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平成28年2月17日
木更津市議会議長 滝口 敏夫 様
議 会 運 営 委 員 会
委員長 三 上 和 俊
視
察
結
果
報
告
書
本委員会は、所管事項調査のため行政視察を実施したので、その概要を報告します。
記
1.期
日
平成28年1月18日(月)~20日(水)
2.視 察 地
(1)岡山県備前市
(2)兵庫県姫路市
3.調査事項
(1)議会改革について(備前市)
①ペーパーレス議会の導入について ②導入後の効果等について
(2)議会改革について(姫路市)
①議会基本条例の制定について ②反問権について
4.参 加 者
(1) 委 員
三上 和俊
岡田 貴志
近藤
(2)正副議長 執行部
滝口 敏夫
白坂 英義
(3)随 行
次長
5.概
原 良明
要
別添のとおり
1
忍
斉藤 高根
國吉 俊夫
視 察 結 果 の 概 要
1.岡山県備前市
① 市
制
施
行
平成17年3月22日
② 人
口
36,586人 (平成27年11月30日現在)
③ 面
積
258.23㎢
④ 一般会計当初予算規模
18,367,000千円
⑤ 財
0.48(平成25年度決算)
政
力
指
数
〔市勢概要〕
岡山県の南東部に位置し、中部に片上湾を擁し、西端には、岡山県三大河川の 1 つ吉井川が流れ
ている。総面積の 75%を山林が占めていることから、まとまった平地に乏しく、都市空間が地形に
よって阻害され、人口の集中した集落が各地に分散して形成されている。
昭和 30 年 3 月備前町ほか2町2村が合併し備前町となり、昭和 46 年 4 月に備前町と三石町が合
併して岡山県下 10 番目の市として備前市が誕生した。
工業の中心は耐火物製造業であり、明治 10 年頃に開発された耐火煉瓦の生産が、昭和 40 年代ま
での発展を支えてきた。
オイルショック後、鉄鋼業界の不況に伴って耐火物産業が構造不況色を強めた時には、官民一体
となって耐火物の高品質化・多角化に取り組んだほか、電気・電子機器、精密機械などの企業誘致
を行うなど多様な業種の導入に取り組み、その結果、現在でも耐火物の生産量は、全国生産量の約
3 割強を占めている。
平成 2 年には、県が整備し、管理・運営は産・学・官からなるセラミックス研究の拠点である岡
山セラミックスセンターがオープンし、様々な新製品の開発・研究が進められている。
2
〔調査事項〕
議会改革について
1. ペーパーレス議会の導入について
説明者:備前市議会 田口 健作 議長、草加 成章 事務局長、入江 章行 次長
説明方法:パワーポイント、iPAD を活用し、別添資料により口頭説明。
備前市議会 ICT 活用プログラムの概要
導入の経緯:平成26年(5/18改選)に議員定数を22人から16人に削減した後、
田口議長の ICT 活用に対する強い想いから実現したもの。市が実施している「ICT 街
づくり事業」に協力する形で、議会に貸与されたタブレット端末を活用し、
「議会 ICT
活用プログラム」に沿って平成27年度から事業運用を開始した。
組織:議会 ICT 活用検討会(任意の勉強会)
予算:使用料及び賃借料1,059千円
導入の相手先:東京インタープレイ(株)
導入機器:アップル社製 iPAD Air(WiFi+セルラーモデル 32GB)15台
運用方法:議員定数16人の内15人に貸与。議会運営(議案書・議会委員会資料閲覧
やメモ、日程通知)
、議員活動(議会報告、市民対話、市政に係る情報収集活動)等。
現在、紙媒体との併用状態。
2.導入後の効果等について
経費削減:現在は、議案等の資料は紙媒体との併用で対応しているが、将来は、タブレッ
トのみでの対応が可能であり、また、議会の召集等の連絡は、タブレットの活用で一元
管理が可能となり、印刷代や通信運搬費等の削減ができる。
情報収集:議会や委員会などの質疑に伴う、過去の質疑の状況や予算・決算の状況、各種
資料の収集が容易になる。また、会議でのリアルタイム検索ができる。
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【主な質疑】
Q1)使用制限は?
A1)特に、制限はしていない。私用も認め、公序良俗の範囲で自由に活用している。
Q2)会議に持ち込みは?
A2)本会議、委員会ともに可能。
Q3)カメラ撮影や音は?
A3)議員のモラルに委ねる。
Q4)LINE は?
A4)私用での LINE も可能。
Q5)議場の中の WiFi 環境は?
A5)普通の議場と同様に、通信機能がある。
Q6)議事録の検索は?
A6)機能は大丈夫、検索できる。
Q7)写真等の活用は?
A7)まだタブレットでは行っていない。傍聴者にもタブレットを配布して対応したいと考えてい
る。
Q8)執行部側の情報が増えるようなことはないか?
A8)ない、今までと変わりない。決算審査の際、前年度の資料を求められるようなことがある。
Q9)システムのカスタマイズの要望などはしているのか?
A9)随時個別要望をしている。現状では、バージョンアップの対価は発生していない。
Q10)タブレットの容量は、充分か?
A10)任期4年分の容量はある。一議会100メガ程度。
Q11)市全体で300台の運用はどのように?
A11)消防、町内会、民生委員が活用している。備前アプリに情報提供など。
Q12)セキュリティは?
A12)ID とパスワードで対応。セキュリティレベルは高くない。「備前市 ICT 街づくり事業実証
実験タブレット端末等貸出要綱」の第8条「遵守事項」及び第9条「決定の取消し」の規定
に基づいて情報管理を行っている。
Q13)職員等へのタブレットの配布は?
A13)課長以上への配布は行っている。なお、議案書、予算書等の紙媒体による配布は、議員、
部長等へ行い、他の職員は、ポータルサイトを活用している。
4
Q14)タブレットへの資料の配布方法は?
A14)事務局で PDF にして行っている。
Q15)議会の召集などは、どのように?
A15)葉書と通信機器(タブレット)の併用で行っている。
【考察】
今回の備前市議会の視察は、運用そのものが順調な例として終えた。
備前市議会のタブレット端末の順調な運用の要因としては、ある程度の制限はされているもの
の、個人のモラルに基づく自由な使用方法にあるものと思われる。
これにより、議員という多忙な環境のなか、わずかに3ヶ月の機器操作勉強会(研修会)での
運用に漕ぎつけている。
また、議員も30代から70代と幅広い年齢層にわたるなかで、定数16人のうち15人が、
実際にタブレットを活用し、議員活動を行っており、現状、大きな問題も発生していないようで
ある。
経費については、ベンダーのシステムが50ライセンスまでは定額であり、さらには、バージ
ョンアップ等の追加費用の発生がないとのことが利点となっている。
タブレットの容量も、32G を採用したことで、備前市議会が考えている任期中4年間は、充
分な対応ができるようである。
本市での導入・活用では、ペーパーレス議会という膨大な紙による資料を不必要とする観点か
ら大きな効果が考えられる。
さらには、会議の場での活用が可能になれば、過去の議事録や各種の資料などの検索が容易に
なり、議会の運用面での活性化が図られるものと考えられる。
現在、本市の執行部の部長等連絡調整会議は、タブレット端末(iPad)を用いて行っており、
既に、市の幹部での運用がされている状況である。
議会での運用は、Wi-Fi などの環境整備が必要となるが、このように既にタブレット端末を導
入することは可能な環境となっていることから、容易に取り組むことができるものと考えられる。
課題としては、SNS などの活用をあまりされていない議員の理解や、スキルの向上を要すると
ころにあるが、備前市のように幅広い世代での運用がされていることを参考に所謂慣れるところ
から始めることで適応できるものと考えられる。
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2.兵庫県姫路市
① 市
制
施
行
明治22年4月1日
② 人
口
532,993人 (平成27年9月1日現在)
③ 面
積
534.43㎢
④ 一般会計当初予算規模
217,100,000千円
⑤ 財
0.85(平成22年度決算)
政
力
指
数
〔市勢概要〕
兵庫県内第2位の商工業と人口を擁する都市であり、播磨地方の中心都市である。観光事業では、
国宝であり世界遺産でもある姫路城や、西の比叡山と呼ばれる書写山圓教寺、三大荒神興の一つ灘
のけんか祭りなどの播州の秋祭りが有名で、国内・海外からの観光客も多い。
奈良時代、播磨国の国府が置かれ、本町遺跡が国衙跡であると推定されている。
江戸時代には、
「西国将軍」
「姫路宰相」と呼ばれた池田輝政によって姫路藩が成立し、姫路はそ
の城下町として整備された。現在の市街地にも城下町の町割りが残る。
明治維新における廃藩置県の時期には、飾磨県の県庁所在地となった。しかし、1876 年 8 月に飾
磨県が兵庫県に編入されて以降は、兵庫県に属している。
戦前は陸軍の歩兵第 10 連隊や姫路陸軍衛戍病院などが姫路城内やその周辺に置かれ、後に野砲
兵第 10 連隊が姫路城の北方に置かれた。現在、姫路陸軍衛戍病院は国立病院機構姫路医療センタ
ーに、野砲兵連隊の跡地に陸上自衛隊第 3 特科隊・第 3 高射特科大隊の姫路駐屯地が置かれている。
6
〔調査事項〕
議会改革について
説明者:姫路市議会事務局調査課 課長 田靡 正和、
〃
議事課 議事係長 藤原 誉
〃
調査課 主任 宮下 真由子
説明方法:資料に基づく口頭説明
1. 議会基本条例の制定について
姫路市議会基本条例の概要
基本条例制定の経過:議会運営委員会からの議会改革についての提案を受け、平成21
年の会派代表者会の協議なかで、議会基本条例の制定、政務活動費、海外視察の3項
目について、議会改革検討協議会(計5回開催)を設置して方向性を示すことを決定
した。
平成22年1月25日、議会改革検討協議会からの議会基本条例の制定に向け、早
急に協議機関を設置し、条例案の具体的な協議に入ることを要望する旨の答申を受け、
平成22年6月25日に第1回議会基本条例策定特別委員会を開催し、協議を開始し
た。
平成22年8月には、先進自治体として長野市議会の行政視察を行い、計11回の
議会基本条例策定特別委員会を開催し、平成23年3月25日の定例会において議会
基本条例策定特別委員会調査中間報告を行った。
その後、統一地方選(平成23年4月27日)を経て、議会基本・倫理条例策定特
別委員会を設置し、市民へのパブリック・コメントを実施の後、平成23年10月5
日に議決し、翌日交付・施行したものである。
組織の変遷:議会運営委員会→会派代表者会議→議会改革検討協議会→議会基本条例策
定特別委員会→議会基本・倫理条例策定特別委員会
条文の構成:先進中核市の多くの例を参考に、議会の理念の共有を目的として、条文の
構成を行っている。そのなかで、姫路市の議会運用に必要ない、あるいは適当でない
議案賛否のホームページでの公表や議会報告会の開催などは省いている。
前文、第1章総則、第2章議員の責務及び活動原則、第3章議会運営の原則、第4
章議会の機能の強化、第5章市民との関係、第6章市長等との関係、第7章議会改革
の推進、第8章議員の政治倫理、第9章議会事務局及び議会図書室、第10章補則
以上10章28条構成。
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2. 反問権について
質疑質問及び答弁に関する運用方法(発言方式別)
質問方法
持時間
発言回数
発言場所
反問権
一括方式
発言通告書のすべての項
目について、一括して質
疑質問を行い、一括して
答弁を求める方式
一問一答方式
発言通告書の項目ごとに
区分けして質疑質問を行
い、項目ごとに答弁を求
める方式
複合方式
発言通告書のすべての項
目について、最初の質疑
質問を一括方式で行い、
2回目以降の質疑質問を
一問一答方式によって行
う方式
・答弁時間を除く会派別持時間
・会派別持時間:均等割30分+人数割5分×所属議員数
(個人質疑質問の場合)
・非交渉団体の1人会派の年間持時間は40分、2人会派の年間持時間は70
分
年間持時間は会計年度ごととし、1定例会当りの使用時間は30分が限度
一人一回当りの持時間は30分が限度
3回以内
無制限
(代表質疑の場合に関連
質疑ができる)
・質問する議員は、最初 ・質問する議員は、大項 ・質問する議員は、最初
の質問は登壇
目の第1項目めの最初の の質問は登壇
再質問からは質問席
質問は登壇
再質問からは質問席
・答弁する理事者は、1 再質問及び大項目の第2 ・答弁する理事者は、1
問目の答弁は登壇
項目め以降の質問は質問 問目の答弁は登壇、再質
再質問に対する答弁は自 席
問に対する答弁は自席
席
・答弁する理事者は、自
(代表質疑における関連 席
質疑の場合は自席)
なし
・答弁する理事者は、議長の許可を得て、議員の質
疑質問に対して、反問が可能
・議員の答弁時間は、持時間に含めない
反問権の例:平成23年第4回定例会から平成27年第4回定例会までの間に計11回行
われている。所謂確認権ではなく、理事者から反問として実際に行われている。
反問権についての考え方:反問権の導入によるメリットは、的確な答弁が引き出せること
があげられ、このことは、必然的に議員の質の向上に繋がる。
また、一般的に確認権に留める自治体が多いと伺っているが、姫路市議会では、市長
と議会は対等であることから、反問権については制限しないことで合意している。
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【主な質疑】
Q1)反問によっては、不適切な内容がある場合が考えられるが議長の対応は?
A1)議長は、最初の段階では反問の内容が分からないので、発言を認め、反問の内容によっては
議長の判断で制止する対応としている。
Q2)質問の交通整理はしているのか?
A2)制限はしていない。同様な質問に対する答弁は、同じ答弁あるいは、先の議員の答弁のとお
りなどとしている。
Q3)質問時間が短いようだが、答弁時間を含めているのか?
A3)答弁時間は含めない。
Q4)条例に規定する検討会とは?
A4)市政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、各会派を横断的に議員で組織す
る検討会等を設置している。
例:救急医療勉強会、長期欠席議員の報酬のあり方に関する勉強会
Q5)全員協議会は、条例に明記しているのか?
A5)議員総会、正副議長研修会、決算説明会、予算大綱説明会を協議・調整の場として位置づけ
ている。
Q6)議員総会等はどのように集めるのか?
A6)決算説明会、予算大綱説明会は、会議室を使用して事前に説明し、本会議で審議を行ってい
る。
Q7)重要事項の説明の方法は?
A7)決算説明会、予算大綱説明会では説明のみで、基本的に質問は本会議で対応している。
Q8)会派代表者会議の位置づけは?
A8)基本条例には規定していない。会派代表者会議は、非公開である。
Q9)通年議会の議論はあるか?
A9)議会運営委員会の議会改革の一環として行政視察を行った。現状、他の自治体の動向を見て
検討することとしている。
Q10)行政視察等の結果報告書の整理は?
A10)行政視察等の結果報告は内部決済で対応している。視察の事実は、議会報に掲載している、
が、内容の記載はない。また、本会議での委員長報告も行っていない。
Q11)議会報告会については、行っていないとのことだが、市民への説明責任としては、どのよう
に考えているのか?
A11)市議会全体の報告会は困難だが、議員個々の活動で行うことについては、協議のなかで意
9
見としてあった。
【考察】
本市は、既に木更津市議会申合せ事項において、一問一答や関連質問の方法を明記しているな
ど、先進的な取り組みを実践していることから、議会基本条例の策定については、慎重な対応を
していた。
今回の姫路市の行政視察では、議会基本条例に規定する内容の選択によっては、議会の理念の
共有や議員の倫理について明記することができるなど、議会運営上有益なものと思われた。
今後の課題としては、本市版の議会基本条例の策定についての要否の合意(決定)はもちろん
であるが、姫路市が条例の策定にあたり、条文精査で多くの項目のなかから、姫路市の事情に合
致するものを選択していることも参考に、本市においても、多くの研究、検討を要するものと考
えられる。
以上、視察結果について概略報告する。
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