...

126 4.1 ハード対策に関する準備事項 4.1.1 資機材の準備

by user

on
Category: Documents
6

views

Report

Comments

Transcript

126 4.1 ハード対策に関する準備事項 4.1.1 資機材の準備
4.1 ハード対策に関する準備事項
ハード対策に関して平常時から準備が必要な項目は表 4.4 の通りである。
表 4.4
ハード対策関連で平常時から実施が必要な項目
項目
内容
資機材の準備
資機材の準備
土地の確保
許可申請・調整
構造物関連
4.1.1
通常時の所用日数
連携機関
数ヶ月
国、県、市
緊急対策工事における安全対策施設
数ヶ月
電源確保
数ヶ月
電力会社
土地使用許可・借地・立木の伐採
数ヶ月
県、市、地権者
ストックヤード、土捨て場の確保
数ヶ月
県、市、地権者
道路上の構造物設置に対する占有許可
数ヶ月
道路管理部局、警察署
基本計画上の計画位置の砂防指定地化
数年
無人化施工の実施に係わる準備
数ヶ月
国交省、総務省、民間企業
道路使用に関する協議・調整
約1ヶ月
道路管理部局、警察署
緊急ハード対策実施箇所の横工基礎の設置
数年
既設堰堤のスリット化
数年
資機材の準備
(1) 資機材の準備
新潟焼山火山噴火緊急減災対策実施に際して、現段階で利用できるコンクリ
ートブロック、及び建設重機は不足していることが確認された。
現在不足している資機材の調達方法には、新規購入と関連機関からの借用が
考えられる。
関連機関からの借用の場合、国や県、各自治体の有する災害時応援機材の使
用、周辺の施設からの移設、施工業者などとの協定等を組み合わせて対応する
こととなる。
① 新規購入
・ 建設重機については、新規購入は考慮しない。
・ 大型土のう袋、コンクリートブロックともに受注生産となり、作成に1
ヶ月~2ヶ月程度かかる。
② 周辺関係機関からの借用
・ 近隣の市町村に限らず、近隣の県、国について、平常時から備蓄状況を
情報交換し、災害時の相互協力について協議を実施しておくことが必要
である。
・ その際、緊急時に利用出来る資機材についてデータベース化しておくこ
とにより、資機材備蓄状況の変化に対応して情報の更新することにより、
いつも最新の情報を共有できるようにしておくと効果的であると考えら
れる。
126
(2) 緊急対策工事における安全対策施設の整備
緊急ハード対策を安全に実施するためには、対象渓流における土砂移動現象
を土砂移動検知センサー等により、早期に検知する必要がある。
これら土砂移動検知センサーは、土砂移動現象の速度に対して、対策実施箇
所から十分離れた地点に設置しておく必要がある。
新潟焼山の場合、冬季には積雪や雪崩の危険性があるため、緊急対策箇所か
ら十分離れた上流地点に土砂移動検知センサーを設置することは不可能である。
よって、平常時から土砂移動検知センサー等の設置を進める必要がある。
4.1.2 土地の確保
(1) 土地使用、借用に関する調整
緊急ハード対策で使用する土地は、砂防指定地内及び公共用地を基本とする
が、場合によっては民有地も含めて、地権者や関係機関から使用許可を得るよ
う平常時から調整が必要である。
また、平常時には、基本的に火山基本計画に沿った整備を進めておく必要が
あるため、基本計画上の計画位置について砂防指定地化をしておく必要もある。
・ 地権者との用地使用に関する手続き
・ 砂防指定地の指定手続き
・ 道路上の構造物設置に対する占有許可
協議、調整事項については、前述 p112、p113 の通り。
(2) ストックヤード、土捨て場の確保
ストックヤード・土捨て場候補地は、融雪型火山泥流の影響予測範囲外で緊
急対策実施箇所から離れていない箇所が候補地となる。そこで平常時に関係機
関と協議を行い、ストックヤード・土捨て場候補地の抽出、選定、確保を図る
ことが必要である。
協議、調整事項については、前述 p112、p113 の通り。
(3) 立木の伐採
緊急ハード対策予定箇所や緊急ハード対策を実施するために設置する工事用
道路箇所の立木について、緊急時に伐採が実施できるよう、平常時から関係機
関、地権者と調整を図っておく。
協議、調整事項については、前述 p112、p113 の通り。
127
4.1.3 土地の確保
(1) 無人化施工の実施係わる準備
新潟焼山では、噴火活動中及び降灰後に緊急ハード対策の実施や河道内の堆
積土砂の掘削を実施する際、安全面から無人化施工を実施する可能性も考えら
れる。
その際、使用する無線の種別によっては、総務省に申請し、電波法に基づく
無線局免許や無線従事者免許を取得する必要が生じる。これらの免許取得の手
続きには所定の日数を要するため、可能であれば、事前に無人化施工システム
(映像装置や遠隔作業を搭載した建設期間、中継車、操作機、免許を付与され
た無線局などを含めたシステム全体)を有しておき、緊急時すぐに稼働可能な
状態としておくことも有効である。
協議、調整事項については、前述 p112、p113 の通り。
(2) 道路使用に関する協議・調整
緊急減災対策に使用する建設機械の搬入にあたっては、一般的に陸上輸送で
はトレーラーが用いられる。
トレーラーは「特殊な車両」にあたり、道路法や道路交通法、および車両制
限令の規制を受けるため、道路管理者及び警察署に対して所定の協議・申請が
必要となる。
協議、調整事項については、前述 p112、p113 の通り。
4.1.4 構造物関連
(1) 緊急ハード対策実施箇所の横工基礎の設置
新潟焼山では、緊急ハード対策として、焼山川と火打山川の合流点にコンク
リートブロックによる横工を有した遊砂地の設置を計画している。
この横工に用いるコンクリートブロックは連結して各ブロックを一体化する必
要があり、そのためには、横工設置箇所の渓床を整地しておく事が緊急対策の
時間短縮に有効である。
そこで、平常時に横工設置計画箇所に横工基礎を設置し、緊急時にはその基
礎の上にコンクリートブロックを設置するだけにしておく。
(2) 既設堰堤のスリット化
新潟焼山では、当初緊急ハード対策として、焼山川第 1 号堰堤および第 2 号
堰堤の除石と掘削を計画していたが、積雪下の除石、掘削は雪崩の恐れがあり、
危険を伴うため、代替案として、堰堤形式を透過型堰堤と改築することにより、
平常時の土砂流入による堰堤堆砂域の堆積を極力抑える案を提案している。
この堰堤スリット化は長期の期間がかかることが想定されるため、平常時か
ら対策を実施しておく必要がある。
また、これら堰堤については施工年が古く、現行基準では堰堤躯体不足とな
ってしまうため、堰堤の補強等の対策も併せて検討しておく必要もある。
128
4.2 ソフト対策に関する準備事項
ソフト対策に関して平常時から準備が必要な項目は表 4.5 の通りである。
表 4.5
ソフト対策関連で平常時から実施が必要な項目
項目
資機材の準備
土地の確保
協議・調整
内容
通常時の所用日数
連携機関
資機材の準備
数ヶ月
国、県
電源確保
数ヶ月
電力会社
土地使用許可・借地・立木の伐採
数ヶ月
県、市、地権者
道路上の構造物設置に対する占有許可
数ヶ月
道路管理部局、警察署
監視観測機器の設置、整備
数ヶ月
気象庁、大学等解析実施機関
情報通信システムの整備
数ヶ月
国交省、民間電話会社
避難対策支援体制の整備
数ヶ月~数年
国、県、市
防災拠点の強化
数ヶ月~数年
国、県、市
4.2.1 資機材の準備
(1) 資機材の準備
緊急ソフト対策に用いる監視観測機器は、近隣の関係機関が有する転用可能
な機器を緊急時に使用することも想定し、平常時から所在、数量を確認すると
ともに、関係機関と緊急時の利用について協議しておくことが必要である。
資機材の所在、数量については、データベース化しておくことが望ましい。
(2) 電源の確保
緊急ソフト対策で監視観測機器を設置する場合、電源の確保がネックとなる
ため、平常時から電源確保の準備を検討しておく必要がある。
4.2.2 土地の確保
緊急ソフト対策で使用する土地を地権者や関係機関から使用許可を得るよう、
平常時から調整をしておく必要がある。
道路上に構造物を設置する場合は、道路占用許可および道路の使用許可が必
要となるため、道路占用許可は道路法に既定された道路管理者へ、道路の使用
は道路交通法に既定され所轄警察署長へ許可申請が必要である。
協議、調整事項については、前述 p112、p113 の通り。
4.2.3 協議・調整
(1) 監視観測機器の設置、整備
① 火山活動と新潟焼山火山噴火緊急減災対策砂防で対象とすべき土砂移動
現象は密接に関係しており明確に区分できないため、各監視観測機器の
整備や得られた情報の解析実施機関について、平常時に役割分担を明確
にしておくことが必要である。
129
② 新潟焼山では、緊急時に各監視観測機器を設置することは困難であるこ
とと、平常時からのデータ蓄積が重要であるため、平常時から解析を実
施する機関(気象庁や大学)と設置箇所や基数、設置機関を協議、調整
して、平常時から整備を進めていく必要がある。緊急ソフト対策に用い
る監視観測機器は、近隣の関係機関が有する転用可能な機器を緊急時に
使用することも想定し、平常時から所在、数量を確認するとともに、関
係機関と緊急時の利用について協議しておくことが必要である。
協議、調整事項については、前述 p112、p113 の通り。
(2) 情報通信システムの整備
① 緊急時の情報通信システムは、「衛星系無線通信システム」「地上系無線
通信システム」「災害対策テレメータ」等があるが、新潟焼山において、
これら通信システムが現場で使用可能か事前に確認しておくことが必要
である。
表 4.6
緊急時の情報通信システム
①衛星携帯電話
衛星系無線通信システム ②衛星通信車
③衛星小型画像伝送装置(Ku-SAT)
①災害対策テレメータ
地上系無線通信システム
②国土交通省移動通信システム(K-COSMOS)
② 上記のような情報通信システムは、国土交通省や民間電話会社が所有し
ているため、焼山噴火時にこれら情報通信システムに必要な機材の借用
等ができるよう、平常時から協議、調整が必要である。
協議、調整事項については、前述 p112、p113 の通り。
(3) 避難対策支援体制の整備
①プレアナリシス型ハザードマップの作成
緊急時における火山活動状況を判断するための情報や避難対策を支援
するために、各関係機関と連携して平常時から関係機関の連携・情報共有
を進める。
避難対策支援については、プレアナリシス型ハザードマップを平常時に
準備しておき、噴火シナリオの想定現象について事前に災害予測区域図集
を作成しておくことは有効と考えられる。
②「新潟焼山火山噴火協議会(仮称)」の設置
火山防災に関する情報共有や意見交換について、「新潟焼山火山噴火協
議会(仮称)」の設置を行い、関係機関の連携を強化させていく。
③ロールプレイング方式防災訓練等、地域住民や関係機関を含めた訓練の
実施
130
新潟焼山噴火時に、緊急減災対策砂防の実施や地域住民の避難支援対策
を効率的に実施するために、平常時から、関係機関と協力して、定期的に
ロールプレイング方式防災訓練等の実施訓練を行い、防災技術の向上を図
る。
(4) 防災拠点の設置・強化
防災拠点の果たすべき役割を整理の上、今後、候補地を選定し、設置する。
既設施設が利用可能と判断された場合、調整・協議の上、防災拠点としての必
要機能の強化を図る。
防災拠点の役割として以下のような点が考えられる。
防災拠点の設置、強化については、前述 p113~p122 の通り。
131
Fly UP