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2013年 心臓血管外科年報 No

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2013年 心臓血管外科年報 No
2013 年
心臓血管外科年報 No. 1
北里大学医学部心臓血管外科学
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
序 文
主任教授 宮地 鑑
北里大学医学部心臓血管外科の歴史は、北里大学医学部が開
設された 1970 年にさかのぼります。当時、胸部外科として開
設され、初代主任教授には、石原昭先生が就任され、心臓血管
外科と呼吸器外科の両方を主宰されました。1994 年に第二代主任教授として呼吸器外
科分野から吉村博邦先生が就任され、1997 年に、心臓血管外科の責任者として小原邦
義先生が聖路加国際病院より着任されました。2006 年 4 月に胸部外科は呼吸器外科と
心臓血管外科に分かれ、初代心臓血管外科教授に小原邦義先生が就任されました。その
後、2010 年 8 月に、私が第二代教授に就任いたしました。それから 3 年の時を経て、
今日、ようやく、北里大学医学部心臓血管外科年報を世に出すことができました。ひと
えに、前胸部外科主任教授:吉村博邦先生、同門会会長・前心臓血管外科教授:小原邦
義先生をはじめとする同門会の先生方、医局員の先生方、循環器内科、小児科、麻酔科、
看護部、ME 部の皆様のご支援の賜物だと、深く感謝しております。
われわれ、北里大学心臓血管外科の昨年、2013 年の活動報告をご報告させていただ
きます。
診療実績
北里大学心臓血管外科では、設立当時より成人心臓外科と小児心臓外科が両輪として
バランスよく行われてきました。この伝統は現在も受け継がれております。この 2 年間
の手術症例数の増加は飛躍的であり、心臓大血管手術(腹部以下末梢血管外科を除く)
は 2011 年:183 例に対して 2012 年:243 例、2013 年:274 例とともに心臓外科開
設以来、過去最高の手術症例数を記録しました。手術死亡率も 2.9% で、新生児開心術
や高齢者ハイリスク症例を行っている施設としてはまずまずの成績でした。
また、植込型補助人工心臓実施施設の認定を得ることができ、神奈川県唯一の認定施
設として、重症心不全治療に循環器内科とともに邁進してゆきたいと思います。
研究実績
2013 年の研究分野の実績では、何といっても寄附講座:血流解析学(日立アロカ)
i
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
の設立であります。板谷慶一特任准教授を迎え、日立アロカ社のご支援のもと、開設す
ることができました。早稲田大学、埼玉大学から大学院生・学生を受け入れるとともに、
当院小児科をはじめ、多くの医療機関・大学と連携して、心臓血管外科分野での血流解
析による大きな成果をあげつつあります。
また、井上信幸先生、友保貴博先生が前期課程で論文博士を取得され、後期課程では、
7 月にアメリカ合衆国テンプル大学より北里大学心臓血管外科講師に着任された宝来哲
也先生と北里卒業生である岡山大学心臓血管外科特任准教授の笠原真悟先生が論文博士
を取得されました。
学会発表でも、オーストリア・ウィーンで開かれた欧州胸部心臓血管外科学会(EACTS
2013)で、北村律先生が口演で発表され、論文は European Journal of Cardiothoracic
Surgery に掲載されることになりました。その他、多くの先生方が、アジア心臓血管胸
部外科学会(ASCVTS 2013 Kobe)や日本心臓血管外科学会、日本胸部外科学会等の総
会で発表しました。
関連施設・人事
小原邦義教授が 2004 年 4 月に東日本循環器病院(現海老名総合病院)心臓血管外科
に贄正基講師を部長として 3 人の医局員を派遣され、初めての関連施設を確立されまし
た。2007 年 4 月に群馬県立小児医療センター心臓血管外科部長に宮本隆司講師が赴任
され、第二の関連施設となりました。私が教授に就任しました翌年、2012 年 4 月には、
柴田講講師が NTT 東日本関東病院心臓血管外科部長として 2 人の医局員とともに赴任、
第 3 の関連施設ができました。さらに昨年、
2013 年 4 月に、
華山直二講師が部長として、
関東労災病院心臓血管外科を新たに立ち上げ、第 4 番目の関連施設となりました。本年
2014 年 1 月よりは中島光貴先生が新百合ヶ丘総合病院心臓血管外科長に赴任され、第
5 の関連施設が診療を開始します。
人事では、4 月に先述の華山直二講師が関東労災病院部長に出向、中島光貴先生がド
イツより帰国、7 月には宝来哲也講師が米国より着任しました。また、2013 年 1 月に
榊健司朗先生が埼玉医科大学総合医療センター心臓血管外科に出向、4 月に入澤友輔先
生が心臓病センター榊原病院心臓血管外科に、柴田深雪先生が国立成育医療研究セン
ターに、井上崇道先生が NTT 東日本関東病院心臓血管外科に、林秀憲先生が会津竹田
綜合病院外科に出向となりました。一方、小山紗千先生が血流解析学の研究のため合流
し、新入医局員として、荒記春奈先生が採用となりました。
ii
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
2014 年 1 月現在の在籍医局員は 31 名となりました。
今後の展望
2014 年 4 月には、新病院が開設されるとともに、外科から血管外科が心臓血管外科
に合流します。心臓から末梢血管、新生児から高齢者まで、全ての心臓血管外科疾患を
扱うことになります。新病院では、心臓血管外科専用の手術室がハイブリッド手術室も
含めて 3 室となるため、血管外科手術含め、手術症例数が大きく増加することが期待さ
れます。また、現在行われているステントグラフト手術に加えて、経カテーテテル大動
脈弁置換術(TAVI)も循環器内科と協同して始めたいと思います。
2013 年は、われわれ北里大学心臓血管外科グループにとっては、大いなる飛躍にむ
けた第一歩を踏み出した年でした。今年も、2013 年以上の実績を上げてゆきたいと思
いますので、皆様のご支援とご指導を賜りたいと存じます。
iii
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
教室の年報の発刊にあたっての期待
公益社団法人地域医療振興協会・顧問
(前北里大学医学部胸部外科学教授)吉村博邦
宮地鑑教授が北里大学心臓血管外科学の二代目教授として同
教室を主宰されて以来 3 年半余が過ぎた。このたび、教室の年
報を出されるとのこと、教育、研究、診療の活動ぶりがどのようになっているのか、教
室の内外に広く開示して頂けるということであり、楽しみである。
最近の教室員の顔ぶれをみると、北里出身者のみならず、全国から、様々な大学の出
身者が宮地教授の活躍ぶりを慕って集まっている。人が集まると活気が生まれ、自ずと
実績があがり、それが魅力となって、益々、人が集まるという好循環が生まれている。
また、関東一円の多くの連携病院に若い教室員が派遣されており、研鑽の場が拡がっ
ていることも頼もしい限りである。
ところで、先日の新聞によると、今や、冠動脈バイパス手術を受ける患者の半数以上
が 70 歳台で、80 歳以上も 10% を超えているとのことである。元気な高齢者がふえた
ことと、低侵襲手術の普及とが相まってこの状況になったようであるが、高齢者の心臓
手術はもちろんのこと、新生児、小児の心臓手術もさらに進歩し対象も拡大していくも
のと考えられる。北里大学の心臓血管外科の前途は洋々であるといっても過言ではない。
さて、私自身のことを含めて教室の過去を振り返ってみると、北里大学の心臓血管外
科(当時は胸部外科)の初代教授は故石原昭先生である。先生は、我が国の心臓血管外
科の礎を築いた東京女子医大の榊原仟先生の一番弟子といわれた方で、若干、42 歳に
して昭和 45 年に北里大学教授として赴任された。開心術に不可欠である人工心肺を我
が国で初めて開発された先生でもある。私事で恐縮であるが、私は、呼吸器外科を専攻
していたが、肺の手術を発展させるためにはどうしても心臓外科の勉強がしたいという
ことで、開設間もない昭和 48 年に石原先生の門を叩いたもの一人である。石原教授の
手術は、華麗で豪快で、こんなに手術の上手な先生がいるのかと、ショックを受けたこ
とが昨日のことのように思い出される。良い先生にめぐりあえること、尊敬出来る先生
の下で薫陶を受けることが、自分の人生を振り返ってみて、本当に幸せで、豊かで、大
切なことであることをしみじみと感じている。
教室員の皆さまには、宮地教授の下、全員が一丸となって己を磨き、豊かで有意義な
人生を送られることを心から祈念する。それが、結果として北里大学の心臓血管外科の
更なる発展につながるものと思う。皆さまの益々の活躍を期待している。
iv
Department of Cardiovascular Surgery
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近況報告
北里大学医学部心臓血管外科学客員教授
海老名総合病院心臓血管外科顧問 小原 邦義
早いもので北里大学を定年退職して以来、既に 4 年が経ちま
した。心臓血管外科学教室は宮地 鑑教授の代となってからは
医局員、関連施設も順調に増え、国内外の学術活動も益々活発になっているようで、同
門の一人として大変嬉しく思っております。
またこの度は、科としての年報を創刊される由、本年は北里大学新病院開院の記念す
べき年でもあり、心機一転を図る意味においても良い試みだと思います。年報を通して、
科としての診療姿勢・体制を示すとともに、1 年間の診療内容と成果を小冊子として取
り纏め、全国の関連部門に見ていただきご批評を仰ぐためには、教室として普段の弛み
無い努力が必要ですし、励みにもなるので、是非継続していただきたいと思います。
さて私の近況報告ですが、北里退任後、縁あって海老名総合病院心臓血管外科の顧問
をしております。顧問と言っても、部長兼副院長の贄 正基先生はオールラウンドプレ
イヤーで手術が上手いので、私の出番はあまり無く、手術は外から眺めることが殆どで
す。時に重症の冠動脈疾患や弁膜症、大動脈疾患、緊急例などに助手として入りますが、
その得がたい緊張感に歳も忘れ、外科医としての本能を満足させてもらっています。
現在 69 歳の私にとって本年は心臓血管外科専門医の更新年ですが、前回更新時には
これが最後の更新と思っていたところ、皆さんの勧めもあり、今回も更新申請させても
らいました。手術症例数が足りるか心配でしたが、一番難度の高い C クラスの手術だけ
で 120 例(北里大学病院 35 例、海老名総合病院 85 例)あったので、更新できました。
今後更に 5 年間、心臓外科に携わることができると私は昭和 44 年から 50 年間(半
世紀)心臓外科医として勤め上げることになります。東京女子医大心研外科(榊原外科)
9 年間を皮切りに、国立循環器病センター 13 年間、聖路加国際病院 6 年間、北里大学
13 年間、海老名総合病院 9 年間勤務という内訳になります。これを完遂するには、心
身ともに健康であるのはもとより、“ 老害 ” とか “ ジャマ原先生 ” などと言われないよう、
自らを評価し、律する心を失わないように努めなければならないと思っています。
海老名では、医局から出向して来られた若い先生方との交流と一緒に手術に入れる事
を楽しみにしています。海老名での修練は大変忙しく厳しいですが、得られることも多
v
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
いと思いますので、是非皆様、一度は海老名に来て下さい。冠動脈バイパス手術はほぼ
100%オフポンプで行っていますし、胸部・腹部大血管手術も多いのです。
文末になりますが、北里大学医学部・心臓血管外科学教室の益々の発展と教室諸兄姉
の益々のご健勝・ご活躍を祈念し、私の近況報告とさせていただきます。
vi
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
人との出逢い、その繋がり、そして発展
東京医科大学心臓血管外科 主任教授
北里大学医学部心臓血管外科学 客員教授
荻野 均
2011 年 4 月に、国立循環器病研究センター心臓血管外科部
長の職を辞し、東京医科大学外科学第二講座の主任教授に着任して、はや 3 年の月日が
流れ過ぎ去ろうとしています。それまでの卒後 29 年は、神戸中央市民病院胸部心臓血
管外科レジデントに始まり、京都大学、武田病院、英国ヘアフィールド病院、天理よろ
づ相談所病院、国循と、良き指導者、諸先輩・同僚・部下に巡り会い、恵まれた環境の
中で、心臓外科医としての坂道をまっしぐらに駆け上がってきました。現在の少なから
ずの「成功」は、まさに人との出逢い、その繋がりの産物といえます。私ほど、幾つか
の施設を異動する中で、複数の「Mentor」を含めた優れた指導者に巡り会え、
(他力本
願ですが)、上昇、発展することができた外科医は他にはいないのでは、と振り返ります。
しかしながら 3 年前は、震災直後で壮行会もないまま東京に参り、複数名の教室員が
去って行くなど、運も尽きたかと思う日々がしばらく続きました。そのような中、小原
前教授、宮地現教授にご親切にお声をかけていただき、その後も教室員の方々と楽しく
手術をさせていただく機会を得て、東京医大の中だけでは感じることのない、まさに出
逢い、そして繋がりを実感しています。
今の時代、組織の発展には「Diversity」の重要性が強調されます。施設内に止まらず、
施設を超えた出逢い、繋がりから、個人、組織、両者の発展が生まれます。私自身にとっ
て歓迎すべき、また新たな出逢い、繋がりが、北里大学心臓血管外科の今後更なる発展
の一助となれば幸いです。
vii
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
「近況報告」
入澤クリニック(医療法人嘉仁会)
理事長 入澤彰仁
早いもので 1976 年(昭和 51 年)に北里大学を卒業して、
38 年の月日が流れています。そのうち約半分の 20 年間を地域
開業医として過ごしてまいりました。地区医師会は座間市で同門の浅利先生が医師会長
であり、今でも頭が上がりません。医師会の仕事としては座間市「肺癌検診部」の部長、
介護認定委員会委員、学童心臓健診部員の末席にて参加させていただいております。
医師会と別の医療団体であります神奈川県保険医協会で保険医運動を担当していま
す。神奈川県保険医協会副理事長として「保険診療対策部」部長、
「指導監査対策委員会」
会長、「県央支部」支部長と医師会、保険医協会とも「もうやめてくれ」というばかり
に仕事をさせられております。あと、2 年たつと 65 歳となりますのでその時点で「退職」
と思い過ごしている毎日であります。
viii
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Kitasato University School of Medicine
目 次
北里大学医学部心臓血管外科 2013 年臨床成績………………………………… 1
国際学会発表報告…………………………………………………………………… 19
北里大学医学部 心臓血管外科業績……………………………………………… 25
医学博士学位取得報告……………………………………………………………… 37
医局行事……………………………………………………………………………… 41
近況報告……………………………………………………………………………… 45
新入局員紹介………………………………………………………………………… 55
ME 部…………………………………………………………………………………… 57
Photo コーナー………………………………………………………………………… 63
関連施設報告………………………………………………………………………… 67
留学報告…………………………………………………………………………… 113
Staff 紹介… ………………………………………………………………………… 123
広 告…………………………………………………………………………… 131
ix
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Kitasato University School of Medicine
x
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
北里大学医学部心臓血管外科
2013 年臨床成績
1
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手術症例数(2013/1/1 – 12/31)
2
成人
小児
合計
開心術
(OPCAB含)
143
86
229
非開心術
(TEVAR含)
7
38
45
心臓外科手術
150
124
274
その他手術
137
10
147
総手術数
287
134
421
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
過去 10 年間の心臓外科手術症例数の推移
300
250
200
150
100
50
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
小児心臓外科
成人心臓外科
3
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北里成人チーム・年間業績報告 (2013 年 1 ‐ 12 月 )
1.手術数
総手術数
287 例
心臓血管外科手術
150 例
開心術+ OPCAB
143 例
非開心術(ステントグラフト・胸腔内血管バイパス)
ペースメーカー・埋め込み型除細動器
7例
137 例
2.心臓血管手術数の推移
160
140
120
100
80
60
40
20
0
4
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
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3.2013 年心臓血管外科手術の内訳(150 例)
Aorta 36
Coronary 66
49
3
14
2
Other 15
10
3
32
1
LVAD 1
36
Valve 56
緊急手術
35 例
再手術(心臓大動脈手術の既往)
9例
入院/ 30 日死亡
7 例(4.7%)
5
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4.冠動脈バイパス術 (CABG)
冠動脈バイパス術における人工心肺の使用・非使用に関しては、近年議論し尽くさ
れた感があります。当科においては、教育病院として、低リスク症例においては吻合
の安全性を担保するために人工心肺を用いて心停止下に行い、大動脈・頸動脈・脳動
脈病変合併例や腎不全・認知障害合併例などのハイリスク症例に対しては人工心肺非
使用拍動下手術 (OPCAB) を行っています。
総数
心室中隔穿孔
単独 CABG
66 例
2 例(死亡 1)
49 例(死亡 0)
平均バイパス枝数
2.8 (1-5)
両側内胸動脈使用
13 例
OPCAB
緊急手術
10 例
透析症例
8例
9例
グラフト開存率
96.2%
(開存枝数/吻合枝数)
Target Vessel Revascularization
98.4%
(Target グラフト開存枝数/ Target 枝数)
心室中隔穿孔に対する緊急手術症例で入院死亡を 1 例認めました。低リスク
の CABG 症例はトレーニング医師が執刀することが多いのですが、Target Vessel
Revascularization 98.4% と良好な成績でした。
6
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5.弁膜症手術
高齢者手術症例の全国的な増加に伴い、高齢者大動脈弁狭窄症手術が増加していま
す。大動脈弁置換術の一部では連続縫合法により体外循環時間の短縮に努めています。
(http://www.khp.kitasato-u.ac.jp/SKA/cv-surg/movie/daidomyaku.wmv)
僧帽弁閉鎖不全症に対しては肥大型心筋症・広範感染性心内膜炎症例を除く全例で自
己弁を温存する形成手術を行いました。また、単独僧帽弁手術症例に対しては 2012
年より右小開胸による低侵襲手術を行っています。
(http://www.khp.kitasato-u.ac.jp/
SKA/cv-surg/tokutyou/img/tokutyo.wmv)
総数 56 例
弁膜症を主とする手術 49 例
大動脈弁置換術 (+ α )
32 例(死亡 1)
大動脈弁再建術(尾﨑法)
僧帽弁形成術 (+ α )
僧帽弁置換術 (+ α )
4 例(死亡 1)
三尖弁置換術
1例
1例
11 例
慢性透析・肝硬変・特発性血小板減少性紫斑病合併の肥大型心筋症・僧帽弁閉鎖不
全症・狭心症・三尖弁閉鎖不全症に対する僧帽弁・三尖弁・冠動脈手術症例と、虚血
性心筋症合併の大動脈弁位人工弁機能不全に対する大動脈弁再置換症例で入院死亡を
認めました。2014 年オープンの新病院ではハイブリッド手術室を完備しており、今
後経カテーテル式大動脈弁置換術を導入する予定です。
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6.大動脈手術
2013 年は、真性瘤、急性大動脈解離、マルファン症候群の慢性大動脈解離、ステ
ントグラフトなど多様な手術がバランスよく行われました。急性大動脈解離の手術
では臓器灌流不全が問題になりますが、2013 年から上行大動脈の偽腔に血栓がない
症例では大動脈真腔直接送血を行っています。
(Yamamoto N, Nie M, Hari Y, Tanaka
Y, Ohara K, Miyaji K. A selection of cases of direct cannulation in surgery for type A
dissection. Asian Cardiovasc Thorac Ann. 2014;22:284-7.)
総数 36 例
緊急手術 16 例
大動脈基部置換 (+ α )
8 例(死亡 1)
自己弁温存基部置換 (David)
1例
上行大動脈置換 (+ α )
弓部大動脈置換 (+ α )
6例
左開胸遠位弓部大動脈置換
1例
下行大動脈置換
2例
胸腹部大動脈置換
1例
胸部大動脈ステントグラフト挿入
6例
11 例(死亡 1)
急性大動脈解離に対する全弓部大動脈置換術後 10 年、腎不全・低心機能合併の基部
残存解離に対する基部置換症例と、術前に心室細動を生じ経皮的心肺補助装置を装着
した左冠動脈入口部解離合併の急性大動脈解離に対する、上行大動脈置換・冠動脈バ
イパス・左心補助人工心臓装着の症例で入院死亡を認めました。
今後も引き続き緊急手術症例の救命率を保ちながら、自己弁温存基部置換などの先端
手術から人工血管感染に対するホモグラフト(同種組織移植)治療や胸腹部置換まで、
幅広く手掛けていきたいと考えています。
8
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7.その他の手術
当院救命救急・災害医療センターは 3 次救急対応をしているため、救急車・ドクター
カー・ドクターヘリなど様々な手段で救急患者を受け入れています。そのような環境
の中で 2012 年より補助人工心臓治療を本格稼働させ、2014 年より植込型補助人工
心臓施設認定を取得しました。また、僧帽弁手術と同様、成人の心房中隔欠損症や左
房腫瘍に対しても、右小開胸の低侵襲手術を行っています。
総数 11 例
心腫瘍
5例
左室破裂
2 例(死亡 1)
左室穿孔
1例
外傷性心損傷
1 例(死亡 1)
心房中隔欠損症
1例
右腕頭動脈狭窄
1例
急性心筋梗塞に合併した左室自由壁破裂に対する修復手術症例と、同じく急性心筋
梗塞に合併した病院外心室細動に対する 60 分にわたる心マッサージ後の心損傷に対
する修復手術症例で入院死亡を認めました。
今後も引き続き、神奈川県下で唯一の植込型補助人工心臓実施認定施設として、重
症心不全に対する外科治療を進めていくと同時に、心筋梗塞の機械的合併症や心外傷
に対する救命手術も積極的に行っていきたいと考えています。
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8.総括
北里大学心臓血管外科成人チームでは、
「世界で治療可能な心臓大動脈疾患は全て
北里大学で治療可能である」ことを目標に、
「持続性を伴った高いレベルの心臓外科」
を維持すべく研鑽しております。そのために最先端の手術を行いながらも、教育病院
として患者の安全を最優先にしつつ後進の指導に努め、海老名総合病院、関東労災病
院、NTT 東日本関東病院、新百合ヶ丘総合病院などの関連病院と協力しながら、毎年
新入医局員の数と同じだけの心臓血管外科専門医を輩出できる卒後教育システムを構
築しています。2013 年は荒記春奈先生が入局し、初年から執刀の機会を得て充実し
たトレーニングを受けてもらっています。
また、2013 年度より血流解析学講座を立ち上げ、板谷慶一特任准教授のもと、こ
れまで定量できなかった弁逆流や心負荷などのエネルギー損失を定量し、各症例の手
術適応の決定において、どのような治療法が最適かを検討し、テイラーメイドの治療
を提供できるよう努めております。血流を可視化する技術で世界をリードしながら学
術的業績を蓄積しています。
2014 年 5 月に新病院がオープンし、手術室や集中治療室を含めて全面リニューア
ルされます。これからも堅めるべきところは堅め、攻めるべきところは攻めながら、
地域市民に健康と安心を届けられるよう努力してゆきます。
(北村 律)
新病院手術室
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北里小児チーム・年間業績報告 (2013 年 1 ‐ 12 月 )
手術実績
2013 年は小児班にとって飛躍の一年となりました。これまで 90-100 例前後で推移
してきた年間心臓血管手術数が 124 例と過去最高を記録いたしました。また手術死亡
率 0.8%(1 例)と、残念ながら 2 年連続の 0% とはなりませんでしたが、全国トップ
レベルの成績を維持することができました。これらはひとえに症例をご紹介いただきま
した近隣の医療機関の皆様、小児科、麻酔科、臨床工学部、看護部をはじめとする院内
他部門の多大なるご協力があってのことと感謝申し上げます。
さて 2013 年の小児班は宮地鑑主任教授、筆者に加えて 1-3 月は柴田深雪、林秀憲、
友保貴博医師、4-9 月小山紗千、荒記春奈医師、10-12 月波里陽介、松永慶廉医師によ
るチーム体制で小児班の診療にあたりました。今後とも、更なる症例数の増加、成績の
向上を目指して参りますのでご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
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小児心臓血管手術数の推移
術者の内訳
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手術症例の内訳
総数
心臓血管外科手術
人工心肺使用
心房中隔欠損(PAPVC含)
心房中隔欠損
心内膜床欠損
Fallot四徴症/肺動脈閉鎖
両大血管右室起始
完全大血管転位症
Norwood型手術
Damus-Kaye-Stansel
大動脈縮窄複合(単心室含)
総肺静脈還流異常
総動脈幹症
両方向性Glenn手術+/-肺動脈形成
Fontan型手術
右室流出路形成(RV-PA conduit含)
肺動脈集合化+RV-PA conduit
肺動脈形成
肺動脈弁置換術
僧帽弁形成・置換
体肺動脈短絡手術
その他
人工心肺非使用
VATS-PDA
肺動脈絞扼術
体肺動脈短絡手術
大動脈縮窄
CPS離脱
その他
その他
再開胸止血/洗浄ドレナージ術
二期的胸骨閉鎖
13
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北里大学医学部血流解析学講座
北里大学医学部血流解析学講座は平成 24 年 11 月 1 日に日立アロカメディカルの寄
附のもと開設されました。日立アロカメディカルと共同開発を行っている超音波血流可
視化ソフトウェア VFM (Vector Flow Mapping) の性能評価と臨床応用のために寄附講座
として開設された。開設当初から多くの使命を担っており、心臓血管系の血流を詳細に
捉え、病態の把握とその治療に役立てることを目的とした近年の時流に乗った最先端の
研究テーマであり、臨床家から工学系研究者まで、また大学での学問から産業に至るま
で幅広い立場の人々が関心を寄せている研究テーマである。その意味で本邦ではまれに
みる本格的な医工連携、産学連携研究の拠点として研究室が立ち上がった。またこういっ
た趣旨の研究室が心臓血管外科の大学医局の中に存在することは、心臓血管外科草分け
の時代から一貫して根強く存続している「心臓血管手術とレオロジー」というモチベー
ションを最先端のコンピュータ技術を駆使して取り組むという挑戦的な役割を担っている。
具体的な研究の手法としては大きく分けて下記の 4 つがある。
Ⅰ.超音波血流可視化ソフトウェア VFM の開発と臨床応用
Ⅱ.心臓 MRI を駆使した 2 次元または 3 次元血流可視化と解析
Ⅲ.3 次元コンピューターグラフィックスと数値流体力学 CFD (computational fluid
dynamics) を癒合した血流シミュレーション
Ⅳ . 脈波解析に基づく血管内拍動の応答の解析と循環生理学の解明
そしてこれら手法の開発とその臨床応用を同時に進めており、現在我々と共同研究を
行っている施設は増加の一途をたどり、大学、病院、企業を含め 30 施設近くになった。
臨床応用課題としては先天性心疾患から高齢者心疾患まで、また心機能評価等の極めて
基礎的な課題から手術前仮想的なシミュレーションといった実践的な課題も含んでい
る。また本年度は全国の血流研究に関心を寄せる研究者を幅広く募り情報交換を行う研
究会である「血流会」を創設し幅広い層の研究者ネットワークを構築している。
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Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
メンバー紹介
講座責任者: 心臓血管外科主任教授
宮地 鑑 M.D. PhD.
講座研究者:
特任准教授
板谷 慶一 M.D. PhD.
臨床系大学院生:
本田 崇
( 北里大学小児科 26 年卒 )
小山 紗千 (東京大学心臓外科)
北川 篤史 (北里大学小児科)
鍋田 健
( 北里大学循環器内科 )
特別研修生 ( 他大学の学生や大学院生を研修生として受け入れる制度 ):
宮崎 翔平 (早稲田大学工学部)
後藤 真治 (埼玉大学工学部)
佐々木 崇史(早稲田大学工学部)
大学院生紹介 宮崎翔平君
2014 年度から心臓血管外科の血流解析学講座で研究員として
働くことになりました。出身は早稲田大学の総合機械工学科で、
2010 年に同科の梅津研究室に配属されてから、板谷先生の指導
の下で流体のコンピュータシミュレーション技術を用いて小児心
臓手術後の血流を解析する研究を行ってきました。昨年度は早稲
田大学修士課程に在籍しながら北里大学の血流解析学講座で特別研修生として、北里
大学を拠点として研究を行いました。
工学部卒で、直接臨床業務に関わることはできませんが、皆様の役に立つ研究成果
を発信していけるよう努めていきますので、
よろしくお願いいたします。これまで行っ
てきた小児循環器の血流コンピュータシミュレーションに加え、術前に手術の効果を
判定できる仮想手術シミュレーションのシステム、MRI により実測された血流を可視
化する技術などの開発を行っていきます。
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Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
2013 年活動報告
2012 年 11 月 1 日 寄附講座血流解析学(日立アロカメディカル)開設
平成 24 年 11 月 1 日寄附講座が開設された。医学部 M1 号館 7 階の「心臓血管外科
研究室」を寄附講座の研究室として開始した。ソファーとテレビのある応接室としても
当直室としても使用可能な部屋であり自由にくつろぎ、雑念に囚われることなく研究に
没頭できる環境が用意されていたことは幸いであった。
研究室といっても現在でも動物や細胞で実験を行うわけではなく、臨床データを元に
コンピュータを用いた解析のみを行う研究機関である。開設当初コンピュータは板谷が
前任機関である東京都健康長寿医療センターから持ち込んだ PC が一台であったが、現
在ではそれに加え医療画像処理用 iMac 1 台、Linux 搭載計算機 (CUP 6 Core, Memory
64 GB) 1 台 , 計算用 Windows PC (CUP 6 Core, Memory 64 GB) 4 台が導入されてい
る。解析環境としては、プログラミング言語として Visual Studio (C++, C#),MATLAB
(The MathWorks) を揃え、CAD は SolidWorks に加え 3D Grafics を Blender, 3D Coat で
行っている。流体解析のソルバとして ANSYS CFX, ANSYS Fluent (ANSYS Japna) に加え
Open FOAM を揃えている。
現在我々の研究室では複数の臨床系
の大学院生が学位取得を目指し、臨床
業務と両立しながら研究を行っている。
またそのバックグラウンドも心臓血管
外科、循環器内科、小児科 ( 小児循環
器 ) と幅広く、各々の若手医師が臨床上
の興味の中で研究テーマを見つけ、血
流解析学講座が研究手法を提供し、新
しいエビデンスを構築すべくともに道
筋を考えてまとめるという方針で進んでいる。その意味では臨床に深く根ざした研究を
行っている。一方で血流は高度に数学的なまたはエンジニアリングの学力を必要とし、
こういった技術を循環器診療に適用するために開発を行うことは医用工学が盛んな現在
において極めて重要な課題である。こういった基礎的な問題に取り組むべく医工連携に
基づく複数の大学間連携を通じ、他大学の工学部の大学院生が特別研修生として研究室
に出入りし、画像処理や数値計算アルゴリズムを学んでいる。臨床医とエンジニアが臨
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Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
床現場の中で、ともに症例のデータを熟考しながら議論をし、新しい技術基盤と診療エ
ビデンスを構築していく研究室であり、本邦においては新しい試みでとして本研究室は
立ち上がった。
2013 年 2 月 15 日 講座開設記念講演
記念講演ではこれまで行ってきた血流解析手法に関する説明を行うとともに今後の研
究課題と寄附講座が目指すべき方向性に関して詳細に説明を行った。
宮地鑑教授の座長の元 1 時間に渡る講
演を行い、参加者は約 100 名にのぼり盛
大な講演会並びに祝賀会が行われた。
2013 年 3 月 日本とヨーロッパでの多施設共同研究発足
超音波 VFM の開発以来、これまで生理学の論文や教科書の中だけで議論されてきた
左心室内の渦流や渦流がもたらす血流のエネルギー損失が実測のものとして可視化され
計測できるようになってきた。そうなると「正常な左心室ではどの時相にどのような渦
流が発生するのか」とか「正常では血流のエネルギー損失はどの程度の値を持つのか」
とか「それらは年齢、体格に応じてどのような変化を示すのか」と言ったいわば新しく
教科書の 1 ページを追記するような研究が必要となった。
そのような背景の中、日本超音波医学会理事長の竹中克先生、副理事長の中谷敏先生
と EuroEcho 理事長の Patrixio Lancellotti 先生、前理事長の Gomez Zamorano 先生の号
令の元に日本とヨーロッパでの多施設共同研究が行われた。参加施設は、ヨーロッパ側
はベルギー・リエージュ大学とスペイン・マドリード大学で、日本側は、心臓血管研究
所付属病院、大阪大学、筑波大学、名古屋市立大学がデータ収集を行い、北里大学血流
解析学が理論アドバイザーとして参加する形でスタートした。データ収集、解析は順調
に行われ平成 25 年 12 月に行われた Euro Echo Imaging 2013 でのミーティングでは
データの解析の概要が報告された。
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Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
その一方で小児の正常値に関してもデータが必要であると考えられ、小児例のデータ
収集と解析は東京大学小児科と北里大学血流解析学との共同研究でデータ収集が行わ
れ、年齢、性別、心拍数、等で補正された正常値が学会報告され論文投稿に関し準備さ
れている。
2013 年 11 月 2 日 第一回血流会開催
「昨今の循環器画像診断領域における血流可視化技術の飛躍的な進展を受け、その基礎
技術基盤の向上と臨床応用とを目指す学際的な研究会として、既存の研究会である心筋
会の姉妹会として」「「血流」をキーワードに基礎学問から臨床応用に至るまで、幅広い
テーマを扱い、専門領域間の横断的な交流を持つことを目的」
(血流会ホームページよ
り「研究会趣意」)とした血流を幅広く研究する研究会「血流会」が発足した。事務局
が北里大学血流解析学講座に置かれ板谷が代表世話人を務める形で発足し、
研究会は
世話人 12 名、会計監事1名、顧問4名から構成され、世話人は各研究機関に1名まで、
顧問は各研究領域に1名までと決められた。
第一回血流会が北里大学白金キャンパスで開催された。演題発表 20 分質疑応答 15
分という異例の時間配分の研究会を開催したが、多様な背景を有する研究者を招いた本
研究会は十分な背景の説明と十分な議論を必要としたため結果的には調度良い時間配分
であった。発表者は第一部 7 名、第二部 3 名で参加人数は 80 名であり遠方からの参加
も少なくなく、盛大な懇親会が行われた。
同時にホームページが作成され http://ketsuryukai.com/ 「流」の字を崩したロゴは
医局員の NTT 関東病院心臓血管外科の井上信幸先生の発案で作成された。ホームペー
ジそのものは特別研修生の佐々木崇史君の協力の元、板谷が作成した手作りのサイトで
あった。
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国際学会発表報告
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27th EACTS (European Association for Cardio-Thoracic Surgery)
Annual Meeting, Vienna, Austria. 5-9 October 2013
北村 律
僕はつまらない人間で、おいしそうに食べたりだとか、面白おかしく話したりだとか
が苦手です。しかも根が正直で、嘘がつけません。そういう人間が学会の抄録を書いて
もなかなか魅力的なものは出来上がりません。2011 年に北里に来て以来、胸部外科学
会総会は全敗です。毎年、心臓血管外科学会のポスターで拾ってもらった演題を、少し
だけ Revise して ASCVTS (Asian Society for Cardiovascular and Thoracic Surgery) で発
表するという、よくいるパターンの心臓外科医です。
2012 年に僕の先輩である柴田講先生が NTT 東日本関東病院に出られてから、柴田先
生が診ておられた大動脈の外来患者をそのまま引き継ぎました。するとその中に非常に
興味深い症例群がいることに気付きました。以前に北里では大動脈解離に対してステン
トグラフトを熱心にやっていた時期があり、多くの症例では偽腔内圧が残るために偽腔
は拡大し続け、一部は結局開胸手術になり、しかもステントグラフトがあるためにやや
複雑な手技になっていました。ところが中には少数ながら下行大動脈が縮小する群がい
ることに気付いたのです。これを良く分からないながら心臓血管外科学会に出してポス
ター発表となり、少し肉付けして ASCVTS で口演発表し、その過程で疑問に感じたこと
などをさらに掘り下げて EACTS に出したところ採択されました。神に感謝です。
10 月初旬でしたがウィーンは寒く、コートが必要な気候でした。ASCVTS 以外では
4,5 年ぶりの国際学会だったので、業界の進歩に驚いた部分もあり、いつもよりも学
会場にいる時間が長かった気がします。自分の発表はイタリアの Mattia Glauber 先生
が指定討論者だったのですが、非常に好意的でした。ちなみに Glauber 先生の施設か
らは、初日に 3D 内視鏡を用いた手術のライブ配信があり、会場では皆が 3D メガネ
をかけて観るという面白い企画がありました。また、大動脈外科の権威であるスイス
の Martin Czerny 先生も示唆に富む質問とコメントをして下さり、僕にとっては非常
に有意義な時間でした。この日の Discussion を踏まえて Revise したこの論文は無事に
European Journal of Cardio-Thoracic Surgery に Accept されました (Kitamura T, et al. K.
Key success factors for thoracic endovascular aortic repair for non-acute Stanford type
B aortic dissection. Eur J Cardiothorac Surg. 2014 Feb 19. [Epub ahead of print]. doi:
20
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
10.1093/ejcts/ezu012)。また発表の日には、
僕がアデレードで働いていたころの同僚で、
現在アデレードに残って Attending Surgeon をしている Michael Worthington と 4 年ぶ
りに出くわし、旧交を温めることができました。
ウィーン滞在中は北里から一緒に行った宮地先生、荒記先生はもちろん、国内他施設
の先生方や、他国の先生方と会食をする機会も多く、夜遅くまでおいしく楽しく語るこ
とができました。ウィーン国立歌劇場でオペラを観たり、クリムトやマティスの絵を観
たりと、文化的にも有意義な時間を過ごすことができ、また、ホテルのジムで日頃の運
動不足を解消することもできました。 充実した 1 週間でした。抄録を書くにあたって
アドバイスを下さった宮地先生、岡先生、宝来先生、板谷先生、街歩きに付き合ってく
れた荒記先生、そして留守を守ってくれた医局の先生方に感謝です。またチャレンジし
たいと思います。
(北村 律)
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Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
Annual meeting of the Asian Society
for Cardiovascular and Thoracic Surgery 2013 (ASCVTS 2013) に参加して
岡 徳彦
2013 年 4 月に神戸にて開催されました ASCVTS 2013 に参加して参りました。私自身
2 年ぶりの国際学会での発表ではありましたが、日本国内、しかも出身地神戸での学会
発表でしたので、それほどの “ アウェイ感 ” はなく発表することができました。
発表内容は “Aggressive administration of HOT, pulmonary vasodilator and anti-heart
failure drugs for Fontan candidates”。両方向性グレン術後の積極的な在宅酸素、血管拡
張薬、抗心不全薬の使用による当院での良好なフォンタン術後経過について発表させて
いただきました。
また本学会には私のメルボルン、Royal Children’s Hospital 留学中の恩師であります
Christian Brizard 先生が Guest speaker として来日されておりました。宮地鑑主任教授
主催の夕食会が催され、Brizard 先生をお招きして医局メンバーとともにとても楽しい
時間を過ごしました。ちなみにオーストラリアでも欧米諸国と同様、”Kobe Beef” とい
うブランドが定着しております。宮地教授の粋な計らいにより、
Brizard 先生にも本場の ”
Kobe Beef“ を楽しんでいただくことができました。またこの際に、今後の北里大学 心
臓血管外科教室からの留学者受け入れについて快くご承諾をいただきました。世界有数
の先天性心臓手術施設との強い結びつきを持つことができた非常に有意義な会でありま
した。 (左:筆者、右:Christian Brizard 先生)
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2013 年 12 月 Euro Echo Imaging2013 ( イスタンブール )
板谷 慶一
Euro Echo Imaging 2013 がトルコ・イスタンブールで開催され、超音波 VFM の公表
と普及のため参加した。Hitachi-Aloka Medical のセミナーとしてイブニングセッション
が行われ、VFM の原理からソフトウェアの使用方法、VFM の validation study、臨床応
用課題に関して発表が行われ多くの質問を頂いた。
また学会シンポジウムでは ”New Perspective: When the Blood Flow Becomes Bright?”
というタイトルでセッションが行われ、Liege 大学の Dr. S Kou と北里大学の板谷が
VFM の臨床応用について発表し、韓国の Dr. GR Hong が Echo PIV に関して報告、中国
の Dr. Z. Xiao が CFD との関連の中で血流可視化法に関する報告を行った。我々の報告
に関して Gianni Pedrizzetti は「エネルギー損失というのは対して大きくないように思
うがどうしてそのようなものを心負荷の指標にしようと考えるのか」と質問をし、我々
は正常では大きくはないが心疾患になり病的な血流が発生した場合指数関数的に増大す
る指標であり心負荷の指標として期待されうること、一方でエネルギー損失の大小を評
価するために必要な全仕事量は圧情報が得られない超音波では定式が困難であり今後の
課題と考えていることを伝えた。
イスタンブールの天候は雪で学会最終日以外はほとんど外出が困難であったが、最終日
は幸い晴れたためグラン・バサールやブルー・モスクへの観光旅行を行った。
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Department of Cardiovascular Surgery
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北里大学医学部
心臓血管外科業績
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学術論文
1. Koyama S, Itatani K, Kyo S, Aoyama R, Ishiyama T, Harada K, Ono M. Subacute
presentation of right ventricular perforation after pacemaker implantation. Ann
Thorac Cardiovasc Surg. 2013;19(1):73-5.
2. Fujiishi T, Koitabashi T, Inomata T, Ohori K, Shibata K, Okamoto H, Miyaji K,
Izumi T: Prosthetic mitral valve endocarditis with left atrial dissection. Circ J.
2013;77(6):1585-6.
3. Kumano S, Itatani K, Shiota J, Gojo S, Izumi N, Kasahara H, Homma Y, Tagawa H.
Strategies for the creation and maintenance of reconstructed arteriovenous fistulas
using the forearm basilic vein. Ther Apher Dial 2013;17(5):504-9.
4. 大島 弘之 , 古平 聡 , 武田 章数 , 國香 正見 , 東條 圭一 , 宮地 鑑:動脈フィルター
内蔵型人工肺の効果に関する検討 従来使用品との比較 . 体外循環技術 40(1):3740,2013.
5. 東條 圭一 , 中村 恭子 , 佐藤 恵莉奈 , 早速 慎吾 , 藤井 正実 , 宮地 鑑 : マイクロファ
イバー素材クリーニングクロスによる医療機器清拭効果について . Therapeutic
Research 34(3):399-407,2013.
6. Ogawa F, Miyaji K, Ishii M, Iyoda A, Satoh Y: Surgical removal of pulmonary
arteriovenous malformations subsequent to total cavopulmonary connection
conversion long after a Björk procedure. Pediatr Cardiol. 2013 ,34(3):739-42.
7. Kitamura T, Torii S, Hanayama N, Oka N, Tomoyasu T, Irisawa Y, Shibata M,
Hayashi H, Inoue T, Miyaji K: Moderate prosthesis-patient mismatch may be
negligible in elderly patients undergoing conventional aortic valve replacement for
aortic stenosis. Int Heart J. 2013;54(1):11-4.
8. Inoue N, Oka N, Miyaji K: Univentricular heart with bridging bronchus and sling
left pulmonary artery. Pediatr Cardiol. 2013 ,34(5):1280-2.
9. Tomoyasu T, Oka N, Miyamoto T, Kitamura T, Itatani K, Inoue N, Ishii M, Miyaji K:
Surgical strategy for severe aortic hypoplasia and aortic stenosis with ventricular
septal defect and normal left ventricle. Pediatr Cardiol. 2013 ,34(5):1107-11.
10. Inoue N, Oka N, Kitamura T, Shibata K, Itatani K, Tomoyasu T, Miyaji K: Neutrophil
elastase inhibitor sivelestat attenuates perioperative inflammatory response in
pediatric heart surgery with cardiopulmonary bypass. Int Heart J. 2013;54(3):149-53.
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Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
11. Itatani K, Miyaji K, Miyazaki S, Honda T, Oka N, Kitamura T, Torii S, Ishii M, Umezu M.
Mechanisms of the single ventricular physiology. Proceedings of IEEE EMBC 2013
12. Koyama S, Itatani K, Kyo S, Aoyama R, Tubokou Y, Fujimoto H, Harada K. Aortic
Valve Replacement and Concomitant Coronary Artery Bypass Grafting in a Patient
with Infective Endocarditis and Anomalous Origin of the Right Coronary Artery
from the Opposite Sinus of Valsalva. Ann Thorac Cardiovasc Surg. 2013;19(5):3869
13. Itatani K, Okada T, Uejima T, Tanaka T, Ono M, Miyaji K, Takenaka K :
Intraventricular Flow Velocity Vector Visualization Based on the Continuity
Equation and Measurements of Vorticity and Wall Shear Stress. Japanese Journal
of Applied Physics.2013. 52 (2013) 07HF16.
14. Kohira S, Oka N, Inoue N, Itatani K, Hanayama N, Kitamura T, Fujii M, Takeda A,
Oshima H, Tojo K, Yoshitake S, Miyaji K:Effect of the neutrophil elastase inhibitor
sivelestat on perioperative inflammatory response after pediatric heart surgery
with cardiopulmonary bypass: a prospective randomized study. Artif Organs. 2013
.37(12):1027-33.
解説
1. 板谷 慶一 , 宮地 鑑:技術講座 生理 シリーズ 血流を診る 超音波 VFM(vector
flow mapping). 検査と技術 .41 巻 12 号 Page1126-1132. 2013.
2. 宮崎 翔平 , 板谷 慶一 , 宮地 鑑:技術講座 生理 シリーズ 血流を診る MRI-- 血
流解析方法の基本 . 検査と技術 41 巻 13 号 Page1218-1223.2013.
国際学会発表
< 招待講演 >
1. Miyaji K, Itatani K:Optimal aortic arch reconstruction in the norwood procedure:A
computational flow dynamic study. The 21th Annual Meeting of Asian Society for
Cardiovascular and Thoracic Surgery (ASCVTS) 2013, Kobe.
2. Itatani K :Novel blood flow visualization technique with echocardiography and
27
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
its applications to the cardiovascular surgery. The 21th Annual Meeting of Asian
Society for Cardiovascular and Thoracic Surgery (ASCVTS) 2013, Kobe
3. Itatani K :Vector Flow Mapping: How to Use A Parameter from Visualized Flow.
Euro Echo Imaging 2013 Fireside Seminar 2013 Dec Istanbul.
4. Itatani K :New perspective: when the blood flow becomes bright Intraventricular
Flow Patterns: From Normality to Pathology Euro Echo Imaging 2013 Dec Istanbul.
< 一般講演 >
1. Kitamura T, Torii S, Hanayama N, Oka N, Itatani K, Tomoyasu T, Irisawa Y, Shibata
M, Sakaki K, Inoue T, Hayashi H, Miyaji K : Early and late results with thoracic
endovascular aortic repair (TEVAR) for non-acute type B aortic dissection. The
21th Annual Meeting of Asian Society for Cardiovascular and Thoracic Surgery
(ASCVTS) 2013, Kobe.
2. Oka N, Hayashi H, Shibata M, Inoue T, Sakaki K, Irisawa Y, Tomoyasu T, Kitamura
T, Hanayama N, Torii S, Miyaji K : Aggressive administration of HOT, pulmonary
vasodilator and anti-heart failure drugs for Fontan candidates. The 21th Annual
Meeting of Asian Society for Cardiovascular and Thoracic Surgery (ASCVTS) 2013,
Kobe.
3. Itatani K, Miyaji K, Yokota H, Ebihara A, Miyazaki S, Torii S, Hanayama N, Kitamura
T, Oka N, Tomoyasu T, Irisawa Y, Shibata M, Sakaki K, Hayashi H, Inoue T, Umezu M,
Takenaka K: Novel approach to aortic insufficiency based on quantitative cardiac
workload estimation from visualized blood flow with MRI and echocardiography.
The 21th Annual Meeting of Asian Society for Cardiovascular and Thoracic Surgery
(ASCVTS) 2013, Kobe.
4. Shibata M, Oka N, Yoshii T, Fukunishi T, Inoue T, Torii S, Shibata K, Kitamura T,
Hanayama N, Inoue N, Tomoyasu T, Irisawa Y, Sakaki K, Hayashi H, Miyaji K: The
optimal graft size of Blalock-Taussig shunt in neonates and small infants. The 21th
Annual Meeting of Asian Society for Cardiovascular and Thoracic Surgery (ASCVTS)
2013, Kobe.
5. Irisawa Y, Kitamura T, Inoue T, Hayashi H, Sakaki K, Shibata M, Itatani K, Tomoyasu
28
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
T, Oka N, Hanayama N, Torii S, Miyaji K : Temporary right ventricular support
with a monopivot centrifugal blood pump as a bridge to decision for patients
who require biventricular assist. The 21th Annual Meeting of Asian Society for
Cardiovascular and Thoracic Surgery (ASCVTS) 2013, Kobe.
6. Itatani K, Miyaji K, Miyazaki S, Honda T, Oka N, Kitamura T, Torii S, Ishii M, Umezu M.
Mechanisms of the single ventricular physiology. IEEE EMBC 2013 Osaka.
7. Kitamura T, Oka N, Nakashima K, Itatani K, Koyama S, Hari Y, Araki H, Miyaji K Key
success factors for thoracic endovascular aortic repair for non-acute Stanford type
B aortic dissection. The27th Annual Meeting of European Association for CardioThoracic Surgery (EACTS) 2013, Vienna, Austria.
8. Koriyama H, Masuda K, Sakurai D, Asanuma T, Itatani K, Miyaji K, Nakatani S
Quantification of the Energy Loss in the Left Ventricle Using Color Doppler-Based
Vector Flow Mapping in a Dog Model of Aortic Regurgitation AHA Scientific
Session 2013, U.S.A..
9. Itatani K: Intracardiac flow patterns: from normality to pathology. The17th Annual
Meeting of the European Association of Cardiovascular Imaging (Euro Echo 2013
Imaging), Istanbul, Turky.
国内学会発表
< 招待講演 >
1. 板谷 慶一:第 13 回 最先端コンピューター画像技術が解明する先天性心疾患の血
流動態と治療戦略 TwoHandsClub 特別講演 2013 年 2 月 .
2. 板谷 慶一:血流速度ベクトルを測って活かす!「新しい指標・可能性について」
第 77 回日本循環器学会学術集会 ランチョンセミナー 2013 年 3 月 .
3. 板 谷 慶 一: ベ ク ト ル を 用 い た 心 臓 血 管 内 の 血 流 を 診 る:VFM(Vector Flow
Mapping) 第 24 回日本心エコー図学会学術集会 教育プログラム 未来のある子
供たちに生かそう、新しい技術、評価方法を 2013 年 4 月 .
4. 板谷 慶一:VFM(Vector Flow Mapping) がもたらす循環生理学と循環器診療への新
たな視点 第 24 回日本心エコー図学会学術集会 新技術を評価する 各社装置の
前途有望な新技術 2013 年 4 月 .
29
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
5. 板谷 慶一:心エコーを用いた血流評価:渦流が明かす病態生理 第 43 回岩手心エ
コー図研究会 2013 年 6 月 .
6. 板谷 慶一:先天性心疾患を渦流で診る!~血流速度ベクトルによる循環動態評価
~ 第 49 回日本小児循環器学会総会・学術集会 2013 ランチョンセミナー 2013 年 7 月 .
7. 板谷 慶一:Efficient blood flow for single ventricular physiology: fluid dynamically
optimal surgical strategies for congenital heart disease. 第 49 回日本小児循環器学
会総会・学術集会 2013 Workshop 2013 年 7 月 .
8. 板谷 慶一:心機能のよい心臓血管手術を行うための血流可視化・評価方法 第 41
回可視化情報シンポジウム 2013 未来医療と可視化 招待講演 2013 年 7 月 .
9. 北村 律: MERA Monopivot Centrifugal Pump の臨床使用経験 . 第 51 回日本人工臓
器学会大会、第 5 回国際人工臓器学術大会ランチョンセミナー . 2013 年 9 月、横浜 .
< 一般講演 >
1. 宮崎 翔平 板谷 慶一 横田 元 宮地 鑑 梅津 光生 MRI phase velocity mapping 法に
よる新たな大動脈弁疾患の血流動態評価法 第 23 回日本心臓血管画像動態学会
2013 年、東京 .
2. 古平 聡、井上 信幸、岡 徳彦、吉井 剛、柴田 深雪、井上 崇道、鳥井 晋
造、北村 律、華山 直二、友保 貴博、入澤 友輔、林 秀憲、榊 健司朗、宮
地 鑑:小児開心術における好中球エラスターゼ阻害剤の予防的投与方法の検討 . 第
43 回日本心臓血管外科学会学術総会 2013 年、東京(日本心臓血管外科学会雑誌
42 巻 Suppl. Page272)
3. 入澤 友輔、北村 律、林 秀憲、友保 貴博、華山 直二、井上 崇道、柴田 深雪、岡 徳彦、鳥井 晋三、宮地 鑑 : 80 歳以上の弁膜症手術の適応 . 第43 回
日本心臓血管外科学会学術総会 2013 年、東京(日本心臓血管外科学会雑誌 42 巻
Suppl. Page371)
4. 北村 律、井上 崇道、林 秀憲、榊 健司朗、柴田 深雪、入澤 友輔、友保 貴博、
岡 徳彦、華山 直二、鳥井 晋三、宮地 鑑 : 非急性期 Stanford B 型大動脈解離
に対するステントグラフト治療 . 第43 回日本心臓血管外科学会学術総会 2013 年、
東京(日本心臓血管外科学会雑誌 42 巻 Suppl. Page391)
30
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
5. 柴田 深雪、岡 徳彦、吉井 剛、福西 琢真、井上 崇道、鳥井 晋造、柴田 講、
北村 律、華山 直二、井上 信幸、友保 貴博、入澤 友輔、榊 健司朗、林 秀憲、宮地 鑑 : Modified Blalock-Taussig shunt における至適人工血管径の検討 .
第43 回日本心臓血管外科学会学術総会 2013 年、東京(日本心臓血管外科学会雑
誌 42 巻 Suppl. Page426)
6. 北村 律、井上 崇道、林 秀憲、榊 健司朗、柴田 深雪、入澤 友輔、友保 貴博、
岡 秀憲、華山 直二、鳥井 晋三、宮地 鑑 : 連続縫合法による大動脈弁置換術 .
第43 回日本心臓血管外科学会学術総会 2013 年、東京(日本心臓血管外科学会雑
誌 42 巻 Suppl. Page336)
7. 岡 徳彦、井上 崇道、柴田 深雪、林 秀憲、榊 健司朗、入澤 友輔、友保 貴博、
北村 律、華山 直二、鳥井 晋造、宮地 鑑 : 肺血管拡張及び抗心不全療法によ
る Fontan 術後合併症の予防 . 第43 回日本心臓血管外科学会学術総会 2013 年、東
京(日本心臓血管外科学会雑誌 42 巻 Suppl. Page224)
8. 友保 貴博、岡 徳彦、柴田 深雪、井上 崇道、鳥井 晋三、北村 律、華山 直二、入澤 友輔、榊 健司朗、林 秀憲、宮地 鑑 : 小児開心術後胸骨変形に対
する胸骨変形防止プロテクターの治療効果 . 第43 回日本心臓血管外科学会学術総
会 2013 年、東京(日本心臓血管外科学会雑誌 42 巻 Suppl. Page350)
9. 入澤 友輔,北村 律,井上 崇道,林 秀憲,榊 健司朗,柴田 深雪,板谷 慶一,友保 貴博,岡 徳彦,華山 直二,鳥井 晋三,宮地 鑑 : 特発性拡張型
心筋症に対してモノピボット遠心血液ポンプを右室補助人工心臓として 5 週間使用
した 1 症例 . 第41回人工心臓と補助循環懇話会学術集会 2013 年、長野 .
10. 藤井 正実 , 東條 圭一 , 木下 春奈 , 宮地 鑑:集中治療における医療機器研修
への取り組み 大学病院集中治療室における医療機器研修 . 第 40 回日本集中治療医
学会 2013 年、長野 ( 日本集中治療医学会雑誌 20 巻 Suppl. Page510)
11. Koyama S, Itatani K, Yamamoto T, Miyazaki S, Ogawa D, Park YK, Ono M, Umezu M
Optimal coronary bypass grafting design based on competitive and reverse flow 第
77 回日本循環器学会学術集会 .2013 年、横浜 .
12. Honda T, Itatani K, Kitagawa A, Ando H, Nakahata Y, Oka N, Miyaji K, Ishii M
Evaluation of active driving force in Fontan circulation: Wave intensity study using
Fourier analysis. 第 77 回日本循環器学会学術集会 .2013 年、横浜 .
13. 井上 崇道、北村 律、林 秀憲、榊 健司朗、柴田 深雪、入澤 友輔、板谷 慶一、
31
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
友保 貴博、岡 徳彦、華山 直二、鳥井 晋三、宮地 鑑:完全内臓逆位に対し
Debranched TEVAR を施行した 1 例 . 第 161 回日本胸部外科学会関東甲信越地方会
2013 年、群馬(日本胸部外科学会関東甲信越地方会要旨集 161 回 Page6)
14. 林 秀憲、井上 崇道、柴田 深雪、榊 健司朗、入澤 友輔、友保 貴博、板谷
慶一、岡 徳彦、北村 律、華山 直二、鳥井 晋造、宮地 鑑:重度左心機能
不全を呈した左第 5 弓遺残の一例 . 第 161 回日本胸部外科学会関東甲信越地方会
2013 年、群馬(日本胸部外科学会関東甲信越地方会要旨集 161 回 Page23)
15. 北川 篤史、岡 徳彦、本田 崇、安藤 寿、中畑 弥生、宮地 鑑、石井 正浩:
ファロー四徴症 (TOF) 術後遠隔期における臨床的特徴 再手術の適応と時期に関す
る検討 . 第 116 回日本小児科学会学術集会 2013 年、広島(日本小児科学会雑誌
117 巻 2 号 Page552)
16. 波里 陽介、北村 律、鳥井 晋造、岡 徳彦、中島 光貴、板谷 慶一、小山 紗千、
荒記 春奈、宮地 鑑:二尖弁に対する大動脈弁術後遠隔期に発症した無症候性 A
型解離の 2 例 . 第 162 回日本胸部外科学会関東甲信越地方会 2013 年、東京(日本
胸部外科学会関東甲信越地方会要旨集 162 回 Page6)
17. 土田 勇太、岡 徳彦、林 秀憲、柴田 深雪、友保 貴博、井上 崇道、入澤 友輔、
板谷 慶一、北村 律、華山 直二、鳥井 晋造、宮地 鑑:CT にて新生児期に
偶然診断された肺動脈スリングの一例 . 第 162 回日本胸部外科学会関東甲信越地方
会 2013 年、東京(日本胸部外科学会関東甲信越地方会要旨集 162 回 Page19)
18. 岡 徳彦、林 秀憲、柴田 深雪、友保 貴博、井上 崇道、入澤 友輔、北村 律、華山 直二、鳥井 晋造、宮地 鑑:ファロー四徴症術後肺動脈弁逆流に対す
る肺動脈弁置換術施行の有効性の検討 . 第 49 回日本小児循環器学会総会・学術集
会 2013 年、東京 (日本小児循環器学会雑誌 .29 巻 Suppl. Pages216)
19. 岡 徳彦、林 秀憲、柴田 深雪、友保 貴博、井上 崇道、入澤 友輔、北村 律、
華山 直二、鳥井 晋造、宮地 鑑:21-trisomy 乳児症例における開心術後全身性
炎症反応の検討 . 第 49 回日本小児循環器学会総会・学術集会 2013 年、東京 (日
本小児循環器学会雑誌 .29 巻 Suppl. Pages326)
20. 板谷 慶一、宮地 鑑、宮崎 翔平、岡 徳彦、北村 律、本田 崇、林 秦佑、
石井 正浩、梅津 光生:Indication of the Arch Reconstruction after the Norwood
Procedure to obtain Effcient Blood Flow and Improved Cardiac Workload. 第 49 回
日本小児循環器学会総会・学術集会 2013 年、東京 (日本小児循環器学会雑誌 .29
32
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
巻 Suppl. Pages181)
21. 板谷 慶一、宮地 鑑、岡 徳彦、鳥井 晋三、華山 直二、北村 律、友保 貴
博、柴田 深雪、入澤 友輔、井上 崇道、林 秀憲:Blalock Taussig Shunt が肺
動脈弁輪に与える影響の検討 . 第 49 回日本小児循環器学会総会・学術集会 2013 年、
東京 (日本小児循環器学会雑誌 .29 巻 Suppl. Pages211)
22. 柴田 深雪、岡 徳彦、板谷 慶一、井上 崇道、林 秀憲、鳥井 晋造、北村 律、華山 直二、友保 貴博、入澤 友輔、宮地 鑑:胸骨正中切開アプローチに
よる人工心肺下での Modified Blalock-Taussig shunt 術の検討 . 第 49 回日本小児循
環器学会総会・学術集会 2013 年、東京 (日本小児循環器学会雑誌 .29 巻 Suppl.
Pages318)
23. 高梨 学 , 本田 崇 , 岡 徳彦 , 峰尾 恵梨 , 北川 篤史 , 安藤 寿 , 木村 純人 ,
宮地 鑑 , 石井 正浩:第 5 大動脈弓遺残の臨床像の検討 . 第 49 回日本小児循環
器学会総会・学術集会 2013 年、東京 (日本小児循環器学会雑誌 .29 巻 Suppl.
Pages 268)
24. 北川 篤史 , 岡 徳彦 , 本田 崇 , 安藤 寿 , 宮地 鑑 , 石井 正浩:ファロー四徴
症術後遠隔期における肺動脈弁閉鎖不全と脳性ナトリウム利尿ペプチド (BNP) に関
する検討 . 第 49 回日本小児循環器学会総会・学術集会 2013 年、東京 (日本小児
循環器学会雑誌 .29 巻 Suppl. Pages 231)
25. 本田 崇 , 板谷 慶一 , 高梨 学 , 峰尾 恵梨 , 北川 篤史 , 安藤 寿 , 木村 純人 ,
岡 徳彦 , 宮地 鑑 , 石井 正浩:心拍が Fontan 循環駆動力に与える影響について
の検討 . 第 49 回日本小児循環器学会総会・学術集会 2013 年、東京 (日本小児循
環器学会雑誌 .29 巻 Suppl. Pages 173)
26. 中島 光貴 、北村 律 、鳥井 晋造 、岡 徳彦 、板谷 慶一 、小山 紗千 、波
里 陽介 、荒記 春奈 、宮地 鑑 : 機能的僧房弁逆流に対する経大動脈弁アプロー
チによる 2 次腱索切離の早期成績 . 第 66 回日本胸部外科学会総会 2013 年、仙
台(日本胸部外科学会雑誌 61: suppl PA92)
27. 松永 慶廉、北村 律、鳥井 晋造、岡 徳彦、宝来 哲也、中島 光貴、板谷 慶一、小山 紗千、波里 陽介、荒記 春奈、宮地 鑑 : 熱中症に合併した広範前
壁梗塞の 1 例 . 第 163 回日本胸部外科学会関東甲信越地方会 2013 年、東京(日本
胸部外科学会関東甲信越地方会要旨集 163 回 Page8)
28. 荒記 春奈、岡 徳彦、小山 紗千、波里 陽介、板谷 慶一、中島 光貴、宝来
33
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
哲也、北村 律、鳥井 晋三、宮地 鑑 : DORV、PA、MAPCA に対する Rastelli
術後に診断された残存 VSD により術後管理に難渋した一例 . 第 163 回日本胸部外
科学会関東甲信越地方会 2013 年、東京(日本胸部外科学会関東甲信越地方会要旨
集 163 回 Page25)
29. Ikeda Y, Inomata T, Naruke T, Koitabashi T, Takeuchi I, Kitamura T, Izumi T, Miyaji
K, Ako J: Comprehensive Strategy Using Mechanical Cardiac Support for a Dilated
Cardiomyopathy Patient with Intolerable Heart Failure Condition. 第17回日本心
不全学会学術集会 2013 年、大宮(Journal of Cardiac Failure 19, Issue 10, Suppl,
Page S130)
30. 林 亜希子、河野 真理、神谷 健太郎、飯田 祐一郎、成毛 崇、北村 律、猪
又 孝元、松野 時子、宮地 鑑、庭野 慎一:初回心不全で体外式補助人工心臓
装着および離脱に至った拡張型心筋症の 1 症例 . 第17回日本心不全学会学術集会
2013 年、大宮 .
31. 郡山 晃 , 増田 佳純 , 櫻井 大輔 , 浅沼 俊彦 , 板谷 慶一 , 宮地 鑑 , 中谷 敏:
Vector Flow Mapping による左室内血流のエネルギー損失量の評価 大動脈弁逆流
モデルを用いた検討 . 第61回日本心臓病学会学術集会 2013 年、熊本(日本心
臓病学会誌 8 巻 Suppl.I Page273)
32. 林 亜希子 , 神谷 健太郎 , 蛯名 由加里 , 中島 節子 , 野田 千春 , 北村 律 , 猪
又 孝元 , 松野 時子 , 宮地 鑑 , 庭野 慎一:体外式補助人工心臓導入にあたっ
ての病棟受け入れ準備と導入後の実際 . 第61回日本心臓病学会学術集会 2013
年、熊本(日本心臓病学会誌 8 巻 Suppl.I Page208)
33. 林 泰佑 , 犬塚 亮 , 平田 陽一郎 , 板谷 慶一 , 宮地 鑑 : 正常小児における左室
内血流の粘性摩擦によるエネルギー損失 . 第61回日本心臓病学会学術集会 2013
年、熊本(日本心臓病学会誌 8 巻 Suppl.I Page511)
34. 北川 篤史 , 高梨 学 , 本田 崇 , 安藤 寿 , 木村 純人 , 岡 徳彦 , 宮地 鑑 , 石
井 正浩 : ファロー四徴症術後遠隔期における、肺動脈弁閉鎖不全と肺動脈弁置換
術に関する検討 . 第61回日本心臓病学会学術集会 2013 年、熊本(日本心臓病
学会誌 8 巻 Suppl.I Page543)
35. 高橋 健 板谷 慶一 田中 登 松井 こと子 戸塚 真紀 秋元 かつみ 稀代 雅彦
清水 俊明 : 拡張早期の左室内圧格差と左室伸縮運動の関連第 33 回日本小児循環
動態研究会学術集会 会長賞受賞 .
34
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
36. 林 泰佑 進藤 考洋 平田 陽一郎 犬塚 亮 清水 信隆 板谷 慶一 宮地 鑑 : 拡
張期における左室内の血流の粘性摩擦によるエネルギー損失 第 33 回日本小児循
環動態研究会学術集会 会長賞候補 .
37. 本田 崇 板谷 慶一 宮崎 翔平 小山 紗千 高梨 学 北川 篤史 安藤 寿 木村 純人 岡 徳彦 宮地 鑑 石井 正浩 : 左右短絡疾患における心室内 Energy Loss の
特性第 33 回日本小児循環動態研究会学術集会 会長賞候補 .
38. 大倉 正寛 岡村 達 鹿田 文昭 板谷 慶一 宮地 鑑 梅津 光生 宮崎 翔平 : 両
側上大静脈例での心外導管型 Fontan 手術における血流シミュレーションを用いた
下大静脈血流分配の検討 第 33 回日本小児循環動態研究会学術集会 .
39. 宮崎 翔平 板谷 慶一 岡 徳彦 後藤 真治 本田 崇 小山 紗千 佐々木 崇史 荒
記 春奈 波里 陽介 中島 光貴 宝来 哲也 北村 律 中村 匡德 梅津 光生 石井
正浩 宮地 鑑 : 大動脈再建術における仮想手術シミュレーション 第 33 回日本
小児循環動態研究会学術集会 .
40. 高橋 健 松井 こと子 田中 登 秋元 かつみ 稀代 雅彦 板谷 慶一 宮地 鑑 清
水 俊明 : 拡張早期左室内圧較差は左室 Strain 及び Strain rate と関連する . 第一回血
流会 .
41. 中島 光貴 板谷 慶一 北村 律 宝来 哲也 宮崎 翔平 宮地 鑑:僧帽弁手術後
の左心室渦流 . 第一回血流会 .
42. 古平 聡 , 東條 圭一 , 大島 弘之 , 白井 敦 , 小山 誠 , 佐藤 正憲 , 野川 隆一郎 ,
藤井 正実 , 木下 春奈 , 武田 章数 , 早速 慎吾 , 宮地 鑑 : 体外循環業務におけ
る人材育成 到達度評価を中心とした教育研修マネジメント . 第 39 回日本体外循
環技術医学会大会 2013 年、熊本(体外循環技術 40 巻 3 号 Page360)
43. 長村 茂太 , 東條 圭一 , 武田 章数 , 大島 弘之 , 古平 聡 , 宮地 鑑 : 長期型遠
心ポンプの比較検討 . 第 39 回日本体外循環技術医学会大会 2013 年、熊本(体外
循環技術 40 巻 3 号 Page396)
44. 大島 弘之 , 東條 圭一 , 古平 聡 , 武田 章数 , 長村 茂太 , 宮地 鑑 : 人工肺の
臨床使用評価 動脈フィルター内蔵型人工肺の比較 . 第 39 回日本体外循環技術医
学会大会 2013 年、熊本(体外循環技術 40 巻 3 号 Page408)
45. 東條 圭一 , 藤井 正実 , 木下 春奈 , 田村 美沙紀 , 宮地 鑑 : 人工肺ガスフラッ
シュに関する検討 . 第 39 回日本体外循環技術医学会大会 2013 年、熊本(体外循
環技術 40 巻 3 号 Page417)
35
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
特許取得 :
1. 磁気共鳴イメージング装置、画像処理装置、画像診断装置、画像解析装置、画像作
成方法およびプログラム
Inventors: 宮地鑑 板谷慶一 宮崎翔平 高橋哲彦
Applicant: 北里大学 日立メディコ
2. 超音波診断装置
Inventors: 宮地鑑 板谷慶一 坂下肇 西山知秀 関佳德
Applicant: 北里大学 日立アロカメディカル
科学研究費助成 :
1. 遠隔期心機能予後を向上させる心臓血管手術を行うための、血流解析システムの構
築 若手 B 板谷慶一 2013 ~ 2015 年 3200 千円
2. 血流可視化技術による心負荷評価システムに基づく左心低形成症候群外科治療戦略
の確立 基盤 C 岡 徳彦 2013 ~ 2015 年 3800 千円
36
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Kitasato University School of Medicine
医学博士学位取得報告
37
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
Neutrophil elastase inhibitor sivelestat attenuates perioperative inflammatory
response in pediatric heart surgery with cardiopulmonary bypass.
Inoue N, Oka N, Kitamura T, Shibata K, Itatani K, Tomoyasu T, Miyaji K
Int Heart J. 2013;54(3):149-53.
学位取得にあたり
平成13 年卒 井上 信幸
平成 25 年 10 月 24 日北里大学より医学博士の学位をいただきました。
私の学位論文は「人工心肺下小児開心術における周術期炎症反応抑制に関する臨床研
究」であります。人工心肺後にみられる組織障害や臓器不全は、再還流障害に伴い産生
されるサイトカインや好中球の活性化が引き起こす炎症の組み合わせの結果と考えられ
ています。特に小児においては人工心肺の影響は成人よりも大きく、全身性炎症反応を
抑制するための努力が常に行われてきました。本研究では全身性炎症反応に関連した急
性肺障害の治療に適応があるシベレスタットを人工心肺開始時から投与し、周術期の炎
症反応を抑制することを目的に、前方視的二重盲検無作為化比較試験を行いました。そ
の結果シベレスタット投与群で術後の白血球数、好中球数、CRP 値等の炎症反応が有意
差をもって低下することを証明出来ました。本研究を遂行し学位論文をまとめるにあた
り、多くのご支援とご指導を賜りました、指導教官である宮地 鑑教授には心より感謝
を申し上げます。また論文執筆にあたり優しく、時に厳しくご指導賜りました岡 徳彦
先生には深く感謝をしております。最後に私が本学心臓血管外科学に入局するきっかけ
となり、現在に至るまで心の支えとなっております小原 邦義名誉教授をはじめ、本研
究にご協力頂きました医局員の先生方に厚く御礼申し上げます。今後はこの恩恵と経験
を忘れずさらなる精進をし、後身の指導に役立てていきたいと考えております。
38
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
Surgical strategy for severe aortic hypoplasia and aortic stenosis with
ventricular septal defect and normal left ventricle.
Tomoyasu T, Oka N, Miyamoto T, Kitamura T, Itatani K, Inoue N, Ishii M,
Miyaji K Pediatric Cardiology. 34(5):1107-11,2013
学位取得にあたり
平成14年卒 友保 貴博
この度、多くの方々の御指導と御協力のおかげをもちまして、学位(論文博士)を取
得させていただくことができましたのでご報告させていただきます。第 44 回 日本小
児循環器学会総会で YIA 賞を頂き、宮地教授に論文にしなさいと言われたのがきっか
けでした。宮地教授は勉学、臨床の両立を目標とし頑張りなさいと仰り、毎日のように
口酸っぱく論文はまだか?論文はまだか?と弛まない刺激を私に与えてくださり、小児
チームの岡 徳彦先生、血液解析学講座 特任准教授の板谷 慶一先生の熱い指導のも
と、大学在職中についに Pediatric Cardiology に掲載されることが決定されました。掲
載が決定した日は岡先生から連絡があり “ よかったなあ、よかったなあ ” と共に喜びを
分かちあえた事が忘れられません。研究発表や学位取得にあたっては様々な手続きなど
があり諸先生方に大変お世話になりました。この場を借りまして御礼申し上げます。最
後になりましたが、研究の機会をあたえていただきました宮地教授、石井教授、最後ま
で根気強く、根気強く、根気強く御指導していただきました岡 徳彦先生、板谷先生を
はじめお世話になりました諸先生方に改めて感謝申し上げます。
39
Department of Cardiovascular Surgery
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40
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医局行事
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相模心臓血管外科懇話会(1 月、7 月)
北里大学、心臓血管外科教室では年 2 回相模心臓血管外科懇話会を開催いたしており
ます。1 月には各施設からの前年度成績報告を、7 月には症例報告をしていただき、定
期的に関連各施設との情報交換を行っております。2011 年 7 月に 4 施設 5 部門の症例
報告から始まったこの会ですが、宮地鑑主任教授就任以来の関連施設増加に伴い、第 5
回では 8 施設 11 部門と、参加施設も倍増いたしました。今後とも、関連施設間の情報
共有、連携を大切にしながら関連施設を含めたグループ全体の更なる成績の向上を目指
して参りたいと考えております。
医局旅行(3 月)
毎年 3 月には温泉地での医局旅行があります。ゆっくり温泉につかり、おいしい食事
や酒を飲みながら、仕事や私生活のことなどお互い腹を割って話すいい機会です。普段
の忙しい日常では気づかなかった、お互いの意外な一面を発見する機会でもあります。
医局員が結束を高める大切な医局行事の一つです。
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納涼会(8 月)
北里大学、心臓血管外科では 2012 年より屋形船での納涼会を行っております。
2013 年は心臓血管外科、循環器内科、麻酔科、小児科、看護部、臨床工学科などなど、
関連施設からの参加も含めてなんと 80 人近くの参加者を集めました。19 時に品川を出
発した日本最大級の屋形船はお台場での停泊の後、隅田川を北上。クライマックスには
スカイツリーを真下から見上げる見所満載のコースでした。幸い天候にも恵まれ、診療
に追われる多忙な日々をしばし忘れて楽しむことができました。
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近況報告
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医学教育研究開発センター医療技術教育研究部門
准教授 鳥井 晋造
2011 年 9 月から医学教育研究開発センター医療技術教育研究部門へ所属することと
なり、同時に大学病院臨床研修センター副センター長兼務となりました。それ以降、人
が迂回したがる役職が降り注ぐようになり、2012 年には医学部教育委員・テュートリ
アル小委員会委員長・大学病院医療安全管理室 ( 現:医療の質・安全推進室 ) 副室長、
2013 年には大学病院教育委員の仕事が舞い込み、以前から務めていた医学部入試実行
委員からは解放されず、一年を通して教育と医療安全の仕事に追われているのが現状で
す。医学教育や医療安全に関するワークショップ、地域医療研修協力施設訪問、関連施
設での講義等の学外出張は、昨年度は 30 日を越えました。医療安全関連の研修でも、
“To error is human” を前提として、適切な教育を通して医療の安全を担保することの重
要性が強調されており、現在従事している仕事すべてが教育に関連しています。そこで、
教育のスキルアップのために昨年 ACLS のインストラクター資格を取得し、週末を中心
に活動しています。それにより、急患で呼ばれなくなった身にもかかわらず、自宅滞在
時間はあまり延びておらず、「亭主元気で留守が良い」を現在も実践しています。
臨床面では、外来は週 2 回 ( 月曜午後・火曜午前 )、手術は CRT—D の新規植え込み
と ICD・ペースメーカーのトラブルケースの対応を中心にやっています。エキシマレー
ザーによるリード抜去システムの導入をめざして研修中ですが、忘れたころにやって来
るペースメーカー感染は頭痛の種です。また新しいメンバーでデバイス手術を行うこと
になりますが、外科医が行う質の高いデバイス植え込みを維持することが肝要と考えて
います。従事する時間は少なくなりましたが、臨床を大切にしながら、医療安全・研修
医教育を取り組んで行きたいと思います。
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北里大学医学部心臓血管外科 診療准教授 北村 律
北里には 2011 年 4 月に赴任しましたが、
はや 3 年以上経ちました。まず臨床面では、
2013 年 7 月末から宝来先生が来てくれ、「毎日オンコール」ではなくなり、精神的に
非常に楽になりました。右小開胸の低侵襲手術も軌道に乗り、こちらが何も言わなくて
も麻酔科・手術室ナース・ME が手術をお膳立てしてくれるようになりました。教育病
院なのでトレーニング症例のパイの大きさを保ちつつ、今後右小開胸の大動脈弁手術も
始めていけたらと考えています。重症心不全に対する補助人工心臓治療も、多科・多部
門にまたがる病院全体を包括するチームを作り、患者家族とよく相談しながら少しずつ
ですが症例を重ねています。植込み型補助人工心臓の施設認定も取得できたので、宝来
先生の経験を活かしながら地域に貢献できればと思います。
研究面では、赴任当時から岡先生と、お互いの CV を充実させるために、年 1 本は
Original article を書こうと誓いを立て、なんとか実現しています。岡先生は他の医局員
の論文の面倒も見ておられ、医局全体が「論文書いて当たり前」な雰囲気になりつつあ
ります。2013 年から板谷先生を特任准教授に血流解析学講座を立ち上げ、これまで臨
床的に疑問であった様々な点を科学的に解明しています。血流解析の手法は手術術式を
決定するのに極めて有用で、板谷先生は今後もこの分野で世界的なリーダーになってく
れると思います。研修医だったころの「板ちゃん」を知っている身としては感慨深いも
のがあります。個人的には B 型解離の演題が EACTS に採択され、論文にもなりました。
B 型解離については知られていないことが多く、掘り下げると面白い疾患だと思います。
教育面では、日々学生にエネルギーを貰いながら、時に吸い取られながら、実習を行っ
ています。学生には「百聞は一見にしかず。不勉強な者の百見は勉強した者の一見にし
かず。」と言いつつ、手術を詳細に見せるようにしています。結果、
心臓外科に興味を持っ
てくれる学生は増加傾向にあり、これを将来の心臓外科業界の繁栄につなげられればと
いうところです。卒後教育においても、研修医時代から開胸、入局後は、カニュレーショ
ンが出来るようになったら ASD・AVR、内胸動脈採取できるようになったら CABG とい
うようにラダーを着実に上っていけるよう心がけています。特に CABG については、個
人的には 30 台後半が最も吻合のクオリティーが高かった印象があるので、出来れば 30
歳前から執刀できるようサポートしていきたいと思っています。
2014 年から准教授という身に余る役職を頂くことになりました。宮地先生の御指導
47
Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
のおかげです。まずは自分の机の上をもう少しきれいにし
て、これからも仕事に励みたいと思う今日この頃です。
26 歳で長女が生まれた時、「この子がジョシコーセーにな
るころには 42 歳かー。どんな感じになってるかなー。
」と
思いました。42 歳になった今、僕はあまり変わっていない
気がしますが、娘はテスト前に夜中じゅう Skype で友達と
大声でしゃべることを「勉強する」ことだと言い張ります。
時代は変わっていきます。
48
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Kitasato University School of Medicine
北里大学医学部心臓血管外科 講師 岡 徳彦
北里に赴任してはや 3 年の月日が経とうとしている、この 3 年間でジャテーン手術 4
例、総肺静脈還流異常症修復術 4 例など、新生児開心術を含む計 174 例の先天性心臓
手術を主治医として担当させていただき、執刀もしくは指導的助手をさせていただいた。
なかなか世代交代のすすまない現在の日本の小児心臓外科において、卒後 16 年目での
このような経験はなかなか得られるものではなく、宮地先生には感謝の言葉も無い。ま
た宮地先生、北村先生を中心とする医局全体の雰囲気もすばらしく、医局員皆が明るく
楽しそうに仕事をしている。日常からストレスが多く、ややもするとギスギスとしがち
な心臓外科の世界にありながら、この医局員全体の結束力は誇るべきものだと思う。こ
のような雰囲気のもと働かせていただいている自分もなにか恩返しができればと、手術
をはじめとする臨床活動、学会発表、論文執筆及び指導、飲み会など行ってはきたものの、
達成度と言えば、飲み会を除けば、まだまだ恩返しにはほど遠いのが現状である。飲
み会と言えば、この 3 年間での私の最大の業績の一つに “ カンパイ星人 ” なるあだ名の
獲得があげられる。これはあまり大きな声では言えないが、一泊二日での研修において
夜の親睦会での飲み過ぎがたたり、2 日目の研修を二日酔いのためほぼ参加できないと
いう大失態から付けられたものである(鳥井先生には本当にご迷惑をおかけしました)
。
医局の後輩諸君も泊まりがけの研修だけはくれぐれも気をつけていただきたい。ただ、
飲み会も悪いことばかりではない。この 3 年間、個人的なネットワークを活用して相模
原周辺の小児循環器領域の先生と積極的に飲み会(親睦会?)を行ってきた。2013 年
度はその成果が少しずつではあるが見え始め、症例数増加の一助となった。これらの紹
介症例を、他に負けない結果でお返ししていくことで、より強い信頼関係の構築、ネッ
トワークの拡大を計って行きたいと考えている。それがいま自分にできる北里への恩返
しだと思っている。 (左:筆者、右:中島光貴先生)
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Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
北里大学医学部心臓血管外科
講師 宝来 哲也
昨年 7 月にアメリカより帰国し、北里大学心臓血管外科チームに加えていただきまし
た。こちらの医局では新参者ですので、まず、この場を借りて、簡単に経歴を紹介させ
ていただきたいと思います。
私は、昭和 47 年生まれ、大阪府出身です。高校卒業まで、ずっと関西圏で過ごし、
大学入学を機会に東京に出てまいりました。平成 10 年に東京大学を卒業し、4 年間の
一般外科トレーニング後に、心臓外科医への道を志し、国内施設で約 3 年、アメリカで
約 5 年間の心臓外科トレーニングを受け、最終的にはアメリカのフィラデルフィアの大
学病院で独立した心臓外科医として診療に携わっておりました。そして、この度、宮地
鑑教授のご厚情で、北里大学心臓血管外科チームにて、成人心臓手術を担当させていた
だいています。
着任して 8 か月あまりですが、チームの周りの方々に恵まれ、とても快適に過ごさせ
てもらっています。この間にも、成人手術症例数は、確実に増加してきており、これか
らもこの勢いをさらに高めていけるようにと思っております。また先日、当科宮地教授
にご指導、循環器内科阿古教授にご審査いただき、長年の懸案であった、学位を北里大
学より頂くことができました。国内での資格についても、心臓血管外科修練指導者、埋
め込み型人工心臓実施医を無事に取得致しました。
本年度は、臨床、教育については、先ほども申し上げとように、症例数をさらに伸ば
していき、若い先生方にもどんどん執刀していただける環境を作り上げていきたいと
思っております。同時に、埋め込み型人工心臓の手術も開始していきたいと考えており
ます。研究面においては、着任後、あまり目立ったことができていないことを反省して
おり、血流解析学講座の板谷先生とも協力し、人工心臓に関するリサーチを立ち上げ、
グラントをとることを目標にしております。
当教室の臨床・研究・教育の充実に貢献できるよう、頑張りますので、皆様、どうぞ
よろしくお願いいたします。
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Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
北里大学医学部心臓血管外科
助教(病棟医)
入澤 友輔
私は心臓血管外科医としての修練を積む目的で 2013 年 4 月より岡山県の心臓病セン
ター榊原病院に出向しております。縁もゆかりもない土地ですが、出向して 1 年が経ち
ようやくこちらの環境にも慣れてきました。来た当初の第一印象は神奈川より寒いとい
うことです。岡山に出向が決まった際に皆さんから岡山は気候も温暖で住みやすい街だ
という話を聞いてきましたが、残念ながら冬は神奈川より寒いです。そして、西に位置
しているせいか朝方はまだ暗いです。しかし、海・山・川に囲まれ自然はいっぱいで、
日本 3 大庭園の一つである後楽園も有名です。その他、新幹線も通っており、東京まで
は約 3 時間半でいくことが可能で、アクセスも比較的良好です。現在私が働いている病
院は循環器科専門の病院で手術症例数も多く、心臓血管外科医だけで 20 人近くもいま
す。同年代の医師も多く互いに刺激を受けながら仕事をしております。日々勉強をして
いる毎日ですが、執刀医の件数が足りれば 2014 年度の心臓血管外科専門医試験を受け
ることができると思います。これからも一歩ずつ前に進みたいと思いますので今後とも
どうぞよろしくお願いいたします。
北里大学医学部心臓血管外科 助教(病棟医)
波里 陽介
2009 年 4 月、北里大学心臓血管外科に入局し、早 5 年が経ちました。北里大学病院
心臓血管外科、海老名総合病院心臓血管外科、平塚市民病院外科・心臓血管外科で経験
を積み、2013 年 4 月より北里大学病院心臓血管外科病棟チーフを担当させていただき
ました。久しぶりの大学勤務は不安や戸惑いから始まりました。心臓血管外科病棟医が
少なかったためミスや事故が起こらないよう考えながら忙しい日々の業務に追われてお
りました。しかしながら諸先生方の御配慮もあり、非常に充実した 1 年間でありました。
指導的助手の御指導の元、冠動脈、弁膜症、先天性心疾患など多くの手術を術者として
執刀させていただき、自分にとって大きな経験を積めたと考えております。この経験を
今後の臨床に生かしつつ、後輩への教育にも繋げていけるよう努力致します。
2014 年 4 月から関東労災病院心臓血管外科に出向させていただきます。微力ではあ
りますが、精一杯努力し、心臓血管外科を盛り上げていきたいと考えております。
まだまだ未熟であり、ご迷惑をおかけしますが今後とも御指導・御鞭撻の程よろしく
お願い申し上げます。
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Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
北里大学医学部心臓血管外科
助教(病棟医)
柴田 深雪
私は平成 19 年 3 月に産業医科大学を卒業し、今年度は卒後 8 年目、また心臓外科医
としては 3 年目の年となりました。私は公私共に、今そして、まだ見ぬ未来をどう生き
ていきたいのか自問自答の日々を送っています。
私の現在までの経緯としては、東大病院での初期臨床研修を経て、母校の義務制度の
ため、一旦、母校で一般外科医として勤務していましたが、小児心臓外科医の道が諦め
られず、卒後 5 年目で東大心臓外科の門を叩きました。実際、心臓外科の研修が始まっ
たのは、その年の秋からで、当時、希望の仕事ができる幸せを噛みしめていたものです。
そして、卒後 6 年目の春より、北里大学病院へ 1 年間勤務させていただき、まるで 0
歳~ 1 歳までの変化のような、劇的な成長の機会を与えていただいた日々でした。この
まま、北里大学病院で勤務していたいという希望がありましたが、卒後 7 年目の春より、
人事異動のため、成育医療研究センター病院で 1 年間勤務させていただきました。そこ
で日本における子供病院のシステムや心臓血管外科医のトレーニングシステムの利点、
欠点、また私が一人の人間、女性としてどう生きていきたいのかについて考える機会を
与えていただいたことは有意義でした。しかし、その中で悩み苦しみ、一度は医師を辞
めようかと思うくらい思い詰めたこともありました。その時、北里大学病院での勤務で
得たことの多さに改めて気づき、それが糧となりました。また北里の先生方、仲間、看
護師さん達に支えていただき、なんとかまた歩きだすことができ、感謝の気持ちでいっ
ぱいです。そして、今年度、卒後 8 年目の年は、さらなる臨床での研鑽、また大学院生
として学位論文の完成を目標とし、北里の先生方に御尽力いただき、再度北里大学病院
で勤務させていただくこととなりました。私は医師になった時から、常に患者さんやそ
の家族に対して、ベストの治療を精一杯行っていると言える、その努力を怠らないとい
うプライドを持って治療に取り組んできました。それは臨床面、研究面両方のアプロー
チが必須であるとも考えており、そのさらなる研鑽を積んでいきたいと思っています。
また私は、一人の人間、女性として、今までももちろん、精一杯生きてきたつもりですが、
劣等感から卑屈であったり、ネガティブに物事をとらえる側面を持っていました。笑っ
ていても、暗く否定的に生きていても、私に与えられた時間は過ぎていく。だから、仕
事や私生活でも、課題や問題点、悩みが存在することをも否定せず、それを大切な時間
として捉えて、支えてくれる人達に感謝の気持ちを常に持ちながら、精一杯楽しんでい
きたいと思っています。
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Kitasato University School of Medicine
北里大学医学部心臓血管外科
助教(病棟医)
田村 智紀
2012 年 4 月よりの 2 年間を平塚市民病院外科で修練させていただいています。同院
では消化器外科・呼吸器外科・乳腺外科・血管外科と幅広く勉強させていただいていま
す。特に、血管外科の領域では腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術、閉塞性
動脈硬化症に対する血管内治療を修練させていただいき充実した日々を送っています。
2013 年度は外科専門医・腹部大動脈ステントグラフト実施医の資格を所得することが
できました。今後の診療に活かしていきたいと考えています。
2014 年度よりは北里大学病院心臓血管外科でチーフレジデントとして勤務予定と
なっています。臨床を充実させ、後輩の教育、研究の分野でも活躍できるよう切磋琢磨
していきたいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。
北里大学医学部心臓血管外科
助教(病棟医)
福西 琢真
研修医 1 年目の夏、血管外科研修時期に無能な自分に新棟 2F トイレで涙してから早
6 年が経過し、宮地教授、剛腕田村先生(野球部先輩かつ上司)コンビに勧誘され入局
して 3 年が経過しています。入局時に海外留学経験の先生も同志となり、心臓外科生活
を開始しました。数多くの難症例と術者のチャンスを貰いながら、同時に英語の勉強も
開始し、現在も継続しています。限られた時間内で医学的知識、語彙力を増やす事は非
常に辛く、毎日生き急いでいる気がしますが、
強い意志を持って精進しています。現在は、
平塚市民病院で外科研修を行っており、消化器外科以外に血管外科、呼吸器外科、乳腺
外科が外科の所属なので、毎日色々な症例経験を積んでいます。特に、下肢のバイパス
やステントグラフト等の手術機会が多く、資格の取得へ向けて修練中です。置かれた立
場で best を尽くし、将来の夢を叶えるべく、毎日を過ごしています。
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Department of Cardiovascular Surgery
Kitasato University School of Medicine
北里大学医学部心臓血管外科
助教(病棟医)
林 秀憲
入局 1 年目の昨年度は、大学で成人心疾患と小児先天性心疾患の両方に携わらせてい
ただきました。諸先輩方の背中を見て、またアドバイスを頂いて、今後自分がどこを目
指して精進していけば良いかよく考えることができました。
2 年目の今年度は、福島県会津若松市の竹田綜合病院に一般外科研修として出向中で
す。
同院は地域の中核病院で緊急手術を含め症例数が多く、私も虫垂炎から癌の手術まで、
数として年間 120 件ペースで術者経験をしております。外科領域はここ数年で腹腔鏡
手術のウェイトが非常に大きくなり、特に同院では消化管手術の 8 割程度が腹腔鏡で行
われています。心臓血管外科領域でも MICS など小さな切開創で手術を行う流れがあり、
現在学んでいる基本的な外科手術手技と腹腔鏡手術手技が、今後心臓血管外科に戻った
後も活かされると考えております。
医師として未熟な部分が多いですが、一つ一つ学び前進していく所存ですので、今後
ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
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新入局員紹介
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北里大学医学部心臓血管外科 助教(病棟医)
荒記 春奈
平成 25 年 4 月に北里大学病院心臓血管外科に入局し、もうすぐ 1 年が経過しようと
しています。医学部 5 年生の病院実習中に心臓手術に魅せられ、それ以降は将来心臓外
科医を目指すかどうか強く葛藤しました。自分の能力に加え女性であることへの不安が
大きく、卒業後の初期研修中はなんとか自分の興味を他にそらそうと必死でしたが、最
後は心臓の手術の魅力には購えないことがわかりました。入局にあたっては十数年ぶり
の女性医局員にも関わらず、広い心をもって私を受け入れ、熱心に教育をして下さる医
局員の先生方に強く感謝をしております。
この 1 年は開心術を執刀する機会にも恵まれ、国際学会に同行させて頂いて刺激を
受け、北里心臓血管外科の臨床と研究両面における教育環境の充実を感じました。医学
を生業にするにあたって、『志・覚悟・使命感』を自分の信念としてきたつもりですが、
高い志とこの道で生きていく覚悟、そして心臓外科ではまだ少数である女性医師として
フロンティアの 1 人となれるよう使命感をもって、日々努力していきたいと思います。
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ME 部
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ME 部のご紹介
ME 部 技師長 東條 圭一
北里大学病院 ME 部は 1981 年に開設されました。ME とは、Medical Engineering
医用工学の略で、当時は臨床工学技士という国家資格はなく、手術室や ICU、心臓カテー
テル検査室などに所属していた技術職のスタッフを集約し、当時の胸部外科教授石原昭
先生がご尽力され初代渡辺敏部長を迎えて結成されました。このような、総合的な技士
を一部門として組織化されていたのは三井記念病院に次いで 2 番目であり、北里 ME は
国内で歴史のある ME 部門の一つであります。開設当初は技士 9 名でスタートしました
が、現在は大学病院に 31 名、東病院に 6 名の 37 名を要する大学病院では東京女子医
科大学病院に次ぐ 2 番目の大きな組織となりました。
心臓血管外科と ME は言うまでもなく深いつながりがあります。1971 年 9 月に第一
例目の人工心肺症例が行われその当初は医師が人工心肺装置の操作を行っておりました
が、その後操作が ME に移行し、現在は全例 ME が体外循環を担当しております。人工
心肺部門は、初代係長西川温氏から現係長古平聡に引き継がれ、現在大島弘之が 3 代目
のチーフとして担当しております。ME 部には体外循環技術認定士取得者が 10 名所属
しており、未取得者も含めて 24 時間体制で院内に常駐して業務を行っています。
本来、心臓血管外科の術者は、専属の人工心肺操作者を好みます。しかし、北里大学
病院 ME 部の技士は、開設当初から今年入職した技士が 40 年後も臨床現場の第一線で
活躍できるよう専属の業務に固定せず、医療機器管理や心臓カテーテル検査、集中治療・
救命救急、手術室などの業務をジョブローテーションで行っています。このため、人工
心肺担当者もチーフは固定であるものの、その他の人工心肺担当者はローテーターで担
当しています。もちろん、人工心肺担当チーフも元はローテーターですから、人工心肺
のみならず広い知識や技術を習得した技士が担当しています。このため、人工心肺には
ME 部のほとんどの技士が携っています。
さて、現在 ME 部長を宮地鑑教授が兼任され、人工心肺やペースメーカー、さらには
医療機器安全管理を通じて、医療機器全般で心臓血管外科とかかわってきましたが、最
近の大きなつながりとして、補助人工心臓があります。2012 年に第一例目がスタート
してから、2013 年までに 4 例の体外式補助人工心臓装着患者を経験しました。そして、
植え込み型補助人工心臓認定施設要件である 3 例を超え、ME 部では 4 名の補助人工心
臓管理技術認定士を取得いたしました。2014 年は、神奈川県唯一の植え込み型補助人
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工心臓実施認定施設として、体制を整えていきたいと思います。
最後に、昨今医療業界ではチーム医療が叫ばれ、専門職種がそれぞれの専門性を生か
して医療を行っていくことが重要であると言われるようになってきました。しかし、
我々
臨床工学技士は、昔からチーム医療を通じて心臓血管外科医と共に歩んできたと思いま
す。これからもその関係を良好に保って信頼される存在であるよう努力していく所存で
あります。
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人工心肺の変遷
ME 部 係長 古平 聡
当施設で人工心肺が開始された 1971 年当時は、フィルム型肺(回転円盤型)が用い
られていました。その後シート型、ハード型ディスポーザブル気泡型肺、1980 年代前
半のシリコン膜による積層式膜型人工肺等を経て、80 年代後半より現在の中空糸膜型
人工肺へと医療技術の進歩とともに変化してきました。現在、臨床研究やメーカーへの
開発支援のため 4 社 9 種と多種多様な人工肺を症例に合わせて使用しています。人工
心肺回路のプライミングボリュームは、1971 年当時 2800ml であったものが、1999
年頃に成人 1300ml・小児 850ml となり、現在は成人 650ml・小児 120ml とデバイス
の進化と共に減少してきました。
人工心肺装置は、装置のベースにローラーポンプを乗せた固定型ポンプから操作パネ
ルとポンプ部分が独立した自由度の高い分離型ポンプとなり、体外循環技術医学会勧告
の安全基準を遵守しながらも人間工学的な配慮ができるような機器を導入し、現在は泉
工医科工業社製 HAS- Ⅱを 2 基使用しています。体外循環中のモニタリングでは 1980
年代後半より混合静脈血酸素飽和度測定装置、1998 年より近赤外線酸素飽和度測定装
置を導入し、循環維持のための課題ともいえる術中組織障害を予防するための取り組み
を続けています。
また、技術的な進歩としては大きな回路量による人工物接触量増加が引き起こす炎症
反応増加や、輸血用血液が引き起こす電解質異常や炎症反応増加を抑制するなど、積極
的に取り組んできました。部材には、各種コーティングを用い、白血球除去フィルタ・
心筋保護白血球除去フィルタなどの使用や血液洗浄・濾過によりこれらの適正化を図っ
ています。さらに、蛋白分解酵素阻害薬を組み合わせて使用することにより、過度の水
分バランスの増加や術後呼吸機能の低下が少なくなり、成績は年々向上しております。
我々 ME はこのような取り組みにより、医師やメーカーなどと協力して人工心肺装置の
安全性向上に努めています。
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2013 年 ME 部の近況報告
ME 部 人工心肺担当主任 大島 弘之
2013 年の心臓血管外科に対する ME 部での業務につきまして、2011 年、2012 年と
比較してご報告いたします。
人工心肺症例数は、2011 年 成人 65 例 小児 75 例 計 140 例、2012 年 成人 120 例
小児 74 例 計 194 例、2013 年 成人 131 例 小児 84 例 計 215 例と症例数が増えてお
ります。成人症例の緊急手術も 2011 年 15 例、2012 年 25 例、2013 年 43 例と急増
しておりますが 24 時間院内 ME の院内常駐にて対応してまいりました。また、2012
年に右小開胸による MICS や左側開胸による遠位弓部大動脈置換術に対する超低体温循
環停止法(高本法)など新しい体外循環法体外循環法も導入しております。小児症例数
も増加してきており、単心室症例に対する Norwood 手術など複雑心奇形に対する特殊
な技術が必要な人工心肺も行ってまいりました。なお、ME 部には 16 名の人工心肺を
操作できる技士が現在おりますが、2013 年に新人 8 名が入職し、成人症例を操作でき
る技士が 5 年目から 3 年目の技士 3 名、小児症例を担当できる技士が 5 年目と 3 年目
の 2 名、新しく誕生しました。
体外設置型補助人工心臓の装着手術は 2012 年に北里第一例目も行い、2013 年まで
に 4 症例を経験いたしました。2013 年には ME から 4 名が補助人工心臓管理技術認定
士の資格を取得し植込型補助人工心臓の施設認定も受け、現在、北里第一例目の植込型
補助人工心臓症例を目指してマニュアルなどの準備をしております。
遠心ポンプを用いた経皮的心肺補助の症例数は、2011 年 成人 17 例 小児 3 例 計 20
例、2012 年 成人 23 例 小児 2 例 計 25 例、2013 年 成人 27 例 小児 3 例 計 30 例と
なり人工心肺症例と同様に少しずつ増えております。また、成人症例にて心臓血管外科
手術後の導入が 2012 年、2013 年とも 6 例あり、体外設置型補助人工心臓の装着手術
に伴い、右心補助での使用が増加しています。また、救命救急センターや他院からの搬
送による緊急人工心肺症例も増加してきています。
INOVent や工業用 NO を用いた一酸化窒素吸入療法導入症例は 2011 年 24 例、2012
年 13 例、2013 年 23 例と増減があり、その半数以上は心臓血管外科手術施行前後の患
者への導入となっております。
我々 ME 部は、日進月歩進化する心臓血管外科手術に柔軟に対応できるよう常に努力
し、研鑽を積んでいきたいと考えております。
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ME 部 全体写真(2013 年 1 月撮影)
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Photo コーナー
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OPE 室
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カンファレンス
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関連施設報告
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大和市立病院
当院は 1955 年大和町国民健康保険直営病院として開設され,以降地域の基幹病院と
して貢献してきました.1993 年には現在の地上 7 階地下 1 階の病院建物が建設され,
心臓血管外科は 1999 年 4 月より診療を開始し現在に至っています.2006 年 4 月から
は派遣人員数の縮小に伴い体外循環を使用する手術は休止し,腹部大動脈,末梢動脈,
静脈疾患,血液透析用ブラッドアクセスに対する手術等を行っています.
手術実績 2013
手術総数:134 件
大血管
3件
Y-grafting
3
末梢血管
12 件
バイパス術
3
distal bypass 術
2
ハイブリッド手術
2
血栓除去
3
その他
2
静脈(硬化療法含めず)
15 件
15
高位結紮+ストリッピング
内シャント
69 件
自家動静脈
58
人工血管
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4
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その他(血栓除去など)
7
血管内治療
20 件
PTA(末梢血管)
12
PTA(シャント)
7
その他
1
ペースメーカー
7件
新規
2
交換
5
その他
8件
近況報告
大和市立病院 心臓血管外科 上級医長 町井 正人
ご無沙汰をしております.2006 年 4 月より大和市立病院に赴任し 8 年が経ちました.
日頃一人で診療に当たっているため “ しんどい ” こともありますが,病棟をはじめ手術
室,カテ室などなど,どこででもメディカルスタッフの皆さんが助けてくださるので何
とか続けることができています.今後も,1 例 1 例を大切に丁寧な治療を行っていこう
と思っています.今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします.
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ジャパンメディカルアライアンス海老名総合病院
年間業績報告(2013 年)
病院紹介
ジャパンメディカルアライアンス海老名総合病院は神奈川県の県央、海老名市にある
急性期病院です。病床数は 469 床(他に集中治療室 10 床、無菌治療室 9 床)で職員数
は 820 名、常勤医師数も 120 名程です。1983 年の開院で、2013 年には病院開設 30
周年を迎えました。
当院の基本的理念は『仁愛の精神をもとに、皆さまと共に考える医療をめざします』
です。2013 年からはこの理念に加え『あしたの幸せをあなたと創る』というバリュー
をかかげて、職員全員で実現に向けて取り組んでいます。
診療科紹介
当科でも病院の基本理念を守り、身に付けるように診療を行なっています。患者さん
中心の医療をめざし循環器内科、麻酔科等関係各科との緊密な連携のもと、常に迅速で
質の高い医療を提供できるよう心掛けています。
当院は次の施設認定を受けています。
・厚生労働省指定臨床研修病院(従病院)
・ 三学会構成心臓血管外科専門医認定機構基幹施設病院
※三学会→日本胸部外科学会・日本心臓血管外科学会・日本血管外科学会
当院は次のような循環器専門医療を行っています。
・ 患者負担の少ない低侵襲心臓血管手術
・ 人工心肺を使用しない冠動脈バイパス手術
・ 弁形成術
・ 緊急心臓血管手術(大動脈解離,大動脈瘤破裂等)
・ 心原性脳梗塞に対する心臓手術
・ 不整脈手術
・ 重症心不全や肺塞栓症に対する外科的治療
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スタッフ紹介
1.小原 邦義
心臓血管外科センター顧問
大学: 日本大学医学部卒業
資格: 医学博士・心臓血管外科専門医・外科専門医・日本胸部外科学会認定
医・日本胸部外科学会指導医・日本外科学会認定医・日本外科学会指
導医・日本循環器学会専門医・心臓血管外科学会国際会員・日本胸部
外科学会特別会員・米国胸部外科医学会(STS)国際会員・欧州心臓
胸部外科学会(EACTS)国際会員
抱負: 私は昭和 44 年に医師となって以来、一貫して心臓外科医としての研
鑽を積んで参りました。本院では、この経験を生かし、より安全 ・ 安
心な医療を提供できるよう、また地域の皆様方の需要に十分応えられ
るよう、微力ではありますが頑張りたいと思っております。
2.贄 正基
心臓血管外科センター長
大学: 北里大学医学部卒業
資格: 医学博士・心臓血管外科専門医・外科専門医・日本胸部外科学会認定
医・日本外科学会認定医・日本外科学会指導医・心臓血管外科学会国
際会員
抱負: 心臓、血管の手術は最近ではずいぶん安全になってまいりましたが、危
険が伴うことも事実です。患者さまに安全に手術を受けていただき、最
大限の社会復帰が果たせますよう最善の医療を提供したいと考えます。
3.山本 信行
医長
大学: 北里大学医学部卒業
資格: 日本外科学会認定医・外科専門医・心臓血管外科専門医・脈管専門医
抱負: 内科・外科という枠を超えて、心臓血管センターのチームとして、患
者さんにとって満足できる医療を行なっていきたいと思います。
4.笹原 聡豊
医員
大学: 金沢医科大学卒業
資格: 外科専門医
抱負: 心臓血管センターのチームの一員として少しでも力になれるようにが
んばります。
以上、常勤医 4 名
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2013 年手術実績
心臓血管外科全手術数
295 例
心臓・胸部大動脈手術
腹部大動脈手術・その他
88 例
207 例
弁膜症手術
42 例
虚血性心疾患手術
23 例
(うち人工心肺非使用冠動脈バイパス術)
(22 例)
先天性心疾患手術
3例
胸部大動脈手術
20 例
その他の心臓手術
0例
腹部大動脈手術
39 例
末梢血管手術
70 例
静脈瘤手術
11 例
ペースメーカー植え込み/交換
78 例
その他
9例
手術症例年次推移
300
250
200
心臓手術
150
心大血管手術
100
手術総数
50
0
平成21年
72
平成23年
平成25年
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学術活動実績
研究会主催
1. EBINA SAMSCA SMALL MEETING(2013.3.12 開催、21 名参加)
『心不全治療を再考する〜水利尿の新たな臨床展開〜』
北里大学医学部循環器内科学 講師 猪又孝元先生
2. 第 30 回県央心血管治療研究会(2013.4.24 開催、41 名参加)
『DPP-4 阻害薬を中心とした最新の糖尿病治療』
すずき糖尿病内科クリニック 院長 鈴木大輔先生
学会発表
1. 山本信行、贄 正基、笹原聡豊、小原邦義:乳頭筋異常筋束が原因と考えられる左
室流出路狭窄、僧帽弁閉鎖不全症に対する 1 手術例 . 第5回相模心臓血管外科懇話
会 , 2013, 相模大野 .
2. 山本信行、贄 正基、笹原聡豊、小原邦義:急性大動脈解離に対する大動脈基部手
術の経験 . 第 22 回神奈川心臓血管外科研究会 , 2013, 横浜 .
主要研究分野
低侵襲心臓血管外科手術
胸骨小切開または肋間小開胸による心臓・胸部大動脈手術,人工心肺非使用冠動脈
バイパス術
術後抗凝固療法を必要としない機能的心臓血管外科手術
重症心不全や急性循環不全に対する外科治療及び補助循環
急性大動脈解離等に対する緊急心臓血管外科手術
不整脈に対する外科治療
小口径人口血管を用いた抹消血管外科治療
静脈瘤の外科治療と肺塞栓症の予防
心大血管における血流解析
73
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Kitasato University School of Medicine
今後の展望
『自己評価』
臨床においては、心臓血管外科専門医認定機構の定める施設基準
症例となる心臓・血管手術を 127 例に行い、総手術数は 295 例
であった。今後はさらなる症例数の増加を目指したい。
『次年度目標』
安定した手術成績を維持するために、予定手術症例のみならず緊
急手術症例を含めてより一層の治療成績向上を目標とします。さ
らに当院の特徴を生かし地元のみならず遠隔地からも紹介患者が
増えるように努力をしていきます。
近況報告
海老名総合病院 心臓血管外科部長 贄 正基
当院では心臓手術に加えて、胸部および腹部の大動脈手術、抹消血管の手術も行って
います。皆の努力により、毎年少しずつですが症例数も増えてきております。
私は海老名総合病院に勤務するようになりもう少しで十年になります。2013 年4月
より副院長に任命されました。私の予想した以上に病院のマネージメント業務に時間を
とられるようになってしまい、臨床に割り振ることができる時間がずいぶんと減ってし
まいました。山本先生や笹原先生には迷惑をかけています。
(喜ばれているかもしれま
せんが…)最近では私がいなくても診療、手術が滞りなく進むようになりつつあります。
2025 年に向けて医療をめぐる動きはいっそう激しくなってきています。医療の機能分
化・連携の推進を地域全体で考えていかなければなりません。当院が地域の総合病院と
しての役割を果たすために働きたいという思いと、もう少し外科医を続けたいという思
いがあります。どちらも、大事な仕事です。来年度も悩みながら働くことになりそうです。
海老名総合病院 心臓血管外科医長 山本信行
現在海老名総合病院で、心臓血管外科医長として勤務しています。医師になって今年
で 16 年と中堅の学年になってきました。心臓血管外科専門医を取得してから、次のス
テップに進むために、自分の術者の経験はもとより、現在一緒に仕事している笹原先生
とともに、できうるだけ、上司に頼らないように手術ができるよう精進している最中です。
当院では、心臓外科と血管外科の両方を診療しています。診療する疾患は多くなり、
74
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Kitasato University School of Medicine
大変ではありますが、いろいろ経験を重ね、どんな局面にも対応できるようになればい
いなと考えています。
多くの手術の中でも、当院では、大動脈解離の搬送が多く、緊急手術も行われていま
す。ここ数年の救命率は、95% 以上で安定した成績となっています。昨年からは、自分
自身も術者として多くの経験をさせてもらっています。安定した成績を出すための工夫
として、人工心肺の送血方法や選択的脳灌流を併用した中等度低体温による手術などが
あります。それらをこれからも引き続き、学会で発表し、論文にまとめ、発信できるこ
とができればと考えております。
これからも、当院の目標の一つである断らない医療を目指し、チーム一丸となって頑
張っていきたいと思います。
海老名総合病院 心臓血管外科医員 笹原聡豊
福島県会津若松市にある竹田総合病院での 2 年間の外科研修を終え、今年度より海老
名総合病院の心臓血管外科に勤務しています。海老名総合病院には東日本大震災の影響
で入澤先生との人事異動が困難なことから竹田総合病院へ赴任前の 1 か月ほど、勤務
させていただいたことがありましたが、何もお役に立てませんでした。今回、海老名総
合病院へ再び戻ることができ、また心臓血管外科医としてはようやくスタートラインに
立った嬉しさとまた不安をいだきながらの勤務開始となりました。諸先生に支えていた
だき現在は腹部大動脈人工血管置換術や動静脈シャント作成術を主に術者として担当さ
せていただいています。来年度の目標としては初めての開心術を担当させていただくこ
とです。まだまだ不安はありますが、心臓血管外科医の基盤となる時期にもう 1 年間勤
務させていただけることを嬉しく思っています。今年度も頑張っていきたいと思います
のでよろしくお願いいたします。また私事ではありますが、今年度 8 月に子供が生まれ
る予定ですので、父親になる責任感も持ちながら、家庭も大事に過ごしていきたいと思
います。
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群馬県立小児医療センター
群馬県立小児医療センターは、北関東で初めての小児専門病院として昭和57年4月
1日に開設されました。こども達が心身ともに健やかに生まれ、育成されることを目的
として、高度専門的な総合的小児医療、保健活動を目指す施設として構想され、まず本
県における小児保健医療の現状から、緊急に必要な未熟児・新生児、乳児低年齢層の幼
児を中心として専門的な診断治療を行うほか、母子保健活動、小児保健医療の調査研究
研修を行う施設として同年7月1日から全面的に診療活動を開始しました。現在12診
療科を有し、医療機関、保健福祉事務所、市町村などとの役割分担を明確にし、原則と
76
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して医療機関、保健所、市町村等からの紹介予約によって診療を行っています。また、
心疾患、精神疾患、外科的疾患の精密検査、小児精神衛生相談、遺伝相談の実施など、
母子保健活動についても保健所や市町村と協力して行っています。 手術症例数年次推移
160
140
120
100
80
CPB
60
w/o CPB
40
Other
20
0
2010 2011 2012 2013
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2013 年心臓血管外科手術実績
人工心肺症例
・ 総症例数 97例 (死亡症例 5例)
・新生児症例
7例 (死亡症例 1例)
大血管転位症
3例
総肺静脈還流異常症
2例
大動脈縮窄症
2例
・ 乳児期症例
42例 (死亡例 2例)
大動脈縮窄症 3例
総肺静脈還流異常症 2例
肺動脈狭窄症 2例
完全房室中隔欠損症 2例
心室中隔欠損症 8例
両大血管右室起始症 2例
Fallot 四徴症 4例
Glenn 手術 4例
Norwood 手術 2例
BT shunt 9例
その他 2例
再手術 2例
・ 幼児期以降症例
48例 (死亡例 2例)
心房中隔欠損症 14例
心室中隔欠損症 13例
不完全型房室中隔欠損症 2例
Fallot 四徴症 2例
BWG 症候群 1例
右室流出路形成術 2例
Glenn 手術 1例
Fontan 手術 8例
その他 5例
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非人工心肺症例
・ 総症例数
21例
・ 新生児症例
11例
動脈管開存症 8例
肺動脈絞扼術
・ 乳児期症例
3例
10例
動脈管開存症
3例 (内2例は VATS-PDA)
肺動脈絞扼術
7例
・ 幼児期以降症例 なし
術者ごとの症例数 (CPB+w/o CPB)
田中 11
吉竹 5
乾9
宮本 61
吉井 32
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著書/論文
1. Tomoyasu T, Oka N, Miyamoto T, Kitamura T, Itatani K, Inoue N, Ishii M, Miyaji K.
Surgical Strategy for Severe Aortic Hypoplasia and Aortic Stenosis With Ventricular
Septal Defect and Normal Left Ventricle. Pediatr Cardiol. 2013;34:1107-11.
2. Yoshimoto A, Miyamoto T, Ozaki S, Kobayashi T, Kobayashi T. Flow-adjustable
bilateral pulmonary artery banding in the neonatal period for severe congenital
heart diseases. Gen Thorac Cardiovasc Surg 2013;61:340-4.
3. Miyamoto T, Yoshii T, Inui A, Ozaki S. Staged repair for aortic arch reconstruction
and intracardiac repair following bilateral pulmonary artery banding in 3 critical
patients. Interact Cardiovasc Thorac Surg 2013;16:892-4.
4. Miyamoto T, Ikeda K, Ishii Y, Kobayashi T, Rupture of Coronary Artery Aneurysm in
Kawasaki Disease: A Rare Case and Review of the Literature for the past 15 Years. J
Thorac Cardiovasc Surg, In Press
5. 宮本隆司 . まい・てくにっく 両側肺動脈絞扼術 , 胸部外科 2013;66:111.
6. 宮本隆司 . 両側肺動脈絞扼術を用いた CoA/IAA 複雑心奇形に対する二期的根治術 ,
日本小児循環器学会雑誌 2013; 29: 176-177.
7.宮本隆司 . 共通房室弁逆流再発に対する手術 , 胸部外科 2013;66: 680-68.
8. 宮本隆司 , 木島久仁子 , 黒岩徹 , 飯田尚絵 , 深見悦子 , 川浦秀明 , 吉井剛 , 乾明敏 , 田
中佑貴 , 清水奈保 :「看護師の業務拡大」について現場看護師はどのように考えてい
るのか?—「小児循環器領域における看護師の業務拡大についての意識調査」のア
ンケート結果報告 日外会誌 2013, :114(5): 273-280
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学会発表
( 国内 )
1. 宮本隆司
「小児循環器領域における看護師の業務拡大についての意識調査」に関する研究 ,
第 43 回日本心臓血管学会 , 2013 年 2 月 .
2. 吉井剛
肺血流調節型両側肺動脈絞扼術後に Arch repair+ Glenn を同時施行、TCPC に到達
した HLHS 類縁疾患の一例 第 161 回日本胸部外科学会関東甲信越地方会 2013 年
3月.
3. 田中佑貴
肺動脈内隔壁作成術(IPAS)により TCPC に到達した左心低形成症候群の一例 第
162 回日本胸部外科学会関東甲信越地方会 2013 年 6 月 .
4. 田中佑貴
総肺静脈還流異常症(TAPVC)に大動脈縮窄症(CoA)
、大動脈低形成(hypoplastic
aorticarch)を合併した 2 症例 第 10 回北関東ハートフォーラム 2013 年 7 月 .
5. 田中佑貴
ファロー四徴症(TOF)、肺動脈弁欠損症(APVS)に対して根治術を行った症例
第 11 回北関東ハートフォーラム 2013 年 12 月 .
6. 吉井 剛
非侵襲的心拍出量モニター(AESCLON mini)による小児心臓手術中の心拍出量モ
ニタリングの有用性 , 第 49 回日本小児循環器学会総会 2013 年 7 月 .
7. 田中佑貴
「小児循環器領域における看護師の業務拡大についての意識調査」に関する研究 ,
第 66 回日本胸部外科学会定期学術集会 2013 年 10 月 .
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学会発表
( 海外 )
1. Miyamoto T; Flow adjustable bilateral pulmonary artery banding in treating
the HLHS group, 42nd Annual Meeting of the German Society for Thoracic and
Cardiovascular Surgery, Feb 2013.
2. Miyamoto T; Efficacy of Landiolol on perioperative outcome in pediatric
cardiac surgery, 42nd Annual Meeting of the German Society for Thoracic and
Cardiovascular Surgery, Feb 2013.
3. Miyamoto T; Staged repair for aortic arch reconstruction and intracardiac repair
following bilateral pulmonary artery banding in three critical patients, The 21st
annual meeting of the Asian society for cardiovascular and thoracic surgery, April
2013.
4.Miyamoto T; Myocardial protection of landiolol in patients with tetralogy of fallot,
The 21st annual meeting of the Asian society for cardiovascular and thoracic
surgery, April 2013.
総括
前年度に比べ、人工心肺症例は増加したが非人工心肺症例が減少したため手術総数
に大きな差はなかった。近年の動向として、人工心肺症例では重症例が増加しており、
ASD、VSD などの軽症例は減少する傾向にある。また、昨年度は肺動脈絞扼術の件数が
例年よりも少なかったため全体の症例数が伸びなかったと考えられる。来年度は全体の
症例数20%増加を目標としている。そのためには地域連携を密にし、循環器内科と協
力して紹介患者を増やさなければ目標達成は難しいと考えられる。昨年度は重症例が多
かったこともあり、死亡症例が5例と最も多かった。死亡症例に関しては再度、循環器
内科やコメディカルと改善策を検討する必要がある。
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近況報告
群馬県立小児医療センター 心臓血管外科部長 宮本隆司
平成 19 年4月に北里大学病院から群馬県立小児医療センターに出向となり丸7年が
経過しました。現在は、心臓外科医4名、麻酔科医4名、臨床工学技士4名、循環器内
科医6名、PCCU 6床で業務運営しております。赴任当初の開心術 40 症例から現在は
120 症例の手術数を実施するまでに規模が拡大しましたが、北里大学心臓血管外科、麻
酔科、臨床工学科のご支援によるところが大きく、心より感謝申し上げます。今後は症
例数 200 を目指して頑張りたいと思います。
群馬県立小児医療センター
心臓血管外科 部長 吉井 剛
まず自己紹介からさせていただきますと、私は平成 13 年に東京大学を卒業した後、
虎の門病院に外科レジデントとして 3 年勤めたのち、東大心臓血管外科に入局しました。
その後、東大病院及び関連病院をローテートしたのちに、大学院に入学いたしました。
北里大学心臓血管外科学教室には、大学院修了後に北里に赴任した 4 年前から、お世話
になっています。
4月までは群馬県立小児医療センターに2年間単身赴任していました。群馬小児では、
グレン・フォンタン・AVSD を含む多くの手術をさせていただき、なかでも同一の患者
さんで Palliation →グレン→フォンタンと一連の手術を担当させていただいたのもいい
経験となりました。
4月からは、北里大学病院に帰り救急部に出向となるため、相模原に戻ってまいりま
した。私生活の面では単身赴任が終わり家族と生活できるようになり、ほっとしていま
すが、救急ではほぼすべてが成人症例となるため、ここ8年ほど小児しか見ていなかっ
た私には勉強し直さなければならないことばかりで不安も感じています。
これからは自らの研鑚を積みながら、下の学年の先生たちの力にもなれるようになりた
いと思っております。今後とも皆様のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
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群馬県立小児医療センター
心臓血管外科医長 田中 佑貴
昨年度より群馬県立小児医療センターに出向となりました。最初の 1 ヶ月は群馬での
生活、業務内容に慣れる期間となってしまいましたが1年経った今では群馬での生活に
も慣れ、スムーズに業務をこなせるようになりました。昨年度の術者症例は11例(ASD
6例、VSD 3例、PA banding 2例)でした。術者症例以外でも前立ちの症例も多く経
験させていただき有意義な研修をした1年であったと思っています。また、昨年度は総
会での学会発表は1回のみでしたが来年度は3回を目標としています。できるだけ総会
での発表は論文として残せるよう努力したいと思います。来年度も群馬県立小児医療セ
ンターで研修を行う予定となっており、1年目以上に心臓外科の一員として力になれる
よう頑張りたいと思います。当心臓外科としてはさらなる症例数アップを目標としてお
り、目標達成のために心臓外科全員で協力しながら日々の診療を行っていく所存です。
私としては当面の目標は心臓外科専門医の取得のため、来年度はその足掛かりとなるよ
うな1年としたいです。
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NTT 東日本関東病院 手術実績 2013
心臓血管手術総数
124
開心術・胸部大動脈手術
49
腹部大動脈・末梢血管手術
75
85
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弁膜症
手術症例数 23(単独弁手術+弁合併手術 27)
大動脈弁単独 10:大動脈弁置換術 10(+ CABG 1 MICS 5)
僧帽弁単独 1
:僧帽弁形成術 1
三尖弁単独 1:三尖弁形成術 1 (MICS 1)
大動脈弁+三尖弁 2
大動脈弁置換術 2 三尖弁形成術 2(+ CABG 1 + MAZE 1)
僧帽弁+三尖弁 7
僧帽弁形成術 7 三尖弁形成術 7(+ MAZE 1)
大動脈弁+僧帽弁+三尖弁 2
大動脈弁置換術 1 大動脈弁形成術 1 僧帽弁形成術 2 三尖弁形成術 2
(+ CABG 1)
虚血性心疾患
手術症例数 10(単独 CABG + CABG 合併手術 14)
単独冠動脈バイパス 9
On-pump arrest 1
OPCAB 8
心室中隔穿孔 1
先天性・心臓腫瘍
ASD 1(MICS) 腫瘍 2
大動脈疾患
胸部大動脈疾患 12
大動脈解離 5
急性解離 4
上行置換3 上行弓部置換1(+大動脈弁吊り上げ4 + CABG 1)
慢性解離 1
86
TEVAR 1
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非解離性大動脈瘤 7
非破裂性 6
弓部置換4(+ CABG 1) TEVAR 2(+debranch 1)
破裂性 1
下行置換1
急性肺動脈塞栓症 1
腹部大動脈瘤 21(破裂 1)
:開腹手術9 EVAR 12
末梢血管疾患
手術症例数 54
閉塞性動脈硬化症:バイパス 4(解剖学的バイパス 2 非解剖学的バイパス 2)
急性動脈閉塞 3:塞栓摘除2 非解剖学的バイパス1
腋窩動脈瘤 1
大腿動脈形成 2
透析用ブラッドアクセス 44
総括
当院の患者は診療圏の人口構成を反映して高齢者が多く、しかも最新の医療情報に通
じているという特徴があります。また、既に他の疾患で当院にかかりつけの患者も多く、
複数の併存症・手術歴を有する方も少なくありません。そういった方を安全に治療する
ため低侵襲治療の導入は必須でした。
冠動脈疾患においては OPCAB の比率が昨年より増加しました。ただ当院循環器科は
特にカテーテル治療に積極的なため冠動脈バイパス手術症例は減少の一途をたどってお
ります。他方、弁膜症手術は増加傾向にあり当科でも特に力を入れております。僧帽弁
疾患に関しては極力弁形成を行い、今年は感染性心内膜炎 2 例、リウマチ性 2 例を含む
10 例全例で形成を完遂できました。三尖弁に関しても非常に積極的に介入しておりま
す。大動脈弁に関しては胸骨部分切開による MICS を導入し、
今年は 5 例で施行しました。
成人の ASD1 例に対しては右小開胸での MICS 手術を施行しました。今後は弁膜症手術
にも適応を拡大してく予定です。大動脈瘤に関しては、特に腹部においてステントグラ
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フトは既に標準手術となり半数以上がステントグラフト手術となりました。一方で以前
当院でステントグラフト治療を施行した症例の追加治療も経験しました。ステントグラ
フトに偏りすぎない症例選択と綿密なフォローが重要です。胸部に関しては上行弓部瘤
と大動脈解離が主体のため open surgery が中心となりましたが、ハイリスク症例 1 例
に対して central debranch TEVAR を施行しました。いわゆる hybrid arch 手術は今後適
応を拡大する予定です。
当科では透析用ブラッドアクセス作成を行っておりレジデントが血管吻合をトレーニ
ングする大変良い機会となっています。
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近況報告
NTT 東日本関東病院 心臓血管外科部長 柴田 講
NTT 東日本関東病院は山手線五反田駅から徒歩 7 分という都心にありながら周囲は
池田山・白金台といった高級住宅地に囲まれた閑静な場所にある病院です。2000 年に
完成した現在の病院は地上 11 階立て・総病床数 665 床あり、都内の民間病院としては
有数の規模です。
心臓血管外科の歴史は古く、1968 年に東京女子医大病院の関連施設として開設して
以来 46 年の歴史があり、その間、竹内靖夫先生・中野清治先生といった著名な先生方
が当時の最先端手術を行って近隣の病院・地域の医師会のみならず全国的にも高く評価
されてきました。一方で周辺には東邦大学・昭和大学・慶応大学・慈恵医大といった大
学病院の他、日赤医療センター・都立広尾病院・大崎ハートセンターなど、数多くの心
臓血管外科施設がひしめきあう激戦区でもあります。
2012 年 4 月より北里大学心臓血管外科の関連施設として新しくスタートし、3 人体
制で日夜診療にあたっています。どうぞよろしくお願いいたします。
NTT 東日本関東病院 心臓血管外科 井上 信幸
平成 13 年北里大学卒、成人心臓血管外科を専門としております 井上 信幸 と申しま
す。大学時代はボート部で体力作りにのみ没頭しておりました。卒業後は前任の吉村
博邦教授・小原 邦義教授を慕い北里大学病院胸部外科の医局の門を叩きました。初期
研修の後、東京女子医科大学病院の関連施設の出向を経験し、その後大学に戻ってから
は、一般外科の研修を含め多くの時間を研究員として過ごして参りました。宮地 鑑先
生が教授に就かれてからは数少ない中堅の立場ということもあり、経験ある多くの先輩
医師に恵まれ手術を経験させて頂き、また後輩医局員も年々増えたことで小手術等の指
導的立場を担わせて頂きました。平成 24 年 4 月より NTT 東日本関東病院に出向させ
て頂き現在に至っておりますが、私にとって北里大学のチームとしての関連施設の立ち
上げに携わるのは今回で 2 度目となり、心臓手術を開始するための土台となる設備・器
具の整備のみならず、チーム作りという最も大切な事を勉強させて頂きました。またこ
のような重要なポジションを拝任している事に感謝をしております。当施設では腹部血
89
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管・末梢血管病変も扱っているため、開腹人工血管置換術や末梢血管手術においては術
者をさせて頂くケースが多く、血管内治療においても施行医の資格を取得できるように
経験を積ませて頂いる段階です。バスキュラーアクセス造設術も多く、若手医師の経験
の場として指導的助手の立場をとっております。部長の柴田 講先生とは出向前から現
在まで 6 年間手術でペアを組んでおり、意思の疎通は抜群と考えております。術中はそ
の技術を盗むべく日々五感を研ぎ澄ましております。開心術においてはシンプルケース
ではありますが術者を任せて頂ける機会が増えてきました。昨年度は心臓血管外科の専
門医を取得し、宮地 鑑教授御指導のもと大学より学位を頂戴致しました。今後自らが
手術の中心となって組織を牽引できるようさらに多くの修練を積みたいと思っておりま
す。将来に向けていくつかの選択肢がありますが、多くの諸先輩方の海外での経験を聞
かせて頂き、現在は海外留学・研修を近い将来の大きな目標に掲げており、その経験を
持ち帰り大学に貢献したいと考えております。また大学で心臓移植が始まった際にはそ
の中心メンバーとして働きたいと考えております。宮地教授の人望で医局員は年々増え
ています。一般的になかなか人が入らず、そして留まらない心臓血管外科部門にこれだ
けの人が在籍する医局を本当に素晴らしく思っています。そして新病院とともに医局の
将来が楽しみです。 NTT 東日本関東病院 心臓血管外科 井上 崇道
北里大学医学部心臓血管外科学教室 医局員、平成 22 年卒の井上 崇道です。
近状をご報告させて頂きます。
現在、私は NTT 東日本 関東病院 心臓血管外科に平成 25 年 4 月より出向させて頂い
ております。部長の柴田先生、上級医の井上 ( 信 ) 先生に続く 3 番手として日々診療に
あたらせて頂いております。
昨年 ( 平成 24 年 ) は北里大学病院で一年間、病棟医として勤務させて頂き、私個人
としては今回が初めての出向です。関東病院では病棟業務や術後管理に加え、外来診察
も行わせて頂いております。外来では限られた時間の中で治療方針を決め、今後の検査
および次回の診察の予約を立てる事の難しさを痛感しております。私の外来患者数はそ
れほど多くはないのですが、新患が来たりするとあっという間に時間超過してしまい、
患者さんや外来スタッフの皆様にはご迷惑をおかけしております。タイムマネージメン
90
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Kitasato University School of Medicine
トをもっと学びたいと思います。
また、当院ではバイパス術や弁膜症手術などの開心術に加え、末梢血管手術の一つと
して維持透析目的のシャント造設を行っております。私もシャント造設を執刀させて頂
き、基本的な血管の剥離や露出の方法、動静脈の吻合など学ぶべき点が多く非常に勉強
になりました。できるだけ早くシャントが使える様、静脈が早く育つ様に行っている細
かな tips を学べた事もとても有益でした。
大学では多くの症例を経験させて頂き、たくさん学ばせて頂きましたが、甚だ未熟者
の自分が一スタッフとして出向して大丈夫なんだろうかという不安と、同時に大きな
チャレンジに対する期待が入り混じって昨年の 4 月を迎えました。蓋を開けてみれば、
やはり至らない点が多く、柴田先生、井上 ( 信 ) 先生には本当にお世話になりっ放しになっ
てしまいましたが、お二人の術後管理の仕方、手術に臨む姿勢など本当に多くを学ばせ
て頂きました。
もうすぐ一年が経ち、今年の 4 月からは他院で外科出向させて頂く予定ですが、今年
学んだ事を生かし、次の病院でも大きく成長できればと思います。
末筆になりましたが、柴田先生、井上 ( 信 ) 先生を始め、各科の先生方、各病棟の看護師、
PT/OT/ST、薬剤師、クラーク、スタッフの皆様方、本年度は多大なサポート、本当に
ありがとうございました。また、今回出向に出して下さった宮地教授、ありがとうござ
いました。以上で近状報告とさせて頂きます。お読み頂きありがとうございました。
91
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関東労災病院
手術実績 2013
虚血性心疾患
5例
単独冠動脈バイパス手術
5例
心停止下バイパス手術
4例
OPCAB
1例
弁膜症手術
11 例
AVR
3例
AVR+CABG
2例
AVR+TAP
1例
AVR+TAP+Maze+CRTP implant
1例
AVR+MVP+TAP
1例
DVR+TAP+CABG
1例
DVR+TAP+Maze
2例
その他開心術
2例
AVR+Dor
1例
Morrow
1例
抹消血管手術
23 例
腹部大動脈瘤に対する Y-graft
92
4例
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腹部大動脈瘤に対する EVAR
6例
F-F bypass
1例
P-P bypass
1例
急性血栓塞栓症に対する血栓除去術
1例
下肢静脈瘤に対するストリッピング手術
9例
内腸骨動脈に対するコイル塞栓術
1 例
近況報告
関東労災病院 心臓血管外科部長 華山直二
関東労災病院は昭和 29 年、京浜重化学工業地帯における労働災害による被災労働者
対策と地域医療の充実を図るため、労働省により関東地区のセンター病院として設立さ
れたのが始まりです。以来、全国の労災病院のフラッグシップ病院としての重責を担っ
てまいりました。その関東労災病院にとって心臓血管外科の開設は長年の悲願でありま
した。このビッグプロジェクトに我が北里大学医学部心臓血管外科学教室が選ばれたの
は望外の喜びでありまた、その準備を進めて下さいました宮地教授のご苦労に心より感
謝申し上げます。
公的病院という性格上、様々な手続きに時間がかかり、人工心肺装置を含めた新規購
入機器の納入が完了したのが 11 月 30 日でした。手前味噌になりますが、そんな中昨
年中に 18 例の開心術を行うことができたのはある意味奇跡と表現してもいいのではな
いかと考えています。手術のたびに手伝いに来て下さいました医局の先生方のご協力の
賜物と心より感謝申し上げます。
この 1 年間は友保先生が私の右腕としてその手腕を振るって下さいました。友保先生
は多職種間の人間関係の調整に優れ、まさにこの 1 年間に必要な人材でありました。心
臓外科チームの新規立ち上げに関わることができたことは彼のこれからの外科医人生に
必ずや大きな財産になることと信じております。
今後の課題ですが、まずは心臓血管外科専門医認定機構の定める関連施設申請を行う
ことです。これは本年 2014 年の症例数で申請が可能になると考えております。次に麻
93
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Kitasato University School of Medicine
酔の常勤医をなんとか獲得することです。麻酔科の先生方が当院で麻酔を行いたいと思
える環境づくりを行っていこうと思います。
関東労災病院心臓血管外科は北里大学心臓血管外科学教室関連施設第 5 号として、こ
れからも北里大学の実力を内外に示すことができるよう努力を続けてまいります。教室
員皆様の尚一層のご協力を賜りたくお願い申し上げます。
関東労災病院勤務 心臓血管外科 友保貴博
本年度は華山先生の下で関東労災病院に開心術の出来る心臓血管外科を立ち上げると
いう目的の下、勤務しました。以前より心臓血管外科はあったのですが、静脈瘤を主と
した末梢血管外科のみを行っている部署でした。開心術の出来る病院になりたいという
依頼をされ、華山先生は前年より用意周到に心臓血管外科開心術を行うにあたっての
ワーキンググループを立ち上げ、様々な部署と連絡を取り合い、準備を進められていま
した。しかしながら急激な病院体制の変化を嫌う部署もあり、ワーキンググループは暗
礁に乗りかかりました。私は 4 月から赴任しましたが、手術は出来る状態ではありませ
んでした。ワーキンググループ、勉強会等、心臓外科手術をよりよく行えるように華山
先生と共に各部署に行脚してまわり、連日どうしたら心臓手術を開始できるかを夜遅く
まで悩み、話し合っていました。しかし華山先生の熱意が徐々に浸透しみんなの意識が
手術をする、手術を始めましょうというように意識が変化していき、テルモのウエット
ラボで豚を使いチームで開心術の練習を行う所まで至り、ついに 6 月に循環器からの準
緊急の依頼が舞い込み OPCAB が出来たときの感動は忘れがたい体験でした。その日は
北里から多忙な中、小児心臓外科で大変お世話になった岡先生が関東労災病院までお祝
いにいらっしゃってくれていたのですが足の急性血栓閉塞が来て緊急で手術を行いまし
た。岡先生にも手術を手伝っていただくというハプニングがありました、あの日の ICU
での談笑は忘れません。4 月より NTT 関東病院に移動となりますが、この一年で得ら
れた経験を活かし勤務する所存です。
94
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相模原協同病院
相模原協同病院は JA を母体とする総合病院です。
開院は昭和 20 年で 60 年の歴史があります。JR 横浜線橋本駅の南、歩いて数分の位置にあり、
相模原市北部、津久井郡などの地域中核病院となっています。
病床数は約 350 床、職員は医師約 100 名を含み約 900 名です。
1 日の外来患者数は 1100 人、年間の手術件数は全部で 4000 例以上となっています。
心臓血管外科の開設は約 10 年前ですが、途中医師の交代もあり現在で 2 チーム目となります。
95
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心臓血管外科手術件数の年次推移
( 全手術件数と pump case+OPCAB)
全手術数
開心術
96
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疾患別症例数の年次推移
(pump case+OPCAB)
その他, 2013,
7
胸部大動脈疾
患, 2013, 34
その他, 2012,
先天性心疾患,
6
その他, 2011,
その他, 2009,
胸部大動脈疾 2013, 1
その他,
2010,
6
胸部大動脈疾
3
胸部大動脈疾患, 2012, 32
弁膜症, 2013,
6
先天性心疾患,
先天性心疾患,
患, 2009, 17胸部大動脈疾
患,
2011,
27
46
弁膜症,
患, 2010, 17先天性心疾患, 2012, 0
2009,2009,
0 先天性心疾患,
弁膜症, 2012,
その他,
2008,
16
2010,
0
2011,
0
弁膜症, 2011,
胸部大動脈疾
弁膜症, 2010,
先天性心疾患,
28
1
26
患,
2008,
7
29
弁膜症,
2008,2008,
0
17
虚血性心疾患,
虚血性心疾患,
虚血性心疾患,
虚血性心疾患,
2009,
61
虚血性心疾患,
2013, 59
虚血性心疾患,
2012, 48
2011,
43
2010,
40
2008, 35
虚血性心疾患 弁膜症 先天性心疾患 胸部大動脈疾患 その他
97
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2013 年心臓血管外科手術実績(全 242 件)
虚血性心疾患
59
弁膜症
46
先天性心疾患
1
胸部大動脈疾患
39
胸腹部大動脈瘤
2
腹部大動脈瘤
19
末梢血管
63
その他
13
CABG and CABG+α
59
Valve and Valve+α
67
動脈瘤 and 動脈瘤+α
72
先天性 and 先天性+α
Maze 手術
98
4
10
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虚血性心疾患
手術症例数 単独冠動脈バイパス手術
26 例
心停止下バイパス手術
26 例
OPCAB
9例
左室形成術
単独 CABG + CABG 合併手術
4 例 ( 在院中の死亡 3 例 )
59 例
総 括
カテーテルインターベンションのデバイスの発達によって一時的に単独 CABG は減少
傾向でした。
しかし、原疾患が糖尿病での冠動脈複雑病変もしくは多枝病変の例など循環器内科と
の十分な協議の上で CABG 症例とさせていただき、症例数としては昨年より増加となり
ました。
当科のポリシーとして、単独 CABG でも可能な限り人工心肺を使用しています。グラ
フトの開存成績や安全性などを鑑みてですが、スタッフの習熟も兼ねています。もちろ
ん上行大動脈の石灰化高度の症例、慢性透析を行っていて動脈硬化が高度である症例に
ついては積極的に OPCAB としています。
左室形成術の在院死亡 3 例のいずれもが AMI に合併した心室中隔穿孔でした。うち
2 例が下壁梗塞の症例で、術中に MVR を余儀なくされたものなども含まれています。
残念ながら術後の LOS にて救命できませんでした。その後、術前からの管理、手術時
期などを再検討し、循環器内科との連携をさらに綿密にすることで、その後の 1 例の心
室中隔穿孔の症例を究明することができました。
年々手術対象の難度が上がっていますが、循環器内科、麻酔科とより緊密な関係を保
ち、術前、術中、術後の管理をよく検討して高難度の症例の治療に当たっていく所存です。
99
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弁膜症
手術症例数
大動脈弁単独
僧帽弁単独
三尖弁形成術
大動脈弁+僧帽弁
僧帽弁+三尖弁
大動脈弁+僧帽弁+三尖弁
15 例
1例
21 例
6 例 ( 在院中死亡 1 例 )
13 例
7例
単独 Valve + valve 合併手術
55 例
Maze 手術
10 例
弁置換術
大動脈弁位生体弁
35 例
大動脈弁位機械弁
2例
僧帽弁位生体弁
16 例
僧帽弁位機械弁
2例
僧帽弁形成術
100
15 例 ( 在院中死亡 1 例 )
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総 括
弁膜症の症例は CABG 併施症例を含め、年々増加しています。
当科の人工弁の選択の傾向は機械弁に対する高用量ワーファリンの合併症を重く受け止
めているため、基本的には患者さまの希望と年齢によりますが、生体弁を多く使用して
おります。
僧帽弁形成についても前尖逸脱に対する人工腱索はあまり使用せず、手術時間を可能
な限り短縮するために、基本的に人工弁輪と後尖の切除、sliding で行い、より複雑な症
例については弁置換を積極的に行う方針です。
在院死亡は 2 例で、僧帽弁形成術後の誤嚥性肺炎と ARDS の方と AVR 後の急性 MR で
僧帽弁輪形成術を行うも、術後 LOS で失った症例です。特に最初の症例は今後の術後
管理に大きな課題を残しました。
1 例 1 例を大事に治療に当たっていく所存です。
先天性心疾患・心臓腫瘍・その他
手術症例数
心房中隔欠損症
4例
心室中隔欠損症
0例
左房内粘液腫
1例
総 括
当科の症例は全て成人でした。
ここ最近で比較的珍しい adult congenital の症例 (IVC to LA) に遭遇したこともあった
ため、より慎重に術前診断を行うようにしています。
101
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大動脈疾患
<胸部大動脈瘤・解離>
総症例数
53 例
→定時手術
41 例
開胸手術
1. 真性大動脈瘤
・上行置換
・弓部全置換
32 例
2例
12 例 ( 在院死亡 1 例 )
・下行大動脈置換
2例
・胸腹部大動脈置換
1例
2.慢性解離性大動脈瘤
・基部置換術
2例
3.大動脈弁輪拡張症
・基部置換術
→緊急
3 例 ( 在院死亡 1 例 )
37 例
開胸手術
急性大動脈解離
10 例 ( 在院死亡 1 例 )
・基部置換術
1例
・上行置換術
7 例 ( 内 CABG 併施 1 例 )
・弓部置換術
2例
1.胸部大動脈破裂
・弓部置換術
102
1例
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<腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤>
総症例数
19 例
→定時手術 腹部大動脈瘤
17 例
→緊急
腹部大動脈破裂
2 例 ( 在院死亡 1 例 )
総 括
当施設は腹部ステントグラフト実施施設の認定を得ているが、胸部については未認定
です。
今後ステントグラフトの症例は増加する見込みです。
在院死亡は 4 例でした。
基部置換と CABG の症例は術後出血のため、再開胸止血術を行った症例で、止血はで
きたもののその後 SIRDS を発症し術後 2 週間で亡くなりました。
急性大動脈解離で上行置換を行った症例は、術前心停止となり、心臓マッサージをし
つつ人工心肺を導入し、手術を完遂したものの術後 LOS で亡くなりました。
TAA に対して弓部大動脈置換術、AVR、MAZE を行った症例は術後脳障害を合併し、
集学的治療で徐々に回復したが、最終的に胃腸炎から敗血症に至り、術後 1 カ月ほどで
亡くなりました。
腸骨動脈瘤の破裂の症例は術前からショック状態であった。術中の大量出血によって
亡くなりました。
103
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末梢血管疾患
手術症例数
63 例
待機手術
51 例
閉塞性動脈硬化症
14 例
末梢動脈瘤
1例
外傷性仮性動脈瘤
1例
下肢静脈瘤
12 例
内頸動脈狭窄
11 例
その他
12 例
緊急
11 例
急性動脈閉塞
10 例
その他
1例
術 式
待機手術
51 例
F-P bypass
3例
CFA bypass
3例
FA bypass
5例
F-F bypass
1例
Pta bypass
1例
CFA - SFA bypass
1例
SFA bypass
1例
動脈血栓内膜摘除
4例
下肢静脈瘤
ストリッピング
12 例
内膜剥離術
11 例
その他
104
8例
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緊急 11 例
総腸骨動脈-左大腿動脈
1例
腋窩動脈-大腿動脈バイパス術
1例
大腿動脈-膝窩動脈バイパス術
1例
下肢動脈血栓摘除術
7例
その他
1例
総括
閉塞性動脈硬化症に対する症例は年々難度が上昇しています。
カテーテルデバイスの発達は目覚ましいものでインターベンションは増加の一途で
すが、血管外科医との協力で外科的手技とのコラボレーション症例も増えています。
hybrid 治療などです。
再手術の症例で人工血管に対するインターベンションの場合にもアクセスルートの確
保のために hybrid となる症例も増え、今後もインターベンションニストとの共同治療
が楽しみです。
(岡元 崇 )
2013 年循環器センター外科の現状と近況
(現)新東京病院心臓血管外科 部長 藤崎 浩行
新東京病院に赴任してあっというまに 2 か月半が経過しました。昨年病院が移転し、
今年は心臓外科の部長クラスの 3 人中 2 人が入れ替わるという大きな変化がありまし
たが、手術件数は 3 月 12 日の時点で心大血管手術が約 80 例、腹部大動脈瘤を含む末
梢血管手術と EVAR が 20 件弱という内容で、当初の目標は下回りますが、このペース
でいけば昨年同様の心大血管手術 400 例はクリアできるのではないかと目論んでいま
す。過渡期でスタッフのマンパワーがボトルネックとなって、3 室ある心臓外科専用手
術室(ひとつはハイブリッド)と 20 床の ICU をフル稼働できていないのが残念ではあ
りますが、いつか自分たちの力で充実させていければという意欲もかき立てられます。
環境が変わって感じることはたくさんあるのですが、一番強く感じたことはスタッフ
のレベルの高さでした。初めての器械だしナースや ME たちも術前にポイントを押さえ
105
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た質問をしてくれて、こちらに合わせようという努力をしてくれるため、自分自身も古
巣では半年以上かかったレベルのパフォーマンスに短期間で到達することができたよう
に感じます。何も言わなくても勝手にまわりがやってくれる環境に身を置くとだんだん
と仕事に甘さが出てくる恐れがありますが、自分も周りも更に成長できるよう一例一例
を丁寧にこなし、来年には良い結果を報告できるように頑張っていきたいと考えていま
す。
相模原協同病院 心臓血管外科 岡元 崇
2008 年から本格始動した現在のチームもこのたび解散となります。
藤崎浩行部長はスカウトされ 2014 年から新東京病院へ移籍することになりました。
2008 年の開心術が 60 例ほどで今体制がスタートしましたが、2013 年は 150 例近
くまで増やすことができました。今後、私岡元も移籍の予定で、2014 年から新たに日
本大学の心臓外科、血管外科のチームとなり、スタッフも一新されます。
昨年までのチームである藤崎、岡元、すでに退職した乗松が大変にお世話になりました。
どうもありがとうございました。
106
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Kitasato University School of Medicine
埼玉医科大学総合医療センター
埼玉医科大学医療センターは埼玉県川越市を中心に
「安全で質の高い医療を提供し、地域から信頼される医療機関を目指します。
」という基
本理念の下、昭和 60 年に開院し、以降は地域の急性期中核病院としての役割を期待さ
れており、高度救命救急センターや総合周産期母子医療センターも併設されております。
病床数は 991 床で、埼玉県よりドクターヘリ基地病院の指定も受けており、埼玉県全
体から多くの患者様も受け入れております。また来年度よりハイブリッド手術も新設さ
れた新棟もオープンする予定です。
107
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心臓血管外科 2013 年症例報告(2013 年 1.1 ~ 12.31)
手術総数
100 例 成人:
86 例
ステントグラフト:
6例
その他:
8例
【弁疾患 24 例】
Valve Case mechanical bioprosthesis repair
+CABG Redo
isolated A
M
10
8
8
2
2
0
0
6
1
1
0
1
A+M
A
M
3
3
2
0
0
0
1
0
0
0
0
A+T
A
T
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
M+T
M
T
3
1
0
0
0
2
3
0
0
0
0
A+M+T A
M
T
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
Total
24
16
2
12
2
1
【虚血性心疾患 27 例】
Case
Primary
& Primary
elective
&Emergency
Redo &elective
On pump
23
22
1
0
Off pump
3
2
0
1
Dor’s
1
1
0
0
Total
27
25
1
1
108
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【胸部大血管疾患 33 例(大動脈解離 16 例)
】
大動脈解離
Acute A
Acute B
Chronic A
Chronic B
Concomitant
Asc. Ao
7
1
CABG2
Aortic
root
2
2
CABG2
Arch
1
Total
10
3
3
3
大動脈瘤解離以外
Unruptured
Ruptured
Asc. Ao
5
0
Arch
6
0
Stent graft
6
0
Total
17
0
Concominant
AVR2
DVR1
MVP+CABG+Maze1
【先天性心疾患】
ASD:2 例(+Maze1、+TAP1)
近況報告
埼玉医科大学総合医療センター 心臓血管外科助教 榊 健司朗
2013 年 1 月より当センターに勤務しております。勤務開始後1カ月後くらいから人
工心肺の着脱等から経験させていただき、その後、ASD、TAP、Maze等を経験
させていただき、最近では、大動脈弁置換術等も経験させていただいております。今後
とも何卒宜しくお願い致します。
109
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新百合ケ丘総合病院
新百合ヶ丘総合病院 心臓血管外科部長 中島 光貴
2014 年1月から当院は北里大学心臓血管外科の関連施設になりました。当院は川崎
市麻生区にある総ベット数約400床の地域中核病院です。最寄駅は小田急線新百合ケ
丘駅で、病院までは直通バスが運賃 200 円、4 便/時間(7 時から 19 時まで)運行さ
れています。もちろん徒歩でも約 10 分で到着可能ですが、病院自体が高台に建設され
ているために最後の200m は上り坂が待っています。病院設備面は大学病院並みであ
り、特に脳神経外科関連の設備は充実しています。手術室には手術支援ロボット、ダビ
ンチも完備されています。
我々の循環器病棟は個室20床、4人部屋が6箇所あり、44人の患者が収容可能で
す。循環器内科は東京医科歯科大学病院からのチームであり、虚血チームと不整脈チー
ムに大きく分けられ、部長以下5人で診療に当たられています。カテーテル検査は平
均10症例/週施行しています。カテーテル室は2部屋有り、手術室と集中治療室が
One-floor で移動可能です。その手術室は全部で9部屋あり、心臓手術は主に9号、一
番カテーテル検査室に近く、また ICU にも近い場所にあります。心臓手術の器械出しが
できる看護師は3人しかいませんが、非常にトレーニングされ、モチベーションも高い
です。麻酔科は常勤3人でありますが、毎日帝京大学病院麻酔科の医局員が手術支援に
110
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来ているために人的には問題ありません。またこの支援麻酔科医師たちは殆どが海外留
学経験者であり、留学先で心臓麻酔を中心にかけてきた為にこちらの要求に非常によく
対応して頂き、協力的であるたり仕事はしやすく感じています。
このハートチームで今年の1月22日から新体制後の手術が開始されました。初回症
例は北里大学病院心臓外科の宝来先生に助けられ、腱索断裂を伴う MR に対して形成術、
左心耳閉鎖を行い、残存 MR なしで術後14日目に退院しています。3 月下旬の現在ま
でに計8例の手術(内2例は血管外科手術)を行い、
大きなトラブルなく経過しています。
順調に思われるかもしれませんが、2月は手術症例がゼロでありました。しかし赴任当
初から近隣の開業医や地域機関病院の循環器内科への挨拶回りを行ってきたためか、3
月から少しずつ紹介患者を認めるようになってきました。また院内紹介に関しては、医
局員皆さんの協力により、術後患者の経過が順調であることが少しずつ周知されたため
か、こちらの方も増えてきています。
本年の目標ですが、まずは年間 40 症例数を目指したいと考えています。これをクリ
アーすることにより心臓外科認定施設と ICD/CRTD 認定施設の登録が可能になるからです。
また心臓手術症例数の増加は当然ですが、心臓以外の症例、末梢血管手術や透析シャ
ント作成なども増やしたいと考えています。現在は小山紗千先生と診療に当たっています。
小山先生には非常によく働いて頂き、コメディカルとのよい関係が築けています。まだ
軌道に乗るための道のりには程遠いですが、確実に前進していきたいと考えています。
新百合ヶ丘総合病院 心臓血管外科 医員 小山 紗千
2013 年 4 月より北里大学病院 心臓血管外科にて勤務させていただき、同 10 月よ
り新百合ヶ丘総合病院 心臓血管外科にて勤務させていただいております。本年 1 月よ
り手術が再開になりましたが、手術の準備の難しさを実感すると共に、そのような場面
に立ち会え非常に貴重な経験をさせていただいたと感じております。
本年はより患者様に信頼される心臓血管外科になるよう、また院内でも信頼される心
臓血管外科になるよう努力いたします。その結果として、多くの症例を経験できればあ
りがたいと考えております。一日一日を大切にし、精進いたします。
個人的には個人練習および実践での手術手技の取得、学会活動など積極的に取り組み
111
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たいと考えております。海外での学会にも参加していければ幸いです。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
112
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留学報告
113
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同盟国ドイツでの生活
中島 光貴
Einz; 仕事環境
Herz-und Diabetez Zentrum, Ruhr-Universitaet Bochum, NRW,Deutschland、ここが私
が 2010 年 4 月から 2013 年 3 月まで仕事した病院です。言語は Hoch-Deutsche とい
う標準語を話し、ドイツ中央、グリム童話の舞台であるメルヘン街道(ハーメルンまで
約40km、ブレーメンまで約150km)沿いに位置し、オランダ、アムステルダム
からドイツ、ベルリンへのアウトバーン B2 とフランスのフライブルグからベルリンへ
のアウトバーン A2 が交差する街、Bad Oeynhausen 市にあります。人口は 3 万人ですが、
中心部にはカジノがあり、保養施設(温水プールとサウナ)
、
バロック調の劇場やコンサー
ト会場があります。通勤路には野生のリスやウサギが生息、休日の早朝に散歩すると鴨、
孔雀、ハリネズミも歩いています。車で 10 分も行けば、川と森、馬、牛、豚などの牧
場があり、農作物の収穫も可能です。
こんな田舎街ですが、連日ヘリコプターの爆音とともにドイツ全土及び近隣諸国(オー
ストリア、ポーランド、チェコなどの東欧からが多かったです)から心臓病患者が搬送
され、年間 5000 件以上の心臓手術、心臓移植は年間 70 例以上、ICU は内科外科合わ
せて 125 床前後、一般病棟は 250 床前後とドイツ 1 の規模を誇ります。手術室は6部
屋で、各部屋縦3例/日の手術予定です。このため、1例目は8時、2例目は12時前後、
3例目は16時前後に執刀開始し、終了時刻は連日20時前後になる事が殆どです。
指導的立場で手術する医師(Ober-arzt; オーバーアーツと呼びます)は15人で、そ
のうちドイツ人(ドイツ国籍)は10人でした。我々と同じ立場の医師(Assistant-arzt;
アシスタントアーツと呼びます)は20人以上いましたが、ドイツ人は2人だけでした。
これは何を意味しているかというと「大変な科」はドイツ人にも敬遠され、その隙間に
外国人医師が入り込んでいるという事です。現在のドイツは EU 内において最も経済が
安定し、治安も維持されているために多くの移民が入り込もうとしています。この事は
医師という職種にも当てはまります。このため年々外国籍、特に EU 圏外の外国籍医師
に対しては就労におけるハードルが高くなりつつあります。
仕事内容は正直日本と比べ肉体的にハードであり精神的にも厳しいと思いますが、休
日がしっかり確保されているために生活にゆとりがありました。正規就労時間は7時か
ら17時45分までですが、手術メンバーにノミネートされていると基本的には帰宅で
114
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きません。特に日本人医師は仕事内容を高く評価されていたために、教授以下 TOP 3
人の第一助手は殆ど日本人医師が当てられ、心臓移植及び VAD 手術時にもあてがわれ
ています。経験としてはいいのですが、1年過ぎる頃よりこれが徐々に苦痛になってき
ました。ただし術後管理は行ないませんので、ICU に患者を搬送した時点で終了です。
手術としては弁膜症、バイパス手術、VAD 埋め込み手術などが中心で、大動脈解離は殆
どしません。この理由は大動脈センターを表簿している病院が他都市(150km遠方)
にあるからです。弁膜症に関しては AVR では MICS( 胸骨上方逆 L 字切開 ) が40%で
す。また TAVI の症例(年間150-180症例)もありますが、我々が参加するの
は心尖部アプローチの時のみです。MVP / MVR などは60-70%が MICS( 右側開
胸、皮膚切開は平均7-10cm ) で行っていました。バイパス手術は40%前後で
OPCAB を施行し、使用グラフトは主に ITA と SVG です。VAD 手術は年間50症例前
後でした。そのシステムですが70%前後は HEART - MATE Ⅱを使用し、それ以外は
HEARTWARE の使用でした。また2 ‐ 3例/年、Total Artificial Heart(TAH) の埋め込
み手術がありました。
PM 手術なども施行していますが参加することはありません。理由は PMI 専属 Dr が
いる為です。ちなみに PMI は全例、全身麻酔で大胸筋下に留置していました。
我々第一助手が任される手術内容は開閉胸、グラフト採取(SVG から始まり、RA、
そして ITA です。GEA は使用しません)、剥離、カニュレーション、止血です。しかし
アシスタントアーツにも2種類あり、ドイツ心臓外科専門医コースに参加しているアシ
スタントアーツは執刀が回ってきます。ドイツ心臓外科専門医(Fach-arzt と呼びます)
習得までの当院目標症例数は総計180症例以上で、内容は CABG と AVR です。つま
り僧帽弁手術や大血管手術は必要ありません。期間は平均8年と言われていますが、前
半の3年前後は各部署(ICU、心エコー検査など)をローテーションします。その後、
審査をクリアーしたのちに執刀が始まります。当院ではこのコースに加入すると、
トレー
ニング優先順位が付けられ、各年4人が集中的に執刀機会を与えられます。この4人に
ノミネートされた場合でも年間40症例前後が一般的です。
各病棟アシスタントアーツは3人前後配置され、この人数で病棟管理します。病棟管
理とはドレーン抜去やライン確保、内服薬の指示など日本とほとんど変わりません。こ
の病棟業務で最も苦痛なのが、転院転科サマリー作成、紹介状作成などでした。日本語
なら簡単ですが、ドイツ語というのが問題です。2年も働けば、相手の文章は大体の事
は理解できるようになりますが、これを自分で作成するとなると別物で私は最後まで同
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僚に校正してもらっていました。平均在院日数が7日間である為に、毎日4 ‐ 5人は
他院に移動となるために大変です。朝9時前後に移送用の救急車が来るために、この朝
の時間は戦場です。本当に泣きたくなる時が多々ありました。
当直も電話当番も3 ‐ 5回/月あります。当直は17時から翌朝7時までの勤務時
間です。基本的に全外科病棟の外科的内容(トロッカー挿入や術後患者の採血、指示だ
しなど)に対応しなければならず、更に緊急手術も対応する為一睡もできないことが殆
どです。また電話での他院からの緊急搬送依頼の対応などもあり緊張の連続でした。慣
れない時は緊張とストレスで吐きそうになったこともあります。
電話当番とは緊急手術時(ほぼ毎日あります)に病院に呼ばれるために、自宅待機
し、アルコールも飲めませんでした。このような勤務体系でしたが、超過勤務時間に関
しては行政の監視が厳しく、振り替え休日の申請が可能であったために、この日程をう
まく使い、ドイツ国内及び近隣諸国(オランダン、ベルギー、ルクセンブルク)に小旅
行することができました。しかし一度、家族の都合で2日間、娘の小学校(現地校)を
休校したことがあり、これに対して教育局から呼び出しがあり、弁明しましたが罰金を
400ユーロ前後払わされたことがありました。ドイツの学校教育においては病気や親
族の不幸以外で休校させた場合、このような行政処分・罰金があり、時には警察に捕ま
り、更にひどい場合は親権停止させられる事があります。これは子供の教育を受ける権
利を親が妨害していると判断されるからです。
イベントとしては年2回の教授主催のパーティーが6月と10月にあります。6月は
バーベキューで10月はオクトーバーフェストです。また12月に病棟のクリスマス会
がありました。またこれとは別に年2回当院主催の心臓外科の研究会があります。この
時はライブでの手術(OPCAB、MICS ‐ MVP、TAVI)を行い、地元テレビ局も来ます。
参加医師はドイツ国内はもとより、オランダ、ベルギー、フランス、イタリアなどから訪
れます。この研究会後はレストランで懇親会があり、一度参加したのはいい思い出です。
Zwei; 家族生活
渡航した時は単身で入国、語学試験合格し就労開始後に家族をドイツに呼び寄せまし
た、その間3ヶ月。単身時期の当初2週間は自由を謳歌すると同時に役所関係への届け
出、ライフライン及び生活用品の準備に忙殺されましたが、その後は徐々に日本に家族
を残してきている不安と無職状態の不安が徐々に大きくなり、気分が晴れることはな
かったと記憶しています。しかしその事は予想していたために渡航後2週間以内にロー
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ドバイクを購入、近隣街を走行し精神状態を安定させる事に努めていました。家族の渡
航に際し、娘の小学校入学のため小学校管理役人の面接も受けました。娘は2010年
9月にドイツ現地校に入学、教会での入学式で神父さんから洗礼を受けている姿には感
動を覚えました。そんな娘も大変苦労した様子です。言葉が通じず、疎外感と孤独感で
3か月間は毎朝登校を拒否していましたし、妻が送り迎え時にはよく、頭抱え一人で机
に伏している娘の姿を見たそうです。そんな娘も徐々に友達ができ笑顔を取り戻しまし
たが、約1年間近く男子生徒の数人には「ニーハオ!!!(連呼)
」や「ヒネーゼ(中
国人の事)!!!(こちらも連呼)」と声を掛けられていたそうです。
この時期は私の方も仕事上のストレスで追い詰められ、よく夫婦間で言い争いをして
いました。しかし妻の支えと娘のけなげな姿に励まされて留学生活が維持できたと今で
も実感しています。このストレスを解消する為に休日はなるべく旅行をして気分転換
を図るようにしました。旅行は基本車での移動を中心とし、1日の走行距離800-
900km(巡航速度150-180km/時間)を限度に設定し、旅行しました。宿
泊場所は100ユーロ/泊以下とし、ドイツ国外に行くときは水をダース買いして積ん
でいました(ドイツの物価が安いために)。また長期休暇では台所付の部屋を借り、米
(イタリアやスペイン産)、味噌汁、カレーの粉、インスタントラーメン(日清製品と韓
国辛ラーメン)などを数日分積み、移動していました。特にスイス旅行ではトレッキン
グ中におにぎりを食べていたために日本人観光客のサンドイッチ(現地調達しているパ
サパサのサンド)と交換したこともあります。
週末などは近隣街で過ごし、ドイツ人家庭でのホームパーティーなどにも参加しました。
また当直明けの昼間には徒歩2分の保養施設に行き、男女混浴サウナ(全裸です!!)
でゆっくりし、休憩室で横になり、本を読み、食事をして過ごしました。妻も現地で1
年間ドイツ語学校に毎日通い、試験もパスしたために日常会話に関しては問題なく過
ごせるようになったため、非常に助かりまし
た。どちらかというと家族の方が現地に溶け
込み、妻は色々なカルチャースクールに通い
多国籍にわたり友人ができ、現在でもメール
を交換しています。また娘も友人宅にお泊り
に行っていました。このため帰国に際して我
が家の女性2人は反対していましたが、私の
我儘で2013年3月帰国となりました。
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Drei; 留学を振り返って;
「留学は楽しく、行けば何か大きく人生変化する」
、なんて事はありません。むしろマ
イナス面も多いです。
例を挙げると
①予 算がかかり、貯金が減ります(時には借金する場合も)
;給料はもらいましたが、
日本の給料との差額が大きい多いです(例;-40万/月として年間380万円減)
、
更に初期投資(主に航空運賃、賃貸契約、車購入、家具電化製品購入など)に関して
は300-400万円出費、引っ越し費用も片道50万円以上(船便です、航空便で
は1.5倍以上)かかります。年金及び生命保険など加入している場合は、留学中も
払い続けます。また外国滞在期間中の健康保険加入なども費用としてかかります。つ
まり日本にいればこれらの金額の多くは貯金できますが、留学するとマイナスですか
ら、その差額は少なくとも800万円/年以上となります。更に留学初年度には日本
滞在期間に応じて、また前年収入に対する追徴課税があります。
②子供の教育問題;日本語教育(特に漢字です)もさることながら、算数、科学などの
教育スピードは日本は非常に速く範囲も広い為、教育期間(大学入学前まで)に帰国
する場合は遅れてしまう可能性が高いです。多くの方が、それでもドイツ語及び英語
教育は問題ないのではと云われますが、10歳までの数年間の外国滞在では帰国後ほ
とんどその国の言葉を忘れてしまうと云われています。
実際、娘はほとんど忘れていると思いますが、
「耳」と「発音」は良さそうです。
③家族の精神的ストレス;我が家はこちらに関してはクリアーしましたが、この問題は
大きいです。ドイツのデュッセルドルフは人口の8%が日本人で約6000人住んで
います。街には日本食レストランや店が普通にあり、大抵のものは入手可能ですし日
本語のみの会話でも特に問題なく生活できます。しかしこの環境でも約35%の家庭
で家族が環境になじめずに帰国し、単身赴任
となるそうです。またこのストレスにより離
婚となる夫婦もいるそうです。
④日本にいる家族の問題;常に頭の中から離れ
ず存在します。
⑤医療環境及び社会保障に関しての不安;家族
が病気になった時の不安が大きかったです。
以上です。
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しかし、それでも留学した事により何物にも代えられない経験を得られたと実感してい
ますし、家族も同様な意見でした。
私自身が感じる「医者としての今回の留学の価値は?」と聞かれたとすると次の様に
答えたいと思います。
もし日本で仕事していたら、何年経過しても現在の様な精神的成長を獲得したか自信が
なく、また可能性として日本にいて数年経って得られる、または得られただろう精神的
成長が、この短期間の経験で得られたのではないか、と思えます(得られているかどう
かの実証はこれからですが・・・)。
留学する国、施設には違いはありますが、大なり小なり似たような事を留学経験者は
感じているのではないかと思います。
一度きりの人生、何歳まで生きられるかわかりません。留学したい人は強く思い続け
て、頑張っていただきたいと思います。今の北里大学心臓血管外科の医局にはその相談
に乗り、力を貸してくれる医師が沢山います。希望を叶えていつか異国の地に立ち、働
いてもらいたいと切に思います。
これからは、少しでもこの医局に役立てるよ
うに考えています。今後ともよろしくお願いい
たします。
これで、私のドイツ留学体験紀行の結びとい
たします。
Vielen Dank fuer ihre Aufmerksamkeit und Aufwiedersehen !
07.03.2014 新百合ヶ丘総合病院医局にて
心臓血管外科 科長 中島光貴
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アメリカ臨床留学のすすめ
北里大学心臓血管外科学 講師 宝来哲也
最近は日本の若者が全般的に国内にとどまり、安定を望む傾向が強いようで、その傾
向は、医学、外科領域の分野でも見受けられているという話を、とある先輩医師から聞
かされました。私自身は、海外留学、海外生活を通して、外科医としてはもちろん、そ
の他にも非常に多くの事に巡り合い、学ぶことが出来たと感じております。折角の機会
ですので、この場を借りて、医学生、若い先生や医療従事者の方々には、海外留学に興
味を持って、挑戦して頂けたらと思い、寄稿させていただきます。
私は、1998 年に東京大学を卒業いたしました。4 年間の一般外科トレーニング後に、
心臓外科医への道を志し、国内施設で修練を受けた後、2006 年に心臓外科のさらなる
トレーニングを求めて、アメリカに留学いたしました。当時、
「40 歳までに独立して手
術のできる心臓外科医になる」「臨床、研究、教育、すべてをできる外科医になる」と
いうことを目標として設定し、その目標達成の手段として、海外留学が有効であると考
えたからでした。アメリカでは、クリーブランドで人工心臓開発の研究に従事した後に、
ピッツバーグ、ニューヨークの心臓外科プログラムで Clinical Fellow として手術トレー
ニングを受け、最終的にはフィラデルフィアの大学病院で Attending Surgeon のポジショ
ンを得ることができました。
日本の心臓外科の現状として、国単位で確立されたトレーニングシステムはなく、私
のように、手術修練の場を海外に求める若手医師が少なからず存在しています。すなわ
ち、日本の医療水準は世界トップレベルであるにもかかわらず、日常的に行われてい
るバイパス手術を学ぶために、わざわざ国外に出て行っている人がいるということで
す。その留学先としては、アメリカのほかにも、ヨーロッパ諸国、オーストラリア、東
南アジアなど多彩ですが、アメリカはその中でも、もっともメジャーな留学先といえ
ると思います。実際にアメリカには、ドイツ、イタリア、カナダ、インド、メキシコ、
キューバなどなど日本からだけでなく世界中から、心臓外科トレーニングを求めて、老
若男女が集まってきています。アメリカには、かつてジョンスホプキンス大学で始まっ
た Resident システムに代表されるように、外科医を国単位で育てるという文化と、そ
のための確立されたトレーニングプログラムがあり、素晴らしい手術修練をつめるチャ
ンスがあります。その根底には、① Attending Surgeon による教育的前立ち、② Nurse
Practitioner や Physician Assistant に代表されるサポート体制の充実、③豊富な症例数、
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が挙げられます。アメリカの多くの外科医は Fellow や Resident に執刀させることに慣
れており、必要に応じて左側から巧みに手術をコントロールしてくる力を身につけてい
ます。自らが受けてきたトレーニングの形を伝承しているといったことであろうと思わ
れます。術前術後の管理は、コメディカルが中心となっている、といった形が多く、手
術トレーニングに専念できるようなシステムが確立しているプログラムが多くありま
す。症例数に関しては、立場が競合する正規 Resident の数にもよりますが、日本の施
設の数倍は経験できる可能性は高いと思われます。日本ですでに、術前評価や術後管理
を習得している世代の先生にとっては、大変都合のよい手術トレーニングチャンスとな
り得ることでしょう。
私自身の 7 年間のアメリカ心臓外科留学を振り返ると、無駄と思える時期のない、濃
密で充実したものでありました。成果として、独立した外科医になるというステージに
辿り着くことができ、当初設定した目標の一部は達成できたことになります。その過程
で、多くのいい出会いに巡り合えたことは、その成果を得ることへの原動力であったで
あろうし、また、現在でも大変大きな財産となっていると思います。
しかし、留学は必要かという問いには、私は答えを出せません。海外留学には現地医
師免許を得るための試験をパスする必要性や、自分のみならず家族をも異文化、異言語
の環境にさらすこととなるため、それに対するサポートなど、多大な労力、精神力を要
します。そして何より、留学は多くの場合手段であり、日本で満足のいくトレーニング
を受けられるに越したことはないのかもしれません。しかしながら、日本人にとって、
現時点では、良質で効率的な心臓外科トレーニングを受けるためには、海外臨床留学は
有望な選択肢といえるでしょう。
アメリカでは、現在、正規胸部外科レジデンシーの不人気のおかげで、臨床留学の
Position 確保自体は、われわれ外国人でも比較的容易になってきています。もちろん、
良質なトレーニングが受けられる、人気プログラムに入るのは容易ではないかもしれま
せん。最近では、日本人 Clinical Fellow の数は数年前とは比較にならないほど増えてき
ており、最終的に Attending Surgeon になっている先生も決して少なくない状況です。
私個人の印象としても、随分とチャンスが拡がっているなあと強く感じます。
アメリカは皆さんが周知のように、心臓外科の本場です。また、ロボット補助下の手
術、心不全に対する移植や人工心臓手術などの最先端の医療もひろく取り入れられてお
り、可能性を秘めた新しい治療法を日常の診療のなかで学ぶことのできます。また、も
ともと多様な人種があふれており、私のような、アジアから来た異国人にも、上級医師、
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同僚、コメディカル、患者さまなど、みなが親切に接してくれ、かなり平等と思われる
チャンスを与えてくれるという寛容な文化があると考えます。これを読んで、若い先生
方が、アメリカ臨床留学に興味を持って頂ければ、大変幸せに思います。ぜひ楽観的に
野心的に挑戦してください。
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Staff 紹介
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北里大学 Staff
主任教授
名誉教授
宮地 鑑
客員教授
荻野 均
医学教育研究開発センター
医療技術教育研究部門 准教授
鳥井 晋造
岡 徳彦
小原 邦義
診療准教授
北村 律
血流解析学講座 特任准教授
講師
講師
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吉村 博邦
客員教授
宝来 哲也
板谷 慶一
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助教(病棟医)
波里 陽介
助教(病棟医)
荒記 春奈
出向中
心臓病センター榊原病院
国立成育医療センター
平塚市民病院
助教(病棟医)
助教(病棟医)
助教(病棟医)
入澤 友輔
柴田 深雪
田村 智紀
平塚市民病院
竹田綜合病院
立川相互病院
助教(病棟医)
助教(病棟医)
助教(病棟医)
福西 琢真
林 秀憲
若田 光男
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入澤クリニック
(医療法人嘉仁会)
理事長 入澤 彰仁
大和市立病院 Staff
講師
町井 正人
ジャパンメディカルアライアンス海老名総合病院 Staff
客員教授
贄 正基
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医長
助教(病棟医)
山本 信行
笹原 聡豊
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群馬県立小児医療センター Staff
助教(研究員)
准教授
宮本 隆司
吉井 剛
助教(病棟医)
田中 佑貴
NTT 東日本関東病院 Staff
助教(研究員)
講師
柴田 講
井上 信幸
助教(病棟医)
井上 崇道
関東労災病院 Staff
助教(研究員)
講師
華山 直二
友保 貴博
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相模原協同病院 Staff
助教(研究員)
助教(研究員)
藤崎 浩行
岡元 崇
埼玉医科大学総合医療センター Staff
助教(病棟医)
榊 健司朗
新百合ヶ丘総合病院 Staff
助教(研究員) 中島 光貴
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助教(病棟医)
小山 紗千
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Kitasato University School of Medicine
ME 部 Staff
技師長
係長
東條 圭一
人工心肺担当主任
古平 聡
大島 弘之
教授・医局秘書
秘書
渡邊 みゆき
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協賛企業
・株式会社 アペックス・インターナショナル
・三栄カルディオ神奈川販売株式会社
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編集後記
皆様方のご協力により、心臓血管外科年報を無事に発行でました。原稿をお寄せ頂き
ました先生方をはじめ、多くの企業のご支援、誠に感謝申し上げます。ありがとうござ
いました。
年報を通じ当教室を知って頂き、全国の心臓血管外科施設・近県の循環器科との交流
を一層深められることを望みます。
また、当医局員一人一人が 1 年間を振り返り、また新たな飛躍につなげていってほしい
ものです。
(MW)
2013 年心臓血管外科年報 No,1
平成 26 年 5 月 31 日発行
編集・発行 〒 252-0374 神奈川県相模原市南区北里 1-15-1
北里大学医学部心臓血管外科学
年報事務局
☎ 042-778-8111(代)
Fax.042-778-8574
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