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) 3 3 ( 号 巻第 l 8 商学研究第4 3 3 論文 グリーン・サービサイジングに関する一考 察 脇田弘久 目 次 . はじめに 1 . グリーン・サービサイジングとは I I 皿.グリーン・サーピサイジング・ビジネスの現状 N. グリーン・サービサイジング普及に向けての課題と展望 V. おわりに 要旨 サーピサイジングは,製品のもつ機能をサービス化して販売,提供するも のである 。 グ リーン・サー ビサイジングは,サーピサイジングのなかで,より環境負荷低減効果が期 待でき,環境面において優れ た特性を示すものであり,製品等のリサイクル効率を高め,廃棄物の発生 を抑制するなど循環型社会の 構築に資することが期待される 。 本稿では,グリ ーン・サーピサイ ジング ・ビ ジネスとはどのようなも ので, どういった点で環境問題に資するのか,その現状を概観し,その課題や今 後の展開について若干 の考察を行った 。 キーワード サーピサイジング,グリーン・サーピサイジング 34 ( 3 4 ) 商学研究第 4 8 巻第 l 号 1.はじめに 環境問題が一層深刻化するなかで,わが国は. I 天然資源の消費が抑制され,環境への負荷が できる限り低減された 社会」と定義される 1)循環型社会を形成す ることを目指しさまざ まな取 組みが行われている 。 そのーっとして,製品 そのものを「所有」す るのではなく,その「 機能」や「サービス」 の 提供,利用を通じて, より資源の有効活用を 促し,できるだけ環境 効率を高めながら新た な付 加価値を創出するグリーン・サーピサイジング ( GreenS e r v i c i z i n g ) への取組みが注目される 。 本稿では,サービサイ ジング ( S e r v i c i z i n g ) のなかで,より環境負荷低減効果が期待でき, 環境面において優れた パフォーマンスを示す ものをグリーン・サー ビサイジングと捉え, その 内容を考察していくことにする 。 グリーン・サーピサイ ジング・ビジネスにつ いては,平成 1 7 年度より経済産業省が ,従来型の「製品販売 を前提としたビジネス 」と比較して,より高 い環 境負荷低減効果が期待 される「サービス提供 型ビジネス」であり, そのビジネスの展開を 通じ て「製品の生産・流通 ・消費に要する資源・ エネルギーの削減 J .I 使用済み製品の発生抑制」 等に資する事業であり,かつ. I 経済性のある 事業」への発展可能性 が高く. I 先導性の高い事 業 Jを支援する「グリーン ・サービサイジングモ デル事業 Jを開始している 2)。本稿では,そ うした事業の現状を概 観するとともにその概 要について若干の考察 を加えてみたい。 l l . グリーン・サービサイジングとは 1.サービサイジングとは サービサイジングという 言葉自体は,米国の環 境研究を専門とする非 営利研究機関であるテ ラス研究所が初めて使用したとされている 。羽 弓 1 I t eらによれば,サービサイ ジングとは, これ まで製品として販売し ていたものをサービス として提供するもので 新たな付加価値を生み 出 そうというビジネスモデルを表現していると同時に,環境面での利益をもたらす可能'性を持っ ていると言及している 3)4)。別の表現をすれば製品がその使用者・消費者に対して機能やサービ スを提供する仕方を変 えることによって,新 たな付加価値を生み出 し,市場のニーズに貢 献し ようとする経営戦略の一つである 5) といえよう 。持続可能な経済社会 を構築するには,脱物 質 化を進めることも有効 であり,その 一つの方法として,サ ーピサイジング というビジネスモデ ルを再評価・推進することが注目されている 。 サーピサイジングは, 決して急に出てきたも のではない。言葉自体 は目新しいものの,ビ ジ ネスモデルとしては特別のものではなく わが国でも,家の置き 薬としてなじみ深い「 薬の訪 問販売」や写真機能を 提供する「レンズ付き フィルム」の回収・リ サイクルシステムなど 数多 くの事例があるとの指摘もある 6)o また,ヨーロッパでは ,同様な概念を示すも のとして P r o d u c tS e r v i c eSystem (以下 PSSと グリーン・サーピサイジングに関する一考察 ( 3 5) 35 略記する)がある 。Goedkoopらは, PSSを「市場化されうる製品とサービスのセット(シス テム)であり,ユーザーのニーズを共に満たしうるもの Jと定義している 7)。 具体的には製品の持つ機能を提供するビジネスモデルの総称と考えられる 。中村は,米国に おいては,拡大製品責任(製品スチュワードシップ)政策を具体化するビジネスモデルを模索 するなかで,化学業界を中心に,パフォーマンス基準のビジネスモデルとしてサービサイジン グが生まれてきたのに対して,欧州においては, I 持続可能な生産と消費」の実現に向けて,環 境負荷を低減させながら経済を成長させるという観点から PSSの考え方が生れてきたという出 自の違いはあるものの基本的にサービサイジングと PSSの概念的な区別はないと思われると指 摘している 8)0 本稿においても,サーピサイジングと PSSは概念的に大きな差異はないものと捉え ,サービ サイジングという用語に統一して稿を進めることにする 。 和田は,従来のモノの販売とサーピサイジングの大きな違いは,サーピサイジングの場合, 製品の生涯を通じて所有権がメーカーにあることであると指摘する 。 その指摘を要約すると, 一旦,消費者に所有権が移ってしまえば,使用後のリサイクル・処 理までメーカーが管理することは難しい 。 しかし所有権をメーカー側で保留しておけば責任 を果たしやすく,また,製品の所在場所が明らかであるため回収のピークを契約期聞から予測 し使用済み製品を確実に回収することができる。 機能の提供を通じてメーカーが利潤を得るためには原材料の消費の抑制,製品の耐久性の向 上,リサイクルや維持管理の容易な製品設計に努めようというインセンテイブが必然的に働く。 メーカーが回収するため,不法投棄も起こりにくい,結果として環境負荷の削減にも役立つこ とになる 。 所有権がメーカー側で留保されることは,これまで分断されていた動脈と静脈がつながるこ とでもある 。サーピサイジングのもと,製品の生涯を通して,同 一所有権で管理することによ )。 る環境負荷とコストの削減が期待できるとしている 9 また,同氏はサーピサイジングの効用として以下のものをあげている 10)o ① 資源生産性の向上 機能の提供による利潤拡大のため,メーカーは原材料の消費の抑制,製品の耐久性の向上, リサイクルや維持管理の容易な製品設計等を行うようになる 。 ②製品の所在管理・確実な回収 メーカーが所有権を持っているため 製品の所在が明確であり かつ使用後は確実に回収 可能である 。 ③不法投棄の抑制 家電製品の不法投棄問題に対しても, ② と同様の理由により効果的である 。 ④新たな雇用の創出 36 ( 3 6 ) 商学研究第 4 8 巻第 l 号 サービサイジング事業に必要な修理 回収故障時の相談等 サービス業務を担当 する新し い雇用の創出が可能である 。 ⑤サービスの改善 メーカーは継続的に収 益を確保していかなけ ればならないため,利 用者に対してさらに サービスの改善を図る努力をする ようになる 。 ⑥製品購入 より安いサービスの 享受 メーカーのサービス改善 企業努力 あるいは機能の効率的改善により,利用者は製品購 入金額よりも安くサービスを享受できる場合がある 。 上記の①資源生産性の向上, ②製品の所在管理・確実な回収, ③不法投棄の抑制, ④新たな 雇用の創出,それに加えて,製品の寿命をメーカー側が管理することにより,過剰生産,在庫 管理,生産能力を調整し安定化できる点などは,主にサーピサイジングにおけるメーカー側の メリットと考えられ,⑤サービスの改善,⑥製品購入より安いサービスの享受は,消費者側の メリットと考えられる 11)。 また,様村はサーピサイジングが有効な場合として,これまで環境負荷はコストではない(外 部費用)と理解されていたものを,自発的にコストとみなして削減の対象とするのが有利なと き。次に使用済み製品が使用者にとってコスト要因,生産者にとって利益要因となる場合。使 用済み製品が使用者にとって廃棄物処理費用を負担させ 使用済み製品の残存価値が生産者に とって高い場合。第三に,製品供給が費用要因化する場合。つまり製品がサービス供給のイン プットとなる場合である 12 ) と指摘している 。 2 . グリーン・サービサイジングとは これまで製品として販売していたものをサービスとして提供することで,新たな付加価値を 生み出そうというビジネス・スタイルをサーピサイジングは表現している 13)0 サービサイジング,すなわち「財を売るのではなく,サービス(機能)を売るという経済シ ステムへの転換を図る」こと自体が,脱物質化につながる可能性があるため,サーピサイジン グ・ビジネスの多くが環境負荷低減に寄与しているといえなくもない 。 しかしながら,サービ サイジングでは,まずビジネスとして成立するかどうか,市場性があるかどうか,収益性があ るかどうかという経済的な視点が不可欠である 。そこで,経済産業省グリーン・サーピサイジ ング研究会では,サーピサイジング・ビジネスのうち,環境面で、 特 に優れたパフォーマンス(特 性)を示すものを「グリーン・サーピサイジング・ビジネス」と定義し,その普及促進施策を 検討している 14)15)。 グリーン・サーピサイジング・ビジネスは,従来型の「製品販売を前提と したビジネス」と比較して,より高い環境負荷低減効果が期待される「サービス提供型のビジ ネス」のことを指すといえよう 。本稿においても,この定義に則してその内容を検討していく ことにする 。 グリーン・サーピサイジングに関する一考察 ( 3 7 ) 3 7 図表 1 サービサイジング・ビジネスとグリーン・サービサイジング・ビジネスとの関係 出所:経済産業省グリーン・サーピサイジング研究会 「 グ リーン・サーピサイジング研究会報告書一環境負荷低減効果の r 14 1 ( 5 ),2 0 0 6年 , p . 7 8o 高い 「 サービス提供型のビジネス」へ J 官公庁環境専門資料. 今堀・盛岡は,グリーンなサーピサイジングの要件として,以下のものをあげている 16)。 ①顧客や消費者の ニーズを満たすもの ②自然や社会環境への負荷を伴わない 同じ機能を満たすのに製品とサービスが別々に存在するよりセットになった方がより環境負 荷が少ない ③企業にとって有効なビジネス戦略である ④長期間に渡って維持することができる S e l fLea r n i n g ) である ⑤自己学習型 ( 目標に向かつて持続的に改善を図る 3. グリーン・サ-ビサイジング・ビジネスの分類 グリーン・サービサイジング・ビジネスの分類方法には 先述のグリーン・サービサイジング研究会では さまざまなものが提案されている 。 今堀・盛岡や吉田による分類方法を参考にサー ピサイジング実現の手段の違いに着目し,以下のような分類方法を示している 17)o ①マテリアル・サービス(モノが主) ① - 1サービス,提供者によるモノの所有・管理 契約形態を変更することにより,サービスを提供する事業者が製品をライフサイクルで管理 することで環境負荷が削減される 。具体的には, I 廃棄物処理・リサイクル代行 j, I 製品のレン タル・リース j ,I コピー機・洗濯機等の Payp e rUsej, I 製品のテイクバ ック」などの事業があ る。 ① 2 利用者のモノの管理高度化・有効利用 利用者によるモノの維持管理・更新のデザインと技術によって,製品の長寿命化を図ること 38 ( 3 8 ) 商学研究第4 8巻第 I 号 で環境負荷が削 減され ると ともにサ ー ビス提供を維持拡大す るもの O 具体的には, i 中古の製 品 ・部品の買取 ・販売 j, i 修 理 ・リフ ォーム j, i アップグレ ー ドj, i 点検 ・メン テナンス Jな どの事業が該当する 。 ① -3モ ノの共有化 モノを共有化 ・共同利用する ことで,社会にある製 品の量が全体と して 減 少 し 資 源 消 費 量 が減少,環境負荷が削 減されるもの O 具体的には, i カー シェアリング j, i 農機具の共同利用」 などの取組みが含 まれる 。 ②ノン マテ リアル・ サー ビス(サ ー ビスが主) ② - 1サービスに よるモノの代替化 情報,知識,労働に よ り資源をサ ー ビスに代替させること により,資源消費にと もなう環境 負荷が削減されるもの O 具体的には 「デジタル画像管理 j, i 音楽配信」 などのサ ー ビスがあ る。 ② -2サー ビスの高度化・ 高付加価値化 サー ビスの効率向上,さら なる付加価値の向上に よ り,サ ー ビスに付随する環境負 荷が削減 されるもの O 具体的に は 「廃棄物処理コ ーデイネ ー トj, i E S C O事業」などの事業がある。 図表 2 グリーン・サービサイ ジング ・ビジネスの分類方法 │グリーン・サ-ビサイジング・ビジネス│ ① マテリアル・サ十 ービス(モノが主) の q 提H 所 供 有 者 サ ・ に 管よ 理 ビる スモ ノ 有 q ノ〉 の 効2 管 利 利 理 用用 高 者 度 の 化 モ・ ① 化-3 モ ノの共有 契約形態を変更す る こ とにより製 品を ライフ サイクルで管 理し、環境負荷を削 j 成する 維 デザ 持 イ管 ン 理 と 按 ・ 制 更 の 術新 によ り 製品の長寿命化 を 図 りサービス提供 を持続拡大 所有を共有化す る こ とによ り 、 製品ス卜 <具体例> <具体例> -廃棄物処理・リ サイ ク ・中古製品買 取・ 販 売 jレ代行 .中古部品買取・販売 .製品レ ン タ ル ・ リース . 1~!里・ 1) フォ ー ム -洗濯機の PayperUse・アッ プ グ レ ー ド、 .製品のテイ ク パッ ク .点検・メンテナンス 減 ッ ( ク = を の 資 図 減 源 る 少 ) 消費の削 <具体例> .カーシェアリ ン ク ・農機具の共同利 用 ② ノンマテリアル・サ___l ービス(サービスが主) _ ②-1 サービスによる ヒ・ イ② 高 2付 サ 加 ー 価 ビ ス 値の 化高度 モ ノの代替化 資源を情報、知識、 労 替 { 動により サ ー ビスに代 すり 付る た サ ー け 環 ビ て さ 境 ス サ ら の に 負 荷 付 効 ビ ス を 加 率 削 に 価 を 誠 付 図 値随 を っ させることにより 成源 j 資 ー 消 ( I ビ 費 T に スに ) よ 伴 る う 脱 負 物 荷質 削化サ <具体例> .デジタル画像管理 .音楽配信 <具体例> .廃棄物処理コーディネト 圃E SCO事業 出所:経済産業省グ リーン・サーピサイ ジング研究会「グ リ ー ン・サーピサイ ジング研究会報告書一環境負荷低減効果の 高い「サービス提供型のビ ジネス」へ Jr 官公庁環境専門資料Jl4 1( 5 ),2 0 0 6, 年 p . 7 9o グリ ー ン・サ ー ピサイジングに関する一考察 ( 3 9 ) 39 図表 3 わ が 国 の グ リ ー ン ・ サ ー ビ サ イ ジ ン グ ・ ビ ジ ネ ス の 例 ①マテリアル・ サー ビス ① -1 サー ビス,提供 者によるモノの 所有・管理 t oB (企業向け) 管理 ・代行 .廃棄物処理 ・リサイクル代行 t oC (一般消費者向 け) レンタル ・リース .家庭用機器レンタル -サ ー ドパ ーテイロジス テ イクス ( 3 P L ) PayperUse レンタル ・リース .オフィス関連設備レンタル ・リース -植物レンタル ・リース .ユニフォ ームレンタル ・リース -処理・リサイクル装置等レンタル ・リース .輸送用設備レンタル・リース .発電装置レンタル・リ ース .ガラスびんのレンタル・リ ース . リユース食器レンタル・リース .木製遊具レンタル・リース -走行距離課金型リ ース .家庭用医薬品の P ayp e rUse テイクバック .カメラ販売・回収 .廃食器回収 Payp e rUse .お菓子の P ayperUse ①マアリアル・ サー ビス 製品リユース -事業系機器リユ ース 製品リユース -家庭用機器リユース ① -2 利用者のモノの 管理高度化・有 効利用 部品リユ ース -事務系機器部品リユース 部品リユ ース .家庭用機器部品リユース 修理・リフォ ーム .家庭用機器修理 点検・メンテナンス .住宅 ①マテリアル・ サー ビス シェアリング .カ ー シェアリング .農機具の共同利用 ① -3 モノの共有化 ②ノンマテリア ル-サ ー ビス ② -1 サー ビスによる モノの代替化 ②ノンマテリア ル サ ー ビス e-コマ ース・ eーコマース .デジタル画像管理 .音楽配信 情報発信 .情報共有化 リソースマネジメント .廃棄物処理コーデイネート ② -2 省エネ ・省資源ソリューション サービスの高度化 ・.ESCO事業 高付加価値イヒ 出所:経済産業省グリーン・サーピサイジング研究会「グリーン ・サーピサイジング研究会報告書 環境負荷低減効果の へH官公庁環境専門資料. j4 1( 5 ),2 0 0 6年 , p p . 7 9 8 0の図表 3を一部修正して引用。 高い「サービス提供型のビジネス J ここに取り上げられた事例は,グリーン・サービサイジング・ピジネスの一例であり,今後,事業者の創意工夫に より多様な展開の可能性があることから,新たなビジネスの誕生によって範囲,事例はさらに広がるものと考えら れる。 4 0 ( 4 0) 商学研究第 4 8 巻第 l 号 4. グリーン・サービサイジング・ビジネスが取り込む新たな領域 グリーン・サーピサイジング・ビジネスでは サプライチェーン・ライフサイクルのなかで 新たな領域に取組むことで新しい価値を創造するものがあると指摘されている 。 グリーン・サーピサイジング・ビジネスでは, I 機能提供」というコンセプトに基づき,提供 者である製造業者等がこれまでビジネス領域としていなかった「川下」に位置する製品販売後 のライフサイクル等を「新たな領域」として取り込むことによって,消費者に対して新たな価 値を付加したサービスを提供している 。 また,利用者側・提供者側の価値を見ると, I 新たな領域」を取り込むことによって,従来型 のビジネスに比べて提供者の双方に何らかの価値が生じていることがわかる 。 この「新たな領 域」には, I メンテナンス」ゃ「処理・リサイクル」に加えて, I コンテンツ」ゃ「保証」とい っ たものも含まれており,今後,提供者側の創意工夫によ って,さらに拡大していく可能性があ る18)。 また,グリーン・サーピサイジング研究会は,グリーン・サーピサイジング・ビジネスが取 り込んでいる「新たな領域」は スマイルカーブ 19) に お い て 収 益 性 が 高 い事業 プロセスと 一 致していると指摘する 。 グリーン・サーピサイジング・ビジネスへの転換により,従来取り込 んでこなか った「素材」・「メンテナンス J分野等 を価値化することによ って,収益性が向上す る可能性を示唆していると 言 えるであろう 20) と言及している 。 図表 4 グリーン・サービサイジング・ビジネスに取り組む場合に着目すべきポイントとスマイルカーブ との関係 価爪 素材 .部品生産 値 I ~ 化 │ ブ一一.__ 組立 着《べき、?, ¥ポイント,_"イ メンテナンス 処理・ コンテンy ; ;リサイクル:/保証 販売 ..~._..- ¥ ; ー イ , ./着目すべき: ポイント 出所:経済産業省グ リー ン ・サーピサイ ジング研究会 「グリー ン ・サーピサイ ジング研究会報告書 一環境負 荷低減効果の 高い 「 サービス提供型のビ ジネス 」へ J 官公庁環境専門資料j4 1( 5 ),2 0 0 6年 ,p . 1 1 0 。 r lH.グリーン・サービサイジング・ビジネスの現状 1.グリーン・サービサイジングモデル事業の概要21) 経済産業省は,環境政策のーっとして「グリーン・サーピサイジングモデル事業」を推進し ている 。先述のようにグリーン・サービサイジング事業を,従来型の「製品販売を前提とした ( 4 1 ) グリーン・サービサイジングに関する一考察 4 1 ビジネス」と比較して, より高い環境負荷低減効果が期待される「サービス提供型ビジネス」 であり,そのビジネスの展開を通じて「製品の生産・流通・消費に要する資源・エネルギーの削 減j, I 使用済み製品の発生抑制」等に資する事業と定義している刻 。 以上のような面で「経済性のある事業」への発展可能性が高く,先導性,新規性・オリジナ リテイの高い事業に対して,事業委託によりその展開を支援している 。事業の選定に際しては, 公募により事業を募集し, I グリーン・サーピサイジングモデル事業推進委員会」を設け,書類 審査,ヒアリング審査を行ったうえで,事業採択を行っている 。 7年度 同省が示す「グリーン・サービサイジングモデル事業の概要 j (平成 1 平成 1 9年度)を もとにその事業の概況をみてみることにする 23)o 2 . グリーン・サービサイジングモデル事業の実施の背景と目指すもの 24) 近年,企業の環境経営への取組みのーっとして, I 製品リサイクルの推進J. I 環境配慮製品の 0世紀ビジネ 普及」が進められている 。 こうした取組みは,持続可能な社会の構築に向けて, 2 スモデルの前提とでも言うべき大量生産・大量消費からの転換を十分に促すものとはなってい ない。 このため,今後はこれまで確立されたリサイクル基盤の整備に加え, I リデユース(発生抑 制)j, I リユース(再使用 ) j 等を指向した,環境負荷の低減に資する新たな事業活動への転換 が一層重要となってきている。提供する製品の機能等に着目した付加価値の高い「サービス提 供型ビジネス」は,将来的には市場の競争力を有する新たな事業としても期待されている。ま た,異業種間の連携により,新たなビジネスモデル(事業の仕組み,収益構造等)を構築する ことも期待される。 この事業の目的は国による事業の実施により 「環境負荷低減」および「競争力を有する新 たなビジネスモデルの創出」の両面で効果があるオリジナリテイのある取組みを発掘しその 事業を支援することを通じて, 2 1世紀型の持続可能な社会構築に向けた事業活動が進展する契 機とすることを目指している 25)o 3. グリーン・サービサイジング事業の例 グリーン・サービサイジングモデル事業の募集にあたって示された事業例としては以下のよ うなものがある 。 ①カ ーシェアリング 26) カーシェアリングとは,自動車を複数の人で共同利用することであり カーシェアリング事 業は自動車の持っている機能を利用者に提供するサービスである 。一般的なカーシェアリング サービスでは,利用者は最初に会員登録を行い,その後自分の利用する日時などを事業者(管 理センター)に予約して,当日指定の駐車場で自分の使用する鍵を受け取り使用する 。使用後 42 ( 4 2 ) 商学研究第4 8 巻第 l 号 は自動車を駐車場に 返却し料金を支払う 。サービス利用による効果として,会員は,自動車 を所有したときに比べ,保守整備・駐車場代,保険代等のコストを軽減することが期待できる 。 また,事業実施地域における自動車保有台数の削減が期待されるとともに,会員の自動車使用 にかかるコスト意識が高まることを通じて,移動距離や用途に応じた適切な交通手段の選択が 進むことが期待され 環境負荷の低減につながる 。 ②電気・電子機器等のリペア 27) 株式会社ミスターコンセントは 家電製品の修理 パソコン等の修理・サポート,プリンタ トナーの再生,エアコン洗浄等のサービスを全国チェーンで提供している。家電量販庖の顧客 サポート部門が分離独立し,エリアごとの家電量販庖との業務提携,フランチャイズ化,直営 庖の設置等により全国ネットワークを構築している。その企業では,主要部品 4 0 0 0点を常時在 庫し,修理品の約 8 割を自庖で修理するこ とが可能となっている 。修理サービスの特徴 として r 庖頭診断は無料j,r その場で料金の見積り j,r その場で完了日の提示 j,r 完了日遅延の場 合にペナルテイの支払い j, r 全メーカーに対応 j,r どこで買った品物も受け付け j, r 貸出し機 を用意j, r 6ヶ月の修理保証」があげられる 。顧客は,修理状況を 電子メールや携帯電話 など は , で確認することもできる。 ③照明機能の提供サービス 28) 松下電器産業株式会社は 蛍光ランプを大量に使用する工場やオフィスビル等,事業者を対 象として,蛍光ランプを販売せずに,蛍光ランプから発する「あかり」という機能を提供する 「あかり安心サービス」を 2 0 0 2年 4月に開始している 。同サービスでは,蛍光ランプは同社の 「あかり安心サービスセンター Jが所有し,使用状況の予測に基づく月額固定料金で期間契約を 結び,期間中に寿命に達した蛍光ランプについては,月額料金の範囲内で交換分を届ける 。 回 収した蛍光ランプは,センターが排出者として,委託契約をしている中間処理会社で適正処理 が行われる 。顧客は 同サービスにより一斉交換の際にかかる蛍光ランプ費用を分散・定額化 できる他,蛍光ランプの廃棄時の中間処理会社との契約や産廃マニフェスト管理業務が不要に なり,産廃の不法投棄といった廃棄物管理を巡る環境リスクを削減することができる 。 4. モデル事業の採択状況 平成 1 7年度および平成 1 8年度に採択された経済産業省のグリーン・サーピサイジングモデル 事業の概要は,付. 1,付 .2に示すとおりである 。直近の平成 1 9年度の「グリーン・サーピサ イジング事業(中小企業等環境配慮活動活性化促進事業 ) j については,その公募を実施した結 果,全国で 3 3件の応募のなかから次の 5件の採択がなされている 29)。 ①「きれいな風を感じるまちづくり」マンション向けモビリテイシェアリング事業の展開 (ウインド・カー株式会社)30) 高齢者向けの新たなサービスの提供を視野に入れつつ,カーシェアリング事業として,車の グリーン・サーピサイジングに関する一考察 ( 4 3 ) 43 利用だけでなく,電動機付き自転車,セニアカーといったモピリティ全体のシェアリングを行 うことにより,人々が今まで自動車の利用に頼っていた移動手段に対し利用目的に合わせた 最適なサービスを提供する事業である。また,自動車の経年変化による排出ガス悪化,燃料消 費増等の症状を抑えるため,自動車整備業の団体と連携し車両の定期的なメンテナンスを行う。 ②庖舗機能状態サ ービス(オリエント商事株式会社) 31) コンビニエンスストア 等のチェ ーン庖の閉庖,移転,改装の際に廃棄される大量の資材(資 産 ) を 回 収 し 再 生 整 備 に より他庖舗へ納入,活用することで,廃棄物を大幅に削減し環境負 荷を軽減する事業である。さらに事業を通じて得たデータに基づき,保守が容易で寿命が長く, リユースが可能な建物を含めた設備機器,什器類の設計,開発を行い,維持管理費,廃棄費を 抑えることにより,さらなる環境負荷の低減を図ることを目的とした事業である。 ③電動フォ ークリフト用バ ッテリ ーのトータル・マネジメント 事業(バッ テリーバンクシステ ムズ株式会社)32) 顧客企業が保有するフォークリフトに搭載されているフォークリフト・バッテリーのデータ ベースを新しい手法で作成し計画的にバッテリーの診断・再生を行うことによって,バッテ リ一寿命の延命を図るとともに,バッテリーの個体管理を行って,再生が不能となったバッテ リーについても,不適正輸出の防止と確実なリサイクルのサポートを行うなど,バッテリーの トータル・マネジメントサービスを提供する事業である。 ④梱包用荷崩れ防止グリ ーンエコベルトによる環境負荷低減と物流コスト削減事業(エ コピズ 株式会社) 33) 物流の現場で一般的に使用されている荷崩れ防止用ストレッチフィルムは再利用ができない ため,荷受けの場所において産業廃棄物となり,焼却等の方法により処理されている。リユー ス可能な梱包用荷崩れ防止バンド「グリーンエコベルト」を荷主あるいは物流会社に供給,メ ンテナンスすることにより,環境負荷の低減,物流コストの削減を図ろうとする事業である。 ⑤生ごみ処理機の レンタルにより食品廃棄物の地域内循環を実現する 「メリーズシステム」 (楽しい株式会社) 34) 都市部の外食産業等の事業所に生ごみ処理機をレンタルし,生ごみを減量,また従来廃棄し ていた発酵分解床も半年に一度回収する仕組みとし高付加価値の堆肥(土壌改良材)を製造 する。堆肥は契約する有機栽培農家に販売しそこで生産された有機野菜等を買い取り,本シ ステムに参加する顧客に販売していくことにより,安全・安心な食の循環を実現する事業であ る 。 4 4 ( 4 4 ) 商学研究第 4 8 巻 第l 号 図表 5 マンション向けモビリティシェアリング事業 モビリティシェアリンク.運営 @G I , , , , , : 車両の y , , " " 古くな ったマ イ カ ー / , ' の 号取・廃棄", り つ 収 克 T メンテナンス : " : ノ, y , ; 廃車・けイクル料 , ・ - P 物の流れ -・・争 情報等の流れ 圃 圃 + お金の流れ 出所:経済産業省 webページ 「グリ ー ン ・サー ピサイジング事業」を一部修正して引用。 h t t p : / / w w w . m e t . i g o . j p / p o l i c y / e c o _ b u s i n e s s /s e r v i c i z i n g / h t ml /t y _model / h 1 9 m _ O l . h t m l 図表 6 電動フォークリフト用バッテリーのトータル・マネジメン卜事業 :.- - - - - 1 - ー ー ー ノ 1 一一て,~ リース〓詮 " I i ※ 1日常保守点検 診断デヲ収集 登録 保守情報の登録 定期診断と報告 バッテリ一保守解析と改善提案 1 ¥ッテリー廃棄報告 ※ 2バッテ リ パ刑廃棄業者 l、 II II ノ ¥ 中古車業者等 I: II ノ ーと卜こご巴一一一一一一ノ ※ 3 1 ; 旬以広言 代替バッテリーの貸出し 予備パ yテリーの調達・ 補完 不要パ yテ リ の 回 収 ーー+物の流れ ・・・砂情報等の流れ ーー惨お金の流れ 出所:経済産業省 webページ「グリーン ・サ ービサイジング事業」を一部修正して引用 。 h t t p: j/www.met . i g o . j p / p ol i c y/e c o _ b u s i n e s s /s e r v i c i z i n g / h t ml /t y _model / h19m_ 0 3 . h t m l グリーン・サーピサイジングに関する一考察 ( 4 5 ) 45 N. グリーン・サービサイジング普及に向けての課題と展望 1.グリーン・サービサイジング普及に向けての課題 グリーン・サービサイジング・ビジネスは, I モノの所有」という価値観から脱却し脱物質 化を進め,持続可能な経済社会の構築に資するビジネスモデルであると考えられる 。 しかし現 状では,その内容を多くの一般市民が認知してるとはいいがたく,その普及にあたっても採算 性等を含め多くの課題が存在する 。 グリーン・サーピサイジング・ビジネスの普及にかかわる 課題について検討してみたい。 まず,根本的な問題として,グリーン・サーピサイジングと称される事業がどれくらい環境 負荷の低減に資するものなのか,それに類するこれまでの事業などと LCAやその他の環境負荷 低減効果を検証・評価する手法を活用して比較,検証しその優位性を明示することが求めら れる。個々のグリーン・サーピサイジング・ビジネスが,いかに環境面で優れているか,企業 や一般市民に明確な形でアピールし 理解を得ることが重要となる 。 また,顧客が,製品を所有することへのこだわりが強く,それに固執する場合は,グリーン・ サーピサイジング・ビジネスモデルの受け入れは困難となる 。現状を鑑みた場合,顧客の製品 等への所有意識は強いものがあるものも多いと考えられる 。そうしたなかで,グリーン・サー ビサイジングのメリットを啓蒙し普及させうるのかという課題がある 。その普及にあたって は,一般消費者および企業が,環境への負荷を低減することの重要性を理解し経済合理性の みならず環境配慮型の購買 消費行動をとることが求められる 。 一般消費者および企業は,製品の購入や所有にともない直接的に支払われるコストに対して 経済性を重視する傾向は強い。一方,その製品・サービスの購入にあたって自然に与える影響 を包含する環境コストを考慮した環境パフォーマンスを重視する購買行動には,なかなか結び つきにくい状況がある 。 こうした状況下で,環境負荷低減につながる購買行動を促しながら,さらに従来の「所有」 から,その「機能」ゃ「サービス」の購入へ意識を切り替えることは,困難をともなう 。 まさ に,意識変革ともいえる大きな行動変化が必要となるといえよう 。 家電や自動車などの製品のリースを例にとっても,一般消費者には,まだなじみが薄く,そ のメリットを感じる消費者は少ない 。一方で,製品を「所有」することへのこだわりは,依然 として強いものがあると推測される 。 こうした状況下で,いかにユーザー,消費者に対してメ リットを提供することができるかがポイントとなる 。 次に,他の環境問題に関する諸施策との連携も課題となる 。 グリーン・サービサイジング・ ビジネスの普及にあたっては ス価格を比較した場合, い。顧客に対して 価格面一つを取り上げても 実際の製品の購入価格とそのリー リースを選択するインセンティブがあるとはいいがたいなど課題も多 環境に与える影響 を含めたトータルコストにおいてグリーン・サービサイ 46 ( 4 6) 商学研究第 4 8 巻第 1 号 ジングがより有利であることを示し,理解してもらうことができなければ その普及は困難で ある 。環境への負荷を含めたコストを低減させる努力が一層 必要とされる 。一方,消費者や企 業等にその価値を伝える環境コミュニケーションのあり方も問われる 。 また環境教育や環境に 配慮した消費,購買行動を促すための税制面での施策等を含めた行政などの公的な政策も求め られる 。 今後,グリーン・サービサイジングが一般消費者に受容されるかどうか,一般消費者(家庭) への普及も大きな課題である 。 グリーン・サービサイジング・ビジネスにおいては,企業(事 業所)を対象としたビジネスモデルと一般消費者を対象としたビジネスモデルでは,その利用 目的や動機,取りヲ│き規模や頻度, I 所有」に関する考え方(こだわり)などが異なる 。現状の グリーン・サーピサイジング・ビジネスは,企業(事業所)を対象としたビジネス分野におけ る展開が比較的多い状況である 。一般消費者を対象としたグリーン・サーピサイジング・ビジ ネスの展開が循環型社会構築のために 一層期待される 。 このほかの課題として,和田は,サービサイジングが容易に展開可能な製品等もあれば,そ の展開が困難な製品等もある 。機能よりも デザインなど消費者の好みが重視される製品等の 場合,機能やサービスの提供をビジネスとするサービサイジングでは,その対応が困難であり, 不向きなものもあると指摘する 3ヘ さらに,サービサイジングは,通常の売切製品とは異なり, 機能面でのバージョン アップやモデルチェン ジの対応 保守・メンテナンスが特徴であるが, 一方で、それを保証するためには,人的にもコスト的にも負担が増すことになるため, どこまで できるか等が問題となる 。従来の売切型製品・サービスとは違い,製品・サービスを修理,整 備し,性能や機能を回復しやすいようにしたり,時代変化や求められる機能に応じて製品やサー ビスの一部をパージョンアップするなどができるよう環境配慮設計を実施したり,販売後のア フターサービス体制を充実させるなどして製品等の「長寿命化」に対応していく必要があると 指摘している お ) 。 2 . 今後の展開について 前述のようにグリーン・サーピサイジングの普及には,多くの課題が存在する 。 し か し そ のなかでもいくつかその可能性を示す状況もみられる 。 わが国では,老齢世帯が増加しているほか,単身世帯の増加 核家族化の進展がみられる 。 それらの世帯は,犬家族であった時代のようにすべてモノを所有して生活を送るよりも,その 規模に応じてその必要な量だけサービスを受けるようにアウトソーシングした方が効率が高い と思われる 。 サーピサイジングは,効率的にモノを使用することにつながり,環境負荷の低減にも効果が ある 。 また,社会的なニーズを考慮に入れると,循環型経済社会構築に向けて,できる限りモ ノを使用しない,あるいはリユースに努めるグリーン・サーピサイジングは今後の大きなピジ グリーン・サーピサイジングに関する 一考察 ( 4 7 ) 47 ネスチャンスになると思われる 37) との指摘もある 。 グリーン・サーピサイジング・ビジネスは,始まったばかりの事業も多く,導入期の段階で あり,その普及にあたっては克服すべき課題を抱えたものも多いのが現状であろう 。 環境ビジネスのなかには,環境に資するという利点を強調する一方で,顧客に多くの面で手 間や負担,コストを強いる形で展開されているケースも散見される 。そうした形で,グリーン・ サービサイジング・ビジネスの普及を図ろうとしても自ずと限界があろう 。 まずは,グリーン・ サーピサイジングの提供側と利用者との聞のコミュニケーションを深め,利便性や使いがって の良さなどわかりやすい形で直接的メリットを利用者である顧客に提供することを重視しそ れを徹底して追求する努力が求められる 。 グリーン・サービサイジング・ビジネスのなかに, こうした努力をなおざりにして環境に資することを強調するばかりで,顧客の直接的なメリッ トを追求し,そのニーズを充足する努力が不十分なものが散見される 。 もちろん,グリーン・サービサイジングの展開にあたっては 環境負荷の低減を優先するこ とによって,従来,ユーザーや消費者が享受してきた利便性や使い勝手の良さといった直接的 なメリットを制限されることもあるが,そうした制約があるなかでも,顧客の利用しやすさな どを徹底して追求する姿勢が重要となる 。環境負荷を低減することと顧客の直接的メリットを 充足することに関して,いかにウエルバランスをとるかが問われている 。 一般的に,ビジネスにおいては,その顧客に対してよりわかりやすい形で多くの顧客価値を 提供することができるかがポイントとなる 。 グリーン・サーピサイジング・ビジネスにおいて もその点に変わりはない。顧客価値は,グリーン・サーピサイジングを利用する際に,直接的 に支払われたコストや負担だけではなく,環境コストや社会コストといった外部コストを含む コストとそれによって得られたベネフィットとの対比で表される 。 グリーン・サーピサイジン グの普及にあたっては その利用者に,直接的に支出されるコストだけでなく環境コストや社 会コストとの関連でコスト構造を分析しコストパフォーマンスが優れていることを理解して もらえるかが課題となる 。そのためにはコスト構造を明確に分析するための LCA等の既存手 法の活用や環境負荷低減効果に関する新たな評価システムの開発,そして,その事業のメリッ トを利用者に伝え,理解してもらうための環境コミュニケーション手法の活用や新たな手法の 開発が求められる 。 グリーン・サービサイジングの普及にあたっては その提供者と利用者の聞に共創的な関係 をベースとした価値創造のための仕組みを構築することが重要である 。 先にも述べたように,環境に資するといっても顧客に対して企業から 一方向的にグリーン・ サーピサイジング・ビジネスを展開するのであれば,その普及はおぼつかない。 グリーン・サー ビサイジング・ビジネスの創出にあたって,提供者側と利用者側が互いに密にコミュニケー ションをとりながらそれぞれのニーズを満たしうるグリーン・サーピサイジングを共創する仕 組みづくりが必要である 。そこには,双方向コミュニケーションを活用した共創型,共進型の 48 ( 4 8) 商学研究第48 巻第 1 号 マーケティング手法の活用などが有効となろう 。 また,グリーン・サー ビサイジング・ビジネ スは,導入期の段階に ある事業も多く,利用 者 がそのサービスを購入 することを跨賭するこ ともありがちである 。 そうした状況下において, 一般にサービス利用促進に関して用いられる手法であり, PSS等 にも含まれる取組みで あるが,事前に成果に 関して保証したり,契 約を結びその利用を促 進す るサービス保証,サー ビスレベル契約,パフ ォーマンス契約などの 手法の活用も一考の価 値が ある 。サービス保証とは, 提供されるサービスの 品質が,事前に設定さ れた標準に届かなかっ た場合には,何らかの 形で顧客に補償する約 束のことである 38 )。 この制度がうまく機能 するのであれば,利用 期間が比較的長期にな るものや,その効果に つ いてサービスを何度か 利用してからでなけれ ば判断できにくいよう な種類のグリーン・サ ーピ サイジングにおいて, 購入時の消費者の不安 を和らげるものとなり うる 。 また,サービス・レ ベル契約は,事前に成 果に関して契約を結ぶ ことでグリーン・サー ピサイジングの成果に つい て保証し利用を促進 することを可能にす る 。サービス・レベル契 約とは,サービス企業 と顧 客との問で結ぼれる契 約で,顧客にとって許 容しうる最低限のサー ビス水準を主に数値に よっ て保証するものである 39)o ノfフォーマンス契約は, サービス成果の高低に 応じてサービス価格 を決めるという成功報 酬型の契約 40) を結ぶもので,グリーン・サービサイジングの利用をより 促進することができる と考えられる 。パフォーマンス契約 は 事前に顧客の理解を得ておくと いう点で,サービス・ レベル契約に似ている 。ただしパフォーマ ンス契約は,サービ ス水準 を保証するものではない 。例えば ESCOサービスでは ESCO事業者と顧客は,省エネルギー 効果を保証するために パフォーマンス契約( 出来高契約)を締結す る 。顧客は, ESCO事業者 が提供する包括的なサ ービスに対する対価を サービス料として支払 う 41)o パフォーマンス契約 によってサービス価格 がサービス成果によっ て変動するために 顧客が特定のサービス 品質を 期待するものではなくなる 。成果が出なければサ ービス料金は安く済み ,成果が出ればそれな りの支払いが生ずる 。いずれにしろサービ ス価値は保証される 42)。 図表 7 ESCO事業 ESCO事業者 /'¥フォーマンス 契約の締結 (省エネ量の保証、 契約年数他) 包括的な サービスの提供 サービスキヰの 支払い (サービス対価) 顧 客 出所:財団法人省 エネルギーセ ンタ -webペ ージ IESCO事業のススメ 2 0 0 62 0 0 7J h t t p : / / w w w . e c c j . o r . j p / e s c o/ r e c o m m e n d / 0 6 / 0 3 . h t m l グリーン・サーピサイジングに関する一考察 ( 4 9 ) 4 9 このほかにグリーン・サービサイジング・ビジネスの普及にあたっては,多くの具体的施策 が検討されている。グリーン・サービサイジング研究会は,グリーン・サービサイジング・ビ ジネスの促進および普及啓発につながる具体的な施策として,グリーン・サーピサイジング・ ビジネス・ガイダンスの作成 ビジネス向け支援制度によるグリーン・サーピサイジング・ビ ジネスの支援拡大,グリーン・サービサイジング・ビジネス・アライアンスの構築に向けた支 援制度の設立,グリーン・サーピサイジング・ビジネスの融資制度の設立 サイジング・ビジネス・コーディネーター制度の設立 グリーン・サービ グリーン・サーピサイジング・ビジネ ス協議会の設立,グリーン・サービサイジング・ビジネスの認定制度の設立,グリーン・サー ビサイジング・ビジネスプラン・コンテストの実施 グリーン・サーピサイジング・ビジネス による環境負荷低減効果の評価手法の開発,グリーン・サーピサイジング・ビジネスの利用者 側の受容性に関する実態調査・啓発活動をあげている 43)。 こうした,諸施策の実施によりその 普及が期待される 。 v . おわりに 本稿では,グリーン・サーピサイジングの概念およびその内容を考察し,グリーン・サービ サイジングモデル事業を中心にその現状をとらえ,課題や今後の展開について言及した 。 グリーン・サービサイジング・ビジネスは,いくつかの先端的な先行事例があるものの,こ れから普及,発展が期待されるものである 。 グリーン・サービサイジングは,製品等のリサイ クル効率を高め,廃棄物の発生を抑制するなど循環型社会の構築に寄与するものであるが,そ うした効力が継続して維持可能かどうかなど,今後,制度面での整備・支援を含め数多くの課 題が,企業,市民,行政それぞれの側に存在する。グリーン・サービサイジングは,その活動 だけをもって環境問題のすべてに対応できるものではない。 グリーン・サーピサイジングの普及にあたっては マーケテイングおよびサービス・マーケ テイングの手法を取り入れ,普及を促進することも有効であろう 。 どういったグリーン・サー ビサイジング・ビジネスモデルがどの環境問題に有効なのか,また,グリーン・サービサイジ ングに適合する製品等にはどのようなものがあるのかなど グリーン・サービサイジング・ビ ジネスを展開する事業体は,製品等のユーザーや消費者に対してそのビジネスモデルが環境問 題に資することへの理解を得ながら,共にコミュニケーションを深め,共創的な関係性を築き, より環境負荷低減効果の高いビジネス・モデルを構築することが求められる 。 本稿では,グリーン・サービサイジングの一端について考察を加えたが,さらに詳細な考察 については,今後の研究の課題としたい。 5 0 ( 5 0) 商学研究第 4 8 巻第 1 号 注 1 ) 2 ) 環境省 『 循環型社会白書』平成 1 5年版, 2 0 0 3年 , p .3 。 経 済 産 業 省 産 業 技術 環 境 局 環 境 政 策 課 環 境 調和 産業推進室,平 成 1 7年 度 「 グ リーン・サーピサイ ジン グモデル 事業」の概要 2 0 0 5年 h t ゆ: //www.chusho.met . i g o . j p / k o u k a i / k o u b 0 / o t h er % 2 0 k o u b o / 0 5 0 5 0 2 . 3 ) z i g y o g a i y o u .p d f White,e ta l : “S e r v i c i z i n g :TheQ u i e tT r a n s i t i o nt oExtendedP r o d u c tR e s p o n s i b i l i t y , "S u b m i t t edt oU . S . E n v i r o n m e n t a lP r o t e c t i o nAg ency ,O f f i c eo fS o l i dWaste,May ,( 1 9 9 9 ) . 4 ) マイケル・ト ッフルの ように,サーピサイ ジングの定義を厳密に捉え るものもある。 トッフルは次の 4項 目をサーピサイジングの要 件としている 。 ① 製 造 業 者は顧客に製品そのもの は売らずに製品の機能を販 売する 。 ②製品の所有権 はつねに製造業者の手元 に残さ れる 。 ③ 顧 客 は製品の使用量単位当たり の料金のみを 対価として支払う 。 ④製造業者 は製品のメン テナンス や修理に追加の 費用 を課さない。 5 ) 6 ) 7 ) 8 ) T o f f e l,MichaelW.:" C o n t r a c t i n gf o rS e r v i c i z i n g ; ' W o r k i n gPaper(HaasS c h o o lo fB u s i n e s s,Univ e r s i t yo f C a l i f o r n i a B e r k e l e y ), May1 5,( 2 0 0 2 ). 天野明弘 『環境問題の考え方』関西学院大学出版会, 2 0 0 3年 ,p. l3 2。 中村吉明「環境コミュニテイ・ビジネスとグリーン・サーピサイジング J r 環境管理jVo l .4 1N o .1 2,2 0 0 5年 , p . 5 10 M.].Goedkoop,e ta l :" P r o d u c tS e r v i c eS y s t e m s,E c o l o g i c a landEconomicB a s i c s" ,( 1 9 9 9 ),p . 1 8 . ( d o w n l o d a b l e fromhttp://www . p r e. nl /p ss/download_PSSr e p o r. thtm) 中村吉明,前掲稿, p . 5 1。佐々木秀裕「グリーン・サーピサイジングについて:環境負荷低減効果の高い「サー r ピス提供型ビジネス」へ J 廃棄物学会誌』第 1 7巻第 3号 , 2 0 0 6年 , p . 1 1 80 9 ) 和田安彦「循環型社会と サーピサイジング J 廃棄物学会誌』第 1 7巻第 3号 , 2 0 0 6年 , p . 1 0 20 1 0 ) 同上稿, p . 1 0 2。 1 1 ) ポール・ホーケ ン ・エイモリス・ B' ロビ ンス ・L/ハン ター・ロビ ンス(佐和隆光 ・小幡す ぎ子訳) 自 然 資 本 の 経 済J日本経済新聞社, 2 0 0 1年 , p p . 3 6 5 3。 荒井康裕・手塚史展「循 環型社会におけるリース ・ レンタルシス テム J 廃棄物学会誌J第 1 4巻第 6号 , 2 0 0 3年 , p p . 2 93 3 0 2。 1 2 ) 横村久子「サーピサイ ジングが普及する条件」 天野明弘 ・大江瑞絵/持続可能性研 究会編『持続可能社会 r r r 構築のフロンティア』関 西学院大学出版会, 2 0 0 4年 , p . 1 0 4 。 1 3 ) 盛 岡通 ・今 堀 洋 子 ・恒見清 孝 ・山 本祐吾「家電製品の サービサイ ジング とリユースの融合 J 環 境研 究J 目立環境財団, 2 0 0 3年 8月 , p . 1 1 1。 1 4 ) 経済産業省グ リーン・サーピサイ ジング研究会「グ リーン・サーピサイ ジング研究会報告書一環 境負荷低 r r 減効果の高い「サービス提 供型のビジネス」へ J官公庁環境専門資料. j41 ( 5 ),2 0 0 6年 , p . 7 80佐々 木秀裕, 前掲稿, p . l1 80 1 5 ) サーピサイジング・ビジ ネスが,環境負荷低減に 資するかどうか厳密に判 断するには,従来のビジ ネスと サーピサイジング・ビジ ネスそれぞれの環境負荷 量 を定量的に比較評価する必 要がある 。 r 1 6 ) 今 堀 洋 子 ・盛岡 通 「家電に おけ るサ ーピサイ ジングの可能性に関する 研究 J 環 境 情 報 科 学 論 文 集 j1 7, 2 0 0 3年 1 1月 , p . 2 6 0。盛岡通 ・今堀洋子・ 恒見清孝 ・山本祐吾,前掲稿 , p . 1 1 2。 1 7 ) 経済産業省グ リー ン ・サーピサイ ジング研究会,前掲稿, p p . 7 9 8 0 。 1 8 ) 佐々木秀裕,前掲稿, p . 2 4 。 1 9 ) 電子機械産業にお いて の最近の収益構造については, I スマイルカーブ」に よる説明がさ れてい る。横軸 にサ プライチェ ー ン ・ラ イフ サイ クル,縦軸 にサ プライチェ ー ン ・ライフサイ クル毎の収益性をとってグ ラフ化すると, 事 業 プロセスの「川上」に位置する 素材開発や部品製造の段階 と「川下」に位置するアフター サービスやコンテンツ提 供等の部分の収益性は高 いが,中間の製造段階だ けはあまり儲からない傾 向が見 られる 。 この様子が,両端が高く ,中ほどが低い,ちょう ど「スマイルマーク」の 口のラインのようにな ることから, 一般に「スマイルカーブ」 と呼ばれている。(経済産業省グ リー ン ・ サーピサイ ジング研 究会 , 前掲稿, p. l1 00 ) 2 0 ) 向上稿, p. l1 0 。 2 1 ) 向上稿, p p . 7 7 1 1 4 。 2 2 ) 経済産業省産業技術環境 局環境政策課環境調和産 業推進室:平成 1 7年度前掲we bペ ー ジ。 グリーン・サービサイジングに関する一考察 ( 5 1 ) 5 1 2 3 ) 向上webページ 8年度「グリーン・サーピサイジング 経済産業省産業技術環境局環境政策課環境調和産業推進室:平成 1 モデル事業」の概要~環境負荷低減効果の高い「サービス提供型ビジネス」へ~ 2 0 0 6年 h t t p : / / w w w . m e t i . g o . j p / p r e s s / 2 0 0 6 0 2 1 5 0 0 4 /g s, k o u b o s e . t p d f 経 済 産 業 省 産業技 術 環 境 局 環 境 政 策 課 環 境 調 和 産 業 推 進 室 : 平 成 1 9年 度 「 グ リ ー ン ・ サ ー ビ サ イ ジ ン グ 事業 」の概要~環境負荷低減効果の高い「サービス提供型ビジネス」へ~ 2 0 0 7年 h仕p : //www.met . i g o . j p / p r e s s / 2 0 0 7 0 2 1 4 0 0 5 / g r e e n p . r . p d f 2 4 ) 向上webページ。 2 5 ) モデル事業採択の観点は,以下に示すとおりである 。 -従来型の 「 製品販売を前提としたビジネス」ではなく, より高い環境負荷低減効果が期待される「サー ビス提供型のビジネス 」 の発掘,支援というモデル事業の趣旨に合致するビジネスモデルであること 0 ・模範となるという意味において,先導性のあるビジネスモデルであること 。 ・次年度以降の事業運営を含めて事業継続が計画されており,将来的に自立した事業運営が行われる見込 みが大きいこと 。 ・中小企業,中小企業の連携組織(企業グループ)又は NPO法人が実施する事業であること 。 (経済産業省産業技術環境局環境政策課環境調和産業推進室:平成 1 7年度前掲webページ。) 2 6 ) 2 7 ) 2 8 ) 2 9 ) 向上webページ。 同上webページ。 向上webページ。 経済産業省 NewsR e l e a s eI 平成 1 9年度「グリーン・サーピサイジング事業」の公募の結果 J2 0 0 7年 h t t p : / / w w w . m e t . i g o . j p / p r e s s / 2 0 0 7 0 7 1 1 0 0 2 /g s _ p r e s s. p d f 3 0 ) 経 済 産 業 省 webペ ー ジ 「 グ リ ー ン ・ サ ー ピ サ イ ジ ン グ 事 業 Jh t t p: //www.met . i g o . j p / p o l i c y/ e c o _ b u s i n e s s / l /t y _model /h19m_ 01 . h t m l s e r v i c i z i n g / h t m 3 1 ) 経 済 産 業 省webページ「グリ ー ン・サーピサイジング事業 Jh t t p : / / w w w . m e t i . g o. j p / p o l i c y / e c o _ b u s i n e s s / s e r v i c i z i n g / h t m l /t y _model / h19m_ 0 2. h t m l 3 2 ) 経 済 産 業 省webペ ー ジ 「 グ リ ー ン ・ サ ー ピ サ イ ジ ン グ 事 業 Jh t t p : / / w w w . m e t . i g o . j p / p o l i c y / e c o _ b u s i n e s s / s e r v i c i z i n g / h t m l / ザ_mode l /h 19m_03.html t t p : / / w w w . m e t . i g o . j p / p o l i c y / e c o _ b u s i n e s s / 3 3 ) 経 済 産 業 省webペ ー ジ 「 グ リ ー ン ・ サ ー ピ サ イ ジ ン グ 事 業 Jh s e r v i c i z i n g / h t m l /t y _mode l /h 19m_04.html 3 4 ) 経 済 産 業 省webペ ー ジ 「グ リーン・サーピサイジング事業 Jh t t p : / / w w w . m e t i . g o . j p / p o l i c y /e c o _ b u s i n e s s / l /t y _mode l /h19m_ 0 5 . h t m l s e r v i c i z i n g / h t m . 1 0 8o 3 5 ) 和田安彦,前掲稿, p l0 8 。 3 6 ) 向上稿, p. 3 7 ) 中村吉明 『環境ビジネス入門』 産業環境管理協会, 2 0 0 7年 , p . 7 5。 3 8 ) RaymondP .F i s k,S t e p h e nJ .GroveandJobyJohn,I n t e r a c t i v eS e r v i c eM a r k e t i n g2nde d .,HoughtonM i f f l i n Company ,( 2 0 0 4 ),pp. l6 0 1 61 . (小川孔輔・戸谷圭子監訳『サービス・マーケテイング入門』法政大学出版局, 2 0 0 5年 , p . 2 0 7 )。 3 9 ) H i l e s,A .N .“S e r v i c el e v e la g r e e m e n t s :P a n a c e ao rp a i n ",T h eTQMMagazin, Vo16,No2,( 1 9 9 4 ),p p .1 4 1 6 . 品質保証との大きな違いは,契約であるため提供者,利用者双方の合意,承認が求められる事にある 。 品 質保証は,保証内容等について,サービス提供者が一方的に決定するものである。 4 0 ) 南方建明・酒井理『サービス産業の構造とマーケティング』中央経済社, 2 0 0 6年 , p . 1 5 3。 4 1 ) 財団法人省エネルギーセンタ -webページ IESCO事業のススメ 2 0 0 6 2 0 0 7 J h仕p : // w w w . e c c j . o r . j p / e s c o / recommend/06/03.html 4 2 ) 南方建明・酒井理,前掲書, p . 1 5 3o 4 3 ) 経済産業省グリーン・サーピサイジング研究会,前掲稿, p p .1 l2 1 1 4o 5 2 ( 5 2 ) 商学研究第 4 8 巻第 l 号 主要参考文献 r 荒井康裕・手塚史展「循 環型社会におけるリース ・レンタルシステム J 廃棄物学会誌』第 1 4巻 第 6号 , 2 0 0 3 年 , p p .2 9 3 3 0 20 天野明弘『環境問題の考え方』関西学院大学出版会,2 0 0 3年。 天野明弘「モノとサービスの関係を問い直す サーピサイジング・イノベーションの時代 J サーピサイジング・ r シンポジウム 2 1世紀のエコ生活』地球環境関西フォーラム. p p .4 -1 3。 天野明弘・大江瑞絵/持続可能性研究会編 『 持続可能社会構築のフロンティア』 関西学院大学出版会, 2 0 0 4年。 今堀洋子・盛岡通「家電におけるサービサイジングの可能性に関する研究 J 環境情報科学論文集.1 1 7,2 0 0 3年 , r p p . 2 5 9 2 6 40 倉阪秀史 『 環境を守るほど経済は発展する』朝日新聞社, 2 0 0 2年。 経済産業省グリーン ・サーピサイジング研究会 「グリーン・サーピサイ ジング研究会報告書 一環境負荷低減効 果の高い「サービス提供型のビジネス」へ J 官公庁環境専門資料. 14 1( 5 ),2 0 0 6年 , p p . 7 7 1 1 40 経済産業省産業技術環境 局環境政策課環境調和産 業推進室:平成 1 7年度「グリーン・サーピサイジングモデル r 事業」の概要 2 0 0 5年 h t t p : / / w w w . c h u s h o . m e t . ig o . j p / k o u k a i / koubo/other < > 1 O 2 0 k o u b o / 0 5 0 5 0 2 . z i g y o g a i y o u . p d f 経済産業省産業技術環境 局環境政策課環境調和産 業推進室:平成 1 8年度 「グリーン・サーピサイジングモデル 事業」の概要~環境負荷低減効果の高い 「 サービス提供型ビジネス 」 へ~ 2 0 0 6年 h t t p : / / w w w . m e t i .g o . j p / p r e s s / 2 0 0 6 0 2 1 5 0 0 4 / g s, k o u b o s e . tp d f 経済産業省産業技術環境 局環境政策課環境調和産 業推進室:平成 1 9年度「グリーン・サーピ サイジング事 業」の概要~環境負荷低減効果の高い「サービス提供型ビジネス」へ~ 2 0 0 7年 h t t p : / / w w w . m e t . ig o . j p / p r e s s / 2 0 0 7 0 2 1 4 0 0 5 / g r e e n p . r . p d f 経済産業省産業技術環境 局環境政策課環境調和産 業推進室:I グリーン・サーピサイジ ング・ビジネス一環 境 に や さ し い 「 機 能 提 供 型 の ビ ジ ネ ス 」 が 開 く 新 た な 社 会 -J 2 0 0 7年 h t t p : / / w w w . m e t . ig o . j p / p o l i c y / e c o _ b u s i n e s s /s e r v i c i z i n g / h t m l /d ownload/o t h e r s /gs_manua . lp d f 佐々木秀裕「グリーン・サーピサイジングについて:環境負荷低減効果の高い「サービス提供型ビジネス 」へ J廃 棄物学会誌J 第 1 7巻第 3号 , 2 0 0 6年 , p p . 1 1 7 1 2 7 。 中村・ 吉明「環境コミュニティ・ビジネスとグリーン・サーピサイジング J 環境管理. 1Vo l .4 1N o .1 2,2 0 0 5年 1 2月 , r r pp. 4 5 5 5。 中村吉明『環境ビジネス入門』 産業環境管理協会, 2 0 0 7年。 ポール・ホーケン・エイ モリス.B.ロビンス ・L/ハンター・ロビンス(佐和隆光・小幡すぎ子訳) 自然資本 の経済』日本経済新聞社, 2 0 0 1年。 横村久子監修地球環境関 西フォーラム循環社会技 術部会編 『 サーピサイジング』財団法人省エネルギーセンター, r 2 0 0 6年。 南方建明・酒井理『サービス産業の構造とマーケテイングJ 中央経済社, 2 0 0 6年。 盛岡通・今堀洋子・恒見清孝 ・山本祐吾 「家電製品のサーピサイジングとリユースの融合 J 環境研究』目立環 r 境財団. 2 0 0 3年 8月 , pp. l0 9 1 2 0 。 吉田登「サーピサイジングのエコビジネス J 廃棄物学会誌J 第 1 7巻第 3号 , 2 0 0 6年 , pp. l1 1・ 1 1 6 。 和田安彦「循環型社会とサーピサイジング J 廃棄物学会誌』 第 1 7巻第 3号,2 0 0 6年 , p p . 1 0 1 1 1 0。 H i l e s, A .N. :“ S e r v i c el e v e la g r e e m e n t s :P a n a c e ao rp a i n ",TheTQMMα : g a z i n, Vo16, No2,( 19 9 4 ) r r M.] .Goedkoop,e ta l :" P r o d u c tS e r v i c eSystems,E c o l o g i c a landEconomicB a s i c ",( 1 9 9 9 ) . ( d o w n l o d a b l efrom http://www . p r e. nl / p s s / d o w n l o a d _ P S S r e p o rt .htm) Mont,Oksana: “P r o d u c t S e r v i c eSystemConcepta saMeanso fReachingS u s t a i n a b l eConsumption?",Paper p r e s e n t e da tt h e7 t hEuropeanR o u n d t a b l eonC l e a n e rP r o d u c t i o n, 2 4May ,( 2 0 0 1 ), L u n d . T o f f e l,M i c h a e lW. :“C o n t r a c t i n gf o rS e r v i c i z i n g, "WorkingP a p e r( H a a sS c h o o lo fB u s i n e s s, U n i v e r s i t yo f C a l i f o r n i a B e r k e l e y ), May1 5,( 2 0 0 2 ) . RaymondP .F i s k,Stephen] .GroveandJobyJ o h n :I n t e r a c t i v eS e r v i c eMarketing2nde d .,HoughtonM i f f l i n Company ,( 2 0 0 4 ) .(小川孔輔・戸谷圭子監訳 『サービス ・マーケテイング入門 J 法政大学出版局, 2 0 0 5年)。 White,e ta l:“S e r v i c i z i n g :TheQuietT r a n s i t i o nt oExtendedProductR e s p o n s i b i l i t y , "Submittedt oU . S . E n v i r o n m e n t a lP r o t e c t i o nAg e n c y , O f f i c eo fS o l i dWaste, May ,( 1 9 9 9 ) . グリーン・サーピサイジングに関する一考察 ( 5 3 ) 53 [付. 1] 平成 17年 度 「 グ リ ー ン ・ サ ー ビ サ イ ジ ン グ モ デ ル 事 業 」 事業名 事業者 株式会社エリックス 木製遊具による木質系 マテリアルリース 事 業 森林資源の循環利用 とシステム構築 アミタ株式会社 均ノ オ フ l Ad LL ユ A 一品 4 ,1 井不 式 一けモ ムる一ア オおス フにネ ニ庖ジ ユ哩ピ 業 け代ス事 向売一出 業販ユ創 企のリル レンタルボトルシステ ムによる容器リユース サービス 事業 事業概要 企業向けユニフォームは顧客企業の「顔」となる重要なアイ テムであるが,各企業の省エネ・エコ商品採用等への取組が 進む中で, リユース・リサイクルの意識が低い部分となって いる。一方,ユニフォームメーカーは,主に大企業・大人数 向けを対象としてのリースやエコ商品の開発,素材リサイク ルに取り組んでいるが, こうしたサービスの事業化は進んで いない。本事業では,ユニフォームを顧客に売りきりで供給 しその後の廃棄等は企業自身に委ねている仕組みを変える。 具体的には,顧客企業に対してユニフォームをレンタルし, 回収,リユース,リサイクルを行う仕組みを構築することで, 顧客企業の経費節減,販売代理庖の経済的利益を確保すると ともに,大量のユ ニフォームの廃棄を抑制する 。 現在,ワンウェイ容器,あるいは一部リターナブル容器とし て流通している飲料等の容器所有の形態を変え,古びんを「商 品」として売買していたびん商が「容器レンタルサービス業」 に転換することを目指す。ぴんはびん商が保有し飲料メー カーにレンタルを行う。また,物流効率化を進める最終ユー ザー(料飲庖チェーン)と連携して,ビンリユースに関し豊 富な知見を持つびん商が空きびんを最終ユーザー又は業務用 酒販屈の物流センターから直接回収する,あるいは最終ユー ザーが配送車により指定びん商ヤードへの持ち込む。この事 業に より,料飲庖は飲料等をこれまでより安価に購入するこ とができ,また,固形廃棄物の発生やカレット化を防ぐこと ができる等の環境負荷低減が期待できる。 幼稚園等へのアンケートでは,木製遊具は園児に好影響を与 えるという回答があるものの,高価で壊れやすいため積極的 な購入が難しいという意見が強い。そこで,幼稚園・保育園 を対象に木製遊具をリースしこれらを活用した環境教育を 実施する。モデル事業実施地域は岡山県西粟倉村であり,村 の森林面積の 80%以上を占めているスギ・ヒノキの間伐材の 使用を想定,西粟倉森林組合で製造・加工した木製遊具を活 用する。リースアップした遊具や破損した遊具は同組合で修 理,再加工され,リユースされるため 必要以上の廃棄物の 発生を抑制できる。また,間伐材の使用による森林整備や使 用できなくな った遊具のバ イオマスエネルギーとしての活用 を通じ,環境負荷の低減が期待できる。 e l e a s eI 平成 1 7年度グリーン・サーピサイジングモデル事業の公募結果 J2 0 0 5年 8月をもとに 出所:経済産業省 NewsR 筆者作成。 h t t p : / / w w w . m e t i . g o. j p / p r e s s / 2 0 0 5 0 8 1 5 0 0 2 / 1 7 f y g s s s e . tp d f 54 ( 5 4 ) 商 学 研 究 第 48巻 第 1 号 [ 付 .2] 平成 1 8年度「グリーン・サービ サイジングモデル事業」 事業名 事業者 事業概要 汚泥廃棄物からの菌体肥 料を製造,販売に関する サーピ スを提供する事業。食品 加工会社等の排水処理施 設の隣 汚泥廃棄物から菌体肥料 接地に,菌体肥料原料製 造用の乾燥装置を販売・ 設置す いわき化水株式会社 を製造する廃棄物発生抑 る。食品加工会社が汚泥 廃棄物の乾燥を実施し乾 燥菌 (福島県いわき市) 制システムの構築 体肥料の半製品を製造する 。いわき化水は, 一定期間ご とに半製品を食品加工会社から回収・購入するとともに, 肥料商社に販売する 。 商品の輸送,梱包,デー タ管理を一括してサ ービス提供 する 事業。 スターウェイが所有する何度も リサイクル で 「環境デリパリ ーパック ⑧」 きる通い箱「イースタ ーパ ック 叩」を利用して,相包, 物流コスト削減と環境負 スターウェイ株式会社 輸送を行う 。 シートに挟ん で製品を固定するため,緩衝 荷低減の両方を実現する (東京都港区) 材が不要となるとともに,梱包の手聞が削減される 。 ま システム た,使用後のイースター パ ック⑩を回収するため,顧 客 先で使用済の箱が発生しない。 温 室農家 ビニールハウス 木質バ イオマスペレ ッ トによる熱エネルギーサービスを への地産地消のバイオマ 温室農家に提供する 事業。南信州おひさま進歩がバイオ 南信州おひさま 進歩 ス熱エネルギー供給サー マスストーブボイラーを 所有し,バイオマスベレ ットを (長野県飯田市) ピス 事業特定非営利活動 供給するというサービス を提供する 。温度調節やボイ 法人 ラー故障時の対応も行う。 下水処理施設に脱硫剤を 販売するのではなく,硫化水素 ガス吸着サービスを提供する 事業。 日本リモナイトが所 下水処理に於ける脱硫剤 有する脱硫剤を用いて, 下水処理施設にて硫化水 素ガス リースによる硫化水 素 ガ 株式会社日本リモナイト を吸着する 。 同社が脱硫剤を適切な時期に交換するとと ス吸着 サービス提供と脱 (熊本県阿蘇市) もに,使用済みとなった 脱硫剤は同社のプラン トにて , 硫剤リサイクル リサイクルされる 。脱硫剤製造時の天然資 源の低減を図 ること治宝できる 。 ピル,工場等の空調や生産 設備の冷却水に起因する 代表 的な障害として,スライム障害が挙げられるが,これら は従来化学洗浄剤による 洗浄や,滅菌剤によ って改善・ 電解機能水を用いた冷却 株式会社ステラ環境科学 防止されている 。本事業では,食塩を用 いた電解機能水 水系水質総合管理サーピ (長崎県長崎市) による処方を用いた冷却 水処理システムを構築し 冷却 ス事業 水のメンテナンスサービスを提供する 。機器はステラ環 境科学が所有し機器の維 持管理,消耗品の補充, 水質 分析等を定期的に実施する 。 出所:経済産業省 NewsR e l e a s e 平成 1 8年度グリーン・サーピサイジングモデル事業の公募結果 J 2 0 0 6年 7月 h t t p ://www.me t i . g o . j p / p r e s s / 2 0 0 6 0 7 1 4 0 0 3/ p r e s s r e l e a s e. p d f r