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中 小 企 業 支 援 セ ン タ ー に よ る 支 援 低付加価値縫製
中小企業支援センターによる支援 低付加価値縫製業から高付加価値製品製造業 ずっていた同社の脆弱な財務体質を補強するため、 中小企業振興公社の創造的中小企業支援事業による ! ○ 3000 万円の資本増強を実施し、さらなる研究開発を ここがポイント 和歌山県 フクセン株式会社 業種 :繊維製品特殊加工 持続できる体制をつくるために、財務面からの支援 健康衣料加工 を行った。皮膚アレルギー抑制肌着(商品名「アト 美容衣料加工 ピュア」)の試験販売は順調に伸びはじめたが、アト 環境商品製造販売 け、平成 12 年6月からは中小企業振興公社が主催 ピュアだけでは市場が限られているため、会社の安 本社所在地:和歌山県和歌山市 する産学官共同研究事業で「皮膚アレルギー抑制 定的な発展を考え、事業の2本目の柱として同社の 資本金 :121百万円 肌着・衣料の研究開発」をテーマとして和歌山県 複合新機能加工システムの応用分野である、 「美白肌 創業 :昭和24年4月 立医科大学皮膚科、和歌山県工業技術センター、 着」 「ダイエット肌着」の製品化を行った。その製品 従業員数 :7名 とコンソーシアムを組み、実用化に向けて研究開 の販路開拓支援として、平成 14 年8月に中小企業振 発に取り組んだ。 興公社の事業化可能性調査を適用し、市場調査を実 新市場「健康衣料分野」への集中支援 研究開発段階でボラージ油加工布(綿 100%、未 洗濯でγ-リノレン酸含有)で健常成人へパッチテスト 代表取締役 小野 敬伸 当社は、独占性がなく競争の厳しい繊維縫製業を 営んでおりましたが、将来に向けて特許に守られた 施した。 つづいて平成 15 年7月には、①事業拡大に伴い、 高付加価値製品製造企業への発展をめざし、支援セ (光パッチテスト)を施行し、接触皮膚炎を発症 経営体力、資金力などの総合的な経営診断、②事業 ンタ−の紹介によるさまざまな公的支援制度を利用 しないことを確認したうえで小児用「皮膚アレル の方向性、販路、市場などの事業戦略の構築、③事 して新しい製品開発に成功しました。 ギー抑制肌着」を作成した。 業計画の見直しと事業計画書の策定、などを支援す 平成 12 年 12 月から平成 13 年2月までに、和歌 売上も右肩上がりに伸びており、海外への製品販 売の商談も進んでいます。 るため専門家を派遣した。 和歌山県中小企業支援センター︵財団法人 和歌山県中小企業振興公社︶ ■低付加価値縫製業からの脱却。市場拡大が見 山県立医科大学皮膚科外来を受診した小児患者を 込まれる「健康衣料」へ 対象に「皮膚アレルギー抑制肌着」を試着しても ■技術力をベースに事業を進め,支援策を有効活用 分子結合させる技術(ナノテク)を開発。またア らい、その効果を検討した結果、良好であったた していった トピー性皮膚炎・老人性皮脂欠乏症のかゆみ・ フクセンは昭和 23 年の創業以来婦人服を中 心とした縫製加工業に携わってきたが、長期か め試験販売を実施する方向を固めた。 料品に健康・美容などに効果のある天然成分を 同社の成功の要因は、①低付加価値縫製品の生産 乾燥肌の抑制加工、美白・美肌・ダイエット・ 制菌・抗菌・消臭・防臭などさまざまな新機能 つ深刻な消費不況に加えて、海外からの低価格 新分野への進出であることと同社には戦略策定 から「食べる健康から着る健康へ」をキャッチフレ 輸入衣料品との競争が激化し、これまでの低付 スタッフがいないため、平成 13 年 3 月に専門家を ーズにして「健康衣料」分野へ進出したこと、②研 を衣料品に付加するという後加工方法を確立 加価値縫製品の生産では生き残れない時代に立 派遣し、新機能加工商品の動向、新商品の販路開 究開発型企業と位置づけ、新機能製品の開発、加工 し、衣料品の高付加価値化を実現させた。 ち至ったとの危機感をもち、新分野への進出を 拓、事業計画書策定支援を行った。このことによ システムの販売、特許料収入を主業務とする企業へ 婦人服を中心とした縫製加工業の廃業を決意 り代表者(当時は現会長の福本勝守氏)が研究開 脱皮したこと、③複合新機能加工システムを開発し し、創造法の認定・経営革新法の承認を受ける 発に注力し、新製品のブラッシュアップに専念で た現会長(開発当時は社長)は研究開発を得意分野 なかで、自社の開発の方向性を確認しながら産 きる環境を整えることができた。 とし、その業務に専念するため、販売のエキスパー 学官の連携による研究開発、専門家による事業 ムの新技術開発」への取り組みを本格化させ、 トとしてアパレル業界から人材のヘッドハントを行 計画の策定支援、販路開拓調査等について窓口 平成9年 12 月に中小企業創造活動促進法の認 い、代表者に就任させた(現代表者小野敬伸氏)こ 相談でアドバイスを受けるなど、うまく活用し 同社が開発に成功した複合新機能加工システム と、④事業のコア部分(新商品の開発・加工)以外 たことが経営革新の実現につながった。現在、 は縫製加工業の廃業を決意し、 「複合加工新機能 は、①完成衣料品を薬剤に漬け込む「浸漬方式」 はすべて外注し、研究開発に特化したこと等があげ 同社は3本目の柱として、女性用衛生・健康グ 加工システム」を実用化し同社のコアビジネス を採用しているため、薬剤の吸着効果が大きい、 られる。その成功のバックグラウンドでは、完成衣 ッズの事業化に向けて奮闘中である。 とすべく取り組みをはじめた。この分野はいわ ②薬剤を組み合わせることによりユーザーの求め ゆる「健康衣料」分野と呼ばれ今後、急速な市 る機能にフレキシブルな対応が可能、③完成衣料 模索していた。 そのような状況のなか、それまで温めていた 「完成衣料品抗菌、防臭、制菌処理加工システ 定を受けた。この認定を契機として平成 10 年に ■需要拡大が見込まれ,事業化に向けて集中支援 支援年度 支援方法 場拡大が見込まれている新しい成長分野である 品に後加工を施すため縫糸・芯・ネーム・付属品 との確信をもっていた。 にまで完全に機能を付加することができる、④特 産学官共同研究事業(商品開発) 殊加工により薬剤を固着させるため、洗濯持続回 専門家派遣事業(ビジネスプラン) ■産学官の共同研究で商品化した「皮膚アレル 数があり、効果の持続性が高い、⑤大量連続処理 創造的中小企業創出支援事業(投資) ギー抑制肌着」 加工が可能であり、コストダウン効果が大きい、 事業化可能性調査事業(市場調査) など今後も需要分野の拡大が期待できる。 専門家派遣事業(ビジネスプランブラッシュアッ 平成 12 年3月には「複合技術の開発」で経営 革新支援法に基づく経営革新計画の承認を受 平成 13 年 10 月には、縫製加工業当時から引き プ) 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年