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フィールドワークとヒアリング(聞き取り)調査について

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フィールドワークとヒアリング(聞き取り)調査について
市民活動パワーアップのための調査・研究事業-市民活動の共通課題にネットワーキングで取り組む場作り
第5回資料③
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フィールドワークとヒアリング(聞き取り)調査について
◆目標の確認 社会の共感と信頼を生む情報提供ツール
社会=広く市民の皆さんへ
共感=市民活動が「あって良かった」
信頼=市民活動は「しっかりした活動だ」
と思っていただけるような事例集をつくりたい。
◆準備① 相手の団体の事を調べよう
聞き取りの成否を分けるのは「聞く側が、そのことについてどれくらい知っているか」です。
聞く側が何の予備知識もなく聞き取りをはじめると、聞かれる側は「何も知ら
ないから…」と、ごく初歩的なこと=基礎知識の伝達に終始してしまいます。
肝心の話=その人の考えや経験など、その人にしか聞けない重要な話を聞く所
まで話が深まっていきません。
参考) 立花隆はインタビューの前に、その分野の関連書籍を2~3山ほど
読んで、ある程度対等に会話できるように準備します。
◆準備② 聞き取りたい項目を決める
「団体紹介記事を書く」という目標(出口)のイメージをしっかり持って聞き取りをします。
井戸端会議は、話題があっちにいったりこっちにいったり、気ままな流れが楽
しさにつながります。
でも、そんな調子で聞き取りをはじめてしまうと、原稿を書くときになってか
ら「あれを聞いてない」
「これはどうだったかな?」とあわてる事になります。
◆準備③ アポイントメントを取る
時間は2~3時間は必要、ゆったりとした雰囲気の場所で、資料のお願いがポイント。
聞き取り調査は時間がかかります。相手の長い経験や深い所の考えや気持ちを
聞き取るには、ある程度まとまった時間が必要です。
聞き取りを行う場所の雰囲気も大事です。何よりも相手の方がリラックスして
話ができる場所、邪魔が入らない場所を相談して決めましょう。
また、全てを聞き取る事は不可能(な上に効率が悪い)です。団体の規約や会
則、リーフレット、事業報告書、活動風景の写真などをお借りできるように、ア
ポイントメントを取るときにお願いしておきましょう。
◆聞き取りのコツ① メモを取る
「原稿を書く作業」は聞き取りのメモを書く時からはじまります。
メモの取り方で大事なのは、1、考えながら書く
2,あとで自分でわかるよ
うに書く の2点です。
単に記録に残すのではなく、聞いている時のこちらの頭を整理するために有効
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です。メモを見ながら次に聞くべきポイントを見つけ「○○というお話しですが、
□□ですか?」と聞く事もできます。固有名詞の漢字や数字は、メモを取ること
でハッキリします。
話を聞きながら、思いついた次の質問をメモするという方法もあります。
◆聞き取りのコツ② ひとつの事を、違う質問で尋ねる
ひとつの質問では聞き出せない事もあります。違う視点や表現でもう一度聞いてみます。
会話というのはあやふやで案外「意味のやり取り」ができていない事も多く、
各自が共通話題について「自分が話したいこと」を勝手に話しているというシー
ンも見受けられます。
聞きたい事を質問しても、相手がその事に答えてくれるとは限りません。
話してくれても、核心からずれた話をしているかも知れません。
少し視点や表現を変えて、もう一度尋ねる事で、内容が立体的に理解できたり、
より深まったりすることもあります。
◆聞き取りのコツ③ 録音する
こちらも聞き取りのプロではありません。いざという時のために録音があると安心です。
録音する理由は、1,メモしきれない程細かい話を聞く時、後で聞いて内容を
補いたい場合。 2,相手の話し方や語り口そのものに意味や重要性がある場合。
3,あとあとのために(資料的な価値)
。4,自分の質問を確認出来る。
今回の場合は1にあたります。
◆原稿書きのコツ① メモをまとめる
メモの賞味期限は 3 日程、できるだけ「その日」の内に「使い」きりましょう。
たいていのメモは 1 週間もすると本人でさえ内容がわからなくなります。内容
がしっかりわかるのは 3 日程度と考えて、できるだけ早い時点で「記録」に加工
します。
記録にするには、最初から文章にするのではなく、
「箇条書き」をお薦めします。
後で順番を入れ替えたり、追加したり、文章化のための加工がしやすいからです。
パソコン・ワープロで作業すれば、後日そのまま文章化の作業へ入れます。手
書きの場合は付箋紙を使うと、同じ作業が簡単にできます。
◆原稿書きのコツ② 聞いた話は正しいか?
話されている内容が正しいとは限りません。大事な所は客観的な資料で確認を。
たいていの人は自分が確かに知っている事と、伝聞などのそれほど確かではな
い事とをごっちゃにして話します。
「これは私自身が見たから確かな話だけど…」
「これは A さんから聞いた話だから、確証はないんだけど…」「これは B さんか
ら聞いた話だけど、あの人は確かな話しかしないから…」などと、内容の出所か
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ら話をする人はほとんどいません。
嘘を話すから疑ってかかれという事ではなく、その人が誰かに聞いた事はその
人にとって確かな事ですが、その情報が正しいとは限らないという事です。
大事な点に関しては、できるだけ確かな情報を聞くように心がけ、参考資料の
どこに書いてあるのか聞いておき、原稿を書く段階で「確からしさ」を確認する
事です。
◆フィールドワーク 参与観察=現場を見る事も大事
活動の現場を観察すると、聞き取りでは見えてこない事がわかる。
聞き取りは有効ですが、相手の視点を通した話しか聞く事はできません。市民
活動の醍醐味は現場にある事も多く、実際の活動現場に足を運んで、見て、感じ
て、考えることも大事です。
相手の邪魔にならない範囲で、現場を見せてもらえるか聞いてみましょう。た
だし、人権に関わる活動の場合、部外者は入れない事もあります。
以上、フィールドワークの方法として、聞き取り調査を主にポイントをまとめました。
誤解のないように書きますが、これは「指示」ではなくて、
「ガイド」です。この通りにするた
めに書いたのではありません。
皆さんのヒアリング調査がうまく進む参考になれば幸いです。
参考図書
自分で調べる技術 市民のための調査入門
宮内泰介 著
岩波アクティブ新書 117 岩波書店
市民活動に関わる人へのお薦め度 ★★★★☆
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必読の一冊です。
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