...

ウォルマートに敗れた事例のノウハウ!!

by user

on
Category: Documents
26

views

Report

Comments

Transcript

ウォルマートに敗れた事例のノウハウ!!
流通とSC・私の視点
2003 年1月 31 日
視点(351)
I Saw All America(その24)!!
−ウォルマートに敗れた事例のノウハウ−
一般的に競争相手に敗れた場合、その手法はノウハウとは言わないわけですが、現象論で捉えるのでは
なくメカニズム論で捉えると、敗れた手法もノウハウとなります。ウォルマートは総合ディスカウントス
トア業界の覇権企業だけでなく流通業界全体にとっても覇権企業です。それゆえに、ウォルマートを無視
して競争相手は出店戦略やMDing戦略を構築することは出来ません。そこで、ウォルマートに敗れた
企業・業態のノウハウを事例で示します(六車流:流通理論)
。
①トイザらス型のウォルマートに敗れた事例のノウハウ
トイザらスは現在、エンターテインメント志向の玩具店に移行しつつありますが、基本的には価格
破壊型力と圧倒的品揃えを武器とするカテゴリーキラー型メガストア
(売場面積6,000㎡以上の店
舗をメガストアと呼ぶ)です。トイザらスは1970∼1980年代に大躍進し、一時は玩具業界の
3割弱のシェアを占めていました。ところが、現在はトイザらスのシェアは2割を切り、大苦戦し、
FAOシュワーツのCEOをトイザらスのCEOに迎え、新たな方向を模索しています。
トイザらスが大幅にシェアを落とし、苦戦したのは同業の玩具チェーンとの戦いに敗れたのではな
く、異業態である総合ディスカウントストアのウォルマートとの戦いに敗れた結果です。総合ディス
カウントストアのウォルマートと玩具のカテゴリーキラーのトイザらスは異なる業界及び異なる商法
の企業でありながら、ウォルマートの30兆円の売上高の企業規模は、異なる業界・異なる商法の分
野まで覇権のパワーは浸透し、ウォルマートの玩具売場の売上が、トイザらスの売上(現在は1兆
3,000億円)を1996年に追い越しました。すなわち、今まで、ゼネラリティ業態(総合業態)
をスペシャリティ業態(特定の業種)のカテゴリーキラーが切り崩して、シェアを奪ってきたのが一
般的でした。百貨店のゼネラリティ性をスペシャリティ業態が食い荒らし、百貨店をアパレルファッ
ションとホームファッションに丸裸にしたのがその例です。流通理論の中に、スペシャリティ業態に
対するゼネラリティ業態基軸の原則があり、スペシャリティ業態とゼネラリティ業態とが同じレベル
で競争するとゼネラリティ業態が勝つ、それゆえに、スペシャリティ業態はゼネラリティ業態が真似
できないことをしないと生き残ることは出来ない…があり、正に、スペシャリティ業態のトイザらス
が、ゼネラリティ業態のウォルマートに切り崩されています。ところが、スペシャリティ業態がゼネ
ラリティ業態を切り崩している例が多いのは、スペシャリティ業態がゼネラリティ業態の真似の出来
ない価格戦略・品揃え戦略をとっているからであり、本来はゼネラリティ業態が基軸なのです。流通
飽和期は、自分の敵は同業者ではなく、異業者である場合が多々あります。アメリカのトイザらスは、
現在、ウォルマートの真似の出来ないエンターテインメント性の高い玩具売場を構築し、ウォルマー
トの差異化を明確にし、順調に回復しています。
②Kマート型のウォルマートに敗れた事例のノウハウ
Kマートはウォルマートとターゲットと同じ総合ディスカウントストアであり、総合ディスカウン
トストアの御三家と呼ばれていました。ウォルマートはローカル立地でドミナントを築き、Kマート
は大都市周辺のマーケットを対象としていました。1980年代後半からウォルマートはKマートの
ドミナントである大都市周辺のマーケットに進出し、Kマートと激しい戦いになりました。ウォルマ
ートは最初、提供する商品が、都市型生活者のニーズに適合しなかったため、都市型生活者を長年に
渡って対象にしてきたKマートに苦戦しました。しかしながら、ウォルマートは2∼3年のうちに都
市型生活者のニーズに適合した商品を提供することにより、Kマートシェアを奪い、その結果、Kマ
ートは2001年に倒産してしまいました。MDingでKマートはウォルマートにニーズ対応とい
う面で勝っていましたが、ウォルマートが都心型生活者のニーズを把握すると、ウォルマートのバイ
イングパワー・システムパワー・地元密着パワー等のビジネスモデルがKマートを上回っていたため
MDingの優位性は一瞬のうちに消えました。ウォルマートとKマートは基本的に同じタイプのビ
ジネスモデルの総合ディスカウントストア業態であり、商品面で同質化すると、よりビジネスモデル
が上回っている方が勝ちます。すなわち、MDing上の差異化に対するビジネスモデルの基軸の原
則により、
真似の容易なMDingよりも真似の困難なビジネスモデルを持つ方が勝ちます。
ただし、
同じ総合ディスカウントストア業態であるターゲットは、ウォルマートが真似出来ないMDing分
野を持つことにより、ウォルマートとの棲み分けを可能にしています。
(株)ダイナミックマーケティング社
代
む
表 六
ぐるま
車
秀 之
Fly UP