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当日配付資料 - 同志社大学 良心学研究センター

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当日配付資料 - 同志社大学 良心学研究センター
同志社大学 良心学研究センター主催 公開シンポジウム
スポーツと良心
─ 知・徳・体の調和を目指して ─
自立した自由な人格を養うことを目的としたリベラルアーツ教育、そして良心
教育にとって知・徳・体を調和させることは重要な課題です。このシンポジウム
では「体」
(スポーツ)に着目し、その現代的な課題を探っていきます。柔道の
オリンピック・メダリストを招き、柔道事故の防止、暴力根絶、指導者研修など、
良心にかかわる先端的な事例を取りあげていきます。
● 日時:2016 年
5 月 13 日(金)16:40 ─ 18:30
● 場所:同志社大学 今出川キャンパス 同志社礼拝堂
● 講演:
沖田行司(同志社大学 社会学部 教授、
体育会ラグビー部 部長、体育会会長)
溝口紀子(静岡文化芸術大学准教授、
バルセロナ・オリンピック女子柔道
52kg 級銀メダリスト)
司会:小原 克博(同志社大学 神学部 教授、良心学研究センター長)
コメンテーター:
下楠昌哉(同志社大学 文学部 教授、体育会柔道部 部長)
石倉忠夫(同志社大学 スポーツ健康科学部 教授)
■ 問い合わせ 同志社大学
良心学研究センター
E-mail : [email protected] http://ryoshin.doshisha.ac.jp
良心を世界に─良心を覚醒させる知の連携と知の実践 良心学研究センターは、現代
世界における「良心」を考察し、その応用可能性・実践可能性を探求することを通じて、学際
的な研究領域として「良心学」を構築し、さらにその成果を国内外に発信し、新たな学術コミ
ュニティを形成することを目的としています。
講師略歴
沖田 行司(おきた ゆくじ)
1948 年京都府生まれ。同志社大学 社会学部教授。専門:日本思想史・日本教育文化史。博
士(文化史学)論博。
1979 年 3 月、同志社大学大学院文学研究科文化史学専攻博士後期課程満期退学。1979 年 4
月、同志社大学文学部助手、専任講師、助教授を経て、1990 年 4 月に文学部教授となり、改組
転換で 2005 年に社会学部教授。ハワイ大学日本研究所客員研究員(1989~1990)
、中国人民
大学客座教授(2003~2013)
。
単著:
『日本人をつくった教育』2000 年、大巧社。
『新訂版 日本近代教育の思想史研究』
2007 年、学術出版会。
『藩校・私塾の思想と教育』2011 年、日本武道館。編著:
『教育社会史』
(新体系日本史 16)2002 年、山川出版。
『人物で見る日本の教育』2012 年、ミネルヴァ書房。
共著:
『応用倫理学講義 6教育』2005 年、岩波書店。
『近代東アジアの経済倫理とその実践』
2009 年、日本経済評論社。
『横井小楠:公共する人間』2010 年、東京大学出版。
『正義とは』
2012 年、岩波書店。
『知るとは』2012 年、岩波書店。
溝口 紀子(みぞぐち のりこ)
スポーツ社会学者(学術博士 教育学修士)
。社会学者/柔道家/静岡文化芸術大学准教授。
2015 年、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了(学術博士)
。
1992 年、バルセロナ五輪 52kg 級銀メダリスト。
2002 年─2004 年、フランス柔道史上、初の女性、フランス柔道五輪代表チームコーチに就任。
2014 年、静岡県政、史上最年少の静岡県教育委員長に就任し、問題山積だった教育委員会の混
乱期に手腕を発揮する。
その他、スポーツ庁競技スポーツ課等技術審査委員会委員、全日本柔道連盟評議員、東海体
育学会理事を務める。
主な著書
『性と柔—女子柔道史から問うー』河出ブックス/河出書房新社
『日本の柔道/フランスの JUDO』高文研
『オリンピックが生み出す愛国心』共著 かもがわ出版
2
スポーツは良心を育てるか
沖田行司
問題の所在
a.スポーツを取り巻く事件
・薬物問題や暴行、賭博等々
・プロスポーツ選手→見られる存在、憧れの対象➡社会的影響力
b.学校教育におけるスポーツ
・学業との両立
・スポーツ入学
・指導か体罰か
c. スポーツの観念の変容
・スポーツが持つ教育力→日本の伝統的な観念
・個人的な楽しみ・ビジネスの世界→近年の傾向
【日本におけるスポーツ思想の変遷から考える】
1.武道からスポーツ
a. 中世社会の文武両道
・武家の頭領に相応しい人格➝仏教を媒介として道理や公平、慈悲の思想を学ぶ
・一般の武士の「戦の心得」➝君主の馬前で討ち死にすることが理想
b. 近世社会(江戸)の文武両道
・戦う武士から治める武士への転換➝近世封建官僚としての武士
・新しい儒学(朱子学)の受容➝士大夫(統治者)の学が浸透
・山鹿素行(1622~1685)
「武士は農工商三民の道徳的な亀鑑」
・熊沢蕃山(1619~1691)
「武士は民の守護」➝天の命を受けて百姓を治める。
天が人間の心に付与➝良知➡陽明学
知行合一
事上磨練
万物一体の仁
・
「武」→鍛錬や精神修養の意味合いを深める
・藩校教育➝18 世紀の中ごろから普及➡身分制社会の中で責任感と誇りを持つエリートの自覚
c. 近代化と武士道
・留学世代の武士道
森有礼➝廃刀令を主張し武士の魂は心の中にありと主張
新渡戸稲造➝日本人の道徳的・精神的原理は武士道にありと説く『BUSHIDO』
新島襄➝武士的エートスは脱国を契機に忠誠心の対象を主君から神へと移行
・旧制高等学校から帝国大学➝士族の子弟が多く近代スポーツの中に文武両道が読み込まれる
・高等教育がエリートを輩出する機関➝エリートのプライド
3
2.国民体育と武士道の変質
a. 学校体育
・1872(M5)学制 体操(遊戯・徒手体操・器械体操)→当分の間はこれを欠いても可
・師範学校でアメリカの体育教育を導入
・兵式体操を導入 〔M15 森有礼が提唱〕
b.徴兵令による軍隊教育
・戦う武士道➝武士道に内在した倫理性が軽視され国家に忠誠を尽くす精神が誇張
・国家が支配する武(道)➝人にとっての普遍的な人格修養の意味が希薄化する
c. 文と武が離反→大学の普及と非エリート化
・国家主義➝武を重んじる傾向➡主「体」主義
・平和主義➝武を軽んじる傾向➡主「知」主義
3.戦後教育(1945 年~)
a. 民主主義教育
・武士道を否定➝G.H.Q の命令により剣道・柔道などの武道を一時禁止
・個人の自由と平等、人権の確立➝個性豊かな教育
b. 戦後スポーツに継承された軍隊教育
・精神主義(鍛錬主義)➝しごき、暴力、先輩への絶対服従
・スポーツの世界に民主主義が浸透しなかった、良心を培養する超越者への畏敬の念も希薄
・近代的な学問と同様にスポーツは人格形成から遊離して結果主義〔勝利主義〕
c. 文と武の変容
・学問至上主義➝偏差値教育は知識偏重となり「徳」と「体」を伴わない。
・勝利至上主義➝規則やルールは試合以外では普遍化されず、
「知」と「徳」を伴わない。
4.同志社教育と体育
a. 近代体育教育と新島襄
・新島が学んだアーモスト大学→体育を正課として採用。新島は近代体育教育を受けた最初の日本人
・お雇い外国人→アーモスト大学から E.リーランドが体操伝習所で教授
b. 同志社の体育教育
・同志社の教育➝全人教育(知育・徳育・体育)
月~金曜日➡メンタルデー〔知育〕
土曜日 ➡フィジカルデー〔体育〕
日曜日 ➡スピリチュアルデー〔徳育〕
c. 同志社スポーツは日本で先駆的
・1876〔M9〕ラーネッド着任→サッカーを教える(日本におけるサッカーの嚆矢)
・女性宣教師→同志社女学校でテニスを教える 1880〔M13 〕以前
・1911 年〔M44〕ラグビー部が誕生➝第三高等学校の勧誘
1912 年〔M45〕1 月 8 日 慶應義塾大学と第 1 回定期戦(24 対 3 で惨敗)
1912 年 2 月 11 日 第三高等学校と対戦(13 対 0 で惨敗)
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5.同志社スポーツの理念
a. 3F の精神
・Fair play
・Friendship
・Fighting spirit
b. アスリート・スピリッツ
・スポーツに内在する規則・規範意識を徳性にまで高める
・徹底したコンプライアンスの精神
・同志社人としての誇り➝学生の模範となれ
むすび【学生スポーツの課題】
a. ビジネスとしてのスポーツ
・アマチュアリズムを侵食
・学生スポーツのプロ化
b. プロスポーツの影響
・スポーツが持つ教育的意義を自覚
・プロアスリートの社会性
c. 指導者の養成
・健全な青少年の育成
・スポーツをすることの意味
良心学研究センター主催 公開シンポジウムのご案内
■ 6 月 1 日(水)16:40-18:30、今出川キャンパス 同志社礼拝堂
「21 世紀の教育に求められているもの」
【講師】位田 隆一(滋賀大学 学長)
■6 月 14 日(火)16:40-18:40、今出川キャンパス 同志社礼拝堂
「難民問題──世界の良心に呼びかける」
【講師】小尾 尚子(国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所副代表)
【後援】国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所
■ 6 月 21 日(火)16:40-18:30、京田辺キャンパス 言館チャペル
「自然科学と新島襄」
【講師】大鉢 忠(同志社大学 理工学部 名誉教授)
■ 7 月 16 日(土)13:00-15:00、今出川キャンパス 神学館 3 階 礼拝堂
「キリスト教主義大学における建学の精神──関西学院大学における取り組み」
【講師】神田 健次(関西学院大学 神学部教授)
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柔道と良心──組織の自浄能力を考える
溝口 紀子
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