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雑誌 - 山口大学

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雑誌 - 山口大学
№21 December, 2005
No.
1
平 成
年
17
月
12
発 行
山口大学総合科学実験センター
排水処理センター
「山口大学環境保全」第 21 号目次 1.巻頭言排水処理センターの来し方と今後のあり方
排水処理センター長
右田たい子… 1
保健管理センター所長 ( 吉田事業場産業医 )
平田 牧三… 2
吉田事業場の職場巡視
吉田事業場専任衛生管理者
清長 久美… 4
小串事業場の職場巡視
小串事業場専任衛生管理者
森本 宏志… 6
附属病院事業場専任衛生管理者
中原 敦子… 8
常盤事業場専任衛生管理者
石津真理子… 10
安全衛生対策室長
石井 繁雄… 12
施設環境部長
郡田 等… 14
2.特集: 山口大学の労働安全衛生対策について
法人化後の安全衛生活動
附属病院事業場における職場巡視
常盤事業場における職場巡視
安全衛生対策室の業務
施設部から施設環境部へ
3.解説、話題、教育、研究
環境問題解決のため研究および教育のあり方 −エネルギー・社会経済システム全体を考慮に入れて−
経済学部
朝日 幸代… 18
農学部
鈴木 賢士… 23
山口市立中央図書館嘱託職員
増田 倫子… 25
病理部における労働安全衛生対策
附属病院
境 一… 27
海洋環境と海産動物の発生過程における金属イオンの影響
教育学部
北沢 千里… 30
チョウを愛でる 環境を愛でる
理学部
山中 明… 32
環境中の大気汚染物質 : 二酸化窒素について
医学部
國次 一郎… 34
薬品使用量の調査(2004 年度)
排水処理センター
藤原 勇… 37
無機系廃液処理施設の作業環境測定について
排水処理センター
藤原 勇… 40
4.排水処理センター報告
排水処理センター
藤原 勇… 44
5.大学等環境安全協議会報告
排水処理センター
藤原 勇… 55
地球温暖化と異常気象
「自然の権利」から考える環境問題への取り組み
6.排水処理センター 運営協議会,山口大学環境保全編集委員会報告
7.廃棄物処理の実績
排水処理センター
藤原 勇… 60
排水処理センター
藤原 勇… 61
8.名簿一覧
63
9.排水処理センター活動日誌
66
10.編集後記
編集委員長
和泉 研二… 67
1.巻頭言「排水処理センターの来し方と今後のあり方」
排水処理センター長 右 田 たい子
1994 年刊行の「環境保全」第 10 号に,当時の徳力センター長(農,現名誉教授)が,“排水処理セ
ンターの 10 年”という文を寄せておられます。それからまた 10 年,奇しくも同じ農学部所属の教員と
して,5 代目のセンター長を拝命しました。更なる 10 年のスタートに当たり,この場を借りて,センター
の基本方針の確認と現状,さらに今後の進むべき方向について,センター長としての抱負を兼ねた私見
を述べさせていただきます。
山口大学排水処理センター設立(1976 年)の基本原則は「山口大学は地域社会の範となるべく,学
内から一切の汚水を排出しない」であることが,山口大学 50 年誌に書かれていますし,徳力,佐々木,
両元センター長によっても本誌バックナンバーに明記されています。この 30 年間で,本学の排水処理
をめぐる環境も大きく変わりました。現在,吉田,常盤,小串のそれぞれの地区で,生活排水は公共下
水道へ直結し,実験系排水も pH モニターによる監視下で,公共下水道へ放流されています。大学から
の下水道排水は,年2回のセンターによる水質検査と山口,宇部各市の下水道管理課による検査を受け
ていますが,幸いなことに「水質汚濁防止法」に抵触するような結果は今のところ出ていません。1993
年に環境基本法が制定され,社会による(水)環境の監視が厳しくなり,大学は“地域社会の範”どこ
ろか,法律に触れないように身を正す立場になっています。
一方,主に理系の学部とその関連施設から排出される重金属を含む無機系廃液は定期的にセンターに
よって回収され,およそ半分はセンターの施設により処理され,残りは専門業者に委託し学外処理され
ています。同様に回収される有機系廃液と写真廃液は,全て業者に処理を託しています。これらの廃液
の回収は,この 10 年,分別の不徹底,水銀の混入,容器への過剰投入,容器の劣化等の問題を解決し
ながら,現在はほぼ滞りなく行われるようになっています。実験廃液の研究室での前処理と正しい分別
は,研究室の責任者(教員)と構成員(学生)が,“環境汚染をしない”という強い決意と,廃液に対
する知識・責任感がなければ実現できません。この 10 年で,実験者の皆さんがこれを当然のことと考
えるようになっているとすれば,センターの果たした役割は大きいといえます。
2004 年 4 月の大学法人化に伴う大幅な組織変革の波を受け,排水処理センターも総合科学実験セン
ターの 1 部門に組み込まれました。形の上では格下げで,そのせいかセンターの運営協議会が形骸化し
ているように思われます。排水処理センター運営委員会を引き継いだこの委員会は,大学構成員とセン
ターを結ぶ大切な“場”です。部局の委員の皆さんが使命感を持ってこの役割を果たしていただけるよ
うなものに戻したいと考えています。
法人化の結果,大学は新たに「労働安全衛生」についての責任の主体となりました。センターの役割
のもう一つの柱は,「学生への環境教育を通して,環境保全に寄与する人材の育成と意識の高揚をはか
ること」です。これは,「安全衛生対策」と表裏一体のものであり,労働安全委員会と協力しながらこ
の目標を具体的に推し進めて行かねばなりません。幸いセンター主任が講師に昇任し,センターが教育
機関として果たせる下地ができました。センターの教育力を高めるには,さらに専任のスタッフを拡充
し専任教員が教育者として働けるようにする必要があります。また,これまで施設部との間で責任体制
にあいまいな点がありましたが,今年度から少なくとも予算執行上は独立した組織として動けるように
なり,それだけセンターとして独自の改革や事業がしやすくなりました。現在の優先課題である,常盤・
小串地区の実験排水の pH 監視システムの管理,保全や吉田地区の pH 自動記録システムの構築,薬品
管理システム(不用薬品の処理)の導入,そしてごみの分別を含めた適切な廃棄物処理意識を育てるた
めの全学的な教育を推し進めてゆく必要があると考えています。大学構成員はみな「環境汚染者」であ
り,汚染を自然の浄化力に見合った範囲内に抑える努力が必要であることを認識する必要があります。
−−
2.特集「山口大学の労働安全衛生対策について」
法人化後の安全衛生活動
保健管理センター所長 ( 吉田事業場産業医 ) 平 田 牧 三 1. はじめに
平成 16 年度の国立大学法人化によって、人事院規則に代わり、罰則を伴う労働安全衛生法が適用さ
れるようになった。大学という教育研究の場において、一般産業界を念頭に制定された労働安全衛生法
に則って活動することに困難を感じつつも、少しずつではあるが、山口大学においても安全衛生活動を
進めてきた。今回は、山口大学の安全衛生管理体制と、衛生管理者の主な職務の一つである職場巡視に
焦点を当て、現状と課題を示す。
2. 山口大学の労働安全衛生体制
山口大学には、全部で 10 事業場がある(図 1)。そのうち 4 事業場において、平成 16 年度より、そ
れぞれ産業医及び専任の衛生管理者が配属された。産業医は兼任であり、保健管理センター 2 名、医学
部 1 名、附属病院 1 名である。各専任衛生管理者は 4 名とも保健管理センター所属(保健師 3 名、医師
1 名)であり、それぞれの事業場の実情に応じた活動をしている。事業場によっては、より細かい単位
で安全衛生活動を行うため、各労働安全衛生委員会の判断で、講座や学科単位に「安全衛生推進員」を
任命しているところもある。残りの 6 事業場は附
属学校であり、養護教諭が衛生推進者として任命 ・吉田事業場:人文・経・教育・理・農
・常盤事業場:工学部 されている。
事業場が複数存在すると、それぞれ事情が異な
るため、山口大学全体としての方針がなかなか
統一しにくいというデメリットがある半面、個々
・小串事業場:医学部 ・附属病院事業場
各附属学校(全 6 事業場)
の事業場に応じた対応ができるというメリット
}
専任衛生管理者は
保健管理センター所属
養護教諭=衛生推進者
図 1 山口大学労働安全衛生体制
もある。また、専任の衛生管理者が全員保健管理センターに所属しているので、連絡は取りやすく、互
いに情報交換しながら、日々活動している。
また、平成 17 年度から、労働安全衛生に関する事務窓口として、総務部人事課に「安全衛生対策室」
が設置された。この安全衛生対策室は、専属の室長 1 名、係長 1 名、さらに兼任の施設部技術職員 2 名
で組織されており、複数の事業場の連絡調整や、労働安全衛生に関する予算等の事務を担っている。現
在は、総括安全衛生管理者である人事労務担当副学長の指揮のもと、この安全衛生対策室と専任衛生管
理者、産業医等が中心となって、安全衛生推進及び支援活動を行っている。
3.労働安全衛生コンサルタントの活用
山口大学では、安全衛生に関する専門的な知識や技術、活動ノウハウ等の情報を得るとともに、大学
の安全衛生活動の客観性を保つため、労働安全衛生コンサルタント会と指導契約を結んでいる。平成
16 年度は、学外労働安全コンサルタント、及び学内労働衛生コンサルタントによる講演会を 3 回実施
したことに加え、職場巡視のレベルアップと労働安全衛生スタッフの能力向上教育を兼ねて、1 ~ 3 月
に計 8 回、職場巡視の OJT を実施した。OJT とは、On the Job Training の略で、衛生管理者等が労
働安全衛生コンサルタントと共に巡視の実務を行なうことで、経験を通して能力向上を図ろうとするも
のである。一緒に行動し、安全衛生に関する所見をシェアすることで、専門家が行う巡視の、当日の動
き(巡視前にその日に廻る箇所の打ち合わせを行うこと、巡視後は反省会を行うこと等)や、現状・問
題点のまとめ方、安全衛生状態の視点等を学ぶことができた。また、巡視を通して、その事業場に必要
−−
と思われる専門的情報を提供してもらうこともできた。外部の専門家に指導を受けることは、巡視をす
る側にとっても、巡視先の教職員にとっても、良い刺激になったと思われる。大学の安全衛生活動の客
観性を保つためにも、今後もこのように外部の専門家の意見を取り入れていく体制が望まれる。
4. 山口大学における職場巡視
職場巡視は、職場の状況を実際に見ることで、職場に潜在する危険や安全衛生への取り組み、法令へ
の適応状況等を把握し、改善が必要な箇所を指摘することによって、職場の安全衛生水準を向上させて
いく活動であり、法令上も実施を要求されている(労働安全衛生規則第 11 条)。各衛生管理者はコンサ
ルタントからの助言や前回巡視の指摘事項を参考にしながら、巡視を行なっている。
前述のとおり、山口大学には複数の事業場が存在するため、各事業場の巡視方法の詳細は様々である
が、巡視全体の大きな流れは、ほぼ同じである。その流れとは、
① 巡視日時・場所を決め、当該部署に連絡
② 専任衛生管理者等が巡視に行き、改善が必要と思われる点を見つけた場合は、口頭で指示、手持ち
の配置図やチェックリストに現状を記入、写真撮影
③ 巡視後、発見した問題箇所をまとめ、各事業場の委員会で報告
④ 必要に応じて、口頭または所属の長宛に文書を出す(総括安全衛生管理者名)等により、各部署に
フィードバックし、改善を依頼
というものである。
5. まとめ
法人化後 1 年を経て、まだ現状が見えてきたばかりである。巡視で各部局を廻って見えてきた問題点
もあれば、日々活動する中で、安全衛生活動や体制自体に不明確な点を感じることもあり、このような
検討課題は、今後の環境変化や活動に伴って、次々に挙がってくると思われる。
今後の課題 ・ 展望は、以下のことである。
① 活動中に感じた安全衛生体制の不明確な点を拾い上げ、教育研究機関に見合う体制に充実させてい
く。
② 巡視等で発見した、学内における安全衛生上の問題点を、いかに改善するか(経費等を含めて)、 または現場に改善を促すかを検討する。
③ 安全衛生担当者のみが安全衛生活動を行うのではなく、大学構成員全員が参加して活動することが
できるよう、触発・契機付けをして、安全衛生意識を定着させる。
大学は、教職員だけでなく、学部学生や大学院生等もいることや、附属病院という医療機関、産業医
や衛生管理者等がいない附属学校についても考えていかなければならない等、多様な問題がある。この
ような中で活動することは、決して簡単なことではないが、全てを一度に上手く対応することは不可能
であり、できることから着実に実施・評価し、必要に応じて変化させながら、長期的な視点で、より効
果的な活動を行っていきたいと考えている。まずは、安全衛生スタッフとして、自身及び組織のレベル
アップを図りながら、今後も取り組んでいきたい。
−−
吉田事業場の職場巡視
吉田事業場専任衛生管理者 清 長 久 美 山口大学吉田事業場は、人文・経済・教育・理・農学部といった、文系・理系を含む 5 学部と、事務
局等の組織が集まった事業場である。平成 16 年度は巡視体制が不明確であったが、17 年度はその不明
確さを改め、毎週火曜日を職場巡視の日と決め、計画的に実施している。このように日時を決めること
で、曖昧だった巡視体制が改善できた。
1.巡視計画
4 月の吉田事業場衛生委員会で、おおよその年間計画を示した(図 1)。各部署を年間 2 回ずつ廻り、
文系学部の場合は年 2 回に分けて教官の研究室を、理系学部の場合は主に実験室を中心に廻るようにし
ている。
月
第1~2
火曜
第3~4
火曜
4
5
6
7
8
教 人 農 事
経 理 総 学
9 10 11 12 1
予
備
教 人 農 事
経 理 総 学
2
3
予 総
備 括
( 総 ) 総合科学研究棟 , 排水処理センター等
( 学 ) 運動場や体育館 , 学内の環境等
( 総括 )1 年間の総括・点検
図 1 年間巡視計画
2.巡視者
平成 17 年度より、安全衛生対策室の
設置に伴い、主に専任衛生管理者と対
策室の室長・係長で巡視することになっ
た。各部署には、事務職員または労働
安全衛生委員に立ち会いを依頼してい
る。月に 1 度は、産業医が同行している。
3.携行品
主にデジタルカメラ、部屋の配置図、
多機能計測器(風速計、温湿度計、照
度計が一体になったもの)、巡視チェッ
クリスト(図 2)等である。デジタルカ
メラは問題点の撮影や廻った箇所の記
録等に使い、多機能計測器は主にドラ
フトチャンバーが正常に稼動するかを
調べる際に用いている。チェックリス
トは今年度、独自に作成したものであ
るが、今後は吉田事業場の実情に合わ
せて、適宜見直していくことにしてい
る。
図 2 巡視チェックリスト
−−
4.指摘事項の具体例
職場巡視の結果、改善が必要と指摘した例を以下に紹介する。
(1) 喫煙について
山口大学は、建物内は原則禁煙であり、喫煙は屋外の指定された
場所ですることになっているにも拘らず、教員の研究室で、喫煙が
見られた(図 3)。
図 3 違反喫煙
(2) 部屋の整理整頓について
安全衛生活動の基本は整理整頓であるが、部屋全体が雑然として
いる実験室があった(図 4)。また、災害時等を想定すると、実験室
だけでなく、教官の研究室の中にも、整理整頓を見直す必要がある
と思われる部屋も見受けられ、改善を依頼した。
なお、全国安全週間が 7 月の第一週であることから、今年度から
山口大学においても、7 月の第一週を「山口大学安全週間」と設定し
た。その安全週間のポスターに、「安全衛生の基本は 5S、整理・整頓・
清掃・清潔・習慣化」といった標語を示したり、5S のチェックリス
図 4 雑然とした部屋
トを配布したりして、整理整頓について周知徹底を図っているとこ
ろである。
(3) 化学物質の保管について
危険有害性を持つ化学物質の保管に関しては、関係者以外が不用
意に暴露されることや、盗難や紛失、災害発生時などのリスクに留
意した管理が求められる。法令上も、毒劇物の盗難及び紛失を防ぐ
のに必要な措置を講じる義務が規定されている(毒物及び劇物取締
法第 11 条)が、ある実験室では毒劇物保管庫が施錠されておらず、
誰でも容易に取り出しかねない状況であった(図 5)。巡視した際は、
実験中等の理由で、たまたま一時的なことだったかもしれないが、
今後も注意が必要である。
図 5 施錠されていない保管庫
(4) 実験室での飲食について
毒劇物等有害な化学物質を取り扱う実験室で、飲食状況があり(図
6)、飲食を介して有害物質を吸入・摂取する恐れがある。法令上も
作業場での飲食禁止規定があり(特定化学物質等障害予防規則第 38
条)、実験場所と飲食場所は別にする様、教職員だけでなく学生にも
指導が必要と思われる。
図 6 実験室での飲食状況
巡視後は、このような指摘事項を吉田事業場衛生委員会にて報告し、その後は各学部長宛に、総括安
全衛生管理者(人事労務担当副学長)より、巡視の結果を記載した「安全衛生状態報告書」を出し、改
善を依頼している。学部からは「安全衛生状態改善計画書」により、改善計画を示してもらい、改善し
ているか否かは、次回の巡視時に確認することにしている。
毎週 1 回巡視するというのは、巡視する側にとってはかなりの負担ではあるが、実際廻ってみると、
学内には、まだ安全衛生上見直さなければならないと思われる点が多々ある。しばしば第三者の目で見
ることで、このような点が少しずつ改善し、安全衛生意識が定着するよう、今後も取り組んでいきたい。
−−
小串事業場の職場巡視
小串事業場専任衛生管理者 森 本 宏 志 1.巡視計画とその実施について
小串キャンパスは、小串事業場と附属病院
事業場のふたつの事業場にわかれ、このうち
小串事業場には、附属病院を除く医学部・医
学研究科、総合科学実験センター等の教育研
究組織、および事務部が含まれる。
小串事業場では、労働安全衛生委員会で承
認された職場巡視計画に基づいて職場巡視を
実施している。このうち原則として月1回は、
総括安全衛生管理者と産業医を伴った巡視を
実施し、年1回は全部署を産業医の巡視を受
けることとしている。この巡視計画について
は、年度初頭に、各部署の安全衛生推進員(小
図1 平成17年度附属病院職場巡視計画
串キャンパスでは、昨年度より各部署ごとの
安全衛生関連情報を集約管理するため、各部署1名任命してもらっている)に巡視計画書を配布・説明
するとともに、産業医巡視の原則1週間前には対象部署に電子メール等で連絡し実施することとしてい
るが、その他の巡視は原則抜き打ちで行う旨の予告をしている。
巡視の際に気がついた事項については、原則として、その場で口頭にて指摘し、改善を求めるととも
に、四半期毎に提出をお願いしている各部署の安全衛生ミーティング報告書に、その四半期の間に検討
し、実施した安全衛生面の改善事項を記載するようにお願いしている。また、特に重要な事項について
は、安全衛生改善提案・勧告書兼報告書を発行し、改善状況の報告を求めることとしている。これらに
ついては、小串事業場の労働安全衛生委員会で概要を報告することとしている。(垂直展開)
2.安全衛生スタッフによる巡視の意義と考え方
衛生管理者や産業医、労働安全衛生コンサルタントによる各部署の職場巡視は、
「その部署にとっての」
第三者の視点で、安全衛生的観点からの各部署の実態をみての気づきとその共有活動であり、「あら探
し」や「責任追及」が目的ではない。各部署の安全性や危険性はその部署で日常活動している人が最も
よく知っていることであり、知った上、もしくは知らされた上ですべての活動が行われているはずであ
る。しかし、
「ベテランは慣れにより事故を起こす」といわれるように、その場にあまりに慣れてしまっ
ているがために、「危険」を「危険」として認識されなくなり、「事故や危険の芽」を放置し、育ててし
まっていることも少なくない。ある部署の「常識」は、他の部署の「非常識」かもしれないのである。
衛生管理者や産業医は労働安全衛生の専門家ではあるが、各部署の詳細については「素人」である。
つまり、各部署の人ほど、その部署のことを知っているわけではない。しかし、だからこそ、
「慣れ」によっ
て現場の人がみえなくなっている「危険」や「安全」に気づくことが可能である。また、他の部署との
比較を否応なく行うことになるから、その現場だけにいては気づきにくい危険性や安全性に気づくこと
もできる。「その部署についての素人」の労働安全衛生の専門家であるがゆえに、気づけることもある
のである。
労働安全衛生スタッフによる巡視は法人化に伴い、法令により実施が強制されたものではあるが、大
学関係者各位にあってはその意義を理解し、協力、活用し、学内の実質的な安全衛生と健康水準の向上
−−
に役立てていただくことが重要であると考える。
3.巡視所見の活用とリスク
コミュニケーション
さらに、問題となる事項の
多くが、単に一部署の問題で
はなく、他の部署にも共通す
る事項であることも多い。「巡
視はサンプリングである」と
いわれるように、一部署の所
見は、小串地区、ひいては大
学全体の状況を反映するサン
プルと捉えると、巡視所見の
活用方法も自ずと変わってく
る。
たとえば、ある部署を巡視
図2.薬品保管庫内の薬品トレイ
図3.薬品棚の転落防止バー
した際の気づきを、部署の匿
名化をはかったうえで、他部署にもメール等でしらせ、「他山の石」として、同様の事項についての改
善の促すことも試みている(水平展開)。
また、マイナス面ばかりでなく、他部署にない良好な安全衛生対策があった場合などのプラス面の気
づきについても、改善のヒントという意味で「良好事例」として情報を提供するといった試みも行って
いる。(たとえば、化学薬品の保管状況の良好事例として、地震時等の転倒での薬品混合による災害発
生の危険を想定して、薬品を種類毎にトレイに分けて薬品保管庫に補完している事例(図2)や、薬品
棚からの薬品の転落防止バーを取り付けている例(図3)の紹介など)これらにより、職場巡視が、部
署の「あらさがし」が目的ではないことが、より明確に理解されることと思われる。
いずれにせよ、職場巡視は、他の監査活動と同じく、個々の問題点を発見し、発見した問題点だけを
つぶしていく活動ではない。職場巡視は、職場に潜在する危険についてのサンプリング調査であり、サ
ンプリングの結果、発見された問題点をもとに、関連する問題点、すなわち「危険の芽」を現場に意識
してもらい、その上で、各部署・各員が主体的に、各部署に適した対応を考え、実施してもらうことを
促すことにある。
4.巡視における今後の課題
小串事業場では、実験、研究が日中ではなく、夜間・休日に行われるところも多く、これは臨床系研
究室で顕著である。その理由として、教職員の多くが、附属病院業務その他の医療業務・教育・組織業
務を兼任しているためである。このため、日中職場巡視を行っても、実験等を実際にやっている時に遭
遇することは比較的少ないため、巡視の視点が施設・設備・器具等の作業環境の面に偏りがちで、作業
管理の側面の評価が十分できていないきらいがある。今後、作業面のリスク評価と改善のサイクルをど
のように確立するか、各部署の安全衛生推進員等の活用や、場合によっては時間外の巡視等も検討する
必要があるかもしれない。
−−
附属病院事業場の職場巡視
附属病院事業場専任衛生管理者 中 原 敦 子 1.職場巡視体制
現在、平成17年度附属病院職場巡視計画
(図1)に沿って職場巡視を実施している。こ
れは、昨年度労働安全衛生委員会にて決定し
ている。昨年度は、職場巡視を実施し、指摘
のあった部署に対し、一定の期間内で書面に
て「安全衛生是正要求書兼報告書」の提出を
求めていたが、今年度から労働安全衛生委員
会での総括安全衛生管理者(病院長)の提案
もあり、職場巡視で指摘した箇所については、
その月の委員会で報告した後、次回委員会ま
でに改善可能なものについては再度巡視し、
確認の上、報告している。改善が確認できな
図1 平成17年度附属病院職場巡視計画
い場合には、「安全衛生是正に関するお願い」
として書面での提出を求めることとしている。このような体制にすることによって、早期に現場での改
善が実行されており、また各部署と巡視者間の親密度も深まるのではないかと考える。経費を要する場
合は、委員会で検討の結果、早期に改善が必要なものについては、経費確保可能か確認の上、改善実施
している。
委員会では、巡視の指摘箇所や改善状況、良い例など実際に分かるように写真やパワーポイントで報
告しているが、現場の状況把握の為の職場巡視報告は重要であり、委員からの意見も多数でている。ま
た、全国安全週間・衛生週間時には労働安全衛生委員会委員による職場巡視も実施しており、普段見る
ことの出来ない他部署を巡視することにより、自分の部署の振り返りや参考にもなり、また、様々な部
署が集まった附属病院は連携も必要であり、他部署の現状など知ることができるよい機会になればと考
えている。
2.職場巡視の実際
職場巡視は、産業医、専任衛生管理者1名、兼任衛生管理者3名、労働安全衛生委員会委員(全国安
全・衛生週間時)で実施している。日常的な職場巡視は2人体制で実施しており、必要に応じ医学部の
専任衛生管理者(労働衛生コンサルタント)も立ち会いを行っている。昨年4月からの職場巡視は、当
初は何を見ればよいのか分からない手探り状態であり、巡視する側もされる側も初心者で、まず顔を知っ
てもらうという目的から巡視を行った。附属病院事業場は様々な科や部が集まった事業場であり、各々
の部署の業務など把握しにくい状況であった為、安全衛生推進員(安全衛生状況に関する情報の集約な
どの業務を担っている)を各部署より1名選出して、職場巡視の案内役としての協力を求めた。これに
より、大まかな業務や問題点などを理解することができた。平成17年度からは、労働安全衛生コンサ
ルタントとの巡視経験を通し、職場巡視の視点が徐々に理解できてきた為、当初作成していたチェック
リストを修正し、それに基づいた巡視を実施している。チェックリストに沿った巡視では、ある程度漏
れなく行えるという反面、チェックリストに記載事項以外のものは、見落とされがちになる為、その点
を考慮し巡視にあたる必要がある。
−−
3.指摘事項と改善後の具体例
職場巡視で指摘した箇所や良好な点、改善確認についての例を以下に紹介する。
図1 防火扉、シャッター前
図2 防火扉の掲示(良い例)
図3 非常口前
(1)避難経路について
非常口や避難路、通路については、消防法(消防法第8条のニの四)で避難上、必要な施設の管理義
務について規定されている。図1について、防火扉の前、防火シャッターの下とどちらにもかかるよう
に机や椅子が設置されている。これでは、火災時、防火扉は開かないし、防火シャッターの閉鎖にも支
障がある。指摘後、速やかに改善がなされたが図2の良い例のように、防火扉に掲示することも良いの
ではないかと思われる。図3については非常口前に物が置かれている。置かれているものについては、
たまたま使用していなかった物品が置いてあったとのことだが、その際にも片側に寄せるなどして避難
経路を確保する必要がある。指摘後、改善が見られた。
(2)器材室の整理整頓について
整理整頓については、7月の全国安全週間でも周知さ
れていることであるが、ある器材室では物品がばらばら
に置かれ、奥に入ることすら困難であった。指摘後、そ
の部署で検討され、物品の置き位置についてテープで示
し、使用後は定位置に戻すよう、対策がとられた。この
件については、委員会でも報告し、委員の中から表彰し
てもよいのではないかとの意見もでるほどであった。
図4 ある器材室
(3)化学物質について
化学物質については、まず使用量にかかわらず使用物質の物性(化学的・物理的性質)、毒性や危険
性についての知識がなければならない。その上で、安全・防災面での適切な管理、事故時の緊急対策、
救急処置などが実施できるのである。MSDS(化学物質安全データシート)は、これらの一連の情報
がまとめてあるもので、化学物質を使用する部署では作成、掲示、保管し、使用部署の者が周知できる
ようにする必要がある。また、化学物質で引火性のある物質を使用しているにもかかわらず、その部屋
自体には消火器が設置されていないことがあった。これについては、現状が法令の最低基準を満たして
いるか否かは別にしても、重要なことである(消火器設置予定)。これは安全・衛生週間時に実施して
いる委員会委員によって指摘されたことである。
職場巡視は、法令の最低基準を満たしているかどうかはもちろん、そうでない危険性も含め、
「職場巡思」
と言われるように思いを巡らし、様々な視点から職場の安全・衛生を考えていく必要がある。まだまだ、
未熟ではあるが以上のようなことを含め、職場巡視のあり方を常に検討しながらすすめていこうと思っ
ている。 −−
常盤事業場における職場巡視
常盤事業場専任衛生管理者 石 津 真理子 平成 16 年 4 月からの国立大学法人化に伴い、人事院規則に代わり、労働安全衛生法が適用されるこ
とになった。労働安全衛生法に基づいて、産業医は毎月 1 回以上、衛生管理者は毎週 1 回以上の職場巡
視が義務付けられている。常盤事業場では、産業医、専任衛生管理者、安全衛生担当事務官の 3 名が中
心となり、平成 16 年5月から週 1 回の職場巡視を行ってきた。当初は安全衛生スタッフである我々の
不慣れもあり、教職員にも戸惑いが多く見られたが、2 年目になり、ようやく職場巡視というものが教
職員にも周知されてきたと考えている。しかしながら、各部署への連絡方法、巡視時のチェックポイント、
巡視後の是正勧告や改善方法など、まだまだ試行錯誤しながら職場巡視を続けている。ここでは、法人
化後の常盤事業場における職場巡視の現状について報告する。
1.職場巡視の流れ
平成 17 年度、工学部労働安全衛生委員会では「安全衛生管理体制の充実」を年間目標に掲げ、その
一環として各学科から安全衛生推進員を選出した。各部署における責任体制を明確化することで、自主
的で実質的な安全衛生活動ができる体制作りを目指すものである。安全衛生推進員の活躍により、労働
安全衛生活動がより充実したものになることが期待される。職場巡視においても、各学科との連絡や相
談などを緊密に行うために、安全衛生推進員との連携が不可欠になっている。以下に現時点での職場巡
視の流れを示す。
<巡視前>
・毎月 1 学科を巡視することとし、巡視する学科は産業医と衛生管理者で決定。
・日程と場所の詳細について、衛生管理者と安全衛生推進員で調整。
・日程と場所、今月中は該当学科の巡視が適宜行われることを、安全衛生推進員が学科内で周知。
・日程と場所について、衛生管理者から管理係と学科事務へメール連絡。
<巡視時>
・安全衛生推進員は巡視に同行。
<巡視後>
・巡視メンバーでミーティングをして、指摘箇所の確認など行う。
・工学部労働安全衛生委員会において、指摘事項の報告および協議を行う。
・総括安全衛生管理者(学部長)の指示により、衛生管理者が是正勧告書を作成。
安全衛生推進員と管理係に是正勧告書を電子ファイルで送付。
管理係を通じて学科長に是正勧告書が送付され、指摘事項が学科にフィードバックされる。
・各研究室で指摘事項を確認。是正報告書に改善内容または改善計画を記載し、管理係に提出。
・次回の巡視時に、是正報告書の改善点について確認。
指摘事項の具体例
16 年度、常盤事業場では労働安全衛生コンサルタントと一緒に巡視する機会があった。巡視時の着
眼点や巡視後の是正報告書の作成方法などの指導を受け、非常に参考になった。今後も、適宜コンサル
タントの方々に相談しながら、作業環境の改善へ取り組んで行きたいと思っている。以下に、指摘事項
の具体例を紹介する。
− 10 −
(1)整理整頓(5S活動)
高所に重量物が積み上げてあり、その下で実験を行っている、コード類が床上に雑然と散らばって
いる、物の保管場所を決めていない、実験室で飲食をしている等、研究室により大きな差異が認めら
れる。このような状況で研究活動することは、災害発生時には逃げ道が閉ざされ重大な事故につなが
る危険性がある。まずは、安全衛生の基本である5S「整理・整頓・清潔・清掃・習慣化」を徹底さ
せる必要がある。7 月の安全週間にあわせて、5S 評価表を利用して、研究室単位で自主的に評価を
する機会を作った。今後は、自ら問題点を洗い出し5S 活動を継続的で定着したものにしていきたい
と考えている。
(2)薬品管理
薬品ビンを実験台上に放置している、薬品庫の鍵をかけていない、毒劇物の表示がない、不要薬品
を廃棄せずに放置している等、管理に一部不備が見られる。引き続き、薬品の管理について徹底をす
すめている。
(3)事故防止のための安全対策
例)真空ポンプ:最近製作された機器のベルトカバーは、安全上、両側面に
付いているタイプが増えているが、古いタイプは片側のみのものが多く、
不測の事態で挟まれることも予想される。巻き込まれ事故が起こらない
ように、もう片方も簡易な金網かパンチメタルで覆うように勧めている。
(写真1、写真2)
例)グラインダー:安全カバーが無かったものについて、改善がすすんでいる。
写真 1 改善前
例)棚の未固定は、地震等の振動で転倒し怪我をする危険があるため、壁や
床への固定を勧めている。
例)フォークリフト:鍵が付いたままで取扱責任者が不明確だったが、取扱
責任者および鍵の保管は技術職員が行うことが徹底された。
例)クレーン:フックのロープ外れ止め装置がついてなかったが、現在メーカー
に修理依頼中である。
例)保護メガネ着用の表示(写真3)
写真 3 保護メガネ着用の表示
写真 2 改善後
(4)安全な作業環境を作ろう
ドラフトチャンバー:巡視時に簡易風速計を携行し、ドラフトチャンバーの風速測定を行っている。
開放状態で使用している時は風速が不十分であるが、開口部を 40㎝まで狭めると有効に機能するケー
スを経験した。安全に使用するために、開口部にストッパーを設ける等の対策をして、不必要に扉を
開けないように指導した。
指摘した点については早急な改善が必要であるが、問題点ばかりではなく模範的な好例も多く見られ
ている。今後は、好例の研究室の紹介を行うなどして、他研究室への横展開も併せて取り組んでいきたい。
− 11 −
安全衛生対策室の業務
安全衛生対策室長 石 井 繁 雄 1.安全衛生対策室について
山口大学の職場における職員の安全と健康を確保及び安全衛生法令等に基づいた安全衛生管理体制
を確立するため、平成 17 年度から、事務局総務部人事課に安全衛生対策室が置かれた。
安全衛生対策室は総務部人事課と施設環境部施設企画課からなり、各事業場及び関連各委員会と連
絡調整を図りながら、主に次のような業務を行っている。
① 山口大学の安全衛生に係る中期目標に基づく中期計画に係る年度計画の実施
② 当該年度計画に係る実績報告の作成
③ 翌年度の年度計画の作成
平成 17 年度計画は次のとおりです。
・全学及び部局ごとの安全衛生マニュアルを作成する。
・労働安全衛生法に基づく点検、作業環境測定等を確実に実施し、その結果に基づき必要な
措置を講ずる。
・安全・防災意識の高揚を図るため、教育訓練、研修等を着実に実施する。
・健康診断と診断結果に基づく事後措置を適切に実施すると共に、健康診断の受診徹底を図
るため、未受診者に対する指導を行う。また、乳がん健診を実施する。
・不注意・偶発事故等の「ひやり・はっと報告」により、事故防止対策に努め、必要に応じ
改善措置を講じ安全確保に努めるとともに、安全管理・事故防止に関する標語の募集、安
全週間の設定など、意識の啓発、事故防止に努める。
総務部人事課長
施設環境部施設企画課長
安全衛生対策室
人事課課長補佐
安全衛生対策室長
施設企画課専門員(兼)
施設企画課企画係長(兼)
人事課衛生管理係長
吉田事業場専任衛生管理者
小串事業場専任衛生管理者
医学部附属病院事業場専任衛生管理者
常盤事業場専任衛生管理者
− 12 −
山口大学における労働安全衛生法に基づく、安全衛生管理体制の事業場等は次のとおりです。
学 長
人事労務担当副学長
労 働 安 全 衛 生 委 員 会
吉田事業場
常盤事業場
総括安全衛生管理者
(人事労務担当副学長)
総括安全衛生管理者(工学部長) 産 業 医 産 業 医 衛生管理者(4 名) 衛生管理者(3 名) 衛生委員会 衛生委員会
医学部附属病院事業場
小串事業場
総括安全衛生管理者(医学部長)
総括安全衛生管理者(医学部附属病院長) 産 業 医 産 業 医 衛生管理者(3 名) 衛生管理者(4 名) 衛生委員会
衛生委員会
国立大学法人山口大学労働安全衛生委員会委員
人事労務担当副学長
専任衛生管理者(4 名) 健管理センター所長
吉田事業場 人文学部教育職員
小串事業場 教育学部教育職員
附病事業場 経済学部教育職員
常盤事業場 理学部教育職員
人事課長 医学部教育職員
経理課長 工学部教育職員
学務課長 農学部教育職員
施設企画課長 医学部附属病院教育職員
施設管理課長 放射線安全管理委員会委員長
常盤事業場産業医
各附属学校事業場
衛生推進者(各1名)
【養護教諭】
附属山口小学校事業場
附属山口中学校事業場
附属光小学校事業場
附属光中学校事業場
附属幼稚園事業場
附属養護学校事業場
労働安全衛生管理室を置き、本法人における労働安全衛生の業務の連絡調整を行っています。
労働安全衛生管理室(国立大学法人山口大学職員労働安全衛生管理規則第 11 条)
室長 人事労務担当副学長 吉田事業所専任衛生管理者 小串事業場専任衛生管理者 医学部附属病院事業場専任衛生管理者
常盤事業場専任衛生管理者
* 現在は保健管理センター所長、常盤事業場産業医、人事課長、人事課安全衛生対策室を加えた
スタッフで「労働安全衛生連絡会議」を設置し、運営しています。
− 13 −
施設部から施設環境部へ
施設環境部長 郡 田 等 1.施設環境部の組織体制
近年、地球環境問題がクローズアップされ、京都議定書の発効等により、さまざまな環境対応の取組
みが求められています。
山口大学としても、社会的責任の中で環境対応は非常に大きな課題であるとの認識のもとに、省エネ
ルギー法、環境配慮促進法への対応をはじめ、労働安全衛生法による安全で良好な職場環境の確保とい
った環境負荷の低減、環境との調和、あるいは職場環境の保全や改善といったエコキャンパスに向けて
の全学的な取り組みが求められております。
このような状況のもと、今まではどちらかといえば施設を建てたり、改修する等の工事執行が主体で
あった従来の施設部を、平成17年4月から施設環境部と名称を変更し、大学執行部と一体となって、
総合的・長期的視野に立って本学の教育・研究あるいは社会貢献の使命達成のために、保有する全施設
を如何に有効に活用していくか、また、エネルギー問題をはじめとするさまざまの環境に関する法的規
制に如何に、迅速、的確に対応していくかという観点から、施設および、環境全般に関する統轄的なマ
ネジメントを行うことが出来る体制としました(図1)。
施設企画課
総務係
施設企画課長
企画係
専門員
施設計画課
施設環境部
施設計画課長
施設計画課長
補佐
施設管理課
施設第一係
施設第二係
電気設備係
施設管理課長
機械設備係
施設管理係
小串団地
施設管理課
施設管理課長
補佐
図1 施設環境部の組織体制
− 14 −
施設保全係
環境保全係
2.「環境報告書」 への取り組みについて
今日の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会経済システムでは、我々の日常生活や通常の事業活動か
ら生じる環境負荷が、資源の採取、ゴミの廃棄等の形で自然環境に対して大きな負荷を与えています。
近年、事業活動と環境との関わりの増大を背景に、事業者の環境保全活動に対する国民の期待が高ま
るとともに、事業者が自らの事業戦略の中核に環境配慮を位置付け、規制遵守にとどまらないさらなる
自主的な環境配慮に、創意工夫を生かして取り組む重要性が高まっています。こうした流れを背景とし
て、環境配慮促進法 (*) が制定されました。
この法律は、事業活動に係る環境配慮等の状況に関する情報の提供及び利用等に関し、国等の責務を
明らかにし、特定事業者による環境報告書の作成及び公表に関する措置等を講ずることにより、事業活
動に係る環境保全についての配慮が適切になされることを確保するものです(図2)。
山口大学としても特定事業者の一機関として、社会的責任の中で環境対応は非常に大きな課題である
との認識のもとに、本学における教育・研究及びその活動において、省ネルギー、資源の循環利用、グ
リーン購入の徹底等を図りながら環境負荷の低減に努めるとともに、環境報告書の作成及び公表へ向け
て取り組むものであります。
なお、環境報告書の作成及び公表に当たっては、事業活動における環境配慮の方針、目標、取組み内
容、実績及びそのための組織体制・システム等、自らの事業活動に伴う環境負荷の状況、及び、環境配
慮の取組み状況を総合的・体系的に取りまとめ、毎年度その公表が義務付けられていることから、17
年度分の環境報告書作成に向けて、学内の体制整備を定め取組んでいるところであります。
本法のねらい
環境報告書
基本的な枠組みづくり
事業活動における
環境配慮の取り組みの公表
普及の促進
信頼性確保
特定事業者への
作成・公表の義務づけ
図 2 環境配慮促進法のねらい
* 環境配慮促進法:「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進
に関する法律」(平成17年4月施行)
3.省エネルギー対策について
「エネルギーの使用の合理化に関する法律」に基づき、山口大学におけるエネルギー管理を適切に行い、
省エネルギー活動を効果的に推進することを目的として、省エネルギー推進組織を設置し取組んできた
ところであるが、このたび「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の
促進に関する法律」が施行されたことより、省エネルギー推進組織を包括した「国立大学法人山口大学
環境マネジメント体制」を立ち上げ、今後もエネルギーの抑制に向けて全学的に取組むものであります
(図3)。
− 15 −
図 3 環境マネジメント推進組織
− 16 −
3−1.環境マネジメント体制に関する要項
国立大学法人山口大学(以下「本法人」という。)における環境マネジメント(エネルギーの抑制、
廃棄物の抑制、環境汚染の防止、環境教育の充実、学内環境美化その他)の体制に関し必要な事項を定
める。
ついては、本法人に国立大学法人山口大学環境マネジメント対策推進会議を置く。
● 環境マネジメント対策推進会議審議事項
・環境マネジメントの目標の設定、計画の策定及び推進に関すること。
・環境報告書に関すること。
・その他環境配慮の推進に関すること。
● 環境マネジメント対策推進会議の組織
・学長、各副学長、各学部長、医学部附属病院長、事務局長、総合科学実験センター長
・推進会議に議長を置き、企画広報担当副学長をもって充てる。
・第1項第6号の者は、省エネ法に係るエネルギーの抑制に関する事項の審議には加わらないもの
とする。
● 環境配慮推進員
・部局等(各部局、各学科、各課等)ごとに環境配慮推進員(以下 「推進員」 という。)
若干名を置く。
・環境配慮推進員は、選出部局における環境マネジメントの推進に関する実施業務を行う。
● 環境対策検討部会
・推進会議の下に環境対策検討部会(以下 「部会」 という。)を置く。
・部会は、環境マネジメントの目標及び計画の立案並びに環境報告書の作成に関する業務を行う。
・部会は、各部局等の環境配慮推進員から選出された者各 1 名及び施設環境部長、
財務部経理課長、財務部契約課長、施設環境部施設計画課長、施設環境部施設管理課長、学務部
学務課長、学務部学生支援課長、学術研究部研究協力課長をもって組織し、施設環境部長がその
議長となる。
− 17 −
3.解説、話題、教育、研究
環境問題解決のため研究および教育のあり方
-エネルギー・社会経済システム全体を考慮に入れて-
経済学部 朝 日 幸 代 1.はじめに
近年、地球温暖化問題や石油資源の枯渇、ゴミ処理における環境負荷の問題など様々な環境問題が、
国内外の社会問題になり、解決するための方策が求められている。なぜなら、環境問題の多くは人間の
経済活動が引き起こし、さらにそれが環境変化をもたらし、再び経済活動にも深く影響をもたらすよう
になってきているからである。特に地球温暖化や酸性雨、海洋汚染等をはじめとする環境問題は、エネ
ルギー資源を大量に消費する人間の経済活動が根源的な原因になっている。
環境問題を解決する方策として、環境保全と経済発展の両立が可能な循環型社会を構築するために
消費者や企業、政府それぞれが環境問題に対する意識を高め、環境保全活動を積極的に取り入れる必要
がある。企業サイドには汚染物質を出さないために、生産プロセスの見直し、環境負荷の少ない原材料
への転換、汚染物質になる製品のリユース、リサイクルを含め数多くの取組みがなされている。また、
消費者に対しては環境負荷の少ない生活スタイルへの転換、環境へ配慮した商品の購入など市民レベル
でも取り組まれてきている。また、行政も、国や地方自治体が中心となって積極的な施策が行われてき
ている。
このような取組みの中で、さらに社会を構成する個々の人々に環境問題を根付かせるためには、環境
問題の根本原因であるエネルギーに対する広範囲な研究を行い、より多くの情報を提供することが必要
である。さらに、将来を担う世代に対する学校教育の中でも、環境だけでなく、エネルギーを理解して
もらえる枠組み作りが必要とされている。この全国規模の取組みとして、経済産業省資源エネルギー庁
による(財)社会経済生産性本部・エネルギー環境教育情報センターのエネルギー教育調査普及事業が
ある。これは、小、中、高等学校にエネルギー教育を積極的に行う学校を実践校として、助成をしなが
ら支援する一方で、高等教育においても、地域のエネルギー教育に関する研究や実践を行うための組織
作りそしてそこでの積極的な取り組みや活動の中核となる大学を地域拠点大学として選定し、教材・資
料などの提供や研究・実践のための研究会活動を行っている。筆者は、この地域拠点大学の研究会を 3
年間にわたり行った経験と、環境とエネルギーに関する分析・研究を行ってきたことを踏まえ、ここで
は、環境問題を解決するための研究および教育のあり方をエネルギー・社会経済システム全体を考慮に
入れて行う重要性を紹介したい。
2.環境問題解決のための研究のフレームワーク
環境負荷を改善させるためには、既存のエネルギーや環境技術をどのようにして取り入れるとよい
かということを、工学・経済・社会等の幅広い視野から検討して、様々な分野の研究者の知恵と知識の
共有化によって、持続可能な成長となる社会経済への枠組みづくり進められている。特に、環境問題の
重要性が発展途上国内部でも広く認知されはじめ、国際的な取組みにも発展しつつある。
筆者は、三重県の委託研究として ( 財 ) 国際環境技術移転センター (Icett) における四日市公害につい
て定量的に環境政策と経済の両面を分析するプロジェクトに参加した。この研究は、高度経済成長期の
日本の公害を分析することによって、今後の発展途上国における環境問題への取組みに対し有用な提案、
助言をするものである。そのため、環境被害を引き起こす状況に至った過程を行政、企業、住民それぞ
れの取り組みに対して検討し、さらに、コンビナート企業から排出された硫黄酸化物がどのように拡散
されたかを拡散解析モデルで分析し、環境被害を算出している。その上で、公害防止投資や地域経済発
− 18 −
展を計量経済モデルで政策シミュレーションを行い、環境保全政策のあり方を検討している。硫黄酸化
物による人的被害は累積的に増大する傾向があるため、早期に環境保全政策に取り組むことが重要であ
ることを示した他、総量規制を守るために設置された排煙脱硫装置が、硫黄酸化物の総量を激減させ、
大気環境を大幅に改善させたことを数量的に示した。さらに、もしこの排煙脱硫装置を早期に設置でき
たならば、大幅に被害がくい止められたことを明らかにした。この研究のフレームワークが図1である。
さらに、中国の天津市を例にとり、中国の主要なエネルギー資源である石炭に含有する硫黄酸化物に
よる大気汚染を分析した。この大気汚染の問題における解決の1つは、四日市公害の研究で指摘したよ
うに硫黄酸化物を除去する排煙脱硫装置を設置することである。しかし、排煙脱硫装置は高価格であり、
水資源、電力などランニングコストも必要とする。このことにより、中国の工場では排煙脱硫装置の設
置がすすんでいない状況にある。この中国における研究は排煙脱硫装置を稼働するための誘引が環境側
面以外にも必要であることから、排煙脱硫装置を稼働した際の副産物である脱硫石膏に着目している。
脱硫石膏はアルカリ土壌の農耕地の土壌改良剤として利用できる。つまり、排煙脱硫装置を設置するこ
とによって、大気環境を改善し、大気汚染による患者数の減少、および疾患の低減による医療費の低減
などの経済的負担を減少させる効果と、排煙脱硫装置稼働によって得られた脱硫石膏でアルカリ土壌を
改良し、農産物生産を増加させる効果という2つの経済効果を求めることできる。この天津市の研究の
フレームワークが図2である。
図1 環境に配慮した開発政策の有効性 (四日市市における研究)分析のフレームワーク
図2 脱硫副産物の有効利用に関する研究(天津市における研究)分析のフレームワーク
− 19 −
いずれの研究ともにエネルギー資源がどの程度使用され、エネルギー資源に含有する硫黄分を計測し
ながら、公害防止設備の利用状況を調査し、さらに硫黄酸化物質が大気中にどの程度拡散するか、それ
による被害状況を検討するものである。そのため、被害をなくすための政策を把握することができる。
エネルギー資源の利用から、環境負荷物質にいたるまでの過程の中で、環境保全の取組みがどのように
するとできるか、エネルギー資源の代替も含めた対策はどのようなものが適切であるかを数量分析の結
果として示すことが今後の環境保全対策として必要である。
3.新エネルギー利用と二酸化炭素削減の研究のフレームワーク
次に、無尽蔵で枯渇の心配のない自然エネルギーを活用する風力発電による自然環境の有効利用と地
域の取り組みと、その経済性を考慮に入れながら、二酸化炭素削減といった環境保全への適用事例研究
を紹介したい。
この研究は、全国の風力発電設備の調査結果や既存研究方法を用いて分析したものである。まず風力
発電の現状を概観し、風力発電導入の目的や問題点を取りまとめた。次に風力発電量とその発電量によ
る CO2 削減効果と風力発電の経済性について分析し、風力発電建設における地域経済への波及効果を
雇用面も含め試算した。この分析のフレームワークは図3に示した。
風力発電導入促進における政策と法制度の整備によって、風力発電導入は 2001 年以降急速に進んで
おり、現在は RPS 法などで電力会社が自ら風力事業を行う取組みも増えている。風力発電による環境
面への貢献としては、平成 14 年度の風力発電量は石炭火力で 17 万 t、石油火力は 12 万 t、LNG 火力
では 10 万 4000t もの CO2 削減に値する。石炭火力の CO2 削減は発電量の多い東北地域が 63kt-C/ 年で
あるため日本全体の風力発電による CO2 削減量の 36%を占める。また、発電コストの計測結果は 16.1
~ 22.7 円 /kwh となった。これは、2001 年の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会の試算事例
に近い値である。他の代替エネルギーと比較すると風力発電の発電コストはやはり割高であるが、CO2
を排出しないため炭素税が導入された場合は税負担がないことからコスト面における問題を解決できる
可能性が高い。ただし、風力発電はエネルギーの安定供給という面において問題を残しているため、多
様なエネルギー源を用いた電力供給が今後も依然重要である。風力発電の経済効果の分析では、風力発
電建設投資における日本経済全体への波及効果の分析も行っている。
図3.風力発電導入における環境と経済の有効性に関する研究 分析のフレームワーク
− 20 −
その結果、風力発電建設による生産増は生産活動によるエネルギー消費につながることから、二酸化炭
素を増加させるが、風力発電による自然エネルギー利用よる二酸化炭素削減効果がはるかに増加分を上
回っている。風力発電の経済効果の分析では生産面、雇用面においてもプラスの効果の結果になり、炭
素税など温暖化防止対策が経済システムに組み込まれた場合、風力発電などの新エネルギー導入の経済
性は極めて高い可能性があるとの結果になった。風力発電における工学的な見地も必要であるが、エネ
ルギー利用と二酸化炭素削減を結びつけながら、どのような取組みをするか、環境への取組みを経済に
内部化する中で温暖化防止を行う政策提言には、このような総合的な取組みによって、全体像を提示す
ることが可能になる。
4.環境問題を研究するために必要な研究環境
現在、直面している数多くの環境問題は、社会、経済、法律、環境教育、工学的技術、化学、物理、
生物などをはじめとする様々な分野からのアプローチによって、ようやく原因や解決の糸口がみえるほ
ど多面的な性質をもっている。しかし、学際的研究の取り組みが叫ばれているにもかかわらず、実際に
は各分野ごとで環境関連の研究を進めることの方が極めて多く、学際的研究がここ数年ようやく始まっ
てきたといった状況にある。
環境問題への研究をより促進させるためには、多くの研究者が分野の異なる環境関連の研究を知る
機会を増やすことにある。特に、異なった分野の研究者がそれぞれ同じ目的意識を持って研究している
にも関わらず、多くの研究者が全くそれを知らないこともある。これは、学術雑誌等も分野別で構成さ
れていることが多く、分野の垣根を越えて文献をサーベイすることは実際あまり多いとはいえない。そ
の意味からも、他分野の研究者の取組みに接する機会を増やし、交流を深めることも重要になる。
環境問題を研究テーマにする際、他の研究と極めて異なる点は情報量の少なさと情報開示そのもの
が困難なことである。この対象となる情報は、政府、企業、そして個人においても共通な問題である。
それには、私的利益より社会的利益を優先にする考え方や人道的なモラルが必要とされる。一方、情報
の受け手である研究者も同様に情報を人道的なモラルで受け取れること、そしてそれを社会的利益にも
たらす研究へつなげる努力も必要となる。これら相互がうまく機能することが、環境問題への解決に近
づける要因であると考えられる。
5.環境とエネルギー教育の必要性
高等教育の場で研究した内容について、どのような形で社会に貢献していくかは、研究の実践的な活
用として特に重要な役割である。実践的な活用は、行政の施策に参考なる情報提供や、大学研究者の施
策づくりへの参加等として既に取り組まれている。今後は、さらに、これからの社会を担う世代のため
の教育に活かすこと、そして環境保全を促進できる基礎を作り上げる活動につなげていく貢献も重要に
なると考えられる。
環境やエネルギーの一連の関連を小・中・高等学校の教育場で取り入れていくことには、様々な問題
点が存在する。それは、小・中・高等学校では教科教育が主になっており、教科をまたがる問題を取り
扱うことが、極めて難しい状況にある。これを改善するために、総合的な学習の時間も設定されている
が、かなり部分が教員の力量にまかされており、学年が上になるにしたがって、児童・生徒に理解しや
すいカリキュラムや教材不足が指摘されている。このようなことから、エネルギー教育については、経
済産業省資源エネルギー庁による(財)社会経済生産性本部・エネルギー環境教育情報センターのエネ
ルギー教育調査普及事業が行われている。筆者が平成 14 年から平成 16 年の3年間代表を務めていた四
日市大学エネルギー環境教育研究会では、「地域特性を考慮した社会経済環境、新エネルギー環境、水
利用の環境の実践的エネルギー教育のカリキュラム策定に関する研究」を研究テーマとして取り組んで
いた。そこでは、エネルギー・環境教育には数多くの取り組む課題が残されていることが明らかになった。
①.実践的カリキュラム、教材づくりを進める上でエネルギー供給の実態と供給されたエネルギーによ
− 21 −
る環境影響を CO 2排出データと関連づけたり、エネルギー供給と環境問題の観点で新エネルギーを
検討できる内容を取り扱うことが、児童生徒の理解にとって必要である。
②.生徒がエネルギーについても学びやすい教材、Web やデジタル情報の利用を積極的に利用し、生
徒の関心を高める工夫が必要である。
③.地域の情報やデータをリアルタイムに学校現場へ提供することが重要である。そのための取り組み
が、行政、民間、学校それぞれが行うことや、情報入手の方法を知る手段を得る機会を持てる取り組
みが必要である。
④.エネルギー環境教育の具体的な授業内容の提案や授業への取り入れ方を教員と検討し、学校との協
力体制をさらに強めていくことが必要である。
⑤.エネルギー教育を行う科目が極めて限定されていたり、授業時間が取れないなど学校教育の現場が
取り組みにくい点がある。そのため、これらの環境整備が必要である。特に教科の内容やエネルギー
に関係する単元の扱い方、文部科学省の学習指導要領の範囲、教科書における扱いの見直しも必要と
される。
⑥.体験学習として、見学や実験を行う際、準備時間が必要であったり、サポート体制の未整備があげ
られる。これらの取組みをする時、教員に多くの負担がかからないような体制づくりが重要である。
また、エネルギー環境教育を実践していくためのコーディネーターの人材育成が必要である。
温暖化問題から現在の経済や社会のあり方、エネルギーがなくてはならないものである一方で、様々
な問題があること。これをうまく調整しつつ、児童生徒自身が生活していかなければいけないことをよ
り深く認識できる授業展開も有効であろう。特に経済成長と石化資源の利用状況との関係、それによる
歴史過程、発電所や化学コンビナートの立地、さらに様々な地域の特性を知ることがエネルギーの問題
点を知ることにつながる。その一方でエネルギーによって地域が活性化した事実の認識も大切である。
つまり、産業公害の問題とエネルギー問題から現代の温暖化防止の問題を時系列に考える実践的な授業
案や教材、資料等の構築を取り組むこと。過去から現在までの様々な環境問題の裏側にあるエネルギー
問題をよりよく理解してもらえる工夫は、児童・生徒が環境保全問題を多様な側面で考え、捉えること
につながっていく。
6.おわりに
本稿では、エネルギーと環境の関係性を捉えて研究すること、社会経済全体を考慮に入れた政策分析
を行うこと、さらに環境およびエネルギー教育の普及を促進することが、環境保全に取り組むために必
要であることを示してきた。
分野の異なる研究者との連携、環境保全を可能にする総合的な研究を進めることが、日本だけでなく、
発展途上国の環境政策および経済政策、都市開発、そしてそれらの取組みによる環境改善の促進に寄与
することにつながっていくと思われる。
参考文献
朝日幸代(2002)「天津市への脱硫装置導入の経済効果の推定−脱硫副産物の有効利用のケーススタディー−」
『アジアの経済発展と環境保全第3巻 Working GroupⅢ石炭燃焼技術の改善と普及−グリーンコール
エコロジーへの挑戦−』P123-142、慶応義塾大学産業研究所、慶応義塾出版会
朝日幸代(2005)
「風力発電導入の環境と経済における有効」『環境問題の理論と政策』寺田宏洲編 , 晃洋書房、
平成 17 年 3 月
朝日幸代(2005)「エネルギー環境教育に関する実践的取り組み研究成果報告書」エネルギー教育調査普及事業 ,
四日市大学エネルギー環境教育研究会 , 平成 17 年 3 月
鬼頭、岡、朝日、武本、西垣、飯島(1998)『環境に配慮した開発政策の有効性 四日市公害の計量経済モデル分析』
四日市大学教育研究業書6、合同出版、1998 年 1 月
朝日、岡、鬼頭、西垣、片岡(1998)「地域開発と環境評価に関する計量分析四日市コンビナート開発と環境政策の
シミュレーション分析−」
『四日市大学環境情報論集』
、第 1 巻第 1,2 合併号、P103-121、1998 年 3 月
− 22 −
地球温暖化と異常気象
農学部 鈴 木 賢 士 今年の梅雨は、前半が空梅雨、後半が豪雨と、いつもと「ちょっと違う」梅雨であったことは記憶に
新しいことと思います。夏の終わりには、四国の早目浦ダムの貯水率が 0%になる一方で、東京では 1
時間に 100mm を超える集中豪雨により住宅街が冠水するというニュースを耳にしました。9 月に入る
と,米国南部ではハリケーン「カトリーナ」により甚大な被害がもたらされ、日本においても、台風
14 号が九州に上陸、山口でも錦帯橋や山陽道に被害がありました。また、昨年を思い起こせば、東京
の真夏日(日最高気温が 30℃以上)の日数が 70 日となった、熱帯夜(日最低気温 25℃以上)の日数が
増加した、東京 23 区の熱中症による患者数が過去 5 年間で最高になった、過去最多の 10 個の台風が上
陸した、ヨーロッパで百年に一度と言われる洪水が発生した ・・・ 等々、
「異常」気象による(と言われる)
数多くの気象災害や被害が日本をはじめ世界各地で発生しました。
大洪水や干ばつ、暖冬といった世界的な異常気象を契機に、1979 年、WMO と UNEP は気候と気候
変動に係わる研究を開始しました。その後、気候変動に関する国際的課題が増大するにつれ、各国政府
が効果的な政策を講じられるよう、気候変動に関する科学的情報を包括的に提供する必要性が高まり、
これらを背景として、IPCC の設立構想が 1987 年の WMO 総会並びに UNEP 理事会で提案され、1988
年に承認、同年に IPCC が設立されました。昨年 11 月に、ロシアが京都議定書を批准したことをうけ、
2005 年 2 月 16 日に京都議定書が発効することになりました。京都議定書が締結された COP3(京都)
から 8 年、昨年末アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催された気候変動枠組条約締結会議は 10 回目
(COP10)の開催となりました。この 8 年が長いか短いかはわかりませんが、その間にも CO2 の排出量
は増加しつづけているわけですし、また、アメリカ合衆国の不参加などさまざまな問題を抱えたままの
発効がどのような形で進んでいくのか、政治家だけでなく科学を取り扱う我々研究者にとっても注目さ
れます。地球温暖化のメカニズムについては多くの方々がご存知のことと思いますが、地球温暖化防止
のためには政府や事業者のみならず国民一人一人の取り組みが重要だということで、日本政府では「チ
ーム・マイナス 6%」というロゴマークを作成し、一般市民にもわかりやすい地球温暖化防止に関する
情報を発信するようになりました。テレビコマーシャルなどで目にしたことがあると思います。このよ
うな啓蒙活動や環境教育はとても重要なことです。活動が現象として目に見えるようになるにはまだま
だ時間がかかると思いますが、草の根的な継続的活動がいつか実を結ぶと信じたいものです。
さて、話を「異常」気象に戻しましょう。昨年の台風上陸数は 10 個でした。日本における台風の平
均上陸数は 2.6 個、2003 年以前の最多は 6 個でした。人類が記録を残し始めてから 100 年程度、気象庁
が発表している台風上陸数のデータは 1951 年以降のものですから、これを科学的に「異常」と呼ぶか
どうかは難しい問題です。最近この「異常」気象という言葉を目にする機会が増えたように感じます。
最近のテレビ等の報道を見ていると、台風がいくつ上陸した、どこそこで集中豪雨が発生した、ダムの
貯水率が減少している、エルニーニョ現象が ・・・ などといったことがしばしば聞かれます。特に「ワイ
ドショー」と呼ばれる科学番組とはほど遠い番組で特集が組まれるようなことも多々あります。そのた
びに気象予報士が登場し、解説をしています。時として著名な研究者がインタビューに答えるケースも
ありますが、おそらく 30 分くらいのインタビューが 30 秒程度に編集されており、専門的な知識のある
視聴者からすると、その研究者の言わんとする本質を十分伝えていない、と思えるような作りになって
いたりします。テレビの世界はよくわかりませんが、特にワイドショーと呼ばれるようなテレビ番組に
おいては、「異常」気象を、そのすべての原因を「地球温暖化」という言葉に結びつけている(一視聴
者としてそのように受け取られる)傾向があるように思えてなりません。特に「コメンテーター」と呼
ばれる役割のよくわからない出演者のコメントには閉口してしまうことも多々あります。彼らの勉強不
− 23 −
足、あるいはテレビという特殊な情報伝達手段のために感じる違和感なのかもしれませんが、災害など
の事実や結果を伝えるべき報道番組と、それを解釈、分析するある意味で科学的でなければいけない番
組が中途半端に一緒になって、後者の大部分が削られてしまっているような気がします。
先日ある講演を聞く機会がありました。それは地球温暖化というキーワードを含むものであり、政治
や行政側の方の講演でした。その講演は「昨年、台風が 10 個も上陸しました」「今年の梅雨の前半は
空梅雨でした」などという話から始まり、「温暖化防止のためには ・・・」という話の本題になりました。
この講演者は「台風が 10 個も上陸したのは地球が温暖化しているからなのです!」などとは言ってい
ませんでしたが、聴講者はどのように聞いたのでしょうか。ちょうど私の隣の席には年配のご婦人が座
っていました。近年の地球環境問題に関心を持ち、せっかくの講演の機会に積極的に参加してきたであ
ろうご婦人です。講演の途中でふと隣を見ると、そのご婦人は熱心にメモを取っていました。そのメモ
をのぞきこむと、「温暖化」「台風」「空梅雨」などといった言葉が見られました。あたかも温暖化→台
風上陸数、温暖化→空梅雨といった矢印が見えるようなメモでした。このご婦人はどのように講演を聞
いたのでしょうか ・・・。
「地球温暖化」「異常気象」などといったマスコミが飛びつきやすい言葉ばかりが先走っている感のあ
る最近の風潮は、本当の意味での地球温暖化防止にどのような影響をもたらすのでしょうか。地球温暖
化防止の活動を推進する上で地球温暖化が異常気象に直結するというイメージは温暖化防止の目的を明
確化するにはもってこいであり、必ずしもマイナスの影響があるとは思いません。もちろん台風の上陸
数や豪雨や干ばつの発生が地球温暖化に全く無関係だとは言いません。しかしながら、環境教育が熱心
に行われるようになったからこそ、中途半端な知識を発信するだけではなく、サイエンスを含んだ啓蒙
活動、環境教育が必要だと思います。
私の研究の興味は、雲内の降水機構の理解にあります。簡単に言うと、雲の中にどのような降水粒子
がどのくらい存在していて、それがどのような過程によって雨をもたらしているかということです。明
日の天気は未だに 100%の確率で当たりません。西日本という大きな単位では予測できても町や村、さ
らには町内会といった小さな単位では予測できません。また、週間天気予報、1 ヶ月予報、3 ヶ月予報
と時間が長くなるに従ってその予測精度は低下します。100 年後の地球温暖化に伴う気候変動を予測す
ることは非常に難しいものです。現在、CO2 増加のシナリオに基づいた将来の地球温暖化の予測が、日
本が世界に誇るコンピュータである「地球シミュレータ」により計算されていますが、その数値モデル
の中には1つ1つの雲の中にどのような降水粒子があり、それがどのような作用をするかは記述されて
いません。数 mm のスケールの現象を半径 6400km の地球上全てにおいて1つ1つ計算していく能力
は残念ながら今の計算機にはないというのが理由の1つですが、世界中の雲の中の降水機構がまだまだ
わかっていないことも大きな理由です。地球温暖化が予測される今、気候変動予測の精度を向上させる
ためにも今この地球で起こっている現象を明らかにし、それを予測モデルに組み込んでいくことが重要
だと考えます。もちろんそれにより現在でも世界中で大きな被害をもたらす集中豪雨などの予測精度も
向上すると期待されます。私たち研究者の重要な使命は、このような科学の発展だけでなく、前述のよ
うな啓蒙活動、環境教育へも科学者としての立場から積極的に参加しなければいけないのかもしれませ
ん。
− 24 −
「自然の権利」から考える環境問題への取り組み
山口市立中央図書館嘱託職員 増 田 倫 子 環境保全といわれて私がまず思い浮かべたのは、オゾン層の破壊、地球の温暖化、酸性雨、砂漠化
の進行といった汚染の問題。そして「自然にやさしく」「環境を大切に」「地球を美しく」等々の、理念
を掲げたスローガン。環境は、現代人ならば程度の差はあれ、誰にでも関心のある問題だろう。オゾン
層の破壊一つ例にとってみても、世界の国々がほぼ一致して解決に取り組み始めた、人類共通の試練と
なっている。
しかし、環境問題は社会的な表面上の現象は理解しやすくとも、「解決への道について何か考えたこ
とはあるか」と問われると答えに詰まる。もし環境ホルモンについて考えようとするならば、有機合成
化学や有機塩素の毒性など、自然科学的な知識が必要になるだろうし、環境をテーマに取り上げたテレ
ビ番組をみれば、複雑な図表が用いられていたり数式が使われていたりする。今日の環境問題は科学技
術的な世界とは切り離せない問題であり、「環境は理系の領域だ」という、私の勝手な思い込みではあ
るのだが、その思いを捨て切れないことで問題をより縁遠いものに考えていた。
「樹木が法廷に立つ」。身近な問題であるはずの環境問題を、そうだと感じる機会が少ないなかで、今
回、環境について考える動機付けを与えてくれたのがこの一文だった。南カリフォルニア大学の教授ク
リストファー・ストーンが書いた論文、「樹木に当事者適格はあるか?」。この論文のなかで彼は、樹木・
河川などの自然物に法的権利を与えるべきだという、私には考えも及ばなかった新しい視点から、環境
問題へ取り組もうとしている。ただ私たちの周りを取り巻いている存在が、はたして本当に、人間の私
と同じ権利を保有しているのか。「自然の権利」という斬新な考え方を適用することで、私の環境問題
への関心は今までになく高まった。
ストーンのこの論文は、ウォルト・ディズニー社がカリフォルニア州南部にあるシエラネバダ山脈
のミネラルキング渓谷に、大規模なスキー場を開発しようと計画したことに端を発している。スキー場
開発が許可を受けたことに対して、この地域を長年保護してきた環境保護団体シエラ・クラブが、許可
の取り下げを求めて訴訟を起こしたのである。このとき、シエラ・クラブは徹底して自然の利益を主張
する戦術で反対運動を始めたものの、「クラブやそのメンバー自体に何の被害もないのであれば、開発
反対を訴える当事者適格も法的根拠もない」、と 1970 年に一度、カリフォルニア州高等裁判所から判決
を受けている。そして次にこの訴訟を連邦最高裁判所で審理することになり、それに影響を与える目的
で、ストーンがダグラス最高裁判事に送ったものが、前述した論文である。
「歴史上、一度は考えられないとされた思想が、最終的には法律に取り入れられている」と、ストー
ンは述べている。ユダヤ人、黒人奴隷、女性、子供、ある種の動物などがすでに法的権利を得ており、
「今度は自然の番である」と考えたストーンは、「なぜ環境を事物の範疇から取り出し、人間の無制限な
搾取から守らないのだろうか」と問いかけた。乳幼児は自分で自己の権利を訴えることが出来ないけれ
ども、後見人を通して自分の権利の保護を訴えることが出来る。法人は人間の体を持っていなくとも法
的な人格を保有しており、権利も義務も認められている。この原理を延長するならば、自分のために訴
訟を起こすことの出来ない樹木や川などの環境自体も、後見人を伴うことで権利を保有出来ると考えら
れる、と述べたのである。例えば水質汚濁の場合には、マス、アオサギのどちらをも、被害当事者とし
て考えるべきだと真剣に論じているところが興味深い。
1972 年、この事件は結果として敗訴したのだが、ダグラス最高裁判事はストーンの論文を引用し、
「自
然を保護することに対する大衆の関心は、環境客体に自己の保存のための裁判を提起する資格を与える
方向に進むべきであり、この裁判の原告は、シエラ・クラブではなく、ミネラルキング渓谷とする方が
− 25 −
より適当だった」と述べている。そしてさらに、アメリカの法廷を川・湖・森林・山脈にも開かれたも
のにしよう、と続けているのである。ダグラス最高裁判事の見解は少数意見であったとされているが、
一見突拍子もないような倫理的な問題を、現実性を持つ社会的制度・法的制度として、可能性を持つこ
とを示した点に、大きな意義があるといえないだろうか。ちなみにシエラ・クラブはミネラルキングの
代弁に失敗して敗訴したものの、長期間の訴訟費用がウォルト・ディズニー社にやる気を失わせ、1978
年に問題の谷をセコイア国立公園に入れることで終結している。
「自然が権利を持つことが出来るならば、 自然が法的保護を受けられるいいチャンスを得られる」と
いう自然のための理論であり、話すことのかなわない自然物に代わって、人間が法廷で弁護をするしか
ない、というストーンの主張。私はこの理論をとても面白いと思ったのだが、一方で、環境をかつてな
い範囲まで擬人化したようなこの考え方は、「ばかばかしい」と拒否されてしまえば、それ以上先に進
むことの出来ない概念だとも思う。山や川、石ころが自分の身に起こることを気にしているとは思えず、
ものを言わない自然物の意思を汲み取ることは、不可能だと考えられるからである。自然物が自分を保
護して欲しいと考えているとは限らない。ストーンの事例を取り上げるならば、実はシエラ・クラブよ
りディズニー社の方が、渓谷の利益を考えていたかもしれないではないかという見方も出来るのである。
けれどもここで、1972 年にストーンが、自然物の利益も法体系のなかに入れるべきだと論じた後、
アメリカで、1974 年から 1979 年の間に、汚染された川、沼、小川、海岸、樹木の名前で、さまざまな
訴えが法廷に持ち込まれていることに注目したい。そのことからは、倫理的な問題を一笑にせず、定め
られた法律の枠組みのなかで、自然の権利を守ることを選び、肯定的に受け止めている人々がいるとい
う事実が認められるのである。日本においても、ストーンの理論、ダグラス最高裁判事の意見、アメリ
カにおける自然の権利訴訟などを引用して、奄美のアマミノクロウサギ訴訟や、茨城県の大型の雁オオ
ヒシクイ訴訟、諫早湾のムツゴロウ訴訟など、数は少ないものの、1990 年代から「自然の権利」の正
当性を主張した訴訟が起きているのである。
人間が自然の権利を主張しようとする行為。ストーンの理論を目にしたときから、私はこの行為を
起点に、環境と人との関わりについて考えてみたいと思った。法廷に自然物を立たせようとする動機は、
それを主張する人により異なるかもしれない。意地の悪い見方をするならば、自然物を原告にするとい
う奇策を用いることで、ニュース価値を与え、問題の所在を人々に広く知らせようとする効果を狙う人
もいるだろう。自然自身の権利を保護しようという思想が、結果として人間の利益に一役かう場合もあ
ることは、十分に考えられる。それでも今日、環境自身が義務や責任を負わずに、権利だけを付与され
ていることを考えるとき、それはつまり、権利が自然物の自己主張ではなく、私たち人間が、自然の権
利を保護しようとし、大切に守ろうとしている思いから見出されたものだと思われるのである。
前述してきた考え方は、人が実際にどのように行動したかについて記述するのではなく、結局のと
ころ、理想から構成されているものであることは否めない。本当に役に立つのかどうか、環境問題はこ
れで解決されるのかという問題解決に直接つながるものではない。けれども、人の知性、愛情、誠実さ
など内面的な場所から変化が起きることによって、問題解決への糸口にはなるのではないか。重要なの
は、問題解決だけではなく、そこに至る努力ではないかと考える。環境にかかわる認識は、人間内部の
価値やものの見方に大きく左右される。人間が周囲の環境なり自然とどう関わるのかということを、再
考しなければいけないだろう。
参考文献
・『検証しながら学ぶ環境法入門』 山村恒年著 昭和堂 2001 年
・『アメリカ環境訴訟法』 山本浩美著 弘文堂 2002 年
・『自然の権利』 ロデリック・F・ナッシュ著 筑摩書房 1999 年
− 26 −
病理部における労働安全衛生対策
医学部附属病院病理部 境 一 1.はじめに
昨年4月の独立行政法人化に伴い、附属病院でも安全衛生委員会がつくられ、病理部においても労働
安全法に基づき、職員の安全衛生管理や意識の向上に努めています。病理部は附属病院内でもホルマリ
ン等の化学物質、キシレンなどの有機溶剤を最も多く扱う職場です。病理検査室といえば、有機溶剤や
ホルマリンの臭いと臓器の臭いなどが入り交じり、
「臭い」というイメージが一般的でした。病理部でも、
有機溶剤の有害性を認知し、少ない予算の中から排気用ドラフトなどを購入し、配置してきました。法
人化に伴い、国立大学時代には希薄であった安全衛生に対する考え方も大きく変わり、安全衛生委員の
職場巡視や作業環境測定結果に基づくアドバイスを受け、安全で健康的な職場環境作りのために努力を
続けています。そのような病理部の取り組みについて紹介します。
2.管理体制
病理部は第2中央診療棟の3階に位置し、説明室以外は患者や家族が訪れることはありません。業務
は病理組織診検査と細胞診検査であり、標本作製と診断、標本・データの保管などです(図1)。標本
作製の過程において、多くの有機溶剤や有機・有機の化学物質を使用します(図2)。その取り扱いに
ついては以前から厳しく管理され、化
学物質の取り扱いや安全に対する考え
方を理解し、改善を加えてきました。
医師3名、臨床検査技師5名が所属
する当職場において、主任技師が安全
衛生推進員として職場環境を監視する
病理標本
室
(2)
PS
病理標本
室
(1)
PS
資料
廊下
責任を負っています。また、一名の技
師は、作業環境測定士の資格を取得
し、安全衛生委員会の委員として附属
手術標本
保管室
手術標本
説明室
病理検査室
(1)
病院全体の安全衛生管理にも努めてい
病理検査
室
(2)
病理
診断室 技師室
クリオ
スタット室
病理部
副部長
室
ます。
有機溶剤、化学物質の取り扱いにつ
図1 病理部配置図
いては作業マニュアルを作成し、その
納入から廃棄まで、マニュアルに基づ
き管理できるようになっています。保
管は毒性の強いものに関しては鍵のか
かる保管庫に置き、そのほかの物質も
転倒や破損の無いように棚やショーケ
ースで管理しています(図3)。また、
検査室の外には有機溶剤や化学物質を
扱う作業場であることの表記を行って
います(図4)。
有機溶剤や化学物質の中で、使用量
の多いキシレンとアセトン、ホルマリ
ンについては法令で定められたとお
図2 組織検査作業工程と使用物質
− 27 −
多目的
室
(1,
2)
り、半年に1度の作業環境測定を外部業者に依頼していま
す。その結果は、安全衛生委員会で報告されるとともに、
対策の必要な場合にはその結果を踏まえ、適切な対策を行
っています。
3.ホルマリン
取り出した臓器を保管し、スライド標本を作製するため
には固定液としてのホルマリン(37%ホルムアルデヒド)
は必要不可欠な有機系化学物質です。多くの場合は 10%
図3 毒劇物用の薬品庫
ホルマリンとして使用しますが、臭いを軽減するための物
質が添加されたり、固定力を増すためにエタノールやメタ
ノールといった有機溶剤が混入された市販のものもありま
す。このホルマリンに暴露する作業が標本の固定作業と切
り出し作業です。病理部には外科系医師が標本の固定と切
り出し、保管を行う標本保管室がありますが、ここでの暴
露を軽減するために、光触媒方式の空気清浄装置を設置し
(図5)、保管室内の濃度を下げるとともに、保管棚にビニ
ールカーテンを設置し(図6)、さらに局所排気を行うこ
とで保管標本からのホルマリンの発散を押さえる工夫を行
図4 入り口横の有機溶剤の使用表示と注意書き
っています。固定標本の切り出し作業の際は暴露されやす
く、プッシュプル型換気装置の導入を要望しています。
また、以前は一定期間保管した提出臓器を廃棄するため
にホルマリンと容器、それに臓器を手作業で分別する作業
を行っていましたが(図7)、本年度より保管している容
器ごとスチール缶に詰め(図8)専門の処理業者に委託し、
処理を行ってもらうようになりました。
4.有機溶剤
切り出された標本臓器をパラフィンブロックとして作製
する過程や染色の過程でキシレンやエタノール、イソプロ
ピルアルコール、アセトン、ヘキサンなど多くの有機溶媒
を使用します(図2)。これらを行う自動包埋処理装置や
染色装置から有機溶剤が発散しています。これらの装置に
は覆いを取り付け、換気ダクトへ直接空気を誘導するよう
図5 光触媒方式の空気清浄装置
工夫を施しています(図8,9)。また、キシレンに浸透さ
れたスライドグラスにカバーグラスをかける封入の作業も
技師がキシレンに暴露する作業の一つであり、ドラフト内
で作業を行うことによって直接の暴露を軽減しています
(図10)。これらの有機溶剤の廃液はほぼ 100%回収を行
い、廃液処理業者へ委託されています。
図6 保管棚に吊されたビニールカーテン
− 28 −
5.無機化合物
染色液の一部には有害無機化合物である硝酸銀やクロム
酸、重クロム酸などが使われています。これらの薬品は施
錠された薬品保管庫に保管され、その使用を厳しくチェッ
クしています。作製した染色液は使用後、専用の廃液タン
クに回収し、処理業者に委託され、廃棄されます。
染色液の作製は、換気ダクトの吸い込み口の近くで行う
ことで、薬剤の飛沫による作業者への暴露が軽減するよう
にしています。また、染色作業も囲いのあるフード内で行
い、暴露の軽減に努める必要があります。
図7 以前の手作業による分別
6.感染症対策
病理検査には術中迅速組織診や細胞診など、生の標本(未
固定標本)を扱う作業があり、肝炎ウイルスや結核菌など
の感染の危険性があります。ゴム手袋を着用するのは当然
ですが、結核等の危険性のあるものはマスクの着用も行っ
ています。感染性のゴミは分別収集し、必要に応じてオー
トクレーブで滅菌処理を行ない、メス等の刃物は専用ボッ
クスに回収しています。また、器具等は消毒液にて消毒後、
洗浄しています。HIV 感染等の可能性のある検体につい
ては、可能な限り使い捨ての器具を使い、作業者の安全を
確保しています。
図 8 検体廃棄用スチール缶
7.まとめ
病理部の安全衛生対策について述べてきました。安全衛
生対策に完全というものはなく、現場作業者である医師や
臨床検査技師への系統的な安全衛生教育を続け、また非常
時の対処マニュアルを作成するなど工夫が必要と考えてい
ます。安全衛生委員会や産業医と連携をとりながら、さら
なる安全衛生の充実と環境整備に努力したいと考えていま
す。
図 9 自動包埋装置の換気設備
図 10 自動染色装置の換気設備
図 11 ドラフト内での封入作業
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海洋環境と海産動物の発生過程における金属イオンの影響
教育学部 北 沢 千 里 本学が位置する山口県は、非常に豊富な海洋環境が残されている。私は、この4月に本学に赴任し、
初めて山口県内を探索する機会に恵まれたが、これまで訪れた土地の中で、最もと言っていいほど、容
易に多様な生物が観察できることに驚いた。10年近くもの間、海産動物を用いて研究を行ってきたが、
恥ずかしながら、山口の海岸に行く度に初めて目にする生物が後を絶たず、散策する度に生命の多様さ
に心を奪われている。山口県は、瀬戸内海と日本海に面し、なおかつ、本州の最西端であることから、
南方からの海流と寒流が入り交じり、また瀬戸内海という比較的安定な海洋環境により、多彩な生物が
生息することが可能となることは言うまでもない。
約4年前、私が、棘皮動物(ウニ、ヒトデ、ナマコなどの5綱からなる動物門)を用いた発生学の
研究のため、アメリカ合衆国(ノースカロライナ州)に留学していた時、頻繁に空輸により運ばれてく
るウニを材料として日々実験を行っていた。これまで、日本では、季節に合わせて産卵期を迎える種類を、
大潮の度に採集して研究に用いていたので、当然、あれだけ長い海岸線を有するアメリカであり、この
様に実験材料の支給を可能にする産業まで発達している国だからこそ、さぞ豊かな海洋環境を維持して
いることと疑いもしなかった。とうとう海に行くチャンスが訪れた。胸を弾ませながら、4時間ほどの
ドライブで、南部の東海岸に到達して目にしたものは、果てしなく広がる大西洋、白い砂浜、そして燦々
と照りつける太陽。しかし、その海水は、何とも言えない濁り様。幾つか地点をかえて、観察はしたも
のの、せいぜい小さなスナガニくらいしか発見できなかった。少し深いところに行けば、ワタリガニの
一種、エイ等の魚は見られたが、ギラギラ光る「オイスターバー」のネオンには、疑問が残った。ただ、
ボストン以北に位置する、世界有数のウッズホール臨海実験所沿岸では、海水も澄み、ヤツデヒトデの
一種、貝類数種、アザラシ(だと思われる)を見ることはできた。それにしても、日本と比べて、磯採
集で発見できる生物種は非常に限られており、改めて日本の海洋環境の素晴らしさを痛感した。
同じ海洋という環境に囲まれた国土を持つ2国であるが、なぜこの様に異なるのか?地理的環境、
海流環境など様々な厳密な要因はあるが、実際に体験したアメリカでの生活から考えられる点も幾つか
あげられる。近年、かなり規制がされている様ではあるが、残飯の下水への流出もその一つではなかろ
うか。当初、流しに付属し残飯をみじん切りにして流す装置を見て、物珍しく単純に喜びはしたものの、
近隣の人造湖にその排水は全て流れ込んでいるということを聞いて、愕然とした。また、ゴミは殆ど分
別回収されておらず(アメリカ滞在中に2州に拠点をおいたが、いずれの地域でも、資源ゴミか否か程
度の分別であった)、何度となく友人に確認を取ったが、これがアメリカでは日常であった。その一方で、
家具や電化製品などのある程度価値のある物品については、人から人へと何度もリサイクルをして大切
に扱っていることも事実である。たかだか3年半の滞在ではあったが、国家レベルでの環境問題がこれ
まで幾度となく取り上げられ、対処の必要が余儀なくされてきたことは、産業大国が勝ち得た便利さへ
のしっぺ返しの様にも思えた。日本においても、産業の発達に伴い、環境に対する影響は後を絶たない。
生物が存在することは、従来の環境を変えていることであり、環境変化はつきものであるが、我々ヒト
が変えてしまった環境というのは、無駄な部分が少なくない。その中で、これほどまで未だに多様な生
物種を維持している山口県の海洋の現状を如何に保てるかということは、我々に課せられた重大な課題
であろう。
次に、海産動物の発生過程と海水との関係について少し述べてみたい。近年、イボニシなどの巻貝
に対して、船舶の塗装に用いられるスズが生殖器官形成に影響し、メス化現象をもたらすことが注目さ
れている。この様に、外因性内分泌攪乱化学物質(通称環境ホルモン)として位置づけられている物質
以外にも、生物の生命活動をゆるがす現象をもたらす物質の存在が知られている。私がこれまで用いて
− 30 −
きた、棘皮動物のウニでは、初期発生過程に海水のイオン濃度が変化すると、発生に異常をきたすこと
が古くから知られている。例えば、金属イオンの一つ、リチウムは、海水中には微量に含まれているが、
高濃度になると、腸を形成するための一連の遺伝子カスケードの上流に作用し、腸の領域を増加させ、
脱腸状態をもたらし(植物極化)、正常な消化管を持つ幼生へと成長できず、死に至る。また、海水中
のカルシウムイオンが低下すると、細胞間の接着力が弱まり、これも腸を胚内部に陥入させることがで
きなくなる。我々が軍艦巻きとして食するウニの卵巣には、約 100 μ m の卵がはち切れんばかりに入
っており、繁殖のために生存している様な生物であるとはいえ、海水成分が大きく変化すれば、次世代
を産出する上で、大きな打撃を受けることになる。他にも、洗剤など我々にとって身近な化学製品の中
にも、発生過程に影響をもたらす成分は多々存在している。
この様な発生過程における異常現象は、研究室内で、また消化管の形成過程におけるメカニズムを
知るために、古くから行われてきた実験により発見されてきたが、今後、実際の海洋において、海水成
分を脅かす様な事件が起こらないとは限らない。多くの生物種を存続させていくためには、一元的な対
応では無く、様々な知見から総合した判断・対策が、我々人類個々人に必要とされると考えられる。
図 ウニの一種、ハスノハカシパンの幼生。
(左)正常な海水中で発生させた個体。腕も伸び、消化管も体内に形
成されている。
(右)卵割期にリチウム海水中で飼育された個体。腸領域が肥大化して、
体内に維持することが出来なくなり、外方に突出している。また、本
体領域(図上端からはじめのくびれまで)が非常に小さくなっている。
− 31 −
チョウを愛でる 環境を愛でる
理学部 山 中 明 陸上の動物種の約7割を占めるのが昆虫類である。彼らが如何に様々な環境に適応し、巧妙に生き抜
いてこのような繁栄を築き上げたのであろうか?
チョウ目昆虫(チョウ類)のある種では、蛹になる少し前の時期に、周囲の環境や色を認識し、周囲
の色に溶け込むかのように蛹の体色を変化させたり、季節によって成虫の翅の色や形を変化(季節型と
呼ぶ)させたりする。そのような体色変化の仕組みを解き明かすために、毎年、チョウが飛び出す春先
から晩秋にかけて、野外のチョウを追いかけ、そして沢山のチョウ(幼虫・蛹・成虫)と戯れている。
写真 ベニシジミ
現状の理解
昼間はチョウを追いかけ、夜間はガを追いかけ、チョウ目昆虫とは一体どの様な生き物だろうかと、
研究調査を行っている。チョウ目昆虫の種類数は、目に付くチョウではなく、主に夜間に飛ぶガ類が圧
倒的に多く、現在、日本には約 6,000 種近くのガ類が生息していると考えられている。山口県中東部を
中心とした 10 年以上に渡るガ類の採集調査(理学部遠藤克彦教授ら)から、県内には約 2,000 種を超
えるガ類の生息が確認できた。
そのなかで、本邦初記録となる東南アジア産のガや、数十年前までは関東地方で普通に見られた種で、
現在では珍しい種と紹介されたガを県内で採集した。そして、山口県で初採集の種がほぼ毎年見つかっ
ている。人目に触れにくいガの生息動態を追うことにより、将来、生息環境周辺あるいは森林環境の指
標とすることができるのではないか。環境の変化で生息できるようになったのか、あるいは、もともと
生息していたのかは、現状の正しい把握がまず必要。
チョウの北上と温暖化
チョウに限ってみれば、今まで見ることのできなかった土地で、南方系のカラフルなチョウが舞えば
ある人は心躍るかもしれない。ここ最近では、ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモンやヒメアカタテハ
の北上が話題に取り上げられた。
これらチョウの餌である食草は、彼らが北上する以前の地域で既に分布が確認されており、北上でき
た要因は、北上できた地域の平均気温の上昇が主要因であるとされている。新しく生息地を拡大した種
の持つ適応能力が進化したわけでなく、温度というひとつの環境要因の変化である。
しかし、昆虫類の多様性の根源は、生存するのに不適応な環境を克服する能力(たとえば、変態や休眠
機構あるいは耐寒性など)を、長い進化の過程で身につけたことにある。あるチョウは季節を感じ、コ
ートを身に纏うかのように翅に毛を生やし、冬を越す。暖かくなれば衣替えをし、クールビズに。小さ
な体に秘められたその機能こそ、環境がもたらした偉大な財産である。
− 32 −
さて、先日の新聞記事に、100 年後の東京の年
平均気温が、現在の鹿児島と同じになるという
予測が載っていた。場合によっては、想像もつ
かない速度で、そのような日が到来するかもし
れない。温度上昇に伴い、北上するのは大型で
見栄えの良いのものとは限らない。人目に付か
ない小さな昆虫には更なる注意が必要となるこ
とをお忘れなく。
チョウの飼育から
春初めは木々が芽吹き、葉が広がりを見せ始
める時期である。今から6~7年前の春、ナミ
写真 ベニモンアゲハ
アゲハ幼虫の食草となるカラスザンショウの木
を捜し求めて海岸線を訪ねた時、本来ならば、ようやく芽吹き新緑の色をした小さな葉を持つべきはず
のカラスザンショウの木々ではなく、初夏に見られるような瑞々しい緑色をした幅広の葉を持った木々
に出会ったことがあった。
“春初めに、こんなに質の良い葉を大量に手に入れることができるとは運が良い”、と勢い、大量に持
ち帰り幼虫の飼育に使用した。ナミアゲハ幼虫は実にすくすくと大きく育ち、順調に蛹へ、そして、成
虫であるチョウへと成長した。羽化後、ある異変に気が付いた。
通常ならば、羽化後のオスとメス成虫を、ほぼ 100%の確率で人為的に交尾させ、次世代の卵を得るこ
とができるのであるが、この葉で育てあげた成虫のオスとメスとの間での交尾はすべて失敗に終わった。
“交尾した”、と思いきや、離れてしまうのである。
一体何故。成虫の腹部はすべてボテボテと太っており、オスとメスの交尾器としっかりと結合できて
いない。どうも筋肉がオス、メスともに弛緩しているように思えた。振り返り幼虫期の体長も大きく、
引き締まっていたというよりは、少々ダブついていたようにも思えた。何故。餌の葉に問題が有りそう。
そのカラスザンショウが林立していた場所は、実に、産廃処理場の横。再度、盛夏に訪れた時にも、
場所を隔てて林立するカラスザンショウよりも
青々とした葉を茂らせていた。
翌年も、同じ現象が見られるかどうかを小規
模ながらそこの葉を使い飼育をした。科学的な
証拠はないが、結果は同じであった。
しかしながら、厳しい自然界で生き延びてきた
昆虫たちの知恵は想像以上であるとも実感した。
何故だかは解らないが、そのカラスザンショウ
の葉に幼虫を見つけることができなかった。少々
離れた木の葉には幼虫はいるのだが。
写真 ナミアゲハ
さて、次の季節も、チョウを愛でながら、環
境を愛でていきたく思う。
− 33 −
環境中の大気汚染物質 : 二酸化窒素について
医学部 國 次 一 郎 近年大気汚染が問題視され、グローバルな環境保全を意識した運動が活発になっている。地球温暖化
防止、クールビズ / ウォームビズ、フードマイレージといったキーワードの普及や、消費者としての
LOHAS 層を目標とした商品の成功は、環境保全について一般の関心が高まっていることを示す。今回
は大気汚染物質のうち窒素酸化物、二酸化窒素について解説する。
1. 窒素酸化物について
窒素酸化物は、多くが燃焼によって発生する大気汚染物質である。主に化石燃料の燃焼によって生成
する副産物であり、硫黄酸化物とともに酸性雨の原因物質として知られる。自然界では土壌バクテリア
等による窒素化合物(アミノ酸・その他を含む)の酸化によっても発生する。時間、日内、季節変動を
みとめることがしられているが、環境問題として問題となっている窒素酸化物検出の多くは人間の生産・
社会活動と結びつけて議論されている。窒素酸化物による汚染の主な原因は、人為的な燃料の燃焼によ
るとされている。
燃焼による排出の時点では、直接的には一酸化窒素がもっとも多い窒素酸化物である。内燃機関・焼
却炉からの排出の多くは NO(窒素酸化物)と 10%以下の NO2(二酸化窒素)である。これが大気中の
化学反応・光学的刺激によって酸化され、殆どが NO2 となり、少量がその他の物質に変化するといわ
れている。そのほかの窒素酸化物も大気環境中に存在はしているが、生物学的な重要性は明記されてお
らず、あまり研究が進んでいない。
一酸化窒素と二酸化窒素の測定方法には、様々なものがあり、それぞれ全体で又は部分的に、手作業
で、あるいは自動的に測定される。しかしながらいくつかの分析方法は、一つの物質についてはかなり
正確であっても(たとえば、化学蛍光法は一酸化窒素に、ザルツマン法は二酸化窒素に依存しているた
めに)両方の酸化物を計測している場合に誤差が出るなど、それぞれに特性が異なっている。しかし精
度が高く、絶対濃度の算出が可能なガス層滴定、浸透管、重量基準などはこれらの分析手法の正確な検
査法として使用されてきた。
2. 窒素酸化物の発生源
地球的規模でみて、バクテリアの化学合成、火山活動、雷光などによって生成する一酸化窒素と二酸
化窒素の量は、人間社会によって生成される量をはるかに上回る。しかし、自然に生成されるものは地
球表面全体にまんべんなく分布するため、結果的にバックグラウンド濃度が非常に小さくなる。
人為的な窒素酸化物の主な発生源は、暖房・発電所などの固定源における化石燃料の燃焼によるもの
と、動力機関における内燃機関によるものである。大気へのその他の排出は硝酸および爆薬の製造のよ
うな特定の非燃焼の工業プロセスによる。より身近な発生源としては、住宅室内の喫煙、ガス燃焼機器、
オイルストーブも含まれる。従って京都議定書により規定されるような、国別の二酸化窒素の放出の相
違は、化石燃料の消費の相違によるものといわれる。
3. 二酸化窒素のヒトへの影響
窒素酸化物の健康への影響については、非常に多くの研究がなされており、その中でも二酸化窒素に
ついての研究はもっとも多い。とくに、実験動物における報告をみると、肺の炎症反応の亢進・防御機
構の障害、肺の生化学的代謝量の低下、肺機能の低下、肺の解剖学的構造における NO2 の影響(発達障害、
上皮粘膜の破壊、分泌量の上昇)を指摘するものが多い。哺乳類における肺の生理学的、代謝的、構造
− 34 −
的な基本構造が類似しているので、これらの研究結果はヒトにもあてはまるものと考えられている。し
かしながら、種の違いのために暴露によって実際にどのような影響がおきるのかはっきりはしていない。
とくに量的なリミットが厳密には明らかにされていない。計量的な知見から、組織・細胞別の量的暴露
モデルを作成した例では、呼吸器から取込まれた NO2 の体内への再分配の様子は良く似ているのだが、
正確な分布変換のための係数まではわかっていない。さらに、種別の NO2 感受性の違いもあまり明ら
かになっていない。
このように現在の動物実験の結果からは、ヒトに対してどのような影響がおきるか予測できるように
なった。しかし、NO2 の吸入によって実際に健康被害が発症する用量・濃度は明らかにされていない。
4. 二酸化窒素の分子生物学的毒性
NO2 は強いオキシダント(酸化体)として作用する。不飽和脂肪酸はすぐに酸化され過酸化物が有
効な生成物である。アスコルビン酸(ビタミン C)やαトコフェロル(ビタミン E)がこれらの不飽和
脂肪酸の過酸化を抑制する。アスコルビン酸が二重層をなすリポゾームに閉じこめられると、NO2 は
急速に封印されたアスコルビン酸を酸化する。動物やヒトにおけるこうしたαトコフェノルやアスコル
ビン酸による防衛効果は、NO2 による酸化を抑制することで発揮される。
また、NO2 は膜タンパクをも酸化させる。膜リン脂質・タンパクを酸化し、細胞膜透過性の制御系
を破壊する。NO2 の暴露をうけたヒト / 実験動物の肺では、肺胞内により大量のタンパク質を検出し
ている。炎症細胞のリクルートや肺細胞自体での透過性異常がこうしたイベントを引き起こしていると
考えられている。
NO2 のオキシダント特性はグルタチオン過酸化経路の脱毒化経路(グルタチオン過酸化酵素、グル
タチオンレダクターゼ、グルコース -6- リン酸脱水素酵素)にも影響する。NO2 の暴露は、用量依存的
に酸化脱毒経路を増加させることが報告されている。これは組織への酸化的ストレス増加を示唆する。
一方で NO2 に比べて NO の作用については、不明な部分がより多く残されている。NO は容易に酸
化されて NO2 への過酸化反応がおきてしまう。つまり、実際には NO2 と NO の同時暴露となることか
ら、動物実験の結果においてそれぞれを区別するのは非常に難しい。数年前の研究から、NO は細胞内
のセカンドメッセンジャーとして機能していることが明らかにされた。大気汚染物質として知られてい
た NO が、実は非常に多くのエッセンシャルな酵素を調節し、その中には NO 生成のインヒビターと
しての役割も含まれている(負のフィードバック)ことがわかり、分子生理・分子生物学におけるセン
セーションを巻き起こした。NO は、細胞内 cGMP レベルを上昇させるグアニル酸サイクラーゼをも活
性化させる。硝酸がマスト細胞(肥満細胞)顆粒からヒスタミンの遊離を活性化させているかもしれな
い、と指摘する研究もあった。また、大気中の窒素酸化物群が、中でも特に硝酸(HNO3)が、細胞内
の pH を変化させていることも一因であるといわれている。
5. 生理学的機能に対する影響
生理学的にみると、気道・肺の第一の役割は血液の酸素化、二酸化炭素放出(ガス交換)であるが、
同時に、様々な免疫機構の一つとして空気中の様々な毒性粒子のフィルタリング、防衛機構も備えてい
る。NO2 はこの防衛機構を障害させることが知られ、特に感染性呼吸器疾患を増加させることが指摘
された。肺胞マクロファージ活性、免疫能力、呼吸器感染源の感受性、粘液透過性等から得られる防御
因子のパラメータが NO2 によって障害され、これらの反応は NO2 暴露の濃度や、暴露時間の長さに依
存して増強することが報告された。これらの内容は、実験動物のみならず疫学的研究でも、多からず散
見される。幹線道路沿い urban-area に在住する学童の呼吸器疾患発症、気管支喘息発症数を観察すると、
十分な距離をもつ rural-area の学童と比較して 2 つの area の社会経済的差異を調整しても発症率が高
くなったという。
− 35 −
6. 成長・発達への影響
ヒトは環境から多少の慢性的な NO2 暴露を受けているので、この点を再現しながら、組織の形態学的
な変化、とりわけその計測について報告した研究が多い。多くの文献では、NO2 中期暴露(0.5 - 5.0ppm)
により上皮粘膜の過形成、炎症細胞の浸潤にはじまり、皮膚粘膜異常・欠損、呼吸器官の形成不全が報
告されている。多くの研究は肺の構造や機能変化を調べたものが多く、可視的な変化が指摘されいずれ
も NO2 暴露と結びつけられている。機能的な発達抑制を指摘した研究によると、NO2 暴露をおこなっ
たラットでは、4.0ppm - 4 ヶ月の暴露で動脈血酸素分圧の低下と、無酸素代謝の増加、運動量の低下を
来したという。しかし、形態や大きさについての考察には、種での違いが報告される。NO2 への耐性が
相対的にラットでは強く、同じ濃度・暴露機関でも guniea-pig では感受性が高い。より低濃度(0.3-0.5ppm)
長期の暴露実験によると、加えて上記の変化が、より呼吸器官末梢でも顕著であり、間質結合組織の肥
厚が強かったと報告されている。
7. 窒素酸化物対策の今後
現在最も問題視されているのは、移動発生源、自動車エンジンからの排出による汚染であり、10 年
前に比較すると、自動車の保有台数増加(10 年前の 3 割増)に起因して微増を続けてきた。環境基準
を達成出来なかった測定点もわずかに増加した。宇部市小串キャンパス周辺の NO2 濃度を実習テーマ
として 40 ヶ所あまりで測定し集計したところ、すべて環境基準を下回っていたものの、幹線道路沿い
や信号機周辺で高い濃度が検出された。自動車と NO2 といえばディーゼルエンジンが連想されるが、
じつはディーゼル、ガソリンへの感覚の違いにはパラドックスがある。日本ではディーゼルエンジンは、
公害や酸性雨の原因として悪いイメージがつきまとい、次々と搭載車種が消えている(ディーゼルエン
ジンで名をはせた企業が、欠陥隠ぺいでマスコミで話題となったり、有名政治家が PM の入ったペッ
トボトルを振りかざしたことも拍車をかけた)これに対してヨーロッパではディーゼルエンジン車が "
エコカー " であると注目され、小型車市場までも大きなシェアを持っている。実は 3L カー(3L 以下で
規定条件 100km 走行する車 : 海外では燃費を表現する場合、[km/L] ではなく [L/100km] で表記するこ
とから)として市販されている自家用車のうち、2 車種はハイブリッド、2 車種はディーゼルエンジン
である。
ディーゼルが環境に優しいと考えられるのは、CO2 排出量が少なく、温室効果を考慮するとガソリン
エンジンよりもダメージが少ないためである。EU の設けていた燃料サルファフリー基準、再循環型触
媒、当時・先進国中最も厳しいとされた排出基準・Euro 3(2000)といった非常に強力な管理体制、さ
らには高圧縮高率燃焼を可能にする直噴装置・強力な触媒・防じん装置の開発が背景にあったといわれ
る。最近ではさらに NO2 排出濃度基準を厳しく設定した Euro 4(2005), Euro 5(2008)のスタート
も計画されている。
日本でも平成 17 年度基準、平成 19 年度基準と、二輪車や重量車にも適応される車検基準がスタート
するが、新規登録がめどであり、現行車両についてどういう規制強化が行われるかは明らかにされてい
ない(16 年度からは東京都条例による乗り入れ禁止、路上での排ガス検査が実施されている)。燃料電
池車・電気自動車・水素自動車等の開発も進んでいるが、社会全体の主導力・物流の要となるにはまだ
かなりの時間が必要である。
− 36 −
薬品の使用量の調査(2004 年度)
排水処理センター 藤 原 勇 1.はじめに
今年度も PRTR 法(Pollutant Release and Transfer Resister)の報告を目的として大学内の薬品量
の使用量についての調査を行い、結果をまとめた。
2.アンケート調査
アンケートは研究室(研究グループ)ごとに薬品の使用量を第一種指定化学物質について昨年度(平
成16年度)の購入量、使用量、貯留量を記入してもらった。今回は、購入量、使用量、貯留量のどれ
かが 0.1kg(または 0.1)以上であったものについてそれぞれ記入してもらい、回答があったものをま
とめた。
農学部 6.3%
3.調査結果
医学部 0.2%
昨年と同様に排水基準に対して気を付ける必要のあるジクロロメタンとベンゼ
理学部
21.7%
ンの購入量について学部別の割合を表1にまとめ図1に示した。
PRTR 法の第1種指定化学物質の使用量について集計を行い、その総量を地
区(キャンパス)ごとに表2に示した。大学全体の使用量の上位10物質を表3
に、各地区の使用量の上位5物質をそれぞれ取り上げ、吉田地区は表4、常盤地
区は表5,小串地区は表6に示した。また、それぞれに対してグラフにした(大
工学部 71.7%
ジクロロメタンの購入量
医学部 1.5%
学全体:図2)、(吉田地区:図3),(常盤地区:図4),(小串地区:図5)。
また昨年と同様に廃液中の薬品の含有量を集計した結果を表7に示し、各地
区毎のついてもそれぞれ吉田地区(図6),常盤地区(図7),小串地区(図8)
工学部
71.7%
理学部
59.3%
に表した。
ジクロロメタンとベンゼンの購入量については、昨年度とほとんど同じ量が得
られた。研究において必要な薬品類を恒常的に使用されていることがわかる。 ベンゼンの購入量
図 1. ジクロロメタンと
ベンゼンの購入量
薬品(第1種指定化学物質)の総量も昨年度と変わらずほとんど同じ量である。有機系の溶媒でクロ
ロホルム等が多く使用されていることがわかる。購入量と使用量はほぼ同じであり、繰り越しの薬品も
同量で変わらない。使用する薬品は定期的に購入し、消費していることがわかる。一方で、使用しない
薬品がある程度存在することがわかる。注目することは同じ薬品について、全体の量および個々の研究
室(一部)においても昨年調査したH15年末貯蔵量と今回調査したH15年末貯蔵量が違うことであ
る。一つの理由として、この調査で、該当する物質の記入の仕方について十分に理解できずに記入され
た物も存在した。このため集計の精度および物質の区分の仕方、濃度換算の仕方についての取扱によっ
て調査結果が異なることは考えられる。このことは今後の検討課題である。しかしおおよその薬品の移
表 1 平成 16 年度のジクロロメタン及びベンゼンの購入量 ( 単位 kg )
番号
1
2
3
4
5
6
7
学 部
理 学 部
工 学 部
医 学 部
農 学 部
教育学部
大学教育センター
排水処理センター
合計
ジクロロメタン
68.3
226.0
0.7
20.0
0.0
0.0
0.0
315.0
ベンゼン
47.9
31.6
1.2
0.0
0.0
0.0
0.0
80.7
表 2 キャンパスごとの集計量 ( 単位 kg )
地区名
H15 年度末 H16 年度 H16 年度 H16 年度末
貯留量
購入量
使用量
貯蔵量
吉田地区
994.9
710.9
1032.5
673.3
常盤地区
638.0
1252.0
1155.6
734.4
小串地区
317.8
157.1
184.1
290.8
1950.6
2120.0
2372.1
1698.4
合計
− 37 −
動についてはこのデーターで理解できると思われる。
PRTR 法の申告については各薬品の使用量が1t以上となっていないことから、必要ないことが確認
できた。この関連として経済産業省から1kg 以上の薬品移動量のアンケート調査があった。この調査
は PRTR 法に比べてより詳細な薬品移動量データーが必要であったが、今回のアンケート調査結果を
用いてまとめ報告した。この調査は今後も毎年報告することになるであろう。 昨年度も少し述べたが、
廃液中の薬品含有量を申告通り計算してみた。その結果を薬品量の使用量と廃液からの量を比較したと
ころかなり差があることがわかった。今後は薬品の移動量の精度を上げる対策が望まれる。対策の1つ
に学内の薬品管理体制を整備する必要が有ることは今回のデーターを見ても明らかになった。大学とし
て PRTR 法に対しての信頼性を持ったデーターを揃えることは、まずは薬品の実体を正確に把握する
必要がある。そろそろコンピューターを用いて薬品管理ができるシステムを導入することが必要と思わ
れる。
表 3 大学全体の使用量上位 10 物質
No.
化学物質名
15年度末繰越量 16年度購入量 16年度使用量 16年度末繰越量
1
クロロホルム
626.6
550.3
927.6
249.3
2
ジクロロメタン
91.2
315.0
297.0
109.2
3
トルエン
141.5
171.4
145.6
167.4
4
酢酸エチル
12.2
137.7
127.3
22.6
5
アセトン
11.8
128.4
121.6
18.6
6
ヘキサン
12.2
125.6
115.3
22.5
7
ベンゼン
102.5
80.7
110.6
72.6
8
キシレン
119.8
98.3
105.7
112.5
9
アセトニトリル
80.8
113.5
89.8
104.5
10 1,4- ジオキサン
33.0
75.0
64.5
43.5
表 4 吉田地区の使用量上位5物質 ( 単位 kg )
No. 化学物質名
1 クロロホルム
15年度末繰越量 16年度購入量
487.8
271.9
16年度使用量 16年度末繰越量
650.2
109.5
2 ベンゼン
70.5
47.9
76.8
41.6
3 ジクロロメタン
51.6
88.3
73.7
66.2
4 アセトニトリル
50.1
80.3
64.9
65.4
5 トルエン
49.8
52.8
35.3
67.3
表 5 常盤地区の使用量上位 5 物質 ( 単位 kg )
No.
1
2
3
4
5
化学物質名
15年度末繰越量 16年度購入量
クロロホルム
38.8
269.6
ジクロロメタン
38.5
226.0
酢酸エチル
9.5
135.0
アセトン
10.9
128.4
ヘキサン
10.2
122.0
16年度使用量 16年度末繰越量
237.7
70.7
221.7
42.8
124.5
20.0
121.6
17.7
112.7
19.5
表 6 小串地区の使用量上位 5 物質 ( 単位 kg )
No. 化学物質名
1 キシレン
15年度末繰越量 16年度購入量 16年度使用量 16年度末繰越量
83.4
77.9
90.5
70.7
2 クロロホルム
86.5
8.2
37.6
57.1
3 ホルムアルデヒド
22.0
23.7
24.7
21.0
4 アセトニトリル
11.4
17.0
11.7
16.7
5 アクリルアミド
7.3
6.5
4.9
8.9
− 38 −
クロロホルム
クロロホルム
薬品名
ジクロロメタン
トルエン
薬品名
酢酸エチル
アセトン
16年度末繰越量
ヘキサン
16年度使用量
ベンゼン
16年度末繰越量
ジクロロメタン
16年度使用量
16年度購入量
ベンゼン
16年度購入量
アセトニトリル
15年度末繰越量
キシレン
アセトニトリル
15年度末繰越量
トルエン
1,4- ジオキサン
0
200
400
600
薬品量 / kg
800
1000
0
200
600
500
薬品量 / kg
750
1000
薬品量 / kg
1500
800
図 3 吉田地区の使用量上位 5 物質
図 2 大学全体の使用量上位 10 物質
ヘキサン
クロロホルム
酢酸エチル
薬品名
ジクロロメタン
薬品名
400
薬品量 / kg
16年度末繰越量
16年度購入量
ジーゼル油
15年度末繰越量
ヘキサン
0
100
酢酸エチル
クロロホルム
16年度使用量
アセトン
アセトン
200
薬品量 / kg
0
300
250
1000
図6 吉田地区の廃液からの薬品量上位5種類
図 4 常磐地区の使用量上位 5 物質
メタノール
薬品名
薬品名
キシレン
クロロホルム
アセトン
ヘキサン
酢酸エチル
ホルムアルデヒド
エタノール
16年度末繰越量
アセトニトリル
16年度使用量
0
16年度購入量
図7 常盤地区の廃液からの薬品量上位5種類
15年度末繰越量
アクリルアミド
0
20
40
80
図 5 小串地区の使用量上位 5 物質
表 7 廃液からの算出による使用量上位 5 物質(単位 kg)
地区
吉田地区
常盤地区
小串地区
No.
化学物質名
1 アセトン
H16 年使用量
899
2000
エタノール
100
薬品名
60
薬品量 / kg
500
キシレン
トルエン
アセトン
イソプロパノール
2
ヘキサン
617
3
酢酸エチル
387
0
4
メタノール
275
図 8 小串地区の廃液からの薬品量上位5種類
5
クロロホルム
1
メタノール
1678
2
3
4
アセトン
ヘキサン
酢酸エチル
1295
367
293
209
5
エタノール
229
1
エタノール
1051
2
3
キシレン
トルエン
437
132
4
アセトン
130
5
イソプロパノール
500
1000
薬品量 / kg
1500
表 8 大学全体の廃液からの算出による使用量上位 10 物質(単位 kg)
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
85
− 39 −
化学物質名
アセトン
メタノール
エタノール
ヘキサン
酢酸エチル
キシレン
クロロホルム
トルエン
ジクロロメタン
ジーゼル油
H16 年使用量
2324
2007
1365
984
684
459
339
270
239
180
無機系廃液処理施設の作業環境測定について
排水処理センター 藤 原 勇 1.はじめに
国立大学が法人化となり、大学も作業環境測定が必要となった。排水処理センターももれずに作業環
境を測定することとなった。排水処理センターは、無機系廃液処理プラントがあり、ここでは廃液を回
収、一時貯蔵、処理することから作業環境測定をする必要がある。測定項目については産業医に判断を
仰いだ。今回は無機系廃液処理施設における廃液処理は年 2 回行われる。この処理日程に合わせて12
月および8月に作業環境測定を2回行った。ここでは排水処理センターの廃液処理施設の作業環境測定
について2回の測定結果について以下に報告する。
2.測定結果
2.1 サンプリング日時
サンプリングは第1回が平成 17 年2月2日、第2回は平成 17 年 8 月 9 日、サンプリング日時につ
いて表1にまとめて示した。サンプリングは 1 日とした。
表 1 サンプリング日時
A 測定(60 分間)
平成 17 年2月 2 日 15 時 00 分 -16 時 00 分
平成 17 年8月 9 日 15 時 00 分 -16 時 00 分
備 考
1 日測定
B 測定(10 分間)
14 時 51 分 -15 時 01 分
14 時 51 分 -15 時 01 分
2.2 測定項目
測定項目はノルマルヘキサン、ふっ化水素、シアン化水素の 3 種類を行った。
測定対象物質と測定方法について、表2にまとめた。
表 2 測定対象物質と測定方法
測定対象物質
管理濃度
試料採取方法等
シアン化水素 特定化学物質等
5ppm
検知管
ガステックガス採取器 No12L(シアン化水素用)
ガステックガス採取器 No12L(ふっ化水素用)
ふっ化水素
特定化学物質等
3ppm
検知管
ノルマンヘキサン
有機溶剤
50ppm
固体補修法
補集器具名及び型式
エアーオートサンプラー
使用機器名及び型式
島津 GC-17A(ガスクロマ
トクラフ装置)
その他条件
0.2L/min,
60min,12L
2.3 測定場所および単位作業場所の概要
単位作業場所(無機系廃液処理施設(262㎡))の A 測定の位置(8箇所)および B 測定の位置(廃液の(原
廃液)投入口。廃液を移すときが化学物質を一番浴びるところ。)を図1の図面上に示した(写真2,3
を参照)。
2.3.1 有害物質濃度の分布状況
廃液受槽にポリ容器から手作業で移液していたが、投入口のストレーナーが詰まり気味なため廃液が
常時投入口に溜まった状態になり、廃液受槽周辺のガス濃度が高くなると思われた ( 平成 17 年2月2
日 )。
廃液受槽にポリ容器から手作業で移液していたが、投入口ストレーナーの目詰まりが殆どなく廃液が
スムーズに廃液受槽に流れ込んでいたため、ガスの漏れはなく全体的に低濃度と思われた(平成 17 年
8 月 9 日)。
− 40 −
無機系廃液処理施設
8.4m
シャッター 開
8.7m
4.0m
薬液倉庫
8
7
シャッター 開
開
写真廃液ポリタンク
B
給水ユニット
薬品ユニット
薬品ユニット
17.5m
3
薬品ユニット
ドレン
ピット
ボイラーユニット
排ガス処理ユニット
管理室
中和吸着
処理ユニット
初期ろ液ピット
開
4
B
廃液受槽
NaOH
貯槽
放流槽
B
放流槽
A
脱水処理ユニット ろ液ピット
開
5
シアン 水銀 フッ酸
倉庫
ドレン
ピット
A
6
重金属廃液受槽
トイレ
操作盤
棚
灯油タンク
開
酸化分解
処理ユニット
2
1
重金属
廃液ユニット
閉
開
13.0m
記号 1 2 3
:発生源
B :B測定点
・
・
・
:
A測定
:囲い式フード
:気流滞留状況
● :併行測定点
:外付け式フード
、
:風向き
:単位作業場所の範囲
* 単位作業場の縦・横の寸法は必ず記入すること。
その他必要
な事項については記載要領を参照。
図 1 単位作業場および測定点
図1 単位作業場および測定点
図 3 B 測定の様子
図 2 A 測定の様子
− 41 −
2.3.2 労働者の作業中の行動範囲
2 名の作業者が、廃液受槽への廃液投入と投入後の廃液処理のため、処理施設内を頻繁に往来してい
た。
2.4 サンプリング実施時の状況
サンプリング実施時に単位作業場所で行われていた作業、設備の稼動状況等及び測定値に影響を及ぼ
したと考えられる事項の概要
2.4.1 作業工程と発生源及び作業者数
作業者 2 名が、廃液受槽への廃液投入作業を 20 分間程度行い、その後は投入した廃液の処理作業で
プラント内を往来していた。廃液投入中はストレーナーからのガス漏れは殆どないと思われた。
2.4.2 設備、排気装置の稼動状況
廃液処理施設全体が稼動していた。廃液受槽に設置してある局排は効率よく稼動していた。
2.4.3 ドア、窓の開閉状況
出入口は一部閉止、シャッターは開放されていた。
2.4.4 単位作業場所の周辺からの影響
他の作業場からの影響はなかった。
表 4 A 測定地点
No.
発生源は B 測定を行った場所のみで、それ以外では
シアン化水素
[ ppm ]
ふっ化水素
[ppm]
ノルマルヘキサン
[ppm]
1
0.1
0.1
0.5
ガスの発生は殆どみられなかった。
2
0.1
0.1
0.5
3
0.1
0.1
0.5
4
0.1
0.1
0.5
5
0.1
0.1
0.5
6
0.1
0.1
0.5
7
0.1
0.1
0.5
8
0.1
0.1
0.5
2.4.5 各測定点に関する特記事項
2.5 測定結果
2.5.1 平成 17 年 2 月 2 日測定結果
表 3 温度、湿度、気流
温度
5 ℃
湿度
40%
気流
0 ~ 1.0m/ s
温度、湿度、気流について表3にまとめたA測定地点の化学物質の濃度を表4におよび測定結果を表
5にまとめた。
表 5 測定結果
A測定
幾何平均値
幾何標準偏差
第1評価値
第2評価値
B 測定 (CB)
シアン化水素
1日目
全体
0.1
0.1
1.00
1.95
0.3
0.1
0.1
ふっ化水素
1日目
全体
0.1
0.1
1.00
1.95
0.3
0.1
0.1
[濃度:ppm]
ノルマルヘキサン
1日目
全体
0.5
0.5
1.00
1.95
1.5
0.6
0.5
評価結果について表6に示す。
表 6 評価結果
A 測定の結果
B 測定の結果
管 理 区 分
シアン化水素
EA 1< E
CB < E
第1
ふっ化水素
EA 1< E
CB < E
第1
[濃度:ppm]
ノルマルヘキサン
EA 1< E
CB < E
第1
− 42 −
EA1:第1評価値
EA2:第2評価値
CB:B 測定の濃度
表 8 A 測定地点
No.
温度、湿度、気流について表7に、A測定地点の化学
シアン化水素
[ppm]
ふっ化水素
[ppm]
ノルマルヘキサン
[ppm]
1
0.1
0.1
0.5
物質の濃度を表8に、測定結果を表9に、および評価結
2
0.1
0.1
0.5
3
0.1
0.1
0.5
4
0.1
0.1
0.5
5
0.1
0.1
0.5
6
0.1
0.1
0.5
7
0.1
0.1
0.5
8
0.1
0.1
0.5
2.5.2 平成 17 年 8 月 9 日測定
果を表10に示す。
表 7 温度、湿度、気流
温度
35 ℃
湿度
53%
気流
0 ~ 1.0m/ s
表 9 測定結果
A測定
幾何平均値
幾何標準偏差
第1評価値
第2評価値
B 測定 (CB)
シアン化水素
1日目
全体
0.1
0.1
1.00
1.95
0.3
0.1
0.1
ふっ化水素
1日目
全体
0.1
0.1
1.00
1.95
0.3
0.1
0.1
表 10 評価結果
A 測定の結果
B 測定の結果
管 理 区 分
シアン化水素
EA 1< E
CB < E
第1
ふっ化水素
EA 1< E
CB < E
第1
[濃度:ppm]
ノルマルヘキサン
1日目
全体
0.5
0.5
1.00
1.95
1.5
0.6
0.5
[濃度:ppm]
ノルマルヘキサン
EA 1< E
CB < E
第1
EA1:第1評価値
EA2:第2評価値
CB:B 測定の濃度
3.管理区分と評価
管理区分は第一区分であり、B 測定においても大丈夫ではあったが、廃液を投入するところで問題が
出た ( 平成 17 年2月2日 )。投入口のストレーナーが詰まり気味なため廃液が常時投入口に溜まった状
態になり、そのため廃液受槽周辺のガス濃度が高くなると思われ、改善の必要性があることが指摘され
た。2 回目の作業環境測定においては指摘点を改善し作業環境測定を行った。
4.おわりに
作業環境測定を行ったことから改めて廃液処理作業において、有害物質をどの作業において暴露され
るかについて考えさせられた。作業環境測定は廃液の処理日程に2回とも合わせて行った。この施設で
は廃液を回収し次回の処理までは廃液を施設内に貯蔵しいているため処理施設に入るときには臭気を感
じることが多い。そのため換気扇(排気装置)を稼働した後に建物の中に入るように心がけている。今
回は 3 種類の化学物質の測定した結果、いずれも管理濃度以下であった。しかし、臭気のある廃液から
は他の化学物質も出ているのか気になった。本来は有機物質が少ないと思われる無機系廃液が有機系廃
液のにおいがすることから、無機廃液から化学物質が気体となって出てきている可能性がある。他の化
学物質の作業環境測定についても考える必要があると思われる。
− 43 −
4.排水処理センター報告
(山口大学における排水処理状況報告(2004 年度))
排水処理センター 藤 原 勇 2004 年度の排水処理状況を以下に示す。内訳は無機系廃液、有機系廃液、写真廃液があり、それぞ
れの回収量、処理量および排水の水質等を示した。
無機系廃液の状況
無機系廃液は、2004 年度は年 6 回回収を行った(表 1 −1)。フェライト法による廃液処理を1回目
は 2004 年8月9日-8月 14 日に,2回目は 2005 年 1 月 31 日-2月5日の2回行い合計 2,368 リット
ルを処理した。なお、処理水の BOD 濃度が高いため希釈して放流した。処理量の内訳を表 2-1 に示す。
さらに、本装置で処理できない廃液 2,319 リットルを(有)大新金属商会によって学外処理を行った。
フェライト法により処理された後の処理水を表 2-2 に示した。排出基準以下になった処理水は吉田地区
の下水道排水に合流し放流される。処理工程で発生したスラッジは倉庫に保管している。
有機系廃液、写真廃液の状況
有機系廃液は、年4回分別回収されて(有)大新金属商会により引き取られ焼却処理が行われた(表
1− 2A)。(表1− 2B)は,産業廃棄物廃液(産廃)と特別管理産業廃棄物(特管)とを区分して示し
た。写真廃液は年3回回収を行い(有)大新金属商会により処理を行った。なお定着液には銀が含まれ
ているが銀濃度が低いため処理費を払って処理した。(表1− 3)
下水道排水等の状況
6月と12月には常盤地区(工学部)、小串地区(医学部、病院、医短)及び吉田地区(その他の学部)
の下水道排水口水質調査を行った(表3)。吉田地区の4部局の実験洗浄排水が流れ込む枡の排水の水
質を6月および12月に調査した(表4)。また、地方自治体の下水道管理課による採水結果(2005 年
2月9日、23日)を表5に示す。各地区の排水の採取地点を図1に示した。
その他
1)2004 年度の排水処理運営費決算表を表に示した(表6)。2004 年度から大学が法人化された後の予
算決算様式に基づいて作成した。
2)2004 年度の廃棄ポリタンクの集計表(表7)及び新規ポリタンクの配布表(表8)を示した。
3)2004 年度の吉田地区 pH 異常記録をそれぞれ建物毎(図2)、時間毎(図3)、pH 毎(図4)、曜日毎(図
5)について整理して示した。
− 44 −
− 45 −
0
0
242
397
597
294
2,329
49.69%
2004年 9月 6日
2004年11月 8日
2005年 1月 17日
2005年 2月 21日
合 計
全体との比率
0.85%
40
0
0
0
40
0
0
教 育
学 部
0.00%
0
0
0
0
0
0
0
経 済
学 部
24.49%
1,148
0
0
719
754
2,620
20.83%
2004年12月 8日
2005年 2月 24日
合 計
全体との比率
0.00%
0
0
0
0
0
教 育
学 部
0.00%
0
0
0
0
0
経 済
学 部
0
0
0
0
0
0.00%
0
0
12
0.51%
2004年11月 8日
2005年 2月 21日
合 計
全体との比率
0.00%
0
0
0
12
回収年月日
2004年 7月 5日
教 育
学 部
人 文
学 部
理学部
学 部
0.00%
0
0
0
0
経 済
学 部
表1-3A 写真廃液回収量
(学部別)
0.00%
0
0
665
2004年 9月 22日
0
人 文
学 部
482
理学部
2004年 6月 1日
回収年月日
学 部
84
169
292
107
225
271
農学部
2.82%
132
0
51
0
0
81
0
1.90%
89
39
0
38
0
12
0
18.33%
859
162
0
468
0
229
0
大 学
教 育 医学部 工学部
センター
1.02%
24
14
10
0
農学部
11.15%
1,402
553
138
465
246
12.80%
1,610
542
357
361
350
0.00%
0
0
0
0
70.17%
1,651
419
497
735
大 学
教 育 医学部
センター
0.00%
0
0
0
0
0
5.69%
134
0
0
134
工学部
41.03%
5,161
2,392
950
799
1,020
大 学
農学部 教 育 医学部 工学部
センター
表1-2A 有機系廃液回収量
(学部別)
0.00%
0
0
0
0
459
2004年 7月 5日
0
人 文
学 部
340
理学部
2004年 5月 10日
回収年月日
学 部
表1-1A 2004年度無機系廃液回収量
(学部別)
1.49%
70
10
30
0
0
30
0
排 水
処 理
センター
100.00%
4,687
589
847
1,205
389
1,046
611
合 計
0.00%
0
0
0
0
附 属
病 院
14.13%
1,777
539
297
504
437
100.00%
12,579
4,780
2,461
2,803
2,535
合 計
22.61%
532
0
298
234
排 水
処 理
センター
100.00%
2,353
433
805
1,115
合 計
(単位:Kg)
0.07%
9
0
0
9
0
排 水
附 属
処 理
病 院
センター
(単位:リットル)
0.43%
20
0
0
10
0
10
0
附 属
病 院
(単位:リットル)
3,639
3.07%
144
30
30
54
0
30
0
水 銀
7.04%
330
47
27
143
10
73
30
シアン
78.60%
9,887
3,633
2,096
2,245
1,913
7.63%
960
585
89
240
46
6.85%
862
332
127
124
279
781
33.19%
1,572
66.81%
全体との比率
合 計
180
253
2005年 2月 21日
240
565
2004年11月 8日
361
定 着 液
754
現 像 液
2004年 7月 5日
回収年月日
種 類 別 内 訳
6.92%
870
230
149
194
297
第一類廃液 第一類特管 第二類廃液 第二類特管
表1-3B 写真廃液回収量
(種類別)
全体との比率
合 計
2005年 2月 24日
2004年12月 8日
2004年 9月 22日
2004年 6月 1日
回収年月日
種 類 別 内 訳
5.65%
265
0
0
6
5
235
19
0.06%
3
0
0
0
0
3
0
100.00%
4,687
589
847
1,205
389
1,046
611
合 計
85.45%
10,749
3,965
2,223
2,369
2,192
100.00%
2,353
433
805
1,115
合 計
14.55%
1,830
815
238
434
343
特管計
(種類別内訳)
産廃計
(単位:Kg)
100.00%
12,579
4,780
2,461
2,803
2,535
合 計
(単位:リットル)
6.53%
306
38
89
76
32
34
37
ふっ素・りん ふっ素りん重金属 特定廃液
表1-2B 有機系廃液回収量
(種類別)
77.64%
合 計
全体との比率
474
701
926
342
671
525
重 金 属
2005年 2月 21日
2005年 1月 17日
2004年11月 8日
2004年 9月 6日
2004年 7月 5日
2004年 5月 10日
回収年月日
(単位:リットル)
種 類 別 内 訳
表1-1B 無機系廃液回収量
(種類別)
表 2−1 A 無機系廃液処理量(学内処理)
処 理 年 月 日
重金属
*
単位:リットル
種 類 別 内 訳
ふっ素・りん
水 銀
シ ア ン
104
0
60
合 計
2004年8月 9日∼ 8月 14日
887
2005年1月 31日∼ 2月 5日
1,241
70
0
6
1,051
1,317
合 計
2,128
174
0
66
2,368
*重金属廃液にふっ素・りん・重金属廃液が含まれる
表2−1 B 無機系廃液処理量(学外処理)
処 理 年 月 日
重金属
水 銀
単位:リットル
種 類 別 内 訳
シアン
ふっ素・りん ふっ素・りん・重金属
特定廃液
合 計
2004年 10月 22日
315
0
103
194
71
3
686
2005年 3月 15日
1,092
74
227
5
235
0
1,633
合 計
1,407
74
330
199
306
3
2,319
表2−2 無機系廃液処理水水質検査結果表
測 定 項 目
pH
水 温
BOD
COD
SS
n−ヘキサン抽出物
カドミウム
シアン
有機燐
鉛
六価クロム
ひ素
水銀
アルキル水銀
フェノール
銅
亜鉛
溶解性鉄
溶解性マンガン
クロム
ふっ素
ポリ塩化ビフェニル
トリクロロエチレン
テトラクロロエチレン
ジクロロメタン
四塩化炭素
1,2-ジクロロエタン
1,1-ジクロロエチレン
シス-1,2-ジクロロエチレン
1,1,1-トリクロロエタン
1,1,2-トリクロロエタン
1,3-ジクロロプロペン
チウラム
シマジン
チオベンカルブ
ベンゼン
セレン
よう素消費量
ほう素及びその化合物
アンモニア、アンモニウム化合物、
亜硝酸化合物及び硝酸化合物
2004 年 8 月 9 日−8 月 14 日
2005 年 1 月 31 日 -2 月 5 日
処理水 A
処理水 A
℃
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
mg/ℓ
7.7
26.8
380
95
5.9
2.8
0.001
0.1
0.1
0.006
0.04
0.005
0.0005
0.0005
0.02
0.01
0.01
0.1
0.1
0.02
1.2
0.0005
0.002
0.0005
0.002
0.0002
0.0004
0.002
0.004
0.0005
0.0006
0.0002
0.003
0.0015
0.01
0.001
0.002
13
0.5
mg/ℓ
50
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
処理水 B
8.1
26.6
480
120
11
2.2
0.001
0.1
0.1
0.005
0.04
0.005
0.0005
0.0005
0.02
0.01
0.01
0.1
0.1
0.02
1.1
0.0005
0.002
0.0005
0.002
0.0002
0.0004
0.002
0.004
0.0005
0.0006
0.0002
0.003
0.0015
0.01
0.001
0.002
21
0.5
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
45
− 46 −
7.6
9.5
450
110
0.5
0.5
0.006
0.1
0.1
0.005
0.04
0.005
0.0005
0.0005
0.02
0.08
0.01
0.3
0.1
0.02
0.1
0.0005
0.002
0.0005
0.003
0.0002
0.0004
0.002
0.004
0.0005
0.0006
0.0002
0.003
0.0015
0.01
0.001
0.002
8.2
0.7
180
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
処理水 B
7.7
8.1
510
120
0.8
0.5
0.003
0.1
0.1
0.005
0.04
0.005
0.0005
0.0005
0.02
0.05
0.02
0.2
0.2
0.02
0.1
0.0005
0.002
0.0005
0.004
0.0002
0.0004
0.002
0.004
0.0005
0.0006
0.0002
0.003
0.0015
0.01
0.001
0.002
10
0.7
150
排出基準値
5.8∼8.6
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
未満
30
0.1
1
1
0.1
0.5
0.1
0.005
検出されないこと
5
3
5
10
10
2
15
検出されないこと
0.3
0.1
0.2
0.02
0.04
0.2
0.4
3
0.06
0.02
0.06
0.03
0.2
0.1
0.1
10
100
表 3−1 下水道排出口水質検査結果表 NO.1 2004 年 6 月 11 日採水
小串地区
測 定 項 目
吉田地区
常盤地区1
常盤地区2
常盤地区3
時 間
15:48
15:40
15:50
16:00
16:15
7.8
7.7
7.6
8.1
8.0
pH
水 温
℃
22.3
25.5
22.8
21.7
26.5
排出基準値 *
5∼9 BOD
mg/ℓ
100
270
160
43
140
COD
mg/ℓ
44
110
65
23
53
69
94
83
33
45
600
600
SS
mg/ℓ
窒素(T−N)
mg/ℓ
26
60
36
24
35
240
燐(T−P)
mg/ℓ
2.1
3.9
3.0
1.4
3.0
32
n-ヘキサン抽出物
mg/ℓ
2.8
4.8
5.8
1.4
4.5
30
カドミウム
mg/ℓ
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.1
シアン
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
1
有機燐
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
1
鉛
mg/ℓ
六価クロム
mg/ℓ
0.04 未満
ひ素
mg/ℓ
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.1
水銀
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.005
アルキル水銀
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
検出されないこと
フェノール
mg/ℓ
0.02 未満
0.05
0.10
0.02 未満
0.03
5
銅
mg/ℓ
0.02
0.02
0.02
0.02
0.03
3
亜鉛
mg/ℓ
0.16
0.22
0.15
0.13
0.09
5
溶解性鉄
mg/ℓ
0.2
0.1
0.2
0.1 未満
0.2
10
溶解性マンガン
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
10
クロム
mg/ℓ
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
2
ふっ素
mg/ℓ
0.16
ポリ塩化ビフェニル
mg/ℓ 0.0005 未満
トリクロロエチレン
mg/ℓ
テトラクロロエチレン
ジクロロメタン
mg/ℓ
四塩化炭素
1,2-ジクロロエタン
1,1-ジクロロエチレン
mg/ℓ
0.002 未満
シス-1,2-ジクロロエチレン
mg/ℓ
0.004 未満
0.004 未満
0.004 未満
1,1,1-トリクロロエタン
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
1,1,2-トリクロロエタン
mg/ℓ 0.0006 未満
0.0006 未満
0.0006 未満
1,3-ジクロロプロペン
mg/ℓ 0.0002 未満
0.0002 未満
チウラム
mg/ℓ
0.003 未満
0.003 未満
シマジン
mg/ℓ 0.0015 未満
0.0015 未満
チオベンカルブ
mg/ℓ
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
ベンゼン
mg/ℓ
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
セレン
mg/ℓ
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
よう素消費量
mg/ℓ
7.5
14
14
7.9
12
ほう素
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
7.9
18
11
8.2
11
0.018
0.005 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.011
0.04 未満
0.1
0.5
0.1 未満
0.1 未満
8
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.003
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.3
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.1
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.2
mg/ℓ 0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.02
mg/ℓ 0.0004 未満
0.0004 未満
0.0006
0.0004 未満
0.0004 未満
0.04
0.002 未満
0.002 未満
0.2
0.004 未満
0.004 未満
0.4
0.0005 未満
0.0005 未満
3
0.0006 未満
0.0006 未満
0.06
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.02
0.003 未満
0.003 未満
0.003 未満
0.06
0.0015 未満
0.0015 未満
0.0015 未満
0.03
0.01 未満
0.01 未満
0.2
0.001 未満
0.001 未満
0.1
0.002 未満
0.1
アンモニア、亜硝酸性及び
mg/ℓ
硝酸性窒素
0.12
0.005 未満
0.0005 未満
0.010
0.20
0.013
0.002 未満
0.002 未満
*「水質汚濁防止法」による基準値
− 47 −
0.012
220
10
100
表 3−2 下水道排出口水質検査結果表 NO.2 2004 年 12 月 3 日採水
小串地区
測 定 項 目
吉田地区
常盤地区1
常盤地区2
常盤地区3
時 間
15:50
16:18
16:05
15:50
16:35
7.5
9.1
7.3
8.6
7.1
pH
排出基準値 *
5∼9 水 温
℃
18.9
18.0
17.2
17.2
20.0
BOD
mg/ℓ
75
120
130
22
190
COD
mg/ℓ
55
97
66
17
110
SS
mg/ℓ
67
46
180
17
97
600
窒素(T−N)
mg/ℓ
24
180
30
27
30
240
燐(T−P)
mg/ℓ
2.2
11
2.4
0.87
2.7
32
n-ヘキサン抽出物
mg/ℓ
5.9
4.0
53
0.6
34
30
カドミウム
mg/ℓ
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.1
シアン
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
1
有機燐
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
1
鉛
mg/ℓ
六価クロム
mg/ℓ
0.04 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.5
ひ素
mg/ℓ
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.1
水銀
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.005
アルキル水銀
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
検出されないこと
フェノール
mg/ℓ
0.02 未満
0.20
0.06
0.02 未満
0.06
5
銅
mg/ℓ
0.01
0.01 未満
0.01 未満
0.02
0.04
3
亜鉛
mg/ℓ
0.11
0.09
0.09
0.10
0.62
5
溶解性鉄
mg/ℓ
0.2
0.2
10
溶解性マンガン
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
10
クロム
mg/ℓ
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
2
ふっ素
mg/ℓ
0.18
0.20
0.29
0.1 未満
0.1 未満
8
ポリ塩化ビフェニル
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.003
トリクロロエチレン
mg/ℓ
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.3
テトラクロロエチレン
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.1
ジクロロメタン
mg/ℓ
四塩化炭素
mg/ℓ 0.0002 未満
0.0002 未満
1,2-ジクロロエタン
mg/ℓ 0.0004 未満
0.0004 未満
1,1-ジクロロエチレン
mg/ℓ
0.002 未満
0.002 未満
シス-1,2-ジクロロエチレン
mg/ℓ
0.004 未満
0.004 未満
1,1,1-トリクロロエタン
mg/ℓ 0.0005 未満
1,1,2-トリクロロエタン
mg/ℓ 0.0006 未満
1,3-ジクロロプロペン
mg/ℓ 0.0002 未満
チウラム
mg/ℓ
0.003 未満
0.003 未満
0.003 未満
シマジン
mg/ℓ 0.0015 未満
0.0015 未満
0.0015 未満
チオベンカルブ
mg/ℓ
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
ベンゼン
mg/ℓ
0.001 未満
0.001 未満
セレン
mg/ℓ
0.002 未満
0.002 未満
よう素消費量
mg/ℓ
6.4
42
11
5.7
ほう素
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
6.9
66
8.5
10
6.2
アンモニア、亜硝酸性及び
mg/ℓ
硝酸性窒素
0.019
0.003
0.005 未満
0.008
0.1 未満
0.002 未満
0.1
0.070
0.007
0.1 未満
0.017
600
0.1
0.002 未満
0.002 未満
0.2
0.0002 未満
0.0002 未満
0.02
0.0004 未満
0.0004 未満
0.04
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.2
0.004 未満
0.004 未満
0.004 未満
0.4
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
3
0.0006 未満
0.0006 未満
0.0006 未満
0.0006 未満
0.06
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.02
0.003 未満
0.003 未満
0.06
0.0015 未満
0.0015 未満
0.03
0.01 未満
0.01 未満
0.2
0.001
0.001 未満
0.001 未満
0.1
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.1
0.0002 未満
0.016
*
「水質汚濁防止法」による基準値
− 48 −
12
220
10
100
表 4−1 理科系各学部水質検査結果 NO.1 2004 年6月 11 日採水
共通教育センター
測 定 項 目
時 間
pH
水 温
℃
教育学部
理学部
農学部
総合研究棟
16:27
15:55
16:18
16:05
16:12
7.5
7.1
7.6
7.3
7.3
21.7
22.0
24.4
0.5
2.6
0.6
21.1
20.8
排出基準値 *
5.8-8.6 n-ヘキサン抽出物
mg/ℓ
カドミウム
mg/ℓ
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.1
シアン
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
1
有機燐
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
1
鉛
mg/ℓ
六価クロム
mg/ℓ
0.04 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.5
ひ素
mg/ℓ
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.1
水銀
mg/ℓ 0.0043
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.005
アルキル水銀
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
検出されないこと
フェノール
mg/ℓ
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
5
銅
mg/ℓ
0.03
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
0.02
3
亜鉛
mg/ℓ
0.17
0.15
0.05
0.04
0.08
5
溶解性鉄
mg/ℓ
0.3
0.2
0.1 未満
0.1
0.1
10
溶解性マンガン
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
10
クロム
mg/ℓ
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
2
ふっ素
mg/ℓ
0.14
0.10
8
ポリ塩化ビフェニル
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.003
トリクロロエチレン
mg/ℓ
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.3
テトラクロロエチレン
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.1
ジクロロメタン
mg/ℓ
四塩化炭素
mg/ℓ 0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.02
1,2-ジクロロエタン
mg/ℓ 0.0004 未満
0.0004 未満
0.0004 未満
0.0004 未満
0.0004 未満
0.04
1,1-ジクロロエチレン
mg/ℓ
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.2
シス-1,2-ジクロロエチレン
mg/ℓ
0.004 未満
0.004 未満
0.004 未満
0.004 未満
0.004 未満
0.4
1,1,1-トリクロロエタン
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
3
1,1,2-トリクロロエタン
mg/ℓ 0.0006 未満
0.0006 未満
0.0006 未満
0.0006 未満
0.0006 未満
0.06
1,3-ジクロロプロペン
mg/ℓ 0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.02
チウラム
mg/ℓ
0.003 未満
0.003 未満
0.003 未満
0.003 未満
0.003 未満
0.06
シマジン
mg/ℓ 0.0015 未満
0.0015 未満
0.0015 未満
0.0015 未満
0.0015 未満
0.03
チオベンカルブ
mg/ℓ
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
0.2
ベンゼン
mg/ℓ
0.002
0.001 未満
0.002
0.001 未満
0.001 未満
0.1
セレン
mg/ℓ
0.002 未満
0.002 未満
0.002
0.002 未満
0.002 未満
0.1
ほう素
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
10
アンモニア、亜硝酸性及び
硝酸性窒素
mg/ℓ
20
0.040
0.008
0.34
0.6
0.009
0.007
0.1 未満
0.001
0.27
0.002
1.3
0.1 未満
0.58
*
「水質汚濁防止法」
による基準値
− 49 −
0.005
0.1 未満
0.005
0.1 未満
0.024
0.013
0.13
30
0.1
0.2
100
表 4−2 理科系各学部水質検査結果 NO.2 2004 年 12 月 3 日採水
共通教育センター
測 定 項 目
時 間
pH
水 温
℃
教育学部
理学部
農学部
総合研究棟
16:40
16:00
16:33
16:15
16:24
7.2
7.1
7.3
6.8
6.7
16.5
18.3
19.8
0.6
1.7
9.2
15.0
16.5
排出基準値 *
5.8-8.6 n-ヘキサン抽出物
mg/ℓ
0.5 未満
0.5 未満
カドミウム
mg/ℓ
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.001 未満
0.1
シアン
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
1
有機燐
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
1
鉛
mg/ℓ
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.1
六価クロム
mg/ℓ
0.04 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.04 未満
0.5
ひ素
mg/ℓ
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.005 未満
0.1
水銀
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.005
アルキル水銀
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
検出されないこと
フェノール
mg/ℓ
0.04
0.03
0.02 未満
0.03
0.03
5
銅
mg/ℓ
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
0.02
3
亜鉛
mg/ℓ
0.13
0.24
0.07
0.06
0.13
5
溶解性鉄
mg/ℓ
0.1 未満
0.2
0.1 未満
0.1
0.1
10
溶解性マンガン
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
10
クロム
mg/ℓ
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
0.02 未満
2
ふっ素
mg/ℓ
0.50
0.15
0.11
0.15
0.18
8
ポリ塩化ビフェニル
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.003
トリクロロエチレン
mg/ℓ
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.3
テトラクロロエチレン
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.1
ジクロロメタン
mg/ℓ
四塩化炭素
mg/ℓ 0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.02
1,2-ジクロロエタン
mg/ℓ 0.0004 未満
0.0004 未満
0.0004 未満
0.0004 未満
0.0004 未満
0.04
1,1-ジクロロエチレン
mg/ℓ
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.2
シス-1,2-ジクロロエチレン
mg/ℓ
0.004 未満
0.004 未満
0.004 未満
0.004 未満
0.004 未満
0.4
1,1,1-トリクロロエタン
mg/ℓ 0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
0.0005 未満
3
1,1,2-トリクロロエタン
mg/ℓ 0.0006 未満
0.0006 未満
0.0006 未満
0.0006 未満
0.0006 未満
0.06
1,3-ジクロロプロペン
mg/ℓ 0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.02
チウラム
mg/ℓ
0.003 未満
0.003 未満
0.003 未満
0.003 未満
0.003 未満
0.06
シマジン
mg/ℓ 0.0015 未満
0.0015 未満
0.0015 未満
0.0015 未満
0.0015 未満
0.03
チオベンカルブ
mg/ℓ
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
0.01 未満
0.2
ベンゼン
mg/ℓ
0.001
0.001 未満
0.001
0.001 未満
0.001
0.1
セレン
mg/ℓ
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.002 未満
0.1
ほう素
mg/ℓ
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
0.1 未満
10
アンモニア、亜硝酸性及び mg/ℓ
硝酸性窒素
0.1 未満
1.2
0.078
0.002 未満
0.011
0.003
0.041
0.88
*「水質汚濁防止法」による基準値
− 50 −
0.003
1.2
0.16
0.004
1.9
30
0.2
100
表5 山口市および宇部市下水道管理課の測定による計量証明
吉田地区
地 区 名
採 水 年 月 日
単位
採水時刻
水温
小串地区(医学部) 常盤地区(工学部)
平成 17 年 2 月 23 日 平成 17 年 2 月 9 日 平成 17 年 2 月 9 日
℃
pH(水温 ℃)
基 準 値
測定結果
測定結果
測定結果
11:05
14:40
9:15
12.9
17.0
11.0
40℃未満
5∼9
7.5(18)
6.1(21)
8.1(20)
COD
mg/ℓ
54
−
−
BOD
mg/ℓ
65
290
59
600 mg/ℓ
SS
mg/ℓ
57
130
37
600 mg/ℓ
T-N
mg/ℓ
19
31
23
240 mg/ℓ
T-P
mg/ℓ
1.8
3.6
1.9
32 mg/ℓ
ノルマルヘキサン抽出物質(鉱油類)
mg/ℓ
−
N.D(<0.5)
N.D(<0.5)
ノルマルヘキサン抽出物質(動植物油類)
mg/ℓ
3
32
2.1
フェノール類
mg/ℓ
ND
0.09
N.D(<0.02)
5 mg/ℓ
銅
mg/ℓ
ND
0.03
N.D(<0.01)
3 mg/ℓ
亜鉛
mg/ℓ
0.09
0.11
0.18
5 mg/ℓ
溶解性鉄
mg/ℓ
0.2
0.1
0.1
10 mg/ℓ
溶解性マンガン
mg/ℓ
ND
N.D(<0.1)
N.D(<0.1)
10 mg/ℓ
総クロム
mg/ℓ
ND
N.D
(<0.02)
N.D(<0.02)
フッ素化合物
mg/ℓ
0.1
0.24
0.22
15 mg/ℓ
0.1 mg/ℓ
5 mg/ℓ
30 mg/ℓ
2 mg/ℓ
カドミウム
mg/ℓ
ND
N.D(<0.001)
N.D(<0.001)
シアン化合物
mg/ℓ
ND
N.D(<0.1)
N.D(<0.1)
有機リン化合物
mg/ℓ
ND
N.D(<0.1)
N.D(<0.1)
鉛
mg/ℓ
ND
N.D(<0.005)
N.D(<0.005)
0.1 mg/ℓ
六価クロム
mg/ℓ
ND
N.D
(<0.04)
N.D(<0.04)
0.5 mg/ℓ
ひ素
mg/ℓ
ND
N.D(<0.005)
N.D(<0.005)
0.1 mg/ℓ
総水銀
mg/ℓ
ND
N.D(<0.0005)
N.D(<0.0005)
ポリ塩化ビフェニル
mg/ℓ
ND
−
−
検出されないこと
トリクロロエチレン
mg/ℓ
ND
−
−
0.3 mg/ℓ
テトラクロロエチレン
mg/ℓ
ND
−
−
0.1 mg/ℓ
ジクロロメタン
mg/ℓ
ND
−
−
0.2 mg/ℓ
四塩化炭素
mg/ℓ
ND
−
−
0.02 mg/ℓ
1,2- ジクロロエタン
mg/ℓ
ND
−
−
0.04 mg/ℓ
1,1- ジクロロエチレン
mg/ℓ
ND
−
−
0.2 mg/ℓ
シス -1,2- ジクロロエチレン
mg/ℓ
ND
−
−
0.4 mg/ℓ
1,1,1- トリクロロエタン
mg/ℓ
ND
−
−
3 mg/ℓ
1,1,2- トリクロロエタン
mg/ℓ
ND
−
−
0.06 mg/ℓ
1,3- ジクロロプロペン
mg/ℓ
ND
−
−
0.02 mg/ℓ
チウラム
mg/ℓ
ND
−
−
0.06 mg/ℓ
シマジン
mg/ℓ
ND
−
−
0.03 mg/ℓ
チオベンカルブ
mg/ℓ
ND
−
−
0.2 mg/ℓ
ベンゼン
mg/ℓ
ND
−
−
0.1 mg/ℓ
セレン
mg/ℓ
ND
−
−
0.1 mg/ℓ
ホウ素
mg/ℓ
0.2
N.D(<0.1)
N.D(<0.1)
10 mg/ℓ
沃素消費量
mg/ℓ
−
9.5
11
− 51 −
1 mg/ℓ
1 mg/ℓ
0.005 mg/ℓ
220 mg/ℓ
表6 平成16年度 排水処理施設管理運営費決算書
1.総表
区分
一般管理費
予算額
執行額
13,692,000
12,993,148
差引額
備 考
698,852
一般管理費(間接経費)
1,526,700
1,523,949
2,751
計
15,218,700
14,517,097
701,603
2.内訳
区分
①事務費
予算額
529,000
執行額
差引額
309,805
・印刷代
268,800
・消耗品
41,005
②光熱水費
419,000
・電気料
備 考
219,195
環境保全(第20号、1600部)
書籍・その他
413,901
5,099
325,204
・上下水道料
③通信運搬費
④旅費
⑤賃借料
⑥設備修繕費
88,597
7,561
134,000
132,320
32,000
0
32,000
233,000
145,571
87,429
・年間契約
61,446
・複写機保守料
16,505
・現像液・定着廃液回収作業
67,620
⑦業務委託費
12,439 電話料金
20,000
10,550,000
10,214,029
1,680 分科会(金沢;藤原),総会(京都;田頭・藤原)
・自家用電気工作物保全業務(年4回)
・消防用設備定期点検(年2回)
(有)
大新金属商会
335,971
・モニター施設維持管理業務
3,555,386
・水質検査
2,547,300
・ 下水道出口(年2回)
・フェライト処理水(年2回)
・廃液処理費
1,783,761
有機系廃液(年4回)・無機系廃液(年2回学外処
理)・現像廃液(年2回)
・水銀分析
220,500
・運搬作業
114,450
・無機系廃液処理業務
⑧施設維持費
⑨その他
(有)
大新金属商会
(有)
大新金属商会(年6回)
無機系廃液運搬:( 有 ) 大新金属商会(年3回)
NECファシリティーズ:年2回(8月,2月) 1,992,632
257,000
255,150
1,518,000
1,514,811
・大学等安全協議会会費および
講習補助
1,850 無機系廃液処理施設修繕工事
3,189
・特管産業廃棄物講習会受講料
・大学等安全協議会会費
78,350
・仮設発電機設置工事
年2回(停電のため)
197,400
・その他
・薬品(凝集剤,苛性ソーダ,硫酸アルミニウム,
塩化カルシウム,硫酸第一鉄 , 等)・消耗品(ポリ
タンク、スラッジケース)など(設備運転に使用)
1,239,061
⑩間接経費
1,526,700
1,523,949
・パソコン,ソフト
263,949
・空調設備改修工事
1,260,000
計
15,218,700
14,517,097
2,751
排水管理棟エアコン改修
701,603
− 52 −
新規登録及び廃棄処分ポリタンク集計表 2004 年度
表7 無機系廃液回収用ポリタンク廃棄処分集計表
学部
理学部 人文学部 教育学部 経済学部 農学部 共通教育 医学部 工学部 附属病院 排水処理
センター
種類
重 金 属
29
0
1
0
12
10
3
39
0
0
水 銀
0
0
0
0
0
0
1
5
0
0
シ ア ン
6
0
0
0
0
2
1
12
0
0
ふっ素・りん
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
ふっ素・りん・重金属
8
0
0
0
0
0
0
3
0
0
特 定 廃 液
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
現 像 液
14
0
0
0
0
0
30
0
0
0
定 着 液
13
0
0
0
0
0
41
0
0
0
合 計
81
0
1
0
12
12
76
59
0
0
合計
94
6
21
11
11
0
44
54
241
表 8 無機系廃液回収用ポリタンク新規登録集計表
学部
排水処理
理学部 人文学部 教育学部 経済学部 農学部 共通教育 医学部 工学部 附属病院 センター
種類
重 金 属
12
0
0
0
12
0
3
21
5
0
水 銀
0
0
0
0
4
0
2
2
0
0
シ ア ン
0
0
0
0
0
0
1
2
0
0
ふっ素・りん
2
0
0
0
0
0
2
3
0
0
ふっ素・りん・重金属
2
0
0
0
0
0
8
5
0
0
特 定 廃 液
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
現 像 液
2
0
0
0
0
0
54
1
0
0
定 着 液
2
0
0
0
0
0
48
0
0
0
合 計
20
0
0
0
16
0
121
34
5
0
合計
53
8
3
7
15
3
57
50
196
2004 年度吉田地区各建物pH 異常発生記録
35
30
25
回数
20
15
10
5
0
4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3
農学部本館
4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3
理学部北棟(3 号館)
4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3
総合研究棟
理学部本館
共通教育
4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3
教育学部
4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3
解剖実習棟
月
場所
図2 場所毎のpH 異常回数
35
30
25
回数
20
15
10
5
0
時間
8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 不明
図3 時間別回数内訳
180
60
160
50
140
回数
回数
120
100
80
30
20
60
40
20
0
40
10
0
2
3
4
5
6
7
8
9
10
図4 異常排水のpH 内訳
11
12
pH
日
月
火
水
木
金
図5 曜日ごとの内訳
− 53 −
土
曜日
共通教育採水地点
吉田地区採水地点
吉田キャンパス
農学部採水地点
教育学部採水地点
総合研究棟採水地点
理学部採水地点
常盤キャンパス
常盤地区採水地点3
常盤地区採水地点1
常盤地区採水地点2
小串キャンパス
小串地区採水地点
図1 各地区水質検査採水地点
− 54 −
5. 大学等環境安全協議会報告
排水処理センター 藤 原 勇 第22回大学等環境安全協議会総会・研修会
開催日:平成16年 11月 9日、10日
場 所:京都大学 百周年時計台記念館 国際交流ホールⅠ・Ⅱ
11 月9日
挨 拶 大学等環境安全協議会会長 玉浦 裕
文部科学省大臣官房文教施設企画部 加太 孝司
京都大学環境保全センター センター長 高月 紘
研修会 第1部:実務者連絡会企画プログラム (第6回大学等環境安全協議会実務者連絡会 )
実務者連絡会世話人挨拶
浜松医科大学 鈴木 一成
報 告
「法人化後の環境安全施設と労働安全衛生について」のアンケート結果について
世話人 鈴木 一成
事例報告1
1.岡山大学における安全衛生管理(環境安全係業務)
岡山大学安全衛生部安全衛生課環境安全係 田中 雅邦
2.法人化後の処理施設運営形態の変化について 鳥取大学施設環境部 神原 良雄
3.名古屋工業大学における衛生管理者・衛生工学衛生管理者・作業主任者の業務について
名古屋工業大学安全・保健センター 箕浦 寿樹
4.浜松医科大学における衛生管理者・作業主任者の業務について
浜松医科大学医療廃棄物処理センター 鈴木 一成
事例報告2
5.大分大学有機則除外申請の手続きについて 大分大学財務部施設管理課 栗木 浩
6.高エネ研における作業環境測定士の業務について
高エネルギー加速器研究機構 環境安全管理室 平 雅文
全体ディスカッション「労働安全衛生対応をどう進めるか」
実務者連絡会総会
平成 15 年度事業報告及び決算報告、平成 16 年度事業計画及び予算案、平成 17、18 年度役員選出、
実務者連絡会功労賞の贈呈
大学等環境安全協議会総会
平成15年度事業報告、決算報告、監査報告、規約改正、技術賞・功労賞授賞式
平成16年度事業計画、予算案審議、技術賞、功労賞、協議会賞受賞式
技術賞受賞講演 研修会 第2部
特別講演
「有機溶媒による健康影響と労働安全衛生法」
京都工場保健会 理事・京都大学名誉教授 池田 正之
懇親会 国際交流ホールⅢ
− 55 −
11 月 10 日
展望講演 「廃棄物と環境教育」
京都大学環境保全センター 高月 紘
パネルディスカッション 「大学の労働安全対応組織と安全教育」
京都工芸繊維大学、東京大学、長崎大学
挨 拶 大学等環境安全協議会副会長 伊永 隆史
見 学 会 京エコロジーセンター(京都市伏見区深草池ノ内町 13)
今回の総会・研修会は独立法人化後の初めての総会であった。法人化して約半年が過ぎ先の分科会
にも話題となった、法人化して実際にどのように体制が変化したのかについてであった。今回は研修会
の一部に実務者連絡会企画のプログラムが準備された。他大学の実情がよく知りたいと、思われて参加
されている人も多くこの会は盛会であった。先の分科会では、まだ大部分の大学では作業環境測定をし
ていなかったのに対して、すでにいくつかの大学が作業環境を測定しており多くの情報を得た。
総会の前日に企画さていた実務者連絡会が総会研修会の間に行われた。法人化後の安全衛生管理(環
境安全係業務)、処理施設運営形態の変化、衛生管理者・衛生工学衛生管理者・作業主任者の業務につ
いての説明については、大変参考になった。また有機則除外申請の手続きについても、他大学の様子が
よくわかる説明であった。また大学の労働安全対応組織と安全教育については、各大学で異なる物の、
安全教育をどうするかの取り組みについての討論があった。
今回は長年大環境の運営のお世話をされた高月先生が3月を持って定年退官されるということで、
特別講演が組まれた。高月先生の廃棄物の研究についてまた、環境教育の考え方について、楽しい漫画
を交えての講演であった。なお、高月先生は今後もこの大環境協議会には参加されると聞いている。
第21 回大学等環境安全協議会技術分科会
開催日:平成 17 年 7 月 28 日、29 日
場 所:徳島大学 長井記念ホール
7月 28 日
挨拶 大学等環境安全協議会会長 伊永 隆史
文部科学省大臣官房文教施設企画部参事官付企画官 加太 孝司
徳島大学副学長 渋谷 雅之
特別講演
「安全はリスクの考え方をベースに身近な表示と訓練から」 徳島大学 総合科学部 関澤 純
パネルディスカッション
「大学の化学物質管理と CSR 社会」
パネリスト 東京工業大学 玉浦 裕 東北大学 吉岡 敏明 東京大学 刈間 理介
司会者 東京大学 山本 和夫
一般講演
「茨城大学の4S-R運動について」 茨城大学総務部労務課安全衛生係 長谷川照晃
「実験研究設備の運用事例と効果的対策」 (株)山武 ビルシステムカンパニー事業開発部 近藤 寛
「大学等における環境教育と CSR 確立のための一考察 ―企業の環境教育及び CSR 調査結果から―
長崎大学共同研究交流センター 環境マネージメント部門 石橋 康弘
プロジェクト報告
「公立大学等の廃棄物処理実態調査と環境安全推進」 代表者 伊永 隆史
− 56 −
「環境安全学の創成」 代表者 高月 紘
「大学等における化学物質等環境安全対策の手引き作成検討」 代表者 伊永 隆史
「大学等の安衛法(有機則)への対応」 代表者 玉浦 裕
懇親会 (ホテルサンシャイン徳島) 7月29日(金) 特別講演
「徳島県における野生生物保全への取組みと徳島大学-研究と施策・事業と人との連環-」
徳島大学工学部 鎌田 磨人
実務者連絡会企画プログラム
技術報告 「鉄粉法廃液処理施設におけるセレン系廃液処理の試み」 筑波大学環境安全管理室 柏木 保人
「有機廃液管理体制の確立に向けて」 岡山大学安全衛生部安全衛生課環境安全係 秋吉 延崇
「定期メンテナンスの必要性-既存処理施設の耐用年数を延ばす-」
事例報告
「濃厚廃液処理装置における定期メンテナンスについて」 NECファシリティーズ(株) 牟田 英明
「同和式鉄粉法廃液処理装置のメンテナンスについて」 テクノクリーン(株) 小林 満
挨 拶 大学等環境安全協議会 副会長 山本 和夫
分科会も法人化後2年目とあって、先の総会と同じように各大学がどの程度労働安全対策が進んだ
かについて意見交換の場となった。法人化後1年過ぎたわけで、運営の方針、業務が落ち着いて来た時
期での情報交換ではなかったと思う。今回は“CSR”について大学の取り組み、特に化学物質管理につ
いて、パネルディスカッションが行われた。法人化の後の説明責任という意味で、化学物質管理への大
学の取り組み方について、いくつかの大学から説明を受けた。また、大学がこれらに対してどう取り組
んでいくかについて参考になった。また事例報告としての定期メンテナンスの必要性については、興味
深く聞かせて頂いた。山大のプラントも設置されて10年経過して、今まで大した修理もせずに稼働し
てきた。しかし、これからは維持管理を徹底しないと、思いがけない修理工事を伴うトラブルが発生す
ることになるとも限らない。早速、長期的なメンテナンスについて検討することにした。
特定領域研究シンポジウム「環境安全学の創成と教育プログラムの開発」
1)第3回シンポジウム プログラム
日時:平成16年11月8日(月)14:00~16:45
場所:京都大学 百周年時計台記念館 国際交流ホールⅠ
開会挨拶 特定領域研究領域代表 京都大学環境保全センター 高月 紘
「京都大学における化学物質の管理について」 京都大学大学院工学研究科 木下 知己
「化学実験におけるフィジカルリスクと事前評価手法」
横浜国立大学大学院工学研究院工学研究院 三宅 淳巳
「酵母マイクロアレイを用いた大学等より排出される実験廃液の毒性評価」
長崎大学環境保全センター 石橋 康弘
「化学物質のリスクマネジメントとリスクコミュニケーション」 関東学院大学 織 朱實
「小・中・高等学校における環境安全教育の現状と教員研修」
大阪府教育センター 研究員兼指導主事 橘 淳治
研究項目A01「継続性を備えた体系的安全管理システムの構築」より報告
研究項目A02「研究施設のアカウンタビリティ向上のための手法」より報告
− 57 −
研究項目A03
「環境負荷を最小化するための排出側と処理側の双方向コミュニケーション」より報告
全体討論
評価及び閉会の挨拶 特定領域研究評価者 岡山大学大学院自然科学研究科 篠田 純男
2)第4回特定領域研究シンポジウム
日時:平成 17 年 7 月 29 日(金)13:00 ~ 16:00
場所:徳島大学長井記念ホール(蔵本地区)
開会挨拶 領域代表 京都大学 名誉教授 高月 紘
「米国大学研究機関の EHS プログラムの概要調査」 関東学院大学法学部 助教授 織 朱實
「教育研究機関における労働安全衛生の管理に関する研究」
島根大学 医学部公衆衛生学教室 教授 藤田 委由
「教育研究機関における環境負荷低減と安全性向上のための化学物質管理の規格化」
京都工芸繊維大学環境科学センター 助教授 山田 悦
「教育研究施設のリスク認知と関連する情報の信頼性向上」
京都大学環境保全センター 助教授 渡辺 信久
「実験安全施設の改善一一実験化学者の経験を通して」 京都大学名誉教授 植村 榮
「研究教育現場における事故事例分析とフィジカルリスク管理手法の検討」
横浜国立大学大学院工学研究院機能の創生部門 助教授 三宅 淳巳
「環境負荷最小化のための化学実験ダウンサイジング」
東京都立大学大学院理学研究科 教授 伊永 隆史
「化学実験のダウンサイジング適用可能性調査とエミッション評価」
長崎大学共同研究交流センター環境安全マネージメント部門 助手 石橋 康弘
「実験廃棄物の新規分解技術の開発と、それに対応した廃棄物処理システムの提案」
東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授 大島 義人
「京都大学化学物質管理システム(KUCRS」について) 京都大学大学院工学研究科 助教授 木下 知己
「教育センター及び高校・大学・NPO 連携により環境安全に配慮した実験法の開発と研修」
大阪府教育センター教科教育部理科第二室研究員兼指導主事 橘 淳治
「教育研究機関における環境安全教育の構築と系統化された教育プログラムの開発」
東京工業大学炭素循環エネルギー研究センター 教授 玉浦 裕
全体討論
大環境の総会の前に第3回のシンポジウム及び第4回のシンポジウムが分科会の後に企画された。前
回説明したとおり「環境安全学の創成と教育プログラムの開発」について、非常に多くの面から、化学
物質の管理、化学実験におけるリスクと事前評価、化学物質のリスクマネジメントとリスクコミュニケ
ーション、小・中・高等学校における環境安全教育の現状と教員研修等々についての報告がなされた。
この特定領域をどのようにまとめるかについての議論もなされた。
− 58 −
The 7th Symposium on Asian Academic Network for Environmental Safety and
Waste Management(AANESWM)
CSR(Corporate Social Responsibility)and Education of Environmental Health
and Safety 日程:2005 年 9 月 19 日(月)~ 23 日(金)
場所:ホテル メトロポリタン
討論内容
1)Environmental Risk Management
2)Safety and Health Management in Academic Settings
3)Solid and Hazardous Waste Management
4)Wastewater Management
5)Air Pollution Management
6)Waste Recycling
7)Water Quality Management
8)Environmental Monitoring
9)Environmental Ethics and Education
10)Environmental Economics
11)Community Participation in Waste Management
12)Academic Activity & Corporate Social Responsibility
第7回の AANESWM 国際シンポジウムは、大学等における安全衛生管理、環境保全、廃棄物処
理、資源再利用などの活動を通して、地球環境保全と安全文化のための教育・啓蒙の普及および関連
研究の発展に寄与することを目的に開催された。今回は、"CSR(Corporate Social Responsibility)and
Education of Environmental Health and Safety" と題し、環境保全技術や教育研究機関における安全衛
生の発展や、アジア地域における大学間ネットワークを通じた技術者・教育者養成の国際協力、さらに
は廃棄物管理や環境安全に関するアジア地域の CSR 共同地域の形成、などをテーマとしたものであっ
た。
− 59 −
6.排水処理センタ-運営協議会,山口大学環境保全編集委員会報告
排水処理センター 藤 原 勇 山口大学環境保全第20号以降の排水処理運営協議会および山口大学環境保全編集委員会の内容は次
の通りである。
1.排水処理センタ-運営協議会
平成 1 7年第1回排水処理センタ-運営委員会(平成17年7月21日開催)
1) 報告事項
1. 平成16年度事業報告について
藤原センター主任より資料に基づき平成 16 年度の廃液の回収量、無機系廃液の処理量、処理
の結果、下水道口および学部の水質検査結果、吉田地区理科系建物の pH 異常排水の流入につい
て、廃液ポリタンクの配布及び処分について報告および説明があり、承認された。
2.平成 16 年度決算報告について
藤原センター主任より説明があり、承認された
3. その他 藤原主任より 3.1-3.3 について説明があった。
3.1 昨年度の特別管理産業廃棄物責任者の講習会参加について、排水処理センターからの補助
を行い 5 名の参加者があったこと。
3.2 廃液の出し方についての各地区で講習会を行ったこと。
3.3 吉田地区破棄物貯蔵施設の利用説明会をおこなったこと
2) 協議事項
1. 平成 17 年度事業計画について
藤原センター主任より平成 17 年度の廃液回収計画等の説明、平成 17 年度予算案について説明
があった。今年度は廃液の手引きの作成を行うこと、農学部及び教育学部の排水枡の汚泥引抜及
び宇部地区の pH 管理についての調査費用を盛り込んだ事が説明され、承認された。
2. 山口大学環境保全第 21 号の編集について
和泉 ( 教育 ) 編集委員長及び朝日 ( 理 )、一ノ澤 ( 経済 )、松永(附属病院)、藤原 ( セ ) 編集委
員を選出し、編集を依頼することにした。 3.排水処理センター運営協議会の委員の構成について
排水処理センター運営協議会の委員については平成 16 年4月の改正により、各学部および各
センターからの委員構成をするとなっているが、委員人数が多いため各センターの委員は代表で
各機構から1名参加したらどうかとの意見が出された。構成委員については右田センター長に一
任することとなった。 4.その他
4.1 右田センター長より吉田地区廃棄物貯蔵施設の申し合わせについて説明があった。
4.2 総合科学実験センターの作成した排水処理センターの将来構想に関わる提案に基づき、 各委員の意見を聞いた。これらの意見を取りまとめについては右田センター長に一任すること となった。
4.3 廃液の出し方についての講習会を今年度既に各地区で行った事。
4.4 排水処理センターの公開について、8 月 8 − 13 日まで無機系廃液処理を行うに伴い、オー
プンキャンパスに訪れる高校生に排水処理センターを公開する計画であること。
2.山口大学環境保全第 21 号編集委員会
平成17年7月21日に開催された。今年度も引き続き「山口大学の労働安全対策について」につ
いての特集を組み、保健管理センター、安全衛生対策室、施設環境部から原稿を集めることとなった。
− 60 −
7.廃棄物処理の実績
排水処理センター 藤 原 勇 平成16年度の山口大学各キャンパス(吉田、小串、常盤)の廃棄物処理の実績を前年度に引続き
まとめてみた。以下の表は業者へ処分委託した廃棄物の量及び処分委託費についてキャンパスごとに
まとめたものである。また、廃棄物処理に関する現状の課題についてもあわせて記載した。
1.廃棄物委託処分について
表 1 は山口大学が業者へ処分委託した廃棄物の量をまとめたものである。各キャンパスにおいて廃
棄物の分類は違っている。廃棄物は学外で処理またはリサイクルして、再利用されることになる。以
下に集計結果を示した。
表 1 廃棄物委託処分量
(トン / 年)
不 燃 物
可 燃 ご み
感 染 性 給食有 実験動
不用薬品 合 計
可燃ごみ 古 紙 粗大ごみ 空缶・瓶 蛍光灯・電池類 医療廃棄物 機汚泥 物死体
128.0
2.6
45.0
0.2
11.5
0.0
0.0
21.3 208.6
吉田地区
436.7
57.8
272.9
7.8
0.0
0.1 775.3
小串地区
常盤地区
90.3
15.1
672.7
合 計
41.0
0.0
0.0
0.0
144.0
284.4
7.8
0.0 22.914 1131.8
1.5
147.9
空缶・瓶は市リサイクルプラザへ搬入
表2は上記の廃棄物委託処分にかかる費用をまとめたものである。
表 2 廃棄物委託処分費
(千円 / 年)
不 燃 物
可 燃 ご み
感 染 性 給食有 実験動
不用薬品 合 計
可燃ごみ 古 紙 粗大ごみ 空缶・瓶 蛍光灯・電池類 医療廃棄物 機汚泥 物死体
1,886
1,967
1,630
0
0
2,257 7,739
吉田地区
12,902
22,784
402 2,289
369 38,747
小串地区
常盤地区
1,835
280
4,078
22,948
合 計
0
0
0
24,414
402
2,289
3,719
6,345 56,398
表 3 廃棄物委託処分費(トン当り)
可 燃 ご み
可燃ごみ
吉田地区
古 紙
常盤地区
(トン / 千円)
不 燃 物
感 染 性 給食有
粗大ごみ 空缶・瓶 蛍光灯・電池類 医療廃棄物 機汚泥
0.069
0.023
0.038
小串地区
0.049
0.054
9,912
0.010
実験動
物死体
0.007
0.000
0.000
0.0094
0.012
0.019
0.000
0.0003
0.000
0.000
0.000
0.0004
2.廃棄物処理に関する現状の課題
各キャンパスでの廃棄物処理に関する現状の課題について内容をまとめてみた。
1)吉田キャンパス
①家電リサイクル、タイヤ、バッテリーの不法投棄の増加
②廃棄物の分別不徹底(可燃・不燃物の混同)
③薬品の不法投棄
2)常盤キャンパス
①構内の不法投棄ごみ及び放置車両等の処分
②構内の散乱ごみの清掃
③ごみの分別収集方法及び処理の見直し
− 61 −
不用薬品
3)小串キャンパス
①個人情報の観点からそれまで古紙として処理していたものが、一般廃棄物として処理されるため、
処分量が同量でも処分金額が増加することが予想される。
対応:法の趣旨に乗っ取り、ある程度はやむを得ない。
②廃棄物の分別が十分に徹底していない、また水気を十分に取り除かない廃棄物が排出され、問題
を生じさせているケースも見受けられる。
対応:ゴミから排出先が特定できた場合はその都度注意をうながしており、最近は見かけるこ
とも少なくなってきている。
③家電製品等の不法投棄、放置自転車、家庭からのゴミの持ち込み(学生、職員、患者、見舞客など)
対応:学生の場合は学務課を通じて、学生に注意を促している。職員の場合は個人を特定でき
る場合は、注意を促しているが、家庭ゴミとそうでないものの区別が難し。また、夜間に不法投
棄されること多いので、取り締まることが難しいで。患者や見舞客には、患者に配るパンフレット、
看板での通知くらいである。
吉田キャンパス廃棄物処理状況
廃棄物の種類
処分量
(t)
処 分 方 法
処分費(千円)
古紙
産業処分業者へ委託
2.645
可燃ごみ
紙 類
プラスチック類
その他
産業処分業者へ委託
同 上
同 上
128
不燃ごみ
粗大ごみ
空き缶・瓶
蛍光灯・電池類
産業処分業者へ委託
同 上
同 上
45.0
感染性医療廃棄物
業者委託
(産廃処分業者へ)
11.5
1,630
不用薬品
業者委託
(産廃処分業者へ)
21.3
2,257
1,886
12,902
0.2
常盤キャンパス廃棄物処理状況
廃棄物の種類
可燃ゴミ
紙類
その他
プラスティック類
不燃ゴミ
機器類
空缶・空瓶
蛍光灯・電池類
給食有機汚泥
感染性医療廃棄物
実験動物死体処理
不用薬品
処分量
(t)
処理方法
業者委託(焼却処理及びリサイクル)
処分費
(千円)
436.7
業者委託(焼却処理及び埋立)
12,902
業者委託(リサイクル)
業者委託(リサイクル)
業者委託
業者委託(脱水・焼却処理)
業者委託(電気炉にて溶融処理)
業者委託(電気炉にて溶融処理)
業者委託(焼却処理及び中和)
57.8
7.8
272.9
0.0
0.6
402
22,784
2,289
369
小串キャンパス廃棄物処理状況
廃棄物の種類
古紙
可燃ごみ
紙類
プラスティック類
生ゴミ
不燃ごみ
機器類
空き缶
空き瓶
蛍光灯・電池類
塵芥
感染性医療廃棄物
不用薬品
処分方法
産業処分業者へ委託
業者委託(宇部市環境保全センターヘ)
同上
同上
業者委託(産廃処分業者へ)
業者委託(宇部市環境保全センターヘ)
同上
業者委託(産廃処分業者へ)
業者委託
業者委託(産廃処分業者へ)
− 62 −
処分量
(t)
15.1
処分費
(千円)
280
90.3
1,835
16.5
1.2
1.1
22.2
0
1.5
4,078
0
3,719
8.名簿一覧
吉田地区施設環境委員会
部局名
職名
氏名
任期
人文学部
学部長
田 中 誠 二
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
教育学部
学部長
吉 田 一 成
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
経済学部
学部長
瀧 口 治
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
理学部
学部長
増 山 博 行
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
農学部
学部長
古 賀 大 三
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
大学院東アジア研究科
研究科長
小 谷 典 子
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
大学院連合獣医学研究科
研究科長
林 俊 春
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
所長
平 田 牧 三
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
保健管理センター
学術情報機構
機構長
福 政 修
16. 4. 1 ~ 18. 5.15
大学教育センター
センター長
渡 邉 正
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
総合科学実験センター
センター長
木 曽 康 郎
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
埋蔵文化財資料館
館長
糸 長 雅 弘
17. 4. 1 ~ 18. 3.31
排水処理センター
センター長
右 田 たい子
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
メディア基盤センター
備考
委員長
センター長
浜 本 義 彦
施設環境部長
郡 田 等
職名
氏名
任期
備考
工学部
学部長
三 木 俊 克
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
委員長
工学部
副学部長
三 浦 房 紀
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
保健管理センター
所長
平 田 牧 三
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
地域共同研究開発センター
センター長
清 水 則 一
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
埋蔵文化財資料館
館長
糸 長 雅 弘
17. 4. 1 ~ 18. 3.31
事務局
常盤地区施設環境委員会
部局名
排水処理センター
センター長
右 田 たい子
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
メディア基盤センター
センター長
浜 本 義 彦
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
工学部図書館
館長
福 永 公 壽
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
工学部
教授
松 田 博
17. 4. 1 ~ 18. 3.31
学生委員会委員
工学部
教授
小河原 加久治
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
機械工学科長
工学部
教授
堀 憲 次
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
応用科学工学科長
工学部
教授
村 田 秀 一
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
社会建設工学科長
工学部
教授
内 藤 裕 志
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
電気電子工学科長
工学部
教授
宮 本 文 穂
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
知能情報システム
工学科長
工学部
教授
諸 橋 眞 一
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
工学部
教授
中 園 眞 人
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
工学部
教授
柳 研二郎
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
共通講座主任
工学部
教授
浮 田 正 夫
17. 4. 1 ~ 18. 3.31
理工学研究科環境
共生工学専攻長
事務局
施設環境部長
郡 田 等
工学部
事務長
久 保 賢 治
工学部
教授
和 田 憲 造
− 63 −
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
機能材料工学科長
感性デザイン
工学科長
小串地区施設環境委員会
部局名
職 名
氏名
任期
4.
4.
4.
4.
4.
4.
4.
1 ~ 18.
1 ~ 19.
1 ~ 19.
1 ~ 19.
1 ~ 18.
1 ~ 19.
1 ~ 18.
備考
医学部
医学部附属病院
保健管理センター
総合科学実験センター
埋蔵文化財資料館
排水処理センター
メディア基盤センター
学部長
病院長
所長
センター長
館長
センター長
センター長
石 原 得 博
松 﨑 益 德
平 田 牧 三
木 曽 康 郎
糸 長 雅 弘
右 田 たい子
浜 本 義 彦
16.
17.
17.
17.
17.
17.
16.
3.31
3.31
3.31
3.31
3.31
3.31
3.31
医学部図書館
館長
芳 原 達 也
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
医学部
医学部
医学部附属病院
教授
教授
教授
中 村 和 行
高 橋 睦 夫
岡 正 朗
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
16. 4. 1 ~ 18. 3.31
事務局
施設環境部長
郡 田 等
医学部
事務部長
大 竹 健 治
委員長
総合科学実験センター運営委員会
部局名
職名
氏名
任期
総合科学実験センター
センター長
木 曽 康 郎
総合科学実験センター
副センター長
水 上 洋 一
総合科学実験センター
分析実験分野長
阿 部 憲 孝
総合科学実験センター
生命科学分野長
山 口 和 人
総合科学実験センター
資源開発分野長
(水 上 洋 一)
総合科学実験センター
排水処理センター長
右 田 たい子
総合科学実験センター
機器分析実験施設長
藤 井 寛 之
総合科学実験センター
生体分析実験施設長
(水 上 洋 一)
総合科学実験センター
実験動物施設長
総合科学実験センター
生命科学実験施設長
総合科学実験センター
アイソトープ分析施設長
真 野 純 一
総合科学実験センター
アイソトープ実験施設長
(山 口 和 人)
総合科学実験センター
遺伝子実験施設長
(水 上 洋 一)
総合科学実験センター
排水処理センター主任
総合科学実験センター
講師(生命科学実験施設) (村 田 智 昭)
総合科学実験センター
助手(アイソトープ実験施設)
坂 口 修 一
総合科学実験センター
助手(遺伝子実験施設)
秋 利 彦
人文学部
助教授
乾 秀 行
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
教育学部
教 授
塩 田 正 俊
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
経済学部
助教授
陳 禮 俊
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
理学部
教 授
繁 岡 透
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
医学部
教 授
中 村 彰 治
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
工学部
助教授
赤 田 倫 治
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
農学部
教 授
滝 本 晃 一
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
附属病院
教 授
杉 野 法 広
17. 4. 1 ~ 19. 3.31
村 田 智 昭
(山 口 和 人)
藤 原 勇
− 64 −
備考
排水処理センター運営協議会委員名簿
平成17年4月1日現在
部 局 名
職名
氏 名
任 期
備 考
排水処理センター
センター長
右 田 たい子
17.4.1 ~ 19.3.31
委員長
排水処理センター
センター主任
藤 原 勇
17.4.1 ~ 19.3.31
委 員
人文学部
助教授
山 本 真 弓
17.4.1 ~ 19.3.31
委 員
教育学部
教授
和 泉 研 二
17.4.1 ~ 19.3.31
委 員
経済学部
助教授
一ノ澤 直 人
17.4.1 ~ 19.3.31
委 員
理学部
教授
朝 日 孝 尚
17.4.1 ~ 19.3.31
委 員
医学部
教授
芳 原 達 也
17.4.1 ~ 19.3.31
委 員
工学部
教授
野 口 三千彦
17.4.1 ~ 19.3.31
委 員
農学部
助教授
細 井 英 嗣
17.4.1 ~ 19.3.31
委 員
附属病院
教授
松 永 尚 文
17.4.1 ~ 19.3.31
委 員
大学教育センター
教授
沖 裕 貴
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
アドミッションセンター
教授
岡 村 康 夫
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
国際センター
助教授
今 井 新 悟
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
学生支援センター
助教授
平 尾 元 彦
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
保健管理センター
所長
平 田 牧 三
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
エクステンションセンター
教授
長 畑 実
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
地域共同研究開発センター
助教授
瀧 本 浩 一
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
大学院ベンチャー・ビジネス・
ラボラトリー教育研究施設
助教授
藤 井 文 武
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
メディア基盤センター
教授
刈 谷 丈 治
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
総合科学実験センター
助教授
藤 井 寛 之
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
教授
佐 田 洋一郎
16.4.1 ~ 18.3.31
委 員
知的財産本部
広報誌編集委員会委員
部 局 名
官職
氏 名
任 期
備 考
教育学部
助教授
和 泉 研 二
17.4.1 ~ 19.3.31
編集委員長
経済学部
助教授
一ノ澤 直 人
17.4.1 ~ 19.3.31
編集委員
理学部
教授
朝 日 孝 尚
17.4.1 ~ 19.3.31
編集委員
附属病院
教授
松 永 尚 文
17.4.1 ~ 19.3.31
編集委員
排水処理センター
主 任
藤 原 勇
17.4.1 ~ 19.3.31
編集委員
排水処理センター職員
官職
氏 名
任 期
備 考
センター長
右 田 たい子
17.4.1 ~ 19.3.31
センター主任
藤 原 勇
17.4.1 ~ 19.3.31
− 65 −
9. 排水処理センター活動日誌
2004 年
4 月
1 日
4 月 1 日
総合科学実験センター排水処理センターに組織替え
渡部武志センター技官就任
4 月 5 日 排水処理センター見学理学部本多研究室(学生8名(学部4名、大学院4名), 先生1名)
4 月 20 日
2003 年度薬品使用量等の調査について 依頼文配布
5 月10 日
第 1 回 無機系廃液回収
5 月12 日
実験廃液の出し方講習会(吉田地区)理学部 22 番教室 16:30- 参加者 51 名
5 月18 日
実験廃液の出し方講習会(小串地区)医学部第一講義室 16:00- 参加者 28 名
5 月18 日
実験廃液の出し方講習会(常盤地区)工学部 E21 教室 13:30- 参加者 114 名
6 月
1 日
第 1 回有機系廃液回収(吉田地区)
6 月
2 日
排水処理センターの説明及び排水処理センター見学 工学部機能材料工学科 1 年生 78 名
6 月
4 日
第 1 回有機系廃液回収(常盤、小串地区)
6 月
8 日
第1回排水処理センター運営協議会および環境保全編集員会
6 月11 日
第1回構内の水質検査および下水道出口の排水のサンプリング
6 月16 日
産業医および衛生管理者による排水処理センターの見回
6 月 30 日
吉田地区廃棄物貯蔵施設利用手引き 作成
6 月 30 日
吉田地区廃棄物貯蔵施設利用説明会 理学部 15 番教室 18:00-
参加者 48 名(教育学部2名、農学部9名、理学部 36 名、総合科学1名)
7 月 5 日
第 2 回無機系廃液回収、第 1 回写真廃液回収(吉田地区)
7 月 6 日
第1回無機系廃液回収、第 1 回写真廃液回収(常盤、小串地区)
8 月9 日 -14 日 第1回無機系廃液処理(NEC)
8 月
9 日
排水処理センター公開(無機系廃液処理施設) 時間:12 時-16 時 9 月 6 日
第3回無機系廃液回収(吉田地区)
9 月 22 日
第2回有機系廃液回収(吉田地区)
9 月 24 日
第2回有機系廃液回収(常盤、小串地区)
10 月14 日
排水処理センターの説明及び排水処理センター見学
理学部地球・化学学科化学専攻2年生 48 名
10 月 27 日
特別管理産業廃棄物管理責任者の講習会(山口市)開催
11 月 8 日
第 4 回無機系廃液回収、第2回写真廃液回収(吉田地区)
11 月 9 日
第2回無機系廃液回収、第2回写真廃液回収(常盤、小串地区)
12 月 3 日
第2回構内の水質検査および下水道出口の排水のサンプリング
12 月 7 日
第3回有機系廃液回収(吉田地区)
12 月10 日
第3回有機系廃液回収(常盤、小串地区)
2005 年
1 月17 日
第5回無機系廃液回収(吉田地区)
1 月31 日 -2 月 5 日 第 2 回無機系廃液処理(NEC)
2 月
2 日
無機系廃液処理施設 作業環境測定
2 月 21 日
第6回無機系廃液回収、第3回写真廃液回収(吉田地区)
2 月 22 日
第6回無機系廃液回収、第3回写真廃液回収(常盤、小串地区)
2 月 24 日
第4回有機系廃液回収(吉田地区)
2 月 25 日
第4回有機系廃液回収(常盤、小串地区)
3 月 20 日
2004 年度薬品使用量等の調査についての依頼文配布
3 月 24 日
山口大学環境保全第 20 号発刊
3 月 31 日
田頭センター長任期終了
− 66 −
10. 編集後記
山口大学環境保全第21号では、5第目のセンター長に就任された右田先生に、「排水処理センター
の来し方と今後のあり方」という題の示唆に富んだ巻頭言を書いて頂きました。2004年度からの大
学法人化により排水処理に対する大学の社会的責任は重くなり、排水処理センターの役割と責任はます
ます大きくなっています。財政問題等、難しい点も多いとは思いますが、排水処理センターがさらに充
実・発展することを期待します。
特集としては、山口大学の労働安全衛生対策について、保健管理センター長、各事業所の専任衛生
管理者、安全衛生対策室長、施設環境部長という、安全衛生対策の第一線でご活躍されている教職員の
方々に書いて頂きました。お陰様で、大学法人化に伴って必要となった様々な施策や組織の変更、現在
の取り組みや今後の課題等、全体像の把握にも具体的な事例の把握にも役立つ特集となりました。
解説、話題等では、海洋環境や蝶といった生物の話題、自然の権利、地中環境と異常気象、環境問
題解決のためのシステム、病理部の対策といった多彩な分野から、それぞれ奥深く思わず読み耽ってし
まう原稿をお寄せ頂きました。
今年も最近になって、アスベストによる中脾腫、女子高生によるタリウム事件、ビルの耐震強度
に関する構造計算書偽造事件、鳥インフルエンザ問題、中国吉林省の化学工場爆発でベンゼンなど約
100トンがアムール川支流に流出した事故など、化学物質や労働安全衛生に関わる大きな事件事故の
ニュースが相次ぎました。事件事故防止や安全衛生の確保のためには、大学内の安全衛生対策、危機管
理体制等の充実に加え、大学の構成員である教職員や学生一人一人の自覚・意識が欠かせません。本号
がそのお役にたてれば幸いです
終わりに、ご多忙中に原稿を執筆いただいた教職員及び卒業生、また編集に多大な貢献をいただい
た排水処理センターの右田先生、藤原先生に深く感謝いたします。
平成17年11月28日
編集委員長 和泉研二
− 67 −
山口大学 環 境 保 全 №21
平成 17 年 12 月 発刊
編集発行 山口大学総合科学実験センター
排水処理センター
〒753−8511 山口市吉田 1677−1
TEL(083)933−5137
FAX(083)933−5138
E-Mail:[email protected]
http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~haisui/
index_j.html
(題字 粟屋和彦 元山口大学学長)
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