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第3章 厚木市の現状と課題

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第3章 厚木市の現状と課題
第3章 厚木市の現状と課題
第3章
厚木市の現状と課題
19
第3章 厚木市の現状と課題
1 厚木市の概況(人口・土地利用・産業構造の変化)
(1) 人口・世帯数の現況
人口の推移及び将来推計について、全国では、平成 17 年から 22 年にかけて
横ばいが続き、その後、減少方向へと転じていますが、本市では平成 32 年度ま
で増加する見込みとなっています(図 3-1-1)。
また、本市の世帯数は増加していますが、世帯当たりの人員が減少しており、
平成 22 年度は 2.43 人となっています。減少の原因として、核家族化や単身世
帯の増加が考えられます。
平成 12 年度から 22 年度の年齢区分別の人口比率をみると、15 歳未満と 15~
64 歳の人口比率の減少傾向、65 歳以上の人口比率の増加傾向が続いています。
将来も少子高齢化が進む見込みです(図 3-1-2)。
図 3-1-1
将来の人口推移
厚木市
全国
110.0
103.4
105.0
98.3
100.0
100.9
100.0
99.3
101.4
100.0
100.2
H17
H22
97.1
99.1
97.7
95.0
93.8
90.0
H7
H12
H27
H32
資料: 「平成 22 年 国勢調査」
(全国・厚木市:H7~H22)
「日本の将来推計人口(平成 24 年 1 月推計)」
(全国:H27~H32)
「第9次厚木市総合計画『あつぎ元気プラン』
」
(厚木市:H27~H32)
図 3-1-2
世帯数
(世帯)
世帯数及び世帯当たりの人員推移、年齢区分別人口推移
世帯数
世帯当たりの人員
0~14歳
65歳以上
世帯当たり
人員(人)
200,000
15~64歳
4
3.08
150,000
100,000
57,021
2.85
H7
2.73
2.60
2.48
2.43
92,476
83,525 89,740
69,187 76,287
50,000
3
2
1
0
0
S60
H2
H7
資料:「統計あつぎ
H12
H17
16.2%
H12
14.7%
H17
14.1%
H22
13.7%
H27
12.8%
75.5%
74.9%
0%
平成 25 年版統計書」
10.4%
72.1%
13.8%
68.3%
18.0%
64.3%
H32 11.8%
H22
8.3%
22.9%
62.6%
20%
40%
25.6%
60%
80%
100%
資料: 「平成 22 年 国勢調査」(H7~H22)
「第9次厚木市総合計画
『あつぎ元気プラン』」(H27~H32)
20
第3章 厚木市の現状と課題
(2) 土地利用の現況
市域の土地利用の内訳を見ると、宅地が最も多く、全体の約半分を占めてお
り、次いで山林が多い状態です。平成 17 年と比べ、平成 22 年は宅地が増加し
ている一方、田畑や山林がわずかに減少しています(図 3-1-3)。
図 3-1-3
0%
土地利用状況の推移
20%
40%
60%
5.9% 8.6%
H17
100%
1.9% 6.9%
48.3%
28.4%
5.8% 8.5%
H22
80%
1.9% 6.9%
48.9%
田
田
宅地
宅地
河川・水面・水路
河川・水面・水路
28.1%
畑
畑
山林
山林
荒地・海浜・河川敷
荒地・海浜・河川敷
資料: 「統計あつぎ 平成 25 年版統計書」
「平成 22 年度都市計画基礎調査」
(3) 産業構造の現況
事業所数及び従業者数は平成8年をピークに減少傾向でしたが、平成 18 年か
ら平成 21 年にかけては上昇しています(次ページ・図 3-1-4)。
平成 21 年の産業の内訳を事業所数で見ると、第3次産業が中心で、全体の
81.6%を占めています。第3次産業の中で、最も多いのが「卸売・小売・飲食
店・宿泊業」(35.3%)で、次に「サービス業」(22.6%)となっています(次
ページ・図 3-1-5)。
また、産業別従業者数では、最も多いのが「サービス業」
(31.3%)で、次に、
「卸売・小売・飲食店・宿泊業」(27.9%)、「製造業」(15.6%)となって
います(次ページ・図 3-1-6)。
21
第3章 厚木市の現状と課題
図 3-1-4
事業所及び従業員数の推移
(事業者数)
事業所数
(千人)
従業員数
資料: 「統計あつぎ 平成 25 年版統計書」
12,000
「統計あつぎ 平成 21 年版統計書」
151
160
136
140
145
138
120
107
8,000
10,013 10,706 10,343 9,764 10,083
8,847
4,000
80
40
0
0
S61
H3
H8
H13
H18
H21
資料: 「統計あつぎ 平成 25 年版統計書」
「統計あつぎ 平成 21 年版統計書」
図 3-1-5
産業別事業所数
1次
産業
2次
産業
0.2%
医療、福祉
5.7%
運輸、
通信業
5.1%
18.1%
製造業
7.7%
建設業
10.3%
3次
産業
その他
0.4%
卸売・
小売・
飲食店・
宿泊業
35.3%
81.6%
不動産業・
物品賃貸業
12.9%
資料: 「統計あつぎ
図 3-1-6
平成 25 年版統計書」
産業別従業者数
建設業
5.0%
不動産業・
物品賃貸業
2.9%
その他
0.5%
医療、福祉
7.5%
運輸、
通信業
9.3%
サービス業
31.3%
製造業
15.6%
資料: 「統計あつぎ
卸売・
小売・
飲食店・
宿泊業
27.9%
平成 25 年版統計書」
22
サービス業
22.6%
第3章 厚木市の現状と課題
2 環境の現状と課題
(1) 地球温暖化※
本市では平成23年に「厚木市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を策定
し、平成32年の温室効果ガス※排出量を基準年(平成2年)比25%削減と目標を
掲げ、太陽光発電システムの設置補助や公共施設への太陽光発電システムの設
置に取り組んでいますが、家庭の電気使用量の増加や東日本大震災における原
子力発電所の事故による停止で化石燃料による発電となったことから、平成24
年度末の市域から排出される温室効果ガスの総排出量は、基準年比12.3%の増
加となっています。
★関連する計画等
厚木市地球温暖化対策実行計画(区域施策編・事務事業編)
あつぎ元気地域エネルギー構想実行計画
厚木市・日産自動車グリーンモビリティ・プロジェクト協定
ア 温室効果ガス排出量の現況
(ア) 本市における温室効果ガス排出量
平成22年度(2010年度)の本市の温室効果ガス排出量は1,902.2千t-CO2で、
前年度に比べ0.5%増加しました。基準年(平成2年度(1990年度))比では
3.7%の増加となっています(次ページ・図3-2-1)。
部門別の二酸化炭素排出量は、「産業部門(製造業)」が最も多く44.2%を
占めていますが、基準年比では7.9%の減少となっています。基準年比で最も
高いのは、「民生業務部門」で45.8%の増加となっています(次ページ・表3
-2-2)。
23
第3章 厚木市の現状と課題
図3-2-1
温室効果ガスの種類別排出量の推移
単位:千t-CO2
二酸化炭素(CO2)
一酸化二窒素(N2O)
その他
合計
1990年度
2008年度 2009年度 2010年度
(基準年)
1719.9
1914.3
1818.3
1827.5
92.3
67.6
67.1
67.1
22.68
24.6
7.5
7.6
1834.9
2006.5
1892.9
1902.2
構成比
96.1%
3.5%
0.4%
100%
前年比
基準年比
0.5%
6.3%
0.0%
-27.3%
1.3%
-66.5%
0.5%
3.7%
排出量(千t-CO2)
2500
2000
1500
1000
500
0
1990年度 2008年度
(基準年)
二酸化炭素(CO2)
2009年度
2010年度
一酸化二窒素(N2O)
その他
資料:「厚木市 地球温暖化対策実行計画(区域施策編)年次報告書」
(平成25年3月)
表3-2-2
部別二酸化炭素排出量の推移
単位:千t-CO2
1990年度
(基準年)
産業部門(非製造業)
産業部門(製造業)
民生業務部門
民生家庭部門
運輸部門(自動車)
運輸部門(鉄道)
廃棄物部門
合計
35.4
876.5
242
241.1
286.7
4.5
33.8
1719.9
2008年度 2009年度 2010年度
38.9
842.1
380.2
287.8
317.8
5.3
42.2
1914.3
34.6
803.8
345.1
287.7
306.6
4.8
35.7
1818.3
構成比
33.8
806.9
352.8
287.1
306.6
4.7
35.7
1827.5
1.8%
44.2%
19.3%
15.7%
16.8%
0.3%
2.0%
100%
前年比
-2.4%
0.4%
2.2%
-0.2%
0.0%
-2.3%
0.0%
0.5%
基準年比
-4.7%
-7.9%
45.8%
19.1%
7.0%
4.6%
5.5%
6.3%
排出量(千t-CO2)
2500
2000
1500
1000
500
0
1990年度
(基準年)
2008年度
2009年度
産業部門(非製造業)
民生業務部門
運輸部門(自動車)
2010年度
産業部門(製造業)
民生家庭部門
運輸部門(鉄道)
資料:「厚木市 地球温暖化対策実行計画(区域施策編)年次報告書」
(平成 25 年 3 月)
24
第3章 厚木市の現状と課題
(イ) 神奈川県及び全国における温室効果ガス排出量
平成24年度(2012年度)の神奈川県の温室効果ガス排出量は7,656万t-CO2
で、前年度に比べ2.4%増加しました。基準年(平成2年度(1990年度))比
では4.6%の増加となっています(図3-2-3)。
平成24年度(2012年度)の全国の温室効果ガス排出量は1,343百万t-CO2で、
前年に比べ2.8%増加しました。基準年(平成2年度(1990年度))比では6.5%
の増加となっています(図3-2-4)。
図3-2-3
神奈川県の温室効果ガス排出量の推移
神奈川県の温室効果ガス排出量の推移
単位:万t-CO2
1990年度
(基準年)
2010年度
2011年度
2012年度
(速報値)
6,827
496
7,323
6,817
221
7,039
7,244
234
7,478
7,419
237
7,656
二酸化炭素(CO2)
その他
合計
構成比
前年比
96.9%
3.1%
100%
基準年比
2.4%
1.4%
2.4%
8.7%
-52.2%
4.6%
排出量(万t-CO2)
8,000
6,000
4,000
2,000
0
1990年度 2010年度
(基準年)
2011年度
二酸化炭素(CO2)
2012年度
(速報値)
その他
資料:「神奈川県の温室効果ガス排出量推計結果について」
(神奈川県)
図3-2-4
全国の温室効果ガス排出量の推移
単位:百万t-CO2
排出量(百万t-CO2)
二酸化炭素(CO2)
その他
合計
1990年度
2010年度 2011年度 2012年度
(基準年)
1,144
1,191
1,241
1,276
117
65
66
67
1,261
1,256
1,307
1,343
構成比
95.0%
5.0%
100.0%
前年比
基準年比
2.8%
11.5%
1.5%
-42.7%
2.8%
6.5%
2,000
1,500
1,000
500
0
1990年度 2010年度
(基準年)
2011年度
二酸化炭素(CO2)
2012年度
その他
資料:「2012 年度(平成 24 年度)の温室効果ガス排出量について」
(環境省)
25
第3章 厚木市の現状と課題
(ウ) 再生可能エネルギーの導入状況
本市が交付している住宅用太陽光発電システム設置奨励金※の交付件数は、
平成 23 年度から平成 24 年度に大きく増加しています。平成 23 年に「再生可
能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(平成 23 年法律第 108 号)が
施行され、平成 24 年7月から再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始
されたことや、平成 23 年3月に発生した東日本大震災における事故で、原子
力発電所が運転停止したことによる電力不足により、太陽光発電の設置が増
加したと推測されます(図 3-2-5)。
住宅用太陽光発電システム奨励金額及び交付件数
奨励金額(千円)
80,000
500
417
60,000
340
328
307
243
400
300
40,000
200
20,000
42,584
41,593
H21
H22
31,404
40,696
12,132
H24
H25
0
100
交付件数(件)
図 3-2-5
0
H23
奨励金額(千円)
交付件数(件)
資料: 平成 26 年度版 環境の概要(環境保全編)
(平成 24 年度までは、神奈川県からの補助金を含む。
)
資料: 平成26年版 環境の概要(環境保全編)
イ 地球温暖化に対する取組と成果
地球温暖化対策については、平成23年に策定した「厚木市地球温暖化対策実
行計画」の将来像である「みんなでつくる、地球環境への負荷が少ない低炭素
社会※」を目指し、市民、団体・組織、事業者、行政が協働して温室効果ガス
の排出抑制に努め、三つの指針「①エネルギーを大切に使う②公共交通機関や
自転車を使う③ごみを減らし分別する」に沿って、温室効果ガスの削減に努め
てきました。
平成21年度から平成25年度までの取組と成果(次ページ・表3-2-6)のうち、
「再生可能エネルギー等の導入」では、家庭や公共施設への太陽光発電システ
ムの設置を促進し、家庭に設置する際の奨励金を5年間で1,635世帯に対し、約
1億6,840万円交付しました。
また、「省エネルギー※の推進」では、家庭への高効率機器※等の導入を促進
し、5年間で1,341件について、約3,120万円交付しました。
「低炭素まちづくりの推進」では、公共交通機関の利用促進のため、バス停留
所に自転車駐輪場を併設するサイクルアンドバスライド※に取り組み、平成 21
年度から平成 25 年度に2箇所整備したことから、市内全体で8箇所となりま
した。
26
第3章 厚木市の現状と課題
表 3-2-6
施策の柱
再生可能
エネルギー等
の導入
省エネルギー
の推進
低炭素まちづくり
の推進
地球温暖化に対する取組と成果
施策
地域での再生可能
エネルギーの導入促進
公共施設での再生可能
エネルギーの導入促進
主な取組
○住宅用太陽光発電システム設置補助金の交付
○市公共施設における再生可能エネルギー機器の導入
・太陽光発電システムの設置・検討
・既存の太陽光発電システムの維持管理
・タービン発電による発電
ごみ焼却時の発電、熱利用 ○ごみ焼却時の熱エネルギーの利用
・焼却炉の熱を回収し温水プール・冷暖房・給湯に供給
○家庭への高効率機器等の導入促進
地域での省エネルギー
・ホームページでの情報提供
の推進・啓発
・助成金の交付
○事業所への省エネルギー設備の導入促進
・ホームページでの情報提供
・省エネ診断の実施
・省エネ設備導入の補助・融資制度
○公共施設の省エネルギー化の推進
公共施設での
・みどりのカーテンを設置
省エネルギー推進
・LED照明の導入
・照明自動点滅装置の設置
○地産地消の推進
日常生活・事業活動
・朝市・夕焼け市の開催
における省エネルギー
・市民農園の拡充
行動の推進
・地場農産物の小中学校給食への活用
○省エネルギー行動の率先実行
・グリーン購入制度の導入
・省エネ法の定期報告書の作成
環境に配慮した市街地整備 ○屋上・壁面緑化※等の推進
・屋上緑化※補助金についての情報提供と交付
の推進
・ゴーヤを栽培し、緑のカーテンを設置
・ゴーヤ、ヘチマの種を配布
○サイクルアンドバスライドの推進
公共交通の利用促進
○バスの利便性向上
・新規バス路線の運行開始
・ノンステップバス※の導入補助
○コミュニティ交通の導入支援
・下川入地区においてコミュニティ交通の導入検討
・森の里地域における無料乗合交通の支援
○自転車の利用促進と環境整備
自転車利用の促進
・健康・交流のみち荻野川ルートの一部整備
○自転車駐車場の整備
・中町2丁目自転車駐車場を整備
自動車利用時のCO2排出量 ○電気自動車の普及促進
・電気自動車購入奨励金の交付
の低減
○電気自動車によるカーシェアリング※の検討
・厚木中央公園地下駐車場においてカーシェアリングの実施
○エコドライブの促進
・ホームページによる情報提供
27
第3章 厚木市の現状と課題
省エネルギーの取組、再生可能エネルギーの導入に関する市民意識について
~市民アンケートの結果から~
厚木市全体の「省エネルギーの取組が進んでいる」「再生可能エネルギーの導入
が進んでいる」という項目については、いずれも「そうは思わない・どちらかとい
えばそう思わない」という回答が6割程度を占めています。
一方で厚木市全体の特に力を入れるべき対策として、「再生可能エネルギーの導
入」
「省エネルギーの推進」と回答した割合が、5年前に比べ大幅に増えています。
東日本大震災を契機として、再生可能エネルギーの導入、省エネルギーの推進は
まだ十分とは言えませんが、力を入れて取り組んでいくテーマだと考えられている
ようです。
前回調査(H20)
今回調査(H25)
省エネルギーの取組、再生可能エネルギーの導入状況(厚木市全体)について
3.9
省エネルギーの取組が進んでいる
25.2
45.3
12.4
13.2
3.5
再生可能エネルギーの導入が進んでいる
19.8
46.9
15.5
14.3
1.6
省エネルギーの取組が進んでいる
18.2
39.0
25.8
15.4
1.9
再生可能エネルギーの導入が進んでいる
12.9
0%
そう思う
どちらかといえばそう思う
38.1
32.1
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
どちらかといえばそう思わない
そうは思わない
特に力を入れるべき対策(厚木市全体)について
0 %
再生可能エネルギーの導入
10 %
20 %
30 %
6.9
28.7
10.4
省エネルギーの推進
17.8
H20
15.0
H25
28
40 %
無/誤回答
第3章 厚木市の現状と課題
ウ 地球温暖化防止対策の課題
地球温暖化防止対策については、温室効果ガスの発生を削減するため、太陽
光発電システムなどの再生可能エネルギーや次世代自動車※の利用促進の取組
を継続して行っていく必要があります。
また、エネルギーの消費量を抑制するため、節電や省エネ電化製品、LED 照明
器具の普及などによる省エネルギーの取組についても推進していく必要があり
ます。
地球温暖化防止対策は、このほかにもごみの減量による焼却時の温室効果ガ
スの発生抑制や緑地の保全と創造による二酸化炭素の吸収、公共交通機関の利
用促進による温室効果ガスの削減など、多岐にわたる取組を推進していく必要
があります。
このため、私たちは、地球温暖化を防止するための知識や情報を積極的に収
集し、それぞれの立場から積極的な取組を実践していく必要があることから、
情報の発信と受信や環境学習の充実、それぞれが連携できる仕組みづくりに取
り組んでいくことが必要です。
29
第3章 厚木市の現状と課題
(2) ごみ・廃棄物
本市では、平成 21 年度からごみ減量化・資源化新システムを導入し、市民、
団体・組織、事業者との協働により、ごみの減量と資源化に取り組んできまし
た。
また、平成 25 年4月には、「厚木市廃棄物の減量化、資源化及び適正処理等
に関する条例」の改正を行い、市民、事業者、行政のそれぞれの役割を明確化
し、それぞれが責任を持ってごみの減量と資源化に取り組む体制を整えました。
平成 21 年度から平成 26 年度を計画期間とする「一般廃棄物※処理基本計画」
では、ミッション 35 として、ごみの減量化率を基準年(平成 14 年度)比 30%、
資源化率を 35%として取り組んでいますが、平成 25 年度については、減量化
率、資源化率ともに 25%となっています。
★関連する条例や計画等
厚木市廃棄物の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例
厚木市一般廃棄物処理基本計画
厚木市分別収集計画
ア ごみ処理の現況
(ア) ごみの発生量及び資源化率の推移
ごみの発生量に対する減量化率・資源化率は、平成 20 年度から平成 21 年
度にかけて上昇しましたが、平成 22 年度以降は横ばいとなっています(図 3
-2-7)。
ごみ減量化・資源化新システムが、平成 21 年 10 月にスタートして、約5
年が経過し、一定の成果が表れていますが、更なる減量化と資源化の取組が
必要です。
ごみの資源化率・減量化率の推移
20000
15000
25
30
20
20
15
19,428
19,084
10000
5000
26
25
20,200
16,167
10
19,159
12,732
0
0
H20
H21
H22
総資源化量
H23
H24
H25
1040
1020
22
1000
980
18
960 1,026
940
985
920
900
880
H20 H21
30
25
23
25
942
941
H22
H23
資料: 「一般廃棄物処理事業の概要」
(神奈川県)
30
962
20
10
942
0
一人1日当たりのごみ排出量
資源化率
25
H24
H25
減量化率
減量化率(%)
25
一人1日当たりのごみ排出量
(g・人/日)
総資源化量(t/年)
25000
資源化率(%)
図3-2-7
第3章 厚木市の現状と課題
(イ) 不法投棄の状況
不法投棄物処理量は過去5年、一貫して減少傾向となっています。処理件
数についても平成 22 年度をピークに減少傾向となっています(図 3-2-8)。
不法投棄物処理量の推移
処理量(t)
50
40
700
588
470
500
374
30
20
600
469
309
46.02
400
300
33.42
10
200
27.79
15.13
13.41
H24
H25
0
処理件数(件)
図3-2-8
100
0
H21
H22
処理量(t)
H23
処理件数(件)
資料: 「平成 26 年版環境の概要(環境保全編)
」
イ ごみ処理に対する取組と成果
ごみ処理については、平成 21 年度を計画の始期とする「一般廃棄物処理基本
計画」の基本目標である「循環型社会※形成の推進」を目指し、市民、団体・組
織、事業者、行政が協働してごみの減量と資源化に努め、
「ごみ減量化・資源化
の更なる推進」と「事業系ごみの適正処理の推進」に沿って、取組を推進して
きました。
平成 21 年度から平成 25 年度までの取組と成果(次ページ・表 3-2-9)のう
ち、
「ごみ減量化・資源化新システムの推進」では、紙や缶、びんなどの資源を
資源集積所からごみ集積所での回収に変更し、また、資源化品目に「プラスチ
ック製容器包装」
「廃食用油」
「せん定枝、落ち葉、雑草」
「インクカートリッジ」
「小型家電」を追加して、資源化を推進してきました。
「ごみの発生抑制(リデュース)の推進」では、生ごみ処理機※(容器)の購
入補助による「もえるごみ」の発生抑制を推進し、5年間で 880 機(基)に対
し、2,830 万円を交付しました。
「再使用(リユース)再利用(リサイクル)の推進」では、自治会等に対し、
5年間で 749 回、延べ約 27,000 人に対し、分別排出の徹底とごみの減量に係る
講習会を実施しました。
「不法投棄防止対策」では、不法投棄の早期発見及び未然防止を図り、不法
投棄されにくい環境を創出することを目的として、職員による監視パトロール
等を5年間で約 630 回実施しました。
31
第3章 厚木市の現状と課題
「廃棄物の適正処理」では、ダイオキシン類※の測定を年3回実施し、全て基
準値以下でした。
表3-2-9
ごみ処理に対する取組と成果
施策の柱
施策
ごみ減量化・
ごみ減量化・
資源化新システム 資源化新システムの推進
の推進
ごみの発生抑制
(リデュース)
の推進
家庭系ごみの発生抑制
事業系ごみの発生抑制
公共施設からの発生抑制
再使用(リユース) 再使用(リユース)の推進
再利用(リサイクル)
の推進
再生利用(リサイクル)
の推進
不法投棄
防止対策
監視パトロール等の実施
森林保全パトロールの実施
廃棄物の
適正処理
近隣市町村と連携した
環境美化、不法投棄防止
ごみ処理に伴う有害物質
の発生防止
ごみ処理広域化の推進
主な取組
○「ごみ減量化・資源化新システム」の推進
・新システムによる広報啓発
○分別排出の徹底等、ごみ発生抑制の普及・啓発
・講習会・イベント等の実施。
・パンフレット等の配布
○生ごみの減量化
・生ごみ処理機の購入費の一部を補助
(平成25年度事業終了)
○パンフレット等の配布
○マイバッグキャンペーン等のレジ袋削減啓発活動
・マイバッグ推進に関するチラシを配布
○厚木市スリムストアー※の拡充
・認定店を市ホームページ等で紹介
○市内事業所への啓発・指導
・訪問指導や啓発チラシによる文書指導
・不適正排出状況調査の実施
○公共施設内における紙ごみの減量化
・排出される紙ごみを回収しリサイクルを実施
○フリーマーケットの開催と電子フリーマーケットの管理運営
・市民ふれあいマーケットを年4回開催
・電子フリーマーケットの啓発チラシによる周知
○新たな資源回収品目の調査・研究と資源化
・せん定枝等、廃食用油※、インクカートリッジ、
小型家電の回収
○ごみ減量化・資源化に関わる体験学習や出前講座の実施
・体験講座、施設見学会の実施
○学校給食の廃食用油の再生利用
・バイオディーゼル※、工業用せっけん等に再利用
○公園等のせん定枝、雑草の資源化
○監視パトロール、防止看板等の設置
・職員による監視パトロール、監視カメラ、看板を設置
○森林荒廃や不法投棄防止のためパトロールを実施
・職員によるパトロール実施
○山の環境美化対策、不法投棄防止
・近隣市町村とともに県に対策を要請
○廃棄物の適正な処理、自主的な測定・分析
・ダイオキシン類の測定を実施、全て基準値以下でした。
○愛川町、清川村とのごみの共同処理の実現推進
・厚木愛甲環境施設組合への負担金支出
32
第3章 厚木市の現状と課題
ごみの減量に関する市民意識について
~市民アンケートの結果から~
日頃行っている環境配慮行動・活動について質問したところ、「ごみの分別回収
のルールを守っている」という項目では、95.7%が「いつも実践している」と回答
しました。
厚木市全体について、特に力を入れるべき対策として「資源の再使用・再生利用」
と回答した割合が 17.4%だったのに対し、「廃棄物の抑制」と回答したのは 7.0%
に留まりました。
資源の再使用・再生利用の意識が高い反面、ごみの排出抑制という点では意識が
低い傾向があります。
日ごろ行っている環境配慮行動・活動について
「 ごみの分別資源回収ルールを守っている 」
2.7
H25
95.7
3.5
H20
90.9
0%
20%
いつも実践
40%
たまに実践
60%
これから実践
80%
実践していない
100%
無/誤回答
特に力を入れるべき対策(厚木市全体)について
17.4
17.0
資源の再使用・再生利用の促進
7.0
6.6
廃棄物の発生抑制
0 %
5 %
H25
H20
33
10 %
15 %
20 %
第3章 厚木市の現状と課題
ウ
ごみ・廃棄物の課題
私たちの生活に必要な様々な物は、石油や石炭などの鉱物資源や木材を始め
とする動植物などの天然資源を原料として作られています。日本は、1960 年代
の高度経済成長期の大量生産により、天然資源を使い過ぎてしまいました。ま
た、現在の世界に目を向けると、経済の成長やライフスタイルの変化などによ
り、天然資源の必要性と必要量が増している状況です。特に、我が国は多くの
天然資源を輸入に頼っていることから、持続可能な経済活動を実現するために
は、知恵を出し合い、限られた天然資源を最大限有効に利用していくことが必
要です。
また、高度経済成長期の大量消費により、多くのごみが発生し、ごみを焼却
した際に発生する焼却灰を埋め立てる場所を確保することが困難な状況になっ
ています。本市の焼却灰は、県外に運んで埋め立てている状況であることから、
燃やすごみの量を可能な限り減らして、焼却灰の量を最小限にしていかなけれ
ばなりません。
さらに、ごみを燃やすと温室効果ガス※が発生しますが、温室効果ガスは地球
温暖化※を引き起こし、気温の上昇、洪水や干ばつ、食物の生産量の低下、伝染
病の流行など様々な問題を引き起こします。このことから、ごみの量を減らし、
温室効果ガスの発生を減らすことは、私たちの生活や生命を守ることにつなが
ります。
ところが、市民が排出する家庭系ごみについて、市民一人 1 日当たりのごみ
の排出量の減量が、平成 22 年度以降進まない状況にあります(31 ページ・図 3
-2-7)。このため、ごみ集積所に排出された「もえるごみ」を調査し、原因を
確認したところ、資源についてはおおむね正しく分別されていることが確認で
きましたが、ダイレクトメールや菓子箱などの「雑がみ」とプラマークのつい
ているプラスチック製容器包装については、
「もえるごみ」に多く混入している
ことが確認されました。また、手つかずのまま捨てられている食品が多く確認
されたことから、食品の計画的な購入と消費による食品残さの削減について、
重点的に取り組む必要があります。
事業者が排出する事業系ごみについては、環境センターに搬入されるごみの
内容物を検査したところ、資源等が混入していることが確認されました。この
ため、搬入時の検査を強化し、資源や産業廃棄物※の混入を防ぐとともに、不適
正な排出があった場合は、収集運搬を委託している排出事業者についても、正
しい排出方法を指導していく必要があります。また、事業者については、事業
所内の廃棄物を削減するための仕組みを構築し、削減目標を定め、実績を踏ま
えながら、更なる取組を推進するとともに、新たな資源化の取組を積極的に推
進していく必要があります。
34
第3章 厚木市の現状と課題
(3) 自然環境
本市では、豊かな自然環境の保全と活用を図るため山林・森林、緑地、水辺
や、生物多様性※の保全を図る施策を展開しています。
平成 16 年3月に「厚木市緑の基本計画」を策定し、緑地の保全と緑化の推進
に取り組んでいます。平成 27 年度には、
「(仮称)健康こどもの森」が完成する
予定です。
平成 19 年7月に「水辺ふれあい構想」を策定し、親水護岸の整備や水辺の多
自然川づくり※を進め、河川敷空間を利用した遊歩道の整備や親水空間の創出な
ど水と親しむ水辺空間の創出を進めています。また、
「かながわ水源環境保全・
再生実行計画」に対応し、恩曽川等の河川敷及び護岸部について生態系に配慮
した改修整備を行ったほか、親水広場を9箇所に設置しています。
市域の約 28%を占める森林については、平成 24 年度から「元気な森づくり整
備計画」を推進し、森林の荒廃化の防止と森林の多面的機能※の維持・確保を進
めるとともに、平成 25 年 10 月には、厚木市森林組合及びコカ・コーライース
トジャパン㈱と「元気な森づくりに関する協定」を締結し、水の源である森林
の保全と再生に取り組んでいます。
平成 25 年3月に「生物多様性あつぎ戦略」を策定し、あつぎの多様で豊かな
自然環境と、そこに生息・生育する生き物の恩恵を後世に残すための行動戦略
と具体的施策を示しました。また、里地里山※の保全と再生を促進するため、市
民協働により、玉川地区と荻野地区で活動を行ってきましたが、この活動を拡
充するため、平成 25 年 12 月に、
「厚木市里地里山保全等促進条例」を制定しま
した。また、この条例の推進を図るための計画として、
「厚木市里地里山保全等
促進計画」を策定していきます。
★関連する条例や計画等
【緑】
厚木市緑の基本計画
厚木市緑を豊かにする事業推進要綱
【山林・森林】
元気な森づくり整備計画
元気な森づくりに関する協定
【生物多様性】
生物多様性あつぎ戦略
厚木市里地里山保全等促進条例
【河川・水辺】
水辺ふれあい構想
水辺ふれあい基本計画
健康・交流のみちづくり実施計画
相模川・中津川厚木市河川利用基本構想
相模川厚木市水辺拠点創出基本計画
谷戸水辺再生事業基本計画
35
第3章 厚木市の現状と課題
ア 自然環境の現況
(ア) 地形の状況
本市は、相模川右岸に開けた扇状の地形で、丹沢山塊に連なる西北部の丘
陵地帯と、そこから東南に緩やかに開けた平野部からなっており、丹沢山地
の大山の山頂から、山麓、台地、相模川右岸に至る変化に富んだ地形を有し、
標高差にして 1,232m に及びます。
(イ) 河川
相模川沿いの平野部から大山にかけて、相模川を幹として中津川や小鮎川
など大小様々な河川が枝状に広がっています。また、農地や用水路、ため池
や湧水などもあり、市民の身近な場所に多様な水辺が存在し、生態系ネット
ワークの重要な軸になっています。
(ウ) 緑地の分布
本市の緑地の分布は、30 年前と比べると、湿性草地(水田)が減り、住宅
地が増えている状況となっています。
(エ) 生物多様性の現状
a 山地
県内で初の「森林セラピー基地※」に認定されている森林を有する本市の
森林面積は、2,644ha で市域面積の約 28%を占め、これらの豊かな自然が、
もうきん
大型哺乳類や猛禽類等の貴重な生息地となっています。
しかし、近年、林業経営の不振などから、手入れ不足のスギ・ヒノキの人
工林が増大するとともに、一部地域では、過密化したシカの採食により、
林床植生の退行や土壌流出などの問題が生じるなど、森林の荒廃化が進み、
生物多様性への影響が懸念されています。
b
c
里地里山※
里地里山地域では、周辺の森林の手入れがされなくなったことで里地里山
の荒廃が進み、一部の希少生物の生息を脅かしています。また、後継者不
足による農業従事者の高齢化が進む一方、生き物のゆりかごであった水田
が、畑に変わったり、耕作放棄されたりしています。
開発によっても、多くの生き物の生息、生育環境の破壊や質の低下が進ん
でいます。
河川・水辺
えんてい
取水による河川流量の減少、三面コンクリートの護岸整備、堰堤等による
連続性の分断が、河川の生き物の回遊や生息・生育環境に影響を与えてい
ます。
また、上流部にダムが建設され、河川の氾濫はなくなりましたが、上流か
らの流れによって石が運ばれなくなったため、玉石の河川敷が少なくなり、
36
第3章 厚木市の現状と課題
河川敷が陸地化し、里地里山の植物が進出しているところや、外来種※の樹
木やツル植物が群生し、在来種の生育環境が脅かされているほか、水辺に
近付きにくいなどの問題も発生しています。
d
市街地
開発や農地の減少などにより自然的土地利用は減少し、市街化区域面積に
対する自然的土地利用の割合は 8.5%で、10 年前と比較すると 2.8 ポイン
ト、約 86ha 減少しています。生き物の生息地が喪失したり、分断されたり
するなど孤立化が進んでいるため、市街地で見られる生き物は非常に限ら
れています。
植物を例にとると、色鮮やかで手入れが容易な外来の園芸種を用いること
が多いので、外来種が多いのが特徴です。
イ 自然環境の保全に対する取組と成果
自然環境の保全については、平成 25 年3月に策定した「生物多様性あつぎ戦
略」の将来像である「未来へつなげよう 自然のめぐみと暮らすまち あつぎ」
を目指し、行動戦略である「①山地の保全と再生②里地里山の保全と再生③水
辺の保全と再生④農地の保全と再生⑤市街地における自然の創出⑥全市におけ
る生物多様性の保全と再生⑦生き物に関する調査の推進⑧生物多様性の普及啓
発」に沿って、生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組んでいます。
平成 21 年度から平成 25 年度までの取組と成果(表 3-2-10)のうち、
「身近
なみどりの保全と活用」では、荻野地区、玉川地区の里地里山において、稲作
作業や収穫祭、植林地の管理作業等の作業体験を実施しました。
「水辺の保全と活用」では、河川が本来有している生物の良好な生育等環境
に配慮した多自然川づくりに取り組み、恩曽川の護岸整備・改修を約2kmに
わたり行いました。
「生物多様性の保全」では、特定外来生物※であるアライグマやオオキンケイ
ギクなどの駆除に取り組みました。
表3-2-10
自然環境の保全に対する取組と成果
基本施策
身近なみどりの
保全と活用
具体的施策
指定制度による
みどりの保全
みどりとのふれあいの場
の創出
水辺の保全と活用
多自然川づくり、
水質の確保
親水空間の整備
生物多様性の
保全
希少動物の保全
特定外来生物対策
主な取組
○優良な斜面緑地※の保護
・斜面緑地保存地区の協定者に奨励金の交付
○里山での作業体験を通じて環境保全意識の向上
・稲作作業、収穫祭、植林地の管理作業等の
作業体験を実施
○自然との共存に配慮した多自然川づくり
○水辺ふれあい空間の整備
○希少動植物の生息・生育状況の把握
・オオタカの巣、周辺の自然環境等の観察を
継続的に実施
○特定外来生物の防除、市内における
生息状況の把握
37
第3章 厚木市の現状と課題
ウ
自然環境の保全と創造の課題
あつぎの多様で豊かな自然環境を保全するためには、森林、農地、里地里山
の緑や河川及び水辺環境の保全及び創造を推進していく必要があります。
農地については、高齢化や後継者不足により担い手が不足していることから、
農地の流動化※や市民農園の運営などによる新たな担い手の確保と農地の有効
活用の取組を推進する必要があります。
森林については、林業の経営不振などから手入れが行き届かず荒廃が進行し
ているエリアについて、関係機関や市民、団体・組織、事業者、行政が協力し
て、間伐や下草刈等の整備を行い、森林の多面的機能の維持と確保を進めるほ
か、森林活動に係る体験学習の取組を行っていく必要があります。
また、里地里山については、これまで、荻野地区と玉川地区で市民の協働に
よる里地里山の保全活動を実施しています。平成 25 年 12 月に「厚木市里地里
山保全等促進条例」を施行し、活動団体や活動協定の認定により、里地里山を
保全・再生・活用していく体制を整えたことから、この活動を更に推進する必
要があります。
河川及び水辺環境については、多自然川づくりや親水空間の創出による身近
で親しみやすい水辺の環境づくりを推進するとともに、川が本来有している生
物の生息、生育、繁殖環境や多様な河川景観を保全及び創出していく必要があ
ります。
38
第3章 厚木市の現状と課題
(4) 生活環境
本市では、人の健康に被害を及ぼす大気汚染や水質汚濁を始めとする公害を
防止するため、情報の収集や監視を行っています。
平成 23 年に発生した東日本大震災における原子力発電所の事故により放射線
量※への不安が高まったことから、市内で放射線量の測定を実施し、測定データ
を公開しているほか、PM2.5※について県と連携し、基準値を超過した場合に
ついて、防災行政無線やメールサービスでの注意喚起を行うこととしています。
また、害虫等による危険・不快感の除去の取組や、人間関係が希薄化する中
で、ペットの動物に愛情を注ぐ市民が増えていることから、ペットの適正飼養
や動物愛護精神の普及啓発の取組を推進しています。
河川の水質の向上については、公共下水道の整備や単独処理浄化槽※から合併
処理浄化槽※への転換を促進しています。平成 23 年3月には「厚木市下水道中
期ビジョン」を策定し、本市の公共下水道が目指すべき将来目標と取り組むべ
き施策を示しました。
★関連する条例や計画等
厚木市下水道中期ビジョン
厚木市みんなで守る美しい環境のまちづくり条例
ア 生活環境の現況
(ア) 大気汚染
大気汚染物質は、呼吸器系を始めとして人体への影響が懸念される物質で
す。本市では、二酸化硫黄※、一酸化炭素※、浮遊粒子状物質※、二酸化窒素※、
光化学オキシダント※と微小粒子状物質※の濃度を監視しており、平成 25 年度
は、光化学オキシダント※と微小粒子状物質を除く項目は環境基準※を達成し
ています(表 3-2-11)。
表3-2-11
測定
機関
地点名
大気環境基準達成状況(平成25年度)
二酸化
一酸化
二酸化
炭素
浮遊粒子
状物質
硫黄
窒素
光化学
オキシダント
微小粒子状
物質(PM2.5)
県 厚木市中町
玉川中学校
市
上荻野小学校
○
‐
○
○
×
×
‐
‐
‐
‐
×
‐
‐
‐
‐
‐
×
‐
北小学校
‐
‐
‐
‐
×
‐
金田神社
‐
○
○
○
‐
×
国設厚木
‐
○
○
○
‐
×
市 林自排局
‐
‐
○
○
‐
‐
県
(表中の「○」は達成、
「×」は非達成、
「-」は測定していないことを示す。)
(微小粒子状物質の厚木市中町、金田神社での測定は平成 25 年 11 月から開始)
資料: 厚木市生活環境課資料
39
第3章 厚木市の現状と課題
(イ) 水質汚濁
平成 25 年度の市内主要4河川の BOD(生物化学的酸素要求量※)の環境基準
の達成状況については、
「生活環境の保全に関する環境基準」
(資料編 13 ペー
ジ)の「項目類型A」(BOD2㎎/L 以下)が指定されている相模川と中津
川は、達成しています。
また、小鮎川と玉川では環境基準の適用はありませんが、
「項目類型A」を
参考値として使用した場合、おおむね達成しています(表 3-2-12、図 3-2
-13)。
表3-2-12
主要河川のBOD(生物化学的酸素要求量)75%水質値の経年変化
単位:㎎/L
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度
相模川上流
1.6
1.3
1.4
1.0
1.0
1.5
中津川上流
1.1
1.6
1.3
0.8
0.5
0.8
中津川下流
1.0
1.3
1.3
1.0
1.0
1.1
小鮎川上流
1.4
1.1
2.1
1.4
1.2
1.9
小鮎川下流
1.0
1.4
1.8
1.2
1.2
1.5
玉川上流
1.5
0.9
1.9
1.3
1.0
0.9
玉川下流
2.0
1.8
2.3
1.7
1.3
1.4
資料:厚木市生活環境課資料
資料:
厚木市生活環境課資料
図3-2-13
主要河川のBOD(生物化学的酸素要求量)75%水質値の経年変化
2.5
BOD(mg/L)
2.0
1.5
相模川上流
中津川上流
中津川下流
小鮎川上流
小鮎川下流
玉川上流
玉川下流
1.0
0.5
0.0
H20
H21
H22
H23
40
H24
H25
第3章 厚木市の現状と課題
(ウ) 土壌汚染・地下水汚染
土壌汚染対策法(平成 14 年法律第 53 号)による土壌調査により汚染が判
明した土地は、所在地や汚染の状況等が公開されます。平成 26 年3月 31 日
現在、対象となる汚染区域はありません。
本市では、過去に地下水汚染が発生しており、現在も市内の一部の井戸水
では汚染が確認されています。これらの汚染については継続的にモニタリン
グを行っています。
(エ) 騒音・振動
平成 25 年度の市内一般国道 129 号、246 号の道路交通騒音の調査結果は、
おおむね8割の住居等が、昼夜を問わず環境基準を満たしていました。
また、工場・事業場からの騒音に関する苦情は、年間 20~50 件の範囲内で
推移しており、平成 25 年度は 24 件ありました。振動に関する苦情は、ほぼ
横ばいで推移しており、平成 25 年度は4件ありました(図 3-2-14)。
図3-2-14
騒音・振動苦情件数の推移
60
苦情件数(件)
50
47
39
40
36
32
27
30
24
20
10
5
4
4
2
2
4
0
H20
H21
H22
騒音
H23
H24
H25
振動
資料: 厚木市生活環境課資料
(オ) 地盤沈下
神奈川県では、地盤沈下が起きている地域及び起こる可能性がある地域を
条例で指定し、地下水の採取を規制しています。
本市では、指定地域を中心に水準点33箇所(延長距離28.6㎞、調査面積13.86
㎞2)の精密水準測量を行っており、平成23年度においては、震災の影響が考
慮される地盤沈下の変動が多く確認されましたが(32点で3cm以上の沈下)、
平成25年度は32箇所が1cm未満の地盤沈下となっており、全体的に鎮静化の
傾向が見られます。
41
第3章 厚木市の現状と課題
(カ) 悪臭防止
悪臭に関する苦情は、ほぼ横ばいで推移しており、平成 25 年度は9件あり
ました(図 3-2-15)。
図3-2-15
悪臭苦情件数
20
苦情件数(件)
17
15
13
10
9
10
9
7
5
0
H20
H21
H22
H23
H24
H25
資料: 厚木市生活環境課資料
(キ) その他の生活環境
a ペットの適正飼養の推進と動物愛護精神の普及啓発
本市では、ペットの適正飼養を推進するため、
「厚木市みんなで守る美し
い環境のまちづくり条例」(平成 15 年厚木市条例第5号)に基づき、ペッ
トのふんの放置をなくすよう、広報あつぎ、市ホームページ及びイベント
会場等でマナー啓発を行っているほか、厚木愛甲獣医師会や県等関係機関
と連携し、犬のしつけ教室とペットの適正飼養の推進や、イベント等を通
じた動物愛護精神の普及啓発に取り組んでいます。
b 害虫被害への対応と危険防止
不快害虫により生活が脅かされるといった被害や、人に危害を及ぼすおそ
れのあるスズメバチについては、駆除業者の紹介や、駆除等を実施してい
ます(次ページ・図 3-2-16)。
また、地域住民との協働により草刈や落ち葉かきを実施し、ヤマビルが生
息しにくい環境整備に取り組んでいます。
42
第3章 厚木市の現状と課題
図 3-2-16
ススメバチの巣
駆除個数の推移
駆除個数(個)
400
312
294
300
264
207
200
130
100
0
H21
H22
H23
H24
H25
資料:平成 26 年「環境の概要」(環境保全編)
c 特定化学物質※対策
確認申請のあった建築について、建築資材等による化学物質過敏症※防止
のための指導を行っています。
イ 生活環境の保全に対する取組と成果
生活環境については、市民が安心して安全に生活できるように、公害防止対
策等に取り組んでいます。平成21年度から平成25年度までの取組と成果(次ペ
ージ・表3-2-17)のうち、
「大気汚染防止対策」では、大気汚染物質について、
市内4箇所(平成25年度)に測定機を設置し24時間体制で測定を行いました。
環境基準をおおむね(平成25年度:約93%)達成しています。
「水質汚濁防止対策」では、平成25年度に相模川、中津川、小鮎川、玉川の
4河川で毎月3回の調査を実施し、環境基準を達成しています。そのほか、中
津川、小鮎川、玉川を含む市内14河川等24箇所で、年4回調査し、相模川ほか
3河川と同じ環境基準値を当てはめて達成状況を判断した場合、21箇所で達成
しています。市内15河川等の達成状況は、89.3%となっています。
「悪臭防止対策」では、市民からの悪臭公害苦情相談で、5年間で9件につ
いて原因者への改善指導を行いました。
「その他」では、ペットの飼い主へのマナー啓発のため、
「しつけ教室」を実
施し、5年間で延べ327人の参加がありました。
43
第3章 厚木市の現状と課題
表3-2-17
基本施策
大気汚染
防止対策
生活環境の保全に対する取組と成果
具体的施策
大気監視調査の実施
自動車排出ガスの抑制
水質汚濁
防止対策
工場・事業場に対する
監視・指導
水質監視調査の実施
騒音・振動
防止対策
地盤沈下
防止対策
悪臭防止対策
その他
○公共交通機関の利用促進
・マイカーからの転換を図るための調査・研究
・公共輸送機関のバリアフリー化
・サイクルアンドバスライド※の促進
○低公害車の導入
○エコドライブの促進
・公用車を運転する職員への意識啓発
・市民への「アイドリング※ストップ」の普及啓発
○大規模焼却炉を設置している工場・事業場への、ばい煙調査
工事・事業場に対する
監視・指導
地下水汚染の防止
○河川、水路等15流域における水質状況の監視
・河川常時監視(相模川、中津川、小鮎川、玉川)
・市内河川等水質調査(市内14河川等)
○合併処理浄化槽の普及促進(認可区域外)
○公共下水道の整備
・認可区域外の整備方針検討のため、調査を実施
○し尿及び浄化槽汚泥※の適正処理
・衛生プラント処理水の下水道放流
○公共用水域に排水している工場、事業場への排水調査
○環境センターの排水水質の監視
○市内地下水の水質調査・監視、汚染原因の究明
環境センターの適正管理
○定期的な土壌分析の実施
農薬使用量の削減
・農薬の適正管理
自動車交通騒音の監視
○農薬散布回数の低減、農薬の使用・保管に関する法令順守
・減農薬栽培について理解が進み、定着してきています。
○主要幹線道路の24時間連続測定を実施
工場・事業所に対する
指導・啓発
騒音・振動苦情への対応
水準点の地盤変動量の把握
地下水採取量の監視
悪臭防止対策
ペットの適正飼養の推進と
動物愛護精神の普及啓発
○施設の設置者に対し、事前の審査・指導を実施
生活排水※の適切な処理
の推進
土壌汚染
防止対策
主な取組
○大気監視調査の実施
害虫被害への対応と
危険防止
特定化学物質等の
指導及び抑制
○苦情相談について、原因事業所への改善指導
○地盤変動量を調査し、地盤沈下の状況を監視
○採取規制地域、周辺地域の採取量・水位の監視
○苦情相談について、原因事業所への改善指導
○飼い主のマナー啓発
・犬の飼養者を対象にした「しつけ教室」の開催
○動物フェスティバルの開催
○スズメバチの駆除
○ヤマビル対策
・ヤマビルの生息しにく環境整備(草刈り・落ち葉かきの実施)
○建築資材等による化学物質過敏症防止指導
・確認申請のあった建築に対して確認を実施
44
第3章 厚木市の現状と課題
ウ 生活環境の保全の課題
健康的な生活環境を確保するため、公害防止関係法令及び「神奈川県生活環
境の保全等に関する条例」(平成9年神奈川県条例第 35 号)に基づき、引き続
き、大気、水質、土壌の汚染状況を監視し、安心な生活環境を守っていく必要
があります。
また、放射線量※の測定とデータの公開や PM2.5※の測定値の確認等について、
引き続き実施する必要があります。
平成 26 年には、デング熱※の感染者が国内で確認されました。また、同じく
平成 26 年に、市内で初めて特定外来生物※に指定されているセアカゴケグモが
確認され、雌が持つ毒による人的被害を防ぐため、注意喚起を行いました。
温暖化により生物の分布が変化しているとも言われるように、地球環境の変
化の中で、今後も新たな問題の発生が懸念されます。最新の情報の収集と対策
により、健康的な生活環境を守っていく必要があります。
45
第3章 厚木市の現状と課題
(5) 都市環境
本市では、快適なまちを創造するため、緑化の推進や道路・交通の整備を図
るとともに、景観・美化の向上を推進するための施策を展開しています。
市街地緑化の推進や市民の憩い・安らぎの場となる公園の整備、緑地の保全、
既存都市公園の緑化について「厚木市緑の基本計画」に基づき整備し、緑豊か
な生活環境を創出するため、公園の整備や老朽化した施設の改修整備を行うほ
か、ボランティア団体による草花の植え付けや管理を行っています。
また、まちの美観を大切にし、快適な生活環境を保全するため、
「廃棄物の処
理及び清掃に関する法律」(昭和 45 年法律第 137 号)や「厚木市みんなで守る
美しい環境のまちづくり条例」などに基づき、市民、団体・組織、事業者と連
携・協働し、ごみのポイ捨て防止や歩行喫煙禁止、不法投棄、落書きのない美
しく住みよい環境の整備に取り組み、駅前での路上喫煙及びポイ捨て禁止運動
の実施や落書きされにくい環境の整備、落書き消去活動への支援などを行って
います。
道路については、交差点部の改良による交通渋滞の緩和や歩行者・自転車・
車両の通行帯の分別、透水性舗装※の施工による植生・地中生態の改善、地下水
かんよう
の涵養や排水性舗装※による低騒音効果などを効果的に利用した道路整備を行
っています。
地域の特性をいかした潤いのある豊かな生活環境の創出を目指し、平成 22 年
10 月に、「厚木市景観条例」及び「厚木市景観計画」を施行し、条例に基づく
指導を行っています。
★関連する条例や計画等
厚木市景観条例
厚木市景観計画
厚木市地域公共交通総合連携計画
厚木市都市マスタープラン
第 7 次厚木市道路整備五箇年計画
厚木市緑の基本計画
ア 都市環境の現況
(ア) 公園・緑地、緑化の現況
a 都市公園等の整備
身近な公園やスポーツを楽しむ場、自然や歴史に親しむ場、憩いの場な
ど様々な人や目的と地域の特性に応じた都市公園等の整備を進めていま
す(次ページ・表 3-2-18)。
また、既存の運動場やスポーツ広場、青少年広場等についても充実を図
っています。特に河川敷のスポーツ施設については水辺環境の保全を図り
つつ、施設の整備を行っています。
46
第3章 厚木市の現状と課題
表3-2-18
公園
種別
街区公園
近隣公園
地区公園
総合公園
運動公園
広域公園
緑地
合計
資料:厚木市
都市計画公園・緑地の内訳
計画
箇所
104
5
1
1
1
1
3
116
面積
(ha)
19.58
7.7
8.7
9.4
33.9
64.7
37.9
181.88
供用
箇所
104
5
1
1
1
1
3
116
面積
(ha)
19.58
7.7
8.7
9.4
15.7
64.7
37.9
163.68
平成26年4月現在
備考
若宮公園 ぼうさいの丘公園
荻野運動公園
七沢森林公園
都市計画課資料
b 自然環境の活用と保全
丹沢山麓の山林は、身近な自然とふれあえる環境学習やレクリエーショ
ンの場としての活用を目指し、森林体験教室の開催やハイキングコースの
整備などの取組を行っています。
また、河川に面した緑地については、適正な維持管理や新たな創出によ
る拡大を図るとともに、水辺環境を楽しむことのできる施設等を整備し、
河川全域がレクリエーション空間としても活用できるよう整備を行ってい
ます。
c 回遊空間としてのネットワークづくり
河川の堤防等の歩道化、道路の緑化、緑地をいかした歩道整備などにより、
公園・緑地と公共施設や拠点となる地区を結び、回遊しながら各施設を利
用し、レクリエーションを楽しむことができるネットワークルートの創出
を進めています。
d 自然生態系への配慮
公園・緑地などの整備は、地域全体の自然環境のネットワークづくりにお
ける拠点として、生き物の生態系を守り育てる環境づくりに留意した整備
を行っています。
e 防災機能の充実
公園・緑地及びネットワークルートは、防災・避難の場としても機能整備
を図っています。
47
第3章 厚木市の現状と課題
(イ) 屋外広告物・景観の現況
a 屋外広告物の現況
本市は、
「神奈川県屋外広告物条例」
(昭和 24 年神奈川県条例第 62 号)に
基づき、良好な景観と安全な維持管理のため、屋外広告物の指導・許可事
務を行っています。
設置については、3年ごとの継続の手続が必要となりますが、現在の厚木
市の許可件数は、1,168 件となっています。(平成 23、24、25 年度計)
b 景観の現況
本市では「厚木市景観条例」と「厚木市景観計画」に基づき良好な景観
づくりを推進しています。同条例で定めた届出制度に基づき、市全域を対
象とした緩やかな規制や誘導を行うだけでなく、地域の状況や市民の意識
の高まりに応じて、取組をステップアップし、より地域の個性をいかした
景観づくりを目指しています。
(ウ) 交通体系の現況
本市は、地形的特徴や環状線の不足、既存の鉄道駅の位置などから中心市
街地周辺への交通集中が避け難く、中心市街地の交通量を抑制する道路体系
づくりが都市整備の重要な課題となっています。
また、環境問題への配慮や超高齢社会に対応した公共交通の充実、安全で
人にやさしい道路づくり、その他災害時における市民の安全な避難や緊急輸
送の確保による都市防災の強化についても継続して取り組む必要があります。
イ 都市環境に対する取組と成果
緑にあふれた市街地の形成やまちの美化、公共交通機関の利用促進を図り、
温室効果ガス※の発生を抑制するための快適な交通環境の整備、地域の特性をい
かした景観の保全と創出に取り組んでいます。
平成 21 年度から平成 25 年度までの取組と成果(次ページ・表 3-2-19)の
うち、「うるおいのあるまちづくり」では、施設が老朽化している公園 24 箇所
について改修整備を行いました。また、民間建築物の屋上緑化※等について、5
年間で6件、182 万7千円を補助しました。
「緑のまつり」は、5年間で延べ 15
万5千人の来場者がありました。
「都市景観の向上」では、違反屋外広告物について、5年間で約 9,800 枚を
除去しました。落書き防止について、自治会やボランティア団体等に対し、落
書き消去用の溶剤・ペンキ等を支給したほか、落書き監視パトロールを実施し
ました。
また、
「ポイ捨て等禁止キャンペーン」を、本厚木駅前及び愛甲石田駅前にお
いて市民と協働で毎月実施し、5年間で延べ 1,604 人の参加がありました。
「道
※
路里親制度 」の推進により、里親登録団体(35 団)による市道の清掃、除草、
草花の植付け管理などの美化ボランティア活動の支援を行いました。
きょうあい
「道路・交通の整備」では、交通の流れを良くするため、42 箇所について 狭 隘
道路の拡幅を行いました。また、快適で安全な歩行区間を創出するため、31 箇
48
第3章 厚木市の現状と課題
所について、歩道の整備を行いました。交通渋滞を緩和するため、2交差点に
ついて右左折通行帯等の整備を行いました。また、7路線について雨水を地中
に浸透させる透水性舗装を実施しました。
表3-2-19
基本施策
うるおいのある
まちづくり
都市環境に対する取組と成果
具体的施策
公共施設の緑化の推進
公園等の整備
道路植栽の整備
民間へのみどりの普及
都市景観の向上
屋外広告物に対する
適正指導と措置
落書き防止
放置自転車対策
美化の推進
ごみの散乱防止
河川美化の推進
道路・交通の整備 快適な道づくり
環境に配慮した道路整備
主な取組
○市公共施設において更なる緑化の推進
・公共施設内の植栽の維持管理
・公共施設における緑のカーテン作成
○公園・緑地等整備の推進
・老朽化施設の改修整備
○公園施設に対する意識の向上と地域緑化の推進
・ボランティア団体による草花の植え付け・育成管理
○道路用地買収に伴う残地の利用検討
○道路用地取得に伴う未利用地の活用
・道路緑化の整備や植樹帯の整備
・道路植栽の維持管理
○緑のイベント開催(学習機会の提供と緑の啓発)
・緑のまつり開催、さつきまつり補助金交付
○都市空間の緑化推進
・屋上緑化について補助を実施
○みどりの基金※の積み立て、活用
・基金のPR。
・花未来事業、地域緑化・公共緑化事業費に充当
○違反屋外広告物の除却及び指導
・職員による除却・パトロール活動の実施
○落書き消去活動の支援、落書きされにくい環境整備
・自治会・ボランティア団体へ消去用溶剤・ペンキの支給
・職員によるパトロール実施
○自転車等駐車場の充実
・放置自転車の指導啓発・整理業務、保管場所の維持管理
○ごみ持ち帰りの啓発
・観光地におけるごみ持ち帰り看板の設置
・イベント開催時におけるごみ持ち帰り啓発等の推進
○美化意識の向上
・駅前での路上喫煙禁止、ポイ捨て禁止運動実施
○地域美化清掃、年末美化清掃の実施
○本厚木駅周辺のごみ清掃
・商業者や市民ボランティアとともに毎週金曜日に実施
○道路里親制度の推進
・市民ボランティアによる市道の清掃、除草、植付け管理等
○「資源とごみの正しい出し方」の周知徹底
・飛散防止ネットを自治会、集積所管理団体へ無償貸与
○相模川・中津川・小鮎川の合流点付近の美化清掃
○道幅の狭い生活道路の拡幅工事の実施
○幹線道路及びその橋りょう建設の計画的な実施
○交差点部の改良による交通渋滞緩和
○自転車・歩行者・車両の通行帯の分別
○排水性舗装の実施(自動車騒音の低減)
○幹線道路、生活道路や歩道、通路等への
透水性舗装の施工
49
第3章 厚木市の現状と課題
ウ
都市環境の保全と創出の課題
都市公園等の整備については、生物多様性※に配慮した緑地をつなぐ役割や
ヒートアイランド※の緩和、地球温暖化※を抑制するための二酸化炭素を吸収す
る緑地として、整備を行っていきます。一部の公園の草花の植え付けや管理に
ついて、ボランティア団体が活動を行っていますが、活動団体数が減少してい
ることから、ボランティア団体の拡充と幅広い年齢層の市民の参加を促進して
いく必要があります。
地域美化については、落書きのないまちづくりの推進について、市民、団体・
組織、施設管理者と連携し、落書きされにくい環境の整備や落書きの消去活動
に取り組み、環境美化と安心・安全のまちづくりを推進していく必要がありま
す。
道路については、適切な区間の排水性舗装による自動車騒音の低減化や透水
性舗装による雨水の地下浸透など環境に配慮した整備の推進、温室効果ガスの
排出を抑制するため、交通渋滞の緩和を図る道路整備や快適な交通環境の整備
による公共交通機関の利用促進、道路への植栽による道路緑化について引き続
き取り組むことが必要です。
また、平成 25 年 12 月に自転車の走行について、道路交通法(昭和 35 年法律
第 105 号)が改正されたことにより、歩行者通行帯の整備や交通法規の遵守及
びモラルの向上を推進し、快適に通行する環境を整えていくことも必要です。
都市環境の整備については、「厚木市景観条例」及び「厚木市景観計画」に
基づく景観づくりを推進し、地域の特色をいかした魅力あるまちづくりを推進
していく必要があります。
50
第3章 厚木市の現状と課題
(6) 都市農業・林業
農業、林業従事者の高齢化や後継者不足などに伴い、担い手の確保が求めら
れています。
このような状況を踏まえ、平成 26 年4月に設立した都市農業支援センター※
と連携し、農業の継続に向けた農業後継者対策の充実や農業の担い手の育成を
支援するとともに、農地の流動化※を推進しているほか、「元気な森づくり整備
計画」を推進し、森林の多面的機能※の維持・確保を進めています。
また、新鮮で安心・安全な農畜産物の生産の促進や朝市・夕焼け市の開催、
森林の間伐材の有効利用に係る検討など安定した農業経営・林業経営を推進し、
農地や森林の保全を経済面から支援する取組を行っています。
★関連する条例や計画等
厚木市自立経営農家育成資金融資条例
学校給食への地場農業物導入及び食育・食農教育推進委員会規程
厚木市森林整備計画
厚木農業振興地域整備計画
元気な森づくり整備計画
公共施設における木材の利用の促進に関する方針
鳥獣被害防止計画
ア 農業・林業の現況
本市における農業就業人口は減少傾向にあり、平成 12 年度は 2,396 人でした
が、平成 22 年度には 1,371 人に減少しています。
経営耕地面積も同様の傾向にあり、平成 12 年度は 1,032ha でしたが、平成 22
年度には 648ha に減少しています(図 3-2-20)。
また、林業の経営体数も平成 12 年度は 183 経営体でしたが、平成 22 年度に
は 11 経営体に減少しています。
保有山林面積も平成 12 年度の 1,281ha に対し、平成 22 年度には 165ha に減
少しています(次ページ・図 3-2-21)。
図3-2-20
農業就業人口、経営耕地面積の推移
3,000
1500
2,000
経営耕地面積(ha)
農業就業人口(人)
2,396
1,782
1,371
1,000
1,032
1000
419
500
513
100
666
56
648
250
246
359
351
H17
H22
0
H12
0
H12
H17
H22
田 畑 樹園地
資料: 農林業センサス
51
52
第3章 厚木市の現状と課題
図3-2-21
林業経営体数、保有山林面積の推移
保有山林 面積の推移
保有山林 経営体数の推移
250
183
保有山林面積(ha)
経営体数
200
2,000
150
100
50
12
11
H17
H22
0
H12
1,500
1,281
1,000
500
264
165
0
H12
H17
H22
※保有山林=単独で経営出来る山林(所要山林-貸付山林+借入山林)
資料: 農林業センサス
本市は四つの柱を基本方針として、農業・林業を推進しています。
① 持続的かつ環境に配慮した農業経営や後継者の育成などを支援するとと
もに、市民に憩いと安らぎの場を提供する市民農園の運用に取り組みます。
② 生産者の顔が見える農業を推進するため、新鮮で安全な農畜産物の地産
地消を支援します。
③ 有害鳥獣※による農作物被害を最小限に抑え、農業経営の安定化を図るた
め、効果的な被害防止策を推進します。
④ 森林の適正な保全を図るため、人工林や広葉樹林の整備を行うとともに、
森林の下草刈などを行う森林ボランティアを育成します。
イ 農業・林業振興の取組と成果
農地及び森林等は、二酸化炭素の吸収源として地球温暖化※を抑制する役割や
生き物の宝庫として生物多様性※の保全と創出の役割を持つことから、その担い
手を確保し、活性化していく取組を行いました。
平成 21 年度から平成 25 年度までの成果(次ページ・表 3-2-22)について、
「農地の保全と活用」では、農業経営基盤強化促進法(昭和 55 年法律第 65 号)
に基づき、農地の貸借による利用権の設定に対し、5年間で 1,868 人に 2,017
万円の奨励金を交付し、農地の利用集積及び農地の流動化を図りました。
また、農業とのふれあいの場を創出するため、7箇所に市民農園を設置して
います。毎年JAあつぎが開催し、本市も支援している農業まつりには、5年
間で延べ 24 万人の来場者がありました。
地産地消を推進するため、朝市、夕焼け市を5年間で延べ 402 回開催し、47
万人の来場者がありました。
「山林・森林の保全と活用」では、森林の持つ公益的機能※の維持を図るため、
約 67ha について間伐を行いました。また、市民ボランティアによる間伐や下草
刈などに、5年間で延べ 198 人が参加したほか、森林づくり実技等体験研修に
は、5年間で延べ 43 人の参加がありました。
52
第3章 厚木市の現状と課題
す
「生物多様性の保全」では、野生鳥獣の棲み分けを図り、農作地への侵入を
防ぐために設置した約 25km の獣害防護柵の維持管理を行いました。
表3-2-22
基本施策
農地の
保全と活用
農業・林業振興の取組と成果
具体的施策
農地流動化※の推進
農業従事者の育成
市街化区域内農地
の保全
農業とのふれあいの場
の創出
山林・森林の
保全と活用
生物多様性の
保全
地産地消の推進
山林・森林の整備・管理
鳥獣対策
主な取組
○利用権設定を行った貸人、借人に奨励金を交付
○農家の意向を調整し、利用権設定による農地の流動化推進
・10アール以上の農地所有農家に意向調査を実施
○農業後継者団体の活動支援
・支援団体に活動費を助成
・市内在住者を対象に農業体験を実施
○生産緑地※の保全と活用
○市民農園の開設。農業をPRするための農業まつりを開催
・遊休農地等を市民農園として開設
・農業まつりとして、「味覚祭」「畜産祭」「収穫祭」
に補助金を交付
〇朝市・夕焼け市の開催
○森林の持つ公益的機能の維持
・間伐・枝打ち等による森林の健全な成長を促進します。
○市民に対する森林保全の意識向上
・厚木市森林づくりボランティア協会へ事業交付金を交付
・森林体験教室を実施
○鳥獣の適正な保護及び共生・共存に努めます。
○野生動物による農作物の被害防止
・有害鳥獣の駆除
・獣害防護柵の維持管理
ウ
都市農業・林業の保全と創造の課題
農地や森林の保全と創造を推進するためには、持続的で環境に配慮した農
業・林業経営や後継者の育成が必要です。
このため、農地の流動化や市民農園の運用、森林体験活動など新たな担い手
による農地や森林の保全・創出活動を推進するほか、地産地消の推進、農畜産
物の付加価値を高める「あつぎ産ブランド」の発信などによる農業の活性化、
農作物及び人への被害を防止する鳥獣被害対策、森林の間伐材の有効利用や木
材の利用促進など、農業経営及び林業経営を支援していくことが必要です。
53
第3章 厚木市の現状と課題
3 市民の環境への取組
(1) 市民活動の状況
ア 環境に関わる市民活動の状況
本市では一人ひとりが環境保全活動に関わっていけるよう、環境に関する情
報の提供や、体験型学習など関心を高めるための環境教育や学習の場の創出、
環境保全活動への意欲を高めるため各種キャンペーンなどの啓発活動等を展開
しています。
イ 環境に関わる市民活動に対する取組と成果
一人ひとりが環境保全活動に関わっていけるよう、環境に関する情報の提供
や体験型学習など関心を高めるための環境教育・学習を実施しました。
平成 21 年度から平成 25 年度までの成果(次ページ・表 3-3-1)について「環
境情報の公開」では、厚木市環境報告書を始めとする環境に係る情報を積極的
にホームページで公表し、5年間で延べ約 54 万 2,200 件のアクセスがありまし
た。
「環境教育等の充実」では、環境に係る様々なテーマについて広く普及する
イベントである環境フェア、環境学習講座、施設見学会の開催や、学校や子ど
も科学館、七沢自然ふれあいセンターでの環境教育の推進を実施し、環境フェ
ア(隔年開催)については、5年間で延べ約2万人の来場者がありました。
「環境保全活動の促進」では、環境保全行動促進ツールとして、地球温暖化※
防止に取り組むための「家庭でできる取組 10 項目」(全国地球温暖防止活動推
進センター)の発信や河川愛護団体(3団体)が実施する河川敷花壇の草刈や
清掃活動の支援を行いました。市民と協働で実施した駅前や河川のクリーンキ
ャンペーンには、5年間で延べ1万 2,400 人が参加しました。
54
第3章 厚木市の現状と課題
表3-3-1
基本施策
環境情報の公開
環境教育等
の充実
環境に関わる市民活動に対する取組と成果
具体的施策
主な取組
○環境の現状、計画の進捗状況、環境行政施策の公表
環境報告書、環境情報誌
・厚木市環境報告書をホームページ上で公開
の作成
広報・ホームページでの周知
○環境保全意識の啓発と人材育成・機会創出
環境学習講座の開催
環境イベントの開催
体験学習等の開催
既存の拠点における
環境学習の充実
学校での環境教育の推進
環境保全活動
の促進
環境保全行動促進
ツールの充実
各種キャンペーンの実施
表彰制度の充実
環境保全活動への支援
環境保全の
ネットワークづくり
・公民館等への出前講座の実施
○環境問題の様々なテーマについてのイベント開催
・あつぎ環境フェアを隔年で開催
○市民一般参加の自然体験イベントの開催
・自然観察会や実験教室を開催
○地球環境に関する学習を企画・啓発
・展示物等を通して環境問題に対する基礎知識を提供
○七沢自然ふれあいセンターの活用
・様々な教室を開催し自然環境を活用した自主事業を実施
○総合的な学習の時間※等を活用した環境教育の推進
○国際的環境教育プログラム「エコスクール※」の実施
○集団宿泊生活・体験学習を通した教育活動の場の提供
・七沢自然ふれあいセンターでの教育活動の場を提供
○既存ツールの紹介、本市の特性にあったツールの作成
・各種ツールをホームページで紹介
○河川愛護の思想を啓発
・河川愛護団体、地域住民によるイベントの実施
○環境美化意識の向上
・相模川・中津川・小鮎川の合流点付近の美化清掃
○ごみ排出抑制に向けた普及啓発
・ごみの分別・簡易包装の奨励等、啓発チラシの配布
○環境保全活動を行っている個人・事業者・団体を発掘、PR
・環境写真展コンクール入賞者の表彰
○子どもたちの自主的な環境保全活動の実践
・登録団体へのイベント紹介等の連絡、活動支援
○環境保全活動を行う個人・団体への施設・備品の貸し出し
・省エネナビの貸し出し
○市内の活動団体の業務を委託し、活動の場を提供
・環境写真展を開催
○個人・団体等が必要に応じて協力しあえるネットワークの構築
・環境フェア等を通した活動内容の共有
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第3章 厚木市の現状と課題
(2) 現状と課題
本市では、市民の意見を反映したまちづくりを進めるため、平成 22 年に「厚
木市自治基本条例」を、平成 24 年に「厚木市市民参加条例」
(平成 24 年厚木市
条例第 1 号)、
「厚木市市民協働推進条例」
(平成 24 年厚木市条例第 17 号)など
を施行し、市民参加や市民協働によるまちづくりを進めています。
市民アンケートの結果、環境に関する地域活動を「いつも実践」
「たまに実践」
と回答した割合は4割に達しています。
環境保全活動への意欲を高めるための各種キャンペーンなどへの参加者数も、
平成 21 年度以降、増加傾向にあります。しかし、平成 24 年度の参加者数は 3,389
人で、平成 26 年度の目標値 7,000 人には届いておらず、更なる市民参加・市民
協働の推進が必要です(図 3-3-2)。
図3-3-2
各種キャンペーン・協働事業への参加者数の推移
参加者数(人)
8000
7,000
6000
3,389
4000
2,699
2,752
2000
488
0
H21
H22
H23
H24
H26
(目標)
資料: 厚木市環境報告書
(3) 課題解決の方向性
あつぎの環境を守り育てるためには、市民、団体・組織、事業者、行政それ
ぞれが地球や本市の現況と課題を理解し、自らに課せられた役割を積極的に果
たしていくことが必要です。連携・協働、情報の共有化を推進し、現在、活動
している市民、団体・組織、事業者の輪を広げるとともに、子どもから大人ま
でそれぞれの立場で容易に活動できる環境を整える必要があります。
このため、内容の充実した環境講座の提供やニーズに合った出前学習講座の
実施、子どもの環境学習の充実などの取組を推進するとともに、環境団体と行
政のネットワークを構築するなど、情報の共有や連携、協働の推進により、市
民や団体・組織、事業者が環境活動を容易に実践できる環境を整えていく必要
があります。
また、事業者については、事業活動による環境への負荷を最小限に抑制する
ため、環境マネジメント※システムの導入、又は事業所独自の環境保全の取組に
関する基本方針・行動目標を定め、取組内容や実績を公表するなどの取組を推進
していく必要があります。
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