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鉱石の採取と物質同定および電気特性に関する研究 - J
(22)学生の学修活動事例 講演番号:P-21 鉱石の採取と物質同定および電気特性に関する研究 6WXG\RQ&ROOHFWLRQ,GHQWLILFDWLRQDQG(OHFWULFDO&KDUDFWHULVWLFVRI1DWXUDO0LQHUDO ○鹿毛涼太※1 黒木 雄一郎※1 5\RWD.$*(<XLFKLUR.852., キーワード:鉱石ラマン散乱分光,電気特性 .H\ZRUGV1DWXUDOPLQHUDO5DPDQVFDWWHULQJ(OHFWULFDO&KDUDFWHULVWLFV はじめに 著者は小学生のころに、神奈川県立 生命の星・ 地球博物館 にて巨大な鉱石を見てから、綺麗な結 晶に興味を抱いた。その後も何度か鉱石に触れる機 会があったが、最近、自ら鉱石採集を行う機会を得 た。また、ある種の鉱石はラジオの検波に利用され、 鉱石ラジオとして応用されていることを知った 。 さらに、サレジオ高専での学生実験を通じてダイオ ードの特性および検波の原理を学習する機会も得た。 本稿では、自ら採取した鉱石の同定および電気特性 の調査を目的として、ラマン散乱および電流電圧特 性を測定した結果について報告する。 図1 採掘場所周辺の概略図 実験方法 【鉱石の採取】 図1に採掘場所である秦野市渋沢の渋沢鉱山跡を 示す。ここの小川で採掘できた鉱石のほとんどは 面体で、大きな結晶は少なかった。今回採取した典 型的な鉱石の外観を図 に示す。美しい正三角形の ファセットが観察され、その一辺は PP の長さ であった。 【ラマン散乱測定】 得られた鉱石について、ラマン散乱測定による物 質同定および電気特性を調査した。ラマン散乱とは 振動数νのレーザー光を試料に照射した際、分子の 振動によってレーザー光の振動数とは異なる振動数 の光が試料から放出される現象である。ラマン散乱 測定は基準となるレーザー光とラマン散乱光の振動 数差(ラマンシフト)を測定する。鉱石の表面をプ ロパノールで洗浄した後に測定を行った。測定には QP の半導体励起個体レーザー、有効画素数 FK の冷却 &&' を使用した。本装置の波数分解能 は約数値 FPFK である。 ※ 図2 採取した鉱石の外観写真 サレジオ工業高等専門学校 機械電子工学科 公益社団法人日本工学教育協会 平成 28 年度 工学教育研究講演会講演論文集 ― 560 ― 図3ラマン散乱スペクトル 【電気特性の調査】 採取した鉱石に、タングステン細線によるショッ トキー接触を形成し、その電流電圧特性を測定した。 測定には $'&07 の FK 'LJLWDO0XOWLPHWHU$ を用いた。また、比較のためゲルマニウムダイオー ド 1 も測定した。 英名 結果・考察 おわりに 自ら採取した鉱石の同定および電気特性の調査を 目的として、ラマン散乱測定および電流電圧特性を 測定した。今後、黄鉄鉱の元素分析や結晶相の同定 を行う。また、得られたダイオード特性を利用し、 鉱石ラジオとして利用できるのかを確認したい。 3\ULWHパイライト 分類 硫化鉱物 化学式 )H6 結晶系 立方晶系 色 黄銅色 モース硬度 密度 JFP 鉄 硫黄 図4 黄鉄鉱の結晶構造 10 ▲ 黄鉄鉱 ○1N60 5 電流I[mA] 【ラマン散乱測定】 採取した鉱石についてラマン散乱測定により物質 同定を行った。得られた結果を図 に示す。 FP に三つのピークを確認した。 ラマンスペクトルのデータベース と比較したとこ ろ、採取した鉱石は黄鉄鉱であることがわかった。 またそれぞれのピークは (J$J7J の対称性に帰属 した。データベースのスペクトル形状と比較すると、 本研究で測定したものはピーク形状がシャープであ り、結晶性が高いことが伺える。 【黄鉄鉱とは】 表 に黄鉄鉱の基本データを示す 。英名は 3\ULWHパイライトである。これはハンマーで叩く と火花が出るため、ギリシャ語で「火」を意味する 「S\U」(パイラ)から来ている 。黄鉄鉱の結晶構 造を図 に示す。黄鉄鉱は鉄と硫黄が図のように化 合した硫化鉱物であり、硫酸の重要な原料として利 用されていた。 【ダイオード特性の測定】 黄鉄鉱は古くから鉱石ラジオの検波回路に使われ ている。検波回路は整流性を有した非線形素子:ダ イオードから構成される。黄鉄鉱の電流電圧特性の 測定結果を図 示す。印加電圧は~9 まで変化 させた。逆方向に 9 の電圧を印加した場合、1 では P$ の電流が流れた。一方、黄鉄鉱では P$ 程度であり、リーク電流は比較的大きな値となっ た。また順方向電圧を印可した場合は、どちらも電 圧の上昇に伴い電流が急激に流れるダイオード特性 が観測された。 表1 黄鉄鉱のデータ 0 −5 −2 0 電圧V[v] 2 図5 1 と黄鉄鉱のダイオード特性 参考文献 神奈川県立 生命の星・地球博物館 KWWSQKNDQDJDZDPXVHXPMSLQGH[KWPO &U\VWDO5DGLR&*HUPDQLXP5DGLR KWWSKRPHDWWQHMSOHPRQNDQ]DNLQHZSDJH KWPO 558))3URMHFWZHEVLWH KWWSUUXIILQIR3\ULWH5 大塚信一 理化学辞典 第 版 岩波書店 3 塚田眞弘著:天然石と宝石の図鑑 日本実業出版社 3 ― 561 ―