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報 告 書 - 経済産業省
平成 23 年度京都メカニズム推進基盤整備事業 CDM・JI の運用に係る国際的枠組に関する調査 報 告 書 平成 24 年 3 月 財団法人 日本エネルギー経済研究所 はじめに 我が国では、京都議定書目標達成計画で示されているように、着実かつ費用効果的な目標達成のた めに京都メカニズムを活用することとされており、我が国の優れた技術の国際的な普及の観点におい ても、CDM(クリーン開発メカニズム)及び JI(共同実施)を積極的に推進することは極めて重要 な政策的課題である。CDM に関する国際ルール・手続きの策定、個々のプロジェクトの審査等を行 う国際機関(CDM 理事会)では、運営機関の認定、方法論の承認、プロジェクトの登録及び CER (Certified Emission Reduction:認証排出削減量)発行において着実に実績を重ねてきているが、 その一方で、現行の審議プロセスの透明性、策定されたルールや手続きの実用性などの面での課題も COP/MOP(京都議定書締約国会合)等で数多く指摘されている。また、JI についても、CDM 理事 会と同様の機能・役割を担う JI 監督委員会において、独立機関の認定、PDD に関する決定等が進め られているが、実質的に CDM と同一のルールである独自性や柔軟性に欠けるといった指摘も多くな されている。こうした状況から、我が国としては、CDM/JI 事業化がスムーズに進行するべく、審議 方法や方法論の内容などCDM/JI に関する国際ルールの設定やその運用のさらなる改善に向けて積極 的に貢献することが求められている。 そこで本調査では、CDM 理事会及び JI 監督委員会における実際の議論内容に関してレビューを行 いつつ、CDM 理事会及び JI 監督委員会で行われている議論の内容、そして議論の進め方の在り方に ついて、現状の課題を抽出しつつ、分析・評価を行うとともに、国内事業者が CDM/JI 事業を実施す る際に有益となるような情報の整理・分析と、その情報伝達体制の構築・運用を行った。 以下、本報告書第 1 章では、CDM 事業審議に関する調査・分析、課題の抽出、今後の在り方につ いての検討を行い、第 2 章では、JI 事業審議に関する調査・分析、課題の抽出、今後の在り方につい ての検討を行った。さらに、第 3 章では、CDM/JI に関する各国の動向の調査・分析を行い、最後に、 第 4 章では、CDM/JI 事業実施者に向けた情報提供体制の構築・運営に関する調査内容について取り まとめた。 本報告が、CDM・JI の運用に係る国際的枠組の検討と、これらメカニズムの有効活用に向け貢献 できれば幸甚である。 2011年3月 (財)日本エネルギー経済研究所 目 次 はじめに 第 1 章 CDM 事業審議に関する調査・分析、課題の抽出、今後の在り方についての検討 2011 年度の CDM 運営動向····································································· 1-1 1. プロジェクト ···························································································· 1-2 2. プログラム CDM······················································································· 1-8 3. 方法論 ····································································································1-11 4. 認定 ·······································································································1-18 5. 京都クレジット市場と欧州排出量取引制度 ···················································1-20 6. CDM 理事会の審査体制のあり方、審査手続きの効率化、改善の方向性············1-24 7. CMP における CDM をめぐる議論と政策対話 ··············································1-27 付録 2011 年度の CDM 理事会報告·································································1-29 第 60 回 CDM 理事会報告 ······································································1-29 第 61 回 CDM 理事会報告 ······································································1-35 第 62 回 CDM 理事会報告 ······································································1-41 第 63 回 CDM 理事会報告 ······································································1-51 第 64 回 CDM 理事会報告 ······································································1-63 第 65 回 CDM 理事会報告 ······································································1-68 第 66 回 CDM 理事会報告 ······································································1-74 第 2 章 JI 事業審議に関する調査・分析、課題の抽出、今後の在り方についての検討 2011 年度の JI 関連の状況分析と JI 監督委員会の検討動向··························· 2-1 1. JI 関連の状況分析 ····················································································· 2-1 2. 各 JI 監督委員会での主なポイント······························································· 2-6 付録 2011 年度の JI 監督委員会報告 ································································ 2-8 第 25 回 JI(共同実施)監督委員会 報告 ·················································· 2-8 テクニカルワークショップの概要····························································2-17 第 26 回 JI(共同実施)監督委員会 報告 ·················································2-20 第 27 回 JI(共同実施)監督委員会 報告 ·················································2-27 i 第 3 章 CDM/JI に関する各国の動向の調査・分析 1. 中国 ········································································································ 3-1 2. 韓国 ·······································································································3-22 3. インド ····································································································3-26 4. ブラジル ·································································································3-32 5. マレーシア ······························································································3-37 6. インドネシア ···························································································3-43 7. ロシア ····································································································3-47 8. ウクライナ ······························································································3-51 9. ブルガリア ······························································································3-54 10. ポーランド·····························································································3-58 第 4 章 CDM/JI 事業実施者に向けた情報提供体制の構築および運営 1. 京都メカニズム利用ガイド·········································································· 4-3 2. CDM 運営動向総論···················································································· 4-4 3. JI 運営動向総論 ························································································ 4-5 4. CDM 信任関連·························································································· 4-6 5. JI 信任関連······························································································4-14 6. CDM プロジェクト···················································································4-19 7. JI プロジェクト ·······················································································4-44 8. CDM 方法論····························································································4-54 9. 各国政策 ·································································································4-68 10. CDM レファレンス・ルール·····································································4-69 11. JI レファレンス・ルール··········································································4-78 12. 関連リンク·····························································································4-81 ii 第1章 CDM 事業審議に関する調査・分析、 課題の抽出、今後の在り方についての検討 2011 年度の CDM 運営動向 はじめに CDM 理事会は、2011 年度において第 60 回(2011 年 4 月)から第 66 回(2012 年 2~3 月)まで計 7 回にわたり理事会会合を開催した。ここでは、EB60~EB65 を対象として、 2011 年度の CDM 運営動向を概観する。 2010 年 12 月の第 6 回京都議定書締約国会合(CMP6)では、議論の結果、新しいルー ルと決定の導入の時期と影響をより明確にすること、あらゆる決定やルール等は遡及して 適用しないとの原則を厳守すること、必要に応じて CDM 理事会手続き規則を検証すること、 プロジェクト提案者との直接のコミュニケーションの様式と手順を作成すること、有効性 審査・検証レポートの重大な欠陥に対応するための手順を適用すること、引き続き有効化 審査・検証プロセスにかかる時間を監視していくこと、新しい方法論の検討に要する待ち 時間を減らすよう行動を取ること、first-of-its-kind の障壁の使用とコモンプラクティスの 評価のガイダンスを最優先で完成すること、追加性立証・評価の代替的アプローチを検討 すること、等が CDM 理事会に要請されていた。 こういった課題に対して、2011 年度の CDM 理事会では DOE や方法論・追加性、プロ ジェクトをめぐって議論が行われた。2011 年度の CDM 運営動向の特徴をまとめると、次 のようになる。 プロジェクト:登録プロジェクトが 3700 件1を超え、発行 CER が 8 億 tCO2e を超え ① た。 ② プログラム CDM(Programme of Activities, PoA):昨年度に引き続き 11 件の登録が あり(2012 年に入り 1 件)、累計で 17 件が登録済みである。 ③ 方法論:“標準化ベースライン”ガイドラインの策定、自動的に追加性があると見なさ れる技術あるいは措置のリストの拡大がなされた。 ④ 認定:複雑技術分野に関する有効化審査・検証チームメンバーの最初の資格認定につい ての暫定措置が合意された。 ⑤ CDM の運営の改善:有効化審査・検証基準(VVS)、プロジェクト基準(PS)および プロジェクトサイクル手続き(PCP)が採択された。 ⑥ 以下、プロジェクト、プログラム CDM、方法論、認定、クレジット市場分析の順に述べ るとともに、最後に、CDM 理事会の審査体制のあり方、審査手続きの効率化、改善の方向 性についてまとめる。 1 2012 年 1 月末現在。CER 発行量、プログラム CDM 累計件数も同じ。 1-1 1.プロジェクト (1)集計 (有効化審査) 2011 年に提出された CDM プロジェクトは 2090 件、予想排出削減量は 2 億 6490 万 tCO2e となり、2003 年以降件数、予想排出削減量とも最大となった。また、2010 年と比べて件数 が 45%、予想排出削減量で 45%増加し、大幅な増加となった。 国別では、中国でのプロジェクトの割合が高く、2011 年末の時点で、提出されたプロジ ェクト件数のうち 40%、削減量の 52%を占めている。一方で、2010 年にはアルジェリア、 アンゴラ、ボスニアヘルツェゴビナ、コンゴ、朝鮮民主主義人民共和国、モンテネグロ、 オマーン、シエラレオネ、トーゴ、ジンバブエの 10 カ国で初となる CDM プロジェクトが 提出された。 表 1- 1 有効化審査のためのパブリックコメントが行われたプロジェクト プロジェクト数 (件) 予想排出削減量 (万 CO2 換算トン) 2003 4 214 2004 59 516 2005 506 10,646 2006 959 18,011 2007 1,673 21,541 2008 1,887 20,394 2009 1,331 16,162 2010 1,432 18,181 2011 2090 26,490 累計 9941 132,159 (登録) 2011 年に登録された CDM プロジェクトは 1057 件、登録排出削減量は 1 億 2824 万 tCO2e となった。これらは、それまでの水準を大きく上回る件数、削減量であり、2011 年は大量 のプロジェクトが登録されたことで、今後多くの CER が発行されることが予想される。 国別では、2011 年末の時点でプロジェクト件数全体の 47%を中国が占め、次いでインド が 20%、ブラジルが 5%となっており、中国の割合が 5 割に迫っている。また、登録削減量 で見ると、件数と同様に中国が 64%と半数以上を占めている。 また、2011 年には、アゼルバイジャン、モーリシャス、セルビアの CDM プロジェクト が初めて登録された。 1-2 表 1- 2 登録プロジェクト プロジェクト数 (件) 登録排出削減量 (万 CO2 換算トン) 2003 0 0 2004 1 67 2005 62 2,786 2006 409 7,931 2007 426 8,162 2008 431 5,726 2009 684 9,308 2010 709 8,442 2011 1057 12,824 累計 3879 56,892 (CER 発行) 2011 年に CER の発行を受けた CDM プロジェクトは 1534 件、発行量は 3 億 1952 万 tCO2e となり、件数、発行量ともに過去最高となった。累計では、3589 件、8 億 1569 万 tCO2e と発行件数が 3000 件の大台を超え、このペースが続いた場合には、2012 年中に累 計で 10 億 tCO2e を超えることが予想される。 国別では、 2011 年末の時点で中国が発行件数の 45%を占め、発行量の 60%を占めており、 インドやブラジル、韓国、メキシコを大きく上回る水準となった。 表 1- 3 CER が発行されたプロジェクト数 プロジェクト数 (件) CER 発行量 (万 CO2 換算トン) 2003 0 0 2004 0 0 2005 4 10 2006 126 2,569 2007 313 7,669 2008 472 13,787 2009 522 12,343 2010 618 13,240 2011 1534 31,952 累計 3589 81,569 1-3 (2)主なプロジェクトの動向 (大規模プロジェクトの登録) 削減量 100 万 tCO2e/年以上で、2011 年 1 月から 2012 年 1 月までに登録されたプロジェ クトは表 1-4 のとおりであり、2010 年の 10 件から 2011 年は 17 件となった。この 17 件に ついて適用された方法論の内訳としては、大規模水力発電プロジェクト(ACM0002)が 6 件、天然ガスパイプライン漏洩量削減プロジェクト(AM0023)と炭鉱メタン回収・利用・ 処理プロジェクト(ACM0008)、超臨界石炭火力発電プロジェクト(ACM0013)、がそれ ぞれ 2 件などとなっている。 1-4 表 1-4:削減量 100 万 tCO2e/年以上で、2011 年 1 月から 2012 年 1 月までに登録されたプ ロジェクト 登録 2011/1/16 2011/2/2 2011/2/12 2011/2/17 2011/2/25 2011/3/7 2011/4/11 2011/5/25 2011/5/25 2011/6/9 2011/6/20 2011/7/8 2011/7/14 2011/7/22 2011/8/4 2011/9/9 2011/9/11 タイトル ホスト国 Shawan Hydropower Station, Dadu River, Sichuan Province Shenzhen Dongbu LNG Power Generation Project 中華人民 共和国 中華人民 共和国 中華人民 共和国 Longkou Hydropower Project Reducing gas leaks in low pressure and medium pressure gas distribution networks in Ferghana Valley Sichuan Maoergai Hydropower Project Primary Heating Network in Hulan and Songbei Districts of Harbin City Greenhouse Gas Emission Reductions Through Super Critical Technology - Coastal Andhra Power Ltd Shanxi Herui Coal Mine Methane Power Generation Project Jixi Coal Mine Methane Project Run-of-the-river Hydroelectric Power Project in Uttarakhand by Alaknanda Hydro Power Company Limited. Southern District Heating Network in Urumqi City Manaus Landfill Gas Project Hydro electric power project by SJVNL in Himachal Pradesh Greenhouse Gas Emission Reductions Through Super Critical Technology Jharkhand Integrated Power Ltd. Guangxi Qiaogong Hydropower Project Reduction of gas leakages in low- and middle- pressure gas-distribution pipelines in Tashkent City and Tashkent Region Natural Gas based grid connected power project at Peddapuram, A.P. by Gautami Power Limited ウズベキ スタン 投資国 方法論 スウェーデン ACM0002 スペイン 英国 削減量 (tCO2e/年) プロジェ クト番号 1,776,074 4068 AM0029 1,022,075 3477 ACM0002 1,113,483 4159 1,137,483 4085 アラブ首長国 AM0023 連邦・オランダ 中華人民 共和国 英国 ACM0002 1,445,580 4205 中華人民 共和国 英国 AM0058 1,971,240 4221 インド n/a ACM0013 1,234,697 4533 中華人民 共和国 n/a ACM0008 1,177,274 4098 中華人民 共和国 英国 ACM0008 1,838,575 3499 インド n/a ACM0002 1,204,120 4776 AM0058 1,155,074 4295 ACM0001 1,031,574 4211 スウェーデン ACM0002 1,407,658 4568 中華人民 共和国 ブラジル インド 英国 カナダ インド n/a ACM0013 2,139,925 4629 中華人民 共和国 日本 ACM0002 1,727,197 4507 ウズベキ スタン 英国 AM0023 1,053,164 5176 インド n/a AM0029 1,293,422 4828 (出所)UNFCCC CDM ホームページ (プロジェクト登録と CER 発行の棄却) その一方で、2011 年には 33 件のプロジェクト登録が棄却された(昨年度同期 45 件)。 その概要は次のとおりである。 1-5 ホスト国(中国:13、インド:7、ブラジル・マレーシア:2 など) 投資国(英国:7、スイス:3、日本・オランダ:2 など) 方法論(AMS-I.D.:10、ACM-I.C・AMS-III.H:4、AM0024:3 など)2 DOE(DNV:11、TÜV-NORD:5、TÜV-Rheinland:4 など) CER 発行については、2011 年には 24 件が棄却された。 なお、昨年の HFC-23 破壊プロジェクトに適用する方法論 AM0001 の即時停止の適用を 巡り議論が長引いていた、韓国のウルサンでの HFC23 破壊プロジェクトのクレジット期間 更新については、昨年に引き続き EB64 まで毎回討議を行っていたものの、議論がまとま らず結論を先延ばししていた。しかし EB65 においてプロジェクト参加者より自発的に改 正後方法論によるクレジット発行量に相当する量に抑えると表明されたことを歓迎して、 2010 年 1 月 1 日から 2016 年 12 月 31 日までの 7 年間の更新に同意した。 (今後のプロジェクトの動向) 今後のプロジェクトの動向をみるために、削減量 100 万 tCO2e/年以上で、2011 年 1 月 から 2012 年 1 月までに有効化審査のためパブリックコメントに付されたプロジェクトを一 覧にしたのが表 1-5 である。プロジェクト数は 2010 年が 30 件であったのに対し 2010 年 では 31 件であった。昨年 12 件あったインドでの超臨界石炭発電プロジェクト(ACM0013) が 2011 年においても合計 7 件パブリックコメントに付されている。また、アンゴラにおい て LNG 転換による削減量 1000 万 tCO2e/年以上の超大型プロジェクトも存在している。こ れらのプロジェクトが今後、登録要請されてくるものと思われる。 2 重複して適用されている方法論もあるため合計は件数を上回る。 1-6 表 1-5:削減量 100 万 tCO2e/年以上で、2011 年 1 月から 2012 年 1 月までに有効化審査の ためパブリックコメントに付されたプロジェクト プロジェクトタイトル ホスト国 Energy efficient power generation at Pench in Madhya Pradesh (MP), India Energy efficient power generation at Dahej in Gujarat, India Shanxi Changzhi Gaohe Mine VAM Destruction and Utilization Project Greenhouse Gas Emission Reductions Through Natural Gas ・ Samalkot Power Ltd. Phase - I Greenhouse Gas Emission Reductions Through Natural Gas ・ Samalkot Power ・Phase II Switch from Single Cycle to Combined Cycle (CC) CDM Project at Jahrom Power Plant インド 1-7 削減量 コメント期間 (tCO2e/年) 開始日 ACM0013 1,178,224 2011/1/22 インド ACM0013 中華人民共 ACM0008 和国 2,425,284 2011/2/8 1,421,761 2011/2/11 インド AM0029 1,901,165 2011/3/26 インド AM0029 2,106,293 2011/4/6 イラン ACM0007 1,330,330 2011/4/15 AM0029 1,471,614 2011/4/19 AM0023 1,005,311 2011/5/10 ACM0002 5,652,952 2011/5/31 ACM0002 1,974,939 2011/5/31 中華人民共 Shanghai Lingang natural gas based power generation project 和国 Reduction of gas leakages in low- and middle- pressure gasウズベキス distribution pipelines in Tashkent City and Tashkent Region タン Demwe Lower Hydro Electric Project; Arunachal Pradesh; India インド 中華人民共 Yunnan Gongguoqiao Hydropower Project 和国 Cookhouse Wind Farm in South Africa 南アフリカ GHG Emission Reductions through grid connected high インド efficiency power generation Energy Efficient Power Generation by DB Power (Madhya インド Pradesh) Limited ・Phase I Energy Efficient Power Generation by Welspun Energy Anuppur インド Private Limited Energy Efficient Power Generation by Welspun Energy Madhya インド Pradesh Limited Energy efficient power generation plant at Krishnapatnam インド Jinzhong Coal Mining Area Ventilation Air Methane Destruction 中華人民共 Project 和国 Yangquan Coal Mining Area Ventilation Air Methane Destruction 中華人民共 Project 和国 Jubilee Oil Field Associated Gas Recovery and Utilization ガーナ Project Gunung Rajabasa Geothermal Power Plant インドネシア 中華人民共 Lu-ding Hydroelectric Project 和国 中華人民共 Huadian Sichuan Mulihe Lizhou Hydropower Project 和国 中華人民共 Huadian Sichuan Mulihe Kajiwa Hydropower Project 和国 Conversion of Open Cycle Gas Turbines to Combined Cycle at ペルー Kallpa Thermoelectric Power Plant Dorper Wind Energy Facility 南アフリカ Shanxi LuAn Group Gaohe Mine VAM Destruction and 中華人民共 Utilization Project 和国 Rantau Dedap Geothermal Power Plant インドネシア Cambambe Hydroelectric Second Power Plant CDM Project アンゴラ Angola Repowering of Cambambe Central I Hydroelectric Power Plant アンゴラ CDM Project - Angola Angola LNG Project of Capture and Utilization of Associated アンゴラ Gas. Incheon Tidal Power Station CDM Project 大韓民国 4×200 MW Level Natural-gas-fired Combined Cycle Power 中華人民共 Plant of Ningxia East Thermal Power Co., Ltd. 和国 Shaanxi Tongchuan Jiaoping Mining Area VAM Destruction 中華人民共 Project 和国 Greenhouse Gas Emission Reductions Through Natural Gas ・ インド Samalkot Power Ltd. Phase - III Gas Collection, Incineration and Electricity Generation System ベトナム at Da Phuoc Integrated Waste Management Facility (出所)UNFCCC CDM ホームページ 方法論 ACM0002 1,139,349 2011/6/11 ACM0013 4,148,671 2011/6/17 ACM0013 1,091,707 2011/6/28 ACM0013 1,091,707 2011/7/1 ACM0013 1,637,560 2011/7/1 ACM0013 1,234,296 2011/7/22 ACM0008 1,815,021 2011/8/25 ACM0008 1,245,255 2011/8/25 ACM0009 2,342,845 2011/8/27 ACM0002 1,138,623 2011/9/24 ACM0002 2,945,566 2011/9/30 ACM0002 1,181,988 2011/9/30 ACM0002 1,522,211 2011/9/30 ACM0007 1,180,599 2011/10/19 ACM0002 1,010,698 2011/10/27 ACM0008 1,309,923 2011/10/28 ACM0002 1,132,701 ACM0002 3,282,016 2011/11/10 2011/11/3 ACM0002 1,529,311 2011/11/10 ACM0009 13,709,960 2011/11/10 ACM0002 1,626,257 2011/11/13 AM0048 1,082,243 2011/11/17 ACM0008 1,360,043 2011/11/26 AM0029 1,859,784 2011/1/6 ACM0001 2,911,543 2012/1/14 2.プログラム CDM (1)プログラム CDM の検討経緯 本項では、プログラム CDM に関する 2011 年度の動向を EB 開催順に追った後、個別の PoA 登録状況について述べることとする。 2011 年度の最初の EB60 では、本年度に取組む PoA の重点分野に同意し、ワークプログ ラムを決定した。 EB61 では、CDM プログラム活動の誤った包含のレビュー手続きに同意した。これは CMP5 にて PoA の発展の障害を取り除くように CDM 理事会に改訂が求められていたもの である。この手続き改訂はレビューの範囲に時間制限を設けるものである。 EB63 では、「PoA により達成される GHG 排出削減の追加性立証に対する標準」および 「PoA 下に構成プロジェクトとしてプロジェクト活動を含める適格性判断基準作成のため の基準」を採択した。これは CMP6 より追加性の証明に関する既存の規定の適用と、構成 プロジェクトを含める際の適格性の判断基準の定義をさらに明確化するため、PoA に関す る既存の規定の再評価を CDM が求められていたことに応えたものである。また、理事会は 「複数 CDM 方法論の PoA 適用に対する基準」を採択した。これは CMP6 での追加性証明 の既存規則の適用の明確化、複数の方法論と技術の適用申請の簡素化等の CDM 理事会への 要請に応えたものである。理事会はこれら3つの規定を1つの PoA 基準に統合するよう事 務局に求めた。さらに「CDM プロジェクトおよび PoA の標本抽出と調査の基準」の草稿 について DOE と PP と協議して作成するべきとして、2011 年 10 月にそれらからの意見収 集を行うよう事務局へ要請した。 EB64 では、「プログラム活動(PoA)基準の実施計画」に合意した。 EB65 では、 「CDM プロジェクトおよび PoA のサンプリングと調査の基準」を改訂した。 これは EB50 で承認されていたサンプリングのガイドラインについて、EB60 にて CDM プ ロジェクトと PoA に共通のサンプリングガイドラインとベストプラクティス例をカバーす るものを作成することにさらに取組むことに理事会が同意していたものである。また、 「PoA のための追加性証明、適格性基準の作成および複数の方法論の適用のための基準」を採択 した。これも CMP6 での追加性証明の既存規則の適用の明確化、複数の方法論と技術の適 用申請の簡素化等の CDM 理事会への要請に応えたものである。 (2)PoA の登録状況 2012 年 1 月末までのプログラム活動の登録状況は 17 件(表 1-6:参照)である。2009 年 7 月に 1 件目の登録が成されて以降、毎年件数が増加しており、2011 年は合計 11 件も の登録が成されている。 1-8 表 1-6:PoA の登録状況(2012 年 1 月 31 日時点) 登録日 PoA タイトル ホスト国 PoA 削減量 CPA 削減量 CPA (tCO2 年) (tCO2 年) 数 方法論 2535.CUIDEMOS Mexico (Campana De AMS-II.C. 2009/7/31 Uso Intelegente De Energia Mexico) - メキシコ 520,365 24,283 1 591,418 139 1,050 83,700 8,370 8 34,892 34,892 42 4,395 4,395 1 400,000 5,203 1 4,079 4,079 1 76,945 76,945 1 7,242 7,242 1 20 20 1 17,540 17,540 1 50,233 50,233 1 51 51 1 46,584 46,584 1 ver. 9 Smart Use of Energy Mexico 2767.Methane capture and combustion AMS-III.D. from Animal Waste Management System ブラジル 2009/10/29 ver. 13 (AWMS) of the 3S Program farms of the Instituto Sadia de Sustentabilidade 2956.Uganda Municipal Waste Compost 2010/4/12 AMS-III.F. ウガンダ Programme ver. 6 3223.CFL lighting scheme – “Bachat 2010/4/29 AMS-II.J. インド Lamp Yojana” ver. 3 AMS-I.D. 2010/8/21 3562.Masca Small Hydro Programme ホンジュラス ver. 13 4041.Promotion of Biomass Based Heat 2011/1/12 AMS-I.C. インド Generation Systems in India ver. 16 2896. SGCC In-advance Distribution AMS-II.A. 2011/2/12 Transformer Replacement CDM 中国 ver. 10 Programme 4302. SASSA Low Pressure Solar Water 2011/3/12 AMS-I.C. 南アフリカ Heater Programme ver. 17 4659. Solar Water Heater Programme in 2011/4/13 AMS-I.C. チュニジア Tunisia ver. 17 2897. Egypt Vehicle Scrapping and 2011/5/11 AMS-III.C. エジプト Recycling Program ver. 11 4793. Efficient Lighting Initiative of バングラデシ Bangladesh (ELIB) ュ 4791. Improved Cooking Stoves in バングラデシ Bangladesh ュ AMS-II.J. 2011/5/13 ver. 4 AMS-II.G. 2011/7/11 5019. The programme to promote efficient ver. 3 AMS-II.C. 韓国 2011/10/19 lightings in local areas ver. 13 5092. “Turbococinas”, rural cooking stove エルサルバ substitution program in El Salvador ドル AMS-II.G. 2011/10/25 1-9 ver. 3 Composting and Co-composting 2011/11/22 AMS-III.F. インドネシア Programme of Activities (PoA) in Indonesia 22,416 22,416 1 38,139 38,139 1 8,912 8,912 1 Ver. 8 AMS-III.H. 2011/11/23 Malaysia Biogas Projects マレーシア Ver. 15 Improved Cooking Stoves for Nigeria 2012/1/1 AMS-II.G. ナイジェリア Programme of Activities ver. 3 (出所)UNFCCC CDM ホームページ 1-10 3.方法論 (1)個別方法論 (新規方法論) 第 60 回 CDM 理事会(EB60)以降 EB65 までに次の方法論が承認された。 表 1-7 承認 EB60 以降 EB65 までに承認された新規方法論 方法論番号 EB61 AM0091 ACM0019 EB62 AM0092 方法論名 新規建築物における省エネ技術および燃料転換 硝酸製造からの N2O の削減 半導体産業における化学蒸着(CVD)反応管洗浄用 PFC ガスの代替 AM0093 埋立地の受動曝気による埋立地ガス排出の回避 AM0094 家庭・業務用バイオマスストーブ・ヒーターの配布 EB63 AM0095 新規鉄鋼プラントにおける廃ガスコンバインドサイクル発電所 AM0096 半導体製造施設における削減システムの設置による CF4 排出削減 AM0097 高圧直流送電線の設置 AM0098 アンモニアプラントオフガスの蒸気生成利用 ACM0020 連系発電所における熱・電力生成のためのバイオマス残さの混燃 EB65 AM0099 AM0100 EB66 AM0101 AM0102 AM0103 既存 CHP プラントへの新規天然ガスガスタービンの設置 太陽熱コンバインドサイクル統合プロジェクト 高速旅客鉄道システム 新規産業需要者へ電力・蒸気を供給し系統・顧客へ余剰電力を移出 する新規コジェネレーション施設 孤立系統における再生可能エネルギー発電 EB61 では、N2O ベンチマーク方法論(ACM0019)とボトムアップによる初めての標準 化ベースライン方法論である建築物のための標準化ベースライン方法論(AM0091)が承認 された。前者については,ベースライン N2O 排出係数を 2005 年の 5.10kgN2O/tHNO3 か ら 2020 年の 2.50 kgN2O/tHNO3 に減少するデフォルト値とするものである。 トップダウンで作成された初めての方法論として、孤立系統における再生可能エネルギ ー発電(ACM0103)が承認された。 高圧直流送電線の設置(AM0097)といった送配電部門の方法論も承認された。 (小規模方法論) 小規模方法論については、EB60 以降 EB65 までに次のような方法論が承認された。 1-11 表 1-8 承認 EB60 以降 EB65 までに承認された小規模方法論 方法論番号 EB60 AMS-I.J. 方法論名 太陽熱温水システム AMS-II.L. 高効率屋外・街路照明技術の需要側活動 AMS-III.AT. 商用貨物車両へのデジタルタコグラフの設置の交通省エネ活動 AMS-III.AU. 水田における水管理法調整によるメタン排出削減 AMS-III.AV. 温室効果ガス低排出浄水システム EB62 AMS-II.M. 温水水量節約機器の設置の需要側省エネ活動 EB65 AMS-III.AX. 固形廃棄物処分場のメタン酸化層 EB66 AMS-I.K. 家庭用太陽光調理器 AMS-I.L. 再生可能エネルギーを用いる農村の電化 AMS-II.N. 建築物における省エネ照明・制御装置の設置の需要側省エネ活動 AMS-II.O. 省エネ家電の普及 AMS-III.AW. 系統延伸による農村の電化 AMS-III.AY. 既存・新規バス路線への LNG バスの導入 太陽熱温水システム(AMS-I.J.)、家庭用太陽光調理器(AMS-I.K.)、高効率屋外・街路 照 明 技 術の需 要 側 活動( AMS-II.L.)、 温 水 水量 節 約 機器の 設 置 の需要 側 省 エネ活 動 ( AMS-II.M. )、 建 築 物 に お け る 高 効 率 照 明 ・ 制 御 装 置 の 設 置 の 需 要 側 省 エ ネ 活 動 (AMS-II.N.)、温室効果ガス低排出浄水システム(AMS-III.AV.)、はいずれもトップダウ ンで作成された方法論である。太陽熱温水システム(AMS-I.J.)では、排出削減量決定の 3 つのオプションのうちの 1 つとして、コンピュータシミュレーションが認められた。 また、EB66 では農村電化の方法論が 2 件承認された。 商用貨物車両へのデジタルタコグラフの設置の交通省エネ活動(AMS-III.AT.)、水田に おける水管理法調整によるメタン排出削減(AMS-III.AU.)といった交通・農業分野の方法 論も承認された。 (承認方法論の改定) ① 方法論 AM0001「HFC-23 排ガスの燃焼」改定について 方法論パネルから EB61 に、次のような方法論 AM0001「HFC-23 排ガスの燃焼」改定 案が勧告された。 ・ 副生物生成率:ベースラインの副生物生成率 w(HFC-23 副生量/HCFC-22 製造量) に関するキャップを、現状の 3 年間実績値のうち最も低いもので 3%を超えないも のから引き下げる。1.0%と 1.4%という 2 つのオプション。 ・ HCFC-22 量のうちクレジット化適格量:HCFC-22 製造実績量の最大値から平均値 1-12 に。 ・ プロジェクト排出量:プロジェクト排出量の対象に関して次のような 2 つのオプシ ョンを示した。 − クレジット化適格でない HCFC-22 製造に伴う HFC-23 排出量もプロジェクト排出 量に算定する(プラント運営者に、クレジット化適格でない HCFC-22 製造ライン からの HFC-23 排出を削減するインセンティブを与える)。 − プロジェクト排出量をクレジット化適格な HCFC-22 製造ラインからの破壊されな い HFC-23 排出量に限定する。 EB61 では、施設のすべての製造ラインを含めるか否かに関する 2 つのオプションなどの検 討を継続することが合意され、EB62 でも、さらに検討を継続することが合意された。 EB63 は方法論パネルに対して、(a)CDM 適格の製造ラインに対して w 係数 1%を適用、 (b)非 CDM 製造ラインの HFC-23 排出を燃焼している場合、CDM 適格の製造ラインに対 して w 係数 1.2%を適用、の 2 つのオプションを選んだ場合の影響を分析するよう要請した。 EB65 には方法論パネルから、非適格 HCFC-22 製造ラインからの HFC-23 の自主的分解 により達成された排出削減量が、w係数の増加による追加的 CERw 量に等しい、または、 それを超える場合に w 係数を 1.0%から 1.2%に増加できるというハイブリッドアプローチ が提案された。EB65 では、単純化という観点から (a)のオプションが採用され、(i)HFC-23 生成率に関して 1%のキャップを導入、(ii)クレジット適格な HCFC-22 量を決めるのに HCFC-22 製造実績量の平均を使用、を内容とする改定が行われた。 ② 統合方法論 ACM0013「GHG 原単位が低い技術を用いる新規連系化石燃料火力発電所 の統合ベースライン・モニタリング方法論」の即時停止について 統合方法論 ACM0013「GHG 原単位が低い技術を用いる新規連系化石燃料火力発電所の 統合ベースライン・モニタリング方法論」について、EB62 では、方法論パネルが作成した、 当該方法論で見出された問題に関する情報ノートが検討された。当該方法論では、オプシ ョン 1(投資分析によるベースライン選定手続きで決定された最もあり得そうな技術の排出 係数)とオプション 2(参照年でモニタリングされたトップ 15%プラントの平均排出係数) のうち排出係数が低いものを用いるよう求められている。情報ノートでは、 (a)オプション 1 についてベースラインシナリオ特定手続きを改善すること (b)オプション 2 について技術改善を考慮することとデータ年を適切なものにすること が勧告されたが、方法論パネルに対して、徹底的な分析を行うよう要請が行われた。 EB65 では、方法論パネルが作成した、情報ノート「方法論 ACM0013 に関する問題の分 析に関する報告」が検討された。情報ノートでは、結論・勧告として、 (a)オプション 1 については(他のプラントの実績ではなく)フィージビリティスタディ に基づくものとすること、 (b)オプション 2 については、 1-13 (i)情報が示されていない、または、情報に一貫性がない場合が多いとして、燃料消費量 と純発電量を PDD に明記し、DOE がプラントの記録と照合すること (ii)プロジェクトとトップ 15%プラントとのデータ年ギャップがあるとして、効率向上 の実績やデフォルト値など、効率向上の影響を組み入れる手続きを含めること があげられた。当該方法論にはベースライン方法論手続きに関していくつかの不十分な点 があるとして、当該方法論は即時に一時停止された。 (方法論のプロジェクトへの適用状況) 主な方法論の登録プロジェクト数と削減量を 2011 年末までの累計と 2011 年 1 年間に分 けて示したものが表 1-9 である。2011 年の特徴を、2011 年末までの累計と 2011 年 1 年間 との比較によりみると、再生可能エネルギー源による連系発電所の統合ベースライン方法 論(ACM0002)、廃エネルギー回収プロジェクトによる温室効果ガス排出削減の統合ベー スライン方法論(ACM0012)、GHG 原単位が低い技術を用いる新規連系化石燃料火力発電 所の統合ベースライン・モニタリング方法論(ACM0013)、ガス送出システム等における 漏出検出(AM0023)、新規一次地域暖房システムの導入(AM0058)などの大規模プロジ ェクトへの適用例が増えている。 1-14 表 スコープ 方法論番号 主な方法論の登録プロジェクト数と削減量 方法論名 累計 登録プロジェクト数 2011年 (%) 1:エネルギー産業 1,4 AM0029 天然ガスを用いる連系発電所のベースライン方法論 ACM0002 再生可能エネルギー源による連系発電所の統合ベー スライン方法論 AM0058 新規一次地域暖房システムの導入 ACM0006 バイオマス残さによる電・熱生産の統合方法論 ACM0013 GHG原単位が低い技術を用いる新規連系化石燃料 火力発電所の統合ベースライン・モニタリング方法論 AMS-I.C. 電力を伴うまたは伴わない熱エネルギー生産 AMS-I.D. 連系再生可能エネルギー発電 ACM0012 廃エネルギー回収プロジェクトによる温室効果ガス排 出削減の統合ベースライン方法論 (ACM0004 廃ガス・熱の発電利用の統合方法論) 4:製造業 AMS-II.D. 5:化学工業 AM0021 AM0028 AM0034 産業施設の省エネルギー・燃料転換措置 既存アジピン酸製造プラントからのN2Oの分解のベー スライン方法論 硝酸・カプロラクタム製造製造プラントの排ガスの触媒 N2O分解 硝酸プラントのアンモニアバーナー中での触媒N2O削 減 炭鉱メタン等の回収および発電用の利用等の統合方 法論 8:鉱業/鉱物生産,10 ACM0008 10:燃料からの漏出 AM0009 油井からのガスの回収・利用 AM0023 ガス送出システム等における漏出検出 11:HFC、PFCおよびSF6 AM0001 の生産・消費からの漏出 HFC-23排ガスの分解 13:廃棄物処理・処分 埋立地ガスのフレアリングまたは利用 ACM0001 AMS-III.F. たい肥化によるメタン排出の回避 AMS-III.H. 廃水処理のメタン回収 家畜排せつ物管理システムの改善による温室効果ガ ス削減) 13,15 (AM0016 15:農業 AMS-III.D. 家畜排せつ物管理システムのメタン回収 合計(実数) 39 ( 1.0 ) 1353 ( 35.0 ) 削減量 (%) 467 ( 44.8 ) 累計 (tCO2e/年) (%) 2011年 (tCO2e/年) 32,361,220 ( 5.7 ) 3,426,556 222,352,539 ( 39.2 ) ( 2.7 ) 77,903,491 ( 61.3 ) 3,668,785 ( 2.9 ) 2,875,549 ( 2.3 ) 111 ( 2.9 ) 26 ( 2.5 ) 11,053,948 ( ( 1.6 ) 3,374,622 ( 2.7 ) 167 ( 4.3 ) 50 ( 4.8 ) 6,435,228 ( 1.1 ) 1,931,314 ( 1.5 ) 1146 ( 29.6 ) 303 ( 29.0 ) 34,315,212 ( 6.1 ) 7,125,447 ( 5.6 ) 33 ( 3.2 ) 12,431,557 ( 2.2 ) 4,784,390 ( 3.8 ) 18,163,599 ( 3.2 ) 29,174,914 ( 5.1 ) 8,781,920 ( 1.5 ) 63 ( 1.6 ) 111 ( 2.9 ) 49 ( 1.3 ) 2.0 ) 備考 (%) 53 ( 1.4 ) 12,901,816 ( 2.3 ) 54 ( 1.4 ) 25,933,274 ( 4.6 ) 8,837,885 ( 1.6 ) 81,257,444 ( 14.3 ) 28,433,309 ( 5.0 ) . 149 ( 3.9 ) 41 ( 1.1 ) 142 ( 3.7 ) 21 ( 2.0 ) 50 ( 4.8 ) ACM0012に統合。 スコープは1。 1,376,507 ( 1.1 ) 4,942,785 ( 3.9 ) 3,082,959 ( 2.4 ) 3,822,830 ( 3.0 ) 1,766,555 ( 1.4 ) スコープ13,15から 変更 40 ( 1.0 ) ACM0010に統合 153 ( 4.0 ) スコープ10,13から 変更 3866 1043 566,702,090 127,105,361 注:登録プロジェクト数、削減量がそれぞれの合計の 1%以上の方法論についてのみ記載。2012 年 3 月 1 日現在。 1-15 (2)横断的課題 (方法論の簡素化へ向けた動き) CDM プロジェクト開発にあたって追加性の証明、ベースライン排出量の算出方法などが 重要な要素となっている。これらは CDM プロジェクトによって得られる温室効果ガス (GHG)排出削減量の算出方法の信頼性を維持するために必要な手続きであるが、その一 方で、あまりに厳密に追加性の証明やベースライン排出量の算定を求めると、事業実施以 前に、排出量の算定や追加性の証明に大きな時間と労力が割かれることになり、逆にプロ ジェクト開発の障害となる場合も見られるようになってきている。 例えば、プロジェクトの有効化審査から登録までに要する時間については長期化する傾 向が見られ、現在では 2 年程度の時間の時間がかかるとも言われている。手続きの長期化 には様々な要因が影響していると考えられるが、追加性の証明、ベースラインの算出方法 の複雑化が一つの要因となっている可能性はある。 事実、CDM 理事会において手続きの簡素化は、重要な課題として認識されてきており、 CMP7 に提出された 2011 年年次活動報告書では、CDM に関連する手続きの簡素化に関連 する取組みの成果として、次の三つの項目を挙げている。 a. 自動的に追加性があると見なされる技術あるいは措置のリストと、セクター全体の典型 的な排出量を計算することを可能にする“標準化ベースライン”ガイドラインの策定 b. “はじめてのケース(First its of kind)”の考え方を利用した追加性証明の迅速化アプ ローチの採択 c. コモンプラクティスのガイダンスの採択。 a に上げた標準化ベースラインは、2010 年のカンクンで開催された CMP6 で合意された もので、これまでプロジェクト毎に策定していたベースライン排出量の算定方法を、締約 国またはそのグループ毎に標準化することを認めることが決定されたことを受けて、CDM 理事会で、具体的な手続きの策定作業が進められ、第 63 回 CDM 理事会で採択された。ま だ標準化ベースラインとして認められたものはないが、事務局が作成した作業計画に従い、 今後のその策定の支援が行われることになる。 また、追加性の証明にあたって、手続き上は投資分析以外にも、その地域で初めて導入 される技術(“初めてのケース”)であることや、一般的な習慣(コモンプラクティス)とは 異なるために、事業の実施が困難である GHG 排出削減事業も、追加性があると認められて いるが、実際の追加性の証明にあたっては投資分析が多く使われているのが現状である。 これは“初めてのケース”であることが困難であることが一つの要因であると考えられ ている。第 63 回理事会で採択されたガイダンスは、この“初めてのケース”を証明するた めの手続きであり、今後、この手続きに従うことで、“初めてのケース”の証明がより容易 になることが期待される。 1-16 (CDM プロジェクトの偏在への対応) さらに、CDM プロジェクトが一部の国に偏在していることも、CDM の課題の一つとな っているが、方法論の側面から、この課題に取り組む動きがあった。 その一つがトップダウンアプローチによる方法論の策定である。GHG 排出削減事業に適 用されうる既存の承認済み方法論がない場合、CDM 化するためには、事業を実施する事業 者が新しい方法論を策定し、CDM 理事会における承認手続きを踏まなければならない。し かし、この方法論策定は途上国の企業にとっては大きな負担となる場合もある。そのため、 CDM 理事会事務局が、事業者からの申請を待たずに、トップダウンで様々な GHG 排出削 減事業の方法論を策定するようになってきている。これらの方法論も、理事会の最終承認 を得る必要はあるが、事業者が開発する必要はなく新方法論開発の負担は軽減されること になる。また、GHG 排出削減事業を新たな分野で実施することを促すことも期待されうる。 同時に、Micro scale 方法論とよばれる小規模方法論が対象とする排出削減量の小さいプロ ジェクトの中でも、さらに小さいプロジェクト(出力5MW 以下の再生可能エネルギープ ロジェクト及び 20GWh/年未満の省エネプロジェクト)については、追加性の証明が簡易 化されることが 2009 年の CMP5 で決定されたが、2011 年以降、この Micro Scale 方法論 の適用の幅を広げる取組みが続けられている。 さらに、2011 年から suppressed demand と呼ばれる考え方を踏まえて、未電化地域に おけるベースライン排出量の算出を行うことなども検討され始めている。これは、これま で化石燃料を利用してこなかった地域におけるベースライン排出量を算出する際に、未電 化でなければ本来、排出していたであろう排出量を踏まえてベースライン排出量を算出し ようとするものである。中国、インド、ブラジルなどの新興国では、既に化石燃料を利用 した発電所が多くあり、ベースライン排出量を算定することが比較的、容易であるが、ア フリカなどの CDM 開発が進んでいない国では、そもそも電化されていない地域が多く存在 する。その場合に、これまでの方法でベースライン排出量を算出しようとするとゼロある いは限りなくゼロに近い数字となってしまう。結果として、アフリカなどで CDM を実施し たとしても多くの排出削減量は望めず、事業者の開発意欲を殺ぐ一つの要因となりうる。 これは同時に、プロジェクト実施が相対的に容易で、かつ大量の排出削減量が見込まれる 中国、インドなどに CDM プロジェクトが偏在する一つの要因でもある。まだ結論は出され ていないが、今後のアフリカなどにおけるプロジェクト開発に影響を与える可能性がある。 1-17 4.認定 (指定運営機関のスポットチェック) 指定運営機関(DOE)の一時資格停止および一部資格停止につながる、DOE へのスポッ トチェックについて、2011 年は EB65 で 1 機関に実施されたが、DOE 資格の継続を認め て完了している。 (DOE パフォーマンスモニタリングチェック) EB61 では、2010 年上半期および同下半期の DOE のパフォーマンスについてのモニタ リング報告書の提出を歓迎した。 EB65 では 2010 年 7 月 1 日から 12 月 31 日までと 2011 年 1 月 1 日から 6 月 30 日まで の DOE パフォーマンス報告書について検討した。さらに、利害関係者との相互作用から提 起された問題と DOE のパフォーマンスモニタリングシステムから得たデータの初期分析 を歓迎し、この分析について事務局に対して、DOE へトレーニングを提供すること、追加 性評価の簡素化を検討すること、有効化審査・検証テンプレートの準備の仕事を優先する こと、DOE の品質チェックを補強すること、DOE パフォーマンスモニタリングの結果の 分析を完了すること等を要求した。 (有効化審査・検証標準(VVS)とプロジェクト基準(PS)) EB65では全ての種類のCDMの有効化審査・検証について必要最低限の要件である一貫 性と明確さを高めること、有効化審査・検証活動の準備、実行、報告における品質と一貫 性の向上、CDMの全体的効率と十全性の向上等を目的として、有効化審査・検証基準(VVS) を採用した。さらに理事会はプロジェクト基準(PS)を採用した。これは全ての種類のCDM プロジェクト活動とPoAへ適用される要件の一貫性と明確さの向上や、CDMに関わる全て の人々により明確で共通な理解が促進されること、プロジェクト設計書(PDD)やPoA設 計書(PoADD)等の品質向上等を目的としているものである。そして理事会は、これにプ ロジェクトサイクル手順(PCP)も含めた実行計画を承認した。 (その他認定関連) EB59 では、理事会より事務局に対し、将来の理事会において認定関連の一貫した意思決 定を容易にするガイダンスの草稿を用意するよう要請した。また CDM-AP に対して、もし 適用できるなら、今後の理事会での検討のために DOE/AE コーディネーションフォーラム との直接的な相互作用の方式の検討を要求した。 EB60 では、DOE の本社を別の法人に変更する場合の認定手続き改定案を準備するよう 事務局へ要請した。また 2011 年の CDM-AP の作業計画に同意した。 EB61 では、理事会に出された DOE の年次活動報告書に留意した。 EB62 では、複雑技術分野に関する有効化審査・検証チームメンバーの最初の資格認定に 1-18 ついての暫定措置を含める CDM 認定基準の改訂に同意した。 また、2011 年 10 月 27 日にドイツのボンにて DOE/AIE コーディネーションフォーラム ミーティングが開催された。 (認定関連) 次の運営機関・スコープ3について認定・暫定指定が行われた。 組織名 EB59 EB60 CCSC(中国) 措置 対象機能 対象スコープ 新規認定 有効化審査・検証 1-10,13 ICFRE(インド) 新規認定 有効化審査・検証 14 HKQAA(香港) 新規認定 有効化審査・検証 1 JCI(日本) スコープ拡大認定 有効化審査・検証 4,5,10 KBS(インド) 新規認定 有効化審査・検証 1,3,4,5,7,12,1 3,15 Carbon Check 有効化審査・検証 1-5,8-10,13 有効化審査・検証 4-7,9,11-15 スコープ拡大認定 有効化審査・検証 7,10,15 新規認定 有効化審査・検証 1 URS(インド) 新規認定 有効化審査・検証 1,13 JCI(日本) 再認定 有効化審査・検証 1,2,4,5,10,13 新規認定 (南アフリカ) KICTEP(韓国) 認定申請取下げ EB61 CEC(中国) 新規認定 EB62 Deloitte Cert 認定申請取下げ (ドイツ) EB63 JCI(日本) 認定期間延長(2011.8.2 から 2012.2.2 まで) EB65 SIRIM (マレーシア) Re-consult (トルコ) DOE の認定は 15 の定められたスコープ(専門分野)の機能(有効化審査もしくは検証)ごとに行われ、 認定を受けたスコープ・機能の業務のみ行うことが出来る。各スコープは下記の通り。 1.エネルギー産業、2.エネルギー供給、3.エネルギー需要、4.製造業、5.化学産業、6.建設業、7.運輸部門、 8.鉱業部門、9.金属工業、10.燃料からの漏洩、11.HFC・SF6 の生産・消費における放出、12.溶剤の使用、 13.廃棄物処分、14.植林・再植林、15.農業 3 1-19 5.京都クレジット市場と欧州排出量取引制度 (1)世界の GHG 排出量取引市場概観 現在、EU ETS と京都クレジットの取引が国際的な温室効果ガス(GHG)排出量取引 市場において主要な位置を占めている。それ以外にも、米国の州政府による取組み、RGGI など、この二つ以外の市場も存在しているが、取引量・取引高ともにきわめて小さく、市 場としての規模では EU ETS と京都クレジット取引市場の二つが世界の GHG 排出量取引 市場の 90%程度を占めている。京都クレジットの中では CDM プロジェクトを実施するこ とによって得られる CER の取引量が大半を占めているが、近年、ERU、AAU の取引も行 われるようになってきており、市場に影響を与えている。この EU ETS と CER の取引に おいては、様々な取引が行われている。現物を取引するスポット取引や、引渡し時期が数 ヶ月先のものを取引する先物取引、さらにプットオプションやコールオプションなどのオ プション取引も行われている(表 1-11 参照)。 表 1-11.EUA と CER の取引形態 EUA スポット取引 契約に合意してから引渡しが 1 日から 2 日以内に行われるもの。 先渡し・先物取引 EUA の引渡しが数ヶ月先になるもの。このような数ヶ月先の引渡し が行われる取引で、店頭取引(当事者が仲介業者などを通じて行う取 引)で行われる場合を先渡し取引と呼び、取引所での取引するものを 先物取引と呼ぶ。取引価格の指標も、その年の 12 月引渡し予定の先 渡し・先物取引の取引価格が指標となっている。 オプション取引・ EUA を将来的に購入する権利を売買するものや、引渡し時期の異な スワップ取引 る EUA(例えばスポット取引と先物取引)の間でのスワップ取引や、 EUA と CER のスワップ取引などが行われている。 CER 1 次 CER プロジェクトの計画段階で将来的に発行が見込まれる CER を予め購 (先渡し取引) 入するもの。プロジェクトによっては、契約締結後に問題が生じ、契 約で定められた数量を引き渡すことが出来ない場合もありうる。 2 次 CER 売り手(主に欧州の金融機関)が、1 次 CER を購入した上で、他の (1 次 CER の転売) 企業(EU ETS 規制対象企業)に転売するもの。転売に当たっては、 契約で定められた数量の引渡しが保証(転売する金融機関が自らの責 任で引き渡す)されているものもあり、買い手にとっては 1 次 CER よりもリスクが小さい場合もある。ただし、全ての二次 CER で数量 保証がなされているわけではなく、契約によって異なる。 スポット取引 発行済み CER を取引するもの。 1-20 (2)価格動向 2011 年において EUA 取引市場、CER を含む京都クレジット取引市場において、3 月か ら 5 月にかけて価格は上昇したが、年の後半に入ってからは、一貫して下落基調で推移し、 年初に比較すると半値近くまで値を落とし、大幅に下落した。 2011 年における EUA 取引価格の指標となる EUA Dec 11(2011 年 12 月引渡しの先物 取引価格)の取引価格の推移を見ると、年初は€14 程度で取引されていたものが、5 月には €17.34 まで価格が上昇したが、6 月以降は一転して、下落し始めた。特に、11 月以降の下 落幅は大きく、11 月 1 日に€10 を下回ってから、急激に値を落とし、12 月は€6.4 まで価格 が下落した。これは 2005 年以降、記録されている EUA Dec 11 取引価格の最安値であり、 2009 年 2 月に記録した最安値、€8.9 を大幅に下回る価格であった。12 月は EUA Dec 11 の引渡し期日となっていることも影響していると考えられるが、EUA Dec 12(2012 年 12 月引き渡し先物 EUA 取引価格)を見ても、€6.84 と同様に最安値を更新しており、EUA 取引価格が全般的に下落したと言える。 EUA 取引価格から大きな影響を受ける 2 次 CER Dec 2011 取引価格(2011 年 12 月引渡 しの 2 次 CER 取引価格)の推移を見ると、EUA と同様に価格が大幅に下落した。図 1-1 に示したように EUA と同様な値動きをしており、5 月に€13.34 まで上昇したが、 その後、 下落に転じ、9 月には€8 を下回りはじめ、12 月には€4.47 まで下落した。 20 EUA Dec 2011 sCER Dec 2011 18 16 14 12 10 8 6 4 2 2011/12/6 2011/11/22 2011/11/8 2011/10/25 2011/10/11 2011/9/27 2011/9/13 2011/8/30 2011/8/16 2011/8/2 2011/7/19 2011/7/5 2011/6/21 2011/6/7 2011/5/24 2011/5/10 2011/4/26 2011/4/12 2011/3/29 2011/3/15 2011/3/1 2011/2/15 2011/2/1 2011/1/18 2011/1/4 0 図 1-1.2011 年の EUA と sCER 取引価格の動向 (出典:ポイントカーボンのデータを踏まえ作成) 2011 年の市場動向において注目すべきなのは、2 次 CER 取引価格が€8 を下回ったこと 1-21 である。€8 は中国政府が CDM プロジェクトの政府承認の際に設定しているといわれる価 格で、1次 CER 取引価格の下限価格の目安となっていることから、1次 CER が転売され る 2 次 CER においても取引価格の下限の目安になりうる。2011 年 11 月以降、2 次 CER 取引価格は、€8 を下回りはじめたことは、1 次 CER の転売によって利益を得ることが困難 になったことを意味するとともに、転売目的で CDM 開発に関与してきた企業に、今後、様々 な形で影響を与える可能性がある。 (3)価格に影響を与えた要因 EUA 取引価格や CER 取引価格には、様々な要因が影響を与える。既に述べたように、 EUA と CER、それぞれ様々な取引形態があるが、CER については取引形態によって、価 格に影響を与える要因も異なる。 2 次 CER は、1 次 CER を更に転売する取引で、取引所などでも取引されており、取引価 格は一般に公開されている。1 次 CER が転売されるものであるため、2 次 CER は 1 次 CER よりも高値で取引されている。特に、表 1-11 でも説明したように、信用力のある金融機関 が 1 次 CER を売主として転売する場合もあるが、取引に際して、これらの金融機関が数量 保証をしているものあり、買主にとってリスクを最小化しながら、CER を取得することが できるため、高値で取引される理由となっている。2 次 CER は EUA 取引価格から強い影 響を受け、EUA 取引価格の上昇とともに上昇し、下落とともに下落する傾向が見られる。 ただし、それ以外にも、CER 発行状況、UNFCCC における交渉の状況、EU における制度 の動向なども価格に影響を与える場合もある。 プロジェクトの計画段階で、将来、発行が予定されている CER を取引する 1 次 CER で は、CER 引渡しまでの多くのリスクがある。有効化審査の段階で、プロジェクトの CDM 化を断念する可能性、CDM 理事会における登録申請が却下される可能性、さらに CER 発 行段階で問題が生じ CER が発行されない可能性もある。これらのリスクをどのように売主 と買主の間で負担するのか、その負担方法によって価格は大きく変わる。また、個々のプ ロジェクトで、売主と買主の間で、リスク配分など様々な事項について長い交渉を経た後 に取引価格が決定されており、価格はプロジェクトによって異なる。 価格交渉において、一般的にリスクを売主が負う場合、価格は高くなりうるが、買主が 追う場合は、価格は安くなりうる。その際に、2 次 CER 取引価格を上限として、中国政府 が設定する下限価格(€8)を下限とする価格帯で 1 次 CER は取引されていた(これは、市 場に供給されている CER の大半が、中国のプロジェクトに由来するものであるためである)。 しかし、2011 年の 2 次 CER 取引価格は、この€8 を大きく下回った。このことは、€8 が 下限価格の目安として機能できくなったことを意味する。転売目的で、今後、1 次 CER を 購入しようとする企業(金融機関など)は、転売価格の 2 次 CER を下回る価格で 1 次 CER を購入しようとするためである。遵守目的で 1 次 CER を購入する企業にとっても、リスク の低い 2 次 CER の価格が安価に購入できれば、1 次 CER ではなく、2 次 CER の購入を選 1-22 択することになるためである。そのため、中国政府に下限価格の変更が迫られるではない かとの報道も見られる。 (4)ギリシャ債務危機による影響 既に述べたように、2011 年、2 次 CER 取引価格は大きく下落したが、この下落の主要な 要因は、欧州におけるギリシャ債務危機である。現時点では、CER の需要は、欧州におけ る EU ETS の規制対象施設からの需要が大半を占めているが、ギリシャ債務危機に端を発 した欧州における経済状況の悪化は、EU ETS 規制対象施設における GHG 排出量の減少を 招き、結果として CER への需要も減少させ、価格を大きく下落させた。 また、それ以外にも欧州における 2013 年以降の CER 利用規制の動向も影響を与えてい る可能性がある。既に述べたように、現在の主要な CER の需要は欧州の EU ETS 規制対 象施設であるが、2013 年以降、EU ETS の遵守に利用が認められる CER に新たな規制が 課せられることになった。HFC、アジピン酸 N2O に由来する CER の利用が 2013 年 5 月 以降、禁止されることが 2011 年、正式に決定された。結果として、現在、発行されている CER の 7 割近くが、2013 年以降、EU ETS では利用が認められなくなった。さらに、2011 年に CER の発行量が急激に伸びると同時に、JI プロジェクトに由来する ERU の供給量も 大きく増加した。 このように需要が大きく減少する一方で、国連によるクレジット発行ペースの改善によ り供給量が大きく増加した結果、価格が大きく下落(暴落)したものと思われる。これら の要因以外にも、金融機関などの“損切り”のための売却が、価格下落に拍車をかけた可能性 もある。金融機関などでは、保有する資産の中で価格が下落したものについて、一定水準 を下回った場合は、損失の拡大を防ぐために、自動的に売却するシステムを導入している 場合もある。2011 年の価格下落については、転売目的で CER を所有していた企業(特に 金融機関)が、損失の拡大を防ぐための売却を行ったことが、2 次 CER 取引価格の下落に 影響を与えた可能性もある。 1-23 6.CDM 理事会の審査体制のあり方、審査手続きの効率化、改善の方向性 以下では、登録・発行要請手続きおよびレビュー手続きの実施状況と、既存のルールを 統合するプロジェクトサイクル手続き、重大な欠陥に対する手続き、アピール手続きなど の手続きの検討状況をまとめる。 (登録・発行要請手続きおよびレビュー手続きの実施) 第 62 回 CDM 理事会(EB62)および EB65 で、EB54 および EB55 で採択された登録・ 発行要請手続きおよびレビュー手続きの実施に関する報告が行われた。 2010 年 12 月と 2011 年 6 月に専門家をボンに集めて行われたプロジェクト評価等により、 2012 年 11 月 15 日現在、待ち時間が 32 日から 13 日に減り、処理待ちケースが登録は 41、 発行は 69 になったとされた。しかし、処理待ち申請数は、2010 年 11 月から 2011 年 10 月までの期間、登録は 100~211、発行は 65~239 を推移していた。申請の処理は、すべて の文書がそろっているか等をチェックするコンプリートネスチェック(CC)と PDD や有 効化審査報告書における遵守状況をチェックする情報・報告チェック(IRC)からなる。2010 年 6 月から 2011 年 9 月 30 日までの期間、CC 段階での申請差戻し率は、登録が 8~18%、 発行が 8~11%で、IRC 段階での申請差戻し率は、登録が 8~9%から 23~30%へ、発行は 9~11%から 10~14%へ増加した。IRC 段階での却下理由の構成は、登録は約 50%が追加 性、発行は約 40%が較正(calibration)であった。 レビュー手続きの実施に関しては、登録については 2010 年後半の 31.8%から 2011 年前 半の 23.8%へ、発行については 2010 年後半の 16.0%から 2011 年前半の 8.3%へとレビュー 率の低下が観察された(図 1-2)。しかし、その一方で前段階である IRC での申請差戻し率 が上昇しており、申請差戻しを受けた案件はコンプリートネスチェックを再度受けなけれ ばならないことを考えると、登録・発行までの時間の短縮につながっているかどうかは疑 問である。 1-24 登録 2011年9月 2011年8月 2011年7月 2011年6月 2011年5月 2011年4月 2011年3月 2011年2月 2011年1月 2010年12月 2010年11月 2010年10月 2010年9月 2010年8月 2010年7月 発行 図 1-2 レビュー率の推移 方法論については、EB62 で、新規方法論検討のバックログの解消が留意された。EB65 では、明確化、逸脱および改定の要請など、方法論の個別ケースの現状がオンラインで公 表されていることが留意された。 (プロジェクトサイクル手続き) EB61 で、EB58 で提示された提案に関する CDM プロジェクトサイクル運営の評価報告 書が検討され、今後統合されるプロジェクトサイクル手続き(PCP)で、①登録後に生じ た問題についての既存プロセスを発行要請プロセスに統合、②リスクベースアプローチ(特 定の申請について、異なったレベルの厳密さで評価するもの)をプロジェクト申請の評価 に組み込むという作業計画が合意された。 EB63 では CDM プロジェクトサイクル手続き案が、EB64 ではその実施計画案が検討さ れた。 EB65 では、「CDM プロジェクトサイクル手続き」が採択されるとともに、その施行日 および既存プロセスから新規プロセスへの移行措置を含む実施計画が承認された。また、 膨大なケース負荷が予想される 2012 年の申請処理を可能にする、プロジェクト申請につい てのリスクベースアプローチに関して行われている作業の進捗が検討され、(a)速やかに統 計モデリングを完成する作業を進めること、(b)実施前にプロセスの試運転を行うこととさ れた。 (ステークホルダーコンサルテーション) プロジェクト参加者は PDD を作成する際に、地域のステークホルダーのコメントを求め なければならず(地域ステークホルダーコンサルテーション:LSC)、DOE は PDD を公表 し、ステークホルダーなどからのコメントを受けなければならない(世界ステークホルダ ーコンサルテーション:GSC)。 1-25 EB61 で、CDM 理事会理事により提出されたステークホルダーその他の参加に関するガ イダンスの改善に関する情報ノートが検討された。 EB62 では、有効化審査プロセス期間におけるステークホルダー意見の検討についての要 件の適用に関する情報ノートが検討され、有効化審査プロセスにおける LSC および GSC の実施に関して、意見公募が開始された。 EB63 では、事務局が、どのように DOE がステークホルダーコンサルテーションプロセ スの妥当性を有効化審査してきたかに関する分析を作成し改善のオプションを提案する際 に、GSC のタイミングとそれを一定期間に特定することの危険性等が考慮されることにな った。 EB64 では、応募意見の要約が検討された。 (重大な欠陥) 2010 年末の第 6 回京都議定書締約国会合(CMP6)で、CDM 理事会に対して、有効化 審査・検証報告書における重大な欠陥に対する手続きを採択・適用することが求められた。 EB63 で、以前の有効化審査・検証・認証報告書における重大な欠陥への対応に関する情 報ノートが検討された。 EB64 では、過去の有効化審査・検証・認証報告書における重大な欠陥に対する手続き案 が検討された。 EB65 では、「過去の有効化審査、検証または認証報告書における重大な欠陥に対する手 続き」案に関してステークホルダーが提出した意見が検討され、専門家を含めた研究を実 施し、保険の利用可能性をレビューすることとなった。その後、DOE とのラウンドテーブ ルが行われることとなった。 (アピール) 2010 年末の CMP6 で、実施に関する補助機関(SBI)に対して、CDM 理事会の決定に 対するアピールを認める手続き、メカニズムおよび制度的準備に関する勧告を CMP7 へ行 うことが求められた。2012 年 11 月末から 12 月初めに開かれた第 35 回実施に関する補助 機関会合(SBI35)では、コンタクトグループの共同議長が提案した改定版テキスト案が留 意された。 上訴機関の形態と特徴については、次のとおり合意に近づく進展が見られた。 ・ 上訴機関については専門家ロスター(名簿)に基づくものとする ・ ロスター全体の規模は 30 人、任期は 4 年 ・ アピールは通常、3 人のメンバーからなるアドホック・パネルによって聴聞される ・ パネルを構成するメンバーはロスターからランダムベースで選出される しかし、アピールプロセスの設立のマンデートについては、次のとおり異なった解釈が 残った。 1-26 ・ アピールを申し立てできる主体と対象について、直接プロジェクトに関係する者だけ でなくパブコメ時にコメントを提出した NGO 等のステークホルダーを含めるか否か、 却下・変更の決定だけでなく登録・発行の決定も含めるか否か この件については、次の SBI36 で引き続き検討することになった。 7.CMP における CDM をめぐる議論と政策対話 CDM の今後の方向性については、CMP や政策対話ハイレベルパネルなどで議論が行わ れた。 (CMP7) 2012 年 11~12 月に南アフリカ・ダーバン市で開かれた京都議定書締約国会合(CMP7) では、次のような CDM に関するガイダンスが決定された。 ・ 締約国の持続可能な開発の基準を定める特権を維持しながら、CDM プロジェクトによ り生じるコベネフィットを強調するため、引き続き作業を行い、自主的措置を検討す ること ・ 追加性立証の簡素化方法を、省エネプロジェクトや再生可能エネルギーによる電化な ど広い範囲のプロジェクトに拡大するとともに、当該プロジェクトについて簡素化さ れたベースライン方法論を作成すること ・ 優先的に、一時停止された方法論を改定すること ・ CDM が少ない国およびプロジェクトタイプに向けた、簡素化されたトップダウンの方 法論や標準化ベースラインを作成する作業をさらに行うとともに、セクター別標準化 ベースライン設定のガイドラインの対象範囲を拡大すること ・ 抑圧された需要に関するガイドラインの実施を加速すること ・ 標準化ベースラインや自動的に追加的とされるマイクロスケール再生可能エネルギー 技術の開発と提出について、指定国家当局(DNA)を支援すること また、CDM プロジェクトとしての二酸化炭素回収および地層への貯留についての方法と 手続きが採択されるとともに、マテリアリティ(EB の決定を変更しうる情報の誤差の範囲) の概念を CDM に適用する際の規準が決定された。 (政策対話) EB63 の前に、年次戦略リトリートが開かれ、過去の CDM の経験をレビューし、CDM を 2013 年以降の期間の課題に対応させていくための政策対話を開始すること等が優先行動 として合意された。 EB64 では、政策対話の付託条件(ToR)が合意され、対話のスコープに関する意見公募 1-27 が行われることになった。対話はパネルによって行われ、CDM 理事会議長と UNFCCC 事 務局長がパネルのメンバーを招へいすることとなった。最終報告書は 2012 年 9 月までに公 表される予定で、パネルは 11 名からなる。 第 1 回ハイレベルパネルの会合は、2012 年 2 月 14~15 日にドイツ・ボン市で開かれた。 パネルでは、調査計画とステークホルダーコンサルテーションのプロセスに関して決定が 行われた。焦点が当てられる 3 つの調査分野は、緩和と持続可能な開発への影響評価、CDM 内部のプロセスの効率性など運営とガバナンスおよび将来の CDM の文脈とされた。 1-28 付録:2011 年度の CDM 理事会報告 第 60 回 CDM 理事会報告 第 60 回 CDM 理事会(EB60)が、2011 年 4 月 11 日~15 日にタイ・バンコクで開催さ れた。EB60 には理事 10 名、理事代理 9 名が出席した。 1.メンバーシップ ・ 各パネルとワーキンググループのメンバーが選出。特に方法論パネルでは、山口建一 郎氏と他 15 名がメンバーとして 1 年間任命された。 ・ 各パネルとワーキンググループの付託条項(ToR)の改訂について重要な分野と要素を 議論した。そして、理事会メンバーの意見を取り入れたドラフトを次回までに準備す るよう事務局に要請した。 2.運営組織の認定 (個別ケース) ・ 認定パネルによる勧告を検討し、次の組織を認定・仮指定することに合意した。 (a) KBS (E-0051): セクトラルスコープ 1,3-5,7,12,13,15 の有効化審査と検証/認証 の機能について (b) Carbon Check (E-0052):セクトラルスコープ 1-5,8-10,13 の有効化審査と検証/ 認証の機能について ・ 他法人への認定の移転(Perry Johnson Registrars Clean Development Mechanism, Inc →Perry Johnson Registrars Carbon Emissions Services, Inc)を 1 件承認した。 ・ KICTEP (E-0053)の認定申請の取り下げを留意した。 ・ 3 つの運営組織 BVCH (E-0009)、RINA (E-0037)、KSA (E-0039)について定期現地監 視評価の肯定的な結果に関して、認定パネルによる通知を留意した。 ・ 7 つの運営組織 DNV(E-0003)、BVCH(E-0009)、 TÜV Rheinland(E-0013)、TÜV Nord(E-0022)、GLC(E-0042)、CQC(E-0044)のパフォーマンス審査の肯定的な結果に 関して、認定パネルによる通知を留意した。 ・ 2 つの運営組織 ERM(E-0016)、ICONTEC(E-0024)のパフォーマンス審査の否定的な 結果に関して、認定パネルによる通知を留意した。 (一般ガイダンス) ・ 変更通知の取り扱い、特にDOE本社を別の法人に変更する場合のプロセスについて、 CDM認定手続き改定案を準備するように事務局に要請した。 ・ CDM認定標準パラ166(a)の明確化要請に関し、認定パネルの勧告に合意した。「CDM 1-29 認定標準パラ28(b)に述べられているように認定標準パラ166(a)の要件はDOE本社以外 にも適用可。」 ・ 「職員の定義」と「職員とプロジェクト参加者との関係」について、CDM認定標準パ ラ166(f)の明確化要請に対する回答に関し、認定パネルに作業を続けるよう要請した。 ・ 2011年CDM認定パネル作業計画に合意した。 3.方法論 (1)方法論 (個別ケース) ・ 4件の新規方法論を不承認とし、4件の承認済み方法論(AM0028、ACM0003、ACM0007、 ACM0012)の改訂を承認した。 (一般ガイダンス) ・ 2011年方法論パネル作業計画に合意した。 ・ 承認済み方法論:「セメント工場での廃熱の回収及び発電利用を通した温室効果ガス排 出削減のベースライン方法論(AM0024)」の中で、「セメント工場内での廃熱利用及 び地域やホスト国で一般的に実施されているセメント製造過程での通常の廃熱利用」の パラメータのモニター要件は冗長であり、それ故、パラメータのモニターは不要である ことを明確化した。 ・ 「初めてのケースの障壁(the first-of-its-kind barriers)の利用」及び「コモンプラク ティスの評価」のガイダンスの開発作業の進捗を検討し、再生可能エネルギーによる発 電及び連系発電における燃料転換を中心に、次回EB61 までにパブリックコメント受付 の基礎となる文書作成を事務局に要請した。 ・ 潜在的な代替シナリオの定義を含めること、「追加性立証・評価ツール」との整合をと ること、提案されたCDMプロジェクト活動の代替シナリオ一覧にシナリオを追加する ことを内容とする、「ベースラインシナリオ特定及び追加性実証の統合化ツール」の改 訂を承認した。 ・ トップダウン型の標準化ベースラインの開発作業を継続することに合意した。 ・ 連系電力システムがホスト国以外の非附属書Ⅰ国に位置している場合にOM排出係数 (≠0)の利用を認めるために「電力システムの排出係数算定ツール」の改訂を承認し た。 ・ 「ベースラインシナリオ特定とベースライン排出量算定のツール」案について、パブリ ックコメントの要約と実務者向けのワークショップに基づいた方法論パネルの勧告を 検討した。 ・ 「クレジット期間更新時における当初/現在のベースラインの妥当性評価・ベースライ 1-30 ン更新ツール」案の改訂作業を継続するように方法論パネル に要請した。 ・ 方法論AM0023、AM0030、ACM0016の改善について、UNFCCC CDM ウェブ上を通 し、利害関係者からのコメントや提案の受付を開始した。 ・ 今後の会合で「投資分析の評価に関するガイドライン」を検討することに合意した。 ・ EB61で検討するために、承認済み方法論:「HFC23排気の焼却(AM0001)」の改訂 案を方法論パネルに準備するよう要請した。 (2)植林・再植林 (個別ケース) ・ 植林・再植林(AR)WG の勧告を受けて、初めてトップダウンで開発された大規模 AR 新規方法論:「湿地以外における植林・再植林(AR-AM0013)」を承認した。 ・ 承認済み AR 方法論:「荒廃地における植林・再植林(AR-ACM0001)」の改訂を承認 した。 ・ 「AR CDM プロジェクト活動の実施によるバイオマス燃焼による非 CO2 排出量の推 定」ツールの改訂を承認した。 ・ 「AR CDM プロジェクト活動の実施による土壌有機炭素蓄積量の変化の推定」ツール の改訂を承認した。 ・ 「AR CDM プロジェクト活動の境界内における既存樹木・灌木の炭素蓄積量の変化の 推定」ツールの改訂を承認した。 (一般ガイダンス) ・ 2011 年 AR WG 作業計画に合意した。 (3)小規模 (個別ケース) ・ 次の 5 つの新しい小規模方法論に合意した。 (a) 「 商 用 貨 物 輸 送 車 両 へ の デ ジ タ ル ダ コ グ ラ フ の 導 入 に よ る 省 エ ネ 活 動 (AMS-III.AT)」 (b) 「稲作の水管理の調整によるメタン排出削減(AMS-III.AU)」 (c) 「太陽熱温水器システム(AMS-I.J)」 (d) 「屋外灯と街路灯の効率的な照明技術の需要側活動(AMS-II.L)」 (e) 「浄水システムにおける温室効果ガスの低減(AMS-III.AV)」 ・ 次の承認小規模方法論の改訂に合意した。 (a) 「利用者による熱利用の非再生可能バイオマスからの転換(AMS-I.E)」と「非再生 可能バイオマスの熱利用における省エネ手法(AMS- II.G)」 (b) 「廃エネルギー(ガス、熱、圧力)回収プロジェクト(AMS-III.Q)」 1-31 (c) 「産業施設のユーティリティ供給集中化による省エネ手法(AMS-II.H)」 (一般ガイダンス) ・ 2011 年小規模 WG 作業計画に合意した。 ・ タイプⅢのプロジェクト、複数のコンポートネントから成るプロジェクトに対象を拡大 するとともに、PoA 下の CPA にも適用できることを明確化する「マイクロスケールプ ロジェクト活動の追加性実証ガイドライン」の改訂案を承認した。 ・ SSC WG がベースライン決定とモニタリングに関連した問題を明確化しつつ、太陽熱調 理器の利用について、新しい方法論をトップダウンで開発する作業を継続することに留 意した。 4.プログラム CDM ・ 2011 年 4 月 15 日までに 8 件の CDM PoAs が登録された。 ・ 今年中に対応すべき PoA の作業に関連した優先分野を承認した。 5.CDM プロジェクトの登録および CER の発行に関する事項 ・ 2011 年 4 月 15 日までに 2,976 件の CDM プロジェクトが登録され、5 億 9,224 万 5,746 の CERs が発行されている。 (1)CDM プロジェクトの登録に関する事項 (個別ケース:以前のレビュー手続きに従ったプロセス) ・ EB59 で「アンダーレビュー」とされた 1 件の登録要請が検討された。 「Bundled wind energy power projects (2003 policy) in Rajasthan(1167)」について、訂正条件付きで 登録となった。 ・ EB56 で「アンダーレビュー」とされた 1 件のクレジット期間の更新要請が検討された。 「HFC Decomposition Project in Ulsan(0003)」について理事会は合意に達すること ができなかった。次回会合にて討議を続けることを決定した。 (個別ケース:EB55 で改定された登録要請のレビュー手続きに従ったプロセス) ・ EB55 で採択された「登録要請のレビュー手続き」に従って、事務局と登録・発行チー ム RIT の評価が異なるものおよびそれらが同じであるが理事からの異議を受けたもの、 33 件の登録要請を検討した。32 件のプロジェクトが登録承認となり、1 件が登録不承 認となった。 (一般ガイダンス) ・ 追加性立証に投資分析を適用するとき、エネルギー生成のために廃ガスを利用し方法論 1-32 ACM0012を利用するプロジェクト活動は、そのプロジェクトに係るコストの内訳を示 すこと、プロジェクトオーナーからの廃ガスについて内部価格を用いるのを避けること を明確化した。 ・ 事務局に対して、CDMの事前検討の立証・評価のガイドラインを改定・強化するオプ ションを検討するよう要請が行われた。 ・ 中国政府により提出された風力と水力に適用されるhighest tariffsに関する回答に関し て、UNFCCC CDMウェブサイトのhighest tariffsを更新するとともに、この回答の評 価を示すよう事務局に要請した。 (2)CER の発行に関する事項 (個別ケース) ・ EB55 で採択された「発行要請のレビュー手続き」に従って、事務局と登録・発行チー ム RIT の評価が異なるものおよびそれらが同じであるが理事からの異議を受けたもの、 9 件の発行要請を検討し、5 件の発行要請を承認して、CERs を発行するよう CDM 登 録簿管理者に指示した。4 件の発行要請は不承認となった。 ・ EB28 報告書のパラ 96 に従って、以前リジェクトされたのと同じモニタリング期間に ついての発行要請の再提出の許可要請 3 件について検討し、発行要請の再提出を 3 件と も承認した。 (一般ガイダンス) ・ Initial verification は検証活動として認識されないことが合意され、モニタリング報告 書の公表後に行われた検証活動しか検証報告書と発行要請の基礎として用いることが できないことが明確化された。 6.その他の事項 ・ 利害関係者とのコミュニケーションを強化する手段について検討し、利害関係者との直 接コミュニケーションについての手続き案を作成するよう事務局に要請した。 ・ EB での決定を 6 つの国連公用語で入手可能とする要請に対し、費用対効果より EB 報 告書の要約のみを 6 つの国連公用語で翻訳することに合意した。 ・ 方法論パネルと小規模 WG の開催日の変更を反映した 2011 年の EB 及び各パネル・ワ ーキンググループの開催スケジュールに合意した。また、EB61 を 2011 年 5 月 30 日~ 6 月 3 日にドイツ・ボンで開催することを合意した。 1-33 ・ <参考> 表:第 60 回 CDM 理事会参加メンバー 地域区分 アフリカ アジア 東欧 ラテンアメリカ・ カリブ諸国 西欧その他 島嶼国 非附属書Ⅰ国 附属書Ⅰ国 理事 理事代理 Mr. Victor Kabengele Ms. Fatou Gaye コンゴ民主共和国 ガンビア Mr. Shafqat Kakakhel Mr. Hussein Badarin パキスタン ヨルダン Ms. Diana Harutyunvani Ms. Danijela Bozanic アルメニア セルビア Mr. Daniel V. Ortega-Pacheco Mr. José Miguel Leiva エクアドル グアテマラ ●Mr. Martin Hession Mr. Thomas Bernheim イギリス 欧州共同体 Mr. Clifford Mahlung Mr. Asterio Takesy ジャマイカ ミクロネシア Mr. Philip M. Gwage Mr. Paulo Manso ウガンダ コスタリカ ○Mr. Maosheng Duan Ms. June Hughes 中国(段茂盛氏) セントキッツ・ネイビス Mr. Pedro Martins Barata Mr. Lex de Jonge ポルトガル オランダ Mr. Akihiro Kuroki Mr. Peer Stiansen 日本(黒木昭弘氏) ノルウェー 注: ・ ●議長、○副議長。1年ごとに、附属書Ⅰ国・非附属書Ⅰ国からの理事が交替で務める。 ・ 網掛けのメンバーは今次会合は欠席。 ・ 任期は、改選の翌年の最初の CDM 理事会まで。理事は連続最大 2 期まで、理事代理は任期の制限は ない。 ・ 理事メンバーは国連定義の 5 地域から 5 名、附属書Ⅰ国から 2 名、非附属書Ⅰ国から 2 名、島嶼国か ら 1 名の代表として就任。 1-34 第 61 回 CDM 理事会報告 第 61 回 CDM 理事会(EB61)が、2011 年 5 月 30 日~6 月 3 日にドイツ・ボンで開催 された。EB61 には理事 10 名、理事代理 9 名が出席した。 1.メンバーシップ ・ パネル・ワーキンググループの一般ガイドラインおよび個別に発展してきた既存の付 託条項(ToR)の代替となる CDM 理事会支援組織の新 ToR に合意した。任期につい ては、新 ToR のパラ 23 により、新任又は再任メンバーに適用される。さらに各パネル・ ワーキンググループの現メンバーに新 ToR への同意を書面で行うように要請した。 2.運営組織の認定 (個別ケース) ・ 認定パネルによる勧告を検討し、CEC(E-0034)の認定スコープを拡張することに合意 した。 ・ 6 つの運営組織 DNV (E-0003)、SGS (E-0010)、KEMCO (E-0011) 、LRQA (E-0023)、 CEC (E-0034)、RINA (E-0037)について定期現地監視評価の肯定的な結果に関して、 認定パネルによる通知を留意した。 ・ 4 つの運営組織 TÜV SÜD (E-0005)、SGS (E-0010)、AENOR (E-0021)、RINA (E-0037) のパフォーマンス審査の肯定的な結果に関して、認定パネルによる通知を留意した。 ・ 運営組織 DNV (E-0003)のパフォーマンス審査の否定的な結果に関して、認定パネルに よる通知を留意した。 (一般ガイダンス) ・ 本会合で報告されたDOEパフォーマンス・レポートを歓迎した。これらのレポートは、 2011年1月1日~6月30日、2011年7月1日~12月1日のモニタリング期間に関連したもの である。次回会合で、モニタリングに適格なDOEのパフォーマンスに関するレポートが 認定パネルに提供されることに留意した。 3.方法論 (1)方法論 (個別ケース) ・ 新規方法論AM0091「新規建築物の省エネ技術・燃料転換」および新規統合方法論 ACM0019「硝酸製造によるN2O排出削減」が承認された。 ・ 不承認1件。NM0335「半導体製造の化学蒸着装置洗浄工程におけるガス代替によるPFC 1-35 排出削減」 ・ 承認方法論AM0038、ACM0055、ACM0063、ACM0090が改定された。また、 「固形廃 棄物処分場での廃棄物処分から回避されるメタン排出量の決定ツール」、 「気体流中の温 室効果ガスの質量流量決定ツール」および「電力システムの排出係数算定ツール」が改 定された。 ・ 承認方法論AM0001「HFC23排気の焼却」の改定案の検討を次回会合で引き続き行うこ とに合意した。工場内における全ての生産ラインからのHFC23プロジェクト排出量を 含めるか否かの2つのオプションを説明するプレゼンテーションを次回会合までに準備 するよう事務局に要請した。 (一般ガイダンス) ・ 「投資分析の評価に関するガイドライン」の改定を承認した。 ・ 「初めてのケースの障壁(the first-of-its-kind barriers)の利用」及び「コモンプラク ティスの評価」の関連作業の進捗を検討し、次回会合までに将来のパブリックコメント で利用する質問リストを作成するようCDM理事会メンバーによる小グループに要請し た。 ・ 利害関係者との意見交換で提起された方法論の問題及びDOEパフォーマンスモニタリ ングシステムから得られたデータについての分析レポートを検討し、投資分析のガイド ラインのうち改定すべき分野の特定作業を進めること、有効化審査・検証テンプレート の準備作業を優先することを事務局に要請した。また、多くのレビューの引き金となっ ている問題についてDOEの品質チェック手続き及び技術的なレビュープロセスを強化 すること、DOE職員を訓練することについて、DOEに要請することを合意した。 (2)植林・再植林 (個別ケース) ・ 専門家の意見及びパブリックコメント、植林・再植林(AR)WG の勧告を受けて、AR 新規方法論:「劣化したマングローブ生息地の植林・再植林(AR-AM0014)」を承認し た。 (一般ガイダンス) ・ 「植林・再植林 CDM プロジェクト活動における追加性立証ガイドライン」案を検討し、 事務局の支援を受けながら、(a)バリデーション時に入手可能なデータのみを利用するこ と、(b) プロジェクト登録後に満たされるべき要件・条件に対して、DOE による有効化 審査及びプロジェクト参加者によるモニタリングについてのガイダンスを含むように すること、(c)オーバーラップしないよう条件を適用すること、(d)関連する利益の種類 を具体化すること等の理事会メンバーの意見に従って、植林・再植林(AR)WG にこ 1-36 のガイドラインを改定するよう要請した。 ・ 森林施業で典型的と考えられ、通知または承認要請を提出する必要がない、登録 PDD のプロジェクト記述からの変更の種類及び程度のリストに関して、2011 年 6 月 3 日~7 月 3 日までパブリックコメントの受付を開始することに合意した。 (3)小規模 (個別ケース) ・ 承認小規模方法論 AMS-I.I、AMS-I.C、AMS-I.D、AMS-I.F、AMS-III.C が改定された。 (一般ガイダンス) ・ 新小規模方法論 SSC-II.M「需要側の低流シャワーヘッド温水節約器具導入の省エネ活 動」案について、2011 年 6 月 3 日~6 月 16 日までパブリックコメントの受付を行うこ とに合意した。 ・ ソーラークッカー方法論の開発のために、2011 年 6 月 3 日~7 月 3 日までパブリック コメントの受付を行うことに合意した。 ・ 小規模(SSC)WG の勧告を受けて、廃エネルギー回収プロジェクト活動について AMS-III.Q(version 04)の適用性を明確化することに合意した。次回 EB62 で「理事 会による承認小規模方法論の改定手続き」の改定案を提示するよう事務局に要請した。 ・ PoA の適用について、(a) AMS-III.D、AMS-I.C と AMS-I.F、(b) AMS-I.C と AMS-I.F、 という方法論の組み合わせを承認した。また、追加的な組み合わせを含めるよう「小規 模 CDM 方法論の一般ガイドライン」を改定することに合意した。 ・ (a)農業用ポンプや灌漑に対する需要側の省エネ方法論、(b)コンピューターシミュレー ションの利用、みなし節約量および/または計測アプローチによる建物における総合的 な省エネ措置に対する方法論、(c)制御/最適化活動(例として、ポンプのスケジューリ ングシステムの最適化、家庭の直感的なエネルギー節約装置、建物の照明制御及び/ま たはエネルギー管理システム)と大規模可変出力冷却装置の改造をカバーする方法論的 なアプローチ、といったトップダウンの開発作業を小規模(SSC)WG が続けることと となった。 ・ また、小規模 WG は、非公式な廃棄物収集部門への適用および他の再利用可能な材料へ の方法論の拡張のために AMS-III.AJ「固形廃棄物からの材料の回収・再利用」の単純 化に関する作業を継続することとなった。 4.プログラム CDM ・ 2011 年 6 月 3 日までに 8 件の CDM PoA が登録されている。 ・ CPA の誤った含有のレビューとそのようなレビューの結果に関連する既存の規定によ りプログラム的アプローチの使用の大幅な拡大に障壁が生じていることを認識してい 1-37 るとして、DOE が、設定された評価要件に従い遵守の評価ができなかったことが判明 した場合のみ、CPA が除外された後に、CER を獲得・キャンセルする必要があること を決定した。EB63 で検討するために、PoA 手続き枠組みの中にこの決定を組み込むよ う事務局に要請した。 ・ 上記の明確化の観点から、「CPA の誤った含有のレビュー手続き」の改定を承認した。 この改定された手続きはレビューの範囲に時限を設けるものであることを指摘した。こ の手続きの範囲外での CPA の誤った含有による CER の過剰発行への対処は、有効化審 査及び検証報告書の重大な欠陥に対処する手続きに沿って行われるよう事務局に要請 した。 5.CDM プロジェクトの登録および CER の発行に関する事項 ・ 2011 年 6 月 3 日までに 3,146 件の CDM プロジェクトが登録され、6 億 2,952 万 9,900 の CER が発行されている。 (1)CDM プロジェクトの登録に関する事項 (個別ケース:以前のレビュー手続きに従ったプロセス) ・ EB56 で「アンダーレビュー」とされた 1 件のクレジット期間の更新要請が検討された。 「HFC Decomposition Project in Ulsan(0003)」について理事会は合意に達すること ができなかった。次回会合にて討議を続けることを決定した。 (個別ケース:EB55 で改定された登録要請のレビュー手続きに従ったプロセス) ・ EB55 で採択された「登録要請のレビュー手続き」に従って、事務局と登録・発行チー ム RIT の評価が異なるものおよびそれらが同じであるが理事からの異議を受けたもの、 11 件の登録要請を検討した。7 件のプロジェクトが登録承認となり、4 件が登録不承認 となった。 (一般ガイダンス) ・ CDMプロジェクトサイクルの運営に関する評価報告書の検討に基づき、作業計画に合 意した。 ・ CDMプロジェクトの持続可能な便益の報告および検証について最初の議論を行った。 CDMプロジェクト活動の文書にコベネフィットや負の影響を含める方法、このプロセ スでの様々な主体や利害関係者の役割について、2011年6月3日~7月3日までパブリッ クコメントの受付を行うことに合意した。また、どのようにコベネフィットと負の影響 がCDMプロセスに反映されるかについて情報ノートを準備するよう事務局に要請した。 ・ 初めてのケース(first-of-its-kind)およびコモンプラクティスの分析、継続的かつ実際 の行動、中国の風力・水力発電所に適用される歴史的な最高買取価格の更新など、事例 1-38 評価の経験を通じ事務局が直面した政策課題について議論した。 ・ 中国の風力・水力の買取価格に関する更新を留意し、中国のDNAによって提出された 回答を考慮に入れながら、省ごとの最高買取価格を含むデータを修正・公開するよう事 務局に要請した。複数の登録されたCDMプロジェクトが存在する省について最高買取 価格を決定するために次の基準を適用することに合意した。 (a) 2002年より前に開始されたプロジェクト活動を除外。 (b) 実証プロジェクトまたは政府開発援助(ODA)資金を受け取っているプロジェク ト活動を除外。 (c) 国/地方当局が発行した買取価格通知や電力購入契約(PPA)に基づくこと。 (d) 買取価格のインディカティブレター及び/または固定買取価格に関する返信のよ うな、地方政府によって発行されたレター、あるいは入札プロセスで得られた買取 価格通知に基づかないこと。 (2)CER の発行に関する事項 (個別ケース) ・ EB28 報告書のパラ 96 に従って、以前リジェクトされたのと同じモニタリング期間に ついての発行要請の再提出の許可要請 1 件について検討し、発行要請の再提出を 1 件承 認した。 ・ 「CERs 発行要請の取下げ手続き」のパラ 9 (c)に従って、以前取下げされたのと同じモ ニタリング期間についての発行要請の再提出の許可要請 6 件について検討し、発行要請 の再提出を 6 件とも承認した。 (一般ガイダンス) ・ なし。 6.その他の事項 ・ 「CDM 理事会意思決定枠組み:CDM 理事会により発行された意思決定の階層、文書 の種類および文書の管理」の改定について合意した。この改定には、文書の内容をより 良く反映するタイトルの変更、いくつかの定義についての編集上の変更、編集上の改定 とバージョンアップの相違や発効日と一般への通知様式に関連するさらなる情報が含 まれる。 ・ 理事会や各パネル・ワーキンググループの会合報告書のフォーマットおよび文書化を改 善する作業計画に合意した。 ・ 次回 EB62 を 2011 年 7 月 11 日~15 日にモロッコ・マラケシュで開催することを合意 した。 1-39 ・ <参考> 表:第 61 回 CDM 理事会参加メンバー 地域区分 アフリカ アジア 東欧 ラテンアメリカ・ カリブ諸国 西欧その他 島嶼国 非附属書Ⅰ国 附属書Ⅰ国 理事 理事代理 Mr. Victor Kabengele Ms. Fatou Gaye コンゴ民主共和国 ガンビア Mr. Shafqat Kakakhel Mr. Hussein Badarin パキスタン ヨルダン Ms. Diana Harutyunvani Ms. Danijela Bozanic アルメニア セルビア Mr. Daniel V. Ortega-Pacheco Mr. José Miguel Leiva エクアドル グアテマラ ●Mr. Martin Hession Mr. Thomas Bernheim イギリス 欧州共同体 Mr. Clifford Mahlung Mr. Asterio Takesy ジャマイカ ミクロネシア Mr. Philip M. Gwage Mr. Paulo Manso ウガンダ コスタリカ ○Mr. Maosheng Duan Ms. June Hughes 中国(段茂盛氏) セントキッツ・ネイビス Mr. Pedro Martins Barata Mr. Lex de Jonge ポルトガル オランダ Mr. Akihiro Kuroki Mr. Peer Stiansen 日本(黒木昭弘氏) ノルウェー 注: ・ ●議長、○副議長。1年ごとに、附属書Ⅰ国・非附属書Ⅰ国からの理事が交替で務める。 ・ 網掛けのメンバーは今次会合は欠席。 ・ 任期は、改選の翌年の最初の CDM 理事会まで。理事は連続最大 2 期まで、理事代理は任期の制限は ない。 ・ 理事メンバーは国連定義の 5 地域から 5 名、附属書Ⅰ国から 2 名、非附属書Ⅰ国から 2 名、島嶼国か ら 1 名の代表として就任。 1-40 第 62 回 CDM 理事会報告 第 62 回 CDM 理事会(EB62)が、2011 年 7 月 11 日~7 月 15 日にモロッコ・マラケシ ュで開催された。EB62 には理事 10 名、理事代理 9 名が出席した。 1.メンバーシップ ・ 特記事項なし。 2.運営組織の認定 (個別ケース) ・ 4 つの運営組織 JQA(E-0001)、DNV(E-0003)、ERM CVS (E-0016)、TÜV Nord (E-0022) の定期現地監視評価の肯定的な結果に関して、認定パネルによる通知を留意した。 ・ 4 つの運営組織 SGS(E-0010)、KEMCO(E-0011)、ERM CVS (E-0016)、TÜV Nord (E-0022)のパフォーマンス審査の肯定的な結果に関して、認定パネルによる通知を留意 した。 ・ 運営組織 Deloitte Cert(E-0048)の認定取下げ通知を留意した。 (一般ガイダンス) ・ 認定パネルの勧告を検討し、複雑な技術分野の有効化審査/検証チームメンバーの初期 資格についての経過措置(interim measure)に合意した。この経過措置(interim measure)を記載したCDM認定標準の改定に合意し、「CDM認定標準ver.03」を採択 した。 ・ 認定パネルの意思決定や評価事例の決定記録を支援するガイダンス文書の認定パネル による作成作業を歓迎した。将来の会合で検討するためにガイダンス案を提出するよう 認定パネルに要請した。 3.方法論 (1)方法論 (個別ケース) ・ 新規方法論:承認3件。AM0092「半導体製造の化学蒸着装置洗浄におけるPFCガス代 替」、AM0093「埋立地の受動的通気による埋立地ガス排出回避」、AM0094「家庭用ま たは業務用のバイオマスストーブ/ヒーターの配布」。 ・ NM0292「高炉ガスを燃料とする高効率発電所(ブラジル・リオデジャネイロ) 」に基 づくリフォーマット方法論のコモンプラクティス分析に述べられている、排ガス利用の コンバインドサイクルガスまたはオープンサイクルガス発電を所有するホスト国にお 1-41 ける製鉄工場の20%の閾値について論理的根拠となる追加情報を提供し、次回の会合で 報告するよう要請した。 ・ 統合方法論ACM0013「GHG集約度の低い技術を利用する送電網接続新規化石燃料火力 発電所に対するベースライン・モニタリング統合方法論」について特定された課題に関 して方法論パネルが準備した情報ノートおよびこの方法論を即座に保留とし、方法論の 改定を開始する勧告を検討した。これに関して、方法論パネルに次のことについて要請 することに合意した。 入手可能なデータを考慮しながら、その勧告の根底にある前提および排出削減の 過大評価の可能性など、情報ノートで取り上げられた問題について徹底解析を実 行すること。 次回会合で検討するためにこの分析の報告を準備すること。 徹底分析の結果により、この方法論を改善する必要があるならば、方法論の改定 を開始すること。 ・ AM0001「HFC23排気の焼却」の改定について方法論パネルによる提案オプションをさ らに明確にするために事務局が作成したプレゼンテーションを留意した。次回EB63で AM0001の改定について検討を続けることに合意した。 ・ 方法論AM0023「天然ガスパイプラインのコンプレッサあるいはゲートステーションか らの漏洩削減」改定案を方法論パネルが仕上げたこと、方法論パネル議長が方法論の改 定案についてパブリックコメントの受付を開始したことを留意した。 ・ 方法論パネルが次の方法論及びツールを改善するために作業を続けることを留意した。 AM0025「代替廃棄物処理プロセスによる有機廃棄物による排出回避」 ACM0001「埋立地ガスのプロジェクト活動についてのベースライ・モニタリング 統合方法論」 「固形廃棄物処分場での廃棄物処分から回避されるメタン排出量の決定ツール」 ・ 承認統合方法論ACM0009「石炭や石油から天然ガスへの燃料転換によるベースライ ン・モニタリング統合方法論」に多様なベースライン燃料の加重平均排出係数を使用す るオプションを組み込む可能性に関する、EB46報告書のパラグラフ28に記載されてい る要請についての方法論パネルの回答を留意した。 ・ ACM0015「セメントキルンでのクリンカ製造について炭酸塩を含まない代替的な原材 料を使用するプロジェクト活動についてのベースライン・モニタリング統合方法論」で の新規セメント工場の場合について、方法論パネルがベースライン排出量の決定に必要 な規定を作成する作業を続けることに留意した。 ・ 承認統合方法論ACM0017「燃料として使用するバイオディーゼルの製造」におけるプ ロジェクト境界から消費者を除外することに関する、EB58報告書のパラグラフ21に記 載される要請について方法論パネルの回答を留意した。 ・ 理事会は次のことについて留意した。 1-42 事前ディスパッチ分析を使用することが「電力システムの排出係数算定ツール」 のオペレーティングマージンを推計する他の方法と比較したときに適しているか どうかを決定する分析に関して、方法論パネルはその作業を完結できていないこ と 「電力システムの排出係数算定ツール」の問題に関する、承認小規模方法論 AMS-I.Dに関連した小規模ワーキンググループの要請に対して、方法論パネルは SSC_486の改定要請に対する回答案を提供したこと ・ 「当初/現在のベースラインの妥当性評価とクレジット期間更新時のベースライン更 新のツール」について、方法論パネルがこの問題の検討を完結できていないことを留意 した。 (一般ガイダンス) ・ 「投資分析の評価に関するガイドライン」の改定を承認した。また、ガイドラインに含 まれている自己資本コストのデフォルト値について論理的根拠となる要点を記載した 情報ノートを方法論パネルが作成したことを留意した。 ・ トップダウン型の方法論およびツールの開発任務について、次のトップダウン型方法論 およびツールの開発作業を引き続き行っていることに留意した。 孤立システムの再生可能発電の方法論案 嫌気性消化層からのプロジェクト排出量の決定ツール案 固形廃棄物の好気性処理からのプロジェクト排出量の決定ツール案 ・ 標準化ベースラインの開発任務について、次のことに留意した。 (a) 方法論パネルは、最初の標準化ベースラインのCDM理事会への勧告を目的として、 標準化ベースラインを導き出すためにどの承認方法論が使えるかについて、さらに検 討したこと。 (b) 方法論パネルは、セクター別標準化ベースライン設定の枠組み案をレビューし、 その枠組み案についての見解を提供したこと ・ 方法論パネルが「suppressed demandの検討に関する標準案」をレビューし、理事会へ の勧告を提供したことを留意した。 ・ 方法論パネルが「電力システムの排出係数算定ツール」について計算表の評価を開始す ることに合意したことに留意した。 ・ 「suppressed demandの検討についてのガイドライン」を採択した。また、事務局に、 関連パネル及びワーキンググループと相談しつつ、関連CDM方法論でのガイドライン の実施について作業プログラムを準備するよう要請した。 ・ 「初めてのケースの障壁(the first-of-its-kind barriers)の利用」及び「コモンプラク ティスの評価」の関連作業についてパブリックコメントの受付を開始することに合意し た。この受付期間は、2011年7月18日から8月15日。さらに事務局に次のことを準備す 1-43 るよう要請した。 (a) この問題について、理事会メンバーで構成される小グループからのフィードバッ クを得つつ、パブリックコメントを要約するノート。 (b) パブリックコメントを考慮しながら、 「初めてのケースの障壁(the first-of-its-kind barriers)の利用」及び「コモンプラクティスの評価」についての新しい提案 ・ 「セクター別標準化ベースラインの設定ガイドライン」を採択した。また、関連パネル 及びワーキンググループと相談しつつ、他のアプローチを引き続き分析し、ガイドライ ン適用の教訓に基づき、ガイドラインをさらに発展させることを事務局に要請した。ま た、事務局にそのガイドラインを実施するのに必要な作業プログラムを準備するよう要 請した。特に、その作業プログラムは次のことを対象としなければならない。 (a) ガイドラインに使用される閾値Xa、Xb、Ya、Ybの設定及び承認についてのオプ ションを開発することおよびこれらのオプションのガイドラインが対象とするセ クターへの影響に関する分析。 (b) ガイドラインで使用される関連データのビンテージの決定および関連パラメータ ーの更新頻度。 (2)植林・再植林 (個別ケース) ・ なし。 (一般ガイダンス) ・ なし。 (3)小規模 (個別ケース) ・ 新規小規模方法論:承認 1 件。AMS-Ⅱ.M「低流温水節約装置の導入についての需要側 省エネ活動」 ・ 新規提案小規模方法論 SSC-NM065「オートバイへの燃料効率改善技術の導入」は小規 模ワーキンググループによる理事会への勧告について不適と判断されたことに留意し た。 ・ トップダウン型の方法論及びツールの開発任務に応じて、小規模ワーキンググループは 第 34 回会合で最終的な勧告を示すことを目途として、次の 2 件の方法論について作業 を続けること留意した。 非効率な既存ポンプの代替に焦点を当てながら、農業用のポンプと灌漑の活動に おける需要側省エネ方法論案 専門家からのさらなる意見を考慮しつつ、建物のモデル化と建物における熱利用 1-44 についての方法論の提案 ・ 建物全般の省エネ照明と管理についての新規方法論の最初の案を小規模ワーキンググ ループが準備したことに留意した。この方法論は、住居用の電球型蛍光灯ランプ(CFLs) にのみ適用可能な AMS-Ⅱ.J では対象となっていない照明技術に取り組む。 ・ 承認小規模方法論:改定承認 2 件。AMS-III.AJ「固形廃棄物からの材料の回収・再利 用」。AMS-III.AV「温室効果ガス排出が少ない浄水システム」。 ・ AMS-Ⅲ.AR「化石燃料ベースの照明から LED 照明システムへの代替」の改定について 作業を完結することができなかったことに留意した。 (一般ガイダンス) ・ 「マイクロスケール・プロジェクト活動の追加性立証ガイドライン」の基準 2(d)に関し て、DNA からの 7 件の提出された勧告の技術評価を検討した。以下の明確化およびガ イダンスを提供することに合意した。 (a) 基準 2(d)の「特定の再生可能エネルギー技術/措置」は 5MW 以下の設備容量の 連系再生可能エネルギー技術のことをいう。 (b) 「国の年間発電量」は系統の電力のことをいう。 (c) 特定の再生可能エネルギー技術の寄与率について、5%の閾値を遵守していること を立証するために直近の入手可能なデータが提供されなければならない。提出日 から 3 年よりも古いデータは、どのような場合にも使用されてはならない。 (d) ホスト国で追加的であるとして DNA が勧告し、理事会が承認した技術/措置は、 承認日から 3 年間有効である。しかしながら、そのガイドラインを適用した適格 プロジェクト活動の追加性は、クレジット期間全体で有効である。 (e) マイクロスケール CDM プロジェクト活動は、小規模 CDM プロジェクト活動のデ バンドリングされた構成要素でないことを「小規模プロジェクト活動に対するデ バンドリングの評価ガイドライン」の基準を適用することにより、例えば、適宜 小規模の閾値のかわりにマイクロスケールの閾値を検討することにより、立証し なければならない。 (f) 発電でなはい再生可能な技術、例えば、熱および冷熱技術については、いまのと ころ基準 2(d)を適用するのに適格ではない。 (g) DNA の勧告提出は、推奨される特定の連系再生可能発電技術を含まなければなら ず、上記で示されたとおり、必要なデータを提供しなければならない(例えば、 風力発電、バイオマス発電、太陽光発電、地熱発電、太陽熱発電、海洋エネルギ ー、水力発電)。 (h) マイクロスケールの追加性についての基準 2(d)の 5%の閾値を実施した場合の影 響、すなわち環境十全性およびインセンティブへの影響を分析するよう小規模ワ ーキンググループに要請した。この分析結果に基づいて、より適切だと判断され 1-45 るならば、小規模ワーキンググループは論理的根拠を提供しつつ、代替の閾値を 提案しても良い。 (i) さらに、上記の分析により、 「マイクロスケール再生可能エネルギー技術 T の設備 容量と再生可能エネルギーT の総設備容量との比率(例えば、その国における水力 発電の総設備容量に対するマイクロスケール水力発電の設備容量のパーセント) 」 といった方法を含む、勧告された閾値を推定するオプションを、オプションの実 施に関する影響可能性を示す論理的根拠を提供しつつ、提案するよう小規模ワー キンググループに要請した。 (j) 小規模ワーキンググループはまたパラグラフ 48(b)で参照される「国の年間発電量」 にオフグリッド発電を含めることについて、その必要性とオプションを評価し、 理事会に勧告をしなければならない。 ・ チリ、コートジボアール、インド、ペルー、タイ、スリランカ、モンゴルの DNA によ り提出された勧告は、手際よく処理されることが必要であり、この点について、そのプ ロセスに関連する新しい手続き、および、いくつかの場合に DNA からの追加的なデー タが必要とされる。理事会は小規模ワーキンググループと事務局に EB63 で検討するた めに次について勧告するよう要請した。 (a) 上記の明確化(パラグラフ 48)を含めるマイクロスケール追加性ガイドラインの 改定 (b) 上記(パラグラフ 48)で示された小規模ワーキンググループによる分析 (c) マイクロスケールのガイドラインの基準 2(d)を実施るための手続き案、例えば、 推奨技術の DNA による提出のためのテンプレート様式および提出と承認の手続 きの作成について形成するテンプレート ・ AMS-Ⅲ.C を適用する際に、プロジェクトとベースラインの自動車の比較妥当性を立証 する要件を明確化することに合意した。 ・ PoA での適用について、AMS-I.D と AMS-I.F という方法論の組み合わせを承認した。 ・ 小規模ワーキンググループが、トップダウン型の標準化ベースラインの開発に潜在的に 相応しい方法論、特に農業、孤立システムにおける発電、交通部門の方法論の分析に着 手したことを留意した。 ・ 「理事会による承認小規模方法論の改定手続き」の改定案を検討した。その案を修正し、 適切な範囲で両方の手続きを揃えることを目的として、「大規模 CDM プロジェクト活 動についてベースライン・モニタリング承認方法論とツールの改定要請の提出と検討手 続き」の改定案とともに示すよう、事務局に要請した。 4.プログラム CDM ・ 2011 年 7 月 15 日までに 10 件の CDM PoA が登録されている。 1-46 5.CDM プロジェクトの登録および CER の発行に関する事項 ・ 2011 年 7 月 15 日までに 3,262 件の CDM プロジェクトが登録され、6 億 5,505 万 4,635 の CER が発行されている。 (1)CDM プロジェクトの登録に関する事項 (個別ケース:以前のレビュー手続きに従ったプロセス) ・ EB56 で「アンダーレビュー」とされた 1 件のクレジット期間の更新要請が検討された。 「HFC Decomposition Project in Ulsan(0003)」について理事会は合意に達すること ができなかった。次回 EB63 にて討議を続けることを決定した。 (個別ケース:EB55 で改定された登録要請のレビュー手続きに従ったプロセス) ・ EB55 で採択された「登録要請のレビュー手続き」に従って、事務局と登録・発行チー ム RIT の評価が異なるものおよびそれらが同じであるが理事からの異議を受けたもの、 14 件の登録要請を検討し、14 件とも登録承認となった。 (一般ガイダンス) ・ 登録要請中のCDMプロジェクト活動の継続的かつ実際の行動についてのケース評価の 経験を通じて事務局が直面した政策課題を議論した。「CDMの事前検討の立証と評価 に関するガイドライン」の改定に合意した。 ・ 有効化審査プロセス中の利害関係者コメントの検討について、その要件の適用に関する 情報ノートを検討し、パブリックコメントの受付を開始することに合意した。その受付 期間は2011年7月18日から8月15日。特に、有効化審査プロセス中の地域利害関係者や グローバルな利害関係者との協議の実施に関するパブリックコメントを求める。さらに、 このパブリックコメントを考慮しつつ、利害関係者との協議プロセスの妥当性について、 どのようにDOEによる有効化審査が行われてきたかに関する分析を準備するとともに、 改善のオプションを提案するよう、事務局に要請した。 ・ CDM参加の許可を簡素化する概念に関する情報ノートを検討した。現在の許可プロセ スで直面する問題のさらなる分析と考えうる解決策を準備するよう事務局に要請した。 (2)CER の発行に関する事項 (個別ケース) ・ EB55 で採択された「発行要請のレビュー手続き」に従って、事務局と登録・発行チー ム RIT の評価が異なるものおよびそれらが同じであるが理事からの異議を受けたもの、 2 件の発行要請を検討し、2 件とも発行承認となった。 ・ EB28 報告書のパラ 96 及び EB31 報告書のパラ 86 に従って、以前リジェクトされた 発行要請の再提出の許可要請 5 件について検討し、発行要請の再提出を 4 件承認し、1 1-47 件は不承認となった。 ・ EB54 報告書 Annex33 のパラ 9 (c)に従って、以前取下げられた発行要請の再提出の許 可要請 4 件について検討し、発行要請の再提出を 4 件とも承認した。 ・ 「登録済 PDD 記載事項の変更の届出・承認要請手続」に従って、登録済 PDD からの 変更の届出や承認要請に関して、DOE の提出した 2 件を検討し、2 件とも変更を受理 し発行要請を認めた。 (一般ガイダンス) ・ 理事会は CERs 発行に対する京都議定書第 1 約束期間の終了の影響に関する情報ノート を検討した。プロジェクト参加者は、モニタリング期間を第1約束期間の終わりに一致 するよう調整することを選択してもよいことを明確化することに合意した。発行要請が、 2012 年 12 月 31 日以前に開始して、それより後の時点で終わるモニタリング期間を対 象とする場合、比例按分アプローチは次のように使用されなければならない。 (a) 一般の排出削減:モニタリング期間に獲得される CERs は 2012 年 12 月 31 日までの期間と 2013 年 1 月 1 日からの期間で、比例的に割り当てられる。 (b) 年間キャップが排出削減量の算出に適用される場合:年間キャップを 2012 年 12 月 31 日の前後の期間に比例按分しなければならない。さらなる按分が必要 とされる場合、総排出削減量を比例按分しなければならない。 このようなモニタリング期間の発行要請の提出を扱うことによ る考えうる技術的な影響に対処するために適切な行動がとられるよう事務局に要請し た。 6.その他の事項 ・ ナイロビ・フレームワーク・パートナー機関と共同して 2011 年 7 月 4 日~6 日にマラ ケシュで開催されたアフリカ・カーボン・フォーラムおよび当該パートナー機関が 2012 年 3 月に(場所未定)類似の行事を組織する予定に関する口頭での進捗報告に留意した。 パートナー機関がその活動の焦点を PoA の推進と電力排出係数の開発の分野にあてる ことに合意したことが留意された。加えて、有効化審査プロセスにおいて遅延に直面し ているプロジェクト件数が 10 件にも満たない国でのプロジェクトに対して、積極的な ヘルプデスクを設立するという事務局の構想を歓迎した。 ・ DOE/AE 調整フォーラム議長は、本会合については DOE/AE からのインプットがなか ったことを知らせた。Betzenbichler 氏は、次の問題について強調した。 系統排出係数の有効化審査に対する手続き案の状態についての DOE の懸念 高い認定コストについての DOE の懸念 複雑な技術分野におけるプロジェクトの有効化審査/検証チームのメンバーに対 する資格条件について、提案された経過措置に DOE は満足 1-48 ・ 2 つの DOE がこの数か月で有効化審査の実施をやめるとされている情報と、ある DOE がサービスへのアクセスに対して割増料金を請求しているという事実に懸念が示され た。これらの問題は DOE サービスへの市場参加者のアクセスに影響を与えることに留 意した。そして、その問題の評価を準備し、将来の会合で理事会に報告するよう事務局 に要請した。加えて、系統排出係数の問題は標準化ベースラインの提出手続きと一緒に 扱われることを確認した。認定コストの問題に関して、CDM 認定プロセスでの必要性 が必ずしも他のシステムと比較できる訳ではないことに留意した。しかしながら、 DOE/AE 調整フォーラムと認定パネルが、今後この問題についてさらに議論することに 合意した。 ・ CMP5 および CMP6 からの要請に応えて、「利害関係者との直接的なコミュニケーシ ョンに対する様式と手続き」を採択した。 ・ CDM コミュニケーション戦略の実施に関する進捗報告を検討し、この分野での 2011-2012 年作業計画の改定に合意した。理事会はさらに事務局に定期的に進捗報告を 提供するよう要請した。 ・ EB63 で連続して開催される年次策略リトリート(retreat)の目的に合意し、準備を続 けるよう事務局に要請した。 ・ どの CDM 文書が国連公用語で翻訳されるべきかについて調査結果を検討した。技術的 でないガイダンスが最優先事項とされなければならないとし、関連手続き・ガイドライ ンの翻訳を進めるよう事務局に要請した。また、将来の会合でこの点について採られた 行動を報告するよう事務局に要請した。 ・ EB63 の日程変更について合意した。また、CMP への報告のために 10 月末に臨時の会 合を開くことに合意した。次回 EB63 は 2011 年 9 月 25 日~29 日に開催することに合 意した。また、この会合で同時に 2011 年 9 月 23、24 日の 2 日間の政策リトリート (retreat)を開催する予定。 1-49 ・ <参考> 表:第 62 回 CDM 理事会参加メンバー 地域区分 アフリカ アジア 東欧 ラテンアメリカ・ カリブ諸国 西欧その他 島嶼国 非附属書Ⅰ国 附属書Ⅰ国 理事 理事代理 Mr. Victor Kabengele Ms. Fatou Gaye コンゴ民主共和国 ガンビア Mr. Shafqat Kakakhel Mr. Hussein Badarin パキスタン ヨルダン Ms. Diana Harutyunvani Ms. Danijela Bozanic アルメニア セルビア Mr. Daniel V. Ortega-Pacheco Mr. José Miguel Leiva エクアドル グアテマラ ●Mr. Martin Hession Mr. Thomas Bernheim イギリス 欧州共同体 Mr. Clifford Mahlung Mr. Asterio Takesy ジャマイカ ミクロネシア Mr. Philip M. Gwage Mr. Paulo Manso ウガンダ コスタリカ ○Mr. Maosheng Duan Ms. June Hughes 中国(段茂盛氏) セントキッツ・ネイビス Mr. Pedro Martins Barata Mr. Lex de Jonge ポルトガル オランダ Mr. Akihiro Kuroki Mr. Peer Stiansen 日本(黒木昭弘氏) ノルウェー 注: ・ ●議長、○副議長。1年ごとに、附属書Ⅰ国・非附属書Ⅰ国からの理事が交替で務める。 ・ 網掛けのメンバーは今次会合は欠席。 ・ 任期は、改選の翌年の最初の CDM 理事会まで。理事は連続最大 2 期まで、理事代理は任期の制限は ない。 ・ 理事メンバーは国連定義の 5 地域から 5 名、附属書Ⅰ国から 2 名、非附属書Ⅰ国から 2 名、島嶼国か ら 1 名の代表として就任。 ・ 1-50 第 63 回 CDM 理事会報告 第 63 回 CDM 理事会(EB63)が、2011 年 9 月 25 日~9 月 29 日にエクアドル・キトで 開催された。EB63 は理事 8 名、理事代理 6 名が出席した。 1.統治と管理 1.1 メンバーシップ ・ パラ5.2011年7月20日に代理理事のJosé Miguel Leiva氏(グアテマラ)が退任し、ラ テンアメリカ・カリブ諸国グループ(GRULAC)の代表として、Raúl Castañeda氏(グ アテマラ)が就任した。 ・ パラ6.2011年9月21日に理事の黒木昭弘氏(日本)が退任し、附属書Ⅰ国のグループ の代表として、戒能一成氏(日本)が就任した。 1.2 理事会の関連事項と支援構造 ・ パラ10.CMP要請の「CDM理事会の手続き規則」の中に含まれる理事会の意思決定プ ロセスの必要に応じた評価について、その意思決定プロセスを分析した。そして、手 続き規則の変更に関してCMPへ勧告しないことに合意した。その分析は、投票にかけ られる事項に関して、大抵の過去の事例において、理事会が同会合で決定を行ってい たことを実証した。理事会は、投票プロセスが単に意思決定プロセスの一部分であり、 必ずしも理事会による決定に導く最終段階ではないことを強調した。しかしながら、 決定についてのコンセンサス構築プロセスを促進させ、利用可能な投票規則をもっと 上手に利用する措置を検討する必要性を強調した。 ・ パラ11.2012年9月30日まで、登録・発行チーム(RIT)の任期を1年間延長すること に合意した。 1.3 各パネル・ワーキンググループ (認定パネル) ・ パラ17.CDM認定標準の能力関連分野に関して、一貫性の改善作業を開始するよう方 法論パネルに要請した。また、作業の正確な範囲と予定を定義し、将来の会合で、そ れらについて理事会へ報告するよう認定パネルに要請した。 ・ パラ18.CDMとJIの特異性を考慮しつつ、例えば認定手続き・標準・実施の整合性な どの政策課題について、JI認定パネルと緊密に連携するようCDM認定パネルに要請し た。 ・ パラ19.将来の会合で、2011年において実施された評価の報告など、2011年作業計画 の実施について報告するようCDM認定パネルに要請した。 1-51 (方法論パネル) ・ パラ22.提案方法論NM0292「高炉ガスを燃料とする高効率発電所(ブラジル・リオ デジャネイロ)」の情報ノートを留意した。この情報ノートは、提案方法論に関して、 コモンプラクティス分析で利用される閾値の論理的根拠に関するものである。 ・ パラ23.方法論パネルが次の新規提案方法論の検討について未了であることに留意し た。 (a)NM0338「高効率軸型スクラップ・プレヒーターと一体化した先進的電気炉を利用 するGHG排出削減方法論」 (b)NM0344「送電網に接続された既存CHP設備内での新規天然ガスガスタービン・コ ジェネの導入」 (c)NM0345「コンバインドサイクル発電所からISCCへの転換方法論」 ・ パラ25.方法論パネルが統合方法論ACM0013「GHG集約度の低い技術を利用する送 電網接続新規化石燃料発電所に対するベースライン・モニタリング統合方法論」に関 連する課題の分析について未了であることに留意した。また、方法論パネルは次回 EB64までに、その分析および関連報告を仕上げる予定である。 ・ パラ29.方法論パネルは、方法論パネルの2011年作業計画にある標準化ベースライン の開発任務に応えて、承認方法論の中から標準化ベースラインの開発可能な候補とし て、次の承認方法論及びツールを特定したことに留意した。 (a)AM0070「家庭用省エネ冷蔵庫の製造」 (b)AM0091「新規ビルでの省エネ技術と燃料転換」 (c)AM0057「パルプ・紙、ダンボール、繊維板あるいはバイオ油製造における原料と して利用することを介したバイオマス廃棄物からの排出回避」 (d)「電力システムの排出係数算定ツール」 ・ パラ31~32.EB62報告書のパラグラフ35及び33に記載されている要請に応えて、方 法論パネルが「セクター別標準化ベースライン設定のガイドライン」及び「CDM方法 論におけるsuppressed demandの検討に関するガイドライン」を実施し、さらに改善 するための作業プログラム案に関して検討・フィードバックを提供したことに留意し た。 (小規模ワーキンググループ) ・ パラ35.小規模ワーキンググループが次のトップダウン型方法論の検討を続けている ことに留意した。 (a)非効率的な既存ポンプの1対1の交換に焦点を当てた効率的な農業用ポンプ及び灌漑 活動に対するトップダウン方法論(EB66で議論の予定) (b)外部専門家によって提示された様々なアプローチを考慮しつつ、コンピューターシ 1-52 ミュレーションを利用する建築物における省エネ措置に対するトップダウン方法論 (EB65で議論の予定) ・ パラ36.新規提案小規模方法論SSC-NM066「使用者による原料使用に対する非再生可 能バイオマスからの転換」は、小規模ワーキンググループによる理事会への勧告につ いて不適と判断されたことに留意した。 (植林・再植林ワーキンググループ) ・ パラ42.「A/R CDMプロジェクト活動におけるアロメトリー式および材積式の適用可 能性の証明ツール」案の検討が未了であることに留意した。 ・ パラ43.植林・再植林ワーキンググループは次の課題について引き続き検討を行うこ とに留意した。 (a) A/R CDMプロジェクト活動における森林火災からの排出量の計上 (b) A/R CDMプロジェクト活動に適用される標準化ベースラインのガイドライン開発 (c) 小規模A/R CDMプロジェクト活動における追加性立証の代替アプローチ (d) A/R CDMプロジェクト活動の土地適格性およびプロジェクト境界の確定に関する 簡素化アプローチの検討 ・ パラ44.承認方法論AR-AM0005「産業/商用目的に実施される植林・再植林活動」の 修正の検討が未了であることに留意した。 2. 決定(個別ケース) 2.1 認定 ・ パラ47.運営組織ERM-CVS(E-0016)、TÜV Nord(E-0022)2件、SQS(E-0027)、 E&YSNSI(E-0028)、SIRIM(E-0038)、EYG(E-0045)の定期現地監視評価の肯定的な結 果7件に関して、認定パネルによる通知を留意した。 ・ パラ48.運営組織JQA (E-0001)、DNV(E-0003)、Deloitte-TECO(E-0006)、SGS(E-0010)、 TÜV Rheinland(E-0013)、TÜV Nord(E-0022)、LRQA(E-0023)、ICONTEC(E-0024)、 SQS(E-0027)、Applus(E-0032)、CQC(E-0044)のパフォーマンス審査の肯定的な結果 11件に関して、認定パネルによる通知を留意した。 ・ パラ49.運営組織BVCH(E-0009)のパフォーマンス審査の否定的な結果1件に関して、 認定パネルによる通知を留意した。 ・ パラ50.認定パネルによる勧告を検討し、2つの運営組織BVCH(E-0009)、TÜV Rheinland(E-0013)の本社所在地の変更と新法人組織への移転の認定を承認した。 ・ パラ51.運営組織LRQA(E-0023)のDOEパフォーマンスモニタリング(業績監視)の 結果に基づき開始されたスポット・チェックに関して、認定パネルによる通知を留意 した。 1-53 ・ パラ52.CDM認定手続きのパラグラフ142に従って、電子承認を用いて、2011年8月2 日から2012年2月2日まで運営組織JCI(E-0007)の認定を延長することに合意した。 2.2 プログラム活動(PoA) ・ パラ53.2011年9月29日までに12件のプログラム活動(PoA)が登録された。 2.3 登録 ・ パラ54.2011年9月29日までに3,472件のCDMプロジェクトが登録された。 ・ パラ55~57.EB55で採択された「登録要請のレビュー手続き」に従って、事務局と登 録・発行チーム(RIT)の評価が異なるものおよびそれらが同じであるが理事からの異 議を受けたもの、21件の登録要請を検討し、17件が承認となり、4件が不承認となった。 ・ パラ58~59.EB56で「アンダーレビュー」とされた1件のクレジット期間の更新要請 が検討された。「HFC Decomposition Project in Ulsan(0003)」について理事会は 合意に達することができなかった。次回EB64にて討議を続けることを決定した。 2.4 発行 ・ パラ60.2011年9月29日現在で、7億4,417万4,126トンのCERが発行されている。 ・ パラ61~63.EB55で採択された「発行要請のレビュー手続き」に従って、事務局と登 録・発行チームRITの評価が異なるものおよびそれらが同じであるが理事からの異議を 受けたもの、2件の発行要請を検討し、1件が承認となり、1件が不承認となった。 ・ パラ64.EB28報告書のパラグラフ96及びEB31報告書のパラグラフ86に従って、以前 リジェクトされた発行要請の再提出の許可要請11件について検討し、発行要請の再提 出を11件とも承認した。 ・ パラ65.EB54報告書Annex33のパラグラフ9 (c)に従って、以前取下げられた発行要請 の再提出の許可要請3件について検討し、発行要請の再提出を3件とも承認した。 ・ パラ66~68.「登録済PDD記載事項の変更の届出・承認要請手続」に従って、登録済 PDDからの変更の届出や承認要請に関して、DOEの提出した2件を検討し、1件は変更 を受理し発行要請を認め、もう1件は方法論パネルに技術的なコメントを要請した。 3.規制事項 3.1 標準/ツール (CPAとPoAに対する標準) ・ パラ69.「PoAにより達成されるGHG排出削減の追加性立証に対する標準」を採択し た。また、調整又は管理主体(CME)の定義を追加し、CDM用語集を更新するよう事 務局に要請した。 1-54 ・ パラ70.「PoAの下でのCPAとしてのプロジェクト活動の包含に関する適格性基準の 開発に対する標準」を採択した。 ・ パラ71.「複合CDM方法論のPoA適用に対する標準」を採択した。方法論パネルと小 規模ワーキンググループのメンバーで構成されるタスクフォースと連携して、将来の 会合で理事会が検討するために、技術/対策と方法論の組み合わせを適用した場合の交 差効果に関するガイダンスの開発をさらに進めるように事務局に要請した。 ・ パラ72~73.上記パラ69~71の3つの標準を1つのPoA標準として統合するよう事務局 に要請した。さらに、EB64までにPoA統合標準の実施に対する作業プログラムを準備 するよう事務局に要請した。この作業プログラムは上記パラ69~71の採択されたPoA 関連標準の有効日を定義しなければならない。 ・ パラ74.また、PoAの下での大規模方法論の利用との関連で、大規模方法論を見直し、 追加的要件がこれらの方法論の中に必要とされるかどうか評価するよう方法論パネル に要請した。 ・ パラ75.「CPAとPoAに関するサンプリングと調査に対する標準案」を検討し、DOE 有効化審査向けのサンプリングに関する別のセクションを含める文書案を再構築する とともに、本会合で受理したコメントを考慮するよう事務局に要請した。新しいセク ションはDOEとプロジェクト参加者と相談して開発されなければならない。DOEとプ ロジェクト参加者からのパブリックコメントは、2011年10月7日から17日まで行われ る。事務局はDOEとプロジェクト参加者の代表者などの利害関係者からのフィードバ ックを収集するために、電話会議を開催してもよい。(EB65で議論の予定) ・ パラ76.3つの文書に関連する情報ノートを検討した。 (a)CDMプロジェクト標準案 (b)CDM有効化審査及び検証の標準案 (c)CDMプロジェクトサイクル手続き案 この情報ノートはこれらの3つの文書の概要を提供した。 ・ パラ77~78.「CDMプロジェクト標準案」/「CDM有効化審査及び検証の標準案」を 検討した。これらの文書は、以前の会合で理事会がガイダンスを提供した新しい要件 (例えば、登録後の変更)と様々なCDM文書に記載されているプロジェクト参加者 /DOEに適用可能な既存の要件を統合する。明確性を改善する利害関係者のコメントを 考慮し、文書の一貫性を間然して草案を改定するよう事務局に要請した(EB65で議論 の予定)。また、新しい要件の提案あるいは既存の要件を変更する利害関係者のコメ ントについて今後の検討で留意しなければならないことに合意した。また、EB64まで に「プロジェクト標準案」/「有効化審査及び検証の標準案」と実施計画について、各 条項の出典を示す表を準備するよう事務局に要請した。 (大規模方法論の標準) 1-55 ・ パラ79.新規方法論:承認5件。AM0095「新規鉄鋼プラント内での排気ガスコンバイ ンドサイクル発電所」、AM0096「半導体製造設備内での削減装置導入によるCF4排出 削減」、AM0097「高電圧直流送電線の導入」、AM0098「アンモニアプラントの排ガ スの蒸気発生利用」、ACM0020「グリッド接続された発電所におけるバイオマス残渣 の混焼による熱電生成」。 ・ パラ80.承認統合方法論ACM0020「グリッド接続された発電所におけるバイオマス残 渣の混焼による熱電生成」には、承認方法論AM0085「グリッド接続された発電所にお けるバイオマス残渣の混焼による発電」が完全に組み込まれているので、方法論 AM0085を取り下げることに合意した。 ・ パラ81.新規方法論:不承認2件。NM0343「RHF省エネ製鉄技術に対する方法論」、 NM0349「置換安息香酸の製造における硝酸による酸化から酸素による触媒酸化へ転換 することによるN2O形成の回避」 ・ パラ82.「貨物の道路輸送によるプロジェクトとリーケージ排出量に対するツール」 を承認し、このツールを適用し関連承認方法論との一貫性を図るために、関連承認方 法論を改定するよう方法論パネルに要請した。 ・ パラ83.方法論パネルが次の方法論とツールの原案を開発したことに留意した。 (a)「孤立型送電網内での再生可能エネルギー発電」の方法論案 (b)「堆肥化からのプロジェクトとリーケージ排出量」のツール案 また、2011年9月30日から2011年10月10日まで、パブリックコメントを行うことに合 意した。方法論パネルはパブリックコメントの結果を検討しつつ、これらの最終案を 準備しなければならない。 ・ パラ84.「初めてのケース(the first-of-its-kind)方式の利用」及び「コモンプラクテ ィスの評価」の提案を検討した。初めてのケース(the first-of-its-kind)及びコモンプ ラクティスのガイドラインについて受理したパブリックコメントの要約ノートを検討 した。「初めてのケース(the first-of-its-kind)プロジェクト活動の追加性に関するガ イドライン」及び「コモンプラクティスに関するガイドライン」を採択した。 ・ パラ85.AM0001「HFC23排気の焼却」の改定案について検討を続け、プロジェクト 参加者が2つのオプションのうち1つを選択可能にする方式について分析するよう方法 論パネルに要請した。 (a)CDMクレジット適格なHCFC-22生産ラインに1%のw-factorを適用 (b) 非CDM生産ラインのHFC23排出が焼却される場合、CDMクレジット適格な HCFC-22生産ラインにより高いw-factor(例:1.2%)を適用 ・ パラ86.また、上記の2つのオプションのうち1つを選択するようプロジェクト参加者 に要請することの結果について、法律専門家の意見を準備するよう事務局に要請した。 ・ パラ87.次の承認方法論及びツールの改定・修正を行った。AM0023「ガス生産・加 工・移送・貯蔵・配給システムおよび精製施設における漏洩検出と修繕」、AM0034 1-56 「硝酸工場のアンモニア燃焼器内部の触媒N2O削減」、ACM0006「バイオマス残渣か らの電熱生成に対する統合方法論」、ACM0017「燃料として使用するバイオディーゼ ルの生産」、ACM0018「発電専用プラントにおけるバイオマス残渣からの発電に対す る統合方法論」、「電力システムの排出係数算定ツール」。 ・ パラ91~93.「当初/現在のベースラインの妥当性評価とクレジット期間更新時のベ ースライン更新のツール」の改定に合意し、さらに作業を進めるよう事務局に要請し た。また方法論パネルが、クレジット期間の更新を現在要請しているCDMプロジェク ト活動によって利用される方法論を優先しつつ、ベースライン排出量の再評価という 理事会のルールに従順していないと認定される方法論については、ベースラインシナ リオの再評価への参照を削除することで、その方法論の改定を続けなければならない ことに合意した。 (小規模方法論の標準) ・ パラ97.2011年9月30日から10月30日まで、トップダウン型小規模方法論2件について、 パブリックコメントの受付を行うことに合意した。SSC-II.N「建物内でエネルギー効 率の高い照明および/または制御の導入に対する需要側省エネ活動」、SSC-I.K「家庭 用太陽熱調理器」。 ・ パラ98.承認小規模方法論の改定に合意した。AMS-III.G「埋立地メタンガスの回収」、 AMS-III.D「家畜糞尿管理システムにおけるメタンガス回収」。 ・ パラ100.PoAに適用可能な組み合わせとして、「AMS-I.A、AMS-I.D及びAMS-I.F」、 「AMS-I.AとAMS-I.D」、「AMS-I.AとAMS-I.F」を承認した。 ・ パラ101.「マイクロスケール・プロジェクト活動の追加性立証ガイドライン」の改定 に合意した。改定ガイドラインにはEB62で理事会によって提供されたガイダンスと下 記に説明する追加的なガイダンスが組み込まれている。 ・ パラ102.また、「小規模CDMプロジェクト活動に対する簡素化された様式及び手続 き付録Bの添付A」に含めること、全ての非附属書Ⅰ国において、障壁について詳細な 説明なしで自動的に追加性有りとして定義される再生可能発電技術のポジティブリス トを設定することに合意した。初期リストは15MW以下の設備容量の次の技術で構成 される。 (a)系統連系太陽発電技術(太陽光発電と太陽熱発電) (b)系統連系洋上風力発電技術 (c)系統連系海洋技術(波、潮力) ポジティブリストの中にオフグリッド発電技術と分散型発電事業を含めるオプション および影響について、さらに分析を続けるよう小規模ワーキンググループに要請した。 ・ パラ103.「マイクロスケール・プロジェクト活動の追加性立証に対するガイドライン」 の基準2(d)に関して、上記のポジティブリストに含まれない、いかなる再生可能発電技 1-57 術について、適用される閾値を(特定の系統連系再生可能エネルギー技術の設備容量) /(ホスト国内で系統連系されている総設備容量)として定義し、その閾値は最大で も3%でなければならないことに合意した。 ・ パラ104.さらに、得られた経験と影響の分析に基づいて、上記ガイドラインに対する タイプI、II、IIIについての活動の閾値の妥当性に関する勧告をするよう小規模ワーキ ンググループに要請した。 ・ パラ105.「マイクロスケール・プロジェクト活動の追加性立証に対するガイドライン」 の基準2(d)に関連するDNAからの2件の意見提出に関する小規模ワーキンググループ による技術評価を留意した。小規模ワーキンググループによって作成されたDNAの意 見提出の技術評価を考慮しつつ、マイクロスケール・ガイドラインに関連する上記で 提供された追加ガイダンス、特に適用可能な閾値の定義に伴い、ガイドライン運用に ついての保留中の手続きを提示するよう事務局に要請した。(EB64で議論の予定) (植林・再植林方法論の標準) ・ パラ106.新規A/R方法論ARNM0039「複数のベースライン土地利用およびリーケージ 条件における炭素固定A/Rベースライン・モニタリング方法論」案を不承認とした。 ・ パラ107.承認方法論AR-ACM0002「プロジェクト前活動の移転を伴わない荒廃地で の植林あるいは再植林」の改定/修正を承認した。 ・ パラ108.承認方法論AR-AM0006「潅木の植栽を伴う荒廃地における植林/再植林」の 取り下げに合意した。 ・ パラ110.「登録プロジェクトの検証におけるA/R CDM方法論の特定バージョンの適 用に関するガイドライン」を承認した。 ・ パラ111.「登録PDDの記述からのプロジェクト変更に関する報告のガイドライン」を 承認した。 3.2 手続き (プロジェクトサイクル関連手続き) ・ パラ112.CDMプロジェクトサイクル手続き(PCP)案を検討した。この文書は様々 な既存のCDM文書に見られるCDMプロジェクトサイクル全体の管理手順を統合する とともに、理事会の以前の会合で示されたもの、または、事務局の経験に基づき提案 された、いくつかの新しい管理手順あるいは変更管理手順を含むものである。草案の 様々な要素に合意して、明確性を改善する利害関係者のコメントを考慮し、文書の一 貫性を間然して草案を改定するよう事務局に要請した(EB65で議論の予定)。また、 新しい要件の提案あるいは既存の要件を変更する利害関係者のコメントについて今後 の検討で留意しなければならないことに合意した。また、EB64までにPCP案と実施計 画の各条項の出典を示す表を準備するよう事務局に要請した。 1-58 (方法論関連手続き) ・ パラ113.非再生可能バイオマスからの代替についての小規模CDM方法論の下でのベ ースライン排出量算定の標準化アプローチに関して、特に非再生可能バイオマスの割 合を定量化する方法と、ベースラインの燃料材消費量についてどのようなデフォルト 値が適切であるかについて、パブリックコメントの受付を2011年9月30日から10月30 日まで行うことに合意した。(SSC-WG35で議論の予定) ・ パラ114.小規模ワーキンググループが、AMS-III.AA(輸送)、AMS-III.AU(田んぼ のメタン排出量)、AMS-I.IとAMS-I.E(バイオマス消化槽)について標準化ベースラ インの作業を続けることに留意した。 ・ パラ115.「標準化ベースラインの提出および検討に対する手続き」を採択した。遅く ともEB65までにその手続きの実施計画を準備するよう事務局に要請した。標準化ベー スラインの利用はボランタリーであるので、標準化ベースラインの厳格レベルは、環 境十全性の高いレベルを十分確保しなければならないと強調した。また、「セクター 別標準化ベースラインの設定に対するガイドライン」を実施するために作業プログラ ムを開発する際に、この原則を考慮するよう事務局に要請した。 ・ パラ116.上述パラグラフ91「当初/現在のベースラインの妥当性評価とクレジット期 間更新時のベースライン更新のツール」の改定の採択に続いて、「登録CDMプロジェ クト活動のクレジット期間の更新に対する手続き」からツールを分離することに合意 し、編集上の変更を行った手続きの改定を採択した。 3.3 政策課題 (方法論関連) ・ パラ118.抑制された需要(suppressed demand)に関する作業プログラムを承認した。 また、どのようにガイドラインを改善・明確にし、抑制された需要(suppressed demand)の側面を統合するために方法論を改定するかに関して、プロジェクト参加者 や利害関係者からの提案を受理するためにパブリックコメントの受付を2011年9月30 日から10月30日まで行うよう事務局に要請した。パブリックコメントの要約は将来の 会合で方法論パネルやワーキンググループで検討される予定である。 (登録関連) ・ パラ119.EB62で理事会から与えられた命令に従って、パブリックコメントの結果を 検討しつつ、利害関係者との協議プロセスの妥当性に関してDOEによる有効化審査が どのように行われているかについて分析を準備し、改善のためのオプションを提案し する際に、次の課題について考慮すべきであることを事務局に要請した。 (a)登録申請に関する世界の利害関係者との協議に対するタイミングと一定の期間を特 1-59 定する潜在的なリスク (b)有効化審査プロセスに関する重大な懸念のDOEによる取り扱いと、どのようにそれ らが改善されるかについて (c)有効化審査プロセスにおいて理事会メンバーによって取り上げられた重大な懸念を 処理するタイミングの再検討 (d)利害関係者とのコミュニケーションの実際と書簡提出プロセスに関する懸念 (発行関連) ・ パラ120.以前の有効化審査、検証および/または認証の報告書における重大な欠陥への 対処に関する情報ノートを検討した。本会合で理事会によって与えられたガイダンス に基づき手続き案を準備すること、そのような手続きの結果として、CMP7への勧告の 草案を作成すること、EB64で検討するためにCDM方法と手続きの関連項目を修正す ることを事務局に要請した。 ・ パラ121.リジェクトされた発行要請の再提出に対する時間制限の問題は、上述パラグ ラフ112のプロジェクトサイクル手続き(PCP)で対処することに合意した。 4. その他の事項 ・ パラ124.DOE/AE協調フォーラム議長のBetzenbichler氏は、本会合で検討するため に、運営組織から受け取ったコメントを詳細に述べ、次のことについて、理事会から のガイダンスを求めた。 (a)1つのプロジェクトが2度の有効化審査を行う場合のCDM事前検討の取り扱い (b)CDM-APとの交流、特に認定コストとタイムライン、認定標準・手続きの改定の必 要性について (c)EB63注釈議題へのコメント (i)議題へのコメントを受理する日時について (ii)新標準・手続き (iii)初めてのケースとコモンプラクティス (iv)重大な欠陥 ・ パラ126.Betzenbichler氏はEB63で検討される文書量とそれらの重要性の割には、注 釈議題へのパブリックコメント対する時間が十分でないと述べた。標準、手続き、政 策課題、そしてそれらの中で重要とされるものすべてに関して詳細に述べ、いくつか の改善と改定を勧告した。また、全ての文書にわたる一貫性を要請した。さらに詳細 な検討を必要とする文書について利害関係者とのコンサルテーションの新しいラウン ドを勧めた。 ・ パラ130、131.本会合の最終日にEBメンバーとオブザーバーとの交流が行われた。オ ブザーバーは次の課題について強調した。 1-60 (a)新しい標準、手続きに関する理事会の作業及びこれらの文書の実施 (b)炭素市場における理事会の役割 (c)発行要請のタイムライン (d)CDMの下での持続可能なベネフィットとコベネフィットに関する作業とCMPへの 報告 ・ パラ132.2011年10月24日から26日にかけてドイツ・ボンでEB64が開催される。そこ では、CMPへの報告に焦点が当てられるため、一部を除き、各パネル・ワーキンググ ループによるインプットや個別ケース決定については検討しない。 1-61 ・ <参考> 表:第 63 回 CDM 理事会参加メンバー 地域区分 アフリカ アジア 東欧 ラテンアメリカ・ カリブ諸国 西欧その他 島嶼国 非附属書Ⅰ国 附属書Ⅰ国 理事 理事代理 Mr. Victor Kabengele Ms. Fatou Gaye コンゴ民主共和国 ガンビア Mr. Shafqat Kakakhel Mr. Hussein Badarin パキスタン ヨルダン Ms. Diana Harutyunyan Ms. Danijela Bozanic アルメニア セルビア Mr. Daniel V. Ortega-Pacheco Mr. Raúl Castañeda エクアドル グアテマラ ●Mr. Martin Hession Mr. Thomas Bernheim イギリス 欧州共同体 Mr. Clifford Mahlung Mr. Asterio Takesy ジャマイカ ミクロネシア Mr. Philip M. Gwage Mr. Paulo Manso ウガンダ コスタリカ ○Mr. Maosheng Duan Ms. June Hughes 中国(段茂盛氏) セントキッツ・ネイビス Mr. Pedro Martins Barata Mr. Lex de Jonge ポルトガル オランダ Mr. Kazunari Kainou Mr. Peer Stiansen 日本(戒能一成氏) ノルウェー 注: ・ ●議長、○副議長。1年ごとに、附属書Ⅰ国・非附属書Ⅰ国からの理事が交替で務める。 ・ 網掛けのメンバーは今次会合は欠席。 ・ 任期は、改選の翌年の最初の CDM 理事会まで。理事は連続最大 2 期まで、理事代理は任期の制限は ない。 ・ 理事メンバーは国連定義の 5 地域から 5 名、附属書Ⅰ国から 2 名、非附属書Ⅰ国から 2 名、島嶼国か ら 1 名の代表として就任。 ・ 1-62 第 64 回 CDM 理事会報告 第 64 回 CDM 理事会(EB64)が、2011 年 10 月 24 日~10 月 26 日にかけてドイツ・ボ ンで開催された。EB64 は理事 9 名、理事代理 8 名が出席した。 1.統治と管理 1.1 メンバーシップ ・ 特記事項なし。 1.2 戦略的な計画/指示 ・ パラ9. 「政策対話(policy dialogue)の付託条件」に合意した。また、南アフリカ・ダ ーバンで開催される第7回京都議定書締約国会議(CMP7)で、政策対話(policy dialogue)を開始する事に合意した。その政策対話(policy dialogue)に含むべき課題 について議論し、そのスコープに関するパブリックコメントの受付(受付期間:2011 年10月27日から2012年1月16日まで)を開始した。そのパブリックコメントの要約は、 政策対話(policy dialogue)を実施するパネルとCDM理事会(EB)とで共有し、EB66 で検討される予定である。さらに、EBの理事及び代理理事と協議して、EB議長と UNFCCC事務局長が、そのパネルのメンバーを招待することに合意した。 ・ パラ10.新ビジョン記述書の要素を議論して、次回会合の検討課題として事業計画(案) の中に新ビジョン記述書(案)を含めることを事務局に要請した。 1.3 理事会の関連事項と支援構造 ・ パラ11.「CMPへの年間報告書」(対象期間:2010年10月15日から2011年10月26日 まで)に合意し、今回のEB64の結果を反映するためにEB議長と協力して「CMPへの 年間報告書」を仕上げるよう事務局に要請した。その報告書は仕上がり次第、UNFCCC 及びUNFCCC-CDMウェブサイトに掲載される予定である。 ・ パラ12.CDM文書の国連公用語への翻訳作業の進捗状況について留意し、その作業を 早めるよう事務局に要請した。 2. 決定(個別ケース) 2.1 登録 ・ パラ16,17.EB56で「アンダーレビュー」とされた1件のクレジット期間の更新要請が 検討された。「HFC Decomposition Project in Ulsan(0003)」について理事会は合 意に達することができなかった。次回EB65にて討議を続けることを決定した。 1-63 3.規制事項 3.1 標準/ツール ・ パラ18.「プログラム活動(PoA)標準の実施計画」に合意した。 ・ パラ19.「プロジェクト標準(PS)及び有効化審査・検証標準(VVS)の実施計画(案)」 について検討した。PS及びVVSを運用可能にするために必要な取消・改定・新規開発 の文書リストに合意し、関連文書の改定・開発作業を開始するよう事務局に要請した。 これに関して、次の優先順位事項に合意した。 (a) EB65での採択に向けた検討 (i). 「PS及びVVS(案)」 (ii). 「PDD-form及び大規模CDM用のPDD-form記入ガイドライン(改定案)」 (iii). 「CDM用語集(改定案)」 (b) EB66での他のすべての改定・新規文書の採択に向けた検討 ・ パラ21.「PS及びVVS(案)」のそれぞれの条項に関する出典について検討し、次のこ とについてEB65で報告するよう事務局に要請した。 (a) 「PS及びVVS(案)」の開発に利用される草案の原則 (b) EBによって取り上げられた課題が、どのように「PS及びVVS(案)」の改定に考慮 されるのか (c) 「PS及びVVS(改定案)」に記載される条項の明確性及び一貫性を改善するための編 集上の再検討結果 3.2 手続き ・ パラ22.「プロジェクトサイクル手続き(PCP)の実施計画(案)」について検討した。 PCPを運用可能にするために必要な取消・改定・新規開発の文書リストに合意し、関 連文書の改定・開発作業を開始するよう事務局に要請した。これに関して、パラグラ フ9に記載されている優先順位事項に加えて、EB65で採択するために「PCP(案)」を検 討することに合意した。 ・ パラ23.また、EB65で検討するために「PCPの実施計画」を改定することと、PCPに よって導入される新規条項に関し、効果的な移行の手配を含めるよう事務局に要請し た。 ・ パラ24.「PCP(案)」のそれぞれの条項に関する出典について検討し、次のことについ てEB65で報告するよう事務局に要請した。 (a) 「PCP(案)」の開発に利用される草案の原則 (b) EBによって取り上げられた課題が、どのように「PCP(案)」の改定に考慮されるの か 1-64 (c) 「PCP(改定案)」に記載される条項の明確性及び一貫性を改善するための編集上の 再検討結果 ・ パラ25.「過去の有効化審査・検証・認証報告書における重大な欠陥に対処するため めの手続き(案)」を検討し、修正案に含まれるべき主要な要素に関して合意した。この 修正案は、パブリックコメントを考慮しつつ、EB65で引き続き議論される予定である。 ・ パラ26.「CERs発行のレビュー要請手続き」の改定に合意した。 3.3 政策課題 ・ パラ27.有効化審査の過程で、地域及び世界的利害関係者との協議の実施に関するパ ブリックコメントの要約を検討した。可能な限り早い段階で、必要に応じて受け取っ た提案を、PCPの改定と追加ガイドラインを組み込む方法に関して勧告するよう事務 局に要請した。 ・ パラ28.パブリックコメントを行う過程に関する既存慣行の情報を検討し、新規・改 定・トップダウン型方法論の提案に関連するものを含みつつ、その過程を概括する文 書を提供するよう事務局に要請した。さらに、利害関係者とのコミュニケーションを 改善しつつ、また政策提案と方法論を仕上げる際に利用される技術的な能力の利用を 最大化しながら、その過程は効率的かつ透明性のあるものにすべきことに合意した。 ・ パラ29.追加性の評価、特に大規模プロジェクトの投資分析と公共部門の投資決定に 関して、EBメンバーによって取り上げれらた課題について留意した。 4. その他の事項 ・ パラ32.次のEBに提出された利害関係者からのレターを検討した。 (a)「電力量を測定するために使用される電力量計の較正要件に関する質問」(提出者: Jung Young Geon 氏)。取り上げられた懸念に対処するために関連ガイドラインの改 定案を準備するよう事務局に要請した。 (b)「リジェクト理由公表の遅延を懸念するレター」(提出者:Leo Perkowski 氏)。 (c)「KKSL Lekir バイオガスプロジェクト(Project BCM07_SLK_14)に関する明確 化」(提出者:Maik Barth 氏)。ここで、取り上げられた課題はPCPの採択とともに 対処すべきことが合意された。 ・ パラ33,34.本会合の最終日にEBメンバーとオブザーバーとの交流が行われた。オブザ ーバーは次の課題について強調した。 (a)過去の有効化審査・検証・認証における重大な欠陥に対処するための手続きに関連 するDOEコストの取り扱い (b)プロジェクト参加者が、登録要請が間違ってリジェクトされたと考える場合の適用 可能な手続き (c) どのように利害関係者からのレターがEBでの検討対象となるのか 1-65 (d)政策対話(policy dialogue)のオブザーバー参加 ・ パラ37.次回EB65は、2011年11月21日から25日にかけて南アフリカ・ダーバンで開 催予定である。 1-66 ・ <参考> 表:第 64 回 CDM 理事会参加メンバー 地域区分 アフリカ アジア 東欧 ラテンアメリカ・ カリブ諸国 西欧その他 島嶼国 非附属書Ⅰ国 附属書Ⅰ国 理事 理事代理 Mr. Victor Kabengele Ms. Fatou Gaye コンゴ民主共和国 ガンビア Mr. Shafqat Kakakhel Mr. Hussein Badarin パキスタン ヨルダン Ms. Diana Harutyunyan Ms. Danijela Bozanic アルメニア セルビア Mr. Daniel V. Ortega-Pacheco Mr. Raúl Castañeda エクアドル グアテマラ ●Mr. Martin Hession Mr. Thomas Bernheim イギリス 欧州共同体 Mr. Clifford Mahlung Mr. Asterio Takesy ジャマイカ ミクロネシア Mr. Philip M. Gwage Mr. Paulo Manso ウガンダ コスタリカ ○Mr. Maosheng Duan Ms. June Hughes 中国(段茂盛氏) セントキッツ・ネイビス Mr. Pedro Martins Barata Mr. Lex de Jonge ポルトガル オランダ Mr. Kazunari Kainou Mr. Peer Stiansen 日本(戒能一成氏) ノルウェー 注: ・ ●議長、○副議長。1年ごとに、附属書Ⅰ国・非附属書Ⅰ国からの理事が交替で務める。 ・ 網掛けのメンバーは今次会合は欠席。 ・ 任期は、改選の翌年の最初の CDM 理事会まで。理事は連続最大 2 期まで、理事代理は任期の制限は ない。 ・ 理事メンバーは国連定義の 5 地域から 5 名、附属書Ⅰ国から 2 名、非附属書Ⅰ国から 2 名、島嶼国か ら 1 名の代表として就任。 ・ 1-67 第 65 回 CDM 理事会報告 第 65 回 CDM 理事会は、2011 年 11 月 21 日から 25 日にかけて南アフリカ・ダーバン市 で開かれた。 第 65 回会合では、第三者審査機関とプロジェクト参加者のための、既存の規則をまとめ た有効化審査・検証基準、プロジェクト基準およびプロジェクトサイクル手続きの 3 つの 包括的な基準が採択された。 また、当該会合では、PoA(プログラム CDM)を進展・促進することが期待されるサン プリング基準、セクターごとの標準化ベースラインのガイドラインのデフォルト値と作業 計画、追加性に関して自動的に適格となる再生可能エネルギー技術を指定国家当局(DNA) が提案するための手続きが承認された。 また、1 年前に一時停止されていた、HFC-23 を破壊するプロジェクトについての方法論 (AM0001)の改定版が採択された。化石燃料燃焼の効率化により排出量を削減するプロジ ェクト(超臨界圧石炭火力発電プロジェクトなど)についての方法論(ACM0013)を一時 停止し改定することが決定された。 1.ガバナンスと管理 1.1 戦略的計画・方向性 ・ 2012〜2013 年の 2 年についての事業計画案が検討され、ビジョン声明を洗練し焦点を しぼるとともに、目的と成果物を統合することが合意され、管理計画(MAP)ととも に EB66 で検討することになった。 ・ CDM 政策対話についての準備に関する進捗が検討された。 ・ 炭素市場と関係政府の政策における最近の進展と展望に関する報告が検討された。 1.2 ・ CDM 理事会と支援組織 2012 年の CDM 理事会会合の仮年間予定表が合意された。 1.3 パネル・WG の報告 (認定パネル) ・ 認定評価の数と付加価値に関して、認定手続きとその実施の評価を行うこととなった。 2.決定 2.1 ・ 認定 LRQA について行われていたスポットチェックを終えることとなった。 1-68 2.2 ・ 登録 プロジェクト「Ulsan の HFC 破壊プロジェクト(0003)」についてのクレジット期間 の更新要請に関して、クレジット期間を更新することとなった。プロジェクト参加者 は自主的にモニタリング計画の改定を要請し、方法論 AM0001 の改定版の採択日から それに合わせることとなった。 3.規制 3.1 基準・ツール (a)プロジェクト・プログラム CDM ・ 「プロジェクトおよびプログラム CDM のサンプリング・調査についての基準」が改定 された。 ・ 「プログラム CDM についての追加性の立証、適格性基準の作成および方法論の複数適 用の基準」が採択された。 ・ 「有効化審査・検証基準(VVS)」、「プロジェクト基準(PS)」および「プロジェクト サイクル手続き(PCP) 」が採択された。 ・ PS、VVS および PCP の施行日、移行措置などの実施計画が承認された。移行措置は、 PDD の提出は EB66 後から 2012 年 4 月 30 日まで、登録・発行要請は 2012 年 5 月 1 日から 9 月 30 日までとされた。 (b)大規模プロジェクトの方法論基準 (新規方法論) ・ 方法論パネルに対して、トップダウン方法論「孤立系統における再生可能エネルギー 発電」に関してさらに作業を行うよう要請があった。 ・ 新規提案方法論 NM0355「アジピン酸製造からの N2O 削減」に関して方法論パネルが 作成したノートが検討され、新規アジピン酸製造施設に関する新規提案方法論の検討 を CMP からのガイダンスがあるまで一時停止するという、EB48 報告書パラ 27 の決 定が再確認されるとともに、既存アジピン酸製造施設に関する新規提案方法論の検討 や方法論 AM0021 に関する改定要請も CMP からのガイダンスがあるまで一時停止さ れることとなった。 (承認方法論・ツールの改定) ・ 承認方法論 AM0001「HFC-23 排気の破壊」が改定された。改定は、HFC-23 の発生率 に関して 1%のキャップを導入するとともに、HCFC-22 製造実績の平均を用いてクレ ジット化に適格な HCFC-22 量を決定するものである。 1-69 ・ 承認方法論 AM0031「バス交通プロジェクト」が改定された。改定は、追加性立証の 革新的なアプローチを導入するとともに、クレジット期間を 10 年に限定するものであ る。 ・ 承認方法論ツール「クレジット期間の更新時の当初・現在のベースラインの妥当性お よびベースラインの更新」が改定された。改定は、ベースラインシナリオで投資が行 われない場合に、どのような状況を考慮に入れなければならないかを特定するもので ある。 ・ DOE およびその他のステークホルダーからのレターに対応して、方法論ツール「追加 性の立証・評価」が、「first-of-its-kind プロジェクトの追加性に関するガイドライン」 および「コモンプラクティスに関するガイドライン」を組み込むため改定された。 ・ 方法論パネルが作成した情報ノート「方法論 ACM0013 の問題点の分析に関する報告 書」が検討され、ACM0013「GHG 集約度の低い技術を用いる新規連系化石燃料火力 発電所についての統合ベースライン・モニタリング方法論」を即時に一時停止するこ ととなった。 (ガイドライン) ・ 標準化ベースラインの作業計画が合意され、他の標準設定主体や CDM 理事会のパネ ル・WG、方法論の専門家、実務家、その他のステークホルダーを関わらせることとな った。 ・ 今後の MAP で、CDM プロジェクトが 10 未満の国の DNA への支援についての方法の 検討を認めることが合意された。 ・ 「セクター特有の標準化ベースラインの設定についてのガイドライン」が改定され、 閾値(Xa、Xb、Ya および Yb)が追加された。閾値は、家庭用エネルギー、孤立シス テムにおけるエネルギー生成および農業については 80%、その他のセクターについて は 90%とされた。X は燃料・原材料転換措置、Y はエネルギー効率改善などの技術転 換措置を表し、a は追加性、b はベースラインを表す。当該セクターの Xa・Ya%以上 の産出に用いられる燃料・原材料または技術よりも原単位が低い燃料・原材料または 技術が追加的とみなされ、当該セクターで、排出係数が高く、合計で Xb・Yb%の産出 を生産している燃料または技術のうち原単位が最も低いものがベースラインとなる。 (c)小規模プロジェクトの方法論基準 ・ タイプⅠ方法論をプログラム CDM に適用する場合、代替されたエネルギー発生機器を 廃棄し、かつ、その廃棄は独立にモニタリングされなければならないという要件を除 くこととなった。 1-70 3.2 手続き (a)プロジェクトサイクル ・ 膨大なケース負荷が予想される 2012 年の申請処理を可能にする、プロジェクト申請に ついてのリスクベースアプローチに関して行われている作業の進捗が検討され、(a)速 やかに統計モデリングを完成する作業を進めること、(b)実施前にプロセスの試運転を 行うこととされた。 ・ 「過去の有効化審査、検証または認証報告書における重大な欠陥に対する手続き」案 に関してステークホルダーが提出した意見が検討され、専門家を含めた研究を実施し、 保険の利用可能性をレビューすることとなった。その後、DOE とのラウンドテーブル が行われることとなった。 ・ 登録・発行要請手続きおよびレビュー手続きの実施に関する報告が行われた。 2010 年 12 月と 2011 年 6 月に専門家をボンに集めて行われたプロジェクト評価等に より、2012 年 11 月 15 日現在、待ち時間が 32 日から 13 日に減り、処理待ちケースが 登録は 41、発行は 69 になったとされた。しかし、処理待ち申請数は、2010 年 11 月 から 2011 年 10 月までの期間、登録は 100~211、発行は 65~239 を推移していた。 2010 年 6 月から 2011 年 9 月 30 日までの期間、コンプリートネスチェック(CC)段 階での申請差戻し率は、登録が 8〜18%、発行が 8〜11%で、情報・報告チェック(IRC) 段階での申請差戻し率は、登録が 8〜9%から 23〜30%へ、発行は 9〜11%から 10〜14% へ増加した。IRC 段階での却下理由の構成は、登録は約 50%が追加性、発行は約 40% が較正であった。 レビュー手続きの実施に関しては、登録については 2010 年後半の 31.8%から 2011 年前半の 23.8%へ、発行については 2010 年後半の 16.0%から 2011 年前半の 8.3%へと レビュー率の低下が観察された。 ・ 明確化、逸脱および改定の要請など、方法論の個別ケースの現状がオンラインで公表 されていることが留意された。 (b)方法論 ・ 「追加性自動立証についてのマイクロスケール再生可能エネルギー技術の提出・検討 の手続き」が採択された。 3.3 政策 ・ 最近 UNFCCC CDM ウェブサイトで公表された報告書「CDM の便益 2011」が検討さ れた。この報告書には、CDM に伴う、持続可能な開発の便益、技術移転、投資フロー および緩和費用の分析が含まれている。 ・ CDM プロジェクトの持続可能な発展のコベネフィットおよび悪影響に関するパブリッ クコメントの報告書が検討され、プロジェクトの持続可能な発展への貢献の評価は 1-71 DNA の権限の下にあることが留意された。 ・ 大規模プロジェクトの投資分析や公的部門の投資決定など、追加性の評価に関する政 策的課題が検討され、さらなる検討が EB66 での MAP の検討の際に行われることとな った。 ・ ノート「ベースライン決定についてのガイドラインの作成のための要素」が検討され、 「ベースライン決定についてのガイドライン」案が作成されることとなった。 4.フォーラムおよびその他のステークホルダーとの関係 4.1 指定国家当局(DNA) ・ DNA フォーラムの共同議長との会合がもたれ、共同議長から、標準化ベースラインと プログラム CDM の実施についてキャパシティビルディングの必要性が問題提起され た。 4.2 ・ 登録オブザーバーとの意見交換 オブザーバーから、(a)アノテーションの附属書の公表が遅いためコメントが難しい、 (b)AM0001 の改定に関する法的ノートは公表可能か、(c)廃棄物部門の承認方法論のご み採集者の暮らしに対する影響等が強調された。 1-72 <参考> 表:第 65 回 CDM 理事会参加メンバー 地域区分 アフリカ アジア 東欧 ラテンアメリカ・ カリブ諸国 西欧その他 島嶼国 非附属書Ⅰ国 附属書Ⅰ国 理事 理事代理 Mr. Victor Kabengele Ms. Fatou Gaye コンゴ民主共和国 ガンビア Mr. Shafqat Kakakhel Mr. Hussein Badarin パキスタン ヨルダン Ms. Diana Harutyunyan Ms. Danijela Bozanic アルメニア セルビア Mr. Daniel V. Ortega-Pacheco Mr. Raúl Castañeda エクアドル グアテマラ ●Mr. Martin Hession Mr. Thomas Bernheim イギリス 欧州共同体 Mr. Clifford Mahlung Mr. Asterio Takesy ジャマイカ ミクロネシア Mr. Philip M. Gwage Mr. Paulo Manso ウガンダ コスタリカ ○Mr. Maosheng Duan Ms. June Hughes 中国(段茂盛氏) セントキッツ・ネイビス Mr. Pedro Martins Barata Mr. Lex de Jonge ポルトガル オランダ Mr. Kazunari Kainou Mr. Peer Stiansen 日本(戒能一成氏) ノルウェー 注: ・ ●議長、○副議長。1年ごとに、附属書Ⅰ国・非附属書Ⅰ国からの理事が交替で務める。 ・ 網掛けのメンバーは今次会合は欠席。 ・ 任期は、改選の翌年の最初の CDM 理事会まで。理事は連続最大 2 期まで、理事代理は任期の制限は ない。 ・ 理事メンバーは国連定義の 5 地域から 5 名、附属書Ⅰ国から 2 名、非附属書Ⅰ国から 2 名、島嶼国か ら 1 名の代表として就任。 1-73 第 66 回 CDM 理事会報告 第 66 回 CDM 理事会は、2012 年 2 月 27 日から 3 月 2 日にかけてドイツ・ボン市で開か れた。 第 66 回会合では、標準化ベースラインに関する 3 つの主なガイドラインのうち最後のも のとなる、標準化ベースラインをつくるのに用いられるデータの品質を確保するための品 質管理・保証のガイドラインが承認された。以前の会合で、セクターごとの標準化ベース ラインに関するガイドライン、ホスト国が標準化ベースラインを提案するための手続きが 採択されていた。 また、再生可能エネルギーを用いる農村の電化についての方法論、2 か年事業計画および 2012 年の管理計画(MAP)が承認された。KPNG-AZSA をサスペンドすることが決定さ れた。Duan 氏が 2012 年の議長に選ばれ、Marting Hession 氏が副議長を勤めることとな った。 1.ガバナンスと管理 1.1.メンバーシップ ・ Duan Maosheng 氏と Martin Hession 氏がそれぞれ議長・副議長として選ばれた。 1.2.戦略的計画・方向性 ・ 「2012~2013 年 2 か年事業計画」および「2012 年 MAP(管理計画)」が合意された。 1.3.CDM 理事会と支援組織 ・ Hussein Badarin 氏と Natalie Kushko 氏がそれぞれ認定パネルの議長・副議長として 任命された。 ・ Thomas Bernheim 氏と Hugh Sealy 氏がそれぞれ方法論パネルの議長・副議長として 任命された。Martin Cames 氏と Amjad Abdulla 氏がサポートメンバーとして選ばれ た。 ・ Peer Stiansen 氏と Fatou Gaye 氏がそれぞれ小規模ワーキンググループの議長・副議 長として任命された。 ・ Eduardo Calvo 氏と Diana Harutyunyan 氏が植林・再植林ワーキンググループの議 長・副議長として任命された。 ・ マテリアリティの概念に関する決定の実施のためのステップが合意された。事務局が、 ガイドラインを作成するに際して DOE と情報・意見交換して、概念の共通理解を促進 するためそのガイドラインに含める事例を求めることとなった。 ・ CCS の方法・手続きに関する決定の実施のためのステップが留意された。事務局が、 1-74 CCS の方法論に関するワーキンググループの準備を提案することとなった。 1.4.パネル・ワーキンググループの報告 (方法論パネル) ・ CDM 理事会は方法論パネルに対して、一時停止された方法論 ACM0013 に関する作業 を優先するよう求めた。 (小規模ワーキンググループ) ・ 韓国で実施されるマイクロスケールプロジェクトに追加性を認める特定再生可能技 術・措置を承認する小規模 WG による勧告が CDM 理事会に回付された。CDM 理事会 の決定はホームページで利用可能になる予定である。 2.決定 2.1.認定 ・ DOE KPMG-AZSA の認定・指定を一時停止することが勧告された。KPMG-AZSA か らは、取下げ文書が提出された。 2.2.プログラム CDM ・ PoA「Fuel Efficient Stoves in Zambia」(5033)が登録できないとされた。 3.規制 3.1.基準・ツール (a)プロジェクトとプログラム CDM ・ サンプルサイズおよび信頼性計算に焦点を当てたベストプラクティス事例案に関する 一般意見公募が開始されることとなった。 (b)大規模方法論 (新規方法論・ツール) ・ AM0101「高速旅客鉄道システム」、AM0103「孤立系統における再生可能エネルギー 発電」など、3 つの新規方法論が承認された。 ・ 方法論ツール案「化石燃料使用に伴う上流リーケージ排出」が方法論パネルによって 作成され、一般意見公募が開始されることとなった。 (承認方法論・ツールの改定) 1-75 ・ (i)PoA 適用に適格でない方法論、(ii)追加的要件なしで PoA 適用に適格な方法論、 (iii)PoA 適用に追加的要件が必要な方法論に関して、方法論パネルが勧告を行うことと なった。 ・ 方法論パネルが、硝酸製造からの N2O の削減についての承認方法論 AM0028 および AM0034 の評価を行うこととなった。 (ガイドライン) ・ 標準化ベースラインの設定に用いられるデータの品質保証・管理のガイドラインが承 認された。 (c)小規模方法論 (新規方法論) ・ AMS-I.L.「再生可能エネルギーを用いる農村の電化」、AMS-II.O.「省エネ家電の普及」、 AMS-III.AW.「系統延伸による農村の電化」など 4 つの新規小規模方法論および 2 つ のトップダウン方法論が承認された。 ・ 方法論案 AMS-III.AZ.「業務用建築物における省エネ・エネルギー供給」の一般意見公 募が開始されることとなった。 (承認方法論の改定) ・ 方法論 AMS-II.C.「特定技術についての需要側省エネ活動」の改定案に関する一般意見 公募が開始されることとなった。 (ガイドライン) ・ 「特別低開発地帯」の定義に関する一般意見公募が開始されることとなった。 3.2.政策 ・ プロジェクト申請に対するリスクベースアプローチの実施に関する情報が検討された。 ・ CDM プロジェクトが実証プロジェクトかどうか、ODA 資金を受けているかどうかを 評価する方法に関する分析が留意された。 ・ DOE・AE の能力要件に関する政策議論を次回会合でもつこととなった。 1-76 <参考> 表:第 66 回 CDM 理事会参加メンバー 地域区分 アフリカ アジア 東欧 ラテンアメリカ・ カリブ諸国 西欧その他 島嶼国 非附属書Ⅰ国 附属書Ⅰ国 理事 理事代理 Mr. Victor Kabengele Ms. Fatou Gaye コンゴ民主共和国 ガンビア Mr. Shafqat Kakakhel Mr. Hussein Badarin パキスタン ヨルダン Ms. Diana Harutyunyan Ms. Natalie Kushko アルメニア ウクライナ Mr. Antonio Huerta-Goldman Mr. Eduardo Calvo メキシコ ペルー ○Mr. Martin Hession Mr. Thomas Bernheim イギリス 欧州共同体 Mr. Hugh Sealy Mr. Amjad Abdulla バルバドス モルディブ Mr. José Miguez (Mr. Paulo Manso) ブラジル (コスタリカ) ●Mr. Maosheng Duan (Ms. June Hughes) 中国(段茂盛氏) (セントキッツ・ネイビス) Mr. Martin Cames Ms. Pauline Kennedy ドイツ オーストラリア Mr. Kazunari Kainou Mr. Peer Stiansen 日本(戒能一成氏) ノルウェー 注: ・ ●議長、○副議長。1年ごとに、附属書Ⅰ国・非附属書Ⅰ国からの理事が交替で務める。 ・ 網掛けのメンバーは今次会合は欠席。 ・ 任期は、改選の翌年の最初の CDM 理事会まで。理事は連続最大 2 期まで、理事代理は任期の制限は ない。 ・ 理事メンバーは国連定義の 5 地域から 5 名、附属書Ⅰ国から 2 名、非附属書Ⅰ国から 2 名、島嶼国か ら 1 名の代表として就任。 1-77 第2章 JI 事業審議に関する調査・分析、課題の抽出、 今後の在り方についての検討 2011 年度の JI 関連の状況分析と JI 監督委員会の検討動向 1.JI 関連の状況分析 ①プロジェクト動向 JI プロジェクトの登録状況については、2012 年 2 月 1 日時点において、トラック 1 で 314 件、トラック 2 で 37 件のプロジェクトが登録済みとなっている。1 また ERU の発行 量は 2011 年以降に大きく増加し、積算で約 1.2 億 t-CO2eq に達している。 2008 年からの積算では 122,010,968 t-CO2eq の ERU が発行されており、このうち約 90% がトラック 1 によるものである。国別の発行数を見ると、ウクライナが約半数を発行して おり、ロシアが 25%、ポーランドが 7%となっている。また、発行済み ERU の種類を見る と、省エネルギー関連が 40.8%と最も多く、産業ガスの削減が 33.3%、メタン排出削減等 が 16.8%、再生可能エネルギーが 5.5%、燃料転換が 3.6%となっている。 Accumulated issuance 140.0 120.0 MERUs 100.0 80.0 Total Track 1 60.0 Track 2 40.0 20.0 図 2-1 1 Jan-12 Oct-11 Jul-11 Apr-11 Jan-11 Oct-10 Jul-10 Apr-10 Jan-10 Oct-09 Jul-09 Apr-09 Jan-09 0.0 ERU 発行数(UNEP RISOE center の JI pipeline より) JI pipeline, UNEP RISOE center 2-1 ドイツ 2.1 Mt-CO2eq フランス 3.6 Mt-CO2eq ニュージーランド 1.9 Mt-CO2eq リトアニア 3.4 Mt-CO2eq ハンガリー 1.3 Mt-CO2eq ポーランド 7.8 Mt-CO2eq (7%) ロシア 29.2 Mt-CO2eq (25%) ルーマニア 2.4 Mt-CO2eq ブルガリア 2.6 Mt-CO2eq ウクライナ 63.5 Mt-CO2eq (53%) 図 2-2 国別の ERU 発行量(UNEP RISOE center の JI pipeline より) Afforestation & Reforestation 0.0% Fuel switch 3.6% HFCs, PFCs & N2O reduction 33.3% Energy efficiency 40.8% CH4 reduction & Cement & Coal mine/bed 16.8% Renewables 5.5% 図 2-3 発行済み ERU の種類(UNEP RISOE center の JI pipeline より) JI の適格性に関連して、2011 年は遵守委員会による排出量報告の規定違反の裁定がルー マニア、ウクライナ、リトアニアの 3 カ国に対して行われた。規定違反の裁定を受けた場 2-2 合、カーボンユニットの取引が禁止される。排出量報告の規定違反については、これまで にギリシャ、クロアチア、ブルガリアに対して裁定が下されており、排出量報告システム の改善により適格性が復帰している。 ・ ルーマニア 2010 年の排出量報告の規定違反により第 14 回遵守委員会(2011 年 8 月) で不遵守の裁定。 ・ ウクライナ 2010 年の排出量報告の規定違反により第 15 回遵守委員会(2011 年 10 月)で不遵守の裁定。2012 年 3 月に適格性が復帰。 ・ リトアニア 第 17 回遵守委員会(2011 年 12 月)で不遵守の裁定。 ②第一約束期間終了後の見通しについて JI は、総排出枠が設定されている附属書 I 国同士の間で、ホスト国の排出量削減分を移 転するスキームであるため、第一約束期間終了後となる 2013 年以降の期間に対する総排出 枠が決定するまでは継続の可否が不透明な状況にある。2011 年の JISC では、京都議定書 の継続が未決定であったことから、2013 年から第二約束期間が開始されない場合も想定し、 JI の今後のあり方について様々な議論が行われた。 2011 年 12 月に開催された第 7 回京都議定書締約国会合(CMP 7)において、2013 年 1 月 1 日から第二約束期間が開始することが採択され、各国の排出目標は CMP 8 で決定され る見通しとなった。この決定により、JI のスキームは 2013 年以降も継続される可能性が高 いが、各国の総排出枠のレベルや第一約束期間における余剰排出枠の繰り越し可能量の設 定内容等によって、JI の適用可能性は影響を受けることになる。第二約束期間における JI の動向に影響する因子として、その他に以下があげられる。 ○ 欧州連合域内排出量取引制度(EU-ETS)における制約 2013 年以降、EU-ETS では後発開発途上国(LDC)をホスト国とするプロジェクト 以外は対象とならないため、JI プロジェクトで発生した ERU は適用されない。(2012 年以前に発行された ERU は持ち越しが可能。但し、2012 年以前のプロジェクトで 2013 年以降に発行される ERU は適用不可の可能性あり) 現在の最大のカーボン市場であ る EU-ETS の適用外となることで、ERU の需要減少および JI プロジェクトの開発量 減少につながる可能性がある。 ○ 第二約束期間への不参加国 第一約束期間の附属書 I 国のうち、日本、ロシア、カナダは第二約束期間に参加しな い方針を表明している。JI ガイドラインでは、総排出枠が設定されていない国は適格性 がないとされている。 ③2011 年度における JISC の活動 2011 年度の JISC の議論については以下の項で詳細を記載するが、主な検討事項を以下 に纏めた。 2-3 ○ 運営の効率化 JI プロジェクト(トラック 2)の有効性決定や検証等の手続きを効率的に行うための 改善点として、2011 年は以下が実施された。 ・ 『独立認定機関(AIEs)の認定に対する移行措置』の採択により、独立認定機関が 2010 年の 3 機関から 11 機関に増加。 ・ 『JISC の検証手続きの下でのレビュー手順』の改定により、電子的な意思決定シス テム導入による効率化を実施。 ・ 『JISC の検証手続きの下での有効性決定評価の手続き』の採択により、プロジェク トの有効性決定および検証手続きを簡略化。 ・ 『JISC による審査機関の認定手順』の改定により、JI 認定の前後に行うウィットネ ス活動を認定後のパフォーマンス審査のみに簡略化。 ・ 『ベースライン設定及びモニタリングの基準に関するガイダンス』の改定により、 認定済みプロジェクトと類似案件の手続きを簡略化。 ○ 対話活動の強化 JI に対する認知度向上、ステークホルダーとの連携強化を図るため、主に以下の取り 組みを推進した。 ・ ラウンドテーブル・コンサルテーションを 2011 年 6 月に開催し、ステークホルダー との公開討議を実施。 ・ テクニカル・ワークショップを 9 月に開催し、ステークホルダーとの公開討議を実施。 ・ 指定フォーカルポイント(DFPs)との対話として、ラウンドテーブル・コンサルテ ーションやテクニカル・ワークショップの他に DFP フォーラムを開催。 ・ DOE/AIE 共同フォーラムのチェアマンを JISC に招待することで対話を推進。 ・ JISC において、オブザーバーとの QA セッションを実施。 ○ 資金の確保 JI の運営資金確保のため、2010 年の CMP-6 においてトラック 1 への課金を決定 した。これによって資金面の状況が改善されている。2012 年~2013 年の期間におい ても運営費は十分確保できる見込みである。 2-4 表 2-1 2011 年 10 月 31 日時点の収支状況2 ○ 運営形態への今後の提案 JI ガイドラインに対するレビューとして、JISC は今後の運営形態についての提案を取り 纏めている。3 その中では JI の運営形態に以下の項目を取り入れる提案が記載されてい る。 ・ 現行の 2 トラック制(トラック1/トラック 2)を統合し、単一の検証プロセスに置 き換える。 ・ JISC に代わる新しい統治組織を設置し、効率的な運営を行う。JI プロジェクトのホ スト国から半数以上の委員を選出し、残りの委員は途上国や産業界等から選出。 ・ 認定手続きを CDM と共通にすることで効率化を図る。 2 第 27 回 JISC 資料 3 Recommendations on options for building on the approach embodied in joint implementation 2-5 2.各 JI 監督委員会での主なポイント <JISC25> ○ 『独立認定機関の認定に対する移行措置』の採択 独立認定機関を早急に増やすための移行措置として、仮認定書を受け取っている独立機 関の有効性決定業務及び検証業務を暫定的に認定することを含む手続きを合意した。 ○ 『JISC の検証手続きの下でのレビュー手順』の改定 有効性決定における電子的な意思決定システムの導入を含む、“JISC の検証手続きの下で のレビュー手順”の改定に合意。 ○ 『JISC の検証手続きの下での有効性決定評価の手続き』を改定 プロジェクトの有効性決定及び検証における JISC 委員/委員代理の評価を省略する改 定を採択した。 ○ 『ベースライン設定及びモニタリングの基準に関するガイダンス』の改定を検討 現行のベースライン設定及びモニタリングの基準に関するガイダンスに対して、類似プ ロジェクトの扱い、排出量規模における閾値、事前評価の導入に関して検討した。 ○ 管理計画と資金 2011 年 3 月 31 日時点では予算に対して収入が不足していたが、トラック 1 への課金が 開始されたことを計画に反映していくよう事務局に要請。 <JISC26> ○ 『JISC による審査機関の認定手順』の改定 JI 認定の前後に行うウィットネス活動を認定後のパフォーマンス審査に置き換える ことによる認定手順の合理化を決定した。 ○ 『ベースラインセッティングおよびモニタリングの基準に関するガイドライン』の改定 対象とする排出源の規模として排出削減量の閾値を設定。また認定済みのプロジェク トと類似とみなされる条件が定義された。 ○ 管理計画と資金 8 月 31 日時点ではプロジェクト収支が黒字となっている。トラックごとの申請の傾 向から今後の財務状況への影響を検討した。 ○ 『JI を具現化する実施形態のオプション提案』に合意 JI ガイドラインの最初のレビューとして第 7 回 CMP に提示するための『JI を具現 化する実施形態のオプション提案』に合意した。トラックの統一、迅速なクレジット発 行、新しい統治組織設立、CDM との認証手続きの統合に言及している。 ○ 年次報告書に合意 第 7 回 CMP に対する年次報告書の内容に合意した。 2-6 <JISC27> ○ 事前評価のガイドライン案を採択せず JI からのインセンティブがプロジェクトの実施に不可欠であることを事前に確認す る手順のガイドライン案を検討。現時点では不採択となった。 ○ トラック変更の影響を留意 PDD の登録後にトラック変更する事例および両方のトラックに登録される事例に対し て、プロジェクト実施者への影響と課題点が整理された。 ○ 外部専門家向けの審査様式が変更 『JISC の検証手続きの下での有効性決定評価の手続き』の改定を受けて、外部専門 家向けの審査様式が改定された。 ○ 管理計画と資金 10 月 31 日時点では黒字となっており、トラック 1 からの収入がトラック 2 の収入を上 回っている。 2-7 付録:2011 年度の JI 監督委員会報告 第 25 回 JI(共同実施)監督委員会 報告 地球環境ユニット 主任研究員 柴田 憲 第 25 回 JI 監督委員会(Joint Implementation Supervisory Committee:JISC)会合 が、ボン(ドイツ)の UN headquarters を会場として 6 月 21 日(火)~22 日(水)に開 催された。日本からは、工藤拓毅・(財)日本エネルギー経済研究所地球環境ユニット総括 が委員代理として出席した。 本会合では独立認定機関の数を増やすために、認定手続きにおける移行措置が採択され た。また有効性決定のレビュー要請評価において電子的な意思決定システムの導入を含む 「JISC の検証手続きの下でのレビュー手順」の改定や、有効性決定評価において JISC メ ンバーによる評価を省略するという「JISC の検証手続きの下での有効性決定評価の手続き」 の改定にも合意した。更に CMP.6 で決定した JI ガイドライン類の第一回レビューの一部 として CMP.7 に提出する「JI を具現化するための勧告の草案」の検討が開始された。 1.アジェンダの採択[アジェンダ 1] JISC は予定されていたアジェンダをそのまま採択した。 2.メンバーシップ[アジェンダ 2] Chowdhury 議長は出席者が規定の定足数4に達していることを確認し、出席している各 委員/委員代理は、今回の議題と利害関係を有さないことを宣誓した。 そして出席している各委員/委員代理は、今回の議題と利害関係を有さないことを宣誓 した。 3.業務実施計画(ワークプラン) [アジェンダ 3] 3(a) 審査機関(Independent Entity)の認定 JI 認定パネル(JI-AP)副議長である Fuller 委員より、5 月 26 日~27 日に開催された JI-AP25 の作業の進捗について説明があった。 <一般ガイダンス> JISC は移行措置に関する提案を含む、JI の認定プロセスに係る文書の改定作業につい て検討した。その移行措置に関する提案とは、出来るだけ早く独立認定機関の数を増やす 4 JI ガイドライン第 14 条 2-8 ために、これまで行っていたウィットネス活動を「焦点を絞った評価」に置き換えるとい うものであり、その評価のスコープとして、 ・ 有効性決定及び検証を行う際の JI 固有の領域 ・ 仮認定書発行前に実施された直近のオンサイト評価以降の変更 を挙げている。 検討の結果、JISC は以下のような移行措置に合意した5。この措置により独立認定機関 の数は現在の 3 つから 13 になると見込まれている。 ・ 6 月 22 日時点で、仮認定書を受け取っているがウィットネス活動を開始していない 独立機関(下記)について、申請している全てのセクトラルスコープの有効性決定 業務及び検証業務を 8 月 1 日付で認定する(有効期間は 5 年間)。そして認定後に、 彼らに対して「焦点を絞った評価」を実施する。 (a) “Japan Quality Assurance Organization(JQA)”, スコープ 1-15 (b) “Deloitte Tohmatsu Evaluation and Certification Organization (Deloitte-TECO)”, スコープ 1-10,12,13,15 (c) “Lloyd’s Register Quality Assurance Ltd(LRQA)”, スコープ 1-13 (d) “JACO COM.,LTD(JACO)”, スコープ 1-14 (e) “Japan Consulting Institute(JCI)”, スコープ 1-5,8-11,13 (f) “Swiss Association for Quality and Management Systems(SQS)”, スコープ 1-15 (g) “KPMG Advisory N. V.(KPMG)”, スコープ 1-4,13 ・ 同じく 6 月 22 日時点で、仮認定書を受け取っており、かつウィットネス活動を開始 している独立機関(下記)は、7 月 22 日までに「このままウィットネス活動を継続 する」あるいは「ウィットネス活動を終了し、上記の移行措置を受ける」のどちら を選ぶかを事務局に通知する。 (a) “TÜV NORD CERT GmbH (TÜV NORD)”, スコープ 1-15 (b) “TÜV Rheinland Japan Ltd (TÜV Rheinland)”, スコープ 1-15 <個別ケース> JISC は JI-AP の勧告について検討し、Spanish Association for Standardisation and Certification がセクトラルスコープ 1-15 の有効性決定業務及び検証業務を行うことを認め た。 なお次回の JI 認定パネル(JI-AP26)は、2011 年 8 月 4 日(木)~5 日(金)に行われ る予定である。 5 http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/025/ Reports/Annex1.pdf 2-9 3(b) 有効性決定及び検証報告書 <個別ケース> 事務局は、Track2 で 251 件のプロジェクト計画書と 1 件のプログラム活動計画書、32 件の有効性決定報告書が UNFCCC サイトに公開され、30 件の有効性決定報告書が承認さ れている(deemed final)と報告した。また現時点で 47 件の検証報告書が公開され、内 41 件(総 ERU 量 880 万トン)が承認済で、残り 6 件がレビュー要請受付中である。なお検証 報告書については、関係締約国、3 名以上の JISC メンバーからレビュー要請が無ければ、 公表後 45 日経過した時点で排出削減量(又は吸収増大量)が確定する。なお附属書Ⅰ国の うち、35 ヶ国が JI に関する窓口機関(designated focal point)の指定を行っており、30 ヶ国が JI に関する国内法制度を整備済である。 <一般ガイダンス> 決定 4/CMP.6 に従い、JISC は“JISC の検証手続きにおける文書の公開手続き”を改定し た6。そのポイントは下記の通りである。ちなみに当初案では 1)の有効性決定は 6 ヶ月以内 とされていたが、委員から期間を短縮すべきとの指摘を受けて 3 ヶ月となった。 1) AIE に対し、30 日間の PDD に関するパブリックコメント受付終了後、3 ヶ月以内 の出来るだけ早い時期に有効性決定を完了することを推奨 2) AIE は、6 ヶ月後、もし有効性決定報告書を提出していないのであれば 6 ヶ月毎に、 PDD に関する有効性決定活動の最新の状況を事務局に提供 そしてこの改定に合わせて、認定独立機関とのオンラインインターフェースを実装する ように事務局に要請した。 また CMP.6 のマンデートに従い、有効性決定における電子的な意思決定システムの導入 を含む、“JISC の検証手続きの下でのレビュー手順”の改定にも合意し7、2011 年 8 月 1 日 付で適用することとした。 ・ レビュー要請(レビュー要請の受付期間は有効性決定の場合 45 日間、検証の場合 15 日間)から 30 日以内に JISC が予定されている場合、レビューの要否はその会合で 検討される。そして JISC は少なくとも会合の 14 日前までにそのことを通知され、 プロジェクト参加者は少なくとも 1 週間前までに JISC にコメントを提出する。 ・ 上記の条件が満たされなかった場合、有効性決定の場合は 3 週間以内、検証の場合 は 2 週間以内に JISC は電子的な意思決定プロセスによる検討を開始する。 6 7 http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/025/ Reports/Annex2.pdf http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/025/ Reports/Annex3.pdf 2-10 図 1 有効性決定におけるレビュー要請の手順 JISC24 での決定に基づき、JISC での検証手続きの下で有効性決定を評価する、もしく はレビューチームに参加する専門家の公募を 4 月 1 日~5 月 15 日まで行った。その結果を 受けて JISC は応募してきた専門家の中から、以下の 14 名を名簿に登録することで合意し た。 (a) Mihai Brasoveanu (b) Vinay Deodhar (c) Narayan Dhital (d) Sanjay Mande (e) Viktor Mikov (f) Abderrahmane Naas (g) Stratsimir Nedyalkov (h) Dimitar Nikov (i) Anastasia Northland (j) Dmytro Paderno (k) Shyam Paudel (l) Denis Prusakov (m) Reka Soos (n) Morten Sorensen 2-11 また JISC は、”JISC の検証手続きの下での有効性決定評価の手続き”を改定した8。この 改定は、AIE によるプロジェクトの有効性決定及び検証について、まずは 2 名の専門家が、 その後に 2 名の JISC 委員/委員代理が評価を行っていたのを、JISC 委員/委員代理の評 価を省くというものである。なお専門家の評価後、事務局が評価の概要を作成し、有効性 決定公表後 45 日以内に 3 名以上の関係締約国及び JISC メンバーからレビュー要請がなけ れば確定する(deemed final)点は今と変更は無い。ちなみに JISC25 の前日に行われた利 害関係者とのラウンドテーブルコンサルテーションでの指摘を受けて、事務局が作成する 評価の概要は、有効性決定公表後 45 日経過した段階で、関係者(AIE、プロジェクト参加 者、DFP)に通知されることになった。 図 2 有効性決定の評価の手順 更に JISC は、”ベースライン設定及びモニタリングの基準に関するガイダンス”の改定に ついても検討した。そして改定の草案9の特に以下の点において、6 月 27 日~7 月 22 日ま で意見公募を行うように事務局に要請した。 (a) JI 固有のアプローチにおいて、比較可能なケースというものを定義するか否か、ま た定義する場合どのように定義するか。 (b) プロジェクトバウンダリとリーケージの評価を決める上で minims rule(一定規模以 下の排出源を無視する)を用いるか否か、またこれらのルールと JI のコンセプトを どのように関連付けるか。 (c) トラック 2 において、事前検討の概念を適用するか否か。 8 9 http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/025/ Reports/Annex4.pdf http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/025/Annex4.pdf 2-12 そして JISC は JISC26 での検討のために、このパブリックインプットを考慮した上で、 5 名の委員/委員代理(Björk 委員代理、Dimitrova 委員代理、Galan 委員、Seidel 委員、 Sokolov 委員)の支援を受けて、新しい草案を作成するように事務局に要請した。 3(c) JI の作業のための管理計画と資源 JISC は資源と寄付の状況について留意した。これによると 2011 年 3 月 31 日時点の収 入(寄付を含む)は 1,546,647USD であり、予算に対して 648,023USD の不足となってい る。なお 2011 年 3 月 1 日から新たに課金されたトラック 1 プロセスからの収入は 83,817USD、一方でトラック 2 プロセスからは 640,671USD であった。この説明を受けて、 JISC は、特にトラック 1 プロジェクトの傾向を精査して、2011-2012 年の計画に反映する ように事務局に対して要請した。 表 1 資源と寄付の状況 4.他の事項[アジェンダ 4] 4(a) CMP によるガイダンスについて JISC は、決定 4/CMP.6 にある JI ガイドライン類の第一回レビューの一部として CMP.7 に提出する「JI を具現化するための勧告の草案」10について検討し、概ね支持した。 ここでは 2013 年以降のトラック 2 プロセスにおいて、以下を勧告するとなっている。 これは CMP.6 への年次報告書とほぼ同様の内容である。 (a) 10 プロジェクト登録及び排出削減量・吸収増大量の検証を含む、本活動が継続する http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/025/Annex6.pdf 2-13 ことの明確化 (b) 2013 年 1 月から、調整期間(true-up period)の終了時点あるいはホスト国の京 都議定書第二約束期間の割り当て11がなされた時点のいずれか早い時点の間、第 一約束期間の AAUs あるいは RMUs を転換して ERUs を発行することを許可 この勧告の草案については、6 月 27 日~7 月 22 日までパブリックインプットが行われ る。更に JISC は、パブリックインプットを考慮し、Beck 委員代理、Björk 委員代理、Borja 委員代理、Galan 委員、Leguet 委員、Njewa 委員代理、Seidel 委員、Sokolov 委員、 Voitekhovitch 委員と相談の上、勧告の草案を改定するように事務局に要請した。 4(b) 他の組織との協働について JISC は DFP フォーラムの運営規約(terms of reference)に合意した12。 4(c) 利害関係者、政府間及び非政府組織との関係について JISC はコミュニケーション及びアウトリーチ戦略について合意し、2011 年の残りの期 間における作業計画13を採択した。 <オブザーバーとの質疑応答>(Q:質問、A:回答、C:コメント) C. (Ukraine DFP)DFP フォーラムに資金的な問題があるとの意見があったが、フォ ーラムを開催したいと言っている国はある。フォーラムでは、トラックの一本化な どについて有意義な意見交換が出来ると期待している。 C. (世界銀行)最大の課題である次期約束期間あるいは新しい枠組みにおける JI につい て、パブリックインプットなどで貢献したい。 Q. (OECC)会合の中で、Leguet 委員が「2 つのレベルの一トラック」と言っていたが、 具体的にはどのようなものか? A. (Leguet 委員)CMP.7 へのインプットとして、JISC の中で具体的な案を考えたい。 C. (IEEJ)「2013 年以降の JI の扱い」が最大の課題となっているが、良いアイデアが 見つからない。 4(d) その他 2011 年の会合予定について JISC は 2011 年の JISC 及び JI-AP の暫定スケジュールを改定した14。 11 12 13 14 暫定議題について CMP.6 への年次報告書では new commitment http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/025/ Reports/Annex6.pdf http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/025/ Reports/Annex7.pdf http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/025/ Reports/Annex8.pdf 2-14 JISC は、次回 JISC26 の暫定議題に合意した15。 5.閉会[アジェンダ 5] 議長が本会合の主な結論を要約して閉会した。 なお次回第 26 回会合(JISC26)は、前日のテクニカルワークショップに続き、2011 年 9 月 13 日(火)~14 日(水)にドイツ・ボンにて開催される予定である。 以上 15 http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/025/ Reports/Annex9.pdf 2-15 表2 第 25 回 JI 監督委員会出席者(委員アルファベット順:20 名中 15 名出席) 委 員 委員代理 Mr. Muhammed Quamrul Mr.Momin Agha Chowdhury 非附属書Ⅰ国 パキスタン(欠席) バングラデシュ【議長】 市場経済へ移行 Mr. Mykhailo Chyzhenko Ms. Milya Dimitrova ウクライナ ブルガリア 中の附属書Ⅰ国 Mr. Carlos Fuller Ms.Carola Borja 非附属書Ⅰ国 ベリーズ エクアドル(欠席) 市場経済へ移行 Ms. Agnieszka Galan Mr. Oleg Pluzhnikov ポーランド ロシア(欠席) 中の附属書Ⅰ国 Mr.Evans Njewa Mr.Denis Lansana 非附属書Ⅰ国 シエラレオネ(欠席) マラウイ Mr. Benoît Leguet Mr. Anton Beck 附属書Ⅰ国 フランス デンマーク Mr. Wolfgang Seidel Mr. Olle Björk 附属書Ⅰ国 ドイツ【副議長】 スウェーデン Mr. Evgeny Sokolov Mr. Hiroki Kudo 附属書Ⅰ国 ロシア 日本 市場経済へ移行 Ms. Irina Voitekhovitch Ms.Miriana Roman ベラルーシ ルーマニア 中の附属書Ⅰ国 Mr. Andrew Yatilman Mr. Derrick Oderson 小島開発途上国 ミクロネシア(欠席) バルバドス 2-16 テクニカルワークショップの概要 2011 年 9 月 12 日(月)にボンの President Hotel において JI テクニカルワークショッ プが行われ、JISC メンバー、指定認証機関(DFP)、独立機関(IE)、民間セクターなどの 利害関係者が参加した。今回のテクニカルワークショップでは、「特にロシアやウクライナ における JI の見通しや実施上の障害」、 「2012 年以降の JI プロジェクト」、 「2013 年以降の JI の法的側面」等について幅広く意見交換が行われた。 Session1、Session2: Review of the JI guidelines (1) Draft recommendations on options for building on the approach embodied in JI UNFCCC 事務局から、第 7 回 CMP に向けた JI ガイドラインのレビュー案についてのプ レゼンテーションが行われた。 ・ 単一で最適化された検証プロセスの確立 ・ 各国の政策と連携 ・ 継続的に JI を維持するための資金モデル ・ CMP 7 および CMP 8 で段階的に改定 ・ 新しい統治組織による管理 ・ 専門家委員会による技術審査 ・ CDM との認定の共通化 ・ 新しい統治組織の委員は JI に携わる国から大部分を選出 ・ 産業界や環境団体からの委員選出 (2) JI Guidelines Revision Feedback ウクライナの DFP から JI ガイドラインのレビュー案に対するコメントが報告された。 ・ CMP 7 と CMP 8 で段階的に改定するという案に対して、それぞれ何を改定していくか 明確化すべき。CMP 7 は JI の運営モデル、CMP 8 では JI ガイドラインと改定する分 野を分ける。 ・ JISC および COP は EU ETS 他の取引市場に対する権限がないため、レビュー案の文 書中で取引市場について言及すべきではない。 ・ クレジットの価格についても無関係な事項である。 ・ AAU が 2013 年以降存在するか不透明であるのに AAU の移転、保留等が記載されてい る。 ・ 一部の産業界や環境団体は何もコミットメントしておらず、各国と同等に委員になる資 格があるかは疑問。 ・ 新しい統治組織の設置に当っては、どの組織が何の決定に対して責任を持つのか明確に すべき。 ・ 現行のガイドラインのもとでは、トラック変更の手順策定が議題に挙がってから 6 ヶ月 2-17 以上経過しているが進展していない。同様に考えると、新しいメカニズムや統治組織の 設置には最低でも 2~3 年を要すると思われる。タイムフレームを見直すべきである。 (3) JIAG’s view on JI in a new agreement JIAG 議長から、JI の改良についてコメントが報告された。 ・ 当初はトラック 1 のみであったが、ホスト国の適格性を持たない国が出ることから、ト ラック 2 が設立された。しかしトラック 2 に関して規約等が策定され、現在ではトラッ ク 1 とトラック 2 の間には本質的に大きな相違はない。 ・ トラック 2 はトラック 1 よりも手順が規定されている反面、最終決定に時間とコストを 要する。トラック 1 はより低コストでフレキシブルだが、国によっては独自の基準を作 成する知見がない等の課題あり。 ・ これまでの経験を元にトラックを統一すべき。 ・ 新しい統治組織によりベースラインの標準化および認定の管理、アピールプロセスの設 置等を実施。 ・ ホスト国がプロジェクトの認可は継続して実施すべき。この点に関して、ホスト国は、 JI をホスト国の削減に向けた政策手段として活用できるように追加性の考え方を見直 すべきである。京都議定書の第二約束期間においてより厳しいキャップを設定すること が、より削減に資するプロジェクトの選別を可能にする。 (4) Measures for addressing a possible gap period UNFCCC の事務局が、第 1 約束期間以降に生じる可能性のある空白期間に関する見解を報 告した。 ・ 2013 年以前の削減に対する発行は 2012 年以降も継続可能。 ・ 京都議定書では第一約束期間の ERU は 2015 年の中旬までの空白期間でも使用可能と されているが、取引市場における放棄義務が早期の発行を促すと思われる。 ・ ERU の貯蓄分は各国の AAU の 2.5%が上限と定められており、RMU から変換した ERU は貯蓄できない。 ・ どの ERU を貯蓄可能とするかは各国政府の裁量に任されている。 ・ 削減目標が設定されない場合でも、JI プロジェクトの決定と削減量の検証を継続するこ とには支障はない。 ・ 第二約束期間における ERU を発行するためには、第二約束期間に対する AAU と RMU の設定が必要となる。 ・ CMP 7 では JI の活動が第一約束期間終了後も継続されることを再確認すべき。また 2013 年以降の各国の削減目標に沿ったクレジット発行の規約等を CMP 8 で採択するこ とを CMP 7 で決定しておくべきである。 (5) Mercuria 社からの報告 排出権取引を行っている Mercuria 社が、JI ガイドラインのレビュー案に対して、2013 年 以降に京都議定書が継続する場合としない場合の記述についてコメントを述べている。 2-18 Session3: Proposals on amendments of the fee structure to cover the administrative costs related to the JISC and its support structures (1) Recommendations on Amendments to the Fee Structure for JI Activities UNFCCC の事務局から、JI の資金構造についての報告があった。 ・ 独立組織の認定に対する手数料のほか、トラック 2 は排出規模に応じて可変の手数料で あり、トラック 1 は ITL による登録に対する固定の手数料となっている。 ・ オプション 1(現行からの変更なし) 、オプション 2(トラック 2 の費用増加)、オプショ ン 3(両トラックへの費用追加)、オプション 4(各国からの年間費用徴収)、オプション 5(幾 つかのオプション組み合わせ)を案として提示。 ・ JISC で議論して CMP 7 に提案し、CMP で検討される予定。 (2)Global Carbon 社からの報告 JI プロジェクトの開発を行っている Global Carbon 社から、現行の手数料構造を支持する 旨の報告がなされた。 Session4: Baseline setting and monitoring guidance (1)Revision to the “Guidance on Criteria for Baseline Setting and Monitoring” UNFCCC 事務局より、ベースラインセッティングおよびモニタリングの基準に関するガイ ドライン(Guidance on criteria for baseline setting and monitoring)の修正に関して報 告した。今後 JISC で議論される。 ・ 比較可能なケースの適用条件、また閾値としてベースラインに対する排出削減量の 1% 以上または CO2 換算 2000t 以上の排出源のみ対象とすることなどを提示。 ・ 事前検討(prior consideration)の導入に関するオプションを提示。 (2)Core Carbon グループからの報告 JI プロジェクトの開発を行っている Core Carbon Group から、ベースラインセッティング およびモニタリングの基準の修正案に対する変更すべき点と、もし事前検討を導入する場 合は猶予期間が必要であることなどが報告された。 2-19 第 26 回 JI(共同実施)監督委員会 報告 地球環境ユニット 主任研究員 田中 琢実 第 26 回 JI 監督委員会(Joint Implementation Supervisory Committee:JISC)会合 が、ボン(ドイツ)の UN Office を会場として 9 月 13 日(水)~14 日(木)に開催され た。日本からは、工藤拓毅・(財)日本エネルギー経済研究所地球環境ユニット総括が委員 代理として出席した。 本会合では、独立認定機関の数を増やすために、認定手順をより簡便とする修正案が採 択された。「ベースラインセッティングおよびモニタリングの基準に関するガイドライン」 については、類似のプロジェクト承認をスムーズにできるよう変更することで合意した。 また、第 7 回 CMP への JI ガイドラインの最初のレビューの一部として、『JI を具現化す る実施形態のオプション提案』に合意した。ここには、トラックの統一や新しい統治組織 の設置など、JI の課題点を解消するための提案を含んでいる。 1.アジェンダの採択[アジェンダ 1] JISC は予定されていたアジェンダをそのまま採択した。 2.メンバーシップ[アジェンダ 2] Chowdhury 議長は出席者が規定の定足数16に達していることを確認し、出席している各 委員/委員代理は、今回の議題と利害関係を有さないことを宣誓した。 3.業務実施計画(ワークプラン) [アジェンダ 3] 3(a) 審査機関(Independent Entity)の認定 JI 認定パネル(JI-AP)の議長である Leguet 委員より、8 月 4 日~5 日に開催された第 26 回 JI 認定パネルにおける作業の進捗報告について説明があった。報告内容は、審査機関 の認定状況、JI 審査チーム(JI-ATs)の専門家ロスターの状況、認定手順の合理化検討な どである。 <個別ケース> JISC は、審査機関の認定に関する JI 認定パネルの提案を検討し、1 件の認定について了 承した。 ・ JI-E-0012 TUV Rheinland Japan(セクトラルスコープ 1-15) また、以下の審査機関による認定辞退の通知書を確認した。 ・ JI-E-0003 Deloitte Tohmatsu Evaluation and Certification Organization 16 JI ガイドライン第 14 条 2-20 ・ JI-E-0006 Japan Consulting Institute(JCI) 表 1 IE 認定状況 <一般ガイダンス> JISC は、 『JISC による審査機関の認定手順』の修正版17を採択した。修正版では JI 認定 手順が合理化され、CDM 認定手順と同様に、認定の前後に行っているウィットネス活動を 認定後のパフォーマンス審査に置き換えている。また、ステークホルダーおよび審査機関 からの意義申し立ての手続きも導入している。 図 1 JI 認定手順の改正(左:従来手順、右:修正後) 17 http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/026/Reports/Annex1.pdf 2-21 JISC は、2011 年 8 月 1 日付けで認定された審査機関の認定に対しては、従来の JI 認定 手順(Version 6)を継続して使用することに合意した。第 25 回 JISC における合意の上で、 書類審査および事務所訪問審査が成功裏に完了したことを示す指示書間が既に発行されて いたためである。 JISC は、JI 認定パネルに対し、DOE/AIE 調整フォーラムの指摘を考慮し、今後の JI プロジェクトの審査コストについて検討するよう要望した。 <今後のスケジュール> 第 27 回の JI 認定パネルは、2011 年 10 月 18-19 日にドイツのボンで開催される。 3(b) 有効性決定および検証報告書 <個別ケース> JI トラック 2 は、開始以来 259 件の PDD(プロジェクト設計書)と 1 件の PoA-DD(プ ログラム活動による CDM の設計書)が提出され、UNFCCC の JI ウェブサイトで公開さ れている。全部で 34 件が承認され、同じく UNFCCC のウェブサイトで公開されている。 (a) 32 件が完了 (b) 1 件はレビュー要請中 (c) 1 件は拒絶 また、JI ガイドラインに沿って検証が完了した 51 件について、検証結果が UNFCCC の JI ウェブサイトに掲載された。 指定フォーカルポイント(DFPs)および各国の JI プロジェクトの認可に対するガイド ラインと手順書の状況を確認した。35 の附属書 I 国18がそれぞれの指定フォーカルポイン トを申告し、このうち 30 カ国19は、JI プロジェクトの認可のためのガイドラインと手順書 を提出済である。 18 オーストラリア、オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、カナダ、クロアチア、チェコ、 デンマーク、エストニア、EC、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、 日本、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノ ルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイ ス、ウクライナ、イギリス 19 オーストラリア、オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、エストニ ア、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、ラトビア、リヒテ ンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、ポルトガル、 ルーマニア、ロシア、スペイン、スウェーデン、スイス、ウクライナ、イギリス 2-22 JI トラック1については、284 件のプロジェクトが UNFCCC のウェブサイトに掲載さ れ、そのうち 280 件はプロジェクト認定書を受領し、国際取引ログに提出されている。 <一般ガイダンス> 『検証手順におけるプロジェクト決定の評価やレビューへの参加を行う専門家に対する 考慮事項(Terms of reference for experts appraising determinations or participating in review teams under the verification procedure under the JISC)』の修正の必要性につい て検討し、今のところは修正しないことで合意した。 また、『 ベースラインセッティングおよびモニタリングの基準に関するガイドライン (Guidance on criteria for baseline setting and monitoring)』 の修正版20を合意した。こ こでは、主に以下 2 点の変更が行われている。 ・ ベースラインに対する排出削減量の 1%以上または CO2 換算 2000t 以上の排出源のみ 対象とすること。 ・ 認定済みのプロジェクトと類似のプロジェクトとしてみなすことができる条件の定義 が追加された。(同種の排出源、同等の方法、同じホスト国、開始日の違いが 5 年以内 であること、規模の相違が 50%以内であること) JISC は、事務局に対して、ガイドライン案を作成するように要望した。 3(c) JI の作業のための管理計画と資金 <個別ケース> 2011 年 1 月 1 日から 8 月 31 日までの資金と寄付の状況について留意した。2011 年 8 月 31 日時点の収入が 1,015,188 USD であり、プロジェクト収支は 515,000 USD の黒字とな っている。トラック 1 からの収入が 453,841 USD、トラック 2 からの収入が 824,438 USD となっている。 JISC は、トラック 1 とトラック 2 のプロジェクト申請の傾向、2011-2012 年の予測、2013 年への影響、そしてプロジェクト申請の傾向による財務への影響を留意した。 4.その他の事項[アジェンダ 4] 4(a) CMP によるガイダンス JISC は、第 7 回 CMP への JI ガイドラインの最初のレビューの一部として、 『JI を具現 化する実施形態のオプション提案』21に合意した。 ここでは、トラック 1 における各国でシステムが異なるためにコスト等を要すること、 トラック 2 で課される費用を削減するためにトラック変更すること等、これまでの JI 運営 20 21 http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/026/Reports/Annex2.pdf http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/026/Reports/Annex4.pdf 2-23 で出てきた課題点を指摘し、以下に示すような改善案を提案している。 ・ 現状のトラック1とトラック 2 を廃止し、統一したプロジェクトサイクルを構築する。 ・ 認定機関による検証報告の提出後、すぐにホスト国による登録とクレジット発行が行わ れること。 ・ プロジェクトの追加性の検証は、ホスト国による登録手順の一環として実施すること。 ・ 新しい統治組織を設立し、CMP の元でホスト国との調整、クレジット発行、審査機関 の認定等を行う。メンバーは JI の当事国から選出する。 ・ CDM と JI の統合的な認証手続きを開発する。 前回会議での要望を考慮し、JISC はトラック 1 とトラック 2 の認証手順に関する比較分 析について検討し、CMP への年次報告書に記載することを決定した。 JISC は、CMP への年次報告書の内容を合意した。本報告書は 2010 年 10 月 24 日から 2011 年 9 月 14 日の期間に対するものであり、事務局に対して JISC の議長と相談の上で完 成するよう要望した。この年次報告書は国連の編集者を通じて UNFCCC のウェブサイトに 掲載される。 第 6 回 CMP からの要望に基づき、JISC は費用の種類と金額について検討し、変更しな いことで合意した。但し、将来的には費用の種類と金額の変更を提案する可能性がある。 4(b) 利害関係者、政府間および非政府組織との関係 JISC は、9 月 12 日に開催された JI テクニカルワークショップの結果を留意した。JISC ではステークホルダーからの有用な意見を受け入れているが、今回の会議では DFP がほと んど参加していなかったため、今後は参加を促したい。 JISC は、DOE/AIE フォーラムから以下の点について説明を受けた。 ・ JI の優先事項とビューロベリタスへの説明要求 ・ ベースラインセッティングおよびモニタリングの基準ガイダンス ・ JI を具現化する実施形態のオプション提案 ・ CMP への JI 年次報告書 ・ JISC の運営費を確保するための運営形態の修正提案 ・ JI 認定パネル報告書 DOE/AIE 調整フォーラムの議長は上記を説明した上で、認定審査機関(AIEs)の費用負 担が小さくなるような認定手続きにすべきとの提案を行った。 2-24 また、JI 活動グループ(JIAG)からは、最近の JI 市場の開発動向として、ルーマニアの京 都メカニズムの参加資格の差し止め、ウクライナの同等処分の可能性、ロシアによる新規 開発について説明を受けた。JIAG は、JI 認定手順の合理化による認定審査機関の増加に期 待している。 5.その他[アジェンダ 5] 説明の要求 JISC はビューロベリタスから提出された説明要求について検討し、 『JISC の検証手続き における説明要求に対する手順書』に基づいて回答した。回答は UNFCCC のウェブサイト に公開される。 JISC は、トラック 1 からトラック 2 への変更について次回の JISC で報告を行うよう事 務局に要望した。トラック変更で利益を受けるステークホルダーに対して、より明確な定 義を与えるため。 暫定議題 JISC は、第 27 回の会議を 11 月 24-25 日にダーバンで開催することおよび暫定課題22に ついて合意した。 6.閉会[アジェンダ 6] 議長が本会合の主な結論を要約して閉会した。 以上 22 http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/026/Reports/Annex5.pdf 2-25 表 2:第 26 回 JI 監督委員会出席者(委員アルファベット順:20 名中 15 名出席) 委 員 委員代理 Mr. Muhammed Quamrul Mr.Momin Agha Chowdhury 非附属書Ⅰ国 パキスタン(欠席) バングラデシュ【議長】 市場経済へ移行 Mr. Mykhailo Chyzhenko Ms. Milya Dimitrova ウクライナ ブルガリア 中の附属書Ⅰ国 Mr. Carlos Fuller Ms.Carola Borja 非附属書Ⅰ国 ベリーズ エクアドル 市場経済へ移行 Ms. Agnieszka Galan Mr. Oleg Pluzhnikov ポーランド ロシア(欠席) 中の附属書Ⅰ国 Mr.Evans Njewa Mr.Denis Lansana 非附属書Ⅰ国 シエラレオネ(欠席) マラウイ Mr. Benoît Leguet Mr. Anton Beck 附属書Ⅰ国 フランス デンマーク(欠席) Mr. Wolfgang Seidel Mr. Olle Björk 附属書Ⅰ国 ドイツ【副議長】 スウェーデン Mr. Evgeny Sokolov Mr. Hiroki Kudo 附属書Ⅰ国 ロシア 日本 市場経済へ移行 Ms. Irina Voitekhovitch Ms.Miriana Roman ベラルーシ ルーマニア 中の附属書Ⅰ国 Mr. Andrew Yatilman Mr. Derrick Oderson 小島開発途上国 ミクロネシア(欠席) バルバドス 2-26 第 27 回 JI(共同実施)監督委員会 報告 地球環境ユニット 主任研究員 田中 琢実 第 27 回 JI 監督委員会(Joint Implementation Supervisory Committee:JISC)会合 が、ダーバン(南アフリカ)のモーゼス・マヒダ・スタジアムを会場として 11 月 24 日(木) ~25 日(金)に開催された。日本からは、工藤拓毅・ (財)日本エネルギー経済研究所地球 環境ユニット総括が委員代理として出席した。 本会合では、JI からのインセンティブがプロジェクトの実施に不可欠であることを事前 に確認する手順のガイドライン案が事務局から提示されたが、現時点では採択しない結論 に至った。また、『JISC の検証手続きの下での有効性決定評価の手続き』の修正に伴う様 式の変更が採択された他、トラック変更によってプロジェクト実施者が受ける影響が整理 され、現状の課題点が議論されている。 1.アジェンダの採択[アジェンダ 1] JISC は予定されていたアジェンダをそのまま採択した。 2.メンバーシップ[アジェンダ 2] Chowdhury 議長は出席者が規定の定足数23に達していることを確認し、出席している各 委員/委員代理は、今回の議題と利害関係を有さないことを宣誓した。 3.業務実施計画(ワークプラン) [アジェンダ 3] 3(a) 審査機関(Independent Entity)の認定 10 月中旬に開催が予定されていた第 27 回 JI 認定パネルは、認定評価活動が完了していな いため、費用対効果を考慮して延期された。2012 年の第 1 回 JI 認定パネルは CDM 認定パ ネルと共同で開催される。 3(b) 有効性決定および検証報告書 JIの『 ベースラインセッティングおよびモニタリングの基準に関するガイドライン』の 修正版24の検討の中で生じた要望に対応して、JIからのインセンティブがプロジェクトの実 施に不可欠であることを事前に確認する手順のガイドライン案(Draft Guidelines on the Demonstration and Assessment of Prior Consideration of the JI)が事務局より提示され た。ここではプロジェクトの開始日が2012年1月1日以前であってPDDが未公開の場合、JI 23 24 JI ガイドライン第 14 条 http://ji.unfccc.int/Ref/Documents/Appraisal_procedures.pdf 2-27 としての利益がプロジェクト実施に不可欠であることの証明書類等の提出をプロジェクト 実施者に要求する事項を含むものである。現時点ではprior considerationに対して特定のガ イドラインは採択しないこととなったが、登録申請中のプロジェクトに対してもこのprior considerationの証明は重要であり、JIガイドラインのレビューの記載事項として留意する ことに合意した。 図1 prior considerationの審査手順案(不採択) JISC は、トラック 2 で PDD を登録した後でトラック 1 に変更する(またはその逆)と いったトラック変更の可能性および両方のトラックに登録される可能性について留意した。 トラック変更した場合および両方のトラックに登録する場合のプロジェクトサイクル、提 出書類、費用等について事務局が報告した。 第25回JISCにおいて、”JISCの検証手続きの下での有効性決定評価の手続き” (Procedures for appraisals of determinations under the verification procedure under the JI)の 修正案が採択され、外部専門家2名による審査後のJISC委員/委員代理2名による審査が省 略されることとなった。この変更を受けて、有効性決定および検証における手順の変更点 と実施状況について事務局が報告した。また外部専門家向けの審査様式が事務局から提示 され承認された。25 全ての様式には新しいUNFCCCのロゴが添付されている。 JI トラック 2 のプロジェクト申請と指定フォーカルポイント(DFPs)の状況について 確認した。JI のトラック 2 は、開始以来 282 件の PDD(プロジェクト設計書)と 1 件の 25 http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/027/Reports/Annex1.pdf 2-28 PoA-DD(プログラム活動による CDM の設計書)が提出され、UNFCCC の JI ウェブサイ トで公開されている。全部で 39 件が承認され、同じく UNFCCC のウェブサイトで公開さ れている。 (a)35 件が完了 (b)3 件はレビュー要請中 (c)1 件は拒絶 また JI ガイドラインに沿って、56 件の検証報告書が UNFCCC の JI ウェブサイトに掲 載され、そのうち 55 件が承認済みであることを確認した。 指定フォーカルポイント(DFPs)および各国の JI プロジェクトの認可に対するガイド ラインと手順書の状況を確認した。35 の附属書 I 国26がそれぞれの指定フォーカルポイン トを申告し、このうち 30 カ国27は、JI プロジェクトの認可のためのガイドラインと手順書 を提出済である。 JI トラック1については、307 件のプロジェクトが UNFCCC のウェブサイトに掲載さ れ、そのうち 300 件はプロジェクト認定書を受領し、国際取引ログに提出されている。 3(c) JI の作業のための管理計画と資金 2011 年~2013 年の作業計画に対する進捗状況を確認し、第 28 回 JISC において 2012 年~2013 年の作業計画案を提示するよう事務局に要望した。 2011 年 10 月 31 日時点までの全体の収入が USD からのキャリーオーバー分が USD 2,396,620 であり、そのうち 2010 年 1,440,270 となっている。2011 年 1 月 1 日から 10 月 31 日までの期間におけるプロジェクト収入は、トラック 1 からの収入が USD 933,790 、 トラック 2 からの収入が USD 895,873 であった。また支出は USD 1,057,500 であり、こ のうち USD 624,167 がスタッフの費用であった。 26 オーストラリア、オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、カナダ、クロアチア、チェコ、 デンマーク、エストニア、EC、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、 日本、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノ ルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイ ス、ウクライナ、イギリス 27 オーストラリア、オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、エストニ ア、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、ラトビア、リヒテ ンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、ポルトガル、 ルーマニア、ロシア、スペイン、スウェーデン、スイス、ウクライナ、イギリス 2-29 JISC は、2008 年から 2012 年までの既存のプロジェクトによって得られるトラック 1 と トラック 2 の手数料収入をもとに、2012 年~2015 年の期間に対して得られる資金と JISC の作業への影響を提示するよう事務局に要望した。 4.その他の事項[アジェンダ 4] 4(a)利害関係者、政府間および非政府組織との関係 JISC は、非公式会合である指定フォーカルポイントフォーラム(DFP Forum)が 11 月 28 日からダーバンで開催予定であることを留意した。2012 年の作業計画とその中の重点領 域が議論される予定。 JISC は、DOE/AIE フォーラムから以下の点について説明を受けた。 ・ トラック変更の手順 ・ “Prior consideration”の評価ガイドライン案 ・ 審査手順におけるフォーム改定 DOE/AIE 調整フォーラムの議長は“prior consideration”の評価ガイドライン案が明瞭且 つ柔軟なものであることを評価した上で、過去に溯って適用されることは避けるべきであ り、新規プロジェクトに対してのみ適用するよう JISC に要望した。 また、JI 活動グループ(JIAG)からは、最近の JI 市場の開発動向、”prior consideration のガイドライン案、ERU の発行と移転情報について説明を受けた。”prior consideration” に対しては、現在の追加性の要求で十分審査されているため導入すべきでないと報告した。 さらに、もし採択する場合は溯って適用すべきではないため、2013 年 1 月 1 日以降に開始 するプロジェクトに対してのみ適用すべきであると JISC に要望した。 5.その他[アジェンダ 5] JISC は、JI のメカニズムに対する理解度を向上するため、セミナー開催や JI プロジェ クトのフォトコンテスト開催といった新しい取り組みについて検討するよう事務局に要望 した。またカーボン市場および関係各国の政策の動向と展望について引き続き報告するよ う要望した。 JISC は 2012 年の JISC 開催案28を了承した。また第 28 回の会議を 2012 年 3 月 22-23 28 http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/027/Reports/Annex2.pdf 2-30 日にボンで開催することおよび暫定課題29について合意した。 6.閉会[アジェンダ 6] 議長が本会合の主な結論を要約して閉会した。 以上 29 http://ji.unfccc.int/Sup_Committee/Meetings/027/Reports/Annex3.pdf 2-31 表1:第 27 回 JI 監督委員会出席者(委員アルファベット順:20 名中 9 名出席) 委 員 委員代理 Mr. Muhammed Quamrul Mr.Momin Agha Chowdhury 非附属書Ⅰ国 パキスタン(欠席) バングラデシュ【議長】 市場経済へ移行 Mr. Mykhailo Chyzhenko Ms. Milya Dimitrova ウクライナ ブルガリア(欠席) 中の附属書Ⅰ国 Mr. Carlos Fuller Ms.Carola Borja 非附属書Ⅰ国 ベリーズ エクアドル 市場経済へ移行 Ms. Agnieszka Galan Mr. Oleg Pluzhnikov ポーランド(欠席) ロシア 中の附属書Ⅰ国 Mr.Evans Njewa Mr.Denis Lansana 非附属書Ⅰ国 シエラレオネ(欠席) マラウイ Mr. Benoît Leguet Mr. Anton Beck 附属書Ⅰ国 フランス デンマーク Mr. Wolfgang Seidel Mr. Olle Björk 附属書Ⅰ国 ドイツ【副議長】 スウェーデン Mr. Evgeny Sokolov Mr. Hiroki Kudo 附属書Ⅰ国 ロシア 日本 市場経済へ移行 Ms. Irina Voitekhovitch Ms.Miriana Roman ベラルーシ(欠席) ルーマニア(欠席) 中の附属書Ⅰ国 Mr. Andrew Yatilman Mr. Derrick Oderson 小島開発途上国 ミクロネシア バルバドス 2-32 第3章 CDM/JI に関する各国の動向の調査・分析 1.中国 (1)基本情報 1978 年末に改革開放政策を導入して以来、中国は、世界でも有数の急速な経済成長を遂 げてきた。1990 年代後半以降の動向で見ると、中国の経済は 1997 年から 1999 年まではア ジアの通貨危機の影響もあって成長率は鈍化したが、それ以降は再び加速し、1978 年~ 2010 年の間に、実質国内総生産(GDP)で、年平均約 10%の成長を示してきた。 中国経済の高度成長を支えているのは好調な輸出の伸びである。中国は 1980 年年代の初め 200 億ドル程度の輸出しかできなかったが、2009 年の輸出額が 1 兆 2016 億ドルであり、経済が対 外貿易に依存している度合いを示す「対外貿易依存度(輸出入総額の対 GDP 比)」も上昇 した。1980 年代初頭の対外貿易依存度は 15%程度だったが、2005 年は 80%に達し、この 比率は世界的にもトップクラスである。 表 3-1 中国における基本情報 面積 960 万平方キロメートル(日本の 25 倍) 人口 13 億 3473 万人(2009 年 12 月末時点) 名目 GDP 4 兆 9844 億ドル 一人あたり GDP(名目) 3735 ドル 実質 GDP 成長率 9.1% 輸出額 1 兆 2016 億ドル 輸入額 1 兆 59 億ドル 注:2009 年のデータ エネルギー問題は地球温暖化への対応、国家エネルギー安全保障、経済発展の確保など の問題に深く係わっている。中国は、これまでの高度経済成長によって深刻な大気汚染問 題が発生し、現在では世界最大の二酸化硫黄排出国になっている。また、同様に世界最大 の二酸化炭素排出国となるなど地球温暖化問題への対応の必要性も認識し、二酸化炭素の 削減目標を自主的に設定している。気候変動対策において、COP15 後、再生可能エネルギ ー法の改正、重点省エネ技術目録(第 2 回)を公表するなど、削減対策がさらに強化され た。 「第 11 次 5 ヵ年計画」におけるエネルギー消費 GDP 原単位を 2005 年比 20%削減する 省エネ目標や非化石エネルギーの比率を 7.5%から 10%へ高める目標が、ほぼ達成された。 また、2020 年までに国内総生産(GDP)あたり二酸化炭素排出量を 2005 年比で 40~ 45%削減する目標を発表した。この目標に向けて、中国は国民経済と社会発展に関する 新「5 ヵ年計画」に気候変動対応策を取り組み、環境税と炭素税など税制措置も検討してい る。 3-1 (2)CDM 体制 国際協調の観点から、中国政府は 2002 年 8 月、京都議定書を批准し、国内の CDM 体制 を円滑に運営するため、2004 年 6 月 30 日に「CDM プロジェクト管理暫定方法」を施行し、 2005 年 10 月 12 日には改正法「CDM プロジェクト管理方法」を発表し、即日施行した。 表 3-2 中国における CDM の経緯 1993 年 1 月 国連気候変動枠組条約批准 1998 年 5 月 京都議定書署名 2002 年 8 月 京都議定書批准 2004 年 6 月 「CDM プロジェクト運行管理暫定方法」公表 2004 年 11 月 中国初の CDM 政府承認(安定ランドフィルガス回収利用プロ ジェクト) 2005 年 10 月 「CDM プロジェクト運行管理方法」公表(暫定方法は廃止) 2007 年 11 月 CDM 基金及び管理センターの設立 2010 年 10 月 「中国 CDM 基金管理方法」公表 2011 年 8 月 「中国 CDM プロジェクト運行管理方法」(改正)公表 中国 CDM 管理機関 1998 年に設置されていた国家気候変動対策協調機構を強化するため、2007 年 6 月、国 家気候変動対応指導グループを設立し、気候変動対応で議事調整機関である。国家気候変 動対応指導グループが国家発展改革委員会に所属するが、汚染物質削減に関する業務は国 家環境保護部による遂行する。その役目が国家気候変動への対応に関する戦略、方針、対 策を検討し、国際連携、国際交渉への対応である。 CDM プロジェクトに関する行政組織が、上記の国家気候変動対応指導グループと国家発 展改革委員会の他に国家 CDM 審査理事会と国家 CDM 基金審査理事会もある。これらの機 関が CDM プロジェクトの担当行政機関である。 ・国家気候変動対応指導グループ CDM に関する重大政策の審議と調整機関であり、17 の関係機関から構成される。国 家気候変動対応指導グループには、CDM プロジェクトに関する国家政策の審議、プロジ ェクト審査理事会メンバーの批准、その他の指導グループの決定を必要とする事項の審 議を行う。 ・国家発展改革委員会 国家発展改革委員会の下に CDM に関する具体的な執行機関として国家気候変動対応 指導グループ弁公室がある。国家気候変動対応指導グループ弁公室が CDM プロジェクト の申請の受理、科技部及び外交部と共に CDM プロジェクトの承認、中国政府を代表して CDM プロジェクト承認文書の発行、CDM プロジェクトに対する監督管理の実施、CDM 3-2 管理センターの運営、海外と関連する事項の処理を行う。 改訂管理方法では、国家発展改革委員会が国の主管機関として定められた。 ・国家 CDM プロジェクト審査理事会 国家 CDM プロジェクト審査理事会が国家発展改革委員会、科技部、外交部、国家環境 保護部、中国気象局、財政部、農業部から構成されている。主な職責が、CDM プロジェ クト申請の審査を行うことである。また、国家気候変動対応指導グループに対し、CDM プロジェクトの執行状況及び実施過程における課題及び提案について報告する。そのほ か、CDM プロジェクト活動の運営に関する国家規則及びその手続きの修正についての提 案を行う。 ・国家 CDM 基金審査理事会 国家 CDM 基金審査理事会が、CDM 基金の各部間の議事調整機関であり、基金の日常 管理、特に基金の募集、管理と運用等については、財税部が直接管轄する。本審査理事 会は、基金基本管理制度の策定、基金運営規定の制定、基金の集金、基金の管理、基金 の年度財務収支予算及び決算、理事会への報告という職責を担当する。 図 3-1 中国の CDM プロジェクトの開発プロセス (出所)国家発展改革委員会CDMプロジェクト管理センター CDMプロジェクトの審査内容 中国のCDMプロジェクトに関する具体的な申請及び審査・承認までの確認項目は以下の ようにまとめられる。 ①プロジェクト事業者の資質 3-3 ②プロジェクト審査資料一式に関する主管機構の審査意見 ③方法論の応用 ④排出削減量の計算 ⑤排出削減量の取引価格 ⑥購入資金の追加性 ⑦資金の調達と技術移転の効果 ⑧予定削減量の移転期間 ⑨モニタリング計画 ⑩持続可能な発展の促進に対する貢献 審査資料一式 ①CDM プロジェクト審査表 ②企業の資質証明書類のコピー ③プロジェクトフィージビリティ研究報告に関する意見(または通知、登録証明)のコ ピー ④環境影響評価報告(または登録表)に関する意見のコピー ⑤プロジェクト PDD ⑥プロジェクト概況と資金状況の説明 ⑦その他国家発展改革委員会が必要とする資料 CDM プロジェクトの審査プロセス 改訂管理方法では、中国国内における中国企業、または中国側メインな持株会社が、CDM 事業の対外交渉・申請が可能である。 ①プロジェクト事業者は、公表された 41 社の中央企業の場合は国家発展改革委員会に CDM プロジェクトを直接申請可能であり、他の機構の場合は地方の発展改革委員会を経由 に国家発展改革委員会に申請すると定められている。地方の発展改革委員会は 20 日以内に 国家発展改革委員会に申請する。書類不備の場合、即時または 5 日以内に通知する。 ②受理した後、国家発展改革委員会は、専門家に委託して評価してもらう。その期間は、 30 日を越えないものとする。 ③国家 CDM プロジェクト審査理事会は、審査会議を開催し、専門家の評価意見をふまえ て、CDM プロジェクトを審査する。 ④国家発展改革委員会は、科学技術部、外交部と共同で承認の手続きをする。その期間 は、20 日を超えないものとする。 ⑤プロジェクト実施機関が CDM 執行理事会に登録する。登録後 10 日以内に国家発展改 革委員会に報告する。 3-4 図 3-2 中国の CDM プロジェクトの国内審査承認プロセス (出所)中国 CDM ネット http://cdm.ccchina.gov.cn/web/Main.asp?ColumnId=3&ScrollAction=1 (3)基本的考え方 CDMプロジェクト活動に関する中国政府の基本的な考え方は、「CDM プロジェク ト運行管理方法」で下記のように述べられている。 -中国で実施されるCDM プロジェクトは、国務院関連機関の承認を得なければならな い。 -中国において展開されるCDM プロジェクトの重点分野は、エネルギー効率改善、新エ ネルギーと再生可能なエネルギーの開発・利用およびメタンガスと炭層ガスの回収・利用 が中心である。 -締約国会議の関連する決定に基づき、CDM プロジェクトの実施は透明性、高い効率性 および説明責任を確保しなければならない。 「CDMプロジェクト運行管理方法」第四条による、中国におけるCDMプロジェクト重点 分野がエネルギー効率の向上、新・再生エネルギーの開発・利用、メタンガスと石炭ガス の回収・利用である。以上の三つの重点分野のプロジェクトが中国政府の持続可能な発展 戦略と両立するものであるとして、中国の持続可能な開発へ寄与する。 (4)CDM 基金 2006 年 8 月に、国務院が中国 CDM 基金及び管理センターの設置を批准した。2007 年 11 月に、財政部と国家発展改革委員会と共同で基金及び管理センターの業務を始めた。 2010 年 9 月に、財政部、国家発展改革委、外交部、科技部、環境保護部、農業部と中国 気象局の7つの部・委員会共同で、国務院が批准し、「中国グリーン開発メカニズム基金管 3-5 理方法」が発表された。本基金は、主にクリーン開発メカニズムプロジェクトからなるも ので、「京都議定書」の下でクリーン開発メカニズム慣例の国際協力プロジェクトから取得 した国家収益である。 基金の財源が CDM プロジェクトによる温暖化ガス排出削減量から国家に所有する収入、 基金運営収入、国内外機関・組織・個人の贈与とその他の収入である。 本基金が気候変動対応への強化のためにキャパシティ・ビルディングと公共意識に関す る活動に贈与方式で資金支援を行う。気候変動対応への産業活動に有償使用方式で支援す る。また、銀行貯金、国債・金融債・企業債などの購入など形式で基金運営を行う。 (5)中国の地域電力系統区分およびそのベースライン排出係数 国際ルールに適格なプロジェクトを開発する便宜のため、また、プロジェクト事業者が PDD の編集や排出削減量計算を行う際の参考として、国家気候変動対策調整委員会が専門 家に委託して中国の地域電力系統区分およびそのベースライン排出係数を決定している (表 3-3)。 表 3-3 中国の地域電力系統ベースライン排出係数 華北区域電網 東北区域電網 華東区域電網 華中区域電網 西北地域電網 南方地域電網 海南省電網 2006 1.0585 0.9066 1.1983 0.8108 0.9411 0.7869 1.2526 0.6367 1.0329 0.6491 0.9853 0.5714 0.9349 0.7568 北京市、天津市、河北省、山西 省、山東省、内蒙古自治区 OM BM OM 遼寧省、吉林省、黒竜江省 BM 上海市、江蘇省、浙江省 、安徽 OM 省、福建省、 BM 河南省、湖北省、湖南省、江西 OM 省、四川省、重慶市 BM 陝西省、甘粛省、青海省、寧夏 OM 自治区、新疆ウイグル自治区 BM 広東省、広西自治区、雲南省、 OM 貴州省、 BM 海南省(2011年以降、南方地域 OM 電網に含まれる) BM 2007 1.1208 0.9397 1.2404 0.8631 0.9421 0.8672 1.2899 0.6592 1.1257 0.5739 1.0119 0.6748 0.9209 0.7517 2008 1.1169 0.9397 1.2404 0.8631 0.9421 0.8236 1.2783 0.6687 1.1225 0.6199 1.0608 0.6816 0.8944 0.7523 2009 1.0069 0.7802 1.1293 0.7242 0.8825 0.6826 1.1255 0.5802 1.0246 0.6433 0.9987 0.5772 0.8154 0.7297 2010 0.9914 0.7495 1.1109 0.7086 0.8592 0.6789 1.0871 0.4543 0.9947 0.6878 0.9762 0.4506 0.7972 0.7328 2011 0.9803 0.6426 1.0852 0.5987 0.8367 0.6622 1.0297 0.4191 1.0001 0.5851 0.9489 0.9157 0.9489 0.9157 ※OM、BM ともに単位は tCO2/MWh (出所)2006 年 12 月 15 日、2007 年 8 月 9 日、2008 年 12 月 30 日、2009 年 9 月 3 日、2010 年 12 月 20 日付、2011 年 10 月 20 日国家気候変動対応司公告 さらに、追加性立証・評価のための投資分析において、次のようなベンチマークが多く のプロジェクトで用いられている(表 3-4) 3-6 表 3-4 中国で投資分析に用いられているベンチマーク値例 セクター ベンチマーク (%) 出所 8 国家電力公司「電力プロセス技術改造プロジェクト経済評価暫定方 法」(2003年)(電力工程技術改造項目経済評価暫行弁法(試行)) 小水力発電所 10 水利部「小水力発電所建設プロジェクト経済評価規程」(1995年)(小 水電建設項目経済評価規程) セメント製造業 12 国家発展改革委員会・建設部「建設プロジェクト経済評価方法とパラ メータ」(2006年)(建設項目経済評価方法与参数) 鉄鋼 13 国家発展改革委員会・建設部「建設プロジェクト経済評価方法とパラ メータ」(2006年)(建設項目経済評価方法与参数) 発電所 (6)CDM の承認動向 中国の国家気候変動対策調整委員会が 2011 年 12 月末まで、中国は 28881の CDM プロ ジェクトを批准し、その内 11692のプロジェクトが CDM 理事会に承認された。予測削減量 について、2.3 億トン二酸化炭素相当になり、世界の 51.14%3を占めている。 図 3-3 に示すように、登録件数のセクター別には、新・再生可能エネルギーのプロジェク トが 70.88%、省エネルギーが 17.53%、メタンの再利用が 6.74%、燃料転換が 1.62%を占 めている。これに対し、排出削減量を見ると、新・再生可能エネルギーが 49.1%、省エネ ルギーが 15.74%、メタンの再利用が 10.48%、燃料転換が 4.98%である。HFC-23 分解と N2O 分解の登録件数は割合として少ないが、排出削減量はそれぞれ 13.1%と 4.96%を占め ている。 プロジェクトタイプ毎排出削減予想量 プロジェクトタイプ毎件数 新規植林及び再植林 新規植林及び再植林 HFC HFC N2O N2O 省エネ LFG及びメタン回収 省エネ 再生可能エネルギー 再生可能エネルギー LFG及びメタン回収 その他 その他 図 3-3 中国における CDM の現状 出所:中国 CDM ネット http://cdm.ccchina.gov.cn 1 2 3 中国 CDM ネット http://cdm.ccchina.gov.cn http://cdm.unfccc.int/Projects/projsearch.html CDM2010 年報告書 http://unfccc.int/resource/docs/publications/10_cdm_anrep.pdf 3-7 図 3-4 と図 3-5 から見ると、プロジェクト数では、新・再生可能エネルギーが 7 割以上に 維持し続けており、次に省エネルギー・効率改善、メタン回収・利用と燃料転換、N2O 分 解、HFC-23 分解、ごみ発電、植林・再植林とその他である。推計排出削減量では、新・再 生可能エネルギー2 億 5041 万トン、省エネルギー・効率改善が 8026.56 万トン、HFC 分 解が 6679.85 万トン、メタンの再利用が 5342.3 万トン、燃料転換が 2540.09 万トン、N2O 分解が 2530.78 万トン、ごみ発電が 160.16 万トン、植林・再植林が 11.73 万トン、その他 が 665.14 万トンである。 また、中国政府 DNA により承認されたプロジェクトは 522 件(2010 年 1 月から 12 月 21 日まで)であり、年間削減量 100 万トン以上のプロジェクトが 2009 年と同じ 3 件となって おり、2008 年までに比べて大幅に減少した。 350 300 250 200 新規植林及び再植林 省エネ 再生可能エネルギー その他 N2O LFG及びメタン回収 HFC 150 100 50 20 0 20 5Q1 0 20 5Q3 05 20 Q4 0 20 6Q1 0 20 6Q 0 2 20 6Q3 0 20 6Q4 0 20 7Q1 0 20 7Q 0 2 20 7Q3 0 20 7Q4 0 20 8Q1 0 20 8Q2 0 20 8Q 08 3 20 Q4 0 20 9Q1 0 20 9Q2 0 20 9Q 0 3 20 9Q4 1 20 0Q1 1 20 0Q2 10 20 Q3 1 20 0Q 1 4 20 1Q1 1 20 1Q2 11 20 Q3 11 Q4 0 図 3-4 承認プロジェクト数の推移 (出所)中国 CDM ネット http://cdm.ccchina.gov.cn 3-8 (千トン) 60000 プロジェクトタイプ毎の排出削減量 新規植林及び再植林 省エネ 再生可能エネルギー その他 N2O LFG及びメタン回収 HFC 50000 40000 30000 20000 10000 図 3-5 承認プロジェクトの推計年排出削減量(tCO2e/y)の推移(累計) (出所)中国 CDM ネット http://cdm.ccchina.gov.cn 3-9 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 2006Q2 2006Q1 2005Q4 2005Q3 2005Q1 0 添付資料 クリーン発展メカニズムプロジェクト運営管理方法 (修正版) 第一章 第一条 総則 クリーン発展メカニズムプロジェクトの有効的且つ秩序良い運営を 促進、標準化させ、「国連気候変化枠組公約」(以下「公約」という)、「京 都議定書」(以下「議定書」という)及び締結側会議の関連決定を履行するた め、「中華人民共和国行政許可法」等関連規定に基づき、当該方法を制定する。 第二条 クリーン発展メカニズムは先進国締結側が当該温室ガス排出削減義 務を果たすため、発展途上国締結側とプロジェクト協力を行うメカニズムであ る。プロジェクト協力を通じ、「公約」最終目標の実現を促し、発展途上国締 結側の持続的発展の実現に協力し、先進国締結側の量的制限の実現及び温室ガ ス排出削減の承諾に協力する。 第三条 中国でクリーン発展メカニズムプロジェクトの展開には中国の法律 法規、「公約」、「議定書」及び締結側会議の関連決定に合致し、中国の持続 的発展戦略、政策、並びに国民経済及び社会発展の全体的要求にかなうべきで ある。 第四条 クリーン発展メカニズムプロジェクト協力は環境配慮型技術譲渡を 促すべきである。中国における協力の重点的な分野は省エネ及びエネルギー効 率の向上、新エネルギー及び再生可能エネルギーの利用、メタンの回収利用で ある。 第五条 クリーン発展メカニズムプロジェクトの実施は透明度及び効率的実 施を確保し、各プロジェクト参与側の責任及び義務を明確にさせるべきである。 第六条 クリーン発展メカニズムプロジェクト協力を行う過程において、中 3-10 国政府及び企業は「公約」及び「議定書」の規定以外のいかなる義務を負わな いこととする。 第七条 クリーン発展メカニズムプロジェクトの海外協力側がクリーン発展 メカニズムプロジェクトの排出削減量の購入に用いる資金は、現在の政府開発 援助資金及び「公約」において負担する資金義務以外のものでなければならな い。 第二章 第八条 管理体制 国はクリーン発展メカニズムプロジェクト審査理事会(以下「プロ ジェクト審査理事会」という)を設立する。プロジェクト審査理事会のグルー プ長部門は国家発展改革委員会及び科学技術部であり、副グループ長部門は外 交部である。メンバー部門は財政部、環境保護部、農業部及び中国気象局であ る。 第九条 国家発展改革委員会は中国クリーン発展メカニズムプロジェクト協 力の主管部門であり、中国におけるクリーン発展メカニズムプロジェクトの展 開は国家発展改革委員会の許可を得なければならない。 第十条 中国国内の中国企業、中国企業による主要持株企業はプロジェクト の実施部門として、法律に基づきクリーン発展メカニズムプロジェクト協力を 展開することができる。 第十一条 プロジェクト審査理事会は主に下記の職務を履行する。 (一) 申請するクリーン発展メカニズムプロジェクトに対し審査を行い、審 査に関する意見を示す。 (二) 国家気候変動対応指導グループに対しクリーン発展メカニズムプロジ ェクトの実施状況及び実施中の課題及び提案を報告し、国家クリーン発展メカ ニズムプロジェクトの運営規則にかかわる提案を打ち出す。 3-11 第十二条 国家発展改革委員会は主に下記の職務を履行する。 (一) クリーン発展メカニズムプロジェクトの申請を受け入れる。 (二) プロジェクト審査理事会の審査意見に基づき、科学技術部及び外交部 と協議したうえクリーン発展メカニズムプロジェクトを許可する。 (三) クリーン発展メカニズムプロジェクトの許可証を交付する。 (四) クリーン発展メカニズムプロジェクトの実施に対し監督及び管理を行 う。 (五) その他関連事務を処理する。 第十三条 プロジェクト実施部門は主に下記の義務を履行する。 (一) クリーン発展メカニズムプロジェクトの排出削減量取引に関する対外 的交渉を行い、購買契約を締結する。 (二) クリーン発展メカニズムプロジェクトの工事建設を行う。 (三) 「公約」、「議定書」及び関連締結側会議の決定、並びに海外協力側 と締結する購買契約の要求に基づき、クリーン発展メカニズムプロジェクトを 実施し、関連義務を履行し、国家発展改革委員会及びプロジェクト所在地の発 展改革委員会の監督を受ける。 (四) 国際規則に基づきプロジェクトの適正性及びプロジェクト排出削減量 に対する審査を受け、必要とする資料及びモニターデータを提供する。審査を 受け、情報を提供する過程において法律により国家機密及び商業機密を保持す る。 (五) 国家発展改革委員会に対しクリーン発展メカニズムプロジェクトにお ける温室ガス排出削減量の譲渡状況を報告する。 (六) 国家発展改革委員会及びプロジェクト所在地の発展改革委員会に協力 し、関連課題について調査を行い、質疑に応じる。 3-12 (七) 企業に資格変更が生じた場合、自発的に報告する。 (八) 当該方法第三十六条に規定される比率に基づき、期日どおりに排出削 減量譲渡取引額を支払う。 (九) 法律による履行すべきその他の義務を果たす。 第三章 第十四条 申請及び実施プロセス 別添にある中央企業は国家発展改革委員会に対し、直接クリーン 発展メカニズム協力プロジェクトの申請を提出し、その他プロジェクト実施部 門はプロジェクト所在地の省レベル発展改革委員会に対しクリーン発展メカニ ズムプロジェクト申請を提出する。関連部門及び地方政府は企業を組織しクリ ーン発展メカニズムプロジェクト申請を提出することができる。国家発展改革 委員会は実際の需要により別添にある中央企業リストの適時調整を行うことが できる。 第十五条 プロジェクト実施部門は国家発展改革委員会又はプロジェクト所 在地の省レベル発展改革委員会に対しクリーン発展メカニズムプロジェクト申 請を提出する場合、下記の資料を提出しなければならない。 (一) クリーン発展メカニズムプロジェクト申請表 (二) 企業資格状況証明書類のコピー (三) 工事プロジェクトFS調査報告書許可書(又は許可書類、登録証明書) コピー (四) 環境影響評価報告書(又は登記表)許可書のコピー (五) プロジェクト設計書類 (六) 工事プロジェクト概況及び資金調達状況の説明 (七) 国家発展改革委員会が提供の必要があると判断するその他資料 第十六条 プロジェクトが申請時にまだ海外の買い手を決定していない場合、 3-13 プロジェクト実施部門はプロジェクト申請表の記入の際、当該クリーン発展メ カニズム協力プロジェクトが単独実施プロジェクトである旨明記しなければな らない。国の許可を得てから、プロジェクトによる排出削減量は中国の国家口 座に振込まれることとなり、国家発展改革委員会の許可を得てからはじめてこ れらの排出削減量を中国の国家口座から引き出すことができる。 第十七条 国家発展改革委員会は別添にある中央企業の申請を受けてから、 申請資料に不備がある申請又は法定形式に符合しない申請に対し、その場でも しくは5日以内に申請者に補足すべきすべての内容を一度に知らせなければな らない。 第十八条 プロジェクト所在地の省レベル発展改革委員会は別添にある中央 企業以外のプロジェクト実施部門の申請を受理してから20営業日以内に、すべ てのプロジェクト申請資料及び初審意見を国家発展改革委員会に提出し、いか なる理由であれプロジェクト実施部門の申請に対し否定的な決定をしてはなら ない。申請資料に不備がある申請又は法定形式に符合しない申請に対し、プロ ジェクト所在地の省レベル発展改革委員会はその場でもしくは5日以内に申請 者に補足すべきすべての内容を一度に知らせなければならない。 第十九条 国家発展改革委員会は当該方法の別添にある中央企業が提出する プロジェクト申請、又はプロジェクト所在地の省レベル発展改革委員会が報告 するプロジェクト申請を受理してから、専門家を組織し、申請プロジェクトに 対し評価審査を行うこととし、評価審査の期間は30日を超えてはならない。プ ロジェクトは専門家の評価審査を経て、国家発展改革委員会によりプロジェク ト審査理事会に提出し審査を受ける。 第二十条 プロジェクト審査理事会は会議を行い、国家発展改革委員会が提 出するプロジェクトに対し審査を行い、審査意見を提出する。プロジェクト審 3-14 査理事会の審査内容は主に下記の内容を含む。 (一) プロジェクト参与側の参与資格 (二) 当該方法第十五条に規定される提出の必要がある関連許可書 (三) 方法学の応用 (四) 温室ガスの排出削減量の計算 (五) 譲渡可能な温室ガスの排出削減量の価格 (六) 排出削減量購買資金の追加性 (七) 技術譲渡状況 (八) 見込排出削減量の譲渡期限 (九) モニター計画 (十) 持続的発展に対する促進見込効果 第二十一条 国家発展改革委員会はプロジェクト審査理事会の意見に基づき、 科学技術部及び外交部と協議したうえ、許可書類を交付するか否かの決定を行 う。プロジェクト審査理事会の審査により許可されるプロジェクトに対し、プ ロジェクトの受理日より20営業日以内に(専門家評価審査期間を含まない)許 可手続を行う。プロジェクト審査理事会の審査により許可されるが、修正及び 完全にさせる必要があるプロジェクトに対し、プロジェクト実施部門が提出す る修正資料を受領してから、科学技術部及び外交部と協議したうえ、許可手続 を行う。プロジェクト審査理事会の審査により許可されないプロジェクトに対 し、許可手続を行わないこととする。 第二十二条 プロジェクトは国家発展改革委員会の許可を得てから、経営実 体によりクリーン発展メカニズム実行理事会に登録登記を申請する。 第二十三条 国家発展改革委員会はクリーン発展メカニズムプロジェクトの 実施に対し監督を行う責任を有する。プロジェクト実施部門はクリーン発展メ 3-15 カニズムプロジェクトの登録登記が無事に完了してから10営業日以内に国家発 展改革委員会に登録登記状況を報告し、プロジェクトの排出削減量の発行及び 譲渡後10営業日以内に国家発展改革委員会に発行及び譲渡の関連状況を報告す ることとする。 第二十四条 工事建設プロジェクトの審査プロセス及び審査権限に関しては、 国家の関連規定に従い行うこととする。 第四章 第二十五条 法律責任 当該方法にかかわる行政機関及びスタッフは、クリーン発展メ カニズムプロジェクトの申請過程において、法定条件に符合するプロジェクト 申請を受理しない場合、又はプロジェクト実施部門が提出する申請資料に不備 があり、法的形式に符合しない際、一時的にプロジェクト実施部門に補足すべ きすべての内容を告知しない場合、当該上部行政機関または監察機関により是 正を要求される。状況が深刻な場合、直接の責任者及びその他直接の責任者に 対し法律により行政処分を与える。 第二十六条 当該方法にかかわる行政機関及びスタッフは、プロジェクト申 請の受け入れ、受理、審査許可の実施、及びプロジェクトに対する監督検査を 実施する過程において、他人に財物を要求、受領し、又はその他利益を企む際、 犯罪になる場合、法律により刑事的責任を追究する。犯罪にならない場合、法 律により行政処分を与える。 第二十七条 当該方法にかかわる行政機関及びスタッフは、法定条件に符合 しないプロジェクト申請に対し許可を与え、又は法定職権を超えて許可を与え る場合、当該上級行政機関又は監察機関により是正を要求され、直接の責任者 及びその他直接の責任者に対し法律により行政処分を与える。犯罪になる場合、 法律により刑事的責任を追究する。 3-16 第二十八条 プロジェクト実施部門はクリーン発展メカニズムプロジェクト の申請及び実施過程において、関係状況を隠蔽し、又は偽造資料を提供する場 合、国家発展改革委員会は受理しない、または行政許可を与えないことができ るものとし、警告を与える。 第二十九条 プロジェクト実施部門は詐欺、賄賂等不当手段で許可証を獲得 した場合、国家発展改革委員会は法律によりプロジェクト排出削減量の譲渡収 入に相当する罰金を課することができる。罰金収入は「行政処罰法」等関連規 定に基づき、直ちに中央国庫に納められる。犯罪になる場合、法律により刑事 的責任を追究する。 第三十条 プロジェクト実施部門は国家発展改革委員会が交付する許可証の 取得後、企業株が外資または外国資本による主要持株に変更した場合、自動的 にクリーン発展メカニズムプロジェクトの実施資格を喪失することになり、株 式変更後取得したプロジェクト排出削減量の譲渡収入は国家の所有になる。 第三十一条 プロジェクト実施部門は排出削減量取引の完了後、関係規定に より国に期限どおりに排出削減量取引にかかる配当額を納めない場合、国家発 展改革委員会は法律によりプロジェクト実施部門に対し行政処罰を与える。 第三十二条 プロジェクト実施部門は許可証を偽造し、修正する場合、又は 監督検査を受ける際関係状況を隠蔽し、偽造資料を提供し、関連資料の提供を 拒否する場合、国家発展改革委員会は法律により行政処罰を与える。犯罪にな る場合、法律により刑事的責任を追究する。 第五章 第三十三条 付則 当該方法にある先進国締結側とは「公約」の別添にある国のこ とを指す。 第三十四条 当該方法にあるクリーン発展メカニズム実行理事会とは「議定 3-17 書」におけるクリーン発展メカニズムプロジェクトの実施のために専門的に設 置した管理機構のことを指す。 第三十五条 当該方法にある経営実体とはクリーン発展メカニズム実行理事 会が指定する審査及び認定機関のことを指す。 第三十六条 クリーン発展メカニズムプロジェクトの温室ガスの排出削減量 の譲渡によって得られた収益は国とプロジェクト実施機構の所有とし、その他 機構及び個人は排出削減量の譲渡取引額の配当に参与してはならない。国とプ ロジェクト実施部門の排出削減量にかかる譲渡取引額は下記のとおり配当割合 を決める。 (一) HFC類プロジェクトについて、国は温室ガス排出削減量譲渡取引額の 65%を収める。 (二) アジピン酸生産におけるN2Oプロジェクトについて、国は温室ガス排出 削減量譲渡取引額の30%を収める。 (三) 硝酸等生産におけるN2Oプロジェクトについて、国は温室ガス排出削減 量譲渡取引額の10%を収める。 (四) PFC類プロジェクトについて、国は温室ガス排出削減量譲渡取引額の 5%を収める。 (五) その他プロジェクトについて、国は温室ガス排出削減量譲渡取引額の 2%を収める。 国がクリーン発展メカニズムプロジェクトの排出削減量譲渡取引額より収め る資金は、気候変動関連活動の援助や対応に用いられ、中国クリーン発展メカ ニズム基金管理センターにより「中国クリーン発展メカニズム基金管理方法」 に基づき収められる。 第三十七条 国家発展改革委員会の許可済のプロジェクトが2012年以降に発 3-18 生する排出削減量は、国家発展改革委員会の許可を得てからはじめて譲渡する ことができる。プロジェクトの実施は当該方法に基づき管理される。 第三十八条 当該方法は国家発展改革委員会が科学技術部、外交部、財政部 と協議したうえ、解釈するものとする。 第三十九条 当該方法は公布する日より施行される。2005年10月12日より実 施された「クリーン発展メカニズムプロジェクト運営管理方法」は直ちに廃止 されるものとする。 別添:国家発展改革委員会にクリーン発展メカニズムプロジェクトの直接申請 提出可能な中央企業リスト 3-19 別添: 国家発展改革委員会にクリーン発展メカニズムプロジェクトの直接申請提出可 能な中央企業リスト 1. 中国核工業集団公司 2. 中国核工業建設集団公司 3. 中国化工集団公司 4. 中国化学工程集団公司 5. 中国軽工業集団公司 6. 中国塩業総公司 7. 中国中材集団公司 8. 中国建築材料集団公司 9. 中国電子科技集団公司 10. 中国非鉄鉱業集団有限公司 11. 中国石油天然ガス集団公司 12. 中国石油化工集団公司 13. 中国海洋石油総公司 14. 国家電力グリッド公司 15. 中国華能集団公司 16. 中国大唐集団公司 17. 中国華電集団公司 18. 中国国电 集団公司 19. 中国電力投資集団公司 20. 中国鉄道工程総公司 21. 中国鉄道建築総公司 3-20 22. 神華集団有限責任公司 23. 中国交通建設集団有限公司 24. 中国農業発展集団総公司 25. 中国林業集団公司 26. 中国アルミ業公司 27. 中国航空集団公司 28. 中国中化集団公司 29. 中糧集団有限公司 30. 中国五鉱集団公司 31. 中国建築工程総公司 32. 中国水利水電建設集団公司 33. 国家核電技術有限公司 34. 中国省エネ投資公司 35. 中国中煤エネルギー集団公司 36. 中国石炭科工集団有限公司 37. 中国機械工業集団有限公司 38. 中国中鋼集団公司 39. 中国冶金科工集団有限公司 40. 中国鋼研科技集団公司 41. 中国広東核電集団 3-21 2.韓国 (1)CDM 承認体制 内閣府の CDM 審議委員会(The CDM Review Committee)と外交通商部環境協力局 (Environment Cooperation Division)が DNA(指定国家機関、Designated National Authority)として 2003 年に指定された。CDM 審議委員会は、内閣府及び関係省庁からの 25 名の代表者により構成され、国内の CDM 案件の承認を行う。事業者が CDM プロジェ クトとしての政府承認の申請を行う場合には、申請書類を内閣府に提出することが求めら れ、これを受けた内閣府により、各案件の審査にあたる所轄官庁(環境部、産業資源部等) が指定される仕組みとなっている。担当省庁は評価報告書を DNA に提出し、プロジェクト 承認に関する最終的な意思決定は DNA が行う。承認基準は、①韓国経済の持続可能な発展 への貢献、②追加性、③環境影響評価、④技術移転、⑤国内法及び政策との適合、の 5 項 目が設定されている。申請から承認までに要する手続きは、例外的な場合を除き 6 週間以 内に完了することとされる。 韓国の CDM プロジェクトの形成支援等を行う機関もある。産業資源部の外郭組織である 韓国エネルギー管理公団(KEMCO:Korea Energy Management Corporation)は、再生 可能エネルギーやエネルギー効率に関するプロジェクトへの参加を検討する事業者に対す る支援を行っている。また、環境部の外郭組織である環境管理公団(EMC:Environmental Management Corporation)は、埋立地ガス関連プロジェクトの形成やキャパシティ・ビル ディングに関する業務を行っている。また、環境管理公団、エネルギー管理公団は他の研 究組織等と共に CDM 審議委員会のアドバイザリー・グループの一員となっている。 エネルギー管理公団は、第 22 回 CDM 理事会会合決定(2005 年 11 月)により、非附属 書Ⅰ国からの初の DOE(指定運営組織)として信任され、2006 年 1 月には CDM 認証院 を開設、2007 年 5 月には UN に認証分野の追加指定の申請を行った。現在、エネルギー管 理公団は 3 つの分野(エネルギー産業、製造業、化学産業) 中、エネルギー分野の CDM 事 業に対しては有効化審査(Validation)を行っている。 CDM 事業の審議指針は 2006 年 4 月に改正され、韓国における CDM 事業の承認は気候 変動条約対策委員会傘下の CDM 審議委員会(The CDM Review Committee)で審議され る仕組となっている。図 3-6 は DNA の構成を表わす。 3-22 気候変動条約対策委員会 CDM審議委員会 CDM審議委員会 委員長1人 委員長1人 (国務調整室 経済調整官) 委員 25人 委員 25人 (国務調整室、外交通商省、科学技術省、 農林省、産業資源省、環境省、海洋水産 省、建設交通省の局長級及び関係省庁 の局長級) CDM審議実務委員会 委員長1人 (国務調整室 産業審議官) 委員 25人 (国務調整室、外交通商省、科学技術 省、農林省、産業資源省、環境省、海 洋水産省、建設交通省、の課長級及 び関係省庁の課長級) 諮問機関 エネルギー経済研究院、環境政策評 価研究院、エネルギー管理公団、環境 管理公団、エネルギー技術研究院、国 立環境研究院、農業科学技術院、国 立山林科学院、その他委員長認定専 門機関 図 3-6:DNA の構成 (出所)CDM 事業審議指針(06.04.06 改正)、国務調整室 なお、CDM の承認のプロセスは、CDM 事業開発者が申請書類を提出すると国務調整室 の産業審議官室にて資料を回覧すると同時に管轄省庁を 1 週間以内に指定し、指定された 管轄省庁は、諮問グループの意見、プロジェクト関係者の意見、環境影響評価に関する環 境省の勧告等を勘案し CDM 事業の適格性を 3 週以内に検討する。そして、検討後 2 週以 内に結果を審議委員会に報告するとなっている。CDM 審議委員会は報告を受け、CDM 事 業の適格性に関して 2 週以内に審議し、承認レターは管轄省庁から発行される仕組である。 第 41 回 CDM 理事会(2008.7.30~8.2)において CDM を推進する前に事業者が当該事 業を CDM として充分に検討しているかを判断する指針が出されたことから、2008 年 9 月 24 日、国務総理室気候変動対策企画団は審議指針の一部条項を変更した。第 8 条(CDM 事前協議)条項を新しく設け、CDM 事業推進意向書書式 1 を新設し、事業者間における代 表者の指定同意書書式 2 を新設している。同条項によると、CDM 事業者は事業開始日から 6 ヶ月以内に DNA に事業の開始と CDM 事業登録推進の意向を上記事業推進意向書書式1 にて提出しなければならない。また、提出後 2 年ごとに DNA に当該事業の進行状況を報告 する際にも上記書式1によるものとしている。 図 3-7 に韓国の CDM 承認プロセスをまとめた。 3-23 申請者 申請書類の提出 国務調整室 産業審議官室 関連資料の回覧及び管轄省 庁の指定(1週間以内) 諮問グループの意見、プロジェクト関係者の意見、 環境影響評価に関する環境省の勧告等を勘案し CDM事業の適格性検討し(3週以内)、審議委員 会に報告(検討後2週以内に報告) 管轄省庁 CDM審議委員会 管轄省庁 CDM事業の適格性の審議(2週以内) 審議結果に基づき承認証を発行 図 3-7:CDM 承認プロセス (出所)CDM 事業審議指針(06.04.06 改正)、国務調整室 (2)CDM プロジェクト動向 2012 年 2 月現在で UNFCCC の登録を完了したプロジェクトは 67 件であり、2011 年に は 14 件が新たに登録された。総登録プロジェクトからの予想 CER は約 1950 万トンであ る。韓国における登録済・修正条件付き登録・有効化審査中の CDM 事業は 103 件となっ ている。近年プロジェクトの審査において否定的な評価となるケースが増え、またはプロ ジェクトの登録申請を撤回するケース(3 件)も生じたことを背景に、2010 年に引き続き、 2011 年も新しいプロジェクト数はやや伸び悩んでいる。図 3-8 は登録済みプロジェクトの 分野別シェアを、表 3-5 は年間削減量 100 万トン以上の主要事業詳細を表す。 再生可能その他 (4件) 6% LFG (4件) 6% 燃料転換 (4件) 6% 化学ガス破壊、削減 (12件) 18% 小水力 (11件) 16% 風力発電 (10件) 15% 太陽光発電 (22件) 33% 図 3-8:分野別登録 CDM 件数(2012 年 2 月 20 日現在) (出所)UNFCCC・CDM ホームページから作成 3-24 表 3-5:韓国 CDM 事業動向(2012 年 2 月 20 日現在) (単位:千トン) 承認状況 プロジェクト名 年間削減量 UN登録 (2005/11) N2O Emission Reduction in Onsan, Republic of Korea N2O低減 9150 UN登録 (2005/03) HFC Decomposition Project in Ulsan HFC分解事業 1400 UN登録 (2010/07) Point of Use Abatement Device to Reduce SF6 emissions in LCD Manufacturing Operations in the Republic of Korea (South Korea) 液晶ディスプレイ製造時のSF6除去 1298 UN登録 (2007/01) Catalytic N2O destruction project in the tail gas of three Nitric Acid Plants at Hu-Chems Fine Chemical Corp. N2O分解事業 1268 UN登録 (2007/04) Sudokwon Landfill Gas Electricity Generation Project (50MW) 首都圏埋立地ガスの資源化 1210 (注)年間削減量 100 万トン以上のプロジェクト (出所)UNFCCC・CDM ホームページ (http://cdm.unfccc.int)から作成 3-25 3.インド シン首相は 2008 年 6 月 30 日、インドの「気候変動に関する国家行動計画(NAPCC: National Action Plan on Climate Change)」を発表した。国家行動計画は 8 つの優先国家 事業(①太陽エネルギー、②エネルギー効率の改善、③持続可能な居住環境、④水の保全、 ⑤ヒマラヤのエコシステムの維持、⑥「緑のインド」、⑦持続可能な農業、⑧気候変動につ いての戦略的知識プラットフォーム)に焦点を当てており、太陽エネルギーの国家事業が 卓越した位置を占めている。CDM については、付属の技術的文書で、プログラム CDM な ど、最近の CDM 拡大の動きを主流にする必要があるとしている。 また、2009 年 12 月 3 日には、前ラメシュ環境大臣が議会にて、炭素原単位(経済産出 当たり二酸化炭素量)を 2005 年レベルから 2020 年までに 20~25%抑制すると発言した。 2011 年 3 月には RPS:Renewable Portfolio Standard 制度 が導入された。 省エネ分野では、省エネ達成認証スキームである PAT:Perform, Achieve and Trade が、 産業部門のエネルギー効率向上に向けた革新的な政策として関心を集めている。 PAT は NAPCC の一環で、温暖化に関する対策として積極的に展開されている。 南アフリカで開催された COP17 において、インド政府は強硬な姿勢を示した。省エネル ギーや環境保護に関する新技術を高額の知的財産使用料なしに途上国に輸入できるように する国際知的財産制度を要求した。貿易障壁では、EU 圏に乗り入れる航空機に対する炭素 税の徴収など、途上国にとって貿易障壁になりうる先進国の環境政策の禁止を求める姿勢 を明らかにした。4 (1)CDM の体制 インドの CDM 指定国家機関(Designated National Authority: DNA)は環境・森林省 の国家 CDM 当局(National CDM Authority: NCDMA)である。 ホームページ:http://cdmindia.in/ ①国家 CDM 当局 中央政府が国家 CDM 当局を設置し、その構成員は次のとおりである。 4 1. 環境・森林大臣 議長 2. 外務大臣 メンバー 3. 財務大臣 メンバー 4. 産業政策・推進大臣 メンバー 5. 非在来型エネルギー源大臣 メンバー 6. 電力大臣 メンバー 7. 計画委員会担当大臣 メンバー インド新聞 2011 年 4 月 28 日、2011 年 12 月 13 日 3-26 8. 環境・森林省気候変動担当大臣 メンバー 9. 環境・森林省気候変動担当局長 メンバー・事務局 国家 CDM 当局はプロジェクトを受け付け、規則や様式に規定されたガイドラインや一 般的な基準により評価・承認する。CDM プロジェクトの評価プロセスには、CDM プロ ジェクトの実施が最終的に成功するかどうかの評価、プロジェクトが持続可能な発展の 目的をどの程度満たすかの評価が含まれる。当局は、プロジェクト提案が ODA の転換で ないことを確保するため、また、CDM プロジェクトの市場環境が CER の過小評価につ ながらないよう、プロジェクト提案の金銭上の評価も行う。 ②ホスト国承認 持続可能な発展指標として、次の側面が CDM プロジェクトについて検討される。 1. 社会的な厚生:CDM プロジェクトは、追加的雇用の創出による貧困の軽減、社 会的不平等の除去および国民の生活の質の改善につながる基本的な施設の提供に 寄与しなければならない。 2. 経済的な厚生:CDM プロジェクトは国民のニーズにあった追加的投資をもたら さなければならない。 3. 環境上の厚生:プロジェクトによる資源の持続可能性や劣化に対する影響、生物 多様性への優しさ、人間の健康への影響、一般的な汚染レベルの低減。 4. 技術上の厚生:CDM プロジェクトは、技術基盤の向上を支援するため、ベスト プラクティスである環境に優しい技術の移転につながらなければならない。 承認プロセスについては、プロジェクト提案者は、オンライン様式でプロジェクト概 要書(PCN)とプロジェクト設計書(PDD)を 1 部(CDM プロジェクト報告書) 、PCN と PDD それぞれのハードコピーを 20 部ならびにそれぞれに記載された情報すべてを含 む CD を 2 部、提出する必要がある。 プロジェクト報告書と CD はプロジェクトのスポンサーによって署名されたかがみと ともに転送され、提出されたプロジェクト報告書は製本される。国家 CDM 当局は文書を 検討し、予備的な質問があれば、プロジェクト提案者に質問が行われる。その後、プロ ジェクト提案は国家 CDM 当局の検討に付される。プロジェクト提案者とそのコンサルタ ントは、当局の会合に出席し CDM プロジェクト提案に関するパワーポイントプレゼンテ ーションをするよう、通常約 10~15 日前に通知される。メンバーはプレゼンテーション 中にクラリフィケーションを求め、メンバーが追加的なクラリフィケーションや情報が プロジェクト提案者から必要であるとした場合は、プレゼンターに通知される。当局の メンバーが満足した場合、ホスト国承認(HCA)が国家 CDM 当局の事務局によって発 行される。 3-27 NCDMAへのPCN・PDDお よびCD2枚の提出ならびに オンライン提出 NCDMA 議長 環境・森林大臣 NCDMAメンバー間での回 覧 メンバー ・ 外務大臣 ・ 財務大臣 ・ 産業政策・推進大臣 ・ 非在来型エネルギー源大臣 ・ 電力大臣 ・ 計画委員会担当大臣 ・ 環境・森林省気候変動担当大臣 メンバー・事務局 環境・森林省気候変動担当局長 NCDMAの会 合は月1回 プロジェクトディベロッパー によるNCDMA会合でのプ レゼンテーション 60日 NCDMAメンバーから要求 があった場合、プロジェクト ディベロッパーからのクラリ フィケーション/追加情報 ホスト国承認書 図 3-9:インドにおける CDM 承認プロセス (出所)CDM India ホームページ,http://cdmindia.nic.in/ (2)CDM の承認動向 ①DNA による承認動向 インドにおける CDM プロジェクトの承認動向は、表 3-6 のとおり。 表 3-6:インドにおける CDM の承認動向(2009 年 12 月 31 日現在) 2005年まで 2006年 2007年 2008年 2009年 合計 エネルギー効率 79 87 119 143 41 469 燃料転換 14 19 15 23 2 73 工業プロセス 31 18 13 5 3 70 141 215 184 233 81 854 5 3 8 13 3 32 270 342 339 417 130 1,498 再生可能エネルギー 固形廃棄物 合計 (出所)CDM India ホームページ,http://cdmindia.nic.in/cdmindia/projectList.jsp (注) 本ホームページの再構築により同データの利用不可(2011 年 2 月現在) 3-28 以下に登録案件の概要を示す。UNEP/RISOE データベース(2012 年 1 月 31 日現在)に よると有効化審査にあるプロジェクトが 1,774 件(219,046 k-tCO2/y)であり、登録申請 中のものが 20 件存在する。 表 3-7:2011 年 1 月以降のCDM理事会登録案件(参考) セクター tCO2/年 HFC 削減及び回避 15,282 0.1% 131,011 1.0% 95,246 0.7% バイオマス利用 868,582 6.7% 交通 747,591 5.8% 3,571,054 27.5% 285,397 2.2% 水力発電 2,998,346 23.1% 燃料転換 2,100,686 16.2% 110,868 0.9% 2,066,482 15.9% 12,990,545 100.0% その他再生可能エネルギー バイオガス 省エネ 新規植林・再植林 廃ガス・廃熱利用 風力発電 総計 (%) (出所)IGES データベースより日本エネルギー経済研究所集計 http://www.iges.or.jp/jp/cdm/report_cdm.html ②CDM 理事会による登録動向 2012 年 1 月 31 日現在、登録済み 3,812 件中インドが 775 件と、インドは中国についで 2 番目の CDM プロジェクトホスト国となっている。CDM クレジットの総累積発行量の 8.5 億tのうち、インドは 1.3 億t程度のクレジットを発行している。 また、ユニラテラルプロジェクトが多いこともインドの特徴である。有効化審査段階の インドの主なプロジェクトは表 3-8 のとおりであり、メタンや大規模水力発電プロジェクト の今後の動向が注目される。 3-29 表 3-8:有効化審査段階のインドの主なプロジェクト(2012 年 1 月 31 日 現在) プロジェクト の種類 CDMプロジェクト名 年平均削減量 (tCO2/y) (UNFCCC記載値) Pre Mining CMM extraction at the GEECL block in メタン回収・利用 Raniganj (South), West Bengal, India. Demwe Lower Hydro Electric Project; Arunachal 水力発電 Pradesh; India Teesta Stage III, Run of The River, Hydro 水力発電 Electric Project (Teesta Stage III, RoR, HEP) GHG Emission Reductions through grid connected 省エネ high efficiency power generation Hydroelectric Project in Kinnaur District in 水力発電 Himachal Pradesh Energy efficient power generation at Dahej in 省エネ Gujarat, India Mitigation of GHG emissions through power 省エネ generation at high efficiency Substitution of Hydro-electric power in the 水力発電 National Grid Grid connected natural gas based electricity 燃料転換 generation power plant at Vemagiri, Andhra Pradesh, Greenhouse Gas Emission Reductions Through 燃料転換 Natural Gas – Samalkot Power – Phase II Grid connected energy efficient power generation 省エネ in Jhajjar, Haryana Teesta Stage-VI Hydro Electric Project Greenhouse Gas Emission Reductions Through Natural Gas – Samalkot Power Ltd. Phase - I Greenhouse Gas Emission Reductions Through Natural Gas – Samalkot Power Ltd. Phase - III Energy Efficient Power Generation by Talwandi Sabo Power Limited Energy Efficient Power Generation by Welspun Energy Madhya Pradesh Limited Grid Connected Power Generation through Supercritical technology Natural gas based combined cycle power plant in Tripura, India Energy Efficient Power Generation by Talwandi Sabo Power Limited Energy efficient power generation plant at Krishnapatnam Natural Gas based Combined Cycle Power Plant, GPPC at, Gujarat Energy efficient power generation at Pench in Madhya Pradesh (MP), India 5,652,952 4,333,658 4,148,671 3,585,378 2,425,284 2,327,910 2,222,866 2,211,661 2,106,293 2,074,695 水力発電 2,026,027 燃料転換 1,901,165 燃料転換 1,859,784 省エネ 1,639,743 省エネ 1,637,560 省エネ 1,605,855 燃料転換 1,475,842 省エネ 1,454,788 省エネ 1,234,296 燃料転換 1,205,412 省エネ 1,178,224 (出所)IGES データベースより日本エネルギー経済研究所集計 3-30 8,362,279 (3)CDM 活用に向けた動き 2009 年 2 月 25 日、Bachat Lamp Yojana 事業が電力大臣により開始された。この事業は、 低効率電球とコンパクト蛍光灯(CFL)との交換を CER の販売により促進するもので、CFL を 1 個当たり約 15 ルピー(約 30 円)で世帯に配布する枠組みを提供する。電力省省エネ 局が包括プロジェクトとしてプログラム CDM を作成し、個々のプロジェクトが包括プロジ ェクトに追加される。電力省省エネ局がすべてのプロジェクト地域のモニタリングの責任 を負う。 Bachat Lamp Yojana 事業とは別に、2009 年 2 月 12 日付けで電球交換プロジェクトの第 1 号としてインドのプロジェクトが CDM 理事会に登録された。2009 年末現在、合計で 4 つのインドの CFL 配布プロジェクトが登録されている。 また、ムンバイの MCX(Multi Commodity Exchange)では 2008 年 6 月 10 日以降、 CER が上場されている。各年の 2 月、5 月、8 月および 11 月を限月とする商品が取引され ており、受渡供用品は UNFCCC 当局によって発行された CER(HFC プロジェクト、 LULUCF プロジェクト等を除く)である。このほか、ECX の CFI も取引されている。 JICA の支援をうけ、地下鉄回生ブレーキを活用した CDM プロジェクトとして登録され たデリー地下鉄プロジェクトが完了し、2011 年 8 月に全線開通した。1 日あたり乗車人数 が約 180 万人に達するなど、デリー地下鉄は市民の足として定着している。 また、2011 年 10 月に CDM 理事会によって登録された超臨界石炭火力案件、水力発電案 件に関し、クレジット収入に付随する追加性や環境十全性の観点から NPO の批判がみうけ られた。方法論パネルの ACM0013 に関する保留要請も話題となったが、登録の運びとな った。このため今後の動向にも注視を要する。5 CDM Watch プレス(2011.10.5):UNFCCC Approves Controversial Coal and Hydro Projects in India http://www.cdm-watch.org/wordpress/wp-content/uploads/2011/10/Press_Release_EBre gistersIndianProjects.pdf Reuters(2011.7.12 )”Carbon credits for India coal power plant stoke criticism” http://uk.reuters.com/article/2011/07/12/greenbiz-us-india-carbon-coal-idUKTRE76B1X I20110712 5 3-31 4.ブラジル (1)CDM の承認体制 ブラジル政府は、1992 年の気候変動枠組条約の署名を受け、温暖化対策に関する政府の 方針を検討するための国内体制の構築を開始した。1997 年の京都議定書の採択等を経て、 1999 年 7 月には大統領令に基づき「地球温暖化に関する多省庁間委員会(CIMGC: Comissão Interministerial de Mudança Global do Clima)」が設立された。同委員会は、 11 省庁の代表者から構成され、科学技術大臣と環境大臣がそれぞれ議長と副議長をつとめ、 科学技術省が事務局長の地位を占める。緩和および適応に関係する政策、法および基準案 に関する答申、UNFCCC 及び補助機関における国際交渉における戦略等の提言、気候変動 に関する官民の協同施策等の促進等のほか、CDM の指定国家機関(DNA: Designated National Authority)としての任務等を担っている。 2008 年 12 月には、気候変動に関する国家計画が発表された。国家計画は、①経済セク ターにおける効率増加の促進、②電源構成における再生可能エネルギーの高いシェアの維 持、③国内交通におけるバイオ燃料シェアの持続可能な増加、持続可能なバイオ燃料の国 際市場の再構築、④違法森林破壊ゼロに向けた森林破壊率の削減 ⑤森林率純減の 2015 年 までの停止、⑥脆弱性削減に関するセクター間行動の強化、⑦気候変動から生じる環境影 響の特定、適応の社会経済的コストを最小化するための科学的研究の促進を柱に、(Ⅰ)緩 和、 (Ⅱ)脆弱性、影響および適応、 (Ⅲ)研究・開発、 (Ⅳ)技術の向上と普及の 4 つのテ ーマに分けられ、それぞれのテーマ分野に定められている行動の実施可能性を保証するた め、横断的に法的・経済的手段を作成しなければならないとしている。CDM に関しては、 自主的緩和措置のため既に存在している主要な経済的手段であり、そのポテンシャルを強 調しなければならないとしている。 CIMGC が DNA として CDM に関して担う役割は、CDM プロジェクトについてのブラ ジル政府の承認基準(eligibility criteria)の策定、申請されたプロジェクトの審査・承認 等となっている。そのため、同委員会の決議によりブラジルの CDM に関する手続きの詳細 が定められている。2003 年 9 月 11 日付け決議書第 1 号(最終改正 2008 年 3 月 5 日付け決 議第 7 号)により、承認申請のための提出書類(①PDD、②プロジェクトの持続可能な発 展に対する貢献に関する記述、③プロジェクト参加者からステークホルダーへ送られたコ メント募集のコピー、④有効化審査報告書、⑤責任者およびコンタクト情報に関する申告、 ⑥プロジェクトが環境・労働法令を遵守していることを示す文書等) 、プロジェクトの承認 基準(表 3-9)、手続き(図 3-10)等が規定されている。プロジェクトの承認如何について プロジェクトの承認申請書類の受理後の委員会定期会合開催から 60 日以内に結果を発表す ること、委員会にて審査されたすべてのプロジェクトのデータベースを運営し認証・検証 報告書類等も含め公表すること、等の規定がある。PoA に関する規定は、2009 年 3 月 20 日付け決議書第 9 号に定められている。 3-32 表 3-9:ブラジル DNA のプロジェクト承認基準 基準 評価内容 a. 地域の持続可能な環境への貢献 廃棄物、汚水、大気汚染等の緩和 b. 労働条件、雇用創出への貢献 社会責任の遵守、雇用の量的質的変化 c. 所得分配への貢献 所得分配効果、低所得者層の生活水準への影響等、社 会経済的便益 d. 人材育成・技術開発への貢献 技術導入、波及効果 e. 地域開発への貢献 地域の社会経済活動との相互連携 (出所)2003 年 9 月 11 日付け決議書第 1 号 http://www.mct.gov.br/index.php/content/view/16167.html プロジェクト提出が 次のCIMGC会合で なされたとみなされ るための文書送付 の最終期限 CIMGCがプロジェク トを検討する期限 CIMGCの会合 60日 5労働日 文書の受理と検証 1労働日 科学技術省ウェブ ページでの公開 LoAの発行(プロ ジェクトが委員会メ ンバーによって承認 された場合) 図 3-10:ブラジルの CDM プロジェクト承認手続き (出所)科学技術省 HP,http://www.mct.gov.br/index.php/content/view/37146.html ブラジルの全国連系システムにおける発電の CO2 排出係数は科学技術省の HP 上で公表 されている6。CIMGC は DNA として、連携電力系統を単一のシステム(全国連系システ ム(SIN))と定めた。HP 上の表では、送電データ分析(dispatch data analysis)にした がい BM(年次)および OM (月次、毎時)の CO2 排出係数が示されている。 DNA としての発電の CO2 排出係数決定の経緯としては、まず、CIMGC に提出された大 多数のプロジェクトでは、2 つのサブシステム(北/北東部および南/南東/中西部)のみが考 慮されていた。2005 年 7 月に、鉱山エネルギー省(MME)、科学技術省(MCT)および全 国電力系統運営者(ONS)によるワーキンググループが設置され、2007 年に 4 つのサブシ ステム(北部、北東部、南東/中西部および南部)の採用を提案した。その後、パブリック 6科学技術省 HP http://www.mct.gov.br/index.php/content/view/307492.html 3-33 コンサルテーションおよび電力システムの排出係数計算ツールの基準による分析・シミュ レーションを踏まえて、ワーキンググループは 2008 年 4 月、単一の電力系統の形を採用す るよう勧告し、CIMGC も 4 月に単一のシステムを採用することを決定し、2008 年 5 月に 開かれた CIMGC 会合で、決議第 8 号として承認された。 (2)CDM の承認動向 ブラジルの DNA がこれまでに承認した CDM プロジェクトは 258 件となっている7。2005 年から 2007 年は承認件数が年間 50 件を超えていたが、2008 年以降は 20 件前後、2011 年 には 6 件に減少している。 表 3-10:ブラジル DNA の承認プロジェクト 2004 植林・再植林 エネルギー効率 化石燃料転換 漏出 工業プロセス 再生可能エネルギー 廃棄物処理 廃棄物 0 3 3 2005 2006 2007 2 4 1 6 1 43 13 6 69 4 28 8 10 57 8 4 1 2 17 16 7 55 2008 2009 2 3 6 7 1 19 2010 1 1 2 12 8 5 27 4 3 10 3 22 2011 総計 1 11 17 1 16 5 114 62 1 36 6 258 (出所)科学技術省 HP,http://www.mct.gov.br/index.php/content/view/65845.html CDM 理事会に登録されたプロジェクトは 201 件(削減量は 2,379 万 tCO2e/年)にのぼ っており、件数においても削減量においても中国およびインドに次ぐ 3 番目のホスト国と 。また、ブラジルは PoA の取り組みで先行している国 なっている(2012 年 2 月 6 日現在8) の一つであり、ブラジルの家畜糞尿 PoA が 2009 年 9 月に世界で 2 件目に登録された。 CDM 理事会によって登録されたブラジルのプロジェクトの中で削減量の多い主なプロ ジェクトは表 3-11 のとおりである。 7 2012 年 2 月 8 日時点で、科学技術省 HP 上では、承認件数 268 件との記載があるが、承認プロジェクト リストに含まれる件数は 258 件であるため、リストの件数を採用した。 8 UNFCCC ウェブサイト http://cdm.unfccc.int/Statistics/index.html 3-34 表 3-11:CDM 理事会によって登録されたブラジルの主なプロジェクト (2011 年 2 月 8 日現在) 登録 タイトル その他締約国 方法論 削減量 (tCO2 e)/年 プロジェク ト番号 Brazil NovaGerar Landfill Gas to Energy オランダ Project AM0003 670,133 8 Salvador da Bahia Landfill Gas Management Project 日本・オラン ダ・英国 AM0002 664,674 52 2005/12/25 N2 O Emission Reduction in Paulínia, SP, Brazil スイス・日本・ オランダ・英 国・フランス AM0021 5,961,165 116 2006/2/20 Bandeirantes Landfill Gas to Energy Project (BLFGE) スイス・オラン ダ・ドイツ ACM0001 ver. 2 1,070,649 164 2006/3/9 Caieiras landfill gas emission reduction 日本 ACM0001 ver. 2 770,932 171 2006/5/15 Landfill Gas to Energy Project at Lara Landfill, Mauá, Brazil AM0003 ver. 3 751,148 91 2006/7/2 São João Landfill Gas to Energy Project スイス・ドイツ (SJ) ACM0001 ver. 2 816,940 373 2011/7/8 Manaus Landfill Gas Project 1,031,574 4211 2004/11/18 2005/8/15 スイス・オラン ダ カナダ ACM0001 ver. 11 (出所)UNFCCC・CDM ホームページ,http://cdm.unfccc.int/ (3)CDM 活用に向けた動き 排出権活用のための取り組みとしては、ブラジル商品先物取引所(BM&F)が、ブラジ ル発展・産業・通商省(MDIC)と共同でブラジル炭素市場(MBRE)を創設した。ブラジ ル炭素市場は、BM&F 炭素ファシリティおよび BM&F クレジットオークションシステム からなる。BM&F 炭素ファシリティは、DOE によって有効化審査されたプロジェクトおよ び PIN を登録するとともに、クレジットを購入する意思のある外国の投資家もその関心を 取引所に登録することにより、クレジットへの資金提供または取引に関心がある者への販 売促進を図る手段であり、2005 年 9 月半ばに開始された。また、BM&F クレジットオーク ションシステムは、クレジットのオークションのためのウェブベースの電子取引プラット フォームの開発・設立を伴う。クレジットのオークションは、2007 年に開始され、CDM プロジェクト申請者からの需要に応じて、BM&F によってスケジュールが立てられる。 また、ブラジルは 2020 年までにベースライン比 36%-39%の二酸化炭素排出削減を約束 している。この中で、ブラジル第 2 の経済規模を持つリオデジャネイロ州は、2013 年から 2015 年の間に大規模排出事業者を対象に排出量上限を設定し、排出量取引制度を導入する 予定と報道されている。2012 年 6 月に開催されるリオ+20 環境会議までに規則を決定する ことを目標としており、排出枠の配分方法などを検討している。 前述の MBRE がオフセットを対象とする市場であるのに対し、2013 年には、排出量取引 制度下の排出枠を取引できる「グリーン取引所(Bolsa Verde)」と呼ばれる市場を開設する 計画である。 (2011 年 12 月 2 日付 ポイントカーボン記事 “INTERVIEW: Rio de Janeiro 3-35 to launch ETS by 2015, eyes links”、及び、2011 年 12 月 19 日付 ポイントカーボン記事 “Rio de Janeiro to set up carbon trading exchange”) また、国内の再生可能エネルギー利用促進を目的に 2002 年より実施されている「代替エ ネルギー源多様化プログラム(PROINFA)」のもと、ブラジル国立経済社会開発銀行 (BNDES:Banco Nacional do desenvolvimento econômico e social)が、CDM 案件に対 する優遇融資制度を導入、更に 2008 年 2 月には CDM プロジェクトの促進を目的に総額 500 百万レアル(約 298 百万米ドル)のプライベート・エクイティ・ファンド「ブラジル 持続可能性ファンド」 (FBS:Fundo Brasil Sustentabilidade)の設立を発表した。同ファ ンドは、第一号投資案件として、ブラジル・アマゾン地方における植林・自然林保護プロ ジェクトを手掛ける企業への投資を 2011 年 1 月末に実行した9。 我が国との間においては、2007 年に、国際協力銀行がブラジルにおける CDM プロジェ クトの促進、及び日本企業等による排出権獲得の支援を目的に、同国大手商業銀行である ウニバンコ(UNIBANCO:União de Bancos Brasileiros S.A)に対して、総額 50 百万米 ドルを限度とする融資を行っている。 なお、2007 年 10 月にブラジル科学技術金融公社(FINEP:Financiamento de Estudos e Projetos)が世銀との間で締結した CDM プロジェクト形成促進プログラムは、我が国政 府が世銀に資金提供した「日本開発政策・人材育成基金(PHRD: The Japan Policy and Human Resources)」の下で実施されている。 民間レベルの動きも活発化しており、2008 年 10 月には三井住友銀行が CDM コンサル ティング専業子会社 BSMB Consultoria Ltda.をブラジル三井住友銀行の傘下に設立した10。 2010 年 4 月、前述のブラジル持続可能性ファンドの CDM アドバイザーとして、ブラジル 三井住友銀行が選任された11。また、2009 年 4 月には三菱 UFJ ファイナンシャルグループ がブラジルのブラデスコ銀行と CDM プロジェクト形成、ファイナンスにおいて協力すると の報道がされている12。 三井住友銀行 HP http://www.smbc.co.jp/news/html/j100039/j100039_01.html 三井住友銀行 HP http://www.smbc.co.jp/news/html/j200361/j200361_01.html 11 三井住友銀行 HP http://www.smbc.co.jp/news/html/j100039/j100039_01.html 12 2009 年 4 月 23 日付けポイントカーボン記事「ブラジルと日本の金融グループが CDM について協力(Brazilian, Japanese financial groups partner on CDM)」 http://www.pointcarbon.com/news/1.1103326 9 10 3-36 5.マレーシア (1)基本情報 1. 面積:約 33 万平方キロメートル(日本の約 0.9 倍) 2. 人口:2,840 万人(2010 年、統計局) 3. 主要産業:製造業(電気機器)、農林業(天然ゴム、パーム油、木材)及び鉱業(錫、 原油、LNG) 4. 実質 GDP:1,474 億米ドル(2009 年)、1,738 億米ドル(2010 年) 5. 経済成長率:4.6%(2008 年)、-1.7%(2009 年)、7.2%(2010 年) 6. 貿易(2010 年) 7. 輸出:1,989 億 9,420 万米ドル(電気製品、パ-ム油、化学製品、原油・石油製品、LNG、 機械・器具製品、金属製品、科学光学設備、ゴム製品等) 輸入:1,646 億 8,880 万米ドル(電気製品、製造機器、化学製品、輸送機器、金属製品、 原油・石油製品、鉄鋼製品、科学光学設備、食料品等) マレーシアは COP15 において、マレーシアの CO2 排出量を 2020 年までに 2005 年比 40% 削減することと宣言した。また、2009 年 7 月に、エネルギーの効率的な利用の推進、環境 負荷の軽減、環境技術の活用による経済的発展、国民生活の質的向上の 4 つを柱とした「国 家グリーン技術政策(National Green Technology Policy)」を策定し、環境保全や資源保 護に資する「グリーン技術」の開発・活用を推進している。その後、2010 年 6 月に公表さ れた第 10 次マレーシアプラン(Tenth Malaysia Plan 2011-2015)では、気候変動問題に 対する緩和・適応策の基本方針が定められており、気候変動への緩和策として、①再生可 能エネルギーの開発・利用、②省エネ、③廃棄物管理、④森林保護、⑤大気汚染の管理の 5 分野を軸に行動計画や目標を組み立てている。 日本の三井住友銀行は、マレーシアグリーン購入ネットワーク(Green Purchasing Network Association Malaysia、GPNM)と環境関連ビジネス推進に関する覚書を締結し、 ①環境ビジネスにおける日本とマレーシアの企業マッチング、②環境プロジェクトに対す る融資や③CDM 事業から出る排出権の売買仲介-の 3 つが提携の狙いとしている。 (2)CDM 承認体制 マレーシアは 1994 年 7 月 13 日に気候変動枠組条約(UNFCCC)を批准し、2002 年 9 月 4 日に京都議定書を批准している。そして、その後の約 2 年間で審査体制を整えてお り、比較的迅速に対応している。 指定国家機関(Designated National Authority: DNA)は天然資源・環境省(Ministry of Natural Resources and Environment: MNRE)環境保護管理局( Conservation and Environmental Management Division: CEMD)である。同局は、マレーシア政府の環境 3-37 政策を担当し、CDM を含めた気候変動の諸課題への対策についてもその政策と方針を策定 し全体を統括する役割を持つ。同局は CDM 案件の審査に際し、同局が持続的開発の国家 クライテリアとの整合性検証を行っている。 DNA である同局の下で気候変動の諸課題を検討するのが気候変動に関する国家運営委 員会(National Steering Committee on Climate Change: NSCCC)であり、1994 年の気 候変動枠組み条約批准を踏まえ、設置された。同委員会には政府関係機関(次官クラス中 心)および NGO が参加。科学技術・環境省(Ministry of Science, Technology and Environment: MOSTE、現天然資源・環境省、以下現在の省名で記載)総括次官が議長を 務め、同省環境保護管理局が事務局となっている。 同運営委員会の下で CDM に関する議論を行うのが CDM 国家委員会(National Committee on CDM: NCCDM)である。この委員会は CDM に関わるエネルギーと森林の 両セクターをカバーするものとして組織されている。 同委員会の下にはエネルギーおよび森林両セクターの技術委員会があり、これら技術委 員会が技術的・専門的見地から具体的な検討を行う。技術委員会は、エネルギーと森林の両 セクターに分かれ、CDM プロジェクトの申請を技術的な観点から審査し CDM 国家委員 会に当該案件承認可否の勧告を行う組織である。技術委員会の活動を支えるのが事務局で ある。マレーシアエネルギーセンター(Malaysia Energy Centre/Pusat Tenaga Malaysia: PTM、現マレーシアグリーン技術開発促進機関、Malaysia Green Technology Cooperation) は 2002 年 9 月にエネルギー技術委員会の事務局に指定された。森林技術委員会の事務局 としてはマレーシア森林研究所が指定されている13。 図 3-11 に CDM の承認組織の枠組を表 3-12 に技術委員会のメンバー構成を表わした。 Malaysia CDM Information Handbook(PTM、http://cdm.eib.org.my/)、NEDO 海外レポート、NO. 937(2004. 8. 11)、NO.938(2004.8.25) 13 3-38 DNA 天然資源・環境省 環境保護管理局 Conservation and Environmental Management Division, Ministry of Natural Resources and Environment (CEMD, MNRE) 気候変動に関する国家運営委員会 National Steering Committee on Climate Change (NSCCC) CDM 国家委員会 National Committee on CDM (NCCDM) エネルギーセクターCDM技術委員 会 Technical Committee on CDM for Energy Sector 森林セクター CDM技術委員会 Technical Committee on CDM for Forestry Sector エネルギーセクターCDM 事務局 (CDM Energy Secretariat) マレーシアエネルギーセンター (PTM) 森林セクターCDM 事務局 (CDM Forestry Secretariat) マレーシア森林研究所 (FRIM) 図 3-11:マレーシア CDM 承認組織の枠組 (出所)各種資料から作成 3-39 表 3-12:技術委員会の構成 エネルギーセクターCDM 技術委員会 【議長】 ・ エネルギー・水資源・通信省(Ministry of Energy, Water Resources and Communication; MEWC) 【事務局】 ・ マレーシアグリーン技術開発促進機関、Malaysia Green Technology Cooperation) 【その他構成メンバー】 ・ 経済企画庁(EPU) ・ エネルギー委員会(Energy Commission) ・ 環境庁(Department of Environment) ・ マレーシアパームオイル協会(Malaysian Palm Oil Board; MPOB) ・ マレーシア製造業組合(Federation of Malaysian Manufacturers; FMM) ・ 銀行協会(Association of Banks) ・ 持続可能な発展ための経済人会議(Business Council for Sustainable Development Malaysia) 森林セクターCDM 技術委員会 【議長】 ・ 天然資源・環境省(Ministry of Natural Resources and Environment) 【事務局】 ・ マレーシア森林研究所(Forest Research Institute Malaysia; FRIM) 【その他構成メンバー】 ・ マレー半島森林局(Forestry Department Peninsular Malaysia) ・ サバ州森林局(Forestry Department Sabah) ・ サラワク州森林局(Forestry Department Sarawak) ・ サラワク州天然資源・環境協会(Natural Resources Environment Board Sarawak) ・ Jabatan Hal Ehwal Orang Asli ・ マレーシア林業貿易組合(Timber Trade Federation Malaysia) ・ マレーシアパームオイル協会(Malaysian Palm Oil Board; MPOB) ・ マレーシアゴム協会(Malaysian Rubber Board) ・ サラワク林業協会(Sarawak Timber Association) ・ サバ州林業協会(Sabah Timber Association) ・ 2 つの NGO (出所)Malaysia CDM Information Handbook, PTM 3-40 CDM の承認のプロセスは以下のとおりである。 ステージ1:PIN (Project Idea Note)の作成・提出(PDD が PIN を代替可能) プロジェクト実施者は、 プロジェクトの概要をまとめた PIN を DNA である CEMD に提出。 その後 DNA は、プロジェクトの仮評価を行う(エネルギープロジェクトであれば PTM、 森林プロジェクトであれば FRIM に送られる) 。 ステージ2:PIN の評価 PTM または FRIM は、必要に応じてプロジェクト実施者と連絡を取りながら、プロジェク トの技術的評価を行う。CDM 技術委員会は、その評価をレビューし、NCCDM に対して勧 告を行う。 ステージ3:条件付き承認 NCCDM は、CDM 技術委員会からの勧告をもとに、プロジェクトの評価を行う。プロジェ クトが要求事項を満たすと判断された場合、DNA から条件付の承認レター(Conditional letter of approval)が発行される。 ステージ4:PDD の作成 プロジェクト実施者は、PDD を作成する。 ステージ5:有効化審査の実施 DOE は、作成された PDD の有効化審査を実施する。 ステージ6:承認 プロジェクトの内容が、ステージ1で提出された PIN の内容と大きく違わなければ、正式 な承認レターが発行される。 告知 天然資源・環境省 環境保護管理局 (DNA) プロジェクト開発者 CDM理事会 提出 補足情報の提供 CDM 国家委員会 技術的評価 勧告 エネルギー技術委員会 (Ministry of Energy, Water and Communications) (MEC – Secretariat) 森林技術委員会 (Ministry of Natural Resources and Environment) (FRIM -Secretariat) 図 3-12:CDM 承認の流れ (出所)Dr. Nadzri Yanaya 発表資料から作成14 プロジェクトの承認基準としては、以下の要件を挙げている。 Dr. Nadzri Yahaya ( [email protected] ) 天然資源・環境省環境保護管理局 Secretary)、The CDM Seminar in Malaysia 10 March 2005 (Nikko Hotel) 14 3-41 副次官(Deputy Under ①政府の持続可能な発展政策に合致すること ②附属書 I 国から参加があること ③技術移転による便益と技術の向上をもたらすこと ④CDM 理事会によって規定された条件を満たすこと ⑤プロジェクト参加者に当該プロジェクトを実施する能力があること なお、マレーシアはすべての PIN または PDD の提出者から運営手数料を徴収すること を決めており、2006 年 9 月 1 日から徴収している。 表 3-13:運営手数料 提出書類 手数料(RM) PIN 1000 PDD 2500(小規模プロジェクト) 5000 出所)Malaysia CDM Information Handbook, PTM (3)CDM 登録・有効化審査状況 2012 年 1 月 24 日現在の CDM 登録件数は 105 件で世界第 5 位、登録プロジェクトから の予想削減量は年平均 5,869,063 トンで世界第 7 位である。有効化審査件数は 239 件で、 年間の予想削減量は 20,367,486 トンである。 有効化審査プロジェクトの方法論別件数および削減量は次のとおりである(表 3-14)。 表 3-14:有効化審査プロジェクトの方法論別件数および削減量(2012 年 1 月 24 日現在) セクタースコープ 方法論 1(エネルギー産業) ACM0006(バイオマス残渣による発電) AMS-I.C.(使用者用の熱エネルギー) 13(廃棄物処理・処分) AM0039(有機廃液・生ごみの同時コン ポスト化によるメタン排出削減) AMS-III.F.(バイオマスの生物学的処理 によるメタン排出回避) AMS-III.H.(廃水のメタン回収) 1,13 AM0025(代替廃棄物処理プロセスによ る有機廃棄物からの排出回避) AMS-I.C, AMS-III.E(燃焼、ガス化また は機械的・熱的処理によるバイオマス腐 敗からのメタン発生回避) その他 合計 削減量 (tCO2e/年) 12 1,912,950 30 2,067,309 件数 15 4,355,692 42 1,239,265 61 1,587,184 7 1,820,394 7 1,295,324 65 6,089,368 239 20,367,486 (出所)UNFCCC CDM ホームページ(http://cdm.unfccc.int/) 3-42 6.インドネシア (1)基本情報 1. 面積:約 189 万平方キロメートル(日本の約 5 倍) 2. 人口:約 2 億 3,760 万人(2010 年政府推計、世界第 4 位) 3. 主要産業:鉱業(石油、LNG、アルミ、錫)、農業(米、ゴム、パーム油)、工業(木 材製品、セメント、肥料) 4. GDP:約 5,402 億米ドル(2009 年名目、政府統計) 5. 経済成長率:6.1%(2010 年、政府統計) 6. 貿易 輸出:1,578 億米ドル(石油・ガス、動物・植物油、鉱物性燃料など) 輸入:1,357 億米ドル(石油・ガス、一般機械機器、鉄鋼など) (2)インドネシアの CDM 承認体制 インドネシアは、他の ASEAN 諸国に比べ、京都議定書批准が遅れたため(2004 年 12 月 3 日)、プロジェクトの開発で、当初大きく出遅れた。しかし、CDM 理事会によるインド ネシアのプロジェクトの登録件数は計 79 件(世界第 7 位)、有効化審査件数は計 220 件で、 ともに ASEAN 諸国の中ではマレーシア、ベトナムに次ぐ数である(2012 年 2 月 20 日現 在)。 インドネシアの CDM 指定国家機関(Designated National Authority: DNA)は国家 CDM 委員会(National Commission for CDM: NC-CDM)であり、環境省、エネルギー鉱物資 源省など9省庁の代表にて構成される。 ホームページ:http://dna-cdm.menlh.go.id/en/ ①国家 CDM 当局 国家 CDM 委員会は、提出された CDM プロジェクトについて審査を行い、承認決定 を行う。同委員会は、関係省庁等からの代表者 14 名で構成され(図 3-13) 、委員会の 下には国家気候変動協議会(National Council for Climate Change:DNPI)が担当す る事務局を中心とし、技術チーム、専門家グループ、関係者フォーラムが配置されてい る。 3-43 国家CDM委員会 (NATIONAL COMMISSION ON CLEAN DEVELOPMENT MECHANISM) 環 境 省 国 家 開 発 企 画 庁 エネルギー鉱物資源省 経 済 担 当 調 整 相 林 業 省 産 業 省 外 務 省 住 宅 省 運 輸 省 財 務 省 農 業 省 応 用 技 術 評 価 庁 国 土 庁 国 家 気 候 変 動 協 議 会 図 3-13:インドネシア国家 CDM 委員会の構成 (出所)国家 CDM 委員会ホームページ、IGES 市場メカニズム国別ハンドブック等から作成 事務局は、プロジェクト申請の受付等、CDM 審査手続きを円滑に行うための事務を 所掌している。書式、必要書類の有無などの観点からの書類チェックを行い、国家 CDM 委員会ホームページに掲載し、パブリックコメントの受付を行う。専門家グループのリ ストも作成する。 技術チームは、技術的・専門的観点から承認基準に照らし、プロジェクトの妥当性を 検証する。必要な場合は専門家グループ等からの意見を参考にする。 専門家グループは、必要性が認められた場合、技術チームに対して意見提出等を行う。 ②ホスト国承認 持続可能な発展指標として、次の側面が CDM プロジェクトについて検討される。 1. 環境持続性:プロジェクト実施により生物環境域が、天然資源の保護あるいは 多様化を損ねることがないか。また地域住民の健康と安全は確保されているか。 2. 経済的持続性:プロジェクトが行われる行政区において、地域住民の福祉が保 たれるかどうか。具体的には、公共サービスの質が低下しないこと、住民の収 入を招かないこと(収入が下がる場合には、補償がなされること)などが挙げ られる。 3. 社会的持続性:地域住民の参加がなされ、地域社会の安定に資するものである か。 4. 技術的持続性:インドネシアにとって、技術移転の促進に繋がるか。知識やノ 3-44 ウハウの移転にあたり、外国への依存が高まらないこと、また地域の技術の利 用およびキャパシティ・ビルディングが強化されるかという点も判断材料にな る。 承認プロセスについては、プロジェクト提案者は、事務局へ申請にあたり次の書類を電 子ファイルおよび紙媒体で用意する。 ① 必要事項がすべて記載された指定申請様式による申請書 ② PDD ③ 環境影響評価報告書(必要な場合) ④ 公聴会の記録 ⑤ 林業省の推薦状(植林・再植林プロジェクトの場合) ⑥ その他プロジェクトの妥当性を証明するために必要な書類 プロジェクト実施者は上記必要書類を用意した上で、事務局に提出する。事務局では、 必要書類の確認を行った後、パブリックコメント募集のため、Web 上に掲載、国家 CDM 委員会は申請内容が、持続可能な発展指標に沿ったものであるかを、技術チームや専門家 グループの意見を踏まえ審査を行い、承認を行う。 申請書類のの提出 事務局がPDDを受領 Web上でパブリックコメントの受付 専門家グループの評価 (5日間) 国家CDM委員会内部調整会合 (1日) 部門チーム(技術チーム内から 選抜)の評価 技術チームによる評価・報告書 の作成(21日間) 専門家グループの評価 (5日間) 事務局により評価報告書を受 理 国家CDM委員会承認審査 (1日間) 不承認、差し戻し ステークホルダーフォーラム (1日間) 承認レターの発行 図 3-14:インドネシアにおける CDM 承認プロセス (出所)国家 CDM 委員会ホームページ、NEDO 海外レポート 941 号 3-45 などから作成 (3)CDM の承認動向 DNA による承認プロジェクト数の推移は次のとおりである(表 3-15)。 表 3-15:DNA による承認プロジェクト数の推移 プロジェクト数 2005年 5 2006年 6 2007年 13 2008年 46 2009年 34 合計 104 (出所)国家 CDM 委員会ホームページ(http://dna-cdm.menlh.go.id/en/) また、CDM 理事会によるインドネシアのプロジェクトの登録件数は計 79 件(世界第 6 位)、有効化審査件数は計 220 件(世界第 6 位)で、ともに ASEAN 諸国の中ではマレーシ アに次ぐ数である(2012 年 2 月 20 日まで)。 有効化審査プロジェクトの方法論別件数および削減量は次のとおりである(表 3-16)。 表 3-16:有効化審査プロジェクトの方法論別件数および削減量(2012 年 2 月 20 日現在) 方法論 セクトラル 件数 スコープ 年間削減量 (tCO2e/年) ACM0006 1 7 663,298 ACM0002 1 30 7,770,417 ACM0012 1,4 13 1,713,934 AMS-I.D. 1 43 2,709,571 AMS-III.H. 13 19 1,187,574 その他 115 10,755,263 合計 208 24,800,057 (出所)UNFCCC CDM ホームページ(http://cdm.unfccc.int/) 3-46 7. ロシア (1)基本情報 1. 面積: 1,707 万平方キロメートル 2. 人口: 1 億 4,285 万人(2012 年 2 月) 3. 主要産業: 鉱業(石油、天然ガス、石炭、鉄鉱石、金、ダイヤモンド等)、鉄鋼業、 機械工業、化学工業、繊維工業 4. GDP:44.9 兆ルーブル(2010 年) 5. 経済成長率: 4.0%(2010 年) 6. 総貿易額(2007 年:CIS 統計委員会)・主要貿易品目 (1) 輸出 4,001 億ドル: 石油、石油製品、天然ガス、鉄鋼、機械・設備 (2) 輸入 2,487 億ドル: 機械・設備、自動車、食料品、医薬品 (2)背景 国連気候変動枠組条約を 1994 年 11 月に、京都議定書を 2004 年 9 月に批准した。京都議 定書では 1990 年比±0%という排出量目標を持っているが、1991 年のソビエト連邦崩壊後 の経済破綻のため、2007 年の排出量は 1990 年比で▲40.3%と大きく目標を下回っており、 JI ホスト国としてのポテンシャルは大きい。 2008 年 6 月に京都メカニズム参加資格(eligibility)を取得した。これまでにトラック 1 とトラック 2 合わせて 155 件のプロジェクトが申請されており、そのうち 27 件が登録済み であり、また 20 件は取り下げられている。登録済みの 27 件のうち 26 件はトラック 1 であ り、トラック2は 1 件のみとなっている。但し、トラック 1 のうち 14 件はトラック 2 から トラック変更されたものである。 (3)JI に関する国内手続き ロシアは 2007 年 5 月に JI に関する国内手続きを制定した(決議 332)。その後、2009 年 10 月には簡素化された手続きに改定されている(決議 843)。 これによると窓口機関(DFP: Designated Focal Point)は経済発展省(Ministry of Economic Development)である。さらにロシア最大の銀行であるロシア連邦貯蓄銀行 (Sberbank)が“排出権オペレーター”としての役割を果たすことになっている。 3-47 図.3-15 ロシアの JI 手続き ① プロジェクト投資家は Sberbank に申請を行う。なおプロジェクト投資家は、ロシア の法人でなければならない。 ② Sberbank が「エネルギー・環境効率性」、「プロジェクト遂行上の投資家の技術的・ 資金的なポテンシャル」 、「経済的・社会的影響」といった基準により、各申請にスコ アを付ける。 ③ 専門家委員会が各申請を検討し、その検討結果を委員会実施から 3 営業日以内に Sberbank が経済発展省に送付する。 ④ 結果を受領してから 10 営業日以内に、経済発展省が各申請の承認/否認の判断をす る。 ⑤ 経済発展省は判断を下してから 3 営業日以内に申請者に結果を通知する。 ⑥ 承認されたプロジェクトは経済発展省の登録簿に登録され、ウェブサイト上で公開さ れる。 ⑦ PDD に従ってプロジェクトが実施される。 ⑧ 毎年 9 月 30 日までにプロジェクト投資家は経済発展省及び Sberbank にモニタリン グ報告書を提出する。 ⑨ 提出された検証報告書及びモニタリング報告書が正しい場合、経済発展省は ERU の 発行の決議を行う。 (4)JI の承認動向 これまでに 27 件のプロジェクトが登録されており、プロジェクトの種類としては、省エ ネ関連と漏えい防止がそれぞれ 8 件ずつと多く、バイオマス利用が 5 件、産業ガス削減が 3 件、水力、燃料転換、ランドフィルガスが各 1 件となっている。ERU 発行は 2010 年から 3-48 開始され、2012 年 2 月 1 日時点では、約 2900 万の ERU が発行されている。これはこの 時点での ERU の全発行数の約 25%に相当し、ウクライナに次いで 2 番目に多い国となっ ている。 3-49 表 3-17 UNEP 登録済みの JI プロジェクトと ERU 発行状況(2012 年 2 月 1 日時点。出典: RISOE センター) プロジェクト名 発行済み ERU(千tCO2eq) 2012年まで の削減量 ERU発行見 (千t込(千) CO2eq) クレジット購入者 トラック 種類 1※ バイオマス 利用 Increase in efficiency of water resources use at Bratsk HPP, Irkutsk region 2 水力 920 4,010 1,004 n.a. Yety-Purovskoe Oil field Associated gas recovery and Utilization project 1※ 漏えい防止 1,052 3,110 1,259 Japan (Mitsubishi) Co-destruction of HFC23 and SF6 at KCKK Polimer plant 1※ HFC削減 10,630 4,979 3,667 Switzerland (Vitol) HFC-23 destruction at JSC, Halogen, Perm 1※ HFC削減 9,322 2,645 1,982 Switzerland (Vitol) 1 省エネ 393 880 504 n.a. 1※ 省エネ 2,879 7,501 4,500 Luxemburg (Carbon Trade and Finance) 1 漏えい防止 6,841 n.a. (Carbon Trade and Finance) 1※ 漏えい防止 6,651 Denmark (DONG) 1 PFC、SF6 削減 749 1,165 639 Netherlands (Carbon Trade and Finance) 1※ 燃料転換 57 1,125 132 Germany (E.ON) 1 バイオマス 利用 435 1,391 715 n.a. Landfill gas recovery and flaring at the municipal solid waste site “Shirokorechenskiy”, Ekaterinburg 1※ ランドフィル ガス利用 Reconstruction of the steelmaking at JSC “Ashinskiy Metallurgical Works”, Asha 1 省エネ 604 1,975 885 Switzerland (Noble Resources) 1※ 漏えい防止 358 846 395 France (BNP Paribas) 1 省エネ 833 n.a. Coal- to-Waste Wood Energy Switch in Town of Onega 1※ バイオマス 利用 788 n.a. Implementation of energy efficiency projects at OJSC “Novolipetsk Steel”, Lipetsk area 1※ 省エネ 2,464 Netherlands (Global Carbon BV) Biomass utilization at JSC Segezha Pulp and Paper Mill 1 バイオマス 利用 284 United K. (CAMCO) Wood waste to energy in Severoonezhsk, the Arkhangelsk Region 1 バイオマス 利用 27 130 37 United K. (Gazprom) Utilization of associated petroleum gas (APG) at the Serginskoye oil field 1 漏えい防止 22 108 62 Switzerland (LITASCO) Utilization of Associated petroleum gas (APG) at the Vostochno-Perevalnoye oil field 1 漏えい防止 113 312 187 Switzerland (LITASCO) Utilization of associated petroleum gas (APG) at the Sredne-Khulymsk oil field 1 漏えい防止 231 526 316 Switzerland (LITASCO) Reconstruction of the steel – smelting manufacture of “Seversky pipe plant” 1※ 省エネ 352 2,241 559 Sweden (Tricorona Carbon Asset Management) Implementation of Resource-Saving Technologies at JSC “Ural Steel”, Novotroitsk 1※ 省エネ Reconstruction of the OJSC “Nizhniy Tagil Iron and Steel Works” blast furnaces #5 and #6 1※ 省エネ 1 漏えい防止 Wood waste-to-energy project at Sawmill-25 Evaporation System Modernization at OJSC “Ilim Group” Branch in Koryazhma Implementation of arc-furnace steelmaking at Magnitogorsk Iron and Steel Works Associated Petroleum Gas Recovery for the Kharampur oil fields of “Rosneft” Associated Gas Recovery Project for the Komsomolskoye Oil Field Reduction of perfluorocarbons emissions from RUSAL Krasnoyarsk Aluminium Smelter Installation of CCGT-400 at Shaturskaya TPP, OGK-4, Moscow area, Russia Biomass wastes to energy at OJSC “Ilim Group” Branch in the town of Bratsk SNG gas gathering Upgrading of technological tube furnaces at the company “LUKOIL-Permnefteorgsintez” LLC, city of Perm Yuzhno Balyksky associated gas recovery project ※トラック2から変更されたプロジェクト 3-50 215 n.a. (CAMCO) 959 n.a. 3,165 1,073 2,121 9,641 n.a. (CAMCO) 848 United K. (CAMCO) United K. (JP Morgan) 8. ウクライナ (1)基本情報 1. 面積: 60 万 3,700 平方キロメートル 2. 人口: 4,580 万人(2008 年 世銀) 3. 主要産業: 農業、鉄鋼業、機械、造船 4. 国民総所得(GNI): 1,490 億ドル(2008 年 世銀) 5. 一人当たり GNI: 3,210 ドル(2008 年 世銀) 6. 経済成長率: -15.1%(2009 年 CIS 統計委員会) 7. 総貿易額(2009 年:CIS 統計委員会)・主要貿易品目 (1) 輸出 397 億ドル: 非金属・製品、植物製品、機械・設備 (2) 輸入 454 億ドル: 鉱物製品、機械・設備、化学品 (2)背景情報 国連気候変動枠組条約を 1997 年 5 月に、京都議定書を 2004 年 4 月に批准した。京都議 定書では 1990 年比±0%という排出量目標を持っているが、1991 年 12 月の旧ソビエト連邦 からの独立時の混乱及び独立後のインフレによる経済停滞のため、2007 年の排出量は 1990 年比で▲54.0%と大きく目標を下回っており、結果として、膨大な余剰 AAU がウクライナ に生じることになった。同時に、他の附属書Ⅰ国と比較して、非効率な燃焼施設が多く、 低いコストで効率化する余地が多く残っている。このことから、ウクライナに JI 及び GIS の活用の可能性を与えており、ウクライナ自身、積極的に関連する制度を整備してきた。 (3)JI 関連の制度動向及び開発動向 JI については 2006 年 2 月に JI プロジェクト承認の国内手続きに関する法(Decree No.206)を整備した(2008 年 8 月に改定)。その後関連する政令(Order N341、N342) を整備し、2007 年 3 月からプロジェクトの承認を開始した。その後、2008 年 4 月に京都 メカニズム参加資格(eligibility)を取得しており、JI トラック 1 の利用が可能な状況であ る。具体的な手続きは下記の図 3-16 に示した。主管官庁は、NEIA(国家環境投資庁)と なっていたが、2010 年 12 月 9 日、ヤヌコービッチ大統領は、 「行政府中央機関の機能最適 化に関する」大統領令を発出し、中央省庁の数を削減。この再編により、ウクライナ国家 環境投資庁は、NEIA(National Environmental Investment Agency)から SEIA(State Environmental Investment Agency)に組織変更されることになった。また、同月28日 の閣議決定により、従来閣僚会議直下に位置付けられていた NEIA は、環境天然資源省の 下部に位置付けられることとなった。 この手続きに従い 2012 年 1 月までに 161 件のプロジェクトがウクライナ国内で承認され、 これらのプロジェクトにより、年間、2 億 2600 万トンの排出削減量が予想されている。特 3-51 に、2011 年は多くのプロジェクトが承認され、161 件の承認済みのプロジェクトのうち 88 件が 2011 年に承認されたものとなっている。 さらに、このうち、75 件のプロジェクトに対して、6,351 万トンの ERU が発行されてい る。承認されているプロジェクトの予想排出削減量(年間)では、ロシアについで第 2 位、 ERU 発行量では第 1 位となっており、クレジットの大きな供給源の一つとなっている。 図 3-16 ウクライナの JI 手続き 25 30000 25000 年間予想排出削減量 プロジェクト件数 20 20000 15 15000 10 10000 5 5000 0 Oc tDe 06 cFe 06 bAp 07 rJu 0 7 nAu 07 gOc 07 tDe 07 cFe 07 bAp 08 rJu 0 8 nAu 08 gOc 08 tDe 08 cFe 08 bAp 09 rJu 0 9 nAu 09 gOc 09 tDe 09 cFe 09 bAp 10 rJu 1 0 nAu 10 gOc 10 tDe 10 cFe 10 bAp 11 rJu 1 1 nAu 11 gOc 11 tDe 11 c11 0 図3-17ウクライナのJIプロジェクトの推移 3-52 (4)GISに関わる動き JI以外にも、ウクライナにおける膨大な余剰AAUの存在から、Green Investment Scheme (GIS)を活用した国際排出量取引(IET)においてもウクライナは活発な売り手の一人と なっている。手始めに、ウクライナ政府は、2009年3月にGISを活用したAAU売買契約を日 本政府と締結した。その際に両政府間で署名されたガイドラインでは、グリーニングとし て主に以下のような環境対策を実施することが明記されている。 (a) 省エネルギー (b) 低環境負荷のための燃料転換 (c) 炭層メタンの利用 (d) 再生可能エネルギー (e) CO2以外の温室効果ガスの排出削減活動 (f) 大気・水質・土壌などの汚染削減活動 (g) 上記プロジェクトを推進するためのキャパシティビルディング ウクライナ政府では、内閣の指令により、環境保護省の下部組織であるNational Environmental Investment Agency of Ukraine(NEIA)が、AAUの買い手と協議しなが ら、グリーニングの管理(GIS資金交付先の決定、交付先との契約締結、グリーニング実施 のフォローアップなど)を行なうことになっている。 (5)遵守委員会での審議 このように市場において活発な動きを見せる一方で、ウクライナの京都メカニズム参加 資格の停止が危ぶまれる事態が生じている。2010 年にウクライナ政府が、UNFCCC に提 出したインベントリーについて審査を行った専門家チーム(ERT)が、ウクライナの京都 議定書で対象とされている森林吸収源と排出量の算出に関する国内制度(法的・手続きな 制度)とともに報告及び情報の保管について、問題がある点を指摘した。 これを受けて 2011 年 6 月から遵守委員会での審査手続きが開始され、10 月にウクライ ナが不遵守の状況にあると遵守委員会は最終決定を採択し、これによりウクライナの京都 メカニズムの参加資格が停止された。これにより、ウクライナの登録簿からの京都クレジ ットの移転は出来なくなった。 12 月にウクライナ政府が提出した改善計画が、必要とされる条件を満たしていると見な され、本年、3 月、資格停止は解除された。 3-53 9.ブルガリア (1)基本情報 1. 面積:約 11 万平方キロ(日本の3分の1) 2. 人口:750 万人(2010 年、IMF) 3. 主要産業: 農業(穀物・酪農)、工業(化学・石油化学、食品加工) 4. 国内総生産:477 億ドル、1 人当たり 6,356 ドル(2010 年、IMF) 5. 経済成長率:0.1%(2010 年、IMF) 6. 貿易:輸出約 117.57 億ユーロ(2009 年、中央銀行) 輸入約 158.89 億ユーロ(2009 年、中央銀行) (2)温室効果ガスの排出状況ほか ブルガリアは石油及び天然ガスのほぼ全量を国外からの輸入に依存し効率的なエネル ギー利用の促進が喫緊の課題となっていることに加え、2007 年 1 月の EU 加盟もあり、 今後、排出権取得機会の増加が期待されている。ブルガリアは京都議定書の削減目標 (1990 年比マイナス 8%)に対して約 3000 万トンの余剰量が見込まれており、JI や AAU の売却に積極的な姿勢を示しているが具体的な枠組みの構築はあまり進展していない。 また、ブルガリアは、GHGs 削減事業支援に注力する欧州復興開発銀行(EBRD: European Bank for Reconstruction and Development)の主要な融資先であり、同国で の排出権取得事業実施に於いては、様々な資金調達方法の検討が可能となっている。 (3)JI の承認体制 ブルガリア政府は、1992 年の気候変動枠組条約の署名を受け、温暖化対策に関する政 府の方針を検討するための国内体制の構築を開始した。1998 年の京都議定書の採択等を 経て、2000 年、気候変動に関する国家行動計画(NAPCC :National Action Plan on Climate Change)を策定、同計画に基づき、JI プロジェクトの審査を行う JI 運営委員 会(SC:The Steering Committee for JI Projects)が設立された。同委員会は、NAPCC 実施等の体制基盤として、環境・水省(MOEW :Ministry of Environment and Water) を委員長に 7 省庁からの代表者にて構成され、JI プロジェクトに対する承認文書(LoA: Letter of Approval)発行にかかる最終勧告を行っている(承認手続きは図 3-18 参照)。 なお、NAPCC は何度か改訂されており、現行の計画は 2006 年 8 月に見直された第 4 次計画となっている。 3-54 JI運営委員会 環境・水省 「Project Information Note」 (PIN) PINの初期評価を実施 (14日以内) 「Letter of Support」 (LoS) プロジェクト実施者 一次審査を実施 (2週間) 「Project Design Document 」 (PDD)ほか必要資料」 コメントをフィードバック プロジェクト実施者が直接参加し適宜質問 に回答 最終審査を実施 「Letter of Approval」 (LOA) 図 3-18:ブルガリアの JI プロジェクトの国内審査体制 (出所)UNFCCC ホームページを元にエネ研作成 CDM の指定国家機関(DNA: Designated National Authority)は成立していないが、 気候変動枠組条約のフォーカルポイント(DFP :Designated Focal Point)および京都 議 定 書 の 連 絡 窓 口 は 、 環 境 ・ 水 省 に 設 け ら れ た CCPD ( Climate Change Policy Department)となっており、気候変動政策の策定、計画及び施行を担っている。 なお、JI の実施には、ホスト国・投資国の間で覚書(MoU)の締結が必要となってお り、我が国は 2005 年に締結、それ以外では、オランダ(2000 年)、オーストリア(2002)、 世界銀行 PCF(2003)、デンマーク(2003)、スイス(2003)、スウェーデン(2006)、 フランス(2006)及びフィンランド(2006)と締結している。 (4)JI の承認動向 ブルガリアの JI 運営委員会がこれまでに承認した JI プロジェクトは 17 件となってい る(表 3-18 参照)。 3-55 表 3-18:ブルガリア政府により承認された JI プロジェクト一覧 PROJECT NAME PROJECT DEVELOPER “Co-generation gas power station Biovet” “Biovet” Inc. “Reduction of greenhouse gasеs by gasification “Overgas” Inc. of the towns Veliko Turnovo, Gorna Oryahovitsa and Lyaskovets” “Biomass and Energy Efficiency Project, Paper “Stambolijski” Inc. Factory – Stambolijski” “Reduction of greenhouse gases by gasification “Overgas” Inc. of Varna municipality” “Co-generation gas power stations at Kazanlak, “AKB Fores Financial Jambol, Devnia and Kostenetz ” Industrial Group” “Reduction of greenhouse gases by gasification “Overgas” Inc. of Sofia municipality” “Co-generation in District Heating Company “District Heating Company Plovdiv ” Plovdiv” Inc. “Rehabilitation of Dolna Arda Hydropower cascade” “Industrial energy efficiency and co-generation, Nikopol” “Reduction of N2O at Agropolychim Devnya” TOTAL AAUs + ERUs until 2012 PROJECT TYPE 200 000 339 000 539 000 Co-generation - 350 000 350 000 Gasification 99 283 514 119 613 402 Biomass 362 566 402 656 Gasification 193 000 811 000 1 004 000 - 500 000 500 000 Gasification 218 354 629 047 847 401 Co-generation Svilocell Inc. 85 840 682 143 767 983 Energy efficiency “Toplofikacia Sofia” Inc. 554 212 794 367 1 348 579 Energy Efficiency “Toplofikacia Pernik” Inc. 84 035 107 102 191 137 Energy Efficiency “Svilosa” Inc. 200 000 250 000 450 000 “Biomass Utilization in Svilosa Inc.” “Vacha Cascade JI Project” ERUs t -CO2 eqv. (2008-2012 ) 40 090 “Svilocell Energy Efficiency Project” “Rehabilitation of District Heating System in Toplofikatsia Sofia Inc.” “Rehabilitation of District Heating System in Toplofikatsia Pernik Inc.” AAUs t -CO2 eqv. (up to 2008) “National Electric Company” Inc. “National Electric Company” Inc. “Mayr-Melnhof Nikopol” Inc. “Agropolychim, Devnya” Inc. “New co-generation power stations for combined “District Heating Bourgas” production of heat and electricity in District Inc. Heating Bourgas, Bulgaria” “Portfolio of new co-generation power stations for combined production of heat and electricity “District Heating Pleven” in District Heating Company Pleven and District Inc. Heating Company Veliko Tarnovo, Bulgaria” - 1 140 000 - 267 465 Co-generation Biomass Renewable energy 1 140 000 sources Renewable energy 267 465 sources 83 537 372 539 456 076 Energy Efficiency 1 450 000 2 015 000 3 465 000 N2O reduction 144 650 348 920 493 570 Co-generation 133 330 844 556 977 886 Co-generation (出所)環境・水省 HP(http://www2.moew.government.bg/index_e.html) 一方、UNFCCC で有効化審査のパブリックコメントに付された JI プロジェクトは累計 で 15 件である(表 3-19 参照)。 発行が見込まれるクレジットの量は約 600 万t-CO2eq と、2008 年末時点で世界第 6 位となっている。一方で、1 件あたりのクレジット見込量が約 43 万 t-CO2eq/件と比較 的小さい。 プロジェクトタイプとしては風力発電を初めとした再生可能エネルギーの導入による ものが多い。我が国との間においても、2004 年に我が国の政府系金融機関である国際協 力銀行がブルガリア政府との間で、JI 案件実施に向けた協力協定を締結し具体的な案件 調査等を開始し、2007 年に排出権取得を目的とした風力発電事業に対する総額約 37 百万 ユーロを限度とする融資を行っている。 3-56 表 3-19:UNFCCC でパブリックコメントに出された PDD(2012 年 1 月 12 日時点) プロジェクトタイプ 投資国 クレジット規模 (t-CO2eq) 再生可能エネルギー オーストリア 820,960 再生可能エネルギー 未定 650,000 Small Hydropower station SHPS Potochnitsa 再生可能エネルギー フランス 163,505 Rehabilitation of Dolna Arda Hydropower Cascade, Bulgaria 再生可能エネルギー オーストリア なし(却下) Kaliakra Wind Power Project (KWPP) 再生可能エネルギー 日本 424,800 Bulgarian Small Hydro Power Plant (SHPP) portfolio 再生可能エネルギー オーストリア 183,095 Sreden Iskar Cascade HPP Portfolio Project 再生可能エネルギー オランダ 329,472 EuroETHYL Bioethanol Plant Project 再生可能エネルギー オーストリア 148,862 Small Hydropower Station SHPS Yahinovo 再生可能エネルギー オランダ 106,720 プロジェクト名 Pool of Small Hydro Power Stations and Wind Enegry Parks Project Sunflower and rape seeds - bio diesel fuel production and use for transportation in Bulgaria Landfill gas (LFG) to energy on the municipal landfill Tzalapitza, Plovdiv “Construction of a Wind Power Park in the lands of villages Balgarevo, St. Nikola, Hadji Dimitar, Rakovski and Poruchik Chunchevo, Municipality Kavarna” “Energy efficiency investment programme at Svilocell Pulp Mill” 廃棄物処理・処分 オランダ 125,464 再生可能エネルギー オランダ 968,908 再生可能エネルギー オランダ 688,409 Rehabilitation of Dolna Arda Hydropower Cascade, Bulgaria 再生可能エネルギー 未定 94,370 “Methane gas capture and electricity production at Kubratovo Wastewater Treatment, Sofia Bulgaria” 再生可能エネルギー オランダ 994,160 Wind Energy Park "Universum Energy" 再生可能エネルギー デンマーク 349,718 (出所)UNFCCC ホームページからエネ研作成 3-57 10.ポーランド (1)基本情報 1. 面積:約 32.3 万平方キロ(日本の約 85%。日本から九州、四国を引いた程度) 2. 人口:3,817 万人(2009 年 12 月時点) 3. 主要産業:食品、自動車、金属、化学製品、燃料 4. GDP:約 4,302 億米ドル、1 人当たり約 11,288 ドル(2009 年) 5. 実質 GDP 成長率:1.7%(2009 年) 6. 貿易:輸出約 1,356 億ドル(2009 年) 輸入約 1,485 億ドル (2)温室効果ガスの排出状況ほか ポーランドの 2008 年の温室効果ガス排出量は約 394 百万トンであり、EU27 カ国の中で 6 番目、いわゆる EU12 の中では最大の排出国である。 京都議定書の排出目標約 530 百万トン15に対し、2008 年のポーランドの排出量は目標を 25%程度下回っており、2008 年から 2012 年にかけて年間約 7000 万~1億 AAU の余剰排 出枠が生じる見込みとされている。 ポーランドと日本は 2008 年 10 月 14 日に京都議定書の下での共同実施(JI)及びグリー ン投資スキーム(GIS)における協力に関する共同声明(Joint Statement)に署名した。 本共同声明は JI 及び GIS 活用のための基本的な手続について定める協力文書であり、具体 的な GIS 活用のスキームについては両国政府間での交渉を通じて順次決定していくことに なる。更に、12 月 10 日に世界銀行とも同様の AAU 売却に係る覚書(memorandum)に 署名した。 基準年(CO2 は 1988 年、Fガスは 1995 年)の温室効果ガス排出量(LULUCF を除く)は 563 百万 トン、京都目標は 94%。 15 3-58 (3)JI の承認体制 指定フォーカルポイントは環境省である。他に関係機関として、排出権取引制度国家管 理局(KASHUE)がある。 JI プロジェクトの承認に関する規定は排出量取引法の改正法案で定められている。 ポーランド共和国領土内での共同実施プロジェクトの実施には、環境問題担当大臣によ る LoE(Letter of Endorsement)および LoA(Letter of Approval)の発行を要する(第 109 条)。 <LoE および LoA の発行の要件> LoE および LoA の発行の要件としては、次のものが定められている(第 112 条、第 115 条および第 118 条)。 ① 共同実施プロジェクトは次の条件を満たさなければならない。 ・ プロジェクトの実施の結果生じる排出量は、当該プロジェクトを実施しない場合に 生じるであろう量を超えてはならない ・ プロジェクトの実施が、法律または政令によって生じる義務の遂行となってはなら ない ・ プロジェクトの実施は、環境への悪影響や環境の質の悪化をもたらしてはならない 共同実施プロジェクトは、BAT(Best Available Technology)の基準に適合した方法 ② の利用を保証しなければならない ③ 閣僚評議会(内閣)が、国連気候変動枠組条約事務局が定めた国際基準と指針に基づ き、政令として定める条件を満たさなければならない また、LoA の発行については、さらに次の要件が定められている(第 116 条第 7 項およ び第 117 条第 3 項)。 ○ プロジェクトが、既に実施され終了した投資に関係していないこと ○ 環境問題担当大臣が命令によって定めるベースラインの基準を満たすこと <LoE・LoA 発行および ERU 発行の手続き> LoE・LoA 発行および ERU 発行の手続きは次のとおりである(図 3-19)。 (LoE 発行) ① プロジェクト申請者が申請を環境問題担当大臣あてに提出。環境問題担当大臣は、申 請を国家管理局に送付。国家管理局は、申請を受理してから 21 日以内にプロジェクトに 対する見解を環境問題担当大臣に提出(第 113 条)。 環境問題担当大臣は、国家管理局の見解を受理後 21 日以内に LoE を発行または発行 ② を拒否(LoE は、交付日から 1 年以内にプロジェクト申請者が LoA 発行申請を行わなか った場合、失効)(第 114 条)。 3-59 (LoA 発行) プロジェクト申請者が申請ならびに PDD、環境影響報告書および ERU 購入者に関す ③ る当局による証明書等を環境問題担当大臣あてに提出。環境問題担当大臣は、申請を国 家管理局に送付。国家管理局は、申請を受理してから 30 日以内にプロジェクトに対する 見解を環境問題担当大臣に提出(第 116 条)。 環境問題担当大臣は、国家管理局の見解を受理後 30 日以内に LoA を発行または発行 ④ を拒否(第 117 条)。 (ERU 発行) ⑤ プロジェクト実施者は、モニタリングで得られたデータに基づき、排出削減量および ERU 量に関する報告書を作成。 ⑥ 国家管理局のリストに記載された者が、ERU 量を検証、報告書を作成。 ⑦ プロジェクト実施者が検証報告書を毎年 2 月 15 日までに国家管理局に提出。 ⑧ 国家管理局が ERU を移転(第 120 条)。 ①LoE申請を提出 ②見解を受理後21 日以内にLoEを発行 プロジェクト申請者/実施者 環境問題担当大臣 ③LoA申請を提出 ④見解を受理後30 日以内にLoAを発行 ⑤モニタリ ング報告 書を作成 ⑥検証 報告書を 作成 検証機関 ⑦検証報告 書を毎年2 月15日まで に提出 ③''30日 以内に見 ⑧ERU 解を提出 を移転 リストに記載 ③’LoA申 請を送付 ①''21日 以内に見 解を提出 排出権取引制度国家管理局 (KASHUE) 図 3-19:LoE・LoA 発行および ERU 発行の手続き (出所)排出量取引法改正法案から作成 3-60 ①’LoE 申請を 送付 (4)JI の承認動向 ポーランド国内で承認された JI プロジェクトは次のとおりである(表 3-20)。 表 4-20:ポーランド国内で承認された JI プロジェクト(2012 年1月 12 日時点) LoA に基づく ユニット量 4,345 発行 ユニット量 0 11,713 253,000 405,106 127,000 0 0 331,905 119,647 303,485 0 597,968 336,198 3,537,841 621,696 229,730 172,240 2,313,317 351,774 N2O 回収 3,097,975 1,761,333 バイオガス及びメタ ンガス回収利用 749,781 312,411 埋立地ガス回収 216,866 0 N2O 回収 6,385,600 1,759,867 ⑮Pozyskanie i utylizacja metanu kopalnianego w KWK Borynia w Polsce 炭坑メタンガス 回収利用 215,147 43,371 ⑯ Rozszerzenie i rozwój Energii Geotermalnej, Zakopane, Polska ⑰Redukcja emisji podtlenku azotu z instalacji kwasu azotowego w Zakładach Azotowych Kędzierzyn SA 地熱利用 145,068 39,947 亜酸化窒素削減 1,447,381 820,240 概 要 プロジェクト名 ①Wykorzystanie zrębków drzewnych z terenów zieleni miejskiej dla celów grzewczych w Jeleniej Górze ②Mała elektrownia wodna na rzece Bóbr, Leszno Górne ③Odgazowanie składowiska odpadów komunalnych w Koninie ④Farma wiatrowa Zagórze ⑤ Wykorzystanie metanu pochodzącego ze składowiska odpadów i osadów ściekowych w Zakopanem ⑥Geotermalna ciepłownia w Stargardzie Szczecińskim ⑦Mazurski Pakiet Gazu Składowiskowego ⑧Farma wiatrowa Lake Ostrowo ⑨Ograniczenie emisji N2O w Zakładach Azotowych Anwil S.A. ⑩Gaz składowiskowy w miejscowościach Łubna, Sosnowiec i Łęgajny ⑪ Zmniejszenie emisji N2O z instalacji produkcji kwasu azotowego w Zakładach Azotowych w Tarnowie Mościcach S.A. ⑫Odbiór i utylizacja metanu pochodzącego z przeróbki obornika trzody chlewnej, biomasy i odpadów organicznych, Województwo Pomorskie, Polska oraz Województwo Zachodniopomorskie, Polska ⑬ Odzysk gazu wysypiskowego na składowisku odpadów Radiowo w Warszawie, Polska ⑭Katalityczna redukcja N2O w reaktorach utleniania amoniaku instalacji kwasu azotowego w Puławach, Polska バイオマスを 利用した地域暖房 小水力発電 埋立地ガス回収 風力発電 埋立地・下水汚泥 からのメタン利用 地熱を利用した 地域暖房 埋立地ガス利用 風力発電 N2O 回収 埋立地ガス回収 (出所)KASHUE ホームページ(https://rejestr.kashue.pl/?LANGUE=en)からエネ研作成 また、UNFCCC ホームページ上でパブリックコメントに出された PDD は次のとおりで ある(表 3-21)。 3-61 表 3-21:UNFCCC でパブリックコメントに出された PDD(2012 年 1 月 12 日時点) プロジェクト名 プロジェクトタイプ 投資国 クレジット規模 Grzywacka-Osiek wind farm in Poland 再生可能エネルギー スペイン 378,390 Rowne wind farm in Poland 再生可能エネルギー スペイン 206,095 Kamieńsk Hill Wind Farm, 30 MW 再生可能エネルギー デンマーク 375,496 再生可能エネルギー オランダ 212,770 化学工業 未定 3,537,841 化学工業 日本 2,590,785 鉱業・鉱物生産業 日本 269,965 化学工業 未定 6,573,798 鉱業・鉱物生産業 オランダ 454,915 化学工業 未定 1,613,015 鉱業・鉱物生産業 オランダ 754,668 Landfill gas recovery on the Radiowo landfill in Warsaw Joint Implementation project aimed at N2O emissions reduction by installation of secondary catalyst inside ammonia oxidation reactor at 2 nitric acid production lines A and B of Zakłady Azotowe Anwil S.A. company, situated at Włocławek, Poland N2O abatement project at nitric acid plant of ZAT, Poland Coal Mine Methane Capture and Utilization at KWK Borynia Coal Mine, Poland Catalytic Reduction of N2O inside the Ammonia Burners of the Nitric Acid Plant in Puławy, Poland CMM utilisation on the Krupinski Coal Mine in Upper Silesian Basin, Poland Zaklady Azotowe Kedzierzyn Nitrous Oxide Abatement Project CMM utilisation on the Pniowek Coal Mine in Upper Silesian Basin, Polan (出所)UNFCCC ホームページからエネ研作成 3-62 第4章 CDM/JI 事業実施者に向けた情報提供体制の構築 および運営 CDM/JI 事業実施者に向けた情報提供体制の構築・運営は、国内事業者が CDM/JI プロ ジェクトを実施する際に有益となるような情報の整理を行うとともに、その情報伝達体制 の構築及び運営を行うことを目的とする。具体的には、CDM/JI のルール・手続き、CDM の方法論、個々の CDM/JI プロジェクトの概要・経緯・論点等の情報について整理・分析 を行い、CDM 方法論や CDM/JI プロジェクトなどについてデータベース化を行うととも に、それらの情報を CDM/JI プロジェクトを実施する国内事業者に伝達するため平成 18 年度に立ち上げたホームページの充実を図り、その運営を行うものである。 平成 17 年度から 22 年度にかけての CDM・JI の運用に係る国際的枠組みに関する調査 における CDM/JI 事業実施者に向けた情報提供枠組の検討調査を踏まえ、本年度も引き続 き、情報の整理・分析を行った。 また、それらの情報を CDM/JI 事業実施者に向けて情報提供するため、ホームページの 構成の変更を行うとともに、アップデートを行った。ホームページアドレスは、 http://www.cdm-ji.org/ であり、サイトマップ・画面構成は次ページのとおりである。 今後は本ホームページの内容やデザインを改良して利用者にとっての有用性を高めてい くとともに、タイムリーな情報のアップデートを図っていく。 4-1 表紙・目次バナー ┣ 1. 京都メカニズム利用ガイド ┣ 2. CDM運営動向総論 ┃ ┣ 2011年度のCDM運営動向 ┃ ┃ ┣ 2011年度のCDM運営動向 ┃ ┃ ┣ 第60回CDM理事会報告 ┃ ┃ ┣ 第61回CDM理事会報告 ┃ ┃ ┣ 第62回CDM理事会報告 ┃ ┃ ┣ 第63回CDM理事会報告 ┃ ┃ ┣ 第64回CDM理事会報告 ┃ ┃ ┣ 第65回CDM理事会報告 ┃ ┃ ┗ 第66回CDM理事会報告 ┃ ┣ 2010年度のCDM運営動向 ┃ ┣ 2009年度のCDM運営動向 ┃ ┣ 2008年度のCDM運営動向 ┃ ┣ 2007年度のCDM運営動向 ┃ ┣ 2006年度のCDM運営動向 ┃ ┗ 2005年度のCDM運営動向 ┣ 3. JI運営動向総論 ┃ ┣ 2011年度のJI監督委員会の検討動向 ┃ ┃ ┣ 2011年度のJI監督委員会の検討動向 ┃ ┃ ┣ 第25回JI監督委員会報告 ┃ ┃ ┣ 第26回JI監督委員会報告 ┃ ┃ ┗ 第27回JI監督委員会報告 ┃ ┣ 2010年度のJI監督委員会の検討動向 ┃ ┣ 2009年度のJI監督委員会の検討動向 ┃ ┣ 2008年度のJI監督委員会の検討動向 ┃ ┣ 2007年度のJI監督委員会の検討動向 ┃ ┣ 2006年度のJI監督委員会の検討動向 ┃ ┗ 2005年度のJI監督委員会の検討動向 ┣ 4. CDM信任関連 ┃ ┣ DOEの現状・専門性 ┃ ┗ CDM信任に関する調査 ┣ 5. JI信任関連 ┃ ┣ AIEの現状・専門性 ┃ ┣ JI信任に関する調査 ┃ ┗ JIにおける方法論 ┣ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┣ ┃ ┃ ┃ ┣ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┣ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┣ ┃ ┣ ┃ ┗ 4-2 6. CDMプロジェクト ┣ 1. 集計 ┣ 2. 有効化審査DB ┣ 3. 登録DB ┣ 4. 発行DB ┗ 5. 重要プロジェクトの概要・論点・経緯 7. JIプロジェクト ┣ 1. 集計 ┣ 2. DB ┗ 3. 重要プロジェクトの概要・論点・経緯 8. CDM方法論 ┣ 1. 集計・リスト ┣ 2. 各方法論の概要 ┣ 3. 横断的課題、重要方法論の論点・経緯 ┣ 4. 方法論に関する調査 ┣ 5. 植林・再植林方法論に関する調査 ┗ 6. 小規模方法論に関する調査 9. 各国政策 ┣ 1. 中国 ┣ 2. 韓国 ┣ 3. インド ┣ 4. ブラジル ┣ 5. マレーシア ┣ 6. インドネシア ┣ 7. ロシア ┣ 8. ウクライナ ┣ 9. ブルガリア ┣ 10. ポーランド ┣ 11. CDMホスト国リスト ┗ 12. JIホスト国リスト 10. CDMレファレンスルール ┗ CDMレファレンスルール 11. JIレファレンスルール ┗ JIレファレンスルール 関連リンク 1.京都メカニズム利用ガイド 京都メカニズムを理解するための基礎知識 CDM 利用ガイド 吸収源 CDM 利用ガイド JI 利用ガイド ● 詳細はホームページ参照のこと http://www.cdm-ji.org/overview/index.html 4-3 2.CDM 運営動向総論 CDM 理事会会合にオブザーバーとして参加し、議論の内容を整理した報告書を掲載し た。 2005 年度の CDM 運営動向 第 18~23 回 CDM 理事会会合報告 2006 年度の CDM 運営動向 第 24~30 回 CDM 理事会会合報告 2007 年度の CDM 運営動向 第 31~38 回 CDM 理事会会合報告 2008 年度の CDM 運営動向 第 39~46 回 CDM 理事会会合報告 2009 年度の CDM 運営動向 第 47~53 回 CDM 理事会会合報告 2010 年度の CDM 運営動向 第 54~59 回 CDM 理事会会合報告 2011 年度の CDM 運営動向 第 60~66 回 CDM 理事会会合報告 ● 詳細はホームページ参照のこと http://www.cdm-ji.org/general_cdm/index.html 4-4 3.JI 運営動向総論 JI 監督委員会にオブザーバーとして参加し、議論の内容を整理した報告書を掲載した。 2005 年度の JI 監督委員会の検討動向 2006 年度の CDM 運営動向 第 3~6 回 JI 監督委員会報告 2007 年度の CDM 運営動向 第 7~10 回 JI 監督委員会報告 2008 年度の CDM 運営動向 第 11~14 回 JI 監督委員会報告 2009 年度の CDM 運営動向 第 15~20 回 JI 監督委員会報告 2010 年度の CDM 運営動向 第 21~24 回 JI 監督委員会報告 2011 年度の CDM 運営動向 第 25~27 回 JI 監督委員会報告 ● 詳細はホームページ参照のこと http://www.cdm-ji.org/general_ji/index.html 4-5 4.CDM 信任関連 4-1 DOE の現状・専門性 4-2 CDM 信任に関する調査※ ※ 詳細はホームページ参照のこと http://www.cdm-ji.org/consult_cdm/index.html 4-6 4-1 DOE の現状・専門性 CDM プロジェクトの登録や、CER の発行を受ける際にプロジェクトの検証及び認証を 得るため際には、第 3 者認証組織として COP/MOP によって指定された運営組織(OE) がプロジェクトの審査を行う。ここでは、登録件数及び CER 発行件数に分けて DOE の活 動を集計した。 (登録) 表 1 に DOE 別登録件数一覧を示す。CDM プロジェクトの有効審査を行い、CDM 理事 会によって登録されたプロジェクト数は、2011 年末の時点で 3879 件、これらのプロジェ クトの審査をおこなった DOE 数は 39 であった。これらの DOE のうち、図 1 に示すよう に、DNV が 1283 件、TÜV SÜD が 744 件、SGS が 422 件、TÜV NORD が 340 件、BVCH が 247 件、TUEV Reinland が 238 件とこれらの 6 社で登録されたプロジェクトの有効化 審査の約 85%を占めている。こうした状況は、図 2 に DOE 別の登録件数の推移を示すよ うに、プロジェクトの登録が始まった 2004 年以降続いてきたが、2010 年の第 4 四半期は、 これら 6 つの DOE 以外の登録件数が増加している。 次に、DOE が行ったプロジェクトの有効化審査をセクトラルスコープ別に集計したも のを図 3 に示す。ここでは、上記の上位 6 社の活動をセクトラルスコープ別に集計した。 その結果、当然のことながら、どの DOE も登録件数の多いスコープ 1 の割合が高い。ま た、DNV はスコープ 13、TÜV SÜD はスコープ 13 とスコープ 15 のプロジェクトの有効 化審査を行った件数が、他の DOE と比べて多いことがわかる。 DOE のうち、日本から JQA、JACO、JCI、KPMG-AZSA、TUEV Rheinland、Shin Nihon、 NKKKQA、JMA の 8 つが活動している。これらによる有効化審査によって登録されたプ ロジェクト数は 2011 年末の時点で 397 件、全体の約 10%となっている。 4-7 表 1 組織番号 E-0001 E-0002 E-0003 E-0005 E-0006 E-0007 E-0008 E-0009 E-0010 E-0011 E-0013 E-0014 E-0016 E-0018 E-0020 E-0021 DOE 別登録件数一覧 指定を受けた プロジェクト セクトラルスコープ 件数 (有効化審査) Japan Quality Assurance Organisation JQA 1-15 38 JACO CDM., LTD JACO 1-15 34 Det Norske Veritas Certification AS DNV 1-15 1,281 TUV SUD Industrie Service GmbH TÜV SÜD 1-15 743 Deloitte Tohmatsu Evaluation and Certification Organization Deloitte1-10, 12, 13, 15 21 Co., Ltd. TECO Japan Consulting Institute JCI 1, 2, 4, 5, 10, 13 85 KPMGKPMG AZSA Sustainability Co. Ltd. 1-3, 10 0 AZSA Bureau Veritas Certification Holding SAS BVCH 1-15 247 SGS United Kingdom Limited SGS 1-15 422 Korea Energy Management Corporation KEMCO 1-15 45 TUV Rheinland Japan Ltd. (Formerly TUV Industrie Service TÜV 1-15 238 GmbH - TUV Rheinland Group) Rheinland KPMG Sustainability B.V. (KPMG) — withdrawn (EB51) KPMG 6 組織名 略称 E-0050 ERM Certification and Verification Services Ltd. ERM CVS British Standards Institution (BSI) — withdrawn (EB44) BSI Conestoga Rovers & Associates Limited CRA Spanish Association for Standardisation and Certification AENOR TUV NORD CERT GmbH (Former RWTUV Systems TÜV NORD GmbH) Lloyd’s Register Quality Assurance Ltd. LRQA Colombian Institute for Technical Standards and ICONTEC Certification Korean Foundation for Quality KFQ Swiss Association for Quality and Management Systems SQS Ernst & Young Shin Nihon E&YSNSI PricewaterhouseCoopers - South Africa (PwC) — PwC withdrawn (EB44) Nippon Kaiji Kentei Quality Assurance Ltd. NKKKQA Perry Johnson Registrars Clean Development Mechanism, PJRCES Inc. LGAI Technological Center, S.A. Applus China Environmental United Certification Center Co., Ltd. CEC RINA Services S.p.A. RINA SIRIM QAS INTERNATIONAL SDN.BHD SIRIM Korean Standards Association KSA Korea Environment Corporation KECO Japan Management Association JMA Germanischer Lloyd Certification GmbH GLC China Quality Certification Center CQC Ernst & Young Associes (France) EYG CEPREI certification body CEPREI Deloitte Deloitte Cert Umweltgutachter GmbH Cert Indian Council of Forestry Research and Education I.C.F.R.E (I.C.F.R.E) Hong Kong Quality Assurance Agency (HKQAA) HKQAA E-0051 KBS Certification Services Pvt. Ltd (KBS) E-0022 E-0023 E-0024 E-0025 E-0027 E-0028 E-0029 E-0030 E-0031 E-0032 E-0034 E-0037 E-0038 E-0039 E-0040 E-0041 E-0042 E-0044 E-0045 E-0047 E-0048 E-0049 E-0052 Carbon Check (Pty) Ltd (Carbon Check) E-0054 E-0055 E-0056 re-consult Ltd. (Re-consult) URS Verification Private Limited (URS) Korea Testing & Research Institute (KTR) KBS Carbon Check Re-consult URS KTR 1-5, 8-10, 13 1, 4, 5, 10, 12, 13 1-15 56 2 0 46 1-15 340 1-13 62 1-5, 7, 8, 13-15 10 1-5, 9-11, 13 1-15 1-3 40 16 0 1, 3-5, 7, 12, 13 1-3, 7, 9, 12, 13, 15 1, 13 1-3, 8, 10 1-8, 10, 11, 13-15 1-4, 13 1-5, 13 1-8, 13-15 1-4, 6, 8, 9, 14 1-3, 7, 10, 13 1-13 14 1-5, 8-10, 13, 15 0 1 1-3, 5 2 1 33 31 16 7 5 2 22 26 1 0 0 14 0 1 1, 3-5, 7, 12, 13, 15 0 0 1-5, 8-10, 13 0 1 1, 13 1, 4, 5, 11, 13 0 0 0 表注; スコープ 1: エネルギー産業 (再生可能・非再生可能エネルギー源), スコープ 2: エネルギー配送, スコープ 3: エ ネルギー需要, スコープ 4: 製造業, スコープ 5: 化学工業, スコープ 6: 建設業, スコープ 7: 運輸, スコープ 8: 鉱業・ 鉱物生産業, スコープ 9: 金属生産, スコープ 10: 燃料からの漏出(固形、石油およびガス), スコープ 11: HFC、PFC および SF6 の生産・消費からの漏出, スコープ 12: 溶剤の使用, スコープ 13: 廃棄物処理・処分, スコープ 14: 植林・ 再植林, スコープ 15: 農業 4-8 その他, 846 , 22% Det Norske Veritas Certification AS, 1,281 , 33% Bureau Veritas Certification Holding SAS, 247 , 6% TUV NORD CERT GmbH (Former RWTUV Systems GmbH), 340 , 9% SGS United Kingdom Limited, 422 , 11% TUV SUD Industrie Service GmbH, 743 , 19% 図 1 DOE 別累計登録件数 450 その他 Bureau Veritas Certification Holding SAS 400 TUV NORD CERT GmbH (Former RWTUV Systems GmbH) 350 SGS United Kingdom Limited 300 TUV SUD Industrie Service GmbH Det Norske Veritas Certification AS 250 200 50 14 150 図 2 DOE 別登録件数 4-9 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2005Q2 2008Q2 2005Q1 2008Q1 2004Q4 2007Q4 2004Q3 42 12 2007Q3 2004Q2 2007Q2 023 2007Q1 10 2006Q4 01 2006Q3 0 2006Q2 0 2006Q1 0 2005Q4 0 2004Q1 0 2003Q4 50 17 17 17 34 22 37 28 19 21 21 15 2 26 17 61 35 15 9 8 21 12 13 14 30 29 13 28 33 7 12 13 42 22 108 20 11 14 29 36 21 86 21 82 77 72 64 58 11 8 51 48 48 41 54 45 8 47 44 44 44 41 39 31 31 30 32 30 10 19 10 2005Q3 100 57 85 12 0 200 400 600 800 976 DNV 1000 56 1200 1400 134 scope 1 scope 2 scope 3 477 TÜV SÜD 111 69 scope 4 scope 5 scope 6 303 SGS scope 7 51 scope 8 scope 9 299 TÜV NORD 26 scope 10 scope 11 scope 12 BVCH 235 scope 13 scope 14 scope 15 TUEV Rheinland 196 40 図 3 セクトラルスコープ別 DOE によるプロジェクトの登録件数 表注; スコープ 1: エネルギー産業 (再生可能・非再生可能エネルギー源), スコープ 2: エネルギー配送, スコープ 3: エ ネルギー需要, スコープ 4: 製造業, スコープ 5: 化学工業, スコープ 6: 建設業, スコープ 7: 運輸, スコープ 8: 鉱業・ 鉱物生産業, スコープ 9: 金属生産, スコープ 10: 燃料からの漏出(固形、石油およびガス), スコープ 11: HFC、PFC および SF6 の生産・消費からの漏出, スコープ 12: 溶剤の使用, スコープ 13: 廃棄物処理・処分, スコープ 14: 植林・ 再植林, スコープ 15: 農業 (CER 発行) 表 2 に DOE 別モニタリングレポート提出件数を示す。CER の発行を受ける際に必要と なるモニタリングレポートの作成は、プロジェクトの検証及び認証を行うことを COP/MOP によって指定された OE が行う。2011 年末の時点で 39 の OE が指定されてい る。 モニタリングレポートは、DNV が 996 件、SGS が 937 件、BVCH が 485 件、TÜV SÜD が 418 件、TÜV NORD が 372 件、ERM CVS が 118 件とこれらの 6 社が有効化審査と同 様に全体の 85%を占め、大きな割合となっている。図 5 のモニタリングレポートの提出件 数の推移をみると、この状況は CER の発行が本格化した 2007 年以降から続いていること がわかるが、2011 年はその他の OE によるモニタリングレポートの提出も増加している。 セクトラルスコープ別で DOE によるモニタリングレポートの提出件数を集計すると、 どの DOE もスコープ 1 の件数が多い。しかし、有効化審査の場合と異なり、DNV はスコ ープ 13 の件数が多く、SGS はスコープ 11、TÜV SÜD はスコープ 5 の件数多いなど、DOE 4-10 によって差異が見られる。 モニタリングレポートを提出した DOE のうち、日本の DOE が提出した件数は 154 件、 全体の約 4%である。 表 2 DOE 別モニタリングレポート提出件数 組織番号 組織名 略称 E-0001 E-0002 E-0003 E-0005 E-0007 Japan Quality Assurance Organisation JACO CDM., LTD Det Norske Veritas Certification AS TUV SUD Industrie Service GmbH Deloitte Tohmatsu Evaluation and Certification Organization Co., Ltd. Japan Consulting Institute E-0008 KPMG AZSA Sustainability Co. Ltd. E-0009 E-0010 E-0011 Bureau Veritas Certification Holding SAS SGS United Kingdom Limited Korea Energy Management Corporation TUV Rheinland Japan Ltd. (Formerly TUV Industrie Service GmbH - TUV Rheinland Group) KPMG Sustainability B.V. (KPMG) — withdrawn (EB51) JQA JACO DNV TÜV SÜD DeloitteTECO JCI KPMGAZSA BVCH SGS KEMCO TÜV Rheinland KPMG E-0006 E-0013 E-0014 E-0016 E-0018 E-0020 E-0021 E-0032 E-0034 E-0037 E-0038 E-0039 E-0040 E-0041 E-0042 E-0044 E-0045 E-0047 ERM Certification and Verification Services Ltd. British Standards Institution (BSI) — withdrawn (EB44) Conestoga Rovers & Associates Limited Spanish Association for Standardisation and Certification TUV NORD CERT GmbH (Former RWTUV Systems GmbH) Lloyd’s Register Quality Assurance Ltd. Colombian Institute for Technical Standards and Certification Korean Foundation for Quality Swiss Association for Quality and Management Systems Ernst & Young Shin Nihon PricewaterhouseCoopers - South Africa (PwC) — withdrawn (EB44) Nippon Kaiji Kentei Quality Assurance Ltd. Perry Johnson Registrars Clean Development Mechanism, Inc. LGAI Technological Center, S.A. China Environmental United Certification Center Co., Ltd. RINA Services S.p.A. SIRIM QAS INTERNATIONAL SDN.BHD Korean Standards Association Korea Environment Corporation Japan Management Association Germanischer Lloyd Certification GmbH China Quality Certification Center Ernst & Young Associes (France) CEPREI certification body E-0048 Deloitte Cert Umweltgutachter GmbH E-0022 E-0023 E-0024 E-0025 E-0027 E-0028 E-0029 E-0030 E-0031 E-0050 Indian Council of Forestry Research and Education (I.C.F.R.E) Hong Kong Quality Assurance Agency (HKQAA) E-0051 KBS Certification Services Pvt. Ltd (KBS) E-0049 E-0052 Carbon Check (Pty) Ltd (Carbon Check) E-0054 E-0055 E-0056 re-consult Ltd. (Re-consult) URS Verification Private Limited (URS) Korea Testing & Research Institute (KTR) 指定を受けた プロジェクト セクトラルスコープ 件数 (有効化審査) 1-15 32 1-15 26 1-15 981 1-15 438 1-10, 12, 13, 15 21 1, 2, 4, 5, 10, 13 13 1-3, 10 0 1-15 1-15 1-15 463 948 5 1-15 77 0 ERM CVS BSI CRA AENOR 1-5, 8-10, 13 1, 4, 5, 10, 12, 13 1-15 105 0 2 46 TÜV NORD 1-15 366 LRQA 1-13 54 ICONTEC 1-5, 7, 8, 13-15 30 KFQ SQS E&YSNSI 1-5, 9-11, 13 1-15 1-3 16 4 0 PwC NKKKQA PJRCES Applus CEC RINA SIRIM KSA KECO JMA GLC CQC EYG CEPREI Deloitte Cert 0 1, 3-5, 7, 12, 13 1-3, 7, 9, 12, 13, 15 1, 13 1-3, 8, 10 1-8, 10, 11, 13-15 1-4, 13 1-5, 13 1-8, 13-15 1-4, 6, 8, 9, 14 1-3, 7, 10, 13 1-13 14 1-5, 8-10, 13, 15 1-3, 5 0 11 2 61 37 8 6 1 3 32 45 0 5 0 I.C.F.R.E 14 0 HKQAA 1 1, 3-5, 7, 12, 13, 15 0 KBS Carbon Check Re-consult URS KTR 5 1-5, 8-10, 13 0 1 1, 13 1, 4, 5, 11, 13 0 0 0 表注; スコープ 1: エネルギー産業 (再生可能・非再生可能エネルギー源), スコープ 2: エネルギー配送, スコープ 3: エ ネルギー需要, スコープ 4: 製造業, スコープ 5: 化学工業, スコープ 6: 建設業, スコープ 7: 運輸, スコープ 8: 鉱業・ 鉱物生産業, スコープ 9: 金属生産, スコープ 10: 燃料からの漏出(固形、石油およびガス), スコープ 11: HFC、PFC および SF6 の生産・消費からの漏出, スコープ 12: 溶剤の使用, スコープ 13: 廃棄物処理・処分, スコープ 14: 植林・ 再植林, スコープ 15: 農業 4-11 Det Norske Veritas Certification AS, 943 , 25% その他, 561 , 16% TUV NORD CERT GmbH (Former RWTUV Systems GmbH), 343 , 10% TUV SUD Industrie Service GmbH, 420 , 12% SGS United Kingdom Limited, 898 , 25% Bureau Veritas Certification Holding SAS, 424 , 12% DOE 別累計モニタリングレポート提出件数 図 4 500 その他 450 TUV NORD CERT GmbH (Former RWTUV Systems GmbH) 400 TUV SUD Industrie Service GmbH Bureau Veritas Certification Holding SAS 350 SGS United Kingdom Limited 300 Det Norske Veritas Certification AS 250 200 73 56 57 39 150 40 80 100 10 5 31 45 4 13 10 71 22 24 10 39 17 30 4-12 61 2 01 1 Q4 2 01 1 Q3 2 01 1 Q2 2 01 1 Q1 2 00 6 Q1 2 01 0 Q4 2 00 5 Q4 2 01 0 Q3 2 00 5 Q3 2 01 0 Q2 2 00 5 Q2 DOE 別モニタリングレポート提出件数 2 01 0 Q1 2 00 5 Q1 2 00 9 Q4 2 00 4 Q4 2 00 9 Q3 2 00 4 Q3 2 00 9 Q2 2 00 4 Q2 2 00 9 Q1 2 00 4 Q1 2 00 8 Q4 2 00 3 Q4 2 00 8 Q3 025 2 00 8 Q2 10 2 00 8 Q1 0 2 00 7 Q4 0 2 00 7 Q3 0 2 00 7 Q2 0 2 00 7 Q1 0 2 00 6 Q4 0 2 00 6 Q3 0 2 00 6 Q2 0 図 5 5 3 48 6 20 18 3 2 2 48 36 49 95 41 90 22 28 26 12 75 25 60 58 8 19 45 48 50 46 44 43 37 26 30 31 30 27 25 31 407 15 19 8 12 50 0 68 74 0 200 400 600 547 DNV 800 36 113 50 1,000 222 1,200 scope 1 scope 2 scope 3 630 SGS 34 199 32 scope 4 scope 5 scope 6 470 BVCH scope 7 902 scope 8 scope 9 TÜV SÜD 207 107 45 32 scope 10 scope 11 scope 12 321 TÜV NORD 7 scope 13 scope 14 scope 15 ERM CVS 69 36 図 6 セクトラルスコープ別 DOE によるプロジェクトのモニタリングレポート提出件数 表注; スコープ 1: エネルギー産業 (再生可能・非再生可能エネルギー源), スコープ 2: エネルギー配送, スコープ 3: エ ネルギー需要, スコープ 4: 製造業, スコープ 5: 化学工業, スコープ 6: 建設業, スコープ 7: 運輸, スコープ 8: 鉱業・ 鉱物生産業, スコープ 9: 金属生産, スコープ 10: 燃料からの漏出(固形、石油およびガス), スコープ 11: HFC、PFC および SF6 の生産・消費からの漏出, スコープ 12: 溶剤の使用, スコープ 13: 廃棄物処理・処分, スコープ 14: 植林・ 再植林, スコープ 15: 農業 4-13 5.JI 信任関連 5-1 AIE の現状・専門性 5-2 JI 信任に関する調査※ 5-2 JI における方法論※ ※ 詳細はホームページ参照のこと http://www.cdm-ji.org/consult_ji/index.html 4-14 5-1 AIE の現状・専門性 ○JI 認定パネルについて 2006 年 2 月に JI 監督委員会が設立された後、同委員会は、COP/CMP 1 の決議1に従っ て、2006 年 5 月にその下部組織として JI 認定パネル(以下、認定パネルと表す)を設置 し、認定パネルの勧告に基づき独立組織2を認定することを決定した。認定パネルは、2006 年 7 月に開催された第 1 回会合以降、JI 独立組織の認定に関する活動を行っている。なお 2011 年には 5 月と 8 月に開催されているが、10 月に予定されていた第 27 回パネルは開 催運営資金不足のため延期された。 認定パネルは、 JI 監督委員会委員から選任された議長、副議長、一般から公募され同 委員会で選任された 6 名の委員の計 8 名で構成されている。 <2012 年 2 月現在の認定パネル委員の構成> 氏名 役割 パネル議長(JI 監督委員会委員) パネル副議長(JI 監督委員会委員) 委員 委員 委員 委員 委員 委員 Mr. Benoit Leguet Mr. Carlos Fuller Mr. Venkataraman Balakrishnan Mr. Pierre Boileau Ms. Anastasia Northland Mr. Takashi Otsubo Ms. Anikó Pogány Mr. Francesco Tubiello ○JI 独立組織の認定状況 2006 年 11 月に認定申請受付を開始後、2012 年 1 月現在の申請数は 15 件。この 15 件 の申請の地域分布を見ると、西ヨーロッパおよびその他地域から 10 件、アジア太平洋地 域から 5 件となっている。現段階では、市場経済移行国あるいは非附属書 I 国の組織から の申請はない。 認定審査手順書に従って、提出資料の完全性確認、初期検討、審査チーム編成、作業計 画作成、書類審査、追加書類提出要請、オンサイト審査、暫定認定書発行、ウィットネス 審査、の流れで審査されるが、独立認定機関の数を増やすため、ウィットネス審査が完了 していない独立機関を暫定的に認定する移行措置が JISC 25 において採択されている。こ の移行措置の効果もあり、これまでに 11 機関(E-0001、0002、0004、0005、0007、0008、 1「JI 監督委員会が独立組織を認定するための要求事項とその手続きを推敲すること」、 「JI 監督委員会が JI ガイドラインの付属書 A に記述された、独立組織を認定するための要求事項とその 手続きに従って独立組織を認定すること」 2 認定独立組織(Accredited Independent Entity, AIE) :JI の事業活動を第 2 トラックによって行う場 合に、JI プロジェクトが該当する条件およびガイドラインの要件を満たしているか否かの審査、あるい は、JI プロジェクトによる GHG の排出削減(または吸収増大量)の検証を行う国内法人または国際機関。 4-15 0009、0011、0012、0013、0014)が認定を受けている。また 3 機関(E-0003、0006、0010) は認定を辞退しており、1 機関(E-0015)はまだ審査が開始していない。 4-16 <独立組織の認定審査進捗状況(JI-AP26 および JISC26 会議報告より)> UNFCCC Ref. No. 組織名 申請 専門 分野スコ ープ 完全性確認 事前検討 ワークプラ ン JI-AT 編成 書類審査 オンサイ ト審査 暫定認定 書 ウィット ネス審査 活動※1 段階的 認定※2 認定審査のステップ JI-E-0001 DNV Climate Change Services AS (DNV) 1-15 x x x x x x x 2WO (1WC) 認定 Ⅲ JI-E-0002 Japan Quality Assurance Organization (JQA) Deloitte Tohmatsu Evaluation and Certification Organization (Deloitte-TECO) Lloyd’s Register Quality Assurance Ltd. (LRQA) JACO CDM., Ltd.(JACO) 1-15 x x x x x x x 1WO (1WW) 認定※3 1-10, 12-13, 15 x x x x x x x 1-13 X X x X x x x 1WO 認定※3 1-14 x x x x x x x 1WO 認定※3 Japan Consulting Institute (JCI) Bureau Veritas Certification Holding SAS (BVC Holding SAS) TÜV SÜD Industrie Service GmbH (TÜV-SÜD) Spanish Association for Standardisation and 1-5, 8-11, 13 x x x x x x x 1-15 x x x x x x x 1-15 x x x x x x x 1-15 x x x x x x x 1-15 x x x x x x x JI-E-0003 JI-E-0004 JI-E-0005 JI-E-0006 JI-E-0007 JI-E-0008 JI-E-0009 JI-E-0010 Certification (AENOR) SGS United Kingdom 4-17 認定辞 退 認定辞 退 5WO (1WC) (2WW) 4WO (1WC) (2WW) 1WO (1WC) 認定 Ⅱ 4WO 認定辞 認定 Ⅲ、Ⅳ 認定 Ltd. (2WC) (1WW) 1WO (1WW) 退 2WO (1WC) 認定※3 JI-E-0011 TÜV NORD CERT GmbH (TÜV NORD) 1-15 x x x x x x x JI-E-0012 TÜV 1-15 x x x x x x x 1-15 x x x x x x x 認定※3 1-4, 13 x x x x x x x 認定※3 1-3, 7, 10, 13 x x x x JI-E-0013 JI-E-0014 JI-E-0015 Rheinland Japan Ltd. (TÜV Rheinland) Swiss Association for Quality andManagement Systems (SQS) KPMG Advisory N.V. (KPMG) Germanischer Lloyd Certification GmbH (GLC) 凡例: x:当該ステージ完了 ※1 WO:ウィットネス機会を合意済み、WA:ウィットネス活動実施中、WC:ウィットネス活動完了、WW:ウィットネス活動取下げ ※2 ローマ数字はセクトラル・グループを指す Group Ⅰ: Sectoral scopes 1, 2, 3 Group Ⅱ: Sectoral scopes 4, 6, 8, 9, 10 Group Ⅲ: Sectoral scopes 5, 11, 12, 13 Group Ⅳ: Sectoral scopes 7 Group Ⅴ: Sectoral scopes 14 Group Ⅵ: Sectoral scopes 15 ※3 JISC 25 で採択された移行措置により暫定的に認定 表注; スコープ 1: エネルギー産業 (再生可能・非再生可能エネルギー源), スコープ 2: エネルギー配送, スコープ 3: エネルギー需要, スコープ 4: 製造業, スコープ 5: 化学工業, スコ ープ 6: 建設業, スコープ 7: 運輸, スコープ 8: 鉱業・鉱物生産業, スコープ 9: 金属生産, スコープ 10: 燃料からの漏出(固形、石油およびガス), スコープ 11: HFC、PFC および SF6 の生産・消費からの漏出, スコープ 12: 溶剤の使用, スコープ 13: 廃棄物処理・処分, スコープ 14: 植林・再植林, スコープ 15: 農業 4-18 認定※3 6.CDM プロジェクト 6-1 CDM プロジェクト集計(有効化・登録・発行) 6-2 有効化審査 6-3 登録 データベース※ 6-4 発行 データベース※ 6-5 重要プロジェクトの概要・論点・経緯 ※ データベース※ データベースの詳細はホームページ参照のこと http://www.cdm-ji.org/project_cdm/index.html 4-19 6-1 CDM プロジェクト集計 1.有効化審査 図 1 に四半期ごとの有効化審査件数と、累計審査件数を示す。2011 年は、これまでを大 きく上回る 2099 件の CDM プロジェクトが UNFCCC に提出され、有効化審査のためのパ ブリックコメントが行われた。特に、2011 年第 3 四半期に 578 件、第 4 四半期四半期には 694 件が提出されており、これまでの水準を超える CDM プロジェクトが有効化審査のため に UNFCCC に提出されたことがわかる。2011 年末時点では、累計 9941 件のプロジェク トが UNFCCC に提出された。 ホスト国別では、図 2 に示すように、中国でのプロジェクトが多く、次いでインド、ブ ラジルとなり、CDM の地域的な偏在傾向に大きな変化は無い。2011 年末の累計では、中 国が 40%を占め、インド 26%、ブラジル 7%、メキシコ 3%と続いている。一方で、提出 された CDM プロジェクトのホスト国は 98 カ国に拡大した。 これらのプロジェクトによって期待される温室効果ガスの予想削減量を図 4 に示す。2011 年末の時点で、累計 13 億 2159 万トンの温室効果ガスの排出量が予測されている。ホスト 国別では、図 5 のように有効化審査件数に占める中国の割合が引き続き高い。また、図 6 に示すように、2011 年末時点で、予想削減量のうち中国が 52%を占めており、大量の温室 効果ガス排出量が中国で削減されることが予想される。 次に、方法論別では、図 7 に示すように ACM0002 や AMS-I.D.の割合が高い3。2011 年 末の累計を図 8 に示すように、再生可能エネルギーの導入に関する方法論である ACM0002 や AMS-I.D.の割合がそれぞれ約 25%を占め、2 つの方法論で全体の半数を占めている。し たがって、CDM プロジェクトの中で再生可能エネルギー関連のプロジェクトが大きな割合 を占めていることがわかる。 そして、セクトラルスコープ別4では、図 9 及び図 10 に示すように、スコープ 1 のエネ ルギー産業(再生可能・非再生可能エネルギー源)に属するプロジェクトが 75%を占めてい る。 3 ただし、プロジェクトによって複数の方法論を用いている。そのため、この集計結果と有効化審査件数 は整合しない。 4 方法論によっては、複数のスコープをカバーしているため、スコープ別の集計結果と有効化審査件数と は整合しない。 4-20 800 12,000 総計(件) 累計(件) 694 700 10,000 578 600 510 500 500 435 8,000 472 471 417 405 350 342 328 343 355 305 287 278 300 417 393 389 400 329 401 6,000 321 4,000 198 200 137 100 132 2,000 66 4 1 17 16 25 25 0 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 2006Q2 2006Q1 2005Q4 2005Q3 2005Q2 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 図 7 有効化審査件数 800 700 中華人民共和国 インド ブラジル メキシコ ベトナム マレイシア タイ インドネシア 大韓民国 チリ その他 600 500 44 18 400 121 15 20 99 32 83 246 図 8 28 131 15 23 20 83 98 9 104 140 14 84 81 92 85 301 203 193 178 143 140 141 122 135 202 151 146 321 182 国別有効化審査件数の推移 4-21 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q1 2007Q4 2007Q3 87 2007Q2 34 2007Q1 91 19 2006Q4 2005Q4 223 157 171 146 2006Q3 14 2006Q2 8 20 71 100 70 2006Q1 49 102 204 23 47 19 14 3 2005Q3 2005Q1 2004Q4 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 2004Q3 2 145 2005Q2 31 12 15 127 92 33 100 142 98 19 31 109 29 25 100 2008Q2 25 200 11 41 19 300 114 39 その他, 1,255 , 13% チリ, 126 , 1% 大韓民国, 132 , 1% インドネシア, 208 , 2% タイ, 230 , 2% マレイシア, 235 , 2% 中華人民共和国, 3,963 , 40% ベトナム, 262 , 3% メキシコ, 278 , 3% ブラジル, 658 , 7% インド, 2,594 , 26% 2011 年末の時点における国別有効化審査件数 図 9 12,000 140,000 総計(単位: 万CO2換算トン) 累計(単位: 万CO2換算トン) 10,000 9,636 120,000 100,000 8,000 7,508 6,968 80,000 6,173 6,143 6,000 5,369 5,893 5,316 5,373 5,337 5,161 4,868 5,528 5,047 4,658 4,428 4,378 4,034 3,810 4,000 3,386 3,093 40,000 2,287 2,140 1,729 2,000 60,000 4,211 4,299 4,014 20,000 639 214 4 188 91 236 0 図 10 予想削減量 4-22 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 2006Q2 2006Q1 2005Q4 2005Q3 2005Q2 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 12,000 10,000 中華人民共和国 インド ブラジル メキシコ 大韓民国 インドネシア マレイシア アンゴラ ベトナム 南アフリカ その他 8,000 6,000 193 141 937 124 474 1,160 150 295 786 90 158 133 648 413 1,192 389 1,592 350 3,602 116 346 1,243 50 782 1,396 1,202 4,567 4,091 3,298 3,262 3,386 3,114 2,777 2,575 2,553 2,361 2,351 2,183 2,101 2,003 1,814 2,154 1,929 1,855 1,716 2,967 国別予想削減量 その他, 18,640 , 14% 南アフリカ, 1,577 , 1% ベトナム, 1,702 , 1% アンゴラ, 1,885 , 1% マレイシア, 2,029 , 2% インドネシア, 2,345 , 2% 大韓民国, 2,722 , 2% 中華人民共和国, 68,536 , 52% メキシコ, 2,978 , 2% ブラジル, 6,157 , 5% インド, 23,588 , 18% 2011 年末の時点における累計国別予想削減量の割合 4-23 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 2006Q2 2006Q1 図 11 図 12 79 101 1,065 1,246 2005Q4 2005Q3 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 9 2005Q2 0 773 143 431 358 41 123 849 570 126 1,366 904 198 675 604 684 4,675 4,714 190 1,577 84 299 500 179 2,000 151 1,049 1,083 267 276 730 212 2009Q1 4,000 129 800 その他 ACM0004 AMS‐II.D. ACM0001 AMS‐III.D. ACM0012 ACM0006 AMS‐I.C. AMS‐I.D. ACM0002 AMS‐III.H. 700 600 500 171 400 143 300 135 107 88 92 95 88 138 104 98 106 122 98 94 94 82 87 2009Q3 2010Q1 78 337 80 方法論別有効化審査件数 ACM0002, 2,994 , 28% ACM0004, 228 , 2% AMS‐II.D., 229 , 2% ACM0001, 309 , 3% AMS‐III.D., 314 , 3% AMS‐III.H., 348 , 3% AMS‐I.D., 2,700 , 25% ACM0012, 378 , 3% ACM0006, 404 , 4% 図 14 AMS‐I.C., 625 , 6% 方法論別累計有効化審査件数の割合 4-24 2011Q4 2011Q3 2010Q4 2010Q3 2006Q1 その他, 2,312 , 21% 117 112 109 2010Q2 2005Q4 2009Q4 2005Q2 2009Q1 2005Q1 2008Q4 2004Q4 図 13 2008Q3 2004Q3 75 2008Q2 2004Q2 68 2008Q1 27 38 2007Q4 31 2007Q3 20 29 9 12 2007Q2 7 3 107 118 2007Q1 8 3 2006Q4 7 0 2006Q3 10 0 2006Q2 1 0 2005Q3 1 0 2004Q1 45 2003Q4 42 272 181 173 179 80 0 100 99 96 2009Q2 95 100 123 120 92 2011Q2 112 108 153 148 127 2011Q1 200 800 700 scope 1 scope 2 scope 3 scope 4 scope 5 scope 6 scope 7 scope 8 scope 9 scope 10 scope 11 scope 12 scope 13 scope 14 scope 15 600 500 400 300 595 510 441 200 316 348 412430391 321324 266 275285242265 257232 図 15 scope 11 scope 10 0% 1% scope 9 0% 351 284 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 101 127 2005Q4 2005Q3 2005Q2 2005Q1 2004Q4 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 2004Q3 8 18 20 2006Q2 177 1 87 49 2006Q1 100 391 325316 セクトラルスコープ別有効化審査件数 scope 12 0% scope 13 11% scope 14 1% scope 15 3% scope 8 1% scope 7 0% scope 6 0% scope 5 1% scope 4 5% scope 3 2% scope 2 0% scope 1 75% 図 16 セクトラルスコープ別累計有効化審査件数 図注; スコープ 1: エネルギー産業 (再生可能・非再生可能エネルギー源), スコープ 2: エネルギー配送, スコープ 3: エ ネルギー需要, スコープ 4: 製造業, スコープ 5: 化学工業, スコープ 6: 建設業, スコープ 7: 運輸, スコープ 8: 鉱業・鉱 物生産業, スコープ 9: 金属生産, スコープ 10: 燃料からの漏出(固形、石油およびガス), スコープ 11: HFC、PFC およ び SF6 の生産・消費からの漏出, スコープ 12: 溶剤の使用, スコープ 13: 廃棄物処理・処分, スコープ 14: 植林・再植 林, スコープ 15: 農業 4-25 2.登録 図 11 に CDM 理事会に登録されたプロジェクト数を示す。2011 年は、1057 件のプロジ ェクトが登録され、2011 年末の時点で累計 3879 件のプロジェクトが登録されている。 ホスト国別では、図 12 のように、中国のプロジェクトが登録される割合が高く、図 13 に示すように、2011 年末の累計では中国の割合が 47%と、昨年の 41%から増加した。一方 で、中国の次に登録されたプロジェクトが多いインドは 20%、次いでブラジル 5%、メキシ コ 4%と、昨年の水準から減少している。 登録されたプロジェクトによる削減量は、図 14 に示したように、2011 年末の時点で 5 億 6982 万トンとなり、2009 年末の時点と比べて約 1 億 2824 万トン増加した。ホスト国別 では、図 15、図 16 に示すように、中国の割合が非常に大きく、全体の 65%を占めている。 次に、図 17 と図 18 に投資国別の登録件数を示す5。登録されたプロジェクトのうち、最 も多く関与しているのがイギリスであり、昨年末に 28%であった割合が 40%まで増加した。 次いで、日本 14%、ニュージーランド 11%、スイス 11%となっている。 そして、セクトラルスコープ別と方法論別の登録件数を、図 19、図 20、図 21、図 22 に 示す6。セクトラルスコープ別では、有効化審査と同様にスコープ 1 が 4 分の 3 を占めてお り、方法論別でも AMS0002 と ACM-I.D.が半数を占めている。 5 投資国別の集計結果には、マルチラテラルプロジェクトが含まれるため、登録件数とは整合しない。 有効化審査件数の集計結果と同様に、セクトラルスコープ別及び方法論別の集計結果は登録件数と整合 しない。 6 4-26 450 4,500 総計(件) 累計(件) 394 400 4,000 357 350 3,500 300 3,000 271 256 237 250 2,500 200 2,000 173 169 150 110 100 86 154 153 143 136 134 111 113 109 1,500 129 132 125 87 87 77 1,000 73 40 50 0 0 0 0 1 6 3 500 13 0 図 17 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 2006Q2 2006Q1 2005Q4 2005Q3 2005Q2 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 登録件数 450 400 中華人民共和国 インド ブラジル メキシコ マレイシア ベトナム インドネシア 大韓民国 タイ フィリピン その他 350 7 300 68 5 250 65 200 4 4 43 42 9 31 150 5 3 2011Q4 2007Q1 2011Q3 2006Q4 51 42 国別登録件数 4-27 101 2011Q2 2006Q3 41 94 2011Q1 2006Q2 30 201 2010Q4 2006Q1 図 18 30 89 2010Q3 2005Q4 39 76 2010Q2 15 2009Q4 16 28 150 154 86 2009Q3 9 3 17 5 14 71 2009Q1 4 86 2008Q4 11 4 3 5 53 2008Q3 3 12 2 145 5 29 21 27 27 26 2008Q2 1 3 0 3 20 2008Q1 42 0 1 2005Q3 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 2005Q2 0 28 57 31 40 16 7 2007Q4 9 32 2007Q2 50 56 16 2007Q3 6 26 2 22 2 24 13 2010Q1 9 2009Q2 100 1 245 フィリピン, 57 , 1%その他, 443 , 11% タイ, 66 , 2% 大韓民国, 67 , 2% インドネシア, 75 , 2% ベトナム, 103 , 3% マレイシア, 106 , 3% 中華人民共和国, 1,835 , 47% メキシコ, 136 , 4% ブラジル, 200 , 5% インド, 791 , 20% 2011 年末時点における国別累計登録件数 図 19 6,000 60,000 総計(単位: 万CO2換算トン) 累計(単位: 万CO2換算トン) 5,348 5,000 50,000 4,166 4,000 40,000 3,673 3,413 3,000 30,000 2,801 2,625 2,343 2,130 2,032 1,997 1,973 1,904 1,711 1,664 2,000 3,352 1,957 1,777 1,701 20,000 1,734 1,505 1,501 1,633 1,313 927 990 1,000 10,000 442 0 0 0 0 67 24 189 0 図 20 登録削減量 4-28 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 2006Q2 2006Q1 2005Q4 2005Q3 2005Q2 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 6,000 5,000 中華人民共和国 インド ブラジル 大韓民国 メキシコ インドネシア ウズベキスタン マレイシア ベトナム チリ その他 63 599 4,000 34 160 125 3,000 43 162 24 30 142 2,000 3,882 96 図 21 国別登録削減量 チリ, 593 , 1% その他, 5,435 , 10% ベトナム, 612 , 1% マレイシア, 617 , 1% ウズベキスタン, 627 , 1% インドネシア, 800 , 1% メキシコ, 1,106 , 2% 大韓民国, 1,948 , 4% ブラジル, 2,379 , 4% 中華人民共和国, 36,511 , 64% インド, 6,265 , 11% 図 22 国別累計登録削減量の割合 4-29 2,407 2 109 2,200 1,087 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 757 739 2009Q3 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2006Q4 2006Q3 29 2006Q2 66 6 0 405 2006Q1 0 3 5 2005Q4 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 2005Q3 0 2005Q2 416 577 2009Q2 958 23 68 1,233 1,181 1,279 1,302 1,146 2009Q1 877 3,070 5 12 81 153 38 39 1,567 1,516 9 1,426 114 19 92 704 1,459 1,142 2008Q4 1,628 8 2007Q1 604 140 116 2,476 2,162 2008Q3 209 406 423 2008Q2 154 170 8 26 156 2010Q1 244 1,000 69 21 90 185 357 31 2009Q4 308 36 652 423 350 300 250 その他 デンマーク オーストリア フランス スペイン ドイツ スウェーデン スイス ニュージーランド 日本 英国 200 34 22 39 150 31 20 48 100 2004Q3 2004Q4 2005Q1 2005Q2 2005Q3 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 2006Q2 2006Q1 2005Q4 デンマーク, 55 , 2% その他, 153 , 5% オーストリア, 59 , 2% フランス, 60 , 2% スペイン, 129 , 4% ドイツ, 167 , 5% 英国, 1,310 , 41% スウェーデン, 203 , 6% スイス, 343 , 11% ニュージーランド, 359 , 11% 図 24 日本, 369 , 11% 2011 年末時点における投資国別累計登録件数の割合 4-30 2011Q4 2004Q2 投資国別登録件数 2011Q3 2004Q1 図 23 2011Q2 2 1 2 2011Q1 0 1 2010Q4 1 0 2010Q3 0 2010Q2 0 2010Q1 0 2009Q4 0 14 11 16 32 13 3 132 127 11 8 19 22 19 6 11 13 8 7 7 1 6 15 11 6 7 7 1 19 84 8 81 7 5 13 70 19 58 47 47 47 42 12 49 52 47 41 48 49 40 42 46 34 33 5 28 25 2 22 1 11 5 2003Q4 49 16 8 3 20 10 50 0 24 19 6 8 450 400 scope 1 scope 2 scope 3 scope 4 scope 5 scope 6 scope 7 scope 8 scope 9 scope 10 scope 11 scope 12 scope 13 scope 14 scope 15 350 300 250 200 334323 150 237226 190 161 2011Q3 2011Q2 2011Q1 136 2010Q4 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 93 69 75 82 67 2009Q2 114100124115117 2010Q3 131 2007Q3 2005Q3 scope 11 scope 10 1% 0% scope 9 0% 112 2007Q2 2005Q2 図 25 2007Q1 2005Q1 30 89 80 2006Q4 7 2006Q3 0 5 2006Q2 1 58 56 66 2006Q1 0 2005Q4 0 2004Q4 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 2004Q3 50 2011Q4 100 セクトラルスコープ別登録件数 scope 14 scope 12 1% 0% scope 13 scope 15 4% 12% scope 8 1% scope 7 0% scope 6 0% scope 5 scope 4 2% 3% scope 3 1% scope 2 0% scope 1 75% 図 26 セクトラルスコープ別累計登録件数の割合 表注; スコープ 1: エネルギー産業 (再生可能・非再生可能エネルギー源), スコープ 2: エネルギー配送, スコープ 3: エ ネルギー需要, スコープ 4: 製造業, スコープ 5: 化学工業, スコープ 6: 建設業, スコープ 7: 運輸, スコープ 8: 鉱業・鉱 物生産業, スコープ 9: 金属生産, スコープ 10: 燃料からの漏出(固形、石油およびガス), スコープ 11: HFC、PFC およ び SF6 の生産・消費からの漏出, スコープ 12: 溶剤の使用, スコープ 13: 廃棄物処理・処分, スコープ 14: 植林・再植 林, スコープ 15: 農業 4-31 450 400 その他 ACM0008 ACM0012 ACM0006 ACM0004 ACM0001 AMS‐III.D. AMS‐I.C. AMS‐I.D. ACM0002 AMS‐III.H. 350 300 250 119 200 125 70 150 65 62 47 100 方法論別登録件数 2006Q2 2006Q3 ACM0008, 54 , 1% ACM0002, 1,361 , 32% ACM0012, 64 , 1% ACM0006, 111 , 3% ACM0004, 111 , 3% AMS‐III.H., 142 , 3% ACM0001, 150 , 3% AMS‐III.D., 153 , 4% AMS‐I.D., 1,149 , 27% AMS‐I.C., 166 , 4% 図 28 方法論別累計登録件数の割合 4-32 2011Q4 2006Q1 その他, 801 , 19% 2011Q3 2005Q4 19 2011Q2 2005Q3 32 81 2011Q1 2005Q2 25 54 2010Q4 2005Q1 29 57 2010Q3 2004Q4 図 27 21 65 2010Q2 2004Q3 16 73 117 123 2009Q4 2004Q2 24 34 2009Q3 12 2009Q2 10 50 2009Q1 18 5 2008Q4 18 4 2008Q3 5 1 2008Q2 3 0 67 151 154 47 95 26 2008Q1 1 0 28 2007Q4 0 18 2007Q3 0 2007Q2 0 2007Q1 0 42 2006Q4 0 30 33 38 2004Q1 28 2003Q4 0 40 49 43 37 41 39 50 61 26 2010Q1 32 3.発行 図 23 に示すように、2011 年に初めて CER の発行を受けたプロジェクト数は 605 件、2011 年末の時点で累計 1534 件のプロジェクトに対して CER が発行された。 プロジェクト別の発行回数を図 24 に示す。発行回数ではプロジェクト番号 99 の“N2O Emission Reduction in Onsan, Republic of Korea”が最多となる 53 回の発行を受けてお り、次いでプロジェクト番号 116 の“N2O Emission Reduction in Paulínia, SP, Brazil” が 48 回の発行を受けている。また、プロジェクト番号 193 の“HFC23 Decomposition Project of Zhejiang Juhua Co., Ltd, P. R. China”が 23 回の発行を受けている。 次に、CER 発行件数を図 25 に示す。2011 年は、1534 件の CER が発行され、2011 年 末の時点で累計 3589 件の CER が発行された。国別では、図 23 のように、2011 年はさら に中国の割合が高まり、図 24 に示すように、2010 年末の累計では中国が全体の 44%を占 めている。次いで、インドが 23%、そしてブラジルが 12%となっているが、中国の割合が 高まったことで、発行件数に占める割合が減少している。また、中国のプロジェクト登録 件数が増加しており、今後も CER 発行件数に占める中国の割合が高まることが予想される。 CER の発行量は、図 25 のように、2010 年の CER の発行量は前年比 2.4 倍となる 3 億 1952 万 CO2 換算トン、累計で 8 億 1569 万 CO2 換算トンとなった。国別では、図 26 に示 すように、中国のプロジェクトから発行された CER 量が大きな割合を占めている。2011 年末の時点で、図 27 のように、中国が 58%、インド 16%、韓国 10%、ブラジル 7%となっ ており、CER 発行量に占める中国の割合が高いことがわかる。また、これらの 4 カ国で CER 発行量の 91%を占めている。 図 28 と図 29 は、投資国別の CER 発行件数である7。図 28 から、CER が発行されたプ ロジェクトに関与している国のうち、スイスとイギリスの割合が大きいことわかる。2010 年末の時点で、投資国別では、スイスが 26%、イギリスが 25%とそれぞれが約 4 分の 1 を 占め、2 カ国が半数以上の CER 発行件数に関与していることがわかる。 CER が発行されたプロジェクトをセクトラルスコープ別に集計した結果を図 31、図 32 に示す8。有効化審査及び登録件数にスコープ 1 のプロジェクトが多いため、CER の発行を 受けたプロジェクトもスコープ 1 のものが多い。同様に、方法論別に集計した結果を図 33、 図 34 に示すように、AMS0002 と ACM-I.D.で約半数を占めている。 7 ここでの集計にはマルチラテラルプロジェクトが含まれているため、CER 発行件数とは整合しない。 この集計結果とプロジェクト数は、プロジェクトによって複数のセクトラルスコープの対象となるため 整合しない。 8 4-33 700 605 600 500 400 300 246 200 181 192 204 2007 2008 2009 102 100 0 4 2004 2005 2006 図29 CER が発行されたプロジェクト数 0 2010 2011 600 541 500 400 368 300 228 200 135 100 73 41 17 6 3 1 0 3 3 1 5 0 4 2 3 0 0 1 2 0 0 0 0 0 0 3 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30< 0 図 29 プロジェクト別の CER 発行回数 4-34 4,000 500 総計(件) 450 累計(件) 431 426 3,500 400 374 3,000 350 303 2,500 300 250 2,000 224 200 155 150 150 123 101 100 116 121 1,500 167 142 130 1,000 98 85 82 76 74 81 41 50 0 0 0 0 0 0 0 8 4 0 56 500 21 0 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 2006Q2 2006Q1 2005Q4 2005Q3 2005Q2 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 CER 発行件数 図 30 500 450 中華人民共和国 インド ブラジル メキシコ 大韓民国 チリ アルゼンチン マレイシア ホンジュラス インドネシア その他 400 350 21 40 21 300 75 79 69 250 17 200 63 19 35 150 29 28 77 国別 CER 発行件数 4-35 81 66 57 2011Q4 47 2011Q3 43 136 2011Q2 46 7 9 2011Q1 48 25 167 31 2010Q3 31 227 7 2010Q2 40 27 2010Q1 36 23 2009Q4 16 42 2009Q3 9 18 34 37 23 2009Q2 28 14 2009Q1 2007Q1 20 19 2008Q3 2006Q4 図 31 8 16 20 2008Q2 8 9 34 2008Q1 14 1 27 2 2006Q3 2005Q4 2 12 0 2006Q2 0 0 3 0 2006Q1 0 2005Q3 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 2005Q2 0 1 0 22 31 2007Q4 14 22 2007Q2 50 2007Q3 22 11 2008Q4 26 253 238 20 2010Q4 22 26 100 インドネシア, 27 , 1% その他, 271 , 7% ホンジュラス, 31 , 1% マレイシア, 35 , 1% アルゼンチン, 43 , 1% チリ, 62 , 2% 大韓民国, 120 , 3% メキシコ, 148 , 4% 中華人民共和国, 1,605 , 45% ブラジル, 431 , 12% インド, 816 , 23% 図 32 国別累計 CER 発行件数の割合 12,000 90,000 総計(単位: 万CO2換算トン) 累計(単位: 万CO2換算トン) 80,000 9,825 10,000 70,000 7,984 8,000 60,000 7,071 7,072 50,000 5,658 6,000 40,000 4,567 4,000 3,602 3,183 3,547 3,030 2,643 2,000 436 0 0 0 0 0 0 0 2,486 2,214 2,043 1,961 1,450 1,021 496 616 30,000 3,332 3,071 2,388 1,863 20,000 10,000 0 10 0 図 33 CER 発行量 4-36 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 2006Q2 2006Q1 2005Q4 2005Q3 2005Q2 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 12,000 10,000 中華人民共和国 インド 大韓民国 ブラジル メキシコ アルゼンチン チリ エジプト ベトナム パキスタン その他 553 8,000 2,043 456 6,000 1,078 265 483 894 464 633 297 4,000 472 520 346 2,000 678 328 120 654 430 436 166 6,263 467 191 587 5,293 4,969 500 517 234 422 4,789 4,216 249 107 91 21 2,898 464 352 499 405 2,115 2,069 235 1,941 2,169 1,750 1,578 1,608 530 228 1,214 1,179 1,229 905 795 483 0 73 390 217 589 385 329 190 3 137 151 0 0 859 図 34 国別 CER 発行量 パキスタン, 326 , 0% その他, 2,211 , 3% ベトナム, 670 , 1% エジプト, 743 , 1% チリ, 804 , 1% アルゼンチン, 809 , 1% メキシコ, 1,364 , 2% ブラジル, 6,074 , 7% 大韓民国, 7,996 , 10% 中華人民共和国, 47,858 , 59% インド, 12,713 , 15% 図 35 国別累計 CER 発行量の割合 4-37 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 0 5 2006Q2 0 2006Q1 0 2005Q4 2005Q1 2004Q4 2004Q3 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 2005Q3 0 2005Q2 364 800 その他 カナダ スペイン イタリア フランス スウェーデン ドイツ 日本 オランダ 英国 スイス 700 600 500 400 75 91 300 183 53 52 43 38 32 166 0 0 0 0 0 0 0 0 3 1 2004Q1 2004Q2 2004Q3 2004Q4 2005Q1 2005Q2 2005Q3 2005Q4 2006Q1 141 29 27 23 107 23 25 26 31 79 71 86 62 24 66 64 80 62 70 24 51 16 60 169 155 134 52 48 18 38 43 104 113 13 29 102 91 84 83 73 70 69 72 67 66 6 22 58 51 45 51 41 16 24 31 2 5 11 7 図 36 投資国別 CER 発行件数 その他, 153 , 5% カナダ, 134 , 2% スペイン, 164 , 2% イタリア, 196 , 3% フランス, 315 , 5% スイス, 1,772 , 25% スウェーデン, 380 , 5% ドイツ, 388 , 6% 日本, 718 , 10% 英国, 1,758 , 25% オランダ, 779 , 11% 図 37 投資国別累計 CER 発行件数の割合 4-38 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 2008Q4 2008Q3 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 15 2007Q2 2007Q1 2006Q4 2006Q3 100 2006Q2 14 0 156 2003Q4 200 76 500 450 scope 1 scope 2 scope 3 scope 4 scope 5 scope 6 scope 7 scope 8 scope 9 scope 10 scope 11 scope 12 scope 13 scope 14 scope 15 400 350 300 250 200 340 328 150 283 226 100 167 図 38 scope 11 8% 106115 106 2011Q4 2011Q3 2011Q2 2011Q1 2010Q4 2010Q3 2010Q2 2010Q1 70 2009Q4 2009Q3 2009Q2 2009Q1 88 75 84 86 2008Q4 57 2008Q3 77 2008Q2 2008Q1 2007Q4 2007Q3 2007Q2 2007Q1 2006Q4 37 40 39 40 45 44 52 2006Q3 3 2006Q2 0 2006Q1 2005Q1 0 2005Q4 0 2005Q3 0 0 10 2005Q2 0 2004Q4 2004Q2 2004Q1 2003Q4 0 2004Q3 50 セクトラルスコープ別 CER 発行件数 scope 12 0% scope 13 scope 14scope 15 9% 0% 0% scope 10 0% scope 9 0% scope 8 1% scope 7 0% scope 6 0% scope 5 8% scope 4 scope 3 3% 1% scope 2 scope 1 70% 0% 図 39 セクトラルスコープ別累計 CER 発行件数の割合 表注; スコープ 1: エネルギー産業 (再生可能・非再生可能エネルギー源), スコープ 2: エネルギー配送, スコープ 3: エ ネルギー需要, スコープ 4: 製造業, スコープ 5: 化学工業, スコープ 6: 建設業, スコープ 7: 運輸, スコープ 8: 鉱業・鉱 物生産業, スコープ 9: 金属生産, スコープ 10: 燃料からの漏出(固形、石油およびガス), スコープ 11: HFC、PFC およ び SF6 の生産・消費からの漏出, スコープ 12: 溶剤の使用, スコープ 13: 廃棄物処理・処分, スコープ 14: 植林・再植 林, スコープ 15: 農業 4-39 500 その他 AM0015 AM0028 AMS‐I.C. AM0021 ACM0001 ACM0004 AM0001 AMS‐I.D. ACM0002 AM0016 450 400 350 300 250 94 95 200 72 150 66 41 100 187 26 38 30 方法論別 CER 発行件数 その他, 662 , 17% AM0015, 80 , 2% ACM0002, 1,138 , 30% AM0028, 94 , 2% AMS‐I.C., 96 , 3% AM0021, 124 , 3% AM0016, 166 , 4% ACM0001, 173 , 5% AMS‐I.D., 797 , 21% ACM000 4, 206 , 5% AM0001, 293 , 8% 図42 方法論別 CER 発行件数の割合 4-40 35 2011Q4 32 111 21 100 2011Q3 21 154 2011Q2 2006Q1 図41 33 48 2011Q1 2005Q4 14 50 2010Q4 2005Q3 14 15 50 30 2010Q3 2005Q2 23 7 35 2010Q2 2005Q1 20 2 30 2010Q1 2004Q4 22 8 25 2009Q3 2004Q3 14 11 2009Q1 2004Q2 19 2 2008Q4 2004Q1 8 0 29 2008Q3 0 26 21 2008Q2 3 0 2008Q1 0 2007Q4 0 2007Q3 0 2007Q2 0 2007Q1 0 2006Q4 0 2006Q3 0 24 2006Q2 0 2003Q4 0 32 2009Q2 50 2009Q4 164 33 6-5 プロ ジェ クト 番号 重要プロジェクトの概要・論点・経緯(リジェクト案件、2011 年度) タイトル Biogas Plant at United Plantations Berhad, ULU BASIR Palm Oil Mill Methane Recovery and Power Generation 3418 Project in High-concentrated Organic Wastewater Treatment in Hubei, China Yunnan Province, Tengchong County, XiShanHe 3397 Hydropower Station Project 3432 Rincon Verde LFGTE Project 3658 2999 El Bote small hydroelectric plant Combined Cycle at Loma de la Lata Thermo Unit Reduction in specific energy consumption ratio by installation of energy efficient direct melt 3852 technology in PET film manufacturing unit at, Uttaranchal, India 3821 Mannapitlu Small Hydel Project Fujian Dongshan Damaoshan Wind Power 3709 Project 3311 3956 Mariposas Hydroelectric Project 3878 Changzhai 15MW Hydro Power Project in Guizhou Province, China ホスト国 投資国 方法論 削減量 DOE レビュー要 請期間開始 日 棄却日 マレイシ ア デンマ ーク AMS-III.H. 21,534 DNV 2010/8/19 2011/1/18 中華人民 共和国 英国 AMS-I.C, AMS-III.H 45,782 TÜV-NORD 2010/9/18 2011/2/14 中華人民 共和国 スイス AMS-I.D. 28,001 TÜV-Rheinland 2010/10/30 2011/3/7 メキシコ ニカラ グア アルゼ 英国 ンティン ACM0001 271,871 TÜV-Rheinland 2010/10/9 2011/3/7 ICONTEC 2010/10/27 2011/3/8 AMS-I.D. 3,857 ACM0007 572,890 SGS 2010/11/24 2011/3/17 インド AMS-II.D. 7,703 DNV 2010/11/24 2011/4/7 インド AMS-I.D. 38,207 SGS 2010/11/10 2011/4/7 中華人民 共和国 ACM0002 99,700 BVC 2010/11/24 2011/4/14 中華人民 共和国 AM0026 21,000 DNV 2010/11/23 2011/4/14 AMS-I.D. 50,534 JACO 2010/11/19 2011/4/14 中華人民 共和国 日本 4-41 3433 SSL Wind Power Project インド AMS-I.D. 4054 Viñales biomass power plant 中華人民 共和国 ACM0006 150,335 中華人民 共和国 オランダ AMS-I.D. 南アフリ カ 英国 3581 Sichuan Lengshuikou 12.1 MW Small-Scale Bundled Hydropower Project 3249 New England Landfill Gas to Energy Project Shanxi Yuncheng 25MW Biomass Power Plant Project “Cooperativa Lar Wastewater Treatment and 3998 Energy Generation Project” 3407 4015 4MW AMDB Perting Mini Hydro Project 3506 Zhangping Hongshi Cement Waste Heat Recovery Project 4201 LA CALERA BIODIGESTERS PROJECT 4040 Inner Mongolia Wuhai 30MW Waste Gas Power Generation Project 2010/10/7 2011/4/15 DNV 2010/12/11 2011/4/28 46,679 DNV 2010/12/18 2011/6/3 ACM0001 51,052 SGS 2010/11/29 2011/6/3 中華人民 共和国 スペイン ACM0006 129,038 DNV 2010/12/15 2011/6/3 ブラジル AMS-III.H. オランダ AMS-I.D. AMS-III.I. 21,729 TÜV-SÜD 2010/12/13 2011/6/3 マレイ シア 英国 AMS-I.D. 17,380 TÜV-Rheinland 2011/1/15 2011/6/28 中華人民 共和国 英国 AM0024 87,545 DNV 2011/1/27 2011/7/12 AMS-I.C. AMS-III.D. 22,116 ICONTEC 2011/4/8 2011/8/24 ACM0012 187,216 KECO 2011/5/7 2011/9/8 AM0030 27,179 DNV 2011/4/29 2011/9/12 AMS-I.C. 86,760 TÜV-NORD 2011/3/19 2011/9/29 AM0024 40,026 DNV 2011/3/19 2011/9/29 ペルー 中華人民 共和国 スイス アラブ 4562 Line 5 & 6 - PFC emission reduction at DUBAL 首長国 連邦 インドネ 4407 Biomass based co-generation project シア Utilisation of the thermal energy content of the waste gas of clinker cooler and pre-heater for インド 4226 power generation at a cement plant in Rajasthan 4-42 23,814 TÜV-Rheinland Carroll’s Foods do Brasil & LOGICarbon – 4293 GHG Emission Reductions from Swine Manure Management System, Diamantino, MT, Brazil ブラジル ACM0010 AMS-I.D. 72,526 BVC 2011/4/9 2011/9/29 4103 Cabo Negro Wind Farm Project, Phase 1 中華人民 共和国 AMS-I.A. 12,204 TÜV-NORD 2011/3/12 2011/9/29 ACM0006 72,992 TÜV-SÜD 2011/7/5 2011/11/17 ACM0013 936,451 TÜV-NORD 2011/7/9 2011/11/25 45,251 DNV 2011/8/12 2011/11/25 270,205 JQA 2011/6/25 2011/11/25 TÜV-NORD 2011/6/4 2011/11/25 SQS 2011/8/20 2011/12/22 DNV 2011/8/12 2011/12/23 4397 LHSF RE Project Energy Efficient Power Generation by Nabha 4807 Power Limited Shanxi Hongyi Glassware Co., Ltd. Small-scale 4701 Fuel Switching Project Energy efficiency improvements of Pucheng 4667 Power Plant through retrofitting turbines in China Biopower project at Charoensuk Starch Co. 4378 Ltd, Thailand 4921 Bac Ha Hydropower Project, Vietnam Utilisation of the thermal energy of clinker cooler waste gas and pre-heater flue gas for 4289 power generation at a cement plant in Madhya Pradesh インド 英国 インド 中華人民 共和国 英国 AMS-III.B. 中華人民 共和国 日本 AM0062 タイ ドイツ ベトナム スイス インド AMS-III.H. AMS-I.C. 21,156 AMS-I.D. ACM0002 215,906 AM0024 4-43 75,087 7.JI プロジェクト 7-1 JI プロジェクト集計 7-2 JI プロジェクトデータベース※ 7-3 重要プロジェクトの概要・論点・経緯 ※ データベースの詳細はホームページ参照のこと http://www.cdm-ji.org/project_ji/index.html 4-44 7-1 JI プロジェクト集計 ここでは、JI プロジェクトの情報をトラック 1、トラック 2 ごとに集計した。ただし、 UNFCCC ホームページに JI プロジェクトとして公開された情報に基づく集計であり、公 開されていないプロジェクトは集計の対象とはしていない。 1.トラック1 図 1 にホスト国別のトラック 1 プロジェクト数と第 1 約束期間のクレジット発行見込み 量を示す。2011 年末の時点で、305 件のプロジェクトが JI トラック 1 プロジェクトとして 登録されており、京都議定書の第 1 約束期間のクレジット発行見込み量は 2 億 3649 万 CO2 換算トンとなる。ホスト国では、プロジェクト件数ではチェコが最多の 85 件となっている が、クレジットの発行見込み量は小さい。一方で、クレジット発行見込み量が最も多いの はウクライナで、65 件のプロジェクトで 3,844 万 CO2 換算トンのクレジットが発行される 見込みとなっている。 次に、投資国が公表されているトラック 1 プロジェクトは 152 件、クレジット発行見込 み量は 1 億 7018 万 CO2 換算トンとなっている。図 2 に示すように、オランダを投資国と するプロジェクトが 44 件と多く、クレジット発行見込み量も 5417 万 CO2 換算トンと最も 多い。 そして、セクトラルスコープ別のトラック 1 プロジェクトを図 3 に示す。プロジェクト 件数では、スコープ 1(エネルギー産業)が 93 件と最も多く、5113 CO2 換算トンのクレジ ット発行が見込まれる。一方で、スコープ 5(化学工業)、スコープ 9(金属生産)、スコー プ 10(燃料からの漏出)は、プロジェクト件数が少ない一方で、多くのクレジット発行を うける見込みとなっている。 12,000 クレジット規模 85 プロジェクト数 90 80 10,000 70 65 60 件 50 6,000 40 26 30 22 17 17 14 20 12 11 2,000 8 図1 スペイン ホスト国別トラック 1 プロジェクト 4-45 10 3 0 エストニア ブルガリア ハンガリー ルーマニア フランス ポーランド ドイツ ロシア 0 ニュージーランド 3 チェコ 22 フィンランド 4,000 ウクライナ 万CO2換算トン 8,000 6,000 クレジット規模 50 プロジェクト数 45 44 5,000 40 35 30 28 25 3,000 件 万CO2換算トン 4,000 20 19 2,000 15 11 1,000 8 11 10 8 6 6 5 3 3 1 フィンランド 0 ベルギー 1 ハンガリー ルクセンブルグ フランス オーストリア ドイツ エストニア 英国 スウェーデン デンマーク 日本 スイス オランダ 図2 1 ノルウェー 1 0 投資国別トラック 1 プロジェクト 6,000 クレジット規模 100 プロジェクト数 93 90 5,000 80 70 60 3,000 50 件 万CO2換算トン 4,000 40 2,000 33 33 30 23 20 20 17 1,000 12 10 9 8 1 2 3 4 5 6 7 3 1 1 0 8 9 10 11 12 13 14 0 15 セクトラルスコープ 図3 セクトラルスコープ別トラック 1 プロジェクト 表注; スコープ 1: エネルギー産業 (再生可能・非再生可能エネルギー源), スコープ 2: エネルギー配送, スコープ 3: エ ネルギー需要, スコープ 4: 製造業, スコープ 5: 化学工業, スコープ 6: 建設業, スコープ 7: 運輸, スコープ 8: 鉱業・鉱 物生産業, スコープ 9: 金属生産, スコープ 10: 燃料からの漏出(固形、石油およびガス), スコープ 11: HFC、PFC およ び SF6 の生産・消費からの漏出, スコープ 12: 溶剤の使用, スコープ 13: 廃棄物処理・処分, スコープ 14: 植林・再植 林, スコープ 15: 農業 4-46 2.トラック 2 UNFCCC ホームページに公開された JI トラック 2 プロジェクトの情報を集計した。図 4 は、トラック 2 プロジェクトのホスト国別の件数である。2011 年末の時点で、昨年より 29 件多い 61 件が新たに追加され、累計で 305 件となった。国別では、依然としてロシアでの プロジェクト件数が多いが、図 1 からわかるように、2011 年にはウクライナで実施される 50 件のプロジェクトが公開された。 次に、公表されている投資国別でみると、図 5 のようにオランダの割合が大きいが、2011 年はスイスが投資国となっているプロジェクトが 14 件公開された。 トラック 2 プロジェクトによるクレジット発行見込み量を、ホスト国別及び投資国別に 集計したものを図 6 と図 7 に示す。2011 年は、プロジェクト件数の多いウクライナでのク レジット発行見込み量が最大となったが、累計ではロシアの発行見込み量が最大である。 投資国別で見ると、2011 年はスイスが最も大きな割合を占め、オランダ、ラトビアが続い ている。累計では、オランダが最も大きな割合を占める そして、有効化審査を行った AIE 別、セクトラルスコープ別、方法論別に集計したもの をそれぞれ図 8、図 9、図 10 に示す。AIE 別では、2009 年と同様に BVC Holding SAS が 大きな割合を占めている。セクトラルスコープ別では、スコープ 1 の割合が大きく、次い でスコープ 3 となっている。そして、方法論別では、JI Specific Approach が最も多い。 90 80 ラトビア 70 チェコ 7 60 3 スウェーデン ハンガリー 16 50 ドイツ 1 ルーマニア 11 40 エストニア 4 50 10 30 42 20 37 3 リトアニア 10 ウクライナ ロシア 14 12 8 0 2006 図4 2007 2008 2009 2010 2011 ホスト国別トラック 2 プロジェクト件数 4-47 ブルガリア 3 25 10 ポーランド 70 60 アイルランド 50 2 3 スペイン 6 ラトビア ポーランド エストニア 7 6 40 ルクセンブルグ ベルギー 6 30 フィンランド 2 4 14 10 6 スウェーデン 日本 オーストリア 5 20 10 18 2 2 2 2 1 0 2007 図5 5 1 8 スイス 英国 20 オランダ 11 8 2006 ドイツ 4 2 1 5 デンマーク 6 2008 2009 2010 2011 投資国別トラック 2 プロジェクト件数 14000 12000 864 10000 699 ラトビア 718 チェコ ハンガリー エストニア 8000 スウェーデン 4501 ドイツ ブルガリア 6000 リトアニア 414 ルーマニア 9898 5158 4000 ウクライナ 455 2000 4844 ロシア 1122 4983 ポーランド 3300 2359 1563 0 2006 図6 2007 2008 2009 2010 2011 ホスト国別トラック 2 プロジェクトによるクレジット規模 4-48 12000 10000 スペイン 735 エストニア 359 ベルギー ポーランド 8000 740 フィンランド アイルランド 1155 オーストリア ルクセンブルグ 6000 スウェーデン 1834 1240 ラトビア ドイツ デンマーク 4000 日本 1978 302 469 806 235 2000 2500 2584 1552 2006 図7 2007 832 508 2008 2009 スイス 英国 602 313 330 132 765 752 0 2241 オランダ 2030 1937 2010 2011 投資国別トラック 2 プロジェクトによるクレジット規模 90 2 80 9 TÜV Rheinland 70 TÜV NORD 2 60 SGS 6 41 50 13 16 4 40 9 20 3 21 2 1 4 2 1 JQA 40 8 26 4 26 24 10 13 12 0 2006 2007 図8 2008 1 2 1 2009 2010 2011 AIE 別トラック 2 プロジェクト件数 4-49 TÜV‐SÜD BVC Holding SAS JACO 2 30 AENOR DNV 90 7 80 s cope 15 s cope 14 70 s cope 13 23 s cope 12 5 60 40 s cope 10 8 4 s cope 9 2 3 8 10 s cope 8 10 5 30 7 10 s cope 6 s cope 4 8 s cope 3 3 s cope 2 s cope 1 24 14 s cope 5 14 3 4 36 25 s cope 7 3 4 5 20 s cope 11 7 4 50 5 20 14 0 2006 図9 2007 2008 2009 2010 2011 セクトラルスコープ別トラック 2 プロジェクト件数 表注; スコープ 1: エネルギー産業 (再生可能・非再生可能エネルギー源), スコープ 2: エネルギー配送, スコープ 3: エ ネルギー需要, スコープ 4: 製造業, スコープ 5: 化学工業, スコープ 6: 建設業, スコープ 7: 運輸, スコープ 8: 鉱業・鉱 物生産業, スコープ 9: 金属生産, スコープ 10: 燃料からの漏出(固形、石油およびガス), スコープ 11: HFC、PFC およ び SF6 の生産・消費からの漏出, スコープ 12: 溶剤の使用, スコープ 13: 廃棄物処理・処分, スコープ 14: 植林・再植 林, スコープ 15: 農業 100 その他 90 5 80 ACM0006 5 70 9 60 9 7 50 AM0023 ACM0009 13 ACM0009 5 4 ACM0002 6 40 6 30 ACM0008 ACM0008 3 49 48 20 4 33 4 24 10 0 2007 図10 2008 2009 2010 2011 方法論別トラック 2 プロジェクト件数 4-50 ACM0001 JI Speci fi c Approach 24 13 2006 AM0034 7-3 重要プロジェクトの概要・論点・経緯 2012 年 3 月時点で 316 件のトラック1プロジェクトおよび 41 件のトラック2プロジェ クトの有効性決定報告書が UNFCCC のホームページに公開され、登録されている(deemed final)。以下にトラック 2 のうち種別の異なる代表的なプロジェクトについて紹介した。 ○「0198:Reconstruction of Units 1,2,3 and 4 at Zuyevska Thermal Power Plant」 ホスト国:ウクライナ その他関係国:オランダ プロジェクト概要:石炭火力発電所の蒸気タービン発電機を高効率なものに更新するこ と等により燃料消費量を削減するプロジェクト。 ○「0235:Benaiciai-1 Wind Power Project」 ホスト国:リトアニア プロジェクト概要:風力発電(発電能力 2MW/基を 17 基設置)の設置により、従来の 発電用燃料(天然ガス等)の消費量を削減するプロジェクト。 ○「0246:Processing of waste heaps at Monolith-Ukraine」 ホスト国:ウクライナ その他関係国:オランダ プロジェクト概要:炭鉱で排出される残土から石炭の残留物を抽出することにより、石 炭の残留物が自然発火する際に発生する CO2 と、回収される石炭を採掘した場合に 発生するメタン漏えいを削減するプロジェクト。 ○「0172:Methane Capture and Destruction at the Solid Waste Landfill in the City of Lviv, Ukraine」 ホスト国:ウクライナ その他関係国:英国 プロジェクト概要:ごみの埋立地に発生ガスの回収・燃焼設備を設置することにより、 発生ガスに含まれるメタンの大気放散を抑制し、燃焼して二酸化炭素に分解処理する プロジェクト。 ○「0231:Implementation of energy efficient measures at "Donetsksteel"」 ホスト国:ウクライナ その他関係国:オランダ プロジェクト概要:高炉への微粉炭吹き込みを導入することにより、銑鉄製造で従来消 費していたコークスが約 30%削減されるため、コークス製造時に消費される燃料を 削減できるプロジェクト。また平炉(Open Hearth furnace)に対して自動制御システ ムを導入することで、プロセス最適化による燃料および電力消費量の削減も実施する。 ○「0220:YARA Köping S3 N2O abatement project in Sweden」 ホスト国:スウェーデン その他関係国:オランダ プロジェクト概要:硝酸製造プラントにおけるアンモニア酸化工程で副産物として生成 する亜酸化窒素(N2O)を、触媒層の設置により分解することで削減するプロジェクト。 表. Deemed Final となった Track2 プロジェクト(2012 年 3 月現在) 番号 プロジェクト名 ホスト国 0001 Switch from wet-to-dry process at Podilsky Cement, Ukraine Ukraine 0025 Rudaiciai Wind Power Park Project Lithuania 4-51 0034 Benaiciai Wind Power Project 0035 Utilization of Coal Mine Methane at the Coal Mine named after A.F. Ukraine Zasyadko 0064 Nitrous Oxide Emission Reduction Project at GP Nitric Acid Plant in Lithuania AB Achema Fertiliser Factory 0050 Landfill methane capture and flaring at Yalta and Alushta landfills, Ukraine Ukraine 0046 Sudenai and Lendimai Wind Power Joint Implementation Project 0104 Improvement of the Energy efficiency at Energomashspetsstal Ukraine (EMSS), Kramatorsk, Ukraine 0049 Lapes Landfill Gas Utilization and Energy Generation 0147 CMM utilisation for heat “Pivdennodonbaska No 3” 0079 CMM utilisation on the Joint Stock Company named Komsomolets Ukraine Donbassa Coal Mine of DTEK 0063 Sreden Iskar Cascade HPP Portfolio Project 0078 CMM utilisation on the Coal Mine № 22 “Kommunarskaya” of the State Holding Joint-Stock Company "GOAO Shakhtoupravlenye Ukraine Donbass" 0089 ACHEMA UKL-7 plant N2O abatement project (0089) 0077 CMM utilisation on the coal mine Shcheglovskaya-Glubokaya of the Ukraine State Holding Joint-Stock 0105 CMM utilisation on the Joint Stock Company “ Coal Company Ukraine Krasnoarmeyskaya Zapadnaya No 1 Mine" 0144 Slag usage and switch from wet to semi-dry process at Volyn-Cement, Ukraine Ukraine 0187 Introduction of a 12,5MWe CHP with a coke plant’s flue gases Ukraine utilization at the branch of ISTEK LLC “Horlivka Coke Plant 0178 Liepynes Wind Power Park Joint Implementation Project 0214 Waste heaps dismantling with the aim of decreasing the greenhouse Ukraine gases emissions into the atmosphere 0194 Usage of alternative raw materials at Kryvyi Rih Cement, Ukraine 0195 Installation of CCGT-400 at Shaturskaya TPP, OGK-4, Moscow area, Russian Federation Russia 0163 Kreivenai wind power park Lithuania generation and Lithuania Lithuania flaring – Ukraine Bulgaria Lithuania Lithuania Ukraine Lithuania 4-52 0137 Joint Implementation project aimed at N2O emissions reduction by installation of secondary catalyst inside ammonia oxidation reactors Romania at 3 nitric acid production plants NA2, NA3 and NA4 of Azomures SA company, situated at Târgu Mures, Romania 0200 Griezpelkiu wind power park project 0211 Utilization of coke gas with electricity generation by two 6 MWe CHP Ukraine at “ZaporozhCox Plant” 0188 Slag usage and switch from wet to dry process at Yugcement, Ukraine Ukraine 0198 Reconstruction of Units1,2,3 and 4 at Zuyevska Thermal Power Ukraine Plant. 0229 Pakruojo wind power park project 0217 Reduction of N2O Emissions from Nitric Acid Production at OJSC Ukraine “AZOT”, Cherkasy, Ukraine 0173 Mockiai Wind Power Joint Implementation Project Lithuania 0205 Didsiliai Wind Power Project Lithuania 0235 Benaiciai-1 Wind Power Project Lithuania 0246 Processing of waste heaps at Monolith-Ukraine Ukraine 0236 Kreivenai-III wind power park project Lithuania 0172 Methane Capture and Destruction at the Solid Waste Landfill in the Ukraine City of Lviv, Ukraine 0231 Implementation of energy efficient measures at "Donetsksteel" 0212 Collection and Utilization of Methane from Solid Domestic Waste Ukraine Ground in Luhansk City 0220 YARA Köping S3 N2O abatement project in Sweden Sweden 0221 YARA Köping S2 N2O abatement project in Sweden Sweden 0244 Seirijai wind power park Lithuania Lithuania Lithuania Ukraine 以上 4-53 8.CDM 方法論 8-1 8-2 8-3 8-4 8-5 8-6 ※ 方法論リスト 各方法論の概要※ 横断的課題、重要方法論の論点・経緯 方法論に関する調査※ 植林・再植林方法論に関する調査※ 小規模方法論に関する調査※ 詳細はホームページ参照のこと http://www.cdm-ji.org/consult_cdm/index.html 4-54 8-1 主な方法論のリスト スコープ 1:エネルギー産業 方法論番号 AM0029 天然ガスを用いる連系発電所のベースライン方法論 ACM0002 再生可能エネルギー源による連系発電所の統合ベー スライン方法論 ACM0006 ACM0013 1,4 方法論名 ACM0012 バイオマス残さによる電・熱生産の統合方法論 GHG原単位が低い技術を用いる新規連系化石燃料 火力発電所の統合ベースライン・モニタリング方法論 廃エネルギー回収プロジェクトによる温室効果ガス排 出削減の統合ベースライン方法論 (ACM0004 廃ガス・熱の発電利用の統合方法論) 登録プロ 削減量 ジェクト数 (tCO2e/年) 39 備考 32,361,220 AMS-I.C. 1353 222,352,539 AMS-I.D. 111 11,053,948 6 8,958,813 63 12,431,557 111 18,163,599 5:化学工業 AM0021 AM0028 AM0034 8:鉱業/鉱物生産,10 ACM0008 10:燃料からの漏出 AM0009 4 29,174,914 19 8,781,920 53 12,901,816 54 25,933,274 油井からのガスの回収・利用 10 8,837,885 11:HFC、PFCおよびSF6 AM0001 の生産・消費からの漏出 HFC-23排ガスの分解 19 81,257,444 13:廃棄物処理・処分 埋立地ガスのフレアリングまたは利用 149 28,433,309 ACM0001 方法論名 電力を伴うまたは伴わ ない熱エネルギー生産 連系再生可能エネル ギー発電 (AM0016 家畜排せつ物管理システムの改善による温室効果ガ ス削減) 40 167 6,435,228 1146 34,315,212 備考 AMS-II.D. 産業施設の省エネル ギー・燃料転換措置 49 713,256 AMS-III.F. たい肥化によるメタン排 出の回避 41 1,052,336 142 4,985,011 スコープ13,15 から変更 153 2,576,472 スコープ10,13 から変更 AMS-III.H. 廃水処理のメタン回収 13,15 登録プロ 削減量 ジェクト数 (tCO2e/年) ACM0012に統合。 スコープは1。 4:製造業 既存アジピン酸製造プラントからのN2Oの分解のベー スライン方法論 硝酸・カプロラクタム製造製造プラントの排ガスの触媒 N2O分解 硝酸プラントのアンモニアバーナー中での触媒N2O削 減 炭鉱メタン等の回収および発電用の利用等の統合方 法論 方法論番号 2,902,855 ACM0010に統合 15:農業 AMS-III.D. 家畜排せつ物管理シス テムのメタン回収 注:登録プロジェクト数または削減量が合計(3866 プロジェクト、566,702,090tCO2e/年)の 1%以上の方法論を記載。 4-55 8-3 横断的課題、重要方法論の論点・経緯 CDM 理事会で横断的な検討課題となったものについて、過去 6 年間(EB23~EB66)の検討経緯を整 理するとともに、最新状況のアップデートを行う。 (1) 追加性立証ツール及びベースライン・シナリオ選定ツール (2) 炭素回収・貯留(CCS) (3) プログラム型 CDM 4-56 (1) 追加性立証ツール及びベースライン・シナリオの選定ツール 概要 CDM 理事会はこれまでに「追加性立証ツール」を策定しているが、同ツールは、想定されるベー スライン・シナリオの妥当性について判断するために用いることができず、提出される新方法論 で、この点についての問題が多く見られることが指摘されている。第 20 回 CDM 理事会にて、ベ ースライン・シナリオ選定のためのツールを新たに開発することが合意された。 経緯 EB23 方法論パネルが勧告案を提出。その内容は、基本的に追加性ツールと類似のステップ・バイ・ ステップのアプローチとされ、CDM 理事会のこれまでの議論を反映して、追加性立証ツールとあ わせて用いられるものとされた。これに対し、今次会合の議論においては、追加性立証との一体 性を求める意見が多く出され、追加性立証及びベースライン・シナリオ選定のプロセスの複雑化 を避けるべきとの見解が示された。 また、追加性立証に関する COP/MOP から CDM 理事会への要請として、①ベースライン・シ ナリオの選定及び追加性立証を統合するオプションを含む追加性立証に関する新たな提案、お よび②追加性立証ツールの改善について、パブリック・コメントの受付を行うこととされていること から、CDM 理事会によるベースライン・シナリオ選定ツールの策定は単独では行わず、追加性 立証に関する検討に組み込む方向性で方法論パネルにて検討を行うことが合意された。また、 方法論パネルでの検討に向け、「ベースライン選定ツール」案について、「追加性の立証ツー ル」とあわせて、パブリック・コメントを受付ける(2006 年 3 月 1 日~26 日)ことが合意された。 EB27 方法論パネルが「追加性立証及びベースライン・シナリオ選定のためのツール(Combined Tool)」のドラフトを提出した。勧告案に対し理事会では、事業者の使い勝手を考慮したツールと するために、要求される分析の種類や程度を低減することなどを求める意見が理事会メンバー から出された。さらに、既存の「追加性立証ツール」の枠組に拠るのではなく、COP/MOP の要請 を受け行われたパブリック・コメントに示された各種代替案をより積極的に検討するべきといった 意見も出された。しかしながら、理事会は方法論パネルからの勧告案を対象として検討を行っ た。この結果、ツールで求められる分析の規定等を一部緩和する方向性で修正が行われ、採択 された。このため基本的な構造は、既存の「追加性立証ツール」を踏襲した内容となった。 当該ツールは、ベースラインとして考えられるすべてのシナリオが、プロジェクト事業者の裁量 で決まる場合にのみ適用可能とされる。なお、事業者の裁量外で決まるベースライン・シナリオ が含まれる決まる場合は適用不可。さらに、新規に設立された施設が当該ツールを使用するケ ースについては、方法論パネルにて検討することとされた。 EB28 コンバインド・ツールについて、すべての代替シナリオが PP にとって利用可能なオプション である場合に、新規施設の建設に適用されることを追加。 方法論パネルは、代替シナリオの同定のため、提案 CDM プロジェクトと同様の、関係する地域 で以前実施された、または、現在、行われているほかの技術・プラクティスの概観を提供しなけれ ばならないが、その関係する地域には少なくとも 10 施設が含まれていなければならないとの内 容を勧告。理事会の検討の結果、”preferably ten”、”if possible, ten”に変更。 EB29 「ベースライン・シナリオの特定及び追加性立証のツール(Combined Tool)」をふまえ、既存の 「追加性立証ツール(Additionality Tool;AT)」を改訂。これまでに「追加性立証ツール」で求めら れていた CDM の影響分析(ステップ 5)の削除等を合意。 EB31 投資分析のみの使用といった追加性ツールの使用に関して制約が行われるべきでないことが 再度述べられた。CDM 理事会はパネル・ワーキンググループ議長に対して、追加性ツールの使 用を投資分析に限定することは例外的な場合のみに、かつ、特に強い理由によって行われるよ う求めた。 EB36 方法論パネルから、(i)どのような場合に、ステップ 2 投資分析のそれぞれのアプローチが用い られるべきかの明確化、(ii)ベンチマーク分析を用いる際のベンチマークの適切な選択の明確化 4-57 を改善する改訂の承認が勧告された。 CDM 理事会では、提案された変更点を次回会合でさらに検討するとともに、脚注 7 を改訂し、 ベンチマーク分析オプションを行う際にプロジェクト IRR、エクイティ IRR のいずれでも用いること ができる旨明確化することが合意された。 EB37 改定案の検討は延期された。事務局によって作成される投資分析に関するガイダンスの改訂 版および方法論パネルによって行われる作業をまって、EB38 で改訂を検討することが合意され た。 EB38 普及度分析に関する進行中の作業および投資分析に関するガイダンスを考慮するため、 EB39 で改正案の検討を終了することを目処に延期となった。 EB39 CDM 理事会は「追加性立証・評価ツール」改訂の検討を終え、バージョン 5 が採択された。こ れにより投資分析の利用法が明確化されたほか、登録申請された CDM プロジェクトが「初めて のケース(First-of-its-kind)」である場合は普及度分析を使用しなくてよいことが明記された。 さらに、「投資分析の評価に関するガイダンス」が採択された。 EB41 「投資分析の評価に関するガイダンス」のバージョン 2 が採択された。この中で、中断されたプ ロジェクトが再開する場合には、再開の意思決定がなされた時点での経済的状況を反映した投 資分析を行う必要があることが明記された。 さらに「CDM 事前検討の立証および評価に関するガイダンス」が採択された。 なお、CDM 用語集では CDM プロジェクトの開始日を「活動開始、建設開始、実際の行動開 始日のうちいずれか最も早いもの」と定義づけているが、CDM 理事会は更なる明確化を行うため に以下のように定義した。 ・ 「PP が活動開始・建設開始のために出費を公約した日」を開始日とみなす。例えばプロジェ クト実施に必要な機材購入や建設の契約にサインした日であり、調査費用などの軽微な支 出はこれに該当しない。照明交換プロジェクトなど、建設や明らかな事前実施が必要でない プロジェクトに関しては、「実際の行動開始日」をプロジェクト開始日とする。 ・ 一度中断されたプロジェクトが CDM の収益を考慮することにより再開される場合は、建設の 取消や政府認可の撤回など信頼できる中断の証拠を示さなければならない。 EB42 今次会合に先立ち開催された MP34 において、初めてのケース(First-of-its-kind)に関するガ イダンス案が方法論パネルにより作成された。その中で技術、類似プロジェクト数、対象範囲の 定義について言及されているが、審議時間の関係で検討は延期となった。 EB46 審議時間の関係で、CDM 理事会は「初めてのケース(First-of-its-kind)に関するガイダンス」 案および「コモンプラクティス分析の適用ガイダンス」案を検討することが出来なかった。CDM 理 事会は作業グループのメンバーに対して、EB47 での検討に向けて作業を進めるよう要請した。 EB47 CDM 理事会は「初めてのケース(First-of-its-kind)に関するガイダンス」案および「コモンプラ クティス分析の適用ガイダンス」案の検討を EB49 に延期することで合意した。また CDM 理事会 は事務局に対して、CDM 理事会メンバーの様々な提供情報を反映した新提案書を作成して EB49 で提示するよう要請した。 EB49 CDM 理事会は「初めてのケース(First-of-its-kind)に関するガイダンス」案および「コモンプラ クティス分析の適用ガイダンス」案を検討し、新提案をまとめあげるために更なる議論を行うよう 作業グループのメンバーに対して要請した。また CDM 理事会は、作業グループから合意提案 4-58 が提出されれば、この問題に関して再検討を行うことで合意した。 EB54 「初めてのケース(First-of-its-kind)およびコモンプラクティスに関するガイドライン案」を EB56 までに準備するよう事務局に要請した。また、「5MW 以下の再生可能エネルギープロジェクト及 び年 20GWh以下のエネルギー節約を超えない省エネプロジェクトの追加性証明ガイドライン」を 採択した。 EB56 CDM 理事会は EB54 で事務局に要請した「初めてのケース(First-of-its-kind)およびコモンプ ラクティスに関するガイドライン案」に関して検討したが、将来の会議で検討するために更に作業 を進めるよう事務局に要請した。また、ベースラインシナリオの追加性証明及び認定に関する統 合化ツール案を検討した。さらに潜在的な代替シナリオの定義を含めるために引き続き MP に て検討作業を続けるように要請した。 EB57 CDM 理事会は将来の会議で検討するために、適用地域、類似の技術および普及率の閾値 の定義を含めて、初めてのケース(First-of-its-kind)の利用およびコモンプラクティスの評価に 関して、プロジェクト実施者に対するガイドラインの改善についての一般原則の作業を理事会メ ンバーの支援とともに検討するよう事務局に要請した。 また、EB54 にて採択された「5MW 以下の再生可能エネルギープロジェクト及びエネルギー節 約が年 20GWh以下の省エネプロジェクトの追加性証明ガイドライン」に適合するプロジェクトは、 承認済み方法論の規模に関わらず適用が可能であることを決定した。 EB58 改訂案「投資分析の評価に関するガイドライン」について 2010 年 12 月 1 日から 2011 年 1 月 12 日までにパブリックコメントを行うとともに、特に、地域および地方の開発銀行等の金融機関か らの意見を求めることに合意した。さらに、金融の専門家から意見を収集するためにワークショッ プを開催することを事務局に要請した。理事会は、将来の会合でのこれらのガイドラインのさらな る検討のため、パブリックコメントおよびワークショップの結果を分析、統合および考慮をするよう に事務局に要請した。 「ベースラインシナリオの特定とベースライン排出量計算のためのツール」案について 2010 年 12 月 1 日から 2011 年1月 12 日までパブリックコメントを行うことと、このツールを議論するために 関連するステークホルダーとのワークショップを開催することを事務局に要請した。また、ワーク ショップの結果を考慮検討することと、将来の会議で理事会にこの問題に関する勧告を行うこと を方法論パネルに要請した。 EB59 ・ 初めてのケース(First-of-its-kind)の利用およびコモンプラクティスの評価に関するガイドラ インに関する作業状況の進展について協議し、作業グループメンバーに事務局の支援のも と、将来の CDM 理事会で検討するための、ガイドライン案の作成を要請した。 ・ 改訂案「投資分析の評価に関するガイドライン」については、パブリックインプットの結果を踏 まえて検討した上で、方法論パネルに対して修正案の作成を要請した。 EB60 ・ 初めてのケース(First-of-its-kind)の利用およびコモンプラクティスの評価に関するガイドラ インに関する作業状況の進展について協議し、事務局に、パブリックインプット用の草案を 作成するように要請した。 ・ ベースラインシナリオの追加性証明及び認定に関する統合化ツールの改訂版を承認した。 ・ 標準化ベースラインに関するノートについて検討し、今後もトップダウンアプローチによる作 成作業を継続することを合意した。 ・ 電力システムにおける排出係数算定ツールの改訂版を承認。これによりホスト国以外の非 附属書Ⅰ国の電力システムと接続している場合に、OM に0以外の数値を利用することが認 められることになった。 ・ 「ベースラインシナリオの特定とベースライン排出量計算のためのツール」案についてパブリ ックインプットを通じて寄せられた意見の要約と実務担当者が参加したワークショップの結果 4-59 を踏まえた方法論パネルの勧告を踏まえて検討し、事務局に concept note の作成を要請し た。 EB61 ・ 改訂案「投資分析の評価に関するガイドライン」を承認した。 ・ 初めてのケース(First-of-its-kind)の利用およびコモンプラクティスの評価に関するガイドラ インに関する作業状況の進展について協議し、作業グループにパブリックインプットの際に 示す質問事項を明らかにするよう要請した。 ・ ホスト国における将来の人為的な(GHG)排出量増加に関する information note を留意し、 抑圧された需要(suppressed demand)を参照しながら事務局に、ベースライン及びモニタリ ング方法論における抑圧された需要に関連する事項についての基準案を作成することを要 請した。同時に、抑圧された需要について既に承認された方法論においてどのように対応 するのか検討する作業計画を策定するよう要請した。 EB62 ・ 改訂案「投資分析の評価に関するガイドライン」を承認した。 ・ CDM 方法論における抑圧された需要の考慮に関するガイドラインを採択した。同時に、事 務局に、当該ガイドラインの実施に関する作業計画の策定を要請した。 ・ 初めてのケース(First-of-its-kind)の利用およびコモンプラクティスの評価に関するガイドラ インについて、パブリックインプットを実施することを決定した。 ・ 特定された分野における標準化されたベースライン方法論の設定に関するガイドラインを採 択した。また CDM 理事会は、事務局に対して、このガイドラインの適用を通じて得られた経 験を踏まえて、ガイドラインを改善し、適用される分野を拡大していくために、関係するパネ ルなどと協議するとともに、ガイドライン実施に関する作業計画の策定を要請した。 EB63 ・ 標準化ベースラインの提出と検討に関する手続きを採択した。その上で、事務局に対して 手続きの実施に関する作業計画を策定するよう要請した。CDM 理事会は同時に、標準化 ベースラインの厳格さの水準は、十分な環境十全性を保つレベルにする必要のあることを 強調し、策定にあたっては EB62 で採択された特定された分野の標準化されたベースライン ガイドラインを参照するよう求めた。 ・ 初めてのケース(First-of-its-kind)の利用およびコモンプラクティスの評価に関するガイドラ イン案へのパブリックインプットの結果、集められた意見の要約を検討し、を実施することを 決定した。初めてのケース(First-of-its-kind)の利用に関するガイドラインとコモンプラクティ スに関するガイドラインを採択した。 (2) 炭素回収・貯留(CCS)方法論の扱い 概要 経緯 COP/MOP1 炭素回収・貯留(CCS)に関連した主要論点として、プロジェクト領域、漏出、永続性の 3 つに 焦点を当てて、①政府意見書の提出を求めること、②SBSTA24(今年 5 月)にて本件に関するワ ークショップを開催すること、③CDM 理事会に提出された方法論の検討を行い、方法論策定の 観点から COP/MOP2 に勧告を提出すること、が求められている。 EB23 上記③を受け、これまでに CDM 理事会に提出された CCS 関連方法論 2 件の扱いについて 討議が行われた。その結果、まず、COP/MOP2 に対し行う勧告としては、COP/MOP1で要請さ れた上記 3 つの論点に関する方法論パネルによる qualitative assessment に基づく一般的な勧 告のみを提出することが確認された。その上で、当該勧告内容の検討を行うために、個別の排 出源 CDM の新方法論に適用される手続き(「新規方法論の提出及び審査に関する手続き」)に 則り、これら 2 件の方法論について方法論パネルで検討を開始することが合意された。この結 果、提出された 2 件の個別の方法論の評価は行わず、また、当該手続きに規定される従前の事 前審査は行わないこと、ただし、必要に応じて方法論提案者から clarification を求めることが合 4-60 意された。 本件については、CCS プロジェクトを実施するためのモダリティが存在しないとの解釈(CO2 削減の非永続性の観点から、排出源 CDM(温室効果ガス排出の reduction を対象)のモダリティ を定めた Decision 17/CP.7 は適用されないとの考えに基づく解釈。他方、吸収源 CDM(温室効 果ガスの removal を対象)のモダリティを定めた Decision 19/CP.9 はその対象を植林・再植林に 限定しており、CCS は含まれない。)から、既存の排出源 CDM の方法論における手続きを CCS 方法 論の検討に適用 するこ とに抵抗を示 す考え方が一部メ ンバー より示 された。 他方、 COP/MOP2 への有効な方法論の勧告を行うためには、CCS プロジェクトに関する様々な専門的 な知識や情報が不可欠であり、まずは方法論パネルにより具体的かつ技術的な検討を早期に 行うことが必要との見解が多くのメンバーから示され、上記合意が行われた。 CDM 理事会メンバーに対しては、2006 年 5 月に開催されるワークショップにおいて議論され るべき項目等の提出を 3 月 2 日までに行うことが求められた。 なお小規模 CDM においても CCS 方法論が 1 件提出(SSC_0038 "Anthropogenic Ocean Sequestration by Changing the Alkalinity of Ocean Surface Water")されており、上記と同様の方 向性で小規模ワーキンググループが検討を行なうことが合意された。 EB25 方法論パネルは、CCS 関連方法論 2 件(NM0167(三菱東京 UFJ 証券による開発)、NM0168 (三菱総合研究所による開発))に基づき、上記 3 つの論点について、定性評価を行った。CCS 方法論について、①政策的・法的論点、②技術的・方法論的論点の両面から、方法論パネルの 考察を示す内容となっている。 理事会は、今次の会合において、提出された評価報告に基づき COP/MOP2 への勧告の作 成を進めるよう、方法論パネルに要請することを合意した。その際に勘案されるべき事項として、 以下の 4 点が挙げられた:①貯留された CO2 量の具体的計測方法、②CO2 の注入サイトだけで なく、漏洩のモニタリングを行うために、プロジェクト領域として貯留層全体を含むための規定の 策定、③CO2 の腐食性(強酸性)による貯留層からの漏洩への影響、④小規模 CDM の方法論と して提出された海洋貯留に関する専門家の見解。 なお、方法論パネルから提出された評価には、今後の検討の進め方についてのオプションが 提示されていたが、これについての具体的な議論は行われなかった。 EB26 方法論パネルによる勧告案について検討。勧告案は、CCS の方法論に関する問題点を①政 策的・法的論点、②技術的・方法論的論点に分類し、①については COP/MOP で、②について は COP/MOP が指定した専門的な組織(IPCC を想定)で検討することを求める内容であった。 また、これまでに提出された方法論については、それぞれの問題点を分析した上で、その解決 のためには、COP/MOP および専門的な組織からのガイダンスがまずは必要とされた。 理事会会合で検討が行われた結果、具体的な方法論の分析に限定することが適切との考え 方から、COP/MOP に対する勧告の中に COP/MOP で検討すべき課題の抽出等は含まない内 容とした上で採択された。 理事会の議論では、例えば、“国際社会が許容できる漏洩レベル”といった問題は、まずは技 術的な観点から検討する必要があるとする意見と、政策的な意思決定が求められるとする意見 等に分かれた。このように CCS に関する課題の検討プロセスについても CDM 理事会内で合意 が得られにくいことが観察され、CCS プロジェクトを CDM として認めることの是非について明示 的な見解は示されなかった。 CMP2(2006 年 11 月) 検討スケジュールをめぐって各国が対立し、結局、次のような決定がなされた。 ・ 方法論の承認は CMP ガイダンスの後にしかすることができない。 ・ 長期的な物理的リーケージ(漏出)のリスクと不確実性のレベル等政策的・法的問題および技 術的・方法論的問題についての政府間組織および非政府組織による情報提供(2007 年 5 月 まで)。 ・ 締約国によるサブミッション(2007 年 9 月まで)。 ・ 事務局によるコンピレーション。 4-61 ・ SBSTA27(2007 年 12 月)による勧告作成、CMP3 による検討、CMP4(2008 年 12 月)におけ る決定を目途。 CMP3(2007 年 12 月) CMP4 に向けて、締約国等に対して意見提出を求める追加トピックのスコープについて、どのよ うな政策的問題(モニタリング、責任、法的アプローチ等)を含めるか、特に、CCS による他の CDM プロジェクトに対する影響および CDM によって生じた追加的収入による化石燃料生産増 加に対する影響を含めるか、プロセスについて、SBSTA28(2008 年 6 月)と 29(2008 年 12 月)の 間・前でワークショップ(非公式協議)を行うか等が論点となった。 議論の結果、スコープについては、追加トピックのリストを削除し、プロセスについては、すでに 行われた締約国等からのサブミッションに関する統合報告書を作成し SBSTA28 で検討、また、 追加的な意見募集を行うとともにそれに関する統合報告書を作成し SBSTA29 で検討することと なった。 CMP4(2008 年 12 月) CMP4 の議題 5「CDM に関する問題」において CCS の CDM 化が取り上げられた。CMP の決 定書において、CCS を影響の評価を技術面・方法論面・法律面の問題点に配慮しつつ実施し、 CMP へ報告するように CDM 理事会への要請がなされた。 EB46 CDM 理事会は CCS の CDM 化に関する TOR 案に留意し、検討チームのメンバーに対して、 TOR 策定作業を継続すると共に出来るだけ早く終了するよう要請した。また CDM 理事会は CCS 専門家(特に CMP4 決定で要求された「技術・方法論・法律」の経験を有する人材)の募集を決 定した。募集期間は 2009 年 3 月 27 日~5 月 4 日で、応募者は次回 EB47 で選考される。 EB47 CDM 理事会は下記 3 点を検討した。 ・検討メンバーから提出された、CCS の CDM 化に関する TOR 案 ・CCS 専門化選考プロセスの草案 ・CCS 専門化募集の応募者リスト CDM 理事会は、提出された TOR 案を承認すると共に、専門家の選出を行った。 EB49 CDM 理事会は、外部コンサルタントにより用意された CCS の CDM 化に関する報告書を検証 した。CDM 理事会は、「本報告書は CCS に関する広範な考察を提供するものであるが、TOR の 核となる要素である『CDM 化の可能性』について言及されていない」との判断を下し、再検証の 前に更なる作業を求めることで合意した。よって CDM 理事会は事務局に対して下記 2 点の作業 を要請した。 ・ EB で議論された問題を外部コンサルタントにフィードバック ・ EB50 での検討に向けて報告書の再考を外部コンサルタントに要請 EB50 CDM 理事会は「CCS の CDM 化により生じうる影響」を採択した。本文書は CMP5 に提出する EB 報告書の附属書として添付される予定である。 CMP5 CMP5 の議題「CDM に関する問題」において、CCS の CDM 化が取り上げられた。CMP 決定 書において下記のように決定がなされた。 ・ 下記の点に関する懸念を認識した上で、可能性を秘めた緩和技術として CCS は重要である ことを認識する。 (a)長期永続性を含む非永続性、(b)測定・報告・検証、(c)環境への影響、(d)プロジェクト 活動の境界、(e)国際法、(f)信頼性、(g)予期せぬ結果となる可能性、(h)安全性、(i)漏 出・リーケージによるダメージの保険担保および補償 ・ CMP6 でこの問題の決定が採択できるよう、CCS の CDM 化に関して上記の問題点に取り組 みつつ作業を継続するよう、科学および技術に関する補助機関(SBSTA)へ要請する。 ・ 上記問題点に関する意見を 2010 年 3 月 22 日までに事務局へ提出するよう、京都議定書締 4-62 約国に奨励する。 ・ 京都議定書締約国から提出された意見を SBSTA32 での検証に向けて集約するよう、事務 局に要請する。 CMP6 CMP 決定書において、CDM のプロジェクト活動としての CCS は下記のように決定がなされ た。 ・ CCS は条約の最終目標への到達に関連する技術であり、可能性を秘めた緩和技術として CCS は重要であること、また、CDM のプロジェクト活動に含める際の影響に対する懸念を示 し、CDM 化に向けた検討を行えるよう CCS の計画・実行の取り組みをする必要があることを 認識する。 ・ CCS は決定書 2/CMP.5 第 29 項に特定された問題が解決されるならば、CDM のプロジェク ト活動としてふさわしい。 ・ CMP7 での決定の提案に向けて、CCS を CDM に基づくプロジェクト活動に含めるために様 式と手続を詳細化するよう、SBSTA へ要請する。 ・ 上記の様式と手続は下記の問題に取り組むものでなければならない。 (a)強固な水準に基づいた用地選定、(b)モニタリング計画の策定、(c)2006 年 IPCC 国別温 室効果ガスインベントリに関するガイドライン、(d)用地選定やモニタリング計画の基準は国 際的組織による関連のガイドラインが利用可能、(e)境界、(f)境界の定義、(g)境界からの CO2 放出の計測および算定、(h)開発の適切性とその影響、(i)漏出・リーケージ、(j)リスク・ 安全性・社会環境影響の評価、(k) リスク・安全性の条件:放出による気候への影響と緩和 行動の提案を含むもの、(l) リスク・安全性・社会環境影響の評価の条件:技術的・環境的 に実行可能性を評価する際に検討要、(m)短期的、中期的、長期的責任、(n)救済措置、 規定、責任移転、(o)生態系の修復、地域への補償 ・ 上記の様式と手続きに関する意見を 2011 年 2 月 21 日までに事務局に提出するよう、締約 国と一部のオブザーバー組織に奨励する。また、この提出文書とその意見を集約した報告 書を事務局に作成するよう要請する。 ・ 上記の提出文書と報告書を検討し、上記の様式と手続きについて議論を行うため、 SBSTA34 と SBSTA35 の間に、技術と法律の専門家が参加する技術ワークショップの開催 を事務局に要請する。 ・ 上記の提出文書と技術ワークショップでの検討を踏まえて、SBSTA35 での検討に向けた様 式と手続の草案を作成するように事務局に要請する。 CMP7 CMP 決定において、CCS プロジェクトに関する Modarities and Procedures が採択される。 (3)プログラム型 CDM 概要 “プログラムのもとで行われる CDM のプロジェクト活動”として新規方法論(NM0159:ガーナにお いてエアコンのエネルギー効率基準を規制として定めた場合に、そうでない場合と比較し回避 可能な GHGs 排出を削減クレジットとして算出するという内容)が提出され、その適格性が検討さ れた。当該方法論は、エアコンの省エネルギー基準の遵守状況のテストや省エネルギーラベリ ングの実施をプロジェクトの内容としている。こうした活動をもって、省エネルギー効果をどのよう に計測するのか等、具体的な検討が求められた。 経緯 COP/MOP1: 政策や基準自体は CDM となり得ないが、政府プログラムの下に実施されるプロジェクトについて はバンドリング等を通じて CDM として実施することを認めることが決定された。 EB24 方法論パネルは、これに合わせた方法論が提案されたことを背景に、また、COP/MOP1 決定 とも整合性を図り、“プログラムのもとで行われる CDM のプロジェクト活動”について定義の検討 を方法論パネルで開始することを勧告した。理事会では、政策と CDM の関連についての定義 4-63 づけ等については、これまでに議論が重ねられつつ明確な結論に至っていない事実をふまえ、 こうした up-front の定義づけを行うことがそもそも可能であるのか、といった疑問が出された。他 方、具体的な方法論がすでに提出されつつあり、迅速な対応が求められることから、こうした方 法論について方法論パネルが検討を開始し、その過程で得られる知見を反映することで定義等 を決めるべき(ボトムアップ・プロセス)といった意見が出された。しかしながら、具体的な手順や 検討方法について議論が紛糾し、合意に至らなかった。 最終的には、以下が決定された:①方法論パネルに対し、本件の定義を EB25 で検討する際 の資料とするため、これら提出方法論を用い具体的検討課題を抽出するよう要請すること;②こ の作業と並行して、政策及びプログラムによる活動の定義についてパブリック・コメントを募集 (2006 年 5 月 19 日~6 月 16 日)すること。 EB25 方法論パネルは、今次理事会に対し検討結果を提出し、追加性立証やベースライン・シナリオ の選定等の要件に関して想定される課題等を示した。 理事会では、本件について CDM 理事会が検討を進めるためには、具体的な判断材料が必 要であることや、方法論パネルは、課題をより具体的に示し、それぞれについて考えられる対応 策を提示すべきとの見解が示された。このため CDM 理事会では、定義の策定についての実質 的な議論は行われず、本件については実質的に方法論パネルに差し戻しとすることとなった。 EB26 理事会に対し方法論パネルは、“プログラム”、“政策”のそれぞれについて定義のオプションを 提示した。関連して、政策の強制度(implementation, enforcement)について明確化を求めた。し かしながら、今次理事会会合では、本件について各メンバーの見解が示されるにとどまったこと から、今次理事会会合での議論を勘案し事務局がオプションの精緻化を行い、次回 CDM 理事 会にあらためて提案することとされた。 EB27 事務局が作成した“プログラム”及び“政策”の定義案に基づき検討が行われた。定義案は、 “活動プログラム”(実施主体や活動内容が多様あるいは複数の活動)をひとつのプロジェクト活 動として実施可能とすることを意図した内容であった。そして今次理事会会合では、その具体的 方法等についてさらに議論が行われた。その結果をふまえて事務局が勧告案の作成をすすめ、 次回 CDM 理事会会合にて再検討することが合意された。 EB28 「単一 CDM プロジェクトとしての活動のプログラム下のプロジェクト活動の登録に関するガイダ ンス」を採択。 活動のプログラム(PoA)は民間または公的機関による自主的で調整された活動。PoA が登録さ れ、CDM プロジェクト活動(PoA 下のプロジェクト活動,CPA)は登録 PoA に追加される。 原則の基本的なセットを提供するもので、知識が広がるにつれ改訂される。事務局に対して、 EB29 での検討のためプロジェクトサイクルに関して提案を洗練するよう要請。 <ガイダンスの内容> ・ 活動のプログラム(PoA)は、政策/措置または目標(インセンティブ制度、自主的プログラム) を調整・実施する民間または公的機関による自主的で調整された活動。 ・ PoA は登録時に、CDM プロジェクト活動(PoA 下のプロジェクト活動,CPA)によって提供され るべき情報のタイプを定める。 ・ CPA は登録 PoA に追加される際に、登録 PoA で定められた情報を提供する。 ・ PoA の期間は、30 年を超えない範囲で、PoA の主体によって PoA の登録申請時に定められ る。CPA は PoA に、PoA の期間内のどの時点でも追加されることができる。CPA のクレジッ ト期間は、7 年×3 回の renewable か 10 年 fix。CPA のクレジット期間は、PoA の終了日まで に限られる。 ・ 排出削減量を検証する方法またはアプローチ(ランダムサンプリングを含む)は正確性を確保 しなければならない。 EB29 事務局案に基づき、プログラム CDM の手続き、PDD 等を検討する予定であったが、次回に先送 4-64 りとなった。 EB30 PoA 手続きが検討され、CDM 理事会は事務局に対して、できるだけ早く、メンバーからのコメン トに基づき、EB31 での検討のため文書の改訂版を作成するよう求めた。 EB31 PoA 手続きに関して引き続き議論が行われ、CDM 理事会は事務局に対して、できるだけ早く、 メンバーからのコメントに基づき、EB32 での検討のため文書の改訂版を作成するよう求めた。 EB32 PoA ガイダンス ver.2 および PoA 手続きが合意された。CDM 理事会は事務局に対して、小規 模および小規模 AR のプロジェクトについての PoA ガイダンス案を小規模および ARWG の報告 および今次会合でのメンバーによるコメントを考慮して作成するよう求めた。 EB33 小規模および小規模 AR の CPA についての方法論の適用およびデバンドリングに関する PoA ガイダンスが合意された。 また、政策・基準を実施するための検査機関、実施機関などのインフラや能力をつくることそれ 自体は CDM プロジェクトとはみなされないことが合意された。プロジェクトはインフラや能力の創 出の結果であり、その適格性は、測定可能な排出削減であって当該プロジェクトへの直接帰属 可能なもののみに基づかなければならないとされた。 EB35 方法論は、CDM プロジェクトおよび PoA 下の CPA の両方への適用について承認されること、 新規方法論を提出する際は、提案方法論が適用できる活動を明確に定めるべきことが明確化さ れた。 EB41 CDM 理事会は PoA に関するパブコメの実施を決定した(募集期間:2008 年 8 月 6 日~9 月 3 日)。募集内容は PoA の促進、および PoA の有効化審査・登録申請における問題点についてで ある。またパブコメの結果は次回の EB42 で確認されることが決定した。 EB42 PoA の促進、および PoA の有効化審査・登録申請における問題点についてパブコメ募集を行 った結果寄せられた意見を踏まえ、CDM 理事会はステークホルダーから寄せられた問題点に 留意した。CDM 理事会は次回の EB43 での審議に向けてオプションを作成するよう事務局に要 請した。 EB43 PoA の促進、および PoA の有効化審査・登録申請における問題点について事務局によりオプ ションが作成され、それに基づいて審議が行われた。パブコメで寄せられたもののうち、追加性 の立証、方法論の適用、CPA の包含と DOE の責任に関してオプションが作成された。CDM 理 事会は次回の EB44 にてさらなる審議を進めることで合意した。 EB44 事務局により作成されたオプションが留意されたが、審議時間の関係で次回の EB45 で引き続 き審議を行うこととなった。 EB45 プログラム活動登録手続きの問題に関するパブコメが事務局より提示され、追加性立証、CPA の包含と DOE の責任、方法論の適用、デバンドリングの発生における手続きの改訂について議 論が行われた。CDM 理事会は事務局に対して、次回 EB46 での検討に向けた改正案および関 連文書を用意するよう要求した。 EB46 CDM 理事会は事務局に対して、パブコメで寄せられた意見、および EB45・46 での政策に関す る議論を考慮した上で、PoA 登録手続きの改訂版を用意するよう要求した。CDM 理事会はこれ を次回 EB47 で検討する予定である。 4-65 EB47 CDM理事会は下記4点の採択に合意したほか、これらに基づき、関連するPDDフォームおよび CDM用語集の改訂と、必要なフォームを発行するよう事務局に要求した。 ①PoA登録およびCER発行の手続きver.3 ②CPAを誤って含めた際のレビュー手続き ③PoAにおける複数方法論適用の承認手続き ④小規模プロジェクトのデバンドリングに関するガイドラインver.2 CDM理事会は、2009年12月31日以前に有効化審査が開始されたPoAについては、 「PoA登 録およびCER発行の手続き」のパラ5(d)の適用除外を決定した。すなわち「開始日が2007年6月 22日からPoAの有効化審査開始までの間にあるCPAを含むPoA」が適用対象であり、これに該 当するCPAのリストを2010年1月31日までに有効化審査を行うDOEとUNFCCC事務局に対して 提出することが用件である。 CDM 理事会は事務局に対して、PoA における追加性立証のガイドラインを今後の EB での検 討に向けて準備するよう要求した。また準備にあたって、PoA における追加性は「PoA 単位」もし くは「CPA 単位」で立証が必要であることに留意することも要求した。 EB48 CDM 理事会は PoA の登録要請である「CUIDEMOS Mexico (Campana De Uso Intelegente De Energia Mexico) - Smart Use of Energy Mexico」 (Ref.2535) のレビュー要請を考慮し、本件を修 正条件付き登録とすることで合意した。 EB49 EB48 で修正条件付き登録となった Ref.2535 が 2009 年 7 月 31 日に登録されたことに関して、 初の PoA 登録に謝意が寄せられ、CDM 理事会はそれに留意した。 EB51 PoAの登録2件目となる「Methane capture and combustion from Animal Waste Management System (AWMS) of the 3S Program farms of the Instituto Sadia de Sustentabilidade」(Ref.2767) が2009年10月29日に登録された。それを踏まえ、CDM理事会は累計2件のPoAが登録されてい ることに留意した。 CDM 理事会は、PoA における追加性立証のガイドライン案を検討した。これについては次回 EB でさらに検討することで合意した。 EB52 「PoA の追加性立証ガイドライン案」は次回 EB53 にて検討を継続することが決定した。 EB53 レビュー要請されていた PoA 案件「Uganda Municipal Waste Compost Programme」(Ref.2956) が、修正条件付で登録承認された。また、「登録 PoA に CPA を含める際の追加性立証に関する 適格性基準決定ガイドライン」は次回以降にて検討を行うことを決定した。 EB54 「登録 PoA に CPA を含める際の追加性立証に関する適格性基準決定ガイドライン」について、 PoA の追加性は PoA レベルのみで立証し、CPA の含有の基準を CPA レベルの追加性立証に 使用するというアプローチが確認され、事務局がガイドライン案を作成することになった。また、 EB56 にて検討を行う予定となった。 EB55 ステークホルダーの意見に基づいて、登録された PoA の中に CPA が含まれた後の 1 年 以内、CPA のクレジット期間更新後 1 年以内、あるいは最初の CER 発行後の 6 ヶ月ま でのいずれか遅いものにレビュー要請期間を制限する、などと PoA ルールの枠組みを見 直して明確化を図り、EB47 で採択された「PoA 登録および CER 発行の手続き ver.3」 及び「CPA を誤って含めた際のレビュー手続き」を改訂した。 4-66 EB56 「登録 PoA に CPA を含める際の適格性基準決定ガイドライン」案を検討したものの、その内容 を踏まえ、再度、案の作成を事務局に要請した。 EB57 EB56 で検討された「登録 PoA に CPA を含める際の適格性基準決定ガイドライン」案の作成作 業を継続するよう事務局に要請した。 EB60 マイクロスケールプロジェクトの適用範囲をタイプⅢまで拡大するマイクロスケールプロジェクト の追加性の証明ガイドラインの改訂版を承認するとともに、改訂版の中で、マイクロスケールプロ ジェクトが PoA にも適用されることが明確にされた。 EB61 CPA を PoA に誤って含めた場合の審査に関連する規定が、PoA の拡大の障害となっているこ とを認識し、CDM 理事会は、このうような過誤が発生した場合、DOE のみが CER を取得し、取り 消すことが求められると決定した。さらに、これを踏まえて事務局に、PoA の手続きの枠組みにこ の決定を組み入れるように要請した。同時に、CPA を誤って PoA に含めた場合のガイドラインを 改訂することにも合意した。 EB63 ・PoA による GHG 排出削減の追加性の証明に関する基準を採択した。 ・PoA のもとでの CPA として含まれるプロジェクト活動の適格性基準の策定の基準を採択した。 EB65 PoA における追加性の証明、複数の方法論の適用と適格性基準の策定に関する基準を採択 した。 4-67 9.各国政策 9-1 中国 9-2 韓国 9-3 インド 9-4 ブラジル 9-5 マレーシア 9-6 インドネシア 9-7 ロシア 9-8 ウクライナ 9-9 ブルガリア 9-10 ポーランド 9-11 CDM ホスト国リスト 9-12 JI ホスト国リスト ● 詳細はホームページ参照のこと http://www.cdm-ji.org/policy/index.html 4-68 10.CDM レファレンス・ルール ガバナンス <CDM 理事会> (a)行動規範 Code of Conduct(Ver01.0, EB47 Annex62) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/eb_code01.pdf) (b)ステークホルダーとの直接コミュニケーションの方法と手続き Modalities and procedures for direct communication with stakeholders(Ver01.0, EB62 Annex15) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/eb_proc03.pdf) 〔EB62〕 次の文書を置換。 パブリックコミュニケーションに関する手続 Procedures for Public communication with the CDM Executive Board (Version 02, EB31 Annex37) (http://cdm.unfccc.int/EB/031/eb31_repan37.pdf ) <パネル・ワーキンググループ> (a)CDM 理事会の支援組織の付託条件 Terms of Reference of the support structure of the CDM EB(Ver01.0, EB61 Annex01) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/panels_proc02.pdf) 〔EB61〕 次の文書および各パネル・ワーキンググループの付託条件を置換。 パネル及びワーキンググループに関するガイドライン General guidelines for panels/working groups (Version 03, EB37 Annex01) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/panels_proc01.pdf) (b)登録・発行チームの付託条件 Terms of reference for a Registration and Issuance Team (RIT) (Ver07.0, EB59, Annex13) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/reg_proc02.pdf) (c)CDM 審査チームの付託条件 Terms of reference for the CDM assessment team(Ver02.0, EB09 Annex01) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/cdm_tors_at.pdf) 4-69 運営組織の信任 (a)運営組織の信任基準 CDM Accreditation Standard for Operational Entities(Ver03.0, EB62 Annex01) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Standards/accr_stan01.pdf) 〔EB62〕 複雑技術分野についての有効化審査・検証チームの最初の資格認定に関する暫定措置を 導入。 (b)運営組織の信任手続き Procedure for accrediting operational entities by the Executive Board of the CDM (Version 10.0, EB56 Annex2) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/accr_proc01.pdf) 〔EB56〕 本会合において、ver.10 が採択された。特に抜き取り検査と差し止めにおけるプロセス と、再認定プロセスの短縮と AE と DOE に対する不平や口論を扱うための進行中の手順 が簡素化・明確化された。改訂版 CDM 認定手順の実施に対して2ヶ月の猶予期間を与え ることで同意した(発効日は 2010 年 11 月 17 日)。発効日後に改訂版 CDM 認定手順は、 認定活動の段階で適用することが明らかになった。 (c)指定運営組織のパフォーマンスモニタリング Performance monitoring of designated operational entities(Ver01.1, EB58 Annex01) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/accr_proc02.pdf) 方法論 <大規模> (a)方法論の明確化要請手続き Procedure for the submission and consideration of queries regarding the application of approved methodologies and methodological tools by DOEs to the Meth Panel (Version 06, EB 42 Annex 09) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/meth_proc01.pdf ) (b)承認済み方法論・ツール改訂申請の提出および検討の手続き Procedure for the submission and consideration of requests for revision of AMs and tools for large scale CDM project activities (version 01, EB 54 Annex 2) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/meth_proc06_ver01.pdf) 〔EB54〕 新たに承認。これにより以前のもの(タイトルおよび URL は下記)を差し替え。 Revision of an approved baseline or monitoring methodology by the Executive Board (version 09, EB 35 Annex 13) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/meth_proc03_v09.pdf ) (c) 新規方法論提案の提出および検討の手続き Procedure for the submission and consideration of a proposed new baseline and monitoring methodology for large scale CDM project activities (Version 01, EB 52 4-70 Annex 9) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/meth_proc05.pdf) 〔EB52〕 該当手続きを改訂し、新規フォームを採択した。 (d)標準化ベースラインの提出と検討 Submission and consideration of standardized baselines(Ver01.0, EB63 Annex28) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/meth_proc07.pdf) 〔EB63〕 採択。 <小規模> (a)小規模方法論の明確化手続(小規模 AR 方法論も含む) Procedure for the submission and consideration of request for clarification on the application of approved small scale methodologies (version 01, EB34 Annex 06) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/methSSC_proc01_v01.pdf) (b)小規模方法論の修正手続 Procedure for the revision of an approved small scale methodology by the Executive Board (version 01, EB34 Annex 07) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/methSSC_proc02_v01.pdf) (c)新規小規模方法論提案手続 Procedure for the Submission and consideration of a proposed new small scale methodology (Version 03, EB 40 Annex 02) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/methSSC_proc03.pdf) (d)自動的に追加的とされるマイクロスケール再生可能エネルギー技術の提出と検討 Submission and consideration of microscale renewable energy technologies for automatic additionality(Ver01.0, EB65 Annex33) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/methSSC_proc04.pdf) 〔EB65〕 採択。 <植林・再植林> (a)植林・再植林 CDM プロジェクトに関する承認済み方法論・ツール修正要請手続き Procedure for the submission and consideration of requests for revision of AMs and tools for A/R CDM project activities (Version01, EB54 Annex 03) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/MethAR_proc05_ver01.pdf) [EB54] 新たに承認。 (b)AR 新規方法論提案の提出および検討の手続き 4-71 Procedures for the submission and consideration of a proposed new baseline and monitoring methodology for large scale afforestation and reforestation CDM project activities (Version 01, EB 53 Annex 13) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/methAR_proc04.pdf) 〔EB53〕 改訂承認。 (c)AR CDM プロジェクトの土地適格性証明手続き Procedure To demonstrate the eligibility of lands for A/R CDM project activities (Version 01, EB 35 Annex 18) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/methAR_proc03.pdf) (d)ホスト国が要求される最小樹冠率、最小面積、および最小樹高の選択値変更に関する手 続き Procedure on change in the selected values of minimum tree crown cover, minimum land area and minimum tree height required for hosting an afforestation or reforestation project activity under CDM (Version 01, EB 40 Annex 01) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/methAR_proc02.pdf) <その他> (a)プロジェクトおよび PoA のサンプリング・調査基準 Standard for sampling and surveys for CDM project activities and programme of activities(Ver02.0, EB65 Annex02) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Standards/meth/meth_stan05.pdf) [EB65] ・ 大規模プロジェクトおよびプログラム CDM についての要件 ・ DOE 向けのサンプリング関係の仕様 を導入、次を置換。 General guidelines for sampling and surveys for SSC project activities (version 01.0) (Annex 30, EB 50 meeting report) (b)プログラム CDM の追加性立証、適格性基準の作成および複数方法論の適用の基準 Standard for demonstration of additionality, development of eligibility criteria and application of multiple methodologies for programme of activities(Ver01.0, EB65 Annex03) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Standards/meth/meth_stan04.pdf) [EB65] 次を統合・置換。 ・ Standard for demonstration of additionality of GHG emission reductions achieved by a Programme of Activities (version 01.0) (Annex 02, EB 63 meeting report) ・ Standard for the development of eligibility criteria for the inclusion of a project activity as a CPA under the POA (version 01.0) (Annex 03, EB 63 meeting report) ・ Standard for application of multiple CDM methodologies for a Programme of Activities (version 01.0) (Annex 04, EB 63 meeting report) 4-72 次の要件を置換。 ・ Procedures for approval of the application of multiple methodologies to a Programme of Activities (version 01.0 (Annex 31, EB 47 meeting report) プロジェクトサイクル (c)プロジェクト標準 CDM Project Standard(Ver01.0, EB65 Annex05) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Standards/pp/pp_stan01.pdf) [EB65] 関連文書を置換。 (b)有効化審査・検証標準 CDM Validation and Verification(Ver02.0, EB65 Annex04) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Standards/accr_stan02.pdf) [EB65] 関連文書を置換。 (c)プロジェクトサイクル手続き Clean Development Mechanism Project Cycle Procedure(Ver02.0, EB66 Annex64) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/pc_proc01.pdf) [EB65] 関連文書を置換。 [EB66] 次を追加。 ・ すでに公表した PDD で適用した方法論を変える場合、改定 PDD をグローバルステ ークホルダーコンサルテーション(GSC)に公表する必要があること ・ (猶予期間の失効より 45 日前に提出した)登録要請で適用した方法論の有効期間を 登録要請の再提出に際して延長すること (d)バンドリングの一般原則 General principles for bundling(Ver02.0, EB66 Annex21) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Guidclarif/ssc/methSSC_stan01.pdf) [EB66] PS および PCP との一貫性確保のための改定。 <有効化審査と登録> (a)プロジェクト参加者と CDM 理事会間の連絡様式 Procedures for modalities of communications between project participants and the executive board (Version01, EB45 Annex 59) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/reg_proc05.pdf) (b)CDM プロジェクトの有効化審査の処理および報告手続 4-73 Procedures for processing and reporting on validation of CDM project activities (Version 03, EB50 Annex48) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/valid_proc02.pdf) (c)承認済み方法論からの逸脱について理事会への要請手続き Procedures for requests to the Executive Board for deviation from an approved methodology (Version 01, EB49 Annex4) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/meth_proc04.pdf) [EB49] Procedures for requests for deviation to the Executive Board を置換する形で、新たに 承認。 (d)CDM プロジェクトの登録要請手続き Procedure for requests for registration of proposed CDM project activities (Version 01.2, EB54 Annex28) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/reg_proc07.pdf) [EB54] 登録要請プロセスの迅速化のため、「CDM プロジェクトの登録要請手続き」について採 択。また、下記について EB54、パラ 57 で要請された。 Registration completeness checklist (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/reg_check_01.pdf) Registration information and reporting checklist (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/reg_check_rep_01.pdf) (e)登録要請プロジェクトのレビュー手続き Procedure for review of requests for registration (Version01.2, EB55 Annex40) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/reg_proc08.pdf) 〔EB55〕 下記と差し替え。 Procedures for review as referred to in paragraph 41 of the CDM modalities and procedures (EB38 Annex20) (http://cdm.unfccc.int/EB/038/eb38_repan20.pdf) (f)プロジェクト登録申請取消手続き Procedures for withdrawal of a request for registration (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/reg_proc06_v01.pdf) [EB54] 新たに承認。 (g)クレジット期間の更新 Renewal of a crediting period of a registered CDM project activity (Ver01.0, EB63 Annex29) ( http://cdm.unfccc.int/filestorage/4/N/P/4NP8Q7G3ETVOFUXZ560KS2LCJAIDYM/ eb63_repan29.pdf?t=dUZ8bTE5d2pvfDDZIK084vpZ1IM0JD-nnn0T) [EB63] 4-74 Annex 1 のツールを削除。 <モニタリングと発行> (a)クレジット期間の開始日の変更 Procedures for requesting post-registration changes to the start date of the crediting period (Version 02, EB52 Annex 59) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/iss_proc04.pdf) 〔EB52〕 今回の改訂によって、「クレジット期間の後ろ倒しが持続可能な発展に影響を及ぼさない ことを、ホスト国によって再確認すること」という項目が削除されたほか、LDC がホス ト国となるプロジェクトに関する項目も設けられた。 (b)CER 発行要請前における逸脱要請の手続き Procedures for requests for deviation prior to submitting request for issuance (Version01, EB49 Annex26) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/iss_proc07.pdf) (c)モニタリング計画の変更手続き Procedures for revising monitoring plans in accordance with paragraph 57 of the modalities and procedures for the CDM (Version02, EB49 Annex 28) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/iss_proc05.pdf) (d)登録 PDD からのプロジェクト内容変更の通知および承認要請の手続き Procedures for notifying and requesting approval of changes from the project activity as described in the registered PDD (Version01, EB48 Annex66) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/iss_proc06.pdf) (e)モニタリング報告書の公開手続き Procedures for making the monitoring report available to the public in accordance with paragraph 62 of the modalities and procedures for the CDM (Version 01) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/iss_proc03_v01.pdf) (f)CER 発行申請手続き Procedure for requests for issuance of CERS (Version 01.2, EB54 Annex35) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/iss_proc09.pdf) 〔EB54〕 「CER 発行申請手続き」について採択。また、下記について EB54、パラ 73 で要請され た。 Issuance completeness checklist (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/Iss_check_01_v01.pdf) Issuance information and reporting checklist (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/Iss_check_rep_01_v01.pdf) (g)CER 発行申請プロジェクトのレビュー手続き Procedure for review of requests for issuance of CERS (Ver02.0, EB64 Annex04) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/iss_proc10.pdf) 4-75 〔EB55〕 下記と差し替え。 Procedures for review as referred to in paragraph 65 of the CDM modalities and procedures (EB38 Annex22) (http://cdm.unfccc.int/EB/038/eb38_repan22.pdf) 〔EB64〕 却下された発行要請の再提出に関する追加。 (h) CER 発行申請取消手続き Procedures for withdrawal of a request for issuance of certified emission reductions (Version01, EB54 annex33) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/iss_proc08_v01.pdf) [EB54] 新たに承認。 <プログラム CDM> (a)PoA における複数方法論の採用承認の手続き Procedures for approval of the application of multiple methodologies to a programme of activities (Version 01, EB47 Annex31) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/PoA_proc03.pdf) (b)プログラム CDM の登録及び CER 発行手続 Procedures for Registration of a programme of activities as a single CDM project activity and issuance of CERs for a PoA (Version 04.1, EB55 Annex38) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/PoA_proc01.pdf) 〔EB55〕 主に下記の点について改訂された。 ・ CPA の定義が追記された。 ・ CPA について複数方法論の併用が認められた場合にその正当化の理由を PDD に含め る。 ・ PoA 管理者がすべての CPA を検証対象とすることを望まないのであれば、サンプリ ングも可。 ・ CDM-CPA-DD へ、PoA の有効化審査開始時期に先行しないことの確認を含める。 ・ CPA のオペレーターは PP となる必要はない。 (c)誤った CPA が含まれた際のレビュー手続き Procedures for review of erroneous inclusion of a CPA (Ver03.0, EB61 Annex22) (http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/PoA_proc02.pdf) 〔EB55〕 主に下記の点について改訂された。 ・ 誤記の発見時期について、クレジット期間更新の 1 年以内も含めた。 ・ CPA が誤って PoA に含まれているか検討する。 ・ CPA が誤って含まれてから対象外となるまでの期間。 4-76 〔EB61〕 レビューに含まれる CPA のコーホート(レビュー要請前 12 か月以内に含有または 6 か 月以内に 1 回目の発行)を変更 4-77 11.JIレファレンス・ルール JIに関するレファレンス・ルールとその内容は下記の通りである。この中で2011年中に新 たに採択あるいは改定されたものについてはその内容についても記載している。 <Procedure> Rules of procedure of the Joint Implementation Supervisory Committee (version02) <内容> メンバーシップや会議の運営に係わる事項などJI監督委員会の全ての活動に関わ るルール General guidelines for panels and working groups under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> JI監督委員会の下にパネルやワーキンググループを設置する場合の最小限の要求事 項 Procedures for programmes of activities under the verification procedure under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> JIにおけるプログラム活動の一般的な原理及び手続き Procedures for accrediting independent entities by the Joint Implementation Supervisory Committee (version07) <内容> 独立機関の認定手続き <JISC26での改定内容> ・ 認定の前後に行っているウィットネス活動を認定後のパフォーマンス審査に置き換え る修正版の採択に合わせて改定 <JISC25で採択された移行措置> ・ 独立認定機関を増やすための移行措置として、ウィットネス審査が完了していない認定 組織を暫定的に認定する「TRANSITIONAL MEASURES FOR ACCREDITING APPLICANT INDEPENDENT ENTITIES THAT HAVE BEEN ISSUED AN INDICATIVE LETTER IN ACCORDANCE WITH THE JOINT IMPLEMENTATION ACCREDITATION PROCEDURE」がJISC25で採択されてい る。 Terms of reference for the establishment of the joint implementation accreditation panel <内容> 作業領域やメンバーシップなどJI認定パネルへの委託事項 Terms of reference for joint implementation assessment teams <内容> 作業領域やメンバーシップなどJI評価チームへの委託事項 Procedures on public availability of documents under the verification procedure under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> プロジェクト設計書や有効性決定報告書などJI監督委員会の下での検証に関わる 文書の公開手続き <JISC25での改定内容> ・ 独立認定機関が可能な限り早期に審査を完了して定期的に決定を通知するための修正 版の採択に合わせて改定。 4-78 Procedures for appraisals of determinations under the verification procedure under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> JI監督委員会の下での検証手続きにおける有効性決定の評価手続き <JISC25での改定内容> ・ 有効性決定におけるJISC委員/委員代理による評価を省略する修正版の採択に合わせ て改定。 Procedures for reviews under the verification procedure under the Joint Inplementation Supervisory Committee(version 04) <内容> JI監督委員会の下での有効性決定におけるレビュー手順 <JISC25での改定内容> ・ 電子的な意思決定システムの導入を含む修正版の採択に合わせて改定。 Terms of reference for experts appraising determinations or participating in review teams under the verification procedure under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> JI監督委員会での検証に関して、有効性決定を評価あるいはレビューチームへ参加 する専門家への委託事項 Modalities of communication of project participants with the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> プロジェクト参加者によるJI監督委員会への連絡方法 Procedures for including additional project participants or Parties involved in joint implementation projects after final determination under the verification procedure under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> JI監督委員会での検証に関して、プロジェクトが有効性決定された後に、プロジェ クト参加者や締約国がプロジェクトに加わるための手続き Procedures for the withdrawal of project participants after final determination under the verification procedure under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> JI監督委員会での検証に関して、プロジェクトが有効性決定された後に、プロジェ クト参加者が脱退するための手続き Terms of reference of the Designated Focal Point Forum <JISC25での採択内容> DFPフォーラムの運営規約を採択。 Procedures for communication of the public with the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> 公衆がJI監督委員会と連絡を取るための手続き。 Procedures for requests for clarification under the verification procedure under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> JI監督委員会での検証手続きに関する明確化要請のための手続き。 Procedures for the withdrawal of submissions under the verification procedure under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> JI監督委員会での検証におけるプロジェクト取り下げのための手続き。 4-79 Procedures regarding changes during project implementation <内容> プロジェクト実施の際の計画内容の変更に関する手続き。 <Standards/Guidance/Clarifications> Guidance on criteria for baseline setting and monitoring <内容> ベースライン設定及びモニタリングの基準に関するガイダンス <JISC26での改定内容> リーケージの決定に対する量的な閾値の導入とベースライン決定 のオプションを含む修正版を採択。 Provisions for joint implementation small-scale projects <内容> 小規模JIプロジェクトに関する規定 Clarification regarding overlapping monitoring periods under the verification procedure under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> JI監督委員会での検証において、プロジェクトのモニタリング期間が重なっている 場合の扱いの明確化 Standard for applying the concept of materiality in verification <内容> 検証において重要性(materiality)の概念を適用するための標準 Determination and verification manual <内容> プロジェクトの有効性決定及び検証マニュアル TRANSITIONAL MEASURES FOR ACCREDITING APPLICANT INDEPENDENT ENTITIES THAT HAVE BEEN ISSUED AN INDICATIVE LETTER IN ACCORDANCE WITH THE JOINT IMPLEMENTATION ACCREDITATION PROCEDURE <内容>独立認定機関の認定手順に対する移行措置。 <JISC25での採択内容> 独立認定機関を増やすための移行措置として、ウィットネス審査が完了していない認定組 織を暫定的に認定する規約を採択。 Joint implementation accreditation standard <内容> JIにおける独立機関の認定標準 Clarification regarding utilization of laboratory services for monitoring and determination of emission reductions or enhancements of removals <内容> 排出削減量あるいは吸収増大量のモニタリングと有効性決定のための試験所サー ビスの利用に関する明確化 Clarification regarding the public availability of documents under the verification procedure under the Joint Implementation Supervisory Committee <内容> JI監督委員会における検証の際の文書類の公開についての明確化 Clarification regarding project participants’ change of accredited independent entity <内容> プロジェクト参加者による認定独立組織の変更についての明確化 4-80 12.関連リンク CDM/JI 情報リンク集 省庁・独立行政法人等 ① 経済産業省 京都メカニズムのページ http://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/kyomecha_main.htm CDM/JI 標準教材 ver.2 http://www.meti.go.jp/policy/global_environment/kyomecha/060523CDMJItext/060523c dmjitextbook.htm ② 環境省 京都メカニズム情報コーナー http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/index.html ③ 林野庁 CDM 植林ヘルプデスク(京都メカニズムとしての植林の相談窓口) http://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/cdm/index.html CDM 植林(吸収源 CDM)実施ルールと解説、小規模 CDM 植林、CDM 植林を支援す るための関連事業一覧等 ④ NEDO 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 京都メカニズム事業 http://www.nedo.go.jp/activities/introduction8_07.html 京都メカニズムクレジット取得事業、地球温暖化対策技術普及等推進事業等 研究機関等 ① 京都メカニズム情報プラットフォーム http://www.kyomecha.org/ 海外環境協力センター(OECC)が環境省の事業として作成している、CDM/JI 事業者 にホスト国情報などを提供するサイト。 ② IGES 財団法人地球環境戦略研究機関 http://www.iges.or.jp/jp/cdm/index.html CDM 各国情報等 図解 京都メカニズム 第 15 版(2011 年 10 月版) http://enviroscope.iges.or.jp/modules/envirolib/upload/962/attach/kyomeka.pdf ③ GEC 財団法人地球環境センター http://gec.jp/main.nsf/jp/Activities-CDM_and_JI-Top CDM/JI 事業調査、CDM/JI 事業調査事業実施マニュアル、CDM/JI ホスト国基礎情報等 4-81 ④ GISPRI 財団法人地球産業文化研究所 http://www.gispri.or.jp/menu.html UNFCCC、IPCC 情報等 ⑤ UNEP Risoe Centre, CD4CDM (Capacity Development for the CDM) http://www.cd4cdm.org/ CDM/JI パイプライン等 認証機関 ① JQA 財団法人日本品質保証機構 http://www.jqa.jp/index.html ② JACO 株式会社 JACO CDM http://www.jaco-cdm.com/ ③ JCI 社団法人日本プラント協会 http://www.jci-plant.or.jp/index.php ④ Delotte-TECO 株式会社トーマツ審査評価機構 http://www.tohmatsu.com/view/ja_JP/jp/index.htm ⑤ TÜV Rheinland Japan http://www.tuv.com/jp/japan/home.jsp ⑥ JMACC 社団法人日本能率協会 地球温暖化対策センター http://www.jma.or.jp/jmacc/index.html ⑦ KPMG-AZSA KPMG あずさサステナビリティ株式会社 http://www.kpmg.or.jp/profile/azsus/index.html ⑧ E&YSNSI 新日本サステナビリティ研究所 http://sustainability.shinnihon.or.jp/index.html ⑨ NKKKQA 日本海事検定キューエイ株式会社 http://www.nkkkqa.co.jp/index.htm ⑩ PJR CDM ペリージョンソンレジストラークリーンディベロップメントメカニズム株式会社 http://www.pjrcdm.com/jp/ 国際機関等 ① UNFCCC CDM(気候変動枠組み条約 クリーン開発メカニズム) http://cdm.unfccc.int/ ② UNFCCC JI(気候変動枠組み条約 共同実施) 4-82 http://ji.unfccc.int/index.html ③ Carbon Finance Unit, The World Bank(世界銀行 カーボンファイナンスユニット) http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/TOPICS/ENVIRONMENT/EXTCARBO NFINANCE/0,,menuPK:4125909~pagePK:64168427~piPK:64168435~theSitePK:4125 853,00.html ④ IETA(国際排出権取引協会) http://www.ieta.org/ 4-83