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ま え が き
ま え が き マイクロ波による物質の発熱現象は,現在家庭用の電子レンジとして広く応 用されているが,マイクロ波で物質が加熱できるということが発見されたのは 1940 年代後半であり,応用され始めたのはその後になる。本書においては加 熱(発熱)とは,観測し得る程度の温度上昇が物質において生じることを意味 社 する。 種々物質の加熱への応用が試みられたが,本書でおもに対象とする無機固体 や金属などの加熱や材料プロセッシングへの応用に関してはさらに後になる。 ロ ナ 具体的にはファインセラミックスの研究が盛んになった 1980 年代頃から 1990 年代に研究報告が多く出されている。また,金属はマイクロ波を反射するた め,金属のマイクロ波加熱はあまり試みられなかったが,最近では金属粒子や 薄膜の加熱に関する研究も盛んになっている。 一方,マイクロ波は,通信の目的で第 2 次世界大戦以前から用いられており コ 発振管の開発も進んでいた。そしてマイクロ波は,当時物理や化学の分野で研 究が始まっていた磁気共鳴(電子スピン共鳴)に用いられる周波数帯であった ため,それらの分野では馴染みが深かったと考えられる。 磁気共鳴により物質を研究する際には,マイクロ波出力はせいぜい数十 mW 程度であり,この照射により研究対象とする物質を破壊することは望まれな い。したがって,マイクロ波という電磁波エネルギーを利用して物質を加熱 し,材料プロセッシングを行おうという本書の対象とは,まったく目的を異に する。しかしながら,マイクロ波材料プロセッシングの基礎を理解するために は,材料の基礎的な物性と,電磁波と物質との相互作用について調べることが 必須であり,基礎的な物理 / 化学との連携は必要不可欠であると考えられる。 ところで,マイクロ波照射により物質の温度上昇が生じる理由については, ii ま え が き すでに十分に解明されたことであると考えられているかもしれない。そして, それは本書で述べる電磁波エネルギーのいくつかの損失メカニズムが関与する こともわかっている。エネルギー損失が生じ,熱になるというのはあたりまえ に感じられるし,それで議論を終えてしまっている。しかしながら,熱という のは原子(分子,格子)の振動であるが,室温でもマイクロ波周波数〔GHz〕 よりはるかに高い振動数の格子振動が存在する。電磁波が物質内に入って,内 部の電磁場を GHz の周波数で振動させると,どのようにそれよりもはるかに 高い周波数の原子の振動に変わるのであろうか。また,温度として計測できな いような低い振動数〔GHz〕の振動が生じたとすると,この影響はなんらかの 社 効果として観測が可能となるのか考えてみたい。 本書は,水や有機液体,またポリマーや生体などの加熱プロセッシングより も,無機固体や金属のマイクロ波(加熱)プロセッシングをおもな対象とす ロ ナ る。これらはセラミックス,ガラス,金属,半導体などであり,導電体,絶縁 体(誘電体) ,半導体,磁性体,誘電体などに分類される。 物質のマイクロ波加熱メカニズムとして,水や有機溶液,有機物などはおも に誘電加熱によるが,それ以外の物質である金属や無機固体において生じる誘 導(ジュール)加熱や磁性に関係する加熱を含めて検討を行う。そして熱に変 コ わるメカニズムを議論し,最後に実際の材料プロセッシングにおける研究例と その議論を行う。本書は以下のような構成になっている。 1 章では,電磁波の挙動を記述する電磁波物理について述べるとともに,物 質へのマイクロ波の浸透距離について考える。特に金属の表皮厚さ内の電磁場 に関する議論を詳説する。つぎに,電磁波エネルギーが物質内で誘電損失,誘 導電流損失,磁気損失のいずれかの損失に関係することを電磁気学的に検討す る。また,マイクロ波加熱実験や操業を行うときに基礎となる導波管やキャビ ティーに関する基礎を述べる。2,3,4 章ではそれぞれ誘電損失,誘導損失, 磁気損失について検討する。 2 章では,物質の誘電的性質の基礎からスタートし,マイクロ波エネルギー 損失の原因となる固体における緩和型の誘電損失,および種々物質の誘電率の ま え が き iii 温度依存性について述べる。つぎに,光学領域における誘電緩和(電子分極) の 1 次元振動子モデルを紹介する。これを基にして,金属の誘電率や誘電関 数,共鳴と緩和機構の違いについて考察する。 3 章では,導電性物質内でマイクロ波により誘導電流が生じ,これが電気抵 抗としてジュール発熱を生じることを述べる。誘導電流加熱における被加熱物 の最適寸法,最適周波数について検討する。基礎事項では,誘導損失の基礎物 性である種々の物質の電気伝導度とその温度依存性について説明する。これら 物質の導電率を一括比較するとともに,物質の溶融に際した電気伝導度変化に ついても示す。 社 4 章では,強磁性に起因するマイクロ波エネルギーの損失を説明するための 基礎事項として,磁性体の分類や強磁性体における諸現象について述べる。つ ぎに,マイクロ波周波数による磁気損失として磁気共鳴の影響について検討す ロ ナ る。この中で,強磁性体の高周波磁化と,フェライトにおける電磁波の分散曲 線について考慮する。マイクロ波磁気工学の基礎を述べるとともに,強磁性共 鳴におけるマイクロ波エネルギーの散逸経路を議論する。 5 章では,マイクロ波印加による発熱により温度上昇,すなわち格子振動が 生じることについて検討する。このため基礎事項として,電磁波と格子振動 コ (フォノン)の相互作用に関して述べる。つぎに,発熱機構とまでは至らぬが, 格子振動に関係する例として,内因性(イントリンシック)の誘電損失機構に 関する理論を紹介するとともに,マイクロ波〔GHz〕の弾性波である超音波の 発生に関して行われた過去の研究を紹介する。 6 章では,実際にマイクロ波プロセッシングを行うにあたって,過去の研究 報告を基に,考慮すべきいくつかの現象について紹介する。マイクロ波加熱は 単に熱的現象であるという立場でなく,マイクロ波加熱の非熱的効果があると して,それに関連すると考えられる諸現象について説明する。これらは必ずし も 5 章までに述べた内容と直結している訳ではないが,実際の材料組織制御, 相変化等の励起という点において興味ある観点である。 本書では,金属,無機固体のマイクロ波加熱を理解する上で一般書ではあま iv ま え が き り詳しく説明がなされない以下の項目について,特に記述を加えた。 1: 金属表面(表皮厚さ内)の電磁場,2: 金属の誘電率,3: 導電性と誘電性 の分離,4: 無機固体の誘電損失,5: マイクロ波磁気損失,6: ポンデロモー ティブ力 本書は,材料系の学生や研究者を対象としているが,理解するための材料科 学,電磁気学,固体物理学の基礎を含めた解説を行う。マイクロ波が関係する 電磁場解析,複合誘電率,伝熱現象,反応・移動現象,その他のプロセッシン グに関すること,熱暴走を含む物性変化などに関する解析等について本書では 紹介を省くことにする。各章の緒言においては,そのストーリーを簡単に述べ 社 た。数式や理論展開が難しい箇所を読み飛ばしても全体が理解できるようにし た。 コ ロ ナ 2014 年 3 月 著 者 目 次 1 . 電 磁 波 物 理 1 1 . 2 マイクロ波周波数 2 1 . 3 電磁波の減衰距離 社 1 . 1 は じ め に 3 3 1 . 3 . 2 物質内部における減衰距離 6 ロ ナ 1 . 3 . 1 物質内部における電磁波(Maxwell)の式 1 . 4 誘電体と導電体における電磁波の境界条件 7 1 . 4 . 1 誘電体(導電性がない場合 v=0)の境界条件 7 1 . 4 . 2 完全導体の境界条件 8 1 . 4 . 3 電気伝導度を有する誘電体 1 . 4 . 4 有限の電気抵抗を有する金属(良導体)表面の境界条件 9 12 14 1 . 6 電磁波エネルギーの物質による吸収 20 コ 1 . 5 金属粉体における電磁波の浸透と発熱の解析 1 . 6 . 1 ポインティングベクトル 20 1 . 6 . 2 物質におけるマイクロ波エネルギー損失機構 21 1 . 7 マイクロ波工学基礎事項 23 1 . 7 . 1 概 要 23 1 . 7 . 2 導波管,キャビティー内における電磁場分布 24 1 . 7 . 3 キャビティー内の損失とマイクロ波照射装置 28 vi 目 次 2 . 誘 電 損 失 2 . 1 は じ め に 32 2 . 2 基礎事項: 誘電体と誘電損失 33 33 34 2 . 2 . 3 遷移状態での分極 36 2 . 2 . 4 交番電場での分極 38 2 . 2 . 5 Kramers-Kroenig の関係 39 2 . 2 . 6 誘電率の複素平面プロット 40 2 . 2 . 7 誘 電 損 失 2 . 2 . 8 電子分極と原子(イオン)分極 ロ ナ 2 . 3 無機固体物質の誘電率 社 2 . 2 . 1 直流電場印加による誘電体の分極 2 . 2 . 2 局所電場とクラウジウス・モソッティの式 41 43 44 2 . 3 . 1 電子分極,原子(イオン)分極による誘電分極と誘電損失 45 2 . 3 . 2 無機固体における誘電損失原因-1 45 2 . 3 . 3 無機固体における誘電損失原因-2:緩和型損失 47 2 . 4 物質の誘電率の温度依存性 52 53 2 . 4 . 2 無機固体誘電率の温度依存性 55 コ 2 . 4 . 1 分子双極子による誘電率の温度依存性 2 . 5 物質の誘電率モデル 57 2 . 5 . 1 1 次元振動子モデル 57 2 . 5 . 2 電子分極の誘電率モデル(ローレンツモデル) 58 2 . 5 . 3 緩和損失と共鳴損失 60 2 . 5 . 4 導電性物質の誘電率(ドルーデモデル) 63 2 . 5 . 5 誘電関数と光学的性質 65 2 . 5 . 6 金属の誘電関数と光学定数 66 2 . 6 金属の誘電率に関する話題 67 2 . 6 . 1 電磁メタマテリアル 67 2 . 6 . 2 金属ナノ粒子の誘電的性質 70 目 次 vii 3 . 誘 導 電 流 損 失 3 . 1 は じ め に 72 3 . 2 誘導電流と表皮効果 73 3 . 2 . 1 誘導加熱の最適周波数と最適寸法 74 3 . 2 . 2 誘導電流における表皮効果と異常表皮効果 77 3 . 3 基礎事項: 物質の導電性と伝導電流 78 78 3 . 3 . 2 導電率の周波数依存性と交流インピーダンス 81 3 . 3 . 3 導電性と誘導電流損失 社 3 . 3 . 1 電荷キャリヤの移動度と導電率 3 . 4 基礎事項: 物質の導電率の温度依存性 3 . 4 . 1 金属の電気伝導度の温度依存性 83 85 85 86 3 . 4 . 3 セラミックスの電気伝導と温度依存性 92 ロ ナ 3 . 4 . 2 半導体の電気伝導度の温度依存性 3 . 5 物質の導電率の温度依存性(実例) 100 3 . 5 . 1 種々の物質の導電率の温度依存性 100 3 . 5 . 2 物質の溶融と導電率の変化 102 コ 4 . 磁 気 損 失 4 . 1 は じ め に 104 4 . 2 磁性に関する基礎事項 105 4 . 2 . 1 磁 性 の 分 類 105 4 . 2 . 2 強磁性における交換相互作用 108 4 . 2 . 3 強磁性体の磁区と磁壁 108 4 . 2 . 4 強磁性体の磁化 109 4 . 2 . 5 磁化率の温度依存性に関する理論 111 4 . 2 . 6 高周波における諸現象 113 4 . 3 磁気共鳴に関する基礎事項 116 viii 目 次 4 . 3 . 1 スピンの歳差運動と磁気共鳴 116 4 . 3 . 2 磁化の動力学に関する現象論 119 4 . 4 強磁性共鳴とマイクロ波伝播 124 4 . 4 . 1 マイクロ波磁気工学 124 4 . 4 . 2 フェライトにおけるマイクロ波の分散曲線 128 4 . 4 . 3 自然共鳴(磁区の回転共鳴) 136 4 . 5 強磁性共鳴と緩和 137 4 . 5 . 1 緩 和 過 程 138 4 . 5 . 2 スピン-スピン緩和過程 140 4 . 5 . 3 緩和過程と熱への移行(スピン-格子緩和) 141 4 . 6 . 1 強磁性共鳴による発熱 社 4 . 6 マイクロ波磁気損失に関する研究例 143 143 4 . 6 . 2 マイクロ波磁場によるスピン系のエネルギー(磁気損失に関するシミュ ロ ナ レーション) 145 5 . 熱 と 弾 性 波 動 149 5 . 2 基 礎 事 項 151 コ 5 . 1 は じ め に 5 . 2 . 1 格子振動の基礎 151 5 . 2 . 2 フォノンの分布と音波の減衰 157 5 . 2 . 3 電磁波と格子振動 161 5 . 3 イントリンシックな誘電損失機構 165 5 . 3 . 1 振動子モデルによる誘電率(光学領域) 165 5 . 3 . 2 2 フォノン機構によるマイクロ波吸収 167 5 . 3 . 3 マイクロ波領域におけるセラミックスのイントリンシックな誘電損失 169 5 . 3 . 4 Sparks-King-Mills の理論 171 5 . 4 マイクロ波超音波と強磁性共鳴 173 5 . 4 . 1 マイクロ波超音波の発生 174 5 . 4 . 2 強磁性共鳴とマイクロ波弾性波 175 目 次 ix 5 . 4 . 3 スピン波共鳴とマイクロ波超音波 178 6 . 材料組織・構造形成への影響 6 . 1 は じ め に 183 6 . 2 拡散現象への影響 185 6 . 2 . 1 結晶固体内における原子拡散機構と拡散係数 185 6 . 2 . 2 拡散現象への影響(実験報告) 188 6 . 3 ポンデロモーティブ力の関与する現象 192 社 6 . 3 . 1 ポンデロモーティブ力 6 . 3 . 2 イオン結晶固体における pmf に関する研究例 6 . 4 マイクロ波電場集中の影響 191 ロ ナ 6 . 5 マイクロ波プロセッシングによる材料組織形成 196 200 202 6 . 5 . 1 焼 結 速 度 202 6 . 5 . 2 結 晶 粒 成 長 210 6 . 5 . 3 その他の材料組織形成への影響 215 215 〔 2 〕 結晶化,非結晶化,特殊相の生成 219 〔 3 〕 固 相 反 応 223 コ 〔 1 〕 相変態,相分解 付 録 1 . 誘電率と浸透距離 225 2 . 変位電流が無視できる条件 226 3 . 金属表面における電場 / 磁場分布 227 4 . 電磁波エネルギーの損失 229 5 . 高周波における誘電率,透磁率,導電率 231 6 . イオン結晶中の格子欠陥の緩和損失と誘電率 231 7 . 振動子モデルによる誘電率に関する補足 233 8 . ドルーデモデルによる金属の誘電率 234 x 目 次 9 . 金属自由電子のプラズマ振動数 235 10 . 種々の物質のマイクロ波加熱データ 236 11 . Gilbert 方程式による強磁性共鳴透磁率 240 243 索 引 254 コ ロ ナ 社 引用・参考文献 1 . 電 磁 波 物 理 社 1 . 1 は じ め に マイクロ波プロセッシングを行うためには,物質内に入ったマイクロ波の電 磁場がどのように分布し,吸収されるか検討する必要がある。本章ではこれを ロ ナ 電磁気学の観点から記述する。 本節においてはまず電磁波の分類について述べ,つぎに物質との相互作用を 考える。この基本として電磁波の物質内への浸透距離を考える。数学的に電磁 場を解析する場合は,境界条件の設定が必要であり,これに関して考える。マ イクロ波の誘電体や導電性を有する誘電体への浸透に関しては,物質のイン コ ピーダンスを用いて伝送線理論による解析が行われる。 金属の場合,おもにマイクロ波を反射する。完全導体の場合,導体内部に電 磁場は存在しないが,良導体(有限の導電性を有する)金属では,表皮厚さ内 に電磁波は浸透し,誘導電流がジュール発熱を引き起こす。この表皮厚さ内部 での電磁場分布(おもに磁場)について取り扱う。金属粉末の焼結においては 粉体内部へも浸透するが,その距離は焼結の進行とともに変化するため,それ を追跡しながら解析するのは容易ではない。 マイクロ波(電磁波)のエネルギーフラックスはポインティングベクトルと して表現されるが,このベクトルの発散をとると種々のエネルギー項に分けら れる。これらは,物質の誘電率に関係する誘電損失,透磁率に関係する磁性損 失,そしておもに導電率(透磁率にも依存)に関係する誘導電流損失の項である。 2 1 . 電 磁 波 物 理 マイクロ波は,自由空間の伝送(電磁波伝播)のほか,同軸ケーブルやスト リップライン等で伝送される。それに対し,導波管を使った伝送もおもに行わ れている。本章ではマイクロ波プロセッシングを行うにあたり,導波管やキャ ビティー内の電磁場分布,およびこれを用いた電場磁場分離加熱法についても 説明する。 1 . 2 マイクロ波周波数 電波と光はともに電磁波であることは,周知の事実である。しかしながら電 社 波は電磁波と区別して定義されている。3 THz 以下の周波数の電磁波を電波と 呼び,それ以上を光とする。したがって,マイクロ波は電波である。また波長 m は長さの単位〔m〕であるが,周波数 f は Hz のほか,古くはサイクル c(ど ロ ナ ちらも次元は〔s−1〕 ) ,角周波数(~=2rf〔rad・s−1〕 )も用いられている。ま た分光学では,カイザー〔cm−1〕も用いられる。ここで 30 cm−1=1 THz であ る。マイクロ波周波数に関する種々の事項について,その区別をつぎにまとめ て示すとともに,周波数と波長,電磁波の名称を図 1 . 1 に示す。 1 . 電波法第 2 条では,「電波とは 3 THz 以下の電磁波」となっている。こ コ こで 3 THz は波長 100 nm であるが,波長 0 . 7 ∼ 1 000 nm の電磁波が赤外 線の定義であり,430 ∼ 0 . 3 THz に相当する。4 ∼ 1 000 nm の領域は遠赤 外線と呼ばれる。また,1 mm 以下の電磁波はサブミリ波と呼ばれている。 紫外光 可視光 X線 波長 m 10 nm テラヘルツ波 サブミリ波 マイクロ波 遠赤外 ミリ波 赤外光 1 nm 100 nm 1 cm 周波数 f〔Hz〕 3×1016 3×1014 3×1012 3×1010 10 cm ラジオ波 1m 3×108 28 GHz(1 . 07 cm) 2.45 GHz(12 . 24 cm) 図 1 . 1 マイクロ波の周波数 100 m 1 . 3 電磁波の減衰距離 3 2 . 1 GHz より高い周波数の電波をマイクロ波と呼ぶ場合があるが,915 MHz の場合も一般にマイクロ波として扱われている。 3 . また,一般にマイクロ波とは,300 GHz(波長 1 mm)から 300 MHz(波 長 1 m)の電磁波1)†とする場合も多い。波長がちょうど 1×10n m(n は整 数)となるので,整理しやすいためかもしれない。 4 . GHz の周波数帯を分類するのに L ∼ O バンドという分類法があり,L バンド(1 ∼ 2 GHz) ,S バンド(2 ∼ 4 GHz),C バンド(4 ∼ 8 GHz),X バ ン ド(8 ∼ 12 GHz) ,Ku バ ン ド(12 ∼ 18 GHz),K バ ン ド(18 ∼ 27 GHz) ,Ka バ ン ド(27 ∼ 40 GHz) ,V バ ン ド(40 ∼ 75 GHz),W バ ン ド よるレーダー用のものである。 社 (75 ∼ 110 GHz)が相当する。この分類は,IEEE standard 521-19842) に 5 . 本書においては,おもに電磁波加熱などエネルギーへの応用を考えてい ロ ナ るが,これに関係する周波数帯として ISM 帯 Industrial-Science-Medical (産業科学医療用バンド)がある。これは,ITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)により,もっぱら通信以外の目的 で(例えば高周波エネルギー源に)電波を利用するために設定されている 周波数帯である。 コ 6 . また,マイクロ波域を 300 MHz から 300 GHz と定義する場合,その中 で高い周波数域(30 GHz 付近以上)では,ミリ波,サブミリ波,サブテ ラヘルツ波,遠赤外線などの呼ばれ方をしている。 1 . 3 電磁波の減衰距離 1 . 3 . 1 物質内部における電磁波(Maxwell)の式 物質の中に電磁波が侵入する場合,物質中でどれくらい減衰するか見積もる ことが重要である。この解析を行う際には,つぎに示すように Maxwell の式 † 肩付き数字は,巻末の引用・参考文献番号を表す。 4 1 . 電 磁 波 物 理 の中に入ってくる物質の物性値として誘電率 f,透磁率 n,電気伝導度 v があ り,これらを用いて検討することになる3)∼7)。 d×E =− uB ut d×H =J + (1 . 1) uD ut (1 . 2) ここで,電場 E,磁場 H,伝導電流(密度)J,電束密度 D,磁束密度 B であ り,それぞれベクトル量である。また,D=fE B=nH J=vE である。式 (1 . 1) と式 (1 . 2) より電場 E,磁場 H †に関してはまったく同じ形の微分方程 uE u2E − nf 2 =0 ut ut d2 H − nv uH u2H − nf =0 ut ut 2 (1 . 3) (1 . 4) ロ ナ d2 E − nv 社 式(式 (1 . 3) ,(1 . 4) )が得られる。 ここでは簡単のため,物性値(f,n,v)は複素数ではなく実数値とする。 このため誘電率も透磁率も虚数部(誘電損率 f",透磁損率 n" を 0 とする)が なく,損失は電気抵抗(1 / v)のみによるものとなる。 つぎに,電磁場の時間依存性は E=E0 ei~t,H=H0 ei~t とおいて考えることが コ できる。この時間依存性に関しては,指数関数(exp)内にマイナスをつけ, E=E0 e−i~t,H=H0 e−i~t とおく場合もある。これは時間による位相が進むか遅 れるかの違いで,物理的には本質的に変わらないはずである。しかしながら帰 結される数式に違いが生じてくる。文献によりこの扱いが異なっているため, この点に関して本書では随時注釈を入れることとする。 電場 E に関する微分方程式(式 (1 . 3) )に E=E0 ei~t を代入すると,次式と なる。 ∇2E−c2E=0 (1 . 5) c = −~ fn+i~nv (1 . 6) 2 † 電場 E,磁場 H はそれぞれ電界,磁界とも呼ばれ,それぞれ〔V・m−1〕,〔A・m−1〕の 次元を有する。また,伝導電流密度 J は〔A・m−2〕である。 1 . 3 電磁波の減衰距離 5 c は式 (1 . 6) で与えられるが c=a+ib とおくと,式 (1 . 5) の解は E に対し て式 (1 . 7) の形で表される(ここでは簡単のため,1 次元(z 方向)について 示す) 。同様に,磁場に関しても式 (1 . 8) を得る†。 E=E0 e−az ei(~t−bz) (1 . 7) −az i(~t−bz) H=H0 e (1 . 8) e 式 (1 . 7) ,(1 . 8) において現れる e−az は,電場 E,磁場 H の強度が z 方向に 減衰する割合であり,どちらも同じパラメータ a で決定される。a,b は次式 で示される。 v o −14 1+e ~f b =~ nf * 2 v o +14 1+e ~f 2 1 2 (1 . 9) (1 . 10) ロ ナ 2 1 2 社 a=~ nf * 2 a,b は,それぞれ物性値 f,n,v に依存している。すなわち,f,n,v を 有する媒質内においては,電場も磁場もともに a という特性値をもって減衰 することを意味している。また,d=1 / a がその物質内に浸透する電磁波の表 皮厚さを示している。v=0 の場合には,式 (1 . 9) において a=0 となり,電磁 コ 波の減衰はない(前述のように,f"=n"=0 の場合を考えている)。 E(z,t) e−az z λ= 2r b 図 1 . 2 物性値 f,n,v で決まるパラメータ a, b を有す る物質中の電磁波(電場) cz † E,H の解は,例えば E=E1 e +E2 e−cz のような重ね合わせであるが,z →∞で消滅 −cz する E2 e の項のみを扱う。 6 1 . 電 磁 波 物 理 また,b は物質内で伝播する電磁波の波数である。さらに,式 (1 . 10) にお いて m=2r / b であるため,物質中においては真空中の波長 m0 に対し,v=0 で 電磁波の波長が m0 / nr fr となることを示している†。図 1 . 2 には電磁波(電 場)の振幅と波長がそれぞれ式 (1 . 9) , (1 . 10) で決定されていることが示され ている。 1 . 3 . 2 物質内部における減衰距離 本項では,電磁波の減衰(浸透)距離である d=1 / a について議論するた め,種々の物質について式 (1 . 9) を検討する。まず,一般には金属においては a= ~vn 2 社 v> >~f であるとするため,式 (1 . 9) において誘電率がキャンセルされ (1 . 11) ロ ナ となる。これは,誘導電流加熱の解析の際に重要な金属表面での表皮厚さの式 である(3 . 2 節参照) 。一方,誘電体では式 (1 . 9) において高周波での電気伝 導度 v を v=~f" とおく(この点に関しては,1 . 6 . 2 項および付録 5 で検討す る)と,比誘電率(fr=f / f0,f0:真空の誘電率)を用いて式 (1 . 12) のように 表される。この場合,複素誘電率 fr=fr'−ifr" を考えており,誘電率の実部と コ 虚部の値で特性値 a が決まることになる。 a=~ 1 n0 f0 % ` frlj2+` fr mj2 −frl/ 2 2 (1 . 12) 誘電体においては,fr' か fr" のうち,どちらか一方が大きい場合の電磁波浸 透距離 d の表現方法がある。付録 1 では,浸透距離 d への fr" / fr' の影響を議 論する。 ところで,式 (1 . 11) を導出する際,金属においては v> >~f であるとした。 しかしながら,金属における誘電率 f(実部 f' )の値をどう考えるかについて は重要な問題であり,2 章において詳細に議論する(付録 8 参照)。本当はこ † m0=2 rc / ~=2 r / ` ~ n0 f0 j であり,f=f0fr,n=n0 nr である。ここで,f0,n0 はそれ ぞれ真空の誘電率,透磁率であり,fr ,nr は比誘電率,比透磁率である。 1 . 4 誘電体と導電体における電磁波の境界条件 7 の値がわからなければ v> >~f の議論はできないはずであるが,一般には金属 の誘電率を f0 とおいて考える場合が多い。 また金属の場合,式 (1 . 2) において変位電流 uD / ut を無視するが(付録 2 参照) ,この場合,式 (1 . 2) は次式で書き表すことができる。 (1 . 13) d×H=J これより,式 (1 . 3) , (1 . 4) はそれぞれ次式のようになる。 d2 E − nv uE =0 ut (1 . 14) d2 H − nv uH =0 ut (1 . 15) d2E−i~nvE=d2E−c2E=0 社 E=E0 ei~t とおき,式 (1 . 14) に代入すると (1 . 16) が 得 ら れ, c =a+ bi =± i~nv =± ~nv / 2 _1+i i に よ り †, d=1 / a= ロ ナ 2 / ~nv を得る(ここで i =_1+i i / 2 の関係を用いた)。したがって,こ の解においては,a について式 (1 . 11) が直接得られることになる。 1 . 4 誘電体と導電体における電磁波の境界条件 コ 本節では電磁波が空気(真空)中から物質の中に入って,透過(および物質 による吸収) ,もしくは反射される場合の境界条件について考える。まず物質 として,絶縁体である誘電体(1 . 4 . 1 項)と完全導体(電気抵抗 0,1 . 4 . 2 項) について考察する。つぎに電気伝導度を有する誘電体(1 . 4 . 3 項) ,そして有 限の電気抵抗を有する金属であって誘電率を考慮しない場合(1 . 4 . 4 項)に関 して検討する4)∼7)。 1 . 4 . 1 誘電体(導電性がない場合 v=0)の境界条件 n×(E1−E2)=0, n×(H1−H2)=0 † E=E0 e−i~t とおくと,c =a+ bi =± −i~nv =± ~nv / 2 _i −1i となる。 (1 . 17) 8 1 . 電 磁 波 物 理 n・(D1−D2)=0, n・(B1−B2)=0 これらの式は,図 1 . 3 に示すように,媒質 1 と 2 の境界面(法線方向単位ベ クトを n とする)において,電場と磁場の接線成分(添字 t)(n×E),(n× B)が等しいことを意味し,また境界面において両媒体の電束密度と磁束密度 の法線成分(添字 n) (n・D) , (n・B)それぞれが等しいことを意味している。 この物質内においてロスがなければ(v=0 により導電損がなく,また誘電率, 透磁率も虚数部が 0 である場合を想定) ,境界でもロスがないため,電磁波は どこまでも伝播する。媒質 1 を真空(空気)とした場合,境界条件は式 (1 . 18) のようになる。 H1 t =H2 t , f0 E1 n=fE2 n , 4 n0 E1 n= nE2 n ロ ナ ここで n,t は法線,接線成分を表す。 社 E1 t =E2 t , D1n=n・D1 n B1n=n・B1 H1t=n×H1 E1t=n×E1 H2t=n×H2 E2t=n×E2 D2n=n・D2 (1 . 18) 媒質 1 媒質 2 B2n=n・B2 コ 図 1 . 3 絶縁体界面における電磁場の境界条件 1 . 4 . 2 完全導体の境界条件 図 1 . 4 のように,媒質 1 を空気(真空) ,媒質 2 を完全導体とする。 n×E1=0, n×H1=Js n・D1=ts , n・B1=0 4 (1 . 19) この境界条件は,媒質 1 についてのみ記述されているが,媒質 2 の完全導体 内,および表面では E2=H2=0 である。すなわち完全導体中には,電磁波は 入らないということである。また,式 (1 . 19) の表面電流 Js は媒質 2 の表面に 生じることになるが,これは媒質 1 の磁場(接線方向)を用いて式 (1 . 19) で 記述される。ts は表面上の電荷密度である。 1 . 4 誘電体と導電体における電磁波の境界条件 9 E1 ts 媒質 1: 空気(真空) n Js 媒質 2: 完全導体 H1 n:表面法線単位ベクトル E2=H2=0 図 1 . 4 誘電体と完全導体の 間の境界条件 ここで議論している金属は完全導体であり,電気抵抗のない金属表面にある 電流 Js が生じると考えるだけである。金属中にどれくらいの深さ範囲で電流 社 が流れるか,具体的な表皮厚さは考えられず,式上で Js が与えられても,金 属の導電率は無限大であり,実際に Js による損失はない。また,実際に Js を 見積もることはない。この境界条件は,金属表面に隣接する空間(例えば,導 ロ ナ 波管やキャビティー内: 媒質 1 は空気や真空)内におけるマクロ的な電磁場 を解析するために用いられる境界条件である(電気壁境界条件)。 1 . 4 . 3 電気伝導度を有する誘電体 つぎに電気伝導度を有する誘電体に関しては,インピーダンスという周波数 コ に依存した変数を用いて解析が行われている。本節ではまず物質のインピーダ ンスを定義する。 〔 1 〕 電気伝導度を有する誘電体のインピーダンス 前項で述べたよう に,物質内の電磁場はその物質の誘電率 f,透磁率 n,電気伝導度 v を用いて 記述することが可能である。物質内の電磁波における電場,磁場もつぎのよう に表すことができる(式 (1 . 7) , (1 . 8) 参照) 。 E=E0 e−cz=E0 e−az ei(~t−bz) (1 . 20) H=H0 e−cz=H0 e−az ei(~t−bz) (1 . 21) ここで c=a+ib である。つぎに E0 と H0 との関係を調べる。E も H も z 方向 に進行しているが,その中で E0 が x 方向に振動しており(E0x 成分),H0 は y 方向の振動成分 H0y を持つとする(図 1 . 5) 。 10 1 . 電 磁 波 物 理 y x E0x 0 H0y z 図 1 . 5 z 方向に進行する物質内電磁波における電場,磁場の振 動方向 E0x=E*0x e−cz とおき,さらに H=H e 社 (1 . 22) * i~t として,これを式 (1 . 1) に代入すると次式のように なる。 u _ nH i uB =− =− n~ iH ut ut ロ ナ d×E =− (1 . 23) において H0y を ここでd×E は (uE0x / uz)・j(y 方向成分)となり,式 (1 . 23) 代入すると次式が得られる。 −cE*0 x e −cz=− n~ iH0 y , H0 y= c E e −cz n~ i 0 x (1 . 24) コ したがって,電場と磁場の大きさの比は,およそ E0 x n~ i /Z= H0 y c (1 . 25) で表され,Z を媒質のインピーダンスと称する。これは電気抵抗の次元を有す る( 〔V・m−1〕/〔A・m−1〕 = 〔V・A−1〕 ) 。c=a+bi であるため,式 (1 . 9) , (1 . 10) , (1 . 24) , (1 . 25) より,Z は次式のようになる。 Z= n~ a +b 2 2 = n f 1 1 v2 4 f 1+ 2 2 p ~ f (1 . 26) したがって,Z は v / ~f が大きくなると減少するとともに,金属の場合に仮 定した v> >~f においては, Z = ~n / v となる。特に周波数が低いほど,Z 索 引 【え】 アイソレータ 31, 124 アイリス窓 29 アインシュタインの関係式 83 アクセプタ 90 アクセプタ準位 89 アプリケータ 23 アモルファス 221 アモルファスシリコン 219 アルミナ多孔質膜 209 アレニウスプロット 189, 208, 212, 221 永久双極子 33 泳動(ドリフト) 185 液相焼結 203, 208 エクストリンシック 169 エコーパルス 174 エネルギー損失 229, 242 エネルギーバンドギャップ 88 遠赤外線 167 円筒型 24 エントロピー弾性 63 円偏波 127, 177 【い】 【お】 ロ ナ コ イオン空孔 48, 94, 96, 194 イオン結晶 48, 193, 231 イオン結晶固体 33 イオン伝導 50, 92, 96, 102 イオン電流 196 イオンの移動度 83 異常表皮効果 77 位相整合 237, 238 位相速度 130, 152 移動抵抗 59 移動度 78 異方性磁場 111, 115 イントリンシック 50, 165, 169, 170 インピーダンス 9 インピーダンス整合 30 【う】 渦電流損 113 活性化エネルギー 39, 55, 185, 187, 189, 208, 212 可動終端金属壁 29 可動電荷種 200 ガーネット構造 106 ガラス 45, 46, 52, 85, 95 慣性力 62 完全導体 1, 8, 227 管内波長 26 緩 和 62, 137 緩和型 44, 62 緩和型損失 47, 51 緩和過程 138 緩和関数 38 緩和機構 158 緩和強度 54 緩和現象 139 緩和時間 38, 78, 158, 159 緩和損失 231 緩和ピーク 39 社 【あ】 音響分枝 音響モード 音 速 温度依存性 温度勾配 音 波 167 153, 163 155, 159 86 191 162 【か】 外因性半導体 回転運動 回転共鳴 回転磁化 外部磁場 外部静磁場 拡散係数 拡散現象 拡散の異方性 拡散流束 86, 89 42 115, 136 119 118, 240 143 185 185 191 191, 218 【き】 キャリヤの移動度 79, 87 吸収曲線 121, 140 キュリー温度 105, 237 境界条件 7, 227 凝固組織 222 強磁性 105 強磁性共鳴 124, 137, 143, 173, 240 強磁性体 22, 108 強磁場 175 共 振 29, 237 強制振動 58, 166, 167 索 引 255 【く】 原子拡散機構 185 原子間ポテンシャル 155 原子空孔 55, 185 原子磁気モーメント 105 減衰距離 6 減衰係数 160 減衰項 119 減衰振動 57 減衰メカニズム 160 【こ】 コ 空 隙 193 空孔機構 186 空洞(キャビティー) 23 矩形型 24 駆動力 185, 191, 192, 195, 204 クラウジウス・モソッティ 36 ─の関係 71 ─の式 34, 232 クロスオーバー 141, 142 群速度 152 【け】 形状磁気異方性 110 結晶化 202, 215, 219 結晶磁気異方性 110, 111 結晶粒 201 結晶粒界 100, 189 結晶粒径 204 結晶粒成長 202, 210 結晶粒成長速度 203, 207 原子(イオン)分極 43, 233 サセプタ 99, 205, 219 酸化物 101 酸化物半導体 87 酸素分圧依存性 93 残留磁化 114 残留損 113 【し】 磁 化 180 磁化機構 109 磁化の方程式 124 磁化容易軸 111 磁化率 111, 241 時間平均 198, 230 磁気異方性 110, 145 磁気機械結合 177 磁気共鳴 115, 140 磁気損失 20, 137, 237 磁気弾性 173, 176 磁気弾性波 174 磁 区 108 磁区構造 136 自然共鳴 113, 115, 136, 137 磁束密度 4, 144 実効値 230 磁 場 4, 13 磁場最大位置 237 自発磁化 105, 108 磁場分布 76 磁 壁 108 ─の移動 109 シミュレーション 193, 197, 209 遮断波長 26 ジャンプ頻度 96, 186, 187 周期構造体 68 集団運動 235 集中効果 192 自由電子 234 周波数 2, 21, 23, 39, 44, 54, 74, 76, 113, 121, 163 縮 退 139 社 固相焼結 203 固相反応 202 光学分枝 167 光学モード 153 交換エネルギー 131, 146 交換磁場 132 交換積分 108, 112 交換相互作用 108, 112, 131, 175 交換相互作用エネルギー 146 格子欠陥 47, 50, 85, 231 格子振動 79, 80, 85, 138, 141, 151, 153, 164, 165 高周波磁性材料 115 高周波電場 195 高周波複素透磁率 122 光 速 152, 225 交流インピーダンス 78 交流インピーダンス法 81 固相反応 202, 223 固体イオニクス 98 孤立気孔 203 混合導電体 97 ロ ナ 共 鳴 62 共鳴型 44, 62 共鳴吸収 121 共鳴磁場 145 共鳴周波数 118, 128, 130, 136 共有結合性 98 共有結合性物質 202 局在表面プラズモン共鳴 71 局所電場 34 極性分子 53 均一歳差運動 134 均一モード 138, 141 金 属 85, 161 金属細線 68 金属ナノ粒子 67 金属粉体 15 金属粉末 14 金属粒子 15 【さ】 歳差運動 最終到達密度 最適周波数 最適寸法 再配列過程 材料組織形成 115, 116 206 74 74 204 202 256 索 引 超音波 超音波エコー 直接マイクロ波加熱 直線偏波 ロ ナ コ 【す】 スイッチング関数 57 スタブチューナー 30 スタブ調整 238 スピネル型 95 スピネル構造 106 スピノーダル分解 216, 217 スピン-格子緩和 121, 138, 141 スピン歳差運動 179 スピン-スピン緩和 122, 138 スピン-スピン緩和過程 138, 140 【た】 多結晶体 211 縦緩和 121 縦 波 155 縦波速度 151 弾性エネルギー 111 弾性衝突 157 弾性波 142 弾性波動 151, 153, 162 弾性変位 177, 180 【ち】 緻密化 超イオン伝導体 204, 211 96, 102 151 182 223 127 【つ】 粒成長速度 211 【て】 定在波 26, 180 デバイ温度 86, 155, 157 デバイ型 38, 139 デバイ型緩和 140 デバイ緩和 45, 233 デバイ緩和型 51, 55 デバイ振動数 155, 157 出払い領域 90 デルタ関数 172 電荷分布 193 電荷密度 8 電気機械結合 174 電気双極子 21, 33, 59, 165 電気抵抗 85 電気伝導度 4, 86, 226, 235 電気壁 9 電気炉加熱 206, 209, 213, 215, 222, 223 電 子 87 電磁気力 175 電子伝導 92, 102 電磁波 2 電磁波エネルギー 20, 29, 115, 138, 149 電磁場解析 15, 16 電磁波浸透距離 6 電磁波伝播 128 電磁場分布 15, 25, 227 電子分極 43, 166, 233 電磁メタマテリアル 67 電子レンジ 31 電束密度 4, 60 テンソル透磁率 124, 126 伝導電子 161 社 ジュール加熱 130 17 スピン波 ジュール損失 145 スピン波共鳴 142, 178, 179 ジュール発熱 95 1, 73, 161 スモールポーラロン 昇温速度 213 【せ】 焼 結 15, 17, 202 焼結過程 193, 203 正 孔 87 焼結初期過程 200 静磁界 116 焼結助材 100, 212 静磁場 182 焼結速度 189, 202, 206 静磁場印加 175 常磁性 106 正常粒成長 212 常磁性共鳴 118 静電エネルギー 218 常磁性体 111 整 流 193 状態密度 154, 157 ゼーマンエネルギー 132 状態密度関数 88 (ゼーマン)分裂 118 衝突時間 64, 234, 235 セラミックス 45, 193 蒸発凝縮機構 204 遷移状態 36 磁 歪 111, 173, 180 線収縮率 204 シングルモード 潜伏期 238 214, 236, 238 【そ】 シングルモードキャビティー 28 双極子モーメント 34, 231 伸縮運動 42 相分離 217 真性半導体 86 相変化 202 真性領域 90, 100 相変態 215 振動運動 42 促進効果 207 浸透距離 1, 73, 225 速度過程 215 振動子モデル ソーダ石灰ガラス 102 57, 63, 165, 233 損失電力 20 振動電場 191 索 引 257 【と】 11 入射波 【ね】 熱エネルギー 158 ネック 200, 203 熱振動 151, 162 熱伝導度 158 ネットワークアナライザ 30 熱フォノン 158, 160, 161 熱平衡 146 熱平衡状態 48 熱平衡分布 157, 161 熱暴走 55, 206 燃焼合成反応 224 【の】 濃度勾配 濃度の揺らぎ 濃度波長 濃度プロファイル コ ロ ナ 透過係数 11 透過波 11 同軸ケーブル 23 動重力 191 透磁率 4, 126, 231 等電位線 200 導電性物質 63 導電率 78, 231 導波管 23, 24 導波管内 25 透明セラミックス 212, 214 特殊効果 191 特殊相 222 特性拡散距離 194 特性値 5, 225 特性(減衰)距離 160 ドナー 90 ドナー準位 89 ドープ 239 ドープ量 90 ドリフト 78, 85 ドリフト速度 79 ドリフト電流 79 ドルーデモデル 63, 66, 234 【に】 【な】 内 的 内部磁場 165 110 半導体 86, 101, 161 半導体発振器 23 バンド間遷移 162 バンドギャップ 90, 92, 162 バンド構造 69, 92 半値幅 61 反応経路 223 【ひ】 ピーク温度 51 非結晶化 221 非酸化物セラミックス 98 非晶質化 221 ヒステリシス損 113, 115 ヒステリシスループ 113, 114 左手系の材料 69 非調和項 156 非調和振動 155, 156, 167, 171 非熱的(な) 効果 191, 208, 224 非熱的分布 173 非熱平衡相 222 非熱平衡的分布 161 比誘電率 6, 38 表皮厚さ 1, 6, 74, 227 表皮効果 77 表面インピーダンス 14, 227, 228 表面温度 189 表面拡散 204, 209 表面拡散係数 196 表面電荷密度 227 表面電流 8 表面プラズモン 70 頻度因子 39, 187 社 伝導電流 4 電 波 2 電 場 4 伝 播 6, 124, 150, 152 電 場 13 ─の集中 103 電場最大位置 189, 237 電場 / 磁場分布 27 電場 / 磁場分離加熱 28, 236 電場集中 200 電場分布 200, 218 191 217 219 188 【は】 配向分極 39, 62, 233 ハイブリッド加熱 205, 219, 223 波 数 6, 131, 134, 159, 175, 217 波 長 2, 6, 26, 81, 131, 141, 151, 153, 162, 170 発熱量 76, 83 反強磁性 107 反磁性 107 反磁場 110, 133, 136 反磁場係数 110, 133 反射係数 11 反射波 11 反転(ウムクラップ) プロセス 155 反電場 235 反電場係数 35, 71 【ふ】 フェライト 94, 106, 115, 124, 129, 145, 221 フェリ磁性 106, 221 フェルミエネルギー 79 258 索 引 【へ】 【ま】 マイクロ波加熱 100, 190, 211 マイクロ波加熱速度 56 マイクロ波吸収 167 マイクロ波磁気工学 124 マイクロ波磁場 125 マイクロ波周波数 226 マイクロ波焼結 15, 206, 207 マイクロ波超音波 173, 174, 178 マイクロ波電場 185 マイクロプラズマ 208 マグネタイト 145 マグネトロン 23, 143 マグノンバンド 135, 138 摩擦係数 58 摩擦力 62 マルチモード 236, 238 マルチモードアプリケータ 31, 214 ロ ナ 77, 158 160 142 42 7, 13, 226 215 216 217 コ 平均自由行程 平均衝突時間 平行励起 並進運動 変位電流 変態促進効果 変態率 変調構造 ポンデロモーティブ力 191, 207 【ほ】 ポアッソンの式 195 ポインティングベクトル 1, 20, 229 方向性結合器 31 放電プラズマ焼結 208 飽和磁化 111, 114, 125, 136, 144 保磁力 114 ボーズ-アインシュタイン 統計 155, 157 ホッピング 139 (ホッピング)伝導 81 ホッピング伝導 95 ポーラロン 95 誘電体 6, 7, 11, 14, 33, 60, 69, 159, 160, 170 誘電体共振器 170, 223 誘電伝導 22, 231 誘電率 4, 166, 226, 231 真空の─ 6 誘導電流 1, 73, 75, 227 誘導電流加熱 6 誘導電流損失 20, 21, 55 【よ】 溶融温度 横緩和 横緩和時間 横 波 横波速度 社 フォノン 141, 153, 163 復元力 61, 62 複素透磁率 20 複素誘電率 20 不純物原子 85 不純物領域 90 不定比酸化物半導体 92 プラズマ振動数 65, 67, 235 プラズモン 236 プランジャー 29 ブリルアン散乱 165 ブリルアンゾーン 153 ブリルアンゾーン境界 154 ブリルアンゾーン端 167, 168, 171 分散関係 152 分散曲線 128 【み】 右手系の材料 69 【む】 無機固体 無秩序分布 45 171 【め】 メタマテリアル 103 121 140 155 151 【ら】 ラマン散乱 165 【り】 粒界移動 203, 211 粒界拡散係数 205 粒界層 100 粒界面 202 流 束 195 良導体 1, 12, 14, 227, 228 臨界波数 218 【れ】 レイリー定数 114 【ろ】 69 【ゆ】 融 解 102 誘電関数 65 誘電損失 20, 21, 33, 41, 169 誘電損失機構 168 誘電損率 39, 169 ローレンツ(型の)関数 61, 172 ローレンツ電場 35 ローレンツモデル 58, 60, 66, 165, 234 ローレンツ力 174 【わ】 ワイドギャップ半導体 92 索 引 259 【A】 【L】 161 【B】 Bloch-Bloembergen 式 122, 138 Landau-Lifshitz の式 Landau-Rumer の理論 【M】 【N】 194 【F】 94, 143, 145 119, 137 145 176, 178 Fe3O4 FMR FMR 加熱 FMR 条件 【K】 コ Kittel 133, 175 Kittel 共鳴 134 Kramers-Kroenig の関係 39 Verwey 転移 95 【X】 191 170 29 215 X 線回折 【Q】 120 240 3 ISM 帯 pmf 28 24 24 92, 215 24 154, 167 171 164, 165 【V】 【P】 ロ ナ 【I】 93 157 NiO N(正常)-プロセス Q Q値 【G】 Gilbert の式 Gilbert 方程式 3 Maxwell の式 【D】 Debye-Huckel 層 120 160 社 Akhiezer の理論 TE103 TEM モード TE モード TiO2 TM モード TO TO 分枝 TO モード 【Y】 106 106 Y3Fe5O12 YIG 【S】 【Z】 Schlömann の理論 170 Si 101 SiC 99, 101 Si ウエハー 219 Snoek の限界 115 Sparks 168, 169 Zeeman エネルギー 146, 176 Zeeman エネルギー項 146 【T】 TA tan d 165, 167 45, 171 【数字】 2 フォノン機構 167, 169 2 フォノンプロセス 167 2 フォノンモデル 171 2 マグノン過程 138, 139 3 d 電子 105 3 d 不対電子 108, 221 ―― 著 者 略 歴 ―― 東北大学工学部卒業 工学博士(東北大学) 東北大学助教授 東北大学准教授(大学院環境科学研究科,工学部材料科学総合学科) 現在に至る ロ ナ 社 1980 年 1988 年 2003 年 2007 年 材料マイクロ波プロセッシングの基礎 Introduction to Microwave Processing of Materials Ⓒ Noboru Yoshikawa 2014 2014 年 6 月 23 日 初版第 1 刷発行 著 者 発 行 者 コ 検印省略 印 刷 所 ★ 吉 川 昇 株式会社 コロナ社 代 表 者 牛来真也 新日本印刷株式会社 112 0011 東京都文京区千石 4 46 10 発行所 株式会社 コ ロ ナ 社 CORONA PUBLISHING CO., LTD. Tokyo Japan 振替 00140 8 14844 ・ 電話(03)3941 3131(代) (製本:愛千製本所) ISBN 978 4 339 04637 3 (大井) Printed in Japan 本書のコピー,スキャン,デジタル化等の 無断複製・転載は著作権法上での例外を除 き禁じられております。購入者以外の第三 者による本書の電子データ化及び電子書籍 化は,いかなる場合も認めておりません。 落丁・乱丁本はお取替えいたします