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段ボール及び段ボール箱 -滑り試験方法-傾斜法

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段ボール及び段ボール箱 -滑り試験方法-傾斜法
JCS
段ボール業界規格
段ボール及び段ボール箱
T 0005:2000
-滑り試験方法-傾斜法
Corrugated Fibreboard and Corrugated Container-Determination of Inclined Slide
1.適用範囲 この規格は、傾斜法による段ボール及び段ボール箱の滑り角度を測定する方法について規定する。
2.引用規格 次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は、そ
の最新版(追補を含む。)を適用する。
J IS P 8111 紙、板紙及びパルプ-調湿及び試験のための標準状態
J IS Z 8401 数値の丸め方
3.定義 この規格で用いる主な用語の定義は、次による。
a )傾斜法
試料が滑り始めたときの角度を測定する方法をいう。
b)摩擦係数 紙の動きを阻止しようとする摩擦力と紙に垂直に加わる力の比のことで、滑り始めたときの角度をtanθで表す。
4.原理 傾斜台に固定された下部試料と一定の荷重が加えられた上部試料それぞれの測定面を向き合うようにセットした後、傾斜
台を一定速度で傾け、上部試料が滑り始めた時の角度を測定する。
5.装置
a )一般
装置は、定められた速度で傾斜する傾斜板と、この傾斜板の上を滑るおもり及びストッパからなる。(参考図1参照)
b)傾斜板
傾斜板の表面は平滑で、その大きさは600×450mmを標準とし、毎秒3度までの範囲で傾斜速度(以下、試験速度とい
う)を調整できる機構を備え、速度にムラがあってはならない。又、傾斜板が上昇するときの振動は、上下振動0.15mm以
下であること。
c)試料固定 傾斜板には試料を固定するための取外し可能な試料固定板と試料固定治具を備えていること。
d)スト ッパ
ストッパは、試料が滑り始めると同時に作動を停止させ、おもり及び試料が傾斜台から落下するのを防ぐための機構を
有すること。
e)角度計
角度計は、傾斜台の傾きに応じてそのときの角度を示し、作動停止時にはその角度を表示する機構のもので、最少目
盛が0.5度以下のものであること。
f )おも り
おもりは、大きさが125×200mmで、その質量は(2000±5)gとし、試料を取付けるための固定用ピンを4隅に備え、更
に、試料取付け面には滑り防止のために厚さ3mmのゴム製スポンジ(硬度25度程度※)を貼りつけたものとする。
※日本ゴム協会規格SRIS-C-0101による硬度
T 0005:2000
6 . 試験片
a ) おもりに取付けられる上部試験片(以下、試料Aという。)の大きさを125×200mmとし、傾斜板に取付けられる下部試験片(以下、試
料 Bという。)の大きさを150×230mmとする。
b) 試験片の表面は、キズ・反り等がなく、試験片採取に当たっては、表面をこすることがないように十分注意する。
c) 試験片作成に際しては、4辺の切口のバリを取除く。
d) 段ボール箱の場合は、実際に輸送・保管されると同じように商品を入れ、箱の試験面を決め、表面のほこり等を払っておく。
e) 試験片は、原則としてJ IS P 8111により調湿を行う。
7 . 操作
a ) 試験機を水平に置き、傾斜板の位置が角度計0点にあることを確認する。
b) 原則として、試験速度は毎秒1.5度とする。
c) 試験片は、次の要領で装置にセットする。
1) 段ボール
「試料B」を傾斜板に固定治具を用いて水平に取付ける。又、「試料A」はおもりの4隅に合わせ、固定用ピンによりおもりに取付け、
「試料B」上に静かに載せる。
2) 段ボール箱
傾斜板上の段ボール用固定治具を取除き、ここに「試料B」に相当する段ボール箱をストッパに合わせて置き、この上に「試料A」
に相当する段ボール箱の4隅を合わせて静かに載せる。
「試料A」の滑りしろは、約15mmになるように置く。
d) 傾斜板を作動させ、「試料A」が滑り始めたときの角度を、角度計から読み取る。「試料A」を再びスタート位置へ戻すとき、「試料B」
の表面をこすらないよう浮かして戻す。
e) 試験は通常、流れ方向(MD)と同方向の組合せで行う。必要ある場合は、方向の組合せを変えることができる。
f ) 試験は、1つの組合せの試験片について5回繰返し行う。
g ) 原則として試験は、J IS P 8111に定められた温度、湿度条件下で行う。
8 . 結果の表示 報告は、必要に応じて次の事項を記載する。
a ) 滑り角度は、度の単位で表し、J IS Z 8401に規定する方法によって、小数点以下1桁で丸める。
b) 摩擦係数は、3項bにより算出し、J IS Z 8401に規定する方法によって、小数点以下2桁で丸める。
9 . 報告 報告は、必要に応じて次の事項を記載する。
a) 規格名称又は規格番号
b) 試験年月日と試験場所
c) 試験片の調湿及び試験条件(温度及び相対湿度)
d) 試験片の材質、製造ロットその他必要事項(表面加工等)
e) 滑り角度の全測定値(値は、JIS Z 8401数値の丸め方に準じ、小数点以下1けたで丸める)及び最大値、最小値、平均値、試料数と
測定回数。
f) 試験片の含水分
g) 試験片の組合せ方向
h) 摩擦係数
i) その他必要とする事項
JCS T 0005:2000
段ボール及び段ボール箱-滑り試験方法 解説
この解説は、本体に規定・記載した事柄及びこれらに関連した事柄を説明するもので、規格の一部ではない。
今回の改正では、規格様式の変更、設備の変遷への対応、SI単位化についてのみの改正であり、基本的な内容の変更は行
っていない。
以下に、過去の経緯を明らかにするため平成2年制定時の解説を再度掲載する。(一部字句変更)
1 . 制定の経過
段ボール及び段ボール箱の表面滑りを評価する試験方法の制定は、これまでも当事者間で要望されていたところである。
特に近年、包装工程及び包装品搬送工程の自動化、機械化が進むに従い、作業中の傾斜により段ボール箱が滑る現象が
問題にされている。
然るに、段ボール及び段ボール箱の滑りを評価する試験方法は、わが国はもとより国外にも無く、やや近い規格とし
てT APPI 8 1 5 「段ボール及びソリッドファイバーボードの静摩擦係数(傾斜法)」がある程度である。
昭和60年3月、日本段ボール工業会及び全国段ボール工業組合連合会の合同技術委員会「全国段ボール技術委員会」
は、当事者それぞれの合意で行われている段ボール及び段ボール箱の各種滑り試験方法を調査し、標準となる試験方法の
制定を志向した。
制定には、多くの検討すべき問題点があり、かつ普遍性のある適当な試験装置が見当たらないことより、作業分科会を特に
設置した。
試験装置については専門業者の協力を得て試作し、それをもって平準的段ボール及び段ボール箱を対象に実験を繰返し
た。
平成元年11月、原案を発表し、業界討議を終え、平成2年2月業界規格として制定した。
2 . 規格の要点
a ) 適用範囲 この規格の適用範囲は、段ボール及び段ボール箱である。
段ボール箱については、表面滑りが問題視されることの多いラップアラウンド形を包装実態で実験を行った。
併せて段ボールについて同種試験を行い、両者の相関性を確認した。(解説付図2.参照)
b) 傾斜板の大きさ 5.装置b)に傾斜板の寸法を600×450mmとしたのは、滑り試験で箱寸法として平準的であると判断し、かつ
滑り試験要望頻度の高い箱形(ラップアラウンド形式)を対象に実設定したためである。
c) 試験機の振動と試験速度 5.装置a )に示した傾斜板の傾斜速度(試験速度)の水準について実験を行った。(解説付図2.参
照)
この実験結果から、傾斜速度についてはTAPPI 815では1.5±0.5度/秒としていること及び試験の作業性を考慮し、さらに振動
の大きさについては、調査したほとんどの試験装置の振動が0.15mm以下(但し、手回し式は除く)であることを確認して、これらの
水準を規格に取り入れた。
d) 試料の作成 6.試験片c)に示した「バリ」とは、試料を切り取った際この縁に残るケバ状のもので、滑らかな棒状のものでこす
ることにより除去される。
e) 滑りしろ 7.操作c)に滑りしろを設定したのは、試料の滑りしろを大きくすると、試験中に表面を著しく変化させることになり、こ
れを防ぐためである。
なお、TA PPI 815では「少なくとも15mm(5/8in)動かせるもの」としている。
f ) 滑り方向の組合せ 7.操作e)の滑り方向の組合せは、TA PPI 815では流れ方向(MD)×幅方向(CD)としているが、この規
格では箱の滑り試験も含んでいるので、内用品の入った箱では実際上無理があるので、MD×MDとした場合も差がないことを確
認した上で、MD×MDを正規とした。
g ) 試験の繰り返し回数 TA PPI 815では、繰り返し回数は3回でよいとしているが、最近の国内での表面処理等による多様性か
ら、滑り傾向も一様でないことを考慮して、繰り返し回数を5回とした。
h) 試料の含水分 試料の含有水分が滑り試験に及ぼす影響は大きい。実験によると含有水分8~9%のときの滑り角度を指数100
とすると3~4%のときは指数80であり、13~14%のときは指数170である。
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