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論文 - 関東学生マーケティング大会2015

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論文 - 関東学生マーケティング大会2015
プライベートブランドの
店頭におけるプロモーション活動の有用性
~コンビニエンスストアの成長戦略~
①
―――はじめに
⑦
②
―――序論
参考文献
1.
研究テーマ
2.
現状分析
3.
③
補録
(1)プライベートブランド
水谷 凪沙 村尾 沙映
(2)コンビニエンスストア
天野 充 (3)消費者
徳島 豪 中村 有沙
問題設定
立教大学 高岡ゼミナール C 班
――――本論
1.
――――おわりに
神田 めい子
既存研究レビュー
(1)情報処理モデル
① ―――は じ め に
(2)価値訴求型プロモーションに関する考
④
察
本研究の目的は、小売店の店頭におけるプライベート
(3)EX-Scale®
ブランド(以下、PB)製品の販売において有効な要因
(4)店頭プロモーションの戦略的枠組み
を明らかにし、コンビニエンスストアの効果的な売り場
2.
新モデルの提唱
提案を行うことにある。
3.
仮説の提唱
現在コンビニエンスストアは、2013 年度の調査によ
4.
仮説の検証
ると全国に 5 万店舗以上1 が日本国内に存在する。コン
(1)調査概要
ビニエンスストアが日本で誕生した当初に比べて、店舗
(2)分析手法
面積が増加するのに伴い取扱製品も増え、人々の生活に
(3)分析ツール
なくてはならない存在となっている。
(4)分析結果
しかし、そのようなコンビニエンスストア業界も飽和
――――新規提案
傾向にあると囁かれているのが現状だ。2012 年 11 月の
1.
提案概要
全国コンビニエンスストア売上高(既存店ベース)は 6
2.
提案背景
ヶ月連続でマイナスを記録している。近年の個人消費の
3.
提案内容
失速と店舗数の増加が原因とされており、2014 年 4 月
4.
メリット
に施行される増税に伴う更なる消費失速も懸念事項と
5.
提案まとめ
して挙げられる。
⑤
――――今後の展望
そのような飽和傾向にあるコンビニエンスストア業
⑥
―――結論
界において、現状を打開する施策として期待・注目を集
めているのが PB だ。「安かろう悪かろう」のイメージ
しつつある。一方で、コンビニエンスストアは、スーパ
で一時期一定の地位を確立したものの、社会情勢の変化
ーマーケットのように広い売場ではないため、十分な
に伴う消費者心理の変化によって衰退の一途をたどっ
PB のプロモーション活動が出来ていないのが現状であ
た。しかし 2007 年のセブンプレミアム発売をきっかけ
る。つまり、PB の発展に必要不可欠である店頭プロモ
に再注目されるようになった。 製造業者のブランドで
ーションが不足しているのである。これこそが我々の問
あるナショナルブランド(以下、NB)より、PB のほう
題意識である。
が収益性も高いこともあり、コンビニエンスストア業界
次に、この問題意識に対する調査・提案をどの層に向
への貢献が期待されている。しかし、最近注目を集め始
けるか、という問いに対して我々は 30 代男性を調査対
めたということもあり、PB のマーケティングにおいて
象として設定した。なぜなら後述するように、コンビニ
改善余地が存在するのが現状である。
エンスストアの世代別性別の利用頻度は 30 代男性が最
研究テーマを選考するにあたり、我々は日常生活でよ
も高く、コンビニエンスストアに対する提案の中で最も
く触れるマーケティングに関して考えた。我々がそこで
適したターゲットと考えたためだ。我々はこの利用頻度
得た答えはコンビニエンスストアであった。我々学生に
が最も高い 30 代男性をターゲットとし、提案によって
とって使用頻度の高いコンビニエンスストアはマーケ
客単価を上げることによって、最終的にコンビニエンス
ティングを最も身近に感じることのできる場所である。
ストアの売上向上を目指す。また、30 代男性は自宅や
それ故に、コンビニエンスストア業界の飽和という問題
自宅の最寄り駅近くのコンビニよりも勤務先や勤務先
に対して学生としての視点から取り組むことができる
の最寄り駅の近くのコンビニを利用しているため、本研
ため、今回の大会のテーマである「学生視点のマーケテ
究においてもオフィス近くのコンビニを想定して研究
ィング」に沿っていると判断した。
を進めて行く。
本論文では、PB のさらなる販売比率の向上をもって
加えて本研究における PB の定義付けを行う。広辞苑
現在のコンビニエンスストア業界の閉塞感を打開する
において、PB とは「大手小売業者が自ら企画生産して
ことをゴールとし、PB とコンビニエンスストア業界の
低価格で売り出す独自のブランド製品」と記されている。
現状分析を経て、研究を進めていく。
ただし PB の定義及び分類は流通業界や市場流通研究者
間で必ずしも明確とはなっていない。2そこで本研究で
はコンビニエンスストアが販売を行う弁当やおにぎり
② ―――序 論
も PB と定める。そして現在増加している高級 PB は研
究対象外とする。
1. 研究テーマ
以上の研究テーマを考慮したうえで、我々は店頭にお
けるプロモーション活動を因子分けし、消費者に対し経
コンビニエンスストアの PB 製品の多くは食品、日用
験価値を喚起させる効果的なプロモーション活動の発
雑貨といった最寄り品である。最寄り品とは消費者が特
見をし、客単価を上げることによる売上向上を目指す。
別な努力を払わずに頻繁に購入する製品のことであり、
一般的に製品単価は低く、最寄りの店で購入される。ま
2. 現状分析
た、最寄り品は消費者の店頭での判断によって購買され
る傾向にあり、PB の店頭でのプロモーションは不可欠
(1)PB
であるといえる。しかし実際のコンビニエンスストアの
PB とは卸•小売業者などの商業者が主に責任を負っ
プロモーションに目を移すと、積極的に押し出していな
て企画・開発し、販売している商品のことである。一般
い。一方 TVCM など店頭以外のプロモーションは充実
に、PB 商品では商業者が商品仕様の決定、品質管理、
物流、商品ラベル、包装、デザインなどの商品企画•販
品の開発を強化し、「ブブ」という名称のもと自社ブラ
売に広範囲な責任を負っており、生産者は生産に関わる
ンドの家電製品の開発に取り組み、カラーテレビやカセ
限られた役割のみを担っている。3
ットテープレコーダーの販売は大きな話題となった。
食品における PB の市場規模は年々拡大している。表
1970 年代ではダイエーに限らず、成長著しい大手流通
1 のように、PB の食品市場(小売りベース)は 2007
企業と PB 製品を共同開発する製造企業も多くあらわれ、
年には 1 兆 6382 億円、2009 年には 2 兆 2703 億円の売
PB 製品は一定の人気を得ることになった。しかし、想
上である。加えて 2010 年には 2 兆 4265 億円、2012 年
定されていたほど PB 製品は普及をみせなかった。原因
2 兆 6385 億円、2017 年には 3 兆 2093 億円まで拡大す
は低価格の PB は消費者に対して「安かろう悪かろう」
ることが見込まれており、今後も更なる PB の伸びが期
というイメージを与えてしまったからである。NB 製品
待されている。
より品質が劣っているというマイナスなイメージが強
く、売上は振るわなかった。そして、大手スーパーの
PB 戦略は頓挫することとなった。
■表―――1
1980 年代後半から 90 年代にいたる成長期(第二段階)
食品における PB の市場規模
には、PB の不振を打開するため、小売業者は PB の品
3.5
質向上を目指した。その結果、価格だけでなく品質の面
3
におけても NB 製品とほぼ同等に追いついた。中でも注
2.5
目されるのが、1990 年代当時躍進しつつあったコンビ
ニエンスストアで品質訴求型の PB 製品•オリジナル製
2
1.5
1
0.5
1.6382
2.6385
2.2703 2.4265
3.2093
品開発の取り組みが進展したことである。品質を重視し
た PB の供給は、中小規模のメーカーではなく、優れた
製造技術や、経営資源を保持した中堅メーカーであった。
2000 年前後からの第三段階にあたる PB 成熟期には
0
製品の幅広いラインナップが展開されるようになった。
消費者の PB 製品に対するイメージは徐々に改善されて
いき、各大手小売り企業も高い付加価値を持つ PB の製
PB食品市場規模(小売りベース) 品開発に力を入れ始めた。大手スーパーを中心に、スタ
ンダードな PB に加えて、格安 PB、高品質 PB などコ
(出典:富士経済[2012] 『PB 食品市場の最新動向と将
ンセプトを打ち出した製品や、それらを組み合わせた
来の展望 2013』)
PB ミックス戦略が採用されるようになった。4PB を 1
つのブランドとして育成し、他の小売業と差別化をはか
日本の PB が発展するまでには 3 段階の発展段階があ
った。
る必要性が生じたためである。しかし、各大手小売り企
業が PB 製品に力を入れる中で、次第に製品自体の開
第一段階は 1960 年代から 1980 年代半ばであり、一
発・改良は進んだものの、それだけでは他社との差別化
般的にはこの時期を導入期とよぶ。大手スーパーを中心
に限界があるとの見方が強まった。そこで、現在企業と
に PB 製品の導入が始まり、製品による差別化ではなく、
消費者の接点である場として店舗を利用した戦略的な
低価格の実現を推進していった。PB 製品の始まりは、
マーケティング活動をすべく、より多くの顧客サービス
ダイエーが PB のインスタントコーヒーを発売したのが
やよりユニークで優位性の高い買い物経験を作り出す
きっかけと言われている。同社は、1970 年代には家電製
ことの必要性が高まってきている。
次に、 PB の歴史について見ていく。5 PB 製品の歴
なく、生協やドラッグストアでも PB 製品を扱っている。
史は古い。欧州では百貨店の登場による近代小売り商業
そして、このようにさまざまなチャネルで販売されて
の成立以前から著名な洋服屋、靴屋、パン屋などが製品
いる PB は現在、二極化が進んでいる。低価格の PB と
差別化を図るため自己の製品にブランドをつけていた
高付加価値 PB である。コンビニエンスストア大手のセ
とされる。PB 普及率の高いイギリスでは 1870 年代に
ブンイレブンではセブンプレミアムのワンランク上と
起きた生活協同組合運動が PB 普及の大きなきっかけと
位置づける「セブンゴールド」を大幅に強化している。
なった。生協は、供給製品が良品廉価であることを訴求
7
したため小麦粉、砂糖、塩、コーヒー、紅茶などの小売
え、プラチナラインという素材や製法のグレードを上げ
業者がこれに追随し、PB が普及したという。ただし、
た高付加価値製品の販売に力を入れている。8 低価格 PB
現在のように本格的に普及し始めたのは 2000 年代に入
だけでなく、高付加価値 PB も好調を下支えしている。
ファミリーマートでは低価格のレギュラーラインに加
ってからである。
2008 年度は、日本において PB 製品の注目度が急激
(2)コンビニエンスストア
に高まった年であった。前年の 2007 年 5 月に、セブン
近年、国内のコンビニエンスストア市場は飽和状態に
&アイ•ホールディングスからグループ会社共通の PB
あると言える。国内のコンビニエンスストア総店舗数は
製品「セブンプレミアム」が発売されたことが、大きな
飽和水準といわれている 5 万店舗を 2012 年秋に突破し
契機となった。PB 製品へ注力する流通業者が増加した
た。9 その結果、オーバーストア現象が起き、1 店舗あ
背景には、2007 年後半からみられた原油•原材料価格の
たりの来客数は減少傾向にある。また、日本フランチャ
高騰と 2008 年秋に発生したアメリカのサブプライムロ
イズチェーン協会発表の調査によると、全国コンビニエ
ーン問題に起因する世界的金融危機と経済不況といっ
ンスストアの既存店売上高は、2013 年 5 月までの 12
た市況の大幅な変化がある。原材料の高騰により NB 製
ヶ月連続で前年同月と比べて 1.2%下回っている。10 年
品の値上げが相次ぐ中で、同年秋にはリーマンブラザー
単位で見てみると、9 年連続のマイナス となった。11 売
ズの破綻などを機に世界的な経済不況に突入した。消費
上の伸び悩みの背景として、客単価の低下があげられる。
者の生活防衛意識は一層強まり、PB 製品にさらに有利
コンビニエンスストアにおける客単価は、2012 年秋に
な状況となった。NB 製品の値上げが相次ぐ中で PB 製
前年比マイナス 3.0%となる、590 円まで落ち込んだ。12
品が安価を保てるのは、流通側が発注するためにメーカ
このような状況下において、今後各コンビニエンスス
ーの営業費が省けることや、計画生産で流通側が生産分
トアが売上を回復するためには、PB 製品を利用した新
をすべて買い取る契約となっているため、売れ残りのリ
たな成長戦略が鍵となる。前述したように、PB 製品の
スクが低いからである。6
売上は近年好調であり、今後の高い伸びも見込まれる。
また PB 製品の生産や供給に関しては、大きく分ける
さらに、PB 製品は NB 製品に比べて粗利益率が 7〜8%
と、4 種類の方法がある。①中小規模のメーカーに発注、
高い。13 つまり、各コンビニエンスストアは PB による
②受託生産専門メーカーに発注、③NB を持つ大手メー
売上だけでなく利益率の増加も期待することができる。
カーに発注、④自社内生産供給である。近年では③の
次に、各コンビニエンスストアの店舗内における PB
NB を持つ大手メーカーに発注するケースが主流となっ
の製品の取り扱いについて検討してみたい。各店舗の
ている。有名な大手メーカーが製造していることにより、
PB 製品の割合は、セブンイレブンが約 50%、ファミリ
品質や供給の面で安定したため PB のブームにつながっ
ーマートが約 40%、ローソンが約 40%となっている。14
た。
また、各店舗の全体の売上高に占める PB 製品の売上高
現在、PB 製品はさまざまなチャネルで販売されてい
の割合はセブンイレブンが 55%、ファミリーマートが
る。コンビニエンスストアやスーパーマーケットだけで
31%、ローソンが 27%となっている。 15 これらの値か
ら、各コンビニエンスストアの PB 製品への取り組みは
そのため、NB 製品と比べるとメデイアを利用した大々
十分との見方もあるが、各社は今後さらに利益率の高い
的な宣伝・広告は行っていない。一方で、店内における
PB 製品に力を入れていく意向を示している。また、1970
プロモーション活動はどうだろうか。実際に、10 月 11
年代以降、大手食品メーカーから大手小売業にパワーシ
日から 3 日間かけて、コンビニエンスストア業界の主要
フトが起こり、大手小売が食品流通チャネルにおけるチ
な 3 社であるセブンイレブン池袋西口店・世田谷上野毛
ャネル・キャプテンとして主導性を発揮している。その
店・新宿西口店、ファミリーマート成城学園前店・八重
ため、取り扱う製品の決定などにおける権限は、セブン
洲一丁目店・渋谷警察東店、ローソン新橋四丁目店・品
イレブン、ローソン、ファミリーマート等各コンビニエ
川駅中央口店・ゲートシティ大崎店にて店舗リサーチを
ンスストアにある 1617 このことから、コンビニエンス
実施した。セブンイレブンでは、PB 製品に手書きの
ストアが PB 製品を拡張することは容易であると言える。
POP をつけることで製品の特徴や、今月のおすすめ製
続いて、各コンビニエンスストアの PB 製品への取り
品であることを宣伝していた。ファミリーマートでは、
組みを見ていく。セブンイレブンでは、顧客参加型の商
ホットスナックやスイーツを中心に店内広告を利用し
品開発コミュニティである「プレミアム向上委員会」を
た宣伝や、PB 製品を目立たせるためにまとめて陳列す
設けた。プレミアム向上委員会では、会員の顧客から寄
るなど工夫をしている。ローソンにおいても、パスタや
せられた意見や要望をもとに既存商品の改善や新製品
ホットスナック、またスイーツの PB である「Uchi-cafe」
開発に努める。 18 また、近年では品質・高級志向の 1
の広告を設置している。他にも、「おにぎり屋」など売
人世帯をターゲットとしたやや高価格帯 PB 製品である
り場ごとに名前をつけることで差別化している。また、
セブンゴールドに力を入れている。一方、ファミリーマ
ローソンではパッケージに NB メーカーが製造してい
ートでは、環境に配慮した PB 製品である「We Love
ることを全面に押し出すことで、NB 製品に劣らない品
Green」を取り扱うことで、原料から製造、廃棄までの
質であることをアピールしている。以上大手 3 社の店内
過程で発生する推計 CO2 排出量の削減を目指す。19 他
における PB 製品のプロモーションをまとめると、広告、
にも、ファミリーマートコレクションではレギュラーラ
POP の設置、パッケージの工夫にとどまっていること
インとプラチナラインの 2 種類を利用シーン別に製品
がわかった。
展 開 し て い る 。 さ ら に ロ ー ソ ン で は 、
PB製品の大部分は、食品・日用品など、日常的に高
「LAWSON×Yahoo!」として、共働き世帯をターゲッ
頻度で購入される最寄り品に分類される。最寄り品とい
トとしたインターネットによる宅配サービスをおこな
うのは、一般的に購買の判断は店頭で行われるというこ
っている。20 他にもローソンは、働く女性や主婦を中心
とが実証されている。23 つまり、店頭でのプロモーショ
に約 1 万人の意見を取り入れた製品開発やパッケージ
ンが購買に大きく影響する最寄り品に対して、コンビニ
デザインの改善も実施している。21 このように各コンビ
エンスストア店頭でのPB製品に対するプロモーション
ニエンスストアは PB 製品へ様々な取り組みをすること
活動は大変有効である。それにもかかわらず、各コンビ
で更なる売上拡大を狙っている。
ニエンスストアは店内広告・POPの設置などにとどまっ
また、各コンビニエンスストアの PB におけるプロモ
ており現段階では十分とは言えず、今後改善の余地があ
ーション活動を見ていく。まず店外におけるプロモーシ
ると言えるだろう。その実態として、最近セブン&アイ
ョン活動として、CM、ホームページで製品の掲載、紹
ホールディングスがサッポロビールとコラボレーショ
介を行っている。(図 2)セブンイレブンでは、ネット
ンをして発売した、PBビールの「100%MALT」が挙げ
上でセブンプレミアム製品を用いた簡単なレシピの紹
られる。大手2社のダブルブランド製品として、発売当
介も月変わりで行っている。22 しかし、PB 製品は宣伝・
初はメデイアなどでとりあげられたものの、売上はふる
広告費を抑えることで、安価な製品提供が実現している。
わなかった。その理由として、プロモーション不足との
声があがっている。PB製品であるため宣伝費をかけな
PB に対してどのような感情を抱いているのかを述べて
い「100%MALT」の販促手段は、セブンイレブンの店
いく。
頭におけるPOPのみであった。24 PB製品である以上広
はじめに、コンビニエンスストアを利用する消費者の
告宣伝費がカットされるのはやむを得ないが、店頭にお
属性について見てみよう。
けるデモンストレーションは不可欠であり、更に売り場
2011 年の日本経済新聞社産業地域研究所のコンビニ
を工夫した製品アピールをすべきである。25 また、前述
エンスストア利用頻度の調査(表 3)によれば、通勤先
のようにPBは現在製品自体の開発・改良だけでは他社
や通勤先の最寄り駅の近くにおいて「ほぼ毎日利用する」
との差別化に限界があり、企業と消費者の接点の場とし
と回答したのは、30 代男性が 18%(表 5)、「週に 3~4
て店頭を利用した戦略的なマーケティング活動が必要
日利用する」と回答したのも 30 代男性が 27%と最も多
な段階にきている。そのため、顧客のニーズに対応した
いことがわかる。家の外で過ごす時間が長いこと、女性
店頭の工夫というのは大変重要視されている。多くの顧
と比べて価格志向が低いことが理由として挙げられる。
客サービスやユニークで優位性の高い買い物経験に焦
また、表 4 と比較しても、30 代男性は自宅や自宅の最
点をあてることで、消費者の購買意欲をかき立てるよう
寄り駅の近くのコンビニエンスストアより勤務先や勤
な、一貫したリテール(ストア)・コンセプトを買い物
務先の最寄り駅の近くのコンビニエンスストアを高い
の場で演出することが可能となる。26 このような店舗作
頻度で利用していることがわかる。よって本研究では、
りが、今後PBをさらに成長させ、コンビニエンススト
勤務先や勤務先の最寄り駅の近くのコンビニエンスス
アの魅力を高める上で重要なテーマになっている。
トアに注目して進めていく。
本研究においては、提案のインパクトを社会に与えら
■図―――2
れるターゲットとして、コンビニエンスストア利用頻度
の最も高い 30 代男性を対象に絞り、そのターゲットに
セブンプレミアムの製品を用いたレシピ紹介
対して効果的な店頭プロモーションを分析によって明
らかにしていく。
(出典:セブンイレブンホームページ 2013 年 10 月
18 日現在)
(3)消費者
前項までは PB 自体について、またコンビニエンスス
トアにおける PB について述べてきた。本項では、どの
ような属性の消費者がコンビニエンスストアを利用し、
■表―――3
■表―――5
勤務先や通勤先の最寄り駅近くにおける
年代別コンビニエンスストアの利用頻度
年代別・性別別コンビニエンスストア利用頻度
対
象
者
数
⑴
ほ
ぼ
毎
日
⑵
週
に
3
〜
4
日
⑶
週
に
1
〜
2
日
⑷
月
に
1
〜
2
日
全体
1000 7.1 11.9 18.8 13.9
(性別)
男性
500 10.8 16.4 23.0 13.2
女性
500 3.4 7.4 14.6 14.6
(男女•年齢別)
男性 20代
100 15.0 11.0 30.0 14.0
30代
100 18.0 27.0 16.0 10.0
40代
100 9.0 24.0 24.0 18.0
50代
100 11.0 14.0 29.0 14.0
60代
100 1.0 6.0 16.0 10.0
女性 20代
100 9.0 12.0 24.0 14.0
30代
100 3.0 13.0 17.0 12.0
40代
100 2.0 6.0 17.0 21.0
50代
100 2.0 3.0 8.0 14.0
60代
100 1.0 3.0 7.0 12.0
(未既婚別)
男性 未婚
187 14.4 17.1 17.6 12.3
既婚
313 8.6 16 26.2 13.7
女性 未婚
105 11.4 16.2 22.9 17.1
既婚
395 1.3 5.1 12.4 13.9
⑼
通
勤
を
し
て
い
な
い
⑸
1
〜
1 3
〜ヶ
2 月
日に
⑹
年
に
1
〜
2
日
な⑺
いほ
/と
利ん
用ど
し利
な用
いし
ス⑻
トコ
アン
はビ
なニ
いエ
ン
ス
4.5
1.8
9.6
1.7
30.7
5.2
3.8
2.4
1.2
9.2
10.0
1.8
1.6
18.0
43.4
5.0
5.0
6.0
7.0
3.0
2.0
3.0
4.0
6.0
4.0
2.0
5.0
3.0
1.0
1.0
0.0
1.0
1.0
2.0
2.0
14.0
5.0
6.0
7.0
14.0
8.0
7.0
16.0
11.0
8.0
2.0
4.0
0.0
2.0
1.0
1.0
1.0
2.0
3.0
1.0
7.0
10.0
10.0
15.0
48.0
30.0
43.0
31.0
51.0
62.0
7
4.2
1.9
4.3
2.7
2.2
0
1.5
9.1
9.3
11.4
9.6
1.6
1.9
1.9
1.5
18.2
17.9
17.1
50.4
コンビニエンスストア利用者属性
通勤先や通勤先の最寄り駅の近く
ほぼ毎日利用する割合 20%
15%
10%
男性 5%
女性 0%
20代 30代 40代 50代 60代 (出典:表 3 を参考に筆者作成)
■表―――6
PB の購買理由
(出典:日本経済新聞社産業地域研究所 [2011])
■表―――4
自宅や自宅の最寄り駅近くにおける
年代別・性別別コンビニエンスストア利用頻度
対
象
者
数
⑴
ほ
ぼ
毎
日
⑵
週
に
3
〜
4
日
⑶
週
に
1
〜
2
日
⑷
月
に
1
〜
2
日
全体
1000 6.5 12.8 30.7 27.0
〈性別〉
男性
500 9.2 15.6 29.4 23.6
女性
500 3.8 10.0 32.0 30.4
(男女•年齢別)
男性 20代
100 10.0 18.0 32.0 17.0
30代
100 16.0 17.0 23.0 18.0
40代
100 9.0 19.0 31.0 27.0
50代
100 9.0 10.0 38.0 27.0
60代
100 2.0 14.0 23.0 29.0
女性 20代
100 11.0 11.0 26.0 31.0
30代
100 3.0 16.0 33.0 28.0
40代
100 1.0 10.0 36.0 30.0
50代
100 3.0 3.0 36.0 32.0
60代
100 1.0 10.0 29.0 31.0
(未既婚別)
男性 未婚
187 14.4 17.6 25.1 19.3
既婚
313 6.1 14.4 31.9 26.2
女性 未婚
105 9.5 14.0 27.6 30.5
既婚
395 2.3 8.9 33.0 30.4
⑼
通
勤
を
し
て
い
な
い
⑸
1
〜
1 3
〜ヶ
2 月
日に
⑹
年
に
1
〜
2
日
な⑺
いほ
/と
利ん
用ど
し利
な用
いし
ス⑻
トコ
アン
はビ
なニ
いエ
ン
ス
7.7
3.0
9.9
2.4
0.0
6.8
8.6
3.0
3.0
9.0
10.8
3.4
1.4
0.0
0.0
4.0
9.0
3.0
6.0
12.0
4.0
11.0
8.0
10.0
10.0
3.0
3.0
2.0
1.0
6.0
1.0
1.0
3.0
2.0
8.0
11.0
11.0
6.0
6.0
11.0
15.0
7.0
9.0
13.0
10.0
5.0
3.0
3.0
3.0
3.0
1.0
1.0
3.0
1.0
1.0
5.3
7.7
4.8
9.6
3.2
2.9
1.0
3.5
11.2
7.7
10.5
10.9
3.7
3.2
1.9
1.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0
0.0
0.0
0.0
0.0
(出典:日本経済新聞社産業地域研究所 [2011])
(出典:日経 BP [2008] 『PB、最もよく買っているの
は「食品」購入頻度も高まる傾向』)
次に消費者の PB に対するイメージについて説明して
いく。
(表 6)いずれかの PB 商品を購入したことがある
消費者を対象に行われた購買理由に関するアンケート
によると「安いから(88.1%)」
「店頭でよく見かけるか
ら(26.5%)」
「PB は安心感があるから(24.5%)」
「品質
が良いから(17.4%)」
「ラインナップが充実しているか
ら(6.7%)」の順であった。品質が向上しつつあるにも
関わらず、上位二つが PB の品質に関わるものではない
という回答結果になったというのは、「安かろう悪かろ
「メーカー品と比べて品質に不安があるから」にたいし
う」で売り出していた時代に築かれたイメージが今もな
て多くの回答数が集まる結果となったようだ。
お消費者の中に根付いていることの表れではないだろ
うか。
また、上記の購買理由の調査結果をさらに強固にし、
■表―――8
PB 非購買理由
かつ高い信憑性を確保するため、我々は再度、独自に
PB の購買理由に関するアンケート調査を行った。
(表 7)
我々の研究対象となる 30 代男性に限定して調査を行っ
た WEB アンケートの結果、「価格が安いから(回答数
340)」が突出して多く、
「品質がいいから(回答数 75)」、
「店頭で目立っているから(回答数 64)」が続く。これ
ら二つのアンケート結果から、PB は「価格が安い」と
いうイメージが突出して強いことがわかる。
■表―――7
PB の購買理由(独自調査)
(出典:日経 BP [2008] 『PB、最もよく買っているの
は「食品」購入頻度も高まる傾向』)
■表―――9
PB 非購買理由(独自調査)
(筆者作成[2013])
一方 PB 商品を買ったことがない人に対して行われた、
買わない理由の調査データを見て行く。
(表 8)PB をめ
ったに買わない、買わないと回答した人に対して、買わ
(筆者作成[2013])
ない理由を尋ねたものだ。結果として、「メーカー品と
比べて品質に不安があるから(46.5%)」
「ラインナップ
また、非購買理由に対しても、結果の信憑性を強固に
が少ないから(23.4%)」
「店頭であまり見かけないから
するために、独自で調査を行った。(表 9)本研究の調
(16.2%)」
「PB をよく知らないから(8.5%)」
「CM や
査対象である 30 代男性に限定して行った WEB アンケ
宣伝をあまり見たことがないから(3.9%)」「その他
ートによると、「PB をよく知らないから(回答数 79)」
(11.8%)」「特に理由はない(6.6%)」の順となった。
「ラインナップが少ないから(回答数 52)」「メーカー
品と比べて品質に不安があるから(回答数 47)」「店頭
ことによって売上が伸び、飽和傾向にあるコンビニエン
であまり見かけないから(回答数 45)」「CM や宣伝を
スストア業界を成長させることができるのではないか。」
あまり見たことがないから(回答数 24)」となった。近
この問題設定を元に仮説を立て検証し、研究とする。
年の PB におけるマーケティングの成果か、「メーカー
品と比べて品質に不安があるから」の回答数が少なくな
り、消費者の PB に対するイメージが変わりつつあるこ
③ ―――本 論
とがうかがえる。しかし、
「PB をよく知らないから」が
上位に上がり、プロモーション方法の改善の必要性が浮
1. 既存研究レビュー
かび上がった。
本節では、店頭におけるプロモーション活動が購買に
ここで、コンビニエンスストア店頭における消費者に
つながることを消費者情報処理の基本構図によって示
対するプロモーションの機会に注目したい。店頭プロモ
す。さらに、プロモーション方法として価値訴求型プロ
ーション方法の研究において、ターゲットとなる消費者
モーションを挙げ、その有効性と訴求ポイント、また経
が店頭でどのような購買行動をしているかを把握する
験価値を測るための EX-Scale®を提示し、それをもとに
ことは必要不可欠である。ここではコンビニエンススト
仮説を設定する。
アにおける顧客とのコミュニケーション機会に着目す
る。
(1)情報処理モデル
まず、消費者は必ずしも十分な時間をかけて購買意思
本研究では消費者情報処理モデルを元に、店頭におけ
決定を行っているのではないようだ。例えばコンビニエ
るプロモーション活動を行うことで、消費者の購買に繋
ンスストア店内において、約 100 ㎡の店舗に 3000 もの
がることを示す。消費者情報処理モデルの発端は 1960
製品が並んでいるが、コンビニエンスストアにおける消
年半ばにそれまでの消費者行動研究の成果をまとめる
費者の平均選択時間は約 8 分とそれほど長くないのが
形で発生(清水 1999)してきた。そして近年では様々
現状だ。また狭い店舗面積に対して製品数も多いため、
な消費者情報処理モデルが考えられている。その一つに
スペースの面でも制約がある。つまり、店頭におけるマ
阿部(1984)によって提唱されたモデルがある。阿部モ
ーケティング展開が製品の成否に大きくかかわる一方
デルは消費者の店頭における意思決定プロセスを解明
で、店頭における消費者とのコミュニケーション機会は
したものである。このモデルから店頭でのプロモーショ
限られているのだ。我々が店頭プロモーションに改善の
ンが消費者の購買促進において効果的であることが言
余地があると考える理由もここにある。いかに効果的に
える。このモデルでは外部情報を感覚レジスターで受け
消費者に印象を残すことができるのか。また PB という
取り、それらが消費者の短期記憶に一時的に保存される。
広告・宣伝にあまり費用をかけていない製品群において、
さらに一時的に保存された短期記憶内の情報に対して、
いかに強い購買意欲をかき立てることができるのかを
今日までの様々な経験や体験などから得られた情報を
本論の研究によって明らかにしていく。
蓄積している長期記憶から適切な情報を検索し、短期記
憶上でそれら 2 つの情報を再構造し、また新たな情報と
3. 問題設定
して長期記憶内に保存する。そして、それらの情報処理
を能動的に実行させるドライバーとして目標(動機づけ)
以上の現状分析を踏まえ、我々は下記のように問題設
定を行った。
「店頭における PB のプロモーション活動を強化する
が存在する。このような情報作業を繰り返し、消費者が
最終的な意思決定(行動)に至るプロセスを表している。
このような情報処理作業を繰り返し、消費者が最終的
な意思決定(行動)に至るプロセスを表しているのがこ
「製品に関する新知識訴求型」、
「健康イメージ訴求型」、
のモデルである。以上のモデルを図で表したものが以下
「家庭内会話促進型」、
「ブランドイメージ(製品に込め
表 10 である。阿部モデルでは店頭におけるプロモーシ
たメーカーの思い)訴求型」、
「新利用機会提案型」、
「品
ョン活動は、消費者が外部情報として受け取りやすいも
質訴求型」、「話題提供型」である。
のであることを示している。そして店頭での購買決定が
本研究においても店頭でのプロモーションを取り上
なされる可能性の高い最寄り品である PB において店頭
げるため、これらの訴求ポイントの指標を使用すること
プロモーションは消費者の記憶に残りやすく、有効であ
は妥当であるといえる。
るといえる。
(3)EX-Scale®
■表―――10
前項では、価値訴求型プロモーションの重要性、11
項目の訴求方法についてレビューした。本項では、本研
情報処理モデル 阿部モデル
究で価値訴求型プロモーションの有効性を証明するた
めに用いる、5 つの経験価値のどの部分がどの程度刺
激・活性化されているのかを測定する EX-Scale®という
尺度についてレビューしていく。
マーケティングにおいて、「測定できないものは管理
できない」という鉄則があり、経験価値をマーケティン
グに応用していく為には指標開発が必須であった。そこ
で株式会社アサツーディ・ケイ(以下、ADK)が研究・
(出典:西本章広(2007)『クロスメディアのマーケテ
開発し、2001 年夏に完成した日本語版経験価値測定尺
ィングコミュニケーション戦略:オーガニック•コミュ
度が EX-Scale®である。この尺度により、キャンペーン
ニケーション・ミックス効果指標としての知識構造化』)
効果測定やイベント会場アンケートなどのさまざまな
効果測定の機会に、5 つの経験価値の視点から分析を行
(2)価値訴求型プロモーションに関する考察
うことができる。
ブランドと消費者の関係性をより良好なものにする
経験価値とは、製品やサービスそのものの持つ物質
ための「価値訴求型」プロモーションの有効性を、太宰
的・金銭的な価値ではなく、その利用経験を通じて得ら
(2008)は経験価値という視点から実証している。27 値
れる効果や感動、満足感といった心理的・感覚的な価値
引きや特売など、価格に訴求する「価格プロモーション」
のことである。この経験価値には以下の 5 つの側面があ
は、製品の知覚品質を損ない、消費者の内的参照を引き
る。SENSE(感覚的経験価値)
:カッコいい、オシャレ
下げる事態を起こす恐れがある。それに対し、「価値訴
だなど特定の印象を受け取るような体験。FEEL(情緒
求型」プロモーションでは店頭をブランド接点のひとつ
的経験価値):気持ちが落ち着く、あるいは楽しくなる
の場と捉え、ブランドと消費者の関係性、さらに小売店
など特定の気分・感情が引き起こされるような体験。
舗と消費者の関係性をより良好なものにする。
THINK(創造的・認知的経験価値)
:想像力や、知的な
ここでは、「訴求ポイント」の測定指標として、これ
興味がくすぐられるような体験。ACT(肉体的経験価値
まで実施されてきた店頭プロモーションがどのような
とライフスタイル全般):自分もやってみたいと思うよ
内容を訴求しているのかを洗い出し、調査・分析を経て
うな、特定の行動が促される体験。RELATE(準拠集団
絞っている。その 11 項目は、
「原料・成分訴求型」、
「自
や文化との関連付け):自分の属する集団との絆を感じ
然イメージ訴求型」、
「利用場面想起型」、
「高級感訴求型」、
るような体験、である。これら経験価値のうち、どの領
域をどの程度刺激できているかを調査によって明らか
RELATE
好ましい人々との絆や結びつきを感
にしていくツールが EX-Scale®である。
じる楽しさ…
これらの経験価値のエッセンスを抽出したものが以
社会的な結びつき(国・地域・家庭・職
下表 11 の通りである。
業など)
:「俺もそうだ、わかるよ」 ■表―――11
文化的な結びつき(ライフスタイル・趣
味嗜好など)
ブランド体験の 5 つのタイプ
タイプ
SENCE
経験のエッセンス
:「一緒だね、仲間だ」
(出典:日経広告研究所報 230 号 [2007])
五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)
上記のエッセンスを組み込んだ具体的な EX-Scale®
で
直感できる楽しさ…
の質問項目を、以下の表 12 を引用して紹介する。
審美的快楽:
「きれいだ」
「かわいい」
「う
つくしい」
■表―――12
刺激的興奮:
「ハッとする」
「ダイナミッ
FEEL
ク」「セクシー」
EX-Scale®質問項目
好感を抱くような豊かな感情を喚起
測定項目
される楽しさ…
カッコイイ。
「愉快だな」弛緩:
「ホッとする」
「しみ
センスがいい。
FEEL
情緒を感じる。
想像力や好奇心を触発される楽しさ
ホッとする。
…
ウキウキする。
意外性:「へぇ~!」「マジ?」
心がはずむ。
疑問:「本当?」「どうなってるの?」
THINK
挑発:
「何でなんだ?」
「どうしてそうな
るの?」
ACT
おしゃれだと思う。
覚醒:「ドキドキする」「ワクワクする」
じみする」「懐かしいな」
THINK
SENSE
質問文(この○○は、…)
いろいろな想像が広がる。
もっと詳しく知りたくなる。
ACT
自分もやってみようという気になる。
新しい行動パターンや生活スタイル
自分にもできる気にさせるところがある。
の楽しさ…
自分も真似してみたくなる。
衝動的瞬間的:「よしやってみよう」
「思わず体が動いちゃ
う」
RELATE
人との触れ合いや絆を感じる。
人と人との結びつきを感じる。
家族や仲間、地域との結びつきを感じる。
継続的嗜好的:
「私も真似してみたいな」
「いいなー、憧れるな」
※○○には、各体験接点(例えば、広告、お店、カタログ、
HP、etc.)を表記
(出典:日経広告研究所報 230 号 [2007])
経験価値を刺激できているか否かの判断基準は、
SENCE, FEEL, THINK で 40%以上、ACT, RELATE
では 30%以上とされている。
よってこそ利得誘引型の短期的プロモーションの効果
また、複数の経験領域が刺激されるほど、購入・利用
を大きくすることができるのである。知覚刺激型プロモ
意欲が高くなる傾向にある(表 13)。
ーションは、ブランドの価値認知を徹底すると同時に、
ブランドを長期記憶に入れ込む効果も期待できる。
■表―――13
さらに、現物による感覚の直接刺激で購買を誘発する
機能も有している。消費者が店内を巡回しながら、おい
刺激・活性化された体験領域数と購入・利用意向
しそうな製品を見てその場で衝動買いをすることは多
い。店頭に存在する現物が購買を誘発する。また、デモ
販売で味覚や嗅覚が刺激されたり、大量陳列が店頭での
視認率を大きく上げたりする。その結果として、消費者
の購入率が高まる。例えば、イチゴの隣に練乳を配置し、
練乳の購買を促進するような、関連想起によって購買を
誘発する方法がある。
【2】利得誘引型店頭プロモーション
この型の店頭プロモーションに関しては、製品のブラ
ンド価値を下げることのないよう注意する必要がある。
(出典:日経広告研究所報 213 号 [2006])
値引き特売を長期間続けるとその製品が B ランク化し
てしまうおそれがあるため、特に大量陳列特売などの場
本研究ではこの EX-Scale®を用いて、価値訴求型プロ
合には、その期間の長短が問題となる。しかし、この利
モーションがどの経験価値を満たしているのかを統計
得誘引型店頭プロモーションは、愛用する製品における
的分析を用いて明らかにし、優位順に複数の経験価値を
年中変化のない販売方法に食傷気味であった消費者の
盛り込んだインプリケーションを提案していく。
購買意欲を喚起する機能を持つ。明治乳業の濃厚 4.3 ミ
ルクはきわめて売上が安定しているブランドであった
(4)店頭プロモーションの戦略的枠組み
最寄り品である PB 製品における消費者の購買意思決
が、スピードくじの仕組みを取り入れたことにより、
30%増の特売効果を獲得した。
定は店頭でなされることから、我々は店頭でのプロモー
本稿では、プロモーションの対象として消費者と流通
ションに着目した。大槻(1998)によると、店頭プロモ
業者、調整主体としてメーカー、流通業者、小売業者を
ーションは「知覚刺激型店頭プロモーション」と「利得
挙げて説明しているが、ここでは、コンビニエンススト
誘引型店頭プロモーション」の 2 つに類型化できる。28
アの店頭プロモーションであるため、対象は消費者、調
前者は、製品の店頭における視認性や、製品の価値を訴
整主体はメーカーと小売業者に絞って考察をする。表
求して消費者の認知率や理解度を高めるのに対し、後者
14 は、戦略的プロモーションの分析枠組みの一部であ
は、消費者に今買うことによる利得を強調し実質値引き
る。上記の方法が店頭プロモーションにおいて有効であ
などを訴求する。
るとしている。そこで私たちは、これを参考にしながら、
【1】知覚刺激型店頭プロモーション
コンビニエンスストアにおける PB 製品のプロモーショ
この型のプロモーションには、ブランドを消費者に認
ン方法について検討する。
知させる機能がある。利得誘引型店頭プロモーションを
行うためには、その前提としてブランドの価値認知が消
費者に十分になされていなければならないため、これに
■表―――14
■表―――15
戦略的プロモーションの分析枠組み
新モデル
メーカー調整
知覚刺激型 ・パッケージ形態
プロモ
・デザイン
・性能説明
小売業者調整
・フェース確保
・オンパックPOP
・欠品発注
・色
・鮮度管理
・オンパックPOP
・特別陳列
・関連陳列
・POP・ショウカード
・店内ポスター
・店内放送
・メニューレシピ
利得誘引型 ・オンパック景品
プロモ
・オンパッククーポン
・デモ販、フリーサンプリング
・値引き特売
・オンパックPOP(懸賞)
・パッケージドクーポン ・キャシュバック
・増量パック
・プレミアム特売
・インストアプーポン
(出典:筆者作成)
・チェックアウトクーポン
(出典:大槻[1997]店頭からのブランド・プロモーショ
ン参考)
現状のモデルでは、様々な場面における消費者情報処
理プロセスを一般化したものであり、情報処理の水準や
様式の多様性を統一的に説明しようとするところに特
2. 新モデルの提唱
徴がある。しかし、コンビニエンスストアにおける PB
に関して消費者が行う情報処理はそれとは異なり、より
これまでの現状分析と既存研究を踏まえ、コンビニエ
ンスストアの PB に関する新たな消費者情報処理モデル
を提唱する。
前述の通り、我々は店頭におけるプロモーション活動
を強化していくことを目的としているため、消費者が店
頭で情報を得てから購買に至るまでのプロセスに焦点
を当てて、新モデルで説明する。既存の阿部モデルでは
動機づけや長期記憶といったプロセスが含まれている。
しかし、PB は最寄り品であるため店頭で購買決定がさ
れやすく短期記憶に残りやすい。また、コンビニエンス
ストアは PB の低価格を実現するために広告宣伝費を抑
短時間で行われる。そこで、店頭において消費者が情報
を得たうえで、その情報が感覚レジスターを通して短期
記憶に保存されることにより、短い時間で購買につなが
るような新モデルを立案する。そのモデルにおける購買
に至るまでの流れは以下の通りである。まず、コンビニ
エンスストアの店頭でプロモーションされている PB 製
品が外部情報として消費者の感覚レジスターに入る。そ
してそれらの情報のうち、注意の向けられたものが短期
記憶として入力されて、消費者は購買という選択に至る。
この新モデルは後述する仮説検証の結果を参照し、具
体的なインプリケーションに応用していく。
える必要があり、それは CM を大規模に行うことができ
ないことを意味し、情報を効果的に長期記憶に蓄積させ
3.仮説の提唱
るのは容易でない。以上の二点を考慮して、そのような
場面に適したものとして、以下の表 15 のような新モデ
ルを提案する。
この新モデルを元に、我々は既存研究レビューで前述
した「経験価値アプローチ」という点をより具体化した
5 つの仮説を立てた。
<仮説 1>
セブンプレミアムやローソンセレクトなどといった独
SENSE 型体験は購買に最も正の影響を与える
自のブランド製品であることを定義付け、本研究では
<仮説 2>
PB に高級 PB 製品(セブンゴールドの金の食パンなど)
FEEL 型体験は購買に最も正の影響を与える
<仮説 3>
は含まないことを質問上コメントにて回答者に伝えた。
その上で、コンビニエンスストアにおいて PB がどのよ
THINK 型体験は購買に最も正の影響を与える
うな店頭プロモーションを行うと、どのような感情が喚
<仮説 4>
起されるかを「そう思わない」、「ややそう思わない」、
ACT 型体験は購買の最も正の影響を与える
「どちらでもない」、
「ややそう思う」、
「そう思う」の 5
<仮説 5>
段階評価にて回答してもらった。質問は既存研究で前述
RELATE 型体験は購買に最も正の影響を与える
した価値訴求型プロモーションに関する考察で測定指
標として洗い出された「原料・成分訴求型」、
「自然イメ
上記の仮説に基づき、次節から分析による検証を行う。
ージ訴求型」、
「利用場面想起型」、
「高級感訴求型」、
「製
品に関する新知識訴求型」、
「健康イメージ訴求型」、
「家
4. 仮説の検証
庭内会話促進型」、
「ブランドイメージ(製品に込めたメ
ーカーの思い)訴求型」、
「新利用機会提案型」、
「品質訴
(1)調査概要
求型」、「話題提供型」の 11 項目を店頭プロモーション
■表―――16
の訴求ポイントの指標として使用し、沸き起こる感情に
ついては同じく既存研究で前述した EX-Scale®を使用
アンケート調査の概要
し訴求型プロモーションがどの経験価値を満たしてい
調査手法
インターネットリサーチ
るのかを質問した。
調査対象
年齢:30 歳〜39 歳
なお、実際の質問項目は補録のアンケート調査票に記
性別:男性
載がある。
職業:公務員、経営者・役員、会社員
サンプル数
317 名
(2)分析手法
有効回答数
317 名
【1】経験価値アプローチの有効性について
調査期間
2013 年 10 月 18 日〜20 日
分析方法:重回帰分析
調査目的
コンビニエンスストアの PB 製品におけ
本研究では仮説 1〜5 を通して経験価値アプローチの
る有効な店頭プロモーションの抽出
有効性について検証する。
(筆者作成)
アンケート質問項目は、経験価値を測る尺度として前
述した EX-Scale®を使用した。そこに述べられている 5
本研究は、株式会社ボーダーズの協力のもと、セルフ
つの経験価値である「SENSE 型体験」
「FEEL 型体験」
型インターネットリサーチ「アンとケイト」を使用して
「THINK 型体験」「ACT 型体験」「RELATE 型体験」
アンケートを行った。調査対象は、本研究のターゲット
を重回帰分析により、どのタイプが最も購買に影響を及
である公務員、経営者・役員、会社員(事務系)、会社
ぼすかを分析する。
員(技術系)、会社員(その他)の 30 代男性とした。調
アンケート項目には実際に EX-Scale®で提示されて
査期間は 2013 年 10 月 18 日から 20 日の 3 日間、有効
いる経験のエッセンスを用い、さらにイメージしにくい
回答数は 317 名であった(表 16)。
ものについては設問下コメント部分に注釈をつけて回
質問項目では、PB を大手小売業者が企画し販売する、
答者が経験価値のタイプを区別しやすいようにした。
も p 値が大きい「FEEL 型体験」を対象外とした。残り
【2】店頭プロモーションにおける訴求ポイントの影響
の「SENSE 型体験」
「THINK 型体験」
「RELATE 型体
の差の検証
験」の 3 つで重回帰分析を行った結果が表 17 と表 18
分析方法:因子分析・重回帰分析 である。
仮説 1〜5 の検証された結果をもとに、コンビニエン
スストアの PB 購買に最も正の影響を及ぼすとされる経
■表―――17
験価値アプローチについてさらに深堀りする。既存研究
でレビューした論文「価値訴求型プロモーションに関す
購買意欲を従属変数とする重回帰分析
る考察」で使用されている「訴求ポイント」の測定指標
説明変数
β
を使い、該当経験価値アプローチにおいて、11 種の訴
SENSE 体験
.211
**
.534
**
求ポイントの中で購買に対して差がある事を証明する
THINK 体験
.352
**
.651
**
べく、2 つの分析を使用した。
RELATE 体験
.255
**
.604
**
具体的には、まず 11 種の訴求ポイントを因子分析に
R2 乗
.496
**
かけ、因子を抽出する。因子抽出においては主因子法、
Adj. R2 乗
.492
**
回転はバリマックス回転を用いる。そしてその抽出され
N
317
γ
た因子が該当経験価値アプローチにおいて、どのように
注)β:標準偏回帰係数 γ:相関係数
影響を及ぼすのかを重回帰分析を用いて検証する。
**<.01
(3)分析ツール
■表―――18
仮説を検証するにあたり、本研究では株式会社 IBM の
統計パッケージ「SPSS Statistics 21」を使用して分析
分散分析 a
を行った。
モデル
(4)分析結果
1
本項では、前項で述べた分析手順に従ってそれぞれの
検証結果を提示する。
平方和
自由
平均
度
平方
F 値
102.879
回帰
118.121
3
39.374
残差
119.791
313
.383
合計
237.912
316
有意
確率
.000b
a. 従属変数 購買意欲
【1】経験価値アプローチの有効性について
分析手法で述べたように、5 つの経験価値アプロー
チを重回帰分析により、どのタイプが最も購買に影響を
及ぼすかを分析した。
「購買意欲」を従属変数(目的変数)とし、
「SENSE
型体験」「FEEL 型体験」「THINK 型体験」「ACT 型体
験」
「RELATE 型体験」の 5 指標を独立変数(説明変数)
とする重回帰分析を強制投入法で行った結果、
「ACT 型
体験」と「FEEL 型体験」は有意確立が水準を満たさず、
p 値が最も大きい「ACT 型体験」を対象外として残る 4
つの説明変数で 2 度目の分析をかけ、さらにその中で最
b. 予測値: (定数)、RELATE, SENSE, THINK。
表 18 の分散分析を見て分かる通り、回帰分析全体の有
意性の検定は 0.1%水準で、有意であるといえる。この
重回帰分析で得られた最適化モデル式は以下の通りで
ある。
購買意欲=0.504504223914162
+(0.205538334678003×SENSE 体験)
+(0.374584779474319×THINK 体験)
+(0.251343420287508×RELATE 体験)
続いて表 17 の標準偏回帰係数より、独立変数の影響
■表―――19
説明された分散の合計
初期の固有値
因子
合計
分散の %
抽出後の負荷量平方和
累積 %
合計
分散の %
回転後の負荷量平方和
累積 %
合計
分散の %
累積 %
1
6.589
59.901
59.901
6.259
56.900
56.900
3.188
28.978
28.978
2
.974
8.855
68.755
.665
6.048
62.948
2.624
23.855
52.832
3
.713
6.479
75.235
.350
3.186
66.135
1.463
13.303
66.135
4
.556
5.052
80.287
5
.421
3.823
84.110
6
.400
3.635
87.745
7
.369
3.355
91.100
8
.319
2.901
94.001
9
.274
2.490
96.491
10
.195
1.770
98.261
11
.191
1.739
100.000
因子抽出法: 主因子法
力をみていく。いずれの独立変数も 0.1%水準で有意で
ンにおける 11 種の訴求ポイントを因子分析で因子分け
ある。さらに共線性の統計量における VIF 値は「SENSE
をしていく。具体的には「原料・成分訴求型」、
「自然イ
型体験」は 1.504、
「RELATE 型体験」は 2.284、
「THINK
メージ訴求型」、「利用場面想起型」、「高級感訴求型」、
型体験」は 2.012 とそれぞれ 5 以下であるため多重共線
「製品に関する新知識訴求型」、
「健康イメージ訴求型」、
性の可能性も少なく、このモデルはふさわしいと言える。
「家庭内会話促進型」、
「ブランドイメージ(製品に込め
そして「SENSE 型体験」や「RELATE 型体験」と
たメーカーの思い)訴求型」、
「新利用機会提案型」、
「品
比べ、「THINK 型体験」はより購買意欲を高めるため
質訴求型」、「話題提供型」の 11 項目を因子分析にかけ
に有効であることが検証された。
る。結果は表 19,20 の通りである。
つまり、仮説 1、仮説 2、仮説 4、仮説 5 は棄却され、
仮説 3「THINK 型体験は購買に最も正の影響を与える」
が検証されたことにより、「THINK 型体験」がコンビ
ニエンスストアの PB 製品購買に最も正の影響を与える
ことが証明された。
【2】店頭プロモーションにおける訴求ポイントによる
影響の差の検証
これから前述した重回帰分析で検証された仮説 3
「THINK 型体験は購買に最も正の影響を与える」につ
いてさらに深く研究を進めていく。
まず店頭におけるプロモーションの訴求ポイントを
分類するために、既存研究で前述した店頭プロモーショ
■表――20
以上より、11 種の店頭プロモーション分割の軸とな
る、「付加価値訴求型」と「製品価値訴求型」、「企業価
値訴求型」の 3 つの因子が抽出される結果となった。
回転後の因子行列 a
なお、選択された項目の合計値の信頼性を判定するた
因子
1
2
3
めに cronbach の α 係数を算出した。「企業価値訴求型」
新利用機会提案型
.786
.180
.393
因子は 1 項目であり信頼係数算出は必要ないため、「付
製品に関する新知識提供型
.745
.259
.341
加価値訴求型」因子と「製品価値訴求型」因子について
利用場面想起型
.713
.358
.206
実施した結果が以下の通りである。
話題提供型
.624
.399
.317
家庭内会話促進型
.574
.480
.003
自然イメージ訴求型
.252
.769
.242
健康イメージ訴求型
.397
.636
.283
原料・成分訴求型
.157
.628
.442
高級感訴求型
.391
.550
.157
Cronbach のアルファ
項目の数
品質訴求型
.420
.356
.677
.899
5
ブランドイメージ訴求型
.462
.434
.482
■表―――21
付加価値訴求型の信頼統計量
信頼性統計量
■表―――22
因子抽出法: 主因子法
回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法 a
a. 18 回の反復で回転が収束しました。
主因子法・バリマックス回転による因子分析の結果、
3 つの因子が抽出された。表 19 に示されている累積寄
与率も 66.135%と 50%を超えたためモデル採用として
妥当であると言える。表 20 より、第一因子は「新利用
機会提案型」や「製品に関する新知識訴求型」、
「利用場
面想起型」という項目の負荷量が高く、製品の本質とは
異なる、製品にプラスされる付加価値を訴求ポイントと
する店頭プロモーションであるため、
「付加価値訴求型」
因子である考えられる。第二因子は「自然イメージ訴求
型」や「健康イメージ訴求型」、
「原料・成分訴求型」と
いう項目の負荷量が高く、製品の本質の部分となる価値
を訴求ポイントとする店頭プロモーションであるため
「製品価値訴求型」因子であると言える。第三因子は「ブ
製品価値訴求型の信頼統計量
信頼性統計量
Cronbach のアルファ
項目の数
.866
5
表 21 は「付加価値訴求型」の信頼統計量である。「新
利用機会提案型」
「製品に関する新知識訴求型」
「利用場
面想起型」
「話題提供型」
「家庭内会話促進型」の 5 項目
で実施した結果.899 と、十分妥当であることが証明され
た。
「自然イメージ訴求型」
「健康イメージ訴求型」、
「原
料・成分訴求型」
「高級感訴求型」
「品質訴求型」の 5 項
目で実施した結果は表 22 であり、こちらも.866 と十分
妥当であった。全ての尺度において十分な数値が得られ
たため、この因子分析で抽出された尺度の内的整合性が
高いことが検証された。
ランドイメージ訴求型」という項目の負荷量が高いため、
製品を製造・販売する企業、つまり本研究では PB を企
画・販売する大手小売業者の価値を訴求する「企業価値
訴求型」因子であると名付けた。
【3】さらなる仮説の提唱・仮説検証
因子分析を踏まえて、それぞれの店頭プロモーション
の訴求型因子と購買意欲の関係について研究を進めて
行くため、新たに以下の仮説を立てた。
仮説 6-1:
『付加価値訴求型』因子は購買に最も正の影響
■表―――24
を与える。
仮説 6-2:
『製品価値訴求型』因子は購買に最も正の影響
分散分析 a
を与える。
仮説 6-3:
『企業価値訴求型』因子は購買に最も正の影響
モデル
を与える。
1
回
帰
なおこれらの仮説は、コンビニエンスストアの PB 製
残
品購買に最も正の影響を与えると検証された「THINK
差
型体験」のみにおける仮説であり、「THINK 型体験」
合
において因子分けされた 3 つのうちどの因子が最も購
計
自由
平均
有意確
平方和
度
平方
F 値
率
111.702
2
55.851
178.213
.000b
98.406
314
.313
210.107
316
買に正の影響を及ぼすのかを仮説として立てたもので
a. 従属変数 購買意欲
ある。
b. 予測値: (定数)、[%1:, 企業価値訴求型:
これから仮説 6-1 から 6-3 を検証すべく、重回帰分析
を行う。
表 24 の有意確立より、回帰分析全体の有意性の検定は
「購買意欲」を従属変数とし、
「付加価値訴求型」、
「製
0.1%水準で優位であるといえる。この重回帰分析で得ら
品価値訴求型」、
「企業価値訴求型」の 3 因子を独立変数
れた最適化モデル式は以下の通りである。
とする重回帰分析を強制投入法で行った結果、「製品価
値訴求型」は有意にならず棄却された。最も p 値が大き
い「製品価値訴求型」を対象外として、残る 2 つの因子
を再び強制投入法で因子分析を行った結果が以下の表
購買意欲=0.776078583368191
+(0.435510257540915×付加価値訴求型)
+(0.325463477808592×企業価値訴求型)
23 である。
続いて表 23 の標準偏回帰係数より、独立変数の従属
■表―――23
変数に対する影響力を比較する。いずれの独立変数も
1%水準で有意であり、
「付加価値訴求型」が「企業価値
購買意欲を従属変数とする重回帰分析
訴求型」に比べて購買に影響力があることが検証された。
説明変数
β
γ
付加価値訴求型
.478
**
.669
**
求型」は 1.428、「企業価値訴求型」は 1.428 とそれぞ
企業価値訴求型
.348
**
.609
**
れ 5 以下であるため多重共線性の可能性も少なく、この
R2 乗
.542
**
モデルはふさわしいと言える。
Adj. R2 乗
.529
**
つまり、仮説 6-2、仮説 6-3 は棄却され、仮説 6-1「『付
N
317
さらに共線性の統計量における VIF 値は「付加価値訴
加価値訴求型』因子は購買に最も正の影響を与える。」
注)β:標準偏回帰係数 γ:相関係数
**
<
が立証された。
.01
【4】仮説検証まとめ
本節では仮説立案で立てた仮説を検証した上でさら
に深く研究を進めるために新たなる仮説を立て、重回帰
分析および因子分析を用いて分析を行ってきた。検証結
価値訴求型プロモーション(新利用機会提案型、製品に
果として以下の通りである。
関する新知識提供型、利用場面想起型、話題提供型、家
庭内会話促進型)を、THINK 型体験価値に訴求するこ
仮説 1:SENSE 型体験は購買に最も正の影響を与える
とが有効であるという分析結果が得られた。仮説設定で
仮説 2:FEEL 型体験は購買に最も正の影響を与える
提唱した新モデル(表 25)に対応させると、
「感覚レジ
仮説 3:THINK 型体験は購買に最も正の影響を与える
スター」において THINK 型体験として認識されるよう
仮説 4:ACT 型体験は購買に最も正の影響を与える
な付加価値訴求型プロモーションを「外部情報」として
仮説 5:RELATE 型体験は購買に最も正の影響を与え
実行するというフローが有効であることがわかった。
る
仮説 6-1:
『付加価値訴求型』因子は購買に最も正の影響
■表―――25
を与える。
仮説 6-2:
『製品価値訴求型』因子は購買に最も正の影響
新モデル
を与える。
仮説 6-3:
『企業価値訴求型』因子は購買に最も正の影響
を与える。
検証された結果は、仮説 3 および仮説 6-1 である。し
たがって、コンビニエンスストアの PB 製品において
「THINK 型体験」を刺激することは購買に最も正の影
響を与える。さらにその「THINK 型体験」を喚起する
店頭プロモーションにおける 11 種の訴求ポイントの間
には、影響の大きさに差があり、「新利用機会提案型」
「製品に関する新知識訴求型」
「利用場面想起型」
「話題
(出典:筆者作成)
提供型」「家庭内会話促進型」の 5 つの訴求ポイントを
含む付加価値訴求型店頭プロモーションが「THINK 型
その結果をふまえ我々が提案するのは、AR を活用した
体験」を刺激し、購買意欲をかき立てるのに最も正の影
スマートフォン向けアプリケーションと店舗を融合さ
響を与ることが検証された。
せた、クロスメディア型のプロモーションである。AR
次節では、この検証結果をもとに新規の提案を行いた
の技術とアプリ内で得られる情報を、付加価値訴求型プ
い。
ロモーションによって THINK 型体験価値を掻き立て
ることが目的である。既存研究レビューにて前述した通
り、THINK 型体験とは想像力や好奇心を触発される楽
④ ―――イ ン プ リ ケ ー シ ョ ン
しさ(意外性・疑問・挑発)や、想像力が広がりもっと
詳しく知りたくなるような要素を持っていなければな
本章では、ここまでの分析結果をふまえ実務的応用案
らない。スマートフォン上の AR は比較的新しい技術で
について述べる。コンビニエンスストアにおける PB 製
あり、浸透率も高くはない。新規性のあるものだからこ
品には最寄り品が多いことから、我々は今回、店頭での
そ好奇心を触発され、3D 映像は想像力を掻き立てるた
プロモーション案を提示する。検証より、ターゲットで
め、THINK 型体験として適切な提案といえる。
ある 30 代男性への店頭プロモーションにおいて、付加
AR とは Augmented Reality の略称であり、柴田
(2010)によると、「現実世界の後継に計算機内で生成
って画面上に家電があらわれる仕組みになっている。31
した情報を重畳描画する拡張現実感」と定義づけられる。
■図―――27
29
現実世界に対してデジタル情報を付加することによ
り、現実を拡張しようとする技術として、近年スマート
東芝 AR 家電の利用例
フォンを用いたサービスが広まってきている。
NS ファーファ・ジャパン株式会社は、ファーファ製
品をもっと身近に感じてほしいという想いから立ち上
がった「Air FaFa Project」の一環として、2010 年に拡
張現実型アプリ「エア・ファーファ」をリリースした。
30
図 26 のように、製品パッケージのロゴにスマートフ
ォンをかざすとキャラクターが現れ、本体を傾けること
によって 360 度どの方向からでもキャラクターを見る
ことができる。さらに、製品のバーコードの下 6 ケタを
(東芝 AR 家電ウェブサイトより)
入力することにより、いろいろな着せ替えが可能となり、
ウェブサイトにアクセスし新製品情報を閲覧すること
このように、企業はスマートフォンにおける AR の技
でシークレットバージョンを手に入れることができる
術を、ユーザーのエンターテイメントや、購買前のプロ
ようになっている。
モーションに役立てている。この他にも、街の風景に
AR を映し出し観光スポットを提示するアプリなどが話
■図―――26
題となっており、今後の新たな活用方法にも期待されて
いる。
エア・ファーファの利用例
1. 提案概要
この新規提案はコンビニエンスストアの来店者がこ
のサービスを利用するにあたって、コンビニエンススト
アが提供する専用アプリのダウンロードから始まる。店
頭の製品パッケージには AR を読み込むためのマーカー
が備わっており、それをスマートフォンでかざすと画面
上にその製品のメニューバーが表示される。製品の詳細
情報ページでは、製品の特徴や産地など、パッケージや
(Air FaFa Project ウェブサイトより)
POP 上だけでは知ることのできない情報を得られる。
さらに、組み合わせて購入するのにおすすめの製品の提
東芝は「AR 家電 未来のカタログ」というスマー
案をし、ついで買いを促す。製品カテゴリー別のランキ
トフォンアプリをリリースしている。家電を自分の家に
ングも閲覧可能なため、来店者の製品探索コストを低減
設置した様子をシュミレーションできるサービスで、部
する効果もある。また、製品レビューの閲覧・書き込み
屋や壁と合うかどうかのバランスを確認することがで
機能も設置されている。
きる(図 27)。AR マーカーを印刷し、家電を設置した
い場所にそれを置き、スマートフォンをかざすことによ
2. 提案背景
入るため、購買につながりコンビニエンスストア全体の
我々が AR によるプロモーションを提案する背景とし
売上増加が期待できる。
て、まず学生視点ということがあげられる。今の時代、
次に男性のスマートフォンを用いたアプリケーショ
私たち大学生にとって他の世代と比較してもスマート
ンへの関心を見ていく。企業が提供しているアプリケー
フォンは大変身近な存在であり、もはやスマートフォン
ションをダウンロードしたことがあると答えた 30 代(母
無しの生活は不可能と言っても過言ではない。スマート
数内訳:男性 84.7% 女性 15.3%)の割合は 76.7%と非
フォンを使って、ゲーム、SNS、割引サービスのついた
常に高いことがアンケート結果からわかった。32 また、
アプリケーションを活用する学生は多い。そのような学
利用頻度の高い無料アプリケーションのジャンルにつ
生の中で、近年新しい技術として AR への関心は高まっ
いて 30 代男性に訪ねたところ、ゲームが 1 番で 81.8%、
ている。
交通・ナビ・旅行が 65.2%、ニュースが 52.0%、グルメ・
また、前述のように PB は現在製品自体による戦略だ
レシピ 43.8%、AR は 32.1%であった。これは、男性の
けでは限界があり、顧客サービスやユニークで優位性の
関 心 が 高 い と 思 わ れ る ビ ジ ネ ス 29.0% や ス ポ ー ツ
高い買い物経験を与え、消費者の購買意欲をかき立てる
15.9%をおさえてのランクインとなった。33 さらに、
「ダ
ような売り場づくりが必要な段階にある。そのような時
ウンロードしたアプリがきっかけで、アプリ提供企業の
代において、スーパーマーケットでは店頭における試食、
製品やサービスを購入・利用したことがありますか?」
また店頭でレシピを紹介し、それに必要な材料をまとめ
という質問に対して「はい」と答えた消費者は 44.8%に
て近くのワゴンに置くというような関連販売を行うこ
のぼる。34 これらのことから、スマートフォンのアプリ
とで客単価アップに成功している。しかし、コンビニエ
ケーションは我々がターゲットと設定した 30 代男性に
ンスストアはそもそも店舗面積も狭く、また顧客の店舗
とって抵抗は無く、また AR をすでに利用している人も
滞在時間もスーパーマーケットに比べると大変短い。そ
多いことがわかった。また、アプリケーションが発信す
のような現状の中で、今現在の店頭におけるプロモーシ
る情報が消費者の購買を促す効果があることから、我々
ョンは店内広告や手書き POP の設置程度にとどまって
の提案する AR を用いた PB 製品のプロモーションは
いる。そこで、限られたスペースの中でいかに魅力的な
PB の売上増加に一役買うであろう。
店舗づくりや製品提案をするかということが現在のコ
ンビニエンスストアの課題となっている。
3. 提案内容
それを解決するのが、近年スマートフォンの普及に伴
い今後大きく成長する市場として注目を集めている AR
本提案の詳細と、提案に至った理由を記す。前述した
である。前述したように、我々の AR を用いたプロモー
ように、価値訴求型プロモーションが店頭でのプロモー
ション方法の提案は、製品のロゴにスマートフォンをか
シ ョ ン 活 動 に お い て 有 効 で あ り 、 EX-Scale® の う ち
ざすと画面上で製品のおすすめの組み合わせや、詳しい
THINK 型体験が 30 代男性の購買に優位性があること
製品情報、ランキング等が紹介されるというものだ。そ
が判明した。また店頭におけるプロモーション活動での
のため、スーパーマーケットのようにワゴンを特設する
11 項目の訴求ポイントを因子分析した結果、付加価値
必要も無く、スペースが限られたコンビニエンスストア
訴求型因子である「新利用機会提案型」「製品に関する
内でも容易に関連販売が可能となる。AR を用いたアプ
新知識提案型」「利用場面想起型」「話題提供型」「家庭
リケーションが普及することで、コンビニエンスストア
内会話促進型」という 5 項目が THINK 型体験を喚起す
における組み合わせ買いの増加、またそれに伴う客単価
る訴求ポイントであることが判明した。
アップ、さらには新情報を得ること、提案されることで
そのため本提案では 30 代男性へ THINK 型体験を促
これまでは気に留めなかったような製品が考慮集合に
すことにより、さらなる PB 製品の購買に繋げることを
目的とする。そこで我々が提案をするのは店頭において
AR を活用したプロモーションである。AR を活用する
■表―――28
ことにより、5 項目の訴求ポイントをターゲットである
30 代男性に訴求し、THINK 型体験を喚起することが出
メニュー画面
来る。消費者がこの AR を利用するまでの概要は以下の
ようになっている。コンビニエンスストアごとに提供す
るアプリをダウンロードし、店頭においてアプリを起動
させる。そして PB 製品につけられた AR 読み取り用の
ロゴマークである「マーカー」にスマートフォンのカメ
ラをかざす。そこで AR により、スマートフォン上に情
報が表示されるというのが本提案の一連の概要である。
(筆者作成)
次に、一連の提案概要の詳細について記す。一定期間
にキャンペーン期間を設けることにより、各コンビニエ
これらのコンテンツを作成する理由をそれぞれ示す。
ンスストアで制作したアプリをダウンロードしてもら
はじめに、アプリを起動させ製品のマーカーを読み取る
う。30 代男性にダウンロードしてもらう契機としてダ
とコンテンツ①組み合わせ提案が現れる。組み合わせ提
ウンロードをした人には初回 20%オフの特典が与えら
案を積極的に押し出すことで、ついで買いを促すことが
れる。キャンペーンを中心にダウンロード者数を増加さ
でき、客単価を上げることが可能となる。よって我々の
せていく。AR 読み取り用のロゴマークである「マーカ
研究目標である客単価の向上を実現できるのが、組み合
ー」はコンビニエンスストアごとに制作し、PB 製品全
わせ提案である。加えて、組み合わせ提案により、付加
品に対して付けるため、全ての PB 製品情報を AR の利
価値訴求型因子の「新利用機会提案型」を刺激できる。
用により消費者は得ることができる。例えば消費者がお
例えば弁当のマーカーを読み取ると、弁当とデザートな
弁当やお惣菜を購入する際に、おかずの生産地やこだわ
ど数パターンの組み合わせをスマートフォン上で見る
りなどの詳しい情報を知ることが可能になるのである。
ことができる。さらに消費者の気分にあった組み合わせ
コンビニエンスストア側も PB の品質や詳細を知った上
を提案するために、スマートフォンの画面の下部に「健
で、消費者に安心して PB 製品を購買してもらえるよう
康」「がっつり」「もう一品」「まったり」などの組み合
になる。
わせ提案をスライド式で見ることができるようにする。
AR を使いどのようなことが可能になるかを示す。
消費者は過去に自分が購買したことのない製品に対し
我々の提案では前述した付加価値訴求型因子である「新
ても目を向ける機会となり、新たな製品を選択する契機
利用機会提案型」
「製品に関する新知識提案型」
「利用場
ともなる。組み合わせ提案を行うことにより、新利用機
面想起型」
「話題提供型」
「家庭内会話促進型」という 5
会を提案することが可能となるのである。(表 29)
項目に訴求するようなコンテンツを作ることにより、店
頭においての付加価値を高め、プロモーション活動を強
化していく。5 項目を訴求するために我々の提案では
AR を使って 5 つのコンテンツをスマートフォン上に作
成する。①組み合わせ提案、②製品情報、③スポット表
示、④ランキング、⑤レシピの公開である。(表 28)
■表―――29
る。天気の良い日に、会社でなく屋外で昼食をとりたい
時におすすめの場所まで案内してくれるのがこの機能
組み合わせ提案(「健康」選択時)
である。外回りのサラリーマンなど、営業先で昼食をと
ろうとした時、初めての場所ではどこで食べればいいか
困ることがある。そこで、AR が周辺のオススメスポッ
トまで案内する。近くのオススメスポットである公園で
昼食をとろうと消費者は決め、それをもとに製品を選択
することになる。スポット表示により、利用場面を想起
させることが可能となるのである。(表 31)
(筆者作成)
■表―――31
付加価値訴求型因子の「製品に関する新知識提案型」
を刺激するのがコンテンツ②製品情報である。製品情報
スポット
では、AR で読み取った製品の情報を詳しく知ることが
できる。例えば弁当のマーカーを読み取った時に、弁当
に入れられたおかずがどのようなメニューなのか、また
製品のこだわりの説明などを見ることができ、消費者は
AR を通して製品についての詳細を知ることが可能とな
る。(表 30)
(筆者作成)
■表―――30
付加価値訴求型因子の「話題提供型」を刺激するのが
製品情報
コンテンツ④ランキングである。ランキングでは、製品
のマーカーを読み取った際に、製品カテゴリー内でのラ
ンキングが表示される。さらに、ランキングというコン
テンツをタッチすると、消費者の製品に対するレビュー
を見ることができる。そこから、話題の製品や人気の製
品が選択肢に入り、購買を決定していた製品に加えて購
買してもらう契機にもなる。(表 32)
(筆者作成)
付加価値訴求型因子の「利用場面想起型」を刺激する
のがコンテンツ③スポット表示である。スポット表示は
GPS 機能により、周辺地図から、昼食を食べることが
できるオススメスポットを表示する。そして、GPS 機
能を利用し、おすすめのスポットまで案内をしてくれる
のがスポット表示のコンテンツである。例えば、いつも
のように昼食をコンビニエンスストアで購入したとす
■表―――32
4. メリット
ランキング
本節では、このインプリケーションにおけるコンビニ
エンスストアと消費者のメリットを述べる。
コンビニエンスストア側のメリットは、店舗内のスペ
ースをとることなくプロモーションを行えることであ
る。コンビニエンスストアの店頭プロモーションで大き
な課題となっているのは、店舗面積が狭いためにスーパ
ーマーケットや総合スーパーとは異なり、店頭における
(筆者作成)
プロモーション方法が限られてしまうことである。スー
パーマーケットの場合は特設ブースを利用した実演販
付加価値訴求型因子の「家庭内会話促進型」を刺激す
売や、補完財との並列販売によるプロモーションが可能
るのがコンテンツ⑤レシピの公開である。PB 製品を使
であるが、コンビニエンスストアにはそのようなスペー
用し、調理を行った料理のレシピなどを公開する。各コ
スがない。そのような現状の中、この AR を活用したプ
ンビニエンスストアで既に行っているレシピ公開のホ
ロモーションではスペースをとることなく、製品の詳細
ームページを使用する。自分で実際に料理をしてみたい、
を伝え、さらに組み合わせ買いの提案をするプロモーシ
またこのレシピを奥さんに作ってもらいたいという感
ョンを行うことができる。
情を喚起することができる。そこから家庭内での会話が
一方消費者側のメリットは、製品の詳しい情報を見る
生む契機となるのがコンテンツ⑤の目的である。
(表 33)
ことができるため、選ぶ際にヒントを得ることができる。
製品のパッケージだけでは十分な情報が得られず、全て
■表―――33
の製品に POP がついているわけではないため、このよ
うに見たい製品の情報だけを手軽に見られるのは便利
レシピ
であると言える。さらに、レビューの閲覧・書き込み機
能は、販売者側のメッセージだけでなく、実際に購入し
消費した人々の意見を聞くことができる。最寄り品に関
してのレビューサイトは多くないため、新しい試みとな
るだろう。また、マーカーは製品のパッケージ上につい
ているため、購入して持ち帰ってからでも産地等の情報
閲覧が可能である。そのため、消費者は安心して製品を
(筆者作成)
購入することができる。
我々の提案では、付加価値訴求型因子である「新利用
5. 新規提案まとめ
機会提案型」
「製品に関する新知識提案型」
「利用場面想
起型」
「話題提供型」
「家庭内会話促進型」という 5 項目
本提案は、スマートフォンにおける AR(拡張現実)
を前述のコンテンツを AR で充実させることにより、
アプリケーションをコンビニエンスストアの店頭で顧
THINK 型体験を喚起することができる。
客に利用してもらうことで、PB 製品の情報やおすすめ
の組み合わせなどを提供するものだ。このプロモーショ
ンは、アンケートの分析によって証明された THINK 型
体験と付加価値訴求型プロモーションを組み合わせ、応
Glass」とは拡張現実を利用したメガネ型のコンピュー
用したものである。このプロモーションを導入すること
タであり、音声入力操作が主で、ハンズフリーで使用す
によって、顧客の知的好奇心を刺激することができ、コ
ることができる。このデバイスが世間に普及し、製品を
ンビニエンスストアにおける PB の店頭プロモーション
見ただけで詳細情報を把握できるといった時代が来る
不足の解消、そして PB の売り上げ促進を実現すること
のかもしれない。そんな急激な技術の変化にも対応でき
ができる。この提案を実現する上で後押しとなるのが、
るのが AR 活用プロモーションなのである。
ターゲットである 30 代男性のスマートフォンのアプリ
利用率の高さ、AR アプリを利用者数の多さである。更
なる発展を目指すコンビニエンスストアにおいて有効
⑥ ―――結 論
な提案だといえるだろう。
本研究では、コンビニエンスストア PB の効果的な売
り場提案をもって、コンビニエンスストアの更なる発展
⑤ ―――今 後 の 展 望
を促すことを目標とし、考察・分析を進めてきた。30
代男性を対象に行ったアンケート検証結果から、5 つの
本研究は、アンケート調査の行いやすさ、提案への移
経験価値のうち THINK 型体験、価値訴求型プロモーシ
行のしやすさという面から、調査・研究対象を 30 代男
ョンのうち付加価値提供型プロモーション、この組み合
性と限定した。そのため、本稿での研究結果や提案の有
わせが PB の購買に最も正の影響を与えることが明らか
効性は 30 代男性にのみ証明されている。したがって、
になった。この結果を応用したコンビニエンスストア店
さまざまな年齢層またはライフスタイルを持つ消費者
頭プロモーションの新規提案として、PB 製品に印刷さ
が利用するコンビニエンスストアのプロモーションと
れたマーカーをスマートフォンで読み取ることによっ
する為には、さらなる研究が必要となる。さまざまな消
て製品情報を得ることができるという AR(拡張現実)
費者属性の有効な経験価値と価値訴求型プロモーショ
を用いたプロモーションを提案した。この提案は消費者
ンの種類を洗い出し、それぞれに有効な施策を把握した
の知的好奇心を刺激し販売を促進できるだけではなく、
上での意思決定が必要である。
今後の技術革新にも対応できる汎用性の高いものであ
加えて、本稿で提案した店頭 AR プロモーションを実
る。この提案に至った経緯を、以下、本論文の各章の要
務へと導入する場合、30 代男性にいかに AR 対応アプ
点をまとめていく。
リケーションをスマートフォンにインストールしても
序論では、研究テーマの設定、PB の複数の面からの
らうかが問題となる。提案が 30 代男性に浸透すること
現状分析を通し、PB の現状に対する問題意識を設定し
はさまざまなデータから裏付けることができたが、30
た。「コンビニエンスストアにおける効果的な店頭プロ
代男性にインストールしてもらえるのかというロジッ
モーションの提案」を研究テーマとし、現状分析を進め
クの構築までは至らなかった。AR 活用プロモーション
ていった。まず、値段が安いのに品質も良い、良品廉価
自体の効果的な宣伝方法の究明も必要である。
であるということで注目を集めた PB であるが、その
しかし、我々が提案した AR 活用プロモーションには
PB がどのような経緯をたどり、どのように発展をして
さまざまな発展を期待できる。アプリ内のコンテンツの
きたのかを分析した。他店との差別化を図るために誕生
多様化・充実化はもちろん、時代の変化に伴うデバイス
し一定の人気を得ることになった PB だが、「安かろう
の変化にも対応できる汎用性を内包しているのだ。例え
悪かろう」のイメージが消費者の中で確立されてしまい、
ば、Google 社が現在開発に取り組んでおり、来年に発
想定されていたほどの普及は見せなかった。しかし
売を控えた「Google Glass」への活用も可能だ。
「Google
2007 年にセブン&アイ・ホールディングスが「セブン
プレミアム」を発売したことを契機に PB は再び注目を
がよく利用するコンビニエンスストア業界の発展の一
集め、世界的経済不況における消費者の低価格志向化も
助となれば一同幸いである。
後押しし、今日の発展へとつながったのである。次にコ
ンビニエンスストアにおける PB について分析した。12
ヶ月連続の売上高の減少、客単価の低下といった低調に
あるコンビニエンスストア業界において、利益率の高い
PB に期待が寄せられている。しかし、製品のほとんど
は店頭で購買の判断がされる最寄り品であるにもかか
わらず、店頭でのプロモーションが乏しい。ここを我々
は問題意識として設定し、30 代男性をターゲットとし
た効果的な店頭プロモーションについて研究を進めて
きた。
本論では、既存研究レビュー、仮説の提唱、仮説の検
証を行った。既存研究の中でも近年重要視されている価
値訴求型プロモーションと 5 つの経験価値を測定する
EX-Scale®に注目した。5 つの経験価値のうち THINK
型体験が購買に最も正の影響を与えることを検証した
上で、11 種類の価値訴求型プロモーションの因子分け
をし、「付加価値訴求型」「製品価値訴求型」「企業価値
訴求型」の 3 つの因子の抽出をした。これらにどの経験
価値を訴求したものが最も優位なのかを検証した結果、
THINK 型体験と付加価値提供型が最も購買へ正の影響
を与えることが実証された。この検証結果を応用し、
我々は「AR 活用プロモーション」を新規提案とした。
⑦ ―――お わ り に
本研究を進めるにあたり、我々がもっとも苦労したの
が、提案を考える段階であった。有効性が立証された要
素はあったものの、それらにいかに学生視点特有の斬新
さを加えることができるのかに、非常に多くの時間をか
けることとなった。学生であるにも関わらず学生視点に
苦労したことで、我々の思考が硬く固まりつつあるとい
うことに気づくことができた。そういった意味でも今大
会のテーマは我々学生にとって非常に有意義であった
のではないだろうか。学生の提案である本研究が、学生
1 日本経済新聞社産業地域研究所[2011]『市場飽和説に挑む
り場づくり-LUSH(ラッシュ)のバリュー・ドライバーに関する
実証分析-』
コンビニ:新しいニーズを探る:調査研究報告書』p.2
27 太宰潮[2008]『価値訴求型プロモーションに関する考察』
2 社会法人食品需給研究センター[2010]
『食品企業における PB
p10
取組の現状と課題』p.2
28
3 矢作敏行[1996]『PB(プライベート•ブランド)戦略の 大槻博[1997]『店頭からのブランド・プロモーションの戦
略的枠組み」p7-11
枠組と展開』p.3
29 柴田史久[2010]『応用 1:モバイル AR 位置情報に基づく
4 木立真直[2010]『日本における PB の展開方向と食品メーカ
AR システム」p1-2
ーの対応課題』p2-3
30 Air FaFa Project 公式ホームページ
5 Laaksonen,H.[1994],Own Brands in Food Retailing aross
31 東芝『AR 家電未来のカタログ』公式ホームページ
Europe, Templeton College OXRIM.
32 Garbage NEWS.com(2012 年 12 月 07 日)『男女で、そして
6 宮下雄治 [2010]『日本における PB 商品の開発動向と発展可
世代で異なる iPhone のアプリ利用傾向』
能性―国際比較の観点から―』城西国際大学紀要 p117-135.
7 山下奉仁『セブン PB‘高級化’が意味するもの』
http://www/garbagenews.net/archives/1610937.html(2013/1
0/25 アクセス)
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20121212/104630
33 TYPE RESERCH ONE LINE『アプリのきっかけで商品・
2/?ST=life&P=2&rt=nocnt (2013/10/07 アクセス)
8 ファミリーマート公式ホームページ
サービス利用 企業アプリ利用者の 4 割半』
http://release.center.jp/2011/08/0501/html(2013/10/25 アクセ
https://www.family.co.jp/company/news_releases/2009/0912
ス)
10_2.html(2013/8/27 アクセス)
34 注 29 に同じ
9 小泉裕之・後藤宏光『コンビニ大手 3~5 月、既存店集客セブ
ン突出、「100 円コーヒー」奏功』日経 MJ(流通新聞)p.7
10 日本経済新聞(2013 年 6 月 20 日)『コンビニ既存店売上高、
5 月 1.2%減 12 ヶ月連続マイナス』
11 Japan Marketing Research Institute『強大化する Only
One 小売り PB が売り場を席捲する』
http://www.jmr-g.co.jp/reports/report10.html(2013/9/13 アク
セス)
12 産経新聞ニュース
『成長鈍化のコンビニ 上位と下位の差拡
大 淘汰再編の可能性も』
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130102/biz1301021
2000001-n1.htm(2013/9/20 アクセス)
13 日本経済新聞(2011 年 3 月 3 日朝刊)『コンビニ・専門店大
手、PB 比率高め利益確保、セブン―イレブンなど粗利率上昇。』
p.17
14 注 12 に同じ
15 注 10 に同じ
16念のため付言すると、ここではメーカー・小売間における
商品の品揃えに関する決定権について述べており、コンビニエ
ンスストアの本部・加盟店間における決定権は加盟店側にある
ことは言うまでもない。
17 菊池宏之[2011]『小売業における PB 商品の展開と課題-ス
ーパーマーケットの PB 商品を主体に-Development and
Problem with PB Commodities of Retail Trade』p.141-142
18 笠原 造『「セブンプレミアム」が顧客の声を商品開発に活
用するために考えたこと』
http://japan.internet.com/wmnews/20091109/8.html(2013/10
/2 アクセス)
19 ファミリーマート公式ホームページ
https://www.family.co.jp/company/news_releases/2009/0912
10_2.html(2013/8/27 アクセス)
20 ローソン公式ホームページ
http://www.lawson.co.jp/company/news/069722/(2013/8/27 ア
クセス)
21 注 18 に同じ
22 セブンイレブン公式ホームページ
http://www.sej.co.jp/products/recipe/index.html(2013/8/27 ア
クセス)
23 経済産業省[2002]『商業環境の現状分析』p.11
24 Eat+RIC 経営研究所『セブンイレブンがセブンプレミアム
の 100%MALT の販売に消極的な理由とは?』
http://ryotarotakao.com/achives/4275/(2013/9/15 アクセス)
25 NETIBNEWS『PB(プライベートブランド)がもたらした功
罪(10)』
http://www.data-max.co.jp/2009/12/04/pb10.html(2013/9/22
アクセス)
26 高橋広行[2012]『リテール・ブランドにもとづく魅力的な売
アムの 100%MALT の販売に消極的な理由とは?』
http://ryotarotakao.com/archives/4275/
NETIBNEWS[2009]『PB(プライベートブランド)がもたら
社会法人食品需給研究センター[2010]『食品企業における PB
した功罪(10)』
取組の現状と課題』 http://www.data-max.co.jp/2009/12/04/pb10.html 高橋広行[2012]『リテール・ブランドにもとづく魅力的な売場
矢作敏行[1996]『PB(プライベート•ブランド)戦略の づくり-LUSH(ラッシュ)のバリュー・ドライバーに関する実
枠組と展開』 証分析-』 木立真直[2010]『日本における PB の展開方向と食品メーカー
Garbage NEWS.com『男女で、そして世代で異なる iPhone の
の対応課題』
アプリ利用傾向』
http://www.garbagenews.net/archives/1610937.html
Laaksonen,H.[1994]『Own Brands in Food Retailing aross
Europe, Templeton College OXRIM.』
TYPE RESEARCH ONLINE[2011]『アプリをきっかけで商
品・サービス利用 企業のアプリ利用者の 4 割半』
宮下雄治 [2010]『日本における PB 商品の開発動向と発展可能
http://release.center.jp/2011/08/0501.html
性―国際比較の観点から―』城西国際大学紀要
参考文献
山下奉仁『セブン PB‘高級化’が意味するもの』
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20121212/104630
2/?ST=life&P=2&rt=nocnt
日経 BP[2008]『PB,最もよく買っているのは「食品」購入頻
度も高まる傾向』 ファミリーマート公式ホームページ
西本章広[2007]『クロスメデイアのマーケティングコミュニケ
ーション戦略:オーガニック・コミュニケーション・ミックス
効果指標としての知識構造化
小泉裕之・後藤宏光[2013]『コンビニ大手 3~5 月、既存店集
客セブン突出、「100 円コーヒー」奏功』日経 MJ(流通新聞) 日本経済新聞『コンビニ既存店売上高、5 月 1.2%減 12 ヶ月連
続マイナス』(2013 年 6 月 20 日) Japan Marketing Research Institute『強大化する Only One
小売り PB が売り場を席捲する』
http://www.jmr-g.co.jp/reports/report10.html 産経新聞ニュース(2013 年 1 月 2 日)
『成長鈍化のコンビニ 上
位と下位の差拡大 淘汰再編の可能性も』
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130102/biz1301021
2000001-n1.htm 日本経済新聞『コンビニ・専門店大手、PB 比率高め利益確保、
セブンイレブンなど粗利率上昇。 』(2011 年 3 月 3 日朝刊) 菊池宏之[2011] 『小売業における PB 商品の展開と課題 ―
スーパーマーケットの PB 商品を主体に-Development and
Problem with PB Commodities of Retail Trade-』 笠原 造[2009]『「セブンプレミアム」が顧客の声を商品開発
に活用するために考えたこと』
http://japan.internet.com/wmnews/20091109/8.html
ローソン公式ホームページ セブンイレブン公式ホームページ 経済産業省[2002]『商業環境の現状分析』 Eat+RIC 経営研究所[2013]『セブン-イレブンがセブンプレミ
補録―――アンケート
プライベートブランドに関する調査
プライベートブランド(以下 PB)とは、大手小売業者が企画し販売する、セブンプレミアムやローソンセレクトなどといった独自のブ
ランド製品のことです。また、本アンケートにおける PB には高級 PB 製品(金の食パンなど)は含まれません。ナショナルブランド(以
下 NB)とは、一般のメーカー製品のことです。
答えはそれぞれ一つずつです。
Q.1 あなたは以下の売り方にセンスを感じますか。5 段階評価でお答えください。
(センスとは例えば、「かわいい・ハッとする・ダイナミック」等)
そ
う
思
わ
な
い
原料成分を訴求している売り方
自然をイメージさせる売り方
製品の利用場面を思い起こさせる売り方
高級感をイメージさせる売り方
製品に関する新知識を提供している売り方
健康をイメージさせる売り方
家庭内での会話を促進させる売り方
製品に込められた思いが伝わる売り方
新たな利用方法を思い起こさせる売り方
品質の良さが伝わる売り方
話題を提供している売り方
センスを感じると、その製品を買いたいと思う
や
や
そ
う
思
わ
な
い
ど
ち
ら
で
も
な
い
や
や
そ
う
思
う
そ
う
思
う
Q.2 あなたは以下の売り方に情緒を感じたり、心が弾んだりしますか。5 段階評価でお答えください。
(情緒を感じたり、心が弾んだりす
るとは「ワクワクする・懐かしい・うきうきする」等)
そ
う
思
わ
な
い
原料成分を訴求している売り方
自然をイメージさせる売り方
製品の利用場面を思い起こさせる売り方
高級感をイメージさせる売り方
製品に関する新知識を提供している売り方
健康をイメージさせる売り方
家庭内での会話を促進させる売り方
製品に込められた思いが伝わる売り方
新たな利用方法を思い起こさせる売り方
品質の良さが伝わる売り方
話題を提供している売り方
売り方に情緒を感じたり、心が弾んだりすると、その製品を買いたいと思う
や
や
そ
う
思
わ
な
い
ど
ち
ら
で
も
な
い
や
や
そ
う
思
う
そ
う
思
う
Q.3 あなたは以下の売り方によって、想像力や好奇心が触発されますか。5 段階評価でお答えください。
(想像力や好奇心が触発されると
は「どうなっているんだろう・本当?・そうなんだ!」等)
そ
う
思
わ
な
い
原料成分を訴求している売り方
自然をイメージさせる売り方
製品の利用場面を思い起こさせる売り方
高級感をイメージさせる売り方
製品に関する新知識を提供している売り方
健康をイメージさせる売り方
家庭内での会話を促進させる売り方
製品に込められた思いが伝わる売り方
新たな利用方法を思い起こさせる売り方
品質の良さが伝わる売り方
話題を提供している売り方
想像力や好奇心が触発されると、その製品を買いたいと思う
や
や
そ
う
思
わ
な
い
ど
ち
ら
で
も
な
い
や
や
そ
う
思
う
そ
う
思
う
Q.4 あなたは以下の売り方によって、自分もやってみようという気になりますか。5 段階評価でお答えください。
そ
う
思
わ
な
い
原料成分を訴求している売り方
自然をイメージさせる売り方
製品の利用場面を思い起こさせる売り方
高級感をイメージさせる売り方
製品に関する新知識を提供している売り方
健康をイメージさせる売り方
家庭内での会話を促進させる売り方
製品に込められた思いが伝わる売り方
新たな利用方法を思い起こさせる売り方
品質の良さが伝わる売り方
話題を提供している売り方
自分もやってみようという気になると、その製品を買いたいと思う
や
や
そ
う
思
わ
な
い
ど
ち
ら
で
も
な
い
や
や
そ
う
思
う
そ
う
思
う
Q.5 あなたは以下の売り方に人との結びつきや絆を感じますか。5 段階評価でお答えください。
そ
う
思
わ
な
い
原料成分を訴求している売り方
自然をイメージさせる売り方
製品の利用場面を思い起こさせる売り方
高級感をイメージさせる売り方
製品に関する新知識を提供している売り方
健康をイメージさせる売り方
家庭内での会話を促進させる売り方
製品に込められた思いが伝わる売り方
新たな利用方法を思い起こさせる売り方
品質の良さが伝わる売り方
話題を提供している売り方
人との結びつきや絆を感じると、その製品を買いたいと思う
や
や
そ
う
思
わ
な
い
ど
ち
ら
で
も
な
い
や
や
そ
う
思
う
そ
う
思
う
Q.6 あなたは以下の売り方に NB とくらべ PB を買いたいと思いますか。5段階評価でお答えください
そ
う
思
わ
な
い
原料成分を訴求している売り方
自然をイメージさせる売り方
製品の利用場面を思い起こさせる売り方
高級感をイメージさせる売り方
製品に関する新知識を提供している売り方
健康をイメージさせる売り方
家庭内での会話を促進させる売り方
製品に込められた思いが伝わる売り方
新たな利用方法を思い起こさせる売り方
品質の良さが伝わる売り方
話題を提供している売り方
NB とくらべ PB を買いたいと思うと、その製品を買いたいと思う
や
や
そ
う
思
わ
な
い
ど
ち
ら
で
も
な
い
や
や
そ
う
思
う
そ
う
思
う
Q.7 以下のような売り方がされている PB 製品を、購入したいと思いますか。5段階評価でお答えください。
そ
う
思
わ
な
い
原料成分を訴求している売り方
自然をイメージさせる売り方
製品の利用場面を思い起こさせる売り方
高級感をイメージさせる売り方
製品に関する新知識を提供している売り方
健康をイメージさせる売り方
家庭内での会話を促進させる売り方
製品に込められた思いが伝わる売り方
新たな利用方法を思い起こさせる売り方
品質の良さが伝わる売り方
話題を提供している売り方
や
や
そ
う
思
わ
な
い
ど
ち
ら
で
も
な
い
や
や
そ
う
思
う
そ
う
思
う
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