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山鹿市工業振興ビジョン(PDF文書)
山鹿市工業振興ビジョン 平成24年2月 山鹿市 目 次 企業誘致の総論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 企業誘致の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 現状分析編 1.山鹿市の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 1-1.山鹿市の概況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 ①地理的位置と地勢・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 ②地域発展の歴史的変遷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 ③人口の推移と流動状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 ④産業別就業人口・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 1-2.山鹿市産業の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 ①産業構造の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 ②工業構造の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 ③企業立地の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 ④商業(卸売・小売業)の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・8 ⑤農林業の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 ⑥ 観 光 業 の 状 況 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 10 1 - 3 . 山 鹿 市 の 産 業 立 地 環 境 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 11 ① 交 通 ・ 輸 送 条 件 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 11 ② 主 な 工 業 団 地 ・ 産 業 用 地 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 12 ③ 産 業 用 地 需 要 と 新 た な 候 補 地 の 比 較 に つ い て ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 14 ④ 周 辺 地 域 の 工 業 団 地 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 16 ⑤ 教 育 ・ 研 究 機 関 、 産 業 支 援 機 関 等 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 18 ⑥ 都 市 ・ 生 活 環 境 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 19 2 . 社 会 経 済 環 境 と 産 業 立 地 動 向 の 変 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 20 2 - 1 . 全 国 的 に み た 社 会 経 済 環 境 の 変 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 20 ① グ ロ ー バ ル 経 済 の 一 層 の 拡 大 と 産 業 空 洞 化 の 進 行 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 20 ② 人 口 減 少 ・ 高 齢 社 会 化 の 進 展 と 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ の 衰 退 ・ ・ ・ ・ ・ 20 ③ 社 会 経 済 環 境 と 国 民 意 識 に お け る 潮 流 変 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 20 2 - 2 . 東 日 本 大 震 災 以 後 の 産 業 動 向 と 産 業 立 地 動 向 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 21 ①グローバル成 長 市 場 における域 内 生 産 拠 点 の増 強 ・拡 大 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 21 ② 新 た な 成 長 分 野 で の 国 内 立 地 の 展 開 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 21 ③新成長分野の共通基盤産業による事業再編や リ ス ク 分 散 に と も な う 拠 点 再 配 置 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 21 2 - 3 . 今 後 の 環 境 変 化 に 対 応 し た 地 域 産 業 振 興 の 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 23 3 . 山 鹿 市 の 産 業 立 地 環 境 の 評 価 と 工 業 振 興 の 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 25 3 - 1 . 企 業 側 か ら み た 山 鹿 市 の 産 業 立 地 環 境 へ の 評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 25 3 - 2 . 山 鹿 市 工 業 と 立 地 環 境 に 関 す る S W O T 分 析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 27 (財)中小企業総合研究機構による「山鹿市における食関連産業振興 プ ロ ジ ェ ク ト 実 現 支 援 事 業 」 の 報 告 に つ い て ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 29 4 . 山 鹿 市 に お け る 自 然 指 向 型 産 業 と そ の 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 29 4 - 1 . 自 然 志 向 産 業 と は ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 29 ① 一 次 産 業 に 直 接 関 連 す る 産 業 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 29 ② そ の 他 の 自 然 指 向 型 産 業 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 30 4 - 2 . 山 鹿 市 に お け る 自 然 指 向 型 産 業 の 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 31 ① 山 鹿 市 の 自 然 指 向 型 産 業 の 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 31 ② 内 発 的 自 然 指 向 型 産 業 の 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 31 5 . 植 物 工 場 の 概 要 と 国 内 の 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 33 5 - 1 . 植 物 工 場 の 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 33 ① 植 物 工 場 企 画 に 向 け て の 基 本 項 目 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 34 ② 植 物 工 場 設 置 時 の 検 討 項 目 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 40 5 - 2 . 国 内 の 植 物 工 場 の 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 42 ① 太 陽 光 人 工 光 併 用 型 植 物 工 場 の 先 行 事 例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 43 ② 完 全 人 工 光 型 の 先 行 事 例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 46 6 . 山 鹿 市 に お け る 自 然 指 向 型 産 業 振 興 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 51 6 - 1 . 山 鹿 市 に お け る 植 物 工 場 の 可 能 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 51 ① 地 域 に 適 し た 植 物 工 場 検 討 の 視 点 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 51 ② 設 備 か ら 見 た 施 設 園 芸 ・ 植 物 工 場 の タ イ プ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 53 ③ 商 品 分 類 か ら 見 た 施 設 園 芸 ・ 植 物 工 場 の タ イ プ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 53 ④ 植 物 工 場 経 営 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 54 ⑤ 植 物 工 場 参 入 に お け る 課 題 と 解 決 策 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 58 6 - 2 . 山 鹿 市 に お け る 自 然 指 向 型 産 業 の 総 合 的 振 興 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 62 ① 内 発 的 自 然 指 向 型 企 業 に 対 す る 支 援 施 策 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 62 ② 自 然 指 向 型 企 業 の 誘 致 施 策 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 64 ③ 自 然 指 向 型 企 業 の 連 携 支 援 と 六 次 産 業 化 支 援 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 65 ビジョン編 1.ビジョンの目標期間について・・・・・・・・・・・・67 2.誘致・立地企業の業種絞込み(重点的な誘致企業) について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67 3.企業立地支援策について・・・・・・・・・・・・・・69 3-1 .企業立地支援策・・・・・・・・・・・・・・・69 3-2.既存企業への支援策・・・・・・・・・・・・・70 3-3.企業立地用地の確保と開発適地の選定 について・・・・・・・・・・・・・・・・・・70 3-4.自然志向型産業に重点をおいた企業振興施策 について・・・・・・・・・・・・・・・・・・71 4.企業誘致体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73 企業誘致の総論 企業誘致の必要性 長 期 低 迷 する経 済 情 勢 や雇 用 環 境 の悪 化 、少 子 高 齢 化 や人 口 減 少 による 過 疎 化 が進 行 し、地 方 都 市 においては経 済 基 盤 が脆 弱 化 しており、大 都 市 と の格 差 も様 々な点 で拡 大 している。 また、労 働 力 の流 失 も多 くなっている傾 向 が見 受 けられ、地 元 で就 職 をした い若 者 が地 元 での仕 事 が見 つからず、市 外 、県 外 での仕 事 を求 めているケー スが多 くなっている。 このような中 、企 業 誘 致 や工 業 の振 興 は、多 くの雇 用 創 出 と若 者 の定 住 を 促 進 し、市 の活 性 化 に寄 与 する。また、進 出 企 業 と地 場 企 業 の取 り引 きの拡 大 や技 術 協 力 等 により、企 業 の共 生 と連 携 した発 展 が図 られ、地 域 経 済 の発 展 と税 収 増 が見 込 まれる。 しかしながら、新 規 の企 業 誘 致 は今 般 の経 済 情 報 下 においては厳 しい状 況 であり、自 治 体 間 の競 争 も激 化 している。 このため、地 域 の継 続 的 な経 済 の向 上 及 び安 定 を図 るためには、可 能 な限 りの地 域 特 性 を生 かした明 確 な企 業 誘 致 及 び地 場 企 業 育 成 のための戦 略 が 必 要 である。 また、企 業 誘 致 や地 場 企 業 の支 援 を全 庁 的 な取 り組 みとして強 力 に推 し進 める必 要 がある。 -1- 現状分析編 1.山鹿市の概要 1-1.山鹿市の概況 ①地理的位置と地勢 山鹿市は熊本県北部の内陸に位置し、面積は 299.67k ㎡。北は福岡県八女市・大分県日田市、 東は菊池市、南は熊本市・玉東町、西は和水町にそれぞれ隣接している。 本市は、平成 17(2005)年1月 15 日に旧鹿本郡の1市4町(旧山鹿市・旧鹿北町・旧菊鹿町・ 旧鹿本町・旧鹿央町)が合併して誕生したものである。 市域の中央よりやや南よりにある中心市街地(旧山鹿市)から南側(旧鹿本町、旧鹿央町)に かけては阿蘇山を源流とする一級河川菊池川が流れる平坦地であり、流域は田園地帯となってい る。また北部から北東部の県境付近は九州山地の一角である筑肥山地であり、北部(旧鹿北町) の福岡県との県境には女岳(596m) 、姫御前岳(514m) 、男岳(532m)が並び、北東部(旧菊鹿町) の福岡県・大分県との県境付近には国見山(1,018m)、八方ヶ岳(1,052m)といった山々がそびえ る山林となっている。 年平均気温は 16.7 度と比較的温暖な内陸性気候の地である。 図Ⅰ-1 山鹿市の地勢 -2- 田 14.7% その他 19.4% 畑 9.2% 宅地 5.0% 山林 51.6% 資料:熊本県地域政策課(平成 20 年) 図Ⅰ-2 地目別面積の割合 ②地域発展の歴史的変遷 山鹿市には千年以上の歴史を持つ山鹿温泉をはじめ5つの温泉があり、平安時代初期から温泉 郷として文献に名を残している。中世には、物資運搬を担う菊池川の流域において港を有する市 場を形成し、各地の産物の集散地として発展した。肥後熊本から豊前小倉に至る豊前街道が整備 された近世(16 世紀)にはこの中継地となり、白壁土蔵造りの家が立ち並び参勤交代の大名行列 が行き交う宿場町として栄えてきた。 明治期には、中心街にある細川藩の御前湯であった「さくら湯」が一般に開放され、公営浴場 として改修され開業。また、市民により設置された芝居小屋「八千代座」が開場し、植木~山鹿 を結ぶ山鹿温泉鉄道が開通するなど賑わいを見せた。太平洋戦争中も戦災の被害を受けずに済ん だことから、古い街並みが現在に至るまで受け継がれている。 戦後は車社会の進展に伴い、山鹿温泉鉄道が廃止となり、郊外に大型店が進出し歴史的な街並 みが残る中心市街地も空洞化の波にさらされることとなったが、八千代座、さくら湯を象徴とす る観光商業による地域活性化を目指す取り組みが市民の手により進められてきた。八千代座は庶 民の娯楽多様化とともに勢いを失い昭和 40 年代に一旦閉鎖されたが、衰退を憂慮した市民有志に よって復興運動が始まり、昭和 63 年には国重要文化財の指定を受け、平成8年から4年間に渡る 大改修で全盛期の姿に復原されている。一方、さくら湯は老朽化と中心部再開発のため昭和 48 年に解体され再開発ビル内での営業となっていたが、同ビルも中心部商店街の空洞化、空き店舗 の増加や設備老朽化、耐震補強問題など近年は存続が危ぶまれる状況となっていた。八千代座の 復興を機に歴史・文化の重みを大切にするまちづくりの機運が高まったこともあり、同ビル再生 事業に伴い、さくら湯の再生構想が浮上。往時に近い姿での再建が決定し、平成 24 年開業に向け て工事が進められている。 ③人口の推移と流動状況 山鹿市の長期的な人口の推移をみると、昭和 30 年代以降、当市の人口は減少し続けている。加 えて生産年齢人口の流出や少子化の影響等を反映して、高齢化率も熊本県(23.7%)、全国(20.1%) を上回る高い水準で推移している。 -3- 人口(人) 高齢化率(%) 100,000 80,000 35 28.9 76,209 67,910 26.3 64,029 60,991 61,910 62,839 63,234 62,150 59,491 22.8 60,000 57,726 25 55,402 19.2 16.5 40,000 8.4 20,000 10.5 11.9 20 15 14.9 13.5 30 10 5 0 0 昭和35年 昭和40年 昭和45年 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 資料:総務省「国勢調査」 図Ⅰ-3 人口と高齢化率の推移 山鹿市と周辺市町の間での通勤・通学人口の現状をみると、昼夜間人口比率は 1.0 をやや下回 り、流出人口の方が多い。就業・就学の地は、熊本市、菊池市が多くを占めている。 資料:総務省「国勢調査」 (平成 17 年) 図Ⅰ-4 資料:総務省「国勢調査」 (平成 17 年) 通勤・通学人口(流出) 図Ⅰ-5 通勤・通学人口(流入) ④産業別就業人口 産業別就業人口の構成をみると、第1次産業人口の割合が熊本県の約2倍、全国の約4倍と高 い割合になっている。特に比率が高いのは農業、林業である。 -4- 0% 20% 山鹿市 20.4 熊本県 全国 40% 80% 24.2 11.5 4.8 60% 100% 55.2 21.9 65.6 25.9 67.3 第1次 第2次 第3次 資料:総務省「国勢調査」 (平成 17 年) 図Ⅰ-6 産業別人口割合 1-2.山鹿市産業の概要 ①産業構造の特徴 産業別の事業所数と従業者数の構成をみると、全国及び熊本県と比べて、卸売・小売業やサー ビス業は、事業所数は多いが従業者数は少なくなっており、経営規模が小さいことがわかる。ま た、逆に医療・福祉は事業所数の割に従業者数が多くなっている。 表Ⅰ-1 事業者数、従業者数の産業別割合 山鹿市 熊本県 全国 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 農林漁業 1.7 1.2 1.2 1.3 0.6 0.6 鉱業,採石業,砂利採取業 0.2 0.2 0.1 0.1 0.0 0.0 建設業 10.2 7.5 10.3 7.5 9.7 6.9 製造業 7.1 17.0 5.4 12.7 8.9 15.6 電気・ガス・熱供給・水道業 0.2 0.3 0.2 0.4 0.1 0.5 情報通信業 0.3 0.2 0.8 1.1 1.3 2.7 運輸業,郵便業 2.2 3.9 2.4 4.8 2.5 5.7 卸売業,小売業 26.3 18.8 28.4 21.2 25.7 20.2 金融業,保険業 1.3 1.6 1.6 2.1 1.5 2.5 不動産業,物品賃貸業 2.8 1.1 5.3 1.9 6.8 2.5 学術研究,専門・技術サービス業 2.3 1.0 3.7 2.3 4.0 3.0 宿泊業,飲食サービス業 12.6 9.7 11.8 9.1 12.9 9.1 生活関連サービス業,娯楽業 11.5 5.6 9.6 4.6 8.5 4.4 教育,学習支援業 2.7 5.1 3.6 5.1 3.7 4.9 医療,福祉 8.0 16.7 6.7 14.5 6.2 10.2 複合サービス事業 1.5 1.9 1.1 1.1 0.6 0.6 サービス業(他に分類されないもの) 7.7 4.5 6.8 5.9 6.2 7.5 公務(他に分類されるものを除く) 1.5 3.7 1.0 4.2 0.7 3.0 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 資料:総務省「経済センサス-基礎調査」 (平成 21 年) ②工業構造の特徴 製造業の業種別構成をみると、全国及び熊本県と比較して、従業員数、出荷額ベースともに電 子機械器具が突出して高い割合となっている。秘匿分を含めると情報通信機械器具なども相応の 比率を占めていることがうかがわれる。 -5- 表Ⅰ-2 食料品 飲料・たばこ・飼料 繊維 木材・木製品 家具・装備品 パルプ・紙・紙加工品 印刷・同関連業 化学工業 石油製品・石炭 プラスチック製品 ゴム製品 なめし革・同製品・毛皮 窯業・土石製品 鉄鋼 非鉄金属 金属製品 はん用機械器具 生産用機械器具 業務用機械器具 電子部品・デバイス 電気機械器具 情報通信機械器具 輸送用機械器具 その他 製造業計 事業者数、従業者数、出荷額の産業別割合 山鹿市 従業者数 17.2 1.9 9.5 3.2 0.2 0.4 0.4 2.3 事業所数 27.2 3.3 4.3 5.4 1.1 1.1 2.2 2.2 8.7 1.1 0.0 7.6 2.2 7.6 6.5 1.1 2.2 6.5 2.2 3.3 4.3 100.0 出荷額 8.6 1.4 3.7 2.8 X X X X - 8.7 0.7 X 0.0 3.1 1.7 X 4.1 3.3 1.7 X 1.8 X 27.1 4.2 X 3.4 5.3 100.0 5.5 0.0 3.8 2.4 1.4 47.2 2.8 6.3 100.0 事業所数 25.3 3.5 7.7 6.7 2.7 1.4 5.3 1.7 0.7 4.9 0.6 0.1 8.0 1.2 0.6 9.0 1.3 5.5 0.6 2.2 3.2 0.6 3.7 3.4 100.0 熊本県 出荷額 従業者数 20.1 13.2 2.1 7.5 5.2 1.4 2.2 1.3 0.7 0.3 1.3 3.2 3.7 2.8 4.0 6.6 0.2 0.5 5.1 4.1 2.0 X 0.1 X 3.8 2.6 1.1 1.8 1.4 1.5 6.5 5.1 0.8 0.4 7.4 5.7 0.4 0.1 12.3 14.6 5.4 4.0 1.8 3.2 11.4 17.8 1.1 0.5 100.0 100.0 事業所数 13.2 1.9 7.3 3.0 3.1 2.9 6.3 2.0 0.4 6.2 1.2 0.8 4.9 1.9 1.3 13.0 3.4 8.9 2.1 2.1 4.3 0.9 4.9 3.8 100.0 全国 従業者数 14.5 1.3 4.0 1.3 1.4 2.5 4.0 4.5 0.3 5.4 1.5 0.3 3.3 2.9 1.9 7.6 4.2 6.9 2.8 6.0 6.2 2.8 12.3 2.1 100.0 出荷額 9.2 3.8 1.5 0.8 0.6 2.7 2.3 9.2 4.0 3.8 1.0 0.1 2.6 6.0 2.6 4.7 3.7 4.5 2.7 5.6 5.2 4.3 17.8 1.4 100.0 資料:経済産業省「工業統計」 (平成 21 年) 生産用機械 1.4% 飲料・たば こ・飼料 1.4% その他 20.4% 金属製品 2.4% 木材・木製 品 2.8% 輸送用機械 2.8% 繊維 電気機械 47.2% 3.7% 食料品 窯業・土石 8.6% 3.8% プラスチック 5.5% 資料:経済産業省「工業統計」 (平成 21 年) 図Ⅰ-7 山鹿市の製造品出荷額の産業別割合 ③企業立地の状況 平成 15~20 年の期間の企業立地状況をみると、立地件数は熊本県が全国の 1.8%、山鹿市を含 む有明・菊鹿地域が県内の 55.4%を占めており、順調な立地であったことがわかる。 表Ⅰ-3 件数 平成 15 年~20 年の累計の企業立地 有明・菊鹿地域 県に占める 実数 割合(%) 92 55.4 熊本県 全国に占め 実数 る割合(%) 166 1.8 全国 実数 9,101 資料:経済産業省「立地動向調査」 ※ 有明・菊鹿地域に含まれる市町村:荒尾市、玉名市、山鹿市、菊池市、合志市、玉名郡(玉東 町、南関町、長洲町、和水町) 、菊池郡(大津町、菊陽町)、旧鹿本郡植木町 -6- 表Ⅰ-4 年代 1950 1970 1980 1990 2000 山鹿市内の主な既存立地企業(●従業員 30 人以上、▲従業員 20~29 人) 企業名・事業所名 主な事業・生産品目 操業年次 ●㈱フォレスト 本社工場 住宅用パネル製造 昭和 25 年 ●千代の園酒造㈱ 清酒 昭和 29 年 ●小川食品㈱ 九州工場 菓子製造 昭和 45 年 ●オムロンリレーアンドデバイス㈱ 電子制御装置製造 昭和 47 年 ●㈱丸山ステンレス工業 金属加工製品製造 昭和 47 年 ●西南旭㈱ 布靴側布縫製品製造 昭和 48 年 ▲熊本小笠原工業㈱ 黒鉛鋳鉄製品製造 昭和 48 年 ●九州三和鉄軌㈱ アルミニウム・銅・銅合金鋳造 昭和 48 年 ●幡豆工業㈱ 九州工場 鋳鉄管製造 昭和 48 年 ●㈱ラ・モード 成人女子・少女服製造 昭和 48 年 ▲昭電子産業㈱ 電力制御装置製造 昭和 51 年 ▲㈲共栄製作所 電子部品製造 昭和 52 年 ▲㈱多賀製作所 電気機械器具製造 昭和 53 年 ▲米山産業㈱ 野菜果実缶詰 昭和 53 年 ▲㈱フォレスト 堂原工場 住宅用パネル製造 昭和 56 年 ●サンチェリー工業㈱ 寝具カバー類製造 昭和 61 年 ▲㈱城製作所 電子制御装置製造 昭和 62 年 ●㈲オーケイフーズ 食品加工卸 昭和 63 年 ▲㈱オガワコーン プラスチック製品製造 昭和 63 年 ●山鹿電機㈱ 電子機器製造 平成元年 ●フジクラプレシジョン㈱ 光関連製品・半導体検査装置製造 平成3年 ●㈱コーシン 自動車関係プラスチック製品製造 平成3年 ●㈱九州エフテック 自動車部品製造 平成6年 ●㈱地の塩社 石鹸・洗剤製造 平成6年 ●㈱ジェム 電子発生装置・有機肥料製造 平成7年 ●㈱エフ・マックス 生麺、調理麺製造 平成7年 ▲㈱侑秀システムサービス 金型製造、加工 平成8年 ▲㈱アステックコーポレーション九州 発泡スチロール製造 平成 10 年 ▲㈱佐々木冷菓 熊本営業所 アイスクリーム・冷凍食品製造 平成 11 年 ▲㈱タケダ 熊本事業所 金型・精密加工・組立・成形 平成 16 年 ●㈱サンチュウ 鹿央工場 通信機器基板製品製造 平成 17 年 ●シマノ熊本㈱ 釣具製造 平成 17 年 ▲㈱イワシタ イワシタフーズ山鹿工場 菓子・モナカ製造 平成 18 年 ●㈱ネクスト 熊本工場 金型製造 平成 18 年 ●㈱ニフコ熊本 山鹿工場 自動車部品製造 平成 19 年 ●三共ポリエチレン㈱ 九州事業所 ポリエチレン製造 平成 20 年 資料:山鹿市商工課 -7- ④商業(卸売・小売業)の状況 卸売業・小売業の現況をみると、全国・熊本県と比較して卸売業の事業所数、従業者数、販売 額ともに割合が少なくなっており、卸売機能を周辺市に依存していることがうかがわれる。 事業所数 11.0 89.0 100.0 卸売業 小売業 合計 表Ⅰ-5 事業者数、従業者数、出荷額の産業別割合 山鹿市 従業者数 11.5 88.5 100.0 販売額 25.6 74.4 100.0 事業所数 18.1 81.9 100.0 熊本県 従業者数 24.3 75.7 100.0 販売額 55.6 44.4 100.0 全国 従業者数 31.8 68.2 100.0 事業所数 22.7 77.3 100.0 販売額 75.4 24.6 100.0 資料:経済産業省「商業統計」 (平成 19 年) ⑤農林業の状況 農家戸数・農家人口・産出額いずれも近年は減少傾向が続いている。 (戸)、(人) 35,000 31,842 30,000 29,160 農家人口 25,044 25,000 22,071 20,185 20,000 15,000 10,223 8,924 10,000 5,000 18,217 基幹的農業従事者数 7,794 7,113 総農家数 6,505 5,577 6,481 5,642 5,088 4,741 5,005 4,607 4,221 0 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 資料:農林水産省「農林業センサス」 図Ⅰ-8 山鹿市の農家戸数と農業就業者数の推移 表Ⅰ-6 年次 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 農業産出額・農業生産所得 農業産出 生産農業 生産農業所得(千円) 額(百万 所得(百 農家一戸 耕地10a 円) 万円) 当たり 当たり 21,727 8,684 1,472 123 24,651 10,379 1,636 122 26,256 12,068 2,206 147 23,910 11,220 2,256 144 20,180 8,780 1,902 119 17,290 6,390 1,388 88 資料:農林水産省「生産農業所得統計」 農家の状況を見ると、総農家のうち販売農家が占める比率は 71.0%と、全国、熊本県と比べて も高い。販売農家の中では、第2種兼業農家の割合がやや高くなっている。 -8- 表Ⅰ-7 農業の状況 販売農家 の比率 896,742 64.5 20,389 69.5 1,225 71.0 総農家数 販売農家数 自給的農家数 全国 熊本県 山鹿市 2,527,948 1,631,206 66,869 46,480 4,221 2,996 資料:農林水産省「農林業センサス」 (平成 22 年) 0% 20% 山鹿市 37.0 熊本県 37.9 全国 27.7 40% 60% 80% 15.6 47.4 16.7 13.8 専業農家 100% 45.4 58.6 第1種兼業 第2種兼業 資料:農林水産省「農林業センサス」 (平成 22 年) 図Ⅰ-9 販売農家の専業・兼業別割合 農業の経営組織別に見ると、複合経営(主位部門が 80%未満の農家)の割合が全国及び熊本県 と比較して高くなっていることが特徴と言える。主な農産物は米のほか、近年はビニールハウス によるスイカ、メロン等の施設園芸が盛んである。その他、野菜、茶、筍、栗、しいたけ、菊、 葉たばこ等が栽培されている。 表Ⅰ-8 農業経営組織別農家割合 稲作 麦類作 雑穀・いも類・豆類 工芸農作物 露地野菜 施設野菜 果樹類 単一経営 花卉・花木 その他の作物 酪農 肉用牛 養豚 養鶏 養蚕 その他の畜産 複合経営 合計 全国 52.1 0.1 1.1 2.3 5.4 3.1 8.6 1.8 0.5 1.1 1.7 0.2 0.2 0.0 0.1 21.8 100.0 熊本県 34.8 0.1 1.2 2.3 3.7 10.6 11.7 1.8 0.5 1.3 2.8 0.3 0.2 0.0 0.0 28.8 100.0 山鹿市 31.4 0.0 0.2 1.5 1.8 10.7 6.1 1.8 0.1 1.1 1.8 0.2 0.3 0.0 0.0 43.2 100.0 資料:農林水産省「農林業センサス」 (平成 22 年) 林業は銘木鹿本アヤスギの産地であるが、法人化されていない経営体が 95.5%を占める。 -9- ⑥観光業の状況 歴史ある山鹿温泉をはじめとする5つの温泉があり、全国一の数を誇る装飾古墳群や古代山 城・鞠智城、方保田東原遺跡などの歴史的遺産が数多く存在し、8月に開催される山鹿灯籠まつ りなど多彩な観光資源を有しているが、その数は近年減少傾向にある。県外からの客は約半数で、 宿泊客は約1割となっている。 NHK朝の連続ドラマ「オードリー」 (平成 12 年)ロケ地となったことを契機に、観光ボラン ティアガイドが多数結成され活動している。 表Ⅰ-9 山鹿市の観光入込客の推移 (千人) 5,000 4,000 3,000 3,096 2,000 3,432 3,669 3,880 3,943 3,941 3,789 3,716 3,514 3,353 3,210 1,000 0 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 資料:熊本県統計年鑑(平成 21 年) 表Ⅰ-10 主な観光資源 名称 やまが温泉五湯郷 概要 山鹿温泉(さくら湯)、熊入温泉、平山温泉、菊鹿温泉、鹿本温 泉(水辺プラザかもと「湯花里」)の5つがある。県下1位の湧 出量を誇る。 八千代座(国重要文化財) 明治 43 年建設。市民運動により平成 13 年に保存修復工事が完了 し復興している。全国的にも希少となった伝統的な芝居小屋の様 式を持ち、歌舞伎公演、大衆演芸、コンサート、各種のシンポジ ウム等の文化活動の場として利用されている。 鞠智城(国指定史跡) 朝鮮式古代山城で、平成6年より歴史公園鞠智城・温故創生館と して整備が開始され、国営公園化を目指している。校倉造りの米 倉や兵舎、八角形鼓楼が復元され公開されている。 古墳群 チブサン古墳(国指定史跡) 、弁慶々穴古墳(国指定史跡) 、方保 田東原遺跡(国指定史跡) 、岩原古墳群(国指定史跡) 、鍋田横穴 群(国指定史跡)、隈部館跡等があり、県立装飾古墳館や市立博 物館、出土文化財管理センターにも資料を展示している。 山鹿灯籠まつり 毎年8月 15 日・16 日に行われる、大宮神社の祭。 「よへほ節」に あわせて、浴衣姿の女性たちが、金・銀の紙で作られた山鹿灯籠 を頭に載せて舞う、熊本県の代表的な祭りの一つ。灯籠は山鹿灯 籠民芸館、大宮神社・燈籠殿に展示されている。 - 10 - 1-3.山鹿市の産業立地環境 ①交通・輸送条件 国道3号が市街を南北に縦貫している。旧山鹿市内中心部で国道 325 号及び国道 443 号と接す る。九州自動車道が市の西部を通っているが、市内にインターチェンジはない。 国道 325 号は4車線化が進められている。山鹿市内では旧鹿本町来民から旧鹿本町梶屋(菊池 市境)までが整備中であり、平成 27 年3月末完成予定となっている。これにより、熊本空港への アクセス等、利便性の向上が見込まれている。他の主要国道、県道については現在のところ大幅 な整備の予定はないが、高規格幹線道路として南関 IC から山鹿市を通過して熊本空港に至る南関 インター熊本空港道路の整備計画がある。 市内に鉄道駅はなく、最寄り駅はJR九州鹿児島本線の植木駅か玉名駅である。平成 23 年3月 に九州新幹線が開通したことにより、新玉名駅経由で福岡市等へのアクセスも一段と向上した。 〔交通・輸送条件の概要〕 高速道路 ◆九州自動車道・南関IC(国道 443 号経由)から約 30 分 ◆九州自動車道・菊水IC(熊本県道 16 号玉名山鹿線経由)から約 15 分 ◆九州自動車道・植木IC(国道3号経由)から約 20 分 幹線道路 ◆熊本市まで約 45 分(国道3号経由) ◆国道3号沿いのバスターミナル「山鹿バスの駅」から各方向へのバス路線 鉄道網 ◆JR九州新幹線(鹿児島ルート)新玉名駅まで約 20 分 ◆JR九州鹿児島本線 植木駅まで約 20 分 ◆JR九州鹿児島本線 玉名駅まで約 25 分 空港 ◆熊本空港から車で約 45 分 ◆福岡空港から車で約 60 分 ◆佐賀空港から車で約 60 分 港湾 ◆熊本港から車で約 60 分 ◆三池港から車で約 60 分 - 11 - 図Ⅰ-10 山鹿市を中心とした広域交通体系図 ②主な工業団地・産業用地 山鹿市内には山鹿東部工業団地、堂原工業団地、若宮原工業団地、高橋工業団地、駄の原工業 団地及び吉井工業団地の6つの工業団地がある。いずれも農村地域工業等導入促進法(昭和 46 年法律第 112 号)第5条第3項第1号に規定する工業等導入地区の区域に指定されている。 〔主な工業団地・産業用地と立地企業〕 主要工業団地 ◆高橋工業団地(鹿本地域)1.6ha、昭和 48 年~、1社:西南旭㈱ ◆山鹿東部工業団地(山鹿地域)28.5ha、昭和 48 年~、10 社:九州三和鉄 軌㈱、㈱美加川製作所、㈲オーケイフーズ、㈱徳神、㈱九州エフテック、 ㈱地の塩社、㈱佐々木冷菓 熊本営業所、㈱フォレスト山鹿工場、㈱ネク スト熊本工場、㈱ニフコ熊本 山鹿工場 ◆駄の原工業団地(鹿央地域)3.1ha、昭和 48 年~、1社:幡豆工業㈱九 州工場 - 12 - ◆堂原工業団地(鹿北地域)2.3ha、昭和 56 年~、1社:㈱フォレスト堂 原工場 ◆若宮原工業団地(菊鹿地域)5.1ha、平成 10 年~、2社:㈱アステック コーポレーション九州 熊本工場、昇栄コーポレーション㈲ ◆吉井工業団地(鹿央地域)2.6ha、平成 20 年~、1社:三共ポリエチレ ン㈱九州事業所 産業用地・適地 ※新規の工場適地の確保・整備を準備中。 図Ⅰ-11 山鹿市内の既存工業団地と主な立地企業の位置 - 13 - ③産業用地需要と新たな候補地の比較について 導入対象業種を中分類別にあげてみると、食料品製造業、プラスチック製品製造業、金属 製品製造業、電気機械器具製造業、電子部品・デバイス製造業である。これらの業種の立地 原単位から算定すると、 2013 年から 2020 年までの山鹿市に必要とされる産業用地は、 約 10ha。 【10haの積算根拠】 有明・菊鹿地域では過去 5 年間で約 90 件の立地があったことから、2013 年から 2020 年ま - 14 - での山鹿市への立地件数を 8 件程度と想定する。この場合、工業統計からそれぞれの業種別 1事業所あたりの敷地面積の平均は、18,922 ㎡となり、 18,900 ㎡×8 社=151,200 ㎡ 工業団地への立地率を 50%とすると、 151,200 ㎡×50%=75,600 ㎡ 工業団地の場合、道路や共有施設等が含まれるので、有効率を 70%とすると 75,600 ㎡÷70%=108,000 ㎡ となり、約 10ha の用地開発が求められる。 山鹿東部工業団地 鹿央町外輪崎 若宮原工業団地 ゴルフ場計画跡地 森林組合横 イワシタフーズ横 面積 2.8 15.4 3.1 24.5 5.3 1.8 有効面積 2.5 10.7 2.8 10.0 3.7 1.8 交通インフラ ○ × △ △ △ ○ 進入道路 ○ × ○ × ○ △ 地価 △ ○ ○ ○ ○ × 造成工事の難易度 ○ × ○ △ × ○ 造成コスト ○ × ○ × × ○ 備考 すでにオート 2社が立地、農 キャンプ場が 工団地 立地 山鹿東部工業団 地 戦略的に導入を図る企業は、まちづくりの方向性として、国道3号線、325 号線、 443 号線に近接したエリアに集積させることが望ましい。当地は、既存工業団地 に隣接しているうえに、ほぼ平地であり造成も容易で有効率も高く、受け皿と しては適している。ただし、地価が高いことが懸念されるため、分譲単価を低 く抑えるために補助金等の措置が必要不可欠である。 鹿央町外輪崎 比較的大きな面積を確保することができ、すでに工場適地となっている。しか し、既存の産業集積地からかなり離れており、戦略的に導入を図る企業の用地 としては不適。地形的にも高低差がかなりあり、造成コストがかかる上に、法 面が多くなり、有効率が低い。また、オートキャンプ場がすでに立地している など、開発には不適。 若宮原工業団地 幹線道路から外れており、また進入道路が狭く急であり、戦略的に導入を図る 企業の用地としては不適である。しかし、農工団地として指定され、すでに2 社が立地、操業しており、最も早い開発が可能なことから、戦略的に導入を図 る企業以外で進出意向のある企業の受け皿とするべき。 ゴルフ場計画跡 地 幹線道路に近いが、アクセス道路を整備する必要がある。また、高低差がかな りあり、造成コストがかかる上に法面が多くなり有効率が低い。周辺も含めて ゼネコンが広く所有していることから、将来の大型案件のために現状維持。 森林組合横 幹線道路から離れるが、アクセスは良い。しかし、山であるため、造成工事が 難しい。敷地内で土量調節することが難しく、土砂の搬出をする必要があるた め、莫大な造成コストがかかると予想される。 イワシタフーズ 横 産業集積を図るゾーン内であり、かつ幹線道路沿いである。しかし、地価が相 当高いことが予想されること、かつ周辺の土地利用の現状から勘案すると、製 造業よりも商業、流通業の用地として活用を図るべきである。 - 15 - ④周辺地域の工業団地 山鹿市周辺の市町村にある工業団地は、以下のとおりである。 図Ⅰ-12 山鹿市周辺の工業団地の位置 〔分譲中・分譲予定の工業団地〕 団地名(所在地) ①荒尾産業団地(荒尾市) ②名石浜工業用地(長洲町) 事業主体 総面積(工業用地面積) 価格 残区画数/総区画 (独)中小企業 18.6ha(13.3ha) 基盤整備機構 3/14 熊本県 116.5ha(101.6ha) 5,490~8,820円/㎡ 11,200円/㎡ 2/24 ③蘇崎工業団地(菊池市) ④林原工業団地(菊池市) ⑤田島工業団地(菊池市) 菊池市土地開 27.1ha(21.7ha) 発公社 2/10 菊池市土地開 14.1ha(13.5ha) 発公社 1/8 菊池市土地開 14.9ha(10.9ha) 発公社 3/3 ⑥菊池テクノパーク(菊池市) 熊本県 ⑦熊本臨海用地(熊本市) 熊本県 12,900円/㎡ 12,900円/㎡ 9,900~12,900円/㎡ 約24ha 未定 現況:畑、山林等 2013年度販売開始見込 9.8ha 32,000円/㎡ 11/21 ⑧城南工業団地(熊本市) 熊本県 42.6ha(31.2ha) 15,400~16,900円/㎡ 6/13 10,500~10,900円/㎡ 貸付料年額418円/㎡ ⑨植木町今藤地区工業団地 熊本市 3.6ha - 16 - 2012年分譲予定 (仮)(熊本市) ⑩蓬原第2工業団地(合志市) ⑪原水工業団地(菊陽町) ⑫熊本テクノリサーチパーク 約6ha 2011年分譲予定 菊陽町土地開 24.7ha(18.0ha) 16,480~17,940円/㎡ 発公社 11/12 熊本県 41.3ha(18.3ha) 62,110円/㎡ 3/23 25,500円/㎡ 5.9ha(4.7ha) 17,000円/㎡ 2/3 12,300円/㎡ (益城町) ⑬白岩産業団地(御船町) 熊本県 貸付料年額592円/㎡ ⑭緑川工業団地(宇土市) 宇土市土地開 9.3ha(8.2ha) 発公社 3/15 ⑮花園工業団地(宇土市) 企業 1.9ha 25,000円/坪(要相談) ⑯大牟田テクノパーク(大牟 (独)中小企業 66.3ha(40.8ha) 5,660~7,800円/㎡ 田市) 基盤整備機構 3/23 ⑰下楠田工業用適地(みやま みやま市 1.1ha 市) 12,100円/㎡ 4,500円/㎡ 1/1 〔完売した工業団地〕 団地名(所在地) 事業主体 総面積(工業用地面積) 進出企業 ①南関東部工業団地(南関町) 民間企業 41.9ha(33.9ha) 5社 ②水野北工業団地(荒尾市) 荒尾市 5.3ha(4.2ha) 2社 ③菊池工業団地(菊池市) 3社 ④森北工業団地(菊池市) 4社 ⑤川辺工業団地(菊池市) 旭志村(当時) 8社 ⑥熊本北工業団地(菊池市) 9社 ⑦富の原工業団地(菊池市) 7社 ⑧永工業団地(菊池市) 1社 ⑨住吉工業団地(菊池市) 2社 ⑩フードパル熊本(熊本市) 熊本市、協同組合フー 25.7ha 24社 約17ha 6社 約14ha 12社 約8ha 15社 95.2ha(47.0ha) 18社 ドパル熊本 ⑪蓬原工業団地(合志市) ⑫合志工業団地(合志市) 合志工業団地協同組 合 ⑬栄工業団地(合志市) 栄工業団地協同組合 ⑭セミコンテクノパーク(合志市、 熊本県 菊陽町) ⑮熊本中核工業団地(大津町) 熊本県 65.8ha 10社 ⑯大津南部工業団地(大津町) 大津町 9.1ha(4.7ha) 4社 ⑰室工業団地(大津町) 企業 (29.3ha) 21社 ⑱鳥子内陸工業団地(西原村) 熊本県 22.4ha 11社 ⑲小森工業団地(西原村) ⑳城迫工業団地(小国町) 1.36ha 小国町 3.0ha(1.3ha) - 17 - 4社 ⑤教育・研究機関、産業支援機関等 山鹿市内には4つの高等学校、2つの専修・各種学校がある。それぞれ設置されている学科も 多岐に渡っており、様々な産業分野の企業に人材を供給していくポテンシャルを有している。ま た、隣接する菊池市にも3つの高等学校がある。 一方で、大学・研究機関や産業支援機関、公設研究機関等は市内にはなく、熊本市、菊陽町、 合志市といった近隣にその機能を頼ることになる。 〔主な教育・研究施設、産業支援機能等の概要〕 高等学校 ◆県立鹿本高等学校(山鹿地域)[普通科] ◆県立鹿本農業高等学校(鹿本地域) [施設園芸科・食品工業科・バイオ 工学科・生活科学科] ◆県立鹿本商工高等学校(鹿本地域) [商業科・機械科・電子機械科・情 報管理科・電気科] ◆私立城北高等学校(山鹿地域) [普通科・生活総合学科・商業科・社会 福祉科] ◆県立菊池高等学校(菊池市) [普通科・商業科] ◆県立菊池農業高等学校(菊池市) [農業科・園芸科・畜産科学科・食品 化学科・生活文化科] ◆私立菊池女子高等学校(菊池市) [普通科・家庭科・社会福祉科] 専修・各種学校 ◆鹿本郡市医師会付属准看護高等専修学校(山鹿地域) ◆松浦服装学院(山鹿地域) 大学・研究機関 ◆熊本大学(熊本市) ◆熊本県立大学(熊本市) ◆九州東海大学(熊本市) ◆尚絅大学(熊本市) ◆崇城大学(熊本市) ◆熊本学園大学(熊本市) ◆九州ルーテル学院大学(熊本市) ◆熊本保健科学大学(熊本市) ◆九州看護福祉大学(玉名市) ◆熊本県立技術短期大学校(菊陽町) ◆熊本高等専門学校(合志市) 産業支援機関・ 公設研究機関 ◆独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究セ ンター(合志市) ◆熊本県産業技術センター(熊本市) ◆熊本県農業研究センター(合志市) - 18 - ⑥都市・生活環境 山鹿市は、政令市移行を目指す熊本市と2つの政令市を擁する福岡県と境を接する県内で唯一 の市町村であり、両側の高次の都市機能や資源を利活用できる。 基礎的な住環境については良好な条件を備えており、生活に必要な地域公共交通として民間バ ス路線の維持や「やまが市街地循環バス」、「山鹿市あいのりタクシー」など新たな公共交通サー ビスの確保、ICTインフラの整備などの取り組みを進め、更なる住環境の向上につとめている。 〔都市・生活環境の概要〕 土地利用・都市 計画区域等 ◆市域の5割が山林で、次いで農地が 2.5 割と自然的土地利用が主体とな っている。宅地は5%を占める。 ◆山鹿地域で都市計画区域を指定。 ◆山間部を中心に保安林、河川流域沿いの農用地区域、山間部の一部を除 く用途指定外において農業振興地域を指定。 居住環境 ◆市内各地にある市営住宅、「かほく幸が丘」の宅地分譲 ◆中心部の都市機能集積地区では都市型住宅地として良好な居住環境の 形成、周辺部の住宅地では居住区間拠点として基盤整備の実施と既存ス トックの有効活用を推進。 各種都市施設 ◆山鹿地域、鹿本地域を中心に、教育施設や医療施設等の生活利便施設が 集積。山鹿地域中心部には「八千代座」「さくら湯」を中心に商業地を 形成。国道 325 号沿道にロードサイド型の商業施設が分布。 ◆7つの上水道「中村・南島・津留・三玉・方保田・堂ヶ原・小坂」と7 つの簡易水道「長生・才野・須屋・鹿北原・相良・菊鹿原・高橋津袋」、 あわせて 14 の水道水源がある。公共下水道の整備率は 80.4%。 ◆5つの温泉が点在する温泉地であり、宿泊施設 44 軒のほか、観光・レ クリエーション施設、公園、キャンプ場等が各地域に分布。水辺プラザ かもと、道の駅かほく小栗郷などの交流施設も充実。 - 19 - 2.社会経済環境と産業立地動向の変化 2-1.全国的にみた社会経済環境の変化 ①グローバル経済の一層の拡大と産業空洞化の進行 ◇震災以前から、新興国等の成長市場への生産シフトにより国内生産拠点の縮小・集約化等の立地 調整が進行。 ◇震災後に顕在化した電力供給不安や国内調達リスクの増大、世界的な財政金融不安にともなう 超円高局面の長期化等を背景に、産業空洞化の流れが一挙に加速しつつある。 ②人口減少・高齢社会化の進展と地域コミュニティの衰退 ◇すでに顕在化していた少子高齢化による人口減少社会への本格的対応が、医療・福祉、子育て 支援等の対人ケア分野をはじめとして国民生活の中心課題に。 ◇被災地域に集中的に現れた地域社会・コミュニティの衰退とこれにともなう人口流出~都市縮 小と限界集落化、“無縁社会”化等の社会問題が各地で深刻化しつつあり、これを克服するた めの協同連帯した取組みが地域レベルで進められつつある。 ③社会経済環境と国民意識における潮流変化 ◇福島第1原発事故を契機に、電力の固定価格買取制度の導入など“原発依存度”の低減に向け た再生可能エネルギーの導入・事業化への気運や電力等エネルギー利用システムのあり方につ いての関心の高まりが顕著。 ◇東京等への諸機能集中による事業継続上の脆弱性を克服するために、大規模災害時のリスク分 散(バックアップ体制の確立等)を指向した企業行動の高まりがみられる。 - 20 - 2-2.東日本大震災以後の産業動向と産業立地動向 ①グローバル成長市場における域内生産拠点の増強・拡大 ◇グローバル成長市場での域内生産シフトを進める自動車、電機(デジタル機器等)など大手メ ーカーの量産組立工場(完成車、最終製品等)については、近時の超円高局面を背景に、新興 国等での新設立地や既存拠点の増強増設投資が中心となっている。 ◇その一方、輸出競争力が低下した国内生産拠点では、設備投資の見直しや再編・集約化が相次 ぎ、立地縮小の方向が顕著となっている。 ◇これにともない、自動車・電機向けの部品・部素材等を生産供給する関連協力メーカーについ ても、顧客企業の現地生産拡大に随伴した近接地での生産拠点の増強や新設立地の流れが、中 堅中小企業を含めて加速されつつある。 ②新たな成長分野での国内立地の展開 [→別表参照] ◇原発事故を契機とする再生可能エネルギーの事業化機運を背景に、各地で大規模太陽光発電所 (メガソーラー)や風力・小水力発電施設、スマートグリッドを利用した分散型エネルギー利 用システムなど、環境・エネルギー分野での新規立地や開発計画が増加する方向にある。 ◇あわせて、今後の災害リスクの低減(減災)や超高齢社会の生活ニーズ等に対応した社会イン フラや住宅・都市施設の再整備に関わる機資材・システム等の生産・流通拠点も増強・新設が 進む方向。 ◇少子高齢化や地域社会の衰退にともなう社会ニーズに対しては、非製造業分野を含め、医療・ 健康(医療機器、病院・診療所等)や福祉介護(福祉用具、高齢者向け住宅等)などに関わる 社会再生分野での堅調な立地展開がみられる。 ◇また、消費者の健康志向・食の安全志向を背景に、農業・食品関連の新たな生産・流通システ ムに対応した拠点展開(民間出資による農業生産施設、農産物加工・流通施設等)や植物工場等 の新設立地が進む方向にある。 ③新成長分野の共通基盤産業による事業再編やリスク分散にともなう拠点再配置 ◇自動車・電機等の従来型生産体制を支えてきた先端部品・ユニット、部素材加工等の高度製造技 術を担う専門メーカーや中小製造企業など共通基盤産業群では、大手メーカーの海外シフトへ の対応が求められる一方、新たな成長分野に対応した事業体制の再編・再構築とも相まって、既 存拠点での集中生産リスクの分散を考慮した西日本等への新設立地など国内拠点の分散・再配 置が進む方向にある。 ◇こうした災害時の事業リスクを回避するための立地行動は、ICT関連等の非製造分野におい ても、クラウドコンピューティングの普及拡大に対応したデータセンターやBPO(業務代行 サービス)拠点の地方分散立地という形で進められつつある。 - 21 - 〔新たな成長産業分野における事業展開の動向〕 新成長産業分野 ■環境・エネルギー ■社会インフラ・システム ■農林漁業再生 ■医療・健康 ■福祉・介護 ■子育て支援 ■居住・生活支援 ■生活文化 ■芸術文化・コンテンツ ■地域文化・観光文化 主な事業展開分野 □再生可能エネルギー利用/分散型エネルギーシステム/ □資源リサイクル/バイオマス利活用/ □スマートグリッド/スマートコミュニティ/ □エコ住宅/省エネ家電・機器/蓄電池/次世代自動車/ □環境修復・浄化/環境調和型素材・製品/ □次世代交通システム(ITS)/都市新交通システム/ □水環境保全・管理/社会資本維持管理/ □コンパクトシティ/サステイナブル・シティ/バリアフリー化/ □防災・バックアップシステム/ □地産地消・食の安全/里山・森林等保全・活用/休耕地活用/ □農林漁業の6次産業化/農商工連携/植物工場/ □農産物直売・加工/地場産品開発/ □里山・森林等保全・活用/ □予防医療/ヘルスケア/運動サポート/ □先端医療(新薬、再生医療、無侵襲診断・医療等)/医療機器/ □遠隔医療システム/在宅医療支援サービス/ □精神医療/メンタルケア/ □福祉用具/福祉・介護ロボット/ □在宅・施設介護サービス/生活見守りサービス/ □高齢者向け住宅・モビリティ/バリアフリー化施設/ □ □幼保一元化施設・こども園(就学前保育・教育サービス)/ □認可外保育の共同化・効率化/家庭的保育施設(保育ママ)/ □共同保育/ベビーシッター/育児カウンセリング/ □ □住宅リフォーム(耐震・バリアフリー化等)/公営住宅改修/ □家事支援サービス(ホームヘルプ、配食、買い物支援等)/ □コーポラティブハウス/シェアハウス/ □ □ライフデザイン(食文化・住空間文化、生活雑貨等)/ □スローライフ文化/地方生活文化/コミュニティスクール/ □ファッション/アパレル・衣料/ □美術・造形アート/精神文化/ □ライブ・パフォーマンス系イベント/アミューズメント/ □映像ソフト/メディア・デジタルコンテンツ/ □歴史・風土・景観文化/地域ブランド/ □グリーンツーリズム/エコツーリズム/産業観光/ □歴史的建造物・街並み等の保全・活用/産業遺産活用/ 【共通基盤領域】 新成長産業分野 主な事業展開分野 ■高度製造技術・生産システム □高機能部品・部材・ユニット/高度専門加工・試作/ □新素材・材料(機能性材料、炭素繊維、レアメタル等)/ □ロボット/ナノテクノロジー/バイオテクノロジー/ ■ICT融合利用 □クラウドコンピューティング(データセンター等)/ □組込みソフトウェア/ □産業・生産システム、社会システムの高次化/ ■産業支援サービス □業務代行サービス(BPO)/ □起業支援/SB・CB支援/中小企業組織化・協同化/ □経営コンサルティング(経営革新、企業統治、事業承継他)/ 〈資料〉「新成長戦略」「産業構造ビジョン」等をもとに過去1年間の動向事例を整理して作成。 - 22 - 2-3.今後の環境変化に対応した地域産業振興の課題 上位計画である「熊本県産業振興ビジョン 2011(平成 22 年 12 月)」をもとに、この間の社会 経済環境の変化に対応した地域産業振興の課題と方向を再検討する。[→別表・概要表を参照] ■熊本県産業のポテンシャルと課題 ★グローバル成長市場と直結した半導体・自動車関連産業の国内立地調整(再編・集約化等) の動きを注視。 →超円高下における中国・アジア各地への生産シフトや新設立地にともない、九州-熊本県の 立地ポテンシャルに変化も(生産コスト面での優位性低下等)。 ★これまでの企業集積による独自技術の育成や生産連携の強み、豊富な地域産業資源等を活 かした新たな成長分野への事業展開のポテンシャルに注目することが必要。 ■2020 年の熊本県産業の未来像 ★新興国等のグローバル市場の成長・拡大を前提に、そこでの競争力強化に焦点を当てた産業 育成戦略の有効性を見直し、再検討することが必要。 ★環境・エネルギー分野をはじめ、中長期的な国土再生や社会再生等の需要に対応した新た な成長産業群の育成戦略を確立する。 【重点成長5分野】 ★(1)(2)の自動車・半導体関連分野については、海外生産シフトを含めた近時の国内立地調 整の動きを考慮し、重点分野としての位置づけを見直すことが必要。 ★(3)以降の環境・エネルギー、医療・健康・福祉、農業・食品等の関連分野については、国 の新成長戦略や産業構造ビジョンの方向性をもとに、近時の事業展開・地域展開の動向を 踏まえた重点的な産業育成の方針を具体化することが必要。 - 23 - ●熊本県産業振興ビジョン 2011 [平成 22 年 12 月] ■熊本県産業のポテン 〔マクロ視点〕 (1) ポテンシャル シャルと課題 ■2020 年の熊本県産業 の未来像 ◆重点成長5分野 ①東アジアのゲートウェイ(玄関)として ②企業誘致と生産連携による半導体・自動車関連産業の集積 ③豊富な地域産業資源 (2) 課題 ①半導体・自動車関連産業集積の変化 ②中長期的な人材不足 ③圏域外収支が赤字で推移 〔ミクロ視点〕 (1) ポテンシャル ①独自の高い技術を持った企業が着実に成長 ②情報化の進展によるビジネスモデルの変化 ③研究開発機能移管の動き (2) 課題 ①下請企業から提案型企業への転換 ②マーケティング力の向上 ③地域企業のコア技術のブラックボックス化とオープン化の推進 ④優秀な人材の育成・確保 ◆基本姿勢(コンセプト) -中小企業が直接海外と繋がり、グローバルな市場で勝ち残るための 高い「競争力」を持ったリーディング産業群の育成 -「選ばれる製品・サービス」「選ばれる企業」を目指し、産学行政が一体 となり、「持続可能な社会」と「稼げる県」を支える産業群を形成 ◆2020 年の熊本県産業の目指す未来像 『“選ばれる熊本”を実現するリーディング産業群の形成 ~くまもとテクノフォレスト・シナジーの誘発~』 (1) セミコンダクタ関連分野: 半導体デバイス、製造・検査装置、材料等 …企業誘致の成功と地域企業の参入による日本有数の半導体関連産 業拠点性を活かす分野 (2) モビリティ関連分野: 自動車、二輪車、鉄道、造船、航空宇宙等の移 動体 …エンジンからモータへの転換への対応を図るとともに、先端分野の航 空宇宙も含めさらなる産業集積を図る分野 (3) クリーン関連分野: 環境、新エネルギー、省エネルギー、水資源等 …地球温暖化対策や低炭素社会の実現に向け、ソーラーや環境分野を 中心にリーディング産業を育成する分野 (4) フード&ライフ関連分野: バイオ、医療、食品(農商工連携含む)、健 康サービス等 …県の主要製造業の一つであり、国民の安心安全への関心や健康志向 の高まりを受け、リーディング産業に育成する分野 (5) 社会・システム関連分野 …社会生活の中から生まれる課題(ニーズ)を捉え、上記(1)~(4)の重 点分野を中心に IT技術で融合し、次世代の産業集積を形成する分野 - 24 - 3.山鹿市の産業立地環境の評価と工業振興の課題 3-1.企業側からみた山鹿市の産業立地環境への評価 ★高速道路ICが市域内になく、広域輸送条件については不利な条件にある。 ★今後、幹線道路(国道 325)の拡幅による熊本空港方面(~菊池・大津等)とのアクセ ス改善が見込まれる。 ★人口の高齢化や若年層の流出等により、労働力・人材の確保条件には難がある ★既存立地企業の集積と主力生産拠点としての地域定着が進んでいる。 ★市内や周辺地区に大学・試験研究機関や産業支援機関がなく、企業の技術開発拠点の 立地には不利な条件にある。 ★福岡大都市圏と熊本都市圏双方の人口集積地(市場・産業、高次都市機能等)に近接し、 観光客など交流人口は比較的多い。 ★固有の歴史文化資源と温泉等の風土環境を活かした観光まちづくり・市街地活性化の取組 みが進められ(さくら湯再建等)、知名度も高い。 ■山鹿市の立地環境評価 -企業ヒアリングによる企業側評価の概要- ①交通・輸送条件、交通アクセス条件 〔高速道路等の利用条件〕 ◇高速道路ICまでの距離が遠く(20㎞)、輸送上のアクセスが悪い。[情報通信機械器具製 造業]/輸送に時間がかかる。[食料品製造業]/東京・大阪方面に送る際の運賃が高く なる。[食料品製造業]/九州内では大分方面への輸送の便が良くない。[輸送用機械器 具製造業:合志市] ◇幹線国道が一車線であるため渋滞することがある。[食料品製造業] 〔空港、鉄道等の利用条件〕 ◇空港から1時間・新幹線駅から30分とアクセス条件が良くない。[電子部品・デバイス ・電子回路製造業、情報通信機械器具製造業]/出張者など人の行き来には難。[輸送 用機械器具製造業] ◇最寄の鉄道駅もなく不便。公共交通機関も使いづらい。[金属製品製造業]/公共の通 勤手段がなく全員が自家用車などになる。[プラスチック製品製造業] ②労働力・人材の確保条件 ◇地元採用を優先しているが、もともと人口が少ないので市外からの採用が多くなってい る。[電子部品・デバイス・電子回路製造業] ◇パートが集まりにくい。[輸送用機械器具製造業]/パート労働力は問題なく良い人材 が集まる。[食料品製造業] ◇市内で良い人材を見つけるのは難しい。工場長や従業員の多くは市外周辺地域から通勤 している。[プラスチック製品製造業] ◇労働力は豊富だが定着率が悪く、周辺自治体からも雇用。[金属製品製造業] ◇優秀な若者の確保が難しく技術者が育ちにくい。[電子部品・デバイス・電子回路製造 業]/技術者となる人材が不足している。[情報通信機械器具製造業] - 25 - ◇地元高校の教育プログラムが企業ニーズと合っていない。[電子部品・デバイス・電子回 路製造業] ③事業環境・産業集積 ◇近くに大学や公設試がないため研究開発には向かない。[情報通信機械器具製造業] ◇九州内では金型業者が少なく、メンテができない。緊急時に対応しきれないことがある。 [輸送用機械器具製造業] ◇(福岡県内からみて)熊本県側は商圏や企業間の取引関係の面でも距離感がある。[食料品 製造業:みやま市] ④周辺環境・土地利用等 ◇農業の比率が高いというイメージで「工業地」としては想像しにくい。用地価格も相対的 に高い?(比較検討のうえ現在地に立地)[窯業・土石製品製造業:菊池市] ◇周辺の宅地化による操業環境の悪化も懸念。[輸送用機械器具製造業:合志市] ◇現在は護岸工事が進み洪水による浸水被害はないが、周辺道路が冠水することもある。[ 食料品製造業] ⑤山鹿市への要望、提言等 〔ハード整備〕 □幹線道路の整備を早急に実施してほしい。[食料品製造業]/幹線国道の渋滞緩和を望む。 [食料品製造業] □工業団地と用水の整備を合わせて行ってほしい。(例:県の菊池テクノパーク)[窯業・土 石製品製造業:菊池市] □新規の団地開発よりも未利用地の有効活用が必要。[食料品製造業:玉名市] 〔ソフト支援〕 □立地企業に対する優遇措置の拡充。[情報通信機械器具製造業]/雇用拡大に対する優遇措 置。[食料品製造業]/地域資源を活用した企業への優遇措置。[食料品製造業]/雇用補 助金よりも設備投資補助金の方が望ましい。[輸送用機械器具製造業] □次代を担う若い経営者とのネットワークを強化してほしい。[金属製品製造業]/企業交流 が活発にできるような場がほしい。誘致企業と地場企業のマッチング促進も。[プラスチッ ク製品製造業] □困ったときに気軽に相談できるような雰囲気作りが必要。[プラスチック製品製造業] □税務関係は山鹿市、労働基準局関係は菊池市と変則的で使いづらい。[職別工事業] 〔産業振興全般〕 □魅力あるまちづくりを行い若者の定着を図ってほしい。[電子部品・デバイス・電子回路製 造業] □地域資源を活かした企業を誘致してほしい。[情報通信機械器具製造業] □県外からの観光客増加に対応した観光まちづくりに力を入れるべき(現状の「点」から「線」に なるように)。[食料品製造業] □地元にある資源を活かした産業振興を。誘致した大企業が撤退するなど空洞化していくのは 見るに忍びない。[食料品製造業:玉名市] □耕作放棄地を活用した農業特産品の生産等。[食料品製造業:みやま市] □災害リスク・電力リスク対応のバックアップ拠点の立地誘導を。[印刷・同関連業:大津町 ] - 26 - 3-2.山鹿市工業と立地環境に関するSWOT分析 ●[Strength(強み)/Weakness(弱み)] …企業側の立地指向に照らしたあくまで相対的な評価であるが、主として従来国内を中心に輸出 主導型の生産体制を基本としてきた自動車・電機関連(完成品・中間財)等の工場立地を想定 し、地域側が有する立地条件上の優位性(強み)または不利性(弱み)を取り上げる。 ●[Opportunity(機会)/Threat(脅威)] …ここでは主として上記の従来型生産体制による国内立地の制約要因となる外部環境(超円高や 電力供給不安等による海外生産シフトの流れなど)を「脅威」とし、中長期的な少子高齢化の 流れや震災にともなう災害リスク、エネルギー制約の増大については、新たな成長産業分野か らみた「機会」として捉えることとした。 〔SWOT分析にもとづく戦略検討の方向〕 Opportunity(機会) Threat(脅威) Strength 【SO戦略】 【ST戦略】 (強み) -機会を活用し、強みをさらに活かす -強みを活かし、脅威を克服する ★少子高齢社会の新たな社会ニーズや ★電力等エネルギー制約に対応した 生活価値(安全安心・健康志向等) 環境・エネルギー関連の成長分野に に対応した、 ヘルスケア、生活文 重点(地域資源を活用した再生可能 化、食・農関連等の成長分野に重点 エネルギー事業化など) ★社会ニーズ対応の共同開発・事業化、 ★既存立地企業の地域定着と新規事 ICTサービス等の複合拠点を整備 業展開等による機能増強 Weakness [活かすべき強み] ○福岡大都市圏と熊本都市圏双方の人 口集積地に近接 ○固有の歴史文化資源と温泉等の風土 環境を活かした観光まちづくり・市 街地活性化(さくら湯再建等) 【WO戦略】 [活かすべき強み] ○既存立地企業の集積と地域定着 ○福岡大都市圏と熊本都市圏双方の 人口集積地に近接 ○豊かな水環境・農林資源等を活かし た地場産業・観光施設 【WT戦略】 (弱み) -機会を活用して、弱みを克服する -弱みをカバーして、脅威を回避する ★集中立地のリスク分散に対応したバ ックアップ拠点の誘導とそのための 魅力ある事業環境・生活福祉環境の 充実 ★グローバル生産体制と直結した自 動車・電機関連など従来型企業誘致 分野での競合を回避(既立地企業の 地域定着に重点 [克服すべき弱み] △高速道路ICとのアクセスなど広域 輸送条件には難点 △幹線道路の利用(R325)と空港方面へ のアクセス条件は改善の見込み △高齢化・若年層流出等で労働力確保 には難点 △企業間の連携・交流等の不足 - 27 - [克服すべき弱み] △高速道路ICとのアクセスなど広 域輸送条件には難点 △高齢化・若年層流出等で労働力確保 には難点 △周辺に大学・試験研究機関がなく技 術開発拠点としては難点 △大規模工業用地の確保が困難 〔今後の導入・育成を目指すべき産業分野と主な業種区分〕 【SO戦略】 -機会を活用し、強みをさらに活かす ①「くらしと健康」関連産業 ★少子高齢社会の新たな社会ニーズや生活価値(安全安心・健康志向等)に対応した、 ヘルスケア、生活文化、食・農関連等の成長分野に重点を置く。 ★社会ニーズ対応の共同開発・事業化、ICTサービス、産業支援等の複合拠点を整備する。 □医療・健康関連:[化学(医薬、化粧品等)/医療業/社会福祉・介護事業他] □生活文化・観光文化関連:[食料品製造業/その他製造業/娯楽業他] □農林漁業再生関連:[農業/食料品製造業他] □ICT融合利用分野:[情報サービス業/インターネット付随サービス業他] 【ST戦略】 -強みを活かし、脅威を克服する ②「環境・エネルギー」関連産業 ★電力等エネルギー制約に対応した環境・エネルギー関連の成長分野に重点を置く(地域 資源を活用した再生可能エネルギー事業化など)。 □環境・エネルギー分野:[電気業/電気機械器具製造業他] ③共通基盤産業(既存立地企業の増強) ★既存立地企業の地域定着と新規事業展開等による機能増強を支援する。 □新製造技術関連:[化学/プラスチック製品製造業/金属製品製造業/電気機械器具製 造業/輸送用機械器具製造業/電子部品・デバイス・電子回路製造業/その他製造業] 【WO戦略】 -機会を活用して、弱みを克服する ④共通基盤産業(リスク分散立地の誘導)[先端部品部材、ICT関連等] ★集中立地のリスク分散に対応したバックアップ拠点の誘導とそのための魅力ある事業 環境・生活福祉環境の充実を図る。 □新製造技術関連:[金属製品製造業/プラスチック製品製造業/電子部品・デバイス・電 子回路製造業他] □ICT利用関連(データセンター等):[情報サービス業/インターネット付随サービス業他] 【WT戦略】 -弱みをカバーして、脅威を回避する ※グローバル生産体制と直結した自動車・電機関連など従来型企業誘致分野での競合 を回避する(既立地企業の地域定着に重点[→③])。 <注>下線部は製造業業種を示す。 - 28 - (財)中小企業総合研究機構による「山鹿市における食関連産業振興 プロジェクト実現支援事業」の報告 4.山鹿市における自然指向型産業とその現状 4-1.自然志向型産業とは 自然志向型産業の定義について整理してみる。大別すると一次産業に直接関連する産業とその他 の産業に分類できる。前者としては、一次産業である農産物、林産物、水産物の生産が第一に考え られる。次に、それらの産物を有効に活用して付加価値を高めて加工する産業が考えられる。さら に、その加工された製品を市場に流通させて地域の関連産業を安定させる産業が自然志向型産業と 考えられる。後者としては、エネルギー等を有効に活用して、自然環境への負荷を最小限におさえ ようとする意志を明確にしている産業や、廃棄物等から資源を取り出して社会に還元する産業等が 自然志向型産業であると思われる。 ①一次産業に直接関連する産業 一次産業の種類と関連する事業内容で区分すると次の様な分類に整理できる。 生産 農産物 加工 流通 穀物生産 (米 - コムギ - トウモロコシ ) 畜産食料品製造業、水 市場 野菜生産 (ニンジン - キュウリ - ダイコ 産食料品製造業、野菜 卸売業 ン - カボチャ - ナス - トマト - キャベ 缶詰・果実缶詰・農産 通信販売 ツ - ジャガイモ - ハクサイ - シュンギク 保存食料品製造業、調 小売店 - コマツナ - ピーマン - ネギ - タマネギ 味料製造業、糖類製造 農産物直売所 - レタス - ショウガ - ニンニク - キノコ 業、精穀・製粉業、パ レストラン等 類(シイタケなど) - タケノコ ) ン・菓子製造業、動植 果物生産(カキ - ナシ - ミカン - ブドウ 物油脂製造業、清涼飲 - リンゴ - モモ - イチゴ 料製造業、酒類製造 花卉生産(キク - チューリップ - バラ ) 業、茶・コーヒー製造 その他生産(豆類など) (ダイズ - ゴマ - ラ 業、製氷業、たばこ製 ッカセイ) 造業、飼料・有機質肥 酪農業(肉用牛生産業、養豚業、養鶏業、 養 料製造業 蚕農業) 林産物 木材・薪炭・きのこ類・果実類・油脂類・薬 建築材への製材加工、 木材市場、住宅 品原料・山菜、生産等 木質バイオマスチッ メーカー、家具 たけのこ、山菜類、竹材・桐材 プ関連産業 製造卸、 - 29 - 樹実類、わさび、うるし、木炭・木酢液生 食品:加熱、乾燥、冷 通信販売等 産等 凍関連産業 内水面漁業、内水面養殖業、等 冷凍、乾燥、 魚市場、 加熱調理 通信販売等 水産物 発酵関連産業 整理のために原料に相当する部分から農産物、林産物、水産物に分類してみる。各々についてサ プライチェーンの順序に従って生産、加工、販売のプロセスに分類して整理してみる。このマトリ ックスの中に存在する事業者が、自然志向型産業の候補になると考えられる。 食品や薬品に供するための材料加工技術の種類としては、醸造、加熱、製粉、発酵、乾燥、冷凍、 成分抽出、化学変化などの技術が用いられる。 ②その他の自然志向型産業 一次産業と直接関連するとは限らないが、エネルギーや環境関連の産業の中に自然志向型産業に 相当する産業があると思われる。たとえば、次のような3分野の産業が考えられる。 ・一次産業の廃棄物資源化産業等 一次産業の収穫や加工をする過程で生成する副産物や廃棄物で、有償で処分しなければならない 物や、極めて安価でしか売却できない素材を、加工して付加価値を高める産業も候補として挙げら れる。農産物の規格外品をドライフルーツに加工、缶詰に加工、ジャムやペーストに加工、粉末に 加工する手段は、いろいろな品種で実現している。しかし、用途開発ができないために、未だ利用 されていない副産物もある。 ・様々な産業から発生する廃棄物について資源化する産業等 給食センター等食品工場での廃油を使って苛性ソーダと反応させることで石鹸という資源を生産 する企業などは、典型的なその他の自然志向型産業と位置づけることができる。家具製造業から出 される木っ端を集成材に加工したり、おが粉を圧縮して炭化させて木炭にしたり、製造業から排出 される産業廃棄物を資源に転換する産業がある。 ・再生可能なエネルギーを生み出す産業等 新エネルギー関連産業(バイオマス発電、バイオマス燃料製造、バイオマス熱利用、太陽光発電、 太陽熱利用、地熱発電、温度差熱利用、風力発電、中小規模水力発電、雪氷熱利用、風力発電、等) が典型的な産業と思われる。 - 30 - 4-2.山鹿市における自然指向型産業の現状 ①山鹿市の自然指向型産業の現状 調査した範囲で山鹿市における自然志向型産業の現状を整理すると次表の様になる。農産物、林 産物の加工販売分野には、すでに地域内の数社の参入が始まっている。 生産 加工 米、すいか、小玉スイカ、メロン、苺、 ヘチマの化粧水、よも なす、グリーンアスパラガス、スイー ぎ石鹸 トコーン、トマト、きゅうり、にんじ (地の塩社) ん、茎ブロッコリー、ちぢみほうれん 復刻紅茶 販売 通信販売(地の塩社) 草、山の芋、さつまいも、ミニ冬瓜、 (藤本製茶) 農産物 にら、あまとうがらし、ハウスみかん、 食べる甘酒 デコポン、ハウス金柑、梨、栗、柿、 (原田食品製造所) あんず、ぶどう、古代米、茶、大豆な 大豆粉 ど (れんげ・カンパニー) 畜産、酪農関連の牛肉、豚肉 茶化粧水・茶石けん (佐とう製茶) 林産物 水産物 杉、檜 建築材への製材加工 木材市場 鹿角霊芝、タケノコ、シイタケ、 木質バイオマスセンタ 通信販売(地の塩社) 木くらげ ー 不明 不明 不明 ②内発的な自然指向型産業の現状 商工会議所のヒヤリング調査にて、自然志向型産業に該当する事業を、当地域で内発的に開始し ている企業がある。これらの企業を支援しながら、確実に事業化出来るようにすることが内発的 食関連産業の推進に相当すると思われる。 A.大豆粉製造販売 (株)れんげ・カンパニーでは、九州産の大豆粉にこだわり製造販売を開始した。商品名は 「そい・ぷーどる」として販売している。パンのメーカーやドーナツのメーカーに販売して いる。米粉および、ブレンド粉を生産販売している。 B.紅茶製造販売 藤本製茶では、自家有機栽培農園により、無農薬有機栽培の茶葉を材料として、紅茶を復 活させた。商品名は「やまが復刻紅茶」ネット販売にも着手している。 - 31 - C.茶入り石鹸、茶入り化粧水、茶入り乳液 佐とう製茶では、自家農園で栽培した茶葉の緑茶粉末をベースに商品開発した。 「お茶石 鹸茶ぁーみんぐ」 「茶ぁーみんぐ化粧水」 「茶ぁーみんぐ美容乳液」を発売した。域内の直営 店舗以外に、熊本県物産センター吉祥寺店、インターネット販売にも着手している。 D.有機無農薬玄米使用甘酒 原田食品製造所は、無農薬契約栽培の発芽玄米を原料として、糀により発酵させて甘酒を 開発した。 「熊本・山鹿発食べる甘酒」という商品名で発表した。味噌製造販売、糀、甘酒、 餡の製造販売の経営資源と、地域の有機栽培の玄米との組み合わせにより開発できた。 E.植物エキス入り石鹸、化粧水 地の塩社では、天然素材にこだわり、よもぎエキスを配合した固形石鹸、リンス、シャン プーを開発し生産してきた。炭シリーズ、ゆず、どくだみ、ヘチマ、などに対象素材を広げ、 商品展開をしてきた。霊芝などの健康飲料健康食品などの通信販売も手がけている。一部の 材料となる植物は、自社役員の関係者の協力により生産されている。今後は企業として植物 の栽培にも積極的に参入していきたいという希望を持っている。 - 32 - 5.植物工場の概要と国内の現状 5-1.植物工場の概要 食と農業の分野で、業種の垣根を越えて連携することにより高付加価値の商品を生み出すという 流れは、高度経済成長期より模索されてきたが、食品製造業や外食産業はもとより、輸送機械の会 社や光学・医療機械の製造業が植物工場という農業と工業の業際分野に参入してきた。その中で採 算ベースに乗ってくる植物工場も出現しはじめた。露地栽培で限界があった農業の生産性を、工業 的な技術でブレークスルーし、飛躍的な生産性の向上を実現した。しかしながら、初期投資金額が かさむことや生育に関わる環境条件の制御については、まだ課題を残しており、初期投資の資金調 達や、利益確保のための活動が重要なことなど参入のリスクは残っている。 植物工場運営に関連する資源 化石燃料 バイオマス 燃料 電力 電力 薬剤 ミネラル分 温度 肥料分 窒素燐酸カリ 酸素 湿度 太陽光 植物 光 LED 高圧ナトリ ウム ランプ 蛍光灯 太陽電池 電力 バイオガス発 電 種子・苗 遺伝仕組換 二酸化炭素 風 水 電力 水道水 品種改良 制御システム 井戸水 センサー技術 制御技術 補助金 環境関連 エネルギー関 連 農業関連 バイオ関連 工業関連 農商工連携 植物工場への参入を検討する場合は、以下の4項目について十分に検討して継続的な事業の採算 性を試算した上で判断する必要がある。 ・植物工場で必要とされるエネルギーの調達方法とコスト ・植物工場のシステム制御方法と開発コスト ・種子や苗の品種選定と調達方法とコスト ・設置運営に関する優遇制度や補助金 - 33 - ①植物工場企画に向けての基本項目 植物工場を継続的な事業として成り立たせるためには、次のような要素を検討しなければな らない。以下の項目の積が、業績として表れる。検討の順序という定石はなく、同時並行的に 検討して企画することになる。 品種及び種 子、苗の選定 × 生産システム の選択 × 生産管理 生産量 品質保証 × 販路開拓 商品開発 A.品種の選定及び種子苗の選定 露地栽培に比較して、植物工場では大がかりな初期投資が必要となるため、投資に関わる返 済原資または減価償却費を利益として生み出さなければならないという制約条件がある。その ため人工的に作り出せる環境条件により、露地栽培に比較して圧倒的に高収量または高回転収 穫の可能性を持つ品種が好ましい。その結果、高額な投資金額の回収が期待できる。ただし、 絶対的な育成期間が長い種に関しても、人工的に環境を作り出して制御することで、劇的に生 育期間を短縮できる見通しがあるのならば、短縮できる期間を付加価値に変えることができる ため検討に加えることも可能である。 また、自然環境下で病害虫に弱い場合でも人工的に隔離された空間を作ることによって生育 が可能となる場合や特殊な環境条件でのみ生育する種もある。このような品種は、同時に希少 性を持つことが少なくない。 品種選定上の 留意点 条件が整うと比 較的成長が早 い 特殊な条件で 成長する 病気や害虫に 弱い 希少性がある 高付加価値を 望める 一方で周囲と隔離を必要とする植物をあえて選ぶという選択枝もある。遺伝子操作などで人 間にとっては好都合な特異的性質を持った植物で、露地栽培を行うと在来種を駆逐してしまう 危険性がある種などを、あえて完全密閉型植物工場に隔離して有効成分を抽出する。このよう な場合は植物工場として存在意義が明確になる。 - 34 - 前記の選択基準で選定された種子や苗については、更に高収量を目指しての取り組みがある。 古典的な方法として、同一品種の中から種子を選別していく方法や、複数の種子からの品種改 良が行われている。近年は接ぎ木などにより、台木と枝木を別の種のものを組み合わせ、根の 有効性、幹の有効性などを独立に評価して、最適な組み合わせに接ぐ技術も盛んになってきて いる。また、遺伝仕組換え技術や、クローン技術も植物に対しては規制が無いため大きく進ん でいる。植物工場に適した種を探して、その遺伝子を解析して、有効な遺伝子を組み込んだ上 にクローンの培養を行えば、これまで交配によって行われてきた品種改良を、圧倒的短期間で 量産に繋げることも可能となってきた。 品種とその改善技術の動向により、植物工場の可能性は大きく影響を受けることになる。 収量アップへの源流からのアプローチ 種子選定 品種改良 接ぎ木苗 - 35 - 遺伝子組み換 え B. 生産システムの選定 植物工場の分類としては、全ての環境条件を人工的に制御する完全人工光型と太陽光に依存する 太陽光利用養液栽培工場。それらの中間に位置する太陽光人工光併用型の植物工場がある。それら の特徴を以下の表の用に整理してみた。 生産の仕組み 完全人工光型植物工場 メリット デメリット 通年出荷、安定品質、無農薬化が 建物及び照明、制御システムに対す 期待できる。 る 初 期設 備投 資が 高額に な りや す 密閉環境のため害虫や細菌が入 い。 りにくい 多大なエネルギーが必要とされラン 太陽光利用型植物工場 ニングコストが高額になりやすい。 太陽光人工光併 安定品質、無農薬化 光源と制御システムに対する初期投 用型植物工場 やや害虫や細菌が入りにくい 資が高額になりやすい。 太陽光分設備とランニングコス 太陽光活用以外は追加ランニングコ トを節約できる。 ストが高額になりやすい。 太陽光利用型養 安定品質、無農薬化の可能性があ 養液栽培の設備投資と養液循環浄化 液栽培植物工場 る。 システムのランニングコストがかか 建物は養液栽培の最小限にとど る。 まる 太陽の日照時間の影響を受け収量が 一般施設園芸 変動する。 太陽光、補助人 初期投資コストが低い 補助的な照明や暖房の設備投資が必 工光併用型土壌 ランニングコストが低い 要となり、運用に際しては比較的大 栽培 きなエネルギーが必要とされる。 露地栽培 平均的露地栽培 初期投資コストが低い 気候変動に収量が左右されやすい (比較参考) ランニングコストが低い 野生生物に食害を受けやすい(農薬 を使わざるを得ない) 収穫の季節が気候により固定されて しまう 有機栽培 初期投資コストが低い 維持管理に労働力を必要とする (比較参考) ランニングコストが低い 気候変動に収量が左右されやすい 野生生物に食害を受けやすい 収穫の季節が気候により固定されて しまう - 36 - 露地栽培に比較して、それぞれのメリットとデメリットを有している。しかしながら、露地 栽培では植物の病気や、害虫からの食害に対抗するため農薬を使う場面が少なくはない。消費 者としては、農薬をなるべく使わない安心できる食品を食べたいというニーズは、急速に高ま ってきている。候補に挙がった種に適した生産システムを選択することと、生産システムを運 営するための栽培技術の整合性を取り、地域特性や地域資源を十分に活かして、コスト優位性 を目指す必要がある。 上記に並行して、植物工場で生産される食品については大きな信頼によってブランド化され ている地域の食品との相乗効果をねらうことも一つの方策であろう。同時に、植物工場を巡り、 複数の業種にわたる企業が連携することにより、地域経済の活性化をはかることが出来るので はないかと思われる。設備建設のための連携はもとより制御システムの導入のための連携、栽 培技術開発における連携、生産物に対する後処理加工における連携なども検討項目として必要 となる。 C. 生産管理、品質管理、生産性向上 植物工場の分野では、一般的な製造業と同等の経営管理や改善手法を導入して改善をする必 要性が高まる。植物の生育条件の最適化を求めるのは当然のことであるが、品種改良が行われ れば、またその品種に対する最適な生育条件を探索する必要が生まれる。その活動の善し悪し により生育速度が影響を受け、売上高を左右することになり、結果的には生育に関わる経費が 過大になって収益構造に影響を及ぼす。また、工場内での作業をやりやすくするという作業性 の改善や省力化をはかることも、継続的に改善していかなければならない。さらに、受注から 出荷までの納期をいかに短縮するかということも、重要な課題になってくる。 生育条件を最 適化 植物工場運営 上の留意点 成長速度を速 める 回転率を高め る 作業改善 労務費削減 人員手配と配 置 納期の短縮 - 37 - D. 商品と販路開拓 生産する植物の商品開発の用途については、次の様な分野が想定される。一般的な露地栽培 の品種の用途では、旬の時期には価格競争に巻き込まれてしまう。一般的な植物でも端境期に は、希少性を有することになる。植物工場の生産物としては、付加価値の大きな分野や、特別 な価値を認知してもらえる用途に向けて、品種や商品を検討する必要がある。 想定される用 途分野 高付加価値 機能性 希少性 希少植物 ハーブ系 サプリ メント 医薬品原料 安全性 漢方薬 食育 野菜ソムリエ 農水省と経済産業省の近年の植物工場の調査には登場していないが、太陽光を多く必要とし ない以下の様な分野では、市場に浸透して、安定した経営の段階に入っている事業もある。植 物工場としての事例以外にも、様々な品種を検討してみる価値はある。また、低温配送などの 物流も可能となってきていることも合わせて検討する必要がある。 太陽光の需要 が低い分野 キノコ類 エノキタケ シメジ スプラウト エリンギ マイタケ もやし みつば かいわれ 植物工場で生産された植物を、そのままの状態で流通させる方法もあるが、植物に加工を施 すことにより、長期間にわたり鮮度を保つことが出来るようになったり、遠方への輸送も可能 になることもある。これらも商品企画における検討項目とする必要がある。 種子・苗供給 植物工場 流通 植物加工 - 38 - 農産物を中心とした流通ルートでは、以下の様なルートが考えられる。生産しようとする商品特 性に応じて、既存の流通ルートに載せるのか、新規の流通ルートに載せるのかが分かれる。 植物の流通ルート 生産者 JA 卸売市場 生産者 仲卸 農産物直売場 小売店 消費者 業務仕入れ 生産者 生産者 生産者 インターネット 販売 消費者 仲卸 大手スーパー マーケット 消費者 生産者 大手百貨店 仲卸 コンビニエンス ストアー カット野菜工場 小売店 生産者 外食産業 自社植物工場 生産者 仲卸 ホテル レストラン 自社植物工場 生産者 仲卸 病院給食 生産者 仲卸 学校給食 - 39 - 消費者 消費者 消費者 ②植物工場設置時の検討項目 A.設備投資検討項目 設備投資額については、どの生産システムを選択するかということに大きく依存する。 完全人工光型植物工場では、密閉した環境を形成するために、建物の建設コストが高くなる。同 時に建設用地も農地から用途変更をする必要性が発生するか、工業用地への立地が必要となり、 建設コストに加えて土地取得コストや固定資産税の増大を招くことになる。それに加えて、光源 の設備投資分が必要となる。そのため、多段栽培トレーなどを活用して、立体的な空間活用をす ることになる。このような設備投資を回収するような利益計画を立案する必要がある。大手資本 で投資された植物工場以外では、補助金や、不要となった建物の提供を受けるといった方策で投 資金額の圧縮を図ることで、採算性を確保している例も少なくない。 生産設備や工場の制御システムに関しては、地域の機械加工関連事業者や IT 事業者との連携に よって投資金額を圧縮することも可能である。 - 40 - B.工場運営時に検討する経営管理 どのような商品を生産するという選択や、実現のために生産システムの選択により、この表に入力す る金額は大きく変わる。地域で格安に用地を確保できることや、既存の建物を有効に活用できること などがあれば、そのコストは大きく削減できるが、消費地までの距離が遠くなれば、荷造り運賃など が高額になる。これらの試算をした上で、損益の予測を行って事業の可否判断を行うことになる。 各費目について概算の金額を割り当てて、損益分岐点売上高などを算出し、投資金額の圧縮や販売計 画に繋げる。 - 41 - 5-2.国内の植物工場の現状 農水省と経済産業省の定義する植物工場は、国内に50以上の事例がある。(植物工場の事例集、 平成 21 年11月、農林水産省・経済産業省)事例として取り上げられているのは、完全人工光型 と太陽光人工光併用型のみで、太陽光利用型については、植物工場の分類には入るが、詳細な調査 は行われていない。以降に示してある植物工場のデーターは植物工場の事例集から抽出して、整 理・加工したものである。データーは、太陽光人工光併用型と完全人工光型に分類して、それぞれ の設置年代別に昇順に並べてある。 これらの調査の中から、いくつかの情報を読み取ることが出来る。ただし、土地建物を無償提供 されるケースなど、様々な条件の差があることや、売り上げや経費について非公開にしているケー スも多いので、概略の傾向で予測してみた。 光源について、2000年前後までは高圧ナトリウムを使用した植物工場がほとんどを占めてい たが、2000年代に入り、蛍光灯が主流になってきた。2008年ころからは、LED と蛍光灯の 併用型が出始めた。 完全人工光型は、宅地又は工業用地に立地している。民間企業が完全人工光型の植物工場を自己 資本のみで投資する場合、平米あたり 300 千円程度の投資が必要となる。また、平米あたりの年間 売り上げは、120 千円程度を上げている。 - 42 - ①太陽光人工光併用型植物工場の先行事例(その1) (植物工場の事例集、農林水産省・経済産業省、平成 21 年11月より抽出) 項目 事業者名 3 (有)熊谷園芸 運営者属性 農家・ 農業生 農家・ 農業生 産法人 産法人 山形県鮭川村 新潟県新発田 市 太陽光・ 人工 太陽光・ 人工 光併用型 光併用型 高圧ナトリウム 高圧ナトリウム ランプ ランプ 形式 光源 設置年 主要品目 1988 ばら、りんどう バラ苗 設置面積(㎡) 栽培実面積 日生産量 年間生産 年間回転数(回) 地目 建築用途 正社員 パート 歩留まり率(%) 収支 年間売上 (千円) 運営コスト (千円) 設置コスト (千円) 販売先 栽培面積あたり 投資(千円/㎡) 栽培面積あたり 売上(千円/㎡) 6 (有)花プラン 9 国枝バラ園 12 11 14 ( 有) サ ン ラ イ 農事組合法人 ( 有) ス ウ ェ デ フ野菜センタ アリス ポニック久住 ー 農家・農業生 農家・農業生 農家・ 農業生 産法人 産法人 産法人 滋賀県守山市 香 川 県 三 豊 和歌山県紀の 市 川市 太陽光・人工 太陽光・人工 太陽光・ 人工 光併用型 光併用型 光併用型 高圧ナトリウム 高 圧 ナ ト リ ウ ランプ ムランプ 1992 1994 ばら 25,585 25,585 1995 半結球レタス レタス 10,320 10,320 320 万本 1996 6~7 6~7 農地 40 畑 3,300 6,600 144 トン 13 農地 1 3 11 1997 パセリ、バジ ル 1,100 1,300 90 万本、苗 25 24 万個 万本 牧場 農家・農業生 産法人 大分県竹田 市 太陽光・人工 光併用型 高圧ナトリウム ランプ 10 農地 農地 農業施設 8 5 90 90 14 均衡 310,000 150,000 30,000 100,000 21,000 100,000 500,000 市場、卸、 スーパー 太田花卉、な にわ花市場 小売店、生協 小売り、商社 百貨店 スーパー 76 12 15 - 43 - 23 15 ①太陽光人工光併用型植物工場の先行事例(その2) (植物工場の事例集、農林水産省・経済産業省、平成 21 年11月より抽出) 項目 事業者名 17 5 7 10 (有)スウェデポ ( 有) グ リ ー ン 農 事 組 合 法 JFE ライフ(株) ニック久住 プラント巻 人布引施設 園芸組合 2 1 (株)トヨタフロ 農業生産法人 ーリテック 神内ファーム 21 運営者属性 農家・ 農業生 農家・農業生 農家・農業生 産法人 産法人 産法人 大分県竹田市 新 潟 県 新 潟 長 野 県 小 諸 市 市 太陽光人工光 太陽光・人工 太陽光・人工 併用型 光併用型 光併用型 高圧ナトリウム 白熱電球 ランプ 民間企業 形式 光源 設置年 主要品目 年間回転数(回) 地目 建築用途 正社員 パート 歩留まり率(%) 収支 年間売上 (千円) 運営コスト (千円) 設置コスト (千円) 販売先 栽培面積あたり 投資(千円/㎡) 栽培面積あたり 売上(千円/㎡) 兵庫県三田市 青森県六ヶ所 村 太陽光・人工 太陽光・人工 光併用型 光併用型 高圧ナトリウム 高圧ナトリウム ランプ ランプ 北海道浦臼町 太陽光・人工 光併用型 蛍光灯、高圧 ナトリウムラン プ 1997 1999 1999 1999 2000 2001 パセリ、バジル ミツバ、ベビー イチゴ果実、 サラダ菜、レタ ミニバラ、観葉 サンチュ、サラ リーフ、ルッコ イチゴ苗 ス 植物等 ダ菜、リーフレ ラ 、レ タス 、ハ タス、イチゴ、ト ーブ マト 設置面積(㎡) 栽培実面積 日生産量 年間生産 民間企業 3,300 10,000 114 トン 12 万 230 トン ポット 10 農地 4,500 4,500 60 トン 120 万 800 トン 本 10 農地 構築物 14 2 名(障害者) 1,544 1,544 20,000 15,000 400 万鉢 6,433 4,723 34 トン 1 4~5 13.5 準工業地域 原野他 農地 構築物 温室出荷場 農業施設 38 120 12 5 20 4 95 93 80 10,000 赤字 120,000 800,000 30,000 畑 農業生産 38 100 180,000 110,000 36,000 賃借 JA8 割 プ リ ン ス ホ テ 大手百貨店 (株)はくさんト 札幌中央卸売 ル 土浦グリーン ヨタグループ 市場 ハウスと連結 18 78 - 44 - 178 ①太陽光人工光併用型植物工場の先行事例(その3) (植物工場の事例集、農林水産省・経済産業省、平成 21 年11月より抽出) 項目 事業者名 4 JFE ライフ(株) 13 (株)ニシケン 15 加太菜園(株) 16 響灘菜園 8 (株)ホトアグリ 運営者属性 民間企業 民間企業 民間企業 民間企業 民間企業 茨城県土浦市 佐賀県みやき町 形式 光源 設置年 主要品目 和歌山県和歌山 福岡県北九州 静岡県浜松市 市 市 太陽光・ 人工光 太陽光・ 人工光 太陽光利用型 太陽光利用型 太陽光・人工光併 併用型 併用型 用型 高圧ナトリウムラ 蛍光灯 ブラックライト、LED ンプ 2004 2004 サラダ菜、レタス グリーンリーフ 、 トマト サラダ菜、フリル リーフ、レッドリー フ 設置面積(㎡) 栽培実面積 日生産量 年間生産 2006 トマト 52,000 2009 ベビーリーフ 84,000 825 825 2 万個 800 トン三田グリ ーンハウス計 年間回転数(回) 地目 建築用途 正社員 パート 歩留まり率(%) 収支 年間売上 (千円) 運営コスト (千円) 設置コスト (千円) 販売先 11,500 10,580 10,500 2005 1,500 トン 2,000 トン 4.5 トン 市街化調整区域 工業専用地 農地 28 12~16 工業地域 120 56 13 107 15 135 3 800,000 900 万 小売り三田グリー デパート、量販、 ンハウスと連結 レストラン 栽培面積あ た り 投資(千円/㎡) 栽培面積あ た り 76 売上(千円/㎡) - 45 - 市内都内ス ー パ ー、レストラン ②完全人工光型の先行事例(その1) (植物工場の事例集、農林水産省・経済産業省、平成 21 年11月より抽出) 項目 事業者名 11 24 20 36 18 27 12 (株)セコム工 ( 有 ) フ レ ッ 農事 組 合法 (株)夢ファー (有)松代ハイ 農事組合法人ハ (有)完全野菜 業 シ ュ グ リ ー 人ハイテクフ ム土佐山 テクファーム イテクファーム 工場 ン ァーム 運営者属性 民間企業 形式 光源 設置年 主要品目 農家・農業 生産法人 宮城 県 白石 静 岡 県 静 市 岡市 完全 人 工光 完 全 人 工 型 光型 蛍光灯 高圧ナト リ ウムランプ 1990 ハーブ 設置面積(㎡) 栽培実面積 日生産量 農家・農業生 産法人 福井 県 越前 市 完全 人 工光 型 高圧ナトリウ ムランプ 800 2,000 400 300 499 360 555 2,800 1000 株 30 万株 20 トン 10.5 雑種地農地 市街化区域 非農地 工場 4 7 75 80 万赤 24,000 35,000 サラダ菜12 トン リーフレタス 16.5 ト ン 12 8 雑種地 工場 宅地 4 10 11 90 均衡 年間 700 万 光熱費 114,000 小売 農家・農業生産 民間企業 法人 京都府丹南市 山形 県 米沢 市 完全人工光型 完全 人 工光 型 高圧ナトリウムラ 蛍光灯 ンプ 498 298 700 株 年間回転数(回) 地目 工業用地 建築用途 正社員 12 パート 歩留まり率(%) 収支 年間売上 (千円) 運営コスト (千円) 栽培面積あたり投 資(千円/㎡) 栽培面積あたり売 上(千円/㎡) 農家・農業生 産法人 新潟 県 十日 町市 完全 人 工光 型 高圧ナトリウ ムランプ 1990 1992 1994 1995 1995 1996 サラダ菜 サ ラ ダ 菜 、 リ サ ラ ダ 菜 、 リ サラダ菜 サラダ菜、リーフ チマ・サンチ レタス ー フ レ タ ス 、 ーフレタス レタス、フリルレタ ュ フリルレタス ス 年間生産 設置コスト (千円) 販売先 旭食 品 出資 三セク 高知 県 高知 市 完全 人 工光 型 高圧ナトリウ ムランプ 80 均衡 均衡 38,000 36,000 80,000 120,000 小売り、卸、 スーパー、 食 品 メ ー カ 総菜店 ー 80,000 173,000 小売業、 飲食店 小売り、卸、 食品メーカー 70,000 飲食店 (焼き肉店) 380 403 481 25 80 117 106 29 - 46 - ②完全人工光型の先行事例(その2) (植物工場の事例集、農林水産省・経済産業省、平成 21 年11月より抽出) 項目 事業者名 運営者属性 形式 光源 設置年 主要品目 14 4 13 31 35 23 37 農 業 組 合 (有)東京ド キ ユ ー ピ (株)夢ファ (財)柳谷村 (株)安曇野三郷 ( 有 ) 夢 野 法 人 ハ イ リーム ー(株) ーム有漢 産 業 開 発 ハイテクファー 菜 お お さ テック羽生 公社 ム いファー ム 農家・農業 農家・農業 民間企業 旭 食 品 出 農家・農業生産 農家・農業 生産法人 生産法人 資三セク 法人 生産法人 埼 玉 県 羽 東 京 都 小 福 島 県 白 岡 山 県 高 愛 媛 県 久 長野県安曇野 大 分 県 大 生市 平市 河市 梁市 万高原町 市 分市 完 全 人 工 完 全 人 工 完 全 人 工 完 全 人 工 完 全 人 工 完全人工光型 完 全 人 工 光型 光型 光型 光型 光型 光型 高圧ナトリ 高圧ナトリ 高圧ナトリ 高圧ナトリ 高圧ナ ト リ 高圧ナトリウム 高圧ナトリ ウムランプ ウムランプ ウムランプ ウムランプ ウムランプ ランプ ウムランプ 1996 1997 1998 1998 1998 サラダ菜、 リー フ レ タ サ ラ ダ 菜、 フリルアイ サ ラ ダ 菜、 リーフレタ ス、ロロロッ リー フ レ タ ス 、 リ ー フ リ ー フ レ タ ス サ、サラダ ス レタス ス、フリルア 菜 イス 設置面積(㎡) 栽培実面積 日生産量 年間生産 499 350 24 トン 499 343 1,000 株 28 トン 1999 サ ラ ダ 菜、 リ ー フレタス、フリル アイスレタス、わ さび菜、ベビー リーフ 498 1,593 308 838 996 580 120 トン 44.8 トン 22 トン 40 トン 年間回転数(回) 10 12 10 9.2 11 地目 畑 宅地 非農地 農地 水田 建築用途 農業施設 工場 工場 正社員 9 10 22 11 9 パート 歩留まり率(%) 90 80 90 収支 均衡 均衡 黒字 黒字 年間売上 40,000 40,000 61,880 35,000 (千円) 運営コスト 35,000 23,000 61,880 (千円) 設置コスト (千円) 販売先 栽培面積あたり 投資(千円/㎡) 栽培面積あたり 売上(千円/㎡) 140,000 500,000 310,000 無償譲り受 け 小 売 、 卸 、 大 手 ス ー 小売、飲食 旭食品(株) 卸売り 小売業 食 品 加 工 パー 店 メーカー 400 114 534 117 107 - 47 - 16 (有)アーバ ンファーム 農家・農業 生産法人 千葉県柏 市 完全人工 光型 蛍光灯 1999 2000 グリーンリ レ タ ス 、 ハ ー フ 、 フ リ ーブ ルア イ ス 、 サラダ菜 756 546 1,210 30~40 トン 12 15~17 雑種地 8 6 95 93~98 45,000 100,000 小売店飲 食店 83 114 37 ②完全人工光型の先行事例(その3) (植物工場の事例集、農林水産省・経済産業省、平成 21 年11月より抽出) 項目 事業者名 1 22 コスモファーム (株)ラプランタ 岩見沢 32 6 26 33 25 (有)徳島シ (株)ラプラン (株)フェア (株)グリーン 日本アドバ ードリング タ リーエンジ タックファー ン ス ア グ リ ェル ム (株) 運営者属性 社会福祉法人 形式 北海道岩見沢 長野県岡谷市 市 完全人工光型 完全人工光型 農家・農業 生産法人 徳島県板 野町 完全人工 光型 蛍光灯 光源 設置年 主要品目 民間企業 100~150kg 年間生産 83 万玉 年間回転数(回) 地目 建築用途 正社員 パート 歩留まり率(%) 収支 年間売上 (千円) 運営コスト (千円) 18 9 特別工業地区 雑種地 宅地 工場 作業所 2 3 5 名(障害者) 25 55~60 赤字 収支均衡 110,000 栽培面積あたり 投資(千円/㎡) 栽培面積あたり 売上(千円/㎡) 民間企業 民間企業 長野県岡谷 市 完全人工光 型 蛍光灯 京都府京 都市 完全人工 光型 蛍光灯 愛媛県今治 市 完全人工光 型 蛍光灯 1,200 100 150 100 民間企業 滋賀県日 野町 完全人工 光型 LED、蛍光灯 蛍光灯 ハイブリッ ド電極蛍 光タイプ 2003 2004 2004 2004 2005 2005 2006 リーフレタス リバーグリーン、 野菜苗 サラダ菜、ハ レタス、ミズ レタス ベビーリー フリンジグリーン、 ーブ ナ、春菊等 フ、フリルア ノーチップ イス、ロロロ ッサ 設置面積(㎡) 栽培実面積 日生産量 設置コスト (千円) 販売先 民間企業 596 百数十万円 (電気料金) 1,200 3,000 720 132 3,000 個 132 66 200 株 70,000 袋 8~9 25 準工業地域 非農地 宅地 工場 3 2 25 宅地 工場 3 100 3,000 減価償却費 30% 光熱費 30% オリンパス出資 オリンパス 元体育館 大 手ス ー パ ー 、 食品加工工場 自社運営 レストラン 37 ケータリン グ会社 45 - 48 - ②完全人工光型の先行事例(その4) (植物工場の事例集、農林水産省・経済産業省、平成 21 年11月より抽出) 項目 事業者名 34 3 ベ ル グ ア (株)みらい ース(株) 10 (株)九州屋 28 (株)スプレッド 運営者属性 民間企業 民間企業 民間企業 形式 愛 媛 県 宇 千葉県松戸市 和島市 完 全 人 工 完全人工光型 光型 蛍光灯 蛍光灯 光源 設置年 主要品目 設置面積(㎡) 栽培実面積 日生産量 民間企業 9 15 津軽元気野 (株)野菜工房 菜工場共同 組合 民間企業 岩手県住田 京都府亀岡市 町 完全人工光 完全人工光型 型 蛍光灯 蛍光灯 青森県黒石 埼玉県秩父市 市 完全人工光 完全人工光型 型 白色蛍光灯 蛍光灯 2006 2006 2006 2007 2007 2008 トマト苗、キ レタス、サンチュ、グリ レ タ ス 、 グ リ フリルレタス、コモ ベ ビ ー リ ー リーフレタス ュウリ苗、メ ーンリーフ、バジル、イ ーンリーフ、 レタス、ロメインレ フ、トマト苗 ロン苗 タリアンパセリ、ルッコ サンチュ タス、サンチュ、ミズ ラ、からし水菜、クレソ ナ、ルッコラ、デトロ ン イト 720 200 4,092 2,868 296 454 60 25,200 288 株半分は研究用 900~1,000 株 年間生産 年間回転数(回) 地目 建築用途 正社員 パート 歩留まり率(%) 収支 年間売上 (千円) 運営コスト (千円) 設置コスト (千円) 販売先 栽培面積あたり 投資(千円/㎡) 栽培面積あたり 売上(千円/㎡) 480kg 8 宅地 倉庫 8~9 宅地 12 宅地 野菜工場 15 4 6 95 90 9 21 95 均衡 81,000 7,000 700,000 光 熱 費 14,000 卸売り 工業団地 10 90 1,400 レストラン、直売 小 売 店 、 飲 百貨店、高級ホテ 地元産直、小 小売店飲食店 食店 ル 売、飲食店 300 178 30 非農地 117 - 49 - 1 5 ②完全人工光型の先行事例(その5) (植物工場の事例集、農林水産省・経済産業省、平成 21 年11月より抽出) 項目 事業者名 17 21 小 津 産 業 (株)大戸屋 (株) 29 30 (株)みらくる 日亜物産 グリーン 2 5 19 (株)野菜工 (株)フェアリー スマイルリーフ 房 エンジェル スピカ(株) 運営者属性 民間企業 民間企業 民間企業 民間企業 兵庫県尼 崎市 完全人工 光型 蛍光灯 埼 玉 県 秩 福井県美浜市 富山県富山市 父市 完 全 人 工 完全人工光型 完全人工光型 光型 蛍光灯 蛍光灯+LED 蛍光灯 形式 光源 設置年 主要品目 設置面積(㎡) 栽培実面積 日生産量 年間生産 年間回転数(回) 地目 建築用途 正社員 パート 歩留まり率(%) 収支 年間売上 (千円) 運営コスト (千円) 設置コスト (千円) 販売先 栽培面積あたり 投資(千円/㎡) 栽培面積あたり 売上(千円/㎡) 民間企業 東京都府中 山梨県山梨市 大阪府岸和 市 田市 完全人工光 完全人工光型 完全人工光 型 型 蛍光灯 蛍光灯+LED 蛍光灯 予定 民間企業 民間企業 2008 2008 2008 2008 2008 2008 2009 レタス、バジ ミズナ、カラシミ ベ ビ ー リ ー リ ー フ レ タ リ ー フ レ タ レタス、サンチ リ ー フ レ タス 、 ル 、 ク レ ソ ズ ナ 、 ロ メ イ ン フ、ハーブ ス ス ュ 、水菜、 ルッ 各種ハーブ ン、カラシミ レタス、ルッコラ コラ ズナ 490 490 274 228 40 から 50kg 116 99 800 580 20 トン 6 雑種地 工場 4 964 918 20 2 固定費 1,300、 変 動 費 2,200 から 2,400 万 80,000 252 トン、300 万 438,000 株 株 非農地 工場 20 工業団地 3 11 70~80 100 若干黒字 均衡 35,000 5,000 レ ス ト ラ ン 、 自社店舗 スーパー、 百貨店 2,870 7,009 900~ 1,000 株 60 万株レタ 14.6 から 18.3 ト 8 トン ス相当 ン 非農地 既存建物 400 40,000 宅地 工場 1 5 6 40 80 300,000 1,560 飲食店 飲食店、小 売り 351 16 154 51 - 50 - 69 25 宅地 工場 自社加工品 43 6.山鹿市における自然指向型産業振興 6-1.山鹿市における植物工場の可能性 ①地域に適した植物工場検討の視点 露地栽培の農産品等の場合は地域固有の気候風土、土壌、水資源等によって形作られる生態系から、 地域固有の食文化につながる特徴的な特産品が存在する。地域の特性を活かした特徴的な品種が淘汰 された上で長期間にわたり市場に好感を持って受け入れられる品種が地域の農産物ブランドとして成 立することがある。それは、地域の資源を有効に組み合わせられて、合理的に形成された品種となり 存続されている。 ウドや黄ニラなど一部の植物では、小屋の中で生育させたり、こもやわらなどをかぶせるなど、容易 に流用できる資材を活用して、太陽光を遮断することで、特殊な生育条件を作りだし特徴ある植物を 生産している例もある。そこから発展して、トンネル栽培、パイプハウス栽培、電照栽培、などの技 術が導入されて、施設園芸として発展してきた。 技術的には施設園芸の延長と見なすことができるが、1980 年終わり頃から実用化が始まった技術と して植物工場がある。植物工場の定義は、確定されたものではないが、農林水産省と経済産業省が主 催する農商工連携研究会植物工場ワーキンググループの定義によれば、 「施設内で植物の生育環境(光、 温度、湿度、二酸化炭素濃度、養分、水分等)を制御して栽培を行う施設園芸のうち、環境および生 育のモニタリングを基礎として、高度な環境制御生育予測を行うことにより、野菜等の植物の周年・ 計画生産が可能な栽培施設である。この概念に当てはまる栽培施設として、大きく分けると、閉鎖環 境で太陽光を使わずに環境を制御して、周年・計画生産を行う“完全人工光型“と、温室等の半閉鎖 環境で太陽光の利用を基本として、雨天・曇天時の補光や夏期の高温抑制技術等により周年・計画生 産を行う”太陽光利用型“の2種類がある。 」とある。発表されている実際の事例から共通点を見いだ すと、水耕栽培と、コンピューターによる換気装置などの自動制御をしていることを植物工場と定義 していると思われる。 従って、植物を周囲の自然条件から隔離して、植物の生育環境を人工的に整えようとする施設園芸の 一つの究極の姿である。地域の気候風土等の自然環境の影響を受けることを最小にして、人工的な光 エネルギー、熱エネルギー、水分、肥料分等を制御して投入することにより、植物の生育制御を行う ことである。植物工場で必要としている土地、建物、光エネルギー、熱エネルギー、水分、肥料分等 の植物工場での植物栽培に必要とされる要素そのものが地域で供給しなければならない重要な資源と なる。二次的には、光エネルギーや熱エネルギーの元となる電気エネルギーについても重要な資源と なる可能性が高い。 言い換えれば、植物工場設置のための土地建物、必要とするエネルギー関連、植物栽培の要素を供 給できれば、地球上のどこでも生産できるからこそ植物工場といえる。そのような視点に立てば、あ る植物を植物工場で栽培しようと考えた場合、競合する植物工場は、日本全国に立地する可能性があ - 51 - る。競合先は国内に留まらず、世界中に立地することもある。植物工場での生産は、漁業でいえば養 殖漁業やブロイラーの生産に近い。従って、植物工場を立地させて採算化するためには、地域固有の 品種としての差別化が難しい。競合先もグローバルになる可能性があり、競争に打ち勝つためには、 徹底的なローコストオペレーションが必須となる。 そこで、地域に植物工場を立地させる必要条件としては、植物工場が必要とする重要な資源を、植物 工場参入を希望する事業者に、経済的な条件で提供できるかということが誘致成功の鍵をにぎる。具 体的には、植物工場設置時の経費の視点と、植物工場運営時の経費と言うことになる。 植物工場に限れば、この地域の気候風土に適しているからこの品種とか、この地域の土壌と相性がい いからこの品種といった優位性は保てない。強いていえば、植物工場を企画する段階で、品種の選定 や、品種の改良を行う場合、該当する品種が地域で多く栽培され、産地として形成されていれば、生 産農家や農業関係機関に栽培ノウハウや品種改良のノウハウが蓄積されている可能性がある。また、 流通の販路が形成されている可能性がある。そのため、具体的な参入計画が立てやすいという優位性 がある。しかし、同じ品種を同じ販路に流通させることは、競合することにもなるので、産地形成し ている作物の取引相場下落につながることもある。従って、既存事業者との調整に細心の注意が必要 とされる。また、最適栽培条件が確立されてしまえば、他地域へ流出してしまう危険性も高まる。 植物工場を立地させるための最大の課題は、植物工場の設置また運営に必要とする重要な資源(土 地・建物やエネルギー等)が、その地域に有り余るほど充足されているか、地域の戦略的な意志決定 により、地域の行政または個人が植物工場を設置しようとする事業者に格安で提供できる場合に限っ て成立すると思われる。すでに、行政が有休地をとりまとめ、農業参入を考えている大企業を誘致し、 リースにより参入の障壁を低くしている例も出始めている。 特定の地域に適した植物工場という考え方ではなく、植物工場が適するように地域の資源をそろえて 準備することによって、植物工場の立地が可能となる。 - 52 - ②設備から見た施設園芸・植物工場のタイプ どのような植物工場を設置するかは、どの程度まで環境制御を行うかで決定されるが、以下のような 分類に区分される。1~3までが、植物工場に当てはまる、明確な要件の基準は無いので、植物工場 以外も4~7に併記して比較した。 エネルギー 施設の分類 肥料 建屋 養液栽 化学肥 培 料 ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ × ○ ○ ○ × 4 太陽光人工光併用型施設栽培 ○ ○ × ○ ○ × 5 太陽光利用型施設栽培 ○ × × ○ ○ × 6 露地栽培 ○ × × ○ × × 7 有機栽培 ○ × × × × × 完全人工光型 1 養液栽培植物工場 太陽光人工光併用型 2 養液栽培植物工場 太陽光利用型 3 養液栽培植物工場 太陽光 人工光 × ハウス 密閉建 物 あくまでも概略の分類となるが、それぞれの項目により設備投資の内容が異なる。分類番号が上位に なる程、建物と設備が重厚になり投資金額が増加する傾向にある。具体的なシミュレーションは後に 述べる。 ③商品分類から見た施設園芸・植物工場のタイプ 現在、国内の植物工場で公表されている箇所は国内に50カ所以上有る。P16~23の表から読み 取れることと実地調査した結果を加えると、以下の様な整理ができる。 番号 商品カテゴリー 1 廉価汎用食品 2 高価格汎用食品、花卉 3 高額希少食品 4 高額希少資源抽出 作物例 レタス類、ほうれん草、きのこ、 トマト、もやし等 いちご、マンゴー、パッションフ ルーツ、菊、バラ、洋ラン等 不明(チコリ等) 備考 一部採算化している 一部採算化している 今後の対象植物 事例なく採算性不明 甘草等の薬草、 今後の対象植物 サプリメント成分等 事例なく採算性不明 - 53 - ④植物工場経営のシミュレーション 植物工場を設置する場合の投資及び運営のシミュレーションを行ってみた。参考として取り上げたの は、現在実用化段階の事例が出始めている完全密閉型の葉菜(レタス等)の野菜工場と太陽光併用型 の果菜(イチゴ等)にした。それ以外の事例については、不確定要素が多すぎてシミュレーションし て提示するレベルにない。 A 完全密閉型植物工場でレタスを生産するシミュレーション 完全密閉型レタス植物工場設置コスト予測(初期設備投資金額) 完全密閉型植物工場10aの試算 10a当たり概算 初期投資金額(千円)耐用年数 減価償却費 備考 全国農業会議所調べ 農地 0 熊本県平均平成22年 土地 名石浜工業団地相当 工業用地 16,000 と仮定,2000㎡建ぺい 率70%と仮定 出荷等作業場 3,000 15 200 10坪簡易作業場等 建物 栽培場(密閉型) 150,000 15 10,000 建物坪単価500千円 自動カーテン 0 環境制御装置 17,500 14 1,250 養液栽培設備 5,500 7 786 付属設備 空調設備(循環扇) 暖房設備 冷房設備 ヒートポンプ 培養液殺菌装置 総投資額 2,200 5,000 350 7 0 7 7 7 7 314 0 714 50 199,550 償却費計 13,114 平成22年度群馬県農業の課題解決の一方策として「植物工場」導入の可能性 社団法人中小企業診断協会群馬県支部平成23年1月より引用一部加筆修正 完全密閉型は工業用地に立地せざるを得ないため、工業用地と仮定する。 その他の設備は概算で算定しているため、立地環境により変動がある。 栽培場の建物を廃工場や廃校、空き店舗の建物を改装すること等で投資金額を圧縮できる可能性があ る。 用地を格安で提供してくれることや、格安で賃借できることが出来れば投資額を圧縮できる可能性が ある。 附属設備の投資に対しての補助金があれば、投資金額を圧縮出来る可能性がある。 - 54 - 完全密閉型レタス植物工場(運営上の損益予測) 運営時の損益 費目 施設面積a 販売単価 単位 10 アール(a) 600 円/kg 収入 回転当収穫量 回転数 収穫量 売上収入計 自家労務費 雇用労務費 支出 種苗 肥料 薬剤 諸材料 光熱動力費 農機具 施設の減価償却 修繕費 賃借料その他 出荷経費 支払利息 支出計 純利益 償却前利益 3,000 10 30,000 18,000 1,000 kg/10a 回 kg/10a 千円/10a 千円/10a 3,200 千円/10a 平日5名、1日4時間パート 4000時間時給800円 1,500 460 160 2,400 2,880 450 13,114 300 0 5,000 千円/10a 千円/10a 千円/10a 千円/10a 千円/10a 千円/10a 千円/10a 千円/10a 千円/10a 千円/10a 千円/10a 補助金または自己資金による 30,464 千円/10a -12,464 千円/10a 650 平成22年度群馬県農業の課題解決の一方策として「植物工場」導入の可能性 社団法人中小企業診断協会群馬県支部平成23年1月より引用一部加筆修正 投資金額が大きいため、減価償却費が 13 百万円となり、全額を減価償却すると 12 百万円を超える赤 字決算となってしまう。たとえば、投資額の 90%を補助金等でまかなうことができて、自己投資が 10% で済むことができれば、減価償却費も 10%分の 130 万円となる。その結果支出計が 18,661 千円とな り売上高とほぼ同じ金額になり損益均衡を保つ可能性がある。 売上単価は、通年で平均的に 500 円前後であるが、600 円程度で販売できるルートを確保しないと、 償却前でも赤字になってしまう。また、投資のために借り入れを起こした場合は、利息の返済及び、 元本の返済のために、経費の節減が必要となる。 - 55 - B 太陽光併用型植物工場でいちごを生産するシミュレーション 太陽光併用型いちご養液栽培植物工場設置コスト(初期設備投資金額) 太陽光併用型であるため、農地に建設できる。基本的にパイプハウスに設備を追加する方式なので、 初期投資コストは比較的少ない。パイプハウス建設についても材料のみの購入で、組立を自家で行え ば、15百万から3分の1の5百万に圧縮できる。出荷期間の設定と外気温の状況から、気温のコン トロールをどの程度までコントロールするかにより環境制御装置、暖房装置の能力が決まり、投資の 圧縮が検討できる。 - 56 - 太陽光併用型いちご養液栽培植物工場(運営上の損益予測) 運営時の損益 費目 施設面積a 収入 販売単価 回転当収穫量 回転数 期間収穫量 売上収入計 自家労務費 雇用労務費 支出 種苗 肥料 薬剤 諸材料 光熱動力費 農機具 施設の減価償却 修繕費 賃借料その他 出荷経費 支払利息 支出計 純利益 償却前利益 単位 10 アール(a) 950 円/kg 年間平均単価 kg/10a 回 5,500 kg/10a 5,225 千円/10a 1,000 千円/10a 5名1日4時間パート3ヶ月 1,440 千円/10a 1800時間時給800円 千円/10a 104 千円/10a 33 千円/10a 千円/10a 478 千円/10a 千円/10a 3,286 千円/10a 千円/10a 0 千円/10a 986 千円/10a 千円/10a 補助金または自己資金による 7,327 千円/10a -2,102 千円/10a 1,184 平成22年度群馬県農業の課題解決の一方策として「植物工場」導入の可能性 社団法人中小企業診断協会群馬県支部平成23年1月より引用一部加筆修正 島根型養液栽培システムによるいちご栽培の経済性、島根県総務企画部企画調整スタッフ いちごの場合、11月から3月までが比較的単価が高い。その間の出荷量により売上が左右される。 減価償却を全額行うと黒字化は難しくなる。設備投資に対する補助が必要となる。 - 57 - ⑤植物工場参入における課題と解決策 廉価汎用食品及び、高級汎用食品両方に言えることだが、生産する農産物は、土耕栽培の露地ものや 施設園芸の農産物が競合品として存在し、あまりにもそれからかけ離れた高価格は付けにくい。従っ て、あまり大きな粗利益率を得ることは難しい。そのため、初期投資額の圧縮と事業収益額の増加が 重要な課題となる。以下にそれぞれの課題展開と解決手段の候補を示す。主な解決手段には行政に期 待されることとして、求められる支援制度などを検討した。 A 初期投資額の圧縮 行政に期待 されること 植物工場投資の課題と解決手段の候補 土地投資額の 圧縮 土地低額取得 植物工場用地 斡旋 土地の 低額賃借 植物工場用地 リース制度 必要土地面積 の精査 初期投資額の 圧縮 建物投資額の 圧縮 建物の 低額賃借 植物工場用 建物賃貸制度 建物建築単価 の節減 設備投資額の 圧縮 設備投資内容 の精査 設備の 低額賃借 設備貸与制度 植物工場投資 補助金 補助金獲得 - 58 - ・植物工場用地斡旋制度 植物工場を設置しようとする事業者に対して、用地の斡旋を行う。完全密封型では工業用地等が 必要とされる。太陽光併用型および太陽光利用型では、農地が必要とされる。植物工場では、照 明や空調に電力や熱エネルギーを必要とするので、それらを調達しやすい用地を手配する必要が ある。 ・植物工場用地リース制度 植物工場用地を取得できない場合にリース制度で対応する。金銭的な面で植物工場用地を取得で きない場合と、農業者としての実績が無いために農地を取得できない場合が考えられる。市が仲 介となって低価格でリースする。 ・植物工場用建物賃貸制度 植物工場の建物を新規に建設すると多額の初期投資が必要となる。市が保有している建物で、現 在使われていない物件や、近い将来使われなくなる物件などを賃貸で貸し出す制度である。民間 の植物工場に適した建物で、余剰となっている物件も対象となる。 ・設備貸与制度 植物工場では、空調関連の制御設備や、養液栽培の循環システムなどの設備が高額になりやすい。 行政の保有設備として取得し、設備貸与によって、使用料を徴収する制度。事業者側としては、 初期の資金調達が少なくなり参入障壁が低くなる。 ・植物工場投資補助金 植物工場関連投資を補助金で資金支援する制度。 - 59 - B 事業収益の向上 行政に期待 されること 植物工場運営の課題と解決手段の候補 安定得意先 確保 学校給食への 参入 学校給食への 採用と斡旋 販路開拓 流通業とのマッ チング 食品の付加価 値増 加工食品へ 用途開発 食品加工開発 支援 歩留まり改善 栽培技術 栽培技術開発 支援 人件費削減 パートタイマー 多用 光熱費削減 作業改善 作業改善活動 支援 物流コスト削減 消費地の近く に立地 用地確保支援 売上増 利益額増 経費削減 固定資産税の 優遇 固定資産税優 遇制度 ・学校給食への採用 植物工場では、年間を通じて安定的な出荷が見込めることと、品質を安定させることが可能なので、 学校給食等の用途に向いている。販路の一つとして学校給食が確保されていれば、事業としても安 定させられる。学校給食への積極的な採用が植物工場支援につながる。 ・流通業とのマッチング 年間を通じて、計画的な生産ができる植物工場では、流通のルートも一般的な青果市場とは別のル ートを確保しなければならないことが考えられる。また、旬の時期の露地野菜よりは高めの取引価 格を維持しなければならないため、植物工場のメリットを理解してくれる流通業者とのマッチング が必要となる。大都市圏や、近隣の都市での商談会の開催、テレビや新聞等のメディアを通じたプ ロモーションについての支援が考えられる。 - 60 - ・食品加工開発支援 生食以外の用途を開発することによって、ロス率を低減させることができる。また、素材としての 出荷より、加工を施すことで付加価値をつけることができる。食品加工技術開発への補助金等を通 じて、高付加価値化と歩留まり改善の2つの課題を解決する。 ・栽培技術開発支援 植物工場開設時までに、一定レベルまでの栽培技術は確立されている。しかし植物工場としては、 製造業に似た経営改善活動を永続的に実施する必要がある。すなわち、植物工場での植物の生育速 度を計測して、少しでも短縮できる要素が有れば取り組み、植物の生育速度のバラツキがより少な くなる様に完全活動を続けることである。日常でとられる、環境データと植物の生育状況のデータ を元に品質管理活動を行う。製造業の品質管理の専門家を派遣するなどして、現行の品質向上活動 を支援する。 また、新製品の開発も必要とされる。現行の品種に加えて、戦略的にどの品種に展開していくかな どを考え、新しい品種の栽培技術研究を並行して実施する。 ・作業改善活動支援 収穫や種まき作業など、比較的労働力を必要とする作業については、常に省力化の視点で作業補助 具や、自動化などを発案して、改良を重ねる必要がある。製造業の作業改善の専門家などを派遣し て、植物工場の作業改善活動を支援する。 ・用地確保支援 初期投資額の圧縮に関わる支援制度と共通になるが、植物工場の設置場所を地価のみで選定してし まうと、その後の運営上の物流コストに継続的に影響を与える可能性がある。植物工場用地は、サ プライチェーンの次の工程すなわち、消費地または食品加工工場になるべく近い位置に立地させる 必要がある。 ・固定資産税優遇制度 自己資本により植物工場への投資を行った場合、完全密閉型では、土地家屋多額の投資となる。そ の結果、投資額に見合った固定資産税がその後継続して課税されることになる。植物工場に関わる 固定資産については、固定資産の減免などの制度で優遇する必要がある。 - 61 - 6-2.山鹿市における自然指向型産業の総合的振興 ①内発的自然指向型企業に対する支援施策 A 製品化リスク、事業リスク回避の支援 製品開発過程で、現状の経営資源では不足する工程を補うために数々の支援または外部機関と の連携が必要となる。単独の中小企業や事業者や課題に取り組むと、長期間の開発期間を要して 事業機会を逸してしまうことになることが多い。また様々な調査研究にはコストもかかることに なり、資金繰りにより事業を断念することも少なくない。一方で、簡単に調査研究を終了させて 事業化に踏み切ると、市場導入後にクレームが多発するか競合が現れて市場を取られてしまうこ とも少なくない。次に示すような項目に対して検討を進めることで、製品化リスクと、販売後の 事業リスクを最小に留めることが必要である。 施策としては、製品開発事業補助金による助成、製品開発プロジェクトマネージャーによるア ドバイス制度、特許出願補助金、などが考えられる。 B 成分分析と製品安全の確認 まず、食品としても健康食品としても他の類似商品との差別化をはかり、特徴をアピールする ために成分分析が必要となる。先行事例に有るような石鹸、化粧水、乳液などの製品は、アレル ギーに対する配慮が必要となるため、パッチテストなどの試験も必要になる。直近の「茶のしず く石鹸」による小麦粉アレルギーの問題は記憶に新しい。地の塩社の様な実績のある企業は、ア レルギー関連のノウハウもあり、調査のための連携先も確保している。今後、類似の商品を開発 する場合には、同じ様なノウハウを必要とする。医療関係の知見を持つ機関や事業者をリストア ップしておき、連携が必要な時期に、素早く連携できるような環境を整えておくことも重要と思 われる。 施策としては、成分分析センターの設置、成分分析補助金、特定分野の専門家派遣によるアド バイザー制度、産学連携コーディネーター制度などが考えられる。 C 加工技術確立 茶や米などの乾燥粉末化技術は、既存の技術としてほぼ確立されているが、植物エキスの抽出 などは、加熱すると分解されてしまう成分もあるので、常温で抽出して濃縮する技術などを確立 しなければならないこともある。減圧乾燥しながら、凝結させて濃縮するなどの技術を確立して いく方法もあるが、そのような技術を持つ事業者との連携することで、製品化までの期間を短縮 することが出来る。 施策としては、加工技術開発補助金、特定分野加工技術開発専門家派遣アドバイザー制度、加 工機械設備投資補助金、産学連携補助金などが考えられる。 - 62 - D 製品包装技術 開発された商品をどのようなパッケージで流通させていくかという段階で、製品の包装技術が 重要となる。食品や化粧品では酸化や光による品質の劣化や、成分の分解が進行する場合もある。 細菌の混入や増殖なども対策をしておく必要がある。販売先として全国をターゲットにする場合 は、全国の顧客に安全安心できる状態で届けられるように包装しておくことが求められる。並行 して輸送段階での破損等が起きないような対策を講じておく必要がある。 輸出等の海外展開を考える場合には、更に船積み輸送を利用する場合は高温下の条件に晒され ることもあり、輸送方法と並行して包装技術を検討する必要がある。 施策としては、食品包装技術開発補助金、輸送技術開発補助金、輸送専門家によるアドバイザ ー制度、包装機械設備投資補助金などが考えられる。 E マーケティング・リサーチ 市場規模やターゲット顧客とのコンタクトの仕方をはじめとして、価格設定、プロモーショ ン方法、販路の選択などを検討する。市場規模により生産規模や、設備投資が決まり、その結 果損益分岐点も決まる。候補となる商品については、市場に対する知見をもつ事業者と共同で 商品化を図ることが重要である。同時に、業界特有の商慣習や、法規制などの制約条件も把握 して、あらかじめ対策を講じる必要がある。 施策としては、市場調査補助金、市場調査専門家派遣アドバイス制度、などが考えられる。 F 販路開拓 開発された商品の販路開拓を行うためにも、メディアや展示会等への露出が必要となる。企 業単体では、出店のハードルが高いので、地域として商品の露出について強力に支援をしてい く必要がある。 施策としては、大都市での展示会出展補助金、市としての展示会ブース確保と提供、大都市 圏のバイヤーと地域企業の商談会開催、商品化プロデューサーの招聘による推進、などが考え られる。 - 63 - ②自然志向型企業の誘致施策 A 企業の農業参入への対応 地域内に自然志向型企業を誘致することによって産業振興を図る場合は、参入する事業者のニー ズに沿ったメリットを供与できなければならないと考える。参考資料に、近年農業に参入した事 例を示してあるが、その企業の事業内容から推定すると、以下のような目的で参入したと推定さ れる。 ・仕入れ材料を内製化する。(コストと品質の安定化) ・余剰となった自社の人件費と設備を有効活用する。(事業収益改善) ・企業の社会貢献 以上のように、第1の参入目的としては、医薬品・健康食品、食品、飲食業などは、これまで仕 入れてきた材料に対して、安定した品質の素材を安定したコストで求めたいというニーズから参 入している傾向が強い。第2の参入目的としては、主たる事業の市場規模が縮小傾向で、部分的 な業種転換を検討しなければならない状況にある企業などが参入している。これらの事業者が求 めるニーズに対応できる受け皿を準備する事により、企業誘致が現実的になる。 B 農業参入への支援 企業が農業分野に参入する場合には、作業の効率性などを追求する。そのため、移動時間などが 少なく、作業が効率的にできるように、ある程度の面積で、連続している農業用地を確保してあ るかどうかが重要となる。また、隣接する既存の農業者との共存共栄出来るような品種を選ぶこ とや、地域での役割分担などを農業者の一員として引き受けること、地域のコミュニケーション の輪に入ることなどが重要となる。これらの課題をスムーズに解決していくために、行政機関が JA、地域の農業者組織などとの調整作業をサポートしていくことが大切である。 C ターゲットとする業種 近年の異業種から農業参入の傾向と方向性を分析してみると以下のような事業者が参入してい る。従って、誘致企業の業種として、次のような業種へのアプローチが有効と思われる。 現行の自社の事業に相乗効果を狙って参入するか、自社の材料を内製化すると言う目的で参入す る事業者としては、食品・飲食業の中では酒造業(日本酒、ワイン等)、味噌・醤油醸造業、総菜 製造販売、等がある。ほかに、薬品・健康食品製造販売業(JR九州)等が考えられる。 公共事業などの縮小により、余剰人員を抱えている業種では、山林伐採業、土木建設業などが重 機などの設備を有しているため、経営資源を有効に活用しながら農業参入できる。 - 64 - ③自然志向型企業の連携支援と六次産業化支援 A 農商工連携支援 サプライチェーン源流が一次産業者、次に加工をする二次産業者、消費者の前の販売が三次産業 と商品が供給されていくが、一次産業で価値のある素材を生産してもその後のサプライチェーン が整っていなかったら経済的に成り立たない。マーケットへの流通、素材加工、農業、それぞれ に固有の技術や、ノウハウ、実績からの信用などがあるので、サプライチェーンを開拓しながら 事業に結びつけることは難しい。そこで、サプライチェーンに垂直的に関わる事業者のマッチン グを支援して、比較的短期間にサプライチェーンを商品が流れるようにできる。特に新たな商品 を事業化しようとしている場合などは、二次産業の食品加工と三次産業の流通業者は地域内に存 在しない可能性が高い。その場合、域外や大消費地に立地する流通業者とのコンタクトに場の設 定なども重要となる。施策としては、大消費地での展示会出展補助金などが考えられる。他に中 小企業基盤整備機構が実施している農商工連携支援制度を活用することも考えられる。 http://j-net21.smrj.go.jp/expand/noshoko/position/index.html(農商工連携) B 六次産業化への支援 六次産業(ろくじさんぎょう)とは、農業や水産業などの第一次産業が食品加工・流通販売にも 業務展開している経営形態を表す、今村奈良臣(いまむら ならおみ)が提唱[1]した造語。また、 このような経営の多角化を六次産業化と呼ぶ。 農業、水産業は、産業分類では第一次産業に分類され、農畜産物、水産物の生産を行うものとさ れている。だが、六次産業は、農畜産物、水産物の生産だけでなく、食品加工(第二次産業) 、流 通、販売(第三次産業)にも農業者が主体的かつ総合的に関わることによって、加工賃や流通マ ージンなどの今まで第二次・第三次産業の事業者が得ていた付加価値を、農業者自身が得ること によって農業を活性化させようというものである。 (wikipedia より) 農業者は、バリューチェーンの源流に位置しているが、他地域と同様に高齢化と後継者不足が深 刻な課題となっている。域内では農業法人の設立も推進されてきており、集落営農も事業として 継続的に実施できる見通しがある法人もある。そこで、農業法人や個別農家などに農産物の加工 や販売の事業に進出するための支援をする。ブランド化された農産物は、ブランド維持のために、 自主規格が設けられ、厳しく選別されて市場に出荷されることになる。そのときに規格外品が損 失として処理され、収益性を落とすことにつながっている。加工品の生産や販売までを農業者が 行うことになれば、より高い付加価値を提供できると同時に、規格外品を加工品用途に流用して、 ロスの少ない生産が見込め、収益性の向上を見込むことができる。 施策としては、農水省の6次産業化法の活用が考えられる。 http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika.html - 65 - 参考資料 農中総研のまとめた企業の農業参入事例 1990年代後半から大企業の参入が始まったが、自社の原材料としての活用を狙い参入した食 品製造または外食チェーン企業以外は事業収益を出せるまでに至っていない。2008年以降は、 JR、電力会社、流通業など、参入する業種は、食品関連産業以外に広がりを見せている。 2005年の農地法改正により、株式会社が農地を賃借して農業に参入出来るようになり、多く の参入が始まったのが2008年と見られる。大企業の参入には比較的まとまった面積が必要と言 うこともあり、地域の行政が土地のとりまとめを行い、大企業の農業誘致を行ったという背景があ る。 - 66 - ビジョン編 現在、人件費コストや為替レートの観点から、多くの企業が国外に製造拠点を 移転するなど国内への設備投資意欲は減少しており、工場の統廃合など生産体制 の見直しを進める企業が増えている。 さらに、現今の経済状況も勘案するなら、新たな工場立地などの企業誘致は厳 しい状況となっている。 しかし、企業の誘致・拡大は雇用機会の確保だけでなく、税収や経済の面でも 地域にもたらす効果は大きく、人口の減少にも歯止めをかけるなど、波及効果の 高い経済活動であることから、今後も企業の新・増設が図られるよう積極的に誘 致活動や市内企業へのフォローアップを図っていかなければならない。 そのためには、これまでの普遍的・一般的なやり方ではなく、山鹿市の特徴に 合った企業誘致戦略を定め計画的に企業誘致や支援を実行していく必要がある。 本ビジョンでは、従来の支援施策を見直し、今後誘致すべきターゲット業種を 絞り、企業立地用地を計画的に確保し、全庁的企業誘致・支援体制の整備を図る こととしており、今後はビジョンに基づき、積極的な支援を進めていくこととす る。 1.ビジョンの目標期間について 本ビジョンは、山鹿市の企業誘致と工業の振興施策を戦略的、計画的に推進する上での 指針となるものである。その観点からビジョンの目標期間は平成24年度から第1次山鹿 市総合計画後期基本計画が終了する平成27年度までの4年間とする。 ただし、社会経済情勢の変化や工業振興をめぐる環境の変化に柔軟に対応するため、必 要に応じて見直していくこととする。 なお、この4年間は、ビジョンに記載する施策を具体化しながら、展開していく期間と する。 2.誘致・立地企業の業種絞込み(重点的な誘致企業)について 戦略的・重点的産業分野の立地推進 新たな企業の立地推進は、地域経済が疲弊し、また雇用状況が改善しない中、経済と雇 用の面で地域に大きな効果をもたらすため、国内各地域間での競争が激化している。 一方で、本市の企業立地条件については、工業用水の利用可能水量が限定されており、 - 67 - 斡旋可能な用地の不足、さらに鉄道や空港といった交通拠点へのアクセス面が劣るなど、 県北の他地域と比較すると不利な状況にある。 また、本市の企業誘致施策は県の計画に準じて、輸送機器等の産業分野を中心に行って きたが、この分野は国内での生産による有利性が薄れる中、国内生産基地の縮小と国外シ フトが想定され、国内での事業拡張についてはたいへん厳しい産業分野となっている。 こうしたことから、企業にこれから山鹿への立地や創業を求めるためには、これまでの 誘致の取り組みを見直すだけではなく、より戦略的な視点から本市独自の誘致産業分野の 絞込みを行う必要性が生じている。そこで、地域間・国際間競争を勝ち抜くことができる 産業分野、また山鹿市独自の風土・文化・資源に調和する産業分野を選定し、これらの産 業分野の立地に焦点を絞って積極的な施策を展開するものとする。 戦略的・重点的な産業分野の選定に当たっては、次の方針に基づき絞込みを行った。 a社会的なニーズに即した成長が望める業種であること b山鹿市の地域特性が生かせる業種であること c市や県の新たな上位計画及び関連計画に沿った業種であること さらに、SWOT 分析により、 「機会を活用し、強みをさらに活かす」 、また「強みを活かし、 脅威を克服する」ような産業分野の抽出を検討した。 (現状分析編27頁以降参照) 以上のような検討結果、山鹿市が新たな企業誘致、産業立地支援を重点的に行っていく のは、下記のよう産業分野とする。 ①「くらしと健康」関連産業 高齢化社会の到来や、消費者の健康志向、食の安全志向により、健康産業や農業・食 品産業は国内立地産業としての成長が見込まれるばかりではなく、山鹿市の地域環境と の相乗効果が期待されるものである。 □医療・健康関連: [化学(医薬、化粧品等)/医療業/社会福祉・介護事業他] □生活文化・観光文化関連: [食料品製造業/その他製造業/娯楽業他] □農林漁業再生関連: [農業/食料品製造業他] ②「環境・エネルギー」関連産業 現在の電力等エネルギーの制約、また将来的な資源枯渇の不安や再生可能エネルギー への期待の高さから、環境・エネルギー分野は県の産業振興ビジョンにおいても重点成 長分野として規定されており、山鹿市の豊かな自然環境や政策方針とも親和性が高いも のである。 □環境・エネルギー分野: [電気業/電気機械器具製造業他] ③既存立地企業の増強 山鹿市内には既に集積されている産業分野があり、国内からの事業の集約化も進んで いる。こうした事業を積極的に支援することで、地域への定着と新規事業への展開を誘 導する必要がある。 - 68 - □新製造技術関連:[金属製品製造業/プラスチック製品製造業/電子部品・デバイ ス・電子回路製造業他] ④リスク分散立地の誘導 東北大震災やタイの大水害の経験により、事業継続性の確保や危機管理の観点から、 リスク分散のためのバックアップ拠点を確保する動きがみられる。山鹿市の優れた生活 環境や遊休施設等を活用した国内拠点分散化への対応や、ICT関連事業の誘導を図る。 □ICT利用関連(データセンター等) : [情報サービス業/インターネット付随サー ビス業他] 3.企業立地支援策について 3-1.企業立地支援策 山鹿市への新たな企業立地を求めるため、優遇制度の見直しや支援策を検討していく。 ①これまでの地域別・業種別に異なっていた「固定資産税課税免除」と「工場等設置奨励 金」の優遇制度を、簡素化し事業者に分かりやすい制度に見直していく。 ②企業の初期投資の低減を図ることを目的に、用地取得補助金制度やリース制度等の施 策の検討を行う。 ③工場立地の際に必要となる緑地面積率等の緩和を行う。 ④市有地や民間の未利用地・空き工場を活用した誘致施策を図っていく。 ⑤企業の立地に伴う許認可などの諸手続きに関して、事業者と市・県関係部署における 事前調整や情報交換の機会を提供し、申請事務手続きのスピードアップ化・ワンスト ップ化を図っていく。また、庁内の連携体制を強化していく。 ⑥熊本県や産業支援機関との連携を強化し情報収集を強化する。 ⑦市内立地企業リスト(パンフレット)を作成し、誘致対象企業に訪問して、地域の技 術集積の情報を提供する。 ⑧企業誘致に携わる職員の確保とスキルアップを図る。 ⑨首長のトップセールス及び管理職によるセールスも積極的に行っていく。 また、山鹿市の立地環境や地域資源をアピールするため誘致対象企業の山鹿市への訪 問視察を誘導する。 - 69 - 3-2.既存企業への支援策 市内に立地する個々の企業の事業活動をきめ細やかに支援し、事業活動の継続・発展を 支えるための支援を行う。 ①これまでの地域別・業種別に異なっていた「固定資産税課税免除」と「工場等設置奨励 金」の優遇制度を、簡素化し事業者に分かりやすい制度に見直していく。 ②山鹿市企業連絡協議会の活動を中心に、企業間及び企業、高等学校、行政間の連携を 図り、研修事業や交流事業の実施により市内企業の活動支援を行っていく。 ③企業からの相談事項については、迅速に対応できるよう庁内他部署や関係機関との連 携を強化する。 ④企業からの要望である道路・通信等の事業インフラ整備を行う。 ⑤市内企業のパンフレット等を市外企業へ配布し、市内企業の取り引きの拡大等を推進 する。 ⑥市内企業の定期訪問を行い、ニーズの把握等を迅速に行う。 ⑦熊本県や産業支援機関との連携を強化し情報収集を強化する。 ⑧市内企業に「有意義な情報」の提供をタイムリーに行う。 ⑨人材及び雇用の確保の観点から、市内企業と市内外の教育機関や国・県等の労働関係 機関との連携を行う。 ⑩市有地や民間の未利用地・空き工場を活用して、市内企業の増設に対応して施策を図 っていく。 ⑪工場の増設の際に必要となる緑地面積率等の緩和を行う。 3-3.企業立地用地の確保と開発適地の選定について ①企業立地用地の確保 継続的な企業誘致を図っていくためには、企業立地用地の計画的な確保と一定規模の 先行取得は必要不可欠な条件である。 本市が重点的に誘致を図って行く業種のうち、医薬・化粧品等製造業、食料品製 造業、プラスチック製品製造業、金属製品製造業、電気機械器具製造業、電子部品・デ バイス製造業は、工業立地用地の整備が必要となる。また、これらの業種を誘致ターゲ ットとした場合、2013年から2020年までの間に必要とされる工業立地用地は約 10ha と想定され、その計画的な確保が求められる。 ②開発適地の選定 山鹿市内で開発可能性のある開発適地としてこれまで検討してきた6箇所の候補 地を立地条件、土地利用規制、開発コスト等の面から比較検討した。 その結果、開発適地として山鹿東部工業団地の北側隣接地(約2ha)を候補地とし、 「戦略的に導入を図る企業」の受け皿として先行造成(レディーメイド用地)を行う。 また、既存の工業団地である若宮原工業団地の残地(約3ha)を「その他の企業」の - 70 - 受け皿とし、立地の要望に応じて市が斡旋を行い、企業が造成(オーダーメイド用地) する土地として確保する。 さらに必要な土地(約5ha)については、市有地を活用することで対応する。 【山鹿東部工業団地の北側隣接地を候補地とした理由】 ①市内企業から、 「拡張性に問題があるものの、インフラ整備が完了し生活環境も良く、 幹線道路へのアクセスも便利である。 」という高評価を得ていること。 ②当市の既存工業団地と立地企業は、国道3号、325号、443号に近接したエリ アに位置しており、今後のまちづくりの方向性としてもこのエリアに企業を集積させ ることが望ましいこと。 ③日本立地センターの評価において、既存工業団地に隣接しているうえに造成も容易で 土地利用に当たっての有効率も高いことから、開発適地の候補地として最も望ましい との評価であること。 ④農振農用地区域の農地ではないこと。 ⑤第1種農地の割合が3分の1を超えないこととなり、農地転用の不許可の例外とし て適用されることが、県の担当課から確認が取れており、農地転用許可の可能性が非 常に高い状況となっていること。 3-4.自然志向型産業に重点をおいた企業振興施策について (財)中小企業総合研究機構による「山鹿市における食関連産業振興プロジェクト実現 支援事業」により、山鹿市における自然志向型産業振興の方向性が示された。 この報告を受け、本市における「自然志向型産業に重点をおいた企業振興施策」は、次 のとおりとする。 ①自然志向型産業の定義 ●第1次産業である農産物、林産物、水産物の生産、次に、それらの産物を有効に活用 して付加価値を高めて加工する産業、さらに、その加工された製品を市場に流通させ て地域の産業を安定させる産業。 ●第1次産業の副産物資源化産業等 第1次産業の収穫や加工をする過程で生成する副産物等で、有償で処分しなければな らない物や、極めて安価でしか売却できない素材を、 加工して付加価値を高める産業。 ●様々な産業から発生する廃棄物について資源化する産業等 給食センター等食品工場での廃油を使って石鹸を生産する企業や、製材業から出され る木っ端を集成材に加工したり、おが粉を圧縮して炭化させて木炭にしたりする等、 製造業から排出される産業廃棄物を資源に転換する産業。 ●再生可能なエネルギーを生み出す産業等 - 71 - 新エネルギー関連産業(バイオマス発電、バイオマス燃料製造、バイオマス熱利用、太陽 光発電、太陽熱利用、地熱発電、温度差熱利用、中小規模水力発電、風力発電等) ②自然志向型企業の誘致対象業種について a.自然志向型産業の中でも、特に山鹿市と親和性の高い農業、農産物加工業等の産業を 対象とする。 b. 誘致企業の業種は、現行の自社の事業に相乗効果を狙って参入する業種及び自社の材 料を自ら生産するという目的で参入する業種とし、具体的には、酒造業(日本酒、ワ イン等) 、味噌・醤油醸造業、総菜製造販売業、健康食品製造販売業等をターゲットと する。 ③自然志向型企業への支援策 a.企業の農業参入における、安定した品質の素材や安定したコスト等のニーズに対して、 纏まった用地の確保や品種の選定等について農政サイドと連携を図る。 b.参入企業が地域や農業組織等とのコミュニケーションをスムーズに図られるよう調整 を行う。 c.製品化や経営上のリスクを回避するため、商工会議所・商工会等と連携を図る。 d.食品、健康食品として他の類似商品との差別化を図り、安全性の確認を行うための成 分分析や、加工技術、製品の包装技術等について、県産業技術センター等と連携を図 る。 e.市場規模やターゲット顧客等のマーケティング・リサーチ、商品の販路開拓のため、 農政サイドや商工会議所・商工会等と連携を図る。 ④植物工場参入への支援策 自然志向型企業の中でも、先進的な取り組みである植物工場については、従来の工場や 施設園芸との関係性、収益性や販路の確保といったことを、さらに研究、整理し、農政 サイド等と連携しながら次のような支援策等について検討していく。 a.植物工場を建設する場合、初期設備投資額は非常に高額であり、企業にとっては減価 償却費が大きな負担となっている。 そのため、初期投資の低減を目的として、用地取得や工場投資への補助金制度やリー ス制度等の支援施策の検討。 b.販路の一つとして、給食等地域での販路確保の検討。 c.市税等の優遇制度の検討。 - 72 - 4.企業誘致体制(別紙:企業誘致体制図) ①これまでは、商工課のみで企業誘致を行ってきたが、今後はビジョン検討委員会の組 織を基に、関係部署による全庁的な支援・誘致体制を組織していく。 (企業からの要望や相談があった際に商工課で課題を整理し、a 全庁的な課題である場 合は庁内工業振興委員会(仮称 企業誘致推進体制図参照)を開催する。b 特定の部 署に関連する場合は、商工課長から担当課長へダイレクトに要件を伝え、すぐに担当 者レベルの話がすすめられるような体制を検討する。 ②定期的な熊本県担当部署訪問を継続し、今後も県・関係機関との連携を密にして企業 立地に努める。 - 73 - 企業誘致体制図 進出予定企業 対象企業へのアプローチ 山鹿市商工課 企業誘致推進室 支 援 熊本県 企業立地課 山鹿市工業振興委員会(庁内) (仮称) 県補助金、市奨 励金等の優遇制度 山鹿市企業連絡協議会 (市内企業) 住民・周辺環境 との調和 熊 本 県 担当部局 規制対応 県出先機関 東京事務所 大阪事務所 不動産取得税減免 開発行為等 人材確保 企 業 立 地 地場企業のビジ ネス機会の拡大 関連需要の発生 雇用の創出 ・部品等の現地 調達 ・進出企業との 協同技術開発 ・工場建設 ・各種メンテナ ンス ・物流 ・従業員の雇用 ・工場建設によ る雇用 - 74 - 税収の増加 ・法人関連税収の 増加 ・住民税等の増加 ・その他 (消費税、 固定資産税等) の税収増加 平成23年度ビジョン策定までの流れ 4月28日 第1回ビジョン検討委員会 庁内関係各課(10課) 企画課・財政課・農林企画課・農林振興 課・建設課・都市計画課・環境課・下水道 課・商工課・農業委員会事務局 業者選定は5社(①~⑤) ①株式会社 産業立地研究所 ②みずほ情報総研株式会社 6月3日 6月23日 7月6日~7日 8月12日 第2回ビジョン検討委員会 ビジョン検討委員会各部筆頭課委員(5課) による山鹿市戦略的工業支援計画調査業 プレゼン3社(③~⑤)、2社辞退 務委託のプロポーザル方式による選定 ③財団法人 日本立地センター ④財団法人 九州経済調査協会 ⑤佐々木地域計画事務所 日本立地センターによる 地元企業へのヒアリング調査 ①ニフコ熊本、②丸山ステンレス、③フジ クラプレシジョン、④千代の園酒造、⑤オ ムロンリレーアンドデバイス、⑥イワシタ フーズ、⑦陽光、⑧米山産業 日本立地センターによる 地元企業へのヒアリング調査 地の塩社 9月28日 中小企業総合研究機構との第1回打合せ 中小企業総合研究機構による 地元企業等へのヒアリング調査 ①鹿本森林組合、②地の塩社、③農事組 合法人 中分田ファーム、④JA鹿本、⑤ 山鹿市商工会、⑥県企業立地課、産業支 援課 日本立地センターによる 地元企業へのヒアリング調査 シマノ熊本 日本立地センターとの第3回打合せ 10月6日~7日 中小企業活性化担当者研修会 中小企業総合研究機構主催 10月26日 第3回ビジョン検討委員会 ビジョン(案)の検討 11月21日 政策調整会議 ビジョン(案)の報告 11月29日 中小企業総合研究機構との第2回打合せ 11月29日~30日 12月2日 中小企業総合研究機構による 地元企業等へのヒアリング調査 ①九州エフテック、②山鹿商工会議所、③ 梶川工業、④れんげ・カンパニー、⑤千代 の園酒造 松見氏 ビジョン(案)のアドバイス 中小企業総合研究機構との第3回打合せ 2月3日 2月17日 植物工場等に興味のある市内企業等によ 企業9社、鹿本商工、商工会議所、商工 る(株)アルミスの工場見学会 会等 第4回ビジョン検討委員会 今後の予定 2月中・下旬 3月上旬 工期 H23.6.15~H23.10.31 ヒアリング内容 1.現在地への立地の経緯 2.山鹿市等の立地環境評価 3.業界動向、今後の展開可能性 4.山鹿市への提言等 日本立地センターとの第2回打合せ、 日本立地センターによる新たな工業用地 の候補地6箇所の現地確認 中小企業総合研究機構によるプロジェクト 実現支援事業の採択 10月4日 契約額 296万円 日本立地センターとの第1回打合せ 8月31日 9月29日~30日 契約 日本立地センター 市長決裁、各部長に報告 ビジョンの報告 経済観光委員会に報告 ビジョンの報告 - 75 - ヒアリング内容 1.企業概要、事業概要、沿革 2.商品開発の考え方、原材料調達の方法 3.販路開拓の方法 4.今後の事業戦略 5.食品産業への関連性