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概要版 - 葛飾区
概要版 葛飾区地域防災計画 概要版 目 1 次 地域防災計画とは 1)地域防災計画の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2)地域防災計画作成の背景と経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 3)地域防災計画の位置づけと内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2 総則 1)基本理念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 2)自助・共助の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 3)災害の想定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 3 震災編 地震災害のながれ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 1)区民と地域の防災力の向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 2)安全な都市づくりの実現 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 3)安全な交通ネットワーク・ライフライン等の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 4)広域的な視点からの応急対応力の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 5)情報通信の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 6)医療救護等対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 7)帰宅困難者対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 8)避難者対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 9)物流・備蓄・輸送対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 10)放射性物質対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 11)区民生活の早期再建 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 12)想定を越えた災害への対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 13)災害復興計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 14)東海地震事前対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4 風水害等編 1)災害予防計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 2)外水氾濫への対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 3)内水氾濫への対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 4)区の態勢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 5)雪害対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 6)火山噴火対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 7)大規模事故対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 1 地域防災計画とは 1)地域防災計画の目的 葛飾区地域防災計画は、災害対策基本法第 42 条及び葛飾区災害対策条例の規定に基づいて、葛 飾区防災会議が作成する計画です。この計画は、葛飾区で発生する災害に関し、区、防災関係機関等 が連携して災害対策を実施することにより、区の地域及び区民の生命、身体及び財産を災害から保護 することを目的としています。 ◆葛飾区防災会議とは 葛飾区防災会議は、地域防災計画の作成及びその実施、防災に関する重要事項の審 議等を図るために、災害対策基本法に基づき設置されるものです。会議は、区長を会長と して、区長が委嘱した国、都、区、公共機関等の代表者から構成されています。 2)地域防災計画作成の背景と経緯 葛飾区地域防災計画は、平成 7 年に発生した阪神・淡路大震災、平成 16 年の新潟・福島豪雨災害、 新潟県中越地震、平成 19 年の新潟県中越沖地震等、災害の教訓に基づいて、その都度、新たな内容 を加えて改定を経てきたものです。 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は、巨大な津波と多くの犠牲者の発生、行政機能の喪 失、原子力発電所の事故、長期にわたる広域避難等、これまでの想定を超える被害と影響を及ぼしま した。 葛飾区の震度は、震度 5 弱で大きな被害は発生しませんでしたが、首都圏の低地等で液状化現象が 発生し、建物、塀、電柱、道路及び地下埋設管等に大きな被害が発生しました。さらに、都心では交通 機関の停止による帰宅困難者の発生、福島第一原子力発電所事故の影響による計画停電などがあり ました。 このような教訓をもとに、国の中央防災会議では、地震・津波等に関する専門調査が実施され、防災 基本計画の見直し(平成 23 年 12 月、平成 24 年 9 月、平成 26 年 1 月)、災害対策基本法の改正(平成 24 年 6 月、平成 25 年 6 月)が行われました。東京都においても、最新の科学的知見に基づき「首都直 下地震等による東京の被害想定」(平成 24 年 4 月)を公表し、東京都地域防災計画を改定しました。 一方、葛飾区は、荒川、江戸川、中川等の河川で囲まれた低地帯に位置し、地盤高が低く海抜ゼロメ ートルの土地も存在しています。堤防の決壊や高潮による外水氾濫や、排水能力を上回る降雨による 内水氾濫の可能性もあります。 さらには、危険物施設の爆発・炎上、交通機関の事故など社会的な事故も懸念されています。 葛飾区地域防災計画は、このような災害教訓や、国、東京都の防災対策の動向を背景に、葛飾区の 地域特性を反映させて作成したものです。 1 3)地域防災計画の位置づけと内容 (1)地域防災計画の位置づけ 葛飾区地域防災計画は、国の防災基本計画、東京都の地域防災計画との整合を図っています。 災害対策基本法 〈作成主体〉 防災基本計画 中央防災会議 東京都防災会議 東京都地域防災計画 葛飾区防災会議 葛飾区地域防災計画 (2)対象とする災害及び構成 葛飾区地域防災計画は、防災における方針や、区、国、東京都、防災関係機関、区民及び事業所 等の役割分担など、防災対策の基本を示したものです。 対象とする災害は、地震、風水害、火山噴火等の自然災害のほか、危険物の爆発炎上、交通機関 の事故等の大規模事故、放射性物質事故も対象としています。 第1編 総則編 計画の方針、計画の前提となる被害想定、基本的理念、役割 を記載 第2編 震災編 地震に対する災害予防・応急・復旧対策、復興計画、東海地 震事前対策を記載 第3編 風水害等編 内水氾濫、外水氾濫に対する災害予防・応急・復旧対策、火山 噴火、雪害、危険物の爆発炎上、列車・航空機事故等の大規模 事故対策を記載 資料編 条例、協定、基準、様式など災害対策資料について記載 (3)各編の内容 各編には、概ね次の内容が記載されています。 災害予防計画 備蓄、訓練等、災害の発生に備えて平常時に行うべき予防対策 災害発生時に行う救助、避難、医療、給水、食料供給等の各応急 災害応急対策計画 対策 災害復旧・復興計画 被災者の生活再建、各施設等の復旧等 2 2 総則 1)基本理念 大規模な災害が発生した場合は、発災直後から救助、消火、避難、医療といった様々な活動が必要 とされ、行政のみで対応するのは非常に困難です。大規模な災害においては、区や防災関係機関だけ でなく、家族や防災市民組織等が中心となって、「自らの生命は自らが守る」、「自分たちのまちは自分 たちで守る」との考えに基づき行動することが求められます。 これらのことから、葛飾区地域防災計画は、「区民・事業所」、「地域の区民で組織する防災市民組織 等」、「行政・防災関係機関」の三者がそれぞれの役割に応じて分担し、協力して行う「自助・共助・公 助」を基本的理念としています。 (1) (2) (3) (4) 「自らの生命は自らが守る」という自己責任原則による自助の考え方 地域の助け合いによる「自分たちのまちは自分たちで守る」という共助の考え方 行政が区民の安全を確保するという公助の考え方 それぞれの責務と役割を明らかにし、区民と行政が連携を図っていくこと 自 助 区民、家庭、事業所が 自らを災害から守ること 防災・減災対策における 連携・協力 共 助 公 防災市民組織等の地域社会が協力して 地域を災害から守ること 助 区・都・防災関係機関が区民を 災害から守ること ◆自助・共助・公助の割合とは 平成 7 年に発生した阪神・淡路大震災において、倒壊家屋からの救出を誰が行った かを調べたところ、 「自力・家族」(自助)が 67%、 「友人・隣人」(共助)が 31%、 「救助隊」 (公助)が 2%であったことから※、自助・共助の重要性があらためて認識 されるとともに、自助・共助・公助の割合を 7:2:1 としています。 ※日本火災学会:1995 年兵庫県南部地震における火災に関する調査報告書 3 2)自助・共助の役割 葛飾区地域防災計画では、自助・共助の役割を次のように定め、区等と連携して地域防災力を向上 させることとしています。 (1)自助 個人、家族、事業所等は、自らの命を自ら守るため、以下の役割を担い、地域防災力を向上させる ことを基本とします。 ○ 建築物その他の工作物の耐震性及び耐火性の確保 ○ 日頃からの出火の防止 ○ 消火器、住宅用火災警報器、住宅用防災機器、感震ブレーカーの設置 ○ 家具類の転倒・落下・移動防止や窓ガラス等の飛散防止 ○ ブロック塀の点検補修など、家の外部の安全対策 ○ 飲料水(1 日 1 人 3 リットル目安)、食料、医薬品、携帯ラジオなど非常持出用品や簡易トイレの準 備 (最低でも 3 日分、できれば 7 日分) ○ 災害が発生した場合の家族の役割分担、避難や連絡方法の確認 ○ 都や区及び地域が自主的に行う防災訓練や防災事業への積極的な参加 ○ 避難所運営に関する会議や訓練への参加 ○ 自治町会などが行う、地域の相互協力体制の構築への協力 ○ 要配慮者がいる家庭における、住民組織・消防署・警察署等への情報提供 ○ 災害発生時に備え、危険箇所の把握、一時集合場所、避難場所、避難所及び避難経路等の確認 ○ 過去の災害から得られた教訓の伝承等による防災への寄与 ○ ペット用のケージ、食料、飲料水等の備蓄及び一時預け先の準備等 (2)共助 自主防災組織等の住民組織が協力して地域を守るために、以下の役割を担い、地域防災力を向 上させることを基本とします。 ○ 地域の防災市民組織の結成 ○ 避難訓練、初期消火訓練、救出訓練、避難所運営訓練など災害発生に備えた防災活動 ○ 地域の住民への防災知識の普及 ○ 危険箇所の把握 ○ 地域の手助けが必要な要配慮者の把握、災害時の支援 ○ ○ ○ ○ 防災資器材の購入、点検 発災時における地域の被害情報の収集 発災時における住民への情報伝達、避難誘導、要配慮者の安否確認及び避難支援 避難所の開設、主体的な運営 4 3)災害の想定 (1) 地震・津波 葛飾区地域防災計画では、東京都の「首都直下地震等による東京の被害想定」に基づき、葛飾区 で被害が最大となる東京湾北部地震(マグニチュード 7.3)を想定地震としています。 東京湾北部地震では、区域のほとんどで震度 6 強、北東部で震度 6 弱、ほぼ全域で液状化危険度 が高いと想定されています。 ○建物全壊:7,446 棟 ○負傷者:5,515 人 ○避難者人口:200,970 人 ○焼失棟数:11,114 棟 ○エレベーター閉じ込め台数:113 台 ○避難生活者:130,630 人 ○死者:500 人 ○自力脱出困難者:2,113 人 津波については、荒川、江戸川を遡上するものの、水位は堤防を越えることはなく、区内で浸水はな いとされています。 (2)風水害の想定 ●外水氾濫 荒川、江戸川、中川、綾瀬川の流域の大雨や高潮により、堤防が決壊したり、堤防を越えて水があ ふれたりして発生することを想定しています。浸水の範囲は、河川管理者が浸水想定区域図として 公表しています。葛飾区では、この結果を用いて、浸水範囲とその深さ、避難方向や避難場所の位 置、情報の入手方法等を加えた「ハザードマップ」を作成して、公表しています。 ●内水氾濫 平成12年に愛知県名古屋市およびその周辺で起こった東海豪雨相当の大雨により、排水能力を 上回ることによる浸水を想定しています。 5 (3)その他の災害 地震、風水害のほかに、危険物施設や積載車両の事故、放射性物質事故、航空機・鉄道事故、ガ ス事故、さらには、降雪、火山の噴火による降灰も生活に大きな影響を及ぼします。葛飾区地域防災 計画では、これらの災害も計画の対象として位置づけています。 6 3 震災編 地震災害のながれ 東京湾北部地震のような大地震が発生した場合、72 時間は、混乱の中で人命救助を中心とした活動 を実施します。その後、被災者への支援を中心とした応急活動、更には、生活再建へと移行していきま す。葛飾区では、地震発生時の時間経過とともに、必要となる対策ニーズに対応していきます。 1)区民と地域の防災力の向上 阪神・淡路大震災、東日本大震災では、自力・家族、住民による助け合いによって、多くの命が救わ れており、災害発生直後には、地域における活動が最も重要となっています。さらに、その後の避難生 活等においても、地域のつながりが被災者の支えとなっています。そのため、区民、住民組織、事業所 等は、災害に対する備えを進めるとともに、相互連携、相互支援により、自助、共助による区民と地域 の防災力の向上を推進します。 ●自助としての備え 大規模な災害の場合、発生当初には救援物資が届かないことが想定されます。区民は、平常時 から最低でも 3 日分、できれば 7 日分の家庭内備蓄をすることが必要です。 ●地域防災会議 地域の方々が中心となって防災対策を検討する地域防災会議を設置しています。地域の自治 7 町会、消防団、PTA、企業等による地域ぐるみの防災ネットワークを構築し、地域特性にあわせた 取り組みに対し、支援を行っています。 ●区民・防災市民組織等の災害時における行動 自助・共助として、区民、防災市民組織等は、次の行動が求められています。 ■自助による応急対策 ■共助による応急対策 ・自身、家族の身を守ること、出火防止 ・情報収集と行動 ・家庭内備蓄の活用 ・区及び関係機関への連絡 ・各種情報の収集と伝達、広報活動 ・近隣での助け合い ・安否や被害についての情報収集 ・救出、応急手当・搬送 ・避難行動要支援者の避難支援 ・給食・給水・物資の配布 ・区への協力 等 ・初期消火活動 ・避難誘導活動 ・避難所運営 ・要配慮者等の見守り、支援 2)安全な都市づくりの実現 災害から一人でも多くの生命及び財産を守り、都市の機能を維持するためには、都市構造そのもの の防災性を高める必要があります。そのため、区は都と連携して、防災都市づくり推進計画、安全な市 街地の整備、建築物の耐震化、出火防止等の取り組みを推進しています。 ●防災都市づくり 区と都が連携して次のような事業を展開しています。 防災都市づくり推進計画 木密地域不燃化10年プロジェクト 防災再開発促進地区 市街地再開発 土地区画整理事業 ●防災活動拠点の整備 区は、災害時に地域の活動の場となる防災活動拠点として、防災倉庫、防火用貯水槽、マンホ ールトイレ、かまど兼用ベンチ等の防災施設を備えた公園を整備しています。拠点の管理は、地域 の自治町会等で構成されている防災活動拠点管理運営委員会が行っています。 ●建築物の耐震化・安全対策 木造建築物、民間の公益施設、分譲マンション等の耐震診断、耐震シェルター設置等に対する 助成制度を設け、耐震化促進への取組みを実施しています。また、区の公共施設に関しては、耐 震診断・補強工事等を行い、平成27年度に耐震化を完了する予定です。さらに、天井・ガラス窓・ 書架等の非構造部材の耐震化を進めています。 ●建築物における液状化対策 区は、液状化による建築物の被害を軽減させるため、液状化の内容や対策の必要性を記載した 8 冊子を作成し、区民に情報を提供します。また、新築の戸建住宅を対象に地盤の液状化対策工事 への支援を検討します。 ●長周期地震動への対策 高層住宅における防災力向上のため、高層住宅居住者やマンション管理事業者等と連携して、 高層住宅の防災対策の基本方針を定めた要綱等を策定します。 ●公共施設の応急危険度判定 余震等による倒壊や部材の落下等を防ぐため、応急対策上重要な役割を果たす公共施設につ いて、優先的に応急危険度判定を実施します。 3)安全な交通ネットワーク・ライフライン等の確保 道路、鉄道といった交通関連施設は、人命救助、消火活動、物資輸送等を行う生命線であり、災害 時であっても、その機能を確保することが重要です。そのため、施設の管理者は、災害に強い施設づ くりの実施や発災時においても緊急輸送が効果的に実施できる対策を推進します。 ●区の道路整備と橋梁の安全化 区では、都市計画道路の整備や幅員15m以上の道路を避難路として活用できるよう整備を実施 しています。4mに満たない狭い道路(細街路)は、消防・救助活動が円滑にできるよう拡幅を行っ ています。また、区が管理する橋梁(15m以上)は、架け替えや橋梁長寿命化修繕計画に基づく点 検及び修繕を行っています。 ●防災船着場 災害時に道路での輸送ができない場合に備え、区内には9箇所の防災船着場が設置されます。 区では、河川敷の活用を含めた船着場の運用等について、検討します。 4)広域的な視点からの応急対応力の強化 災害が発生した場合、区は、区長を本部長とした災害対策本部を設置して対応にあたります。 しかし、大規模な災害が発生した場合、区及び区内の防災関係機関のみの防災力では、対応に限 界があります。そのため、災害発生直後の早い段階から広域的な応援を要請します。 ●初動対応体制の整備 区は、大規模災害を想定して、区民・防災市民組織・消防署・警察署・ライフライン機関等が参加 した総合防災訓練を実施しています。 また、小中学校の児童・生徒や、事前登録した不特定多数の者が一斉にそれぞれの場所で安 全確保行動を行うシェイクアウト(いっせい防災行動訓練)を実施します。 ●本部機能の充実 区は、災害発生時に機動的な情報収集や迅速な判断・指示が行えるよう災害情報システムの 9 導入を進めるとともに、本庁舎に災害対策本部用の非常用電源設備の設置を進めます。また、ラ イフラインや流通が途絶しても対策が行えるよう職員用の備蓄配備を行います。 ●受援体制の整備 自衛隊・国・地方自治体・防災機関の職員、ボランティア等の応援を受け入れ、効果的に活動を 行うため活動拠点の指定、ヘリサインの設置、受援計画の作成等の受援体制を構築します。 ●区の活動態勢 震度に対応して、区のとるべき態勢が定められています。震度5強以上の場合は、非常配備態 勢をとり、区役所5階庁議室に災害対策本部を設置します。なお、本庁舎が機能しない場合には、 総合スポーツセンター、水元体育館の順に本部を移設します。 なお、発災直後は、通信、ライフライン機能の低下等により、災害対策本部の立ち上げ及び機能 が十分でないことが想定されるため、初動本部を立ち上げ、迅速な対応を図ります。 また、勤務時間外に震度6弱以上の地震が発生した場合は、職員は区役所、避難所、区民事務 所、緊急医療救護所等の指定された場所に参集する態勢をとります。 〈時間経過〉 発災 → 24 時間 → 3日 → 1週間 → 1か月 各部で対応 震度4 各部の対応 震度5弱 情報連絡態勢 震度5強 第1非常配備態勢 情報連絡室・各部で対応 災害対策本部の設置 (初動本部に よる活動) 震度6弱 第2非常配備態勢 以上 (災対部単位の活動) 災害対策本部の設置 (初動本部による活動) (勤務時間外は、指定施 設への参集配備) (災対部単位の活動) ●本部設置前の態勢 区内に震度4、震度5弱の地震が発生したときは、情報連絡室を設置し、情報の収集・伝達を行 います。災害対策は、各部で実施することになっています。 情報連絡室 危機管理・防災担当部長 区 長 報告 報告 防災課 情報収集 各部庶務担当課 関係機関等 10 ●災害対策本部(初動) 災害対策本部【庁議室】 災害時要配慮者対策本部 災害時医療対策本部 ・本部長 ・副本部長 都市施設等応急対策本部 復旧拠点 避難所運営対策本部 本部統括 (危機管理・防災担当部長) 地域連携対策本部 ・統括班(政策経営部、総務部、危機管理・防災担当部) ・広報班(政策経営部) ・資源管理班(総務部、環境部) ・庶務班(総務部、会計管理室) ・各対策本部連絡班(各対策本部からの連絡要員) ・関係機関連絡要員(リエゾン) 産業対策本部 災害廃棄物対策本部 発災72時間 以降に立ち上げ ※各対策本部には本部長(部長級)、副本部長(課長級)、本部員(係員)を配置する。 ●災害対策本部 (各対策本部を設置しない場合) 災害対策本部は、災害対策を実施するために区役所に設置される組織で区長を本部長としま す。 副本部長 (副区長・教育長) 本部長(区長) 事務局(防災課) 災 対 政 策 経 営 部 災 対 総 務 部 災 対 地 域 振 興 部 災 対 環 境 部 災 対 福 祉 部 災 対 保 健 所 災 対 子 育 て 支 援 部 災 対 都 市 整 備 部 災 対 会 計 管 理 室 災 対 事教 務育 局委 員 会 災 対 監 査 事 務 局 災 対 会選 事挙 務管 局理 委 員 災 対 区 議 会 事 務 局 ●自治体等への応援要請 大規模災害が発生し、区の防災力では対応できないときは、あらかじめ締結している協定に基 づき、全国の自治体、各種団体、民間企業に応援を要請します。 ●自衛隊の災害派遣 大規模な災害が発生した場合、災害対策基本法に基づき、区長は知事に対し自衛隊の災害派 遣要請を要求します。知事に要求できないときは、直接、自衛隊に災害状況の通知をします。区で は、水元公園と葛飾清掃工場、水元体育館を派遣部隊の受け入れ拠点として定めています。 11 ●ボランティア活動 災害発生時には、多くのボランティアが集まり、被災地の復旧に大きな力を発揮します。 葛飾区社会福祉協議会は、男女平等推進センターに葛飾区災害ボランティアセンターを設置し、 ボランティアの受け入れ、ニーズ等の情報把握、ボランティア活動の調整等を行います。 5)情報通信の確保 災害時の情報収集と伝達は、迅速かつ効果的な応急対策活動を行なうために非常に重要です。区 は、防災行政無線、FM、ツイッター等により、区と防災関係機関との通信や区民への情報提供を行い ます。 ●情報通信体制の整備 区は、今後、情報収集のための高所カメラの導入と災害時の区長及び災害対策本部との通信 を確保するための衛星携帯電話の導入を検討しています。 ●区民等への情報通信手段の確保 災害発生時は次の手段を活用して区民への情報提供を行います。 ○防災行政無線(固定系) ○ツイッター ○広報車 ○フェイスブック ○広報車による巡回放送 ○臨時広報紙 ○ホームページ ○安全・安心情報メール ○広報掲示板 ○かつしかFM ○ケーブルテレビ放送 ○防災行政無線(固定系)による放送 ○緊急時速報メールサービス(緊急速報メール、エリアメール) また、区は、地区センターと地域住民との間で情報の収集・伝達が可能な連絡体制を構築しま す。 ●広聴活動 区は、被災者からの相談に対応するため、区役所及び被災地区の区民事務所に相談窓口を設 置します。さらに、被災者にニーズや利便性に応じて、地区センターに設置を拡大します。 6)医療救護等対策 災害時には、多数の負傷者が発生することが想定され、発災直後から多数の負傷者に対する医療 救護活動が必要となります。さらに、在宅の人工透析や難病患者等への対応も必要となります。区は、 医師会等と連携して災害時の医療医救護体制を構築しています。 ●初動医療体制の整備 区は、葛飾区医師会、葛飾区歯科医師会、葛飾区薬剤師会、葛飾区柔道接骨師会等との協議 により、緊急医療救護所の設置、運営等の医療体制の連携について強化を図ります。 ●医薬品の確保 12 区は、医薬品のランニングストックの供給や調剤薬局が扱わない医薬品の確保について、医薬 品卸売販売業者等と協定を締結し、円滑に調達が行えるようにします。 ●初動医療体制 多数の傷病者が発生したときは、区は、保健所に葛飾区災害医療コーディネーターを設置し、医 療救護活動の統括及び調整を行います。 発災後の72時間は緊急医療救護所を設置し、協定に基づいて、医師会・歯科医師会・薬剤師 会・柔道接骨師会と連携して、傷病者のトリアージ、軽症者への応急手当等を行います。 また、歯科医療救護所は、歯科医療を必要とする傷病者への応急処置等を行います。 重症者・中等症者及び人工透析等の特殊疾病患者は、災害拠点病院、災害拠点連携病院、災 害医療支援病院に収容します。 種別 設置場所・医療機関 緊急医療救護所 東金町小学校、柴原小学校、高砂中学校、道上小学校、南綾瀬小学校、青戸 (8 箇所) 歯科医療救護所 災害拠点病院 災害拠点連携病院 災害医療支援病院 小学校、梅田小学校、新小岩中学校 ひまわり応急歯科診療所、たんぽぽ応急歯科診療所 東部地域病院、東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 坂本病院、嬉泉病院、亀有病院、第一病院、堀切中央病院、平成立石病院、 イムス葛飾ハートセンター、新葛飾病院、金町中央病院、高砂協立病院 災害拠点病院、災害拠点連携病院以外の病院 ■各医療機関の役割分担表 フェーズ3 フェーズ2 フェーズ1 発災直後 (概ね1週間から (概ね1週間 (概ね6時間ま (概ね 72 時間 1か月程度)以降 程度まで) まで) で) 緊急医療救護所を始めとする各拠点間の医療救護活動 受援・巡回診療の統括及 の統括及び調整、東京都災害医療コーディネーター及 び調整 区災害医療 コーディネーター び地域災害医療コーディネーターとの調整、東京都福祉 保健局との調整、受援調整 避難者の定点・診療 緊急医療救護所 一次トリアージの実施、 避難者の定点・診療 被災者のメンタルヘルスケア ※ ・医療救護所 (主として)軽症者の治療 慢性疾患の治療 慢性疾患の治療 フェーズ3までは重症者 の収容・治療に携わる (二次トリアージの実施)、 重症者の が、フェーズ4※以降は 災害拠点病院 主に重症者の収容・治療 収容・治療 平常時の医療提供体制 に徐々に移行 フェーズ3までは中等症 (二次トリアージの実施)、 者の収容・治療に携わる 災害拠点 中等症者等の 主に中等症者や容態の安定し が、フェーズ4 ※ 以降は 連携病院 収容・治療 平常時の医療提供体制 た重症者等の収容・治療 に徐々に移行 軽症者・中等症者等の応急処 フェーズ3以降は平常時 災害医療 専門医療の継続・ の医療提供体制に徐々 置、専門医療・慢性疾患への対 支援病院※ 慢性疾患治療の継続 に移行 応 診療所は閉鎖し、医療救護所 フェーズ2以降は平常時の医療提供体制に徐々 診療所 等において医療救護活動にあ に移行 たる ※緊急医療救護所 発災直後からフェーズ1の段階まで、災害拠点病院等の近接地等に設置し、トリアージ を行うとともに軽症者の治療、応急処置を行う。 ※フェーズ4 概ね1か月から3か月程度 ※災害医療支援病院 災害拠点病院及び災害拠点連携病院以外の全ての病院 拠 点 13 ●保健衛生活動 区は、被災者の健康を確保するために、医師、保健師、栄養士等からなる医療救護班、保健活 動班等を避難所に派遣し、感染症等予防の保健指導、健康相談を行います。 ●行方不明者の捜索・遺体の取り扱い 区は、警察署、自衛隊等の協力を得て行方不明者の捜索を行います。遺体は、遺体収容所(第 一順位:水元体育館 第二順位:総合スポーツセンター)を開設し、警察の検視・身元確認、東京都 による検案のうえ、家族に引き渡します。 区は、火葬場の被災状況の把握と確保を行い、状況に応じて都に広域火葬の応援・協力を要請 します。 7)帰宅困難者対策 大規模な災害が発生した場合、公共交通機関の停止、道路の渋滞等により、多くの帰宅困難者が発 生し、駅周辺や大規模集客施設などで混乱が想定されます。そのため、3日間は、従業員を職場等に 待機させることにより、一斉帰宅を抑制することが重要となっています。 ●駅前滞留者対策協議会の設置 駅周辺に多くの滞留者が発生した場合に備え、関係機関を構成員とした駅前滞留者対策協議 会の設置に向けて検討します。 ●一時滞在施設の確保 区は、帰宅困難者を一時的に受け入れるための施設について、民間施設と協定を締結する等、 確保を図っています。交通機関の停止により駅周辺等で帰宅困難者が発生した場合、一時滞在施 設を開設します。 8)避難者対策 地震発生後は、安全が確保された自宅で生活を継続することを基本とし、避難所は自宅が被災した 区民等が生活する場所とします。発災直後には、区職員の避難所への参集が困難な場合に備え、避 難者が自主的に避難所を開設する体制や、自力で避難することが困難な方に対する地域での安否確 認や支援できる体制を整備します。さらに、避難生活における要配慮者や女性のニーズへの対応を行 っていきます。 ●避難所等の指定と整備 避難所には、食料・飲料水・資器材等の備蓄、マンホールトイレの整備、外壁、窓ガラス等の落 下防止等を実施します。 【区の避難所等】 一時集合場所 発災時の地域の一時集合場所として、各自治町会で選定した公園等を指定 避難場所 火災が拡大したときの避難場所として河川敷や大規模公園を指定 14 避難所 一時的に生活の場となる避難所(第一順位)として、小中学校等を 77 箇所、その他 の避難所(第二順位)として高等学校や福祉施設等を指定 ●避難所の自主体制の整備 区は、小・中学校周辺の自治町会や教職員等が結成する避難所運営組織について、避難所運 営に関する会議や訓練を支援しています。 ●要配慮者支援体制の整備 区は、消防署、警察署、消防団、防災市民組織、社会福祉協議会等と連携し、自力で避難が困 難な避難行動要支援者の名簿の作成、安心カードの普及・配布などにより、災害時に支援を要す る高齢者、障害者、乳幼児その他特に配慮を要する方々の支援体制を整備します。 ●避難行動 地震発生 自宅・家族の安全確認 一時集合場所【公園等】 地域の活動 一時集合場所 (各自治町会で選定した場所) 延焼火災 (初期消火・救助・要配慮 者の安否確認) 火災からの避難 避難場所 自宅に被害なし 自宅が倒壊・焼失 避難場所 【河川敷等】 避難所(第一順位) 発災直後に開設 自宅での生活を継続 避難者が多数 の場合に開設 防災活動拠点の自主運営 により生活を確保 避難所(福祉避難所) 避難所(都立学校等) (第二順位の福祉施設等) (第二・第三順位の各種施設) 要配慮者等を対象に、第一順 位の避難所での生活が困難な 場合に開設 避難所(第一順位)【小中学校等】 区民は、地震発生時には、次の行動をとることが求められます。 (1) (2) (3) (4) (5) 一時集合場所で被害情報等の情報交換 要配慮者の安否確認、建物内に閉じこめられた者の救助、初期消火 火災が拡大、延焼し、地域にとどまることが危険な場合は、避難場所に集団で避難 自宅の倒壊等により居住することが困難な場合は、最寄りの避難所に移動 自宅の被害がなく、耐震性が確保されている場合は、自宅で生活を継続 15 ●避難所の開設 発災当初は全ての避難所(第一順位)を開設し、避難者を受け入れます。避難者が多数の場合 は、第二順位、第三順位の避難所を開設します。 高齢者、障害者等が避難所で生活が困難な場合は、第二順位の福祉施設を開設します。 ●避難所の運営 区は、各避難所に避難所運営本部を設置し区職員を配置し、学校長等の施設管理者、防災市 民組織等との連携により、避難所の運営にあたります。その後、避難者による自治の観点から、防 災市民組織等による自主運営組織を早期に立ち上げて行います。 ●女性と子供に配慮した避難所運営 避難所運営にあたっては、女性専用の相談窓口、専用の物干し場、更衣室や授乳室、子供の 遊びスペース等の設置に配慮し、運営委員会への女性の参画や女性や子育て家庭の意見及びニ ーズの把握を行います。 ●ペット対応 避難者と同行避難したペットは、飼育者の自己管理とします。区では、避難所における適正飼育 を指導し、東京都獣医師会葛飾支部は負傷動物の診療を行います。 9)物流・備蓄・輸送対策の推進 区民、事業所の自助として、発災直後の3日間できれば7日間の備蓄を行い、区及び都は、それを補 完するための公的備蓄を行います。さらに、避難者の生命を守るため、物資を迅速かつ的確に避難者 へ供給するための輸送手段の確保及び円滑な搬送の実施体制の整備を取り組みます。 ●備蓄 区民及び事業所は、発災後3日間は自助により生活できるよう食糧及び生活必需品の備蓄等を 行います。さらに、相模トラフ沿いの巨大地震により流通が途絶した場合も考慮して、できるかぎり 7日分の備蓄を行うことが必要です。 区は、建物の延焼、倒壊等により家庭内備蓄を持ち出せない被災者を対象として、建物全壊及 び焼失棟数を基準とした備蓄目標を定め、ビスケット、アルファ米、乳児全員の調整粉乳を備蓄し ています。 ●物資の調達 4日目以降は、協定先からの調達や自衛隊の炊き出しを要請します。全国からの救援物資は、 総合スポーツセンターエイトホール(第二順位:テクノプラザかつしか)に輸送拠点を設置し、受け 入れます。 なお、救援物資は、まとまった量の物資のみを受け付けることを原則としています。 16 協定締結先の業 者・自治体 区災害 対策本部 要請 避難所 輸送業 者によ る輸送 都 輸送 拠点 都・農水省 (米穀調達) 全国の企業・団体 (救援物資) ○配布対象者 ・避難所の避難者 ・在宅にて避難生活を余儀 なくされた者等で物資の み受け取りにくる者 ○配布 ・避難所の自主運営組織 自主 運営 自衛隊 (炊き出し) 食材の提供等の支援 自主的な炊き出し (避難所・防災活動拠点) ●飲料水・生活用水の供給 発災後3日間は、家庭及び事業所の備蓄を活用します。 飲料水は、都水道局と連携して浄水場・給水所・応急給水槽で区民が持参したポリタンク等に給 水を行います。その後、避難所に仮設水槽を設置し、給水活動を行います。給水量は、原則として 1人1日3リットルを目安としています。 区民 浄水場・給水所 要配慮者 運搬支援 輸送(都) バケツ・ポリタ ンク持参 輸送(区) 避難所の仮設水槽 応急給水槽 区、防災市民組織、自治町会が給水 生活用水は、各家庭の汲み置き水の他、避難所(学校)のプール、防災活動拠点の雨水貯留槽、 震災対策用深井戸、災害協力井戸の水を活用します。 10)放射性物質対策 区内及び周辺地域には原子力施設が存在していませんが、東日本大震災の教訓から遠隔地の原子 力施設等での事故を想定して対策を進めます。 放射性物質が放出される事故が発生した場合は、次の対策を行うことを定めています。 ○緊急時モニタリング・区民への情報提供 ○飲食物の監視 ○必要に応じた除染等 ○健康相談 ○給食・牛乳の検査 17 11)区民生活の早期再建 災害後の区民の生活再建を迅速に実施するため、トイレ、がれき処理、仮設住宅の供給等、被災し た生活環境を早期に復旧させる対策を実施します。 ●災害時用トイレ 断水のため水洗トイレが使用できない場合を想定し、し尿収集を必要としないマンホールトイレ の学校等の避難所への整備や携帯トイレ・簡易トイレを確保します。発災により下水道機能に支障 をきたし、都下水道局より使用自粛要請があった場合、区は都下水道局と連携して区民に周知す るとともに、トイレを確保し、使用します。 ●し尿処理 区は、仮設トイレのし尿を収集、運搬するバキュームカーを特別区、東京二十三区清掃一部事 務組合と調整し確保します。不足する場合は、都に支援を要請します。 ●災害廃棄物 区は、震災廃棄物対策指針(環境省)等に基づき災害廃棄物処理計画を作成し、集積場所の選 定、資器材や対策要員等の確保等を検討します。 建物の倒壊等により生じるコンクリートくず、木くず等のがれきの処理にあたっては、東京二十 三区清掃一部事務組合、都と連携して、がれきの発生量を予測し処理計画を策定のうえ処理にあ たります。 18 ●被災建築物の応急危険度判定 被災した建物は、余震によって倒壊することがあります。そのため、区は、被災した建物の応急 危険度判定を実施します。判定結果はステッカーで建物入口付近に表示します。 ●家屋の被害状況調査と、り災証明の発行 区は、家屋の被害状況を把握し、り災証 明を迅速かつ正確に発行するために、「被 災者生活再建支援システム」を導入し、区 役所及び区民事務所で発行します。この証 明により被災者生活再建支援金の支給等 を受けることができます。 住家被害調査 第1次判定 ・外観目視調査 全壊以外 全壊 第2次判定 ・外観目視調査 第3次判定 ●住宅対策 被災により住家を失った被災者には、都 が公的住宅等の供給や応急仮設住宅を設 置します。 ・立ち入り調査 調査内容に不服 り災証明の発行 (区役所・区民事務所) ●区民の生活支援 被災した区民の生活再建が一刻も早くできるよう、区、都、防災関係機関は、法令等に基づいて 支援を実施します。災害により被害を受けた中小企業、組合、農業関係者に対しては、都や金融機 関が施設の復旧や経営維持に必要な資金の融資を行います。 19 ○義援金の募集・受付・配分 ○生活再建支援 ・災害弔慰金の支給 ・生活福祉資金の貸付け ・被災者生活再建支援金の支給等 ○職業の斡旋 ○租税等の措置 ・税の減免・徴収猶予 ・国民健康保険料、介護保険料の減免・徴収猶予 ・労働保険料の納入期限の延長 ○中小企業への融資 ・中小企業者への融資 ・日本政策金融公庫による融資 ・経営資金等の融通 等 12)想定を越えた災害への対応 (1) 複合災害 葛飾区で、大規模地震が発生し、堤防、水門、下水道施設等の機能が低下しているところに、外水 氾濫、内水氾濫が発生すると、従来の想定を上回る被害が発生することが懸念されます。このような 大規模地震後にある程度の期間をおいて発生する災害を複合災害と位置づけます。 ただし、氾濫発生まで数時間から数日の時間があることから、「早期避難」により、最低限、生命を 守る行動を行うことを基本とします。 【想定される複合災害】 ●大規模地震+外水氾濫 大型台風の接近による河川水位の上昇と高潮が発生により、地震動・液状化で脆弱となってい る堤防が決壊、従来の想定を上回る範囲での洪水が想定されます。 ●大規模地震+内水氾濫 局地的な大雨が発生し、地震被害で機能の低下した下水施設等に処理できない雨水が集中した ことにより、従来を上回る内水氾濫の発生が想定されます。 (2) 大規模・広域災害 相模トラフ沿いの海溝型のマグニチュード8クラスの地震は、発生する確率は低いものの、震度6強 ∼7の揺れや、3m程度の津波など、大規模かつ広域災害となることが想定されます。 これらに対しては、引き続き、防災まちづくりを継続するとともに、発災直後から数日は支援がこな いことも前提とした備蓄等の備えが必要となります。 (3) ゼロメートル地帯への浸水対策 葛飾区は、荒川、江戸川、中川等の河川で囲まれた低地帯に位置し、地盤高が低く海抜ゼロメート ルの土地も存在します。そのため、強い地震により、堤防や水門が機能しなくなった場合、通常の水 位でも、中川、新中川以西の地域に浸水が広がる可能性があります。 これの浸水に対しては、堤防の耐震化のほか、避難を軸とした対応を基本とします。 20 13)災害復興計画 大規模な被害が発生したときは、より安全で住みやすいまちを再生し、被災者のくらしを一日も早く取 り戻していくことが重要となります。 葛飾区では、葛飾区震災復興マニュアル(都市・住宅編)を策定し、区がとるべき都市・住宅分野の復 興対策、区民との協働で取り組む復興まちづくりについて手順を定めています。 このマニュアルは、「復興体制の構築」「都市の復興」「地域協働復興」「住宅の復興」について定める もので、「くらしの復興」「産業の復興」については、地域防災計画や都のマニュアルに従って進めます。 更に福祉サービスや中小企業施策等を考慮した「くらしの復興」や「産業の復興」についても検討を進め ます。 【震災復興のステージと作業項目】 21 14)東海地震事前対策 駿河湾沖での観測データから東海地震が発生するおそれがあると認められた場合、大規模地震対 策特別措置法に基づき、内閣総理大臣から「警戒宣言」が発令されます。 東海地震により、著しい被害が生ずるおそれのある地域は、「地震防災対策強化地域(以下、「強化 地域」という。)」として指定され、事前措置が定められています。葛飾区は、強化地域ではありませんが、 警戒宣言が発令された場合は、社会的混乱が生じることから、東京都地域防災計画に準拠して、事前 対策が定められています。 22 4 風水害等編 1)災害予防計画 (1) 水害に強い防災都市づくり ●河川・堤防の整備 国土交通省、東京都によって、堤防の整備、水門等の整備事業が行われています。また、高潮 対策事業として、伊勢湾台風級による異常高潮(A.P+5.10m)に対処する計画に基づき、防潮堤な どの整備が完了しています。 ●下水道、排水路等の整備 東京都は、1 時間 50mm の降雨に対処できるよう下水道の整備を実施しています。区は、低地地 域に対する浸水被害を防止するため排水路・排水場の保全を図っています。 ●雨水流出の抑制 大雨による浸水被害を軽減するために、公共施設に雨水貯留・浸透施設の設置を進めています。 民間施設に対しても、一定規模以上の開発・建築がある場合は、雨水浸透ます、雨水浸透管等の 浸透施設や、貯留施設の設置を指導しています。 また、個人住宅等において、小規模雨水貯留槽を設置する場合に、設置費の一部を補助してい ます。 (2) 知識の普及・啓発 ●洪水ハザードマップの作成、公表 区は、河川管理者が作成した浸水想定区域図等に基づき、浸水予想区域、浸水の深さ、避難方 向、等を分かりやすく示した洪水ハザードマップを作成し、公表しています。 ●洪水標識板の設置 区は、普段から洪水ハザードマップの浸水深を区民に周知するため、電柱及び中学校の校門付 近に、浸水深を表示した洪水標識板を設置しています。 (3) 緊急避難場所の確保 区は、大規模な水害が発生した場合に、広域避難の時間的余裕がない場合に備えて、集合住宅 等の廊下や階段を緊急的かつ一時的に利用できるよう、区有施設を「洪水緊急避難建物」として指定 するほか、独立行政法人都市再生機構(UR)、東京都と協定や覚書を締結しています。 2)外水氾濫への対応 葛飾区では、次の2種類の外水氾濫を想定しています。 ●上・中流部の堤防決壊による外水氾濫 カスリーン台風による洪水のように、上・中流部で堤防が決壊して流れ出た水が、葛飾区に到達 することによって発生する大規模な洪水。 23 ●下流部の洪水・高潮による外水氾濫 巨大台風等による大雨や高潮等によって、葛飾区近郊の堤防が決壊したり、堤防を越えて水が あふれたりして発生する洪水。 ●外水氾濫の避難 区からの情報に基づいて、できるだけ早期に浸水しない地域(区内・区外)に広域避難すること を原則としています。 24 3)内水氾濫への対応 内水氾濫とは、区内への大雨により、下水や水路が雨水を排水しきれずに、マンホール等からあふ れる現像をいいます。 葛飾区では、平成 12 年に発生した東海豪雨相当の降雨があった場合を想定しています。また、近年 では、短時間に大雨が集中するゲリラ豪雨でも内水氾濫が発生しています。 ●内水氾濫の避難 25 内水氾濫の場合は、自宅の2階以上で退避することが基本となります。ただし、自宅での待避が 不安の区民の方々のために、浸水地域周辺の地域コミュニティ施設を避難所として開設します。 ゲリラ豪雨の場合は、最寄りの建物に待避します。 4)区の態勢 葛飾区に気象情報や河川の水位情報等が伝達され、風水害のおそれがある場合は、震災に準じて 対応を行います。 (1) 配備態勢 葛飾区に気象情報、水防警報、洪水予報等が発表され、災害が発生するおそれがある場合は、配 備検討会議により、各部での対応、水防本部、災害対策本部の設置や配備態勢が決定されます。 (2)避難準備情報・避難勧告・避難指示 区長は、洪水からの安全避難のために、河川の水位情報等に基づいて、地区を示して次の3段階 の避難情報を発表します。避難情報は、防災行政無線(固定系)、広報車、ケーブルテレビ、かつし かFM、安全・安心情報メール等により伝達します。 種 類 避難準備 避難勧告 避難指示 基本的な行動 ※河川ごと段階により行動は異なる。 ○一般避難者は、避難勧告・指示が発令された 基準地点の水位が、氾濫注意水位に到達 ときに、いつでも避難できるよう準備する。 し、更に水位上昇が見込まれる(氾濫注意 ○避難行動に時間を要する災害時要配慮者 情報が発表される)とき は、避難行動を開始する。 基準地点の水位が、避難判断水位に到達 し、更に上昇するおそれがあるとき、又は、 ○一般避難者は避難を開始する。 氾濫危険水位を超える洪水となることが予 測(氾濫警戒情報が発表)されるとき ○一般避難者は避難を完了する。 基準地点の水位が、氾濫危険水位に到達し ○まだ、避難していない者は、ただちに避難す た(氾濫危険情報が発表される)とき る。避難する時間がないときは、生命を守る 最低限の行動をする。 洪水予報河川による水位 5)雪害対策 区は、積雪が予想される場合は、降雪や積雪の予想、積雪への備え、外出の抑制等に関する注意 喚起の広報を行います。 また、「葛飾区雪害対策計画」に基づき、安全な通行の確保のため、雪害指定地域を設け、気象状況 に応じて除雪、倒木等の除去、融雪剤、砂の散布を実施します。 公共交通機関が停止し、帰宅困難者が発生した場合は、公共施設に一時滞在場所を開設します。 26 6)火山噴火対策 葛飾区には、富士山、浅間山が噴火した場合、風向きによっては降灰の影響が想定されます。その ような場合は、区は、降灰予報等をもとに、注意の喚起や降り積もった火山灰の収集、処分を行いま す。 降灰の影響がおよぶ 可能性の高い範囲 7)大規模事故対策 大規模事故災害への対策は、原則として、第1に事故の原因者、第2に消防及び警察が対応にあた りますが、被害が甚大な場合や区民生活に影響が及ぶおそれがある場合は、事故対策本部を設置し て、必要な対策を実施します。 27 葛飾区地域防災計画 概要版 平成 26 年 9 月発行 葛飾区 地域振興部 防災課 〒124-8555 葛飾区立石 5-13-1 「この本は、印刷用の紙へリサイクルできます。」