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若者の暮らしと国土交通行政

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若者の暮らしと国土交通行政
第
Ⅰ部
若者の暮らしと国土交通行政
第1節
若者を取り巻く社会経済状況の変化
我が国人口の推移
図表1
(百万人)
140
120
現在の若者の意識・行動の特徴
本白書においては、20 代・30 代にある者を「若者」とし、分析を行う。また、20 代・30 代の期
80
間を「若年期」とする(ただし、場合によっては 10 代も分析の対象とする)
。
60
第 1 章では、現代の若者が集団としてどのような特徴を持った世代なのかについて分析するため、
40
若者を取り巻く社会経済状況の変化を追うとともに、様々な分野における若者の行動の根幹を成して
20
いると考えられる現在の若者の意識の特徴を取り上げる。
第1節
たのだろうか。第 1 章では、現在の若者の意識の形成に大きな影響を及ぼしていると思われる要因と
して、人口構造の変化、長期的な経済の低迷、国際化の進展を取り上げて分析する。
年少人口
1,684 万人
(13.1%)
年少人口
791 万人
(9.1%)
生産年齢人口
生産年齢人口
8,174 万人
(63.8%)
高齢人口
2,948 万人
(23.0%)
高齢人口
3,464 万人
(39.9%)
高齢人口
1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060(年)
(注)
1 「年少人口」は 0 ∼ 14 歳の者の人口、
「生産年齢人口」は 15 ∼ 64 歳の者の人口、
「高齢人口」は 65 歳以上の者の人口
2 ( )内は年少人口、生産年齢人口、高齢人口がそれぞれ総人口のうち占める割合
資料)総務省「国勢調査(年齢不詳をあん分して含めた人口)
」
、同「人口推計」
、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将
来推計人口(2012 年 1 月推計)
」の中位推計より国土交通省作成
我が国人口の長期的な推移
図表 2
(万人)
13,000
(2010 年)
12,806 万人
7,000
2048 年に 9,913 万人と 1 億人を割り込み、2060 年には 8,674 万人まで減少すると見込まれている
4,000
(図表 1)。人口の推移をより長期的に見ると、明治時代後半の 1900 年頃から 100 年をかけて増えて
2,000
きた我が国の人口が、今後 100 年のうちに再び同じ水準に戻ることが見込まれ、我が国はこれから、
これまでの歴史を振り返っても類を見ない水準の人口減少を経験することになる(図表 2)
。
若者の数は、1970 年に約 3,600 万人、2010 年に約 3,200 万人だったものが、2060 年にはその半
分以下の約 1,500 万人になると推計されている。また、全人口に占める若者人口の割合を見ると、
1970 年の 35.0%(約 3 人に 1 人)から 2010 年には 25.1%(約 4 人に 1 人)へと減少しており、
2060 年には更に 17.4%(約 6 人に 1 人)にまで減少することが見込まれている。
このような若者人口の減少の背景には、出生率の落ち込みがある。戦後の出生数の推移を見ると、
1940 年代後半の第 1 次ベビーブーム、1970 年代前半の第 2 次ベビーブームを経た後、出生数は減少
し、特に 1970 年代から 1980 年代にかけて大きく減少した。その後も減少は続き、2011 年には過去
最低の出生数(105 万人)となった。合計特殊出生率(当該年次の 15 歳から 49 歳までの女性の年齢
別出生率を合計したもので、一人の女性が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたとき
の子どもの数に相当)は、1947 年に 4.54 だったものが 1975 年には 1.91 へと減少し、さらに、
2005 年には過去最低の水準となる 1.26 となった(図表 3)
。
5,000
3,000
室町幕府成立
6,000
江戸幕府成立
8,000
明治維新
9,000
万人をピークに減少に転じた。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、我が国の人口は
2030 年
11,662 万人
終戦
10,000
鎌倉幕府成立
戦後、我が国の総人口は増加を続け、1967 年には初めて 1 億人を超えたが、2008 年の 1 億 2,808
11,000
享保改革
(人口減少・少子高齢化の進展)
2060 年
20 ∼ 39 歳
1,509 万人
(17.4%)
(5.7 人に 1 人)
生産年齢人口
4,418 万人
(50.9%)
12,000
(1)人口構造の変化
総人口
8,674 万人
0
若者を取り巻く社会経済状況の変化
時代時代の若者の意識や行動を形作るものとして、我が国の社会経済状況はどのように変化してき
1970 年
20 ∼ 39 歳
3,633 万人
(35.0%)
(2.9 人に 1 人)
2010 年
20 ∼ 39 歳
3,220 万人
(25.1%)
(4.0 人に 1 人)
現在の若者の意識・行動の特徴
年少人口
100
1
総人口は
約 4,132 万人減少
(推計)
総人口
12,806 万人
章
章
現在の若者の意識・行動の特徴
第1節
第
第
1章
第
1
若者を取り巻く社会経済状況の変化
(1716 ∼ 45 年)
3,128 万人
2050 年
9,708 万人
(1945 年 )
7,199 万人
2100 年(高位推計)
6,485 万人
2100 年(中位推計)
4,959 万人
(1868 年)
3,330 万人
2100 年(低位推計)
3,795 万人
(1603 年)
(1338 年)1,227 万人
(1192 年)
818
万人
757 万人
1,000
0
800
1000
1200
1400
1600
1650
1700
1750
1800
1850
1900
1950
2000
2050
2100(年)
資料)2010 年以前は総務省「国勢調査」
、同「平成 22 年国勢調査人口等基本集計」
、国土庁「日本列島における人口分
布の長期時系列分析」
(1974 年)
、2015 年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2012 年
1 月推計)
」より国土交通省作成
出生数及び合計特殊出生率の推移
図表 3
(万人)
300
4.54
250
200
第 1 次ベビーブーム
1966 年
(1947 ∼ 1949 年)
ひのえうま
最高の出生数
1,360,974 人
2,696,638 人
150
5
第 2 次ベビーブーム
(1971 ∼ 1974 年)
2,091,983 人
出生数
合計特殊出生率
2012 年時点の 20 代・30 代 2005 年
(1973 年∼ 1992 年生まれ) 最低の合計特殊出生率
1.26
2012 年推計値
1,033,000 人
1.91
100
3
2
1
50
0
4
1947
55
65
75
85
95
2005
0
11(年)
(注)
1972 年以前は沖縄県を含まない。2011 年までは確定数、2012 年は推計数である。
資料)
厚生労働省「人口動態統計」
(2012 年)より国土交通省作成
2
国土交通白書
国土交通白書
3
第1節
若者を取り巻く社会経済状況の変化
圏域別に人口の変化を見ると、2010 年から 2040 年にかけての全年齢の人口の変化率は、地方圏
また、我が国の若者人口の減少は、国際
で -20.9%、大阪圏で -16.5%、名古屋圏で -11.7%、東京圏で -9.3%と見込まれており、都市圏より
的に見ても早いスピードで進展している。
。20 代の人口について
も地方圏において人口減少が急速に進行していくことが分かる (図表 4、5)
(%)
40
昇し、1970 年にはピークとなる 35%を記
30 代の人口については、東京圏における減少が目立つが、これは、前後の世代と比較して大きな人
録した。その後、1990 年までに若者人口比
30
口ボリュームを持つ第 2 次ベビーブーム世代(1971〜1974 年生まれ)が 2010 年時点では 36〜39
率は急速に低下し、1990 年から 2005 年に
歳となっており、2010 年時点でその多くが東京圏に居住していたことと関連しているものと考えら
かけては 27%前後の水準で横ばいとなった
れる(世代ごとの居住地の動向については第 2 章第 2 節で詳述する)
。20 代人口と 30 代人口の減少
ものの、その後再び減少を始め、2035 年以
10
率は、いずれの圏域においても全年齢人口の減少率よりも高くなっており、人口減少が進展する中
降は 20%を下回り、2090 年まで長期的に
5
で、特に若者人口の減少が急速に起こることが分かる(図表 6、7、8、9)
。
減少を続けることが見込まれている。諸外
0
圏域別の人口(全年齢)の推移(2010 年 =100)
図表 5
圏域別の人口(全年齢)の
変化率(2010 年→ 2040 年)
110
(%)
0
100
90
70
60
2010
2015
大阪圏
地方圏
2025
2030
2035
2040(年)
-9.3
90
80
70
60
2010
全国
東京圏
名古屋圏
大阪圏
地方圏
2015
2020
2025
2030
2035
2040(年)
資料)国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2013 年 3 月
推計)
」より国土交通省作成
-20.9
-25
図表 7
110
全国
東京圏
名古屋圏
大阪圏
地方圏
100
90
80
東京圏
圏域別の人口(20 代)の
変化率(2010 年→ 2040 年)
名古屋圏
大阪圏
地方圏
-31.0
-32.1
東京圏
2020
2025
2030
2035
2040(年)
圏域別の人口(30 代)の
変化率(2010 年→ 2040 年)
名古屋圏
大阪圏
地方圏
人口減少・少子高齢化が進展する中で、世帯構成も変化している。我が国の総人口が減少を始めた
一方で、一般世帯総数は、1960 年の 2,216 万世帯から 2010 年の 5,184 万世帯まで継続的に増加し
ている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、我が国の一般世帯総数は今後 2019 年まで
単身世帯は 1960 年の 358 万世帯(16.2%)から一貫して増加していたが、高齢者の単身世帯の増加
身世帯は 2010 年には 1,678 万世帯(32.4%)となったが、この増加傾向は一般世帯総数が減少に転
じる 2020 年以降も継続し、2030 年に 1,872 万世帯(36.5%)となるまで続くものと見込まれてい
る。夫婦のみの世帯については、1960 年の 163 万世帯(7.4%)から増加が続いており、2010 年に
は 1,027 万世帯(19.8%)となった。今後、2020 年まで増加した後は減少に転じると見込まれてい
20.8%、2035 年の 21.2%と上昇が見込まれる。
かつて一般世帯総数の 40%超をしめた夫婦と子の世帯は、1985 年の 1,519 万世帯をピークに既に
-34.3
-39.5
-39.8
-39.1
-44
本白書においては、特に断りがない限り「東京圏」は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県から成る圏域を、
「名古屋圏」
は岐阜県、愛知県、三重県から成る圏域を、「大阪圏」は京都府、大阪府、兵庫県、奈良県から成る圏域を指すことと
し、これらの都市圏をまとめて「三大都市圏」と言う。
「地方圏」は、三大都市圏以外の地域を指す。
国土交通白書
(単身・夫婦のみ世帯の増加と世帯の小規模化)
る が、 一 般 世 帯 総 数 に 占 め る 割 合 と し て は 上 昇 傾 向 に あ り、2010 年 の 19.8% か ら 2020 年 の
-36
2015
る(図表 10)。
や未婚化・晩婚化の進展による未婚単身者の増加等を受け、1990 年代以降、特に増加が進んだ。単
-28
資料)国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2013 年 3 月
推計)
」より国土交通省作成
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100(年)
資 料)各 国 に 関 し て は、United Nations「World Population
Prostects:The 2010 Revision」のうち中位推計、日本に
関しては、2010 年以前は総務省「国勢調査」
、2015 年以
降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人
口(2012 年 1 月推計)
」の中位推計より国土交通省作成
世帯数の増大の内訳としては、単身世帯、夫婦のみの世帯、ひとり親と子の世帯の増加が大きい。
-33.0
-24
-40
ドイツ
米国
韓国
で減少すると見込まれている。
-32
60
2010
フランス
英国
インド
増加が続き、5,307 万世帯でピークを迎えるが、その後は減少に転じ、2035 年には 4,956 万世帯ま
-25.6
図表 9
(%)
-20
70
注
(%)
-20
-22
-24
-26
-28
-30
-32
-34
-36
-38
圏域別の人口(30 代)の推移(2010 年 =100)
図表 8
日本
イタリア
中国
すると見込まれており、我が国と比較して、若者人口比率の減少のスピードも減少幅も緩やかと言え
-16.5
110
100
17.3%
15
も今後長期的な若者人口の減少が見込まれているが、若者人口比率は長期的には 20%台前半に収束
-11.7
-20
圏域別の人口(20 代)の推移(2010 年 =100)
少傾向にあった若者人口比率は底を打ち、
20
日本の若者人口比率が減少傾向に入った
-15
2020
をしており、1960 年代後半頃にそれまで減
25
1970 年頃から上昇を続け、その後 1990 年前後から減少段階に入ることとなった。諸外国において
-10
資料)国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2013 年 3 月
推計)
」より国土交通省作成
図表 6
名古屋圏
-5
全国
東京圏
名古屋圏
大阪圏
地方圏
80
東京圏
国の若者人口比率は我が国とは異なる動き
1
35.0%
現在の若者の意識・行動の特徴
現在の若者の意識・行動の特徴
は、全年齢と同様、地方圏における減少率が最も高く、大阪圏、東京圏、名古屋圏と続いている。
35
図表 4
4
我が国では 1950 年代から若者人口比率が上
各国の若者人口比率の推移
図表10
章
章
注
第1節
第
第
1
若者を取り巻く社会経済状況の変化
減少傾向に入っているが、今後それが加速し、2010 年の 1,447 万世帯(27.9%)から 2035 年の
1,153 万世帯(23.3%)にまで減少すると見込まれている。
また、人口減少局面において世帯構成の変化と世帯数の増加が継続する中で、世帯規模は縮小し、
平均世帯人員は長期的に減少傾向にある。平均世帯人員は 1960 年には 4.14 人であったが、2010 年
には 2.42 人となり、2035 年には 2.20 人になると予想されている(図表 11)。
国土交通白書
5
第1節
若者を取り巻く社会経済状況の変化
(経済成長率の低迷)
章
(万世帯)
7,000
4.14
3.41
3.28
3.22
3.14
2.99
6,000
4,000
3798
4067
2.82
2.67
2.55
4906
4678
4390
621
654
690
411
358
2.42
2.34
2.30
2.20
3
5184
5290
2
578
515
5307 5305 5244 5123
4956
471 459
413
374
342
527
534
556
565
565
454
498
2.29
2.25
2.22
単身世帯
3353
3582
712
205
728
夫婦のみ
706
275
311
夫婦と子
ひとり親と子
その他
500
界大戦の戦後復興と高度経済
400
成長期を経て大きな成長を遂
1
300
げ、1960 年代の終わりには
0
1381 1313 1234
1447 1427 1392 (26.0%)
(25.0%)
(24.1%) 1153
(26.2%)
(27.0%)
(27.9%)
1465
(23.3%)
1492
3,000
699
240
(29.9%)
1503 (31.9%)
687
1097
181
1078 1050
1104
(34.2%)
2216
1027 1086 1101 (20.8%)
1519 1517
174
(20.9%)
(21.0%)
(20.7%)
(37.3%)
(21.2%)
1508 (40.0%)
(20.5%)
964 (19.8%)
2,000 679
884 (19.6%)
1247 1429 (42.1%)
(42.6%)
762(18.9%)
167(41.3%)
629
(17.4%)
521
446
388
297
1678 1764 1816 1827 1865 1872 1846
1,000 849
(13.7%) (15.5%)
1446
(38.3%) (9.8%) (11.6%)(12.5%)
(33.3%)
(34.2%)
(34.4%)
(35.6%)
(36.5%)
(37.2%)
(32.4%)
1124 1291 (29.5%)
939
711
656
789
163(7.4%) 614
(27.6%)
(25.6%)
(23.1%)
(20.8%)
358(16.2%)(20.3%) (19.6%) (19.8%)
0
1960 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2019 2020 2025 2030 2035(年)
3020
(兆円)
600
我が国の経済は、第二次世
200
世界第 2 位の経済大国となっ
100
た。しかしながら、1990 年
0
1955
初 め の バ ブ ル 崩 壊 を 受 け、
85
95
2005
1
実質経済成長率(右軸)
(注)
値は、実質 GDP、実質経済成長率ともに年度ベース。実質 GDP については、1979 年度
以前は 1990 年基準(68SNA)
、1980 ∼ 1993 年度は 2000 年基準(93SNA)
、1994 年度以降
は 2005 年基準(93SNA)に基づく。実質経済成長率については、1980 年度以前は 1990 年
基準(68SNA)
、1981 ∼ 1994 年度は 2000 年基準(93SNA)
、1995 年度以降は 2005 年基準
(93SNA)に基づく。
資料)内閣府「国民経済計算」より国土交通省作成
質経済成長率は 1993 年度に
-0.5%まで減少するなど、我
資料)2010 年以前は総務省「国勢調査」、2015 年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の世
帯数の将来推計(全国推計)(2013 年 1 月推計)」より国土交通省作成
75
実質 GDP
1988 年 度 に 6.4% だ っ た 実
平均世帯人員(右軸)
65
(%)
14
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
11(年)
現在の若者の意識・行動の特徴
現在の若者の意識・行動の特徴
5,000
(人)
4
実質 GDP、実質経済成長率の推移
図表13
章
1
(2)長期的な経済の低迷
世帯構成の推移(全年齢)
第1節
第
第
図表 11
若者を取り巻く社会経済状況の変化
が国の経済成長はそれまでと
比べ大きく落ち込むこととなった。2002 年からは長期の景気拡張過程に入っていたが、2008 年に
特に 30 代が世帯主の世帯構成について見ると、一般世帯総数は 1985 年の 806 万世帯から減少し、
1995 年には 640 万世帯となったが、第 2 次ベビーブーム世代が 30 代となったことや、その中でも単
身世帯が増加したこと等により、その後増加に転じ、2005 年には 771 万世帯となった。その後は再
び減少に転じ、2035 年には 509 万世帯となると見込まれている。
に転じ、その後も低成長を続けている(図表 13)。
このようにマクロ経済が変化する中で、これまでの若者はそれをどのように体感していたのだろう
か。若年期に経験した経済成長率を世代別に見てみると、現在の若者は、以前の若者世代が経験した
30 代の世帯構成の推移で特徴的なのは、夫婦と子供から成る世帯の割合の減少と単身世帯の割合
よりも低い経済成長率を経験していることが分かる。2012 年時点で 69 歳(1943 年生まれ)の人々
の増加である。夫婦と子供から成る世帯は、1985 年の 470 万世帯から 1995 年の 327 万世帯まで減
が 20 代・30 代の頃に経験した経済成長率の平均が 6.59%だったのに対し、59 歳(1953 年生まれ)
少した後増加に転じ、2005 年には 337 万世帯となった。その後は減少局面に入り、2035 年には
の 人 々 は 3.99%、49 歳(1963 年 生 ま れ ) の 人 々 は 2.55%、39 歳(1973 年 生 ま れ ) の 人 々 は
200 万世帯まで減少すると見込まれて
0.83%、29 歳(1983 年生まれ)の人々は 0.84%と、おおむね、近年になればなるほど、若年期に
いる。夫婦と子供から成る世帯の世帯
数はこのように増減を繰り返し推移し
(万世帯)
1,800 58.3 55.1
1,600
は一貫して減少しており、1985 年の
1,400
年 の 43.7% と 減 少 し、2035 年 に は
39.3%となることが見込まれている。
また、単身世帯については、世帯数自
体は 2010 年の 248 万世帯をピークに
減少していくと予想されるが、その割
合は長期的に増加傾向にあり、1985
年 の 15.0% か ら 2010 年 に は 32.2%
へ、さらに 2035 年には 35.3%まで上
昇すると予想される(図表 12)
。
世帯構成の推移(世帯主が 30 代)
図表 12
ているが、一般世帯総数に占める割合
58.3%から 1995 年の 51.0%、2005
1,200
1,000
800
15.0
7.4
806
18.4
9.1
400 470 368
0
22.5
60
121
61
123
47.1
26.7
43.7 42.7
30.4
41.2 40.9 40.0 39.4 39.3
40
32.2 33.5 34.1 35.4 35.7 35.3
20
11.9 13.0 13.2 12.8 12.9 12.8 12.6 12.6 12.6
667 640
600
200
51.0
(%)
60
327
76
144
701
331
91
187
771
770
0
696
615
557 532
509
337
329
102
99
90
79
70
67
235
248
233
64
210
197
190
180
287
252
223
210
200
1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035(年)
単身世帯
夫婦のみ
ひとり親と子
その他
単身世帯の割合(右軸)
国土交通白書
経験した経済成長率の平均が低くなる傾向にある(図表 14)。
図表14
各世代の若年期の経済成長率
(%)
14.0
59 歳の人が 20・30 代の経済成長率平均 3.99%
12.4
12.0
12.0
11.0
10.4
9.5
10.0
11.0
8.2
49 歳の人が 20・30 代の経済成長率平均 2.55%
9.1
8.0
夫婦と子
夫婦と子の世帯の割合(右軸)
夫婦のみの世帯の割合(右軸)
資料)2010 年以前は総務省「国勢調査」、2015 年以降は国立社会保障・人口
問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)
(2013 年 1 月推計)
」
より国土交通省作成
6
はリーマンショックを契機とした世界経済の低迷の影響を受け、我が国の経済成長率はマイナス成長
6.0
6.2
4.0
5.4
5.1
4.5
5.0
4.0
3.8
2.6
2.0
0.0
-2.0
5.1
3.9
3.1
6.3
6.1
4.8
4.6
3.5
2.7 2.7
1.9
2.3
0.7
-0.5
70
75
1.5
80
2.3
0.5
2.0
0.1
-0.5
3.3
1.9
85
90
1.2
0
-0.4
-1.5
95
1.8
1.1 1.5 1.8
39 歳の人が 20・30 代の経済成長率平均 0.83%
69 歳の人が 20・30 代の経済成長率平均 6.59%
-4.0
1963 65
29 歳の人が 20 代の経済成長率平均 0.84%
6.4 6.2
2000
05
-2.1
-3.7
10
12(年)
(注)
1 値は年度ベース。1980 年度以前は 1990 年基準(68SNA)
、1981 ∼ 1994 年度は 2000 年基準(93SNA)
、1995 年
度以降は 2005 年基準(93SNA)に基づく。
2 1995 年度以降の値については 2013 年 1 ∼ 3 月期四半期別 GDP 速報(2013 年 5 月 16 日公表)による。
3 年齢は 2012 年時点。
資料)内閣府「国民経済計算」より国土交通省作成
国土交通白書
7
第1節
若者を取り巻く社会経済状況の変化
若者を取り巻く社会経済状況の変化
第
次に、完全失業率の推移を見てみ
る。年齢別の完全失業率は、どの年
齢層でも上昇しているものの、20〜
1970 年には 2.0%だった失 業 率が
2012 年には 7.9%となるなど、現在
の若者は以前の若者と比較して高い
水準の失業率に直面している(図表
15)
。
査(以下「国民意識調査」という。
)
若者の失業率の推移
イメージを尋ねたところ、「不安が
全年齢平均
20∼24 歳
25∼29 歳
30∼34 歳
35∼39 歳
7.9
ある社会」、「暗い社会」等と答えた
6.4
者の割合は他の年齢層よりも高く
4.6
4.3
4.1
なっている(図表 18)。
図表 16
全失業率を見てみても、同一の年齢
時点で比較した場合、若い世代ほど
より高い失業率を経験していること
で は、1953〜1962 年 生 ま れ の 世
6
代では 3.5%、1963〜1972 年生ま
れの世代では 4.3%、1973〜1982
3.5
3
〜1992 年生まれの世代では 8.2%
1
ねた際に、それぞれの世代において
4.3
4
2
25〜29 歳、30〜34 歳 と 年 齢 を 重
7.8
5
年 生 ま れ の 世 代 で は 7.8%、1983
の失業率を経験しており、その後、
8.2
8
7
0
2012 年時点の 20 代
(1983 年∼ 1992 年生まれ)
6.6
2012 年時点の 30 代
(1973 年∼ 1982 年生まれ)
6.4
2012 年時点の 40 代
4.9
(1963 年∼ 1972 年生まれ)
4.3
3.8
3.6
4.4
4.2
4.1
3.9
3.0
2.3
3.3
3.2
2.9
2012
年時点の
50
代
2.3
(1953 年∼ 1962 年生まれ)
(人流・物流の増大)
人の動きについて見
ると、訪日外客数は長
期的に増加傾向にあ
り、 直 近 で は 800 万
20 ∼ 24 25 ∼ 29 30 ∼ 34 35 ∼ 39 40 ∼ 44 45 ∼ 49 50 ∼ 54 55 ∼ 59(歳)
110
60
ションの中で過ごしていると言える
50
このように厳しい経済状況を経験
してきた影響もあり、国土交通省が
国土交通白書
25.4
30.0
45.4
7.1
23.3
2.1
割合が減少する一方、
103.7
103.4
32.7
40 32.6
99.7
99.7
98.5
2,000
0
1964
65
70
75
80
85
90
95
2000
05
10
12(年)
(注)
2011 年までの数値は確定値、2012 年の数値は JNTO 算出による推計値
資料)日本政府観光局(JNTO)
「訪日外客の動向」より国土交通省作成
図表 20
地域別の訪日外客数の割合の推移
1998 年
(4,106 千人)
香港
8.7%
2012 年 ( 推計値)
(8,368 千人)
米国
16.2%
台湾
20.5%
その他
26.6%
韓国
17.7%
香港 5.8%
中国 6.5%
台湾
17.5%
米国 8.6%
韓国
24.4%
中国
17.1%
資料)
「平成 13 年版観光白書」
、日本政府観光局(JNTO)
「訪日外客の動向」
により国土交通省作成
総合
生鮮食品を除く総合
食料(酒類を除く)及び
エネルギーを除く総合
資料)総務省「消費者物価指数」より国土交通省作成
4,000
その他
30.4%
100.0
32.2
30
1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012(年)
訪日外客数の推移
6,000
1,000
いる(図表 20)。
消費者物価指数の推移(全国)
(2010 年=100)
90
者は若年期のほとんどをデフレー
42.5
10.2
7,000
の中で、米国の占める
106.4
100
70
(図表 17)。
8
図表 17
物価の下落が続いており、現在の若
40∼50 代[N=496]4.2 16.1
29.4
8,000
3,000
り、倍以上に増加して
80
38.9
100(%)
9,000
ている(図表 19)。そ
2012 年は 17.1%とな
た。1999 年 以 降、2012 年 ま で は
18.3
80
(千人)
10,000
5,000
1 9 9 8 年 は 6 . 5%、
(デフレーションの進行)
図表19
人を超える水準となっ
している(図表 16)
。
クに下落傾向に転じることとなっ
60
各国経済の結びつきが強まり、輸送手段や情報通信技術などが発達する中で、国境を越える人、モ
中国の占める割合が
昇が続いていたが、1998 年をピー
40
資料)国土交通省「国民意識調査」
20〜24 歳時よりも失業率はおおむね低下しているものの、若い世代ほど、より高い水準のまま推移
と、1970 年から長期的に物価の上
20
どちらともいえない
(3)国際化の進展
世代別にみた完全失業率の推移
(注) 東日本大震災の影響により、2011 年の被災 3 県(岩手県・宮城県・福島
県)の数値については推計値(2010 年国勢調査基準)を用いている。
資料)総務省「労働力調査」より国土交通省作成
また、物価水準の推移を見てみる
A にやや近い
B に近い
ノ、サービス、資本、情報等の移動がますます活発になっている。
(%)
9
が分かる。例えば、20〜24 歳時点
0
60 代[N=524]3.8
(注) 東日本大震災の影響により、2011 年の被災 3 県(岩手県・宮城県・福島
県)の数値については推計値(2010 年国勢調査基準)を用いている。
資料)総務省「労働力調査」より国土交通省作成
世代ごとに、各年齢で経験した完
A に近い
B にやや近い
20∼30 代[N=3089]3.2
1972
1980
1984
1988
1992
1996
2000
2004
2008
2012(年)
1976
1970
1974
1978
1982
1986
1990
1994
1998
2002
2006
2010
1
10 年後の社会に対するイメージとして当てはまるもの選んで下さい。
A.希望がある社会
B.不安がある社会
において、10 年後の社会に対する
現在の若者の意識・行動の特徴
現在の若者の意識・行動の特徴
24 歳 で は 特 に 上 昇 幅 が 大 き く、
(%)
10
9
8
7
6
5
4
3 2.0
2
1
0
10 年後の社会に対するイメージ
図表18
注
章
章
1
図表 15
第
2013 年 3 月に実施した国民意識調
(失業率の上昇)
第1節
注
2013 年 3 月に全国の 20 代から 60 代までの男女を対象に、インターネットを利用して実施し、4,109 人の回答を得た。地
域、性別による偏りが生じないように、実際の人口構成比に合わせて割付を行っている。
国土交通白書
9
第1節
若者を取り巻く社会経済状況の変化
数の推移を見ても、1964 年にそれ
まで業務渡航や留学のみに限られて
きた海外旅行が観光目的でも自由化
加を続けている。特に、1980 年代
(千人)
20,000
16,000
12,000
10,000
が著しく、1990 年には出国者数が
8,000
初 め て 1,000 万 人 を 超 え た。 そ の
6,000
後、2001 年は米国同時多発テロ等
4,000
の 影 響 に よ り、2003 年 は SARS や
2,000
イラク戦争の影響等により一時的な
落ち込みがあったものの、現在まで
おおむね 1,500 万人を超える水準で
推移している(図表 21)
。
また、我が国から海外の大学等に
入学した日本人の数は、1990 年代
2,500
(1990 年時点)
20 ∼ 39 歳男性の 6 人に 1 人
20 ∼ 39 歳女性の 7 人に 1 人
15
1,000
70
80
20∼29 歳(男)
90
20∼29 歳(女)
2000
日本から海外への留学者数の推移
(人)
90,000
(留学者数 / 人口 1,000 人)
5
り、ここ数年は留学者数の落ち込み
70,000
4
3.5
60,000
3
50,000
〜29 歳)人口 1,000 人当たり 3.7 人
40,000
が留学するなど、高い水準にある
30,000
2.5
20,000
留学者数
18∼29 歳人口千人あたりの留学者数(右軸)
10,000
易の状況を見てみると、日本の貿易
0
1983 85
90
95
2000
05
8.4 兆円
4.6 兆円
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011(年)
韓国
資本の動きとしては、国際競争が激化す
る中、製造業では海外に生産拠点を置くこ
とにより、グローバルな規模で最適な分業
1.5
を海外現地法人売上高と国内法人売上高の
0
10(年)
資料)文部科学省資料、総務省「人口推計」より国土交通省作成
海外生産比率の推移(製造業)
図表 25
(%)
20
18.1
16.7
16.2
15.6
14.6
14.3
体制をとろうとする動きが進んでいる。製
造業の海外生産比率(海外現地法人売上高
0.5
EU27ヶ国
(国際的な分業体制の構築)
2
1
米国
ASEAN10 ヶ国
資料)財務省「貿易統計」より国土交通省作成
資料)法務省「出入国管理統計」より国土交通省作成
図表 22
11.7 兆円
中国
30∼39 歳(女) (右軸)
30∼39 歳(男)
80,000
モノの動きとして、諸外国との貿
5
10(年)
から 2000 年代に大きく増加してお
(図表 22)。
10
0
1964
19.8 兆円
20
1,500
4.5
が見られるものの、現在も若者(18
25
500
0
12.4 兆円
30
2,000
(1970 年時点)
20 ∼ 39 歳男性の 66 人に 1 人
20 ∼ 39 歳女性の 217 人に 1 人
37.0 兆円
40
3,000
35
14,000
1
(兆円)
45
出国者数(日本人)
(2010 年時点)
20 ∼ 39 歳男性の 6 人に 1 人
20 ∼ 39 歳女性の 5 人に 1 人
18,000
後半から 1990 年代にかけての増加
(千人)
3,500
1995 年〜2011年の相手国別貿易額の推移
現在の若者の意識・行動の特徴
現在の若者の意識・行動の特徴
されて以来、日本人の出国者数は増
図表 24
章
章
1
日本人の出国者数の推移
図表 21
第2節
第
第
また、我が国から海外への旅行者
若者の意識の変化
和 で 除 し た も の ) は 増 加 基 調 に あ り、
15
10
2011 年 度 は 18.0% と な っ て い る( 図 表
25)。
10.4
5.8
6.9
11.6 11.4
11.0
19.1
18.1 18.0
17.0 17.0
11.8
7.9 8.3
5
は、1960 年当時は、輸出が約 1 兆
5,000 億円、輸入も約 1 兆 6,000 億円程度の規模で推移していたが、1973 年からは輸出入とも 10 兆
0
円の大台に乗り、1980 年には輸出入ともに約 30 兆円と拡大した。2012 年には輸出が約 64 兆円、
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011(年度)
(注)
海外生産比率=現地法人(製造業)売上高 /(現地法人(製造業)
売上高+国内法人(製造業)売上高)
資料)財務省「法人企業統計調査」
、経済産業省「海外事業活動基本調査」
より国土交通省作成
輸入が約 71 兆円となっている(図表 23)
。貿易相手別に見ると、これまで長期にわたり米国が我が
国の第 1 の貿易相手となっていたが、2002 年以降は中国が米国を抜いて我が国の第 1 の貿易相手国
となっている(図表 24)
。
図表 23
我が国の輸出入総額の推移
(千億円)1,800
1,600
輸出総額
輸入総額
1980 年
1,400
輸入 320 千億円
1973 年
1,200
輸入 104 千億円 輸出 294 千億円
1,000
輸出 100 千億円
1960 年
800
輸入 16 千億円
600
輸出 15 千億円
400
200
0
1950
60
70
80
資料)財務省「貿易統計」より国土交通省作成
第2節
2012 年
輸入 707 千億円
輸出 637 千億円
若者の意識の変化
(1)将来に対する不安の高まり
経済成長率の低迷や失業率の上昇等、厳しい経済状況を経験する中で、現在の若者の間では、以前
の若者と比べ、自らの将来に不安を感じる者が多くなっている。日頃の生活の中で感じる悩みや不安
90
2000
10 12(年)
として、「今後の収入や資産の見通し」、「現在の収入や資産の見通し」等の経済面や、進学・就職・
結婚など自分の生活上の問題について悩みや不安を感じている者の割合は全年齢で高まっているが、
特に若者世代では他の年齢層を上回る高まりを見せている(図表 26)。
10
国土交通白書
国土交通白書
11
第2節
若者の意識の変化
若者の意識の変化
第
第
貯蓄と表裏の関係にある消費についても、将来に備えて支出を抑えようとする意識が見られる。
将来に対する悩みや不安
図表 26
第2節
「買い物でローンや借金はしたくない」と考える者の割合が 8 割を超える高い水準となっていること
章
今後の収入や資産の見通し
(%)
45
39.7
現在の若者の意識・行動の特徴
35
32.7
30
25
19.2
20
21.2
39.0
35
32.1
29.2
30
28.5
16.5
15.4
15.0
16.0
15 10.6
12.1
10.5
12.5
11.5
10
5
15
10
8.8
5
で効率的に情報収集をしながらお金を使っている様子がうかがえる(図表 29)。また、モノを他人と
31.6
共有して使用することについて、「コストが高いものについては共有でも構わない」と考える者の割
25.5
20
23.1
も 20 代・30 代で高くなっていること等から、身の丈以上のお金の使い方をせず、インターネット等
33.6
25
27.1
23.1
20 代
30 代
全体
17.7
17.0
16.6
7.4 5.4 8.7
5.5
5.8
5.0
5.3
14.2
6.4
合は他の年齢層よりも高くなっており、自分専用でモノを所有すること自体にはあまりこだわらず、
17.9
18.4
9.2
コストを下げながら利用しようとしていることが分かる(図表 30)。
17.3
11.6
図表 29
10.1
消費に関する価値観
「買い物でローンや借金はしたくない」
0
0
現在の若者の意識・行動の特徴
20 代
30 代
全体
40
1
や、「商品を買う前にまずインターネットで情報収集をする」と答える者の割合が、他の年齢層より
自分の生活(進学・就職・結婚など)
(%)
40
章
1
日頃の生活の中で、悩みや不安を感じているのはどのようなことについてですか。(複数回答)
あてはまる
1982 1987 1992 1997 2002 2007 2012(年)
1982 1987 1992 1997 2002 2007 2012(年)
(注) 1 将来の経済状況に関する項目として、1987 年以前の調査においては「今後の生活費の見通し」が、
1992 年以降の調査においては「今後の収入や資産の見通し」が設けられており、両項目を同義と見な
し集計している。
2 日常生活の中で「悩みや不安を感じている」と答えた者の割合に、悩みや不安の内容として「今後
の収入や資産の見通し」「自分の生活(進学・就職・結婚など)」を挙げた者の割合をそれぞれかけ合
わせることにより算出している。
資料)内閣府「国民生活に関する世論調査」より国土交通省作成
ややあてはまる
0
20∼30 代
[N=3089]
40∼50 代
[N=496]
60 代
[N=524]
あまりあてはまらない
20
40
あてはまらない
60
52.7
80
29.5
49.4
33.5
58.8
27.7
わからない
100(%)
2.8
12.2
2.7
3.0
13.1
1.0
2.5
9.9
1.1
資料)国土交通省「国民意識調査」
「商品を買う前にまずインターネットで情報収集をする」
(2)将来に備える意識の高まり
0
20∼30 代
[N=3089]
40∼50 代
[N=496]
60 代
[N=524]
現れている。「毎日の生活を充実させて楽しむ」よりも、
「貯蓄や投資など将来に備える」ことに力を
入れたいと考える者の割合は以前の若者世代よりも高くなっており、1 世帯当たりの平均貯蓄率を見
ても、全年齢平均の平均貯蓄率は 1989 年の 16.6%から 2012 年の 21.2%へと 4.6 ポイント上昇して
図表 27
将来に対する意識
図表 28
今後の生活において、貯蓄や投資など将来に備えることに力を入れたいと思いますか。
それとも毎日の生活を充実させて楽しむことに力を入れたいと思いますか。
21.1
20
11.7
10
-10
-20
-30
-1.4
1.3
-6.3 -7.0
-7.6
-26.0
-29.5
-7.3
-2.0
-5.0
9.7
-0.6
-1.3
1.8
-1.6
-21.7
-25.3 -25.8
25.7
20 ∼ 29 歳
12.6 17.4
11.2
6.5
10.7
4.6
40 ∼ 49 歳
-19.4 -20.3
-22.7
-27.2 -28.2 -28.2-24.1
-27.9
-30.3 -31.3 -27.9
-25.5
-29.5
-26.3
50 ∼ 59 歳
-59.7
-56.8
-66.5 -65.3
-65.5 -64.2
-80
-66.9 -69.2
-68.4
-74.8 -74.5
-65.6
-71.8 -72.0
-64.1
-78.2
-74.8
国土交通白書
28.8
17.3
46.6
15.1
0
20∼30 代
[N=3089]
40∼50 代
[N=496]
19.2
46.4
20
22.4%
100(%)
2.6
2.6
4.0
1.4
9.0
27.5
2.1
利便性が確保できるのであれば何でも共有して構わない
家族以外の他人とモノを共有したくない
40
16.5%
17.3%
60 代
11.5%
[N=524]
15.3%
18.9%
7.9%
7.4%
9.5%
60
80
100(%)
51.6%
59.5%
62.2%
資料)国土交通省「国民意識調査」
全年齢
40 歳未満
0
1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011(年)
60 ∼ 69 歳
70 歳以上
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012(年)
(注)
グラフの値は、「貯蓄や投資など将来に備える」から「毎日の生活を
充実させて楽しむ」の割合を引いた値
資料)内閣府「国民生活に関する世論調査」資料より国土交通省作成
12
21.2
17.0
10
5
-65.2
45.6
わからない
総 数
-57.4
-57.6
31.9
80
シェアに関する考え方
24.9
25
20
あてはまらない
60
コストが高いモノについては共有でも構わない
その他
30 ∼ 39 歳
16.0
-52.9 -51.9
-50
-70
(%)
15 16.6
-40
-60
21.0
13.7 10.7
-16.4
-28.4
-29.1
7.8
12.7
17.4
11.3
11.6
8.4
19.6
40
カーシェア等、モノを家族以外の第三者と共有する動きが見られますが、あなたの「シェア」に関する考え方は、以
下のどれに当てはまりますか。
30
(%)
30
0
図表 30
1世帯当たりの平均貯蓄率
(貯蓄性向)
あまりあてはまらない
20
資料)国土交通省「国民意識調査」
いるのに対し、40 歳未満の世帯では同じ期間に 17.0%から 24.9%へと 7.9 ポイント上昇している
(図表 27、28)
。
ややあてはまる
あてはまる
将来の経済状況に対する不安は、将来に備えようとする意識を生み出し、その意識が行動としても
(注) 1 平均貯蓄率=1 ヶ月平均貯蓄額 ÷1 ヶ月可処分
所得額
2 総世帯の勤労者世帯を対象
資料)総務省「家計調査」より国土交通省作成
(3)生活に満足している者の増加
このように、将来に備えて消費を抑制する一方で、現在の若者は満足度の低い暮らしを送っている
わけではない。
現在の若者が生まれ育った環境は、これまでの世代と比較して、物質的には遙かに充足した環境だ
と言える。1950 年代後半、「三種の神器」と呼ばれる白黒テレビ、洗たく機、冷蔵庫の家電三品目
が登場して以降、1960 年代後半には、「新三種の神器」と呼ばれるカラーテレビ、乗用車、ルーム
エアコンの普及が始まるなど、1950 年代後半からの高度経済成長期には、我が国の家庭にはこれま
国土交通白書
13
第2節
若者の意識の変化
第
で存在しなかった消費財が
次々ともたらされることと
章
1
な っ た。 冷 蔵 庫、 洗 た く
機、カラーテレビは 1980
現在の若者の意識・行動の特徴
年代には普及率がほぼ
100%となっており、現代
の若者にとってはこれらの
製品が存在することが当た
り前となっているほか、近
年は、スマートフォンやタ
ブレット端末など新たな製
品が登場しており、消費財
図表 31
耐久消費財の普及率の推移
(%)
100
90
80
電気洗たく機
カラーテレビ
70
携帯電話
乗用車
60
ルームエアコン
50
DVD レコーダー
40
30
20
ブルーレイ
スマートフォン
電気冷蔵庫
デジタルカメラ
10
0
1960
70
タブレット端末
薄型テレビ
パソコン
80
90
2000
10 12(年)
(注) 1977 年以前は各年 2 月末、1978 年以降は各年 3 月末の数値
資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「通信利用動向調査」より国土交通省作成
の種類や品質、その普及度
などから見た我が国の物質的な豊かさは向上
し続けていると言える(図表 31)
。
このような状況を反映してか、生活に満足
している若者の割合は増加している。
「国民
生活に関する世論調査」によると、現在の生
活に「満足している」又は「まあ満足してい
る」と回答した者の割合は、他の年齢層では
減少傾向又は横ばいで推移しているのに対
し、20 代・30 代の若者では上昇傾向にあり、
2012 年にはこの 30 年間で最高の水準となっ
ている(図表 32)
。
生活満足度の推移(1977 年=100)
図表 32
130
121
120
112
110
100
105
100
90
20 代
40 代
60 代
全体
80
70
1977
1982
30 代
50 代
70 代以上
1987
1992
1997
2002
2007
2012(年)
(注) 現在の生活に「満足している」、「まあ満足している」と答えた者
の合計の割合について、1977 年からの変化率をとったもの
資料)内閣府「国民生活に関する世論調査」より国土交通省作成
また、将来の生活水準について、
「今より
図表 33
将来の生活水準の意向
も生活水準を落としたくない」と考えるかど
うか尋ねたところ、
「とてもそう思う」と答
えた者の割合が他の年齢層より高くなってい
る(図表 33)。
将来の生活水準について、「今よりも生活水準を落としたくない」と考え
ますか。
とてもそう思う
あまりそう思わない
0
20∼30 代
[N=3089]
40∼60 代
[N=1020]
20
ややそう思う
そう思わない
40
国土交通白書
60
80
100(%)
0.6
47.1
38.5
12.4
40.8
10.5
1.7
1.4
0.5
46.6
資料)国土交通省「国民意識調査」
14
どちらとも言えない
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