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第 30 号
第 30 号 2016 年 9 月 お問い合わせ・お申込みは NPO法人 介護の家 コスモス男山 〒614-8372 八幡市男山笹谷 4-2 D19-106 TEL:075-983-2737 FAX:075-983-2746 E-mail:[email protected] ホームページ http://www2.gol.com/users/ip1009278437/ 「コスモス男山」の 10 年目を迎えて 「コスモス男山」は今年で 10 年目を迎え、ここま でたどり着いてきた事を振り返っています。 っていくのかをしっかり見据えなければならないし、 様々な場で提言していきたいと思っています。 急速に進む高齢社会でその中身を問いながらの活 さて、介護保険成立時に掲げられた理念、目標は果 動でしたが、反省も含めて 10 年間の実績はやはり たしてどれ程、達成出来たでしょうか。自立支援と 今後の土台になっていくと思います。 は?介護と医療の連携とは?延命治療・過剰医療に 「コスモスだより」の発行は年3回ですので、今回 よる平均寿命の延びはどのように考えればいいでし で丁度、30 号になります。巻頭言では、介護・福祉 ょうか。今一度私たち自身の問題として考えなけれ を中心に日常の事、社会情勢等、心に留めた事を皆様 ばと思うのです。 に発信してきました。この間、大きな自然災害にも見 先日、訪問したある利用者さんが「私は人として死 舞われ 3.11 東日本大震災、その直後の原発事故、又、 んでいきたいのです。この事はケアマネさんも知っ 熊本大震災、最近では日常的ともいえる各地での地 ておいてください」と言われました。大変、貴重で又、 震、災害があります。介護については、認知症に関し ありがたい言葉として受け止めました。この何でも て深く考える機会を与えられました。人間としての ない普通の当たり前の事が、少しずつではあるが多 尊厳、存在とは、という問いが介護する側の私たちに くの人たちに浸透しつつあると思いながらも、現実 も突きつけられたように思っています。 との乖離を感じるのも事実です。何よりも自らの終 2004 年に「痴呆症」が「認知症」に変更されたの を契機に正しい理解のためにかなりの時間を費やさ 末期に対する意志、考え等を表明しておく事を提案 します。 れてきました。現在、認知症の行方不明者の対策をき この 10 年間、「コスモス男山」で介護保険事業を っかけに、市町村の警察官が認知症の研修を受ける 中心に法人全体の活動を通して築いてきた人との繋 に至った事を考えると、隔世の感を禁じ得ない思い がりは、おおきな財産の一つではないかと思ってい もします。 ます。今後もこれまでの繋がりを大切に各々の違い 16 年を経過しようとしている介護保険も財源維 を認め合い広く豊かな人と人との関わりを築いてい 持という難題にぶつかり大きく変容しようとしてい けるよう活動を展開していきたいと思っております。 ます。今後小規模多機能型サービスがどのようにな 代表 井上一枝 -1- コスモス アラカルト 七 夕 恒例の七夕の笹飾りをしました。短冊に願いごとを書くひとときが、もりあがります。 “家族が元気でいられますように”“孫が希望 の学校に入れますように”と家族を案じる言葉。 “体のふらつきがなおりますように”“おほし さま元気、私も元気になりました”と健康につ いての言葉もいくつかあります。異色だったの は“クリントン がんばれ”とい う短冊。アメリ カの大統領選 が気になるの ですね。 こうして、今年も笹飾りが完成しました。 市民の森 あやめや菖蒲のきれいな季節、枚方の市民 の森へ行きました。すっかりお馴染みになっ た外出行事です。 鏡伝池の周回路をいくと、橋に入る道があ り、直角に折れると、舞台のように広い場所 に出ます。ここ からの眺めが 最高。遠くに東 屋と薄いピン クの花をつけ た蓮の群生が見え ます。足元には、手 入れの行き届いた 黄と青紫のあやめが咲き誇っています。いつもは 無口な方も感心しきりでした。 屋内では市民による生け花展が開かれていまし た。ゆっくり見て回ります。小学生の作品が見事で す。 形式にとらわれず、花の美しさを活かそうす る子どもたちの気持ちが伝わってきます。掲げて あったテーマ「花キラリ輝いて」にぴったり。利用者の方も感嘆の声をあげていました。 -2- コスモスに 若い涼風がやってきました! 社会福祉協議会が毎年実施している福祉施設体験学習の施設に、コスモス男山が今年初 めてエントリーしました。8 月の3日間八幡高校介護福祉科から山岸胡桃さんと勝山由梨 さんのお二人が来てくれました。 1日目 午前中に施設の特徴と一日の流れの説明を受けたあと、 早速、みんなでカルタ、すごろくなどをしました。距離が ぐっと近づき、お互いに話しやすくなりました。 午後からは訪問介護に同行しました。在宅の方のところ へ行くのは初めて。その方から「24 時間体制なので安心で きる」というお話を伺ったり、お手伝いをしたりしました。 2日目 昨日泊まった方とお話をしながら整髪の介助をしました。すごろくやハンドベルを利用 者の方と一緒に楽しみ、昼食後は、団地の集会所で実施している介護予防の「わくわく教室」 へ。参加者とともに体操などをしました。再びコスモスに戻って、坊主めくりやことわざ ゲームに参加しました。 3日目 トランプの七並べのあと、朝の歌と体操をしました。保育園との交流で行う「よさこい」の練 習をして昼食。休憩の後、NPOが運営している喫茶店を見学しました。最後のレクリエーション は、ひと部屋全部を使ってのスカットボール。点数係とボールの設定係をしました。 -3- 「スイス・トレッキング紀行」より 井上 和彦 今夏 7 月、スイスの 運んでくれる。ここから 2 時間 30 分の行 トレキング・ツアーを 程でリッフェルアルプまで向かう。レッチェ 計画した。目的の一つ ンタールに負けぬほどの高山植物が咲き誇 は最後になるだろう り心と体を癒してくれる。 スイスの山々を眼に その一方で現在ははるか上流に後退して 焼き付けておく事、あ しまった氷河の爪痕が生々しい。まるで墓標 と一つは居間に鎮座 のように荒涼とした、氷河によって流された している父母の横に 岩石の群れの前に佇む。地球温暖化が進み南 掲げる写真を撮る事この二点にあった。 極大陸の氷が解けるのと並行してアルプス このツアーで記した紀行文の中から抜粋を ここに掲げます の氷河も解けつつある。水量が増加している ために洪水の危険にさらされている地域も ○7 月○日 エッギスホルン エッギスホルン山頂駅から頂上を目指し、 足元の悪いガレ場を歩む。アレッチ氷河を左 に見下ろしながら登る。遭難者のために建て られたのか十字架のモニュメントが最頂部 に屹立している。槍ヶ岳の頂上と同じく猫の 額ほどの広さ。早々と十字架を後に下り始め る、目の錯覚であろうか、登りに比べるとル ートが判然としなくなり、道を誤る。不規則 な平らべったいゴロ石の絨毯の中を、より安 全な石を求めて一歩一歩進む。ストックはリ ュックの中に仕舞い込み、とっさの時に体を 支えるために両手は自由にさせる。通常のル ートを探しながらの歩みは殊のほか足の筋 肉を痛めつけるので、ガクガクする脚を叱咤 激励する。前回来た時このあたりで携帯が鳴 ったことを思い出す。利用者さんのお孫さん からの電話で、幸い通常の業務連絡であった。 一瞬にして世界を巡る文明は果たしてどの ような影響を人類に与えているのだろうか。 ○7 月◇日 クルムホテル あると聞いている。工業化の大きなツケがこ こにも及んでいる。 さて、ゴルナーグラートの標高 3,100 メ ートルに建っているクルムホテル、訪れる度 に一度は泊まってみたいと思っていた宿で ある。聞くところによると大手旅行会社にし かチケットが手に入らないという。今回依頼 した会社は小規模で「取れたらめっけもの」 という気持ちで頼んだが、幸いに OK。改装 したのであろう普通の小ホテルとの違いは バスタブが無いのと、空気が少し薄いくらい で、窓からの眺めは絶品、マッターホルンに 手が届きそう。夜、満点の星、星、星。昔、 大阪四ツ橋の電気科学館で見たプラネタリ ウムの二次元映像ではなく三次元の星たち を実感できた。宇宙の無限性におののいた幼 少時代を再体験できた。 自然に対する恐れ多い挑戦は原発を先頭 に限りなく続く。人間の英知がこれらをスト ップさせることができるのであろうか、多く の宿題を今回の旅によって背負わされた気 ツェルマットから地下ケーブルカーで 700 メートル弱の高度を3分でスネガまで がする。 -4- 研修報告 1 事務職 「私たちの体とストレス」 河上 高志 講師:熊野利明さん 貝原益軒は『養生訓』の中で無病の時こそ病の事を思え、と説き、欲を慎みくよく よしない事の大切さを記した。 参加した職員のストレス解消法が興味深かった。仕事や家庭でのストレスを、さま ざまな工夫で解消していることが分かり参考になった。 『養生訓』を中心に話を進めるとのことだったが、ストレス調査の結果に時間を多 く割いたため貝原益軒の話があまり印象に残らなかった。次回を楽しみにしたい。 研修報告 2 看護職 岡本 智子 「パーソン・センタード・ケアを 日常のケアに活かすためには」 講師:原田ゆかりさん 認知症は特異な事でも、まして精神障害でも病気でもない事が世間に理解されるよ うになった。認知症専門の医者や病院、外来も沢山出来ている。介護の現場も認知症 の人の経験、残存能力を受け入れ、その人の思いを尊重し援助、介護する方法に変わ ってきている。つまり、単に排泄、入浴、食事介助だけでは無くなってきているのだ。 目を見て会話し、レクリエーションへの参加や散歩に同行したりして、利用者のみな らず私たちスタッフも楽しく過ごしている。しかし、まだまだ足りないし、ややもす るとこちらの都合で動いてしまうこともある。本人の思い、ニーズに応えるために心 理的ケアが必要だと感じた。 菜園から 調理職 栗林 民恵 事業所北側にある花壇菜園の中で冬瓜(とうがん)たち が日に日に成長しています。兄弟のように似た顔立ちです が、よくよく観察するとそれぞれ個性があります。 とうがん なり 芭蕉の俳句にも「冬瓜や たがいにかはる 顔の形」とあ ります。冬瓜の花言葉は、 「困難に勝つ、勝利、静かなる愛」 だそうですので、その素朴な形が、頼もしく思えます。 利用者さんの口に入るのはいつ頃になるでしょうか。 -5- 金曜日のコミュニティスペース「ひだまり」 ボランティアで、元気一杯、笑顔いっぱい 金曜日の午前 10 時、喫茶店「おいでやすコスモス 103」二階のコミュニティスペース「ひ だまり」に高齢者が続々と集まってきました。テーブルに輪になって座り、作業開始。いっ たい何をしているのでしょう。よく見ると、切手を整理しているグループと、布を裁断して 縫うグループに分かれています。 ―切手はどうするのですか?― 市役所や市の施設、そして社会福祉協議会にある収 集箱に市民の方々が入れてくれた切手や電車のカード を整理して、主にキリスト教海外医療協会に送ってい ます。ここで収集家に換金してもらい、そのお金が発展 途上国の子どもたちの予防注射代、医療器具代、保健衛 生分野の人材育成の資金になります。 ―なるほど、捨てられるものが活用されるのですね。布はどのようになるのですか?- 不要になった布を使ってアームカバーを作成してい ます。台所仕事、草引き、畑仕事をするときに便利です。 昔は事務をする人たちもよく黒い袖カバーをしていた でしょ。あれです。バザーで売ったりしています。ほか に、シーツや古着を裁断して、捨て布をつくっていま す。介護施設に寄贈してふき取り用の布として活用し てもらっています。 ―捨て布は、コスモスでもいただいていて、とても重宝しています。 それにしても、みなさん、にぎやかで、楽しそうですね。- いろいろなことを話しています。 病気や病院、街や店の情報のやりと りもあります。参加している人は、 男山地区と橋本地区の方が多いかな。 年齢は 74 歳から 86 歳まで。ラン チ(やわた作業所のお弁当とコスモ スランチ)を食べながらみんなと話 していると、楽しいですよ。笑いが 絶えません。健康の素です。だから、 みんな休まないのでしょうね。 -6- ○ そ の 母 も 抱 き し 幼 な も ○ 母 の 問 ふ 「 ぼ く は 誰 で す 絵 ? 踏 」 み か 鳳 な 仙 花 信 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 俳 腹 太 み 陽 せ の る 塔 秋 に 蝉 乾 土 杯 に 赤 も と ど ん し ぼ や る 古 夜 き 更 径 か し 太 の き 蟷 一 螂 声 蝉 構 の え た 読 り 経 か な キ ッ チ ン に 貝 稲 割 刈 菜 ら れ サ ー 一 モ 文 ン 字 に せ 巻 せ く り 玄 放 句 関 生 に 会 町 衆 の 祈 り 生 け 継 ぐ ふ わ り と カ ー 射 ひお テ 干 うぎ ン や 独 旅 り 立 膳 て り 秋 涼 し か つ ら 大 宮 真 吉 子 沙 利用者の作品 四 条 通 の 行 き か う 他ひ 人と よ 折り紙と貼り絵の“あさがお” 路 加 ○ ○ ○ 短 祇 園 下 満 天 の 星 布 袋 草 揚 歌 げ 茗 荷 ク ル ム ホ テ ル の 一 夜 の 宴 肌 を 突 き 刺 す 氷 風 墓 標 に 向 か う 遺 志 硬 く 海 - 7 - 侘 し き 花 に 足 を 止 め 病 臥 を 拒 む な 河 野 裕 子 よ 真 夜 の 山 路 を 穴 ま ど ひ 連 れ だ ち て 三 代 子 ○ 激 し き デ モ の 電 車 道 綱 か と 見 れ ば コ ス モ ス カ ル チ ャ ー 素 麺 す す れ ば 口 苦 し ○ ○ ○ 川 柳 天 支 リ 涯 え オ の 合 五 え 輪 孤 ! 独 裏 を 自 で 朋 立 伊 に を 方 独 強 を り い 画 言ご る 策 ち 総 し 合 事 業 コ ス モ ス 童 コスモス文庫 書 名 著 オールド・テロリスト 侵略戦争と総力戦 おひとりさまの最期 追憶と風景 総力戦体制 真田4代と信繁 ドキュメント死刑囚 昭和のかたち ヒマラヤに捧ぐ 野口健写真集 村に火をつけ、白痴になれ―伊藤野枝伝― 介護漂流 カラヴァッジョ伝記集 「在日」の精神史 1.2.3 「抗路」1.2 水俣論を知っていますか 者 発行所 文芸春秋社 社会評論社 朝日新聞 晶文社 筑摩書房 平凡社 筑摩書房 岩波書店 集英社 岩波書店 現代書館 平凡社 岩波書店 クレイン 岩波書店 村上龍 纐纈厚 上野千鶴子 福島泰樹 山之内靖 丸島和洋 篠田博之 保坂正康 栗村康 山口宏道編 石鍋真澄編・訳 尹健次 ムンギョンス他編 高峰武 差し上げます! 事務局のファックスの 機種が変わり、インクフ ィルム(リボン)が残っ ています。下記のインク フィルムが使える機種 のファックスをお持ち の方はご連絡ください。 無料で差し上げます。 Panasonic KX-FAN200 インク フィルム 30 号事務より ○ ふきよせ、コスモス会、和田さん、福井さん、 望月さん、安積さんより捨て布を頂きました。 ○ 西村農園さんより野菜を頂きました。 ○ ボランティアさんとして歌唱指導、介護、下配膳 に来て頂いています。 紙面を借りて、感謝申し上げます。有難うございま した。 の 基 本 は 、 「 信 頼 」 な の で す か ら 。 ( か ) に 任 せ ら れ な い も の で し ょ う か 。 介 護 だ け 示 し て 、 あ と は そ れ ぞ れ の 自 治 体 ぱ い で す 。 本 当 に 市 町 村 中 心 な ら 大 枠 国 の 資 料 を 見 る と 細 か い 指 示 が い っ て い く や り 方 に も 不 審 が 募 り ま す 。 な ど き れ い な 文 言 を 、 改 定 ご と に 掲 げ の 人 材 活 用 」 「 身 近 な 市 町 村 を 中 心 に 」 す る の で は な く 、 「 予 防 の 重 視 」 「 地 域 財 源 と 介 護 の あ り 方 を 正 面 か ら 議 論 て い る こ と も 確 か で す 。 き た 介 護 保 険 制 度 が 、 少 し ず つ 後 退 し が 、 も と も と 介 護 の 社 会 化 を 謳 っ て で す 。 そ れ は あ る 程 度 理 解 で き る の で す 護 の 財 源 が 底 を つ い て し ま う か ら で し ょ う 。 こ の ま ま 高 齢 化 が 進 め ば 、 介 な ぜ 、 こ の よ う に 制 度 を 変 え る の で 担 さ せ る 案 も 検 討 さ れ て い ま す 。 住 宅 改 修 の 費 用 を 軽 度 の 人 に は 全 額 負 -8- ス も 市 町 村 の 事 業 に 移 し 、 福 祉 用 具 や や 調 理 、 買 い 物 な ど の 生 活 援 助 サ ー ビ 1 ・ 2 の 人 た ち の 訪 問 介 護 の う ち 掃 除 さ ら に 、 次 の 制 度 改 定 で は 、 要 介 護 に 分 か れ る こ と に な り ま す 。 支 援 等 の 簡 易 な サ ー ビ ス を 受 け る 人 と ス を 受 け る 人 と 、 協 力 員 等 に よ る 家 事 合 、 今 と 同 じ よ う に 事 業 所 か ら サ ー ビ 移 行 す る と 、 た と え ば 訪 問 介 護 の 場 市 の 事 業 に 移 行 し ま す 。 派 遣 ) と 通 所 介 護 ( デ イ サ ー ビ ス ) が 支 援 1 ・ 2 の 人 の 訪 問 介 護 ( ヘ ル パ ー て い ま す 。 八 幡 市 で も 来 年 度 か ら 、 要 介 護 保 険 制 度 を 変 え る 動 き が 加 速 し 編 集 後 記