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県内大型連休期間中の観光動向について

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県内大型連休期間中の観光動向について
2 0 1 2 年 6 月 8 日
日 本 銀 行 青 森 支 店
県内大型連休期間中の観光動向について
本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行青森支店まで
ご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。
照会先:日本銀行青森支店 総務課 畠山 真一(TEL:
(017)734-9508)
本レポートはインターネット(http://www3.boj.or.jp/aomori/)からもご覧いただけます。
1
県内大型連休期間中の観光動向について
○
今年の大型連休(以下、GW)期間中における当県の観光動向をみると、祭り
の人出や、交通機関・宿泊施設等の利用者数は、大震災の影響により落ち込んだ
2011 年は上回ったものの、GW後半の悪天候もあって、平年比低調に止まった。
もっとも、東北新幹線開業による押し上げ効果が一部にみられたほか、遠方から
の観光客や個人客の比率の高まりを背景とする客単価上昇も手伝い、売上高は善
戦した。今後は、県内の施設が相互連携の取り組みを一層強化することが期待さ
れる。
○
県内各地の桜・春祭りの人出は、GW前半の好天や桜の見頃が重なったことか
ら出足は好調であったものの、後半が天候に恵まれなかったことが大きく響き、
308 万人(2011 年比+6.1%、2010 年比▲18.1%)に止まった。
交通機関利用客数は 2011 年を大幅に上回った(2011 年比+59.5%)。内訳をみ
ると、JALが減便および機体の小型化に伴う提供座席数の減少や悪天候による
欠航便の発生により、2011 年を下回った。一方、JRが臨時ダイヤ(新幹線減便)
により運行していた 2011 年を大幅に上回った(図表1~3)。
○
こうした中、当店では、県内の主要宿泊施設、道の駅、観光施設・駅ビルを対
象として、GW期間中(対象期間:4/28 日~5/6 日)の観光動向に関するアンケ
ート調査を実施した(調査対象先 101 社、回収企業 95 社、回収率 94.1%)。
○
GW期間中の客数、売上高についてのアンケート結果をみると、震災の影響を
受けた 2011 年と比較して、客数、売上高ともに大きく増加した。もっとも、東北
新幹線全線開業前の 2010 年対比では、客数、売上高ともに概ね同水準に止まって
いる(図表4)。
――
宿泊施設では、GW期間中に桜の見頃を迎えるとの事前予測や東北観光博
による集客効果もあって、客数が堅調に推移した先が多く、客単価について
も 2010 年並みの水準に回復したことから、売上高は増加した。
―― 道の駅では、GW後半の悪天候の影響から、客数が伸び悩んだことに加え、
県外客の減少に伴う土産物の販売不振を受け客単価が低下したことから、売
上高は減少した(図表5)。
―― 観光施設・駅ビルでは、2010 年対比では、GW後半の悪天候の影響を受け
て、客数が伸び悩んだものの、団体客比率の低下(個人客比率の高まり)を
背景に客単価が大幅に増加したことから、売上高は増加した(図表6)。
2
○
今年の客数、売上高を地域別にみるとばらつきがあり、震災以降の回復度合い
や東北新幹線開業効果の面で特徴がみられた。すなわち、今年の客数、売上高を
2010 年と比較すると、青森、弘前地区での回復が顕著となっているほか、東北新
幹線全線開業効果の持続性に関する質問に対して、現在も「続いている」、「やや
続いている」と答えた先が過半数に上っている。一方、八戸、十和田やその他の
地域では、客数、売上高ともに伸び悩んでおり、同効果を十分に享受できていな
い先が多い(図表7~8)。
○
県外客の出発地をみると、震災後の 2011 年に強くみられた遠出を避け近隣の観
光地へ出かける動きは解消され、関西・首都圏・南東北からの客足が回復した(図
表9)。
○
こうした中、今回調査では、県内の観光施設間の連携がどの程度行われている
かについてもアンケートを行った。その結果、連携は「十分に行われていない」
との回答が大半を占め、その理由としては、
「立地・交通インフラ」の問題を指摘
した先が最も多かった(図表10~11)。観光施設が県内各地に点在している中、
交通インフラの整備が不十分であり、「観光客が希望した観光地に足を運びづら
い」
、「他の観光施設と交流する機会が少ない」といった声が多く聞かれた。
――
一部ではあるが、観光施設間の共通券の発行や、周辺エリア内でのスタン
プラリー等の企画で連携を進め、客数の増加に繋がっている先もみられる。
○
どこが主体となって観光施設間の連携を進めていくべきかを質問したところ、
「県や市町村」、
「観光協会」を挙げる先が多数を占めた(図表12)。その理由と
して、
「連携を図るためには県内の観光情報を集約し、相互にメリットのあるプラ
ンを構築する必要がある」といった声が聞かれた。もっとも、
「対応が遅い行政機
関に依存するのではなく、各観光施設が主体的に取り組むべき」との意見も一部
で聞かれた。
○
このほか、観光客を呼び込むために取り組んでいる施策を聞いたところ、復興
支援セールの開催や新たな情報媒体(SNS、スマートフォンアプリ等)を活用
した宣伝活動の強化などの施策を行っているものの、多くは観光施設単独での取
り組みに止まっている。今後は、県内の施設(地域)が相互に連携した取り組み
を展開することで、国内の他の観光地との差別化を図ることにより、東北新幹線
全線開業効果を一層高めることが期待される。
3
1.各地の人出等
(図表1)県内各地の桜・春祭りの人出状況
( )内は集計期間、(単位:千人、変化率%)
2010年
212
2,610
247
70
169
16
318
99
青森春まつり
弘前さくらまつり
八戸公園春まつり
黒石さくらまつり
十和田市春まつり
むつ桜まつり
金木桜まつり
さんのへ春まつり
のへじ春まつり
2011年
(4/24~5/9)
(4/23~5/9)
(4/29~5/5)
(4/24~5/5)
(4/20~5/5)
(4/29~5/5)
(4/29~5/5)
(4/25~5/5)
136
2,010
222
48
122
15
284
61
15 (4/29~5/5)
(4/29~5/8)
(4/23~5/8)
(4/29~5/5)
(4/23~5/5)
(4/20~5/8)
(4/29~5/5)
(4/29~5/8)
(4/29~5/5)
163
2,120
213
50
116
15
323
64
0 (中止)
3,756
合計
2012年
(4/28~5/8)
(4/23~5/7)
(4/29~5/6)
(4/28~5/6)
(4/23~5/6)
(4/28~5/6)
(4/29~5/6)
(4/28~5/5)
2011年比
19.9
5.5
▲ 4.1
4.2
▲ 4.9
0.0
13.7
4.9
11 (4/29~5/6)
2,898
6.1
3,075
2010年比
▲ 23.1
▲ 18.8
▲ 13.8
▲ 28.6
▲ 31.4
▲ 6.3
1.6
▲ 35.4
▲ 26.7
▲ 18.1
(資料出所:各祭り本部)
(図表2)過去10年の桜・春祭りの人出推移
(千人)
4,000
3,889
3,500
3,075
3,000
2,898
2,500
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12 (年)
(資料出所:各祭り本部)
(図表3)交通機関の利用状況
( )内は集計期間、(単位:人、変化率%)
2010年
J R
JAL
青森空港
三沢空港
高速バス
合計
336,400
39,875
33,206
6,669
(4/27~5/6)
(4/28~5/8)
(4/28~5/8)
(4/28~5/8)
12,939 (4/29~5/9)
2011年
231,900
37,396
28,304
9,092
2012年
(4/27~5/6)
(4/28~5/6)
(4/28~5/6)
(4/28~5/6)
12,811 (4/28~5/6)
389,214
282,107
410,600
26,428
20,977
5,451
(4/27~5/6)
(4/28~5/6)
(4/28~5/6)
(4/28~5/6)
13,065 (4/28~5/6)
450,093
2011年比
2010年比
77.1
22.1
▲ 29.3
▲ 33.7
▲ 25.9
▲ 36.8
▲ 40.0
▲ 18.3
2.0
1.0
59.5
15.6
(資料出所:各交通機関)
・JRは、東北新幹線(盛岡~八戸)、津軽海峡線(青森~函館)、奥羽本線(普通・特急)(青森~弘前)、リゾ
ート「しらかみ」の上下線の利用者数。
・JALは、青森空港、三沢空港の国内線搭乗者数計。
・高速バスは、青森・八戸・弘前・十和田~東京・上野・仙台・盛岡の輸送人員実績の合計。
4
(以下、当店アンケート結果)
2.大型連休中(4/28 日~5/6 日)の宿泊施設、道の駅、観光施設・駅ビルの利用動向
(図表4)各施設の売上高
2011年比
宿泊施設
増加
横ばい
36
1
44.2
18.0
22.2
▲ 0.1
6.0
▲ 5.7
44.0
44.0
0.0
29.5
15.9
11.7
客数
客単価
道の駅
客数
客単価
観光施設・駅ビル
客数
客単価
合計
客数
客単価
35
25
減少
4
4
13
7
4
12
0
0
1
11
8
26
2
3
1
0
1
0
0
0
2
2
4
13
17
8
11
11
10
60
63
43
2010年比
4.7
4.1
0.6
▲ 11.3
▲ 5.7
▲ 5.9
7.3
▲ 5.7
13.9
0.3
▲ 4.6
5.2
(単位:変化率 %、先)
増加
横ばい
減少
30
1
10
30
23
3
8
8
7
3
8
40
41
39
2
0
1
0
0
0
0
0
2
2
0
9
18
17
13
13
4
8
3
31
30
34
※同一社数ベース(宿泊施設:41先、道の駅:21先、観光施設・駅ビル11先)
(図表5)県外客比率(構成比)
県外客比率(2011年→2012年)
低下した
14%
高ま った
17%
低下した
31%
高ま った
37%
道の駅
全施設
不変
49%
不変
52%
(図表6)団体客比率(構成比)
高 ま った
1%
団体客比率
高ま った
10%
不変
15%
低下した
33%
2010年
↓
2011年
2011年
↓
2012年
不変
57%
低下した
84%
5
(図表7)地域別の客数、売上高(2010 年=100 として指数化)
全施設
2011年
売上高
客 数
売上高
客 数
売上高
客 数
売上高
客 数
青森、弘前
八戸、十和田
その他
全地域
2012年
107
98
93
95
101
91
100
95
87
82
70
86
76
80
77
82
※同一社数ベース(対象先は図表4と同様)
(図表8)東北新幹線全線開業効果(構成比)
その他
2%
その他
5%
続いている
5%
続いている
8%
元々無
かっ た
11%
続いている
27%
元々無
かっ た
37%
やや続い
ている
32%
終了した
30%
やや続い
ている
30%
やや続い
ている
26%
元々無
かっ た
40%
終了した
26%
青森、弘前
終了した
21%
その他の地域
八戸、十和田
(図表9)県外客の出発地(構成比・複数回答可)
2 010年
2 011年
2 012年
14%
7%
51%
10%
36%
9%
13%
50%
関西
8%
6
南東北
17%
32%
16%
首都圏
5%
北海道
5%
秋田・岩手
2%
4%
19%
2%
その他
3.県内観光施設間の連携
(図表10)県内観光施設間の連携の現状(構成比)
十分に行わ
れて いる
28%
十分に行わ
れて いな い
72%
(図表11)県内観光施設の連携が進まない要因(先数・複数回答可)
立地・交通インフラが悪い
34
連携を進めるノウハ ウがな い
27
魅力的な提携先がみつからない
12
行政・金融機関からの支援がない
8
その他
2
0
5
10
15
20
25
30
35
40
(先)
(図表12)連携を進めるうえで、主体となるべきと考える先(先数・複数回答可)
(先)
60
51
50
40
33
30
22
20
13
12
10
5
0
0
7
〈参考〉今回のアンケートで聞かれた主な意見
○観光施設間の連携の主体となるべき先を選んだ主な理由
――県・市町村および観光協会
・企業間だと利益相反の問題があるので、県・市にまとめてもらうのが良い。
・個社ごとの連携だけでは大きな効果は期待できない。
・行政は信頼度が高く、連携を進めるには向いている。
・採算や継続性を考えると資金的に厳しく、小規模経営の企業が主体となるのは難しい。
・地域一体となって実施するためには、県・市など公共機関が先頭にたつべき。
・民間では人員を割く余裕がないため、行政からのサポートをお願いしたい。
・県内で同じ時期に類似のイベントを行っても集客効果が薄く、県、市町村が調整するべき。
――観光施設
・県や市町村には制約が多く、柔軟な対応ができないのではないか。
・すぐに行政に頼るのではなく、観光施設も連携を積極的に行うべき。
・魅力的で斬新な取組みを行うためには、観光施設が自ら考えて行動しなければならない。
○ 観光客を呼び込むための取り組みの例
――各施設単独での取組み事例
・SNS やスマートフォンのアプリを活用した情報発信を行っている。
・復興支援セールを定期的に開催している。
・最寄り駅までの無料送迎バスを運行している。
・ご当地グルメとのコラボ商品を開発・販売している。
・夜間営業などの新しい取組みを進めている。
・マスコミや視察等を積極的に受入れ、地元はもとより全国へのPRに努めている。
・タクシー会社との連携に力を入れている。
・旅行会社が企画しているツアーで、当施設で利用できる金券を提供している。
――施設間の連携事例
・近隣エリアの観光施設の周遊券を組み込んだ宿泊プランを販売している。
・他施設のチケットを提示すると、物販の割引が相互に受けられるサービスを行っている。
・売店で販売する商品やパンフレットを相互に取り扱っている。
・施設間でのスタンプラリーを行っている。
・道の駅でのイベントを手伝いながら、イベント会場で物販を行っている。
・他の観光施設と共催で企画展などのイベントを行っている。
・観光案内所での他地域のニュースレターを取り扱っている。
以
8
上
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