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購入する義務を負いませんゲーム
(別紙)寄せられた御意見の概要と御意見に対する考え方 ○ ● 御意見の概要 御意見に対する考え方 1.Ⅰ-1-2 消費者の操作ミスによる錯誤 ○ インターネットの利用者数は年々増加し、パソコンやスマートフォンを使って 通信販売により商品を購入することが日常的になっています。今回の改訂におい て通信販売サイトの申込み画面や確認画面の有効性について、明示されたことを 支持いたします。特に、航空チケットの予約などトラブルが発生しやすい通信販 売サイトにおいては、消費者保護のために必ず「最終確認画面」を設けることを 義務づけるよう希望いたします。 ○ 現在、一般的には、「最終確認画面」が設けられているため、「最終確認画面」 が設定されていない場合においては、消費者が「最終確認画面」があるものと考 え、内容を確認せずに送信する恐れがあると考えます。入力画面とは別に「最終 確認画面」を必須として下さい。 ● 本項目の記述の基礎となっている電子契約法第3条は、 「確認を求める措置」と して、必ずしも「最終確認画面」を求めるものではなく、 「最終確認画面」を必須 とする旨を記載することは考えておりません。 ○ 2. (1)において、消費者に重大な過失があっても、意図しない契約の申込み 等を無効にすることができると明記されていますが、無効となることによって事 業者に生じる損害について、消費者がなんら責任を負わないように受け取られる 可能性があります。 具体的には、消費者が、故意に膨大な数の発注をしたにもかかわらず、確認画 面がでないことを理由に、間違って入力したものであると主張することで、なん ら責任を負うことなく無効であると主張できるかのように一般消費者に認識され ることを懸念しています。 従って、消費者の故意又は過失により事業者に与えた損害については不法行為 として損害賠償義務を負う旨を記載することを提案します。 ● 御指摘の箇所は、錯誤無効について述べたものであるところ、消費者が故意に 膨大な数の発注をする等の「故意」による事例は、 「錯誤」に該当するものではあ りません。 また、当該箇所の趣旨は、消費者が過失により錯誤に陥った場合に、過失が軽 過失であっても重過失であっても申込みの意思表示を無効にすることができると いうものであって、過失により事業者に与えた損害について、消費者が損害賠償 責任を負うという結論を導くものではありません。 1 ○ デジタルコンテンツの電子商取引が一般化している今日、 「最終確認画面」を設 けない場合も通例化しており、 「最終確認画面」を設けることが一般化していると は言えないため、その旨の記載は削除すべき。 ○ 2. (2)において、電子契約法第 3 条但書の「確認を求める措置」のパターン を①及び②の 2 通り挙げ、 「近時は、上の②の方法に従い、…仕組みが一般的にな っている。」と指摘している。この点、電子商取引の種類や電子商取引が行われる デバイスが多様化されている現状において、このような仕組みが一般化されてい るのは PC 等の一部デバイスにおける売買等の取引であると解される。したがって、 「確認を求める措置」については、電子商取引やデバイスの種類によって異なり 得ることを指摘する必要があり、過度に一般化してしまうのは不適切であると考 えられる。 ○ 「「最終確認画面」を設けることが一般化しており」という認識に賛同できません。 「アプリケーション」が販売されているグローバルなプラットフォームにおいて は、 「アプリケーション」を販売するにあたり、当該プラットフォーム上で運営・ 管理された代金決済を使用せざるを得ず、代金決済について独自の画面を構築し たり、画面遷移を設けることができません。こうした「アプリケーション」が販 売されるプラットフォームで行われている商慣行について、確認を求める措置と して不十分とされるおそれがある、と準則に書かれることは、法的安定性を欠く ことになります。電子商取引のうち一部のデバイスや分野のみに該当する事象を とらえて「一般化」して、論を進めることのないよう、ただし書きを削除いただ くか記載の見直しを要望します。 ● 近年では、 「最終確認画面」を設けない画面例も散見されるものの、本論点が主 として対象とする電子商取引の分野においては、 「最終確認画面」を設ける例が一 般的と見られることから、本改訂案における記載は妥当なものと考えます。なお、 本論点は、「最終確認画面」を必須とする立場に立つものではなく、「最終確認画 面」を設けない場合には、 「ボタンをクリックすることで最終的な意思表示となる こと」を消費者に明瞭に表示する必要があることを説明しています。 ○ 「意思の表明」とは、消費者がその自主的な判断により、自ら積極的に確認措置 の提供が必要ではないことを事業者に明らかにするとの趣旨ですが、BtoCの 電子契約が健全な取引になるかどうかが危惧されるため反対です。消費者にはリ スクの高い「意思の表明」であり、事業者にはかなりのメリットになる「意思の 表明」と思われます。このため、事業者は顧客獲得のため、価格の割引やポイン トの付与などあの手この手で営業的に「確認措置が不要」へ誘導してくるのでは ないかと予測されます。消費者は目先の価格割引やポイント制等の勧誘に応じや すく、公正で適切な選択ができにくい環境を与えることになってしまいます。 ● 「意思の表明」は、電子契約法第3条ただし書に定められたものであり、準則に 記載せず、消費者に周知しないこととなれば、かえって消費者にリスクを負わせ 2 る結果となり得るものと考えます。なお、価格の割引やポイントの付与などの手 法により、「確認措置が不要」へ誘導した場合に、「確認を求める措置」を要しな い旨の意思の表明として有効か否かは、現時点では、そのような実例が見当たら ないため、本論点では取り上げておりませんが、今後、仮にそのような事例が生 じた場合には、具体的な状況を踏まえて、改めて慎重に判断する必要があると思 われます。 2.Ⅰ-4 未成年者による意思表示 ○ 意思無能力者の取扱いについて明文化されましたことは、相談の現場では「幼 児が親のクレジットカード番号を暗記してオンラインゲーム代金を決済した。」と いうような事例があることからも意義の大きいものと受け止めております。 ● 本論点は、近年のオンラインゲーム等の普及に伴って、幼年者を含む未成年者 による高額利用トラブルが増加しているという問題意識の下、新たに追加したも のです。 ○ 幼年者等意思無能力者による申込みは無効になる旨が記載されていますが、ク レジットカードを、子どもが勝手に使用した場合においては、未成年者による法 律行為と同様に「なりすまし」の問題となり、親自身が支払い義務を負うかの問 題になります。 今の現行案であれば、なんら責任を負うことなく無効主張できるかのように受 け取られる可能性がありますので、現準則 i56 下部コメントを、幼年者等意思無 能力者による場合に準用して、明記することを提案します。 ● 「なりすまし」の論点は、本来本人に帰属しない行為の効果について、本人に帰 属するかを問題とするものであり、幼年者等の意思無能力者に関する事項とは、 別個の問題と考えられます。 一方、御意見の趣旨が、意思無能力者が責任を負わないと述べただけでは、法 的問題の最終的解決指針にはならず、実際には、クレジットカード決済の場合、 必ずカード契約上の問題処理が必要となるため、前者の問題だけではなく、後者 の問題についても準則で解決指針や実務上の処理実態を示すべきであるというも のであるとすれば、それは、今後の準則の在り方の参考にさせていただきます。 ○ 前段で「意思能力については・・・個別具体的に判断される。 」と説明されてい るにも関わらず、後段で、 「意思能力があるといえるには、一般的には 7~10 歳程 度の知力があれば足りるとされている。」と、一律に年齢で判断されるような記載 がなされているのは、正確でない上に誤解を引き起こし、個別具体的な判断をミ スリードする可能性があるため、当該部分は削除すべきである。 ○ 脚注1の二文目には「意思能力があるといえるには、一般的には7~10歳程 3 度の知力があれば足りるとされている。」とありますが、意思能力があるといえる ための一般的な年齢の水準については、学者や実務家の間でも議論が分かれてい るところかと思われますので、具体的な年齢を(たとえ幅のある表現であっても) 明記するべきではないと考えます。また、同脚注の一文目には「意思能力は、自 己の行為の結果を判断することができる能力」であるとの記載がありますが、こ の定義は、出典が明らかでありません。ここで若干の文献を参照しますと、 「意思 能力とは、法律上の判断ができる能力をいう。」(川井健「民法概論1(第 4 版) 」 21 頁) 、 「自己の締結する契約等の意味内容をまったく理解・判断する能力がない 状況を意思無能力といい」(注釈民法[1]274 頁)といった記載がみられます。つ きましては、同脚注の二文目は削除していただき、一文目は「意思能力とは、自 己の締結する契約等の意味内容を理解し判断することのできる能力であって、当 該行為者の属性及び当時の状況等を考慮した上で個別具体的に判断される。」とい う文言に修正していただきたく存じます。 ○ (外7件、脚注1に対する意見) ● 脚注1を以下のように修正しました。 「意思能力は、自己の行為の結果を判断することのできる能力であり、意思能力 があるといえるには、一般的には7~10歳程度の知力があれば足りるとされる が、あくまで当該行為者について個別具体的に判断される。」 ○ 詐術になり得る場面として、記載されている具体例を削除すべきという意見を 述べたいと思います。オンライン上では、年月日の申告は成人である事について、 単なる善意や悪意を左右するだけの情報だからです。口頭ですぐに言えるかどう かを試すことができる対面販売などでは別論、いくらでもやり直しできて、考え る時間があるオンライン取引においては、成年ですかと聞いているのと大差が無 いというべきです。さらに、詐術というには誤信させることが必要だと思います が、ソフトウェアや機械が誤信しうるのかという問題点もあります。オンライン 取引にはなじまない概念です。 ○ 「(取り消すことができない(詐術に当たる)可能性のある例)」として挙げられ ている事例は、未成年者の詐術には該当しないはずである。制限行為能力者が単 に自己が成年者であると偽ったり、法定代理人の同意があると述べただけでは、 詐術には該当しない。 また、改定案 11 ページの脚注2では、 「「詐術を用いた」に当たるかの判断要素 としては、未成年者の年齢、商品の属性、商品の対象者、事業者の設定する年齢 入力画面の構成等が考えられる。」とされているが、年齢入力画面をどのように工 夫しようとも、結局、未成年者は、単に画面をクリックしたりタップしたりする だけであり、取引相手を欺罔するための行為といっても、やっていることはクリ ックひとつに過ぎず、欺罔のハードルはきわめて低い。多くの電子商取引で採用 されている、確認画面で年齢を確認するようなものは、そこにいかなる警告文言 4 を入れようとも、未成年者の虚偽の年齢申告等を排除するには不充分である。 取り消すことができない(詐術に当たる)可能性のある例は削除すべきである。 ○ 罫線で囲まれた中の(取り消すことができない(詐術に当たる)可能性のある 例)についてですが、ここでは「未成年者が自己が成年になるような虚偽の年齢 又は生年月日を入力した場合」が挙げられております。しかし、単に未成年者が 自己の年齢を偽って入力した程度で、詐術に当たる可能性があるとするのは、こ れが事業者の都合よく解釈されるなどして、未成年者の取消権を無力化させる結 果につながることが強く懸念されます。この点、「「詐術を用いた」ものに当たる かは、諸般の要素を勘案して、個別具体的に判断される」等の注意書きや、脚注 に判断要素の列挙もありますが、目立たないので、単に未成年者が自己の年齢を 偽って入力しただけでも詐術に当たり得るとの誤解を招きかねないと思います。 このような誤解を招きかねない具体例であれば、ない方がいいのではとさえ思い ます。 どうしても詐術に当たる場合の具体例を挙げるのであれば、単に未成年者が年 齢や生年月日を偽っただけでなく、その年齢や生年月日と整合する内容の他人の 身分証明書を郵送して事業者がこれを確認し、当該未成年者が成年であると誤信 した場合、といった限定的な内容にすべきです。 ○ (外18件、 「取り消すことができない(詐術に当たる)可能性のある例」に対す る意見) ● 「取り消すことができない(詐術に当たる)可能性のある例」については、脚注 3を「当該事例は、判断の方向性・可能性を示したものにとどまり、事例に記載 された事実に加え他の判断要素も考慮して個別具体的に「詐術を用いた」といえ るかを判断する必要がある。」と修正いたしました。当該例に対する御意見は、今 後の事例、裁判の動向や業界の取組等を注視しつつ、今後の準則の在り方の参考 にさせていただきます。 ○ 2つの罫線囲みの平仄を合わせるため、「(取り消すことができる(詐術に当た らない)と思われる例)」を「(取り消すことができる(詐術に当たらない)可能 性があると思われる例)」に修正すべき。 ● 「詐術に当たる可能性のある例」は、脚注3で示すとおり、判断の方向性・可能 性を示すにとどまるものであって、 「詐術に当たらないと思われる例」と確からし さは異なるものと考えます。 ○ 脚注 19 については記載の根拠がなく、裁判例を網羅的に調べたものでない限り、 削除すべきである。京都地裁平成 25 年 5 月 23 日についても、判決に直接関係の ない記述であり、これを援用するのは不適切である。 ● 脚注 19 を「本件最高裁判例を含め、詐術に関する裁判例の多くは、準禁治産者 に関する事例である(四宮和夫・能見善久「民法総則[第8版]」62頁、磯村保 5 「新版注釈民法(1)改訂版(谷口知平・石田喜久夫編)第1編第1章第2節〔制 限能力者の詐術〕」Ⅲ 取消権排除の要件」397頁) 。」に修正した上で、2. (4) 最終段落末尾に脚注 20 として、 「制限行為能力者のうち未成年者については、詐 術に当たるか否かの判断が慎重に行われるとの指摘がある(我妻榮ら「我妻・有 泉コンメンタール民法[第3版]」101頁、米倉明「民法講義 総則(1)」14 2頁)。 」を挿入しました。 3.Ⅲ 情報財の取引等に関する論点 ※ 本項目については、意見なし。 4.Ⅲ-12 デジタルコンテンツ ○ 直近のデジタルコンテンツの流通においては、当該コンテンツの複製等を要さ ず、ネットワークを介して受信することによって視聴等行為を可能とするものが 多く、当該コンテンツの受信のためにユーザーID、パスワード、プロダクト ID、 シリアルナンバー等を発行し、対価を得るというモデルに変化しつつあります。 また、当該デジタルコンテンツを利用するにあたって、ネットワークを通じて認 証を行うことで、適正な利用権限者であることを確認することも行われておりま す。これら ID、パスワード、認証等は、ユーザーの利便性の確保に最大限に配慮 した必要最低限の無許諾複製ならびに無権限視聴等防止の手段であり、今後、ク ラウド環境下でデジタルコンテンツの提供が進展していくにつれ、その重要性は 増していくものと想定されます。しかしながら、現在の「電子商取引及び情報財 取引等に関する準則」では、技術的保護手段、技術的制限手段のいずれにも該当 しないとされておりますので、準則の改訂においては、これまで技術的制限手段 に該当しないとされる技術について、改めて技術的観点並びに社会的役割の観点 から検証いただけるよう要望します。 ● ID・パスワード等を使ってデジタルコンテンツへアクセスすることは、 「技術的 制限手段の効果を妨げる」ことにも「技術的保護手段に用いられている信号の除 去又は改変を行うこと」にも該当しないと解されているところですが、ID・パス ワード等に関する御要望については、今後の準則の在り方の参考にさせていただ きます。 5.Ⅲ-12-1 デジタルコンテンツのインターネットでの提供等における法律問題に ついて ○ 音楽や映像が掲示板で提供されることはビジネス実態に合わない。 ● 本文中の「掲示板」を「音楽・動画共有サイト」に修正しました。 6 ○ 「アップロードされたり掲示板等で提供されたりしている音楽や映像のダウンロ ードについては、それらが無許諾でアップロード等されていることを知ってダウ ンロードする行為は、複製権侵害となる」という記載について、 「それらが無許諾」 であることをどうやって知るのかが不明である。購入について、 「消費者の操作ミ スによる錯誤」の取り消しが認められるのであれば、許可されたものか無許可な ものかが判別できないコンテンツをダウンロードしたからといって、直ちに複製 権違反に問うことは不適切である。 ● 御指摘の箇所の記載は、コンテンツのアップロードが無許諾であることを「知 って」ダウンロードすることを複製権侵害であるとするものであって、許諾の有 無を判別できないコンテンツのダウンロードについて複製権違反とするものでは ありません。 ○ 23頁(2)①において、デジタルコンテンツの定義がキャリア・メディアに 固定されたものを除くのであれば、CDやDVD等を例示とすることは不適切。 ● 「デジタルコンテンツが収録されたCDやDVD等の電子媒体を購入してデジタ ルコンテンツを取得する方法はもちろん、」を削除しました。 ○ 「著作権者の許諾条件に従って」がわかりにくい。具体的な例示をおくべき。 ● 「著作権者の許諾条件」として、「有償コンテンツの場合に所定の対価を支払う」 ことを例示する修正を行いました。 ○ 「一旦権利者の許諾を得て取得した複製物を権利者の許諾なくウェブサイト等に アップロードしたものも、基本的には公衆送信権又は送信可能化権を侵害するも の」という表現は、文化庁文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会著作 物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチームにおいて審議されてい るロッカー型クラウドサービスに係る議論に配慮せず、権利制限規定の解釈の余 地を全く考慮していない表現であるため、削除すべき。 ● 御指摘の箇所の「基本的には」を「権利制限規定の適用がない限り」とし、ロ ッカー型クラウドサービスを巡る議論に沿った表現に修正しました。 ○ 23頁の最終行で、パソコンに限定をしている理由がわからない。パソコンは 例示であり、例えばスマホやタブレットも含まれるのではないか。 ● 「パソコン」を「端末」に修正しました。 ○ 24頁5行目から7行目において、これらのダウンロードに刑罰が付されてい ることを示すべき。 ● 刑事罰の対象にもなる旨の追記を行いました。 7 ○ 24頁8行目から11行目の例は必要なのか。 「後に掲示板等にアップロードし たり提供したりする目的」の表現を改めるべき。 ● 該当部分を削除する修正を行いました。 ○ ● 24頁(4)まとめで、複製権侵害が一切言及されていないのは不適切。 複製権侵害に関するまとめとして、 「インターネットユーザーによるデジタルコ ンテンツのダウンロードは複製であるところ、私的使用目的での複製には複製権 は及ばないが、権利者の許諾を得ないで自動公衆送信されている音楽や映像を、 その事実を知りつつ受信してデジタル方式で録音・録画する行為は、権利制限規 定の適用がない限り複製権侵害となる。」ことを追記する修正を行いました。 ○ 24頁(4)まとめにおける救済手段として、損害賠償請求について言及して いないのはなぜか。 ● 損害賠償請求について、追記する修正を行いました。 6.Ⅲ-12-2 デジタルコンテンツ利用契約終了後のデジタルコンテンツの利用 ○ 脚注1の「十分な周知期間」について、どのように判断されるかを記載された い。 ● 必要な「猶予期間」の長さや具体的な判断方法を具体的に示すことは、確たる 判例等がない現状では、困難であると考えます。この点については、今後の行政・ 裁判の動向や業界の取組等を注視してまいります。 ○ 1.(2)②中には、「ダウンロード型のデジタルコンテンツ提供サービスにお いては、 ・・・ユーザーが手元にあるデジタルコンテンツを返還ないし消去する義 務は負わないと解される。」との記載があります(26 頁 7~10 行)。 しかし、サービスによっては、例えば利用規約の中で、ダウンロードされたコ ンテンツを一定期間経過後に消去することを定めていることも考えられます。そ して、このような場合、ユーザーはデジタルコンテンツ利用契約の終了後も存続 する義務として、ユーザーがデジタルコンテンツを返還ないし消去する義務を負 う可能性があります(28~29 頁には、この点を想定した記述がございます。)。 そのため、誤解を避けるため、上記記載中、 「ユーザーが手元にあるデジタルコ ンテンツを返還ないし消去する義務は負わないと解される。」の手前に、「デジタ ルコンテンツ利用契約の中で返還・消去義務について定めが置かれている場合を 除き、」と挿入していただきたく存じます。 ● 御指摘の段落の冒頭で「事後処理に関する規定がない場合」についての記載で あることを明示しており、同段落の記載は、デジタルコンテンツ利用契約の中で、 8 返還・消去義務について定めが置かれていない場合を対象とした記載です。 7.Ⅲ-12-3 電子出版物の再配信を行う義務 ○ 電子出版物に限定した記述としては了解される。他のデジタルコンテンツと電 子出版物はビジネスモデルが違うことに留意すべき。 ● 本論点は、電子出版物は、他のデジタルコンテンツと異なり、配信事業者のプ ラットフォームでのみ利用可能とされている場合が多く、ユーザーが電子出版物 の再配信を受けることが必要になる場合があるという問題意識の下、新たに追加 したものです。 ○ 2.(3)において、「利用規約において規定がない場合には、…諸般の事情を 考慮して検討される」とあるが、具体的にどのような事情が考慮されるのか、最 低限の例示は必要であると考えられる。 ● 当該段落を「利用規約において規定がない場合には、利用規約の合理的意思解 釈や、利用者と配信事業者の黙示の合意により、配信事業者がバージョンアップ されたOSにおいて利用できるよう対応する契約上の義務を負うかどうかは、当 該配信事業者による電子出版物配信サービスの内容、配信事業者による配信サー ビスの説明の状況、配信された電子出版物の販売価格、アップデートされたOS における電子出版物の利用についての一般利用者の認識等諸般の事情を考慮して 検討される。」に修正しました。 8.Ⅲ-12-4 オンラインゲームにおけるゲーム内アイテムに関する権利関係 ○ 昨今のインターネット利用において、大きな市場となっているゲーム内アイテ ムについての権利関係は非常に重要ではあるが、一方で、ゲーム内アイテムと同 様の問題をはらんでいる電子データに関するサービスについても言及すべきであ る。例えば、多数の利用者が存在するSNSのひとつである「LINE」の「ス タンプ」 については、今年から作成・販売が自由化されたことで、今後も多くの 事業者の参入が予測されるし、その他のインターネットサービスに係るアイテム についても、ゲーム内アイテムと同様の問題を指摘することができる。よって、 これらインターネットサービスに係るアイテムを広く適用対象とするため、 適用 範囲をオンラインゲームにおけるゲーム内アイテム「等」とすべきことを求める。 ● 本論点の検討に当たっては、ゲーム内アイテムについて議論を行ってきており、 ゲーム内アイテム以外のデジタルコンテンツ販売については議論の対象としてお りません。本論点について、ゲーム内アイテム以外にも適用すべきとする御意見 については、今後の準則の在り方の参考にさせていただきます。 9 ○ 脚注1におけるオンラインゲームの「アイテム」の定義中、 「RPGゲームにお ける武器等の道具等」という説明は、主にPCオンラインゲームに着目した記載 と思われますが、他ジャンルおよび他デバイスのオンラインゲームへの連想が難 しく、また、 「ゲーム内仮想通貨」との記載は、有償と無償の区別がなされていな いほか、 「通貨」という表現は有償性を連想させるため、誤解を与えてしまう恐れ があります。 ● 脚注1を以下のように修正しました。 「ここでいうオンラインゲームにおけるゲーム内アイテムは、ゲーム提供事業者 が、特定のオンラインゲームに付随して提供するサービスであって、当該ゲーム 内で用いることを目的としている仮想的な物品または役務として表現されるもの を指す(本稿では、特に仮想的な物品(例えば、武器や防具等)として表現され るものを念頭においている。)。上記アイテムは、有償で提供される場合と無償で 提供される場合がある。なお、ゲームを行うためにユーザーが購入するポイント 類は、上記アイテムには含まない。」 ○ 2. (1)において、オンラインゲーム内のアイテムについて「ゲーム内の情報 であるが、あたかもユーザーの『所有』が認められているもののように扱われて いる」と指摘している。この点は、いわゆるリアル・マネー・トレード(RMT)を 想定している記述であると考えられるところ、そもそも RMT は多くのゲーム運営 事業者がその利用規約で禁止しており、オンラインゲームのユーザー全体から見 れば、RMT に関与するユーザーはごく僅かに過ぎない。このような側面をあたか も一般的であるかのように述べている点で、正確ではない。 ○ 「2.説明 (1)問題の所在」の最終段落中、「このようなアイテムは、ゲーム 内の情報であるが、あたかもユーザーの「所有」が認められているもののように 扱われているため、アイテムに関する権利関係を整理する必要がある。」との記載 は、とりわけ「認められているもののように扱われている」との表現が、ユーザ ーに所有権類似の権利を認めるのが実務上の取り扱いであるとの誤解を与える恐 れがあります。 ○ (外2件、2.(1)最終段落に対する意見) ● 2.(1)最終段落を以下のように修正いたしました。 「このようなアイテムは、ゲーム内の情報であるが、あたかもユーザーの「所有」 が認められているもののようにユーザーに理解されることがあるため、アイテム に関する権利関係を整理する必要がある。」 ○ ゲームの提供やアイテムの取得それ自体が無償である場合でも、①事業者がア イテム取得の際の会員登録情報や利用履歴等からデータマイニングするような、 事業者に一定の利益が見込まれるケース、②誰もが無償取得できるアイテムでは なく、ゲーム内で一定のレベルに達することにより初めて取得できるもののよう 10 に、アイテムを取得する側が何らかの義務を負ったり、アイテム取得のために間 接的に対価を支払ったりしており、それにより事業者が間接的に利益を獲得して いると考えられるケース、等では単に「無償」であるというだけで事業者に何ら の義務も課さないことは妥当ではない。よって、ゲームの提供及びアイテムの取 得が無償の場合の「事業者に何らかの義務を負うことを基礎づけることは困難で あると考えられる」との記載について、 「特段の事情がない限り」との要件を加え ることを求める。なお、このような措置を講じない場合、事業者による潜脱行為 の助長につながるものと危惧する。 ● 御指摘のケース①、②は、いずれも事業者に義務を課す理由としては必ずしも 十分なものではないと考えられます。 ○ 2. (2)②第2段落最終文の「場合によっては」の「場合」が抽象的に思いま す。「場合によっては」を入れる必要があるでしょうか。 ● 「下記③や④で示すように場合によっては」に修正しました。 ○ 2.(2)②第3段落において、 「返金義務が画一的に認められることにはなら ないと考えられる」と指摘しているが、返金義務(契約の無効又は取消を前提) の問題が唐突に出てきており、前後とのつながりを欠いている。 ● 「義務・責任」の典型的な例として、 「返金義務」が提示されているものと考えま す。 ○ 37頁③第2段落「取得した後に」は、 「取得した直後」とすべき。考え方の「直 後」との記載と必ずしも一致しておらず、例えば、アイテムを取得した後、1年 くらい経過した場合も当該記述が妥当することには違和感がある。 ● 「取得した後に」を「取得した直後に」に修正しました。 ○ 「有償アイテムを利用するのに十分と考えられる猶予期間」とは、ゲームやア イテムの価格、ユーザーの年齢、ゲームの利用頻度、すでに費やした時間等の条 件によって利用者の予測する「猶予期間」には大きな隔たりが生ずる可能性が高 い。そこで、利用者に不測の損害を招かないためにも、具体的な終了期間が購入 時に告知されるべきである。 ● オンラインゲームの多くは、サービス開始当初から具体的な終了時期を定めて いるものではないことから、アイテム購入時に終了時期を予め告知することを要 件とすることは困難であると考えます。 ○ 2. (2)④は、事業者のシステムの不具合によりユーザーが有償で取得したア イテムが消滅した場合でも、事業者は、原則として責任を負わない旨記述してい るように思われます。しかし、私の意見では、このような場合は、原則として事 11 業者が責任を負うと解するべきだと思います。その理由は、次のとおりです。 まず、事業者のシステムの不具合は、事業者のシステムという事業者の管理下 において生じるものです。このため、このように事業者の管理下にあるシステム において不具合が生じた場合は、特段の事情がない限り、事業者の過失が推定さ れると思います。これに対し、ユーザーには、事業者のシステムの不具合につい て一切落ち度がありません。それにもかかわらず、事業者のシステムの不具合に より生じた社会的損失をユーザーに負担させるのは、社会的損失の衡平な分担と いう法の趣旨に反すると思います。 したがって、事業者のシステムの不具合によりユーザーが有償で取得したアイ テムが消滅した場合は、原則として、事業者は、契約上の義務として消滅したア イテムを復活させる義務を負うと解するべきであり、これが不可能な場合は、損 害賠償責任を負うと解するべきだと思います。 ○ (外2件、システム不具合に関する事業者の責任に関する意見) ● 御指摘の箇所の記載は、オンラインゲームにおいては、システム不具合が不可 避といえることに鑑みて、システム不具合について、事業者が直ちに責任を負う ことにはならないとするものであって、システム不具合について、事業者が原則 責任を負わないとするものではありません。また、軽過失の場合にも、システム 不具合について事業者が原則責任を負うとすることも、衡平を欠く可能性がある ものと考えます。 ○ 2. (2)④の「結果について予見可能であり、かつ、それらの結果を容易に回 避することができたような場合」という記載は、過失の概念を具体的に記述した ものと思われるところ、結果の回避が「容易」であったことを求めるのは、過失 の通説的理解を大きく逸脱するものであり、明らかに法の解釈を誤ったものであ ると思われるため、「容易に」を削るべきだと思います。 ● 「容易に」を削除しました。 9.その他 ○ 今回の準則には盛り込まれていないようですが、 「ターゲティング広告」に対す る準則を盛り込んで頂けますと幸いです。 SNS や検索結果、ブログ等で表示されるターゲティング広告には明らかに景表 法や薬事法に違反するものもあり、かつプラットフォーム会社も管理しきれてい ない実態があります。 準則でターゲティング広告を縛る事で、事業者の正当な利益増加と、消費者被 害の軽減につなげる事が可能になります。 ● 今後の準則の在り方の参考にさせていただきます。 12 ○ 現準則 iii.25 ページ最終段落について、民法は平成 16 年改正(翌年施行)で 口語の漢字ひらがな交じり文になったため、民法条文を「公の秩序又は善良の風 俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」に直すべき。 ● 現行民法を引用する文章に修正しました。 ○ 現準則 iii.38 ページについて、ⅱ)以降の見出しが無いため、見出し「ⅰ)民 法の条文の適用」は不要ではないか。 ● 「②ベンダーの責任の内容」内の見出しの階層を見直しました。 以上 13