護活動」を行う人です。
松戸市には11人の委員がおられ、法務局松戸支局では週3日(月、火、
25
木)、市役所では週1日(金)、人権相談を受けています。虐待などの人権
侵犯事件に対しては、法務局と協力して必要な調査を行い、援助、調整、
告発、勧告などのさまざまな救済手続きを行います。
(6) 松戸市社会福祉協議会とは
連絡先
松戸市上矢切 299-1
総合福祉会館内
電話047−368−0503
地域福祉の推進のために、住民参加を基本とし、町会・自治会をはじ
め、ボランティア団体や各福祉団体の連携を進めている団体です。市内
を14の地区に分け、それぞれに地区社会福祉協議会がおかれています。
14の地区の地域毎の交流や啓発も行われています。活動のひとつで
ある「ふれあい・いきいきサロン」は家庭の中に閉じこもっている被虐
待者と接触を持つための手段として有効かもしれません。
また、「まつど広域後見支援センター」が組織の中にあり、判断能力に
疑問が生じ始めた方の金銭管理上の問題に対して、相談に応じます。地
域福祉権利擁護事業の実施とともに、経済的虐待事例や成年後見制度へ
のガイド的対応に事例が蓄積されています。
(7)中核地域生活支援センターとは
連絡先:松戸市新松戸 3-15
KS12 ビル 2F-B 号
電話047−309−7677
中核地域生活支援センター(略称「中核センター」)とは、千葉県が県
内に14ヶ所設置する相談機関です。松戸市には1ヶ所が指定され、
「ほ
っとねっと」がその機関となっています。中核センターは、高齢者や精
神障害、知的障害、身体障害などすべての障害者の相談に応じます。ま
26
た、虐待(DV)あるいは権利擁護に関する相談にも応じます。
また、中核センターは24時間365日稼動することが義務付けられて
います。
「ほっとねっと」では、通常相談を日中の時間帯に受けるのみな
らず、緊急相談に関しては24時間365日いつでも電話を受けられる
体制を整えています。かつ、夜間・休日を含め、緊急対応が必要な場合
には、複数のスタッフを招集して対応できる体制を整えています。
また、
「ほっとねっと」の常勤スタッフは、
「地域総合コーディネーター」
と呼ばれ、社会資源活用に関する広範な知識・経験をもち、行政担当者
や広範な地域の事業所・活動家の方々と密接な連携をとりながら、問題
の解決に当たります。
<解
説>
地域福祉権利擁護事業
「権利擁護事業」とは、福祉サービス利用の援助、預貯金の出し入れや生活費の管
理など、幅広い援助を行う有償サービスです。成年後見制度と大きく異なるのは、サ
ービスやお金の使い道などを利用者本人が決定することを前提に、それを側面から援
助することです。
松戸市社会福祉協議会は、千葉県社会福祉協議会から委託を受け、
「まつど広域後見
支援センター」を設置し、
「地域福祉権利擁護事業」に取り組んでいます。
27
28
第三章「虐待事例にかかわるパワーアップ講座②」
更に中級編を読み進めている読者の方へ
本章では、様々な虐待事例のパターンを示し、皆さんが虐待事例
を察知するためのご参考にしたいと思います。
29
1.高齢者虐待のサイン
「高齢者虐待防止マニュアル」(高齢者処遇研究会編)での記載や、世田
谷区で議論された高齢者虐待のサインの例を整理すると次のようになり
ます。
(1)身体的虐待を受けている高齢者の身体面・行動面にみられるサイン
①
説明のつかない転倒や小さな傷が頻繁に見られる。
②
太ももの内側や腕の内側、背中などに「あざ」や「みみずばれ」があ
る。
③
回復状態がさまざまな傷や「あざ」、骨折のあとがある。
④
おしりや手のひら、背中などに「やけど」のあとがある。
⑤
たやすく怯え、恐ろしがる。
⑥
「家にいたくない」、「蹴られる」などの訴えがある。
⑦
福祉・保健の関係者に話すこと、援助を受けることをためらう。
⑧
福祉・保健の関係者に対する話の内容がしばしば変化する。
など。
(2)介護世話の放棄・放任などに見られるサイン
①
居住する部屋、住居が極端に非衛生的、あるいは異臭がする。
②
衣類やおむつなどが散乱している。
③
寝具や衣服が汚れたままである。
④
濡れたままの下着を身につけている。
⑤
かなりの程度の傷やじょくそうができている。
⑥
適度な食事をとっていない、栄養失調の状態にある。
30
⑦
周囲のことに極度に無関心である。
⑧
疾患の症状が明白にあるにもかかわらず、医師の診察を受けていない。
など。
Ⅲ
(3)心理的虐待を受けている高齢者の身体面、行動面に見られるサイン
①
指しゃぶり、かみつき、ゆすりなどが見られる。
②
不規則な睡眠(悪夢、眠ることへの恐怖、過度の睡眠など)。
③
ヒステリー、強迫観念、強迫行為、恐怖症などの反応が見られる。
④
食欲の変化、摂食の障害(過食、拒食)が見られる、不自然な体重の
増減がある。
⑤
過度の恐怖心、怯えを示す。
⑥
強い無力感、あきらめ、なげやりな態度などが見られる。
など。
(4)性的虐待を受けている高齢者の身体面、行動面に見られるサイン
①
歩行、座位が困難、肛門や女性性器からの出血や傷がある。
②
たやすく怯え、恐ろしがる。
③
人目を避け、多くの時間を一人で過ごす。
④
福祉・保健の関係者に話すこと、援助を受けることをためらう。
⑤
自傷行為が見られる。
⑥
睡眠障害がある。
など。
(5)経済的虐待を受けている高齢者の身体面・行動面に見られるサイン
①
年金や財産などがあり金銭的に困っているはずがないのに、お金がな
31
いと訴える。
②
金銭的に困っているはずがないのに、費用負担のかかるサービスは受
けたくないと言う。
③
サービスの費用や生活費の支払いが突然できなくなる。
④
資産の状況と衣食住など生活状況の落差が激しい。
⑤
「知らない間に預貯金が引き出された」といった訴えがある。
など。
20
(6)介護者・家族にみられるサイン
介護者・家族に見られるサイン
①
高齢者に対して冷淡な態度や無関心さが見られる。
②
高齢者の世話に対する拒否的な発言をしばしばしている。
③
高齢者の健康に関心が低く、受診や入院の勧めを拒否する。
④
高齢者に対して過度に乱暴な口のききかたをする。
⑤
経済的に余裕があるように見えるのに高齢者に対してお金をかけよう
としない。
⑥
福祉や保健の専門家に会うことを嫌がる。
⑦
強い無力感、あきらめ、なげやりな態度などが見られる。
など。
(7)地域からのサインら
①
自宅から高齢者本人や介護者・家族の怒鳴り声や悲鳴、物をなげる音
が聞こえる。
②
昼間でも雨戸(カーテン)が閉まっている。
③
天気が悪くても、高齢者が長時間外にいる姿がしばしば見られる。
④
家族と同居している高齢者がコンビニやスーパー等で一人分の弁当を
32
頻繁に買っている。
など。
2
虐待事例のパターン認識
(1)
介護熱心な家族による虐待
介護に熱心なご家族が、高齢者に虐待を行うことがときにあります。
このことは心理学でもよく知られているらしく、例えば、
「教育熱心な母
親はよく子供を殴る」といわれています。献身的に世話をする家族が虐
待を行う例が少なからず見られます。
このような場合、虐待する家族はしばしば悔悟の念を持っています。
従って、虐待が濃厚に疑われても、それを加害者である家族に指摘する
ことは必ずしも有効とは限りません。
場合によっては、家族が疲労していることや、ストレスが蓄積してい
ることを察し、
「サービス担当者会議」をケアマネジャーとともに開催し、
必要に応じて、ショートステイやデイサービスなどの利用を提案したい
と思います。
(2)
認知症に対する理解が困難な場合
「認知症特有の行動」に対して介護する家族がうまく理解できないとき、
家族が高齢者に虐待行為を行ってしまうことがあります。例えば、
「被害
的な妄想」に対して、家族が「そんなはずはない」などと押し問答にな
る場合や、しつこい話しかけに家族がいらだちを覚える、などです。
いかに認知症を理解したとはいえ、毎日顔を合わせて生活している家
33
族は、いらだちがにわかに解消されるとは限りません。ぜひ、ご家族の
疲労を鑑みて、適切な負担軽減をしたいと思います。
(3)
家族そのものが崩壊して放置されている
何らかの原因で、高齢者・障害者が虚弱になった後、他の家族の構成
メンバーにより家族の力が再生せず、高齢者・障害者の世話をすること
が困難になっている場合があります。このような場合、もともとある家
族の構造把握に努めるのがよいと思います。
とりわけ、「それまで采配をふるっていた家庭内のリーダー的な存在」
が倒れたとき、家庭内がこのような状態になりやすいといえます。
家族はいるが、高齢者が飢餓に瀕している場合などの例があります。
このような例は「実質独居」と認識したほうがよいかもしれません。
「独
居の方に対応するように在宅ケアのサービスを組み立てる」必要がある
からです。しかし、種々の在宅ケアを導入しようとしても、ご家族がそ
れを理解してくれない場合や、ご家族の都合で適切な時間帯にケアを導
入できない場合もあり、単純な独居よりも援助困難な場合もあります。
とりわけ、全身状態が悪い場合や、しばしば発熱などの体調変化を生
じる場合には、入院や施設入所などを検討する必要があります。そのよ
うな場合には、在宅介護支援センターやケアマネジャーと連携しながら、
首尾よく進めたいと思います。
(4)
社会的に自立しない子供による金銭などの請求行為
松戸市の例では、息子や娘が高齢者の年金を搾取する例などがよくあ
ります。同居家族の場合もあれば、同居以外の家族の場合もあります。
預金通帳なども家族に管理されてしまい、本人が知らないうちに金銭の
34
搾取が行われることもあります。
高齢者に認知症がある場合、とりわけ同居以外の家族が搾取する例で
は、非常に解決が困難といえます。また、搾取された高齢者が、気がつ
いていなかったり、その事実を否認することもあります。
(5)
過去の家庭内虐待の継続、あるいは地位の逆転
すでに手足の自由が効かなくなった高齢者が、なお、杖などで伴侶を
殴打しようとする光景がときに見られます。それとは逆に、過去、家庭
内で虐待されていた妻が、ねたきりになった夫に、暴言や暴行を行う例
もときにあります。あるいは、過去、虐待されていた妻が、ねたきりに
なった夫の世話をする気になれず、放置する例もあります。
このような行動は、第三者にはにわかには理解しかねますが、ご家族
らとの信頼関係が構築されれば、ときに過去のエピソードを打ち明けて
頂き、知りうることもあります。これまで述べてきたように、このよう
な行動には、家族の歴史があり、変容が簡単になされません。
また、サービス担当者などが、このような暴言・暴行・放置などに対
して説得を試みることも、必ずしも有益でなく、信頼関係を失うもとに
もなりかねません。しかし、ケアマネジャーなどと連携しながら、在宅
ケアのサービスを導入し、家族の介護負担を軽減することは、いずれに
せよ有益であると思われます。
(6)
精神障害者・知的障害者である子供による介護の苦労
高齢者と同居している介護者が、軽症の統合失調症や知能障害の場合
があります。このような場合、その介護者は、就労などの社会活動は困
難でも、自宅での介護ができるのです。このような場合、介護者が当初
35
はうまく介護をしていても、高齢者の老衰が進行したり、病状が進み、
要介護度が高くなると、その介護者の対応能力を超えるようになり、放
置したり、暴言・暴行に及ぶことがあります。また、介護者が高齢者の
レスキューのサインを見落としてしまうことがあります。
例えば、介護している障害をもつ子供が「お母さん、ご飯ですよ」と
言っても本人が「食べたくない」という・・・それを何日も繰り返して
いるうちに、本人が脱水に陥る・・・というような場合があるわけです。
やはり、ケアマネジャーなどと連携しながら、適切な在宅サービスを
導入することにより、介護者の労力的・精神的な負担を軽減することが
先決でありましょう。もはや、子供による介護が限界に達しており、高
齢者・障害者の全身的な状態が悪化している場合には、施設入所あるい
は入院を提案することがよいこともあります。
(7)
アルコール常用者による介護やその疲労
アルコール常用者が、介護をしている場合があります。もともとアル
コールを多飲する家族が、介護に従事している場合もありますし、介護
負担が高じて介護者がドリンカーとなる場合もあります。
このような場合、介護している家族を入院させると、高齢者・障害者
が自宅で生存できなくなるために、家族をアルコール専門治療などに導
入することは簡単ではありません。また、このような場合、疲労すると
アルコール飲量が多くなり、酩酊して、
(高齢者・障害者を入院させたい
という気持ちから)救急車を呼ぶなどの行為に及ぶこともあります。
ともかく、家族の負担軽減を目指したいと考えます。しかし、このよ
うな家庭に在宅ケアスタッフを導入することは必ずしも簡単ではありま
せん。在宅ケアスタッフに対して、酩酊した家族がセクハラを行うなど
36
も時に見られます。そのような場合、男性のスタッフを中心に在宅ケア
を行わざるを得ないこともあります。
その他、介護者がアルコール依存症の方の要求を断りきれず、継続的
に酒を供給し、最終的には、アルコール依存症の方を瀕死ならしめると
いうこともあります。
<参
考>
高齢者虐待の発生の要因と考えられること
【高齢者や高齢者の性格や人格、人間関係】
・ 虐待をしている人の性格や人格
・ 高齢者本人と虐待をしている人のこれまでの人間関係
・ 高齢者本人の性格や人格
【介護負担】
・ 虐待者の介護疲れ
・ 高齢者本人の認知症による言動の混乱
・ 高齢者本人の身体的自立度の低さ
・ 高齢者本人の排泄介助の困難さ
【家族・親族との関係】
・ 配偶者や家族・親族の無関心
【経済的要因】
・ 経済的困窮
「家庭内における高齢者虐待に関する調査」
(平成 15 年度、財団法人医療経済研究機構)
37
38
第四章「虐待事例にかかわるパワーアップ講座③」
中級編の最後の章です。
本章では、更に、深く虐待行為に関わるための方法論について
皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
39
1
グレーゾーンの事例への対応
誰がみても虐待が明確である事例は、
「はっきりと虐待事例である」と
知ることができます。しかし、現場では、明確な虐待を第三者が知るこ
とができる事例は多くありません。
「虐待かどうか分からない事例のほう
がはるかに多い」のが現実です。
「虐待かどうか分からない事例」を、私
たちは「グレーゾーン」と呼んでいます。
グレーゾーンの第一は、虐待がありそうだけれども、それが、隠され
ていて、はっきりとした事実関係が分からない場合です。
グレーゾーンの第二は、被害者は苦しい思いをしていることは間違い
ないが、加害者からの虐待行為が極端なものではなく、
“本当に虐待と判
断すべきかどうか”迷うような事例です。このような事例は実に多いと
いっても過言ではありません。
現場では、このようなグレーゾーンの事例のほうが明確な事例よりも
多いといえます。このような事例をみた場合、被害者に明確な健康被害
がある場合を除いて、簡単には介入できないのが普通です。その場合、
通報しつつサービス担当者や在宅介護支援センターと情報を共有し、と
りあえず、「見守り」を行うことになります。
2
困難事例の見守り
すでに述べて来たように「虐待は密室で行われる傾向」があります。
虐待している家族が虐待の事実を認めず、第三者が自宅に入ることに
強く抵抗する例が多いといえます。更にいえば、虐待を受けている本人
40
も、虐待者である家族をかばう意味で、虐待の事実を認めないことも、
ままあります。こういう家庭に介入することは簡単ではありません。ま
た、第三者が強力に介入し、分離を行うなどの手法を使用するのは、非
常に深刻な事例に限られます。
その意味では、多くの事例は「見守り」をしていかざるをえません。
とりわけ、家族が介護疲労などにより虐待を行う場合には、強力な介入
は本質的ではなく、
「家族をどうサポートするか」が援助者に課されてい
ると考えるべきです。その意味で、強力な介入をする事例はかなり少数
に限られます。
読者の方は虐待事例をみると、「すぐになんとかしなくてはならない」
「手をこまねいているわけにはいかない」という気持ちを持つ人が多い
かと思います。しかし、実際には、上記のように強力に介入することが
必ずしも適切でない事例や、
「被虐待者そのものが介入に抵抗する」事例
も多いのです。
そういう事例は、結局、「見守りをしていく」ことになります。「見守
り」は、
「手をこまねいている」わけではありません。つまり、
「見守り」
とは、
「被虐待者がレスキューのサインを出したり、被虐待者がけがや病
気となった場合に、迅速に介入できる」体制を維持することです。また、
見守りとは、
「サービス担当者が互いに情報を共有し、意識的に、虐待者
である家族をサポートすべくサービスを継続する」ことです。すでに述
べたように、家族をサポートしているうちに、何年かを経て、
「家族が癒
される」こともあることを知っておきたいものです。
41
3
分離の方法論
深刻な虐待が行われているとき、やむをえず、「分離」を考慮します。
分離は慎重に行います。まず、ご本人の意思確認が重要です。また、家
族の意思確認も慎重に行います。虐待している家族は、分離に抵抗する
こともありますが、逆に、介護疲労などが虐待の原因であるときには、
家族が分離を歓迎することもあります。
分離の方法論は大きく分けて二つあります。
ひとつは、在宅介護支援センター経由で、
「緊急ヘルプネットワーク事
業」を利用する方法、もう一つは、
「病院に入院する」方法です。明確な
けがや脱水などがない場合には、緊急ヘルプネットワーク事業を利用し
ます。はっきりしたけががあったり、脱水がある場合には入院が望まし
いことがあります。入院の場合は、主治医と相談して主治医を通して入
院を手配してもらうか、そうでない場合は、救急車の利用がよいと思い
ます。
「緊急ヘルプネットワーク事業」利用でも入院でも、一時的な避難に過
ぎず、長期的な分離の方法論ではありません。そのことを認識し、チー
ム全体として、
「長期的にどのような方針で臨むか」をある程度合意した
上で、分離に望むことが望ましいといえます。
仮に、分離の必要性が非常に急を要し、チームで十分に今後の方針を
話し合う時間がなかった場合でも、一時的な分離の「時間稼ぎの時間」
をうまく利用し、方針をまとめたいものです。
42
4
成年後見制度の利用
虐待は、抵抗不能なお年寄りに加えられることが多いといえます。とり
わけ、ご本人に何らかの障害があるなどで「虐待を受けていてもご本人が
助けを求められない」場合や、「ご本人に認知症があり、適切な判断がで
きない」ということがあります。例えば、認知症高齢者の金銭管理を家族
が行っているために、家族がその財産を自分のためにどんどん使用してし
まうこともあります。
これでは、本人の利益を誰も守ってくれません。本人も声を上げること
ができません。こういうとき、ご本人に代わり、本人の利益を守ってくれ
る「成年後見制度」を利用したいと思います。
この制度は、家庭裁判所で選任された「後見人」が、ご本人を代理し
て、ご本人の権利や財産を守る制度です。親族以外が後見人となる場合
は、弁護士、司法書士、社会福祉士などで、後見活動に関する研修を受
け、家庭裁判所に登録された方が、後見人になります。
後見人の活動は家庭裁判所に報告され、監督を受けますので、安心し
て財産管理などを任せることができます。サービス担当者会議や在宅介
護支援センターとの話し合いで、
「後見人がいないと、本人の利益が守れ
ない」と判断した場合には、この制度を活用したいと思います。
「成年後見制度」の相談は地域包括支援センターなどで受け付けてい
ます。
43
∼もっと詳しく知りたい人へ∼
成年後見制度とは
(1)
新しく設けられた「成年後見制度」
◆成年後見制度とその内容◆
平成12年に成年後見制度が施行されました。成年後見制度とは、認知症高齢者・知的
障害者・精神障害者など精神上の障害によって判断能力の十分でない人々が、他の人に不
当に財産を奪われたり、一方的に自分に不利な契約を結ばないように、決められた人が本
人の判断能力を補い、保護する制度です。
(2)法定後見制度と任意後見制度
成年後見制度には、裁判所が後見人を定める「法定後見制度」と、自分自身であらか
じめ任意後見人を選任できる「任意後見制度」が定められています。
「法定後見制度」は、「精神上の障害」によって判断能力が十分でない人を対象とし
ています。つまり、認知症・知的障害・精神障害などの状態の人が、この制度を利用で
きます。一方、
「任意後見制度」は、判断能力が不十分になる前に、自分自身の考
えで、自分の権利を守ってくれたり、財産を管理してくれる任意後見人を選ぶと
ころに特色があります。
(3)成年後見人等が行う援助
後見人は、ご本人の状態に応じて、次のような援助を行います。
44
①補助:精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)に
より判断能力が不十分な人
(例:重要な財産管理などを一人ですることが不安な人)
②保佐:精神上の障害により判断能力が著しく不十分な人
(例:日常の買い物は一人でできるが、重要な財産管理などは
できない人)
③後見:精神上の障害により常に判断能力を欠く状態にある人
(例:日常の買い物も一人でできない人)
(4)成年後見人等には誰がなるのでしょう
成年後見人等は配偶者にかぎらず、
司法書士、
弁護士などの法律家や社会福祉士など、
家庭裁判所が事情を考慮し、ふさわしい人を選任します。また、複数の人や法人も成年
後見人等になることができます。
(5)だれが申立てるのでしょう
補助・保佐・後見の開始の手続きを申立てられるのは、利用者本人、配偶者、
四親等内の親族などです。また、利用者本人に配偶者、四親等内の親族がなく、
あっても音信不通などのとき、市町村長が申立てをできます。
(市町村長が申立てを行う場合、民生委員・児童委員や福祉関係者など、本
人の状況を把握している者からの情報に基づいて市町村長が補助・保佐・後見
のいずれかの申立てを行うかを判断します。
)
45
(6)申立ての手続きは
家庭裁判所に申立書を提出します。
※利用者本人などが外国人の場合には外国人登録の証明書が、成年後見人等候補者な
どが法人の場合には登記簿謄本が必要です。
(7)成年後見制度と地域福祉権利擁護事業
成年後見制度を利用するほどではないが、さまざまな活動に他の方の援助が必要な方
が受けられる制度として、「地域福祉権利擁護事業」があります。より簡便な手続きで
受けることができます。認知症高齢者や知的障害者・精神障害者などで、判断能力が一
定程度あるが十分でない人の「自己決定と選択」の保障を行う福祉制度です。「社会福
祉協議会」を中心に、福祉サービス利用や、金銭の管理、書類の預かりなど日常生活の
援助が実施されます。
成年後見制度とともに、両者があいまって、判断能力が十分でない人も安心して生
活できる仕組みをめざします。(P27参照)
< サービスの内容 >
利用者と「社会福祉協議会」が契約を結び、利用するサービスの内容を決めます。一
人暮らしをしている高齢者や、障害のある人など、だれかの助けがないと日常生活を送
るのに支障や不安のある人が利用できます。下記のようなサービスが提供されます。
① 福祉サービスの利用援助
・福祉サービスに関する情報の提供と相談
・福祉サービスの申し込みや契約の代行
・福祉サービスの利用料金の支払い
・福祉サービスに関しての苦情を解決するための手続き
46
② 日常の金銭管理サービス
・年金、福祉手当の受領手続き
・医療費、税金、公共料金の支払い
・商品の購入に係る代金の支払い
・日常の預貯金の出し入れ
③ 通帳・証書・印鑑などの預かりサービス
・年金証書、預金通帳、保険証書、不動産権利証書、実印など
※この制度では、より踏み込んだ本人の財産の管理はできません。
本人に代わって財産管理や活用をする場合は、「成年後見制度」を利用することにな
ります。
(8)成年後見制度に要する費用
成年後見に要する費用は各市町村ごとの実情に応じて設定されます。一般的には申立
手数料、登記手数料、郵便切手、鑑定手数料という項目が想定されています。
※ 成年後見人等の報酬は、家庭裁判所が利用者本人の資力などを考慮し決定します。
(9)成年後見制度を支援する団体
成年後見制度の利用を支援する団体に次のような団体があります。地域包括支援
センターなどとの話し合いの上、利用したいと思います。
47
●「社団法人成年後見センター・リーガルサポート千葉県支部(リーガルサポートち
ば)」……℡(043)301−7831
法律的な専門知識を踏まえ、福祉や医療に関する研修を受けた司法書士を、成年後
見人などとして家庭裁判所に推薦します。また、成年後見人などになった司法書士の
業務を監督します。
●「社団法人日本社会福祉会千葉県支部権利擁護センターぱあとなあ千葉」
……℡(043)238−2866
福祉の専門家である社会福祉士の成年後見人を養成するための研修を行っ
ています。研修を修了し、センターに登録した社会福祉士を成年後見人候補
者として紹介します。
48
5
老人福祉法による「措置」とは
介護保険制度では、利用者の自己決定を尊重する観点から、サービスの利
用にあたり、
「契約」というシステムをとっています。しかし、虐待事例では、
「緊急分離」などが必要なとき、そのために、介護保険の申請・認定や、契
約を待っていては深刻な事態に陥るかもしれません。危機迫る虐待事例の場
合、緊急に施設へのショートステイや入所を実施すべきこともあります。
このような場合に、市長の権限でショートステイや入所などを行うことを
「措置」と呼びます。
「措置」は介護保険法ではなく、老人福祉法の規定によ
る市長権限であり、公費で実施されます。この「措置」によるサービス利用
は、地域包括支援センターとの話し合いの上、きわめて深刻な虐待事例に限
り活用します。
∼もう少し詳しく勉強しましょう∼
やむを得ない理由により介護保険利用が著しく困難なとき、下記のようなサービスにお
いて、市長権限で「措置」を行うことができます。(老人福祉法第 10 条の第 4 項、第 11
条第 1 項第 2 号)
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
訪問介護
夜間対応型訪問介護
介護予防訪問介護
通所介護
認知症対応型通所介護
介護予防通所介護
介護予防認知症対応型通所介護
短期入所生活介護介護
介護予防短期入所生活介護
小規模多機能型居宅介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
認知症対応型共同生活介護
介護予防認知症対応型共同生活介護
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
地域密着型介護老人福祉施設
49
「やむを得ない事由」としては、
①
他人や家族等の虐待又は無視を受けている場合、
②
認知症その他の理由により意思能力が乏しく、かつ、本人を
代理する家族等がない場合、
などを想定しています。
なお、
「措置は緊急やむを得ないとき」にのみ実施されるものです。措置によるサービス
を実施後、
①特別養護老人ホームに入所すること等により、家族等の虐待又は無視の状態から脱し
た・・・
②成年後見制度等に基づき、本人を代理する補助人等を活用することにより、サービス
利用に関する「契約」や、介護保険の「申請」ができるようになった・・・
以上のように、緊急の事態が終わり、やむを得ない理由が消滅した時点で、通常の「契
約による介護保険のサービス利用」を行うことになります。
50
第五章
「もっと知りたい人へ
①」
松戸市における高齢者虐待の現状
松戸市高齢者虐待防止ネットワークの詳細
高齢者虐待防止に関する法律
51
1.
17 年度在宅介護支援センターへの相談件数と現状
(1) 年次推移
1)虐待の種類別相談件数(重複)
14 年度
実人数(人)
7
身体的虐待
4
15 年度
20
57.1%
19
16 年度
67
17年度
16 年度基幹型在宅
介護支援センター及び
地域型在宅介護支援セ
43
95.0%
40
59.7%
34
79%
ンターに高齢者虐待の
相談が寄せられた件数
心理的虐待
0.0%
0.0%
39
58.2%
29
67%
は 67 件。17 年度は、
性的虐待
0.0%
0.0%
1
1.5%
1
2%
43 件でした。
0.0%
24
35.8%
16
37%
5.0%
20
29.9%
5
12%
経済的虐待
2
28.6%
放置・放任
1
14.3%
1
(14年度・15 年度の虐待の種類は主なものを計上)
以下 17 年度の実績
をふまえ分析を加えま
す。
虐待の種類について
は、「身体的虐待」が
(16 年度ネットワーク設置後相談件数 51 件)
79%と最も多く、
「心理
2)相談者
的虐待」が 67%、「経
14 年度
ケアマネジャー等
6
85.7%
家族
1
15 年度
15
16 年度
17年度
75.0%
22
32.8%
11
25.6%
14.3%
0.0%
8
11.9%
4
9.3%
虐待者
0.0%
0.0%
被虐待者
0.0%
民生委員
置・放任」12%、
「性的
虐待」2%となっていま
す。
0.0%
15.0%
13
19.4%
11
25.6%
0.0%
0.0%
3
4.5%
3
7.0%
近隣・知人
0.0%
0.0%
6
9.0%
5
11.6%
ジャー」と「被虐待者」
市・関係機関
0.0%
0.0%
12
17.9%
6
14.0%
が最も多く 25.6%で、
病院MSW
0.0%
2
10.0%
3
4.5%
3
7.0%
次が「市関係機関」
100.0%
20
100.0%
67
100.0%
43
100.0%
合計
7
3
0.0%
済的虐待」が 37%、
「放
相談者は、
「ケアマネ
14.0%、「家族」9.3%
となっています。
3)被虐待者
14 年度
15 年度
16 年度
17年度
男性
1
14.3%
4
20.0%
13
19.4%
7
16.3%
女性
6
85.7%
16
80.0%
52
77.6%
36
83.7%
0.0%
2
3.0%
100.0%
67
100.0%
不明
合計
0.0%
7
100.0%
20
52
0.0%
43
100.0%
被虐待者では、
「女性」が多く 83.7%
で、「男性」が 16.3%
となっています。
4)被虐待者の年齢
14 年度
50 歳代
2
60 歳代
15 年度
16 年度
17年度
28.6%
2
10.0%
1
1.5%
0.0%
0.0%
2
10.0%
15
22.4%
13
30.2%
被虐待者の年代は、
「70 歳代」が最も多
70 歳代
1
14.3%
8
40.0%
24
35.8%
15
34.9%
80 歳代
3
42.9%
6
30.0%
20
29.9%
12
27.9%
90 歳代
1
14.3%
2
10.0%
6
9.0%
3
7.0%
歳代」27.9%、平均年
0.0%
1
1.5%
0.0%
齢は 71.2 歳となって
100.0%
67
100.0%
不明
0.0%
く 34.9%、次に「60
歳代」で 30.2%、
「80
います。
合計
7
100.0%
20
79.6 歳
平均年齢
43
100.0%
77.1 歳
76.9 歳
71.2 歳
15年度
16年度
17年度
5)虐待者について(重複)
14 年度
男性
6
85.7%
15
75.0%
49
73.1%
31
72.1%
女性
1
14.3%
8
40.0%
23
12.5%
13
30.2%
虐待者の性別は、
「男性」が 72.1%
「女性」が 30.2%と
なっています。
6)被虐待者との関係(重複)
14 年度
夫
2
妻
15 年度
16 年度
28.6%
3
15.0%
10
14.9%
0.0%
2
10.0%
2
3.0%
17年度
8
18.6%
0.0%
虐待者は、「息子」が
最も多く 48.8%、次
娘
1
14.3%
3
15.0%
10
14.9%
6
14.0%
が「夫」18.6%、
「娘」
息子
4
57.1%
10
50.0%
32
47.8%
21
48.8%
14%、「嫁」11.6%と
1
1.5%
1
2.3%
婿
嫁
0.0%
3
15.0%
10
14.9%
5
11.6%
孫
0.0%
2
10.0%
7
10.4%
4
9.3%
なっています。
7)世帯構成
14 年度
独居
15 年度
0.0%
16 年度
17年度
0.0%
2
3.0%
3
7.0%
世帯構成は、
「未婚の家族世帯」が
夫婦
2
28.6%
2
10.0%
11
16.4%
4
9.3%
最も多く 48.8%、次
既婚の家族世帯
2
28.6%
9
45.0%
27
40.3%
12
27.9%
に「既婚の家族世帯」
未婚の家族世帯
3
42.9%
5
25.0%
25
37.3%
21
48.8%
27.9%、
「夫婦」29.3%
0.0%
4
20.0%
2
3.0%
3
7.0%
100.0%
20
100.0%
67
100.0%
43
100.0%
その他
合計
7
53
となっています。
以下の統計は、17年度の相談に関することです。
8) 高齢者虐待相談の把握方法
電話相談
26 人
相談の方法は「電話」60.5%、
「来所」
来所相談
17 人
が 39.5%によるものです。
合 計
43 人
9)
相談への対応時期
即日対応
数日中に対応
その他
合
計
10)
11)
相談から対応までの時期は、
「即日対応」
が 30.2%、
「数日中に対応」51.2%です。
全体の 81.4%は即日又は数日中に対応
しています。
相談時の緊急性の判断
生命に関わる危険な状態
心身の健康に悪影響がある状態
本人の希望や意思が無視、軽視されている
状態
わからない
合
計
8人
20 人
12 人
3人
43 人
虐待の自覚があるか
高齢者本人
虐待している人
自覚あり
30 人 自覚あり
4人
自覚なし
分からない
合
12)
13 人
22 人
8人
43 人
計
7 人 自覚なし
6 人 分からない
43 人
合
計
26 人
13 人
43 人
「生命に危険がある」と
判断したものは 18.6%
で、「心身の健康に悪影
響がある」と判断したも
のは 46.5%です。
被虐待者本人の 30 人
(69.8%)は虐待を受
け てい る 自 覚 があ る
一方で、虐待者の 26
人(60.5%)は虐待し
て いる 自 覚 が ない と
なっています。
高齢者の状況(要介護度・認知症の有無)
認知症老人の
日常生活自立度
要介護度
自立
要支援
要介護1
12 人 自立
1人
Ⅰ
3人
Ⅱ
22 人
5人
5人
要介護2
2人
Ⅲ
6人
要介護3
6人
Ⅳ
1人
要介護4
4人
M
0人
要介護5
3 人 わからない
4人
申請中
3人
未申請
9人
合
計
43 人
合
計
54
43 人
被虐待者のうち、19
人(44.2%)が介護
認定を受けていま
す。また、認知症の
あ る 人 は 、 17 人
(39.5%)となって
います。
13)
高齢者虐待の発生の要因(重複)
21 人 虐待している人の要因
高齢者本人の要因
44 人
6 人 性格や人格
精神障害(アルコール依存を除く)
5人
5人
アルコール依存
4人
身体障害
1人
上記以外の疾患
障害 や病気
認知症による言動の混乱
性格や人格
その他の身体的自立度の低さ
排泄介助の困難さ
外部サービスの利用に抵抗
14 人 知識や情報の不足
13 人 外部サービス利用への抵抗
経済的要因
経済的困窮
経済的トラブル
19 人
4人
3人
1人
3人
5人
2人
1人 世間の声や世間体へのストレス
1人
14 人
これまでの人間関係
家族の無関心、無理解、非協力
7人
高齢者虐待の発生の要因として考えることは、「虐待者の性格や人格」が 19 人、
「これまでの人間関係」15 人、「経済的困窮」13 人が上位をしめています。
14)
相談対応結果
サービス調整しながら在宅生活支援中
継続支援
終
分
了
離
23 人
入院治療中
2人
介入が困難
1人
助言のみで終了
5人
状況が改善し終了
3人
死亡(他の疾病による)
2人
転居により分離
2人
特別養護老人ホーム
施設入所 特定施設(有料老人ホーム)
グループホーム
合
2人
2人
26 人
10 人
7人
1人
43 人
計
平成17年度3月時点での支援状況は、サービス調整しながら在宅介護を継続し
ている事例は約6割、施設入所等で分離した事例は約2割、助言、改善等で終結し
た事例は約2割強となっています。
55
2
松戸市の家庭内における高齢者虐待に関する調査結果
松戸市高齢者虐待防止ネットワークと松戸市において、家庭内における高齢者虐待
について調査を実施しました。
1 調査概要
(1)目的
① 家庭内での高齢者虐待の実態を明らかにする。
② 関係機関等における取り組みの現状を明らかにする。
③ 先の①②を踏まえ、高齢者虐待ネットワークの課題を明らかにする。
(2)調査対象
居宅介護支援事業者、基幹型在宅介護支援センター、地域型在宅介護支援セン
ター、介護保険サービス事業者、健康福祉センター・保健福祉センター、病院・診療所等
の関係機関…326 機関(回収数 160 機関 49.1%)
* 回答のあった 160 機関のうち、虐待と考えられる行為があった機関は 81
機関(50.6%)。
(3)調査方法
・ 関係機関において過去一年間に虐待と考えられる行為(*)を受けた事例を
調査対象として、個表を記入(合計 174 人分の個表を回収)
【表 1】
・ 回答者が虐待を受けている高齢者のケアマネジャーである事例を、平均的な
事例として虐待の現状等を分析。一部の図には基幹型在宅介護支援センター
を合わせて示した。
・ なお、過去一年間に虐待と考えられる行為を受けた高齢者の人数について回
答を求めたところ、合計 218 人であった。
(ただし、機関間での重複があり得
ることに留意する必要がある)
*)調査対象とした「虐待と考えられる行為」
身体的虐待…暴力的行為などで、身体に傷やアザ、痛みを与える行為や、
外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為。
心理的虐待…脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等に
よって精神的、情緒的に苦痛を与えること。
性的虐待…本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な
行為またはその強要。
経済的虐待…本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭
の使用を理由なく制限すること。
介護・世話の放棄・放任…介護・世話の放棄・放任が意図的であるか、結
果的であるかを問わず、介護や生活の世話を行っている家族が、
その提供を放棄または放任し、高齢者の生活環境や、高齢者自
身の身体・精神的状態を悪化させていること
(4)調査実施時期
平成 15 年 12 月 1 日∼平成 16 年 11 月 30 日
56
発送数 回収数
回収率
発送数
回収数
回収率
居宅介護支援
77
54
70.10%
病院・診療所
64
13
20.3%
基幹型在宅介護支援センター
1
1
100.0%
短期入所生活介護
10
8
80.0%
地域型在宅介護支援センター
11
9
81.8%
短期入所療養介護
8
1
12.5%
訪問介護
78
33
42.3%
訪問入浴介護
5
3
60.0%
訪問看護
19
10
52.6%
4
4
100.0%
通所介護
39
18
46.2%
無回答
0
3
通所リハビリ
10
3
30.0%
合計
326
160
表 1
2
健康福祉センター・
保健福祉センター
49.1%
調査におけるサンプル数と有効回収率
結果概要
回答者が虐待を受けている高齢者のケアマネジャーである事例(45 件)を、
平均的な事例として虐待の現状等を分析。一部の図には基幹型在宅介護支援セ
ンターを併せて示した。
<虐待を受けている高齢者の状況>
①年齢・性別・認知症の有無
・ 平均年齢は 82.4 歳(約 8 割が 75 歳以上の後期高齢者)女性が 84.4%であっ
た。
・ 約 6 割が介護・支援を必要とする認知症高齢者(認知症高齢者の日常生活自
立度Ⅱ以上)何らかの認知症を有する者は約 8 割に及ぶ。
【図 1】
②虐待の深刻度
・ 最も深刻だった時点での高齢者の状況は、3 人(6.7%)は「生命に関わる危
険な状態」であったほか、21 人(46.7%)は「心身の健康に悪影響がある状
態」であった。
図1
認知症高齢者の日常生活自立度
認知症高齢者の日常生活自立度
基幹型在宅介護支援センター
担当ケアマネジャー 4.4
全国調査
25.0
17.8
17.9
14.6
15.6
20.5
14.6
22.2
25.1
16.7
8.3
20.8
26.7
13.3
21.1
9.4 3.9
2.1
無回答
0% 10% 20%
痴呆なし
Ⅰ
57
30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
M
わからない
<虐待を行っている者の状況>
①高齢者本人との続柄
・ 「息子」
が最も多く 18 人(40%)次いで「娘」
「配偶者」
がそれぞれ 7 人(15.6%)
と続く。【図 2】
②介護協力者の有無等
・ 約 5 割が「主たる介護者として介護を行っていた」は 23 人(51.1%)であり、
うち、25 人(56.4%)には介護の協力者がいなかった。【図 3】
図2
中心的な虐待者の続柄
高齢者との続柄
10.4 4.2 8.3
基幹型在宅介護支援センター
担当ケアマネジャー
11.8
全国調査
夫
図3
6.7
8.9
60.4
15.6
8.5
0%
10%
妻
娘
40
16.3
20%
4.2 12.5
30%
息子
13.3
32.1
40%
50%
11.1
20.6
60%
息子の配偶者
70%
10.4 0.3
80%
その他
4.4
90% 100%
無回答
介護を行っている虐待者への介護の協力者等の有無
介護協力の有無
32.1
基幹型在宅介護支援センター
担当ケアマネジャー
35.9
全国調査
39
0%
20%
17.9
39.3
30.8
25.6
38.6
40%
58
10.7
60%
17.7
80%
7.7
4.7
100%
介護に協力
してくれる者
がいた
相談相手は
いるが介護
協力者はな
し
介護協力者
も相談相手
もいなかっ
た
不明
<虐待の状況>
①虐待の内容(複数回答)
・ 「心理的虐待」…28 人(62.2%) 「身体的虐待」…26 人(57.8%)
「介護・世話の放棄・放任」…19 人(42.2%)
②虐待についての自覚
・ 高齢者本人の 24 人(53.3%)が虐待を受けている自覚がある。
・ 虐待者の 21 人(46.7%)が虐待している自覚がない。
【図 4】
図4
虐待についての自覚
虐待についての自覚
虐待者
31.1
46.7
53.3
高齢者
0%
20%
自覚がある
22.2
40%
60%
自覚はない
不明
80%
20
2.2
22.2
2.2
100%
無回答
③[機関別]虐待を知った経緯
・ 「担当ケアマネジャー」は、
「記入者自身による気づき」が 10 人(22.2%)
で最も多く、次いで「他機関からの情報提供」が 9 人(20.0%)となってい
る。
・ 「介護保険サービス事業者」は、
「記入者自身による気づき」「高齢者本人の
申告」が多い傾向にある。
・ 「基幹型在宅介護支援センター」では「他機関からの情報提供」が最も多く、
26 人(54.2%)であった。
④虐待の発生要因
・ 虐待の発生要因として考えられること(複数回答)は、
「人間関係」「介護疲れ」がそれぞれ 16 人(35.6%)
「虐待者の性格人格」15 人(33.3%)
「本人身体的自立の低さ」13 人(28.9%)
「経済的困窮 12 人(26.7%)【図 5】
59
図5
発生の要因として影響があったと思われること全て(複数回答)
発生した要因として影響があったと思われること全て(複数回答)
人間関係
虐待者の介護疲れ
虐待者の性格人格
本人身体的自立の低さ
経済的困窮
本人性格や人格
本人認知症による混乱
本人排泄介助の困難さ
無関心無理解
経済的利害関係
虐待者の知識情報不足
本人家族介護が当然
虐待者の身体障害
虐待者の世間体
虐待者のサービス抵抗感
虐待者の知的障害
虐待者の精神障害
虐待者のアルコール依存
ニーズ不適合マネジメント
虐待者のギャンブル依存
虐待者の上記以外の疾患
本人サービス抵抗感
その他
不明
8.9%
8.9%
8.9%
6.7%
4.4%
4.4%
4.4%
2.2%
2.2%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
4.4%
2.2%
0.0%
5.0%
28.9%
26.7%
24.4%
24.4%
22.2%
20.0%
35.6%
35.6%
33.3%
10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0% 40.0%
<対応の状況>
①現在の状況
・ 「現在、改善に向けて取り組んでいる」が 17 人(37.8%)で最も多く、
「現
在のところ改善に向けた取り組みは行われていない」が 5 人(11.1%)、「虐
待行為継続のまま死亡」も 2 人(4.4%)あった。
②解決のための虐待者への働きかけ(複数回答)
・ 「サービスの利用を勧めた」19 人(63.3%)
、
「虐待者の気持ちの理解に努め
た」14 人(46.7%)と多く見られる。【図 6】
③対応の困難さ
・ 「きわめて対応に苦慮した」が 10 人(33.3%)
、
「多少苦慮した」17 人(56.7%)
であり、対応に困難を感じた者が約 9 割を占める。
④対応の困難であった点(複数回答)
・ 「どのように係わればよいか技術的に難しかった」13 人(43.3%)
、
「虐待し
ている人が介入を拒む」11 人(36.7%)であった。【図 7】
60
図6
問題解決のための虐待者への働きかけ(複数回答)
問題解決のために行った虐待者への働きかけ
63.3%
サービスを勧めた
46.7%
理解に努めた
相談にのった
36.7%
30.0%
協力を求めた
分離を勧めた
23.3%
16.7%
説得をおこなった
10.0%
6.7%
6.7%
3.3%
3.3%
参加を勧めた
特になにもしなかった
見守るしかなかった
相談を勧めた
0 その他
0.0%
図7
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
援助上、困難だった点(複数回答)
援助上、困難であった点(複数回答)
43.3%
技術的に難しかった
36.7%
虐待者の介入拒否
26.7%
立場的にかかわりが難しかった
16.7%
経済的理由
被虐待者の介入拒否
13.3%
主導者が誰かわからなかった
13.3%
10.0%
その他家族の介入拒否
緊急避難施設がなかった
6.7%
専門スタッフがいなかった
6.7%
関係機関との連携が難しかった
6.7%
その他
6.7%
サービスの不足
0.0%
0.0%
10.0%
20.0%
61
30.0%
40.0%
50.0%
3.松戸市の高齢者虐待防止ネットワークの詳細
(1)高齢者虐待防止ネットワーク運営要綱と構成員
【
松戸市高齢者虐待防止ネットワーク運営要綱
】
(目的)
第1条 この要綱は、高齢者虐待の予防と早期発見・早期対応・再発防止を図り、もっ
て高齢者の平穏な生活を確保することを目的とし、松戸市の関係機関及び団体が役割
を明確にするとともに、その連携を強化するために、松戸市高齢者虐待防止ネットワ
ーク(以下「ネットワーク」という。)の組織及び運営に関し必要な事項を定めるもの
とする。
(定義)
第2条 この要綱において高齢者とは、
松戸市内に居住する原則 65 歳以上のものをいう。
2 この要綱において高齢者虐待とは、家庭内における家族・親族等から次の各号に掲
げる行為をいう。
(1) 暴力等の行為などで、身体に傷やあざ、痛みを訴える行為や、外部との接触を
意図的、継続的に遮断する身体的虐待行為
(2) 脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって精神的、情
緒的に苦痛を与える心理的虐待行為
(3) 本人との間で合意が形成されてない、あらゆる形態の性的な行為またはその強
要の性的虐待行為
(4) 本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由なく
制限する経済的虐待行為
(5) 意図的であるか、結果的であるかを問わず、介護や生活の世話を行っている家
族が、その提供を放棄または、放任し、高齢者の生活環境や、高齢者自身の身体・
精神的状態を悪化させている介護・世話の放棄・放任行為
(事業内容)
第3条 ネットワークは、
第 1 条の目的を達成するために次のネットワーク事業を行う。
(1) 高齢者虐待防止に関わる関係機関等の連携強化、意見・情報交換に関すること。
(2) 高齢者虐待の予防・早期発見・早期対応・再発防止の対策の強化に関すること。
(3) 高齢者虐待の被害者及び介護者への救済支援体制等の強化に関すること。
(4) 高齢者虐待の実態調査に関すること。
(5) その他高齢者虐待防止に関すること。
(松戸市高齢者虐待防止ネットワーク会議)
第4条 ネットワークは、次に掲げる組織等より推薦のあった者及び代表者・学識経験
者・市関係課長(以下「構成員」という。)をもって構成し、ネットワーク事業を推
進するために「松戸市高齢者虐待防止ネットワーク会議」
(以下「ネットワーク会議」
という。)を開催する。
(順不同)
(1) 千葉地方法務局松戸支局
(2) 松戸人権擁護委員協議会
(3) 千葉県松戸健康福祉センター(松戸保健所)
62
(4) 千葉県松戸警察署
(5) 千葉県松戸東警察署
(6) 松戸市医師会
(7) 松戸市歯科医師会
(8) 松戸市薬剤師会
(9) 訪問看護事業者代表者
(10) 松戸市民生委員児童委員協議会
(11) 松戸市市政協力委員連合会
(12) 松戸市社会福祉協議会
(13) 松戸市老人クラブ連合会
(14) 松戸市ボランティア連絡協議会
(15) 特別養護老人ホーム連絡協議会
(16) 居宅介護支援事業者代表者
(17) 訪問介護事業者代表者
(18) 松戸市地区在宅介護支援センター
(19) 学識経験者
(20) 松戸市市民環境本部市民担当部市民相談課長
(21) 松戸市総務企画本部女性センター所長
(22) 松戸市市市民環境本部市民担当部地域振興課長
(23) 松戸市健康福祉本部企画管理室長
(24) 松戸市健康福祉本部保健福祉課長
(25) 松戸市健康福祉本部児童家庭担当部児童福祉課長
(26) 松戸市健康福祉本部児童家庭担当部障害福祉課長
(27) 松戸市健康福祉本部社会福祉担当部高齢者福祉課長
(28) 松戸市健康福祉本部社会福祉担当部福祉事務所長
2 ネットワーク会議に会長及び副会長を置き、構成員の互選により定める。
3 会長は、会務を総理し、会議を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長が欠けた時はその職務を代行する。
5 ネットワーク会議に構成員が出席できない場合、会長はその代理の者を出席させる
こととする。
6 組織等の長は、適任の構成員を、2 年に 1 回松戸市介護支援課在宅介護支援センタ
ーに推薦することとし、構成員の任期は 2 年とする。ただし、任期中に退任した場合
における補欠構成員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 ネットワーク会議は前条の目的を達成するため、必要な事項を第 5 条第 1 項に規定
する松戸市高齢者虐待防止ネットワーク担当者会議に審議させることができる。
(松戸市高齢者虐待防止ネットワーク担当者会議)
第5条 ネットワーク会議に「松戸市高齢者虐待止ネットワーク担当者会議」(以下「担
当者会議」という。)を置き、ネットワーク事業の企画・調整及び啓発・高齢者虐待
への支援方法の検討及び構築を図るために、担当者会議を開催する。
2 担当者会議の構成員は、次に掲げる組織等より推薦のあった者(以下「担当者」と
いう。)とする。
(1) 松戸市医師会
(2) 松戸市民生委員児童委員協議会
(3) 特別養護老人ホーム連絡協議会
(4) 居宅介護支援事業者
63
(5) 訪問介護事業者
(6) 松戸市地区在宅介護支援センター
(7) 松戸市健康福祉本部企画管理室
(8) 松戸市健康福祉本部保健福祉課
(9) 松戸市健康福祉本部児童家庭担当部児童福祉課
(10) 松戸市健康福祉本部児童家庭担当部障害福祉課
(11) 松戸市健康福祉本部社会福祉担当部高齢者福祉課
(12) 松戸市健康福祉本部社会福祉担当部福祉事務所
(13) その他会長が認めた者
3 担当者会議に代表及び副代表を置き、構成員の互選により定める。
4 代表は、会務を総理し、会議を代表する。
5
副代表は、代表を補佐し、代表が欠けた時はその職務を代行する。
6 担当者会議に担当者が出席できない場合、代表はその代理の者を出席させることと
する。
7 前条第1項の各号に定める組織等の長は、適任の担当者を 2 年に 1 回松戸市介護支
援課在宅介護支援センターに推薦することとし、担当者の任期は 2 年とする。ただし、
任期中に退任した場合における補欠担当者の任期は、前任者の残任期間とする。
8 担当者会議の議決は、ネットワーク会議の議決をもって承認されるものとする。
(秘密の保持)
第6条 構成員、担当者は、その会議及び協力業務により知り得た個人情報については、
他に漏らしてはならない。
(事務局)
第7条 ネットワークに関する事務局は、松戸市健康福祉本部社会福祉担当部介護支援
課在宅介護支援センターに置く。
(補則)
第8条 この要綱に定めるものの他、必要な事項はネットワーク会議で別に定めること
とする。
附則
(施行期日)
1
この要綱は平成16年7月20日から施行する。
(ネットワーク会議の構成員の任期の特例)
2
ネットワーク会議の構成員の任期は、第4条第 6 項の規定にかかわらず施行の日
から平成18年 3 月31日までとする。
(担当者会議の担当者の任期の特例)
3
担当者会議の担当者の任期は、第5条第7項の規定にかかわらず施行の日から平
成18年 3 月31日までとする。
附則
(施行期日)
この要綱は平成16年10月5日から施行する。
附則
(施行期日)
この要綱は平成17年2月28日から施行する。
※平成 18 年 4 月 1 日から施行の
「高齢者虐待に関する法律」
を受け要綱の改正中です。
64
【
松戸市高齢者虐待防止ネットワーク委員構成
区
分
所属機関・団体
】
全体会
千葉地方法務局松戸支局
○
松戸人権擁護委員協議会松戸部会
○
法律関係
弁護士(18 年度より)
○
県
千葉県松戸健康福祉センター(保健所)
○
警察関係者
松戸警察署 生活安全課
松戸東警察署 生活安全課
○
人権擁護関係者
○
松戸市医師会
保 健 ・ 医 療 関係 松戸市歯科医師会
松戸市薬剤師会
者
学識経験者
福祉関係者
市職員
担当者会議
○
○
○
○
千葉県訪問看護ステーション連絡協議会
○
淑徳大学
社会学部教授
○
東京医科歯科大学大学院
保健衛生学研究科教授
○
松戸市民生委員児童委員協議会
松戸市市政協力委員連合会
○
松戸市社会福祉協議会
○
松戸市老人クラブ連合会
○
松戸市ボランティア連絡協議会
○
特別養護老人ホーム連絡協議会
居宅介護支援事業所
訪問介護事業所
○
○
○
○
○
○
地区在宅介護支援センター
○
○
市民相談課
女性センター
地域振興課
企画管理室
保健福祉課
児童福祉課
障害福祉課
高齢者福祉課
福祉事務所
○
○
○
○
○
合
計
65
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
30名
12名
(2)松戸市高齢者虐待防止ネットワーク事業機能と役割〔全体像〕
啓発・相談窓口
虐待予防
地域住民
民生委員
ケアマネジャー
相談・助言
サービス提供事業者
医師
早期発見
等
在宅介護支援センター・高齢者支援連絡会
相談・調査・助言
早期対応
報告及び未解決案件の相談
高齢者虐待防止ネット
ワーク会議(全体会)
・ ネットワーク事業の決定と
管理
高齢者虐待防止ネットワーク会議事務局
松戸市介護予防推進担当室
(地域包括支援センター)
・問題の整理(必要時調査の実施)と支援方法の検討・助言
・高齢者虐待防止ネットワーク会議及び担当者会議の開催支援
・事例検討会の開催支援
・立入調査、措置入所の実施、成年後見制度の市長申し立て、
県への報告
・研修会・啓発・実態調査の支援
事例への支援
高齢者虐待防止ネットワーク担当者会議
・各関係機関の相互理解と役割の明確化
・虐待事例の整理及び分析
個別事例への支援方法の検討
・高齢者虐待実態調査の設計及び分析
1
情報の共有化
・高齢者虐待の支援方法の構築(マニュアル
2
課題の明確化
3
今後の方向性
4
役割分担の明確化
化)等・事業の企画
・年度計画と予算の確保
・高齢者虐待防止の啓発活動、講演会、研
修会などの企画
・高齢者虐待のニーズ把握
他
再発の防止
各事例への対応
計画的なフォローと支援
・一定の経過観察を行い、
相談・助言
関係者・関係機関で連携
・未解決の場合再度担当者会議で
しながら観察・指導体制を
確立し、再発を防止する
66
今後の援助方針検討
(3)養護者による高齢者虐待の対応フロー〔家庭内〕
啓発・相談・通報
窓口
虐待予防
地域住民・民生委員・ケアマネジャー等
被虐待者
養介護者
早期発見
虐待相談窓口
地区在宅介護支援センター
地域包括支援センター
<緊急性の判断>
早期対応
事実確認
・訪問
立入り調査
・当事者や関係者から
の聞き取り等
高齢者虐待防止ネットワーク担当者会議
緊急性が高い
緊急性が低い
養護者との分離を検討
(入院・ショートスティ・
施設入所等)
・ 継続的な見守り
・ ケアプランの見直し及び検討
・ 社会資源、介護技術等の情報
提供
・ 専門家による支援
各事例へのチームアプローチ
計画的なフォローの実施
※
再発防止
法の成立を受け、対応フローの一部変更
平成 18 年 5 月開催予定の松戸市高齢者虐待防止ネットワーク(全体会)
において承認を得ます。
67
(4)養介護施設従事者による高齢者虐待の対応フロー〔施設等〕
従事者等による虐待を
受けたと思われる高齢
者を発見した養介護施
設従事者等
従事者等による虐待
を受けたと思われる
高齢者を発見したも
の
従事者による虐待
を受けた高齢者
通報
通報
届出
松 戸市
地区在宅介護支援センター
地域包括支援センター<緊急性の判断>
事実確認のため施設訪問調査
事実確認(高齢者の状況)
施設責任者と面接 事実確認
連
虐待が疑われる場合
携
高齢者虐待防止ネットワーク会議
養介護施設従事者による高齢者虐待が認められた場合
虐待防止・高齢者保護を図るため、介護保険法の規定による権限の行使
虐待の事実が確認された場合のみ(毎月)
千 葉県
千葉県
報告
老人福祉法・介護保険法の規定による権限の行使
従事者等による虐待の状況等の公表(毎年度)
※
法の成立を受け、新たな対応フロー
平成 18 年 5 月開催予定の松戸市高齢者虐待防止ネットワーク(全体会)
において承認を得ます。
68
5.
高齢者虐待防止に関する法律
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律
目次
第一章
第二章
総則(第一条―第五条)
養護者による高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等(第六条―第十九
条)
第三章 養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等(第二十条―第二十五条)
第四章 雑則(第二十六条―第二十八条)
第五章 罰則(第二十九条・第三十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、高齢者に対する虐待が深刻な状況にあり、高齢者の尊厳の保持に
とって高齢者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等にかんがみ、高
齢者虐待の防止等に関する国等の責務、高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のた
めの措置、養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による高齢者虐
待の防止に資する支援(以下「養護者に対する支援」という。)のための措置等を定
めることにより、高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、
もって高齢者の権利利益の擁護に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「高齢者」とは、六十五歳以上の者をいう。
2 この法律において「養護者」とは、高齢者を現に養護する者であって養介護施設従
事者等(第五項第一号の施設の業務に従事する者及び同項第二号の事業において業務
に従事する者をいう。以下同じ。)以外のものをいう。
3 この法律において「高齢者虐待」とは、養護者による高齢者虐待及び養介護施設従
事者等による高齢者虐待をいう。
4 この法律において「養護者による高齢者虐待」とは、次のいずれかに該当する行為
をいう。
一 養護者がその養護する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、養護者以外の同居人
によるイ、ハ又はニに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心
理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせる
こと。
二 養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高
齢者から不当に財産上の利益を得ること。
5 この法律において「養介護施設従事者等による高齢者虐待」とは、次のいずれかに
該当する行為をいう。
一 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の三に規定する老人福祉施
設若しくは同法第二十九条第一項に規定する有料老人ホーム又は介護保険法(平成
69
九年法律第百二十三号)第八条第二十項に規定する地域密着型介護老人福祉施設、
同条第二十四項に規定する介護老人福祉施設、同条第二十五項に規定する介護老人
保健施設、同条第二十六項に規定する介護療養型医療施設若しくは同法第百十五条
の三十九第一項に規定する地域包括支援センター(以下「養介護施設」という。)
の業務に従事する者が、当該養介護施設に入所し、その他当該養介護施設を利用す
る高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護
すべき職務上の義務を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心
理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせる
こと。
ホ 高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益
を得ること。
二 老人福祉法第五条の二第一項に規定する老人居宅生活支援事業又は介護保険法第
八条第一項に規定する居宅サービス事業、同条第十四項に規定する地域密着型サー
ビス事業、同条第二十一項に規定する居宅介護支援事業、同法第八条の二第一項に
規定する介護予防サービス事業、同条第十四項に規定する地域密着型介護予防サー
ビス事業若しくは同条第十八項に規定する介護予防支援事業(以下「養介護事業」
という。)において業務に従事する者が、当該養介護事業に係るサービスの提供を
受ける高齢者について行う前号イからホまでに掲げる行為
(国及び地方公共団体の責務等)
第三条 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止、高齢者虐待を受けた高齢者の迅速
かつ適切な保護及び適切な養護者に対する支援を行うため、関係省庁相互間その他関
係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援その他必要な体制の整備に努
めなければならない。
2 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護並
びに養護者に対する支援が専門的知識に基づき適切に行われるよう、これらの職務に
携わる専門的な人材の確保及び資質の向上を図るため、関係機関の職員の研修等必要
な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護に
資するため、高齢者虐待に係る通報義務、人権侵犯事件に係る救済制度等について必
要な広報その他の啓発活動を行うものとする。
(国民の責務)
第四条 国民は、高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等の重要性に関する理解を深
めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止、養護者に対する支援
等のための施策に協力するよう努めなければならない。
(高齢者虐待の早期発見等)
第五条 養介護施設、病院、保健所その他高齢者の福祉に業務上関係のある団体及び養
介護施設従事者等、医師、保健師、弁護士その他高齢者の福祉に職務上関係のある者
は、高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、高齢者虐待の早期発見に努
めなければならない。
70
2 前項に規定する者は、国及び地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止のための啓発
活動及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護のための施策に協力するよう努めなければ
ならない。
第二章 養護者による高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等
(相談、指導及び助言)
第六条 市町村は、養護者による高齢者虐待の防止及び養護者による高齢者虐待を受け
た高齢者の保護のため、高齢者及び養護者に対して、相談、指導及び助言を行うもの
とする。
(養護者による高齢者虐待に係る通報等)
第七条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢
者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報
しなければならない。
2 前項に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発
見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。
3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する
法律の規定は、前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならな
い。
第八条 市町村が前条第一項若しくは第二項の規定による通報又は次条第一項に規定す
る届出を受けた場合においては、当該通報又は届出を受けた市町村の職員は、その職
務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしては
ならない。
(通報等を受けた場合の措置)
第九条 市町村は、第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は高齢者からの養
護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは、速やかに、当該高齢者の安
全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに、
第十六条の規定により当該市町村と連携協力する者(以下「高齢者虐待対応協力者」
という。)とその対応について協議を行うものとする。
2 市町村又は市町村長は、第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は前項に
規定する届出があった場合には、当該通報又は届出に係る高齢者に対する養護者によ
る高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護が図られるよう、養護者による高齢者虐待
により生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる高齢者を一
時的に保護するため迅速に老人福祉法第二十条の三に規定する老人短期入所施設等に
入所させる等、適切に、同法第十条の四第一項若しくは第十一条第一項の規定による
措置を講じ、又は、適切に、同法第三十二条の規定により審判の請求をするものとす
る。
(居室の確保)
第十条 市町村は、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者について老人福祉法第十条
の四第一項第三号又は第十一条第一項第一号若しくは第二号の規定による措置を採る
ために必要な居室を確保するための措置を講ずるものとする。
(立入調査)
第十一条 市町村長は、養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な
危険が生じているおそれがあると認めるときは、介護保険法第百十五条の三十九第二
項の規定により設置する地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する
事務に従事する職員をして、当該高齢者の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は
質問をさせることができる。
71
2 前項の規定による立入り及び調査又は質問を行う場合においては、当該職員は、そ
の身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければな
らない。
3 第一項の規定による立入り及び調査又は質問を行う権限は、犯罪捜査のために認め
られたものと解釈してはならない。
(警察署長に対する援助要請等)
第十二条 市町村長は、前条第一項の規定による立入り及び調査又は質問をさせようと
する場合において、これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは、当該高齢
者の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。
2 市町村長は、高齢者の生命又は身体の安全の確保に万全を期する観点から、必要に
応じ適切に、前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。
3 警察署長は、第一項の規定による援助の求めを受けた場合において、高齢者の生命
又は身体の安全を確保するため必要と認めるときは、速やかに、所属の警察官に、同
項の職務の執行を援助するために必要な警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三
十六号)その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければなら
ない。
(面会の制限)
第十三条 養護者による高齢者虐待を受けた高齢者について老人福祉法第十一条第一項
第二号又は第三号の措置が採られた場合においては、市町村長又は当該措置に係る養
介護施設の長は、養護者による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護の観点から、
当該養護者による高齢者虐待を行った養護者について当該高齢者との面会を制限する
ことができる。
(養護者の支援)
第十四条 市町村は、第六条に規定するもののほか、養護者の負担の軽減のため、養護
者に対する相談、指導及び助言その他必要な措置を講ずるものとする。
2 市町村は、前項の措置として、養護者の心身の状態に照らしその養護の負担の軽減
を図るため緊急の必要があると認める場合に高齢者が短期間養護を受けるために必要
となる居室を確保するための措置を講ずるものとする。
(専門的に従事する職員の確保)
第十五条 市町村は、養護者による高齢者虐待の防止、養護者による高齢者虐待を受け
た高齢者の保護及び養護者に対する支援を適切に実施するために、これらの事務に専
門的に従事する職員を確保するよう努めなければならない。
(連携協力体制)
第十六条 市町村は、養護者による高齢者虐待の防止、養護者による高齢者虐待を受け
た高齢者の保護及び養護者に対する支援を適切に実施するため、老人福祉法第二十条
の七の二第一項に規定する老人介護支援センター、介護保険法第百十五条の三十九第
三項の規定により設置された地域包括支援センターその他関係機関、民間団体等との
連携協力体制を整備しなければならない。この場合において、養護者による高齢者虐
待にいつでも迅速に対応することができるよう、特に配慮しなければならない。
(事務の委託)
第十七条 市町村は、高齢者虐待対応協力者のうち適当と認められるものに、第六条の
規定による相談、指導及び助言、第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は
第九条第一項に規定する届出の受理、同項の規定による高齢者の安全の確認その他通
報又は届出に係る事実の確認のための措置並びに第十四条第一項の規定による養護者
の負担の軽減のための措置に関する事務の全部又は一部を委託することができる。
72
2 前項の規定による委託を受けた高齢者虐待対応協力者若しくはその役員若しくは職
員又はこれらの者であった者は、正当な理由なしに、その委託を受けた事務に関して
知り得た秘密を漏らしてはならない。
3 第一項の規定により第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一
項に規定する届出の受理に関する事務の委託を受けた高齢者虐待対応協力者が第七条
第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出を受けた場
合には、当該通報又は届出を受けた高齢者虐待対応協力者又はその役員若しくは職員
は、その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを
漏らしてはならない。
(周知)
第十八条 市町村は、養護者による高齢者虐待の防止、第七条第一項若しくは第二項の
規定による通報又は第九条第一項に規定する届出の受理、養護者による高齢者虐待を
受けた高齢者の保護、養護者に対する支援等に関する事務についての窓口となる部局
及び高齢者虐待対応協力者の名称を明示すること等により、当該部局及び高齢者虐待
対応協力者を周知させなければならない。
(都道府県の援助等)
第十九条 都道府県は、この章の規定により市町村が行う措置の実施に関し、市町村相
互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。
2 都道府県は、この章の規定により市町村が行う措置の適切な実施を確保するため必
要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができる。
第三章 養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等
(養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等のための措置)
第二十条 養介護施設の設置者又は養介護事業を行う者は、養介護施設従事者等の研修
の実施、当該養介護施設に入所し、その他当該養介護施設を利用し、又は当該養介護
事業に係るサービスの提供を受ける高齢者及びその家族からの苦情の処理の体制の整
備その他の養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等のための措置を講ずるもの
とする。
(養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る通報等)
第二十一条 養介護施設従事者等は、当該養介護施設従事者等がその業務に従事してい
る養介護施設又は養介護事業(当該養介護施設の設置者若しくは当該養介護事業を行
う者が設置する養介護施設又はこれらの者が行う養介護事業を含む。)において業務
に従事する養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見し
た場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われ
る高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合
は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
3 前二項に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思わ
れる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければな
らない。
4 養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けた高齢者は、その旨を市町村に届け出
ることができる。
5 第十八条の規定は、第一項から第三項までの規定による通報又は前項の規定による
届出の受理に関する事務を担当する部局の周知について準用する。
73
6 刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項から第三
項までの規定による通報(虚偽であるもの及び過失によるものを除く。次項において
同じ。)をすることを妨げるものと解釈してはならない。
7 養介護施設従事者等は、第一項から第三項までの規定による通報をしたことを理由
として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。
第二十二条 市町村は、前条第一項から第三項までの規定による通報又は同条第四項の
規定による届出を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該通報又は
届出に係る養介護施設従事者等による高齢者虐待に関する事項を、当該養介護施設従
事者等による高齢者虐待に係る養介護施設又は当該養介護施設従事者等による高齢者
虐待に係る養介護事業の事業所の所在地の都道府県に報告しなければならない。
2 前項の規定は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九
第一項の指定都市及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市については、厚生
労働省令で定める場合を除き、適用しない。
第二十三条 市町村が第二十一条第一項から第三項までの規定による通報又は同条第四
項の規定による届出を受けた場合においては、当該通報又は届出を受けた市町村の職
員は、その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるもの
を漏らしてはならない。都道府県が前条第一項の規定による報告を受けた場合におけ
る当該報告を受けた都道府県の職員についても、同様とする。
(通報等を受けた場合の措置)
第二十四条 市町村が第二十一条第一項から第三項までの規定による通報若しくは同条
第四項の規定による届出を受け、又は都道府県が第二十二条第一項の規定による報告
を受けたときは、市町村長又は都道府県知事は、養介護施設の業務又は養介護事業の
適正な運営を確保することにより、当該通報又は届出に係る高齢者に対する養介護施
設従事者等による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護を図るため、老人福祉法又
は介護保険法の規定による権限を適切に行使するものとする。
(公表)
第二十五条 都道府県知事は、毎年度、養介護施設従事者等による高齢者虐待の状況、
養介護施設従事者等による高齢者虐待があった場合にとった措置その他厚生労働省令
で定める事項を公表するものとする。
第四章 雑則
(調査研究)
第二十六条 国は、高齢者虐待の事例の分析を行うとともに、高齢者虐待があった場合
の適切な対応方法、高齢者に対する適切な養護の方法その他の高齢者虐待の防止、高
齢者虐待を受けた高齢者の保護及び養護者に対する支援に資する事項について調査及
び研究を行うものとする。
(財産上の不当取引による被害の防止等)
第二十七条 市町村は、養護者、高齢者の親族又は養介護施設従事者等以外の者が不当
に財産上の利益を得る目的で高齢者と行う取引(以下「財産上の不当取引」という。)
による高齢者の被害について、相談に応じ、若しくは消費生活に関する業務を担当す
る部局その他の関係機関を紹介し、又は高齢者虐待対応協力者に、財産上の不当取引
による高齢者の被害に係る相談若しくは関係機関の紹介の実施を委託するものとする。
2 市町村長は、財産上の不当取引の被害を受け、又は受けるおそれのある高齢者につ
いて、適切に、老人福祉法第三十二条の規定により審判の請求をするものとする。
(成年後見制度の利用促進)
74
第二十八条 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者
の保護並びに財産上の不当取引による高齢者の被害の防止及び救済を図るため、成年
後見制度の周知のための措置、成年後見制度の利用に係る経済的負担の軽減のための
措置等を講ずることにより、成年後見制度が広く利用されるようにしなければならな
い。
第五章 罰則
第二十九条 第十七条第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の
罰金に処する。
第三十条 正当な理由がなく、第十一条第一項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若
しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁
をし、若しくは高齢者に答弁をさせず、若しくは虚偽の答弁をさせた者は、三十万円
以下の罰金に処する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、平成十八年四月一日から施行する。
(検討)
2 高齢者以外の者であって精神上又は身体上の理由により養護を必要とするものに対
する虐待の防止等のための制度については、速やかに検討が加えられ、その結果に基
づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
3 高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等のための制度については、この法律の施
行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果
に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
75
76
第六章
「もっと知りたい人へ
②」
参考図書紹介
日本高齢者虐待防止学会
77
1
高齢者虐待に関する参考図書・参考資料一覧
題
名
著
者
出版社等
発
高齢者虐待―日本の現状と
多々良紀夫編著
課題
中央法規出版株式
2001 年
会社
高齢者虐待の予防と支援
高崎絹子他
高齢者・家族・支え手を結ぶ
日本看護協会出版
1998 年
会
行
高齢者虐待
発見・予防のために
ピーター・カルマー/
フランク・グレンデニ ミネルヴァ書房
ング編著
高齢者虐待の挑む
発見、介入、予防の視点
高齢者虐待防止研究 中央法規出版株式
2004 年 8 月
会編集
会社
身体拘束ゼロへの手引き
厚生労働省編
厚生労働省編
1998 年 2 月
2001 年 3 月
高齢者虐待を未然に防ぐた
朝日新聞厚生文化事
めに
朝日新聞厚生文化
2002 年 3 月
業団高齢者虐待防止
∼高齢者虐待早期発見の手
事業団
研究会
引き∼
高齢者虐待防止研究Vo1
日本高齢者虐待学会
株式会社ワールド
2005 年 3 月
プランニング
高齢者虐待を防ぐ地域のネ
ットワーク
角田幸代
横須賀市高齢者虐待防止事
業から
ぎょうせい
全国老人保健施設における
不適切処遇に関する調査研 高崎絹子他
究報告書
老人虐待・不適切
処遇研究プロジェクト
2001 年 10 月
全国老人保健施設
協会
老人虐待の予防と支援に関
高崎絹子他
する研究(5)
老人虐待・不適切
2002 年 4 月
処遇研究プロジェクト
2006 年 1 月
第1回日本高齢者虐
第1回日本高齢者虐待防止
日本高齢者虐待防
2004 年 7 月
待防止学会東京大会
学会講演集
止学会
実行委員会編集
第2回日本高齢者虐
第2回日本高齢者虐待防止
日本高齢者虐待防
2005 年 2 月
待防止学会東京大会
学会抄録集
止学会
実行委員会編集
78
2
日本高齢者虐待防止学会
(同学会のホームページからの抜粋)
日本高齢者虐待防止学会は、高齢者虐待防止に関する学際的及び実践的活動の研究・
教育の発展を図り、人々の健康と福祉に貢献することを目的として設立されました。
2006. 2. 3
2006. 2. 3
2005.12. 9
2005.11.14
2005. 9.12
2005. 9.12
2005. 7. 2
2004. 7.28
2004. 6. 7
日本高齢者虐待防止学会理事会企画フォーラムついて掲載しました。
第 3 回日本高齢者虐待防止学会大阪大会(最新のご案内)ついて掲載。
入会手続きのご案内(入会申込書の記入要領の⑥)を更新しました。
高齢者虐待防止に関する法律の成立について掲載しました。
学会誌等の販売に関するお知らせ及び事務局からのお知らせを掲載。
第 3 回日本高齢者虐待防止学会大阪大会のご案内ついて掲載しました。
第 2 回日本高齢者虐待防止学会の大会が盛大にとりおこなわれました。
日本高齢者虐待防止学会誌「高齢者虐待防止研究」への投稿規定・
執筆要項を掲載しました。
入会手続き・入会申込書を新フォーマット用に更新しました。
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
連絡先は
日本高齢者虐待防止学会事務センター
〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3-7-2
大橋ビル
(株)ワールドプランニング 内
TEL:03-3431-3715
FAX:03-3431-3325
e-mail:[email protected]
79
□
□
□
80
資
81
料 編
1.松戸市の家庭内における高齢者虐待実態調査に関する調査表
調査表A-1(機関表)
松 戸 市
松戸市高齢者虐待防止ネットワーク
家庭内における高齢者虐待に関する調査
まず、貴機関の種別等を教えてください。
問 1 本調査表をお送りした封筒の宛名下部の「機関種別」の右横に書かれた【 】内の調査対象の機関種別を以下
から選び、1つに○をつけてください。
【ご注意ください】
1.
【地域型在宅介護支援センター】
問1を回答される際は、貴事業所に複数の併設事業所が存在する
2.
【居宅介護支援】
場合も、「家庭内における高齢者虐待に関する調査のご協力のお
3.
【訪問介護】
願い」右上の「機関種別」に書かれている調査対象の機関種別と
4.
【訪問看護】
同じものに○を付けてください。なお、以降の回答については、
5.
【通所介護】
調査表Bも含め、ここで○を付けた機関種別のお立場でご回答く
6.
【通所リハビリ】
ださい。
7.
【訪問リハビリ】
「家庭内における高齢者虐待に関する調査のご協力
のお願い」例
8.
【訪問入浴介護】
9.
【短期入所生活介護】
10.
【短期療養介護】
11.
【病院・診療所】
機関種別【短期入所療養介護】
12.
【健康福祉センター・保健福祉センター】
13.
【基幹型在宅介護支援センター】
家庭内における高齢者虐待に関する調査のご協力のお願い
この場合、選択肢の 10 に○をつけてください。
問 2 貴機関の過去1年間(平成 15 年 12 月 1 日∼平成 問 2−2 調査対象者の範囲にあてはまる高齢者について
下記の種類別に人数を記入ください。1人の人が複数
16 年 11 月 30 日)の利用者または相談者で、別紙2
の種類の虐待を受けている場合には、それぞれに計上
頁「調査対象者の範囲」に記載した調査対象者の範
し、延人数で回答してください。
囲にあてはまる人はいましたか。
(あてはまる番号い
ずれかに○をつけてください。
)
1. いた(→問 2-1 へ)
2. いない(→問 3 へ)
問 2−1 調査対象者の範囲にあてはまる高齢者は何
人いましたか。
人
上記の対象者のうち
① 平成 16 年 12 月 1 日現在も継続している虐待は
人
② 事例カンファレンス(サービス担当者会議を含む)
をこの 1 年間で(平成 15 年 12 月 1 日∼平成 16 年
人
11 月 30 日)開催及び参加した対象者は何事例あり
ますか
①身体的虐待を受けている高齢者
人
②心理的虐待を受けている高齢者
人
③性的虐待を受けている高齢者
人
④経済的虐待を受けている高齢者
人
⑤介護・世話を放棄・放任されている
高齢者
人
問 3 貴機関においては、虐待発生時の対応の方法につい
て取り決め及び対応マニュアル等はありますか。
1. 申し合わせ事項はあるが、マニュアルはない
2. マニュアルがある
3. 特にない
4. その他(
)
事例
82
問 4 貴機関において高齢者虐待に対応していくにあたり、 7 高齢者虐待の実態や対応、また、本調査についての
どのような制度や仕組みがあればよいと思いますか。
ご意見などありましたら、ご自由にご記入ください。
(最も重要だと思うもの3つに○をつけてくださ
い。)
1.相談窓口の整備
2.機関相互の情報共有
3.機関の職員に対する教育・啓発の機会の充実
4.住民に対する教育・啓発
5.対応マニュアルの整備
6.地域福祉権利擁護事業の充実
7.高齢者虐待に関する法制度の整備
(虐待の定義や通報制度、罰則等)
8.警察・司法機関との連携、介入
9.その他(
)
問 5 貴機関において平成 16 年 12 月 1 日現在、虐待を含
む支援困難事例と考えている事例は何事例あります
か。
事例
問 6 虐待を含む支援困難事例はどこに相談していますか。
(複数回答)
1. 職場の上司及び同僚
2. 担当のケアマネジャー
3. 関わっているサービス担当者
4. 地域型在宅介護支援センター
5. 松戸市基幹型在宅介護支援センター
6. 市役所(基幹型在宅介護支援センターを除く)
7. 主治医等の医療機関
8. 保健所/保健福祉センター
<認定調査をおこなっている居宅介護支援事業者の方に
9. 社会福祉協議会
おうかがいします>
10. 近隣住民(ボランティア等を含む)
問 8 認定調査で虐待の疑いがある場合どのように対応し
11. 民生委員
ていますか。(複数回答)
12. 特にない
1.市に相談している
13.その他(
)
2.調査表に記入し、そのままになっている
3.調査後も電話等で状況を確認している
4.気にはなるが、そのままになっている
5.その他(
)
調査表A(機関表)は以上で終わりです。ご協力ありがとうございました。
過去1年間に調査対象者の範囲にあてはまる高齢者がいなかった機関の方は、調査表B(個表)の記入は
不要です。本調査表のみを返信用封筒に入れて返信してください。
★ 過去1年間に調査対象者の範囲に当てはまる高齢者がいた機関の方は、調査表B(個表)の記入もお願
いします。
83
松 戸 市
松戸市高齢者虐待防止ネットワーク
調査表B−1(個表)
家庭内における高齢者虐待に関する調査
【記入上のお願い】
この調査表Bは、本対象者を主に担当された職員の方がご記入ください。また、ご担当者以外の方が回答したり、他機関
の職員の方がよく知っているといった理由で他機関や併設の事業所等に転送することはおやめください。
記入にあたっては、最も近いと思われる選択肢の番号に○印を付けてください。設問に「
(複数回答)
」と書かれている
設問は、あてはまる番号全てに○印を付けてください。それ以外は1つに○印を付けてください。
1.この「調査表」を記入している方についてお伺いします。
問 7-1:高齢者本人に対し、介護サービスは適切に利用されて
いたと思いますか。介護サービスを利用していない場合も介護
問1
高齢者
本人と
の関係
(○は 1
つ)
1.担当ケアマネジャー 2. 介護サービス提供者
3.保健師
4.看護師、准看護師
5.要介護認定時の意見書記入のかかりつけ医
6.その他の医師(医療機関/保健所)
7.事例ワーカー
8.MSW(医療ソーシャルワーカー)
9.その他(在宅介護支援センター・ケアマネジャーなど)
の必要性と照らし合わせてお答え下さい。
(○は 1 つ)
1. 適切な量と内容の介護サービスが利用されていたと思
う
2. 適切な量あるいは内容の介護サービスが利用されてい
たとは思わない
3. わからない
4. 介護サービスは必要なかった
2.虐待を受けている高齢者本人(以下、
「高齢者本人」
)
についてご記入ください。ここから問 13 までは、あな
たがこの虐待事例を知った当時の状況についてお答え
3.高齢者本人を虐待していると思われる中心的な人(以
下、
「虐待をしている人」
)についてご記入ください。ここ
では、この虐待事例を知った当時の状況についてお答えく
ださい。
ください。
問2
問3
年齢
歳 性別
1.男性
問4
1.自立(認定非該当) 2.要支援
要 介 護 4.要介護 2
5.要介護 3
度
7.要介護 5
8.申請中
10.わからない
問5
3.要介護 1
6.要介護 4
9.未申請
9.わからない
問 9 高齢者本 1.同居(同一敷地内を含む) 2.別居
人との同居
3.わからない
1.認知症なし 2.Ⅰ 3.Ⅱ 4.Ⅲ 5.Ⅳ
認 知 症 6.M
性老人
7.わからない
問6
家族
1.1人暮らし
2.本人と配偶者だけ
形態
3.本人と配偶者以外の同居者1人だけ
4.3人以上
5.わからない
問7
利用し
ていた
介護サ
1.配偶者
2.娘
3.息子
問8
高 齢者 本人 4.息子の配偶者(嫁) 5.娘の配偶者(婿)
との続柄
6.兄弟姉妹 7.孫 8.その他(
)
2.女性
1.訪問介護
3.訪問看護
5.通所介護
7.短期入所生活介護
2.訪問入浴介護
4.訪問リハビリ
6.通所リハビリ
8.短期入所療養介護
1.いない 2.配偶者
3.娘 4.息子
上記以外で虐
待している人
の存在
(複数回答)
5.息子の配偶者(嫁) 6.娘の配偶者(婿)
7.兄弟姉妹
8.孫
9.その他(
)
10.わからない
問 11:虐待をしている人の介護への取り組みについてお答えく
ださい。
(○は 1 つ)
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
ー ビ ス 9.居宅療養管理指導10.福祉用具貸与
(複数回 11.利用していない
答)
問 10
12.全ての利用状況については把握していないので
回答できない
84
主たる介護者として介護を行っていた(問 11-1 へ)
主たる介護者だが、介護を放棄していた(問 11-1 へ)
補佐的に、介護を行っていた(問 11-1 へ)
介護には関与していた(問 11-1 へ)
介護には携わっていない(問 12 へ)
高齢者本人には介護は不要だった(問 12 へ)
わからない(問 12 へ)
<問 11-1 と問 11-2 は、問 11 で「1」.「2」.「3」.「4」を回 問 13:本事例を把握した、あるいは、連絡を受けた最初の段階
であなたは、どのような対応をとりましたか。
(○は 1 つ)
答された方にだけおたずねします。>
問 11-1:虐待をしている人には、介護サービス提供者、ケアマネジ
1. 他の人には相談せずに、自分の判断だけで対応した
ャー以外に実際の介護に協力する人(親族・友人・近隣住民
2. 貴機関内で相談し、貴機関において主導的に対応した
等)がいましたか。
(○は 1 つ)
3. 貴機関内での相談や他の介護サービス事業所との情報
連携もしつつ、貴機関が主導的に対応した
1. 介護に協力してくれる者がいた
4. 他の介護サービス事業所に主導的な対応を依頼した
5. 担当ケアマネジャーに主導的な対応を依頼した
6. 地域型在宅介護支援センターに主導的な対応を依頼し
た
7. 松戸市基幹型在宅介護支援センターに主導的な対応を
依頼した
2. 相談相手はいるが実際の介護に協力する者はいなか
った
3. 介護に協力する者も相談する相手もいなかった
4. わからない
問 11-2:虐待をしている人の介護歴はどの程度になりますか。
(○は 1 つ)
1. 1 年未満
3. 3 年以上 5 年未満
8. 松戸市基幹型在宅介護支援センター以外の行政に主導
的な対応を依頼した
9. 警察に主導的な対応を依頼した
10. 医療機関に主導的な対応を依頼した
11. 他機関からの情報提供に基づき、協力的に対応した
12. 特別な対応はとっていない
13. その他(
)
2. 1 年以上 3 年未満
4. 5 年以上
5. わからない
<ここからは再び、全ての方におたずねします。>
4.本事例の発見と気づきの状況についてご記入ください
5.本事例のこれまでの状況についてご記入ください。
問 12:あなたが本事例の虐待を知った経緯は何ですか。
(○は
1つ)
1.あなた自身による気づき
2.あなた以外の貴機関職員の気づき、連絡
3.高齢者本人からの申告
4 虐待をしている人からの申告
5.高齢者本人の家族、親族からの申告
6.貴機関の他の利用者やその家族からの連絡
問 14:虐待の具体的な内容を簡潔に表すとしたらどのようなこ
とですか。
(複数回答)
1.
2.
3.
4.
7.住民からの連絡
8.民生委員からの連絡
外傷(出血、骨折、火傷)
傷にならない程度の暴力的な行為(殴る、蹴る、叩く)
拘束(ベッド等に縛り付け)
暴言、威圧、侮辱、脅迫(言葉による暴力)
5. 無視
6. 嫌がらせ
9.他機関からの情報提供
7. 不必要な性器への接触
10.その他(
)
8. 排泄の失敗等に対し懲罰的に下半身を裸にして放置
問 12-1:虐待の可能性に最初に気づいたきっかけは何ですか。 9. 日常必要な金銭を渡さない/使わせない
10.年金、預貯金、不動産収入等の取り上げ
最初に気づいたのが他機関の職員であっても分かる範
11.不動産、有価証券などの無断売却
囲でお答えください。
(複数回答)
12.入浴・排泄介助放棄による不衛生状態
13.水分食事摂取放任による身体的ダメージ
14.劣悪な住環境の中で生活させる
15.高齢者本人が希望する介護・医療サービスを利用させない
16.介護者が自宅に戻らないことがある
17.その他
(具体的に:
)
1.高齢者本人の言動(怯えなどを含む)
2.虐待をしている人の言動
3.高齢者本人の身体状況
4.高齢者本人の表情や精神状況
5.高齢者本人の身なり
6.居室・居宅内の状況
7.サービスの利用行動(理由なく利用拒否、利用回数削減等)
8.その他(
)
9.わからない
85
問 15:本事例の虐待はもっと深刻な時点において、高齢者にと 問 19:虐待している人に自分自身が虐待をしているという自覚
があると思いますか。
(○は 1 つ)
ってどのような状態でありましたか。
1.
2.
3.
4.
1.自覚がある
生命に関わる危険な状態
心身の健康に悪影響がある状態
本人の希望や意思が無視、軽視されている
わからない
1.
2.
3.
4.
5.
6.
サービスの種類・回数を変更した
サービス担当者会議を開いた
頻回に訪問し状況を確認した
他機関との連携を密にした
入院・入所等で高齢者と虐待している人を分離した
高齢者本人の認知症による言動の混乱
高齢者本人の排泄介助の困難さ
高齢者本人のその他の身体的自立度の低さ
高齢者本人の性格や人格
高齢者本人が外部サービスの利用に抵抗感がある
高齢者本人が介護を家族がするのは当然と思っている
7. 虐待をしている人の身体障害
6. 他の介護サービス事業所に主導的な対応を依頼した
7. 担当ケアマネジャーに主導的な対応を依頼した
8. 虐待をしている人の知的障害
9. 虐待をしている人のアルコール依存
8. 地域型在宅介護支援センターに主導的な対応を依頼し
た
10. 虐待をしている人の精神障害(アルコール依存を除く)
11. 虐待をしている人の上記以外の疾病
9. 地域型在宅介護支援センターに相談した
10. 松戸市基幹型在宅介護支援センターに主導的な対応を
12. 虐待をしている人のギャンブル依存
13. 虐待をしている人の性格や人格
14. 虐待をしている人の介護疲れ
依頼した
11. 松戸市基幹型在宅介護支援センターに相談した
15. 虐待をしている人の知識や情報の不足
16. 虐待をしている人の外部サービス利用への抵抗感
17. 虐待をしている人の「介護は家族がすべき」といった
周囲の声、世間体に対するストレスやプレッシャー
18. 介護ニーズに不適合なケアマネジメント
19. 高齢者本人と虐待をしている人のこれまでの人間関係
20. 配偶者や家族・親族の無関心、無理解、非協力
21. 経済的困窮
12. 松戸市基幹型在宅介護支援センター以外の行政に主導
的な対応を依頼した
13. 松戸市基幹型在宅介護支援センター以外の行政に相談
した
14. 警察に主導的な対応を依頼した
15. 警察に相談した
16. 医療機関に主導的な対応を依頼した
17. 主治医に相談した
18.
19.
20.
21.
22.
23.
3.わからない
問 20:本事例が発生した要因は何だと考えていますか。最も影
響があったとあなたが思うもの1つに◎、その他の影響が
あったと思う要因全てに○をつけてください。
(複数回答)
問 16:あなたは、もっとも深刻な時にどのように対応しました
か(複数回答)
1.
2.
3.
4.
5.
2.自覚はない
22. 経済的利害関係(財産、相続)
23. その他
24. わからない
他機関からの情報提供に基づき、協力的に対応した
虐待している人以外の家族に相談した
人権擁護委員に相談した
見守るしかなかった
対応はとれなかった
その他(
)
問 21:本事例に対応していくにあたり、どのような制度や仕組
みがあればよいと思いますか。
(最も重要だと思うもの3つ
に○をつけてください。
)
問 17:本事例の虐待はおよそどのくらいの期間続いていますか。 1.相談窓口の整備
(○は 1 つ)
2.機関相互の情報共有
3.機関の職員に対する教育・啓発の機会の充実
1. 3ヵ月以内
2. 4∼6ヵ月程度
4.住民に対する教育・啓発
3. 半年∼1年程度
4. 1∼3年程度
5.対応マニュアルの整備
5. 3年以上
6. わからない
問 18:高齢者本人は自分自身が虐待されている自覚があると思
いますか。
(○は 1 つ)
1.自覚がある
2.自覚はない
3.わからない
86
6.地域福祉権利擁護事業の充実
7.高齢者虐待に関する法制度の整備(虐待の通報制
度・罰則など)
8.警察・司法機関との連携、介入
9.その他(
)
問 25:本事例の解決のために、特に、虐待をしている人へあな
たはどのような働きかけをしましたか。(複数回答)
6.本事例のこれまでの対応状況についてご記入ください。
問 22:本事例は、現在どのような状況にありますか。
(○は 1 つ)
1.
2.
3.
4.
1.問題にしている虐待行為が見られなくなった
(→問 23 へ)
虐待をしている人の相談に十分にのった
虐待をしている人の気持ちの理解に努めた
虐待をしている人への説得を行った
虐待をしている人以外の親族へ理解・協力を求めた
5. 虐待をしている人の介護負担を軽減するような介護サ
ービスの利用を勧めた
2.現在、改善に向けて取り組んでいる(→問 23 へ)
3.現在のところ改善に向けた取り組みは行われていない
(→質問は終わりです)
4.虐待行為継続のまま本人死亡 (→質問は終わりです)
5.その他(
)
(→質問は終わりです)
6.(一時的な)分離を勧めた
7. 介護教室や介護家族団体への参加を勧めた
8. 専門家(医師・弁護士等)による相談を勧めた
9. 見守るしかなかった
10. その他(
11. 特になにもしていない
5.わからない (→質問は終わりです)
)
【以下の設問は問 22 で「1.」または「2.」と回答された方のみ
がお答えください。それ以外の方は、ここでアンケートは終
了です。ご協力ありがとうございました。
】
(○
問 23:本事例の解決のために利用した施設、介護サービスの利 問 26:本事例への対応はどの程度、困難だと感じましたか。
は 1 つ)
用を増やす、あるいは、新規に利用したもの全てに○をつ
けてください。
(複数回答)
1. 特に難しさは感じなかった (→質問は終わりです)
2. 多少の難しさは感じた (→問 26-1 へ)
1. 養護老人ホームに入所をした
3. きわめて対応に苦慮した (→問 26-1 へ)
2. 特別養護老人ホームに入所をした
3. 病院に入院した
4. 老人保健施設に入所した
5. ケアハウスまたはグループホーム、有料老人ホーム等に入所した
6. 上記施設等への入所・入院の手続中または手続きした
が待機中
7. 訪問介護
8. 訪問入浴介護 9. 訪問看護
問 26-1:<問 26 で「2.」または「3.」と回答された方におた
ずねします。>本事例においてあなたが援助上困難であっ
た点は何ですか。
(複数回答)
1.
2.
3.
4.
10. 訪問リハビリ 11. 通所介護 12. 通所リハビリ
13. 短期入所生活介護
14. 短期入所療養介護
15 居宅療養管理指導
16.福祉用具貸与
17.医師の往診
18. ケアマネジャーを変更した
19. ケアマネジャーの訪問回数を増やした
20.在宅介護支援センター職員の訪問を増やした
21. 特に新規に利用したり増やしたりしていない
22. 要介護・要支援状態ではない
5. 虐待に対応できる専門スタッフがいなかった
6. 緊急避難的に入院、入所できる医療機関や福祉施設がな
かった
7. 援助するためのサービスが近隣には不足していた
8. 高齢者本人が介入を拒む
9. 虐待をしている人が介入を拒む
10.その他の家族が介入を拒む
11. 経済的理由でサービス利用を増やすのが困難だった
23.地域福祉権利擁護事業を利用(相談)した
24. 成年後見制度を利用(相談)した
25. その他(
)
26. わからない
12. その他(
問 24:最終的に本事例の問題改善に向けて関与した機関全てに
○をつけてください。あなたの所属機関も含めてお答えく
ださい。
(複数回答)
1.担当ケアマネジャー
2.地域型在宅介護支援センター
3.基幹型在宅介護支援センター 4.上記以外の介護サービス機関
5.医療機関 6.福祉事務所 7.社会福祉協議会
8.福祉事務所・基幹型在宅介護支援センター以外の市役所
9.保健所/保健福祉センター 10.近隣住民(ボランティア等を含む) 11.
警察 12.救急(消防) 13.弁護士 14.人権擁護委員 15.民
生委員 16.その他(
17. 特に改善に向けて関与した機関はない
自分がどのように係わればよいか、技術的に難しかった
自分がどのように係わればよいか、立場上難しかった
誰が主導的に係わればよいか分からなかった
関連機関との連携が難しかった
)
質問は以上で終わりです。ご協力ありがとうございました。
ご記入いただきました調査表は事業所でまとめて、調査表Aと
ともに返信用封筒に入れ、郵便にて返送してください。
)
87
平成18年3月31日
発 行
松
編 集
戸
市
松戸市高齢者虐待防止ネットワーク
連絡先
松戸市役所
介護支援課
在宅介護支援センター
(介護予防推進担当室・地域包括支援センター)
E-mail
電話
047-366-7343
FAX
047-366-7748
[email protected]
Fly UP