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ライフサイエンス - 神奈川県産業技術センター

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ライフサイエンス - 神奈川県産業技術センター
1AM-C01
平成27年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
『オープンラボ』実施報告
㈱バイオクロマト 高速濃縮装置「Rapid Extest」について
神奈川県産業技術センター 化学技術部
○廣川
1. はじめに
㈱バイオクロマト(神奈川県藤沢市)では、特殊な濃
縮栓を用いた新しい仕組みによる濃縮装置『RAPID
EXTEST Single Flex(SF) G2』を開発しました。
従来の濃縮法としてロータリーエバポレーター、窒素
ガス吹き付け、凍結乾燥などがありますが、専用容器へ
の検体の移し替えが必要、多検体処理が困難、処理時間
が長いなどの問題点があります。RAPID EXTEST は、
下図に示す仕組みにより、常温・常圧下で高沸点溶媒の
高速濃縮、加熱に弱い試料や粘性の高い試料の高速濃縮
が可能です。また、濃縮栓のサイズを変更することで、
実験で使用する多種多様な容器での濃縮ができ、容器を
移し替えることなくそのまま濃縮できます。また常に試
料が撹拌されているため突沸しにくく安心です。
当センターでは、種々の試料・溶媒を対象として濃縮
試験を行い、濃縮に要する時間など装置の性能評価と用
途開発を支援しました。そして、雰囲気を窒素やアルゴ
ンなどの不活性ガスに置換しそれを循環しながら揮発溶
媒を除去する簡易閉鎖系濃縮装置『コンビニ・エバポ
C1』を開発しました。その性能評価の概要を紹介します。
真空ポンプによる吸引
雰囲気ガスが流入する
溶媒が揮発
RAPID EXTEST SF G2
図.濃縮の仕組み
コンビニ・エバポ C1
2. 性能評価
2-1.一般的な溶媒の留去時間
コンビニ・エバポ C1 で各種溶媒を留去するのに要し
た時間を表 1 に示します。検体は装置付属のアルミビー
ズバスで保温し、チャンバー内には乾燥空気(室温、
26℃)を流しました。
ヘキサン、アセトニトリルの留去は、ロータリーエバ
隆彦
ポレーターの約⅛以下の時間で済みました。高沸点で低
揮発性の DMF、DMSO も留去することができました。
表 1.各種溶媒の完全留去に要した時間
溶媒/液量(容器)
温度
留去時間
26℃
95 分
水/5 ml
(20 ml バイアルびん)
40℃
49 分
26℃
5分
ヘキサン/5 ml
(20 ml バイアルびん)
40℃
4分
26℃
8分
アセトニトリル/5 ml
(20 ml バイアルびん)
40℃
7分
26℃
69 分
DMF/5 ml
(20 ml バイアルびん)
70℃
24 分
26℃
241 分
DMSO/5 ml
(20 ml バイアルびん)
70℃
69 分
2-2.グリセリン溶媒の留去
グリセリンは動植物素材から機能性成分を抽出する際
によく用いられますが、その抽出エキスの成分分析を行
う際にはグリセリンが影響して正確な測定が困難です。
グリセリンの低揮発性、吸湿性のため、コンビニ・エバ
ポ C1 でもグリセリン溶媒の留去は困難でしたが、検体
を 70℃に加温、流通空気も 70℃に予熱することで、グリ
セリン溶媒を留去することができました(表 2)
。
表 2.グリセリン溶媒の重量変化
留去前
溶媒/液量(容器)
の重量
グリセリン
1.24 g
/1 ml(20 ml バイアルびん)
1%グリセリン水溶液
1.002 g
/1 ml(20 ml バイアルびん)
60 分後
の重量
1.22 g
0.001 g
3. 用途開発
機能性を持つ動植物素材から機能性成分を抽出する際
には大量の溶媒が使用され、希薄な抽出エキスを得てい
ます。それを濃縮することにより、少量の使用で有効な
摂取量が得られる、高機能な食品素材・化粧品素材など
になります。
また、DMF、DMSO、NMP も留去できることから、
天然物合成・有機合成分野での利用可能性も見込まれま
す。
真空ポンプの前に溶媒回収装置を付ければ溶媒蒸気を
外部に放出せずに回収でき、環境に負荷をかけない点も
優れています。
1AM-C02
平成27年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
古紙からのバイオエタノール生産
神奈川県産業技術センター 化学技術部
横浜市資源リサイクル事業協同組合
神奈川県農業技術センター
(独)農業環境技術研究所
○廣川 隆彦、松本 佳久、高橋 亮、高見 和清、
青木 信義、瀬戸山 央
戸川孝則
岡本 昌広、上山 紀代美、吉田 誠、折原 紀子
小原 裕三
1. はじめに
古紙は神奈川県内での回収量が多いが、再生紙原料と
しての需要は減退している。そこで、横浜市資源リサイ
クル事業協同組合の資源分別回収技術を活用して、未利
用の古紙から高効率で糖化発酵する品目のみをバイオエ
タノール原料として分別収集し、経済的に社会実装可能
な古紙バイオエタノール生産技術を開発することを目指
した。また、古紙由来のバイオエタノールをバイオ燃料
や農業用土壌消毒剤として利用することの可能性を評価
した。
2. 実験結果及び考察
2-1.未利用古紙の評価
古紙を 22 品目に分類し、それぞれを市販セルラーゼ
で糖化した時の液化率とグルコース収率を調べたところ、
図 1 に示すように、再生紙原料として循環利用されてい
ない未利用古紙品目を記した白抜き赤色マークが右上に
多く位置しており、未利用古紙にエタノール原料として
適した品目が多いことが示された。この結果をもとに、
選別した品目の古紙を原料としてバイオエタノールを製
造する方法について特許出願を済ませた(特願
2014-089290)
。
2-2.古紙の固体並行複発酵
排水量が少なくかつ小型分散型の生産プロセスとして
有望な固体並行複発酵(同時糖化発酵)法を用いて古紙
のバイオエタノール化を試みた。48 時間の糖化発酵で、
約 8 ㎏(湿重量)の古紙から約 2L の約 18%(w/v)エタノ
ール水溶液を回収でき、量論値の約 70%の収率を達成し
た。
2-3.低濃度エタノールを用いた土壌管理技術の開発
固体並行複発酵で得られたバイオエタノールの土壌消
毒効果について調べた結果、0.3%(w/v)以上で、市販エ
タノールを用いた場合と同程度の効果が得られることが
分かった。また、小規模圃場において実施した模擬試料
による土壌還元消毒試験では、市販エタノールに比べて
消毒後 10~21 日目の殺菌成分濃度が高くなり、副成分
が総合的に土壌還元消毒効果の安定性に寄与することを
示す結果が得られた。さらに、土壌還元消毒効果が高す
ぎる場合に起こる土壌還元消毒後の土壌微生物活性(硝
酸化成能)の回復度について調べた結果、模擬バイオエ
タノール試料や 1.0%(w/v)エタノールを用いた場合も水
処理と差が無いことが分かった。
3. 今後の展開
古紙の固体並行複発酵では、酵素糖化の進行に伴い、
反応物の増粘、造粒が観察された。造粒は発酵やエタノ
ール回収を阻害するため、造粒の抑制が必要である。現
在、コンクリートミキサー型、コンクリートアジテータ
ー型の反応槽をラボスケールで試作し、槽内撹拌翼の形
状などを検討している(図 2)
。反応槽の形状が決まり次
第、ベンチスケールでの試作、プラントスケールの実機
の製作を予定している。
あわせて、糖化速度の向上がエタノール製造コスト低
減の最大要因であるので、酵素活性や安定性、価格など
を考慮してセルラーゼの選定を進めている。
また、土壌消毒技術の都市農業での実証試験を進め、
都市バイオマス資源である古紙から製造したエタノール
を都市農業で消費する地産地消を目指していく。
図 2.
図 1.
各種古紙品目の液化率とグルコース収率
ラボスケールの反応槽試作品
1AM-C03
平成27年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
ヨーグルト乳清の線虫寿命に及ぼす影響について
神奈川県産業技術センター 化学技術部
○瀬戸山 央、廣川 隆彦、青木 信義
1.はじめに
近年,高齢化が進む中で心身ともに健康に老いること
が求められ,健康寿命を延ばすことに注目が集まってい
る.健康寿命の延伸には,老化に伴う体内活性酸素消去
能の低下やタンパク質最終糖化産物蓄積を防ぐことが重
要である.これらを防ぐ方法として日常生活の中での機
能性食品の摂取が挙げられる.機能性食品の 1 つに乳酸
菌を用いた発酵食品,ヨーグルトがあり様々な機能性が
報告されている.一方で乳清(ホエー)と呼ばれるチー
ズやヨーグルトの製造の際に派生して出る薄黄色の液体
は,タンパク質やアミノ酸を多く含み栄養的に優れてい
ることがわかっているが,その機能性に関しては解明さ
れていない部分が多い.本研究ではヨーグルト乳清の機
能性を評価することを目的とし,in vitro における抗酸
化活性および抗糖化活性の測定,in vivo におけるマウス
などの代わりとなる線虫 Caenorhabditis elegans を用
い,線虫寿命に与える影響による評価を行った.
2.方法
市販されているヨーグルトの中から使用菌株の異なる
3 種類を選定し材料とした.各材料を遠心分離した上清
をヨーグルト乳清とした.
in vitro 抗酸化活性として DPPH ラジカル消去活性,
スーパーオキシドラジカル消去活性,リノール酸酸化抑
制作用を測定した. 抗糖化活性は AGEs 生成抑制活性
を測定した.
線虫は温度感受性の fer‐15 変異株を用いた.成虫の
線虫体内から卵を回収し,孵化した幼虫は大腸菌を餌と
して培養フラスコを用い 26℃で同調培養を行った.培養
5 日目に各試料を加えた.その後,数日ごとに培養液の
一部をとり線虫の生存数を調べた.5 日目の生存数を
100 %とし,数日ごとの生存数から生存曲線を描いた.
3.結果
DPPH ラジカル消去活性は 3 試料とも 10%前後と低
かったが,スーパーオキシドラジカル消去活性は 3 試料
とも 40 % 前後となり抗酸化活性が認められた.スーパ
ーオキシドラジカルは生体内で発生するラジカルである
ため,消去活性が認められたことはヨーグルト乳清の生
体内における抗酸化活性を示すことが示唆される.さら
に,リノール酸酸化抑制作用の結果を図 1 に示す.試料
はコントロールに対して吸光度が低くなっていることか
ら,試料には過酸化物の生成を抑制する作用があること
が確認できた.以上の結果からヨーグルト乳清には抗酸
化活性があることが示された.
蛍光性 AGEs 生成抑制率は 3 試料とも 70%以上とな
り非常に高い抑制率となった.このことからヨーグルト
乳清には蛍光性AGEs生成を抑制する抗糖化活性がある
ことが示された.
線虫の寿命測定は,試料を終濃度 5 % になるよう添加
した実験を行った.ヨーグルトAの乳清を添加した際の
生存曲線を図 2 ,ヨーグルトB,Cの乳清を添加した際
の生存曲線を図 3 に示す.すべての試料で線虫の寿命延
長が確認された.以上のことからヨーグルト乳清は線虫
の寿命を延長することが明らかとなった.寿命延長の要
因としては,ヨーグルト乳清のもつ抗酸化活性や抗糖化
活性が関わっていることが考えられる.
4.まとめ
市販されているヨーグルト乳清の機能性を評価した結
果,ヨーグルト乳清には in vitro で抗酸化活性および抗
糖化活性があることがわかった.また線虫の寿命を指標
とした評価では,ヨーグルト乳清の摂取により線虫の寿
命が延長することが明らかになった.これにより,発酵
食品のような機能性食品に対しても線虫の寿命を指標と
した in vivo 評価が有望であるといえる.
図1 リノール酸酸化抑制作用の結果
図2 線虫の寿命曲線(ヨーグルトA)
図3 線虫の寿命曲線(ヨーグルトB、C)
1AM-C04
平成27年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
固定化組換え-セクレターゼを用いた新規フローインジェクション分析法の開発と
阻害剤評価への応用
神奈川工科大学
工学研究科
○飯田
[目的]
泰広、白石有希、安達稔、山口淳一
EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin によってビオチン化
アルツハイマー病(AD)は、脳内にアミロイドタ
SAM を 形 成 さ せ た Au 板 を 担 体 と し 、 そ こ へ
ンパク質(amyloid -protein: A)が凝集することが
streptavidin 融合-secretase の固定化をすることによ
原因で生じると考えられている。AD 患者は年々増
り当該酵素とフローシステムを用いた評価系の構築
加している一方、効果的な薬剤が存在しておらず、
を行った(図 1.)
。また、既存阻害剤である、KMI429
新規の薬剤が望まれている。この Aは、アミロイド
の阻害能評価を構築したシステムを用いて行った。
前駆体タンパク質(amyloid precursor protein: APP)
記録計
とよばれる前駆体タンパク質から切り出されるが、
ポンプ
Pump
その産生に関与する酵素に-secretase が知られおり、
Recorder
Keep warm
-secretase
at 37℃ ± 0.1
Column
蛍光検
Detector
出器
37±0.1 ℃
Injection
Valve
この阻害剤は新たな抗 AD 薬として期待されている。
本研究室では、固定化酵素と FIA (Flow Injection
固定化
酵素
Carrier
緩衝液
インジェクター
Analysis)システムを組み合わせた酵素活性計測を行
うことにより、持続性を有した酵素阻害剤を容易に
Waste
図1. 本研究で用いた固定化β-secretaseとフローシ
ステムの概念図
評 価 で き る シ ス テ ム を 開発 し て い る 。 そ こ で 、
-secretase に当該システムを適用することで、抗 AD
剤のスクリーニング系を構築することが可能である
と考えている。
[結果]
クローニングした-secretaseとstreptavidinの配列
本研究では、配向性を持たせて固定化を行うこと
をシークエンサーで確認した結果、データベースと
による集積化を目的として、streptavidin を-secretase
100%一致しており、融合タンパク質が構築できてい
と 融 合 さ せ 、 Au 板 上 に 自 己 組 織 化 単 分 子 膜
ることが確認できた。当該融合タンパク質を用いて
(SAM :Self assembled monolayer)を形成させることを
固定化を行い、フローシステムに組み込んで計測し、
試みた。また、当該システムによって-secretase 阻
得られた応答曲線を図2.に示した。既存法である
害能を評価することにより、阻害効果の特性評価を
CPGを用いた活性評価と比較し、本系では極めてシ
試みた。
ャープな応答曲線を得ることができ、計測時間を約5
倍短縮すること、注入量も1/4で同様の感度を得るこ
[方法]
とが可能であることが示された。既存阻害剤である、
KMI429の阻害特性を評価した結果、当該阻害剤が可
と streptavidin を融合させたタンパク質をデザインし、
逆的な阻害様式であることが示された。他の阻害剤
当該融合タンパク質を大腸菌で産生することとした。
やスクリーニングへの適用も合わせて報告する。
-secretase 配列はかずさ DNA 研究所 (Gene ID:
KIEE1947)から、streptavidin は Streptomyces avidinli
より、それぞれ PCR により配列を増幅してクローニ
ングした。クローニングしたそれぞれの遺伝子は、
In-fusion クローニング法によって pColdⅡ ベクター
上にサブクローニングした。構築したベクターは、
DNA シークエンサーによって配列解析を行い、形質
Eml: 502 nm, FI = 0.5
配向性を有する固定化を行うために、-secretase
14 min
転換、発現誘導、破砕処理により目的タンパク質を
抽出した。粗抽出液は、Ni-NTA による His タグを用
いたアフィニティークロマトグラフィーによって精
製を行った。酵素活性評価は-secretase 認識配列を
有する FRET 基質を用いて酵素活性の評価を行った。
チオール誘導体である 2-アミノエタンチオールと
図2. 配向性を有した固定化β-secretaseの
応答曲線
[謝辞]
本研究は JSPS 科研費 25420841 の助成を受けたもの
です。
1AM-C05
平成27年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿
千葉県産食品バイオマスからの有用物質の抽出・転換についての研究
千葉県産業支援技術研究所 食品・化学技術室 ○大垣 佳寛、堀中 洸太 1、作原 直 2
1
(現)千葉県産業保安課 2(現)千葉県消防課
2.実験方法
バイオマス試料は千葉県産のモウソウチク(セルロー
ス 43.5%,ヘミセルロース 26.6%,リグニン 26.4%)を粉砕
機で粉砕した後 105℃で 3 時間乾燥したものを用いた。
触媒は、バイオマス(スギ木粉等)1.0g をケルダール
フラスコに入れ、10mL の硫酸を加え、200℃で 4.0h 加熱
し、冷却後生成物をグラスフィルターに入れ、硫酸を除
去後、濾液が中性になるまで熱水で洗浄し、その後生成
物を乾燥し 200℃で 3.0h 加熱して調製した。
反応は、タケバイオマス 100mg、触媒 50mg、水 5.0mL
を耐圧ガラス容器に入れ所定の温度に加熱して行い、溶
液を一定時間ごとに回収し、生成した糖は示差屈折検出
器を備えた高速液体クロマトグラフィーで分析した。
3.結果及び考察
図1に、スギ由来の固体酸触媒を用い、140-160℃で
6時間反応した時のキシロースの生成量の経時変化を示
す。150℃以上で収率が著しく向上し、160℃では試料中
のヘミセルロースベースで 75.2%のキシロースが回収
できた。また、グルコースの収率は試料中のセルロース
ベースで 1.5%であり、ほとんど生成しなかった。また、
図2に 120-150℃、反応時間6時間におけるキシロース
とアラビノースの生成量を示す。温度が低下するととも
にキシロースの生成量は低下し、
120℃ではほとんど生成
しなくなるのに対し、アラビノースについては、120℃に
おいても生成量はほとんど変化しなかった。すなわち、
タケバイオマスを 120℃及び 160℃の2段階で処理する
ことにより、キシロースとアラビノースが分離できるこ
とが予想される。
4.まとめ
バイオマス由来の炭素系固体酸触媒を用いて、タケバ
イオマス中のヘミセルロースを選択的に分解するととも
に、反応温度を2段階に変えて反応させることにより、
25
160℃
150℃
140℃
3
5
キシロース/ mg
20
15
10
5
0
0
1
2
4
6
反応時間 /h
図1
反応温度の違いによる炭素系固体酸触媒(スギ由
来)によるタケバイオマスの加水分解の経時変化
(触媒 50mg ,バイオマス 100mg, 水 5mL)
10
キシロース
アラビノース
8
生成量/mg
1.はじめに
現在、地球温暖化やエネルギー問題が喫緊の課題とな
っており、バイオマスの利用、特にリグノセルロース系
バイオマスの利用が強く求められている。千葉県は、全
国有数の農林水産業・食品製造業の生産力を持つことか
ら、様々な種類の未利用のバイオマスが排出されている
が、これらのバイオマスの中には、オリゴ糖やアラビノ
ースなど機能性をもつ有用な糖が含まれている。本報告
では、これら有用成分の分離、回収を目的として、スギ
木粉等各種バイオマスを濃硫酸と加熱することにより炭
素系固体酸触媒を調製し、竹バイオマスの分解に適用し
た。
6
4
2
0
120
図2
130
140
反応温度/ OC
150
反応温度の違いによる、炭素系固体酸触媒(スギ
由来)を用いたタケバイオマスの加水分解反応にお
けるキシロースとアラビノースの生成量(触媒
50mg, バイオマス 100mg, 水 5mL, 反応時間
6h)
キシロースとアラビノースを分離して回収できる可能性
を示した。この実験結果は、強酸を用いない穏やかな条
件下でのバイオマスの加水分解プロセスや、有用な糖類
の回収技術の構築に繋がるものと考えられる。
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