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Clontechniques 2008年初秋号のご紹介

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Clontechniques 2008年初秋号のご紹介
Clontechniques 2008年初秋号のご紹介
Clontechniquesをご愛読いただきましてありがとうございます。本号では新製品のほか、AcGFP1とDsRed-Monomerに
よるFRET法(特別寄稿)、Lenti-X TM HT Packaging Systemに関するFAQsなど盛りだくさんにご紹介いたします。
糖タンパク質に注目!
フェニルボロン酸リガンド樹脂による迅速・簡便な
濃縮/精製とウェスタンブロットによる検出
New
Glycoprotein Enrichment and Detection
(8∼10ページ)
●効率的かつ特異的に糖タンパク質を濃縮/精製
●ウェスタンブロットを用いて糖タンパク質を迅速検出
Glycoprotein Enrichment Resinはヒト血清などの複雑なサンプ
ルから高度に糖タンパク質を濃縮/精製することができます。
簡 便な重 力 流 下カラムもしくはFPLCなどの中圧クロマトグラ
フィーを使用し、他社製品よりも高い特異性と結合量を実現して
います。また、濃縮/精製した糖タンパク質をウェスタンブロッティ
ングで検出するためには、Glycoprotein Western Detection Kit
が便利です。本キットを用いることで、少ない工程で短時間のうち
に高感度な検出が行えます。
フェニルボロン酸樹脂は、糖化反応(glycation)などの非酵素
的グリコシル化に起因する不均質なO- 結合型オリゴ糖を含む糖
タンパク質の精製にも適しています。本 樹脂は、レクチンや多糖
修飾に特異的な抗体を使用するアフィニティー樹脂以上に幅広い
糖タンパク質の精製に使用できます。このように、Glycoprotein
Enrichment Resinはさまざまな血清タンパク質の研究において複
雑なサンプルから糖タンパク質の濃縮/精製を行う際に理想的で
あり、糖タンパク質精製後のさまざまなアプリケーションで全般的
な感度を向上させることができます。
優れた特異性
Glycoprotein Enrichment ResinとS社の樹脂を、ヒト血清からの
糖タンパク質精製に関して比較しました。S社樹脂の溶出画分には
非糖タンパク質であるヒト血清アルブミン(HSA)が糖タンパク質
IgGよりも高い濃度で濃縮されており(Figure 2. Panel B)、さら
にS社樹脂のフロースルー画分には保持し切れなかったIgGが検
出されました(Figure 2. Panel A)。一方、Clontechの樹脂では
IgGをメインに糖タンパク質の特異的な精製が行われており、これ
らの結果はSDS-PAGE(Figure 3. Panel A)
とウェスタンブロット
(Figure 3. Panel B)でも同様に確認されました。
A
OH
O
HO
HO
OH
HO
O
OH
B
O
OH
O
B
pH > 8
OH
+ 2H2O
+
NH
OH
NH
OH
Carrier
Bead
Carrier
Bead
B
Flowthrough
15
350
UV absorbance (280 nm)
簡便なフェニルボロン酸ベースの精製
糖タンパク質はヒト生体内のタンパク質の50∼60%を構成してお
り、大半の細胞表面マーカーや分泌型タンパク質も糖タンパク質
です。質量分析などにより特異的な糖タンパク質を同定するには、
複雑なサンプルから糖タンパク質とそうでないものを分離しなけれ
ばなりません。
Glycoprotein Enrichment Resinはm-アミノフェニルボロン酸リガ
ンドを結合させたアガロースビーズで、複雑なサンプルから糖タン
パク質の濃縮/精製を行うことができます。m-アミノフェニルボロ
ン酸は、マンノース、ガラクトース、グルコースなどの糖残基のシ
ス-ジオール基と可逆的に五員環を形成して結合します
(Figure 1)。
この複合体はpHの低下、もしくはTrisあるいはソルビトールを含
む溶出バッファーにより分離することができます。
Clontech
Competitor S
250
Nonadsorbed
IgG
150
HSA
50
0
0
20
40
Minutes
60
80
UV absorbance (280 nm)
注目の新製品
Eluate
Clontech
Competitor S
IgG
10
Adsorbed
HSA
5
0
0
20
40
Minutes
60
80
Figure 2. Glycoprotein Enrichment Resinの特異的な糖タンパク質との
結合
Glycoprotein Enrichment Resin 1 mlを充填した重力流下カラムを水で
洗浄した。ローディングバッファー(50 mM HEPES, 0.5 M NaCl, pH 8.5)
で平衡化後、50μlヒト血清を2.5 mlに希釈した溶液をカラム中で20分間
インキュベートした。その後カラムをローディングバッファーで洗浄した。
溶出はローディングバッファーに100 mM Trisを加えたものを使用した。
S社製樹脂についても同様にヒト血清50μlの精製を行った。バッファーや
条件は付属の説明書に従った。すべての画分はゲルろ過カラム(Superdex
200HR 10/30)によるFPLCにより分析を行った。
パネルAはClontech樹脂とS社製樹脂のフロースルーの比較、パネルBは
溶出した糖タンパク質画分の比較を示す。Clontechのフロースルー画分に
は非グリコシル化HSA(Human Serum Albumin)のみが含まれ、溶出
画分には主にIgG(糖タンパク質)が含まれていた。一方、S社製樹脂の
フロースルー画分には結合しきれなかったIgGが認められ、また、溶出画
分にはIgGと共にHSAも含まれていた。これはHSAが非特異的に結合し
ていることを示している。
Figure 1. Glycoprotein Enrichment Resinと糖の結合
アガロースビーズと結合したm-アミノフェニルボロン酸はマンノース、ガラク
トース、グルコースなどのシス-ジオール基と可逆的に五員環複合体を形成
し結合する。複合体はpHを下げる、もしくはTrisまたはソルビトール含む
溶出バッファーにより分離可能である。
Clontech Laboratories, Inc. • www.clontech.com
Clontechniques July 2008 1
A
M
1
Clontech
2
3
M
B
Competitor S
4
5
6
M
kDa
kDa
250 –
250 –
150 –
150 –
1
Clontech
2
3
M
Competitor S
4
5
6
100 –
75 –
100 –
75 –
HSA
IgG
(heavy
chain)
IgG
(light
chain)
50 –
37 –
25 –
20 –
IgG
(heavy
chain)
IgG
(light
chain)
50 –
37 –
25 –
20 –
Figure 3. SDS-PAGEおよびウェスタンブロットによる
Glycoprotein Enrichment Resinと他社製樹脂との比較
パネルA:Figure 2.で 示した各画分を SDS-PAGEで分析した。クマシー
染色ゲルで見られるように、S社製樹脂はHSAの結合(Lane 6)、および
フロースルーでのIgGのリーク(Lane 5)が確認できる。
パネルB:同じ画分でヒトIgG特異的抗体を用いてウェスタンブロットを行っ
た結果、Clontechの樹脂はグリコシル化IgGを確実に保持しており(Lane
3)、フロースルー画分でのIgGの漏出は見られなかった(Lane 2)。一方、
S社製レジンは結合しきれなかったIgGがフロースルー画分に検出されてい
る(Lane 5)。
Lane M:分子量マーカー、Lane 1,4:ヒト血清、Lane 2,5:フロースルー、
Lane 3,6:溶出液(糖タンパク質)
微量な糖タンパク質も効率的に精製
Glycoprotein Enrichment Resinは、簡便かつ効率的にわずかな
量の糖タンパク質も精製可能です。ヒト血清に含まれる糖タンパク
質のなかでも、微量しか含まれていないα-1アンチトリプシンとα-1
酸性グリコプロテインも濃縮/精製されていることが、特異的抗
体を用いたウェスタンブロットにより確認されました(Figure 4)。
A
B
M
1
2
M
kDa
kDa
250 –
250 –
150 –
150 –
100 –
75 –
100 –
75 –
50 –
37 –
51 kDa 50 –
37 –
25 –
25 –
3
44 kDa
迅速かつ高感度にウェスタンブロッティングで糖タンパク質を検出
Glycoprotein Enrichment Resinに関連する製品、Glycoprotein
Western Detection Kitはウェスタンブロッティングで選択的に
糖タンパク質を染色するために開発されました。このキットは改
良した過ヨウ素酸シッフ法を採用しています。過ヨウ素酸シッフ
試薬は糖質に含まれる隣接ジオール基を過ヨウ素酸で酸化しマゼ
ンダ色の化合物を形成します。この方法は糖タンパク質の染色に
一般的に使用されているものです。本キットは約1時間で高感度
(Figure 5、10ページ Figure 7)かつ選択的(10ページ Figure 6)
にメンブレンにトランスファーされた糖タンパク質を検出すること
ができます。
M
1
2
3
4
5
M
6
7
8
9
10
M
11
12
kDa
75 –
50 –
37 –
Figure 5. Glycoprotein Western Detection kit による精製糖タンパク質
の高感度検出
3 種類の精製糖タンパク質、フェチュイン(Lane 1 ∼ 5)、α-1 アシドグリ
コプロテイン(AGP; Lane 6 ∼ 10)、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP;
Lane 11,12)の各量を、4-15% SDS-PAGE ゲルで電気泳動後、ニトロセ
ルロース膜にトランスファーし、Glycoprotein Western detection Kit を用
いて検出した。
Lane M:分子量マーカー、Lane 1:1 μ g fetuin、Lane 2:500 ng fetuin、
Lane 3:200 ng fetuin、Lane 4:100 ng fetuin、Lane 5:50 ng fetuin、
Lane 6:1 μ g AGP、Lane 7:500 ng AGP、Lane 8:200 ng AGP、
Lane 9:100 ng AGP、Lane 10:50 ng AGP、Lane 11:350 ng HRP、
Lane 12:140 ng HRP
糖タンパク質を特異的に分析するツールとして、Clontechの簡便
か つ 効 率 的 なGlycoprotein Enrichment ResinとGlycoprotein
Western Detection Kitをぜひご活用ください。
テクニカルノート
Figure 4. Glycoprotein Enrichment Resinは糖タンパク質のみを特異的
に精製
濃縮精製画分を、2種類の血清に特異的な糖タンパク質、α-1酸性グリコ
プロテイン(パネルA)およびα-1アンチトリプシン(パネルB)に対する抗
体を用いてウェスタンブロット解析した。
Lane 1:ヒト血清、Lane 2,3:溶出画分
フロースルーでわずかなロスが見られたものの*、Lane 2とLane 3で確認
できるようにα-1酸性グリコプロテイン(51 kDa)とα-1アンチトリプシン
(44
kDa)は本樹脂に結合していたことが分かる。
(*data not shown)
プロテオミクス同様、糖タンパク質は疾患の診断に重要ですが、
血清アルブミンなどの大量の非糖タンパク質にマスクされてしま
うと検出が困難になり、質量分析などその後の解析に支障をき
たします。また、血清や尿、脊 髄液などのサンプルを直接質量
分析計で分析する場合も、塩のコンタミネーションによりイオン化
が 干渉され 阻害を受けてしまいます。ClontechのGlycoprotein
Enrichment Resinは複雑なサンプルに含まれる塩のコンタミネー
ションを防ぎ、糖タンパク質を特異的に濃縮/精製してその後の
解析を促進します。
2 Clontech Laboratories, Inc. • www.clontech.com
Living Colors® 蛍光タンパク質 AcGFP1とDsRedMonomerを用いるFRET解析(特別寄稿)
Monitoring Protein-Protein Interactions by FRET Using
AcGFP1 and DsRed-Monomer as FRET Partners
(16∼19ページ)
Bing-Fen Liu, Kumarasamy Anbarasu, & Jack J-N. Liang
(Jack J-N. Liang博士らの研究グループによる特別寄稿)
はじめに
タンパク質−タンパク質間相互作用は細胞機能やタンパク質機能
において重要な役割を果たしています。眼球レンズの主要タンパク
質成分であるクリスタリンは2種類のファミリー、α-クリスタリンと
βγ-クリスタリンに分類されます。α-クリスタリンは2種のサブユ
ニット、すなわちヘテロオリゴマーを形成するαA-クリスタリンと
αB-クリスタリンから構成されています。in vitroでは、αA-とαBクリスタリンはそれぞれホモオリゴマーを形成することも可能です。
一方、βγ-クリスタリンは多様です。すなわち、β-クリスタリンは
7種のサブユニット(4種の酸性のβA1∼4-クリスタリンと、3種の
塩基性のβB1∼3-クリスタリン)からなるヘテロオリゴマーを形成
Clontechniques July 2008
し、モノマーのγ-クリスタリンには6種のサブユニット(γA∼γFクリスタリン)が存在します。
溶液中のクリスタリン分子間の相互作用を研究するための方法の多
くは、純度の高い精製タンパク質を必要とします。一方、ツーハイ
ブリッドシステムを用いる細胞内でのタンパク質間相互作用研究は
タンパク質精製を必要としませんが、レポーター遺伝子を活性化す
るために両タンパク質が細胞核内へ移行する必要があり、α-クリ
スタリンのような大きなタンパク質では細胞核内へ移行させること
が困難です。
タンパク質間相互作用を研究するための別の有用な方法として、
蛍光共鳴エネルギー転移(FRET; fluorescence resonance energy
transfer)が知られています。FRETは生細胞内環境下でのタン
パク質相互作用を直接的に評価することが可能であり、in vitroで
の実験系とは異なりタンパク質精製を必要とせず、ツーハイブリッ
ド法のようなレポーターアッセイも不要です。
レンズ透明性に対するタンパク質間相互作用の役割
本稿で紹介する研究では、共焦点FRET顕微鏡を用いてαA‐クリ
スタリンと他のクリスタリン間のタンパク質間相互作用の検出を行
いました。各クリスタリン分子が相互作用することによってタンパ
ク質構造が安定化し、その結果レンズの透明性が維持されること
が知られています。また、これらの相互作用がタンパク質の翻訳
後修飾や変異によって破壊されると白内障を発症することが知ら
れています。レンズタンパク質についてのこれまでの研究は、加齢
性白内障と関連する翻訳後修飾が中心でしたが、近年、先天性
白内障に見られる部位特異的変異に対する研究が注目されるよう
になりました。
今回我々は、デスミン関連筋疾患と白内障を引き起こすαB-クリス
タリンのR120G変異に焦点を当てました。組換えR120G αB-クリ
スタリンは異常構造、シャペロン様活性の低下、αA-クリスタリン
とのタンパク質間相互作用の低下を起こすことが現在までに報告
されています。αA-クリスタリンとAcGFP1の融合タンパク質をド
ナーとし、R120G変異を含むαB-クリスタリンとDsRed-Monomer
との融合タンパク質をアクセプターとしてFRET画像解析を行いま
した。FRETのデータはこれらタンパク質間相互作用の直接的な
可視化を可能とし、さらにこれらの相互作用の程度を数値化する
ことができます。
方法
蛍 光タンパク質ベクターpAcGFP1-C1( 製 品コード632470) と
pDsRed-Monomer-C1(製品コード632466)を利用した。
pAcGFP1-C1ベクターはAequorea coerulescens 由来 の 緑 色 蛍
光タンパク質(λex/λem=475/505 nm)をコードし、pDsRedMonomer-C1はDiscosoma sp. 由来の単量体赤色蛍光タンパク
質(λex/λem=557/585 nm)をコードする。αA-クリスタリンは
pAcGFP1-C1にクローニングし、αA-と他のクリスタリン遺伝子
はpDsRed-Monomer-C1にクローニングした。作製したプラスミド
は、AcGFP1-αA-、DsRed-Monomer-αA-、DsRed-MonomerαB-、DsRed-Monomer-R120G αB-、DsRed-Monomer-βB2-、
DsRed-Monomer-γC-クリスタリンと示す。
AcGFP1とDsRed-Monomer間に17アミノ酸のリンカーをつけた
AcGFP1-DsRed-Monomer融合タンパク質(G-17-R)をポジティ
ブコントロールとして用いた。
遺伝 子導入の前日に1×10 5 cells/mlのHeLa細 胞を35 mm培養
Clontech Laboratories, Inc. • www.clontech.com
シャーレに播種後、リポソーム法の遺伝子導入試薬を用いてプラ
スミドをコトランスフェクトした。6時間培養後、培地を交換しさら
に48時間まで培養を続け、画像解析実験の直前にFBSを含まな
いL-15培地へ交換した。
Zeiss レーザースキャン顕微鏡 LSM 510 META Axioplan 2 共
焦点顕微鏡(Carl Zeiss社)により、次のような条件で画像を得
た。緑色チャンネルとFRETチャンネルは488 nm励起のargon/2
レーザー(25 mW, T1とT3=10%レーザー露光)を、赤色チャン
ネルは543 nmの励起のHeNe1レーザー(T2 = 100%)を使用した。
LSM画像はMetamorph 7.0 ソフトウェア(Molecular Devices社)
により解析した。
(FRETについての詳細情報はMolecular Vision
の論文(9)を参照のこと)
FRETのためのAcGFP1とDsRed-Monomerの適合性
FRETの対象蛍光タンパク質間のSpectral bleed-through(SBT;
FRETチャンネル への蛍光の漏れこみ)がFRET顕 微 鏡で 解
析する上で重要な問題となります。我々はAcGFP1チャンネルの
FRETチャンネルへのSBTは最大35%、DsRed-Monomerチャン
ネルのSBTは最大5%であると推定しました。この値は、しばしば
使われているシアン蛍光タンパク質(CFP)と黄色蛍光タンパク質
(YFP)ペア間において観察されるSBT値よりかなり低い優れた
値です(シアンチャンネルの70%が、また黄色チャンネルの20%が
FRETチャンネルに対してクロスオーバーするという報告がありま
す)。
最初にポジティブコントロールとしてG-17-R融合タンパク質を、ネ
ガティブコントロールとしてAcGFP1とDsRed-Monomerをそれぞ
れ単独に使用してコントロール実験を行いました。G-17-RがHeLa
細胞に遺伝子導入された時、強いFRETシグナルが観察されまし
た。しかし、AcGFP1とDsRed-Monomerが共に導入された時は、
非常に弱いシグナルが観察されただけでした。これらの結果はタ
ンパク質間相互作用をFRETにより検出する目的で、AcGFP1と
DsRed-Monomerが利用できることを強く示唆しています。
クリスタリン分子間相互作用の強度の測定
FRET解析のドナーとしてAcGFP1-αA-クリスタリンを使用し、ア
クセプターとして各DsRed-Monomer-クリスタリンを使用しました。
今回解析に用いたクリスタリン分子はすべて、αA-クリスタリンと
相互作用を示しました(次ページ Figure 1)。ドナーとアクセプター
の 濃 度 で 補 正したnormalized FRET(nFRET) の 結 果 から、
ドナーであるαA-クリスタリンとアクセプターであるαA-、αB-、
βB2-、 γC-クリスタリンとの相 互作用の強さを求めました( 次
ページ Figure 2)。 また、 野 生 型αB-クリスタリンと比 較して、
R120G αB-変異体ではnFRETが顕著に減少していることが確認
されました。
Clontechniques July 2008 3
Green
Red
FRET
nFRET
R120G
αB-crystallin mutant
A
B
C
D
αA-R120G αB
αA-γC
+ αA-crystallin
αA-βB2
αA-αB
– αA-crystallin
αA-αA
Wild-type
αB-crystallin
Figure 1. αA-とαB-クリスタリン間の相互作用はαA-とβB2-、または
γC-クリスタリン間の相互作用より強い
AcGFP1-αA-クリスタリンをド ナ ー、Ds-Red-Monomer-クリスタリン
(αA-、αB-、βB2-、γC-、R120G αB-クリスタリン)をアクセプターとして、
HeLa細胞内での相互作用をレーザースキャン顕微鏡を用いてFRETによ
り解析した。Normalized FRETシグナル(nFRET)を右端に示す。
1.2
1.0
Figure 3. R120G αB-クリスタリン変異体を導入した細胞は野生型クリ
スタリンを導入した細胞よりタンパク質凝集を起こしやすい
変異型αB-クリスタリンの凝集はαA-クリスタリンとの共発現によっても減
少しなかった。HeLa細胞には以下の遺伝子が導入され、DsRed-Monomer
のみを検出している。
A: DsRed-Monomer-αB-クリスタリン、
B: DsRed-Monomer-R120G αB-クリスタリン、
C: AcGFP1-αA-とDsRed-Monomer-αB-クリスタリン、
D: AcGFP1-αA-とDsRed-Monomer-R120G αB-クリスタリン.
*
20
αA
+R
12
0
G
αB
αB
0
R1
20
G
Figure 2. αA-クリスタリンと他のクリスタリンとの相互作用
LSM-FRET画像からクリスタリン分子間のnFRET値を定量化した。
40
B
12
0
G
αB
-γC
αA
-R
αA
αA
-β
B2
B
-α
αA
αA
-α
A
0
*
+α
0.2
**
60
αA
0.4
**
80
αB
nFRET
0.6
Percent of cells with protein aggregates
100
0.8
αB-クリスタリンのタンパク質凝集における役割
細胞内で発現させた各クリスタリンの溶解性は、他のクリスタリン
と共発現した場合とは明らかに異なります。αA-クリスタリンが単
独で導入された細胞ではレーザースキャン顕微鏡でもタンパク質
の凝集がほとんど検出されませんでしたが、αB−クリスタリン単
独ではタンパク質凝集が見られました(Figure 3A)。αB-クリス
タリンをαA-クリスタリンとともに導入すると、タンパク質凝集して
いる細胞の割合が1/4以下に減少しました(Figure 3C、Figure
4)。すなわち、Figure 1と2で示されるように、αA-とαB-クリス
タリン間の相互作用によってαB-クリスタリンの細胞内での溶解性
が明らかに増加したと考えられます。
Figure 4. タンパク質凝集におけるαB-クリスタリンの役割
αB-クリスタリンの凝集はαA-クリスタリンとともに導入されると1/4に減少
した。しかしR120G αB-クリスタリン変異体では約30%のみの減少だっ
た。
しかし、野生型の代わりに先天性白内障のR120G変異型のαB-ク
リスタリンが導入された細胞では非常に多くの細胞においてタンパ
ク質凝集が起っており、さらにその凝集体の大きさも増大していま
した。この凝集はαA-クリスタリンとの共発現によってもあまり減
少しませんでした(Figure 3、4)。
FRET顕 微 鏡 でのクリスタリン分 子 間( αA-αA-、 αA-αB-、
αA-βB2-、αA-γC-)の相互作用の検出結果は、HeLa細胞で
のツーハイブリッドシステムやタンパク質溶液中でのFRET解 析
から得られた従来の結果と一致しています。今回のデータでは、
α-クリスタリン間(αA-αA-、αA-αB-)のFRET値が高い傾向
4 Clontech Laboratories, Inc. • www.clontech.com
考察
AcGFP1とDsRed-MonomerはFRET解析に非常に適した組み合
わせであり、さらにSBT値もCFP-YFPのFRETペアよりも優れて
いることが明らかになりました。レンズタンパク質間の相互作用に
関する今後の研究のためにも、よりよい技術を見出すことができま
した。
Clontechniques July 2008
が見られましたが、αA-とαB-クリスタリン分子はβB2-やγC-クリ
スタリンよりも疎水性が強いため、疎水的相互作用のためにα‐ク
リスタリン間のFRETに影響が出ている可能性が考えられます。
タンパク質間相互作用は、タンパク質構造の安定性、細胞機能の
ためのタンパク質複合体形成、タンパク質溶解性の向上など多く
の役割を担っています。眼球レンズにおいてクリスタリン類は、散
乱を最小にしながら光を網膜にフォーカスさせるための屈折率勾
配を生じるように作用しています。正常なレンズ構造を維持するた
めには、さまざまなクリスタリン分子がその構造の安定性を高め
るためにお互いに相互作用しなければなりません。例えば、単独
で発現させたときには可溶性でないβA2-クリスタリンが、βB2-ク
リスタリンと共発現させることにより可溶性が非常に高まることが
近年明らかにされています。βA4-βB2-とαA-αB-クリスタリンに
関しても同様な効果が以前に報告されました。
タンパク質の翻訳後修飾や部位特異的変異は、タンパク質間相互
作用を阻害するか、もしくは減少させると考えられています。これら
のタンパク質間相互作用について、溶液中での相互作用がFRETに
より広く研究されています。AcGFP1とDsRed-Monomerを使った今
回のような細胞レベルのFRETは、タンパク質構造や相互作用の特
性に影響する脱アミド化やCOOH末端切断などの翻訳後修飾を検
証するためにも利用できます。高齢者のレンズにおいて主な翻訳後
修飾である脱アミド化修飾はタンパク質の不安定化を起こし、高齢
者や糖尿病患者のレンズでは、αA-クリスタリンでCOOH末端の5
アミノ酸が切断されているという報告がなされています。
加齢に伴う欠損に加えて先天性白内障変異は、デスミン関連筋疾
患と白内障の原因として知られているR120G αB-クリスタリン変異
も含め、数多く報告されています。今回の結果から得られたαBクリスタリン変異によるnFRETの減少は、タンパク質溶液中や細
胞内での従来の観察結果と一致しています。さらに今回の共焦点
顕微鏡画像から、R120G αB-クリスタリンが野生型αB-クリスタ
リンよりもかなり不溶性であることが示されました。また、変異ク
リスタリンはαA-クリスタリンとともに導入されても、野生型と比較
して凝集の減少が少ないことも示されました。これらの結果はタ
ンパク質凝集の形成がR120G αB-クリスタリン変異によるレンズ
混濁の主要因であることを示唆しています。
今 回の研究では、AcGFP1とDsRed-Monomerを組み合わせた
FRET解析がクリスタリン分子間のタンパク質相互作用の重要性
やレンズ混濁への影響を証明するための非常に有用な方法である
ことも明らかとなりました。
製品紹介
●タンパク質精製と解析
リン酸化タンパク質、リン酸化ペプチド回収の
決定版!
Enriching Posttranslationally-Modified Proteins
(11∼13ページ)
タンパク質の翻訳後修飾のうち、リン酸化は特にシグナル伝達に
重要とされています。その一方で、リン酸化によるタンパク質の活
性制御のメカニズムは十分には明らかとなっていません。この活
性制御の解明には、まずリン酸化タンパク質を高い特異性で回収
することが重要なステップになります。
Clontech Laboratories, Inc. • www.clontech.com
PMAC(Phosphate Metal Affinity Chromatography)樹脂を用い
たPhosphoprotein Enrichment Kitは、約2時間でリン酸化タンパク
質の特異的な回収を実現します。また、Magnetic Phosphopeptide
Enrichment Kitはリン酸化ペプチドの回収効率と作業時間の短縮を
重視したもので、1∼2 pmolのリン酸化ペプチドをわずか30分で回収
でき、MS解析にも最適です。
●細胞生物学 & 遺伝子発現
Clontechの蛍光タンパク質が皆様の研究をサポート
します!
Our Fluorescent Proteins Illuminate Your Assays
(14∼15ページ)
Clontechの蛍光タンパク質製品群は489 nmから649 nmにわたる
広範囲の波長域をカバーしています。Living Colors蛍光タンパク質
[8種のRCFP(Reef Coral Fluorescent Proteins)とAcGFP1]と
フルーツ蛍光タンパク質が含まれ、融合タンパク質作製用ベクター
や細胞局在化ベクターなど約130種類のベクターをラインナップし
ています。
本稿ではこれら蛍光タンパク質の蛍光極大波長や相対的蛍光強
度、推奨されるフィルターセットなどの基本的な情報と、融合タグ
やFRET解析などアプリケーション別に推奨される蛍光タンパク
質を分かりやすくご紹介しています。
研究目的に応じて最適なRNAi誘導方法を選択
Multiple shRNA Delivery Options for RNAi
(20∼21ページ)
RNA干渉(RNAi)を利用した遺伝子の発現抑制は目的遺伝子
の機能を研究する上で欠かせないツールとなっており、siRNAオリ
ゴの導入による抑制と、shRNA発現による抑制が一般的な手法
として知られています。
ClontechはshRNA発現のための各種製品をラインナップしていま
す。プラスミドベクターを用いるシステム、レトロウイルスやアデノ
ウイルスを用いて高効率で導入・発現するシステム(RNAi-Ready
pSIREN-RetroQ Vectorsほか)、Tetシステムを用いたテトラサイ
クリン誘 導性のshRNA発 現システム(Knockout Single Vector
inducible RNAi Systemほか)などに加え、タンパク質ノックダウ
ンを簡便にモニタリングできるProLabelシステムも用意しています。
皆様の研究目的にあわせて最適なシステムをお選びください。
Lenti-XTM HTパッケージングシステムを効果的に用い
るためのより具体的なQ & Aをご紹介
Lenti-XTM HT Packaging System FAQs
(22∼23ページ)
(ここでは本文掲載FAQsから一部をご紹介します。)
Q:パッケージングに293FT細胞やHEK 293細胞を使用できるか?
A: Clontechの実験では、どちらの細胞でもウイルスを産生するこ
とはできましたが、HEK 293T細胞(ATCC, CRL-11268)と比
較して有意に低いタイターしか得られませんでした。293FT細胞
を用いた場合で1/2∼1/3程度、HEK 293細胞を用いた場合には
1/10程度の低いタイターでした。
Clontechniques July 2008 5
Q: Clontechのパッケージングシステムで、他社のレンチウイルスベ
クターは使用できるか?
A: すべてのレンチウイルスベクターを試したわけではありません
が、原理的にすべてのHIV-1ベクターはClontechのシステムで効率
良くパッケージングされ、第3世代のパッケージングシステムよりも
高タイターが得られると考えられます。I社のpLenti6/V5ベクター
(WPREとcPPT/CTS配列をもたない自己不活性化型ベクター)
にZsGreen1遺伝子をクローニングして使用した際には、フローサ
イトメトリーによるタイター測定で3×10 7 IFU/ml以上のタイターを
得ました。Lent-X HTはTatのトランス活性化を利用していますの
で、HIV-1のLTRを持つベクターは持たないベクターよりも高タイ
ターが得られます。また、WPREやcPPT/CTS配列を持たないベ
クターはClontechのpLVXベクターより低いタイターになります。
Q: Clontechでは、最大どれぐらいのタイターを得たことがあるか?
その再現性は?
A: ZsGreen1をクローニングしたpLVXで、フローサイトメトリー
解析により約5×10 8 IFU/mlのタイターを得たことがあります(濃
縮したウイルス液ではなく、上清そのものです)。pLVXベクター
のcPPT/CTSとWPRE、ならびに野生型HIV-1 LTRすべてが高
タイターに寄与します。10種類の蛍光タンパク質を用いて13回独
立してパッケージング反応を行った結果、HeLa細胞へ感染させ
てフローサイトメトリー解析で求めたタイターは、平均で1.85×10 8
IFU/mlでした。
Q: Lent-X HT Packaging Systemを使用する際、ウイルスタイター
に影響するファクターは?
A: 最適化したプロトコールを用意していますが、いくつかのファク
ターがウイルスタイターに影響を与えます。
・293T細胞
継代数の少ない元気な細胞を用いることで、最高のタイターが得
られます。
・プラスミド導入試薬
293T細胞への導入にはLentiphos HTをお勧めします。
・プラスミド導入効率
Clontechでは、Lentiphos HTを用いて常に99%以上の293T細胞
の形質転換を達成しています。
・遠心感染
qRT-PCRではなく、指示細胞に感染させてタイター測定を行う場
合、感染効率はタイター値に影響します。感染効率を最大にする
ためには、感染時に軽く遠心することをお勧めします。詳細はユー
ザーマニュアルをご確認ください。
・ベクター骨格(LTR、WPRE、cPPT/CTSなど)
ベクターの配列はパッケージング効率、すなわちウイルスタイター
に影 響します。ClontechのpLVXはタイターと発現が最適化され
ており、他のベクターよりも高いタイターが得られます。しかしな
がら、あらゆるHIV-1ベースのレンチウイルスベクターで、Lenti-X
HT Packaging Systemを用いることで他のパッケージングシステ
ムより高いタイターが得られると考えられます。
・ターゲット遺伝子
毒性を持つ遺伝子など293T細胞の生育に影 響を与える遺伝子
はタイターにも影響します。また、遺伝子サイズが大きすぎたり、
LTRからの距離が離れずぎていてもパッケージング効率は低減
します。pLVXベクターにクローニング可能なサイズを23ページの
Table 1に示します。
6 Clontech Laboratories, Inc. • www.clontech.com
・トランスフェクションに用いるプラスミドの純度と量
トランスフェクショングレードのベクターDNAを使用してください。
Clontechのプ ロトコール で は、15μlのLenti-X HT Packaging
Mixに対して3μgのDNAを用います。
・テトラサイクリンを含有する血清
Lent-X HT Packaging SystemではTet-Offトランス活性化を利用
しているので、パッケージングはテトラサイクリング非存在下で行
う必要があります。使用する血清にテトラサイクリンが含まれると、
Tet-Offトランス活性化因子の活性が低減し、得られるタイターが
低くなってしまいます。
・ウイルスタイター測定に使用する細胞
タイターは感染に使用する指示細胞に大きく依存します。Clontech
では良く感染するHeLa細胞やHT1080細胞を使用しています。
・タイター測定方法:フローサイトメトリー、qRT-PCR、薬剤選択
各タイター測定方法は感度がさまざまであり、異なるタイター結果
になる場合もあります。例えば同じウイルスでも薬剤選択による
CFU/mlはフローサイトメトリーによるIFU/mlよりも低く出ます。
これは、薬剤選択中に生じる細胞障害やコロニー生育中に形質を
失ってしまうことに起因します。
Q: Lent-X HT Packaging SystemはTet transactivationを使用
しているので、培地にドキシサイクリンを加えるべきか?
A: いいえ、逆です。TREベースのプロモーターはgag-pro、tat
およびrevの発現を制御し(下図)、Tet-Offトランス活性化因子
はテトラサイクリン非存在下においてそのプロモーターに結合する
ことが可能です。したがって、テトラサイクリンフリーの血清を使
用しないとこれらパッケージング用の産物は減少してしまいます。
ClontechのTet System Approved FBS(製品コード 631106)は、
テトラサイクリンフリーが保証された血清です。
Lenti-X HT Packaging Systemには、Tet System Approved FBS
(50 ml)が添付されています(2008年8月13日出荷分より)
。
gag - pro
PTRE
pA
vpr - pol
LTRHIV-2
pA
PCMV
env (VSV-G)
pA
PCMV
Tet-Off®
pA
PTRE
tat
IRES
rev
pA
Lenti-X HT Packaging Mix の5つのコンポーネント
Q: Lent-X HTを用いてパッケージングしたレンチウイルスは濃縮
する必要があるか?
A: 多くの場合、必要ありません。Clontechでは、わずか10μlのウ
イルス上清を用いて10 cmディッシュのHeLa細胞に100%の効率で
形質導入できています。例えばin vivo 実験など、10 9以上のウイル
ス粒子が必要な実験では、ウイルスをプールして超遠心による濃
縮が必要になるかもしれません。
【ご注意】
pLVXなどLenti-X シリーズのレンチウイルスベクターは、プロウイルスにお
いてLTR のプロモーター活性を持つため、これらのベクターを用いた遺
伝子組換え実験は、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様
性の確保に関する法律第13条に基づき、文部科学大臣による拡散防止措
置の確認が必要です。詳細は、平成17年10月14日 科学技術・学術審議
会 生命倫理・安全部会遺伝子組換え技術等専門委員会によるポジショ
ンペーパー「Human immunodeficiency virus 1 型(HIV-I)の増殖力等
欠損株等解釈について」をご参照ください。
Clontechniques July 2008
また、遺伝子組換え実験に関しましては下記のサイトをご覧ください。
「文部科学省 ライフサイエンスの広場>安全に関する取組>遺伝子組換え
実験」http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/anzen.html#kumikae
なお、レンチウィルスベクターを含むLenti-X製品をご購入の際には、これ
らのベクターを使用するにあたり文部科学大臣による拡散防止措置の確認
を受けていることをご提示いただく確認書(Lenti-X シリーズ レンチウイル
スベクター 拡散措置に関する確認書)の添付が必要です。詳細は弊社ウェ
ブサイトをご参照ください。
Clontech 社Lenti-X シリーズ レンチウイルスベクターに関するご案内
http://clontech.takara-bio.co.jp/whatsnew/info/info_LentiVector.shtml
Lenti-X シリーズレンチウイルスベクター 拡散防止措置に関する確認書
http://clontech.takara-bio.co.jp/info/comf/index.shtml
Lenti-X HT Packaging Mix については上記拡散防止措置確認の対象外で
す。研究開発などに係る遺伝子組換え生物等に関する文部科学省・環境省
令および各施設の遺伝子組換え実験に関する規則に従ってご使用ください。
※ Lenti-X HT Packaging Mix のプラスミドはΨパッケージングシグナル
を含まない為、ウイルス粒子に Packaging mix のプラスミド中の遺伝
子は取り込まれません。
●遺伝子クローニング
In-Fusionで自由自在に狙ったとおりのディレクショナ
ルクローニングを!
In-FusionTM PCR Cloning Kits Simplify Your Research
(24∼26ページ)
In-Fusion PCR クローニングを用いれば、直 線化したベクター
と、PCR増幅により調製した末端15塩基にベクター相同配列を有
するDNA断片をご用意いただくだけで、任意のDNA断片を任意
のベクターに正確にディレクショナルクローニングすることができま
す。余分な付加配列の追加が一切起こらず、複数のDNA断片を
同時にクローニングすることもできるため、融合タンパク質発現プ
ラスミドをハイスループットに構築するなど、多様な研究への応用
が可能です。25ページのTalbe II、IIIでは、0.5∼12 kbのDNA
断片を用いた場合に、他社PCRクローニングキットよりも高い効
率と優れた精度で目的クローンの取得できた実験例を紹介してい
ます。Cloning Enhancerが加わったIn-Fusion PCR 2.0 Cloning
Kitでは、操作性の高いDry-Downタイプと汎用性の高いLiquid
タイプの2種 類を用意しています。In-Fusion反 応に用いるDNA
断片のPCR増幅には、High Fidelity PCR酵 素Advantage HD
Polymerase Mixをあわせてご利用ください。
Clontech Laboratories, Inc. • www.clontech.com
Clontechniques July 2008 7
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