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1 東広島市地域

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1 東広島市地域
1 東広島市地域
1 研究の内容及び連携体制
(1)研究主題
かんじる・かんがえる・つながる子どもの育成をめざして
∼みんなのために ありがとう∼
御薗宇幼稚園では,昨年度「豊かな心でたくましく生きるこどもの育成」
【かんじる・かんが
える・つながる】を研究テーマとして研究を行った。その中で御薗宇保育所を訪問し,細やかな
養護及び教育を保育参観するとともに,保育所保育指針も参考にしながら,発達段階に応じた基
本的生活習慣の定着のための取組みを見直した。また,御薗宇小学校とは,年3回の交流活動の
中でキーワードを子ども達に提示し,意識付け,交流活動においてよりスムーズなコミュニケー
ションのきっかけとなるようにした。さらに,小学校に対する親しみ・憧れの気持ちを膨らませ
るがことできるよう支援した。
今年度は,幼保小の三者で『みそのうトライアングル』を発足させ,
「様々な活動を通して,
他者への思いやりや善悪のとらえかたを発達させる」
「基本的生活習慣の形成を通して,子ども
の自立心をはぐくむ」の2点を共通目標とした。
昨年度の研究から一歩踏み込み,仲間の中の一人としての自覚をもたせることで,社会生活を
送るための礼儀・自分に与えられたことを最後までやり抜く責任感・約束を守る規範意識などの
道徳性の芽生えを培うことを研究の柱とした。また,
「集団の中での自分を意識すること」
「みん
なとの関係を保つこと」ができるようにしたいと考え,研究のサブテーマを「みんなのためにあ
りがとう」と設定した。
(2)研究仮説
「みんなのために」を意識させる環境を構成し,実践すれば,道徳性の芽生えを培うことにつ
ながるであろう。
(3)研究仮説の具体化
「みんなのために」を意識させる環境とは,自分の生活が他者の力を借りたり愛情を受けたり
様々な人とのかかわりの中で成り立っていることを知らせていくことである。そこで,①場の設
定の工夫,②カリキュラムの創造の2方向より「心の育ち」を図っていくことを考えた。
≪検証の視点≫
・場の設定の工夫は有効であったか(幼児・児童の変容により検証)
・カリキュラムの創造を図ることができたか(教職員の変容より検証)
(4)研究内容
① 研究構想図
生活に必要な習慣や態度を身に付け,意欲的に人とかかわる子
道徳性の芽生え・確立
みんなのために ありがとう
つながる
かんがえる
かんじる
教職員
幼児・児童・生徒
場の設定の工夫
カリキュラムの創造
交流活動
② 御薗宇地域の子どもの実態及び課題
御薗宇幼稚園,御薗宇保育所,御薗宇小学校
保護者アンケート項目
の子どもの実態を把握し,課題を明らかにする
ために,7月に保護者アンケートを実施した。
お子さんについて,あてはまるところに○印をしてください。
項 目
4
3
2
1
小学校学習指導要領解説道徳編(平成20年8
1 規則正しい生活をしている
月)」を参考に「人とのかかわり」に視点にア
2 思いやりのこころがある
ンケートを分析し課題を明らかにした。
3 感謝する心がある
4 責任感がある
(%)
「人とのかかわり」に関する集計結果
「人とのかかわり」に関する集計結果
100%
5 礼儀正しい
100
80%
6 自分の思い通りにならなくても我慢する
80
7 正直である
60
8 よいと思った事を進んで行う勇気がある
4040%
9 幼稚園・保育所・学校などで,みんなのものを大切に使うことができる
2020%
10 約束やきまりを守ることができる
60%
00%
4歳児
4歳児 5歳児
5歳児
《4∼とてもそう思う 3∼だいたいそう思う 2∼あまりそう思わない 1∼全くそう思わない》
責任感
責任感
小1
小1
小3
小3
小5
小5
礼儀 思いやり 思いやり
礼儀
③ 課題解決に向けての取組みの方向性及び研修計画
みそのうトライアングルでは,次のような方向で取り組むことを確認した。
○ 「思いやり」
「責任感」を含めた道徳性の育成のために,日々の生活の中で丁寧にかかわ
っていく。
○ 交流会などを通して,子どもとかかわる身近な人をモデルとし「思いやり」
「責任感」な
どの社会性をはぐくむ。
○ 「あいさつ」
「言葉遣い」
「動作」等の大切さが実感できるような,効果的な交流の在り方
を追究する。
○ 保育士,教職員の資質向上につながる交流や研修を実施する。
○ 家庭の教育力や地域力を生かす。
連携体制
広島県教育委員会
広島県教育委員会
東広島市教育委員会
東広島市教育委員
みそのうトライアングル
実行委員長
みそのうトライアングル実行委員会
御薗宇幼稚園長・教務主任・研究主任
御薗宇保育所長・保育主任
御薗宇小学校長・学年主任(1・5年)
御薗宇保育所
御薗宇幼稚園
御薗宇小学校
◆ 幼児数 160名
◆ 園児数 140名
◆ 児童数 296名
◆ 学級数
7学級
◆ 学級数
4学級
◆ 学級数 15学級
◆ 職員数
14名
◆ 教職員数
9名
◆ 教職員数 28名
◆ 1歳児から保育
◆ 4歳児から保育
2 幼児児童の交流活動
(1)みそのうトライアングル(第1回交流会)∼いっしょに あそぼう!∼
・日 時
平成 20 年 11 月 14 日(金)9:45∼11:00
・場 所
東広島市立御薗宇幼稚園 遊戯室他
・対象児
幼稚園年長児(70 名)
・保育所年長児(43 名)
・5年生児童(45 名)
交流の概要∼幼稚園・保育所の年長児・5年生児童がグループになり活動を行った。
①自己紹介タイム②コーナー担当者から説明③コーナー遊び(射的・輪投げ・鬼ごっ
こなど)④グループ意見交流⑤コーナー担当者より
「ようこそのみち」を作って
お客さんを気持ちよく迎えよう!
「おはようございます!」幼稚園中,
気持ちの良いあいさつが響き渡りました。
待っていたよ!
会いたかったよ!
みそのうトライアングル第1回交流会スタート!初めて会う同地域の友達に,ワクワク・ドキド
キの幼児と児童の出会い。
「一緒のグループはどの人かな?」
「一緒に何ができるかな?」と期待感
があふれていた。
司会者(5年生)を真剣に見ています。
〈はじめの会〉
早くなかよしになりたいな。
〈自己紹介タイム〉
グループごとにコーナー遊びを体験します!
絵本コーナー
トランプコーナー
この本,大好き!
同じ数字が2まいあるかな?
射的コーナー
輪投げコーナー
50 点取ったよ!賞状をプレゼントするよ。
しっかり,ねらってね!
幼稚園・保育所の幼児が5∼6人,5年生児童1名によるグループ編成により活動した。5
年生がリードしながら幼児の意見を聞きだし,まとめていく姿に憧れの気持ちを強くもった
幼児達であった。コーナーでは,手作り教材が用意されており,自分達のために準備を進め
てきた5年生に感謝の気持ちをもつことができた。
みそのうトライアングル題材の流れ
第1回交流会(平成20年11月14日)題材の保育・学習計画∼みそのうトライアングル∼
幼稚園・保育所の保育活動
小学校の学習活動と評価規準
○保育活動 ●ねらい
○学習活動 ●評価規準
○小学校5年生に自分たち
の好きな遊びや生活の様
子を伝えよう。
●明るく伸び伸びと行動し,
充実感を味わう。
【健康 ねらい1】
○「ようこその道」を作ろう。
●身近な人と親しみ,かかわ
りを深め,愛情や信頼感を
もつ。
【人間関係 ねらい2】
全体の共通活動
幼稚園・保育所・小学校
のお互いの活動や生活の
様子を知ろう。
共通のリズム遊び「たのし
いね」を踊ろう。
グループの名札を作ろ
う。
(グループの友達の名
前を知ろう。
)
○交流しよう。
●身近な人と親しみ,かかわ
りを深め,愛情や信頼感を
もつ。
【人間関係 ねらい2】
●自分の気持ちを言葉で表現
する楽しさを味わう。
【言葉 ねらい1】
●感じたことや考えたことを
自分なりに表現して楽し
む。
【表現 ねらい2】
○ふりかえりをしよう。
●身近な環境に自分からかか
わり,発見を楽しんだり,
考えたりし,それを生活に
取り入れようとする。
【環境 ねらい2】
交流しよう!
「一緒にあそぼう!」
○「5歳児」について知ろう。
●幼稚園・保育所の子ども達
がどんなことを喜ぶのか考
え,交流しようとする。
【課題設定・課題解決能力】
○交流の方法について考えよ
う。
●どんな交流内容にしたらい
いのか,
考え見通しを持ち,
計画を立てることができ
る。
【課題設定・課題解決能力】
●グループでの話し合いに積
極的に参加し,友達の意見
も取り入れようとする。
【自
他理解能力】
○交流しよう。
●グループで計画し,準備し
たことを実際に交流に役立
てることができる。
【計画実行能力】
●幼稚園・保育所の子ども達
に思いやりの気持ちを持
ち,相手の立場に立って考
え行動する。
【コミュニケーション能力】
ふりかえりをしよう。
次回(1月20日)の
○交流発表をしよう。
交流会へ期待を膨らま
●交流の振り返りを行い,
せる。
まとめることができる。
【課題設定・課題解決能力】
園内保育研修保育指導案
1 日 時
平成20年10月10日(金)10:10∼10:40
2 組 名
らいおん1組 5歳児(男児20名・女児15名)
3 保育場所
れんげ組保育室
4 題材名
みそのうトライアングル
∼ようこそ みそのうようちえんへ!∼
5 題材について
みそのうトライアングルの交流会を通して,幼稚園にて保育所・小学校5年生をお客様とし
て迎えるにあたり自分たちにできる事は何か,準備としてできる事は何か,考え行動していく
事により,気持ちのよいあいさつ・態度などの礼儀正しさの道徳性の芽生えを培う事ができる
と考える。また,
「ようこそのみち」作りを通して,協同的活動を仕組み,共通の目的に向かっ
て友達の思いを聞いたり力を合わせたりする楽しさを味わわせることができると思われる。
(1) ねらいと内容
○身近な人と親しみ,かかわりを深め,愛情や信頼感をもつ。
友達と楽しく活動する中で,
共通の目的を見いだし,工夫
したり協力したりなどする。
【人間関係 内容8】
【人間関係 ねらい2】
したいこと,してほしいことを言
葉で表現したり,分からないこと
を尋ねたりする。
【言葉 内容3】
親しみをもって日常のあい
さつをする。
【言葉 内容6】
(2)ねらう子どもの姿
○ 交流活動を通して,礼儀正しさを身に付ける。
○ 保育所年長児や小学校5年生を,気持ちよくお迎えするために必要な行動ができるよう
になる。
(3)題材の保育計画 全8時間
9月(第4週)3時間
流
れ
小学校5年生に自分たち
の好きな遊びや生活の様
子を伝えよう。
○はじめの会・終わりの会
○おひさまタイム
○給食当番・給食時間
○交流会でするダンス
「楽しいね」
10 月(第1・2週)1時間
10 月(第4週)4時間
小学校1年生の先生から生活
の流れ・勉強についてなど話
を聴こう。
らいおん1組・2組で
の協同制作をしよう。
★ようこそのみちを
作ろう。
保育所の友達・小学校
5年生を気持ちよくお迎えす
る「ようこそのみち」を作ろ
う。
11月14日に気
持ちよくお客さん
を迎えよう。
(4)幼児観
担任が5年生の授業の中で,幼稚園の生活の様子や遊びを紹介した事で,自分達のことを
5年生がどのように言っていたか知りたい発言が多かった。また,反対に小学生は一日をど
のように過ごし,どのような勉強をしているのか疑問の声が上がった。そこで,10月2日
に小学校1年生の先生を招き,1年生の持ち物や生活の様子などの話を聞いたり,教科書が
入った状態のランドセルを背負う・今の1年生が使っている教科書やノートを見る・ひらが
なプリントにチャレンジしたりするなどの活動に興味津々であった。一年前,一緒のクラス
だった 1 年生の成長した姿に来年度の自分の姿を重ね,憧れの気持ちを強くした。しかし,
先生をお迎えをする際には,自分から進んであいさつをしない・わざわざ自分たちのために
授業の時間を割いてきてくださったことへの感謝の気持ちが薄いなどの姿が見られ,礼儀正
しさに課題が見られた。
(5)指導観
11月14日の交流会では,5年生が計画・準備した遊びコーナーを保育所の友達とグル
ープで回り,触れ合っていく活動を仕組む。しかし,ただ,
「楽しかった」という思いだけ
で終わらせたくない。今回,
「ようこそ,みそのうようちえんへ」の題材を通して,事前に
5年生の生活・授業の様子,保育所の幼児たちの生活や遊びの様子をビデオ等で観て知る事
により,親しみやすさ及びお迎えの気持ちを膨らませていきたい。自分たちの幼稚園に交流
のために来園された人たちが嬉しくなる・楽しくなる・来てよかったと思われる幼稚園にす
るために自分たちに何ができるか考え,友達と力を合わせて形にし,行動できるようにさせ
たい。お迎えの気持ちを相手に伝え,相手の嬉しくなる・楽しくなる思いを大切にすること
は,道徳性の芽生えの中の礼儀正しさにつながっていくと考える。身近な人と親しみ,かか
わりを深め,愛情や信頼感をもつ事ができるように活動を仕組んでいきたい。
6 本時のねらい
○ 保育所年長組・小学校5年生をお迎えする心を膨らませ,どのように行動する事が相手
を気持ちよくさせるか考えることができる。
○ 段ボール紙や段ボール箱を用いてどのような「ようこそのみち」が作りたいか話し合う
ことができる。
7 準備物
パソコン・スクリーン・プロジェクター・ダンボール紙
ダンボール箱・ローラー・スポンジ・筆・タンポ・絵の具
8 展 開
保育活動
10
:
10
か
ん
じ
る
/
10
:
15
か
ん
が
え
る
/
10
:
30
つ
な
が
る
○環境構成 ◎教師の援助
評 価
評価の方法
・小学校5年生の生 ○パソコン・スクリーン・プロジェクターの設
置をしておく。
活・勉強の様子・
保育所の友達の生 ◎5年生・保育所の友達の様子を映像で知らせ 興味を持って 注 目 し て い
る事により,
「会いたい」気持ちを膨らませ 映像を見てい たか
活・遊びの様子を
たか。
ていく。
見る。
・幼稚園に来られる ○11 月 14 日の交流会に向けてのカウントダウ
ンカレンダーを見せる事で意識付けていく。
お客さんを気持ち
よくむかえるのは ◎親しみをもって進んであいさつをする。
どうしたらよいか ○遠路幼稚園に歩いてこられた事に気付かせ
て感謝の気持ちをもつことができるようキ
話し合う。
ーワードを掲示する。
具体的なあい 発言・表情
さつ・言葉を
考えていた
か。
ようこその みちをつくろう!
・作りたい「ようこ ◎保育所年長組や小学校5年生は初めての御 何が作りたい 発言・表情
薗宇幼稚園来園であることを知らせ,お迎え か考えていた
そのみち」を話し
か。
の気持ちが膨らむようにしていく。
合う。
◎門から遊戯室までお客様が戸惑わず,会場と
なる遊戯室に楽しく行くにはどうしたらよ
いか投げかける事で,
「ようこその道」作り
へと共通の目的意識を見出すきっかけとす
る。
◎個々のイメージに共感することで,道作りへ
の活動意欲を高めていく。
・
「ようこそのみち」 ○ローラー・スポンジ・筆・タンポなどの道具 段ボール箱の 態度・表情
を使って,ダンボール箱を塗る活動を通して, 色塗りをして
をつくる。(ダン
交流会までの造形活動へ期待を膨らませる。 いたか。
ボール箱に色を
塗る。
)
環境
《 板書計画 》
ようこそ!みそのうようちえんへ!
キーワード おはようございます!
あいたかったよ!
ありがとうございます! よろしくおねがいします!
プロジェクター
スクリーン
パソコン
ようこそのみちをつくろう!
C
C
C
みそのうトライアングル指導案
第 1 回交流会(平成 20 年 11 月 14 日)本時の保育活動∼みそのうトライアングル∼
1 幼稚園・保育所のねらい∼○ 幼稚園年長児・保育所年長児がグループになって一緒に5年
生が用意した遊びコーナーにチャレンジすることができる。
○ 気持ちのよいあいさつができる。
2 小学校の目標∼幼稚園や保育所の子ども達に思いやりの気持ちをもち,相手の立場に立って
考え行動する。
3 本時の展開と評価
幼稚園・保育所の評価の観点
●あいさつを進んでして
いたか。
●相手に聞こえる声で話
をしていたか。
●目を見て話を聞いてい
たか。
●グループの友達と一緒
に行動していたか。
●順番を守っていたか。
●遊びのルールを守って
いたか。
●親しみを持つことが
できたか。
●キーワードが言えた
か。
●次に,会うことを楽し
みにする発言があっ
たか。
保育活動・学習活動
1 はじめの会をする。
(司会5年生)
・お迎えの言葉
・校長先生・園長先生の話
・グループごとの自己紹介
・リズム遊び「楽しいね」
・遊びコーナーの説明
一緒に遊ぼう
2 グループでコーナー遊び
をしたり,グループで行動
したりする。
3 終わりの会をする。
・グループで感想を話し合
う。
・感想を発表する。
グループから
コーナー担当から
・所長先生の話を聞く。
・お礼の言葉を伝える。
小学校の評価規準
●グループで,計画し,準
備したことを実際に交
流に役立てることがで
きる。
(態度・行動)
【計画実行能力】
●幼稚園・保育所の子ど
も達に思いやりの気持
ちをもち,相手の立場
に立って行動する。
(態度・行動)
【コミュニケーション能力】
●異年齢の集団の活動に
進んで参加し,役割と
責任を果たすことがで
きる。
(態度・行動)
【コミュニケーション能力】
●グループで計画し準備
したことを実際に交流
活動に役立てることが
できる。
(態度・行動)
【計画実行能力】
●異年齢集団の活動に進
んで参加し,
役割と責任
を果たすことができる。
(態度・行動)
【コミュニケーション能力】
場面考察シート
場 面
【第1回みそのうトライアングル交流会】∼A児の変容
子どもの様子
教師の読み取り
気持ち
援助
まわりの子どもの様子
かんじる/かんがえる/つながる
・グループでのコー ・日頃の生活では, ・子ども一人一人に ・グループ全体が穏
やかな雰囲気であ
したいことを聞く
順番がじっと待て
ナー遊び
ったため笑顔で一
(受容感)
,できて
ない,友達への冷
∼固定遊具めぐりか
つずつの活動に取
いることを褒める
たい発言が多いA
ら次の遊びに移る
り組んでいた。
(達成感)
,次は∼
児が穏やかに並
とき
したからもっと楽
び,友達の様子を
① 全員が遊び終わ
しくなる(展望)
見守り活動に取り
っているか確認
など5年生のかか
組んでいた。
する。
わりがあり,年長
② 次の遊びは何か
児は安心して活動
知らせて
「ヨーイ
に取り組むことが
ドン」
でワクワク
できた。
感をもちながら
移動する。
・ 小学生と保育所の友達を見送るとき最後までフェンス沿いで手を振っていた。今回の
交流会を通して優しくされて嬉しい,一緒に活動して楽しいという思いをA児が感じ,
かかわり方を考え,人とつながる感動体験をすることができたからだと思われる。
考 察
・ 活動後のクラスの話し合いで「みんなと一緒に遊んで楽しかった。
」と発言したA児。
特に,5年生の優しいかかわりが心に残った様子であった。5年生という身近なモデル
を見たことにより,憧れの気持ちを強くし,「僕もあんなお兄ちゃんになりたい。
」とい
う発言があった。今回の単元を通したねらい「身近な人と親しみ,かかわりを深め,愛情
や信頼感をもつ」ことが達成できたと思われる。
(2)みそのうトライアングル(第2回交流会)∼がっこうごっこをしよう!∼
・日 時
平成 21 年1月 20 日(火)9:45∼11:00
・場 所
東広島市立御薗宇小学校 体育館他
・対象児
幼稚園年長児(70 名)
・保育所年長児(42 名)
・5年生児童(45 名)
交流の概要∼幼稚園・保育所の年長児がグループになり模擬授業を体験。
5年生が先生役・幼児が児童役になった。小先生である5年生の話を聞いて,自分
の思いを表現したり,一緒に活動したりする中で,「楽しいな」
「自分もしてみたいな」
「どうしてかな」
「もっと知りたい」という知的好奇心を膨らませていった。
ありがとうございます!子どもた
ちもとっても楽しみにしています!
招待状です!小学校で待って
います!
みそのうトライアングル第2回交流会に向けて, 12 月 17 日に5年生代表から,
「がっこ
うごっこ」の招待状が届いた。年長児に招待状を見せると,
「また,会えるんだね」
「保育
所の友達,私たちのこと,覚えているかな」
「楽しみだね」という期待の声が聞かれた。そ
して,
「前より,大きな声であいさつをしよう!」
「前より,もっと話を聞くのが上手にな
ったところを見せたいな」など,なりたい自分へのイメージも膨らんできていた。2回目
の交流は,
「がっこうごっこ」であった。5年生は模擬授業の先生役として指導案の作成や
授業の組立てについての検討を重ね,先生役や児童役になって授業のリハーサルを行い,
幼児に分かりやすい言葉・活動は何か話し合い,準備を進めてきた。
幼稚園・保育所では,単元「ふしぎ みつけ」の中で,人とのかかわりだけでなく身近
な自然とかかわり,不思議発見を通して,
「もっと知りたい」
「もっと調べてみたい」とい
う知的好奇心を高めてきた。第2回交流会では,
「みそのうかるた」
「オセロ」など文字や
数字への興味・関心を膨らませる活動とともに,
「楽しくお掃除」
「国旗を知ろう」など身
近な物的・人的環境への感謝・畏敬の気持ちを膨らませることができた。感動体験を単発
に終わらせず,日々の生活につなげていく工夫を大切にしていく必要がある。
国語∼「みそのうカルタをしよう」
読み札を聞くとき,手は頭の上だよ!
算数∼「オセロをしよう!」
僕は何個,とれるかな?
体育∼「ボウリング やっほー!」
ピンをねらって,ねらって!
生活∼「たのしく おそうじをしよう!」
先生,拭き方はこれでいいですか?
ふりかえり∼グループでの話し合い
音楽∼がっきであそぼう!
みそのう列車,出発∼!
5年生が優しく教えてくれたので,うれ
しかったです!
5年生の感想文より∼幼稚園の子や保育所の子が,ルールを守ったり,実験を静かに見て
くれたりしたおかげで,すごい勇気をもらって授業をすることができました。1回目の授
業の時は,時間が少し余ったので,2回目には,空気でっぽうをもってきました。私たち
が不安だった「シーン」という時間はなく,楽しく笑顔で帰ってもらうことができました。
幼稚園児の感想より∼「下敷きで頭をこすったら,静電気で髪の毛が立つのが面白かった
です。でも,僕の髪だけ立たなかったのは,僕の髪の毛が短いからだと思いました。
」
「5
年生が優しく教えてくれたり頭をヨシヨシしてくれて嬉しかったです。
」
3 教員・保育士の連携
(1)合同研修でつながる
「みそのうトライアングル」として,幼保小が道徳性についての共通理解を図り,連携して子
どもの保育や教育を行うために,三者合同研修会を年間計画に沿って実施している。
広島大学大学院 准教授 朝倉淳先生を講師として定期的に招聘し,
「道徳性の芽生え」とそ
の支援について御指導いただいたり,幼保小それぞれの立場での意見交流を行ったりした。幼稚
園教育要領,保育所保育指針,小学校学習指導要領についての研修を行う中で,子どもの道徳性
の芽生えから確立していくまでには一貫したかかわりや指導が必要であることを全員が共通理
解することができた。
広島大学 朝倉先生
講演「道徳性の芽生え
をはぐくむ交流活動」
幼保小担当者による
意見交流・情報交換
「みそのうっ子 キラキラ10か条」の策定
みそのうトライアングル(育てたい子どもの姿)
就学前教育から小学校への滑らかな接続のた
松賀中学校10訓
めには,同じ方向で道徳性の芽生えをはぐくみ,
道徳性を育成しなければならないことから,保
育士や教師,そして子どもや保護者にもアピー
ルする必要がある。
そこで,
「みそのうっ子 キラキラ10か条」
の策定となったのである。
御薗宇小学校は,生徒指導面で中学校と定期
的な連携をしている。小学校では,その連携校
である松賀中学校の「松中十訓」につながる生
御薗宇幼稚園・御薗宇保育所
御薗宇小学校
【松中10訓】
1
明るく元気な挨拶を
気持ちのよいあいさつをしよ
します
う
2
大きな声で返事をします
大きな声で返事をしよう
3
時間を守ります
チャイムの合図を守ろう
4
整理整頓をします
整理整頓をしよう
5
黙働流汗の清掃をします
すみずみまで掃除をしよう
6
7
8
9
10
人の話をしっかり聞きま
す
はきものをそろえます
社会のルール・松賀中学校
のルールを守ります
人の話を静かに聞こう
【みそのうっ子キラキラ10か条】
あいさつをしよう
名前を呼ばれたら返事をしよ
う
放送を聞いて動こう
(合図・指示を聞いて動こう)
自分の物・みんなの物を片づ
けよう
掃除をしよう
人の話を目を見て聞こう
自分の思いを伝えよう
使ったものはもとにもどそう
スリッパをそろえよう
生活の決まりを守ろう
生活目標を守ろう
頭髪・服装を正します
みなりを整えよう
3ない運動を徹底します
静かに移動をしよう
・廊下を走らない
・移動中騒がない
・移動中大声を出さない
活目標を設定していることから,幼児教育も人
間としての生き方を重視した中学校における道
徳教育へ受け継がれていくように長いスパンでの指導を視野に入れた。
早寝・早起き・朝ご飯・朝ウ
ンチをしよう
廊下を歩こう
幼保小連携が,中学校ともつながったことで,中学校に向けても子ども達の成長の見通しを
持つことができ,このトライアングルでめざす子ども像が指導者サイドにもさらに具体的にイ
メージできるようになったのである。
この「キラキラ10か条」を保育所,
幼稚園,小学校に掲示することにより,
教職員が常に意識することができると
考える。
ただし,幼稚園や保育所の実態に合わ
せ,改善するなどの工夫も今後必要であ
る。
みそのうっこ キラキラ 10か条
(2)ゲストティーチャーでつながる
幼稚園から小学校へ
幼保小交流会に向けて,事前にみそのうトライアングル実行委員会を開催し,互いの指導案を
もとに連携することを通して,単なるイベント的な交流活動ではなく,幼保小互いのねらいを明
らかにし,互恵性があるよう検討を重ねている。
小学校では,キャリア教育の視点で「みそのうタイム ∼御薗宇幼稚園・保育所と交流しよう
∼」
「新入学児を迎えよう」という単元において1学年・年間2回(6月・2月)
,5学年・年2
回(11月・1月)の交流を設定している。
総合的な学習の時間における指導計画と幼稚園・保育所における指導計画・保育計画を調整し
つつ,
「礼儀ある態度」
「対人的な葛藤状況や社会的課題解決場面において,より向社会的な方法
で解決する力」等の道徳性の芽生えを培うような交流会となるよう,三者が連携を図っている。
5年生の総合的な
学習の時間を参観
し,交流会のねらい,
児童の思考の流れ,
教師の指導方法の違
いなどを確認するこ
とができた。
泣いたらどうしたらいいんだろう。どんな遊びがいいのかなあ。
児童の不安や疑問に答えるため,5年生の
授業にゲストティーチャーとして参加した。
日常の様子を動画で紹介したり,幼児用イ
スや制服,玩具などの実物を提示したりしな
がら,児童が具体的なイメージをもつことが
できるようにした。
また,小学校教諭と連携しつつ,教材研究
をしたり指導案を作成したりすることは,幼
稚園教諭としての資質向上につながった。
小学校から幼稚園へ
幼稚園年長児を対象に,交流会への期待感と目的意識を膨らませていくために御薗宇小学校1
年担任教諭をゲストティーチャーとして招聘し,小学校生活や児童の様子について説明していた
だいた。
子ども達は,児童との交流は経験しているが,小学校教諭から直接説明を受けることは初めて
の経験である。
小学校教諭から説明を受けることにより,幼稚園生活と小学校生活の違い,学習方法と保育活
動の違い,指導スタイルの違いなどを理解することができた。
それぞれ違いはあるものの,めざす子ども像やつけたい力は同じであることやより滑らかな接
続のためには,幼稚園・小学校のカリキュラムをつないでいく必要があると考えた。そこで,接
続期カリキュラム(年長児10月∼1年生7月)を「みそのうカリキュラム」として作成した。
まず,小学校1年生シラバスと幼稚園指導計画第7期・8期を比較し,内容の系統性を図ったの
である。そして,カリキュラムに沿って実践をしていく中で,次の3点を課題とした。
① 実践しながらカリキュラムへのフィードバックをすること
② 教師の指導と子どもの発達の相互関係を意識すること
③ 年間指導計画も視野にいれて改善すること
平成20年度みそのうカリキュラム
小学校第1学年≪4月∼7月≫
幼稚園≪7期・8期≫
・ゆうぐ
・遊具に挑戦する
健
遊
・わらべ歌遊び(あぶくたった)
び
・ルールのある遊び(リレー)
体 ・おにあそび
育 ・リレー遊び
・ドッジボール,サッカー
康
生
活
・ドッジボール
・うがい・手洗いで風邪を予防する
人間関係
学 ・登下校のしかた
級
・健康な体
指
導 ・はやね はやおき 朝ご飯
・朝うんちをして登園する
・交通のルールを守る
・友達と考えを出し合って決まりを
○じぶんでたんけん
作り,守って遊ぶ楽しさを味わう
・がっこうたんけんをしよう
・身近な人に感謝の気持ちをもつ
生
(幼稚園との交流活動)
活 ・みつけたことをおしえあおう
・仲良し花育て(異年齢の友達と球
環境
根を植え,声をかけたり成長を観
○そとにいこうよ
察したりする)
・くさばなであそぼう
・秋の自然に十分触れ,変化を楽しむ
・春の訪れに気付く
・友達の前でも恥ずかしがらずに自
○うれしい ひ
道 国
語
分の経験などを話す
☆母音の発音 ☆運筆練習
言語
・絵本や童話に親しみ,言葉の面白
○ともだち
さに気付き使って楽しむ
る
・生活や遊びの中で文字や数に関心
を持つ
・友達と文字や数遊びをする
・様々な素材を用い,自分なりに工
夫してかいたりつくったりするこ
とを楽しむ
表現
・卒園制作,ありがとうメッセージ
を作成する
・友達と一緒にうたったり,リズム
に合わせて体を動かしたり合奏し
たりする
おはなし ききたいな
○あいうえおのうた
・新年の挨拶をする
・自分で読みたい本を決めて読書す
はきはき あいさつ
徳
1 10までのかず
算 2 なんばんめ
数 ◆ かずさがし
3 いくつといくつ
4 たしざん
図 ○せんせいあのね
画
工 ○どんどんかいちゃおう
作
○うたでともだちをつくろう
音 ・うたいながらなかよしになろう
楽 ○おんがくにあわせてあそぼう
・てびょうしにあわせてあそぼう
・おんがくにあわせてからだを
うごかそう
(3)幼稚園と保育所がつながる
○ 保育所保育指針,幼稚園教育要領の共通理解
○ 交流活動のねらい・活動内容の共通化
○ 小学校生活を見据えた「めざす子ども像」の共通化
・ 自分でできることを自分でするために,発達段階を
踏まえて環境構成を細やかに工夫していた。
・ 「キラキラ 10 カ条」を子ども達の力にするために
具体的な指導内容を確認し合った。
(4)幼保の教育・保育と小学校教育をつなぐ
小学校との滑らかな接続のためには,特に年長児後半から1年生7月までの期間が重要となる。
そこで,入学間もない4月から5月の間に小学校1年生の授業参観,情報交換を実施している。
また,保育や活動が小学校の教育にどうつながっていくのかを常に意識することにより,教師も
小学校教育への見通しをもった教育ができると考えた。
小学校教育とのつながり(御薗宇幼稚園 8期指導計画より)
幼稚園指導計画
小学校の教科・領域の評価の観点
道徳
○ 小学校・保育所・未就園
幼児の遊び・生活
生活
児との交流会
国語
○ ルールのある遊び
気持ちのよい挨拶,言葉遣い,動作
生活への関心・意欲・態度
身近な環境や自分への気付き
話す・聞く能力
言語についての知識理解
算数
数量や図形についての表現・処理
音楽
音楽的な感受や表現の工夫
図画工作
創造的な技能
体育
運動の技能
4 保護者・地域とのかかわり
「み」
「そ」
「の」
「う」地域の標語の発信
子どもは,やがて地域や社会の一員として生きていくことを考え,子ども達の心を継続して育成
していくために,保護者や地域を巻き込んでの標語募集を行った。
「みそのう」の4文字を言葉に入れた標語作成に,保護者も関心をもち多数の応募があった。応
募作品は幼稚園,保育所,小学校はもちろん公民館にも掲示したり,園だより等で知らせたりする
ことを通して広く地域へも発信することができた。
また,最優秀賞の作品をポスターにし,各家庭への配布とともに,幼稚園・保育所・小学校・公
民館への掲示を行い,
「キラキラみそのうっこ」の標語が御薗宇地域の住民へ広く,深く浸透して
いくようにしている。
5 その他(日々の保育)
幼児の道徳性の芽生えをはぐくむためには,まず,教師の幼稚園内での日々の丁寧なかかわりが
必要絶対条件となる。幼保小連携での取組みとの相乗効果により,心の育ちを支えていくことがで
きるのである。
そこで,本園においても様々な場面で「礼儀」や「思いやり」
「きまりを守る態度」などの育成
のための保育を心がけている。
「かんじる」
「かんがえる」
「つながる」子どもをめざしている。
(
「道
徳性の芽生えにおける環境プログラム」参照)
おはようございます。
挨拶や係の子どもからの健康観察の報告
など,必ず子どもと同じ目線で応じるようにし
ている。
「みそのうっ子キラキラ10カ条」及び標語
を生かして,意識統一しながら,子どもの保
育をしている。
おはようご
ざいます。
おはようございます。
れんげ組です。今日の欠席はありません。
はい。
わかりました。
はじめの会や終わりの会では,全員に
聞こえる声で、お話をする。挨拶や返事
の仕方,相手を思いやる心を学んでい
る。
友だちの話を大切に聞きます。
ルールのある遊びで学びます。
道徳性の芽生えにおける環境プログラム
道徳性の芽生え
自分が好き
≪自分のこと≫
友達が好き
≪他者のこと≫
あたたかいな
≪自然のこと≫
ありがとう
≪社会のこと≫
◎自己発揮
◎ にこにこタイム
◎栽培活動
◎ルールとマナー
・おひさまタイム
・みんななかよし
・玉ねぎ・さつま
・人とのかかわり
・チャレンジタイ
・ごっこあそび
ム
・地域との交流活動
芋栽培・収穫
・ものとのかかわり
・なかよし花育て
・こととのかかわり
(二人で一鉢)
◎表現活動
・言葉のそだち
・造形活動
◎基本的生活習慣
◎みそのうトライア
ングル
・ピカピカタイム
(石・草)
・保育所との交流
◎ありがとう活動
・ありがとう大作戦
・ありがとうメッセ
・1年生との交流
◎飼育活動
・5年生との交流
・掃除
ージ
・ありがとうの会
・えさやり活動
の確立
・元気カード
◎役割活動
・保健指導
・運動会
・安全指導
・未就園児との交流
・触れあいタイム
◎日本への関心
・身近な生き物
・和文化
・社会の事象
・当番活動
信頼される幼稚園
○幼稚園評価の導入・取組みによる評価と
改善
○地域・保護者とともに創造する幼稚園教育
の推進
○情報発信・情報受信
教育力を高める
○発達の道筋に沿った幼児の内面理解
○マネジメントサイクルを取り入れた指導
計画と評価に基づいた改善
○環境構成・教材研究を追及する研修
6 成果と展望
みそのうトライアングル交流実践に基づき,仮説検証のポイントに沿って,本研究を考察する。
<研究仮説>
「みんなのために」を意識させる環境を構成し,実践すれば,道徳性の芽生
えを培うことにつながるであろう。
(1)成果
① 場の設定の工夫は有効であったか(幼児・児童の変容から)
○ ねらいの明確化
幼稚園・保育所・小学校の三者が,互いの指導案を持ちより,一つの指導案を作成してい
くことにより,ねらいが明確になり,幼児・児童がそれぞれ主体的に活動できる場の設定を
工夫することができた。
○ 交流活動の充実
教職員の変容
・ 教師は指導者及び支援者として,信頼関係を元に,必要な教育環境を整えることができ
た。
・ 教職員が「道徳性のめばえの5つの要素を統合しながら幼児・児童の発達を見ていくこ
とが重要である」という共通認識を持つ場を設定したことにより,幼児・児童の約束・礼
儀・責任感の向上につながる支援ができた。
・ 同年代の子ども同士では,以前はあまり聞くことがなかった「どうしたの?」
「だいじ
ょうぶ?」などの優しさあふれる言葉,話し方,笑顔など,児童の思いやりのある姿によ
り,道徳性の確立につながる交流の意義を感じることができた。
幼児の変容
・ 幼児の向社会的判断・行動を強化するために,5年生がモデルとなるような場の設定を
したことで,
「自分とは異なる他者の気持ちを理解しようとしたり,思いやりのある行動
をとろうとしたりする」道徳性の芽生えが培われてきた。また,学んだことを自分のもの
とし,未就園児との交流・年少児へのかかわり方へ生かそうとする姿につながってきた。
児童の変容
・ 児童が,幼児のあこがれや尊敬を浴びて,自己肯定感・自己有用感を高めるような場の
設定の工夫をすることにより,幼少の者をかわいがり,命の大切さや思いやりの心,人間
の素晴らしさなどを感得することができるようになった。
・ 相手の思いや考えを推測する場の設定を工夫することで,児童が幼稚園,保育所の子ど
も達を理解し,その子ども達に合わせた交流内容を考えること(P)
,交流の準備や実践
をすること(D)
,ふりかえりチェックすること(C)
,そして,次の活動へ生かすこと(A)
ができるようになってきた。つまり,5年生の児童は,PDCAのマネジメントサイクル
にそって活動できるようになったと言える。
○ 保護者アンケートから幼児の変容
「礼儀」
「約束」
御薗宇幼稚園年長児
平成21年1月
平成21年1月
平成20年7月
平成20年7月
0
20
よくできる
40
できる
60
80
100
あまりできない
0
できない
「責任感」 御薗宇幼稚園年長児
よくできる
平成21年1月
平成20年7月
平成20年7月
0
20
できる
40
60
あまりできない
80
20
40
できる
60
80
あまりできない
100
できない
「善悪の判断」御薗宇幼稚園年長児
平成21年1月
よくできる
御薗宇幼稚園年長児
100
できない
0
よくできる
20
40
できる
60
80
あまりできない
100
できない
幼稚園年長児保護者のアンケート結果では,①礼儀正しい②約束やきまりをまもることが
できる③責任感がある④よいと思った事を進んで行う勇気があるという4項目の肯定的評
価が高まっており,場の設定の工夫が有効であったことがわかる。
次の未就園児保護者・幼児・児童の感想からも,場の設定の工夫が有効であったことがう
かがえる。
第1回みそのうトライアングル交流会を終えて
★幼児の感想より
・ 5年生みたいに,もっと,小さい子に分かりやすく話をしてあげようと思いました。
・ 一緒にお話したり遊んだりして,楽しかったです。
★5年生の感想より
・ ルールを守ったり,話をちゃんと聞いたりしてくれて嬉しかったです。
・ 小さい子を喜ばせることができてよかったです。
第2回みそのうトライアングル交流会を終えて
★幼児の感想より
・ 5年生が先生になって,優しく教えてくれたり,
「上手だね」とほめてくれたりして,
うれしかったです。
・ 「たのしくおそうじしよう」で,僕がしぼった雑巾を5年生がもう1回絞ると,ま
だまだ,たくさん水が出てきたので,不思議でした。やっぱり,5年生は力が強いと
思いました。
★5年生の感想より
・ 私は,幼稚園や保育所の子が,みそのう小学校に入ってくるのが楽しみになりまし
た。幼稚園や保育所の子が小学校へ来たら,いろいろなことを教えてあげたいです。
・ 来年は,ちゃんと新1年生をむかえられるように,りっぱな6年生になって待って
います。
② カリキュラムの創造を図ることができたか(教職員の変容より)
接続期カリキュラム作成
幼稚園7期(10 月中旬∼12 月)8期(1月∼3月)から小学校1年生4月∼7月の活動と連
続したカリキュラムの作成を行った。また,幼稚園と保育所との7期・8期での共通単元「ふ
しぎ みつけ」の指導案を確認し合った。
今回は,入学時の指導を踏まえた「幼稚園と小学校」のカリキュラム及び見通しをもった「幼
稚園と保育所」の保育カリキュラムではあるが,合同で接続期カリキュラムを作成することに
より,学習内容・保育内容の一端を互いに理解し合うことへつながった。
教職員の資質向上
カリキュラムの創造をする機会を持つことで,幼保小相互の教材・授業の組み立て方法などに
ついて知り,指導力を高め合うという教師の資質向上へとつながった。
(2)今後の展望
「みそのうトライアングル」の組織化
教職員の連携・合同研修が不可欠である。前後の研修だけでなく,具体的な子どもの変容・
育ち・エピソードを交換し合い,
「御薗宇地域の子どもを全教職員で育てる」という連帯意識を
持つことが必要である。そのためには,共通の視点をもって場面を分析していくことも重要で
ある。今後も,キーワード・幼児や児童の変容をもとに「生きる力」をはぐくむ,
「確かな学力」
(知),「豊かな心」
(徳)
,
「健やかな体」
(体)の育成を図っていきたい。計画・実践・評価・
改善のマネジメントサイクルによる実施を行っていく必要がある。
小学校との接続の具現化
(ア)生活や学習の基盤づくり
幼児教育は,幼児期にふさわしい生活(感性を発揮する場)や遊びを通して,創造的な
思考(好奇心・探究心)や主体的な生活態度などの基礎を培うようにしていく必要がある。
幼児は遊びを通して,心身の発達にとって必要な経験を相互に関連させながら積み重ねて
いくので,保育者は遊びを通して学んだことが先行経験となり,その教育の成果が小学校
以降の生活や学習に生かされるようにしていくことが必要である。今後も,幼児期に培わ
れたものが小学校生活へとつながっていくように教職員が連携していくことが必要である。
(イ)意識のつながり
教職員が交流を深め,情報交換を密にしていくことが必要である。一年間の研修計画の
中に,教育観や教育内容・ねらい・行事・指導法などを盛り込み,理解を深めながら視野
を広げ,指導力を高めていくことが必要である。
(ウ)教育内容のつながり
幼稚園・保育所と小学校の教育内容に一貫性・連続性が必要である。そのためには,幼
児の生活の中で培われた心情・意欲・態度が基盤となり,その上に小学校教育が積み重ね
られていくよう道筋を明らかにしていくことが求められる。今後,保育活動と教科内容の
融合・接続カリキュラム作成と改善を,毎年行っていくことが必要である。
(3)来年度の方向性
○ 今年度からスタートした幼保小の交流活動を単発のものに終わらせないためにも,実行委員
が中心となり,各組織においてトライアングルの必要性と成果を広く知らせていく。
○ ねらいに応じて教職員の小グループ化を図り,組織の改編を視野に入れて,話し合いを進め
ていくようにする。
○ 課題を元に指導計画を練り直す会を定期的に計画していく。計画・実践・評価・改善のマネ
ジメントサイクルを実践していく。
○ 中学校あるいは高等学校へのアプローチを行い,みそのうトライアングルの輪を広げていく。
みんなのために ありがとう!
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