Comments
Description
Transcript
上がる仕事 下がる仕事 給料が - 東洋経済 ONLINE STORE
32 表紙から 2016 2/20 CONTENTS 【第1 特集】 企業内の給与格差は2000 年以降に広がったといわ れる。業種間、職種間の 格差は広がっているのか。 事 仕 る が 給料が上 事 仕 る が 下 34 38 41 42 45 激変する 仕事と給料 アフロ 人材争奪戦の 熾烈な舞台裏 異業種が IT人材を引き込む/ 5年間で増えた職種・減った職種 独自試算で明暗クッキリ 電機 商社 電力 10年で給与格差拡大 パイロット、CAに明暗 最新版 業界の年収 生涯給料トップ&ワースト100 INTERVIEW │会社任せは禁物 スキルは自分で磨け 柳川範之●東京大学大学院経済学研究科 教授 46 アベノミクスの正念場 暗雲垂れ込める官製春闘 48 4億人のSNSでわかる 今、世界でアツい仕事はこれだ! 50 シリコンバレー 年収相場は青天井 52 54 56 あなたの 仕事が消える? INTERVIEW│ テクノロジーは 仕事を奪うか AIで言葉の壁がなくなる 松尾 豊●東京大学大学院工学系研究科 准教授 最先端はここまで来た! ロボットが同僚になる日 頼りになる助言者「ワトソン」/AI記者の驚くべき文章力 アップルもほれた巧みな表情分析/一流シェフを再現するお料理ロボット 59 「ウーバー」人気の盲点 シェアリングが雇用を揺さぶる 60 大物人材を次々と囲い込む トヨタはAIで勝てるのか 62 プログラミング教育が注目を集めるワケ ■ 他業界への転職数が拡大 ─ITエンジニアの転職数の推移─ (→P35) 300 IT業界→他業界 250 200 150 IT業界→IT業界 100 2010年 11 12 13 14 15 (注) 2010 年 1Qの転職数を100としたときの推移 45 柳川範之 東京大学大学院 経済学研究科 教授 「会社任せに してはいけない」 ■ プログラミング教室が盛んに ─子供向け教室や講座の開催団体数─ (→P63) (団体) 25 20 15 10 5 0 2006年 07 08 09 10 11 12 13 14 CONTENTS 核心リポート 9 | 経 済 を 見 る 眼 |マイナス金利の決断/早川英男 11 | こ の 人 に 聞 く |松本 大 ● マネックスグループ社長CEO|フィンテックを徹底活用 31 | 少 数 異 見 |ぶっちゃけで語ってみる当世金融政策 この人に聞く マネックスグループ社長CEO 松本 大 9 経済を見る眼 早川英男 11 18 迫る鴻海、待つ機構 シャープ買収の神経戦 22 中国動態 梶谷 懐 98 知の技法 佐藤 優 100 24 同業買収に踏み切った 新日鉄住金を覆う憂鬱 26 子持ち社員への配慮撤廃 資生堂が試す女性戦力化 98 100 102 104 106 107 108 110 112 115 117 118 | | 中 国 動 態 | 「思考のフレームワーク」について考える②/佐藤 優 |日銀マイナス金利政策は中国の軟着陸を助けるか/梶谷 懐 | グ ロ ー バ ル ア イ|原油安で潤う国と打撃を被る国との違い/ビル・エモット ほか | フ ォ ー カ ス 政 治| 4月解散・総選挙説が急浮上 安倍首相が握る4つのカード/歳川隆雄 | 株 式 観 測 |マイナス金利継続が株式危機を克服する/大川智宏 | 為 替 観 測 | |円安トレンドはすでに反転 焦点はFRBの利上げ動向に/門田真一郎 投 資 の 視 点 |フィンテック|脚光浴びる新興ベンチャー 資金流入で株価「大化け」も 64 | ゴ ル フ ざ ん ま い|今年もやる気十分 現役ですから/ 青木 功 | Readers & Editors|読者の手紙、編集部から |生 涯 現 役の人 生 学|積小為大/童門冬二 28 狙うはカードと不動産 丸井、小売業から脱皮中 2 特 イチ か ら わ か る 集 各社の宣伝合戦がかまびすしい「電力自由化」が4月に始まる。これで何が変 わるのか。私たちは何に気をつけ、 どう電力会社を選べばいいのか解説する。 | マ ク ロ ウ ォ ッ チ |経常黒字が5年ぶりに増加 再び黒字は拡大するのか |ブックス &トレンズ|『人工知能と21世紀の資本主義 サイバー空間と新自由主義』ほか 鴻海の郭董事長は 「機構のカネは公的 資金。彼らがハード ルになることはな い」 と牽制する 電力自由化! 第 知 の 技 法 東芝が債務超過"寸前" 切り売り経営の綱渡り Part 1 8兆円争奪戦 66 異業種入り乱れた競争が始まった! 70 石油会社 自社電源を生かし電気代の安さを訴求 71 通信キャリア 熾烈な販売合戦を電力でも展開? 72 商社 実績の丸紅に、三菱商事連合が挑む 73 フォーカス政治 歳川隆雄 102 グローバルアイ ビル・エモット 104 INTERVIEW 広瀬道明●東京ガス社長「料金を大幅に下げ、戦う道具はそろった」 74 日本の将来を暗示する? 自由化先進国欧州の教訓 熊谷 徹●在独ジャーナリスト 118 生涯現役の人生学 童門冬二 Part 2 本当に賢い選び方 78 これだけは知っておこう 乗り換えの準備、手続き 基本のキ 80 地域、世帯人数で分析 サービスの最新比較リスト 首都圏 石油系が値段でリード 84 近畿圏 東電が価格攻勢で存在感 86 その他の地域 全国区系に加え地場企業も続々 Part 3 PR 5 ビジネスアスペクト ネオ・コーポレーション/電子ブレーカー累積販売台数10万台 「N-EBシリーズ」で電気代の基本料金を大幅に削減 12 モーニングスター 図表作成:小堺賢吾/杉本祐子 本誌の記事は「日経テレコン」 「G-Search」 「ELNET」 「FACTIVA」等のデータベースに収録されており、フリーキーワードで検索、購入できます。 法人で進む脱大手電力 88 一括受電か個別契約か 揺れるマンション住民 90 自由化から15年 企業向け電力に異変 92 独自取材 東京電力も復帰 自治体入札最新事情 95 電力・ガス自由化 裏側の攻防 山崎康志●ジャーナリスト 2016 2/20 事 料 仕 給 る が 上 年 明け以降の株安で、春闘での 賃上げムードはもはや風前の 灯火だ。民間企業に勤める人の平均 年収は415万円︵2014年︶と、 ピーク時の1997年から約 万円 水準は 年以上変わらない。日本企 低下している。400万円台前半の 50 広がったといわれる。だが、全体平 業では 年以降、社内の年収格差が 均のトレンドを追っているだけで は、数字の中で起きている変化は何 も見えてこない。 職種別、企業別… 給料の増減を分析 そこで今回、職種、業種、企業な ど、さまざまな切り口から給料の上 の職種で給料の推移を調べたとこ がり下がりを徹底解剖。100以上 ろ、意外な事実が浮き彫りになっ た。リーマンショック以降、賃金動 向で大きな変化が起きた業種を調 べ、企業別にその原因を分析した。 併せて最新版のデータで全上場企業 の生涯給料を独自試算し、ランキン グも掲載している。また、一般的に 分野で起きている、意外な人材争奪 いわれる人手不足とはまったく別の 戦の舞台裏に迫った。 そして、これからの仕事はどうな るのか。注目すべきはテクノロジー の急速な進化だ。 技術革新の現状と、 仕事の変化についても検証した。 32 2016.2.20 週刊東洋経済 Getty Images 週刊東洋経済 2016.2.20 33 事 仕 る が 下 00 10 長らく下がり続けてきた日本人の給料。 が、 すべての仕事 の給料が落ち込んでいるわけではない。さまざまな切り 口からその動向を分析し、 注目すべき仕事を探った。 本誌:中川雅博、筑紫祐二、東出拓己、山田雄大、山田泰弘、 秦 卓弥、富田頌子、田嶌ななみ、井下健悟 デザイン:新藤真実 進行管理:中島康順 が 第1特集 特集/給料が上がる仕事 下がる仕事 電力自由化! 第2特集 ら か イチ る わか 電力 各社の宣伝合戦がかまびすしい「電力自由化」が4月に始まる。 これで何が変わるのか。私たちは何に気をつけ、 どう電力会社を選べばいいのか解説する。 本誌:岡田広行、西澤佑介、中村 稔、山田雄一郎、秦 卓弥 デザイン:森本会美 進行管理:宮澤由美 イラスト:三澤祐子 自由化 PA R T PA R T PA R T 8兆円 争奪戦 本当に賢い 選び方 法人で進む 脱大手電力 1 P.66 ▶ 2 ▶ P.78 3 ▶ P.88 アフロ 65 週刊東洋経済 2016.2.20 2016.2.20 週刊東洋経済 64 電力自由化! ド 自由化されたのは1998年 イツの電力小売りが全面的に 2000年からの 年間で、家庭向 ため電力料金は毎年増加している。 のことだ。 年からドイツで執筆活 日本でも今年4月から電力小売り が全面自由化される。﹁価格競争を通 過程をつぶさに観察してきた。 供給の仕組みが劇的に変化するこの 動を行ってきた筆者は、エネルギー 00円節約できた。しかし、その直 更してみた。最初の1年間は約75 筆者は 年にミュンヘンの地域電 力供給会社から、新規参入会社に変 ㌻図下︶ 。 は、賦課金と税金で占められる︵左 だ。現在、ドイツの電力料金の半分 け電力料金は2倍以上になったの たらす﹂という報道もあるようだ。 じ、電力自由化が消費者に恩恵をも しかし先行して自由化した欧州の 教訓は、そんな楽観的で単純なもの ではない。 価格面での恩恵は薄いが 選択肢増えたのは利点 確かに自由化前の地域独占の時代 と比べると、電力購入の選択肢が大 後に託送料金や賦課金が上昇したた め、節約分はあっという間に相殺さ れてしまった。 電力市場の自由化が、エネルギー 供給構造の大幅な転換と並行して行 われたため、電力料金の面だけでい うと消費者への恩恵はなかったとい うのが実状だ。 由化・競争促進による電力料金の削 年々増加︵左㌻図上︶ 。このため自 どの理由による消費者への賦課金が にエネルギー転換 ︵ Energiewende ︶ を始め、再生可能エネルギー拡大な 現在使っている電力販売会社の価 格やサービスが気に入らなければ、 うことも可能だ。 ぐさま電力購入契約の切り替えを行 表示される。消費者はネット上です 0種類もの料金体系が一瞬のうちに 年間消費電力を入力すると、約15 むしろ自由化の利点は、電力購入 先を自由に選べることだと感じる。 減効果は感じられない。 ほかの会社に乗り換えられるという た。しかし、ドイツ政府がほぼ同時 きく増え、情報も入手しやすくなっ ドイツの家庭向け・産業用向け電 力価格は、自由化直後に電力会社が ﹁自由﹂を手にしたのは進歩である。 な消費者にとって自由化は、むしろ に電力会社を替えたがらない保守的 的に行動する労力が要求される。逆 由化の果実を味わうためには、積極 ならなくなったことを意味する。自 促進のための賦課金などが上昇した 降は託送料金や再生可能エネルギー 年間は価格が下落した。だがそれ以 していた。 年には小売り部門に部 など電力市場の大改革をすでに断行 一つの原子力発電事業者に分割する の中央電力公社を二つの発電会社と 電力法を施行することにより、国営 業を次々に民営化する中で、 年に えば英国はサッチャー政権が国営事 立する電力販売会社を探さなくては 的に情報を集め、安さと信頼性を両 一方で消費者にとってそれは、能動 電力価格比較サイトに自分の住所と 競争を行った。結果、自由化後の2 シェアを失うまいと一時的に値引き デメリットばかりかもしれない。 州内でもいち早く自由化に着手した 分的に競争原理を導入するなど、欧 ていた会社2社が倒産し、一部のユ 国だ。 と﹂を究極の目標としている。各国 ような単一の電力市場を創設するこ る︵ ㌻図︶ 。一方、フランスでは は、3・6%から %に拡大してい ドイツの街並み。1998 年に電力小売りが自由 化されて以後も紆余曲 折があった る。だが最初の自由化指令が発令さ 一電力市場の基盤を作るためであ 電力市場の自由化を命じたのは、単 定化を目指している。EUが各国に ることにより電力供給のさらなる安 国間の電力売買を今よりも盛んにす 間の送電線の結節点を増やし、加盟 ない。 ギー政策を変えさせるのは容易では 場を作ろうとしても、各国のエネル ている。いくらEUが単一の電力市 ーの発電比率は3・7%にとどまっ るのに対し、風力と太陽光エネルギ 原子力発電比率が約 %に達してい れてから約 年経った今も、EUに 加盟する の国々の電力市場は大き EUの政策執行機関である欧州委 員会は、 年 月に﹁電力単一市場 り、大手電力会社のマーケットシェ たとえばドイツでは電力の小売事 業者が1000社もひしめいてお 実現には程遠い。 なバラツキを見せており、平準化の 険、通貨、労働許可などで規制緩 経済統合を強化するために銀行、保 するよう求めた。 年以降、域内の 布、加盟国に対し電力市場を自由化 ︵以下、電力指令︶という指針を発 に関する共通規則・ / /EC﹂ 2/20号_2特_電力自由化 92 P11-14_欧州-2 98 アは年々低下している︵ ㌻図︶ 。 12 ツにおいて格安の値段で電力を売っ ーザーが前払いした料金を失った。 これに対して、ドイツは欧州内で も遅咲きの国である。ナチス時代以 在独ジャーナリスト ● 熊谷 徹 96 電力供給会社倒産が消費者を混乱 させる事態も実際に起こった。ドイ 頻度は低いとはいえ、自由化以前に 30 73 96 売事業者の数もドイツに比べるとは いう独占状態が続いているほか、小 市場が100%自由化された。 エネルギー産業法が改正され、電力 その一環だった。ドイツでは 年に めており、エネルギー市場自由化も るかに少ない。英国では激しい競争 和、自由化、国ごとの垣根除去を進 を通じて再編淘汰が促され、小売 しかし当初の自由化は、実効性を 伴わない﹁紙の上の自由化﹂にすぎ EDFが発電量の約 %を占めると り、発電市場とも﹁ビッグシック なかった。大手電力会社は新規参入 手練手管を尽くした。その手段の一 企業の競争力をそぐためにあらゆる エネルギー政策もばらばらだ。ド イツは福島第一原子力発電所事故を 網の利用料、託送料金だ。 電所全廃を決定した。ドイツの原子 力発電比率は 年の %から 年に は ・5%に減り、今も低下中だ。 逆に再生可能エネルギーの発電比率 電力会社の送電網を使わざるをえな トがかかりすぎるので、既存の大手 新しく参入する電力販売会社は、 新たな送電網を建設していたらコス つとなったのが電力を運搬する送電 きっかけに、 年末までの原子力発 されている︵ ㌻表︶ 。 ス﹂と呼ばれる6大グループに集約 これに対しフランスでは旧国営会社 90 来の地域独占体制で守られていたド 77 74 2016.2.20 週刊東洋経済 週刊東洋経済 2016.2.20 75 欧州の教訓 13 イツの大手電力会社は、市場の自由 (注) 家庭向け標準世帯 (家族3人・年間電力消費量3500kW時) が毎 月支払う平均電力料金 (出所) BDEW (ドイツ連邦エネルギー・水道事業連合会) 76 化を当初拒んでいた。しかしEU 80 税金・助成金 70 発電・託送・営業コスト 60 50 40 30 20 10 0 1998年 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 自由化先進国 2/20号_2特_電力自由化 80 P11-14_欧州-1 27 89 ︵欧州連合︶の命令を受けて、しぶ ─ドイツの毎月平均電力料金─ 20 76 22 しぶ自由化を受け入れた。 (ユーロ) ? る す 示 暗 日本の将来を 90 13 はなかったリスクである。 ─ドイツの再生可能エネルギー賦課金推移─ 28 00 90 EUでは﹁域内に、一枚の銅板の 自由化後、逆に上がった電力料金 EUの圧力によって 自由化迫られたドイツ (注) 「 消費者当たり」 は、 ドイツの電力消費者が電力を1kW時使うごと に払う、再生可能エネルギー賦課金 (出所) 連邦環境省、 BDEW、連邦ネットワーク庁 年 300 250 賦課金総額 (右目盛) 200 150 消費者当たり (左目盛) 100 50 0 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 2004 05 (億ユーロ) (セント/kW時) 6 5 4 3 2 1 0 15 90 欧州各国の間では、電力市場の自 由化速度に大きな違いがある。たと 再エネ導入で国民負担が問題に ロイター / アフロ