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97 青果物混載輸送のためのエチレン除去と濃度予測モデルの開発 〇
青果物混載輸送のためのエチレン除去と濃度予測モデルの開発 〇梅野裕太・原和伸・田中史彦 1)・内野敏剛 1)・濱中大介 1) (九州大院生資環・1) 九州大院農) 空間内に空間内に窒素が 0.77,酸素が 0.23 の質量分 【目的】 カキの輸出は近年盛んに行われているが,現状で は単品目でコンテナを満載するほどの需要は望めず, 率で存在するものとした。 【結果および考察】 予測モデルから得られた t = 1800 s におけるコン リンゴ等エチレン発生量の多い青果物との混載も避 けられない。カキはエチレン感受性が高く,エチレ テナ内のエチレン濃度分布の予測結果を図 1 に示す。 ン暴露により急速に軟化が進行する。現在,青果物 エチレン発生源となる積荷からエチレンが気流によ のエチレン対策としては吸着材,1-MCP,光触媒技 って庫内全体に拡散する様子がみられた。 術などが主なものであるが,処理量が少ない,持続 図 2 にカキ積荷内の平均エチレン濃度の経時変化 時間が短いといった問題点がある。そこで著者らは の予測結果を示す。時間の経過とともにカキ積荷内 高電圧プラズマによるエチレン除去装置に着目した。 のエチレン濃度は上昇し続け,開始から約 1500 s で コンテナ内にエチレン除去装置を設置する際はいか 安全基準濃度の 1 ppm を超えた。今回の結果から, に効率よくエチレンを除去し,安全基準濃度である 本モデルではエチレン発生量に対して除去量が不足 1 ppm 以下を維持するかが重要な課題となるため, しているといえる。今後は,エチレン除去装置の増 本研究では数値流体力学解析によりコンテナ内のエ 加をし,エチレン濃度を目標濃度以下に抑えるエチ チレン濃度分布の経時変化を予測した。 レン除去装置および積荷の配置を検討する。 【予測モデルの構築】 エチレン質量分率 カキとエチレンを発生する青果物を混載した輸送 5.0×10-6 コンテナにエチレン除去装置を設置した際のエチレ 4.0×10-6 ン濃度分布の経時変化を解明するため,数値流体力 3.0×10-6 学に基づく予測モデルの構築を行った。エチレン濃 度分布の予測には,反応を伴う化学種輸送モデルを 2.0×10-6 使用した。 1.0×10-6 解析に使用したジオメトリーは 20ft コンテナを元 図1.エチレン濃度分布 (t = 1800 s) チレン感受性の高い青果物の 2 つを配置し,積荷が 積載空間の約 7 割の体積を占めるよう寸法を決定し た。エチレン除去装置は積載部中央上部に配置した。 エチレンは発生源となる積荷より,3.68×10-9 kg m-3 s-1 (実測値) で発生するものとした。積荷はとも に多孔質媒体と仮定した。ファン吹出口における境 界条件として 7 Pa の圧力上昇を設定した。エチレン エチレン質量分率 (×10-6) に作成した。積荷はエチレンを発生する青果物とエ 分解反応は除去装置内のみで起こるとし,実測より 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0 300 600 900 1200 1500 1800 時間 (s) 算出した分解速度を設定した。非定常乱流条件で解 析を行い,計算ステップは 1 s とした。初期条件は, 1.4 図2.カキ積荷内の平均エチレン濃度の経時変化 ─ 97 ─ p089-105postercs5.indd 97 2013/08/02 13:48:37