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学校法人及び私立学校(幼稚園)の管理・運営について 1 私立学校と学校

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学校法人及び私立学校(幼稚園)の管理・運営について 1 私立学校と学校
平 成 2 3 年 2 月 4 日
茨城県総務部総務課私学振興室
学校法人及び私立学校(
幼稚園)
の管理・運営について
1 私立学校と学校法人の位置づけ
(1)私立学校と学校法人
①学校の定義
学校とは,学校教育法第1条に定められる幼稚園,小学校,中学校,高等学校,
中等教育学校,特別支援学校,大学及び高等専門学校をいいます。
また,学校教育法第1条に定められる以外の教育施設として,職業若しくは実
際生活に必要な能力の育成等を目的とする専修学校(学校教育法第 1
2
4条)が,
その他学校教育に類する教育を行うものとして各種学校(学校教育法第 1
3
4条)
が規定されています。
②学校の設置者
学校を設置することができる者は,国(国立大学法人等含む。
)
,地方公共団体
公立大学法人を含む。
)
及び学校法人とされています
(学校教育法第2条第1項)
。
ただし,私立の幼稚園については,所轄庁の認可を受けることにより,学校法
人以外の者(社会福祉法人等)でも設置することができる場合があります(学校
教育法附則第 6条)
。
③私立学校の定義
「私立学校」とは,学校法人が設置する学校(
学校教育法第 2条第 2項,私立
学校法第 2条第 3項)
をいいます。
④学校法人の定義
「学校法人」とは,私立学校の設置を目的として,私立学校法の定めるところ
により設立される法人をいいます(
私立学校法第 3条)
。私立専修学校又は私立各
種学校の設置のみを目的とする法人については,学校法人に関する規定が準用さ
れることから(
私立学校法第 6
4条)
,準学校法人と通称されることがあります。
⑤私立学校と学校法人の関係
学校法人が私立学校の設置者であり,私立学校を管理運営し,私立学校の経費
を負担(
学校教育法第 5条)
します。学校法人が権利義務の主体となります。
(2)学校法人(寄附行為)の認可
学校法人を設立しようとするときは,当該私立学校の所轄庁に対し,学校法人
1
の寄附行為認可申請を行い,認可を受けることが必要となります(
私立学校法第 3
1
条第 1項)
。
認可に当たっては,文部科学大臣の定める基準及びこれに基づいて知事が定める
審査基準等に従って審査することとされています。
また,認可の際には,あらかじめ私立学校審議会の意見を聴くこととされていま
す(
私立学校法第 3
1条第 2項)
。
(3)寄附行為変更認可
寄附行為を変更しようとするときは,所轄庁に対し,学校法人の寄附行為認可申
請を行い,認可を受けることが必要となります(
私立学校法第 4
5条第 1項)
。
認可に当たっては,文部科学大臣の定める基準及びこれに基づいて知事が定める
審査基準等に従って審査することとされています。
ただし,次に掲げる変更については,所轄庁の認可を要せず,届出のみとされて
います(
私立学校法施行規則第 4条の 3
)
。
①学校及び課程の設置廃止を伴わない学校,専修学校及び各種学校の名称の変更
②事務所の所在地の変更(所轄庁の変更を伴う場合を除く。
)
③公告の方法の変更
(4)私立学校の設置認可
私立学校を設置しようとするときは,当該私立学校の所轄庁に対し,学校法人の
寄附行為(
変更)
認可申請を行うとともに,当該学校の設置認可申請を行い,認可を
受けることが必要となります(
学校教育法第 4条)
。
設置認可に当たっては,文部科学大臣の定める設置基準及びこれに基づいて知事
が定める審査基準等に従って審査することとされています(
学校教育法第 3条)
。
なお,私立学校設置認可に際しては,あらかじめ私立学校審議会の意見を聴くこ
ととされています(
私立学校法第 8条)
。
(5)私立学校に係る変更等の認可
私立学校の廃止を含む各種変更等をしようとするときは,当該私立学校の所轄庁
に対し,変更等の認可申請を行い,認可を受けることが必要となります。
認可が必要とされる変更等については,次に掲げるとおりです。
①学校の廃止(学校教育法第4
条1
項)
②学科,
課程の設置・
廃止(学校教育法第4
条1
項)
③設置者の変更(学校教育法第4
条1
項)
④広域通信制の課程に係る学則の変更(学校教育法第4
条1
項)
⑤収容定員に係る学則の変更(学校教育法第4
条1
項)
⑥専修学校の設置・
廃止(学校教育法第8
2
条の8
)
2
⑦専修学校の課程の設置・
廃止(
学校教育法第8
2
条の8
)
⑧専修学校の設置者・
目的変更(
学校教育法第8
2
条の8
)
(6)学校法人の資産
学校法人は,その設置する私立学校に必要な施設及び設備又はこれらに要する
資金並びにその設置する私立学校の経営に必要な財産を有しなければなりませ
ん(
私立学校法 2
5条第 1項)
。
①基本財産
・基本財産とは,施設(校地,校舎)
,設備(教具,校具(教育上必要な机,
椅子等)又はこれらに要する資金をいいます。
・学校法人設立に際しては,基本財産は原則として負担付き又は借用のもの
でないこととされています(
昭和 2
5年私立学校法施行通達)
。
②運用財産
・運用財産とは,私立学校の経営に必要な財産をいいます。
・運用財産は,学校の種類,規模に応じて,毎年度の経常支出に対し,授業料,
入学金等の経常的収入その他の収入で収支の均衡が保てるものであることと
されています(
昭和 2
5年私立学校法施行通達)
。
(7)学校法人の登記
学校法人は,組合登記令の定めるところにより,各登記事項を登記しなければな
りません(
私立学校法第 2
8条)
。
①学校法人の登記事項(
組合等登記令第 2条)
ア 目的及び業務
イ 名称
ウ 事務所
エ 代表権を有する者の氏名,住所及び資格
オ 存立時期又は解散の事由を定めたときはその時期又は事由
カ 資産の総額
キ 学校の名称
②変更登記
上記①の登記事項に変更が生じた場合,ア∼オ及びキについては,変更が生じ
てから2週間以内に,カについては毎会計年度終了後2ヶ月以内に変更の登記を
しなくてはなりません(
組合等登記令第 3条)
。
(8)学校法人の収益事業
学校法人は,その設置する私立学校の教育に支障のない限り,その収益を私立
学校の経営に充てるため,収益を目的とする事業を行うことができます(
私立学校
3
法第 2
6条第 1項)
。
①収益事業の種類
収益事業の種類は,私立学校審議会等の意見を聴いて所轄庁が定めます(
私立
学校法第 2
6条第 2項)
。ただし,学校を設置する法人として教育上支障のない範
囲の事業に限られています。
②収益事業の会計
収益事業に関する経営は,私立学校の経営に関する会計から区分し,特別の
会計として経理しなければなりません(
私立学校法第 2
6条第 3項)
。
(9)学校法人及び私立学校に係る変更等の届出
所轄庁の認可を要せず,届け出のみで足りる学校法人及び私立学校に係る変更等
については,次に掲げるとおりです。
なお,いずれの変更等の場合にあっても,原則として評議員会への諮問及び理事
会の議決を要することとされています。
①学校の目的変更(
学校教育法施行令第 2
7条の 2
)
②学校の名称変更(
学校教育法施行令第 2
7条の 2
)
③学校の位置(
住所)
変更(
学校教育法施行令第2
7
条の2
)
④学則(
園則)
の変更(
収容定員に係るものを除く)(
学校教育法施行令第2
7
条の2
)
⑤経費の見積り及び維持方法の変更(
学校教育法施行令第2
7
条の2
)
⑥専攻科(
別科)
の設置又は廃止(
学校教育法施行令第2
7
条の2
)
⑦校地,校舎その他直接教育の用に供する土地及び建物に関する権利を取得し若し
くは処分しようとするとき又は用途の変更,改築等によりこれらの土地及び建物
の現状に重要な変更を加えようとするとき(
学校教育法施行令第2
7
条の2
)
⑧校長(
園長)
の決定(
学校教育法第 1
0条)
⑨専修学校学科設置又は学科廃止に係る学則の変更(
学校教育法第 1
3
1条)
⑩役員の変更(
私立学校法施行令第 1条第 2項)
⑪登記事項の変更(
私立学校法施行令第 1条第 1項)
⑫寄附行為の変更のうち,学校及び課程の設置廃止を伴わない学校,専修学校及び
各種学校の名称変更に係る部分(
私立学校法施行規則第 4条の 3第 1項)
⑬寄附行為の変更のうち,事務所の所在地変更(所轄庁の変更を伴う場合を除く。
)
に係る部分(
私立学校法施行規則第 4条の 3第 2項)
⑭寄附行為の変更のうち,公告の方法の変更に係る部分(
私立学校法施行規則第 4
条の 3第 3項)
(1
0
)学校法人の解散,合併
①学校法人の解散
学校法人の解散には,
次の6つの事由があります(
私立学校法第 5
0条第 1項)
。
4
◎解散の議決※
○寄附行為に定めた解散事由の発生
◎目的たる事業の成功の不能
○学校法人又は準学校法人との合併
○破産手続き開始の決定
◎所轄庁の解散命令
◎は所轄庁の認可又は認定が必要。
※理事の3分の2以上の同意が必要
・理事長は,解散の議決及び目的たる事業の成功の不能を事由に解散する場合
は,あらかじめ,評議員会の意見を聴取(
私立学校法第 4
2条第 1項)
しなければ
なりません。
②残余財産
・解散した学校法人の残余財産は,破産と合併の場合を除き,寄附行為の定め
るところにより,
その帰属すべき者に帰属します(
私立学校法第 5
1条第 1項)
。
・前記により処分されない財産は,国庫に帰属(私立学校法第 5
1条第 2項)
します。
・残余財産の帰属者を寄附行為に記載する場合には,学校法人又はその他教育
の事業を行うものに限定されます(
私立学校法第 3
0条第 3項)
。
③学校法人の合併
・理事の3分の2以上の同意が必要です(
私立学校法第 5
2条第 1項)
。
・理事長は,あらかじめ評議員会の意見を聴取(
私立学校法第 4
2条第 1項)
しな
ければなりません。
・所轄庁の認可を受けなければ,その効力を生じません(
私立学校法第 5
2条第 2
項)
。
2 幼稚園の管理・運営
(1)私立幼稚園の性格及び所轄庁との関係
幼稚園は,小学校,中学校,高等学校,中等教育学校,中等教育学校,特別支援
学校,大学及び高等専門学校と同様の「学校」であり(
学校教育法第 1条)
,学校法
人によって設置される学校を「私立学校」といいます(
学校教育法第 2条第 2項,私
立学校法第 2条第 3項)
。
私立学校は,①自主性の尊重②公共性の高揚を二大理念とし,設置者の建学
の精神に基づき,特色ある教育を行っているところです(
私立学校法第 1条)
。
私立幼稚園が学校教育機関としての責任を果たすためには,学校教育法,私立
学校法等関連法令の定めるところにより,適正に管理・運営されなければなりま
せん。
5
私立幼稚園の所轄庁は都道府県知事とされています(
私立学校法第 4条)
。
〔都道府県知事の主な権限〕
①私立幼稚園の設置廃止,設置者の変更,収容定員に係わる学則(園則)の変
更の認可を行うこと(
学校教育法第 4条 1項)
。
②私立幼稚園が法令の規定に違反したとき,法令の規定に基づく所轄庁の命令に
違反したとき,または6ヶ月以上授業を行わなかったときに幼稚園の閉鎖を命
ずること(
学校教育法第 1
3条)
。
③私立幼稚園に対して,教育の調査,統計その他に関し必要な報告書の提出書を
求めること(
私立学校法第 6条)
。
④目的,名称,位置,学則(園則)または経費及び維持方法を変更しようとする
とき,園地,園舎等に関する権利を取得し,若しくは処分しようとするとき,
または用途の変更,改築等によりこれらの現状に重要な変更を加えようとする
ときにその旨を届け出させること(
学校教育法施行令第 2
7条の 2
)
。
⑤助成に関し必要があると認める場合において,当該学校法人からその業務若し
くは会計の状況に関し報告を徴し,又は当該学校法人の関係者に対し質問し,
若しくはその帳簿,書類その他の物件を検査すること(
私立学校振興助成法第 1
2
条第 1項第 1号)
。
⑥当該学校法人が,学則に定めた収容定員を著しく超えて入園させた場合におい
て,その是正を命ずること(
私立学校振興助成法第 1
2条第 1項第 2号)
。
⑦当該学校法人の予算が助成の目的に照らして不適当であると認める場合にお
いて,その予算について必要な変更をすべき旨を勧告すること(
私立学校振興助
成法第 1
2条第 1項第 3号)
。
⑧当該学校法人の役員が法令の規定,法令の規定に基づく所轄庁の処分又は寄附
行為に違反した場合において,当該役員の解職をすべき旨を勧告すること。私
立学校振興助成法第 1
2条第 1項第 4号)
。
(2)事務処理と備付表簿
私立幼稚園は,学校教育法,私立学校法その他の関係法令等の基づき管理・運
営される必要があり,これらの法令に基づく認可,届け出事項については,事務処
理に遺漏のないようにしなければなりません。幼稚園に備えなければならない書類
については,おおむね次のとおりとされています(
学校教育法施行規則第 2
8条第 1
項)
。
①幼稚園に関係のある法令
②園則,日課表,教科書用図書配当表,園医執務記録簿,園歯科医執務記録簿,
園薬剤師執務記録簿及び幼稚園日誌
③教職員の名簿,履歴書,出勤簿並びに担任学級の時間表
6
④幼稚園幼児指導要録,その写し及び抄本並びに出席簿及び健康診断に関する表
簿
⑤入園者の選抜及び成績考査に関する表簿
⑥資産原簿,出納簿及び経費の予算・決算についての帳簿並びに図書,機械器具,
標本,模型等の教具の目録
⑦往復文書処理簿
〔指導要録〕
(学校教育法施行規則第 2
4条)
①園長は幼児について指導要録を作成しなくてはなりません。
②園長は,幼児が小学校へ入学した場合は,指導要録の抄本又は写しを入学先の学
校長へ送付しなくてはなりません。
③園長は,幼児が他の幼稚園へ転園した場合は,指導要録の抄本又は写しを転園先
の園長に送付しなくてはなりません。
〔保存年限〕
(学校教育法施行規則第 2
8条第 2項)
①幼稚園幼児指導要録 20年間
②その他の表簿
5年間
(3)園長・副園長・教頭・その他の教職員について
幼稚園に置かなければならない(必要に応じて置く場合も含む)教職員の種類
とその職務は,学校教育法(同法施行規則を含む。
)及び学校保健安全法等の法
令,幼稚園設置基準により定められています。
園長
園務をつかさどり,所属職員を監督する
副園長
副園長は,園長を助け,命を受けて園務をつかさどる
教頭
園長及び副園長を助け,園務を整理し及び必要に応じ幼児の保育を
つかさどる
主幹教諭
園長(副園長を置く幼稚園にあっては,園長及び副園長)及び教頭
を助け,命を受けて園務の一部を整理し,並びに幼児の保育をつか
さどる。
指導教諭
幼児の保育をつかさどり,並びに教諭その他の職員に対して,保育
の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行う。
教諭
幼児の保育をつかさどる。
助教諭
教諭の職務を助ける。
講師
教諭又は助教諭に準ずる職務に従事する。
養護教諭
幼児の養護をつかさどる。
7
①幼稚園には,園長,教頭及び教諭を置かなければなりません(
学校教育法第 2
7条
第 1項)
。ただし,特別の事情があるときは教頭を置かないことができます(
幼稚
園設置基準第 5条第 1項)
。
②幼稚園には,必要に応じて,副園長,主幹教諭,指導教諭,養護教諭,栄養教諭,
事務職員,養護助教諭その他必要な職員を置くことができます(
学校教育法第 2
7
条第 2項)
。
③幼稚園における一学級の幼児数は,三十五人以下を原則とします(
幼稚園設置基
準第 3条)
。
④幼稚園には,園長のほか,各学級ごとに少なくとも専任の主幹教諭,指導教諭,
又は教諭を一人置かなければなりません(
幼稚園設置基準第 5条第 1項)
。
⑤特別の事情があるときは,各学級ごとに置かなければならない専任の教諭等は,
専任の副園長又は教頭が兼ねたり,または,その幼稚園の学級数の3分の1の範
囲内で専任の助教諭若しくは講師をあてることができます(
幼稚園設置基準第 5
条第 2項)
。この場合における副園長又は教頭は,幼稚園教諭免許を有し,かつ,
その職務を園則上に「必要に応じ幼児の保育をつかさどる」旨記載しなくてはな
りません。
⑥専任でない園長を置く幼稚園にあっては,各学級ごとに一人以上置かなければ
ならない専任の教諭等のほかに,副園長,教頭,主幹教諭,指導教諭,教諭,助
教諭又は講師の何れか一人(
専任であるか否かを問わない)
を加配しなければな
りません(
幼稚園設置基準第 5条第 3項)
。
⑦幼稚園に置く教員等は,教育上必要と認められる場合は,他の学校の教員等と兼
ねることができます(
幼稚園設置基準第 5条第 4項)
。
⑧幼稚園には,養護教諭又は養護助教諭及び事務職員を置くように努めなければ
なりません(
幼稚園設置基準第 6条)
。なお,養護教諭又は養護助教諭及び事務職
員を置かない幼稚園にあっては,養護又は事務を担当する者を定めなければなり
ません(
私立幼稚園設置に関する要項第 5条)
。
⑨保育所等(保育所及び認可外保育施設)と合同活動をする場合の特例として,幼
稚園に置く教員等は,教育上必要と認められる場合は,保育所等の保育士等と兼
ねることができます(
幼稚園設置基準第 1
3条第 2項)
。
〔園長,副園長及び教頭の資格〕
園長となる資格については,学校教育法施行規則第 2
0条に定められています。
主な要件は次のとおりです。
①専修免許状又は一種免許状を有し,かつ,次に掲げる職に5年以上あったこと。
・学校の校長,教授,准教授,助教,副校長,教頭,主幹教諭,指導教諭,教諭,
助教諭,養護教諭,養護助教諭,栄養教諭,講師(常時勤務の者に限る。
)
,事
務職員(単純な労務に雇用される者を除く。
)
,実習助手,寄宿舎指導員,学校
8
栄養職員専修学校の校長,教員の職,教育事務又は教育を担当する国家公務員
又は地方公務員(単純な労務に雇用される者を除く。
)の職
②上記①に関する職に10年以上あったこと。
③ただし,私立学校の設置者は,学校教育法施行規則第 2
0条の規定により難い特
別の事情のあるときは,5年以上教育に関する職又は教育,学術に関する業務に
従事し,かつ,教育に関し高い識見を有する者を園長として採用することができ
ます(
学校教育法施行規則第 2
1条)
。
④さらに,私立学校の設置者は,学校の運営上特に必要がある場合には,学校教育
法施行規則第 2
0条,2
1条に規定するもののほか,第 2
0条に掲げる資格を有する
者と同等の資質を有すると認める者を園長として任命し又は採用することがで
きます(
学校教育法施行規則第 2
2条)
。
⑤上記学校教育法施行規則第 2
2条の規定により,私立幼稚園では,幼稚園の運営
上特に必要がある場合で,有資格者と同等の資質を有すると認められる者を,そ
の免許や経験年数にかかわらず,園長として任命し又は採用することができます。
ただし,任命又は採用にあたっては,学校教育法施行規則第 2
0条を原則とし,
それによらない場合には,根拠を第 2
1条に求めるのか,あるいは第 2
2条に求め
るのかを明確にし,幼稚園の運営上特に必要がある旨の理由及び有資格者と同等
の資質を有することを証する書類等を示した上で,理事会にて議決を諮る必要が
あります。
⑥規則第 2
1条,2
2条の特例による場合は,事前に私学振興室まで相談願います。
⑦なお,副園長及び教頭の資格については,学校教育法施行規則第 2
0
∼2
2条の規
定が準用されます(
学校教育法施行規則第 2
3条)
。
〔園医,園歯科医及び園薬剤師〕
幼稚園には,学校保健安全法第 2
2条の定めにより,任命又は委嘱により園医,
園歯科医及び園薬剤師を置かなければなりません。園医,園歯科医及び園薬剤師
は,幼稚園における保健管理に関する専門的事項に関し,技術及び指導に従事す
ることとされています。それぞれの職務執行の準則は学校保健安全法施行規則第
2
2条∼第 2
4条に定められています。
(4)私立幼稚園に必要な施設・設備について
私立幼稚園の設置基準については,
「幼稚園設置基準」
(文部省令)があり,幼稚
園を設置するものが遵守しなければならない「設置の基準」であるとともに,幼稚
園設置後もこれを基準として幼稚園教育の水準維持,向上を図らなければなりませ
ん。また,幼稚園設置基準のほか,茨城県の「私立幼稚園設置に関する要項」に保
育室の必要面積等が定められています。
①幼稚園の位置は,幼児の教育上適切で通園に安全な環境にあり,また施設・設
9
備等は,指導上,保健衛生上及び管理上適切なものでなければなりません(
幼稚
園設置基準第 7条)
。
②園舎は2階建以下が原則です。2階建とする場合及び特別な事情で3階建以上
とする場合も,保育室,遊戯室,便所は第1階に置かなければなりません。た
だし,耐火構造で幼児の待避上必要な施設を備えるものであれば,これらを第
2階に置いてもかまいません(
幼稚園設置基準第 8条)
。
③園舎と運動場は同一敷地内又は隣接する位置に設けることを原則とします(
幼稚
園設置基準第 8条)
。
④幼稚園には,職員室,保育室,遊戯室,保健室,便所,飲料水用,手洗い用,
足洗い用設備を備えなければなりません。なお,職員室と保健室とは兼用できる
こととされています(
幼稚園設置基準第 9条第 1項)
。
⑤保育室の数は学級数を下ってはなりません(
幼稚園設置基準第 9条第 2項)
。
⑥保育室の面積は,1室につき53㎡以上とされています(
私立幼稚園設置に関す
る要項第 7条第 1項)
。
⑦遊技室の面積は,1室につき99㎡以上とされています(
私立幼稚園設置に関す
る要項第 7条第 2項)
。
⑧飲料水用設備は,手洗用設備又は足洗用設備と区別して備えなければなりません
(
幼稚園設置基準第 9条第 3項)
。また,飲料水の水質は,衛生上無害であること
が証明されたものでなければなりません(
幼稚園設置基準第 9条第 4項)
⑨幼稚園には,学級数及び幼児数に応じ,教育上,保健衛生上及び安全上必要な種
類及び数の園具及び教具を備えなければなりません(
幼稚園設置基準第 1
0条)
。
⑩幼稚園には,放送聴取設備,映写設備,水遊び場,幼児清浄用設備,給食施設,
図書室,
会議室を備えるよう努めなければなりません(
幼稚園設置基準第1
1条)
。
⑪幼稚園は,特別の事情があり,かつ,教育上及び安全上支障がない場合は,他の
学校等の施設及び設備を使用することができます(
幼稚園設置基準第 1
2条)
。
⑫幼稚園設置基準において,学級数に応じた園舎面積,運動場面積の最低基準が示
されています(
幼稚園設置基準第 8条第 3項別表)
。
園 舎:幼稚園の施設のうち幼児の経験や活動に必要なスペースと管理・運営
に必要なスペースのうち,屋根で被われており,かつ壁等により風雨
を防ぎえる部分をさします。
※温室,家畜小屋,鳥小屋等の飼育栽培用の施設設備等は一般には園
舎に含めません。
運動場:運動場の範囲は,①平坦な広場,②固定遊具を設置する場所,③起伏
のある場所を含むと考えられています。
※単純に〔園地面積〕−〔園舎面積〕が運動場面積ではありません。
⑬園地は,園舎の建築面積に運動場の面積を加えて得た面積以上でなくてはなりま
せん(
私立幼稚園設置に関する要項第 3条)
。
10
園 地:園地の面積には,園舎敷地や運動場のほかに,①中庭,裏庭等建物に
付随した部分,②園児の登降園地等のための部分等が含まれます。
(5)幼稚園における子育て支援としての未就園児受入れについて
幼稚園に入園することのできる者は,満3歳からとされています(
学校教育法第
2
6条)
。平成16年度から平成19年度の間においては,構造改革特別区域法によ
り,特区の認定を受けた市町村内の私立幼稚園では,満3歳を迎える年度の当初よ
り2歳児を幼稚園に入園させることができましたが,特区に係る関係規程の削除に
より,平成20年4月以降は,従来どおり幼稚園に入園することのできる者は満3
歳からとなり,2歳児は幼稚園児として入園させることはできないこととなってい
ます。
現在,2歳児の保育は,幼稚園児としての集団的な教育を行うのではなく,幼稚
園の人的・物的環境を適切に活用し,個別のかかわりに重点を置いた子育て支援と
しての受入れ形態により進めることとされており,その留意点等については,国か
らの通知により示されています(
「幼稚園を活用した子育て支援としての 2歳児の
受入れに係る留意点について」
(平成1
9年3月3
1日文科省初等中等教育局長通知)
)
。
なお,2歳児の受入れ形態によっては,認可外保育施設として児童福祉法第 5
9
条に基づく指導監督の対象となる場合があります。その指導監督については,
「認
可外保育施設に対する指導監督の実施について」
(平成 1
3年 3月 2
9日雇児発第 1
7
7
号)の別添「認可外保育施設指導監督基準」に示されているところであり,認可外
保育施設とされる施設は,同基準を遵守する必要があります。
児童福祉法の適用を受けるか否かの判断については,上記雇児発第 1
7
7号通知に
示されているとおり,当該施設の保育内容,活動の頻度,サービス提供時間の長さ,
対象となる乳幼児の年齢等その運営状況に応じ判断することとしますが,少なくと
も1日4時間以上,週5日,年間39週以上施設で親と離れることを常態としてい
る場合は認可外保育施設として児童福祉法の適用があるものと考えられます。
(6)保健,安全管理について
幼稚園における保健,安全管理については,
「学校においては,別に定めると
ころにより,学生,生徒,児童及び幼児並びに職員の健康の保持増進を図るため
健康診断を行い,その他その保健に必要な措置を講じなければならない」
(学校
教育法第 1
2条)
とされ,具体的な定めが学校保健安全法に規定されています。
〔幼稚園の保健安全管理の一般的事項〕
①保健,安全計画の作成
②環境衛生の維持
③安全の維持
④園児及び教職員の健康診断の実施
11
⑤園児の健康に関する健康相談の実施
⑥感染症の予防の実施
〔学校保健計画〕
園児は,身体的諸機能が未熟であり,危険に対する注意力や判断力が乏しく病気
に対する抵抗力も弱いため,安全や健康に対する配慮が不可欠です。そのため,幼
稚園においては,園児及び教職員の健康診断,環境衛生検査,安全点検その他の保
健又は安全に関する事項について「学校保健計画」を作成し実施しなければなりま
せん(
学校保健安全法第 5条)
。
〔環境衛生検査〕
幼稚園では,換気,採光,照明,保温,清潔保持その他環境衛生に係る事項に
ついて,国が定める「学校環境衛生基準」に基づき環境衛生検査を行い,幼稚園に
おける適切な環境の維持に努めなければなりません(
学校保健安全法第 6条,学校
保健安全法施行規則第 1条)
。
なお,園薬剤師の職務として,環境衛生検査に従事することや,学校の環境衛生
の維持及び改善に関し,必要な指導及び助言を行うこと等が規定されている(学校
保健安全法施行規則第 2
4条)ことから,
「学校環境衛生基準」に基づく環境衛生
検査の実施や,日常の点検については,適宜園薬剤師の指導及び助言に基づき実施
される必要があります。
〔園児の健康診断〕
(学校保健安全法第 1
3条第 1項)
園児の健康診断は,毎学年定期(6月30日まで)に行わなければなりません(学
校保健法施行規則第 5条)
。また,必要がある場合は,臨時の健康診断を実施する
こととなっています。
・実施する健康診断の項目(
学校保健安全法施行規則第 6条)
①身長,体重及び座高
②栄養状態
③脊柱及び胸部の疾患及び異常の有無
④視力,及び聴力
⑤眼の疾病及び異常の有無
⑥耳鼻咽喉疾患及び皮膚疾患の有無 ※胸囲及び肺活量,背筋力,握力等を加え
ることができる。
⑦歯及び口腔の疾病及び異常の有無
⑧結核の有無
⑨心臓病の疾病及び異常の有無
⑩尿
12
⑪寄生虫卵の有無
⑫その他の疾病及び異常の有無
このうち,結核の有無に係る検査は,小学校の全学年,中学校の全学年,高等学
校及び高等専門学校の第一学年,大学の第一学年とされています。
また,聴力検査については,小学校第四学年及び第六学年,中学校及び高等学校
の第二学年並びに高等専門学校の第二学年及び第四学年において検査事項から除
くことが出来ます。
また,寄生虫卵の有無の検査については,小学校第四学年以上の学年並びに中学
校,高等学校及び高等専門学校の全学年において検査事項から除くことが出来ます。
〔健康診断票の作成〕
(学校保健安全法施行規則第 8条)
①幼稚園においては,幼児の健康診断を行った時は,健康診断票を作成しなくては
なりません。健康診断票は5年間保管しなくてはなりません。
②園長は,幼児が小学校へ入学した場合は,健康診断票を入学先の学校長へ送付し
なくてはなりません。
③園長は,幼児が他の幼稚園へ転園した場合は,健康診断票を転園先の園長に送付
しなくてはなりません。
〔事後措置〕
(学校保健安全法第 1
4条)
健康診断を行ったときは,結果を21日以内に保護者へ通知するとともに,その
結果に基づき疾病の予防処置を行い,又は治療を指示し,並びに運動及び作業を軽
減する等適切な措置をとらなければなりません。なお,具体的な措置は,学校保健
安全法施行規則第 9条第 1項各号に定められています。
〔教職員の健康診断〕
(学校保健安全法第 5条,学校保健安全法施行規則第 1
2条)
教職員の健康診断は,毎年度定期(年1回,適切な時期に)に行わなければなり
ません(
学校保健安全法施行規則第 1
2条)
。
・検査項目
①身長,体重
②視力及び聴力
③結核の有無
④血圧(35歳未満を除くことができる。
)
⑤尿 (35歳未満を除くことができる。
)
⑥胃の疾病及び異常の有無(妊娠中の女子職員除く。40歳未満を除くことがで
きる。
)
⑦貧血検査
⑧肝機能検査
13
⑨血中脂質検査
⑩血糖検査
⑪心電図検査
⑫その他の疾病及び異常の有無
〔学校安全計画〕
(学校保健安全法第 2
6条)
幼稚園の設置者は,園児の安全の確保を図るため,その設置する幼稚園において,
事故,加害行為,災害等により園児に生ずる危険を防止し,及び事故等により園児
に危険又は危害が現に生じた場合において適切に対処することができるよう,当該
幼稚園の施設及び設備並びに管理運営体制の整備充実その他の必要な措置を講ず
るよう努めるものとされています(
学校保健安全法第 2
6条)
。
幼稚園においては,園児の安全の確保を図るため,当該幼稚園の施設及び設備
の安全点検,園児に対する通園を含めた園生活その他の日常生活における安全に関
する指導,職員の研修その他幼稚園における安全に関する事項について計画を策定
し,これを実施しなければなりません(
学校保健安全法第 2
7条)
。
幼稚園においては,園児の安全の確保を図るため,当該幼稚園の実情に応じて,
危険等発生時において当該幼稚園の職員がとるべき措置の具体的内容及び手順を
定めた対処要領(
「危険等発生時対処要領」という。
)を作成しなければなりませ
ん。園長は,危険等発生時対処要領の職員に対する周知,訓練の実施その他の危
険等発生時において職員が適切に対処するために必要な措置を講じなければなり
ません(
学校保健安全法第 2
9条)
。
なお,幼稚園の内外で園児等が巻き込まれる事件事故が発生した場合は,速やか
に事故報告書により私学振興室まで連絡願います。
〔感染症の予防等〕
園長は,感染症にかかっており,かかっている疑いがあり,又はかかるおそれの
ある園児があるときは,その理由及び期間を明らかにして,園児の保護者にこれを
指示することにより,
出席を停止させることができます
(学校保健安全法第1
9条)
。
幼稚園の設置者は,感染症の予防上必要があるときは,臨時に,幼稚園の全部又
は一部の休業を行うことができます(学校保健安全法第 2
0条)
。
園長は,学校内において,感染症にかかっており,又はかかっている疑いがある
園児を発見した場合において,必要と認めるときは,園医に診断させ,出席停止の
指示をするほか,消毒その他適当な処置をしなくてはなりません(学校保健安全法
施行規則第 2
1条第 1項)
。
園長は,幼稚園内に,感染症の病毒に汚染し,又は汚染した疑いがある物件があ
るときは,消毒その他適当な処置をしなくてはなりません(
学校保健安全法施行規
則第 2
1条第 2項)
。
14
幼稚園においては,その付近において,第一種又は第二種の感染症が発生したと
きは,その状況により適当な清潔方法を行わなければなりません(
学校保健安全法
施行規則第 2
1条第 3項)
。
幼稚園において予防すべき感染病の種類は,次のとおりとされています(学校保
健安全法施行規則第 1
8条)
。
①第一種 エボラ出血熱,クリミア・コンゴ出血熱,痘そう,南米出血熱,ペス
ト,マールブルグ病,ラッサ熱,急性灰白髄炎,ジフテリア,重症急
性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルス
であるものに限る。
)及び鳥インフルエンザ(病原体がインフルエン
ザウイルスA属インフルエンザAウイルスであつてその血清亜型が
H五N一であるものに限る。
)
,新型インフルエンザ
②第二種 インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H五N一)を除く。
)
,百日咳,
麻しん,流行性耳下腺炎,風しん,水痘,咽頭結膜熱及び結核
③第三種 コレラ,細菌性赤痢,腸管出血性大腸菌感染症,腸チフス,パラチフ
ス,流行性角結膜炎,急性出血性結膜炎その他の感染症
出席停止期間の基準は,感染症の種類に従い,園医,外部の医師,保健所等と連
携し,
適当と認められる時までとされています(
学校保健安全法施行規則第1
9条)
。
〔保健所への連絡〕
幼稚園の設置者は,次に掲げる場合は,所轄の保健所に連絡しなければなりませ
ん(
学校保健安全法施行令第 5条)
。
①学校保健安全法に基づく健康診断を行う場合。
②学校保健安全法第 1
9条に基づく出席停止を行った場合。
③学校保健安全法第 2
0条に基づく幼稚園の全部又は一部の休業を行った場合。
上記②及び③の場合には,併せて県私学振興室まで連絡願います。
(7)学校評価(学校教育法第42条)
平成19年に学校教育法及び学校教育法施行規則が改正されたことにともない,
幼稚園も含めた各学校においては,教職員により教育活動及び学校運営の状況につ
いて,自己評価を行い,その結果を公表することが義務づけられたほか,自己評価
の結果を踏まえた,保護者等関係者による評価及び結果の公表が努力義務として規
定されました。
①自己評価(
学校教育法施行規則第66条)
小学校(幼稚園,中学校,高等学校,中等教育学校及び特別支援学校に準用。以
下同じ。
)は,当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について,自ら評
価を行い,その結果を公表しなければなりません。
②学校関係者による評価(
学校教育法施行規則第67条)
15
小学校は,自己評価の結果を踏まえた当該学校の児童の保護者その他の当該学校
の関係者(
当該学校の職員を除く。また,
当該学校と直接関係のない有識者等によ
る評価も含む。)
による評価を行い,
結果を公表するよう努めなければなりません。
③評価結果の設置者への報告(
学校教育法施行規則第68条)
小学校は,自己評価の結果及び学校関係者による評価を行った場合はその結果を,
当該小学校の設置者に報告しなければなりません。
④自己評価の結果の公表方法
自己評価の結果の公表方法については,当該学校の幼児児童生徒の保護者に対し
て広く伝えることができる方法により行うことが求められています。その方法と
して,例えば,学校便りに掲載する,PTA総会等の機会に保護者に対する説明
を実施する等が考えられます。さらに,保護者のみならず広く地域住民等に伝え
ることができる方法により行うことが適当とされています。その方法として,例
えば,学校のホームページに掲載する,地域住民等が閲覧可能な場所に掲示する
等が考えられます。
⑤学校関係者評価を実施し,その結果をとりまとめるに当たっては,評価結果及び
その分析に加えて,学校においてそれらを踏まえた今後の改善方策について併せ
て検討することが適当とされています。
3 学校法人の管理と運営
学校法人とは,私立学校の設置を目的として設立される法人であり,学校法人はそ
の設置する学校を管理します。そこで学校法人が法人として活動するために,私立学
校法は理事,監事及び評議員会を定めています。
(1)学校法人の役員(
私立学校法第 3
5条)
①私立学校法の規定上,理事は5人以上,監事は2人以上が必要とされています。
②ただし,
「茨城県学校法人の寄附行為の認可審査基準等に関する要項」では,理
事6人以上を必要定数として定めています。
③理事のうち一人は,寄附行為の定めるところにより,理事長となります(
私立学
校法第 3
5条第 2項)
。
④監事は,理事,評議員又は学校法人の職員と兼ねてはなりません(
私立学校法第
3
9条)
。
(2)学校法人の役員変更(私立学校法施行令第 1条第 2項)
理事又は監事が就任し,又は退任したときは,遅滞なく,役員変更届を茨城県に
提出する必要があります。任期の更新で,役員の構成に変更がない場合(
「重任」
という。
)であっても,役員変更届の提出が必要となります。役員変更届に必要な
添付書類については,別表のとおりです。
16
(3)理事会(
私立学校法第 3
6条)
①学校法人には,理事をもって組織する理事会を置く必要があります。
②理事会は,学校法人の業務を決し,理事の職務の執行を監督します。
③理事会は,理事長が招集することとされています。また,理事(理事長を除く。
)
が,寄附行為の定めるところにより,理事会の招集を請求したときは,理事長
は,理事会を招集しなければなりません。
④理事会を招集するには,寄附行為の定めるところにより,各理事にたいして,会
議開催の場所及び日時並びに会議に付議すべき事項を,書面により通知しなけれ
ばなりません。
⑤理事が理事会を欠席する場合において,理事会に付議される事項につき書面を
もってあらかじめ意思を表示した理事は,出席者とみなされます。
⑥書面による意思表示をする理事は,理事会に付議される事項について個別にそ
の可否等を表示するか,又は理事の一人を指名してその権限の代理を委ねなけれ
ばなりません。
⑦理事会招集の通知は,会議の7日前までに発しなければなりません。ただし,臨
時会の開催など緊急を要する場合は,この限りではありません。
⑧理事会の議長は理事長をもって充てることとします。議決事項については議事
録を作成し,議事録には出席理事全員が署名押印して保管しておかなければなり
ません。
⑨理事会は,在任理事の過半数の出席がなければ,その議事を開き,議決するこ
とができません。
⑩理事会の議事は,寄附行為に別段の定めがある場合を除いて,出席した理事の
過半数で決し,可否同数のときは,議長の決するところによります。
⑪上記⑩の「寄附行為に別段の定め」とは,茨城県の「標準的な寄付行為作成例」
においては,次の事項とされています。
・役員の解任
理事総数の4分の3
・基本財産の処分 理事総数の3分の2
・予算及び事業計画 理事総数の3分の2
・予算外の新たな義務の負担又は権利の放棄 理事総数の3分の2
・借入金(当該年度に償還される一時的なものを除く) 理事総数の3分の2
・学校法人の解散 理事総数3分の2
・残余財産の帰属先 理事総数3分の2
・学校法人の合併 理事総数3分の2
・寄附行為の変更 理事総数3分の2
(4)役員の職務(
私立学校法第 3
7条)
①理事長は,学校法人を代表し,その業務を総理します。
17
②理事(理事長を除く。
)は,寄附行為に定めがあれば,学校法人を代表し,理
事長を補佐して学校法人の業務を掌理し,理事長に事故があるときはその職務
を代理し,理事長が欠けたときはその職務を行います。
③監事の職務は,次のとおりです。
・学校法人の業務を監査すること。
・学校法人の財産の状況を監査すること。
・学校法人の業務又は財産の状況について,毎会計年度,監査報告書を作成
し,当該会計年度終了後2月以内に理事会及び評議員会に提出すること。
・監査の結果,学校法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは寄附
行為に違反する重大な事実があることを発見したときは,これを所轄庁に報告
し,又は理事会及び評議員会に報告すること。
・上記の報告をするために必要があるときは,理事長に対して評議員会の招集
を請求すること。
・学校法人の業務又は財産の状況について,理事会に出席し意見を述べること。
(5)役員(理事・監事)の選任(
私立学校法第 3
8条)
①理事となる者は,次に掲げる者とされます。
・当該学校法人の設定する私立学校の校長(学長及び園長を含む。)
・当該学校法人の評議員の内から,寄附行為の定めるところにより選任された者
・そのほか,寄附行為の定めるところにより選任された者
②学校法人が私立学校を2以上設置する場合には,寄附行為の定めるところによ
り,校長のうち,1人又は数人を理事とすることができます。
③校長理事及び評議員理事については,校長又は評議員の職を退いたときは理事の
職を失うものとします。
④監事は,理事会において選出された候補者のうちから,評議員会の同意を得て,
理事長が選任します。
⑤理事には,それぞれその選任の際現に当該学校法人の役員又は職員(当該学校法
人の設置する私立学校の校長,教員その他の職員を含む)でない者が含まれるよ
うにしなければなりません。
⑥理事が再任される場合において,当該役員がその最初の選任の際現に当該学校
法人の役員又は職員でなかったときの前記⑤の適用については,その再任の際現
に当該学校法人の役員又は職員でない者とみなします。
⑦理事のうちには,各理事について,その配偶者又は3親等以内の親族が1人を
超えて含まれてはなりません。
⑧学校教育法第 9条(校長及び教員の欠格事由)の規定は,役員に準用されます。
従って次に該当する者は,学校法人の役員に就任することはできません(
私立学
校法第 3
8条第 5項)
。
18
・成年被後見人又は被保佐人
・禁錮以上の刑に処せられた者
・教育職員免許法第 1
0条第 1項第 2号又は第 3号に該当することにより免許
状がその効力を失い,当該失効の日から3年を経過しない者
・教育職員免許法第 1
1条第 1項から第 3項までの規定により免許状取上げの
処分を受け,3年を経過しない者。
・日本国憲法施行の日以後において,日本国憲法又はその下に成立した政府を
暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し,又これに加入し
た者。
(6)利益相反行為に係る特別代理人の選任(
私立学校法第 4
0条の 4
)
学校法人と理事との利益が相反する事項については,理事は,学校法人の代理権
を行使することができません(例:学校法人理事長としての立場と個人としての立
場での土地賃貸借契約等)
。この場合,利害関係人の請求又は職権により,所轄庁
である県が学校法人の特別代理人を選任することとされています。
(7)評議員会(
私立学校法第 4
1条)
学校法人には,評議員会を置かなければなりません。評議員会は,法人の業務若
しくは財産の状況又は役員の業務執行の状況について,役員に対して意見を述べ,
若しくはその諮問に答え,又は役員から報告を徴することができます(
私立学校法
第4
3条)
。
①評議員会は,理事の定数の2倍をこえる数の評議員をもって,組織しなくては
なりません。
②評議員会は,理事長が招集します。
③評議員が寄附行為の定めるところにより,会議に付議すべき事項を示して評議員
会の招集を請求したときは,理事長は評議員会を招集しなければなりません。
④評議員会を招集するには,寄附行為の定めるところにより,各評議員にたいして,
会議開催の場所及び日時並びに会議に付議すべき事項を,書面により通知しなけ
ればなりません。
⑤評議員が評議員会を欠席する場合において,評議員会に付議される事項につき,
書面をもってあらかじめ意思を表示した評議員は,出席者とみなされます。
⑥書面による意思表示をする評議員は,評議員会に付議される事項について個別に
その可否等を表示するか,又は評議員の一人を指名してその権限の代理を委ねな
ければなりません。
⑦評議員会招集の通知は,会議の7日前までに発しなければなりません。ただし,
臨時会の開催など緊急を要する場合は,この限りではありません。
⑧評議員会に,議長を置きます。議長は,評議員のうちから評議員会において選任
19
することとされています。
⑨議決事項については議事録を作成し,議事録には議長及び出席した評議員のうち
から互選された評議員2名以上が署名押印し,保管しておかなければなりません。
⑩評議員会は,評議員の過半数の出席がなければ,その議事を開き,議決をするこ
とができません。
⑪評議員会の議事は,出席評議員の過半数で決し,可否同数のときは,議長の決す
るところによります。
⑫議長は,評議員として議決に加わることができません。
(8)評議員会への諮問事項(
私立学校法第 4
2条)
次の事項については,理事長はあらかじめ評議員会の意見を聞かなければなりま
せん。
①予算,借入金(当該会計年度内の収入をもって償還する一時の借入金を除く。
)
及び基本財産の処分並びに運用財産中の不動産及び積立金の処分
②事業計画
③予算外の新たな義務の負担又は権利の放棄
④寄附行為の変更
⑤学校法人の合併
⑥目的たる事業の成功の不能による解散
⑦寄付金品の募集に関する事項
⑧その他この法人の業務に関する重要事項で理事会において必要と認めるもの
(9)評議員会への決算及び実績の報告(
私立学校法第 4
6条)
理事長は,毎会計年度終了後2月以内に決算及び事業の実績を作成し,監事の監
査及び理事会の議決を経たものを評議員会に報告し,その意見を聞かなければなり
ません。
(1
0
)評議員の議決事項
評議員会への諮問事項と異なり,寄附行為に定められた評議員会の同意,議決事
項については,その意見を聞くだけでは足りず,議決されることが必要となります。
茨城県の「標準的な寄付行為作成例」においては,次の事項を評議員の議決事項と
して示しています。
なお,②に係る事項については,必ず寄附行為に定めなくてはなりません(
私立
学校法第 3
8条第 4項)
。
①理事の選任(ただし,寄附行為で「評議員会が推薦した者」など,評議員会の意
思決定を求めている場合のみ)
②監事候補者の同意
20
③役員の解任
④評議員の選任(ただし,寄附行為で「評議員会において選任した者」など,評議
員会の意思決定を求めている場合のみ)
⑤評議員の解任
⑥学校法人の解散
(1
1
)学校法人備付表簿
学校法人は,監査報告書,財産目録,貸借対照表,収支計算書,事業報告書 (
私
立学校法第 3
7条,第 4
7条)
及び,寄附行為の定めにより次の諸帳簿等を作成し,
常に各事務所に備えておかなければなりません。この場合の「各事務所」とは,登
記簿上の「主たる事務所」及び従たる事務所が登記されている場合における「従た
る事務所」と解されています。
①寄附行為
②理事会議事録
③評議員会議事録
④役員名簿(履歴遺書,身分証明書,役員就任承諾書)
⑤評議員名簿(履歴書,身分証明書)
⑥収入及び支出に関する帳簿及び証憑書類
⑦権利関係書類(登記簿謄本,許認可書,各種契約書(公正証書,使用貸借契約
書等)
⑧収支予算書
⑨財産目録,貸借対照表,収支決算書
⑩事業報告書
⑪監査報告書
⑫その他法人運営の基礎となる書類
(1
2
)財産目録等の閲覧について(
私立学校法第 4
7条第 2項)
学校法人は,上記(
1
1
)
の各事務所に備えておかなければならない書類の内,監査
報告書,財産目録,貸借対照表,収支計算書,事業報告書については,当該学校法
人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があった場合に
は,正当な理由がある場合を除いて,これを閲覧に供しなければなりません。
閲覧を請求できる者とは,一般的に当該学校法人の設置する私立学校に在学する
園児,児童,生徒やその保護者,当該学校法人と雇用関係にある者,当該学校法人
に対する債権者等が該当します。利害関係人とは法律上の利害関係であって,学校
の近所の住人など事実上の利害関係人は,該当しないことと解されています。
また,正当な理由がある場合とは,就業時間外や休業日になされた場合,誹謗中
傷目的や不法・不当な目的でなされた場合,個人情報が含まれる場合等と解されて
21
います。
財産目録等の閲覧にあたっては,手続きや閲覧基準を明確にしておくため,あら
かじめ財産目録等の閲覧に関する規則等を定めておく必要があります。
(1
3
)学校法人の諸規程について
教育基本法,私立学校法,学校教育法に従い設立された学校法人は,学校を設
置し,学校教育を行うことを目的としますが,その目的事業遂行のためには,一
定の行為基準を策定することが必要となります。このような行為基準を成文化し
たものが規程です。学校法人の管理・運営のために必要な規程については,次の
とおりですが,これらの規程を制定する際には,幼稚園の規模に応じたものであ
るか,実情に即しているか,公正であるか,必要最低限のものが入っているか注
意する必要があります。
①寄附行為
寄附行為とは,学校法人の根本的規則であり,法人の在り方を規制するもので
す。学校法人は,所轄庁より寄附行為の認可を受けた上で,登記を行うことによ
り設立されます。寄附行為には,法律で定められた事項のほか,法令の規定に
違反しない限り任意的な事項を定めることができますが,その変更には,一部を
除いて所轄庁の認可を要します。
②経理規程
私立学校振興助成法により,経常費補助金の交付を受ける学校法人は,学校法
人会計基準により会計処理を行うこととされていますが,学校法人の運営の適正
化,経営の健全性を高めるため,そして就園する幼児に係わる経済的負担の適正
化を図るためには経理規程は非常に重要なものです。
③就業規則
常時10人以上の労働者を雇用している事業所においては,労働基準法第 8
9
条の定めるところに従って,就業規則を作成し,所定の手続きを経て労働基準
監督署に届け出ることが義務づけられています。学校法人においても,教職員(非
常勤職員を含む)を10人以上雇用している場合は,就業規則の作成義務があり
ます。教職員が10人以下の場合であっても,学校法人は,その公共性に鑑み,
規模にかかわらず就業規則を作成すことが望まれます。就業規則は,通常理事長
が原案を作成し,理事会で承認を受けた後,教職員に提示して意見を聴く必要が
あります。労働基準局への届け出の際,この意見書の添付が求められます。
④給与規程
給与に関する事項については,就業規則の一部として作成することが通例です
が,別規程として作成しても差し支えありません。給与表については,園の財務
状態や予算,周囲の状況を考慮して作成する必要があります。また,教職員へ支
払う給与は,給与規程に基づき計算された額で支払われなくてはなりません。
22
⑤学則(園則)
学則は,学校法人の目的である「教育」に関する規程です。園則作成に当たっ
ては「学校教育法」
「同法施行令」
「私立学校法」
「幼稚園設置基準」
「幼稚園教育
要領」を理解のうえ,私立幼稚園の特色を発揮できるものとするよう願います。
なお,学則に規定する収容定員を変更する場合は,所轄庁の認可を受ける必要
があります(
学校教育法施行令第 2
3条第 1項)
。
⑥その他の規程
その他学校法人の管理・運営のために必要とされる主な規程については,次の
とおりです。学校法人の組織や事業の内容,運営する幼稚園の規模等に応じて,
適宜作成される必要があります。
・寄附行為実施規則
・事務組織規則
・理事会会議規則
・理事会業務委任規則
・業務決裁規則
・パートタイム雇用者に関する勤務規則
・育児休業,介護休業及び介護短時間勤務等に関する規則
・役員の報酬又は日当等に関する規則
・退職金支給規則
・旅費規則
・監事監査規則
・財産目録等の閲覧に関する規則
・資産運用規則
他
4 学校法人の会計について
(1)学校法人の会計年度
学校法人の会計年度は,4月1日に始まり,翌年3月31日に終るものとされて
います(
私立学校法第 4
8条)
。
(2)学校法人会計基準に基づく書類の作成と届け出
①補助金の交付を受ける学校法人(
社会福祉法人も含む。以下同じ。)
は,文部科学
省が定める「学校法人会計基準」に基づき会計処理を行い,貸借対照表,収支計
算書その他の財務計算に関する書類及び収支予算書を作成し,所轄庁に届け出な
ければなりません(
私立学校振興助成法第 1
4条)
。
②茨城県における貸借対照表等決算に係る書類の提出期限は,当該会計年度の翌年
度6月30日まで,収支予算書の提出期限は,当該年度の6月30日までとなっ
23
ています(
昭和 5
2年茨城県告示第 4
1
8号)
。
(3)公認会計士又は監査法人による監査
①貸借対照表,収支計算書その他の財務計算に関する書類を所轄庁に届け出る際に
は,学校法人会計基準に基づく会計処理が行われ,財務計算に関する書類(資金
収支内訳表及び消費収支内訳表を除く。
)が作成されているか否かの状況につい
て公認会計士又は監査法人の監査を受け,その結果に係る監査報告書を添付しな
くてはなりません(
私立学校振興助成法第 1
4条,
昭和 5
3年茨城県告示第 8
9号)
。
②県からの補助金(国,その他の地方公共団体からの補助金も含む。
)の合計額が
1
0
,
0
0
0千円未満の場合であって,かつ,学校法人の内部監査及び会計処理等が適
正である法人については,茨城県の許可を受けた上で,①の監査報告書の添付を
省略をすることができます。
(4)収益事業に係る会計処理
学校法人が私立学校法第 2
6条に規定する収益事業を,寄附行為変更の認可を受
けて行う場合は,その収益事業に係る会計処理は,企業会計の原則に従い,別途会
計処理を行わなければなりません(
学校法人会計基準第 3条)
。
(5)学校法人会計基準に基づき作成する計算書類
①学校法人が作成しなければならない計算書類は,次に掲げるものされています
(
学校法人会計基準第 4条)
。
・資金収支計算書及びこれに附属する次に掲げる内訳表
イ 資金収支内訳表
ロ 人件費支出内訳表
・消費収支計算書及びこれに附属する次に掲げる内訳表
イ 消費収支内訳表
・貸借対照表及びこれに附属する次に掲げる明細表
イ 固定資産明細表
ロ 借入金明細表
ハ 基本金明細表
②都道府県所轄の学校法人に関する特例(
学校法人会計基準第 3
8条)
により,上記
①に掲げる書類のうち基本金明細表については,幼稚園のみを設置する学校法人
(幼稚園のほかに専修学校又は各種学校を設置している学校法人を含む。
)につ
いて,次に掲げる要件の全てを満たし,かつ会計処理が適正に行われている場合
に限り,作成を省略することができます。
・基本金の未組入額がないこと。
・2号及び3号基本金が設定されていないこと。
・4号基本金が適正に組入れられていること。
24
③上記①の他,学校法人は次の書類を作成しなければなりません。
・財産目録(
私立学校法第 4
7条)
・事業報告書(
私立学校法第 4
7条)
・監査報告書(
私立学校法第 3
7条)
・収支予算書(
私立学校振興助成法第 1
4条)
(6)幼保連携型認定こども園を運営する社会福祉法人に関する特例
補助金の交付を受けて幼稚園を設置運営する社会福祉法人は,幼稚園部分の運営
について,学校法人会計基準により会計処理を行わなければなりませんが(
私立学
校振興助成法附則第 2条)
,認定こども園である幼保連携施設を構成する幼稚園及
び保育所を設置する社会福祉法人については,幼稚園部分についても社会福祉法人
会計基準により会計処理を行うことができます(
学校法人会計基準第 3
9条)
。
(7)学校法人が保育所を設置する場合の会計処理等
学校法人は,児童福祉法 3
9条に規定する保育所を認可を得て設置することがで
きます。その事業としての位置付けや会計処理は次のとおりです(
「学校法人の設
置する認可保育所の取扱いについて」
(
平成 1
4年 7月 2
9日文科省私学部長通知)
)
。
①学校法人が設置する認可保育所は収益事業ではなく,附帯事業として位置付ける
こととします。
②認可保育所を設置する場合は,寄附行為にその事項を記載しなくてはなりません。
③会計処理については,以下により取り扱うこととします。
・財務計算に関する書類に記載する金額は,総額表示とすること。
・認可保育所に係る収支は,資金収支計算書及び消費収支計算書には管理経費とし
て計上すること。
・資金収支内訳表及び消費収支内訳表に認可保育所の部門を設けること。
・認可保育所に係る施設設備等は,基本金組入対象資産とすること。
・併設の幼稚園との施設・運営の共用化等を図る場合は,当該幼稚園との施設設
備等の管理や経費の負担区分等を明確にすること。
④保育所事業部分については,学校法人会計基準によるものとは別に,社会福祉法
人会計基準に基づく書類を作成し(「保育所の設置認可等について」
(平成 1
2年 3
月3
0日児発第 2
9
5号)
,所管の県保健福祉部子ども家庭課に正副2部提出しなく
てはなりません。作成しなければならない書類については,次のとおりです。
・資金収支計算書
・資金収支内訳書
・収支計算書又は損益計算書
・貸借対照表
・積立預金明細書
25
・積立金明細表
このうち,資金収支計算書及び資金収支内訳書については,資金収支計算分析表
にかえることができます「保育所の設置認可等についての一部改正について」
(平
成2
2年 3月 3
1日雇児発第 3
7号)
。また,収支計算書又は損益計算書,貸借対照
表については,それぞれ学校法人会計基準により作成する消費収支計算書,貸借
対照表を代用することでよく,あらためて作成する必要はありません。
従って,保育所事業部分として作成,提出を要する計算書類等は次のとおりとな
ります。
・資金収支計算分析表(雇児発第 3
7号)
・資金収支計算書(学校法人会計基準)
資金収支内訳表(学校法人会計基準)
人件費支出内訳表(学校法人会計基準)
・消費収支計算書(学校法人会計基準)
消費収支内訳表(学校法人会計基準)
・貸借対照表 (学校法人会計基準)
固定資産明細表(学校法人会計基準)
借入金明細表(学校法人会計基準)
基本金明細表(学校法人会計基準)
・積立預金明細書(雇児発第 3
7号)
・積立金明細表(雇児発第 3
7号)
(8)附帯事業,補助活動事業,収益事業
学校法人が行う教育事業以外の事業は主に附帯事業,補助活動事業,収益事業に
分けられます。
なお,法人税法上の課税対象となる収益事業の範囲は,私立学校法上の収益事業
と異なり,附帯事業,補助活動事業であっても,法人税法上は収益事業とされ課税
対象となる場合がありますので,留意願います。
①附帯事業は,教育事業と一体的に行われる事業で,幼稚園における保育所事業
や,医学部がある大学の付属病院などが例としてあります。この事業を行う際は,
国の通知に基づき寄附行為への記載を要する場合があります。
②補助活動事業は,主に在学者,保護者,教職員などを対象として,教育事業に付
随して行われる事業で,食堂,購買部,給食の提供,通学バスの運行,預かり保
育,子育て相談などが例としてあります。この事業を行う際は,特段寄附行為を
変更する必要はありません。
③収益事業は,本来の教育活動とは直接関わりのない事業です。不動産賃貸や飲食
店経営などが例としてあります。この事業を行う際は,あらかじめ寄附行為に位
置づける必要があります。
26
5 私立学校に係る税制について
(1)学校法人に対する税制上の優遇措置について
私立学校については,私学助成のほか,私立学校振興助成法第15条において「国
又は地方公共団体は,私立学校教育の振興に資するため,学校法人が一般からの寄
附金を募集することを容易にするための措置等必要な税制上の措置を講ずるよう
努めるものとする」と規定されており,これに基づき,学校法人に対する,様々な
税制上の優遇措置が講じられています。具体的には,私立学校の公共性・公益性に
鑑みて,法人税や事業税,固定資産税,登録免許税など国,地方の多くの税目が非
課税とされているほか,学校法人への寄付に対する寄付者への優遇措置等が設けら
れています。
①学校法人に対する優遇措置
法人税
【教育・保育事業】
非課税(法人税法上の収益事業に該当する事業を除く。
)
【収益事業】
税率 2
2
%
(株式会社等 3
0
%
)
みなし寄付金の特例
収益事業収入の 5
0
%
(当該金額が年 2
0
0万円未満の場合は 2
0
0万円)
その他非課税となる税目
【その他の国税】
○所得税(利子,配当所得等)
,登録免許税(直接保育又は教育の用に供する場合に限る。
)
【地方税】
○住民税,事業税,事業所税(収益事業に係るものを除く。
)
○不動産取得税,固定資産税,特別土地保有税,都市計画税(直接保育又は教育の用に供
する場合に限る。
)
※非課税措置を受けるためには,別途県又は税務署若しくは市町村において,所
定の手続きを行う必要がありますので留意願います。
②学校法人に寄付をした方に対する税制上の優遇措置
寄付者
個人からの寄付
寄付の受手
学校法人に対する直接
寄付 ※1
(その学校法人が特定
公益増進法人の証明を
受けている場合)
日本私立学校振興・共済
事業団を経由した寄付
※3
(受配者指定寄附金)
株会社等
【所得控除額】
寄付金額(総所得金額の 4
0
%が
上限)-2千円
【住民税控除額】
(寄付金額(総所得金額の 3
0
%
が上限)-5千円)×4
%
(
6
%
)
※2
同
上
法人からの寄付
【損金算入限度額】
資本金等×0
.
2
5
%
+
当該年度所得×5
%
×1
/
2
寄付金全額の損金算入が可能
優遇措置なし
27
【損金算入限度額】
資本金等×0
.
2
5
%
+
当該年度所得×2
.
5
%
×1
/
2
※1寄付者が所得控除を受けるためには,その学校法人が特定公益増進法人であ
ることの証明書の写しを確定申告書類に添付する必要があります。特定公益増
進法人証明に係る手続については,私学振興室までお問い合わせ願います。
※2住民税(道府県民税:控除率 4
%
,市町村民税:控除率 6
%
)の控除に係る取
扱いは自治体により異なるので,詳しくは市町村窓口等にお問い合わせ願いま
す。
※3受配者指定寄附制度については日本私立学校振興・共済事業団までお問い合
わせ願います。
③その他の税制上の優遇措置
〔相続や遺贈により受けた資産を学校法人へ寄付した場合の相続税の免除について〕
財産を相続や遺贈により取得した場合,財産の取得者には,原則として相続税が
課税されます。
しかし,取得者が相続税の申告書の提出期限(原則として相続の開始した日又は
遺贈が生じた日の翌日から 1
0ヶ月)までに相続により取得した財産を学校法人へ
寄付した場合には,相続税の課税価格から除外され,非課税となります。
ただし,この寄付によって寄付者本人や,その親族などにかかる相続税や贈与税
の負担を不当に減少させたり,寄付を受けた学校法人がその財産を,寄付を受けた
日から2年を経過する日までに教育などのために使わないときはこの特例が受けら
れなくなります。
なお,寄付者がこの特例を受けるためには,その学校法人が租税特別措置法施行
令第40条の3第1項第4号に掲げる学校法人であることの証明書を,相続税の申
告書類に添付する必要があります。証明に係る手続については,私学振興室までお
問い合わせ願います。
〔学校法人への土地建物の寄付(贈与)に係るみなし譲渡所得の特例〕
個人が,土地や建物などの資産を法人に譲渡すると,その資産に含み益(購入時
より売却時の価額が値上がりした場合)がある場合,その譲渡所得に対し所得税が
課税されますが,土地や建物などの資産を寄付(贈与)した場合についても,その
資産に含み益がある場合,譲渡所得があったものとみなされて課税されます(みな
し譲渡所得課税)
。
しかし,学校法人に対して寄付(贈与)が行われる場合には,寄付(贈与)がな
かったものとみなされ,所得税が課税されません。この非課税措置を受けるために
は,寄付者において,あらかじめ国税庁長官の承認を受ける必要があります。
〔学校用地買収の際の売り主に対する特例措置〕
既設の学校法人が設置する幼稚園又は高等学校のための資産の買い取りする場
28
合,土地収用法の事業認定を受けていなくても,一定の条件を満たすことにより,
資産の売り主は譲渡所得の特別控除
(5,000万円上限)
を受けることができます。
この場合,売買契約締結前に,あらかじめ所轄税務署にて事前協議を行い,特例
の承認を受ける必要があります。
29
別表(役員変更届)
就任
役員
新旧
承諾
変更
対照
書の
届(
様
表(
別
写し
式第
添様
(
別添
1
1号) 式 2
2
) 様式
1
4
)
○就任した場合
○
○
○
履歴
書の
写し
理事
理事
誓約
長の
会・評
書(
別
宣誓
議員
添様
書(
別
会決
式1
5
) 添様
議録
式1
6
) 謄本
○
監事
に係
る理
事長
の宣
誓書
(
別添
様式
1
7
)
辞任
届の
写し
(
別添
様式
2
3
)
○
理事長の変更
ア前任者が
辞任した場合
登記
完了
届
(
様式
第1
1
号)
登記
簿謄
本
○
○
○
イ前任者が
死亡した場合
ウ前任者が解任
された場合
○
○重任した場合
○
○
○
○
○就任した場合
○
○
○
○
○
○
○
○
ア前任者が
辞任した場合
○
理事の変更
イ前任者が
死亡した場合
ウ前任者が解任
された場合
○
○重任した場合
○
○
○
○選任区分変更
の場合
○
○
○
○就任した場合
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
監事の変更
ア前任者が
辞任した場合
○
○
○
○
イ前任者が
死亡した場合
ウ前任者が解任
された場合
○重任した場合
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
*1 役員変更届は,理事又は監事が就任し,又は退任したときは,遅滞なく届出すること。
*2 理事長以外の代表権を持つ理事を登記している学校法人にあっては,理事のなかで代表権を持つ理事を変
更した場合(登記事項の変更が必要)も,役員変更届の届出が必要なこと。
*3 履歴書については,以下の点に留意すること
①最新のものであること(当該届出に係る役員就任(重任)まで含めること)
。
②現職を必ず記入すること。
③当該法人に係る役職は過去のものも漏れなく記入すること。
④他の学校法人の役員を兼務する場合は,全て記入すること。
*4 就任承諾書,履歴書,辞任届ついては,法人で保管し,写しを添付して提出すること。
*5 理事会・評議員会決議録謄本については,理事長による原本証明を行うこと。
30
主な届出に係る必要添付書類一覧
土地権利取得(処分・現状変更)届
建物権利取得(処分・現状変更)届
①取得(処分)の事由
(任意様式)
①取得(処分)の事由
(任意様式)
②取得(処分)の時期
(任意様式)
②取得(処分)の時期
(任意様式)
③取得(処分)の調書
(任意様式)
③取得(処分)の調書
(任意様式)
④建物図面(取得・処分部分朱書き)
⑤土地権利書関係(契約書・引渡書,登記簿
等)
⑥取得・処分に係る理事会・評議員会決議録
謄本
④土地図面(取得・処分部分朱書き)
(原本証明)
(原本証明)
⑤建物権利書関係(契約書・引渡書,登
記簿等)
⑥取得・処分に係る理事会・評議員会決
議録謄本
校長決定届
①履歴書
(原本証明)
(原本証明)
学則変更届
(任意様式)
②教員免状写し又は授与証明書写し
①変更の事由
(任意様式)
②条文新旧対照表
(任意様式)
③学校教育法9条各号に該当しない宣誓書
(様式 3準用)
③変更の時期
(任意様式)
④5年以上教育に従事した証明書
(任意様式)
④新学則2部
(任意様式)
⑤前任者氏名・解職年月日・事由
(任意様式)
⑤変更に係る理事会・評議員会決議録謄
本
(原本証明)
⑥採用に係る理事会・評議員会決議録謄本
(原本証明)
校地・校舎等証明申請書(2部提出)
①新たに証明する校地・校舎の権利関係書類
(契約書・引渡書・登記簿)の写し
特定公益増進法人証明願(2部提出)
(任意様式)
②校地・校舎図面(取得・処分部分朱書き)
③取得・処分に係る理事会・評議員会決議録
謄本
(原本証明)
④証明手数料 ¥400円
①寄付行為
②事業年度の事業計画書及び収支予算書
※
③事業年度の財産目録
※
④直近の事業報告書及び収支決算書
※
⑤寄付金募集要綱
役員変更届
①
新旧対照表
②役員就任承諾書の写し
・募集目的及び使途
(
別添様式 2
2
)
・目標金額,募集区域,対象
(
別添様式 1
4
)
・募集期間
③履歴書の写し
・寄付金の管理方法
④学校教育法9条各号に該当しない理事長
誓約書
(
別添様式 1
5
)
⑤親族・理事長宣誓書
(
別添様式 1
6
)
⑥証明手数料 ¥400円
⑥変更に係る理事会・評議員会決議録謄本
(原本証明)
※学教法 1条に規定する学校のみを設置する学校法人
は不要
⑦監事・理事長宣誓書
(
別添様式 1
7
)
⑧辞任届の写し
(
別添様式 2
3
)
・募集に係る経費
登記完了届
①登記の事項,登記年月日
②登記所の証明書(履歴事項全部証明書)
31
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