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全体を通して Q. シラバスに関数電卓が必要とありますが、どのような形式
◎全体を通して Q. シラバスに関数電卓が必要とありますが、どのような形式のものを購入すればよいか教えて頂けないで しょうか?(例えば、最低限√と三角関数の機能がついている必要がある、等)LANS も覗きましたが、 機能がたくさんあるのでどれにすべきなのか判断できませんでした。お手数ですが、よろしくお願いし ます。 Ans. 関数電卓は,物理実験,測量,製図,コース実験,などいつもお世話になります。また,工業力学のレ ポートはルート・パイや初等関数はすべて数値にして出してもらいます。数字を与えないと設計などに 使えないからです。私の電卓は,10 数年前にここに赴任したときに,国文の生協で買ったシャープの 「神大仕様」で廉価でしたが今はないかもしれません。最低限,次の機能がいります。 1)四則演算は乗算・除算優先のこと。つまり商用電卓ならば叩いた順に答えを出していきますが,関数 電卓は数学に準じた演算順位です。通常「関数電卓」と書いてあればこの機能は満たされています。 2)初等関数(高校で習うものだけでよい)とその逆関数(通常,ファンクションキーで切り替え)を持 つこと。これにルートとべき乗があれば十分です。ln とは底が e,log とは底が 10 の対数です。 3)できれば括弧演算ができること。 これ以上のものはあまり使いません。統計機能,プログラミング機能が必要ならば,パソコンを使うほ うが早くて正確です。数式の記憶機能を備えたものもありますが,かえってその機能に頼りすぎてバグ に気づかずに計算間違いを起こしている,というケースがよく見られます。地道にノートに書きながら 電卓を叩きながら慎重にするのがよいようです。 Q. 3 章に簡単な図形の重心の公式が挙げられているのですが、全て覚えなければいけませんか? Ans. 覚える必要は全くありません。将来実務に携わる場合は,この手の公式はしっかりその道のハンドブッ クに出ていますので,必要なときに引き出して見ればよいだけです。6 章では「慣性モーメント」,材 料力学では「断面二次モーメント」「断面係数」など出てくるので,しょっちゅう使うもの以外は全部 覚えられません。その公式と図の解釈の仕方を間違わないようにしておけば十分です。たとえば,半円 の重心といっても,半円の板なのか,半円の針金なのかで状況が全く変わります。ただ手元にハンドブ ックすらないときのために,どうやって計算したか一般的な方法(ここでは面積分や線積分を使ってい ます)を理解しておいて損はないですが,記憶は強制しません。大学の学問は覚えることにあらず,原 理を理解して(理学)利用できる(工学)ことにあるのです。ちなみに私は原始関数(不定積分公式) など数学の公式も,その都度,岩波の数学公式集に頼りっぱなしです。傍からみると頼りない教官です が,心理テストでいつもはずれ値にされるほど記憶力が悪いのです。記憶にエネルギを割くよりも,創 造的なことを考えたほうが人生楽しいし,実益にもなります。 Q. 課題(来週提出分の 2.5 と 2.7 と 2.9)を今やろうとしてみたのですが、さっぱりわかりません。何か参 考になるヒントをください。このままでは解けないことだけは確実です。 Ans. この授業はまさに K さんのように力学に不慣れな方のためにあるものですので,遠慮なさらずにメー ルを下さい。ただし, 「全く分かりません」ではこちらも説明をどこから始めてよいか分からないので, そのような場合は一度こちらに来られることを勧めます。今後,どこまでできました・考えました,と いうメッセージをつけていただければ,より効果的にお返事できます。 Q. 与えられたヒントを使ってもう少し努力しようと思います。力学はかなり苦手意識があって、以前の課 題にも分からなくて、なんとか答えを出したものもあるので、それも質問に行きます。今後、質問する 際にはどこまで考えたか、どのような解法をとったかも示すことにも気を配ります。 Ans. あまり深刻にならないでください。気張って一気に片付けるよりも,アリのごとく着実に歩みを進める ほうが重要です。そういう意味で「語学」の修得と似たところがあるし,一見意味不明の数学記号があ る日突然意味を持った文脈として理解されるところなどは,意味不明の音の濁流が突然理解できる文章 として聞こえることに似ています。私自身は数式の展開や論理思考が得意なわけではなく(数学や物理 の専門家のように,紙と鉛筆を与えると腹が減っても数式展開を続けるようなことはできません),与 えられた問題に対して解決手段としてのひきだしを多く持っていることが皆さんとの唯一の違いです。 ひとつでもひきだしを増やすことエンジニアとしての素質を上げていくステップと考えてください。は じめから完璧を求めずに,自分で解決できる範囲から徐々に広げていくようにしましょう。 ◎2 章 第 2 章は工業力学の本丸で,問題は解くために力技と時間が必要なのですが,第 3 章以降は比較的易しくなり ますから,今しばらく辛抱してください。ここをないがしろにしていると,材料力学,構造力学と進んだとき に苦労します。 2-1 P19-21 にある計算による方法で解いてください。斜めの力がある場合のモーメントの計算には,モー メントの腕の長さを幾何学的に懸命に求めるよりも,P16(2-4)式のバリニオンの定理(分力がつくるモ ーメントを足し合わすこと)が便利です。2-1(a)は暗算でできる人もいるかと思いますが,安直に答を 書かないで,力の傾き角の大きさを適当に自分で表記して,同じ方法で解いてください。2-2 も同じ。 2-3 余力のある人は,バリニオンの定理を用いる方法と,モーメントの腕の長さを幾何学的に計算する方法 の両方を試して,結果が同じになることを確かめてください。 2-4 余力のある人は,モーメントを計算する基準点を変えてみても,または偶力の定義を使っても結果が同 じになることを確認してください。 2-5 力の作用線図が完成しているように見えますが,重力が抜けていることをお忘れなく。1 点に作用する 3 つの力のつりあいの場合は,P10 のラミの定理も便利です。力の作用線図は既にほぼ書いてあります が,重力が抜けているので上下の円管の中心にそれらを書いてください。Ni は,壁・床・隣の管から 受ける反力で,重力とともに「外力」です。次に,それぞれの管について,自分で好きな座標をとって (斜面に x をとると簡単でしょう) ,成分ごとに力のつりあい式を立てます。力のつりあい式がそれぞ れ2つ×管が2つ=4つで,4つの未知数が求まります。この問題は,力の作用線がすべて管の中心を 通るので,モーメントのつりあい式を立てる必要はありません。 2-6 斜めの力は,水平成分と上下成分に分けましょう。水平成分は回転支点のA点でしか支えられません。 2-7 図を見てB点を滑車と勘違いすると,A点が回転支点ですから,このクレーンは崩壊してしまいます。 従ってB点からおもりまではワイヤの長さが変化しないように固定されている,あるいは紐を結んであ ると考えてください(さもないと滑車が滑ってクレーンが崩壊します)。そうすれば BC の張力は3t ではなくなります。BC 張力を T,支点 A での反力を成分 H(水平)と V(鉛直)として,棒 AB に作 用する力のつりあい式(2方向)と,どこか基準点を決めてモーメントのつりあい式を立てれば,3つ の未知数 T,H,V が求まります。支点 A での反力は,棒の方向を向いていることを確かめてください。 2-9 段差を乗り切るとは,そこを基準に回転が起こるのに十分なモーメントが与えられていることを意味し ます。別の考え方として,車輪が乗り切るぎりぎりの状態では,下の床からもはや垂直抗力は作用せず, 代わりに車輪が引っかかった段から車輪の中心に向かって抗力が働いていて,これと重力と水平力Fが 釣り合っている状態のFを求める,という方法もあります。 2.6 MA=0としてVBが出たんですけどやり方はそれでいいですか? Ans. 正解です。無理に連立方程式を立てなくても,一発で計算する方法を探すほうが賢いです。 Q. VAはどうやって出すんですか?MB=0とすると答えが合いません。 Ans. この方法で OK です。いちばん左端や右端の力とかを忘れていませんか?余分な心配ですが,モーメン トの計算で,斜めの力は上下方向の成分を用いていますよね。左右方向の成分は支点を通るので腕の長 さがゼロになるので計算に入れなくてよいです。それから,A 点は回転支点ですので,HA の計算もお 忘れなく。 Q. MB=200×1.4+300×1+150sin60゜×0.2−250sin45゜×0.2−VA×1.2=0 は間違ってますか? Ans. これで OK です。ここから VA=475N ぐらいが出ますね。 Q. それと HA は計算してどうなるのですか? Ans. こちらの HA は 250N 程度だと思いますが,教科書に書いてある答は A 点の反力の成分表示(HA,VA) ではなく,この HA と VA から計算した反力の大きさと向き(R,θ)である点に注意してください。回転 支点 A では VA と HA が生じる,とは言いつつ,実際は A 点の反力の成分表示に過ぎないわけですか ら。安直に答を見ようとする人への引っ掛けですね。 2.7 モーメントを求められなかったので、とりあえず力のつりあいだけで考えたところ、後ろの回答と同じ 答えになりました。この場合モーメントは無視できる(考えなくてよい)ものなのでしょうか?しかし、 力の作用線が全て重心を通っているとも思えません。モーメントをどの様に求めたらよいか教えて下さ い。 Ans. B 点は滑車ではなく,ピン止めしてある旨は説明しました。外力はおもりの3tに加え,未知数として は,BC のワイヤの張力 T,回転支点 A の反力の水平成分 Xa と鉛直成分 Ya の 3 つとなります。力のつ りあいだけで解いたとのことですが,未知数3に対してつりあいの式は水平と鉛直の2つしか立ちませ んから,もうひとつ条件が必要です。部材 AB の向きにしか支点 A の反力は向きようがないというこ とで,Xa/Ya=tan30°とおかれたことと思います。これで一応自由度をすべて使い切ったことになり, 問題は解決します。 さて,剛体のつりあいが成り立つときは,任意の点に関するモーメントは必ずつりあっています。問 2.6 でも,A 点周りのモーメントをのつりあいでも,B 点周りのモーメントのつりあいでも,何らかの 形で問題解決に貢献するのはわかりますね。問題を解くためにどこを基準点においてモーメントの釣り 合いを立てるかは,解く人のセンスです。問 2.7 の場合でも,たとえば A 点周りのモーメントのつりあ い式を立ててください。外力として有効なのはおもりの3tとワイヤ BC の張力 T だけで(支点 A の 反力は腕の長さがないので計算式上で考慮外です),これから即刻 T が求まり,先に出しておいた水平・ 鉛直の力のつりあいと合わせて問題解決します。では B 点周りのモーメントのつりあいを考えてみる と,今度は外力としては Xa と Ya しかつりあいの式に出てきません。ところでこの釣り合いの式は, 左記に申し上げた, 「部材 AB の向きにしか支点 A の反力は向きようがない」ことをそのまま反映して います。これを用いても,先に出しておいた水平・鉛直の力のつりあいと合わせて問題解決します。 > この場合モーメントは無視できる(考えなくてよい)ものなのでしょう? 結論を言うと,剛体の形をとってつりあっているときは,必ずどの点を基準にしてもモーメントがつり あっています。特殊なケースとして,外力がすべて重心を通るときは教科書 P23-24 のようなパターン となり,第1章のように質点のつりあいに帰着します。 > しかし、力の作用線が全て重心を通っているとも思えません。 ここの問題では部材 AB の重量は無視してください。 2.9 FのモーメントがF(R−h)となるのは何となく分かりますが、Wのモーメントの求め方が分かりませ ん。反力は水平軸方向と鉛直軸方向に分けると、それぞれ大きさがFとWに等しくなるのでしょうか? また、基準点は何処にとると考えやすいでしょうか? Ans. この問題のミソは,「今まさに段差を乗り越えようとしている」ことをどう式で表すか,にあります。 普段ならばO点の真下からタイヤに上向きの垂直反力(駆動輪の場合はグリップとして水平成分も!) が働いていますが,今回は乗り越える直前なので真下からの反力はありません。地面からの反力はすべ て段の角の部分(h で書かれた真上)で発生している(Rx,Ry)と考えましょう。これでタイヤに働く外 力は F,W, Rx, Ry となります。ところでこの中で既知数として使っていいのは W しかありません。は っきり言って(Rx,Ry)は邪魔です。ならばその段の角をモーメントのつりあいの基準点に取れば,余分 な変数が式の中に現れることはありません。なお,段の角から W の作用線までの腕の長さは,幾何学 的な関係から(三平方の定理などを使って)すぐに求まります。 2.10b Fec と Fdf が0になっているのですが、なぜですか? Ans. 一般論としてトラスの構造上,圧縮も引張も生じない部材が存在することはありえます。かといって, その部材を取り除いてしまうと,実際の場面では荷重の揺らぎなどで安定性が損なわれ,崩壊してしま うので,省略できないのです。これは初めて出くわした人は面食らうのですが,よくある話です。 ◎3 章 3.2 全然わからないのでヒントください。お願いします。 Ans. 三角形 ABC が現在の姿勢を保つには,その重心が A 点の真下になるように BC の長さを調整すればよ いと思います。自分で座標を定義して BC の長さを未知数 にして重心の位置を仮に計算し,A のx座 標値と重心のx座標値が一致するよう に未知数を定めるのです。 3.2c この問いは公式(i)を用いて求めるように、とのことでしたが、公式(j)を用いては求められないので しょうか?長方形の部分と扇形の部分に分けると、扇形の部分は環状扇形になるので使えると思ったの ですが答えがあいません。何故公式(i)では求められて公式(j)では求められないのか教えて下さ い。 Ans. すいません,例によって私の早とちりが出ました。公式(j)で求めるのが正解です。しかしながら,公式 (j)は公式(i)を用いて,内側の欠けた部分を引き去った結果(例題 3.2 参照)出てきたものです。従って 例題 3.2 と同じ戦略で公式(i)を 2 回使ってまず内側が欠けた半円の重心を求めておき,長方形と合わせ て重心を求めればいいのです。というつもりで(i)を使ってくれと申し上げたのですが,よく考えたらそ の結果が公式(j)に出ているのでは,かえっていらぬ心配をかけたようで,すいません。 3.4 求める缶は左右対称ではないのですか??すいませんが、全くわかりませんでした。 Ans. お問い合わせの問題,確かに前後左右対称です。でも,蓋がないとだけ書いてあるということは,底が ある,という意味です。従って上下対称ではありません。よってこの問題は重心の位置は底からどれだ け離れたところにあるか,という意味です。缶の材料と厚さは側面も底面も同一と仮定すれば,(3.6) 式から容易に求まります。この教科書は11章に入るまでは2次元の力学の記述に限ってあるはずなの ですが,こういうところで断りなしに3次元になっていて,勉強する人を戸惑わせていますね。 3.5 授業中のヒントで、ABC の重心が A からおろした垂線上にあると分かったので、垂線を y 軸、BC を x 軸ととって、重心のx座標が0となるように計算をしようとしました。しかし、BC の重心が BC の中 点だと分かっても、AB の重心が分からずに行き詰ってしまいました。AB の重心はどの様に考えれば よいのでしょうか?それとも、考え方の筋道がまちがっているのでしょうか? Ans. いいえ,その方向で OK です。AB の重心も AB の中点です。この問題のミソは,AB の長さの絶対値 が与えられていなくても適当な文字でおいておき,BC の長さを AB のx倍,とおいて計算すればよい のです。つまり,大きさの絶対値はどうでもよく,形状だけが問題なのです。そのメッセージを問題の 行間から読んでほしいですね。棒の比重も与えられていませんが,均一の材料であれば長さによる重み 付けで解けます。 3.9 張力、何度計算しても答えとあわないんですが誤差は別にいいですよね? あとfっていうのは最大た わみですが、たわみというのは全ての部分に働いているのですか?たるみを求めよと言われたらfを求 めるだけでよいのですか∼?それともxの関数で書くんですか? Ans. ほんと質問ばかりすいません↓ 2%程度の誤差ならば電卓の有効桁の取り方にも依るので目をつぶりましょう。それ以上あるようなら ば,どこかがおかしいとにらみましょう。もっとも,教科書の放物線の式は近似解ですが,双曲線の厳 密解と比べても2%ぐらいしか違いません。単に「たわみ」を求めよ,といわれれば一般的な質問なの で,xの関数で書くのが無難でしょう。でも教科書の問題の「たるみ」は学術用語ではないので,おそ らく「最大たわみ」程度の意味合いです。ただ教科書にある座標のとり方ですと,曲線の形になってい ますので,「たわみ」はf−yで表される(fは最大たわみ)ことに注意してください。 3.9 H=416、V=124となると思うのですが、T が出ません。間違えていますか? Ans. TはHとV合成(二乗和の平方根)で出るのですが,それにしても T 君の結果から計算した最大値は 434N になって,教科書の答よりやや値が小さいですね。この3.9は教科書が導き出した式に代入し ていくだけの無味乾燥な問題なのですが,幾つか注意点があります。まず(3.24)式から,f=0. 3354m程度が出ましたか?有効桁は多めに残して計算しましょう。次に一定の分布荷重wですが, 一応 L=3.1m で割っておきましょう。いずれにしてもこのロープの放物線形状は近似を行って求めてい るので,あまり細かいところをつついても精度が上がらないのですが。ついで(3.22)式よりH= 438.4Nで位置に依らず一定です。(3.19)式を積分して境界条件x=0にてV=0より,V =wx。従って,Vmax=V(x=±l/2)となるので,189.7N。上で申し上げたとおりの方 法でTmax を計算すれば,477.6Nとなりました。多少,教科書の解答よりも大きめになっていま すが,どのみち近似を行っているので,まずまずといったところでしょう。ちなみに厳密解は教科書の 脚注に書いてあるように,形状が双曲線関数となるのですが,結果だけを書いておきましょう(講義の 準備はしてあったのですが)。ロープの長さはL(x)=(H/w)sinh(wx/H)教科書と同じ座 標の取り方で,全体の長さはL=2L(x=l/2)で計算され,非線形方程式ですので,Hは数値計 算(excel などでトライ&エラーでやってもよい)ではじき出されます。sinhα関数は[exp(α)−exp (−α)]/2で記述される関数,coshα関数[exp(α)+exp(−α)]/2と兄弟で,互いに三角関 数の公式がほとんど成り立ちます。これで数値計算すると,H=425.8Nとなります。次にロープ の曲線の形は,y(x)=(H/w)[cosh(w/H)x−1]と表されるので,最大たわみfはx= l/2を代入して,0.340mです。最後に張力はうまく整理できてyの関数で書くことができるの で,T=H+wyと表されますので,これが最大になるのはy=fの点,つまりx=l/2の点となっ て,Tmax=468.7Nと計算されます。教科書の式もそこそこの近似ができていると思います。 ◎4 章 4.7 回転数の求め方がわかりません。ヒントを下さい。よろしくお願いします m(__)m Ans. 回転座標についても直線座標と同じように角速度や角加速度が定義され,(4.29)や(4.34)の微分関係があ ります。問題では回転数(毎分**回転)となっていますからこのまま計算を進めても単位に注意すれば 答は出ますが,気になるようだったら角速度(毎秒**ラジアン)に直しましょう。さて,はずみ車(勝 手に回る自転車のタイヤと考えてください)を「減速」と書いてあるのは,角加速度α(減速なのでお そらく負)を一定でと読み替え,これを未知数としましょう。微分方程式(4.34)を解くと積分定数が 出てきますが,これも未知数です。未知数が合計2つになりますが,初期条件を2つ与えることができ ます。ひとつは t=0 秒の時の角速度,もうひとつは t=20 秒のときの角速度です。これで角速度ωが時 間 t の関数で記述できます。どれだけ回転したかはさらに微分方程式(4.29)をもうひとふんばり解けば よいです。初期条件として,t=0 秒の時に回転角θ=0 で良いでしょう。 ◎5 章 5.2 問題5−2がわかりません。鎖の長さ l はどこで使うのでしょうか? Ans. 全体の加速度だけを求めるのならば l(エル)はいりません。問題の鎖の張力は,手に持った部分と下端 とでは異なります。従って鎖の位置の関数で表してほしいのです。毎度ながら,ダランベールの原理を 使うと簡単です。 5.5 大変悪いんですが工業力学5・5の考え方を教えて下さい。よくわからないです…; Ans. 運動を伴う場合も静力学と同様に力の作用線図が命です。 5.5 では気球に働く重力 mg と気球の上昇力 L がありますが,この二つの力がつりあわないから,気球が 1m/s2 で上昇しているのです。これをニュー トンの第二法則に入れると,気球の上昇力 L がまず求まり,気球の質量が m'に変化したときは上記上 昇力 L は不変だと仮定して,再びニュートンの第二法則を適用して新しい加速度を求めればよいので す。気球競技で砂袋を落とす光景を見ますが,少し落とすだけで劇的な加速効果が得られるのが分かる はずです。 5.8 先生のおっしゃっていたヒント(地球の半径を使う)でもわかりませんでした。P81 の人工衛星の問題 では地球と人工衛星という2者の関係で問題は理解できて簡単に解く事が出来るのですが、5−8では 地球、月、宇宙船という3者の関係となってお互いに及ぼす万有引力が複雑(位置によって状況は変化 しますし)で計算方法がわかりません。是非、ご指導お願いいたします。 Ans. この問題,そんなに深刻に考えないで下さい。第一,月の周りを回っている人工衛星が,地球の重力の 影響を受けたとしても,そのオーダーは,月の引力に比べて無視できるはずです。つまり,人工衛星か ら地球までの距離は,人工衛星から月までの距離に比べて大きすぎるのです。だから,純粋に月と人工 衛星の2者の問題と捕らえましょう。工学では,無視できるものとそうでないものを区別することで, 問題を単純化して捉える,といったセンスが要求されます。月の質量は地球の質量の 1/80 であると与 えられていますので,これを使って例題 5.7 と同じ作戦を考えればいいのです。ところが地球の質量そ のものが与えられていませんので,これは地表面の重力加速度 g と地球の半径を使って,問 5.7 のよう に万有引力から逆に推定しなければならないのです。 Res. 巻末問題5−8の件ですが、細かく説明して頂いてありがとうございます。少し乱暴な表現ですが、月 ver.の重力加速度を求めれば後は例題5−7と同じ方法で解いていけばいい、という解釈で大丈夫 ですか??友達にこの問題の解き方を聞いたところ答えがあまりにズレている、と聞いていたので、も しかしたら解き方が間違っているのではないかなと思ってmailさせて頂いたのです。 ◎6 章 6-5 わかりません。6-5 は図心は求められたのですが…。 Ans. 断面 2 次モーメントは,慣性モーメントの弟なのですが,計算の定義が dm のところが dA に変わって, 平面図形に特化した特性となっています。この一覧表がないのですが(材料力学の教科書には必ずある のだが)便法があります。たとえば長方形断面の場合は,P95 表 6.1 の(c)の質量 M の部分が面積 A に 変わるわけですから,M=>A=ab を代入して,長方形の断面二次モーメントは ab3/12(^はべき乗)と なります。ついでに(6.14)式の平行軸の定理もそのまま M を A に置き換えれば使えます。さて S さんは 全体の図心の位置を求められたわけですから(おそらく 2 つの長方形に分割したと思います) ,xx 軸と yy 軸がその 2 つの長方形の重心からどれだけ離れているかが分かります。あとは平行軸の定理を用い て計算してみてください。別解として,たとえば xx 軸を基準に積分の式をそのまま適用する方法もあ ります(昔 3 章で積分で図心を求めよとの指示をした問題を参考に,距離のところを2乗にして計算す る)。 6.6 α の求め方を教えてください。ω=αt+10π と θ=αt^2+10πtは出ました。25回転ってことは 50πradですよね。 Ans. この筋で大まかに合っています。N.さんが導き出した ω と θ の式の中には,未知数は α のほかにtも ありますね。50πrad回転して「止まった」時点で,角速度 ω はどうなっていますか?しつこいぐ らいのヒントですから分かりますね。つまり未知数二つに対して方程式が二つで,一定の角加速度 α(求 まったときの符号に注意)と止まるまでの所要時間が同時に求まります。 6.6 角加速度がどうしても出ません(__;)。どぅ求めたらいいのでしょうか? Ans. この問題の角加速度を求めるまでのプロセスは 4.7 とほぼ同じです。縦軸に角速度 ω,横軸に時間をと ったとき,ω が初期値から直線的に減少してゼロになりますので,その直線の傾きが角加速度 α です。 こちらの問題はそのゼロになる時刻で与えられているのではなく,何回(何ラジアン)回ったかで与え られている点が違うだけです。一番安直なのは式(4.40)を用いることですが,数値のチェック程度にし てください。微分方程式を地道に解いて未知数(角加速度や積分定数)を残して初期値や終端値を入れ ながら解決する方法で十分求まります(余分な公式は暗記せずに,大原則から導くのが私の方針です)。 6.6 α はマイナスになるんですけど答えではTがプラスになっています。止まったときの α の符号はプラス でいいんですか? 6.6 T(トルク)が負になるのですが、解答では15と正になっています。これはトルクの大きさと考えて いいのでしょうか? Ans. この見解で合っています。おそらく回転方向を自分で定義して運動方程式を立てたら,その方向と逆の 角加速度が出てくるために,S 君の答は負になったのでしょう。それで十分です。 「トルクはいくらか」 とは何とでもとれる問い方ですが,絶対値を問うていると考えるのが自然です。ちょうど「速さ」が絶 対値で,「速度」が符号付の値を指しているのと同じ関係でしょう。 6.10 わかりません。(このような無責任な質問はやめましょう) Ans. まず定石どおり,力の作用線図を描きましょう。 (解法1)支点を A 点として,その周りの剛体の回転 運動方程式のみを作り,角加速度 α を求めます。慣性モーメントは A 点を基準に計算します。拘束条 件から重心の加速度 a が求まります。ダランベールの原理を使うと,支点反力が簡単に計算できます。 (解法2)中心点を G 点として,その周りの剛体の回転運動と並進運動の方程式を作ります。慣性モ ーメントは G 点を基準に計算します。あとは同じ手順です。 6.10 答が合いません。教えて下さい。ちなみに、片方の支点を取り去った直後、残った方の支点の運動方程 式を ma=mg-R(R=支点反力)、回転運動の方程式を Iα=Lma(I=mL の 2 乗/3)と置きました。 Ans. 上の式の二つ目が怪しいですね。回転運動の中心を支点においているならば,回転のための駆動力は重 力しかありませんね。下の式はダランベールの原理を意識しすぎて肝心の重力を忘れてませんか?さら にその重力はどこに作用していますか?ちなみに棒の中心に関しても方程式を立てても解けます。 ◎7 章 7.3 最大の力と最小の力っていうのはどういう意味ですか? Ans. 最大の力と最小の力.. .まず「つりあわせる」とは,物体が滑り始めるぎりぎりの状態にしておくと理 解しましょう。どちら方向に滑り始めさせるかによって,加える「斜面の方向の力」には向きが2種類 あって,最大の力=斜面上方向の力,最小の力=斜面下方向の力,と考えればよいでしょう。単刀直入 にそう書いてくれればいいのにね。ここで,摩擦力は「あまのじゃく」なので,動かそうとする方向と 常に逆方向に発生することに注意してください。なお教科書の解答の tanαは OK ですが,分子分母が 逆のように思います。 7.4 問題文中の軸方向ってどの方向ですか? Ans. 「軸方向」(axial)とは円柱の長手方向のことをいいます。この問題では溝に沿って円柱を動かすのに必 要な力を問うています。余談ですがこれと対で「半径方向」(radial)があります。問題の後半では,溝を 脱出するのではなく,溝にはまったまま摩擦に逆らって回転し続ける状況を考えてください。摩擦力は 接触面にて回転方向と逆向きの接線方向に発生しますから,モーメントの定義を使えばすぐ出ます。 7.6 110Nで滑りはじめたというのは紙が滑ったのですか?それとも重りがすべったのですか?同じ力 でひっぱってたら何がどの向きに滑るかがわかりません… Ans 慌てずに大きな図を書いて考えましょう。問題では床と紙の関係について特に言及していないし,両方 のロープに同じ力が働いているとしているので,床と紙の間の摩擦は無視できると解釈できます。そう でなければ,右側のロープの力のほうが床と紙の間の摩擦分だけ大きくなるはずです。滑るとは「相対 的に運動が生じる」ということですので,先の紙 vs 床以外でこの装置で「相対的な運動」を起こすこ とができるのは,紙 vs 紙であることは自明ですね。上のおもりは,その直下の紙とともに動くはずで す。問題を解くヒントは,紙と紙の「摩擦面」がいくつ存在するかです。クーロン摩擦では,摩擦力は 摩擦面の面積によらず垂直反力のみに比例するのは大事なポイントですが,折り重なった上におもりが 載っている場合は,各々の面に同じ垂直反力が存在するので,摩擦面の数だけ摩擦力が増えるのです。 ◎8 章 8.3 やり方を教えてください。質量 m や速度 v が出てきてわかりません。 Ans. 運動エネルギやばねのエネルギの表記を思い出してください。 8.7 問題がわかりません。T=IαをP=W/t,W=ΔK=1/2Iω2 乗を使って出しましたが答が違ってい ました。ω=αtとおいてPが1秒当たりの仕事からt=1 で考えました。 Ans. 状況が把握できないままに闇雲にやったという感じですね。結論を言えば式(8.12)を使えばよいので す。5kW の動力を「定常的に」供給しながら 1200rpm で回っているということです。たとえばモータ がポンプにつながっていて水の抵抗(ポンプが作り出す圧力)に逆らいながら回転しているという状況 です。あとは単位に気をつけるだけ。角加速度を持ち込んだ時点で,状況の捉え方が間違ってしまった のです。 ◎9 章 9.8 角運動量は保存されているのでH1=H2 までは分かるのですが、H1=Iω の I(慣性モーメント)が何かわ かりません。教えて下さい m(__)m Ans. そう思って,前回の時間に宇宙飛行士の例題をやりました。慣性モーメントとは,質量×腕の長さ^2 でもともと定義されることを思い出してください。ゆえに質点については,角運動量=運動量×腕の長 さになります。この問題 9.8 では,支点に関する各おもりの角運動量の符号は,衝突前では左右で逆に なっていることに注意していただいて,それを足したものが全体の角運動量です。衝突後は棒を含めて 一体がある角速度で回転すると考えてください。 9.8 今回の課題の 9.8 や、その他の問題もなんですけど、運動エネルギは保存したかしてないかはどのよう にしてわかるのですか? Ans. なかなかいいポイントをついた質問ですね。衝突などで「力学」エネルギが保存したかどうかは,前後 の運動エネルギを実際に計算してはじめて分かります。それで,衝突後の運動状態を求めるために,運 動量の保存(系全体に外から力が働いていない),角運動量の保存(系全体に外からトルクが働いてい ない),あるいは講義では敢えて取り扱いませんでしたが「衝突係数」など,該当する形態を考えるわ けです。では,力学エネルギが保存する問題とどのように区別したらよいかなのですが(9.6 などは運動 量保存と力学エネルギ保存の複合問題で紛らわしいですが)。力学エネルギ保存を用いる場合は何らか の形で前後で時間をかけて位置エネルギと運動エネルギのやりとりが発生しますが,(角)運動量保存 を用いて解く問題はたいていの場合は一瞬のイベントをコマ送りで観察しているようなケースが多い です。質問からやや脱線しましたが,私が運動エネルギが保存したかどうか確認してごらん,と言った のは,現実には衝突現象(あるいはスケーターのスピン加速など類似するもの)で力学エネルギ変化が 生じないケースはほとんどないことを確認してほしかったからです。力学エネルギ変化が生じない特殊 な場合を「完全衝突」と呼んで,衝突係数 1.0 と定義しています。