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タイの再生可能エネルギーの開発および環境について:Rangsan
タイの再生可能エネルギーの開発および環境について:Rangsan Sarochawikasit 1. タイの国家的エネルギー政策 タクシン政権は、現在国家のエネルギー政策を策定しており、エネルギー利用の高効率化を促 進させるような政策を盛り込もうとしています。国内のエネルギー資源開発と再生可能エネル ギーのバランスをとり、エネルギー輸入依存度の低減を図りたいと思っています。そのため国 内エネルギー資源開発を加速的に推し進めたいと考えています。 政府のエネルギー政策の目的は以下の通りです。 ♦ エネルギーの安全保障を確保しながら国内経済の競争力を強化する事 ♦ クリーンな燃料供給を継続的に確保することによって環境の改善を行う事 ♦ タイ国民の生活水準を向上させる事 ♦ 東南アジア地域においてエネルギーハブとして活動する事 2. タイのエネルギー戦略 エネルギー省によって提案されている 4 つの主要なエネルギー戦略は以下の通りです。 ♦ エネルギー高効率化のための戦略 • 国の競争力を強化するために、エネルギー弾力値の低減化(GDP に占めるエ ネルギー消費の伸び率)を図ります。現在 1.4:1 となっていますが、2007 年までには 1.1 に低減したいと考えています。 • 10 年のうちにエネルギー資質消費が最高 31 億バーツ分、節約可能だと考えて います。 ♦ エネルギーの安全保障のための戦略 • 少なくとも 30 年に亘ってエネルギー供給を十分に確保し、その信頼性を確保 しなければなりません。 • エネルギー供給の信頼性安定性を向上させるために特に天然ガスを今後 50 年 間、重点的に開発していきます。 ♦ タイのエネルギーシステムの戦略(地域センターとしてのタイ) • 税制システムを変更して、様々な税の二重課税、あるいは重なる重複する部 分を削除していきます。 • 中東から東南アジア、そして東アジアに渡って石油製品などの輸送を効率的 に行うために「エネルギー・ランド・ブリッジ・プロジェクト」を進めてい ます。 ♦ 再生可能エネルギー開発戦略 • エネルギー省では、2003 年の再生可能エネルギーのシェアを 0.5%から今後 10 年で、すなわち 2011 年までに 8%(エネルギー需要)まで上昇させる計画 を持っています。 エネルギーの高効率利用を達成してエネルギー安全保障を確保するためにエネルギー省ではエ ネルギー情報技術を利用し、します。これをエネルギーセンターが国内外の情報を統合化して、 1 最新のそして正確な情報を利害関係者(ステークホルダー)に全てに提供します。 特に大切なことは、国民参加、および環境問題です。エタノール、バイオディーゼル、天然ガ スを輸送関連セクタで使用して行き、クリーンな燃料の使用を押し進めて行きます。さらにフ ァンド基金を設立してエネルギー施設の周りに地元コミュニティーを開発していきます。 3. タイのエネルギー事情 この 10 年間、エネルギー消費は継続的に平均 4%の率で伸びています(例外はとして、1997 年から 1998 年までの経済危機のとき需要がこの時期にに少し減少しています)。 2004 年には最終エネルギー需要は、約,100 万トン(石油換算トン)に達していました。 総エネルギー消費量の状況は以下の通りです。 ♦ 輸送部門が主要消費部門 – であり、総エネルギー需要の 37%以上を占めています。 ♦ 2 番目が工業部門で全体の消費量の 36%、その次が住居や商業など民生部門です。 エネルギー需要は高まり、2004 年には石油輸入が 250 億ドルあまりになっています。石油輸 入コストおよび外貨の流動負債に対処するために、エネルギー省では政府に対して再生可能エ ネルギーの戦略を提案しています。2003 年 9 月 2 日に内閣において承認されています。 再生可能エネルギー政策の目標は以下の通りです。 ♦ 民生部門での再生可能エネルギーの利用を増加させます。 ♦ 2011 年までに 0.5%から 8%まで再生可能エネルギーの利用を増加させます。 • 2003 年の総エネルギー消費の 83%以上を商用エネルギーでまかないます。 • 16.5%を従来のエネルギー(木炭や薪)でまかないます。 • 残りの 0.5%は再生可能エネルギーでまかないます。 これらの政策を実施するために、再生可能エネルギー戦略の計画が立案されました。これらの 戦略は電力発電、暖房(熱)およびバイオ燃料の 3 つのカテゴリに分類することができます。 ♦ 熱での分野利用は、目標の主要な部分でであり、目標の半分以上を占めています。 再生可能エネルギーの目標を達成するために、いくつかの戦略がすでに策定されています。 ♦ RPS(再生可能ポートフォリオスタンダート) 新たに建設する発電所(石炭や石油など化石エネルギーを使用する)には、設備 容量の約 5%を再生可能エネルギー発電に投資しなければなりません。 ♦ インセンティブ 政府は、 「フィードインタリフ」のような税制的な支援を行います。これによって グリット接続する売電価格を補充補填します。 ♦ 研究開発 不経済的非経済的な再生可能エネルギー利用技術の格差のの使用部分をできる 2 だけ縮小して、現地での供給される部分量を増加させます。さらにはそれを実現 するために原料などの供給の確保を図ります。 ♦ ファシリテーター これが役目を果たすことにより円滑な協力関係が可能になり、民間部門(企業)、 投資家、外資系企業がともに調和が取れるようになります。私が所属する局 (Department of Alternative Energy Development and Efficiency(DEDE))が ファシリテーター役を果たすということになります。 研究開発により再生可能エネルギー技術に関するタイ国内のナレッジベースを強化するという 試みがあります。そして再生可能エネルギー技術をモデルプロジェクトの実証を通して普及さ せたいと考えています。官民の連携により協力関係を促進していきます。 地域社会と民間企業にこれらを促して、それぞれの地域で使用できる再生可能エネルギーのリ ソースに適した再生可能エネルギー技術を利用していきます。 政府による再生可能エネルギーの利用を高めるために以下のようなインセンティブを設定しま す。 ♦ 投資家のためにインセンティブを提供し、従来のエネルギー技術による再生可能 エネルギーに対して競争力を提供します。 ♦ 不確実性や投資リスクの回避 ♦ 再生可能エネルギーの普及のために市場機会の創出 再生可能エネルギーの利用促進および普及のためにタイ政府は戦略的な奨励策をすでに立ち 上げています。インセンティブ措置の主な目的は以下のとおりです。 ♦ 再生可能エネルギー市場を商業的にもっと活発化します。 ♦ 再生可能エネルギー技術の財政的な負担を軽減します。 ♦ 再生可能エネルギーを有効なエネルギー源として利用の促進を図ります。 ♦ 輸入エネルギーを削減します。 ♦ エネルギーの活用により環境負荷を低減します。 税制優遇策として、タイ政府は再生可能エネルギー投資プロジェクトに BOI 特権スキームを与 えます。 ♦ BOI 特権に従って、再生可能エネルギープロジェクトの投資家は機器類を輸入し たときに輸入関税が免除され、また約 8 年にわたって法人税が免除されます。 ♦ ソフトローンが適用され、再生可能エネルギープロジェクトには低金利ローンが 適用されます。ただし 5 千万バーツまでという条件を付けます。 ♦ 再生可能エネルギーの投資の促進において、タイの再生可能エネルギー推進を補 足するために政府としてはカーボンクレジットの CBM のプログラムを提供して います。 3 ガソホール戦略の計画 エネルギー省は内閣にそれを既に提案をしており、2003 年 12 月 9 日に承認されています。計 画の目標は、バイオマスから精製したエタノールガソリンを 10%混合したガソリンエタノール (E10)の利用を促進することにあります。2006 年までに 1 日 100 万リットルを最高に、2011 年までにこれをさらに 1 日あたり 300 万リットルまで増やして行く予定です。このロードマッ プは以下のとおりです。 • タイ政府はガソホール(エタノールガソリンを混ぜたガソリンエタノール) のスペックをオクタン 95(E10)と 91(E10)の 2 つで公示しています。 • タイ政府は、政府が運用する車両に関してはこのガスホーのみを使用します。 • 今年の終わりから来年の始めにかけてガソリンオクタン 95 の全国販売を中止 します。 • 現在 24 のエタノールプラントの営業権(トータルで 480 万リットル/日)が 承認されています。 • 5 つのエタノールプラントがすでに存在しており、トータルで 1 日あたり 60 万リットル生産しています。残りの 4 つエタノールプラントが建設中でその キャパは 1 日あたり 60 万リットルです。年末までにはこれらが完成する予定 です。 • エタノールの生産には、十分な量が確保できるモラスとカッサバが主要な原 料として使用されています。 • 2006 年 6 月現在、9 つの石油会社が 3,200 のガスホールを売っているガソリ ンスタンドを所有しています。その販売量は平均で 360 万リットル/日です。 バイオディーゼル戦略の計画(2 段階)は以下の通りです。 ♦ 2004 年 - 2006 年 この間は研究実証期間で、第 2 段階で使用する技術情報の収集期間です。 主な活動は原材料の供給管理が中心です。農業協力省は地域の土地造成、さらに パーム油、やし油の収穫量生産量を上げバイオディーゼルの生産に十分な量の確 保に責任を持ちます。その他の油のプランテーション研究開発として、例えばジ ャトロファなども対象となっています。 ♦ 2007 年 - 2011 年 「バイオディーゼルの促進」 • バイオディーゼルとディーゼル軽油(バイオディーセル=2%)の混合は「B2」 として知られておりでは、5%のバイオディーゼル混合「B5」が既にチェンマ イやバンコクで販売されています。 • バイオディーゼル市場はさらに拡大し、2011 年には全国に広がると見られて おり、1 日当りの生産量が 400 万リットルという容量になっています。 ♦ これらの目標を達成するために、原料に関する研究開発活動が積極的に行われて います。 4 ♦ このバイオディーゼルプラントの設立を推進するために、タイ政府はバイオディ ーゼル生産プラントを含む再生可能エネルギーの民間投資を対象に BOI 権のスキ ームを立ち上げています。 ♦ SVP(Special Purpose Vehicle Program:特別な用途のための車両プログラム) が財務省の管轄で始まっており、これはパーム油のプランテーションおよびバイ オディーゼルプラント向けに設けられています。 4. エネルギーおよび環境に関連する問題(エネルギー利用とそれに関わる環境問題) エネルギー部門の CDM 実施のフレームワークおよびガイドラインによると、2004 年の 12 月 の段階で温室効果化ガスの排出量は約 3 億 4,400 万トンで、その中でエネルギー部門がもっと も排出量が多く、トータルのうち 56%を占めており、次に農協部門でした。 エネルギー需要は増加傾向にあり、その 70%以上が化石燃料です。その結果、エネルギー部門 の温室効果温室化ガスの排出量も増加しています。 しかし、石油換算トンあたりの二酸化炭素の排出量を比較すると OECD、アジア、その他中国、 日本、韓国、マレーシマレーシアなどアジア諸国はこのようになっており、タイは好ましい状 況です。(スライド 13 を参照) もう 1 つの温室化温室効果ガス排出の問題の対策として、タイでは CDM プロジェクトの検討 をしています。最も有望なことのは再生可能エネルギーを推進させるするということです。そ の次がバイオ燃料ということになります。 2006 年 8 月 15 日、タイ政府は CDM を監視する組織を発足させました。資源環境省は CDM 組織を内閣に提案して承認されました。同内閣決議に従って、気候変動国内委員会が設立され ました。この委員会は首相、あるいは副首相が委員長を務めるということになっています。そ して天然資源環境省が事務局を果たすということになり、おそらく来年までにはこの事務局が 活動を始めるものと考えています。 ♦ CDM プロジェクトの承認審査方式: • 事務局は民間部門から提出された文書の審査を行い、そして関係省庁にこれ を提出してプロジェクトドキュメントを専門家がさらにレビューしてコメン トを提出します。 • 専門家グループからの意見(例えば、エネルギープロジェクトの DEDE が意 見書を作成)を受け、当該省庁が事務局に送り返して国内委員会に承認の提 案を行います。 • 承認後、国内委員会は内閣に通知し、内閣のは、承認を受けると内閣がこれ を許可します行います。 • その後 CDM プロジェクトがこの事務局に対して書簡を作成して、登録のため に国連の UNFCCC にその書簡を送付します。 5 5. 再生可能エネルギーの分野では、どのような研究開発活動が行われているのか、さらに近 隣諸国との協力関係 タイの再生可能エネルギーの障壁について ♦ 再生可能エネルギーの技術開発には、高い投資コストがかかります。 ♦ 再生可能エネルギーの継続的な政策と対策が問題になりますが、タイ政府は既に 長期再生可能エネルギー政策(2011 年まで)を実施しており、現在では解決済み です。 ♦ 低品質および不安定な供給に関して、エネルギー省は農業協力省と協力して農業 産品などの生産を改善させるための研究開発に重点を置いています。 ♦ 既存の開発モデルの再生可能エネルギー技術のモデルプロジェクト (Unattractiveness of existing development models):これらのモデルを模範と して、民間投資家からの出資を募っています。 • これには高い投資コストと運用コストがかかりますので、各省庁レベルで話 し合い、規制をもっと簡素化していきたいと考えています。 • PR 活動を行い、民間投資家に対して成功例を示していきます。 省エネルギーファンドが再生可能エネルギーの利用や省エネルギーを促進させるために発足 し、1 リットル当り 0.1 セントくらいの基金を募ってファンドに当てます。 再生可能エネルギーに関する多数の研究開発活動が行われています。 ♦ バイオ燃料の利用については、バイオディーゼルの生産計画が 1 つのモデルとし て研究開発されています。 • バイオディーゼルを使用した自動車エンジンの性能テストが実行され、この 情報はユーザに提供されています。 • バイオ燃料のバリューチェーン開発も行っており、提案されたバイオ燃料だ けでなく、バイオディーゼル開発も同時に行っています。 将来の動向としてバイオ燃料の使用は増加を示しています。その理由は以下のとおりです。 ♦ 環境問題とオイル価格の高騰 ♦ バイオ燃料に関する技術開発の進展 ♦ バイオ燃料の市場が温室化効果ガス増加や地球温暖化にへの対策に伴うよって拡 大します。バイオ燃料市場の拡大 バイオエネルギーの利用先 ♦ 将来、バイオ燃料(エタノール)から生産した水素の利用を検討しています。 ♦ 新たなバイオマスの融合やガス化技術が市場に登場しています。 地域協力に関して ♦ バイオ燃料開発あるいは水力発電の開発において、タイはラオス、ミャンマー、 カンボジアなどの近隣諸国との間で開発協力が進んでいます。 6 ♦ タイと近隣諸国との間で、バイオ燃料プログラムのサプライヤを確保するために 「コンタクトファーミング:Contact farming」が発足しています。 結論は以下の通りです。 再生可能エネルギーを促進するための政策や措置を明確に提示して、それらを目標に していく必要があります。 研究開発を進めて国内の知識基盤を整理する必要があります。 政府だけでなく金融機関、あるいは学界、民間投資家などすべての利害関係者を巻き込んでい くことが必要です。 7